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国務大臣(
佐藤一郎君) 私、よく前から話しているのですけれども、
物価だけでなくて、
中小企業対策なんかもそうなんですけれども、
一般会計から
税金でもって出す
補助金とか、そういう
税金でもって出す
支出というもの、これは
一般会計中心でありますから、
財政というと、とかく
一般会計だけで見られがちなんですけれども、そいつはいわゆる
しろうととしての常識ですけれども、必ずしも正鵠を得ているとは言えない。それぞれのものの
性質に応じて、
財政融資で出すことが適当なものがある。
中小企業対策なんかも、むしろ
税金でもって
補助金を出すということは必ずしも適当でない。それよりは、
税金なり金融の面でもってめんどうを見てあげるということが
中小企業対策の
中心なんですが、
物価なんかも、
一般会計から
税金でもって
補助金で出すという、それに適した
ケースというのは必ずしも多くはございません。先ほどの、
農業生産を近代化するとか、そういうような
構造対策を
中心にしたものについては、これは十分考えられるのですが、
流通機構を取り上げて、それに
税金で
補助金を直接に投入するというようなことに適当な
ケースというものは、なかなか選択が困難でございます。勢い、
財政投融資が
中心になるのですから、これにもいろいろ、ここにございますけれども、一例をあげれば、
国民金融公庫でございましたか、従来なかったんですけれども、八百屋さんなんかの
関係のために三百億以上の
融資のワクを設けたりしておりますけれども、こういうような形での
支出のしかたというものが、わりあいに低減をしている
ケースが多いわけでございます。そういうことで、勢い
財政投融資に
重点が移っておる、こういうことでありまして、これらのところは、いまの日本の
財政の
メカニズムと言いますか、
財政のあり方を前提にして御吟味を願うという以外にはないのではなかろうかと考えております。
それで、
直売については、
国民金融公庫の
小売り市場の貸し付けなんかがそれに該当するようなものになっておりますけれども、おっしゃるように、
一般会計でいま
補助金を出してやるという形はとっておりません。
また、
生協でありますが、この
生協の考えについては、御存じのように、いろいろな
考え方がございます。それで、私は、
生協というものをやはり
政府としてあまり抑圧をしていくというようなものの
考え方はとるべきでない、特に
物価対策ということも頭に入れながら、秩序ある正しい
方向に
生協というものを伸ばしていく、これは私は現在の時勢に最も適合した
方法の一つであるというふうに考えております。ただ、御存知のように、
中小企業問題等も確かに
関連もございます。やはり、よく言われるように、その際にあまり
財政的な取り扱いにアンバランスがあるということは、これはまた他の面で納得させないところが出てくるわけです。ですから、私はむしろ、現在
生協問題で大事なのは、制度的な問題についてよく
議論がありますように、たとえば兵庫県の
生協は大阪府に乗り出してはいけないとか、そういういろんな法的な
地域制限その他の
制限がございます、そうしたものをできるだけこの際自由にして、そうして
生協というものをあまり巨大化して、それはそれでまた弊害をもたらさないような限度のもとにおいて、もっと自由に伸ばすという
意味において
制度的改正は
重点的に考えていいんじゃないか、あまり
財政援助を
生協にだけやるというようなことになると、これは、
中小企業は
中小企業で、おれ
たちと同じイコール・フットでもってやるべきじゃないかという
議論もかねがねある際でもありますから、
生協自体を伸ばすことはわれわれもいいんですけれども、その
やり方についてはいろいろとそれに応じた
考え方があるんじゃなかろうかというふうに私は考えているわけなんです。
それから
輸入でございますけれども、
輸入の
自由化がせっかく行なわれたけれども、
流通機構が不備なために十分に
価格が下がってこない、これは確かにございます。過去においても、バナナにいたしましても、それからレモンにいたしましても、
自由化をいたしましてからずいぶんいわゆる
価格のレベルは下がりました。そういう
意味でもって、
自由化の
影響というものは、やはりそれなりの非常に顕著なメリットを持ったわけでございますけれども、しかし、御
指摘になったように、問に
流通機構がございまして、それの
運営が適正でないために、さらにもっと下がるべきものを阻害するとかいうようなことがないとは私も言えないと思います。一、二そういうような例もあるわけでありますから、そういう点については、
流通機構について、これは
関係各省とも
相談をして、そうした
阻害要因をなくするように持っていきたい。まあ、特によく問題になっておりますのは、
自由化はされておるんですけれども、たとえば台湾のように、相手が
国営貿易といいますか、
一手販売である、そういうことのためにどうしても
売手市場になってくる。そうしてそれに対抗するために、こちらのほうとしても、あまり個々ばらばらな
取引をさせるということは好ましくないというので、
組合等を結成させまして、そしてやる。ところが、その
組合を結成させたのはそういう
意味であったのにかかわらず、その
組合の
運営の結果として、今度は、この
自由化の
効果というものを阻害するような
運営が行なわれはしないか、こういうような点は、よく実態を調べないと、なかなかその結論が出ないのであります。われわれも、いまそれを
調査をしているものもございますが、
関係各省と
相談して、的確に、ここにポイントがあるということがわかれば、そこのところを何とか
運営を直さしていく、あるいは
機構そのものを変えていく、こういうような
方法をとっていこうと、こういう
考え方で臨んでおります。ただ、よく言われますように、国際的な
関係のいわゆるソール・エージェンシーというような
関係になってくると、これはなかなか、いま国内だけの問題として処理できない問題を含んでおりますから、これは今後の宿題として、どういうふうにそういう問題は扱うかということを検討しなければならないと、こういうふうに考えておるわけであります。
米につきましては、これは
物統令廃止後の米の値段をできるだけ安定させるのは、これは
政府の義務でありますからして、これをいかにしてやるか、いま食糧庁とも
相談をしておるところであります。むしろ、これは制度的な問題が多いと思います。金も出さなければどうにもならぬということで、制度的な問題が多いと思いますが、それでも、もし必要な場合においては金の問題も起こってくる。特に売却の操作ということになれば、直接食管の
予算の運用にも響いてくる問題でございますから、
財政支出に
関連がないわけではございませんけれども、これはいま制度的な点を
中心にして検討しておる、こういう段階でございます。