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1971-05-21 第65回国会 参議院 農林水産委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十六年五月二十一日(金曜日) 午前十一時八分開会
—————————————
委員
の
異動
五月十八日
辞任
補欠選任
鈴木
省吾
君
寺尾
豊君 五月十九日
辞任
補欠選任
山下
春江
君
堀本
宜実君 山本 杉君
徳永
正利
君 五月二十日
辞任
補欠選任
亀井
善彰
君
小林
章君
寺尾
豊君
鈴木
省吾
君
久次米健太郎
君
岩動
道行君
沢田
実君
塩出
啓典
君 五月二十一日
辞任
補欠選任
小林
章君
亀井
善彰
君
高橋雄
之助君
山下
春江
君
徳永
正利
君
久次米健太郎
君
塩出
啓典
君
沢田
実君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
河口
陽一
君 理 事
亀井
善彰
君 園田
清充
君 杉原 一雄君
村田
秀三
君
沢田
実君 委 員
久次米健太郎
君
小林
国司君 櫻井 志郎君
鈴木
省吾
君
高橋
衛君
堀本
宜実君 森 八三一君
山下
春江
君 川村 清一君 北村 暢君
達田
龍彦君 前川 旦君
河田
賢治
君
衆議院議員
農林水産委員長
草野一郎平
君
国務大臣
農 林 大 臣
倉石
忠雄
君
通商産業大臣
宮澤 喜一君
政府委員
経済企画庁総合
開発局長
岡部 保君
農林政務次官
宮崎 正雄君
農林大臣官房長
太田 康二君
農林省農林経済
局長
小暮 光美君
農林省農政局長
中野
和仁
君
農林省蚕糸園芸
局長
荒勝
巌君
通商産業省企業
局長
両角 良彦君
通商産業省企業
局参事官
増田 実君
労働省職業安定
局審議官
中原 晁君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
説明員
自治省財政局交
付税課長
横手 正君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
農村地域工業導入促進法案
(
内閣提出
、
衆議院
送付
) ○
野菜生産出荷安定法
の一部を
改正
する
法律案
(
衆議院提出
)
—————————————
河口陽一
1
○
委員長
(
河口陽一
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
理事
の
補欠選任
についておはかりいたします。
委員
の
異動
に伴い、
理事
に二名欠員を生じておりますので、この際、
理事
の
補欠選任
を行ないたいと存じます。
理事
の
選任
については、先例により
委員長
にその指名を御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
2
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
理事
に
亀井善彰
君及び
沢田実
君を指名いたします。
—————————————
河口陽一
3
○
委員長
(
河口陽一
君)
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
本案
については、
前回質疑
を終局いたしておりますので、直ちに
討論
に入ります。 御
意見
のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
河田賢治
4
○
河田賢治
君 私は
日本共産党
を代表して、
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
に反対するものであります。 今回の
改正案
の中には、
蚕繭共済
に関して
共済目的
の
種類
と
共済事故
を
拡大
し、
補償
の限度を引き上げる、また、
家畜共済
については
共済掛け金国庫負担
を強化するなど、評価すべき
一定
の
前進面
が含まれております。しかしながら、同時に見過ごすことのできない重要な問題が含まれています。 その第一は、
農業共済団体
の
組織整備
に関する
改正
であります。
組合
の
区域
の
広域化
、
総代会権限
の
拡大
、
連合会
における一
会員
一票
制原則
の取りくずしなどは、全
組合員
の参加による
組合運営
を進め、
組合
の
民主的強化
をはかる方向に逆行するものであり、特定の役員や大
組合本位
に運営される危険を生むものであります。また、
共済組合
の
事業
における現在の困難は、
自民党政府
の
農業破壊政策
、とりわけ
稲作農民
が自主的に転換できる諸
条件
をつくらないまま
大幅減反
を強行するいわゆる
生産調整政策
を推し進めているところに
根本原因
があるのであり、単に
規模
の大小で解決する問題ではありません。 第二に、
稲作
、麦作の
農作物共済
に関する
合理化
であります。現行の
一筆単位引き受け方式
に対して
農家単位
の
引き受け方式
の
導入
、高
被害地域
における
国庫負担率
の
減少
、
新規開田地等
の水稲の
引き受け除外等
は、本来
充実
拡大
すべき
共済制度
における重大な後退、
改悪
であり、強行している
生産調整政策
を側面から推し進めるものであります。高
被害地域
にあっては高率の
国庫負担
を行なうことも、
災害補償
という
目的
からして当然のことです。いま必要なことは、低米価据え置き、
大幅減反
、中には
被害多発
という種々の困難の中で、なおかつ米作にたよらざるを得ないという
農政
の貧困さをすなおに反省し、
農民
が希望を持って自主的に転換できるよう、
転換作物
や
主要農作物
の
価格保障制度
、
農災制度
の
拡充等
を積極的に推進することであります。こうした努力こそ真の政治であり、道理にかなった道であります。 第三に、
家畜共済
における
診療費
の一部
対象除外
であります。初診料の
除外
により、
昭和
四十四年度実績で計算しても約二億七千万円が
農民
の直接
負担
になります。さらに、
早期受診
、
早期治療
にブレーキをかけ、結局は
損害
を大きくする危険を持つものであります。 わが党は、
農作物共済等
の
改悪
をやめ、
蚕繭共済
、
家畜共済
の一そうの
充実
、
果樹
をはじめ、他の主要な
農畜産物
における
新種共済
の
早期実施等
により、
日本農業
を全体として安定的に発展させる諸
条件
の
一つ
として、
農業共済制度
の
拡充
、それを土台にした
農業共済組合
の
民主的強化
を強く主張するものであります。 以上を指摘しまして
反対討論
を終わります。
河口陽一
5
○
委員長
(
河口陽一
君) 他に御
意見
もないようですが、
討論
は終局したものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
6
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
を問題に供します。
本案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
河口陽一
7
○
委員長
(
河口陽一
君) 多数と認めます。よって、
本案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
村田秀三
君から
発言
を求められておりますので、これを許します。
村田秀三
君。
村田秀三
8
○
村田秀三
君 私はただいま可決されました
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
に対し
自由民主党
、
日本社会党
、
公明党
、
民主社会党
、
日本共産党
五
党共同提案
の
附帯決議案
を
提出
いたします。 案文を朗読いたします。
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
に対する
附帯決議
(案)
政府
は、現下の困難な
農業情勢
に対処し、一層本
制度
の
整備拡充
を図り、
農業経営
の安定と健全な発展に寄与するよう、
左記事項
を検討し、すみやかにその達成に努めるべきである。 記 一、
農業共済組合
の
広域合併
の推進にあたっては、
農民
の意向が十分に反映されるよう、
組合
の
民主的運営
にづき特段の指導をすること。 二、
蚕繭共済
については、
共済事故
の
範囲
の
拡大
を考慮するとともに、料率の算定にあたっては最近の
被害率
の
低下傾向
が反映されるよう
措置
すること。 三、
家畜共済
については、さらに
共済掛金国庫負担割合
の
改善
を図り、
実情
に即した
診療点数
の改定、
獣医師
の
待遇改善
、
損害防止事業
の
強化等
を一層
促進
し、
家畜診療体制
の
整備拡充
を期すること。 四、
果樹保険
の
本格実施
にあたっては、
補償内容
の
充実
、
対象品目
と
対象事故
の
拡大
、
樹体保険
の
制度化等
に努め、
掛金国庫負担
の
増額措置
を講ずること。 また、
施設園芸
・
肉豚
、鶏、
畑作物等
の
新種共済
については、早急にその
制度化
を図ること。 五、
農業共済団体
の
事務費
に関しては、米の
生産調整
による
賦課金
の減収、
事務執行体制
の
整備
、職員・
共済連絡員等
の
待遇改善
を
配慮
して、
国庫負担
の
充実
を図ること。 六、
農業共済基金
は、
会員等
に対する
業務資金
について
融資
が行なえるよう
所要
の
措置
を講ずること。 右
決議
する。
河口陽一
9
○
委員長
(
河口陽一
君) おはかりいたします。
村田
君
提出
の
附帯決議案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
河口陽一
10
○
委員長
(
河口陽一
君)
全会一致
と認めます。よって、
村田
君
提出
の
附帯決議案
は全
回一致
をもって本
委員会
の
決議
とすることに決定いたしました。 ただいまの
決議
に対し、
倉石農林大臣
から
発言
を求められておりますので、これを許します。
倉石農林大臣
。
倉石忠雄
11
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) ただいまの
附帯決議
につきましては、その
決議
の
趣旨
を尊重いたしまして、
十分検討
の上善処いたしてまいりたいと存じます。
河口陽一
12
○
委員長
(
河口陽一
君) なお、
審査報告書
の
作成
につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
13
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
河口陽一
14
○
委員長
(
河口陽一
君)
農村地域工業導入促進法案
を
議題
といたします。 まず、
政府
から
趣旨説明
を聴取いたします。
倉石農林大臣
。
倉石忠雄
15
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君)
農村地域工業導入促進法案
につきまして、その
提案
の
理由
及び主要な
内容
を御
説明
申し上げます。 最近における
わが国経済
の
推移
を見ますと、
農業
にあっては、米の
生産過剰等農産物
の
需給
が問題となっている中にあって、
中高年齢層
を多数かかえた
就業構造
の
改善
をはじめ
農業構造
の
改善
をはかるとともに、
農家所得
の
確保
をはかることが重要な
課題
となっております。他方、
工業
にあっては、
大都市周辺
における
過密等
による
生産効率
の
低下
と
労働力確保難
に対処し、新たな
地域
における
立地基盤
の
確保
が強く要請されております。さらに、職種間、
地域
間の
労働力需給
の不均衡を是正することも大きな
課題
であります。 これらの
農業
、
工業
及び
雇用
をめぐる諸
情勢
に適切に対処するためには、
総合農政
を強力に推進するとともに、
産業基盤
の
育成対策
、
過密過疎対策
、
雇用対策等
を積極的に講ずる必要がありますが、特に、
農村地域
への
工業
の
導入
を積極的かつ
計画
的に
促進
するとともに
農業従事者
が円滑にその
導入
された
工業
に
就業
することを
促進
し、並びにこれらの
措置
と相まって
農業構造
の
改善
を
促進
する
措置
を一体的に講ずることとし、この
法律案
を
提出
した次第であります。 次に、この
法律案
の主要な
内容
について御
説明
申し上げます。 第一は、
農村地域
への
工業
の
導入
、その
工業
への
農業従事者
の
就業
及び
工業
の
導入
と相まって
促進
すべき
農業構造
の
改善
を一体的に
促進
するための
計画制度
の創設であります。 すなわち、国は
農村地域工業導入基本方針
を定めて
農村地域
への
工業
の
導入
に関する指針を示すこととし、これを受けて
都道府県知事
は、
地域
の
実情
に応じた
農村地域工業導入基本計画
を策定することとしております。さらに、この
基本計画
に即して
都道府県
及び
市町村
は、
工業導入地区
の設定、
導入
すべき
工業
の
業種
、
工場用地
と
農用地
との
利用
の
調整
、
労働力
の
需給
の
調整
及び
農業従事者
の
就業
の
円滑化
、
農業構造
の
改善
並びに
公害防止
に関する
事項等
を
内容
とする
農村地域工業導入実施計画
を樹立することとしております。 なお、これらの
計画
の樹立にあたっては、既存の
農業振興地域整備計画
、
都市計画
、
工業開発
に関する諸
計画等
と
十分調整
をはかることとしております。 また、これらの
計画
の
対象地域
につきましては、
農業振興地域
及びその
予定地域
を
中心
とし、これ以外の
振興山村
及び
過疎地域
をも含めることとしております。 第二は、
農村地域工業導入実施計画
で定める
農村地域
への
工業
の
導入
を
促進
するための
金融
及び
税制
上の
所要
の
措置等
についてであります。 まず、
工業
の
導入
に伴う
離農者等
に対しましては、
農地
を
工場用地
に提供したことによって生じた
譲渡所得
についての
所得税
の
軽減
をはかるほか、その転職を
円滑化
するための
職業紹介
の
充実
、
職業訓練
の
実施等
につとめることとしております。また、
立地企業
に対しましては、
事業用資産
の
買い
かえの場合の
課税
の
特例措置
及び
減価償却
の
特例措置
を講ずるほか、
立地企業
に対し
地方税
の
減免
を行なった
地方公共団体
に対する
地方交付税
による
補てん措置
を講ずることとし、さらに、
工業用施設
の
整備
に必要な
資金
の
確保
の
措置
の一環として、
立地企業
及び
工場用地
を造成する非
営利法人
に対し、
農林中央金庫
からの
融資
の道を開くこととしております。 このほか、
農村地域
への
工業
の
導入
を
促進
するための
所要
の
関連措置
を講ずる旨の
規定
を設けております。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
及びその主要な
内容
であります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、すみやかに可決いただきますようお願い申し上げます。
河口陽一
16
○
委員長
(
河口陽一
君) 次に、本件につきまして
衆議院
において
修正
を加えられておりますので、その
修正点
について
衆議院農林水産委員長草野一郎平
君から
説明
を聴取いたします。
草野一郎平
17
○
衆議院議員
(
草野一郎平
君)
農村地域工業導入促進法案
に対する
衆議院
における
修正
の
趣旨
を御
説明
申し上げます。
修正
の
内容
は、
都道府県
または
市町村
に、
基本計画
または
実施計画
の
作成
その他、
農村地域
への
工業
の
導入
の
促進
に関する
重要事項
を
調査
、
審議
させるため、条例で、
審議会
を置くことができるものとしたことであります。
衆議院農林水産委員会
において、五月十九日、
自由民主党
、
日本社会党
、
公明党
及び民社党の四
党共同提案
により、
賛成
多数をもって
修正
すべきものと議決し、五月二十日の本
会議
において
修正
されました。 何とぞ慎重御
審議
の上、御賛同を賜わりますよう御願い申し上げます。
河口陽一
18
○
委員長
(
河口陽一
君) 次に、
補足説明
及び
関係資料
の
説明
を聴取いたします。
中野農政局長
。
中野和仁
19
○
政府委員
(
中野和仁
君)
農村地域工業導入促進法案
につきまして、
提案理由
を補足して御
説明
申し上げます。 本
法律案
を
提出
いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由説明
において申し述べましたので、以下その
内容
につき若干補足させていただきます。 第一に、この
制度
の
対象
となる
農村地域
の
範囲
につきましては、第二条に
規定
しておりまして、
農業振興地域
及びその
予定地域
を
中心
とし、これ以外の
振興山村
及び
過疎地域
を含めることとしておりますが、この
法律案
の
趣旨
及び他の
工業開発
に関する
地域立法等
との
調整
を考慮して、新
産業都市
の
区域
及び
工業整備特別地域
の一部、
首都圏等大都市
及びその
周辺
の
地域
の一部、
人口一定規模
以上の
都市
の
区域等
を除くこととしております。 第二に、
農村地域
への
工業
の
導入
に関する
計画制度
につきましては、第三条から第六条までにおきまして、国が定める
基本方針
、
都道府県
が定める
基本計画
及び
都道府県
または
市町村
が定める
実施計画
の
内容
、
作成手続等
につきまして
所要
の
規定
を設けております。 まず、第三条の国の
基本方針
につきましては、
主務大臣
が
関係行政機関
の長と協議いたしまして、
農村地域
への
工業
の
導入
、
導入
される
工業
への
農業従事者
の
就業
、そしてこれらと一体的に行なう
農業構造
の
改善
についてのそれぞれの
目標
を掲げ、それらの
目標
を達成するために必要な
事業
の
実施
に関する
事項
を定めることとしております。 これを受けまして、第四条におきましては、
都道府県知事
が策定する
基本計画
について
規定
しております。すなわち、
都道府県知事
は、
主務大臣
とあらかじめ協議して、
都道府県
の
区域
または
都道府県
の
地域区分ごと
に、
導入
すべき
工業
の
業種
その他
工業
の
導入
の
目標
、
導入
される
工業
への
農業従事者
の
就業
の
目標
、
工業
の
導入
と相まって
促進
すべき
農業構造
の
改善
に関する
目標
、
工場用地
と
農用地
との
利用
の
調整
、
工場用地
その他の
施設
の
整備
、
農業従事者
の
工業
への
就業
の
円滑化
、
農業生産
の
基盤整備
その他の
農業構造
の
改善
を
促進
するための
事業
、
公害
の
防止等
に関する大綱について定めることとしております。なお、
基本計画
は、
国土総合開発計画
、
首都圏等
三圏の
整備計画
、新
産業都市
の
計画
、
山村
、
農業振興地域
及び
過疎地域
の
振興
に関する
計画
、
都市計画等
と調和をはかるものとしております。 次に、第五条に
規定
しております
都道府県
及び
市町村
の
実施計画
は、
工業導入地区ごと
に定めることとしており、その
計画事項
は、
基本計画
と同様の項目について具体的に定めることとしております。この
実施計画
は、
工業導入地区
の
周辺
の
農業従事者
が
導入工業
に相当数
就業
することが見込まれ、かつ、
工業
の
導入
と相まってその
周辺
における
農業構造
の
改善
をはかることが必要であると認められるとともに、
都道府県
の場合にあっては、
工業導入地区
が
農村地域
への
工業
の
導入
の
促進
にあたっての拠点となると認められ、
市町村
の場合にあっては
工業
を
導入
することにより
当該地域
の
農地保有
の
合理化
がはかられると見込まれる場合に、それぞれ定めることとしております。なお、
各種地域計画
との
調整
は、
基本計画
と同様でありますが、特に、
過疎地域
における
実施計画
は、
一定
の手続きを経て
過疎地域振興計画
の
内容
の一部とすることができるものとしております。 第二は、これらの
計画
に従い
導入
された
企業
、
離農者等
に対する
税制
及び
金融
上の
所要
の
措置
に関する
規定
であります。 まず、
税制
上の
優遇措置
でありますが、第七条におきまして、
離農者等
が
農地
を
工場用地
の用に供するため譲渡した場合の
所得税
の
軽減
をはかることとし、第八条及び第九条におきましては、
立地企業
に対して
事業用資産
の
買い
かえの場合の
課税
の
特例
及び
減価償却
の
特例
を設けることとしておりますが、これらにつきましては、本国会にすでに
提出
されております
租税特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
において
所要
の
改正措置
が講じられております。 また、第十条におきましては、
立地企業
に対し
地方税
のうち
事業税
、
不動産取得税
または
固定資産税
の
減免
を行なった
地方公共団体
に対しまして、その一部につき
地方交付税
により
補てん
を行なう旨を
規定
しております。 次に、
金融
上の
措置
といたしましては、第十一条及び第十二条におきまして、
国等
の
工業用施設
の
整備
に必要な
資金
の
確保
及び
地方債
の起債に対する適切な
配慮
を行なう旨を
規定
するほか、第十三条におきまして、
立地企業
及び
工場用地
の
造成等
を行なう非
営利法人
に対し、
農林中央金庫
からの
融資
の道を開くことを
規定
しております。 さらに、第十四条から第十七条におきましては、それぞれ、
工業関連施設
の
整備
、
農業従事者
の円滑な
就業
をはかるための
職業紹介
の
充実
及び
職業訓練
の
実施
、
農業生産基盤
の
整備等農業構造改善
の
促進
、
農地転用等
についての
配慮等
に関して
規定
しております。 なお、第十八条におきましては、
主務大臣
について
規定
しております。 以上をもちまして、
農村地域工業導入促進法案
についての
補足説明
を終わります。引き続きまして
参考資料
の御
説明
を申し上げたいと思いますが、この
法律案
は
農林省
、通産省、
労働省三省共管
でございます。
参考資料
におきましても
三省
でつくったものでございますが、便宜私から申し上げたいと思います。 まず、一ページをごらんいただきたいと思いますが、これは
農家戸数
の近年の動向でございまして、御承知のように、
昭和
三十五年から四十五年まで、十年の間に六百五万戸が五百三十四万戸に減っておるわけでございます。 それから二ページは、
経営耕地規模別農家戸数
の
推移
でございますが、これでごらんいただきますと、都府県の場合で、一ヘクタール未満の
農家
が約七割を占めておりますが、しさいにこれを見ますと、
昭和
三十五年に二ヘクタール以上の
農家
が二十三万六千ありましたものが、
昭和
四十五年には三十万一千というふうに、
規模
の大きな
農家
がふえておる、こういうことでございます。 それから三ページにまいりまして
兼業
の
状態
でございますが、この十年間に非常に
兼業
が進みまして、
専兼業別農家戸数
の表の
構成比
のところにございますように、
昭和
四十五年では
専業農家
が十五・六%、
兼業農家
のうちで
一種兼業農家
が三三・七%、二種
兼業農家
が五〇・七%というふうになっております。 それから四ページにまいりまして、四ページは
国土
の
土地種類別面積
でございます。
国土
の中での
耕地
、林地、その他の
面積
が出ております。 五ページにまいりまして、
農業就業構造
の
現状等
でございますが、まず、これは「
労働力調査
」によるものでございますが、
農業就業人口
の
推移
でございます。この第一次
産業就業人口
の中の第一次
産業
、「
うち農業
」というところを、ごらんいただきますと、一番最近では、
昭和
四十五年、第一次
産業
八百八十六万人、それから「
うち農業
」は八百二十三万人ということで、
就業人口
の中の一六・二%を占めているということで、十年前からいたしますと非常な
減少
を示しておるわけでございます。 それから六ページは
農家世帯員
の
年齢別就業状態
でございます。それによりますと、
農業就業人口
はここでは一千万ということが出ておりまして、
年齢別
に区分けがしてございますが、それによりますと、四十歳以上が
男子
、
女子
とも非常に多いわけでございまして、合計をいたしまして、六七%は四十歳以上であるということになるわけでございます。それに比べまして、他
産業
の
就業人口
の四十歳以上は約四割ということになっております。それからもう
一つ
の特色は、
男子
に比べまして
女子
の
就業
が非常に多くて、
農業就業人口
の中の六割を
女子
が占めておるということでございます。 それから七ページは、ここ十年間の
農家世帯員
の他
産業
への
就業状態
でございますが、他
産業
への
就業者
が、一番新しい四十四年をごらんいただきますと八十万人でございます。そのうち
新卒
が五十一万四千人でございます。 それから八ページへまいりまして、それを若干詳しくしてあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、八十万人の他
産業
への
就業者
の中で、十九歳以下が五十三万八千人ということで、これは
新卒
が多いということをあらわしておるわけでございます。それから、その次の段の転出前の
就業区分
をごらんいただきましても、やはり家事とか無業とかいうのが、八十万人のうちの六十万人ということになっておるわけでございますが、その下の
就業形態
をごらんいただきますと、
就業
のために村から転出いたしましたのが三十三万人、
在宅
でそのまま他の
産業
に
就業
いたしましたのが四十七万人ということで、約六割は
在宅就業
ということになっております。 それから九ページにまいりまして、出かせぎ者についての統計でございますが、
農林省
の「一九七〇年
農業センサス
」によりますと、現在、出かせぎ者のいる
農家
の戸数は四十一万戸ということになっております。その中でやはり東北が一番多くて四四・八%を占めておるわけでございます。これは出かせぎ者の出ている
農家戸数
でございますが、一軒の中に二人出ている場合もありますので、おおむね五十万人ぐらいが
農家
からの出かせぎじゃないかということをいわれております。 それから十ページにまいりまして、
農家
経済の現状でございます。最近三カ年の「
農家
経済
調査
」を表示してございますが、
農業
所得の伸びが停滞的でありますのに対しまして、農外所得が非常に伸びておるという状況が示されているわけでございます。 十一ページは、それを
地域
別に見たものでございます。 十二ページは、よくお示しする表でありますが、
農業
と他
産業
の生産性の比較
推移
を書いております。
農業
と製造業、あるいは
農業
と非
農業
とは、大体
農業
が三分の一ぐらいだということになっておるわけでございます。 それから十三ページにまいりますが、これは
農業
所得と製造業賃金の比較、一日当たりでやってみたものでございますが、
農業
所得の中で、平均的に見ますと、一日当たり千七百十八円ということになっております。それに対しまして、従業員五人以上の平均は二千五百七十二円ということでございますが、
農業
所得の中で二ヘクタール以上になりますと、二千三百七円ということになるわけでございます。 十四ページにまいりまして、ここからは
雇用
の現状と見通しでございます。ごらんのとおりでございますが、
労働力
人口の今後の見通しとしまして、総理府の「
労働力調査
」によりますものと、それに今後の推計が加えられておるわけでございますが、
昭和
五十年を見ていただきますと、
就業者
数五千四百万人ということになっておりまして、順次ふえ方が減っておるようであります。 それから十五ページにまいりまして、それを性別、
年齢別
の
労働力
人口の
推移
と見通しということで、やはり
昭和
五十年をごらんいただきますと、四十歳から六十四歳以上というような高年齢層の
労働力
がふえてくるということになっております。 それから十六ページは
産業
別の
就業構造
の
推移
と見通しでございまして、やはり五十年の
構成比
のところをごらんいただきますと、第一次
産業
は、現在では一八・八%でございますが、それが一二・四%に減る。それに対しまして第二次
産業
が四六・七%、第三次
産業
が四〇・九%ということで、特に第二次
産業
がふえるということになっております。右のほうの表は、学歴別新規学卒の
就業
状況でございます。やはり高卒、大学卒はふえるということになっております。 十七ページは全国の
事業
所数等の動向でございます。一番新しい
昭和
四十三年の統計によりますと、全国の
事業
所の数は六十万、それの従業者数は千八十六万人、製造品の出荷額が四十八兆円ということになっております。 十八ページはそれを
業種
別に示したものでございます。 十九ページは従業員
規模
別の
事業
所数でございまして、
事業
所の数としましては一ここにございますように九人以下の
事業
所の数が七二・六%ということで、非常に小さい
企業
が多いわけでございますが、従業者の数になりますと、このまん中の表にごらんになりますように、千人以上の
事業
所の従業者の数が一七・一%、出荷額は二九・一%ということになっております。 それから二十ページは
工業
立地の現状でございまして、最近三カ年の立地状況を示しております。 二十一ページはそれの
業種
別の内訳でございます。 それから二十二ページは
農村地域
における立地状況でございまして、これは通産省のほうで「工場立地動向
調査
」をおやりになりました際に、第一次構造
改善
事業
を
実施
しました時点、
昭和
四十二年、四十三年分につきまして調べたものでございます。その下のほうをごらんいただきますと、
対象
市町村
数が二千二百五で、立地いたしました
企業
が六千百四十一ということになっておりまして、一
市町村
は平均いたしますと二・八の
企業
が立地をしたということに、平均的になっております。
都市
近郊、
山村
と、その様相は
都市
近郊に非常に多いということでございます。 それから二十三ページは、農村進出工場への
就業者
のうち離農者、
兼業
者がどのくらいあるかという表でございます。同じく通産省の御
調査
でございますが、この全国の欄をごらんいただきますと非常にいわばバラエティに富んでおりまして、一〇%未満のものから七五%以上離農者を雇ったところまであるわけでございますが、平均的に見ますと三割以上、三割ちょっとこえたところを雇っておるということでございます。 それから二十四ページには、農村進出工場への
就業者
のうち地元の出身者がどれくらいかということでございますが、これは
農家
それ以外のものもいろいろあるわけでございまして、九〇%以上地元であるというのが、この表の
構成比
にありますように六七・五%を占めております。 それから二十五ページは
工業
用地の状況でございまして、用地の
規模
別立地件数と用地
面積
でございます。やはり件数といたしましては、一ヘクタール未満、これでいきますと、一万平米以下というところになるわけでございますが、件数にいたしますと八〇%以上が一ヘクタール未満の工場でございます。
面積
にいたしますとやはり大きな工場がこのウェートを占めておるということでございます。 それから二十六ページは、
工場用地
取得の方法あるいは取得の形態がどうかということでございますが、自分の会社で直接取得しましたものが全体の三九%、それから
地方公共団体
を通じて取得しましたのが三八%ということになっております。それから取得の形態は、買収が八割、賃借が大体二割足らずということになっております。 最後が
農林中央金庫
の主要勘定でございます。一番新しい
昭和
四十五年三月末現在で総調達運用共通計が二兆一千六百六十九億ということになっていますが、その運用先は、所属団体貸し付けが三千九百二億、関連
産業
貸し付けが七千五百六十億、それから
金融
機関貸し付けが三千二百八十一億、有価証券運用が四千九百五十四億ということになっておるわけでございます。 簡単でございますが、以上で終わります。
—————————————
河口陽一
20
○
委員長
(
河口陽一
君)
野菜生産出荷安定法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
提出
者から
趣旨説明
を聴取いたします。
衆議院農林水産委員長草野一郎平
君。
草野一郎平
21
○
衆議院議員
(
草野一郎平
君) ただいま
議題
となりました
衆議院
農林水産委員長
提出
野菜生産出荷安定法
の一部を
改正
する
法律案
について、
提案
の
趣旨
を申し上げます。
本案
は、最近における国民食生活の高度化に即応し、主要な野菜の消費量が著しく増加しているにもかかわらず、その生産、出荷体制が必ずしも十分でないため、野菜生産出荷安定
資金
協会の業務の
対象
とする野菜の価格の著しい低落があった場合において、生産者に交付する生産者補給金の額を、当該野菜の生産
条件
及び
需給
事情その他の経済事情を考慮し、当該野菜の生産及び指定消費
地域
に対する出荷の安定がはかられるよう
改正
しようとするものであります。 何とぞ、御
審議
の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
河口陽一
22
○
委員長
(
河口陽一
君)
本案
に対する審査は次回に譲ることといたします。
—————————————
河口陽一
23
○
委員長
(
河口陽一
君) 再び
農村地域工業導入促進法案
を
議題
とし、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御
発言
を願います。
杉原一雄
24
○杉原一雄君 北村
委員
から主として党の代表質問がこれから行なわれるわけでありますが、ちょうど私、内閣と
公害
の連合審査会が行なわれております会場に農村と同様出かせぎを命ぜられておりますので、冒頭に質問をしておきたいと思います。 最初に一体農村とは何か、この問題をこのような時点でもう一度あらためて考え直してみる必要があるのではないか。幸い
農林省
から二、三日前に各地方
農政
局長
なり北海道知事等に通達が出されているわけですが、それによりますと、自立経営の標準的指標というのを大体おまとめになって、今後の自立
農家
のガイドポストということで通達を出されているわけでありますが、いまそのことをなまでお伺いしようとは思いませんけれども、そうした
農林省
の道しるべ、経営のビジョンをお示しになったこと等もございますので、いまこの
農村地域
工業
導入
法等を検討するにあたって農村とは一体何だということをごく概略的でいいから大臣の所信を、別な表現をとればこれはビジョンという表現になるかもしれませんが、一度お伺いしたいと実は思います。あわせかねて
局長
等からいま申し上げた自立経営の道しるべというものの中に差し示された今後の
農家
のあり方ということをごく概略御
説明
をいただいて、そうした道しるべとあわせていま
提案
されている
農村地域
工業
導入
促進
法との関連が一体どうなるのか、たいへん私たちややっこしくなってまいりましたので、その辺のところを明確にけじめをつけていただきたい、こう考えるわけです。とりわけ先般来予算
委員会
なり各種
委員会
の中でいろいろ
意見
をかわし合ってまいりましたけれども、一番大きな農村の今日の地すべり的な変化と申しますか、それは
兼業農家
が非常に多くなった、たとえば
昭和
三十五年六六%が四十五年には八四%になったこと等については
農林省
からいただいた資料がそれを明確にしておりますが、同時に働く
農業従事者
の年齢がだんだんと高くなってきて若い
農民
がおらなくなったという問題もある。あるいは
調査
室からいただいた資料の中ではこういう表現が実はあるわけですが、「
農地
の資産的保有体」というような表現をとっておりますが、なかなかかたくて理解しにくいが、言わんとする意味はわかるような気がします。私ここに持っております静岡大学の上原教授が長野県の
農民
の意識
調査
をされたのが手にあるわけですけれども、りっぱな大学を出て東京で就職した長男が高い俸給を捨てて長野県に戻ってきて祖先伝来のうちに生活をしながら半分にも満たないような安月給でうちから弁当を持って通勤している、こういう事実を指摘しながら、そうした
農民
の、あるいは特にあと取りと申しますか後継者の意識の中に存在するもの、それはいま私たちが考えている農村の大きな地すべり的方向と逆にやはり家の
制度
、家を守る、こうした思想、考え方、伝統的なものがやはり存在しているというふうにも受けとめます。でありますから、計数的にはかつて
農林省
からいただいた意識
調査
の中では、うちから弁当を持って工場へ行きたいというのが希望として圧倒的多数であったと、そういうことが今度の立法の動機にもなっているようでありますから、私はそうした
一つ
の表面的な現象とあわせてそこに流れている
農民
意識なり農村構造の大きな変化等について、これはただごとではないと実は思います。うかうかしていると——結局あとで言わんとすることはその次の段階で言いますので保留をいたしますが、とりあえずいま申し上げたことなど、ぼくの言ったことはばらばらでありましょうけれども、賢明な農林大臣でございますから、私のいま申し上げたことをくみ取っていただいて、一体農村とは何か、
農民
像はどうあるべきかと、きわめて原始的な質問でありますが、これに対する回答。並びに先ほど申し上げた、
局長
等からいただきたいのは、自立
農家
の、先般出した通達の根幹に流れている考え方、いわゆるビジョン、そういうものをお伺いしたいと思います。
倉石忠雄
25
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) だいぶむずかしい問題でありまして、お答えもなかなか困難だと思います。昔からの常識的概念で申しますならば、これはきわめてはっきりいたしておった時代もあると思いますが、今日では町村合併等も盛んに行なわれまして、昔のいわゆる村というものがだんだん少なくなりまして、町になり市になっておる
地域
がたくさんありますけれども、その中に、依然として先祖代々の
農業
を営んでおられる方もおるわけでございまして、したがって農村とは何ぞやということになりますと、なかなかこれはむずかしい、解説がむずかしいことではないかと思うわけでありますが、私どもが一般的に考えまして、いま申し上げましたように、行政区画が町になり市になりましても、その
地域
地域
の
実情
が昔ながらのいわゆる
農業
を営んでおる者、あるいは
兼業
であって
農業
を営んでおる者たちが主としておられる
地域
は、やはりこの本法で申します農村の概念に入れて、そしてその
地域
に
産業
を誘致するという、こういうような考えを持つわけであります。 ただいまお話の、通達をいたしましたこれはあとで事務当局から御
説明
申し上げますが、私どもがやはり
農業
というものの体質を強化して、そして業としてしっかりしたものに育成していくために最近の経済
情勢
等にかんがみてこのようなものが必要であると、そういうことを最近
調査
いたしましたので通達をいたしておる次第でありますが、いまのたいへんむずかしい哲学的なお話について十分なお答えにはならないかもしれませんが、一応お答えをいたしておきます。
中野和仁
26
○
政府委員
(
中野和仁
君) ただいまお尋ねの「自立経営の標準的指標について」、去る四月二十日に地方、県
農政
局に対しまして内部通達としてお示しをしたわけでございますが、これは昨年秋、
農業生産
地域
指標、まあ
地域
分担と言っておりますが、これを示しましたのに対応いたしまして、そういうそれぞれの
地域
の適地適産に応ずるようなやり方の場合に、どういう経営に持っていったらいいかという個々の経営についての指標がやはり要るのではないかということから、省内あげて作業をしておったものでございます。大体われわれといたしましては、
昭和
五十二年を
目標
にいたしまして、自立経営の標準的な指標でございますから、家族経営を主体にいたしたい。その場合に、現在の物価にいたしまして下限の所得は二百万円程度、そして
農業従事者
は二・五人以内。
労働力
はいま申し上げましたように二・五人でございますが、主として家族
労働力
によりますが、農繁期には一部の
雇用
労働力
を
雇用
する。技術水準は、現時点での比較的高いものをとると同時に、今後の技術水準の進展の見通し等もある程度入れてつくっておるわけでございます。 その他、詳しい作業はまた別にいたしまして、そういうことでございますので、水稲経営につきましても、寒冷地、それも中型の機械化体系のもの、大型機械化体系のもの、あるいは小型機械化体系のもの等を示すと同時に、また準寒冷地、それからその他の一般の暖地における米麦作の経営の場合、それから普通畑作経営の場合、普通畑作と野菜作経営の混合の場合、野菜作経営の専門の場合、それから
果樹
作経営の場合、お茶の場合、花の場合、養蚕、それから酪農、肉用牛、それから養豚、養鶏、大体今後の
地域
分担に即応しまして自立経営として持っていくべき指標を示したと、こういうことでございます。
杉原一雄
27
○杉原一雄君 そうすると
局長
ね、それでは通達
内容
そのもの、何らかの形で来ておりますか。「農林時報」その他で私見たような気がしないわけですが。もし来ていなければいただきたいと思いますが、それはできますね、どうでしょう。
中野和仁
28
○
政府委員
(
中野和仁
君) 実はこれ
農林省
の官房のほうで
作成
をいたしましたので、こまかい手続等私どうやっているか存じませんけれども、よく相談をしまして御便宜を計らいたいと思います。
杉原一雄
29
○杉原一雄君 同時に、いまの通達の主軸になっているのは、自立
農家
は今後どうあるべきか。あるいは一番寒いところでは六ヘクタール、準のところでは四ヘクタールというような数字など、きわめて具体的に指標を出しておるわけですが、先ほど申しました
農家
という表現でなく、農村とはということになってまいりますと、必ずしも自立経営そのものが、
農林省
は自立経営のそれを柱にしていこうとしているのか、あるいは
農業
法人、あるいは協業化の方向等について一体——きわめて大まかな質問でありますが、それをどうながめながらいこうとしているのか、それは従として考えているのか。自立をさせながら連合協同、一緒に仕事をしていくという共同作業方式というものに進めようとしているのか、その辺の判断といいますか、指導方向を簡単にお願いします。
中野和仁
30
○
政府委員
(
中野和仁
君) その問題につきましては、たしか前国会の
農地
法、農協法の御
審議
のときにもいろいろ御論議があったわけでございます。
農林省
といたしましては、
農業
基本法の
目標
とします自立経営というのを
中心
にもちろん考えているわけでございますけれども、御承知のような現在の農村、
農業
の事情でございます。それのみで日本の
農業
が立ち行くとも考えていないわけでございまして、非常に多い
兼業農家
をどう持っていくかという問題がございます。その場合に、
兼業農家
の
農業生産
に占めるウェートが非常に高いのは御承知のとおりでございますので、
兼業農家
の技術水準の向上ということを考えました場合には、個々のばらばらの
兼業農家
ではなかなかそういうことも不可能でございます。そこで集団的な生産組織なり、あるいは
改正
いただきました
農地
法によります
農業生産
法人または農協の経営受託等、そういう広い意味の協業的な面もあわせて進める必要があろう。と同時に、
農地
法のときの論議にもいろいろありましたけれども、協業といいましても、やはり土地を持ち寄り、労力を持ち寄りますと、どうしても労力が余ってまいります。その余った労力は農外への安定的な
産業
に
就業
できるという方向もあわせて考えなければならぬではないか、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
杉原一雄
31
○杉原一雄君 では次の問題に入りますが、まあ大臣の
説明
、ただいま
農林省
、通産あるいは労働、三者共同して出された
関係資料
、二十三ページ、これ大臣がおっしゃったとおりなんですけれども、その中で、終わりから六行目「これらの
計画
の樹立にあたっては、既存の
農業振興地域整備計画
、
都市計画
、
工業開発
に関する諸
計画等
と
十分調整
を図ることとしております。」、このところでありますが、これはあとで北村先生、
河田
先生から詳しく突っ込んだ質問があろうかと思いますが、ぼくはきわめて概括的に簡単にお聞きしたいわけです。これは経企庁になるかもしれませんが、まあ新産
都市計画
が
実施
されてから相当の年月を経過しているわけですね。ですから、そうした経企庁のその後の指導、点検等を通じていろいろ問題点はないとは言わせないと思います。その問題点を行政当局としてどのように掌握しておられるかということについての質問になると思います。でありますからばく然としておりますから
一つ
一つ
お伺いしていきます。 第一点として、
地域
指定
事業
十三プラス一ですか、十四指定されたわけですね。私は富山ですから、富山も猛烈な運動の結果御指定をいただいたのですが、しかし私はその指定された
地域
のまん中に持っていた祖先伝来のたんぼをみんな失った一人です。そんなことは別として、
地域
指定が妥当であったかどうか、きわめて大まかにひとつ、つまり新産
都市計画
そのものが基本的にいま再検討する必要があるのではないだろうかということ、そういう問題等についていろいろ御検討なさっていると思いますから、その辺のところを経企庁関係の御答弁をまずいただきたい。
地域
指定が妥当であったかどうか、そのことをお伺いいたします。
岡部保
32
○
政府委員
(岡部保君) お答え申し上げます。 ただいま先生のおっしゃいました新産地区の指定の問題でございますが、私どもの考え方といたしましては、あの時点さらにそれから現在に至る時点として考えますと、この指定は決して間違ってはいなかったという確信を持っておるわけでございます。そこでちょっと脱線いたしますが、指定の手続というような問題で考えてみますと、いわゆる関係
市町村
との協議、あるいは
都道府県知事
がこの指定というものに対して申請と申しますか、要するにイニシアチブをとっておられる、そういうような意味で非常に地方の御要望というものを十分生かしたという考え方がまず第一点であったわけでございます。それからもちろんいろいろな指定のいわゆる
目的
達成のために必要であると認められる
区域
指定の要件というようなもののチェックということも十分行ないましたし、それから中央での地方
産業
開発
審議会
というような場も経ましてこれを指定したというような段階になったわけでございます。 そこで、現状で確かに先生のおっしゃいましたように新産
都市
というものの現状を見ていわゆる何と申しますか、反省すべき点もあるんではないかというような御指摘もございますが、この点につきましては私どもも率直にそういう点があるということを申し上げなければならないと思います。たとえば新産
都市
を指定いたしましてこの
計画
というものに対して現在どういうふうに進展してきておるかというような問題で申しますれば、新産
都市
区域
に対しての人口の集中というものは残念ながら当初の
目的
よりもはるかに下回っておるという感じがいたします。ただいわゆる工場の出荷額と申しますか、
工業
の生産というような面で申しますれば相当に成果をあげておるということは言えるんじゃないかと存じます。ただその反面御承知のように、部分的にはいろいろな
公害
問題いわゆる環境問題というような問題も明らかに発生はいたしております。したがいまして、今後のこれからの考え方といたしましては私ども新産
都市
のこれからの
整備
という意味では、やはり環境問題というものを相当に重点的に注意をいたしまして、そこでいわゆる何と申しますか、バランスのとれた新しい
都市
づくりというものに少しでも近づけるようにということを考えて、口はばったい言い方でございますが指導をしてまいりたいという考え方を持っております。
杉原一雄
33
○杉原一雄君 いま責任を追及しておるわけでございませんから……。きょうこれから
審議
しようとする
農村地域
工業
の
導入
問題これの質疑でございますから、これを今後
農林省
が主軸になって進めるとしましてもやはり新産
都市計画等
の経験と申しますか、率直にいってやはり私は
計画
どおりいってないと思います。そういう問題等についてのきびしい点検と反省がやはり前提になるということでお伺いしておるわけですから、率直にここで国政の未来を論ずる大事な場でございますので、はっきり考え方を出していただきたいと思います。手続がどうだこうだということは私はその辺は否定しませんよ、そのとおりだと思います。しかし手続がどうあろうと結果がどうなったかということがもうすでに答えが出ているわけですから——ある県の最高責任者が、新産
都市
はやったけれども、ペンペン草がはえるだろうというような、やじ馬からいろいろ非難を受けておったが、よく見なさい、どこにペンペン草がはえているかと言っていばっておったのですが、私逆に、まだその方には言わないけれども、皮肉で言ったのは、ペンペン草がはえようにもはえることができない、ヘドロの埋め立てで、埋め立てをしたところにペンペン草ははえることはできないだろう。しかしそういうペンペン草の現象が問題じゃなくて、そういう工場が
計画
的に、しかも
公害
のない
地域
住民の期待するそういうものがどんどん進出してきたかどうかという問題、ペンペン草の問題じゃない、そういう現象的なことで責任のがれを言ってもらっても困るわけですけれども、いま
局長
の答弁の中に、人口の集中度が
計画
どおりにならなかったということは、私これはいち早く実態をあらわしていると思います。 でありますからこれ以上ケースを取り上げてどうだこうだというやりとりはいたしませんけれども、ただ
計画
があった、しかし具体的に相当年数を経た今日、なおかつこれが期待と大きくずれてきたことについてのなぜかという問題、なぜか。このことをやはり究明しないと、農村
工業
導入
等の問題につきましても常について回る私問題である、こういうふうに思いますので、そのなぜか、私たちも非常に広い視野に立って、全国的に点検をなさっている経企庁等の考え方をお聞きしておけば、これが農村
工業
の
導入
の問題につきましても、私はそれが非常にすぐれた他山の石になるのではないか、こういう意味で質問しているわけですから、いま一度あなた方の口から、それは予定どおり進捗していると言いたいところでしょうが、私はそういっておらないという、前提が違っているかもしれませんけれども、しかし多くの点でやはり認めていただけるのではないか、だから
計画
どおりいってないことの中には、
地域
の指定の妥当性の問題あるいはこの囲い込みが非常に無理があった、そういったような問題、いろいろあると思います。もう少し突っ込んで言えば、これは宮澤通産大臣がここにおればまたかというのでしかられるかもしれませんが、基本の論理の問題があるわけでありますから、そういうことをも含めていろいろ御検討いただいている点があれば率直にお聞きしたい、こういうことであります。
岡部保
34
○
政府委員
(岡部保君) ただいまの先生のおことば、私ども率直に——現実にこれからの問題でございますし、率直に反省をいたし、これからの行政に資していこうという考え方でございますが、まず私、これは数字をあげるよりも性格的に申し上げたほうがいいかとも存じますが、この新産
都市
でいままで進んでまいりました上で
一つ
の問題点としてわれわれ非常に反省いたしておりますことは、やはりその
地域
がいわゆる
基盤整備
と申しますか、社会資本の
充実
、特に生活環境の
施設
の
整備
というものが、残念ながらおくれておる。これが
一つ
の大きな反省すべき点かと存じます。これが先ほども申しましたような環境の問題にもなりますし、あるいは人口の比較的集まらなかったという問題の
一つ
のあらわれでもあるのではないかというふうな感じがいたします。したがいましていわゆる
都市
づくりであり、比較的
規模
の大きな
工業
を
中心
にいたしました
都市
づくりということを考えていたにもかかわらず、その
都市
としての基盤の
整備
というものにおくれをいささかとっておったという点について、現段階でも私ども、謙虚に反省をいたして、そういう点の
整備
というものを早く進めるということに努力をいたしております。この点がひとつはっきり私どもが自覚をしておる段階でございます。 それから、
地域
の
範囲
の問題でございますが、これはどうもそれぞれの各新産
都市
、この地区ごとによりまして非常にばらつきのある問題であります。したがって、それぞれの地区地区によって非常に問題があるかと存じますが、一般的に申しますれば、ああいう
一つ
の
都市
づくりをやる、それは決して工場地帯あるいはその
周辺
の
都市
市街化
地域
というものだけではございませんで、逆にその
周辺
の、むしろ自然をある程度温存すべき
地域
というものも含めて、
一つ
の大きな
都市
づくりというものを考えた
計画
でございます。したがいまして、非常に
範囲
が広いというような問題あるいは逆にもう少し
範囲
を広げてよかったんではないかというような点は確かにあると存じますが、一応現段階でああいう指定をしたというのはそれほどの間違いではなかった。ただ具体的に申しますと、いろいろなその
地域
々々によっての施策がまた考えられると思いますが、その辺についてはケース・バイ・ケースでこれからも考えてまいりたいという考え方でございます。
杉原一雄
35
○杉原一雄君 すると、ここで
農林省
の答えはあるのですか、どういうことになりますか。この法案は、二十四日に国会が終わるわけですが、二十四日にかりに可決、決定をすると、それからどういうプログラムになりますか。きょうは政令の原案らしきものを受け取ったわけですが、それは大綱をおろしていって、具体的に、農村段階に煙があがるような工場が得られるかどうか知りませんが、工場がいよいよ活動する、操業開始というところまでは、年次に、段階的にどういうプログラムを想定しておられるか。これはむずかしいことですから、もし不可能ならやむを得ませんが、法の施行とか政令のそれの決定とか、いろいろなそういうものは大体機械的にできますから、したがって結局、ぼくはこういう皮肉な言い方をするけれども、
農民
はやっぱり期待しているところが大きいと思いますから、その期待しているところの
地域
なりあるいは
農民
の人たちが、いよいよ弁当を持って、農閑期あるいは通年、働きに出れるような
状態
ができあがるのは、具体的に、ケース・バイ・ケースという答えはあったのですけれども、そうでなくて、一般的なプログラムはどうなりますか、ちょっと聞かしていただきたい。
中野和仁
36
○
政府委員
(
中野和仁
君) この法案を御可決いただけますれば、われわれといたしましては、
三省
、特に相談をいたしまして、すみやかに政・省令の
内容
を、きょう差し上げましたような
内容
を固めまして、その上で公布、施行をいたしたいと考えております。六月中にそういうことができれば、というふうに思います。で、そういたしますと、この法案にもございますように、国としましての
工業
導入
の
基本方針
をまずきめなければなりません。これも、
三省
でつくりました上で、
関係行政機関
の御
意見
を聞いて、同時に民間の
意見
等も聞くために、協議会の
意見
も聞きたいと思っております。それができますれば——七月あるいは八月に入るかもわかりませんが、そういう程度に考えております——それができますと、それを県にお示しをします。県でもその間にすでに、法律が通りました場合にはそれぞれどういう
基本計画
が必要かということはお考えかと思いますので、そういうものとをマッチさせまして、できれば九月中にはそういう
基本計画
が大体固まってくるようにいたしたいというふうに思っております。で、そのころ、まあ十月になりますが、一応予定しておりますのは、
農村地域
工業
導入
促進
センターというものをひとつつくりたいと考えております。これは、
企業
側あるいは
市町村
側の情報を収集して、それをまた紹介をするということでございますので、大体十月ころをめどにしてそういうセンターも発足させたい。 そういうことになりましてから、具体的に、県で立てました
基本計画
に基づきまして、今度は、県とあるいは
市町村
が
実施計画
をつくるわけでございます。その
実施計画
をつくるのが十月以降になってこようかと思います。そういたしますと、やはり
工場用地
の取得造成ということになりますと、これはいろいろ土地問題がからんできまして、すぐ一カ月か二カ月ではあるいはできないかもしれません。まして今回は
就業構造
の
改善
なり
農業構造
の
改善
なりをあわせていたそうという新しい試みにしておりますので、若干の日にちは要するかと思います。若干いまわれわれの頭の中で考えておりますのはこういうことでございます。
杉原一雄
37
○杉原一雄君 それではこれで質問は終わりますが、最後に、やはりいろいろ今日まで歩いてきたわれわれの経験の中から、特に進める場合に万全の注意をしていただきたい。これは予算
委員会
でも質問をしておったわけです。
一つ
は
公害
つきの
企業
の進出の問題でありますが、これは繰り返し通産大臣その他からも答弁をいただいておりますので、決してそういうことはいたしません、こういうようにおっしゃっておるわけですね。もう
一つ
は
企業
の安定度の問題でありますが、これもだいじょうぶだという答弁をいただいておるわけです。 ただ私、先般通産大臣にも答弁をいただいた、
企業
でない
企業
で、これは私この間富山に遊説に入ったところで起こった問題ですが、小さな
鈴木
自動車ですか、
鈴木
自動車という工場が農村に進出しておって、二千名程度の工場なんですが、
計画
的に首を切っておるわけですね、オートバイをつくっておるわけですが、オートバイの生産
目標
がだんだん
減少
してくれば、おのずから機械的に
労働力
がはじき出されてくるものですから首を切っているわけですね。その首の切り方の順序がぼくは非常に気にくわないわけですね。首を切るということ自体にも私は非常に抵抗を感ずるのですが、首切りの順序は、いわゆる土地を持っている
農家
の次三男坊、それがトップに切られていくわけですね。そこに私は、これから農村へ進もうとする
工業
のねらうところというのは、そこをねらっているかどうかは別として、持っている危険性と申しますか、そういうものを非常に痛感するわけです。そういう点での、今後もセンター等も設置されるわけだし、通産大臣からも七、八千万——大体そうした面でも十分の
配慮
をするという御答弁をいただいているわけですから、それにもう一そうの決意を固めていかないと、なかなかそう簡単にいかないのじゃないかというふうに思います。 これは余談的に、いまの私の進めようとする論理とは若干ずれますけれども、
昭和
三十四年三月十八日にある市長とある会社とが取り結んだ契約書の一部ですが、この契約書の中に書いてあることですけれども、全体十項にわたる契約書ですが、その七番目に、「左に掲げる
事項
については市は会社に対し会社の要望に副うよう全面的に協力し、会社工場の操業に支障なきことを
確保
することを約諾する。1、上水道工事2、配電会社に対する送電手続3、乙の工場の建築、営業の許可等乙の工場の操業に伴い生ずる一切の手続き4、その他会社において要望する
事項
」、全くたいへんな契約であります。 八番目に至るとかえってより具体的になります。「市の
負担
において掘さくする井戸の掘さく場所、構造については会社又は指名する者の指図に基くことを承諾する。前項の井戸の使用により第二項記載の工場敷地に該る土地の
周辺
にある井戸の水量が
減少
し或は万一枯渇するような場合があったときは市において上水道を設置する等適当なる方法により善処し万一苦情故障があったときと雖も」——これは俗にいう、われわれが
地域
住民の大きな
課題
になる
公害
問題ですね、「あったときと錐も市において一切の解決をなし、会社に対し聊も
損害
をかけないことを確約する。」、こういっているわけです。 これに対して特に宮澤大臣の見解を聞きたいのですが、時間がございませんからこの程度にとどめますが、こういうことですね。このことは市と会社との間の話し合いでありますから、うっかりするとこういうことになる、たいへんなことになると思いますので、今後の
工業
の
導入
については指導
計画
なさる当局においては十分の御
配慮
をいただいて
農林省
は
農民
のしあわせのためにこの法案を立ててこの法案に従って
計画
を進めようとされるという立場を堅持していただきたい。このことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
北村暢
38
○北村暢君 通産大臣は午後は来られないようでございますから、まず通産大臣にお伺いいたします。 あなたのところで、昨年ですか、
産業
構造
審議会
産業
立地部会で「
農村地域
工業開発
の考え方と施策について」というものを出しておるわけであります。それを拝見させていただきましたが、この基本的な現在までの総合開発、新全総までの考え方というのは、先ほど御質問ありましたように、新産
都市
あるいは
工業整備特別地域
、こういうふうにして開発が拠点的に行なわれてきた、拠点開発をやってきた。したがって太平洋ベルト地帯、こういうものに集中しており、それをまた若干避ける意味で新産
都市
、
工業整備特別地域
あるいは低開発
地域
の
工業開発
、こういうふうに拠点的にやってきたわけです。ところが今度出しましたこの
農村地域
工業開発
の考え方というのは比較的これはそういう拠点的な開発というような着想とはだいぶ変わってきているのではないかと思われるのです。したがってこの
農村地域
工業開発
というものに取り組まなければならなくなってきた原因、また積極的にそのような施策に取り組む、
工業
立地というものを検討するというようになりました原因は一体どこにあるのか、この方針を出しました基本的な考え方についてまずお伺いをいたします。
宮澤喜一
39
○
国務大臣
(宮澤喜一君) 最初に
工業
側、
産業
側の事情を申し上げますが、いわゆる資本の集積地帯における過密問題というものが御承知のような
状態
になりましたし、そこへ
公害
という問題が加わってまいりましたので、かつては資本の集積地に
工業
が立地することが経済的であると考えられておったことに対比いたしまして、外部不経済という問題が相当顕著に出てまいったと思うのでございます。そういう意味では
産業
自身の立場からできることならば新しいところへ分散できるものは分散したいと考えるようになりつつございます。このことはやはり労働問題とも関係がございますし、地価問題等もございますわけですが、そういう傾向が出てきたというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう傾向にまた現実的にしつつあると考えられますのは、新全国総合開発
計画
がネットワークという考え方を打ち出しまして、通信、情報、交通等々のネットワークを全国につくろうということで、そういう考え方のもとに公共投資が進められておるわけでございます。そのようなことが手伝いまして、
産業
側においてもいわゆる過密地帯の外部不経済を脱却したいという動きがかなり顕著になってきたと見ております。 もちろん
産業
の中でも装置
産業
のようなものはぜひ臨海地帯におりたいと、そうでないと非常に不便であるということがございますけれども、その他の
産業
につきましてはただいまのような傾向が出てきた。これが
工業
側、
産業
側の
理由
でございますけれども、同時に農村側におきましても、従来ややもすればいわゆる虫食い的な
工業
立地が行なわれまして、このことは農村にとって決してしあわせなことではございません。また
導入
された
企業
も必ずしも安定性、
雇用
を
確保
するというような安定的な性格を持つものとは限らなかった。のみならず、かつては、先ほど杉原
委員
が御指摘になりましたが、あれは三十四年ごろの契約だとおっしゃいましたが、いわゆる
企業
誘致に地方が狂奔したような時代には、非常に地方にとって適当でないと思われるような今日から考えますと
条件
ででもとにかく何か
企業
を誘致する、そういうようなことがありまして、無秩序かつ虫食い的な
工業
導入
があった。そういうことは農村にとって不幸であります。同時に、今日の米の問題でも御理解いただけますように、
農家所得
というものは確かに増大をしてまいりますけれども、
農業
所得というものは必ずしも十分に
工業
所得ほどは伸びていかないような展望になってまいりました。そういたしますと、問題は、結局
農家
の所得でございますから在村
在宅
のまま安定性のある
雇用
を農村の人たちが求める、これは当然のことであろうと思います。そういう両方の事情からならば、ひとつこの際、全体を
基本方針
のもとに乗っけまして
計画
的に進めていってはどうであろうかというのが、ただいま御
審議
願っております法案の根本的な考え方であろうかと思っております。
北村暢
40
○北村暢君 いまの御答弁で若干わかってまいりましたが、企画庁がこの新全総を発表する段階においてそういう構想が織り込まれているかどうかということについては、
工業
の主要
計画
課題
というところを見ましても、そういう思想はまだ出てきてないのじゃないか。この新全総は四十四年に発表されておるわけでありますが、その段階においてもなおこの拠点開発という思想、これは出していないのではないかと思われます。しかも四十年水準に比較して六十年
目標
にこれは
計画
ができているようでありますが、鉄鋼が四倍、石油が五倍、石油化学が十三倍、こういうような膨大な今後の伸びというものを想定しているようですが、それもなおかつ大
規模
の
工業
地帯の建設という形のようです。そこで、石油化学
工業
、これらは非常に大きな
公害
でありますし、さらに
大都市周辺
ではもうこれ以上とにかく操業するということは危険でどうにもならない。したがってこれからはおそらく人の住んでいないような新しいところに工場を移さなければならない。そういう考え方が出てきておるようですね。そういう意味におけるものでも拠点的な考え方があるようであります。したがって、そういう大きなものが地方に行くというのはわかるわけなんですけれども、総体的な形でこれからの
農村地域
への
工業
進出というものは、考え方からいくとこれは全国的なものですね。しかも非常に広範な各
市町村
を
対象
にしたような考え方である。従来の考え方とは全く違ったものであると思うのです。そういうふうなものが簡単に実現するのかしないのかというところを私ども非常に疑問に思っておるのでありますが、新全総によりますと、四十年
規模
で
工業
用地九万ヘクタール、四十五年現在でそれが十二、三万になっているようですね。大体一年間一万ヘクタールくらいふえていって、六十年
目標
で約二十万ヘクタールふえるだろう、それで三十万ヘクタールくらいの
工場用地
というものができるだろう、こういうふうに新全総では想定しているようです。これからふえていくその
工業
用地というものが、通産省ではこの工場立地について、先ほどもお話ありましたように、
調査
をしているようであります。その工場立地の
調査
の結果について数の多い
地域
において、しかも相当の
面積
にわたって工場立地の
調査
がなされておるようですが、その実態がどうだったのか、それが今度の
農村地域
工業
導入
促進
法の考え方と一致する方向にいくのかどうなのかという点について、これとの関連でお伺いいたしたいと思います。
宮澤喜一
41
○
国務大臣
(宮澤喜一君) その問題に
政府委員
がお答え申し上げます前に、ただいま北村
委員
が従来からの経緯をたどって御質問になられましたことは、私はきわめてごもっともなお尋ねだと思っております。たまたま新全国総合開発
計画
の作業にも私一とき参加をいたしましたので、その辺の考え方の動きと申しますか、経緯をちょっと申し上げておくことがよろしいのかと思います。 一番最初に全国総合開発
計画
、これは古いものでございますが、このときにはやはり東京、中部及び近畿以外の地方に人口が動き出すであろうという想定をとったのでございますが、これは希望的観測でありまして、事実はそうなりませんでした。そこで、しかしだんだん過密という
状態
が出てくるのでどうかしなければならないのではないかと考えまして、新産
都市
あるいは低開発
地域
に農村
工業
導入
といったようなことをいたしたわけでございます。その場合、新
産業都市
については、そのあと十五年あるいは二十年くらいを目途に考えよう、かなり長期の考え方をしておったつもりでございます。それらは大体拠点主義であろうと言われますことは、私は当時の事情から見ましてそうであったというふうに考えております。 そこで全国総合開発
計画
を書き直しいわゆる新全総を書きますときに従来の拠点主義というものは、これは何も捨てるわけではない。のみならず将来の臨海地帯での大
規模
工業
地帯というものはいまから
確保
しておかないといけないということで、小川原湖でありますとか、苫小牧でありますとか、知多とか、周防灘という問題が出てきたわけであります。これもおっしゃるように幾らか拠点的なと申しますか、臨海の
工業
を集めるという思想であったと思います。しかし、それと同時にどうしても、かねてわれわれ望んでおりました人口の分散、平均化をはかるとすればなかなか拠点主義だけではできないので、何かが要るであろうというところでネットワークという考え方が出てまいりまして、これで情報化時代にもなりますししますから、全国均斉のとれた成長をしようではないか、またそれが過密
地域
における外部不経済を解決するゆえんでもあろう、こういう考え方を入れてきたわけでございます。 そのときに、実は作業をしております内部でかなり問題になりましたのは、いわゆる地方の
兼業農家
、この
兼業
体制というものをどう考えたらいいのかということが実はかなり論議になりまして、はっきりした結論が出ませんまま、それについて新全総はある程度触れております。触れておりますが、実は
兼業
のような体制を積極的に押し進める、これをもう事実と考えて進めるのがいいのか、あるいはこれはごく一ときの補足的な現象であると考えるべきことなのかということについて十分
政府
部内で合意が得られませんで、その点不徹底な書き方になっております。しかしいずれにしても虫食い、スプロール化は困るぞというところまでは実は関係者が一致している。それから何年かこうやってたってまいりまして
総合農政
というような問題にもなってまいりました。米の問題も、かなりいろんな問題がはっきりしてまいりましたので、今回こういうような形で新全総にちょっと萌芽のように出ております問題についての取り上げ方をいたした。私はそんな経緯であったかと思っております。
両角良彦
42
○
政府委員
(両角良彦君)
工業
の立地
調査
につきましてのお尋ねでございまするが、通産省としましては
昭和
三十三年度から全国にわたります工場適地の
調査
を行なってきております。現在までに千九百六十四の
市町村
につきまして実態の
調査
をいたしておりまして、しかもその
調査
結果が経済
情勢
あるいは社会
情勢
の変動に即しまして常に新しいものであるために二年ごとに補正を順次行なっておる次第でございます。いずれにいたしましても、この
調査
の結果に基づきまして全国で三千七十三カ所という地点が工場の立地に適格な
条件
を備えておると、かような結論になっておる次第でございまして、
面積
としましては十四万七千ヘクタールということでございます。今回農村地区への
工業
導入
が
促進
をされてまいりまする場合には当然この
導入
地区の選定にあたりましてはこれら適格と認められた工場の適地が優先的に御採用になるように私どもとしましても資料を提供いたしまして
工業
導入
促進
センターと
企業
との間で十分情報の提供を行なって適地への立地を推進してまいりたい、かように存じます。
北村暢
43
○北村暢君 なおちょっとお伺いしますが、いまの千九百六十四
市町村
、三千七十三カ所、十四万七千、これは適地
調査
として
調査
された数でありますが、今度の場合は適用
市町村
が二千何百かになりますわね。個所数でも二千五、六百になるんじゃないかと思うのですが、個所数でも全国からいえばこれは
市町村
にとっては一カ所か二カ所、平均にすれば。そんなような状況ですが、しかし適地
調査
というのは当初三十四年に
調査
されたというのですから、もちろん
農村地域
工業
を
促進
するという
目的
でやったわけではないわけですね、これ。したがってこれから該当するものがこの中から出てくれば、これは
農村地域
工業
の
促進
も一年や二年や三年や十年でできるものじゃないですから、それはそれでいいのですけれども、この企画庁の言う六十年の二十万ヘクタールこれからふやそうという考え方、それとこの十四万七千というのと、おそらくあの新全総をつくる際には企画庁と通産省、これは当然打ち合わせがなされているはずだ、新全総の六十年の九万ヘクタールを二十万ふやして大体三十万ヘクタール、こう見込んでいるわけですね。そういう点からいって、若干これは数字が食い違っている。これより多少少なくなるんじゃないかという感じがします。そこら辺のところがどうなっているのか。 それともう
一つ
は、今度考え方として出かせぎ者の問題が
対象
になりましたわね。しかもこの出かせぎ者をなるべく農村に固定しよう、先ほど通産大臣も
公害
の問題を避けるためには分散しなければならない、しかも
労働力
の問題も出てきた、それで
工業
を分散しなきゃならない、そういうお話ですが、大体分布の状況はどうなっているのでしょうかね、この立地の。おそらくこれは裏日本の地帯はわりあい少なくて、表日本のほうが多いというようなことになるのではないかと思われるのです。そうすれば農村の出かせぎ者の最も多い裏日本地帯、これとこの
工業
立地の
調査
というものが一致するかしないかということは、これは
労働力
問題を考えても非常に問題のあることです。
農業構造
改善
にほんとうに役立つようなことになるのかどうかというふうに思われるんですが、この
工業
立地の
調査
というものが、いま私が申した
農村地域
工業
導入
促進
の考え方、
労働力
の問題における出かせぎ問題を解決しようという考え方、これと従来の
工業
立地の
調査
というものが符合をするのかしないのかというところに疑問を感ずるわけなんです。この
調査
によっていま申したような問題の解決ができるような見通しになるのかどうなのかということですね。これを通産当局にお伺いしておきたい。
両角良彦
44
○
政府委員
(両角良彦君) 立地
調査
をいたしました数字は確かに十四万でございまするが、これは新全総の大体一年一万ヘクタールずつふえていくであろうという
工場用地
の見込みというものとは決して矛盾するものではないと存ぜられます。なぜならば工場立地の
調査
を行ないましたもの以外に
企業
はやはり
農村地域
あるいは内陸地帯に立地をいたしておりまして、そういう割合は大体半分くらいになっております。したがいまして適地
調査
でそこに立地をした実績と、適地以外に
企業
が進出いたした実績というものは今日までは約半々というような数字でございまして、これからは漸次適地
調査
の成果が
企業
側にも十分
利用
されていくようになると思いますが、その場合にはさらにいわゆる適地外への立地がふえていくということになろうかと思います。いずれにしましても適地外への立地があった、あるいは将来も起こり得るだろうという意味では十四万ヘクタール以上の
工場用地
化する土地が当然期待をされておるわけでございます。 それから第二に、工場適地
調査
は今日まで十年以上続けてまいっておりますが、今後ともなお新しい地点を追加
調査
をいたしていく予定でございまして、それによりまして毎年一万ヘクタールという
工場用地
需要に対応する新しい適地を次々と資料として提供できるようにわれわれとしても努力をいたすつもりでございます。 次にいわゆる出かせぎ
地域
への立地動向と対応しておるかどうかというお話でございますが、確かに最近におきまする全国の立地動向を見ますと、関東臨海地区でありますとか、東海地区でありますとか、いわゆる太平洋沿岸ベルト地帯への立地の集積が行なわれておりまして、東北、北陸あるいは山陰といったような過疎地帯等への立地はややそれに比べますと低調であるということは否定できないと思います。しかしながら
一つ
の動向として申し上げますと、東北地方及び北陸地方等への
企業
の立地は漸次上昇の傾向をたどっております。したがいましてこの農村
工業
化のための
促進
措置
というものが今後積極的にかつ
計画
的に推進をされてまいるならば、いわゆる出かせぎ地帯といわれまする過疎地帯あるいは低開発地帯への
企業
進出というものも十分私どもとしては効果をあげ得る進出が期待できる。かように存じておる次第でございます。
北村暢
45
○北村暢君 この一万ヘクタールぐらいは毎年ふえているのですよね。それはそのとおり。ところが新産
都市
、工特法の低開発
促進
、こういうものはこれはまだ完成していないのですから、当然そういう面にも適地としてふえていきますわね。ふえていくでしょう。そういう点からいって、このふえていくものがみな
農村地域
の
工業
導入
促進
には向くわけではないだろう、それはまあ想定できるわけですね。したがって、各
地域
の開発の法律があるわけですから、そういうものの中で大体大まかな見通しでどんなような進み方をするんだろうか。それは
農村地域
の
工業
導入
促進
の将来の予算の
規模
なり何なりというものと見通しというものと非常に関係してくるわけなんです。したがって、これはあとからもこまかくお伺いしますけれども、先ほども申したように、これは一年や十年でおそらくできないだろうと思うんですね。相当の長期にわたってこれは
目標
を立ててやらなければならない。そのためには将来新全総の
目標
の二十万ヘクタールというものの分野が一体どのくらいになっていくんだろうか。この想定はやはり立てなきゃいけない。そうでなければ、これは企画庁なり通産なり農林が協議しなければ、予算の
規模
もわからなければ何もわからない。これは進みようがないわけですね。だからある程度の
規模
というものがわからなければならない。 それですから、そういう意味においては、これからふえていくであろう
工業
用地といままでの
地域
開発立法との割り振りというものですね、今度新たに出たものとの割り振りが一体どんな形になるか。おそらくこの十四万七千ヘクタールも
農村地域
だけの
面積
じゃないですね。この適地は、新産
都市
から工特から全部含んでの
面積
であるということは、これは当然なことだ。ですから、その場合のこの
農村地域
に該当するものと思われるものは一体どんな分布になっておるか、割合がどうなっておるか。大ざっぱでけっこうです。具体的な数字なんてこれはわからないわけですから、大ざっぱでいいですが、そういう見通しというものですね。 一体あなた方が
調査
した結果、先ほど北陸なり山陰地方の状況もありましたけれども、まずまず最近山形程度までいったけれども、山形から北のほうにはなかなかいっていませんね。
工業
進出も東北にいったといえども秋田というところにまだいっていない。秋田の新産
都市
も土地はできたけれども
企業
がこないというので、事実問題もう知事は誘致にやっきになって、もう県下で何べんも催促されている。知事も夢中になって誘致やっているけれども、なかなかこない。まああと二、三年で
目標
がつくというような傾向にあるようですけれどもね。あるようですけれども、まだそこまでいっていないんですよ。ですから、そういう意味で各
地域
立法との割り振りと
農村地域
の割合が一体どうなっているか、これを概略でいいですが、
説明
願いたいと思う。
両角良彦
46
○
政府委員
(両角良彦君) 私どもの推計によりますと、毎年一万ヘクタールの新しい
工場用地
がつくられてまいります場合に、いわゆる内陸地帯が大体その五割ないし六割というふうに考えております。で、五割ないし六割の内陸立地のうち約半分が農村地帯、この法律で予定しておりまする
農村地域
に当たるのではなかろうかということでございますので、実数で申し上げますと二千五百ヘクタールから三千ヘクタールぐらいのものが毎年
農村地域
における
工場用地
として需要されてくることに相なるわけでございます。その場合の工場の数は大体二千五百ないし三千ヘクタールに対しまして三千件以上の工場が進出をする、こういう一応の推算でございます。
河口陽一
47
○
委員長
(
河口陽一
君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午後雰時五十六分休憩 —————・————— 午後二時四十三分開会
河口陽一
48
○
委員長
(
河口陽一
君) ただいまから
農林水産委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
農村地域工業導入促進法案
について質疑を行ないます。北村君。
北村暢
49
○北村暢君 経済
局長
が何か都合があるそうですから、農林中金の問題について先にお尋ねいたします。 今回の法案で
農林中央金庫
からの
資金
の貸し付けができるようになっているわけですが、これは
工業導入地区
内においての製造の
事業
の用に供する
施設
で、
実施計画
に適合するものを新設するもの、その
企業
者並びにそのための用地の造成、取得、これに対して営利を
目的
としない団体が土地取得をする場合に
融資
をする、こういうふうになっているのでありますが、道を開いたわけですけれども、当然これは一般の
金融
機関との競争関係もおそらく出てくるのではないかと思うのです。 そこで、この道を開いたということは非常にいい方法なんで、特に
農地
を取得する場合にはなかなか一般の
金融
機関は金を貸さない。それはなぜかというと、
農地
を取得するための金はこれは当然
農民
に支払われるわけですね。そうすると
農民
は大体農林中金など
農業
団体の
金融
機関に貯金をしてしまうというので、一般
金融
機関は金は出ていくけれども、自分のところには回ってこない、そういうようなことで一般の
金融
機関は
農地
を取得するのに金を出したがらない。そういうので、今回の中金を
利用
するということは非常にそういう面では私はいい方法だ、こう考えるわけですが、さらに公共団体なり、営利を
目的
としない団体が取得した土地をそこへ進出する
企業
が買う際にまたそれに対しても中金は
融資
することになっています。 それから大体経営
資金
等も
融資
する、先ほどの話によりますというと、大体一年間三千ヘクタールで三千件ぐらいという、一
企業
一ヘクタール平均ぐらいで借りていますね。これは相当のものだと思うのです。 そうしますとこれは当然農林中金ですから
農民
に迷惑がかかるような
融資
のしかたはもちろんできない、余裕金でやるということになるわけでありますが、いままあ中金は
資金
が相当余裕があるわけですから、なるべくこれを運用するという面については私はけっこうだと思います。けっこうだと思いますが、他の
地域
開発に伴うもの、先ほど来私心配しておったのは新産
都市
とかあるいは工特
地域
とかいうようなところは、これはやはり
都市
的要素があるんですから、
企業
進出もしやすいだろう、せっかく
農村地域
への
工業
進出をする際になかなかこれは
計画
どおりにいかないのではないか。さらに後ほどお伺いしますけれども、
農業構造
改善
と密接不可分な形で
農政
の
目的
も達するというのでありますから、
企業
側から言わせれば、当然これは
条件
がついてくる。したがってそういう
条件
づきでなおかつ
企業
が進出するという面においては、私はやはり
金融
面なり何なりの面である程度
優遇措置
を考えてやらなければならない。一般の優遇問題はあとから聞きますが、そういうような感じがするわけです。 したがってこの問題についてはあまり農林中金だからといって優遇するということになれば、他の
金融
機関との競争関係からいって非常にむずかしいだろうと思うのですけれども、来ない
企業
をなるべく来るようにするという
一つ
の方法、手段なんという政策
目的
があるならば、何か
措置
がとられてしかるべきではなかろうか、このように思うんですけれども、農林中金が今度の機会に農林中金の
資金
を運用できると、こういうことになったのですが、その
資金
の運用
計画
なり、それからいま申した
優遇措置
というようなものを、金利なり何なりの面で、何らかの方法を考えてもいいんじゃないかと、こういうような感じがします。なかなかこれは、先ほど申したように、他の
金融
機関との競争関係がありますからむずかしいんだろうと思うんですが、この運用上の問題についてひとつ御
説明
をいただきたいと思います。
小暮光美
50
○
政府委員
(小暮光美君) 今回御
提案
申し上げました法案の十三条で、農林中金が
農業
関連
産業
以外に
融資
する道を開いていただこうということの具体的なねらいが、いま先生おっしゃったような土地代金等にありますことは御指摘のとおりでございます。そういう面から、中金が貸せるということが農村への
企業
の
導入
に非常に役立つだろうと思っておりますが、この仕組み自身は、農林中金につきましては、現在の農中法の体系の中で認められておりますいわゆる余裕金の運用というものの考え方、その土俵の中に実はこれを位置づけたいというふうに実は考えております。そうでございませんと、むしろ農中法そのものをどう考えるかという議論の場でいろいろ決定しなきゃいかぬことだろうと思います。 そこで、現在の農中法の基本的性格を変えずに、いまの農村への
工業
導入
の
趣旨
にかなうような土地関係を
中心
に、もちろん土地だけ貸すわけにいきませんから、設備あるいは関連した運転
資金
というものも貸せるように考えております。そこで、その貸し出しの
条件
は、やはり余裕金の運用ということでやっておりますので、現在の貸し出しの
条件
と異なるものを設けるというふうにもどうも考えにくいという点が
一つ
ございます。そのほかに、先生御指摘のように、そもそも市中
金融
機関の側からいけば、中金という特殊の機関が
農業
と直接関係のない
企業
に金が貸せるということについてのいろんな別の意味での問題意識もあろうと思います。そういう
金融
機関相互の競争という
条件
をゆがめるわけにもいかない。そういう点で、実は金利その他で特段の
措置
をとるということは現在考えておりません。なお余裕金の運用の一環ということで考えますので、半期ごとに、従来の余裕金の場合と同様、大蔵省と
農林省
とで十分審査いたしまして、農林中金本来の
資金
の運用に支障のないような適切な額を試算しまして、
融資
の総ワクについて半期ごとに中金に示すと、こういう形をとってまいりたいというように考えております。
北村暢
51
○北村暢君 そうしますと、あくまでもこの中金の余裕金の運用で、その
範囲
よりもちろん出ないということになりますから、その場合の運用する
資金
の概略の額ですね、それは一体どんなものになるのか。そして今度のこの三千カ所の新設または増設等の
金融
のワク、これはやってみなければわからないかもしれませんけれども、そういうものに対してどのくらいの割合を担当できるのか。また、これは全国的になるわけですから、全国的な
規模
で中金はもちろん運用すると、こういうことになるんだろうと思うんです。その辺の関係を若干御
説明
願いたいと思います。
小暮光美
52
○
政府委員
(小暮光美君) 本法案が成立いたしました後に、当然
基本方針
、
基本計画
の
作成
等とからめまして、秋ごろまでにはかなり具体的な本年度の
事業
の概要が出てまいるというふうに私どもは期待いたしております。それが出てまいりませんと、農林中金なり系統
金融
を所管する立場からどの程度というような金額についてなかなか申し上げがたいのでございます。 ただ、全体として余裕金というものの考え方で土俵を限ると申し上げましたこととの関連で、最近の
資金
の動向を申し上げますと、現在七千五百億ほどの関連
産業
融資
というものを農林中金はいたしております。農協系統全体として年々かなりの
資金
の伸びがこれまでございました。最近
情勢
がやや変わってまいりましたので、従来と同じように年々大きく伸びるかどうかという点についてはいろいろな見方があるようでございます。系統内部で当然必要とするであろう系統内部の
資金
の需要の増加というものを差。引きましても、当面年率千五百億程度は系統全体としての余裕金がふえるのではないかというふうに見ております。ただこれは農信連の段階で運用されるものもございまして、全部が全部中金に上がってくるというふうには考えておりません。しかもこれらをもって、御存じのように、
農地保有
合理化
法人に対する手当てとか、さまざまな問題を考えていくことになると思います。しかしいずれにしても、総ワクとしては当面千五百億ぐらいのものが系統全体としての
資金
量として考えられるのではないか。 それから全体として中金が総
資金
量のどれくらいを分担することになるのかという点につきましては、的確には申し上げられませんが、先ほど来御指摘もございましたような中金
融資
の
一つ
の性格という点からいきまして、私どもとしては、これが市中
金融
機関と競争し合って、こっちが出しゃばっていってやるというよりも、やはりそれぞれの
企業
が従来からのメインバンクを持っておりますから、そういうものと十分打ち合わせまして、農村への
導入
が円滑にまいりますように、土地代その他適切な部分をこちらが分担するという形の協調
融資
のような形が望ましいのではないか。そういうふうに考えてまいりますと、まあ総
資金
量の一、二割程度というものが
一つ
のめどになるのではないかというふうに考えます。
北村暢
53
○北村暢君 もう
一つ
、これは償還期限が十年以内の貸し付けになっているようですが、これは現在の市中銀行とどんな関係にあるのか。それからまた
工業
用地の取得だけにこの十年というのが適用されるのか。いわゆる
企業
の経営
資金
まで十年以内というのは適用されるのか。その点明らかにしていただきたい。
小暮光美
54
○
政府委員
(小暮光美君) 先ほど申しましたように、関連
産業
融資
といっておりますので、余裕金運用の仕組みと同じような形で考えたいというところから十年という期限を考えたわけでございまして、なおその
範囲
の中でも当然短期と長期というものを考えるわけでありますが、運転
資金
につきましてはいま申しましたような期間を決して考える必要はない。ただ
農林中央金庫
が貸し出します設備
資金
——土地代のほかに当然一部の設備
資金
についても分担することになっております。農林中金が貸し出します設備
資金
と関連いたしまして、当該設備
資金
を回収するまでの間、これに関連した運転
資金
を見るというようなことも考えられるのではないかと思っております。
北村暢
55
○北村暢君 それでは次に大臣にお伺いします。大臣には、先ほど杉原君も若干触れましたが、今度の法案が、
提案理由
の
説明
にもありましたように、
兼業農家
の、あるいは出かせぎ者の農村への定着化をはかる、あるいは
農家所得
を引き上げる、こういう
農政
上の観点からいわゆる
工業
を誘致することによって
兼業
化が進み、
農業
がいわゆる総
兼業
化してしまうんじゃないかというような批判も若干ないわけではないわけなんですが、この法案を立案するに至った
農政
上の問題あるいは
産業
政策上の問題
雇用
政策上の問題で、どのようにこの問題を位置づけているかということでございますが、先ほど私が通産大臣にお伺いしたのは、新全総を
計画
するまでにはこういう構想は確定的に
意見
が統一されていなかった、こうおっしゃっていますね。ところが米の
生産調整
問題が出てきて、急速にこういう問題に取り組まざるを得ない。しかも
産業
側からいっても
公害
その他の過密問題が出てきて、
産業
上の要請からもそうせざるを得ないということであったんですが、いわば私は
産業
政策上いままで拠点方式であったものを分散させるという
一つ
の政策
目的
、これが明らかに出てきたんじゃないか。しかも見方によってはもう
都市
に集中して
工業
をやるということは、
企業
側からいわせても、農村から出てくる労働者に住宅を与え、しかも高い賃金を払って
公害
関係で苦しむというよりは、いわゆる
在宅
通勤で、住宅もつくってやる必要がない、比較的安い賃金で使える、こういう
企業
側の要請、そういう意味における要請というものが非常に強くなってきているんじゃないかというふうに思うのです。 そこで、
企業
側からいわせれば、先ほど
説明
ありましたように、
工業
立地上適切なところに入っていくのが半分で、そうでないものが半分ぐらい。無
計画
に農村地帯に入ってくる。そのために
農地
のスプロール化が起こっておるというのを阻止するためにいま
計画
的に入れるということであって、そういうような点からいって、どちらかといえば
企業
側、
産業
政策上の
工業
側の要請のほうが強くなってきているのじゃないかというふうにも思えるのであります。そういう点について今度の立法がそういういわゆる自宅通勤低賃金、あるいは工場敷地の地価の安いところ、こういうところに行かざるを得ないという
企業
側のそういう要請のほうが強いのじゃないかというふうにも思われるのです。ですから、そういう点について、この法案を出した
趣旨
からいって、
農政
上、これをどういうふうに受けとめるかという問題になるのではないかという感じがするのでありますが、この法案の位置づけですね、
農政
上の位置づけ、
産業
政策上の位置づけというものをどのように判断されておるか、お伺いいたしたい。
倉石忠雄
56
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君)
農業
基本法が制定されまして十年間たちましたが、私ども本国会で農基法制定に参画いたしましたあの当時のお互い国
会議
員は、今日になってみてそれぞれいろいろな感慨が浮かんできているだろうと思いますが、私どもあの法律、
政府
が
提案
をいたしまして、その
審議
の過程を見ておりまして、もう農基法制定当時すでにわが国の経済が高度の経済成長をするであろうことは予期されておりましたけれども、結果から見まして今日のように地価が急激に高騰して、そして
規模
拡大
というふうなことを考えましても、地方でも
都市
近郊などでも容易なことでは
規模
拡大
が困難な
状態
になってきております。こういうような
状態
をおそらく十年前に、あの立法当時予測した人はあまりなかったんではないかとわれわれも思うのであります。で、その後、
農政
の面におきましても、もう御存じのように、非常に大きな変革を生じておるわけであります。 そこで、このような
法律案
を考えますような過程において、私はそれぞれの立場でそれぞれの思惑を胸に抱いておられると思います。したがって立場立場で御批判もいろいろあろうかと思いますが、私どもの側の考え方から申しますならば、これは現実問題といたしまして、農村がいままでわが国の経済発展の礎石をなしておった、そういうことはいなめない事実であります。しかるにそれがだんだんと今日のように変わってまいります過程においては農村に持っておりました
労働力
が出てまいりまして、そしてわが国の経済発展に大きな貢献をなしておった、その他やはり食糧供給、それからまたいこいの場を提供するといったようなことで、農村というものの厳たる存在がわが国の経済の基礎を固め、しかもまたわが国の国のいしずえを固めてきたことに大きな力を持っていることは事実であります。 そういうような
農業
及び農村を見ますというと、最近はその経済の変転に伴って、だんだん農村の力が外へ出てまいって、農村はやや荒廃の傾向にある、こういうことを見ましたときに、私どもとしては先日各新聞に出ておりました二十一世紀の日本に関しての論文がたくさんありましたあの中で、
一つ
は太平洋メガロポリス的構想のもとに書かれた論文等もありましたが、私どもはだ身に感じておりますことはやはり、今日のまま放置いたしておくならばかなりの部分の人口が
一定
地域
に集中してくるであろう傾向を見のがすことはできません。そういうことがはたして国全体として利益なものであるかどうか、私は反省せざるを得ないのではないかと思いますし、また、
政府
の方針といたしましても
農業
をこれ以上小さくするべきではない。この間、総理大臣も本院の答弁において八〇%程度の食糧自給というものは堅持していきたいということを声明をいたしておられたとおりでございます。 そういう角度から考えますというと、私どもはやはりできるだけ農村において、しかも農基法の指向するような自立経営
農家
を中核にして、しかしながら、なおかつわが国の特殊事情で八〇%近い
兼業農家
が当分の間持続するであろうから、これらのなお
農業
にいそしんでいきたいと考えられるような人々には、その自立経営
農家
を中核として周囲に配して、そして広域営農団地的な構想によって営農をさせるようにいたしましょう。そのためには
農地
の流動化をできるように、先般国会で
農地
法、農協法等を
改正
していただきました。しかしながら、離農したいという希望の方々には離農しやすくして、他の職に転換することの助成をいたすように試みたいというので、
農業
者年金法その他の施策を
総合農政
の一環としてやっておることは御存じのとおりであります。 私どもはそういう意味で、地方の農村の多くの人々や
農業
団体の御意向を聞いてみますというと、やはり自分たちの
周辺
を荒らさないで、できるだけ大事な
農地
はスプロール化させないようにつとめながら、
雇用
機会の
拡大
をするということが必要である、これはほとんど一致しておる見解のようであります。私ども全く同感でありまして、したがって、いわゆる
産業
界の面からの要望、それはあるかもしれません。しかしながら、そういうことよりも私どもが先行して考えますのは、やはり地方に
産業
を分散し、人口の配分もできるだけ平均化して、所得もできるだけ地方にも得させてやるようにいたしたい。こういう考えを具現化するには、やはりこの法律のようなものを制定して、そういう傾向を助成することがいいのではないか。したがって、私どもはこの法律の中で、
一つ
は
工業
の
導入
、もう
一つ
はこれと並行して圃場
整備
、構造
改善
等を
実施
することによりまして、
農村地域
の経済的発展をもともに心がけていきたい、こういう考え方でございますので、私どものサイドから申しますというと、
農業
及び農村のほうにウエートを置くものと考えているわけであります。
北村暢
57
○北村暢君 そこで、この法案が
工業
を
導入
するというのでありますから、しかも
農業振興地域
に、あるいは過疎
山村
振興
地域
、こういうところにこの法案を適用していこうというのでありますから、これが、いま大臣のおっしゃったような
農業経営
の
規模
を
拡大
するような構造政策に役立つような形になるのかどうなのかということがやはり問題であろうと思うのです。そこで、いろいろ施策をやり、構造政策の法案といわれる
農地
法の
改正
を行ない、流動化政策をとった。
農業
者年金も成立させて、年金ということで
農業
に専心していけるようないわゆる社会保障的なものもやった。今度国有林活用でもって、この構造改革三法というような形でやってきておるのですね。やってきているのにかかわらず、残念ながら政策効果があがっていない。で、
専業農家
はこれは決してふえていないわけですね。若干の経営
規模
の大きいものは出てきましたけれども、
専業農家
は減って、
兼業農家
がふえている。そういう事態です。で、
農業
の
就業人口
は急速に減っておりますけれども、
農地
の流動化が伴わない。また、人口の流出のわりあいには
農家戸数
が減っていない。こういう問題が出て、いわゆる基本法で指向いたしました構造政策というものはなかなか思うようにいかないわけです。 したがって、先ほど来、自立経営の場合における
一つ
のモデル的なものの通達がなされたという話があるのですが、そういうことを指向はいたしておりますが、均分相続なんというような形もやめて、とにかく自立経営
農家
で経営
規模
を
拡大
していく。これは所得倍増
計画
のときには二・五ヘクタールで自立経営ができる、それを百万戸養成するのだと、こういうことで発表されているのですね。倍増
計画
の中にはっきり出ているのです。これは全然そういうような方向にはいっていない。そこで、ものの考え方を改めるべきじゃないかと、基本法にいったところの自立経営
農家
なんということはふやそうにもふえないのだという考え方をしておった人がおりますがね。所有と経営というものを分離して、もう
農家
は土地を持っているというだけで、自分は
農業
をやらなくてもいいのだ、請負耕作でどんどん商売人が何でも一部落全部引き受けて経営をやってもいいのだ、そういう近代的な経営をやってもいいじゃないか。だから所有がどうだの、こうだのということよりも、所有と経営を分離して経営を近代化すればいいのだ、こういう主張をする方がおるようです。したがって、基本法の制定当時における農林当局の自立経営
農家
を育成するという考え方はこの際改めるべきではないかという主張をする人がいる。これは総研の並木さんなんか、そういう
意見
を持っているのですね。 そういうことで基本法のあり方について、一度言い出したから権威にかけて、これはもう自立経営
農家
、自立経営
農家
といわざるを得なくなって言っているのかどうか知りませんが、とにかく実体的に何ら進行しない。しかも今度のこの
農村地域
への
工業
進出ということになれば、さらにこれは地価が高くなる要素が出てくる。そうすれば
農民
はあわ食って土地を手放すよりは値上がりを待つということで手放さない。早く手放したら損をするという形で地価がどんどん上がってくる。この状況からいえば
農地
を流動化するという要素というものはまことに期待できない、経営
規模
の
拡大
ということは。したがってなかなか所有と経営と一緒にしている限りにおいてはなかなかできないんじゃないか、思うようにはいかないんじゃないかというふうに思われる。 そこで問題は、こういう
企業
が
農村地域
に進出をして経営
規模
の
拡大
に役立つためには、
農家
が離農してもらわなければならない。それがなぜ離農しないかと言えば、いまの地価の問題がありますし、さらに従来からの問題で、地方に進出した
企業
の安定性、
雇用
の安定性というものがある。不景気になればいつでもたたんで行ってしまうというようなことで、
農民
は結局
農地
を手放し切れない、不安があるから。
農地
はやはり持ったままで、かりに
企業
が進出しても
農地
を手放さない。そういうことが現実には、いままではそういうわけなんですね。だから
農地
が流動化しない。でありますからそういう意味において今度の
農村地域
の
工業
の進出というものが
計画
的になされる、しかもこれは構造
改善
に役立つような形で
計画
をする、
公害
も起こらないようにするということなんですね。ということがこの
計画
の中に折り込まなければならないことになっておりますが、実際にいままでの構造
改善
という自立経営
農家
を育成するという考え方というものを改めることなしに、従来の考え方で一体この法案ができて成果が上がるんだろうかということについて、いま申したようないろいろな
条件
から言って非常にむずかしいのではないかというふうに思われる。そういう点の見通しについてどのようにお考えになっているか、承っておきたい。
倉石忠雄
58
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) いまお話のございました点は、全体のわが国の
農政
の中で一番大事な問題の
一つ
だと思います。先ほど申し上げましたように、農基法で指向いたしております方向というのは、今日においてそれほど成功しておるとは思いませんけれども、方向としてはやはりそういう方向をとるべきではないだろうか。私どもは、
農業
というものの中で米が何と言ってもやはり現在も大宗的立場を占めております。将来もかなり有力な立場をしばらくの間占めるでありましょう。そういうことを考えてみますと、やはり生産コストを下げて、そしてこの体質を
改善
していくように努力をしなければなりませんので、そういう意味では体質のしっかりした自立経営
農家
というものをある程度育成していくということがやはり必要なことである。なかなか困難ではありますけれどもこれはやらなければならない
農政
上の
一つ
の大きな問題だと思うのですが、しかしお話のように、現在でもすでに
就業人口
の八〇%余りは
兼業農家
、
兼業
の八四・何%のうち五一%ぐらいが第二種
兼業
である、こういう実態を踏まえてこの
農業
及び農村というものをどのように持っていくか、非常にむずかしい問題であることは御指摘のとおりであります。 そこで私どもといたしましては、やはりそういう
兼業
の中で、さっき申し上げましたように一部は離農して他によい職があるならば転換したいと希望する者——先般
農林省
で意識
調査
をいたしました、御報告をいたしたと思いますが、そういう希望を持つ者があり、一部はやはり
農業
を依然として継続していきたいという希望もあり、そういう前者に対してはさっきお答えいたしましたように、
雇用
機会の
拡大
をいたしていくことが必要であろうと思いますが、後者のほうにつきましてはやはり私どもとしてはできるだけそういう方々の希望がかなえられるように、離農し得るならば土地をあるいは農協に寄託をするなりあるいは
合理化
法人によって
規模
拡大
の援助をして協力をしてもらうなり、それぞれの考え方で
農業
についての土地
利用
をひとつできるだけいたしたい、かように思います。 そうでない人たちにつきましては
農地
はどこまでも持っていたいという希望の方があるでありましょう、こういう人たちはその全体の自分の力を
農業経営
に投ずる必要がありませんので、そういう自分が
農業
に全体の能力を集中する必要のないような人は
雇用
機会を増大していくようにして所得をふやしていくようにするし、やはり持っている土地を
利用
することによって
農業
を継続したいと思われるようなものは、これはいわゆる第二種の
兼業農家
にたくさんおりますので、そういう人たちはやはり自立経営
農家
を中核にして、そこで営農をやってもらうような協業その他の方法でこれを活用していくことが必要ではないだろうか。同時に今度出てまいります
工業
等について、その余剰の
労働力
ともう
一つ
は新しく農村に出てくるであろう
労働力
というものをやはり地元で吸収していくというようなことが必要ではないだろうか。 きのうもそういう話がよそで出ましたが、結局、それならば
工業
地帯における
労働力
がどうなるんだというふうなことを御質問になった方もございましたけれども、ずっと突き詰めて言えば、厚生省の人口問題研究所長の館博士が言っておるように、わが国の人口問題と
産業
の発展の将来については大問題が残されておると思いますけれども、そこまでいかないでも、やはり私どもといたしましては、自分の家から通勤して職場が得られるような体制というものは好ましい体制ではないだろうか、このように考えているわけであります。
北村暢
59
○北村暢君 大臣の考え方は大体わかりました。それで自立経営
農家
というのはやはり
目標
としてはおろせない、こういうことのようですが、その
目標
を置いてそれが自立経営
農家
を育成するということが
農政
の中におけるどのくらいの役割りを果たすかということですね。先ほど話がありましたように、
専業農家
というのは非常に減ってきている。
兼業
が多くなってきている。しかも、
農業
所得というのは伸び悩みで、
農業
外の所得が多い。
農家
の所得に占める割合がもう
兼業
所得のほうが大きくなってきているという
状態
です。ですから、まあ私は並木さんの説に全面的に
賛成
するわけじゃないですけれども、どうも
農業
近代化というと、もう
農業
は自分はやらない、やらないんだけれども、土地は持って請負方式でやっちまうというと、これは
農民
だか労働者だかわからないようだが、財産的に
農地
は持っているというのがやはり出てくるのではないか。そういう点はあり得ると思うんです。 したがって、そういう面における
農政
の重点は、一体自立経営
農家
というものの育成にしがみついていいんだろうかどうだろうか。私どもは自立経営
農家
というのは、実際問題として
農民
の土地に対する執着というものは非常にきびしいものですから、それだけやはり自己防衛の意味において
農民
というものはなかなか
農地
を手放そうとはしない。したがって、私どもはなるべく共同化の方向へいって、しかも近代
農業
が入るような形に持っていかなければならない。だから、まあ自立経営
農家
というものは実際問題としては非常にむずかしい。経営
規模
を
拡大
するということは非常にむずかしい。それなるがゆえに共同化をしていくべきだという
意見
を出しているわけなんですけれども、この共同化もなかなかこれは言うべくしてむずかしいです、確かに。 でありますが、そういうことで、いままでの
農林省
のとった
農地
の流動化政策なりあるいは
雇用
の問題なりというものは、やはり一貫してさっき大臣のお答えになったように、自立経営
農家
というものを捨て切れないでいるところにどうも政策が集中するんですが、その効果が上がらないという結果になっているようですね。そこら辺に私はやはり反省する必要があるんじゃないかと思う。どうもこの国会の答弁を聞いていても、
農業
基本法というものについて誤っていないと、こういうことで、その方向にいくんだと、こういう答弁ですから、それに集中するということになるので、そういう答弁になるんだろうと思うんですが、現実問題としてはなかなか政策効果が上がっていないんですね、これ。事実問題としてそこに私はやはり基本法
農政
というものを検討する必要があるんじゃないかということを強く感じているんです。 そういう意味で、この点については論争していてもあれですから、私はこの点はこのくらいにいたしますが、とにかく大臣が言われるように、これが構造
改善
等に役立つためには、私は農村へ進出してくる
企業
が、安い土地とそれから安い
労働力
、こういうものを当てにしてくるといういき方では、私は非常に大きな問題があるんじゃないかと思うんです。事実問題として、いま農村へ進出している
企業
がどのくらいの賃金を払っているか。圧倒的にこれは
女子
労働というものを
対象
にした
企業
というものがいま東北の農村地帯に非常に多く出ておりますね。その賃金が大体八百五十円ぐらいですね、八百五十円から九百円、男で千二、三百円、こういう賃金で一体出かせぎをするなといったってそれは出かせぎしますよ。定着さして、社会問題化しているこの出かせぎをなくしようとしても、これは問題がある。いま
中高年齢層
の出かせぎをやっている人は東京、大阪へ来て何をやっているか。一番手っとり早いのは、地下鉄の穴掘り、これは一日五千円ぐらいになるのです。幾ら地場に近い家庭から通って、
在宅
通勤ができるといっても千二、三百円じゃもうこれは合わないわけですね。農外所得をふやすという結果にならない。いまの
兼業
所得で、
農家所得
はようやっと上昇している。
農業
所得は逆に停滞しているわけですから、農外所得にたよっている。それが低賃金であったならば、これは出かせぎするなというほうが無理なんで、やはり高い出かせぎのほうへ行ってしまう、こういう結果になると思うのです。 したがっていわゆる
在宅
通勤ということを言われる、まあ若年労働者で新規の人が
企業
に採用される、それもけっこうです。けっこうですが、しかし多くの
企業
は地価の安いのと、それから安い
労働力
を
確保
できるというところに魅力があって分散してくる、こういうのだろうと思うのです。それは
企業
側からいえば当然利潤、採算ということを考えるのですから、当然のことなんです。それがいま一般に行なわれている農村地帯における
企業
進出、そういう点について一体この法案が通ってどういう指導をして
兼業
所得というものを、あるいは離農するような方向に持っていけるか、これはもう非常に大きな問題だと思う。しかも
中高年齢層
を定着させるということは、
職業訓練
の問題もありましょうし、非常に問題です。今度の
基本計画
なり、
実施計画
の中で、構造
改善
に役立つための
中高年齢層
の採用を義務づけるようなこともやるようでございます。そんなむずかしい
条件
をつけて、一体この資本主義の世の中で、もうけるということを原則にしている
企業
が、
農業構造
改善
事業
に役立つために、農村へ
企業
がわざわざ利潤を犠牲にしてやってくるかどうかというところに、私は非常に問題があると思うのです。そのために
税制
なり、
金融
面なりのある程度の有利性というものをやっておる。これはあとから
説明
してもらいますが、その程度のことで、一体いま申したようなことで、
企業
が簡単にくるのかどうなのかという自信がおありになるのかどうなのか、この点をひとつ、もう少し政策的な問題としてどのようにお考えになっているかお伺いしたい。
倉石忠雄
60
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) これは私のほうからお答えするのが適当かどうか、通産省のほうかもしれませんが、私どもの立場から申しますならば、いま多くの
企業
というのは、やっぱりとにかくコマーシャルベースで、そろばんだけとっておったのでは、その
企業
それ自体の公共性と申しますか、そういうことをかなりのウエートをもって考えませんというと、いまの社会では
企業
は先行していかないと思いますし、また多くの経済人もそういうことを考えておると思います。それからまた
農業
者側のほうから考えますと、なるほどいまおっしゃいましたように、都会地に出てきまして土木
事業
等をおやりになればある程度の高い給料は入るかもしれませんが、しかし、仕事が終わったあとふろに入ってからさびしいから一ぱい飲む、夏になれば暑苦しくてよく眠れないというようなところよりは、ちっとは安くてもかわいい女房、子供と一緒に空気のいい先祖代々の農村に生活をしておられるということは、また貨幣で計算のできないよさがあるわけでありますから、それはそろばん勘定だけでもいけないのじゃないか。 要は率直に申しまして、私どもいなか出の代議士でございますから、私どものほうでも自分たちの県費でつくった
工業
学校で、せっかく育った子供たちは卒業したら地元に一人も就職していないという、これが地元の県民の嘆きでありまして、そういうようなもろもろのことを勘案しますと、やっぱりできるだけ
公害
を伴わないような
計画
を立てながら、国、県、
市町村
が一体になって、地方に
雇用
機会を
拡大
し得るようなものを持ってくるということが全体として好ましいことではないだろうか。 まあそういうことを十分理解していただいて、そしていま
労働力
のとかく不足がちなときに、やはり地方の
労働力
、それから米には水が必要でありますから、水は大体地方に十分
計画
すればあるでありましょうし、電力は十分でありますので、私は十年前に
農業
基本法を国会できめますときに、北村さんもその当時おいでになったはずでありますけれども、あの基本法第二十条には、農村の
工業
を
振興
するということと同時に、そういうことのために
職業訓練
をやる。ちょうどいま、私ども本
法律案
のとき考えておりましたことは、基本法でも当時そういう方向を示しておるのでありまして、ただ、ただいまいろいろ北村さんのお話の中には、本法
実施
の過程において私どもが大いに注意しなければならない諸問題を御指摘になっておられる貴重な御
意見
だと拝聴いたしておるわけでありますが、これを実行してまいるのにそういう御
趣旨
をうまく体して、ひとつみんなで、通産、労働、農林、
三省
一生懸命でそういう方向でやってまいりたい、こう思っているわけでございます。
北村暢
61
○北村暢君 そこで法案関係について若干質問いたします。
主務大臣
が
基本方針
をきめることになっており、そして
都道府県知事
は
基本計画
を定め、
実施計画
は
都道府県
と
市町村
でやる、こういうふうになっておるのでありますが、
基本方針
には若干
内容
的なものが出ておりますが、どういう
趣旨
のことをおきめになるのか。 それから県段階の
基本計画
、これにはいろいろきめるようですが、私は、最後の
実施計画
というものについて、しかも
衆議院
段階で
修正
されまして、いずれも
審議会
を置く、こういう
修正
がなされたのでありますが、特に
実施計画
の場合に、先ほど申した実際の農村における
農業構造
改善
事業
に役立つし、さらに
農地
のスプロール化を防ぐ、そのための
計画
的な
工業
の誘致をやる、これはけっこうなんですが、この
実施計画
に対する諮問機関である
審議会
を置くことができるということで、これは置くか置かないか
市町村
なり県の自由裁量になるわけなんですけれども、ここで私はやはり相当地元の
意見
というものが反映されるような形で、
公害
問題なり、先ほど言った賃金問題なり労働
条件
の問題なりというものが、ある程度
企業
にこれは義務づけるわけにもいきませんし、何もいかないんだが、地元の
意見
というものを述べるような
措置
というものが考えられなければならないのではないかと思うのです。 ということは、地方における
企業
進出なんというのは、労働
組合
一つ
つくるったって労働
組合
つくる者はやめてもらってけっこうですと、そういう
企業
が非常に多いわけですね。そういう
状態
なんですからまだまだ——農林大臣は、先ほど言われたように、あまり利益ばかり追求しているような
企業
は
企業
の将来性もないしなんて言っているが、そういうなまやさしいものではないと思うんです。労働
組合
つくるなんと言ったら一ぺんに首になっちゃうぐらいなんだから。そういう
企業
が進出するんですよ。しかも、先ほど来問題になっているように、ちょっと技術水準の高いものは地元の
職業訓練
受けた程度のものではもうだめなんです。それで資本力のある大
企業
なんというのは技術陣は全部持ってくる。これは当然かもしれませんけれども。そんなことで、
企業
は来たが、地元の
雇用
はなされない、
雇用
されれば労働
条件
は悪い、こういうことになりかねないんですね。 そういう意味において、
実施計画
をさせる諮問機関である
審議会
等においてそういう地元の
意見
を入れるような
配慮
がなされるべきじゃないかと思うのですが、しかもこれは置くことができるということで必ず置けということにもならないわけですから、そういう意味において指導のあり方としてどのようにお考えになっているか、これを伺いたい。
中野和仁
62
○
政府委員
(
中野和仁
君)
実施計画
を立てる際に、地元の意向をいろんな方面から反映させる必要があるということは御指摘のとおりだと思います。それでもわれわれといたしましては、
政府
原案では法文には
審議会
のことを書いてございませんでしたけれども、予算の面では県の段階にも
市町村
の段階にも協議会を置く、それから
市町村
段階の場合は進出
企業
を含めまして、いろいろな
計画
の話し合いをするための部落座談会を開く、こういう予算等も持っておるわけでございますが、
衆議院
の段階で「
審議会
を置くことができる」となったわけでございます。「できる」と書いてあります
趣旨
は、伺いますところによりますと必ず置けということになっておりませんけれども、これはすでに県の段階でも地方開発
審議会
等がございます。したがいまして、それの部会にしたほうがいいような県もあるわけでございまして、必ずこれを置かなくてもほかの部会で代用できる場合もあり得るというような
趣旨
で「置くことができる」ということになっておるようでございますが、ただいま申し上げましたように、予算を全部つけておりますので、できるだけ、こういう
審議会
が置かれます、あるいは別の
審議会
で十分こなせる場合にはそれでやっていくとか、民意を反映するようなやり方をやりたいと考えております。
北村暢
63
○北村暢君 次に、第二条の指定
地域
の問題については他の
委員
が質問するそうですから省略をいたします。 次に、この法律に基づくいろいろな
優遇措置
というものが他の
地域
立法と比較してどういう有利な面があるかという点について
説明
をいただきたいと思います。
中野和仁
64
○
政府委員
(
中野和仁
君)
優遇措置
は主として
税制
上
金融
上の問題等あるわけでございますが、いろいろ比較いたします
制度
がたくさんあるわけでございますが、今度の
農村地域
工業
導入
法案とよく似ておりますのは
過疎地域
の
振興
法、あるいは低開発
地域
の
振興
法でございます。これにつきましては大体
事業用資産
の
買い
かえあるいは
減価償却
——国税でございます。それから
地方税
の
事業税
、
不動産取得税
、
固定資産税
の免除あるいは不均一
課税
の取り扱いは大体同じでございます。ただ違いますのは今度の法律におきましては、
農地
を
工場用地
等に譲渡いたします場合の
譲渡所得
税の
軽減
をする、これはこの法律だけの
特例
でございます。システムその他が若干違うわけでございますけれども、新産
都市
あるいは
工業整備特別地域
というものとの比較をいたしますと、先ほど申し上げました
税制
の中で
減価償却
の
特例
あるいは
地方税
におきます
課税
の免除、それから
事業税
の不均一
課税
、これは両方ともございません。こちらのほうにはそれがあるわけです。また首都圏、近畿圏、中部圏につきましてもいろいろ
特例
があるわけでございますが、この三圏につきましては
事業用資産
の
買い
かえの
特例
がございますが、
減価償却
の
特例
はございませんし、
所得税
におきましても先ほどの新産
都市
と同じように取り扱われることになっておりますので、
農村地域
工業
導入
法案が
特例
としては多く盛られておるということになるわけでございます。ただ新産
都市
あるいは工特あるいは三圏の問題の場合は、こういう具体的な比較をしますれば、小
規模
工業
の
導入
と違いまして、公共的な
施設
に対しまして国の補助率のかさ上げ、あるいは
地方債
についての利子補給というようなことは、別途公共
施設
についてはそちらの法律にはあるというような違いもあるわけです。それから
金融
面につきましては、おのおの開銀、あるいは東北開発等の地方開発のワクがあるようでございますが、これはおのおのにあるいは適用になるかと思いますが、特に先ほど御質問がありました農村
工業
地域
の場合につきましては農林中金からも
融資
ができるというのが
一つ
の
特例
になっている。大体、概略申し上げればそのようでございます。
北村暢
65
○北村暢君 もう
一つ
。いま土地改良法
改正
でもってこの
工業
用地もあわせて土地改良
事業
で行なうことができる、これはちょっと通りそうもないようですが、それがありますね。その場合一般の
工業
用地造成と比較して、土地改良には相当な助成があるわけですが、そういうものに比較して、造成される土地というものが比較的安くできるのじゃないかというような気がするのですが、その点はどうなっていますか。
中野和仁
66
○
政府委員
(
中野和仁
君) 一般の
工業
用地と比較いたしまして、安くできるかどうかということになりますと、これはおそらく地元の土地を放しました
農家
の意向とか、いろいろ出てまいりますので、一がいには申せませんけれども、単に工場が誘致される、それじゃあこのくらい上がりそうだということではございませんで、土地改良区が創設換地、あるいは異種目の換地をやりまして、
離農者等
の土地を、工場誘致のところに土地を集めまして、
農業
をやろうとする
農家
については、あわせて圃場
整備
をいたしまして、そこで交換分合するような形になるわけでございます。そういうことで土地を提供するということになるわけでございます。その土地を土地改良区なりあるいは
市町村
が取得をいたしまして
企業
側に売るということになりますので、中間にブローカーが入ってつり上げる、そういうことはない、そういう面では確かに適正な地価が算定されるというふうに考えておるわけでございます。
北村暢
67
○北村暢君 それでは自治省にお伺いいたしますが、われわれしろうとが見てもこの十条は法文がややこしくてわからないのですがね、これは一口に言ってどういうことになるのか。「
地方税
の
課税
免除又は不均一
課税
に伴う処置」、この十条の
内容
をしろうとにわかりやすくひとつ御
説明
願いたい。
横手正
68
○
説明員
(横手正君) 御質問の第十条の
趣旨
でございますが、現在
地方交付税
の仕組みにつきましては、県なり
市町村
なりの
地方税
収入につきまして
一定
のルール計算を行ないまして基準財政収入額というものを算定いたしております。その際に、この法案によります
地方税
につきまして、その中で十条にあります
事業税
、
不動産取得税
、あるいは
固定資産税
につきまして
課税
免除等が行なわれました場合、実は基準財政収入額の総額部分はこうした
課税
免除等がないものとして一応総額が算入されておりますので、その総額から
課税
免除等による
減免
額、こうしたものを控除する必要が出てまいります。そこで、その控除するに当たりましての方法なり、あるいはそうしたものにつきまして自治省令で定めるような
趣旨
の
規定
が盛られておるわけでございます。なお、この条文の後段のほうにございますが、
事業税
と
固定資産税
につきましては、こうした減額分の
補てん
の期間は三カ年にいたすことにするという
規定
が盛られております。 それから終わりのほうでございますが、実は交付税の算定は、従来七月ごろに実質的な算定を行なっておりますが、
事業税
につきまして当該年度の五月の末までにはっきりいたしたものを当該年度に算定いたしまして、それ以降のものは翌年度において控除すると、こういうような技術的な面もございまするが、そうした
内容
のことを織り込んだ
規定
でございます。なお、この
規定
は、先ほどちょっと問題に出ておりましたが、低開発
地域
あるいは新産、工特
地域
、こうした場合に、
地方税
につきまして
課税
免除等が行なわれました場合同じような
特例措置
が行なわれておるわけでございますが、その
規定
に準じて
規定
されておるものでございます。
北村暢
69
○北村暢君 そこで、その際における自治省の省令できめる
理由
。この省令のあれを見ましても、これまた複雑で私どもにはあまり理解できないのですが、
過疎地域
と
山村
地域
というのは全
地域
にわたってこの
措置
がとられますね。ところが、
農業振興地域
は特定の
地域
を
導入
地区に限って適用する、こういう
趣旨
が含まれておるようですね。これは間違いございませんか。
横手正
70
○
説明員
(横手正君) そのとおりでございます。第十条の初めのほうに「
工業導入地区
のうち政令で定める地区内」というような
地域
についてのしばりはございます。
北村暢
71
○北村暢君 そこで、こういうものは、
山村
地域
とか
過疎地域
には
工業
が
導入
されて
事業税
、
不動産取得税
、
固定資産税
、こういうようなものがわりあい少ないのかもしれない。しかも今度の法案では
農業振興地域
でも政令で十万以上ということのようですが、十万以上の
都市
のところは除くことになっていますね。そういうようなことからいって適用される
地域
というのは、まあまあ十万以下の
都市
ですからあまり地方財政も豊かなところではないんじゃないかと私は想定されます。 それと同時にお伺いしたいのは、この政令の定める地区内というのですから、特定の
地域
と、こうなるわけです。
地域
が制限される、こういうふうに。その場合に、
山村
地域
は別ですね。
山村
地域
はこれは全
地域
ということになっていませんね。
過疎地域
はその全
地域
になっていますね。
過疎地域
と
山村
地域
を区別する
理由
は私はあまりないんじゃないかと思う。それが
一つ
。 それからもう
一つ
は、
農業振興地域
でも十万ぐらいの
都市
のものは除くわけですから、これまた
過疎地域
、
山村
地域
にやや近いものになる。やや近いかどうか、だいぶ差があるかもしれないけれども、まあ、そう思うのです。 それからもう
一つ
は、この政令できめる特定の
地域
というものの
規模
は一体どのくらいのものを考えているか。先ほど通産省の話によると三千カ所でもって三千ヘクタール、したがって、大体一
企業
一ヘクタールぐらいのものですね。ところが、この資料等によりましても、大体地方に出るものについては
規模
が小さいものが非常に多いわけです。そういう点からいって、団地にしても、新産
都市
とか、特定
工業
地域
とか、これは問題にならない。団地をつくったにしても小
規模
の団地になっていくのじゃないか、そして数は非常に多くなる、このように思われるのです。しかもこの数は二千五百近い、まあ大部分の
市町村
に適用になる、こういう問題なわけなんですが、そこで、農振
地域
というものを特定の
地域
区切ってやるというのですが、一体それはどんな
規模
のものを考えておられるのか。私はこの過疎が全域に適用されるのに
山村
は全域ではない、農振
地域
も全域でない、ここら辺にどうもこの保護の助成というか、何というか、
優遇措置
というか、
税制
面の
優遇措置
というものをせっかく
規定
を設けるが、それが実際にこの政令のきめ方によって恩典に浴することができないものが出てくるのじゃないか、このように思うのです。 したがって、私はやはり何とかしてこの恩典を、この
農地
を取得した者に対する
課税
とかね、そういうものはひとつ免税をしてやるということがこの政策
目的
を達する上においてあたたかい
配慮
ではないかと思うのです。そういう面において自治省はなるべく押えようとするのか、なるべく優遇してやろうというふうにお考えになっておるのか、ここら辺のところの考え方をひとつ明らかにしていただきたい。
横手正
72
○
説明員
(横手正君) 第十条にありますこの「政令で定める地区」でございますが、現在のところ
農林省
のほうと内々協議中ではございますが、まだ結論までに至っておりません。ただ、基本になる考え方といたしましては、やはりこの法案の
趣旨
に沿いまして考えてまいる必要があろうかと思いますが、そういうことになりますと、やはりこの
規定
自体、あるいは
地方税
の
課税
免除等の
措置
は
工業
導入
のいわば誘い水的な役割りを果たしておる、かようにいえるかと思いますが、その際にやはり私どもとしては、工場が虫食い状況ではりつく、あるいはそうしたものが集積して新たな
公害
問題でも発生するというようなおそれは避けてまいる必要があろうと思います。なお、いま
一つ
この法案の
趣旨
からしまして、やはり
雇用
率を高めるといいますか、その
地域
の住民の多数が
雇用
される機会が与えられるようなそういう形の方向で考えていく必要があろうと、かように思っております。したがいまして、ただ金目の計算でこうしたものをできるだけ押えてかかろうとか、あるいはゆるめてかかろうとか、そういうところまではいまのところ考えていないわけでございます。
北村暢
73
○北村暢君 ですからね、この
工業
を
導入
することによって、貧弱な財政の
市町村
も若干でもゆとりが出てくるように将来なるわけでありますから、そういう意味において
減免
をしたという場合に、その効果が将来あらわれて返ってくるものであると、そういう観点からなるべく
導入
しやすいようにしてやることが将来における
地方税
金体において裕福になっていく。そういう意味でどちらかといえばやはり財政
規模
の貧弱なところにこの法律が適用されるわけでありますから、そういう意味において私はどうも全部やれば普遍的になって
特例
でなくなってしまうというような
意見
もあるようですけれども、それでもなおかつ財政
規模
の貧弱なところですから、やはり交付税で見てやるということで
減免
をしてやるということが望ましい、こういうふうに思いまするので、この点はぜひひとつ要望として申し上げておきますが、運営上はこの政令のきめ方等はいま私が申し上げたような
趣旨
でぜひやっていただきたい、こう思うんです。この点について、いやそれはそうやりたくてもできないというんじゃあれですが、
趣旨
を尊重していただけるかどうか、この点ひとつお伺いをしておきたい。
横手正
74
○
説明員
(横手正君) 御
趣旨
は十分尊重して検討してまいりたいと、かように思います。しかし、先ほどもちょっと申し上げましたように、最近の虫食い状況で侵食されるというようなことにならないように十分私ども根本的に検討してまいりたい、かように考えます。
村田秀三
75
○
村田秀三
君 私はまず経済企画庁の総合
開発局長
にお伺いをいたしますが、
一つ
の問題に集中してお伺いをいたします。 法第二条に関連する政令見込についてでありますが、いただきました「
農村地域工業導入促進法案
政令
規定
見込
事項
」、第二条に関連する部分はこの第三であります。そのうちの新
産業都市
の
区域
及び
工業整備特別地域
に関連する部分でありますが、この見込
事項
で見ます限り、「
都市計画
法第五条第一項の
規定
により
都市計画
区域
として指定された
区域
の全部又は一部がその
区域
内にある
市町村
の
区域
であること。」、こういうことになっております。しかしながらこの文章を見る限りはなかなか実態と直ちに結びついてこないわけであります。 この
内容
をいろいろ前もってお聞きする限り一番問題になりますのは、新
産業都市
に指定をされております
地域
内の問題である。それをこまかに申し上げますが、その第一は、
都市計画
法に基づく線引き——まあこれは私は新
都市計画
法と、この際申し上げておくわけでありますが、その線引きされた
範囲
内は
除外
される。これは私も了解をするわけであります。しかしながら、今日の新産
都市
の
実情
を見ますると、これは先輩が努力をいたしましてそういう
地域
を指定したのでありますから、いまさら何も言うことはないのでありますが、その新産
都市
地域
の中にこの
法律案
の
趣旨
である純
農村地域
に
工業
を
導入
したいとするところの
目的
に適合するような
地域
がずいぶんと存在をしておること、これは私が申し上げなくてもおわかりのことと存じます。しかもその
地域
の中で旧
都市計画
法に基づくところの登録がなされており、かつ申請されておりながらそのまま放置されておるという
地域
もあるようであります。また全然この
都市計画
法に関連をしない
地域
もあります。 聞きます限りこの
工業
導入
促進
法が適用されます
地域
は、新旧を問わず
都市計画
法の全然適用されない
地域
は
農村地域
として指定をしてもいいということになっておるようでありますが、旧
都市計画
法に基づいて登録された
地域
ないしは申請をしてそのまま放置されておる
地域
は
農村地域
として認めないという方針であるやに聞いておるわけであります。しかしながらこれをよく考えてみますと、旧
都市計画
法に基づく
計画
地域
、これなんかも全然もう法益は受けておりませんし、無関係の
地域
と何ら
条件
は変わりないわけであります。したがって、この際旧
都市計画
法に基づく
地域
もこの法律の適用
地域
に指定するということが
実情
に合わせてより適当であると実は私はそう思うわけです。したがいまして、新産
都市
の中における
除外
地域
というものは新
都市計画
法によって線引きをされたうちの
区域
である。それ以外は全部適用されるべきである、こう実は考えるわけでありますが、経済企画庁の所見をお伺いいたします。
鈴木省吾
76
○
鈴木
省吾
君 関連させていただきます。私も実は質問を通告いたしておりまして、特にこの問題を
中心
に質問するつもりでおりましたが、時間もだいぶたちましたので、
審議
の能率化に協力する意味におきましてここで納得の得られる答弁があればあとの質問は取り下げてもいいと考えておりますので関連して伺うわけでございます。
内容
は全く同じなんでありますけれども、御承知のように新
産業都市
指定以来相当年月もたっております。しかし、十五地区二百七十一
市町村
と聞いておりますが、
産業都市
の指定町村はこのうちただいま
村田
委員
から言われたように
都市計画
法に該当している町村は本法の適用から
除外
されるというふうに何かいまの政令
規定
見込
事項
というものを見ますとなっておりますけれども、そうなりますと例をあげて恐縮でございますが、私の県の郡山、いわき地区などは、中間に阿武隈山系という過疎地帯、しかも
農林省
で最近大
規模
農業
開発をやろうというような地区が相当入っておるわけであります。これからもこの新
産業都市
の恩典に浴しない町村が多いわけでありまして、新
産業都市
の恩典にも浴しない、本法の適用も受けられないということになりますと、どっちのほうからの恩典にも浴さないという非常に不合理が出てくるわけでありますから、ただいま質問のあったように、せめて新
都市計画
法による線引きをしたところはやむを得ませんが、そうでないところは本法を適用するというふうに政令で
規定
をしていただきたい。願えるかどうか、その点ひとつはっきり御答弁を願って、納得のいく答弁があればあとの私の質問は取り下げてもけっこうだと思いますが、いま企画庁という答弁の要求でございますが、主管庁が幾つにも分かれているようですから、どうぞひとつ統一見解をお示し願いたいと考えます。以上です。
岡部保
77
○
政府委員
(岡部保君) ただいま両先生からの御
意見
でございますが、まず最初に結論を申させていただきますと、両先生の御
意見
に全く同意をいたします。ちょっと
説明
をさせていただきますと、先日
衆議院
の
委員会
でも私御答弁申し上げたわけでございますが、考え方といたしましては、新
産業都市
というものの開発
計画
、これは拠点開発方式であり、比較的大
規模
な
工業
というものを
一つ
の核とした
工業
都市
の建設と申しますか、というような開発方式であるわけでございます。そこで、今回のこの法案によりますものと実際の性格は若干違っておるのじゃないかという感じがいたします。そこで、むしろ
農政
の
振興
と申しますか、
農業
の
振興
と申しますか、そういうものが
一つ
の
中心
であって、そのためにいろいろ御議論がありましたように、
工業
の
導入
をはかるというのがおもな筋書きだと存じます。 そこで、こういう
地域
開発上、
一つ
の、何と申しますか、
目的
と申しますか、この姿の違うものがこういう同じような
地域
にかぶさってくるという場合に、どういうふうに考えたらいいかという点、これは必ずしもこの法案と新産
都市
の法律とのダブル指定と申しますか、重複だけではございませんで、そのほかにもいろいろ例があるわけでございます。そこで私ども現在、いわゆる
地域
開発
制度
問題として、いろいろな開発
計画
というものを何とかもう少し
調整
する必要があるのではないか。これは数年前にだいぶ皆さま方の御指示もございまして、この二、三年間いろいろ検討をしている最中でございます。ただ、非常に現実にはむずかしい問題がございますので、まだ具体的な成果をあげるところまでいっておりません。しかし、いずれにせよ、こういう重複問題という点については、どういうふうに考えたらいいかというものの
一つ
のあらわれがここに出たのではないかと存じます。 そこで、新産
都市
の考え方、いわゆる
都市
工業
を
一つ
の核にいたしました
都市
づくりという問題、先ほどもこの財政援助の主体というものがどこにあるんだというような御
説明
がございましたが、たとえば
一つ
の例を申し上げますれば、いわゆる基盤的な
整備
、何と申しますか、
都市
づくりのための社会資本の
整備
というものに対して
市町村
の行なう
事業
については、国の補助率、
負担
率をかさ上げするというようなのが新産
都市
の法律には入っておるわけでございます。そこで、むしろそこに入る
企業
の財政上の助成というものは、この法案のほうがはるかに上回った助成をしておる。そういうような点から見ましても、要するに片や
都市
づくりという感じでございまして、片やむしろその
地域
に
工業
を
導入
することによって
農業
の推進をはかる、
農政
の
振興
と申しますか、というような感覚で、若干の食い違いがある。 そこで私ども考えておりますのは、
都市
づくり、
都市
という感覚の強いものについては新産
都市
でいくべきではなかろうか。それから農村という問題の点の非常に強いものについてはやはり本法案でいくべきではないか。そこで
一つ
の線として、結局
都市計画
法でいわれます
都市計画
を
計画
するというのが、これが
一つ
の
都市
としての感覚、開発の強さというものをあらわすものではなかろうかということで、ここで
都市計画
法が出てきたわけでございます。そこで確かにいま御指摘ございましたように、
都市計画
法の現行法で、第五条の第一項で
都市計画
区域
に指定するということと、それから先ほども御指摘ございましたように、さらにそれの内訳として七条にございますが、いわゆる市街化
区域
あるいは市街化
調整
区域
というような
区域
分けをするという問題と、二段階に
都市計画
の法律のたてまえはなっております。 そこでいまおっしゃいましたように、この具体的に
都市
という問題を非常に問題視されておるという、いわゆる線引き
地域
でございますが、あるいは近々に線引きをするであろうという
地域
につきましては、これは新
産業都市
の法律を純粋に適用する。しかし、この
都市計画
の法律がどこにも及ぶわけでございますが、この
都市計画
としてまだ十分にいっていないと申しますと語弊があるかもしれませんが、ある程度の段階でとまっておるというような問題については、現段階ではやはり
実情
に従いましてこれは農村の問題で扱うべきであるということになるかと思います。したがいまして、ただいまの御
提案
に対して同意いたしました次第でございます。
鈴木省吾
78
○
鈴木
省吾
君
農林省
。
倉石忠雄
79
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) 新産
都市
の所管しておられる企画庁からただいまお話がございましたとおりであります。私どもはいま
鈴木
、
村田
両
委員
のお尋ねの問題につきましては、同じ精神で本法の運用にあたっても取り組んでまいりたい、こう思っております。
村田秀三
80
○
村田秀三
君 そこで要望申し上げたいと思うのですが、何かいままでの経過から見ますと、
都市計画
法とそれから
農村地域
工業
導入
促進
法あるいは新産
都市
指定ということで、何かこう交通整理が容易じゃないと、技術的には多少矛盾も考えられないこともないわけです。しかしながら、つまり広大な新産
都市
を指定して、その中にはクマやキツネが出るようなところもあるということ、指定はされながらどんどん過疎化をしていくという現実、積極的に先輩がこの指定の中に入ろうとしたその考え方というのは、過疎化を防ぐ、開発をしたい、この念願がかかっていると思うのです。しかるところ今日新
都市計画
法で線引きされた
範囲
というのは、これは積極的に行政が財政を投入する、また自然的にも
条件
がよい、こういう
地域
であろうと思うのです。もっともっと新産
都市
に指定をした段階においてからも、これは積極的に財政投入をしなければ開発のできない
地域
、これが今日やはりいま論議されている問題の地点だろうと思うのです。 そうしますと、おれのほうはこれが担当であるから、あるいはこちらはおれの担当であるからと、そういう問題ではなくて、いわゆる
工業
導入
促進
法の利益、それから新産
都市
に指定されたところの
条件
、これは違うわけでありますが、違ったからこれは問題があるんだということではなくて、まあ実は指定をされましても、具体的にどういう
規模
の工場が、
産業
がそこにくるのかは存じませんけれども、それだけをぽつり
条件
を
整備
しようとするならば、やはりその村の財政力ではなかなかできないという問題が出てこようと思います。つまり
地域
だけを
一つ
ぽっと穴をあけてそこだけを開発するわけにはいかないわけでございますから、これは福島県の例でありますが、田村郡の平田村あるいは三春、これは郡山なら郡山ないしは平なら平と短絡をする道路の
整備
であるとか何かの問題になるのでありますが、そういうものの
整備
をしたいと思っても財政力がない、公共
事業
を起こしたくても起こせないという
実情
があるとすれば、これは二つの法律をあわせて何といいますか考えていっても、ダブってもむしろ差し支えのない
地域
である、本来的に。そういう考え方が私は前提にあってこの法律の運用をはかっていただきたいと思います。まあ所管は
農林省
でありますから大臣の御答弁もありましたからその辺のところは間違いなかろうと思いますけれども、つまり新産
都市
に指定をしてもらいたいとするその気持ち、しかもまた今回の
工業
導入
促進
法も適用させてもらいたいとする気持ち、すべてやはり過疎化を食いとめ、そしてここをどうやって開発をしようかという願いにほかならないと思うのです。そういう点をひとつ御考慮をいただいて完全な運用がはかられるように強く要望いたしておきたいと思います。
堀本宜実
81
○
堀本
宜実君 私はこの農村
工業
導入
、大
賛成
でございまして、いまから十年くらい前に当然行なうべきだというような主張をしたことがございます。そのときに十四の
課題
を出して、非常に
都市
に近い圏と
都市
に非常に遠い農村圏とでアンケートをとってみました。その十四はいま正確には覚えておりませんが、ただ覚えておりますことは、その十四の中で丸をつけていずれを望まれますかということで農村にその答えを求めた。その中に
農地
を増加していわゆる増強してそしてもっといわゆる自立
農家
といいますか、そういう
農家
になることを希望いたしますか、あるいは
兼業農家
を望みますか、というような、アンケートの中に
種類
があるわけでございますが、それははっきり記憶いたしません、十年くらい前です、
農業
会議
所におった時分でございますから。その中で圧倒的に多いのが自分が工場、
事業
場へ通うか、あるいは家族が工場ないし
事業
場へ通って賃金をもらうようないわゆる
兼業
でございますが、それが圧倒的に多かった、たくさんあった。それに一番たくさん丸がついている。ですから十年くらい前のささやかな
調査
ではございますが、農村で土地をつくってこんな難儀な仕事をまた土地をふやしてまでやりたくないという、まことに言い方がうまくないのでありますが、どうも表現がへたでありますので、十分わかりませんけれども、この仕事もそんなに土地をふやして私は努力するというよりも、賃金をもらってというそういう考え方が現在にずっと進んできて、そしていまでは
農業
といいながらも、
兼業
農業
のほうが多くなって、五二%ですか、ということになった
理由
もそこら辺にあるのではなかろうかと私は思うのであります。 そこで基本法によりますと自立経営というようなことを主体にねらっておることは御承知のとおりであります。私は自立経営というものがいかなくなった、
農林省
がもう自立経営
計画
の推進をあきらめたと申し上げるわけではございませんが、この農林
工業
というものは、これが要するに一町村に一工場、かりに——かりにですよ、私はできぬと思いますがかりにできたといたしますれば、
兼業
者がずっとふえてくるであろうというような感じをいたします。そうしますると、ねらっておりまする自立経営
農家
、ことばをかえて言いますれば、つまり大
規模
とまではいきますまいが、
規模
拡大
の
農業経営
というものとそぐわないものがあるのではなかろうかと思いますので、そういう点は今後は土地を手放してということになりますと、
農業
だけをやる自立
農業経営
者が私は必ずしもふえるとは言えない。そこでまとまった土地が、その
工業
が来たというようなことで
農業
をやめようかという人も出てくるのでありますから、自立経営、大
規模
農業経営
者はもう皆無である、なくなってしまうというふうには私は考えないのでありますが、将来
農林省
としてはこういう点を私は考慮に入れながら農村
工業
のアフターケアといいますか、そういうことと取り組んでいかなければならない問題があるのではないかということをここで指摘をいたしておきたいと思うのであります。もしそういうことについて御
計画
なりあるいは御研究をされておられれば御答弁をいただきたいと思います。 もう
一つ
、これは農村
工業
が三千と言いましょうか、あるいはそれに近い数を考えておられるのであろうと思いますが、なかなか来ないであろうというふうに私は思います。しかし、来るか来ぬかわからぬのに来るとか来ぬとかいうことを押し問答したってつまりません。来るようにしむけなければならないが、それにはもう少し来てもらわなければならぬ、あるいは行ってもよろしいという、いわゆる
工業
家が、
企業
家が喜んでむしろ来るというような方向へ指導していかなければならぬ。で、いまのこの
趣旨
では少しもの足りないような感じがいたします。政策として実にりっぱな私はいい政策だとは思いますが、しかしこれはまあ将来少し経過を見て判断をしないと、いまここでとやこう言う材料もありません。単なる想像でございますが、私はそういうふうに思う。 そこで一番憂慮をするのは、これは通産にも御
配慮
をいただかなければならぬと思うのでありますが、いままで農村人が
工業
をやったことでもうかったものはございません。やってはやめやってはやめ、非常に努力をいたしましたが、しておりますが、何も成功したものはございません。私は畳表にいたしますイが生産できまするので、農村
工業
という立場から畳表製造機を
農家
へ貸し付けてそしてそれをやりましたが、これも損でございました。赤字でございます。そしてあと続けていくわけにはまいりません。イモをつくっておりますのでそのイモもなかなか売れないようになりましたので、真空管設備を相当投資いたしまして水あめをこしらえて、しまいにはキャラメルのおばけみたいなものをこしらえて売りましたが、これも赤字でございます。ブドー糖工場が、これは御承知のように私の県のみならず全国にブドー糖工場をつくらなければならないというようなことでブドー糖工場をつくりましたが、どれも成功しておるブドー糖工場はございません。
農林省
がお立てになりました甘味資源
需給
計画
というのがございまして、それには少なくとも全部国内産でまかなうことができるように
計画
では立てておったのでございますが、まことにお恥ずかしい話でございまして、最後はあわが消えるように消えていって、残ったのは赤字だけでございます。農村で
工業
をやった例はまだそのほかにもございますが、もう一々申し上げません。もし必要があればまた何か申し上げることになるかとも思いますが、どれも成功したのがない。これはしかし農村人がやった。 ところが、今度来るのは
工業
をする
企業
として特技を持った人が来て、その人がいわゆる
農業
と
工業
との歯車をうまく合わして、
企業
経営をしようというのでございますから、私は、これもまあ成功するかもしれません、成功するであろうというふうにも思うのでございますが、いままでの私の経験からいきますと、なかなかそうなまやさしい、とりもちで物をとらえるようなぐあいにはいかないのではなかろうかという心配をいたしておるのでございます。とりわけ、最近中小
企業
が倒れます。大体一ヘクタールくらいの敷地でございますから、とても大
規模
のみずから基本的な
工業
が来ようとは思いません。たとえば組み立て工場、あるいは一部のもののみの生産工場であって、全般的なものを最初からつくり上げていくというような
工業
でないと思うのであります。そういうふうに考えますと、一番先に首を切られるのは下請工場でございます。最近の中小
企業
が倒産をいたしましたところを見ますと、自分のところがどうにもならぬようになってくるのに、人にやってもらっておる
工業
というものがいつまでも続こうはずはございませんので、あなた方はやめてください。どうもうまくもうかりません、売れませんというようなことで一番先にそれが首を切られることになるわけでございます。 そういう
一つ
の例を申し上げたのみでございますが、たいへんむずかしい問題が次から次へ出てまいります。そういうことについてもうだれかが御質問にもなったでしょうし、またお答えになったと思いますが、私の表現がまことにまずくておわかりにならなかったと思うのでありますが、そういうことで何か御検討があったのか、またそんなことはないんだ、そういうことがあったら国が
補償
をしてやるんだというようなことがありますか。あるいは県なりが
補償
でもしてやるような
制度
、あるいは指導をする意思がおありになりますか。もし何かそういううまいことがあればひとつお教えをいただいておきたい、こう思います。これは全部申し上げましたので問題がいろいろにわたりましたが、もし答えてええものがありましたらお答えをいただきたい。答える価値なしということでございまするならば、そのままお済ましいただきましてもけっこうでございます。
両角良彦
82
○
政府委員
(両角良彦君)
農村地域
に
工業
の
導入
を新しくやってまいりますと、ただいま御指摘をいただきましたように、いろいろな新しい、従来経験のなかった問題が発生し得るということは、私どもとしましても十分予想はされるかと存じます。このような事態でいたずらに
農村地域
におきまして摩擦と混乱が起こるということは、十分これは避けていかなければならない点でございまして、そのためにはやはりまず第一に、農村にこの法律に従って進出をいたそうという
企業
は、できるだけ優良な
企業
、同時に成長性の高い安定した経営が期待できる
企業
を選んでいくということが基本的な前提であろうかと存じます。またそれにもかかわらず、いろいろ経営の面で、あるいは技術の面で、その
企業
のいわば力をつけるという面での指導——これはやはり
導入
センターなり、あるいは
都道府県
の中小
企業
行政、あるいは中小
企業
事業
団の
振興
行政、こういったものを活用いたしまして、進出
企業
の安定的な経営に協力をしてまいりたい、こういうつもりで、とにかく農村と
工業
の二つからの
目的
を同時に達成できるように万全の努力をしてまいりたい、かように存じます。
中野和仁
83
○
政府委員
(
中野和仁
君) 先ほど
堀本
先生のお尋ねの中で最初のほうの二点にちょっと簡単に答えさせていただきたいと思います。
一つ
は、農村に
工業
が入ってきますことによりまして、自立経営との関係が問題でございます。確かに従来でありますと、単なる
企業
誘致が多くて、それに従いましてその村の
就業構造
とかいろいろな方面に変化をしてまいります。多くの場合
工業
化ということも言えますけれども、今回新しくわれわれ考えましたのは、そういう
工業
導入
を契機にいたしまして、まずその村の
就業構造
を高度化していこう、
改善
していこう、同時に、
農業
改善
事業
もそこであわせてやっていこうということになりますと、土地を手離します、あるいは工場に貸しますというような
農家
、それからその村の中にありまして
農業
を
中心
にやっていこうという
農家
がだんだん分かれてくるということまで頭に描きまして、これは
実施計画
の段階で非常にむずかしい問題があると思いますけれども、その辺に十分に気をつけまして
計画
を立てて進めていきたいと考えております。 それから二番目の農産加工の問題でございます。確かに御指摘のようなことが過去にあったわけでありますが、
農林省
といたしましても、生産
中心
から流通問題を考えようということになってきておりますが、その
一つ
といたしまして広域
市町村
圏というものをことしから始めようとしております。それは相当広範な
地域
におきまして生産から流通までを一貫した体系で、その中で、農協を
中心
にいたしまして、そこで生産されましたものを加工、そうして流通に持っていこうということで、相当な助成をことしから予算でも持っておりますので、ただいまの御注意十分頭に置きまして、今後のそういう面にも対処をしていきたいと考えております。
河田賢治
84
○
河田賢治
君 十四条の問題ですが、新しく農村に
工業
を
導入
するということになれば、もちろんこれは大きな工場団地をたくさんつくるわけじゃないのでしょうけれども、しかし
一定
の地方自治体に工場をつくれば、ここにも書いてありますように、「
工場用地
、道路、
工業
用水道及び通信運輸
施設
の
整備
」ということが必要になってくるわけですが、この問題についてかつて新産
都市
の経験を見ましても、こういう建設が進められたときに、自治体自身が特に大きな
工業
団地なんかをつくりますから、
負担
をかけられる。たとえばこれは岡山の県南の新産
都市
四市二十六町村の場合の数字でございますけれども、六四年から七五年の十年間に六千億の
事業
費が認められて、財源の
負担
割合が、国一八・六%、県二一・八%、
市町村
一九・九%の
負担
割合。これはほかに公社も三八・八%でありますけれども、こういうふうに財政
規模
が非常に大きくなり、
市町村
の財政
規模
というものが国や県なんかと同等あるいはそれ以上になる場合があるわけです。したがって、倉敷市でも六〇年以降の先行投資の増大、誘致条例による
減免
の影響で六四年には十一億円の赤字を出した、財政再建団体に転落したという事実もありますし、岡山県もまた六四年に自治省から財政再建の勧告を受けて、公社の乱造、自治体業務の下請、
農業
改良普及所の縮小、失対打ち切りなど、非常に大きな
合理化
や住民犠牲を全面的に強化する結果を引き起こしておるわけであります。 ですから、こういうふうに新しく
工業
を
導入
するということには、国なりあるいは府県が
市町村
に対する財政的な援助を相当しなければならぬ。特に道路につきましても、御承知のとおり、今日は主として運輸はトラックによっているわけですが、現在の道路を見ましても、わずかに
市町村
道の舗装率というものは九・五、六%ですね。これは非常に少ないわけですね。そうしますと、この
事業
を始めましても、まず最初にそういうものがある程度先行しなければ工場を誘致しても地方自治体に大きな利益はもたらさないし、またいろいろ工場が進出しようにも、道路あるいは用水等々の
整備
がなされないとこれは進出がしにくいという事態にあるわけですが、この点についてひとつ伺いたいわけです。こういう問題について先行投資を相当国が認めていかれるのかどうか、この問題ですね。
岡部保
85
○
政府委員
(岡部保君) ただいまのこういう
地域
開発の問題で、いわゆる社会資本と申しますか、そういう
施設
の
整備
というものは確かに地方の財政
負担
としてもいろいろ問題があると存じます。 そこで、これに対して私どもの基本的な考え方と申しますのは、いわゆる新全国総合開発
計画
でも考えておりますように、やはり環境づくりと申しますか、その
地域
の特性に応じての
整備
というものをこの開発の基本にどうしてもしなければならない。そのためには確かにお説のとおりに、相当程度の先行投資というものが必要であるということは私どもも全くそうだと思います。 そこで、現実の問題といたしまして、きょう、たしか午前中にもお答え申し上げましたのですが、新
産業都市
でたとえば生活関係の
施設
というものに対する投資が若干おくれたということが
一つ
の反省の問題になっておるような次第でございまして、こういう開発という問題につきまして非常に一般的な言い方で恐縮でございますけれども、こういう基本的な
施設
の
整備
というものをできる限り先行して進めるということをこれからも努力してまいる所存でございます。
河田賢治
86
○
河田賢治
君 各省ごとにいろいろの名前をつけていろいろ五カ年
計画
なり何かが進められておるわけです。たとえば建設省は地方生活圏構想というものをつくって、それに基づいて道路
計画
が行なわれている。そうしますと、この建設省の地方生活圏構想というものと今度の
工業
導入
地域
の問題、これがかみ合っているのかどうか。かみ合わせるのかどうかという問題。それからまた、地方生活圏に入らぬようなところはおそらく建設省はいまのところは予定がないんでしょうから、そうしますと、この生活圏以外の
市町村
が
工業
導入
計画
を立てた場合に、道路用地、下水道等の
基盤整備
を
市町村
の単独
事業
でやらなければならぬという結果をも生むわけです。こういうそれぞれの各省別にいろいろな
計画
を持っておられるのですが、この
工業
導入
についてのお考えはこれはどこできちんとまとめて、
農林省
は
農業構造
改善
地域
を指定する、あるいはまたこの法案にのっとって建設省がそういう
工業
導入
をしようという
地域
に主としてそれを先行的に道路の
整備
やその他をするということが必要じゃないかと思うんですが、この辺はどうなりますか。
中野和仁
87
○
政府委員
(
中野和仁
君) ただいまの地方生活圏あるいは自治省のほうで広域
市町村
圏の
計画
もございます。それ以外にも、この注文にもございますように、いろいろな
計画
が現在あるわけでございます。それとの
調整
はこの条文にもございますように、十分調和のとれたものにしなければならぬという、そういう気持ちで運用をしたいと考えておりますが、特にいまの御指摘の建設省との関連におきましても、国の
基本方針
を立てる際に、これは
関係行政機関
の長と協議をするということになっております。建設省とも十分その国の方針それからそれに基づいてできます県の
基本計画
におきましても、そういうものとのそごをきたさないような農村
工業
の
導入
のいたしかたにしたいというふうに考えております。
河田賢治
88
○
河田賢治
君 それから
促進
センターというものが今度できるわけですが、これがいろいろな
企業
の誘致や情報の提供等々の一種の仲介役のようなやり方をやる。そうすると、この
促進
センターというものがおそらく、これこれの工場がこれこれの町に来たがっている、あるいは村に、そこと話し合いをしなさい、というぐあいにいくんだろうと思うのですが、その場合に、そこへ行く
企業
の信用について、会社のしっかりとしたいろいろな営業
状態
やその他がこのセンターでつかまれて、そうしてこれはもう信頼できるといういわば国が太鼓判を押して、そうして農村へ紹介されるということになるわけですか。この辺の責任をどういうふうにはっきりと明確にどこまで持たれていくのか、ひとつ伺っておきたいと思います。
両角良彦
89
○
政府委員
(両角良彦君)
導入
促進
センターの仕事は、
企業
に対しましては
農村地域
に関連します各種の立地
条件
のデータ、情報
調査
のサービスをいたすわけでありますし、また農村、
市町村
に対しましては、進出を希望する
企業
の、ただいまお話のございましたような各種の情報資料を提供いたすわけでございまして、その間のいわば取り持ち役をいたすことになっております。したがいまして、御指摘のようなサービスはこのセンターで行ない得るわけでありますが、責任を持つという問題とは別個のサービス機関でございます。
河田賢治
90
○
河田賢治
君 それはサービスではありましょうけれども、しかし国がこれこれの
企業
が来たがっているということを言えば、相手のほうはそれを信用するに違いないですね。ちょうど結婚のときに仲人が、この女はだいじょうぶだ、この男はだいじょうぶだということを言えば、まあ大体仲人の言うことを聞くに違いないですね。その場合に、私がさらに進んでお問いしたいのは、先ほどもいま自民党の
委員
諸君から話がありましたけれども、
企業
というものは御承知のとおり、今日の経済の中のいわゆる好景気や不景気の中に存在しておる。したがって景気の影響で非常に
企業
のあり方というものは変わってくる。特に大
企業
などは御承知のとおり、たくさん子会社を持っておる、あるいは下請をずっと組織しておりますから、いざ景気が後退しますと、これらの工場をどんどん閉鎖する、あるいは縮小する、あるいは下請の加工賃を切り下げるというふうにして、不景気になった場合には自己防衛をやるわけですね。 ところが独立した中小
企業
やあるいはこれらの子会社的な存在は常にこういう景気が後退した場合には非常に見捨てられてしまう、労働者もまた失業者になってしまう、こういう問題が起こるわけです。現在でも昨年秋ごろから景気が後退して、今日たくさん大工場の分工場が
事業
の縮小をやる、臨時工全部を首切る、あるいは本工の三分の一の者を解雇するというようなことを始終新聞で見ておるところなんです。だから、本工場自体は、あるいは会社の一番
中心
自体は経済の波に、こういう不景気のときにはさらされないように自己防衛して、そしてこれらの子会社あるいは下請がこういう経済の波にさらされるようにして
利用
されるという結果になっているわけですね。こういう場合に、さっきのセンターでこの会社はだいじょうぶだと、あるいはこの会社はりっぱな
企業
であると申しましても、今日の資本主義の経済のもとでは、こういうつまり影響を受けて、せっかく農村へ
工業
が
導入
されましても、その工場がつぶれてしまうということもあり得る。これはあり得るわけです。
事業
が閉鎖する場合もあり得るのです。 そうだとすれば、それに対する直接の責任は持てぬでしょうけれども、町がせっかく自分の自治体の自腹の金も出して、あるいは
農家
もいろいろと苦心さんたんして土地も造成する、そして工場も建ててやる、そしてそのあとで不況がくれば、直ちにそれらの
事業
が閉鎖してしまうとか、あるいは休業するという事態が起こるのです。こういう場合に、先ほども話がありましたけれども、一体どういう責任を国としてとられるのか。これはセンターというものは仲介機関で、ただ工場があるということだけを知らせればいいといっておれるものかどうか、この辺をひとつ伺っておきたいと思うのです。
両角良彦
91
○
政府委員
(両角良彦君)
農村地域
に
工業
が入ってまいりました場合には、あるいは景気の動向のいかんによりましては部分的、例外的に
企業
の閉鎖、あるいは
事業
の縮小といったものも起こり得るかもしれません。しかしながら、それよりもむしろ農村に
企業
が進出をすることによりまして、
農業
構想の
改善
なり所得の向上なり、積極的な面で果たす役割りのほうがはるかに多いと私どもは考えております。しかし、かりに、ただいま御指摘のありましたような中小
企業
あるいは下請
企業
なるがゆえに起こってまいりまする弊害が起こり得るといたしましたら、それは日本の全体において行なわれておる中小
企業
施策をもって対処すべきものと考えております。御承知のように、わが国の中小
企業
に対する施策の
充実
は世界で最も進んだものでございまして、私どもはこういう万全の政策的な
配慮
を中小
企業
に対して行なってまいってきておるつもりでありまして、これを農村
工業
化の将来の不測の事態に備えても十分活用してまいりたいと存じております。
河田賢治
92
○
河田賢治
君 そういう抽象的なことでは、この問題は解決しませんけれども、こういう場合はどうなりますか。土地を造成して工場が来たという場合、たとえばこれはちょっと古いですけれども、
昭和
三十七年に宮城県の県の開発公社の押しつけで仙台鋳鋼という会社を誘致して、年間財政が一億一千万の町なんですが、この町が三百万円を用地、用水、道路の補助として出した。三十九年に設備が完了して四十年に操業
計画
が立てられた。ところが
昭和
三十九年、四十年といいますと、ちょうどいまと同じように不況の時代なんですね。だから経営が不振で、
事業
再起が不能ということで、この会社が来なくなっちゃった。せっかくなけなしのさいふを出して土地を造成したけれども工場が来ない。そこでこの町議会は開発公社に対して抗議もして、そして土地の返却、投資した元利並びに金利の返済を迫る、あるいは諸経費の弁償を
決議
した、こういう事実もあるわけです。そして工場誘致条例をやめてしまったという事態があります。 ですから、開発
促進
センターで紹介されて、いよいよ行きますと言って約束はしたけれども、まだ実際にその工場が——土地が造成されたり、その近くの道路、あるいは河川なんかも多少でも改修されて、それが行かなくなったというような場合には、一体これに対する
補償
を誘致
企業
に対してちゃんと約束させるような
条件
をお出しになるのかどうか、こういう問題が出てくると思うのです。この問題についてひとつ、そういう場合が起こり得るのですから、景気の変動がたくさんありますから、お互いに自由競争をしておるわけですから、自由競争に敗北すれば、景気不景気でなくてもどんどん毎年ある程度の倒産会社というものはあるわけなんです。こういう場合に、これは倒産した場合ではありますけれども、倒産するような時期になるので工場が進出しなかったというような場合に
損害
賠償や何かを
企業
に出させるような、そういう強硬手段をとれるような
内容
を持たせることができるかどうかという問題です。
両角良彦
93
○
政府委員
(両角良彦君) センターの業務につきましては、ただいまお話のような、そういう強硬的な手段までは考えておりません。
河田賢治
94
○
河田賢治
君 センターが出せなければ地方自治体がそういう約束をすればいいわけですね。
両角良彦
95
○
政府委員
(両角良彦君) それは進出する
企業
と受け入れる側の開発公社なり土地造成主体との契約上の問題であろうかと存じます。
河田賢治
96
○
河田賢治
君 そういう点をはっきりしておきませんと、事態というものは一〇〇%いつも安全に動いているものではないのです。ですから、その点をいま聞きましたから次に入りたいと思います。 次には、
農業振興地域
ですね。これがいまざっと
計画
を立てて進めておられますが、大体四十八年が最終年ということですが、三千二百十一
地域
という大体予定らしいのですが、これは
一つ
の町村に
地域
としてはまとまるわけですか。
中野和仁
97
○
政府委員
(
中野和仁
君) 若干の例外を除きますと、一町村に
一つ
の
計画
を立てておるということでございます。
河田賢治
98
○
河田賢治
君 この農振法に基づいて大体また第二次構造
改善
事業
、これを一緒に進められると、そこへ主として
工業
の
導入
をはかっていくという大体の
計画
なんです。これが五十三年で
施設
が、最終年になって、五十七年で大体
事業
が終わる。二千二百五十個所ということが予定されておりますが、それでいきますと、相当今後ピッチをあげることになると思いますが、この農振
地域
の領土宣言をする、そこへ第二次構造
改善
事業
をやるわけですが、第二次構造
改善
事業
を行なうとともに
工業
がそこへ進出して初めて余剰労力ができれば
工業
のほうに相当の人がそこへ採用されるということになるわけですが、そういう関係が大体
工業
の
導入
、いま法案が出ておりますが、これは毎年どのくらいのあれを出すという
計画
はここには出ておりませんけれども、大体北海道あたりでちょっと調べましても、構造
改善
をやりましてなかなか自立経営というものにはすぐできておりませんけれども、とにかく一割五分−一割あるいは二割くらいの労働人口が減っているところがございます。 ところが、こういうふうにして
工業
が
導入
されていく場合に
農業
の第二次構造
改善
事業
ですね、
基盤整備
がされない。そうして
農業
が現代の技術と科学の水準をできるだけ高いところに置いて進めていくことが必要なわけなんですが、先ほどお話がありました自立経営
農家
というものですね、いま考えておられるということですが、この新全総では
昭和
六十年までですが、この中には水田などは御承知のとおり所得が二十年後には二百万という水準、そうしてこれに対応するところの耕作の
状態
をつくり出す。したがって「水田については、大型機械
導入
に適した二百万ヘクタールを
中心
として、水管理の高度化、区画整理等
所要
のほ場
条件
の
整備
を行ない、土地生産性を高め、大型機械化作業体系の
導入
を可能ならしめる。また、畑地百九十万ヘクタールについて、ほ場
整備
を図る。」これは「(農道と畑地かんがい
施設
の
整備
を含む。)」というふうに書かれているわけです。 そうすると、現在、
農業構造
改善
事業
でいま若干進んでいるわけですが、こういう水田に若干自然的な
条件
や、また社会的な
条件
で、大型機械の入らぬところではいま中型機械以下でやっております。もし新全総が目ざす大型機械ということになりますと、もう一度この中型機械化体系ではある程度の
労働力
を使っていく。しかし大型機械になればさらに
農業
では
労働力
が減る。そうしますと
工業
導入
が大型機械化のようなものにいきませんと
農業
にはまた余剰労力ができるということになるわけですね。この辺の関係はどうなりますか。
中野和仁
99
○
政府委員
(
中野和仁
君) ただいまのお尋ねでございますが、新全総のいまのお話は水田中核地帯については将来、かなり先のことになるかと思いますけれども、そういう大型機械化体系、それに伴います圃場
整備
をやろうとしておるわけであります。現実の当面とっております対策といたしましては、日本全国を大型機械化するということはもちろんいますぐは困難でございます。やはり
地域
によりましては午前中申し上げました営農類型にいたしましても大型体系で組んでおるもの、あるいは中型体系で組んでおるもの、その他の組み合わせ等をやっておるわけであります。いま御指摘のように大型体系と中型体系ではかなり
農家
の労力も差はございます。しかし最初に申し上げましたように一度にそういう大型にもっていくということはなかなかできませんので、結局徐々にそういう方向にもっていく、こういうことに私はなると考えております。
河田賢治
100
○
河田賢治
君 私も一度にはいかぬと思うのですけれども、しかし
工業
が
導入
されて、
一定
のその町で余剰労力を使うと、そうすると
農業
が最高限の科学と技術の水準を使って余った
労働力
を出すと、私は二度も三度も繰り返すことはないのですが、ところが中型なんか現在やっております、そうするとまだまだ労力を使います。田植え機械にしてもあるいは稲刈りの機械にしても、これはよほど違うわけです。そうしますと、ある工場を
導入
してきた、それはある程度農村から余った労力を全部ここで消化したとしましても、今度はまだまだ
農業
自身のもう一段と高い水準に移していかなければならぬ。土地の圃場
条件
なんかよくなれば、そうするとここでまたもう一度余剰
労働力
が出るわけですね。そうしますと工場はまあ一応ここへきて敷地もとったという場合に、また工場を再
導入
するというようなことはなかなかまた困難な事態がくるのではないかと、もちろん
地域
によって工場のあり方というものは違いますからそう一律にはいきませんけれども、基本的な考え方としては、やはり
農業
が最高技術水準で現在どこまで
労働力
が排出できるかと、そのためにはどれだけの
農業構造
改善
、最も現在の優秀な技術と機械これらを体系立てて使っていく、そしてあり余ったものは全部
工業
に吸収するという
計画
があって初めて私はこの
導入
のほうが生きてくると思うのですけれども、これがどっちかちんばになりますと、この
計画
はなかなかうまく進まないと思います。こういう点はどうですか、繰り返すようですけれども。
中野和仁
101
○
政府委員
(
中野和仁
君) 確かに理想を申し上げますと、また現実に進んでおります個々の
農家
の実態ということを無視するということではございませんけれども、こういうことを抜きにしまして理想図をかけば、あるいは先生御指摘のような体系が絵としてかけると思います。しかしながら現実の問題としましては、非常に
規模
の大きい
農家
、小さな
農家
、また
女子
労働力
が
中心
の
農家
、いろいろあるわけでございます。そういうものをどういうふうにして組織化していくかということは一挙にいきがたいのが現実だと思う。だからできるだけはそういう構造を取り入れておりますけれども、あるいはもう御承知かと思いますが、北海道の場合で、構造
改善
を見ましても組み合わせ的な
拡大
でやろうとしておるものがありますし、また
農地
の流動化を
中心
にしているところもいろいろあるわけでございます。やはりそれは
地域
の
実情
とそこに住んでおります
農家
の今後のものの考え方、そういうものを現実に組み合わせた上で
計画
を実際問題としては立てることになろうかというふうに考えております。
河田賢治
102
○
河田賢治
君
農業構造
改善
の大体
一つ
を考えてみますと、三億とか四億とか
一つ
の単位がありますね。けれどもこれはどうもその辺の予算に縛られてなかなかそれは協業組織をつくるとか、土地の所属関係をどうするという問題もありましょうけれども、これはやはり
一定
の平たん地帯なんか、私は東海道をよく通りますけれども、ここでは大型機械が入るというところはたくさんあると思うのですね。そういうところならば少々予算なんかをふやして、そういうところは早く構造
改善
を、農道もつくったり、あるいは水田をつくったりしてやらないと、これは小さな機械を入れて、また二度目に償却が済んだころに入れればいいということになるものもありますけれども、そうなると
労働力
が余るとかいろいろな問題が出てくるわけです。野菜の生産やその他もいろいろ考えれば
労働力
をそのほうへ使用することもできるでありましょうけれども、そういう点について私たちは予算を均一的に、大体
一つ
の
農業構造
改善
地域
において三億から四億のものをやると、そういう点に少し、そのほうでかりに縛られるということはないですか。
中野和仁
103
○
政府委員
(
中野和仁
君) 四億と言っておりますが、これは平均の話でございまして、やはり
計画
を立てる側におきまして、若干小さな地区で立てる、あるいはもう少し大きなところでものを考えるというところがございますので、現実問題といたしまして、運用上はその
地域
の
実情
に応じましてかなり平均よりも大きいのを認めておるというのが実態でございます。
河田賢治
104
○
河田賢治
君 終わります。
河口陽一
105
○
委員長
(
河口陽一
君) 他に御
発言
もなければ、質疑は尽きたものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
106
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認めます。 それではこれより
討論
に入ります。 御
意見
のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
河田賢治
107
○
河田賢治
君 私は
日本共産党
を代表して
農村地域工業導入促進法案
に対する
反対討論
を行ないます。 今日、
総合農政
の展開、とりわけ食管
制度
のなしくずし改廃のもとでの大幅な米
生産調整
の強行、さらには資本と人口の
都市
集中による過疎現象の広がりによって
農業経営
の破綻、
農民
総
兼業
化、大量の出かせぎ
農民
がっくり出されております。
農村地域
で強まっている「地元で働ける
企業
を」という要求はその結果であり、わが党もこの
農民
の要求の実現をはかることは、今日重要な
課題
だと考えるものであります。 しかし、その解決の方向は次の点に求めるべきであります。 第一に、大量の農産物輸入の
拡大
、
価格保障制度
の後退等を前提に
日本農業
の縮小再編を目ざす
総合農政
を改め、主要農産物の自給を可能にする真に自主的で総合的な
農政
の展開によって
農業経営
の安定をはかることです。 第二に、新全総における太平洋メガロポリス構想、各種のプロジェクト構想その他が示すように、依然として社会資本の投入、
産業
開発が独占資本の
産業
基盤整備
に偏重した
国土
計画
を抜本的に改め、
農村地域
、
過疎地域
における道路、交通、通信、上下水道など
産業
、生活基盤の飛躍的
拡充
を実行することであります。 こうすることによって公共
事業
による地元
労働力
の
就業
機会も大きく
拡大
し、
農村地域
の地場
産業
、
農業
関連
産業
、中小
企業
の発展が可能になることはもとより、今日、既存大
都市
での立地
条件
の極度の悪化のもとで、内陸部、農村部への進出を強く求めている
企業
の進出
条件
も開けることは明らかであります。 こうした
条件
整備
に基づき、
公害
のない平和的
産業
を自主的に自治体が誘導できるようにすべきことを主張するものです。 第三に、こうした農村の
産業
、生活基盤の抜本強化と相まって、農林関連
産業
、地場
産業
の育成強化のための
税制
、
金融
措置
を強めることであります。 ところが本法案は、農村の今日の経営破綻、
労働力
流出の現状を
利用
して、新全総に基づく内陸型
工業
立地の
拡大
をはかる資本の要求を安上がりに実現しようとするところにその本質的なねらいを持つものであります。
産業
立地動向
調査
でも明らかなとおり、農村の安い
労働力
、用地
確保
に対する資本の要求はまさに熾烈であり、しかもこの要求が
総合農政
構想による土地、
労働力
、水の資本への大幅な提供と、
農業
の縮小、
合理化
のねらいと合致していることは重視しなければなりません。 特に本法案が、かつての新産
都市計画
と同様、進出
企業
に対する祖税特別
措置等
による大幅な
減免
、さらには自治体の先行投資等によって手厚い保護のもとに安上がりの進出を保障しようとするものであります。 また、構造
改善
事業
の
実施
をもっぱら進出
企業
の
労働力
確保
、用地、用水
確保
の立場から
工業
導入
地域
に事実上義務づけたことは、今後、
農民
の総意に基づく自主的かつ民主的な構造
改善
の方向を著しくゆがめるおそれを強めるものであります。 以上の立場から、わが党は本法案に反対の態度を表明するとともに、すでに述べた
農村地域
のつり合いのとれた民主的な開発のための
国土
政策を強く要求して
討論
を終わります。
河口陽一
108
○
委員長
(
河口陽一
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
河口陽一
109
○
委員長
(
河口陽一
君) それじゃ速記を起こして。 他に御
意見
もないようですが、
討論
は終局したものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
110
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。
農村地域工業導入促進法案
を問題に供します。
本案
に
賛成
の方の
挙手
を求めます。 〔
賛成者挙手
〕
河口陽一
111
○
委員長
(
河口陽一
君) 多数と認めます。よって、
本案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 杉原一雄君から
発言
を求められておりますので、これを許します。杉原一雄君。
杉原一雄
112
○杉原一雄君 私は、ただいま可決されました
農村地域工業導入促進法案
に対し、
自由民主党
、
日本社会党
、
公明党
、民社党四
党共同提案
の
附帯決議案
を
提出
いたします。 案文を朗読いたします。
農村地域工業導入促進法案
に対する
附帯決議
(案)
政府
は、本法の施行にあたり、
農村地域
への適正な
工業
の
導入
を図り、
導入工業
への円滑な
農業従事者
の
就業
を
促進
し、あわせて
農業構造
改善
、
地域
環境の
整備
等が健全に進められるよう左記各項を
十分検討
し、その実現に努めるべきである。 記 一、本
制度
の
対象地域
の設定については、
地域
の
実情
に適応した
農村地域
の
範囲
を定めるとともに、とくにその際新
産業都市
の
区域
、
工業整備特別地域
に関しては、いわゆる線引きを行なうこととなっている
都市計画
区域
を含む
市町村
以外の
市町村
を本法の
対象
とすること。 二、
基本方針
、
基本計画
、
実施計画
の樹立およびその
実施
にあたっては、適正な
国土
利用
、
農地
の有効
利用
と
産業
立地の
計画
的な調和等につき
配慮
するとともに、
地域
の住民・団体等の意向が集約・反映される等その効果的な運用を期すること。 三、
地域
に適合した安定堅実な
工業
の立地を図るため、必要な経営指導、助成、適切な情報の提供等の
措置
を講ずるとともに、地元
農民
の意向にそった適正な
工場用地
の供給等が行なわれるよう指導すること。 四、
工業
の
導入
については、
公害
回避と環境保全の観点からその
業種
を選定するとともに、
公害防止
対策の積極的な
措置
に遺憾なきを期すること。 五、
工業
導入
にあたっては、
農用地
区域
の
確保
と地価上昇防止対策に努め、
農業生産
条件
の
整備
等をはじめ、
農業構造
改善
の
充実
強化を一段と
促進
すること。 六、
導入工業
への
農業
者の安定
就業
に資するため、地元
雇用
の
促進
と適正な
就業
条件
の
確保
、職業の訓練と紹介等による転職対策等の
拡充
を図り、とくに中高年令者対策に特別な
配慮
を行なうこと。 七、法第十条の地区を限定する政令は、他の
地域
開発
制度
との均衡等に十分
配慮
すること。 八、以上のほか、本
制度
の
農村地域
における
産業
関連
施設
および生活環境
施設
の
整備
を進めるとともに農協系統を
中心
とした
工業
の
導入
、積寒
地域
への
工業
導入
等が円滑に行なわれるよう
配慮
すること。 右
決議
する。
河口陽一
113
○
委員長
(
河口陽一
君) おはかりいたします。 杉原君
提出
の
附帯決議案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
河口陽一
114
○
委員長
(
河口陽一
君)
全会一致
と認めます。よって杉原君
提出
の
附帯決議案
は、
全会一致
をもって本
委員会
の
決議
とすることに決定いたしました。 ただいまの
決議
に対し、
倉石農林大臣
から
発言
を求められておりますので、これを許します。
倉石農林大臣
。
倉石忠雄
115
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) ただいまの
附帯決議
につきましては、
決議
の御
趣旨
を尊重いたしまして、慎重に善処してまいりたいと存じます。
河口陽一
116
○
委員長
(
河口陽一
君) なお、
審査報告書
の
作成
につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
117
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
河口陽一
118
○
委員長
(
河口陽一
君) この際、午前に
趣旨説明
を聴取いたしました
野菜生産出荷安定法
の一部を
改正
する
法律案
を再び
議題
とし、審査を行ないます。 これより質疑に入ります。質疑のある方は御
発言
を願います。——別に御
発言
もなければ、質疑はないものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
119
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認めます。 それではこれより
討論
に入ります。 御
意見
のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御
意見
もないようですが、
討論
はないものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
120
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。
野菜生産出荷安定法
の一部を
改正
する
法律案
を問題に供します。
本案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
河口陽一
121
○
委員長
(
河口陽一
君)
全会一致
と認めます。よって、
本案
は
全会一致
をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、
審査報告書
の
作成
につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
122
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十一分散会