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1971-05-18 第65回国会 参議院 農林水産委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十六年五月十八日(火曜日) 午前十時十九分開会
—————————————
委員
の
異動
五月十三日
辞任
補欠選任
西田 信一君
徳永
正利
君 五月十四日
辞任
補欠選任
徳永
正利
君
村上
春藏
君 五月十七日
辞任
補欠選任
片山
武夫
君
向井
長年
君 五月十八日
辞任
補欠選任
村上
春藏
君
山下
春江
君
堀本
宜実君 山本 杉君
向井
長年
君
片山
武夫
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
河口
陽一
君 理 事
亀井
善彰
君 杉原 一雄君 沢田 実君 委 員
青田源太郎
君
久次米健太郎
君 小林 国司君 櫻井 志郎君 鈴木 省吾君
堀本
宜実君
山下
春江
君 北村 暢君
向井
長年
君 河田 賢治君
衆議院議員
農林水産委員長
草野一郎平
君
国務大臣
農 林 大 臣
倉石
忠雄
君
政府委員
農林政務次官
宮崎 正雄君
農林大臣官房長
太田 康二君
農林省農林経済
局長
小暮
光美
君
農林省農政局長
中野
和仁
君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
昭和
四十四年度及び
昭和
四十五年度における農
林漁業団体職員共済組合法
の
規定
による
年金
の 額の
改定
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
河口陽一
1
○
委員長
(
河口陽一
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨日、
片山武夫
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
向井長年
君が選任されました。
—————————————
河口陽一
2
○
委員長
(
河口陽一
君)
昭和
四十四年度及び
昭和
四十五年度における
農林漁業団体職員共済組合法
の
規定
による
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
河口陽一
3
○
委員長
(
河口陽一
君)
速記
を起こして。 この際、
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日、
村上春藏
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
山下春江
君が選任されました。
—————————————
河口陽一
4
○
委員長
(
河口陽一
君)
本案
について、
前回質疑
を終局いたしておりますので、直ちに
討論
に入ります。 御
意見
のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
——別
に御
意見
もないようですが、
討論
はないものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
5
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。
昭和
四十四年度及び
昭和
四十五年度における
農林漁業団体職員共済組合法
の
規定
による
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
を問題に供します。
本案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
河口陽一
6
○
委員長
(
河口陽一
君)
全会一致
と認めます。よって、
本案
は
全会一致
をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
亀井善彰
君から
発言
を求められておりますので、これを許します。
亀井善彰
君。
亀井善彰
7
○
亀井善彰
君 私は、ただいま可決されました
法律案
に対し、自民、
社会
、公明、民社、共産、五
党提案
の
附帯決議案
を
提出
いたします。 案文を朗読いたします。
昭和
四十四年度及び
昭和
四十五年度における
農林漁業団体職員共済組合法
の
規定
による
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
に対する
附帯決議
(案)
政府
は、
農林漁業団体
の
職員
の待遇、
職域環境
の
改善
につき適正な指導に努め、これら
団体
の本来の機能の向上に資するとともに、本
年金制度
の
給付内容
の一層の
充実
、
年金財政
の
健全化
を配慮して、
左記事項
を検討し、早急にその実現を図るべきである。 記 一、
給付
に要する費用の
国庫補助率
を
厚生年金並み
に百分の二十に引き上げるとともに、さらに
掛金負担
を加重させない
観点
から、
掛金率決定
に反映できるよう
財源調整費補助
を定率化し、その増額を積極的に図ること。 二、
既裁定年金
については、
旧法
の
年金
に係る
最低保障額
を新法の水準に準じて
改善
することとし、とくに二十年未満の
遺族年金
の
最低保障額
については、
年金制度
本来の
趣旨
に照らし、すみやかにその額の引上げを図ること。 また、最近の
物価上昇等
の情勢に対処し、
スライド制
による
年金改定
を具体化すること。 三、
旧法
の
平均標準給与
に係る
最高限度額
について
改善措置
を講ずること。 右
決議
する。 以上でございます。
河口陽一
8
○
委員長
(
河口陽一
君) おはかりいたします。
亀井
君
提出
の
附帯決議案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
河口陽一
9
○
委員長
(
河口陽一
君)
全会一致
と認めます。よって、
亀井
君
提出
の
附帯決議案
は
全会一致
をもって本
委員会
の
決議
とすることに決定いたしました。 ただいまの
決議
に対し、
倉石農林大臣
から
発言
を求められておりますので、これを許します。
倉石忠雄
10
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) ただいまの
附帯決議
につきましては、
決議
の御
趣旨
を尊重いたしまして、善処してまいりたいと存じております。
河口陽一
11
○
委員長
(
河口陽一
君) なお、
審査報告書
の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
12
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
河口陽一
13
○
委員長
(
河口陽一
君)
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
政府
から
趣旨説明
を聴取いたします。
倉石農林大臣
。
倉石忠雄
14
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君)
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案理由
を御
説明
申し上げます。
現行農業災害補償制度
につきましては、
制度創設
以来すでに二十
有余年
を経過しておりますが、その間に、この
制度
が
災害対策
として
農業経営
の安定のため多大の寄与をしてまいったことは御承知のとおりであります。 しかしながら、最近におきましては、
農業生産
が、
国民経済
の
高度成長
に伴う
食料需要
の
変化
に必ずしも十分即応できない面が出てきており、これに対処して、
総合農政
の
観点
から各般の
施策
を展開しているところでありますが、
農業災害補償制度
につきましても、これらの
施策
に寄与するよう
改善
をはかることが緊要となっております。 また、近年、
農業生産基盤
の
整備
、
農業技術
の
進歩等
によりまして
農業経営
は著しく
変化
するとともに、
災害
による
被害
の
発生態様
もこれに対応して
変化
してきている等
農業災害補償制度
の
基盤
となっている
農業
及び
農村社会
の実情は大きく変貌してまいっておりまして、これらに対処した
制度
の
改善
が各方面から強く要請されているのであります。
政府
におきましては、これらの
事情
にかんがみまして、
農業
及び
農業共済
に関する
学識経験者
の
意見
をも徴して慎重に検討してまいりましたが、その結果、
需要
に即応した
農業生産
の
推進
に資すること、
補償内容
の
合理化
をはかること、
共済事業
の
運営基盤
の
整備強化
をはかることを旨として、
農業災害補償制度
の
改正
を行なうこととし、この
法律案
を
提出
した次第であります。 次に、
法律案
のおもな
内容
について御
説明
申し上げます。 まず第一は、
需要
に即応した
農業生産
の
推進
に資するための
措置
であります。 その一は、
農作物共済
の
合理化
でございまして、現在の
農作物共済
の
共済掛け金
に対する
国庫負担
は、高
被害地域
ほど
高率
となっておりますが、必ずしも
生産適地
とはいいがたい高
被害地域
に対し他の
地域
と比較して著しく
高率
の
国庫負担
をすることは適当ではないと考えられますので、その
是正
をすることといたしております。また、最近における米の
需給事情
にかんがみまして、
新規開田地等
において耕作される
水稲
につきましては、
原則
として、当分の間、
引き受け除外措置
を講ずることといたしております。 その二は、
蚕繭共済
の
充実
でございまして、最近における
養蚕経営
の
変化
、
養蚕技術
の
進歩
、
被害
の
発生態様
の
変化等
に対応して、
掛け金負担
の
適正化
、
共済金
の
早期支払い
、
補償
の
充実等
をはかるため、
共済目的
の
種類
の
合理化
、
共済事故
の
拡大
、
補償限度
の引き上げ、
料率改訂期間
の
短縮等
の
措置
を講ずることといたしております。 その三は、
家畜共済
の
改善
でございまして、
畜産振興
の
重要性
、最近における多
頭飼養化
の
進展等
にかんがみ、
農家負担
の
軽減
による
加入
の
促進
によって一そう
畜産経営
の安定に資するため、牛及び馬にかかる
共済掛け金
の
国庫負担
を大幅に引き上げるとともに、
種豚
についても、新たに
共済掛け金
の
国庫負担
をすることといたしております。 第二は、
農作物共済
における
農家単位引き受け方式
の
選択的導入
であります。
現行
の
農作物共済
は、
耕地ごと
に三割以上の
被害
があった場合に
共済金
を支払う
一筆単位引き受け方式
となっておりますが、最近における
農業経営
や
被害
の
発生態様
の
変化等
に対応して
補償
の
合理化
をはかるため、
一筆単位引き受け方式
にかえて、
農家ごと
に二割以上の
被害
があった場合に
共済金
を支払う
農家単位引き受け方式
を
採用
することができる道を開くことといたしております。 なお、この
農家単位引き受け方式
の円滑な
実施
に資するため、当分の間、この
方式
を
実施
する
組合等
に対し、
国庫
より一
定額
の
補助金
を
交付
することができることといたしております。 第三は、
農業共済団体
の
組織
の
整備
であります。
現行
の
農業共済組合
の
区域
は、
原則
として一
市町村
の
区域
によることとされておりますが、最近における
人件費
の
上昇等
による
事業運営費
の
増大傾向
、
交通手段
の
発達等
にかんがみ、今回、この
原則
を改め、
農業共済組合
の
区域
の
広域化
によりその
事業運営基盤
の
強化
をはかることとするとともに、これとの関連において
農業共済組合
の
総代会
の
権限
の
拡大
、
農業共済組合連合会
の
組合員
についての一
組合員
一票制の
特例
の
導入等農業共済団体
にかかる
組織関係規定
の
整備
を行なうことといたしております。 第四は、
農業共済基金
の
業務範囲
の
拡充
であります。
現行
の
農業共済基金
の
業務
は、
農業共済組合連合会
に対する
資金
の
貸し付け等
に限定されておりますが、
共済金支払い
の
円滑化
に資するため、
農業共済基金
の
業務
に
組合等
に対する
資金
の
貸し付け等
の
業務
を追加することといたしております。 なお、以上のほか、
無事故農家対策
の
強化
、
家畜共済
にかかる
診療給付
の
適正化
に資するための
措置等所要
の
改善整備
を行なうことといたしております。 以上がこの
法律案
を
提出
する
理由
及びおもな
内容
であります。何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
河口陽一
15
○
委員長
(
河口陽一
君) 次に、
本案
につきまして、
衆議院
において
修正
を加えられております。その
修正点
について
衆議院農林水産委員長草野一郎平
君から
説明
を聴取いたします。
草野一郎平
君。
草野一郎平
16
○
衆議院議員
(
草野一郎平
君)
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
に対する
衆議院
における
修正
の
趣旨
を御
説明
申し上げます。
修正
の第一点は、
農作物共済
にかかる
共済掛け金
の
国庫負担割合
を
改正
したことに伴う
農家負担額
の
増加
を緩和するため、当分の間、
農家負担掛金調整補助金
の
交付
を行なうこととするものであります。 第二点は、
農家単位引き受け方式
の
選択的導入
に伴う
無事故調整金制度
に関する
規定
を削除することとするものであります。 第三点は、
農業共済団体
の
役員
の
選挙
について
投票
を省略することができる旨の
改正規定
を削除することとするものであります。
衆議院農林水産委員会
において、五月十三日自由民主党、
日本社会党
、公明党及び民社党の四
党共同提案
により、
賛成
多数をもって
修正
すべきものと
議決
し、五月十四日の本
会議
において
修正
されました。何とぞ慎重御
審議
の上、御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。
河口陽一
17
○
委員長
(
河口陽一
君) 次に、
補足説明
及び
関係資料
の
説明
を聴取いたします。
小暮農林経済局長
。
小暮光美
18
○
政府委員
(
小暮光美
君)
農業災害補償法
及び
農業共済基金法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案理由
を補足して御
説明
申し上げます。 まず第一に、
需要
に即応した
農業生産
の
推進
に資するための
措置
について御
説明
申し上げます。 その一は、
農作物共済
の
合理化
でございます。
現行
の
農作物共済
の
共済掛け金
の
国庫負担
は、
最低
五〇%から出発して、
共済掛け金率
が高くなるほどこれが高くなる
超過累進方式
になっております。しかしながら、このため、必ずしも
生産適地
とはいいがたい高
被害地域
に対し、他の
地域
と比較して著しく
高率
の
国庫負担
をする結果となっておりますので、最近における
農業事情
を考慮して、その
是正
をはかることとした次第であります。 すなわち、その
共済掛け金率
が
全国平均
の
共済掛け金率
にその
標準偏差
を加えたものをこえる
地域
につきましては、そのこえる
部分
の
共済掛け金率
に対応する
共済掛け金
に対する
国庫負担率
を、
全国平均
の
共済掛け金率
にその
標準偏差
を加えたものに適用される
国庫負担率
と同率とすることを旨とするよう改めることといたしました。この結果、たとえば、
水稲
の場合では、
共済掛け金率
が七%をこえる
部分
の
国庫負担率
は百分の七十となり、
国庫負担率
の
累進
の程度は、
現行
のそれと比較してゆるやかなものとなるのであります。 なお、この
農作物共済
の
共済掛金国庫負担方式
の
改正
に関しましては、これにより
負担
の
増加
する
組合員等
に対し、その
負担
の
増加
を緩和するため、当分の間、
漸減方式
による
掛金調整補助金
を
交付
する
趣旨
の
衆議院
の
修正
が出されております。 次に、米につきましては、最近、
生産
が
需要
を大幅に上回る状態となっており、
需給調整
の
推進
が急務となっておりますが、
農業災害補償制度
につきましても、
新規開田
の抑制に資するため、当分の間、この
改正法案
の施行後にその造成が完了した
耕地等
において耕作される
水稲
の
引き受け除外措置
を講ずることといたしております。なお、これらの
耕地
において耕作される
水稲
であっても、一定の事由があるときには、例外的に引き受けることができることといたしております。 その二は、
蚕繭共済
の
充実
でございます。 まず、最近における
養蚕経営
、
被害
の
発生態様
の
変化等
にかんがみまして、
掛け金負担
の
適正化
及び
共済金
の
早期支払い
に資するため、
共済目的
の
種類
を、
現行
の
春蚕繭
及び
夏秋蚕繭
の二
種類
から
春蚕繭
、初
秋蚕繭
及び
晩秋蚕繭
の三
種類
にすることとし、また、これらの
変化
をより一そう
早期
に
料率
に反映させるため、従来五年
ごと
に行なっていた
共済掛金率
の
改訂
を三年
ごと
に行なうことといたしております。 次に、現在の
蚕繭共済
の
最高
の
補てん割合
は、繭の
価格
の五〇%となっておりますが、他の
農業共済事業
との均衡を考慮して、これを繭の
価格
の六〇%まで引き上げて、
補償
の
充実
をはかることといたしております。 また、そのほか、
蚕繭共済
につきましては、最近における蚕の
飼養形態
の
変化等
に即応するため、蚕児の
共済事故
に火災及び
獣害
を加える等の
改善
を行なうことといたしております。 その三は、
家畜共済
の
掛け金国庫負担
の
強化
でございます。
現行
の
家畜共済
の
共済掛け金国庫負担
は、
農家ごと
に全頭一括して
加入
する
包括共済
につきましては、牛及び馬は、
最低
三分の一とし、特に、
乳牛
の雌に関しては、多
頭飼養
の
促進
の
観点
から、
飼養頭数規模
が三頭以上五頭以下の者は五分の二、六頭以上二十九頭以下の者は二分の一とし、
肉用牛
に関しては、
肉資源
の確保の
観点
から、当分の間一律五分の二としてそれぞれ
優遇措置
を講じております。また、一頭
ごと
に
加入
する
個別共済
につきましても、牛及び馬に関し、
死亡
及び
廃用
に対応する
共済掛け金
の二分の一を
国庫
が
負担
しておりますが、
種豚
については、
包括共済
、
個別共済とも
に、
共済掛け金
の
国庫負担
はいたしておりません。 以上述べました
現行
の
共済掛け金
の
国庫負担方式
は、
昭和
四十一年における
制度改正
により定められたものでありますが、
畜産振興
の
重要性
、その後における多
頭飼養化
の一層の
進展等
にかんがみ、今回、さらに、
国庫負担
を引き上げて、
農家負担
の
軽減
による
加入
の
促進
をはかり、
畜産経営
の安定に寄与することとした次第であります。 すなわち、
包括共済
にかかる
共済掛け金
の
国庫負担
につきましては、牛及び馬は
最低
五分の二に引き上げ、特に、
飼養頭数規模
が、
乳牛
の雌に関しては三頭以上四十九頭以下の者、
肉用牛
に関しては三十九頭以下の者に対しては二分の一と優遇することとしております。また、
個別共済
につきましても、牛及び馬は、
死亡
及び
廃用部分
だけでなく、疾病及び
傷害部分
も含めた
共済掛け金
の五分の二を
国庫負担
するよう
改善
することとし、さらに、
種豚
については、新たに、
包括共済
、
個別共済とも
に、三分の一の
国庫負担
をすることといたしております。 第二に、
農作物共済
における
農家単位引き受け方式
の
選択的導入
について御
説明
申し上げます。
現行
の
方式
は、一筆
単位引き受け方針
でありますが、
災害
を受けた
農家
の所得の
合理的補てん
という
観点
から、
農家単位引き受け方式
の
採用
の道を開くこととした次第であります。すなわち、
現行
の
一筆単位引き受け方式
においては、各
耕地ごと
に三割以上の
減収
があれば
共済金
を支払うこととなっておりますが、
改正法案
の
農家単位引き受け方式
では、
被害
のあった
耕地ごと
の
減収量
を
農家ごと
にまとめてみて、その
減収量
の合計がその
農家
全体の
基準収穫量
の二割をこえることとなった場合に
共済金
を支払うことといたしております。損失の
補てん
の
内容
につきましては、
現行
の
一筆単位引き受け方式
では、全損の場合の
共済金
は期待し得る収入の六三%が上限となっておりますが、
農家単位引き受け方式
の場合には、これを七二%まで引き上げることといたしております。 この
農家単位引き受け方式
につきましては、全部の
組合等
がこの
方式
に移行することは困難であると思われますので、その
採用
は、
組合等
の
自主性
にゆだねることといたしております。また、この
方式
の対象となる
共済目的
の
種類
も、政令で指定することとしておりますが、一
農家当たり
の
耕作筆数
、
損害評価体制等
を考慮し、当面は
水稲
に限ることとする予定であります。 なお、この
農家単位引き受け方式
につきましては、できるだけ多くの
組合等
がこの
方式
を
採用
するとともに、この
方式
による
共済事業
が円滑に
実施
できるよう、当分の間、この
方式
を
実施
する
組合等
に対して
国庫
より一
定額
の
補助金
を
交付
することができることといたしております。 第三に、
農業共済団体
の
組織
の
整備
について御
説明
申し上げます。 その一は、
農業共済組合
の
区域
の
広域化
であります。
現行
の
農業共済組合
の
区域
は、
原則
として 一つの
市町村
の
区域
によることとされておりますが、最近における労働力不足及びこれに伴う
人件費
の
上昇等
により
農業共済組合
の
事業運営費
の
増大傾向
には顕著なものがありますので、近年における
交通手段
の
発達
、
事務機械
の
普及等
を考慮しつつ、
農業共済組合
の
区域
を
原則
として一または二以上の
市町村
の
区域
によることに改めてその
広域化
をはかることといたしました。これにより、
事業運営基盤
が
強化
され、
共済事業
が円滑に
実施
できることとなるものと期待いたしております。 その二は、
農業共済組合
の
総代会
の
権限
の
拡大
であります。
農業共済組合
がその
区域
を
広域化
して大型化しますと、
総会
の開催ないし
運営
が困難となる場合も考えられますので、
組合活動
の
円滑化
をはかるため、
総代会
の
権限
を
拡大
し、
総代
の
選挙
及び解散の
議決
の場合を除いてすべて
総会
にかわることができるようにいたしております。 その三は、
農業共済組合連合会
の
組合員
について一
組合員
一票制の
特例
を設けることであります。
農業共済組合
がその
区域
を
広域化
しますと、
連合会
の
組合員
である
組合等
の
規模
に相当の格差が生じ、従来の一
組合員
一票制では実質的平等が確保されがたいことも考えられますので、
連合会
の
組合員
たる
組合等
に対し、その
組合員等
の数に基づいて二個以上の
議決権
及び
選挙権
を与えることができるようにいたしております。 また、このほか、
事務執行体制
の
整備強化
をはかるため、
農業共済団体
の参事にかかわる
規定
を新設してその
選任方法
、
職務権限等
を明確にするとともに、
農業共済団体
の
役員
及び
総代
の
選挙
の円滑な
実施
をはかるため、これらの
選挙
において無
投票当選制
を導入することができることといたしております。 第四に、
農業共済基金
の
業務範囲
の
拡充
について御
説明
申し上げます。
現行
の
農業共済基金
の
業務
は、その会員たる
農業共済組合連合会
が
必須共済事業
である
農作物共済
、
蚕繭共済
及び
家畜共済
に関して支払う
保険金
の
支払い
に不足を生じたときに
資金
を
貸し付け
、または
当該保険金
の
支払い
に関して
連合会
が
負担
する
債務
の
保証
を行なうことに限られておりますが、
農業共済基金
に対する
農業共済組合連合会
の
出資金
の大半が
組合等
の
拠出金
によっていること、
昭和
三十八年の
制度改正
により
組合等
の
手持ち共済責任
が
拡大
したこと、
農業共済基金
の
資金事情
が最近好転していること等にかんがみ、今回新たに
組合等段階
における
共済金支払い
の
円滑化
に資するため、
組合等
に対しても
必須共済事業
にかかわる
共済金
の
支払い
に関して
資金
の
貸し付け
及び
債務
の
保証
の
業務等
ができるようにいたしております。なお、この結果、
農業共済基金
の
業務
は相当増大することが考えられますので、
組合等
に対する
資金
の
貸し付け
及び
債務
の
保証
の
業務
については、その一部を
当該組合等
を
組合員
とする
農業共済組合連合会
に委託することができるようにいたしております。 以上のほか、
無事故農家対策
の
強化
をはかるため
現行
の無事戻し
制度
を
無事故調整金制度
に改めて
財源
及び
交付内容
の
充実
をはかるとともに、
家畜共済
について
診療給付
の
適正化
をはかるための
措置
を講ずる等
所要
の
改善整備
を行なうことといたしております。 なお、最後に、この
制度改正
の
実施
時期でありますが、
改正内容
が
制度全般
にわたりますので、
準備期間等
も考慮して、
昭和
四十七年度からといたしております。 以上をもちまして
提案理由
の
補足説明
を終わります。 引き続き、お手元に配付してございます
法律案関係参考資料
について、簡単に御
説明
申し上げます。 まず第一ページでございますが、第一ページに、
現行
の
農業災害補償制度
の仕組みを一応図面で表示いたしてございます。一番下の
組合員
から、
農業共済組合
に
事務費
の
賦課金
並びに
共済掛け金
が上がってまいります。以下、これに図示しましたような形で
農業共済組合
は
共済組合連合会
に
保険料
を
支払い
ます。
共済組合連合会
は、国の
農業共済
再
保険特別会計
に再保険するという形に相なっております。そのほかに、ただいま御
説明
しました
農業共済基金
、これが
国庫
の
出資
並びに
共済団体
の
出資
によって、現在
出資
三十六億、その後の
運用益等
を含めまして、約五十億の
資金
がございます。これが、これまで
農業共済組合連合会
が支払う
保険金
に不足するような場合に、
貸し付け
をすることになっております。それが今回の
改正案
では、その下の
農業共済組合等
に対しても
貸し付け
が行なえるようにするという形でございます。 それから第二ページ以下に、
農業共済事業
の
種類
と仕組みについて表示いたしております。
共済事業
の
必須共済事業
としては、まず
農作物共済
として
水稲
、陸稲、麦等がございます。それから
蚕繭共済
が
春蚕繭
、
夏秋蚕繭
二つに分かれております。それから
家畜共済
、これが牛、馬、
種豚
。そのほかに任意共済として、建物、農機具、肉豚等がございます。 それから四ページにまいりまして、
農業共済
予算の最近十カ年の推移を表示いたしてございます。一番右の四十六年をごらんいただきます。
団体
事務費
の
負担
金百五十九億、それから
共済掛け金国庫負担
二百十七億、
農業
について。それから家畜について、
共済掛け金国庫負担
四十九億といったものがおもなものでございます。総額四百三十九億七百万円でございます。 それから五ページにまいりまして、
農業共済事業
の
加入
状況がございまして、右の構成比率の欄をごらんいただきます。全体を一〇〇といたしました場合には任意共済、これが七四・六%でございます。必須共済を一〇〇とした場合には、
水稲
共済が全体の七九・三%ということでございます。 それから
農業共済
の
組織
等の関係につきまして六ページに、
市町村
の
区域
を超える
規模
のもの八十七、
市町村
の
区域
と一致するもの二千七百六十四、
市町村
の
区域
より小さいもの三百五十一、合計三千二百二というのがこの数でございます。 七ページに
組合員
数別の組合数、これは千人から二千人あたりのところに現在では中心がございます。御提案しております広域合併、これが大体一巡しましたあとには、平均七千人ぐらいのところにまいるのではないかというふうに考えております。 それから八ページに
農作物共済
についての、
現行
の
国庫負担割合
と
改正案
の対比がございます。掛け金率が七%以上というところにつきまして、
国庫負担
の頭打ちをいたしました。しかし、その結果、たとえば掛け金率の三〇、これはたとえて言えば三年に一ぺん収穫皆無といったような、はなはだしく
被害
率の高いところでありますが、そこでは現在の割合でございますと、
国庫負担
が二三・六に対して
農家
が六・四、それから
改正案
では
国庫負担
が二〇・五、
農家
が九・五ということになるわけでございます。 それから陸稲、麦等について、それぞれ表示してございます。 それから一一ページ以下に、一筆単位と
農家
単位の比較がいたしてございます。 一二ページの絵のあるところをごらんいただきますと、これは
水稲
の例でございますが、たとえばここに六筆の水田を持って共済に参加したといたしまして、その六筆の水田がすべて各筆
ごと
に二五%
減収
となりました際に、一筆建ての場合には三割足切りという
制度
でございますので、
被害
が三割以上でないと
共済金
は支払われないということで、この場合には、一筆建ての場合は
共済金
が支払われません。
農家
単位の場合には、各筆
ごと
に二五%
減収
を合計いたしますと、六百キログラムでございます。これに対して一万二千円という
共済金
が支払われる。その下の例で一筆の田についてだけ
減収
がございまして、それ以外の田については
減収
がない。一筆のみ半作であったという例がございますが、この場合に一筆建てでございますと、その
減収
した一筆について八千円
共済金
が支払われますが、
農家
単位では、この経営を全体として見まして、二割足切りの範囲内におさまりますので、
共済金
が支払われない、こういうことでございます。 一三ページに
新規開田
面積の推移がございます。 一四ページには、
蚕繭共済
につきまして、最近における蚕期別養蚕
農家
数及び掃き立て箱数が表示してございます。 それから一五ページには、
蚕繭共済
における金額
被害
率の推移。次第に
被害
が少なくなっている姿があらわれております。 それから一六ページに、箱当たり
共済金
額の
最高
額の
現行
と
改正案
の比較がいたしてございます。 一七ページ以下は
家畜共済
でございますが、まず、頭数
規模
別飼養状況を表示いたしてございます。 それから一八ページに「最近における
加入
状況」、それから十九ページに「四十四年度における乳用牛の頭数
規模
別
加入
状況」が表示してございます。 二十ページは「
国庫負担
の
現行
と
改正案
の比較」でございます。 二十一ページに「
家畜共済
事業における収支状況」が表示いたしてございます。右の下ほうの四十四年の「死廃病傷および畜種別収支状況」をごらんいただきますと、全体としてかなり収支が悪化いたしております。 それから二十二ページは
農業共済基金
の
資金
の状況でございます。 それから二十三ページは
組合等
が
水稲
共済金
の削減払いをいたしましたものの実績でございます。 以上でございます。
河口陽一
19
○
委員長
(
河口陽一
君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御
発言
を願います。
杉原一雄
20
○杉原一雄君 問題は法
改正
の根本的な
理由
ということになるわけですが、その前に、最近特に苗しろ管理がたいへんな状況になっているという事実を農林省も把握していると思います。本法の適用を受けるような問題ではないようですけれども、
農業
災害
には変わりはない。でありますから、本法
審議
の冒頭に、現状、ただいま苗しろ等の
被害
の状況は一体どうなっているか。だから、これまた共済概念では
規定
しなくても、
災害
であることには間違いないわけですから、こうした問題に対して農林省はどう対処するか、しようとしているか、そのことを実は伺いたいわけです。と申しますのも、実は先週の土曜日、私、故郷に帰りまして、ちょうど田植えがほとんど終わったわけでありますけれども、なおかつ田植えができなくて苗しろをもう一ぺん掘り返してりや直すという
農家
が多数あるのを見てまいりまして、これはたいへんなことだと、私痛感してまいりました。もちろんこれは農林省の行政上の欠陥ではなくして自然の問題ですが、しかし、
農業
はえてしてそういう体質のものでございますから、こうしたものに備えて、あるいは政策保険的な意味で、あるいは公的保険的な意味で農災法というものが今日までその機能を果たしてまいりましたが、その概念ではたとえ
規定
できなくても、そうした現状をどう考えるか、またどう対策を講ずるかということがやはり農林行政を進める皆さんの立場からはっきりとした農民に対する答えを実はいただきたい。 ちょうど私が見た田植えの現状の中では、俗に言う一寸程度の苗、それは電熱温床でやった苗でありますが、二条田植え機械であったと思いますが、田植えをしている現場を見てまいったわけでありますが、事のよしあしは別といたしましても、いま農民は特に北日本方面では、東北もおそらくそうだろうと思いますが、たいへんな苗不足に悩んでいるのが現状であろうと思います。でありますから、今日まで進めてまいりました
総合農政
の
観点
から言えば、苗がろくろく、このような状態になっていることじゃから、いっそのことたんぼをやめようかとという気持ちを農民は自然に起こしているかと思いますが、そうした状況等をも御検討いただいておるかと思いますが、農林省の現時点における苗不足から起こる問題、しかもその現状集約とそれに対する農民への勇気づけの意味における農政の何らかの処置、そういうものがどう検討されているか、お聞きいたしたいと思います。 〔
委員長
退席、理事
亀井善彰
君着席〕
小暮光美
21
○
政府委員
(
小暮光美
君) 本年は、やや低温の障害が各地にあらわれておりますことは御指摘のとおりでございまして、現在統計調査部のほうでもその実態を調査いたしております。なお、県報告等によりましてもかなりの
被害
が予想される状況にございます。 ただ、
水稲
共済
制度
との関連でこの問題をどのように把握しておるかという点について申し上げますと、御承知のように、
水稲
共済は本田移植時からを共済の対象期間というふうにいたしておりまして、植えつけができたかできないかという時点で
水稲
共済を発動するかどうかということを判断する形に相なっております。したがって、苗しろそのものを共済の対象とするということではなくて、
生産
者の方が最大の努力をして本田に移植しようとなさるわけでございます。その移植ができなかったという場合に、その姿に応じてそれぞれ
共済金
を支払うということになるわけでございますが、現状では、まだその前にできるだけの努力をお願いいたしておるというのが現状でございます。
杉原一雄
22
○杉原一雄君 後半のところはそのとおり、法案を読めばわかるのだが、問題は、先ほど前段に申し上げたようなそうした状況に対応するような、つまり何らかの処置はあるのかないのか。それは別途の考え方に立つわけですから、ないものはないでけっこうですよ。そのかわり私は
総合農政
に文句があるわけです。どうでしょう、はっきりしてください。
小暮光美
23
○
政府委員
(
小暮光美
君) 農災
制度
は
災害対策
の一環として仕組まれておるわけでございまして、農災
制度
が
制度
のたてまえ上、本田移植ができてから先を見ておるということは申し上げたわけでございますが、全体として冷害の気配がございますので、それぞれの地方農政局の担当の部局が、ただいま
被害
を最小限度に食いとめるように指導面で努力いたしておるわけでございます。なお、今後の気象条件等もございまして、
水稲
につきましてできるだけ本田移植を完遂するように努力するというのが現段階のありのままの姿であるというふうに考えております。
杉原一雄
24
○杉原一雄君 それで答弁はいいのかもしれませんが、ぼくは農民に会って、そういう答弁では答えができない。だから
農家
の自主的努力によって、あるいは苗しろをひっくり返してもう一ぺん種もみをまくという努力をしているわけでありますが、農林省ではそれに善処しなさい、農民よ、がんばれよということで事終われりという答弁ですか。それは
長年
の経験で、県段階なりあるいは農政局段階でいろいろ指導していることも事実ですがね。その技術的な
内容
についてはきわめて簡単なことですからあなた方の答弁をまつまでもないことですけれども、ただそうした一つの自然、気象条件のことによってそうした問題が期せずして起こるということなども十分あることを、やはり
総合農政
の今後の進め方の中で考えていただきたいということであると私は思います。 でありますので、話は変わりますが、先ほど大臣が
趣旨説明
をやったわけですけれども、その
趣旨説明
の二ページに法
改正
の基本的な要因と申しますか動機が幾つかあげられているわけですね。この中であるいは
農業技術
の
進歩
だとか構造
改善
のいろいろな成果だとか、そういうことはここで私はあえて否定もしないし、十分肯定をし、判断の資料に入れておきたいと思いますが、ただ二ページのところで、二行目に「
農業災害補償制度
の
基盤
となっている
農業
及び
農村社会
の実情は大きく変貌してまいっておりまして、これらに対処した
制度
の
改善
が各方面から強く要請されているのであります。」、こうありますから、ここのところ、ちょっとこまかい質問になりますが、
農村社会
の実情の変貌、それはどういう方向で変貌しつつあるか、米が余るとか足らぬとかいう問題でないようですから、その辺のところをひとつまず確認したいということと、「これらに対処した
制度
の
改善
が各方面」とありますから、私は、この「各方面」というのは、どうした
団体
、個人等から、どのようなそれぞれの要望が出ているのかどうか。もちろん、その結果にこたえて次のようなことが出ているわけですから、以下かくの
ごと
しと簡単に答えれば私答えることができると思いますが、ちょっとわかりやすく
説明
してほしいと思いますがね。
小暮光美
25
○
政府委員
(
小暮光美
君) 最近における
農業
及び
農村社会
の変貌、農済
制度
との関連で申し上げることが少なくとも三つほどあるんじゃないかというふうに考えております。 一つは、
需要
に即応した
農業生産
の
推進
という
観点
から、現在
生産
のあり方をいろいろ検討いたしておるわけでございます。これは、稲作の問題、あるいは畜産、果樹の振興の問題等が具体的にあるわけでございます。これが一つの大きな状況の
変化
であるかと思います。 もう一つは、
農業技術
の
進歩
のほかに、特に
基盤
整備
の進捗ということから、
農業
災害
の発生の姿がだいぶ昔と変わってまいっております。
基盤
整備
が徹底し、技術もかなり高度化いたしましたところでは、
災害
が非常に少なくなってきておるというふうなことがございます。これが第二点でございます。 それから、特に
農村社会
の実情の変貌という点からいきますと、第三点といたしまして、農村における労働力の流出あるいは都市の賃金の上昇を反映いたしまして、農村における賃金水準も次第に上がってまいっております。したがいまして、
農業共済組合
のような公共性のある仕事を確保してまいりますために、やはりこうした労働力状況あるいは賃金水準というものを十分こなしてまいりませんと、事業の
運営
がうまくいかない。したがって、
組織
の
強化
のために何らかの手を打つ必要があるという問題が、そういう組合の
運営
の面でもあらわれてきておるということでございます。
杉原一雄
26
○杉原一雄君 いま三つ
局長
あげたわけですね。一番最後のところは、後ほど組合の
広域化
の問題とか、一筆単一
方式
採用
の問題等のところで評価問題についてお伺いしたいと思うのですが、労働力が非常に流れ出た。要するに、農民の
農業
外収入で非常に増収、賃金が上昇したということと、いわゆる農済
組合等
の経営の問題との関連、ただそれだけにとらえられておられるのか。その辺のところを、
社会
構造の
変化
というところで、その辺それだけなんですか。私、その辺理解できるのですよ。実情を見てまいりましたから理解できるのですが、労働力の流出という問題を、そういう局限された形で見ておられるのですか、
変化
の条件の一つとして。法
改正
の関連ですから、そうなるのかもしれませんが、もう一度確認してみたいと思います。
小暮光美
27
○
政府委員
(
小暮光美
君) 広域合併その他の今回の法
改正
との関連では、特にその点に着目いたしたわけでございます。しかしなお、そのほかに、
農業共済
制度
の維持
運営
と申しますか、そういう
観点
からまいりますと、たとえば都市化が進展し、農村において、
農業
に精進しようとする人たちと、むしろ非
農業
のほうに力点を置こうとする人たちが、同一の
地域
で一緒に一つの
地域
社会
を形成するというふうな形が次第に消えてまいっております。したがいまして、賃金の上昇という問題、
職員
の
人件費
を確保しなければならない、そういう角度からだけでなしに、やはりそういう都市化したような地帯で、しかも
農業
に精進するグループが依然としてある。そういう場合に、農済
制度
のようなものがうまく維持できるかどうか。やりたい人だけで集まったのでは望ましい
規模
にならない、しかし非
農業
のほうに力点を置かれる人たちにもそれなりの
理由
があるというような場合には、この
制度
をどのように維持していったらいいか。こういったような問題に関連して、広域合併の問題にもそういう角度からもこれを考えてまいらなければならないといったような問題の認識もございます。
杉原一雄
28
○杉原一雄君 まだ農林大臣から実は否定も肯定もされていないのですが、先般来の予算
委員会
その他の質疑の中で、
生産
意欲を刺激しないようにということを大臣が、答弁した中で言ったことがあると思います。
生産
意欲を刺激すると農林省は困る。つまり米が増産されては困るというようなことになるわけですね。それを裏づければ、そういうことが今日まで否定されないままに、農林省の見解として私は理解しておるわけですが、いま、法
改正
のやはりねらいの中に、米をつくるなと、ほかのところをやれと、いわゆるあなた方の好きな、きれいなことばで言うと
総合農政
ですが、
総合農政
でいこうじゃないかというのが基本だと私は承っていいと思います。そうしますと、結果的には、米のほうにあまり一生懸命やらぬでもいいぞと、それを刺激すると困るから、そっちのほうは。何かいろいろな意味で、あとの
農家
単位
方式
とか一筆単位
方式
にもそういう思想が根底に存在するように思われるわけですが、それはそのつど、そのときに、技術的な問題を含めていろいろ質問したいと思いますが、私は、非常に意地悪なものの見方をすると、米が余るからそれを押える、押える
理由
はもっと国際的な問題もあったりしますが、それはきょうは議論をしません。とにかく、端的に言って、米を
生産
することを押えようと。
生産
過剰で困るということが一番大きな動機になっているようにうかがわれます。でありますから、徳川家康が大阪城を攻める場合に、外堀をまず第一段階で埋めさせて、そうしてまた次の段階で内堀を埋めて、最後に天守閣を落としたというような、何か農政が、城に向かって攻撃が前進しつつあるような、
被害
者的な受け取り方を実はするわけですが、そういう冷たい考え方が法
改正
のこの意図の中にはないのだということが言明できたら言明していただきたいと思いますが、それはどうでしょうか。——あまり根性の悪い質問ですか。大臣は、この間うちから、
生産
意欲を刺激することでは困るという言い方をされている。農政全体の質疑の中でたびたび出たことばです。そういうことはぼくは否定をされないのですから、ぼくも百姓してきた男ですからね、農民の
生産
意欲が減退したらどういうことになるかわかるのですよ。朝早く起きる必要もなくなるし、晩も早く切り上げる。
農業
の実態からいってたいへんな
減収
になります。だから、今度の
改正
でも、敵は本能寺といったような感じがするわけですよ。一面いいところがありますがね。いいところをちらつかせながら、根本的には本丸を落とすと。たいへん意地の悪い質問だろうかね。ぼくはこれは先般来、今期国会特にそういう
被害
者意識にとらわれているのですがね。悪いでしょうか。どうでしょう。そんなことはないのだったらきっぱり否定してください、もしそうだったら。
小暮光美
29
○
政府委員
(
小暮光美
君) 農災
制度
の
改正
をお願いしました
趣旨
から申し上げますと、ただいま御指摘のようなことはむしろ御心配いただかないでよろしいのじゃないかというふうに考えております。何と申しましても、適地適産と申しますか、できるだけそういう角度から
農業生産
全体を確保してまいりたいということが、現在の
生産
行政の基本の姿勢であろうかと思います。そうした
観点
から、農災
制度
全体ができるだけそういった農政の方向に役立つようにこれが働いてほしいということが、農災
制度
を担当いたします者の念願であるわけでございます。ただ基本的にはこれが、繰り返し申しておりますように、
災害対策
の非常に重要な一環でございます。したがいまして、農災
制度
が
災害対策
の、特に
水稲
の場合に一番基本的な仕組みとして
長年
くふうされてきたというこの角度を没却することは絶対許されないというふうに考えます。 したがいまして、今日のような米の
需給事情
のもとであっても、特に超過
累進
制によってかなり
高率
の
掛け金国庫負担
をやるという
原則
はいささかも変えていないわけでございます。また、別途この
制度
の一つの根幹としては、一定の
規模
以上に耕作反別を持つ
水稲
農家
は、当然
加入
、強制
加入
という形でこの
制度
の根幹を維持しておるということとの関連から、
生産
条件の悪いところに位置する
農家
に対してはできるだけ
高率
の
国庫
補助をしなければならないということは、いまの強制
加入
という仕組みとうらはらの問題でございますから、そういう
制度
の根幹をいささかもゆるめていないわけでございます。 ただ、全体として
生産
条件のいいところも悪いところも含めて、いま国をあげて米の需給の調整をはかるために稲作の転換ということをやっておるわけでございまして、そうした
生産
行政全体の姿との関連で、先ほどもちょっと申しましたように、三年に一回は収穫皆無になりかねないといったような非常に
被害
率の高いところに、最終的には一〇〇%
国庫負担
というような形で掛け金を
国庫負担
するといったような、非常に傾斜度の強い
累進
制をとる必要があるのかどうか、そういった点についていろいろ検討した結果、その一部を
是正
するということでございまして、そのことと、選択的
拡大
という角度から、かねてから願望しておりました畜産の共済
制度
の
充実
というようなものとは決して取引されたものではなくて、全体的な選択的
拡大
という
観点
から、何年か
ごと
に畜産の多頭化飼育等の進展の実態等を十分把握しながら、
家畜共済
についても累次の
改正
でその
内容
を
充実
してまいったわけでございますが、今回もこの機会に現在の多頭化の動向を十分取り込んだ
国庫負担
のあり方を確立したいということで
内容
を
充実
したわけでございます。稲作のほうを金額的に押えて、金額的に稲作に対する
国庫負担
を押えて
家畜共済
に回すといったような考え方ではございません。そのきわめて具体的な例としては、たとえば現在御提案申し上げております
農家
単位の引き受け
方式
、これは農村の実情から見て選択制でいこうということで、一律に押しつけることはしない考えでございますが、まあかりに条件が整ったとして、全水田が農単
方式
に変わると、むしろ掛け金関係の
国庫負担
はふえる計算になる。ああいうものが、決して
水稲
共済の掛け金関係の
国庫負担
を減らすための規制ではないということは計算上も明らかでございます。
杉原一雄
30
○杉原一雄君
総合農政
ということで進められるとする考え方というのは、大まかに言って米は余っているから押えると。これは正直に言ってそうですね。そこで、転作の方向と、どちらのほうに誘導するかということで新しい地図ができているわけですがね。その中で結局、まあ先ほど誇りを持って
説明
された畜産営農行政
制度
の
拡充
強化
ということは私は認めますけれども、これは全然おかど違いになりますけれども、あなた方はこれから転作の方向として、稲作から転作するのは豆だ、麦だと、そして、蔬菜だ、果樹だと、こう言っておられるのですから、これは
現行
制度
では捕捉、つかむことはできない状態になっているわけですから、これはほかの法案でなりいろいろ処置をされているものだと思いますけれども、つまらぬ幼稚な質問をしますがね、ここで対比してみて、米の問題、畜産の問題、蚕の問題、そしてあと果樹、蔬菜、こうして並べてみた場合、後者のほうですね、これはいまの同じ論点から進めていくと、それはどうなるのですか。その辺のところ、それはまああまり詳しく要りませんがね、簡単にひとつ共済
制度
のサイドから見た場合に、こうした問題については戦列からはずれているわけですから、戦列に加えるとか加えないとか、将来の展望を含めて、現状の
説明
方をお願いしたい、こう思います。
小暮光美
31
○
政府委員
(
小暮光美
君) 養蚕と畜産につきましては、
制度
の基礎がございますので、これを逐次
改善
していくということでございますが、果樹あるいは蔬菜あるいは豆類その他の普通畑作、さらにはお茶とかいぐさといったような
地域
特産物につきましても、農災
制度
の側からできるだけ適切な
制度
を仕組みたいというふうに基本的に考えております。 ただ全体として
制度
を仕組みますためには、かなりの基礎的な資料の収集が必要でございます。そのほかに、
制度
として成り立ちますためには、それだけの共済
需要
といいますか、かなりはっきりした
生産
者の意向がつかめませんと、これは
加入
捕捉という段階で問題を生ずるわけでございます。そういった
生産
者の意識の動きもあわせて調査するということで、いろいろ調査検討を続けてまいっておるわけでございます。 具体的には、果樹につきましてはすでに五カ年間の実験
実施
を現在やっておりまして、この実験
実施
が終了いたしました際に、その五カ年間の経験を基礎といたしまして、できるだけ早く本格的な果樹共済の仕組みを発足させたいということで、鋭意研究を続けております。 〔理事
亀井善彰
君退席、
委員長
着席〕 それから鶏あるいは豚等につきましては、基礎的な資料の収集並びに
農家
の意識調査というようなことをいたしておりますが、かつてニューカッスル病あるいは豚コレラといったようなものが猛威をたくましくした場合に、非常に強い要請がございました。この面が、当面むしろ予防
措置
のほうが効を奏してまいりました。それらの点が共済
需要
に微妙な影響を与えておるといったような問題もございまして、この際できるだけ基礎資料をさらに
拡充
して、できるだけ的確な
制度
を確立するように、若干時間をかけて研究したいという形になっております。 なお、豆類その他の畑作につきましては、実は
価格
のきわめて激しい変動というものがございます。この
価格
変動をどのように理解するかということが
制度
の立案に当たって非常にむずかしい問題になっておりますけれども、しかしそれらの点も含めまして、今後検討を急ぎたいというふうに考えておる次第でございます。
杉原一雄
32
○杉原一雄君 次は、問題をかえまして、組合の
区域
の
広域化
の問題についてお伺いしたいと思います。 先ほど
局長
から
提出
いただいた参考資料、六ページを一応目を通したわけですが、そこでこの中で、
市町村
の
区域
を超えるもの、超えないもの、それぞれ構成率なりいろいろ数字的にはあらわされているわけですけれども、そこで農林省の集約で、
市町村
の
区域
を越えるもの、まあ四・三%の構成率ですけれども、
運営
上の問題はないか。超えるものについては
運営
上の問題点があるとすれば一体どういうことなのか。 それから
市町村
の
区域
を超えないもの、言いかえるならば、いま農林省が腹をきめて、
広域化
の方向に踏み出しているわけですから、それには問題点があるということは明らかですから、超えたものの問題点、超えざるものの問題点、それを列記していただいて、結果的には
広域化
をしなければならぬという結論に達しているわけですから、結論はわかっておりますが、結論への条件といいますか、検討
内容
等についてお伺いしたいと思います。
小暮光美
33
○
政府委員
(
小暮光美
君) 六ページの表で、
市町村
の
区域
を超えるものが八十七というふうにいたしてございますが、これの中身も調べてみますといろいろございまして、たとえばいまわれわれが新しい法案でその
推進
を御提案申し上げております広域合併、そういう
趣旨
を十分いれまして、大体郡単位程度の
規模
で広域合併をすでに終わった、そういうような組合がこの八十七の中にはございます。しかし半面、たまたま、
市町村
の
区域
を超えるという統計分類に入りますけれども、
内容
を見ますと、それぞれ独立ではとても一つの組合が成り立たない。さっきちょっと申しましたけれども、都市化しつつある地帯とかあるいは海岸沿いの非常に
農業
基礎の貧弱な地帯というようなことで、二つの町村の
区域
を合わせることによってかろうじて事業の
運営
を確保しておるといったような形でございますものもございます。したがって
市町村
の
区域
を超えるもののすべてが今後の十分の
基盤
を持つ形になっておるというふうには見ておりません。 それから、
市町村
の
区域
より小さいもの、三百五十一というのがございますが、これも中を見ますと、たまたま町村合併が進行いたしまして、町村合併は済みましたが、これに即してこうした共済組合あるいは
農業
協同組合といったようなものの
組織
の
整備
がまだ時間的におくれておるというだけで、将来その方向にいくだろうというような形のものもございます。したがいまして、これらのものもそれぞれ
市町村
の
区域
より小さいから、現在非常に問題だというものだけがここにあるわけでございませんで、いずれ適当な時間の間に合併町村の姿にこういう
組織
も一致するだろうというふうに見られて、十分それで組合としての
運営
も成り立つだろうというようなものもこの中には一部あるわけでございます。ただ現状では大
部分
が
市町村
の
区域
と一致するということで二千七百六十四ということになっておるわけでございます。 まず、
組織
の考え方としては、これまでの指導が
市町村
単位となっておりましたのにはそれなりの
理由
がございまして、やはり共済
制度
でございまして、
生産
者が相集まってともに助け合うという、そういうことが
制度
の発生の考え方でございますが、できるだけ
地域
の連帯意識というものが確保できる、あるいは掛け金の徴収、その他そういう面でも一つのまとまりがあるということからいきますと、これまでやはり市村町単位ということが一つのきわめて現実的な姿であったということで指導してまいったわけでございます。ただ、先ほど来申しておりますように、事務、
人件費
というものはかなりの速度で単価が上昇いたしております。共済
制度
は
農業
協同
組合等
の経済事業を行なうものと違いまして、きわめて厳密に国が基本を定めて、掛け金その他統計をもとにいたしまして厳密な設計をいたしまして、それに基づいて仕事をやってもらう非常に公的な性格の仕事でございます。一部に任意共済ということで活動を
拡充
しまして、
人件費
のもとを生み出すというような努力をいたしている面もございますけれども、基本はやはり
国庫
補助を受けた
職員
ができるだけ的確にこの
制度
を
運営
するというところにございますので、
人件費
の上昇、
事務費
の上昇ということは組合の
運営
にとっては非常に困難な問題を起こす要素になっております。 したがいまして、これらの点を今日の
発達
した交通、通信
事情
あるいは
事務機械
の能率の向上ということを取り込んで組合の
広域化
によってカバーしようということをいまやっておるわけでございまして、具体的にすでにそういう角度から広域合併を終わりました実例等を見ますと、一般的にたとえば
人件費
が四割近く二カ年間で上がりましたような際に、広域合併の済みました組合では、
人件費
の上昇が一般のものよりは一割ぐらい少ない。一つの事例でございますが、二カ年間に
人件費
の上昇が二四%にとまっている。その二カ年間の全国の組合平均は
人件費
の上昇が三四%になっております。そうしておいて他方、事業費、事業活動のほうは全国の組合平均が二カ年間に六九%の事業費の増大でありましたのが、広域合併を行ないました組合では二倍とちょっと、二三六というような事業費の
拡大
を見ておる。ですから一般の
人件費
の上昇率よりも少ない
人件費
の上昇率で、事業費のほうは平均よりもはるかに高い事業費の増大を実現しておるというようなことでございます。それがやはり広域合併の一つの成果ではないかというふうに考えております。
杉原一雄
34
○杉原一雄君 その次に
市町村
でやっているのがありますね。ちょうど私これも十五日の日にそうですね、
加入
者の数が千五百九十一で引き受け面積は十二万六千三百七十五アールですが、これは町村営のところへ行って
事情
を聞いたんですが、ここではそんなに小さな程度の、
加入
者の少ないところですけれども、できれば現状でやっていきたいというようなことを申しておりましたがね。だから結局いま農林省が考えているような
広域化
の方向については、
趣旨
の不徹底もあるかもしれませんけれどもまだしっくりしない。できれば現状のままでやらせてほしいということを率直に申しておりましたけれども、その辺のところ、
市町村
営の全国的な傾向等を見て、いろいろ調査検討をなさったものだと思いますが、これでどうでしょうか、利害得失と申しますかね、その辺のところをどういうふうに集約しておいでになりますか、お聞きしたいと思います。
小暮光美
35
○
政府委員
(
小暮光美
君)
水稲
共済のようなものを基本に考えますと、地帯によっては確かに共済組合でやってもあるいは
市町村
営に移してもそれほど大きな違いはないといったような
地域
もあるというふうに私は見ております。これは
水稲
全体御承知のように技術の水準もかなり平準化されておりますし、その技術指導の体制というものも共済
制度
とは別に、御承知のように普及所あるいは
市町村
の担当
職員
というようなことで、網の目のようにでき上がっておる。それから
被害
の
発生態様
も次第に少くなってきておるということでございますので、それだけで見ますと、先ほどもちょっと申しましたように、もし次第に
農業
から脱落していくような人たちが多いような場合に、それでも水田だけは御承知のように二種兼業でもやれますから、かなりの水田が残っておる。そこでりっぱな組合にしようとしても
人件費
倒れになる。
市町村
にお願いしたほうが、たとえば掛け金とか
事務費
の
賦課金
なども町村税の徴収の例にならって取れますから、きちんと取れるというようなことで、非常にやりやすいといったような面があったことは事実です。 だた共済
制度
全体として
水稲
共済の
基盤
の上に
蚕繭共済
とかあるいは
家畜共済
、そういうものを次第に
充実
させておるわけです。こういった面で考えますと、たとえば
家畜共済
が次第に育っていくような姿から考えますと、共済組合が単に掛け金を徴収して
共済金
を支払うということだけでなしにですね、やはり診療所の
運営
といったようなことを通じて、畜産の実際上の指導の中にかなり具体的に入り込んでおるわけです。その点は
水稲
共済とはかなり性格を異にする。今後次第に、先ほど来も御議論がございましたように、新しい共済
制度
を仕組んでいくというようなことを考えますと、防除活動といったようなものとの関連もございます。できるだけやはり
地域
の
生産
者が集まって
被害
を未然に防止するような仕組みを一緒に、共同で
運営
したり、そういうものとうらはらになって共済
制度
が実現されていく、こういったような形が想定されまして、そういう
地域
の連帯関係と申しますか、同じ仕事を一緒にする者がぜひ集まって
制度
を仕組むやはり
制度
本来の姿のほうにむしろメリットがある。
市町村
にただ掛け金徴収が便利だ、
職員
の
人件費
は心配ないということでお願いしておりますと発展性がない。いわゆる事業意欲と申しますか、そういうものが必ずしも盛り上がってこない、こういったマイナス面もございます。それぞれ一長一短がございますが、やはり円満に広域合併を実現する場合には、むしろそういう形で事業の
内容
を
充実
していくということが望ましいのではないかというふうに考えているわけでございます。
杉原一雄
36
○杉原一雄君 でありますから、いま広域ということになると組合、
市町村
営、両方一緒になって初めて広域になるわけですから、その辺の段階的な移り変わりの問題等については、これはもちろん法の限界で、議論をする次第のものじゃないでしょうけれども、いま私
説明
等を聞いて、それぞれの特色があり、利害得失があるわけですから、そうしたものを十分踏まえての今後の政令段階なり行政指導段階で、十二分の、かゆいところに手の届くような指導が必要だと感ずるわけです。組合でも実は私一つ見てきたのですが、千六百四十七名の加盟した
組合員
がおるわけです。共済反別なんかごく少ない十万三千八百二十八アールというところをたずねまして、玄関に向かったら、玄関に看板さえ上がっていない。どこだろうかと思って二階にことことと上がって行ったら二階に小さな看板があって、入ったら二、三人の
職員
の人が生気のない事務をとっておるという姿を見てまいりまして、これは農林省がいま提起しておる
広域化
の方向は妥当だなと思ってきたのです。 ただしかし、非常に危惧するところは、現在の
農村社会
において、いま
局長
の
説明
の中で若干抜けていると思いますが、労働力の移動だけが問題でない。つまり非
農業
関係に従事することによって収入がふえた、これが
農村社会
構造の
変化
のすべてではない。でありますので、私一番小さい単協の理事を昔していたことがあるのですが、やはり農民は農閑期になるとあるいは農民は肩休めに農協へ遊びに来てたばこをふかしながらいろいろ話をすることはかれらにとっては非常な楽しみである。その当時の農民と今日の農民とは生活状態が違っていますが、しかし五十以上の中高年の
農業
労働者、農民は、ボーリング場へ行くような力はおそらくないと思う。とすればやはり農協等をおたずねしてたばこをくゆらせながらだぼらを吹いて楽しんでいるというのがかれらにとっては非常な楽しみなんですよ。これは単なる娯楽とかレクリエーションとかいう問題じゃなくて、農民のやはり連帯意識といいますか共同意識といいますか、そういうものが相互扶助の考え方が形成してくる大きな要因であったと思うのです。 ところが農協は大同合併だ、そしてまた共済もまた広域合併だと、こういう方向にどんどん農民の場から離れ、距離的に非常に遠くなってくるという問題が出てまいります。
共済事業
というものは本来そういうものではないのであって、事業の精神というのは相互連帯と相互扶助の精神が根底にあって初めて
共済事業
というものは成立発展をするわけですから、形の面でそういうふうになることは逆の方向を歩いているわけなんですね。その辺のところをどうするかと言ったって
局長
の答弁は私はりっぱにいただけるとは思いませんがね、しかしながらそれは否定できない現実でありますから、合併等の作業を進める場合に、いま申し上げましたようなことなど、十分配慮されながら進められるべきではないかと思う。 いまここで答弁をいただきたいと思うことは、先ほど申し上げました組合そして町村営、あります。こういったものはいまのあなた方の指導目標は郡市単位だと、市は別にして郡単位の方向で
広域化
しようというのがねらいのように伺っておるわけですが、そうでないところ、現在私の故郷の周辺にあるわけですから、いわゆる村営、町営の段階から、
広域化
することによって組合に入るわけですから、この辺の段階、プロセスと申しますか、段階的指導の問題ですでに配慮されていること等があればお聞きしたいと思います。いかがですか。なければけっこうです。 〔
委員長
退席、理事
亀井善彰
君着席〕
小暮光美
37
○
政府委員
(
小暮光美
君) 特に
市町村
営が混在しているところにだけ特段の
措置
をするということは
制度
とか予算にはございませんけれども、全体として合域合併の
促進
のためには当然関連の方々にお集まりいただいて協議会というようなものを積極的につくりまして、その協議会の場で十分いまの経過的な問題について議論を尽くしていただく、それで
広域化
の方向に進んでもらいたいということを指導の際に考えております。また特に組合が関係者から遠くなってしまうということがあるには困りますので、
広域化
いたします際に、その事業活動等につきましてむしろ専任の
職員
をもって広報活動とか情報連絡とか、そういうことを十分やれるような形を仕組むとかいうようなこともあわせて指導したいというように考えております。
杉原一雄
38
○杉原一雄君 次に、
農家
単位
方式
の
採用
ということでございますが、
局長
からいただいた参考資料は十一ページにございますね。そこのところと十二ページのところと照らし合わせながら、結局私たち農民の側に立ってみてどちらが得かなと、いろいろ考えているわけですが、技術上の問題はいろいろあると思いますが、それはのちほど質問いたしますが、どっちが得だろうと、こう考えておるわけですが、農林省では行く行くは
農家
単位
方式
へ持っていきたいわけでしょう。当分の間ということでこれは選択的な方向を示しているわけですが、農林省の腹はわかっているわけですから。そうすると、一筆単位
方式
はこういうことになるから都合悪いと——農民の側に立ってください、一応、そして農民の皆さんよと、こっちのほうがいいのだと確信を持ってひとつ
局長
答えてもらえば、それを私はよりどころにして今後の議論もしたいし、農民とも接していきたいと思うのですが、一筆単位
方式
はこの点では農民には損だ、
農家
単位、農単
方式
のほうが得なんだといったような点、あまりこまかい答弁は要りませんから端的に答えてください、わかりやすく、私たちにも。
小暮光美
39
○
政府委員
(
小暮光美
君) 一番の要点は、
農家
単位の場合のほうがいざというときにはまとまった金がもらえるということがこれが一番はっきりした点だと思います。一筆建てでございますと、とかく非常にこまかな金額がしょっちゅう来る。しかしそれはそれほど経営にとって重要な意味を持たないというものでも理論上支払われるというようなことになるわけでございます。農単の場合にはこまごましたものは経営の中で吸収してしまいますが、一朝事ある場合にはかなりまとまった金額で出てくる。そのことはこれまでに
昭和
二十七年から
昭和
三十一年までに実験的に
農家
単位の共済をやってみたことがあるわけでございます。そのときのデータを整理しましても、農単のほうが一筆建てに比べますと、受け取りの回数と申しますかいわゆる
被害
農家
戸数、
共済金
を受け取ることになった戸数は減ります。これはいま言ったように、そう毎年少しずつたばこの三個分くらいの金がくるというのではなしに、もらうときにはまとめてということですから、もらう
農家
の戸数はかなり減る。しかし、全体の金額はそんなに減らないということは、一回にもらうときはたくさんもらうということがはっきりしております。それから掛け金も現在考えている仕組みでは一割ぐらいは低くなる。もし同じ
共済金
額を選べば一割ぐらい低くなる。そういうような形が出ております。ただそれならなぜ一気に全部農単にして選択制なんということはやめたらいいじゃないかという御指摘もあろうかと思いますが、これは農単が
農家
の立場から見て一筆建てよりも有利になるためには、やはり
基盤
整備
のある程度の水準が確保されておるというようなこと、あるいは区画整理と申しますか、大型圃場に整理し終わった、これは当然土地改良とあわしてやるわけですから、用排水を分離し、大型圃場をつくる場合には、基礎的なものが完備しておりますものは間違いなく
農家
単位のほうが一筆建てよりも経営上有利だ。その条件がない場合はどっちが農民にとって有利であるか、個々のケースについて見ないとわからないというのが現状でございます。
杉原一雄
40
○杉原一雄君 いまの
説明
で大体大まかなことはわかりますが、何かこう、損害評価、そういった面の技術上の問題等で、こういう
方式
を切りかえていく考え方をお取りになった
理由
にもなっているように伺いましたが、そういうことはありませんか。どうでしょう。というのは、私はむずかしいことはむずかしいと思うんです。特にいまの、かえって
農家
単位の場合、どういう評価をするのか、私ちょっとこのあれを読んだだけで
説明
がわからないんです、
内容
が。一筆単位のときには私も関係したことがありますから、わからないことはないわけですが、
農家
単位の場合、二割以上ですから、二〇%ですから、三割、四割
減収
というと、どういうふうにして調べるか。もみすりの最後の仕上げでそれを判断するのか、なかなかむずかしいでしょう。その辺のところ、一筆のほうがむずかしいから農単にしたんだということになるのか。まあ農単はそういうことを乗り越えてやるのかという意味にとるのか、その辺のところをちょっとお伺いします。
小暮光美
41
○
政府委員
(
小暮光美
君) 評価のしかたが、もし細目にわたりましたら、場合によったら担当課長からお答えさしていただきますが、基本的な考えは、まず足切りが三割から二割になるという点が一ついまの問題との関連では条件が違う。一筆建てなのか
農家
建てなのかということからくる前に、足切りを三割から二割にするということで、ややその面からも
被害
がそれほどはなはだしくない場合でも、いろいろ調べるという要素がそこからありますが、そのために農単の場合には全圃場を見るわけですから、全く
被害
がないと思われる水田も含めて、とにかく全体として二割程度の
被害
になりそうだということになれば、やはり当該
農家
にとっては悉皆調査的にやらなければならないということになりますので、その一事を見ても農単のほうが一筆建ての場合よりも評価の手間がかかる。ですから、それの手間をはぶくために一筆一筆やるのはめんどうくさいから農単にしたというのじゃなくて、農単のほうがむしろ手間がかかるでしょう。しかし、それができるような、さっき申し上げましたような圃場条件とか、そういうものができれば、このほうがはるかに経営に対する救済
制度
としては合理的だ。したがって、多少評価事務が複雑になっても、これはやったほうがいいだろう、こういう判断でおります。
杉原一雄
42
○杉原一雄君 そうすると、確認いたしますが、農単
方式
にする場合の条件として、
基盤
整備
、圃場の大型化、そうしたものができることによって農単
方式
のほうがきわめて有利だ、三〇が二〇になるんだというように、農民に
説明
すればいいわけですね。同時にまた評価の
方式
等については、逆に農単の場合は手間ひまがかかるんだと、こういう
説明
ですが、それで間違いないですか。もう一度確認します。
小暮光美
43
○
政府委員
(
小暮光美
君) そのとおりでございます。
杉原一雄
44
○杉原一雄君 それでは評価の問題ですけれども、先ほど例にあげた町経営の場合ですけれども、これは実は古い統計しかくれなくて困ったのですけれども、去年でなくしておととしの統計ですけれども、
被害
者が十五ぐらいございまして、
共済金
が四万六千六百四十円です。だから
共済金
額割る
共済金
は〇・〇一四%、こういう比率を実は出しております。もう一つは先ほどのこれは一市、ある市でありますが、千六百四十九人の
組合員
がいるわけでありますけれども、
被害
者は、二十八、
共済金
は二十万八千八十円でありますが、だから先ほどの
共済金
額割る
共済金
は〇・〇二四%、驚いたのは、この組合で
役員
の報酬が実は三十七万八千円なんです。
職員
給料、手当が五百六十六万一千七百六十円であります。これは
水稲
本位のところですけれども、
共済金
が二十万八千八十円、こういうことですね。これはこれ以上私これに対して批判しょうと思いません、現実ですから。 ただ問題は、そうした
業務
状況、
業務
報告の実態の中で出てくる問題は評価の問題ですね。評価
委員
の問題ですね。そうしてまた連絡員の問題ですが、評価
委員
が結果的には二十万の
共済金
しか出さないわけですけれども、いろいろ全国
組織
の皆さんから
事情
を聞きますと、評価
委員
が大体四十名ぐらい、連絡員が一単位二十名ぐらいいる。両方兼務している場合もありますが、でありますから、かりに兼務していたとしても、一単位が四十名内外、そのような状況の中で、かりに評価
委員
にしぼってみた場合にも、一年間にどれだけ活動するか。大体十五日ぐらい動くだろう。そうしますと、いま連絡員について、これは別ですけれども、連絡員は五百円に対して三分の二の
国庫
補助がある。非常に多額の補助をいただいて、現場ではこれに対して非常に激励を受けておるようですが、いろいろ受け取っているようですが、そこで、こういう状況の中で結果的には
共済金
は二十万だといったような、先ほど町単位の場合は二十万じゃなくて四万なにがし、去年は二万なにがしです。そういったような実態であるわけです。ちょっと見ただけでも非常にとんちんかんのような感じがするわけです。でありますから、この待遇と申しますか、評価
委員
のあり方の問題、基本的には、何かこうこういうことから
広域化
の問題が出てきたりいろいろ問題化してくると思うのでありますが、こうしたこの現実ですね。それらと関連させながら政治的な判断をしょうと思えば簡単にできますが、これだけの問題をとらえてみた場合に、これは一体どういうことなんでしょう。民間の保険会社ではできることではないわけですから、こういったことは。その辺のところを農林省はどのように事実判断しているのか、情勢をどう見て、それに対してどう対処してきたか、今後またどう対処しょうとしているのか。特に先ほど
局長
が
総合農政
の問題の
観点
の中で、
農村社会
の
変化
の中で労働力が移動している。だから農民の収入、いわゆる農外収入がかなり高くなってきた。こういうところから農民もかなり賃金というものに対する、手当というものに対する見方が労働者なみになってきたという事実を肯定しているわけです。これは事実ですよ。 実は私の町の隣は純農村地帯の部落ですが、その部落の
生産
組合長から私のところへ——私、いま町内会長をしておるものですから、申し入れがあって、つまり、
農業
用水のところへ私のところの下水が落ち込んでおるものですから、いままで黙認しておったのですが、ことしだけひとつ、その私のところの汚水が流れている、町内の汚水が流れる水路について江ざらいをするのはたいへんだから——いままで村人足といえば、喜んで来てくれて、晩に一ぱい飯めばそれでぱーぱー、そういうことで農民がけっこうやってくれたんだけれども、そうはいかなくなった。だから、あなたの町内から年間五千円ずつ補助してくれ、補助というか、幾らかのお金を出していただきたい、こういう要求がございまして、私が
役員
会を開いて相談し、もっともだということで渡すことにしたんですが、それほど村人足というものを村で確保し、村のいろいろな水路の問題、農道の補修の問題等はやりにくくなったというのが
生産
組合長の実情ではないかと思うんです。そういうこと等も相関連して、評価
委員
制度
のあり方の問題について農林省当局はどのような検討を加えているのか、もし進行中であれば、さもなくば結論が出ているならば、結論なり討議の
内容
等について明らかにしてほしいと思います。
小暮光美
45
○
政府委員
(
小暮光美
君) この評価
委員
の手当の問題あるいは連絡員の手当の問題、これは予算のときに毎度議論になるわけでございます。今日の賃金水準でものを考えますと、およそ比較を絶した金額であろうかと思います。しかし、これはこの
制度
が共済
制度
ということでございますし、しかもできるだけ民主的に地元の良識のある人たちが一緒に検見に立ち会うというところで損害評価のいわば民主性が確保される、そういうねらいがある仕組みでございます。国としては、全体として管理
事務費
にもかなりの大幅な助成をいたしておるわけでございますから、そういった
制度
の全体のあり方との関連で、これらの評価
委員
あるいは連絡員の手当というものは必ずしも、いわゆる労銀水準といいますか、賃金水準との比較で議論するわけにもいかないんじゃないか。しかし、あまりにも実態に離れておりますときには適時にこれを
改定
するということで
措置
してまいりたいというように考えております。
杉原一雄
46
○杉原一雄君 それでは次に、
新規開田
の除外の問題でありますけれども、この
説明
等によりますと意図はわかりますね。
賛成
するかしないかは別として、意図はわかります。ただ、ここの「当分の間、
原則
として」、この「当分の間」ということと「
原則
として」というこのことばが具体的な
内容
は、包まれている
内容
は一体どういうことを意味しているのか。「当分の間」というのは、これは時間的制限の問題、
原則
というのは
原則
でない場合も予想されるんですが、その辺のところを明らかにしていただきたいと思います。
小暮光美
47
○
政府委員
(
小暮光美
君) 「当分の間」というふうにいたしましたのは、これは具体的には
新規開田
を抑制する必要性というものが認められなくなるときまでという
趣旨
でございます。できるだけ早い時期に
新規開田
の抑制といったようなことをやらないでも済むような形になることを期待いたしておるわけでございまして、やはり共済
制度
といたしましては、水田についてはこれを引き受けるという本来の姿に戻りたいという気持ちがございますので、「当分の間」ということを特に入れておるわけでございます。それから、「
原則
として」ということは、これは
新規開田
と申しましても、たとえば国が地元と十分の協議を経まして、かつて大きな開田事業を起こした。これはかなり年数のかかる問題でございますから、それの最終的な整理がこの
法律
の施行のあとになるというようなことがあり得るわけでございます。そういったようなもの、あるいはある
農家
が道路その他の公共の仕事のためにそれまで持っておった水田を取りつぶされる、道路敷になって取りつぶされる、 〔理事
亀井善彰
君退席、
委員長
着席〕 しかしその経営を維持するために、それと同等程度の水田をどこかもよりのところにつくってその水田
農家
としての経営
規模
は縮小しないということで、公共のために水田を供出させられる場合は当然の
農家
の要求としてそういうものがある、これは形の上としては新たにつくった、
新規開田
ということになるわけでございますが、これはこの
法律
の「当分の間」引き受けないことにしようという
趣旨
とは若干違うわけでありますけれども、そういうようなことで引き受け除外をさらに除外する除外例の必要があるのじゃないかということがございますので、そこで「
原則
として」ということを冠しているわけでございます。
杉原一雄
48
○杉原一雄君 これで私の質問は実は終わりますが、長い間、皆さんとおつき合いしていると、どんな法案の
改正
を一つとりましても、あめとむちの準備がされているわけで、一面には非常にいいものを必ず出してきますが、一面ではむちがどこかに用意されているということを私たち野党の習癖のように感じますけれども、あなた方そういう作為を持っているようにうかがわれます。でありますから、今度の法
改正
の場合におきましても、共済
制度
そのものにはやはり政策保険的な意味と公的な保険
制度
的なものとの性格がミックスされているものがあるように思います。ただその場合に、法あるいは
制度
そのものを進める場合において、どちらを優先するかということがやっぱりそのつどその条件によって判断される資料になるわけですが、政策そのものがもし間違いであった場合は法
改正
そのものが間違っておることになる。でありますから、重みを言えば公的保険
制度
に——まあ
拡大
すればフランスのように、保険に、共済
制度
に入っていることが農民の金融
制度
まで
拡大
するというような、かなり恩恵的な意味をも持たせるようなところまで手が伸びていく配慮も必要だと思いますが、ただ、政策が目まぐるしく
変化
することによって、法そのものがそのつどネコの目のように変わっていくというのでは、これはやっぱり私は問題だと思います。今度の法案等につきましても、賛否の決意を持っているわけですけれども、ただ法案成立の暁には
運営
につきましても十分下部の
意見
と申しますか、実情等を掌握していただいて、おれらのやっていることは間違いじゃないとか、
国庫
補を入れてやった以外のものじゃないかとか、それだけでは済まされないものがやっぱりあるんじゃないかということを、私から申すまでもなくご存じだと思いますが、十分配慮をしながら、
運営
に当たっていただきますことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
沢田実
49
○沢田実君 私も二、三点、この問題について質問をいたしたいと思います。 最初にいま問題になりました
新規開田
のことなんですが、
新規開田
に対しましていま御答弁のような
趣旨
の
説明
があったわけですけれども、
新規開田
を制限するというほうはこれは別な問題で、それをその保険で何とかしようという考え方が間違いじゃないかと、やっぱり保険は保険としてやりませんと、
災害対策
という保険の本来の
制度
の意味を失ってしまうのじゃないか、そちらが後退してしまうのじゃないか、こう思いますが、その点はどうお考えになりましょうか。
小暮光美
50
○
政府委員
(
小暮光美
君) やはり
農業災害補償制度
が
災害対策
の非常に重要な柱だという性格は最後まで変わらないと思います。しかし、これはやはり
生産
政策全体の方向の中で
災害対策
としての必要なことを行なうということでございまして、やはり
新規開田
を抑制するということが
生産
政策の一つの姿として今日妥当するとすれば、農災
制度
はやはりそういった農政の方向に即応する形であることが望ましいんじゃないかと、農災
制度
によって
新規開田
を抑制するんじゃなくて、
新規開田
を抑制したい、すべきであるという現実がございました場合に、農災
制度
がそれに合った姿になるということが必要だと、こういう理解でございます。
沢田実
51
○沢田実君 米が余っておりますから
新規開田
はやめてくださいと、ところが開田するために
補助金
もあるいは融資もしませんよ、それでも自分の力で開田するところはどうしようもありません。その開田したところでできた米は買わざるを得ません。食管法で買うわけでしょう。ですから、米に対する一番根本の食管法でそういうところの米を買っていくわけでしょう。それで保険のほうでおまえのところは入れないぞというのは、大筋のほうで政策をやらないで、何か本来やるべきでないほうでやっているような気がしますが、その点どうですか。
小暮光美
52
○
政府委員
(
小暮光美
君) 現在の食糧管理法のたてまえからいって、できた米が流通いたします場合には食管が買うことは御指摘のとおりでございまして、現在の米の
需給事情
のもとで開田を抑制すべきであるということは、現在私どもとしてははっきりそのように確信いたしておりまして、そうした開田抑制の方向に農災
制度
が自分の姿を合わせるということでございまして、これは農災
制度
としては決してその本質を踏みはずしてないと思います。
沢田実
53
○沢田実君 本質を踏みはずさないかもしれませんが、その
制度
としての後退になりませんか。
小暮光美
54
○
政府委員
(
小暮光美
君) 依然として農災
制度
におきましてはきわめて
高率
の掛け金、
国庫負担
また
人件費
、管理費等についても大幅な助成をしながらこの
制度
を維持してまいるということははっきりいたしておるのでございまして、ただいまの
需給事情
との関連での
修正
は
水稲
共済をいささかも弱めておるとは考えておりません。
沢田実
55
○沢田実君 それは先ほどもまた問題になりましたが、果樹あるいは施設園芸それから肉豚、鶏などについて大いに急いでいきたいというお話ございましたけれども、調査をしたいというお話がございましたが、この前家伝法の
審議
をいたしましたとき鶏の話等も出まして、共済の話も出ましたが、いまその調査を急いでいるという話ですが、どの程度調査をなさっていつごろ
実施
なさる御予定か、その点をお尋ねしたいと思います。 鶏の話でいまございましたが、予防のほうで進んでおりまして、鶏が病気で死んでいるのは少ないような話でしたけれども、農林省で掌握している実数というのは実際と相当違うことを見ております。というのは、私この前数千羽死んだというのを県庁のほうに聞いたら県庁では知りません。農林省当然知りません。そういうようなことが各地にございますので、決して鶏が死んでいるのが少ないということではないんです。そういう実態をこれから調査なさるんでしょうから、いつごろからそれを
実施
なさる御予定であるか承りたいと思います。
小暮光美
56
○
政府委員
(
小暮光美
君) ただいま新しい農災
制度
で本格
実施
の時期をほぼ予定いたしておりますのは果樹共済だけでございまして、肉豚、鶏につきましては、まだ今日の段階で何年ごろからこれを
制度
化するということを申し上げられるところまで議論が熟しておりません。ただ肉豚につきましては、四十四年度及び四十五年度におきまして試験調査を行ない、さらに四十六年度にも調査費を計上いたしております。鶏については、四十五年及び四十六年の二カ年で
被害
率の把握あるいは損害評価の方法などの技術的な問題点を解明したいということで調査に必要な経費を計上いたしております。
沢田実
57
○沢田実君 先ほどその共済の
制度
を
価格
変動も保険するような方向にすべきじゃないかという御
意見
がございまして、そういう方向に検討したいようなお話がございましたが、これもどの程度まで検討されているか、あるいはいつごろ
実施
したいというようなお考えであるか、その点はいかがでしょうか。
小暮光美
58
○
政府委員
(
小暮光美
君)
農業
災害
制度
のこれまでの
運営
の中では、何と申しましても米のように
価格
が国によって確定するものが
制度
の根幹であったわけでございますから、
価格
変動ということに対する対応はあまり考えないでも済んでおったわけでございますが、現在本格
実施
のための案を鋭意立案中の果実の問題につきまして実験
実施
の段階ですでに一、二問題点が出てまいっております。たとえば一昨年でございましたが温州ミカンがかなりの
被害
を見まして実験
実施
の段階で四億台の
支払い
が行なわれたことがございます。しかしそのときにある程度の
減収
でございますと、むしろ市場
価格
が騰貴するという形で個々の経営にとっては必ずしも経営を危うくしないような場合もある。しかし全体として
被害
が特定の
地域
に集中しますと、その
地域
はその値上がりした
価格
が実現しないものですから、
被害
のこなかったところの諸君が値上がりの利益を受けて、
被害
を受けた者は全く
保険金
でもなかったら困るということになりますが、薄く皆さんに二割ぐらいの
被害
が行きわたったというようなことになりますと、全員が
価格
騰貴との関係で
被害
を食いとめるということも理論上はあり得る、こういう問題をどう考えたらいいんだろうかということが実は果樹保険の中からも出てきております。しかしこれはやはり収穫保険ということで現在仕組んでございますので、先ほど申しました果樹保険を本格
実施
する段階は、私どもとしてはやはり従来から
被害
率その他のデータを収穫保険ということで集めてきましてこれは収穫保険という形で本格
実施
に移したいと思いますが、ただ実験段階でいま把握しました問題点を今後の研究課題ということでなお研究を続けたいと思っております。 それからもう一つは、畑作について何とか共済
制度
を仕組んでほしいというのは、かつて北海道にも非常に強い要請がございました。北海道畑作ということでいろいろ調査をした事実はございました。これが実はアズキのようなものが
価格
変動があまりにも極端だったわけでございますので、収穫保険として仕組もうとする場合に非常にその一点だけでもかなりの問題になりますということで実は調査研究の途中で議論がストップしているというような実情でございます。今回稲転との関連で、北海道だけでなしに、内地におきましても水田で畑作物をつくるというようなことを奨励するような形になってまいったのであります。従来、北海道だけでは
地域
分散ができないのじゃないかというような論点もございましたような点は、内地でも畑作転換との関連で、たとえば豆をつくるというようなことが一般化すればかなり
地域
分散という要素は出てくる。そこでそういう点についての共済
制度
をさらに急ぎたいという気分でいるわけでありますが、その点ではどうもいまのこの
価格
の点をどうするかという問題がいまから頭の痛い問題です。そこでこれらの点につきましては、必ずしも従来の共済の仕組みだけにこだわることなしに、世界各国の立法例等も少し集めてほしいということで、名地に分散しております農務官にもすでに数カ月前から私どものほうでいろいろな
制度
の例を収集してほしいということを依頼しておりますが、なかなかこの問題まで組み込んだ
制度
の例は先進国にもないようでございますので、一つの研究課題としてしばらく検討さしていただきたいと思います。まだ
制度
化の自信は率直に言ってございません。
沢田実
59
○沢田実君 次は
組織
の問題ですけれども、組合の広域合併を進めることとしているようでございますが、これに関連をして、いわゆる
連合会
の機能はどういうふうにあるべきとお考えになっていらっしゃるか。要するに単位組合が非常に大型化するわけですからして、いままでの
連合会
でやっておるようなある程度の仕事を、今度は単位組合でやるというようなふうに変わっていくのじゃなかろうかと思うんですけれども、
連合会
の機能についてはどうあるべきとお考えになっているか、お尋ねいたしたいと思います。
小暮光美
60
○
政府委員
(
小暮光美
君)
農業共済
制度
の場合には、
連合会
は先ほど資料
説明
で各段階
ごと
の絵でお示ししましたように、下の組合からさらに
保険金
を受け取って、そこで保険という行為を行なうわけです。経済
団体
の場合の経済連なんかが県段階で行ないますいわゆる上部機関という機能とやや違うわけです。この
制度
の中に保険者ということで一つの一コマをなしておる。したがいまして、これはやはりそれぞれの組合で一ぺん共済しましたものを県下一円という形でいわば保険する。しかも自分が持ちます分の一部を国に再保険に出す、そういう保険者としての機能がございますので、現在の農災
制度
では私どもはやはり
広域化
が行なわれましても県段階の
連合会
は必要である。逆にいえば、県下一円という
広域化
をいま
推進
するつもりじゃない。むしろいまの交通通信
事情
と、先ほど来ございました連帯感と申しますか、そういうものとの接点は郡程度ではないか。それで県で保険し、これを国に再保険に出すという県段階の機能を残したい、これが
連合会
の非常に基本的な機能だと思っております。そのほかに損害評価等の場合に、やはり組合を指導して県内の横の根ならしと申しますか、そういうやはり機能がございます。さらに新種共済を今後仕組んでまいります場合には、やはり防災事業と申しますか、
被害
を未然に防ぐための若干指導的な意味のものが
共済事業
の問題とかなり指導の分野でも県段階の
組織
の機能が必要となってくるのじゃないかというふうに思います。
沢田実
61
○沢田実君 それから二個以上の
議決権
及び
選挙権
を与えるという件ですが、
農業共済組合連合会
は政令の定めるところによって云々と書いてありますけれども、この政令の
内容
はどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
小暮光美
62
○
政府委員
(
小暮光美
君) 大きな組合が一票というのは不適当だろうということで二以上の
投票
権なり
選挙権
を与えようという
趣旨
でございますが、これがまた極端に一部に
投票
権が偏在すると いうことになるのを防ぐ
趣旨
で、やはりその組合を構成しておりますものの数と、いま申しました組合が代表して
議決権
の行使する場合の
議決権
の数とがバランスするように、過大にならないようにということを政令で示したいというふうに考えております。
沢田実
63
○沢田実君 その数がたとえば
連合会
の組合の数が百の場合には百まで伸ばすことができるというようなことをおきめになる予定らしく聞いておりますけれども、そうなりますと、二割ないし三割の特定の大きな組合だけで半数以上占めてしまうような結果になるのじゃないかと、こう思うのですが、そうなった場合には少数、いわゆる小さい組合の
意見
が無視される結果になるのじゃないか、そういう心配がされますが、その点はいかがでしょう。
小暮光美
64
○
政府委員
(
小暮光美
君) 政令としては、いまの例でいえば、百人をこえてはいけないという形でむしろ上限を限るということでございますが、実際には定款等の定めによりましてその範囲内で、むしろ組合の実情に即した
議決権
を考えるということを指導することになると思います。
沢田実
65
○沢田実君 そうしますと、その
連合会
でいまおっしゃるぎりぎりのところまでつくるようなことはないという意味ですか。
小暮光美
66
○
政府委員
(
小暮光美
君) 模範定款令をつくりますときに、一組合当たりの
最高
限度というものをきめるような形を指導したいというように考えております。
沢田実
67
○沢田実君 次は、先ほどもお話が出ました引き受け
方式
ですが、引き受け制と
農家
単位
制度
との関係ですけれども、新しい
改正案
では二割足切りというふうにやっているわけですが、いままで三割なものを二割にした根拠ですね、その点をお聞きしたいわけです。私は、もう少し一割なら一割までできないだろうか。ということは、最近の
農業技術
の
進歩
、あるいは品種改良等によって相当の悪条件でも一〇%減産というようなことはほとんどないくらいだという、米のほうのお話を聞きますとそういうお話でございますので、一〇%以上なんということは私は相当な
被害
だと、こういうふうに思うわけです。ところが、二〇%ということになりますと、現在の米の場合なんかほとんど適用しないんじゃないかと、こういうふうに思うわけですが、特定な水害とか何とか以外はですね。その辺、二〇%に決定なさった根拠、その辺をお尋ねしたいと思います。
小暮光美
68
○
政府委員
(
小暮光美
君) 農単の仕組みにつきましては、先ほども申しましたように、前に実験
実施
ということで具体的に数字を当てはめてみたわけでございます。一割足切りということで考えます場合と二割足切りということで考えます場合で、大体
掛け金負担
が倍、半分になるわけです。で、現在、一筆建てで三割足切りということでやっております現在の設計のもとで、現状での掛け金の水準の率があるわけでございます。それに先ほどから議論のありましたような
高率
の
国庫
補助をやっていまの
制度
を仕組んでおります。これは農単
方式
に切りかえます際に、何と申しますか、大幅に水準として掛け金を上げたり下げたりすることをしない。いまの三割足切りの一筆建てということで現にございます水準とそうはなはだしくは離れない、できればそれより幾らか低い、
農家
の
負担
を
軽減
する意味でやや低目のところで設計を立てまして二割足切り。二割足切りでやりますと現状よりも掛け金の総体が一割くらい下がる程度のところになる。これをかりに一割足切りにしますと現状より非常に高い掛け金になるということでございます。
沢田実
69
○沢田実君 それから
農家
単位の引き受け
方式
は、先ほども杉原さんからいろいろ御質問がございましたが、農林省としては相当に奨励し、
推進
していく方針のように思われますけれども、どの程度
採用
されていくか、農林省の見通し等がございましたら伺っておきたいと思います。
小暮光美
70
○
政府委員
(
小暮光美
君) これはずいぶん長いこと議論をしてまいった仕組みでございますので、関係の方々も農単の場合はかなり御理解が進んでいるというふうには考えておりますが、ただ具体的な掛け金率とか、そういう条件を正確に明示して
意見
を徴したわけでございませんで、まだ的確に何割くらいこの
制度
に乗るだろうかということは申し上げられないのでございますが、ただ農林省といたしましては、農単
方式
についての
生産
者の意向調査というものはすでに
実施
いたしました。これによりますと、
賛成
が四三・八、反対が三二・九、どちらとも
意見
を申しがたいということで
意見
不明というのが二三・三。ですから
説明
のしかたにもよるでしょうけれども、これをアンケートをとると私どもはやはりこの
制度
のほうが経営上いいだろうということで
説明
しましたから多少そういうこともあるかと思いますけれども、
賛成
四三、反対三二というような形であったと思います。それから都道府県の主管課長に集まってもらいまして県内の状況を言ってもらったことがあるのですが、全面
実施
ということを指導してもいいということを言っておりました県が三県、やはり選択
実施
ということで組合の
自主性
にまかすべきだというのが二十三県、
意見
がありませんというのが二十県というようなことで、これは四十四年度の当時のものでございますが、的確な設計をいたしまして、その中身を十分周知徹底させますことによってある程度、初めのうちは時間がかかると思いますが、次第に
基盤
整備
の先行をした地帯にこの仕組みが普及するというように考えております。
沢田実
71
○沢田実君 次に
家畜共済
のことですが、何か今回、
診療給付
の一部受益者
負担
ということが行なわれるそうでございますが、その
理由
をお尋ねしておきたいと思います。
小暮光美
72
○
政府委員
(
小暮光美
君)
家畜共済
につきましては、先ほどの資料
説明
でも申しましたように、近年、病気とか傷害にかかわる
共済金
の
支払い
が非常にふえてまいっておりまして、家畜特に
乳牛
が多いわけです。それから死廃事故では肉牛のところが近年
共済金
が非常にふえているようですが、一番私どものほうで問題にしておりますのは、
乳牛
についての病気傷害の支払が非常に多い。これはやはり多頭化が進展いたしますに伴って技術が必ずしもそれに随伴しないということがあるいはあるんじゃないか、そういう面からいきますと、技術指導等によってこれを解消していくことが一つの基本的な方向だというふうに考えておりまして、やはりどういう場合に受診するか、それから獣医師に対してはどういう場合にどの程度の診療をすることがいいかということの指導はいろいろやっておるわけでございますが、しかしそれにしてもかなり収支の
内容
が悪くなってきておる。これは私どもとしては、一つには
国庫
補助をできるだけ引き上げていく、従来
家畜共済
の場合は
水稲
共済よりも沿革的にやや
国庫負担
が少ないわけですから、これを選択的
拡大
という
趣旨
に照らして
国庫負担
を引き上げていきたいと思いますけれども、すべてこの収支の悪化を
国庫負担
の引き上げだけで解消することが妥当なのかどうか、やはり全体としては、乱診乱療とは申しませんけれども、診療に付する判断は
生産
者にまかされておる、どの程度まで診療するかということは獣医師さんにまかされておるんで、全部
共済金
のほうでまかなわれるという形でございますよりは、その中に何らかの自律機能と申しますか、そういうものを一部組み込むことが適当なのではないか。しかしそのこととあわせて、
国庫負担
を大幅に引き上げるということと両々相まって家畜の共済の
運営
を安定させたいと、こういう考えでございます。
沢田実
73
○沢田実君 国会では健康保険の改悪なんか議論されておりまして、また家畜のほうまで改悪されたんじゃ困りますので、その点についてはひとつ十分御検討いただきたいと思います。 それから
蚕繭共済
ですが、
被害
率が非常に低下の傾向にあるという先ほど資料の御
説明
がございましたが、それを
料率
に反映させて
共済掛け金
を引き下げるというような
措置
をおとりになるお考えはございませんか。
小暮光美
74
○
政府委員
(
小暮光美
君) 蚕糸業が非常に技術の面でも安定してまいりまして、
被害
率が急激に下がってまいっているように見られますので、今後
料率
の
改定
を行ないます際の計算のしかたについて、できますれば最近年次の
被害
率にウエートをつけるといったような算定
方式
についても研究をいたしてみたいというふうに考えております。
沢田実
75
○沢田実君 最後にもう一つ、組合
運営
に関してですが、いわゆる
生産
調整によって
共済団体
の
賦課金
の減少、そのために
運営
が困難になるということはないか、またそういうことがあるならば、その
措置
を一体どうなさるおつもりかお尋ねをしておきたいと思います。
小暮光美
76
○
政府委員
(
小暮光美
君) 米の
生産
調整のために
賦課金
の
減収
がかなりございます。本年度におきましては、二百三十万トンの
生産
調整ということに伴いまして、前年と比べてさらに二億八千万円ほど
水稲
賦課金
が減るだろうというふうに見込まれます。で、これは一つの単位組合平均にしますと、実は七万七千円ということで、全体の収入の一%程度でございまして、組合の
業務
の
運営
の
合理化
ということでできるだけこれをカバーしてもらいたい、それも通常の場合はカバーできるはずだというふうに思いますが、ただ土地改良を一気に夏の間も施行して、できるだけそういう形で稲作転換のほうの面積もかせごうということで、特定の村にまとめて転作の面積が出てまいりますような場合には、いま申しましたような
全国平均
の姿ではないわけで、特定の共済組合のところで
賦課金
収入が大幅に減るというようなこともないわけではないわけです。 そういった問題がございますので、
人件費
等について
国庫
補助いたします際にも、これは国から県に対しては、それぞれの積算の基礎に基づいて県に助成をいたしますが、県の段階で一部いまのような問題が調整できるように、
補助金
の配分にあたって配慮することを
推進
会議
の際にも私どもから関係の県にお願いしてございます。しかし基本的には調整するにしても金がなければできないわけでございますから、昨年ことしと二カ年連続をいたしまして
事務費
予算の作成の際、従来よりも若干
人件費
補助に配慮いたしております。これはこまかいことですから、あるいはそこまで申し上げないほうがいいかもしれませんが、従来から国家公務員のベースアップの姿に合わせて補助単価を上げていくということをやっておるわけですが、それも単にベースアップ分を見るのでなしに、共済組合の
職員
の平均年齢といったようなものと現在補助しておりますところの基礎に使っておる何等級の何号俸の高さとの間に若干のギャップがございます。そのギャップを何年かに一回ずつ埋めていくということで、一号俸引き上げた上で新しいベースを適用するということをやるわけです。その際には、従来定員を減らすということをやっていた、共済組合全体として、やはり
人件費
の節減というので、定数を減らしながら号俸を上げるということをやっておったんですが、昨年とことしはいまの稲作転換の問題がございますので、組合の実情等を考えまして定数を切ることなしに一号俸の
改善
ということを二カ年連続してやったということもございまして、両々相まって組合
運営
の努力と
国庫
補助の
充実
ということでこの難局を切り抜けていきたいというように思っております。
河田賢治
77
○河田賢治君 いまかなりいろんな面に突っ込んで質問がありましたが、若干二、三の問題について質問したいと思うのです。 御承知のようにこの共済
制度
の目的は、
災害
の
補償
をする、しかし同時に現在の
農家
自体の、特に零細農は、御承知のとおり農作物が若干でも減少すれば直ちに家計に響くわけですが、こういう問題について、今度の法
改正
によって
共済掛け金
の
農家負担
の
増加
するところがだいぶある。これはきょう資料をもらったんですけれども、一億八千四百八十七万六千円というような数字が出ておりますが、やはりこれまで少々
高率
な
被害
の非常に頻発するところでありましても、やはりできる限りこういう
農家
の経済、生活というものを考えれば、私たちはこれを安定するためには、少々のことはがまんして、
国庫負担
の割合が少々
増加
してもこういうものは留保していくというのが至当だと思うんですが、こういう点についてまず最初にお聞きしたいと思うんです。この
改正
によって、
被害
が絶えず多くなっておると、それによって掛け金も若干
変化
しますけれども、同時にこれによって
農家
の
負担
が増すところもあるわけですね。こういう問題についてちょっとお聞きしておきたいと思います。
小暮光美
78
○
政府委員
(
小暮光美
君) あまりにも
高率
の
国庫負担
——理論上は一〇〇%まで
国庫負担
し得るような仕組みになっておりますから、
高率
の
国庫負担
を行いまして、こういう
被害
地を優遇するとか、ただいまの
需給事情
から見て、
制度
として行き過ぎではないかということで
高率
の
国庫負担
を一部
是正
するということでございますが、まあ七割で頭打ちにするというふうに言いますと、いかにも山間僻地の非常に高
被害
のところの
水稲
に対しては、何か
国庫
補助がゼロになってしまうような語感がちょっとございますね。何か高いところを切るのだ、そういうことじゃなくて、これは税金の計算と同じようなかっこうで
累進
するような計算でやっておりますので、先ほどの資料の
説明
の一〇ページにございましたように、かりに収穫皆無といったような極端な、掛金率五〇%というランクで、現在
国庫
補助が八六・二%
負担
しておった、それが七六・二%の
負担
になる。やはり七六・二%については、そういうものについても
国庫
が
負担
するわけです。別に山間僻地の非常に劣悪なところの
農家
に対して
国庫負担
がゼロになっちゃうのだという
趣旨
の
制度改正
ではございません。したがって、全体として何百億という金額の中で一億六千九百万円の金額の差が出てくるということで、そういう該当する
農家
について試算してみましても、一戸当たりの
負担
額というのは二百五十円ぐらいの
変化
だということでございます。それなら金額的に大したことではないじゃないかということでございますが、むしろ金額の問題、予算の問題よりは、たてまえとして必ずしも適地と言いがたい高
被害地域
に一〇〇%
国庫負担
ということまでやりますことをやめたい、しかし基本的には超過
累進
の
負担
というたてまえは残したいということでございます。
河田賢治
79
○河田賢治君 私の言うのは、なるほど金額にしてみれば一戸当たり二百五十五円と、また
累進
的にもなっておるというお話なんですけれども、一ぺん農民が
災害
によっていろんな
補償
を受けるという、また共済的な面を行使しておるという性格からいっても、そういうものが、一ぺんでき上がったものが下げられるということは、これはよくないことなんですよ。漸次悪いところを直していいところにどんどん上げていくという方向でなければこれは
改正
にならぬわけですね。こういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
小暮光美
80
○
政府委員
(
小暮光美
君)
農業災害補償制度
はやはり
災害対策
の一環でございますから、その
災害対策
の一環として必要なことは、どのような需給状況のもとでもその基本は確保しなければいかんというように思いますけれども、今回御提案申し上げておりますような
高率
の
国庫負担
の割合の一部の緩和というようなことは、この
制度
の基本的な性格を何ら変えるものではございません。やはり国全体としての米の
生産
政策のあり方というものと米にかかわる
災害
補償
制度
のあり方というものが調和する必要があるだろうということを御提案申し上げておるだけでございます。
河田賢治
81
○河田賢治君 いやにこの米々と言われるのですけれども、それじゃ米に変わって最近農林省はいろいろなものの転作を奨励されておる。こういうものに対して、それじゃあなた方はすぐに用意して——一方においては減反あるいは転作ということを言われておる。そうだとすれば、それにかわるものを直ちにお出しになるのがこれは至当じゃないですか。なるほどまあ
昭和
四十四年、ビニールハウスとか、あるいは
昭和
四十五年、昨年、葉たばこ、ホップ、イグサ、サトウキビ、茶等が検討されておることは、ここにも資料の中に書いてあります。しかしこれをお出しにならぬということは、一方においては米は転作転作と言って押しつけておる。それにかわって転作したものを
農業
災害
——自然的な条件でいろんな
災害
を受けるわけですから、こういうものに対して直ちに、少々不完全であってもお出しになることが正しいのじゃないですか。そして中が悪ければまた改良していけばいいんで、そういうことなしに、ただ米だけをぐあいが悪いと言って、そしてそのほうで何か頭打ちをしていく。そして新しいものは何も、一つも出ていないですね。一体ことしから何をおやりになるのです、実際。転作を中心にして何をお考えになっていますか。それをひとつはっきりしていただきたい。
小暮光美
82
○
政府委員
(
小暮光美
君) すでに
制度
ができております畜産、あるいは養蚕につきましては、農災
制度
の
内容
を
国庫負担率
の引き上げを中心に大幅にはかっておりますが、新種の共済につきましては、それぞれやはり共済
制度
としてこれを仕組みますために基礎的な
被害
率その他の資料を確保いたしませんと合理的な
制度
の仕組みができません。これらのものについてはその
制度
の検討を急ぐという段階にあるわけでございます。
河田賢治
83
○河田賢治君 それでは、これは三年ばかり前から米の問題はだいぶ当
委員会
でも論議され、
政府
の対策もそれに応じて年々変わってきているわけですが、三年ぐらいあればある程度の調査はできるのではないかと思うのです。できたものがすぐに完全でなくても、たとえばいま調査されておる茶とかたばことかホップとかイグサとかサトウキビ、こういう中で今後伸びるもの、あるいはまた対外的な関係から輸入を防ぐものとかいろいろあるでしょうけれども、こういうものについてやはり次から次にお出しになって、そして米の減反をした
農家
に対してある程度の共済の精神を生かすように、そういう法案を私は準備されるべきだと思うのですが、これらについて茶とかたばこ、ホップ等、これはいろいろ
地域
的な、非常に限定された
地域
であるかと思いますけれども、しかし御承知のとおり、ちょっとした自然条件で大きな影響をみな受けているわけです。霜が降れば収穫が非常に減ってくるとか、品質を落とすとかというような問題があるわけですけれども、しかしそういうことは大体日本の気候条件ではいつも起こることなんですから、それを予知して、こういうものについての、大体いつごろどういうものについてお出しになる用意があるか、そのことを聞いておきたいと思います。そうでなければあなた方米のほうだけは何とかしなければならないと押えるものには一生懸命だけれども、新しいものをつくってそれを
補償
していくというほうではあまりにまだ積極性がないわけですね。その点を伺っておきたいのです。
小暮光美
84
○
政府委員
(
小暮光美
君) 果樹共済については四十八年から本格
実施
ということを目途にその立案を急いでおりますが、それ以外のものにつきましてはまだ昨年から調査を始めたようなものもございます。まあ何年かけたらよろしいかということにつきましては、作物の性格によってまたおのずから差があろうと思います。これは単に仕組みを考え込んでいる、二年も三年も考え込んでいるということではございませんで、やはりそれぞれの一応想定されます保険設定、そういうものとの関連でかなりの期間にわたって農作物のことでございますから具体的な
被害
率、そういうものを把握いたしませんと
料率
の計算ができないといったようなきわめて物理的な問題もございまして、検討を急ぎますが、やはりそれぞれ基礎的なデータを相当の期間にわたって集積する必要がある。現在三十八年から本格
実施
の段取りまでやってまいりました果樹につきましても、現在五カ年の実験
実施
をやっておりますが、その前にさらに調査期間がかなりあるわけであります。そういうようなことが農災
制度
を仕組みますためには、そういう意味での時間はやはりある程度お許しいただきたいというのが率直な考えでございます。
河田賢治
85
○河田賢治君 毎年農林省はいろんな作物についてみんな統計を出しておられるわけですね。収穫については作付面積は幾らあった、自然
災害
なんかどこどこにどのくらいあったかということもしょっちゅう報道されているわけですから、それは基礎調査といってもそういう作物の成長や収穫、それとどういう
被害
があったかということは大体それぞれの
地域
で調べれば、本省がわからなくてもこれはわかっていると思うのですよ。業者だってよく知っていますよ、そういうことは。だからこれでどの程度のことをやるかということはそう私は時間かけんでもやれると思うのです。 まあそれはそれとしまして、とにかくいまおっしゃいましたように、米なんかについては非常にいまあせっておられますけれども、できるだけ早急に他の主要な作物、特に米の減反、作物転換ということが叫ばれている時代ですから、農林省はもっとこれに対する積極的な姿勢をもってやっていただきたいと思うのです。 次に、
一筆単位引き受け方式
から
農家単位引き受け方式
に変わる。それが当分の間ということになっておりますが、大体農林省としてはこの当分の間というのを大体何年ぐらいかかってほぼ
農家
単位の引き受け
方式
になるであろうと、いろいろな補助やその他も考えておられますが、その見込みですね、そういう問題についてひとつ聞いておきたいと思うのです。
小暮光美
86
○
政府委員
(
小暮光美
君) 農単
制度
につきましては、当分の間というのは、これは
国庫
助成との関連で当分の間これに助成することができる根拠を掲げたということで、当分の間ということばが出ておるのでございますが、今回御提案申し上げております
法律
の体系としては、別に当分の間農単をやるというような
趣旨
のことなんではございませんで、当分の間これは助成できるということを言っているのでございます。でございますから、農単の
制度
はこの法案では一筆建てと農単
制度
と両者並列で二つの道があるということが示されているわけでございます。
河田賢治
87
○河田賢治君 そうすると、農単の引き受けをやった場合のいろいろ何らかの補助をするという、この当分の間というのは、これは途中で切れるという意味ですか。
小暮光美
88
○
政府委員
(
小暮光美
君) これは国が助成することができるということと、そういう能力
規定
を掲げるわけでございますが、この当分の間は、その助成の必要がある間、こういう
趣旨
でございます。
河田賢治
89
○河田賢治君 いまその問題はまあそれで打ち切りますが、御承知のように、現在のところは自主的に組合にまかす、そして選択制をとっているということなのですが、非常に今日まあ農林省自体が
基盤
整備
をしたり、あるいはまた土地改良等々に指定してやることが非常にきわめてまだ全体としてはわずかなのですね。そこへもってきて、御承知のように、まあこれは都道府県でも小
規模
な
基盤
整備
もやっております。土地改良などもやっておる。しかし、まだまだ日本の非常に何と言いますか、傾斜度の強いところで、きわめて小さい田が一筆
ごと
にあるわけです。その中でも今日減反政策で、どうしてもそんなところで米をつくってもせいぜい四俵か五俵しかとれないというようなところは、だんだん植林なんかで杉苗を植えたりあるいはヒノキを植えたりしてやっております。あるいはまた桑なんかも植えております。そういう減反もありますけれども、まだまだいわゆる山間地の傾斜度の強いところでは非常に今日土地の
基盤
というものが農林省の補助あるいは都道府県の補助等々を受けることも少なくて、まだまだそのままにになっているところがある。そこへもってきて、御承知のとおり、まだまだ小作関係というやつがずいぶんあるわけです。この統計年報を見ましても貸借関係で借り入れ
農家
が百四十三万二千百、面積で二十八万六千ヘクタール、これはまあ大
規模
なところもあるでしょうけれども、比較的こういう貸借関係が、いわゆる小さな小作地などがまだ相当残存している。そういうところでは、なかなか土地の改良ということも、それぞれの所有主の見解によって、なかなか小さなところでもまとまりにくいところが確かにあるわけなのです。そうしますと、御承知のとおり、どうしてもこの傾斜地における
被害
というものは、少し風向きが、たとえば夏は西南方面からしょっちゅう台風が来るわけですが、そうでないところは山でふさげて全然
被害
がない。しかし、大体
被害
の多いところは、そういう山腹があればその山にぶつかって大体
被害
を受けるところは多い。そういうところがちょいちょいあるわけですね。そうしてそういうふうに分散しておりますから、どうしても
農家単位引き受け方式
にいくよりは
一筆単位引き受け方式
で現状のままのほうがいいというところがかなりあるわけです。農協の府県の幹部に聞きましても、まあいまの
一筆単位引き受け方式
をやってもらわぬとなかなか農民がついてこないというようなことも言っております。相当やはりこれには私は現在の
災害
の問題、それから土地の所有権、所有の状態、あるいはまた土地の経営の状態、まあこういうものから見て相当長期にわたって一筆単位の引き受け
方式
というものが存続すべきじゃないかというふうに考えるわけですが、こういう問題についてはいかがですか。
小暮光美
90
○
政府委員
(
小暮光美
君) 御指摘のように、現在
水稲
についての
生産
基盤
と申しますか、あるいは経営の実態、やはり全国でさまざまな違いがございます。したがいまして、そういう実態に即して
水稲
共済に寄せる
生産
者の期待もさまざまであるわけです。いまはどちらかというと非常に零細なしかも傾斜等で条件の悪い地帯についての御指摘があったわけですけれども、他方今回御提案申し上げる農単でも実はまだ不満足だ、協業が進んでおって、大圃場区画になって
基盤
整備
ができておるというだけでなしに、そのかなり広い面積についていわば全体で相談して単一の意思でこれを経営として考えていくというところまで意識が進んでおるところもあるのです。そういうところからは、今度の農単でも実は不満なんで、むしろそういう協業体に着目してそこでの全収量を完全に相殺して
被害
があったら見るといったような、もっと徹底したものを考えてくれないかという要望もあるわけでございます。で、まだそこまでは事例も少ないわけでございますし、そういうことについての設計の基礎も、私ども基礎データを持っておりませんので、今後三年ぐらいかけてそういう問題についても基礎的な調査を行ないたいと思っております。 現在御提案申し上げております農単はそこまでいきませんが、やはり
基盤
整備
が進みまして、圃場区画もかなり大きく、経営も大型化しておりますような地帯、しかも、
農家
単位でこれを平均して相殺しながら
被害
を見ていくという進んだ形でございますから、これを選択する
地域
もかなりあるはずだと思います。ただ、全体として
基盤
整備
とか土地の条件というものと密接にからみますし、具体的な集落についてきわめて具体的な試算をしてみませんと、
生産
者の立場にとって有利になるかどうかということの判定ができませんので、その点については十分共済組合単位に議論検討をしていただいて、これならば
生産
者にとって有利だというふうに理解できるものについて農単を推し進めていく、こういう形を考えているわけでございます。こういう条件の整わないところを無理やりに農単にもっていくということは、意図しておりません。
河田賢治
91
○河田賢治君 それはわかりました。 そこで、この
農業共済
の
市町村
の
区域
を超えるものと、
市町村
区域
と一致するもの、あるいは
区域
より小さいもの、こういうふうに
市町村
を単位に見た場合の
組織
関係がここに出ておりますが、農林省としては、そうしてまた組合がやるのと
市町村
営というふうにありますが、農林省の行政指導の大体の方向ですね、これはどういうものを望んでおられるのか、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
小暮光美
92
○
政府委員
(
小暮光美
君) 農林省としては、農済
制度
を必要とする
地域
に農済
制度
が円滑に運用される、これが最大の願望でございます。したがいまして、組合という形ではどうしても農済
制度
が維持できないというような実態がございまして、しかも農済
制度
を維持する必要があるという場合には、これを
市町村
にお願いして農済
制度
を維持してもらうということがございます。できますことならやはり、まさに共済
制度
ということの本旨からいって、
生産
者が相集まってみずからの組合
組織
でこの
制度
を
運営
することが望ましいというふうに考えております。
河田賢治
93
○河田賢治君
職員
の問題がこれにからんでくるんですけれども、
市町村
のほうが比較的身分も保障されておると。それからまた一般
農業
団体
よりはある程度地方の公共
団体
のほうがやや給与なんかでも上なんですね。そうすると、どうしても
農業共済
のやってる人から見れば、
市町村
営でやってもらったほうがいいというようなそういう考えが浮かんでいくと思うんです。事実またそういう身分保障あるいはいろんな待遇の面であれば、なるほど数は若干今日組合が多うござんすけれども、おそらく減ってるほうは、相当これはずうっとたくさん減ってきておりますね。ですから、こういう点からして、
市町村
営の同じやはり待遇というものは考えなきゃならぬのじゃないかと思うんですね。
市町村
営でやってる人々の給与、待遇、こういうものと、また
農業共済組合
の
職員
自体の待遇というものがあまり格差がないようにできるだけこれを引き上げるという方向、また身分保障なんかもちゃんとしていくような、そういう何らかの保障を与えるような方向へだんだん向けるべきじゃないかと思うんです。もちろん
市町村
営で、だんだんこれが
地域
が狭すぎるというなら、農林省はおそらく
市町村
の
地域
をこえる大きな大型の共済組合をこれから奨励されるのかもしれませんけれども、少なくともとりあえずそういうそこの
職員
に対する処遇というものを私は考慮すべきだと思いますが、この点はいかがですか。
小暮光美
94
○
政府委員
(
小暮光美
君) かつて三十八年の
制度改正
が行なわれますまでの間、三十四、五年ごろを中心にして、
水稲
共済
制度
が例の掛け捨ての問題をめぐっての議論のほかに、
運営
面でもいろいろ難局に遭遇したことがございます。その時期に急激に町村委譲ということがふえたわけでございます。その当時は確かにそういう掛け捨て問題をめぐって解散運動というものが一方に起こる、掛け金の徴収もなかなか円滑にいかない、そういうことが町村に委譲したためにかえって掛け金は町村税の納入の手続に準ずるということで円滑に集まる、それから
職員
も町村の
職員
ですから、こういう公的な
制度
を執行するのにまさに自信を持って
説明
の衝に当たる、こういうふうな時期があったことは事実なんです。その時期に町村委譲ということがかなりこの
制度
を維持していく上に働いたということは率直に認めざるを得ないと思います。ただ、その後の姿を見ますと、
市町村
職員
と
農業共済
職員
の給与の水準も非常に近寄っております。たとえば四十一年当時ですと、
農業共済組合
職員
が二万九千七百十四円、
市町村
職員
が二万九千七十九円ということで、ほぼ同じでございます。四十四年になりますと、
農業共済
のほうが四万二千三百三十六円、これに対して
市町村
職員
のほうが三万七千八百十一円ということで、三十四、五年当時に比べますと待遇上の差はむしろなくなってきております。 それから、三十八年の
改正
で、単位の組合に共済責任のかなりの
部分
を残すということになりまして、そこで
運営
が非常にうまくいくというか、
被害
が出ないで済むという場合に、無事戻しということを、その組合限りで行なえるという形になってまいりまして、むしろ町村への委譲というようなことはその後だんだん少なくなってきた。そこで、一方私どもとしては年々の予算の際に、共済全体の
職員
の給与の水準につきましては、先ほど他の
委員
の御質問にお答えしましたように、逐次
改善
をはかってきている、こういうことでございまして、御指摘の点につきましては、これまでもずいぶん努力してまいったつもりでございますが、今後また年々の予算のときにできるだけの配慮をいたしたいと考えております。
河田賢治
95
○河田賢治君 もう一つ、これは会計検査院の報告で、毎年検査院報告には出ていることなんです。古いのはやめまして、四十三年でも八十七組合を調査して十六組合に非常な違反事実がある。また四十四年も七十三組合を調査して八組合にやはり違反がある。それから四十五年の報告にも、五十七組合で六組合の違反がある、こういう一割、あるいはそれ以上あるわけですね。たいていが
共済金
を
被害
農家
に支払わない、金を払わないで、その金で共済の掛け金や
賦課金
、あるいは組合
業務
費に充当していたとか、あるいは
補償
の対象とならない
組合員
をも含めて、
共済金
を適宜に分配している、
共済金
の経理が適切でないもの、こういうものがわりあい多いわけですね。しかし、県の指導が十分でなかったということが、その原因としておられるわけですが、農林省はこういうきわめて普通の農協の中でも、たとえば販売、あるいは購買というような、現物や現金を非常に扱うところでも、もちろんそういう問題がちょこちょこ起こりますが、共済組合といえば非常に互助的なもので、しょっちゅう現金を扱うこともないです。扱いましてもこれは限られているわけですね。こういうむちゃな、
被害
農家
に全然支払わない、それをもって
共済掛け金
や
賦課金
、組合
業務
費なんかに充当していると、まるっきりこれはただ取りのようなものですね。こういうことについて農林省は具体的にこの共済組合の不正、あるいは不当なこういうあり方について、一体どのような指導をされたのか、まずそのことをお聞きしたいのです。
小暮光美
96
○
政府委員
(
小暮光美
君)
共済事業
の
運営
につきまして、刑事事件というところまではまいりませんが、不当な事務処理であるということで指摘を受けます件数があとを絶たない、これはまことに遺憾に存じます。ただ近年その件数は急激に減ってまいっておりまして、
農業共済事業
の
運営
の
適正化
のために、かねてから関係の都道府県の主管課長
会議
等を通じまして、あるいは
共済団体
の主催いたします講習会等の機会をとらえまして、できるだけ指導につとめるようにいたしているわけでございます。さらに都道府県の検査
職員
自身の資質の向上ということが必要でございますので、そういった点についての中央研修会といったような
所要
の経費も今年特に予算を計上いたしております。
河田賢治
97
○河田賢治君 指導ももちろん農林省並びにあれですけれども、大体こういうことをきめるのは組合の
役員
がきめるわけです。そんなものは払わんで、向こうから取っとって報告だけ出しておいて、それで金がきたらこれで共済組合の掛け金を出そうとか、
賦課金
を出そうとか、こういうふうに共済組合の
役員
が、非常にこういう法網をくぐって悪事を働いているわけですね。農村でもいろいろまだまだ民主化ということが足りないので、いろいろ
選挙
でも大きな問題を起こしておりますが、それと同様にこの組合が
運営
されている。そうしますと、やはり共済組合の
運営
というもの、また幹部の選出、こういうことをやはり行政指導として、一たびこういうことを犯した者は、もう再選しないとか、りっぱな人を選ぶように教育をするとか、いろいろのことをしませんと、これは村のボスというのは、いつまでたっても自分がいい地位にすわってこういう悪用をすると思うんですよ。だから、こういう点で、しかしもうちょっと
総会
に対する規制をある程度指導していく、一たびこういったことをやった
役員
は、連座制にして全部もうあとは
役員
にさせないようなそういうことを
総会
で
組合員
に徹底していくとかいろんなことをしませんと、私はあとをたたないと思うのです。
政府
自身がこういう指導をし、また
補助金
も出したりしておるこういう事業にこういうふうなことがあっては、やはり他の全然
政府
と無関係な民間
団体
などでも営利的な問題とこんがらかって、農協でも始終大きな問題を起こしておりますが、これは直らぬと思うのですね。少なくともこういう共済的な事業をやっているところはこんな不正のないように、しかも確かに
組合員
は掛け金出さなくてもいいとなれば、
組合員
自身も
農家
の諸君自身も、ああそれは自分で一々払わぬでもけっこうだ、もらって払っておいてくれ、と言えば、これはいいには違いない、実利からいえば。しかしこれは共済の精神に反するわけですね。だからこういう点についてもうちょっときめのこまかい指導をされるお考えがあるかないか、そのことを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
小暮光美
98
○
政府委員
(
小暮光美
君) 農災
制度
の公共性にかんがみまして、
組合等
に対しましては、都道府県に二百五十二名の検査関係の
職員
を置きまして、組合についての検査を
実施
いたしております。
連合会
につきましては、農林本省に検査
職員
六名を設けまして、年間おおむね四割程度の
連合会
について監査を行なっておるというようなことをいたしております。これらの点につきましても今後も努力を
強化
いたしたいというふうに考えております。 なお御指摘のように、組合自身の中から的確に事務を行なう態勢が盛り上がることが最も望ましいわけでございます。これまで共済組合が全体に管理費、
人件費
等の圧力に苦しみまして、
運営
面で非常に弱体であったというようなものが間々あるわけでございます。今回広域合併を御提案申し上げておりますのも、やはり必要な内部の牽制
組織
と申しますか、必要な
職員
等につきましてはやはりこれを確保し、事務
運営
の的確化をはかりたいということがその中の一つの意図にございました。さらに参事の
職務権限等
を
法律
上も明らかにし、参事の管理機能といったものを
強化
することも考えております。これらの点もあわせまして、今後組合の
運営
指導に万全を期したいというふうに考えております。
河口陽一
99
○
委員長
(
河口陽一
君) 他に御
発言
もなければ質疑は尽きたものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河口陽一
100
○
委員長
(
河口陽一
君) 御
異議
ないと認めます。よって質疑は終局いたしました。 自後の審査は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十四分散会 —————・—————