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政府委員(内村良英君)
昭和四十六年産の米穀の
政府買い入れ価格につきましては、昨日から
米価審議会が開催されております。
政府といたしましては、資料でお配りしてあると思いますが、ただいまから読み
上げますような諮問を
米価審議会に対して行ないました。
昭和四六年産の米穀の
政府買入価格について
は、米穀の一需給の均衡を図るため米穀の生産調
整が行なわれている本年の需給
事情に即応して
生産費および所得を考慮して決定することにつ
き、
米価審議会の意見を求める。
昭和四六年四月二六日
農林
大臣 倉石 忠雄
次に、諮問についての説明を朗読いたします。
米穀の
政府買入価格は、食糧管理法第三条第
二項の
規定により、生産費および物価その他の
経済
事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図る
ことを旨として定めることになっており、その
算定につきましては、各種の算定方式の変遷を
経て、
昭和三五年産から
昭和四五年産の米穀ま
で生産費および所得補償方式によって行なって
きたところであります。
米穀の
政府買入価格は、最近における米穀の
需給
事情を考慮して、
昭和四四年産および
昭和
四五年産とその水準を据え置いたのであります
が、これまでの間年々相当の上昇をみてきたた
め、
米価の水準は他の農作物にくらべてなお相
対的に有利であり、このため他の諾要因とも相
まって米の生産は増大し、他方米の需要は食生
活の高度化により減少を続けているため、米の
生産は大幅に需要を上廻るという深刻な供給過
剰となり、この需給の不均衡を是正することが
当面の農政の
最大の課題となっております。
このような現状に対処して、
政府は、米の需
要の拡大に努めつつ、まず四五年度に非常緊急
の
措置として一五〇万トン以上を目途に米の減
産を図ることとして生産調整等の施策を講じた
のでありますが、米の恒常的な生産過剰の
事態
にかんがみて、四六年度以降五ヵ年間を実施期
間として、総合的かつ計画的に、米の生産調整
および稲から今後需要の増大が期待される他作
物への作付転換のための施策を推進することと
し、四十六年度においては二三〇万トンの生産
調整を行なうこととしております。
このように、これまでの
米価のもとにおいて
米の需給は大幅な供給過剰となり、需給の不均
衡を是正するために米の生産調整のための特別
の施策を講じなければならない
事態にあります
ので、米穀の
政府買入価格の決定にあたっても
このような
事態を十分考慮しなければならない
事情にあります。
このような
事態のもとにおいてこれに即応し
た
米価の算定のしかたをどうするかは、きわめ
て重要な問題であります。すなわち従来の生産
費および所得補償方式をそのまま続けることに
は種々問題が指摘されております。しかしなが
ら従来の方式を変更するにはそれ相応の検討を
要するので、算定のしかたについては今後早急
に検討しなければならないと考えますが、さし
あたり本年産の
政府買入価格の算定にあたって
は生産費および所得補償方式によりつつ以上申
し述べましたように米穀の需給の均衡を図るた
め米穀の生産調整を行なっている本年の需給事
情に即応して算定することとしてはどうかとい
うことであります。
これが諮問の説明でございます。
これに関連いたしまして、
政府は「
昭和四六年産米穀の
政府買入価格の試算」を
米価審議会に提出いたしました。これは諮問の説明にもございますように、生産費及び所得補償方式をとっているわけでございますが、若干算定の資料等について変わった点がございます。そこで、それはどういう点かと申しますと、四十六年産
米価の
政府試算は、米穀の需給の均衡をはかるため、米穀の生産調整が行なわれている本年の需給
事情に即応し、基本的には生産費及び所得補償方式によりつつ生産費の取り方及び家族労働費の
評価のしかたを
修正しているわけでございます。
すなわち、昨年と異なる点を申し
上げますと、家族労賃の
評価がえに用いる都市均衡労賃について、製造業従事者の都道府県別賃金を都道府県別の米の販売量によって加重平均して算出した賃金をとっていることでございます。それから第二に、基準とする生産費として必要量に見合うところまでの生産費をとったこと、これが昨年と算定方式上違うところでございます。
そこで、それでは具体的にはどうなっているのかということをこの試算の算
定説明について申し
上げますと、まず第一に、過去三年の生産費を
基礎にして計算しているわけでございますが、昨年までは五俵以上の米の販売農家の平均生産費をとっていたわけでございます。それを本年は生産調整を進めて、二百三十万トンの生産調整を進めているという
事情もございます。そこで二百三十万トンの生産調整の数字の
基礎につきましては、るるここの当
委員会においても御説明しておりますので省略さしていただきますが、要するに、
政府の配給に必要な数量は七百六十万トンでございます。そこで生産費
調査の結果を用いて、四十三年産、四十四年産及び四十五年産に米の販売農家の百五十キログラム当たり生産費を低いほうからずっと並べまして、価格決定の必要販売数量に見合う販売数量までの農家の生産費をとったわけでございます。これはどういうことかと申しますと、生産費
調査の中で農家の販売量がございます。それをずっと並べまして、要するに、生産費の低いものからずっと並べまして、さらにそれに農家の販売数量がございますから、その生産費
調査の農家の販売数量の——具体的には四十三年の米の販売数量実績は千十三万トンでございますから七百六十万トン、この比率をとると、これは七五%になるわけでございます。したがいまして七五%のところまでとりまして、それ以上の農家の生産費の平均をとっているわけでございます。それから四十四年産米につきましても同様のことをやりまして、四十四年の販売数量実績は九百六十万トンでございますから、これに対する七百六十万トンとの割合八〇%を四十四年産についてはとって、八〇%の販売数量のところからの生産費をとっているわけでございます。四十五年産につきましては販売数量実績が八百五十万トンでございますから、七百六十万トンとの比率が九〇%になります。したがいまして九〇%の数量までの生産費というものをとっているわけでございます。そのようにしてとった農家の生産費を
基礎にいたしまして、これを従来どおり現在の物価に引き直しているわけでございますが、
先ほども申し
上げましたように、家族労働費につきましては昨年と
評価のしかたを変えております。すなわち家族労働費につきましては昨年は製造業従事者の全国平均の賃金を
基礎にしたわけでございますが、ことしは製造工業賃金の地方
調査というものを
基礎にいたしまして、それに米の販売数量でウエートをつけて賃金を出すというやり方をしたわけでございます。その二点が変わっておりまして、あとの点は大体昨年と同じような方式で生産費を計算して求める価格を出したわけでございます。その求める価格が「
政府買入価格の試算」の二ページにございますが、一万九千三百十円、百五十キロ当たり。それからそれに運賃を加えまして、さらに補整額八百七十七円を加えて二万三百二十円。それからウルチ軟質米の三等裸価格は基準価格に一−五等平均と三等との等級間格差を足しまして、それから歩どまり加算を引き、さらに補整額五円を足して二万四百七十円。それからさらにウルチ一−四等の平均・包装込み・生産者手取り予定価格はウルチ軟質三等裸価格から三等と一−四等平均との等級問格差を引きまして、それに歩どまり加算を加えて包装代二百七十三円を加えて二万六百八十一円というような、こういうような価格の算定をいたしまして、これを
米価審議会に材料として提出し御審議を仰いでいるということで、本日いま
米価審議会が継続されている状況でございます。