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政府委員(
増田久君) 先生御指摘のとおり、牛につきまして毎年千頭近い種畜がこれは乳用牛、肉用牛、両方でございますけれども、多いことは事実でございます。これに対しまして国からも、たとえば乳牛につきましては牧場から乳用牛につきまして七百頭程度、それから肉用牛につきましても同程度の家畜を
配置してやっておるわけでございますが、先生が御承知のとおり、その種畜というものについてはどうしても新しい血というものが、質の問題もありますけれども、新しい血をどうしても外国から入れてこなければならないという問題が一つあるわけでございます。そういう点が一つありまして、これはどうしても将来にわたって種牛というものは輸入していかなければならないと思っております。ただ、確かに乳用牛につきましては四十三年等なんか見ますとあまりちょっと多過ぎる。乳用牛は多い。これは馬も共通でございますが、横文字のついた種畜をとうとぶという、どうもそういう癖と申しますか、私は一般にそういう、
日本の家畜人の中にどうも外国種のものをといいますか、舶来崇拝というような感がどうもある。その点についてわれわれの努力の足りない点もあるかと思っているのでありますけれども、そういう点については牧場を中心にしてひとつこれ考え直していかなければならないと思っております。
それでは、答えが前後いたしますけれども、今後のたとえば牛の
改良ということになりますと、全部これは凍結精液という形で行なわれるということになっていくわけだと思うのですが、そうするとどうしても牛というものの能力というものをしっかり見きわめた形で初めて精液を供与するということが必要になってまいります。そういう意味で私たちは本年度から牧場を体系的に組みかえまして、いわゆる牛の後代検定
制度、要するに娘牛の子供をとってみて、その結果がいいか悪いかというものを判断して、その結果初めてそれを種畜として供与する。その間精液は採取しまして凍結をしておく、保存しておく。よければそれを使うし悪ければ使わない
制度になるわけですけれども、そういうので、それは一頭についての検査期間が約四年から五年かかることに相なると思いますが、そういう
制度を国内でやりますればここら辺の輸入の増加あるいは外国種に対する必要以上の崇拝といいますか、そういうものは漸次なくなっていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
それから初生びなの問題でございますが、先生も十分御承知のとおりでございますが、従来わが国の種畜牧場のあり方というものは、
日本の養鶏界がそれまでどちらかといえば副業的な飼い方であった、飼い方も五十羽、百羽、二百羽というような零細な
規模で飼われていたという事実も反映いたしまして個体の
改良、個体能力の
改善ということに最大の力点を置いておったわけでございまして、そういう意味ではもう世界的水準に達しておったわけでございます。しかしながら、御存じのとおり、多頭羽飼育というようなことになりますと、その一羽、一羽の能力ではなくって大群飼育に必要な強健性とかあるいは斉一性、こういうようなものがどうしても要求される。そういうものについての
改良という体制については残念ながら
日本は非常におくれておった、もう全然その体制というものは牧場においてできてなかったというのが事実でございます。
そういうことのために
昭和の四十年代になりまして急速に初生びなの輸入というものが行なわれまして、当時
昭和四十年ごろは、三十九年はわずか外国種のものは
日本の全体のひな数のシェアは一四%でございましたけれども、四十四年は実に七五%まで外国びなが入るというような形になっているわけでございます。こういうことではいけないということで白河の牧場、岡崎の牧場、それから兵庫の――これはブロイラーでございますが、それぞれを急速に
整備いたしまして、岡崎におきましてはいわゆる系統
造成ということを精力的にやる、その系統
造成したものを白河に持っていっていわゆる四元交配という形で実用種をつくるというようなことをやりました結果、従来の
改良についての相当の高い技術水準というものもありましたので、現在ではその成績は急速にあがってまいりまして、現在の段階では外国種に負けないというものが全部出てまいってきております。したがって、いまやもう普及段階に入ってまいりまして、現在はいわゆる国産種種鶏増殖センターというふうなものを県の牧場あるいは農協等に委嘱してつくってその普及体制に入った、そういう結果だと思いますけれども、現在のシェアは四十四年の七五・九%をピークとしまして四十五年には少しずつ下がっている。それで国内種のシェアがこれから非常に回復していくのではないかと思っております。
なお、ちなみに申し上げますけれども、
日本の初生びなの輸出は現在輸入量よりもはるかに多い四百万羽以上のものを海外に輸出しているという
状況でございます。