○
国務大臣(
根本龍太郎君)
瀬谷さんも御存じのように、地震の予知については非常に学説的にもよだ究明されておらないのであります。
ただ、今日までの研究の結果、大体こういうことであろうこいうことで、予測を現在やっておるわけでありますが、これは的確に当たるかどうかについてはまだ保証がないという状況であります。これは実粉に関すること、しかも非常に科学的なことでありますので、私はそうしたものをまとめたことを申し上げまして、さらに詳しくは事務当局から御
答弁いたさせます。
現在地震予知としてとられておる方法は、まず地殻の活動の異常状況、これは微小、極小をも含めた小地震の前震活動、地震の起こる前の徴候をデータで集めていく。それから、地磁気、それから地電流の異常、それから地震波速度の変化等、こういう現象をずっと計測して、その場所、それからその大きさ、それからいつごろ起こるであろうかということを予測しようとする方法でございます。それからもう
一つは、過去の資料を統計的に調べて、それから推測をすると、この二つの方法でいまやっておるようでございます。それから関東南部につきましては、これは現在でも地震予知連絡会を開きまして、気象庁、それから地理院の測量部等、こういうものでやっておるのが現段階でございます。
そこで、いわゆる統計的に六十九年周期説というものもありまするが、一部におきましては、これが必ずしもそうは見られないという学説もあるようでございます。南関東のうち、西埼玉地震が昭和六年に起きておりまするが、この間すでに四十年になる、四十六年ですから。東京で震度五の地震はまだ起きていないというような状況で、この点はさらにもっと観測を深めていかなければならないという感じがいたしております。
ただ、御承知のように、変歪測量によって一部の変動があるということは、南房総が上がったり、それから伊豆のほうで大島との間のあそこが縮まったとか、こういうようなことがありまするので、やはり地殻の内部にかなりのエネルギーが蓄積されておるということだけは言えるわけでございます。
先般も世界の地震学者を
日本に招集いたしまして、そうして地震の予測、それからいま南関東の問題等もいろいろ検討されておりまするが、
結論的なものはまだ出ていないようでございまするが、しかし、お示しのとおり、これ一たび起こりますならばたいへんな被害になりますので、でき得るだけ予測並びに推定を確立ならしめる努力はいたしております。
それから、これに対する
対策といたしましては、総務
長官から総括的な御
説明があるとは
思いますけれ
ども、すでに
政府といたしましても、もう大体近く六月中、あるいはそれ前に出るかもしれませんけれ
ども、
基本的な
対策を九つのグループに分けて検討する。おおむねこれがととのいつつあるわけであります。御承知のように、災害
対策、特に地震に対する災害
対策は、地域によって非常に違うわけでございますので、
政府としては
基本的な要項をつくりまして、これに基づいて都道府県がそれぞれの実施
計画をつくることになっております。
ただ、東京のうちの江東地区は、特にこれは被害が相当深刻になると予想されまするので、実は
一つのモデル的な地域として、
建設省が東京都に対して、ある
意味における指導的な動きをいたしまして、これの地区についてはあるいは防災地域をきめまして、そのために避難街路あるいは避難場所、それから避難緑地、それからもう
一つは、防火のための
一つのプロジェクトをつくりまして、それをいま
計画的に進めておる。なおまた、防潮堤は大体できましたけれ
ども、内水面の
対策がまだおくれているようなので、これも
計画的にいま進めております。東京都はこれと協力して、実施面もいま着々しておる、こういう段階でございます。
こうしたものができてまいりますれば、この前の、本年の
予算委員会でもかなり問題になりましたので、やはり何としてもいままでの経験からいたしますれば、地震そのものの被害よりも、それに続いて起こるところのいまの火災、それから
一つのパニック現象のために起こる災害のほうが多いのでございまするので、これにはやはり結局それぞれの人々がみんな自制して、どういう行動をとることがいいかということを知っておれば、災害が非常に押えられるということで、そのために、たとえば地下鉄に乗っておるときに地震がぱっときたときに、どういうふうに地下鉄を
運営するか、乗っている人はどういうふうな心がまえでやるべきか、あるいは高層建築におる人がぐらぐらときたときに、それによっては倒れないのだけれ
ども、人間の心の動揺から、みな殺到してわあっとおりだすと、あるいは今度はビル街から町中に出てくる、自動車が突破するというふうなことの被害が多いようなのでございまするので、それについては
一つは手引き書と申しますか、心得書のようなものをいま準備してもらっているわけであります。で、それをずっと一般
国民に知ってい
ただくと同時に、それらに基づいて今度は地域的な訓練をしないと、一緒にはできませんけれ
ども、少なくとも町内、あるいは区単位で演習訓練をして、これに対応するという物的な措置の
対策と、それから心の準備、訓練と、こういうものをあわせてやるべきだと思って、いませっかく準備しております。
なおまた、
建設省が所管しておるものについては、全国的にまずダム、橋梁あるいは建物、こういうもののいま総点検を命じております。六月中にこれはたぶんまとまる予定でございます。その結果、もし理論的には十分でありますけれ
ども、総点検の結果、脆弱なもの、あるいは腐朽しているようなものがわかりますれば、直ちにこれは改善あるいは修理、あるいは全部取りかえるというようなことを都道府県に指示して、これに必要なる
予算措置も明年度から実施しなければならぬと
思いまして、いま調査中でございます。
以上でございます。