-
昭和四十六年五月二十四日(月曜日)
午後一時四十四分開会
—————————————
委員の異動
五月二十四日
辞任
補欠選任
八田 一朗君 楠
正俊君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 田口長治郎君
理 事
塚田十一郎君
安田 隆明君
足鹿 覺君
上田 哲君
委 員
楠
正俊君
源田 実君
佐藤 隆君
長屋 茂君
山本茂一郎君
渡辺一太郎君
森 勝治君
矢山 有作君
山崎 昇君
三木 忠雄君
峯山
昭範君
岩間 正男君
国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
厚 生 大 臣 内田 常雄君
通商産業大臣 宮澤 喜一君
運 輸 大 臣
橋本登美三郎君
国 務 大 臣 西田 信一君
国 務 大 臣 山中
貞則君
政府委員
内閣官房内閣審
議室長兼
内閣総
理大臣官房審議
室長 青鹿 明司君
人事院総裁 佐藤 達夫君
人事院事務総局
給与局長 尾崎 朝夷君
総理府恩給局長 平川
幸藏君
中央公害審査委
員会事務局長 川村
皓章君
大蔵省主計局次
長 橋口 收君
文部大臣官房長 安嶋 彌君
厚生省公衆衛生
局長 滝沢 正君
厚生省環境衛生
局長 浦田 純一君
厚生省環境衛生
局公害部長 曾根田郁夫君
厚生省薬務局長 武藤き一郎君
厚生省社会局長 加藤 威二君
厚生省年金局長 北川 力夫君
通商産業省公害
保安局長 莊 清君
通商産業省公害
保安局公害部長 森口 八郎君
通商産業省公益
事業局長 長橋 尚君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 秋富 公正君
自治政務次官 大石 八治君
自治大臣官房長 岸 昌君
事務局側
常任委員会専門
員 相原
桂次君
説明員
内閣審議官 植松 守雄君
参考人
国家公務員共済
組合連合会常務
理事 岸本 晋君
公害防止事業団
理事長 江口 俊男君
—————————————
本日の会議に付した案件
○
参考人の
出席要求に関する件
○
恩給法等の一部を改正する
法律案(
内閣提出、
衆議院送付)
○
昭和四十二年度以後における
国家公務員共済組
合等からの
年金の額の
改定に関する
法律等の一
部を改正する
法律案(
内閣提出、
衆議院送付)
○
昭和四十二年度以後における
公共企業体職員等
共済組合法に規定する
共済組合が支給する
年金
の額の
改定に関する
法律等の一部を改正する法
律案(
内閣提出、
衆議院送付)
○
環境庁設置法案(
内閣提出、
衆議院送付)
○旧
軍人等に対する
恩給処遇の
改善等に関する請
願(第三号)(第一一号)(第一二号)(第一
三号)(第二三号)(第二九号)(第三六号)
(第四二号)(第四三号)(第四四号)(第五
九号)(第六三号)(第六五号)(第六八号)
(第七九号)(第八四号)(第八五号)(第一
〇二号)(第一四七号)(第三一二号)(第六
九〇号)(第二七一〇号)(第二九四五号)
○旧
軍人等に対する
恩給処遇の
改善に関する
請願
(第三三号)
○
地方公務員等の
恩給・
年金スライド制確立に関
する
請願(第三四号)
○
靖国神社国家護持の
早期実現に関する
請願(第
四六号)(第二三三五号)(第二八二八号)
(第三一二七号)(第三一四六号)(第三三〇
七号)(第三三〇八号)(第三三〇九号)(第
三三一〇号)(第三三二三号)(第三三二四
号)(第三三二五号)(第三三二六号)(第三
三二七号)(第三三五二号)(第三四 一九
号)(第三四二〇号)(第三四二一号)(第三
四二二号)(第三四六九号)(第三四七〇号)
(第三四七一号)(第三四七二号)(第三四九
九号)(第三五〇六号)(第三五二三号)(第
三五三七号)(第三五三八号)(第三六二七
号)(第三六二八号)(第三六 二九号)(第
三六三〇号)(第三六三一号)(第三六三二
号)(第三七一九号)(第三八五七号)(第三
八五八号)(第三九五二号)(第四〇六三号)
(第四〇六四号)
○
一世一元制の
法制化促進に関する
請願(第六〇
号)(第一一二六号)(第一一五八号)(第一
一八六号)(第一二二九号)(第一三四五号)
(第二三七七号)(第二四四九号)(第二八三
六号)(第二八四五号)(第二八五一号)(第
二八七四号)(第二八九一号)(第二九四四
号)(第三一四七号)
○
靖国神社国家管理の
立法化反対に関する
請願
(第七一号)(第七二号)(第八二号)(第八
六号)(第一一三号)(第一四四号)(第一五
一号)(第一五五号)(第一七四号)(第一七
六号)(第一八四号)(第一八五号)(第一八
七号)(第一八八号)(第一八九号)(第一九
〇号)(第一九一号)(第一九二号)(第一九
三号)(第二〇四号)(第二〇五号)(第二〇
六号)(第二〇七号)(第二〇八号)(第二〇
九号)(第二一〇号)(第二二一号)(第二二
二号)(第二六五号)(第二六六号)(第二六
七号)(第二六八号)(第二六九号)(第二七
〇号)(第二七一号)(第二七四号)(第二八
二号)(第二九〇号)(第二九一号)(第三一
〇号)(第三二二号)(第三二三号)(第三二
四号)(第三二五号)(第三二六号)(第三二
七号)(第三二八号)(第三三一号)(第三九
三号)(第四〇三号)(第四六九号)(第四七
〇号)(第四七一号)(第四七二号)(第四七
三号)(第四七四号)(第四七五号)(第四九
五号)(第四九六号)(第四九七号)(第四九
八号)(第四九九号)(第五〇〇号)(第
五〇一号)(第五二七号)(第五八四号)(第
六〇〇号)(第六四六号)(第六七三号)(第
六八四号)(第七〇七号)(第七〇八号)(第
七〇九号)(第七一〇号)(第七一一号)(第
七一二号)(第七一三号)(第七二〇号)(第
七三七号)(第七六四号)(第七七二号)(第
七七五号)(第七七六号)(第七七七号)(第
七七八号)(第七七九号)(第七八〇号)(第
七八一号)(第七八三号)(第七九〇号)(第
七九二号)(第七九三号)(第七九四号)(第
七九五号)(第七九六号)(第七九七号)(第
七九八号)(第八〇九号)(第八一二号)(第
八一三号)(第八二三号)(第八二七号)(第
八二八号)(第八二九号)(第八三〇号)(第
八三一号)(第八三二号)(第八三三号)(第
八四〇号)(第八六七号)(第八七四号)(第
八七五号)(第八七六号)(第八七七号)(第
八七八号)(第八七九号)(第八八〇号)(第
九一八号)(第九二〇号)(第九二一号)(第
九二二号)(第九二三号)(第九二四号)(第
九二五号)(第九二六号)(第九三七号)(第
九四〇号)(第九四二号)(第一〇二二号)
(第一〇二三号)(第一〇三〇号)(第一〇三
一号)(第一〇三二号)(第一〇三三号)(第
一〇三四号)(第一〇三五号)(第一〇三六
号)(第一〇四六号)(第一〇九一号)(第一
〇九二号)(第一〇九四号)(第一〇九五号)
(第一〇九六号)(第一〇九七号)(第一〇九
八号)(第一〇九九号)(第一一〇〇号)(第
一一一五号)(第一一一六号)(第一一一七
号)(第一一一八号)(第一一一九号)(第一
一二〇号)(第一一二一号)(第一一三二号)
(第一一六六号)(第一一八四号)(第一一九
三号)(第一二一〇号)(第一二一一号)(第
一二一二号)(第一二一三号)(第一二一四
号)(第一二一五号)(第一二一六号)(第一
二五九号)(第一二六〇号)(第一三一七号)
(第一三一八号)(第一三一九号)(第一三二
〇号)(第一三二一号)(第一三二二号)(第
一三二三号)(第一三三六号)(第一三三七
号)(第一三三八号)(第一三三九号)(第一
三四〇号)(第一三四一号)(第一三四二号)
(第一三四八号)(第一三五七号)(第一三五
八号)(第一三五九号)(第一三六〇号)(第
一三六一号)(第一三六二号)(第一三六三
号)(第一三七〇号)(第一三七一号)(第一
三八〇号)(第一四二一号)(第一四三九号)
(第一四四〇号)(第一四四二号)(第一四四
三号)(第一四四四号)(第一四四五号)(第
一四四六号)(第一四四七号)(第一四四八
号)(第一五四七号)(第一五五六号)(第一
五五七号)(第一五五八号)(第一五七二号)
(第一五七三号)(第一五七四号)(第一五七
五号)(第一五七六号)(第一五七七号)(第
一五七八号)(第一五九七号)(第一六〇五
号)(第一六一二号)(第一六一三号)(第一
六一六号)(第一六一七号)(第一六一八号)
(第一六一九号)(第一六二〇号)(第一六二
一号)(第一六二二号)(第一六三七号)(第
一六四二号)(第一六四三号)(第一六四四
号)(第一六四五号)(第一六四六号)(第一
六四七号)(第一六四八号)(第一六五二号)
(第一六五三号)(第一六五四号)(第一六五
五号)(第一六五六号)(第一六五七号)(第
一六五八号)(第一六五九号)(第一六七三
号)(第一六七四号)(第一六七五号)(第一
六七六号)(第一六七七号)(第一六七八号)
(第一六七九号)(第一六八四号)(第一六八
五号)(第一六八六号)(第一六八七号)(第
一六八八号)(第一六八九号)(第一六九〇
号)(第一六九一号)(第一六九四号)(第一
六九七号)(第一七〇一号)(第一七〇二号)
(第一七〇三号)(第一七〇四号)(第一七〇
五号)(第一七〇六号)(第一七〇七号)(第
一七〇八号)(第一七一三号)(第一七一四
号)(第一七一五号)(第一七一六号)(第一
七一七号)(第一七一八号)(第一七一九号)
(第一七二三号)(第一七二九号)(第一七四
四号)(第一七四五号)(第一七四六号)(第
一七四七号)(第一七四八号)(第一七四九
号)(第一七五〇号)(第一七五一号)(第一
七六一号)(第一七六七号)(第一七六八号)
(第一七八〇号)(第一七八一号)(第一七八
二号)(第一七八三号)(第一七八四号)(第
一七八五号)(第一七八九号)(第一七九〇
号)(第一七九一号)(第一七九二号)(第一
七九三号)(第一七九四号)(第一七九五号)
(第一八二四号)(第一八二八号)(第一八二
九号)(第一八三〇号)(第一八三一号)(第
一八三二号)(第一八三四号)(第一八三五
号)(第一八三六号)(第一八三七号)(第一
八三八号)(第一八三九号)(第一八四〇号)
(第一八七一号)(第一八七二号)(第一八七
三号)(第一八七四号)(第一八七五号)(第
一八七六号)(第一八七七号)(第一八八三
号)(第一八九七号)(第一八九八号)(第一
八九九号)(第一九〇〇号)(第一九〇一号)
(第一九〇二号)(第一九〇三号)(第一九一
二号)(第一九三九号)(第二〇〇三号)(第
二〇〇四号)(第二〇〇七号)(第二〇〇九
号)(第二〇一〇号)(第二〇一一号)(第二
〇一二号)(第二〇一三号)(第二〇一四号)
(第二〇一五号)(第二〇一八号)(第二〇五
二号)(第二〇五三号)(第二〇五四号)(第
二〇五六号)(第二〇五七号)(第二〇五八
号)(第二〇五九号)(第二〇六〇号)(第二
〇六一号)(第二〇六二号)(第二〇六六号)
(第二〇七一号)(第二〇八二号)(第二〇八
三号)(第二〇八九号)(第二一四五号)(第
二一五一号)(第二一五二号)(第二一五三
号)(第二一五四号)(第二一五五号)(第二
一五六号)(第二一五七号)(第二一五八号)
(第二一五九号)(第二一六〇号)(第二一六
一号)(第二一六二号)(第二一六三号)(第
二一六四号)(第二一六五号)(第二一七二
号)(第二一七三号)(第二二二二号)(第二
二二三号)(第二二二四号)(第二二二五号)
(第二二二六号)(第二二二七号)(第二二二
八号)(第二二二九号)(第二二三〇号)(第
二二三一号)(第二二三二号)(第二二三三
号)(第二二三四号)(第二二三五号)(第二
二三六号)(第二二四三号)(第二二五一号)
(第二二五二号)(第二二五八号)(第二二五
九号)(第二二六〇号)(第二二六一号)(第
二二六二号)(第二二六三号)(第二二六四
号)(第二二六五号)(第二二六六号)(第二
二六七号)(第二二六八号)(第二二七〇号)
(第二二七一号)(第二二七二号)(第二二七
三号)(第二二七四号)(第二二七五号)(第
二二七六号)(第二二八六号)(第二二八九
号)(第二二九三号)(第二三〇七号)(第二
三〇八号)(第二三〇九号)(第二三一〇号)
(第二三一一号)(第二三一二号)(第二三一
三号)(第二三一四号)(第二三一五号)(第
二三一六号)(第二三一七号)(第二三二五
号)(第二三二六号)(第二三二九号)(第二
三八一号)(第二三八二号)(第二三八三号)
(第二三八四号)(第二三八五号)(第二三八
六号)(第二三八七号)(第二三八八号)(第
二三八九号)(第二三九〇号)(第二三九一
号)(第二三九二号)(第二三九三号)(第二
四〇〇号)(第二四〇二号)(第二四〇七号)
(第二四〇八号)(第二四〇九号)(第二四一
〇号)(第二四一一号)(第二四一二号)(第
二四一三号)(第二四一九号)(第二四二〇
号)(第二四二一号)(第二四二二号)(第二
四二三号)(第二四二四号)(第二四二五号)
(第二四二六号)(第二四二七号)(第二四二
八号)(第二四五六号)(第二四五七号)(第
二四五八号)(第二四六六号)(第二四六七
号)(第二四七五号)(第二四七六号)(第二
四七七号)(第二四七八号)(第二四七九号)
(第二四八〇号)(第二四八一号)(第二四八
二号)(第二四八三号)(第二四八五号)(第
二四九二号)(第二四九五号)(第二五二一
号)(第二五二二号)(第二五二三号)(第二
五二四号)(第二五三〇号)(第二五三六号)
(第二五三七号)(第二五三八号)(第二五三
九号)(第二五四〇号)(第二五四一号)(第
二五四五号)(第二六〇〇号)(第二六〇一
号)(第二六〇二号)(第二六〇三号)(第二
六二〇号)(第二六二一号)(第二六二二号)
(第二六二三号)(第二六二四号)(第二六二
五号)(第二六二六号)(第二六六〇号)(第
二六六一号)(第二六六二号)(第二六六三
号)(第二六六四号)(第二六六五号)(第二
六六六号)(第二六七九号)(第二六八七号)
(第二六八八号)(第二六八九号)(第二六九
〇号)(第二六九一号)(第二六九二号)(第
二七一三号)(第二七二〇号)(第二七二一
号)(第二七二二号)(第二七二三号)(第二
七二四号)(第二七三二号)(第二七三三号)
(第二七三四号)(第二七三五号)(第二七三
六号)(第二七三八号)(第二七四〇号)(第
二七六九号)(第二七七〇号)(第二七八三
号)(第二七九二号)(第二八〇七号)(第二
八一九号)(第二八二五号)(第二八四〇号)
(第二八四六号)(第二八六六号)(第二八七
五号)(第二九七九号)(第二九八〇号)(第
二九八一号)(第二九八二号)(第二九八三
号)(第二九
九三号)(第二九九四号)(第二九九五号)
(第三〇〇〇号)(第三〇二九号)(第三〇三
五号)(第三〇五四号)(第三〇六七号)(第
三〇六八号)(第三〇六九号)(第三〇七〇
号)(第三〇七一号)(第三〇七二号)(第三
〇七三号)(第三一〇四号)(第三一一九号)
(第三一二五号)(第三一三七号)(第三一四
二号)(第三一六二号)(第三一六三号)(第
三一六四号)(第三一六五号)(第三一六六
号)(第三一六七号)(第三一六八号)(第三
一九八号)(第三二〇五号)(第三二〇六号)
(第三二〇七号)(第三二〇八号)(第三二〇
九号)(第三二一〇号)(第三二一一号)(第
三二八〇号)(第三二八一号)(第三二八二
号)(第三二八三号)(第三二八四号)(第三
二八五号)(第三三五四号)(第三三五五号)
(第三三五六号)(第三三五七号)(第三三五
八号)(第三三五九号)(第三三六〇号)(第
三四〇二号)(第三四二四号)(第三四二五
号)(第三四二六号)(第三四二七号)(第三
四二八号)(第三四二九号)(第三四三〇号)
(第三四七四号)(第三六五四号)(第三六五
五号)(第三六八一号)(第三六八二号)(第
三六八三号)(第三六八四号)(第三六八五
号)(第三六八六号)(第三六八七号)(第三
七二二号)(第三七二三号)(第三七二四号)
(第三七二五号)(第三七二六号)(第三七二
七号)(第三七二八号)(第三九一九号)(第
四〇〇一号)(第四〇〇二号)(第四〇〇三
号)(第四〇〇四号)(第四〇〇五号)(第四
〇〇六号)(第四〇〇七号)(第四〇〇八号)
(第四〇〇九号)(第四〇一〇号)(第四〇一
一号)(第四〇一二号)(第四〇一三号)(第
四〇一四号)(第四〇一五号)(第四〇一六
号)(第四〇一七号)
○
元満鉄職員の
恩給・
共済年金通算等に関する請
願(第一〇八号)(第二二八号)(第三〇六
号)(第三八九号)(第一〇三七号)(第一一
五九号)(第一二三〇号)(第一六三一号)
(第一七六六号)
○
恩給・
共済年金受給者の
処遇改善に関する
請願
(第一一〇号)
○旧
軍人等の
恩給処遇の
改善等に関する
請願(第
一三三号)
○新潟県の
寒冷地手当改善に関する
請願(第一九
七号)(第二一三号)(第二三五号)(第二四
八号)
○山形県の
寒冷地手当改善に関する
請願(第二一
四号)(第二二六号)(第二四九号)(第二七
二号)(第三二九号)(第三九五号)(第四五
八号)(第五七〇号)(第五九四号)(第七一
五号)(第七七三号)(第七九一号)(第八二
二号)(第八六〇号)(第九四一号)(第九八
六号)(第一〇九三号)(第一一二二号)(第
一一六〇号)(第一一七七号)(第一一九四
号)
○
兵庫県朝来郡の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二一五号)(第三九八号)(第八三九号)
(第一一三八号)
○
兵庫県青垣町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二一六号)(第三九九号)(第一〇四五
号)(第一一一〇号)
○
兵庫県浜坂町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二一七号)(第四〇〇号)(第八八九号)
(第九八三号)
○
兵庫県温泉町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二一八号)(第四〇一号)(第八二五号)
(第一一七三号)
○
兵庫県出石町及び但東町の
寒冷級地引上げ等に
関する
請願(第二一九号)(第四〇二号)(第
四〇六五号)
○旧
軍人の一時
恩給改定に関する
請願(第二二九
号)
○
滋賀県山東町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二三八号)(第二三九号)
○
滋賀県浅井町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二四〇号)(第二四一号)
○
滋賀県土山町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二四二号)
○
滋賀県湖東町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二四三号)
○
滋賀県マキノ町の
寒冷級地引上げ等に関する請
願(第二四四号)
○
滋賀県
高島町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二四五号)
○
滋賀県
高島郡朽木村の
寒冷級地引上げ等に関す
る
請願(第二四六号)
○
滋賀県犬上郡豊郷村の
寒冷級地引上げ等に関す
る
請願(第二四七号)
○
滋賀県
大津市内旧葛川村の
寒冷級地引上げ等に
関する
請願(第二五〇号)(第二五一号)
○
滋賀県彦根市の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二五二号)
○
滋賀県米原町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二五三号)(第二五四号)(第八二一号)
○
滋賀県五個荘町の
寒冷級地引上げ等に関する請
願(第二五五号)(第二五六号)
○
滋賀県近江町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二五七号)
○
滋賀県甲賀町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二五八号)
○
滋賀県秦荘町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二五九号)
○
滋賀県志賀町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二六〇号)
○
滋賀県愛知郡愛東村の
寒冷級地引上げ等に関す
る
請願(第二六一号)
○岐阜県の
寒冷地手当改善に関する
請願(第二七
三号)第(二四二九号)
○
兵庫県宍粟郡の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第三九七号)
○
滋賀県
大津市の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第八一四号)
○
滋賀県長浜市の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第八一五号)
○
滋賀県信楽町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第八一六号)
○
滋賀県愛知川町の
寒冷級地引上げ等に関する請
願(第八一七号)
○
滋賀県高月町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第八一八号)
○
滋賀県日野町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第八一九号)
○
滋賀県湖北町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第八二〇号)
○元
満州拓殖公社員に対する
恩給法等の
特例制定
に関する
請願(第八七一号)(第一七七二号)
(第二二五三号)(第二二九九号)(第二四四
八号)(第二六〇四号)(第二八三四号)
○
通算年金通則法施行に伴う各
共済組合の退職一
時金の控除についての
選択期限延長に関する請
願(第一二三四号)(第一二三五号)(第一二
三六)(第一二三七号)(第一二三八号)(第
一二三九号)(第一二四〇号)(第一二四一
号)(第一二四二号)(第一二四三号)(第一
二四四号)(第一二四五号)(第一二四六号)
(第一二四七号)(第一二四八号)(第一二四
九号)(第一二五〇号)(第一二五一号)(第
一二五二号)(第一二五三号)(第一二五四
号)(第一二五五号)(第一二五六号)(第一
三三三号)(第一三三四号)(第一三三五号)
(第一五七九号)
○
厚木基地の
即時返還等に関する
請願(第一三八
二号)
○
靖国神社の
国営化反対に関する
請願(第一五八
〇号)(第一九三〇号)(第二四六五号)(第
三九九八号)
○
靖国神社国家護持に関する
請願(第一六一〇号)
○岐阜県揖斐郡坂内村の
寒冷級地引上げ等に関す
る
請願(第一八九〇号)
○
靖国神社法の
早期実現に関する
請願(第一九九
七号)
○税関の差別人事是正に関する
請願(第二〇八四
号)
○
靖国神社国家管理法案反対に関する
請願(第二
二八〇号)
○岐阜県益田郡馬瀬村の
寒冷級地引上げ等に関す
る
請願(第二三一八号)
○水戸対地射爆撃場の早期全面返還等に関する請
願(第二四〇六号)
○岐阜県益田郡の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二四四七号)
○岐阜県山岡町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二五三五号)
○岐阜県郡上郡和良村の
寒冷級地引上げ等に関す
る
請願(第二六五九号)
○
恩給及び共済
年金のスライド制実施に関する請
願(第二六七一号)(第二六八一号)(第二七
二八号)(第二七五〇号)(第二七八四号)
(第二七九九号)(第二八一七号)
○共済
年金等の増額等に関する
請願(第二六七二
号)(第二六八二号)
○岐阜県上石津町の
寒冷級地引上げ等に関する請
願(第二七三七号)(第二九六〇号)
○特定郵便
局長の
恩給計算上旧在職期間全年通算
に関する
請願(第二八八一号)(第二八八四
号)(第二八八五号)(第二九〇六号)(第二
九〇七号)(第二九一二号)(第二九一三号)
(第二九一八号)(第二九五四号)(第二九五
九号)(第二九六七号)(第二九七六号)(第
三〇二三号)(第三〇二六号)(第三〇二七
号)(第三〇三〇号)(第三〇三一号)(第三
〇三二号)(第三〇四五号)(第三〇五〇号)
(第三〇五一号)(第三一〇一号)(第三一〇
二号)(第三一〇三号)(第三一三一号)(第
三一三九号)(第三一四〇号)(第三一五三
号)(第三一五五号)(第三一六〇号)(第三
一七一号)(第三一九六号)(第三二〇二号)
(第三二一二号)(第三二四五号)(第三二四
六号)(第三二五七号)(第三二八八号)(第
三八三五号)(第三八三六号)(第四〇二九
号)(第四〇三〇号)(第四〇三一号)
○岐阜県郡上郡の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二九五八号)
○岐阜県金山町の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第二九六一号)
○
国家公務員共済組合法等の改正に関する
請願
(第三五〇〇号)
○岐阜県恵那郡の
寒冷級地引上げ等に関する
請願
(第三八四八号)
○継続調査要求に関する件
—————————————
-
○
委員長(
田口長治郎君) ただいまから内閣
委員会を開会いたします。
参考人の出席についておはかりいたします。
恩給法等の一部を改正する
法律案外二案及び
環境庁設置法案審査のため、本日、
参考人の出席を求めることとし、人選については
委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
-
-
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま議題となりました
昭和四十二年度以後における
国家公務員共済組合等からの
年金の額の
改定に関する
法律等の一部を改正する
法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
この
法律案は、
国家公務員共済組合法等の規定により現に支給されている退職
年金等につきまして、このたび別途本国会に提出されております
恩給法等の一部を改正する
法律案による
恩給の額の
改定措置に準じて
年金額を引き上げることとするほか、遺族の範囲の緩和、退職
年金等の最低保障額の引き上げ等、所要の措置を講じようとするものであります。
次に、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、旧令による
共済組合等からの
年金受給者のための特別措置法、旧
国家公務員共済組合法及び現行の
国家公務員共済組合法に基づく退職
年金につきまして、
年金額
改定の基礎となる
昭和四十年度の仮定俸給に対する増加率を、
恩給における措置にならい、
昭和四十六年一月分以後六〇・七三%、同年十月分以後七四・二三%に改めることにより
年金額を引き上げることといたしております。
第二に、現行の遺族の範囲を緩和し、現在、組合員であった者の死亡当時、主としてその収入により生計を維持されていない配偶者は遺族給付を受けられないこととされておりますものを、今回これを改め、配偶者はすべて遺族給付を受けられることといたしております。
第三に、退職
年金、廃疾
年金及び遺族
年金につきまして、厚生
年金保険における措置にならい、これらの
年金の最低保障額を引き上げるとともに、通算退職
年金の額についても所要の引き上げをすることといたしております。
第四に、掛け金及び給付の算定の基礎となっている俸給の最高限度額につきまして、現行の十五万円を、公務員給与の
改定等、諸般の事情を勘案し、十八万五千円に引き上げることといたしております。
第五に、外国政府職員等の期間の組合員期間への通算につきまして、
恩給における措置にならい、外国政府職員等であった者が引き続き海外において抑留または留用されていた期間等を組合員期間に通算することといたしております。
第六に、女子である組合員に対する退職一
時金の特例措置の期限を、厚生
年金保険における措置にならい、五年間延長し、
昭和五十一年五月三十一日までとすることといたしております。
第七に、明治四十四年四月一日以前に生まれた者につきまして、通算対象期間を合算した期間が十年以上あるときは、厚生
年金保険における措置にならい、通算退職
年金を支給することといたしております。
このほか、増加
恩給の額が引き上げられること等に伴いまして、公務による廃疾
年金及び公務にかかる遺族
年金の最低保障額を引き上げることとする等、所要の措置を講ずることといたしております。
以上がこの
法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同下さらんことをお願い申し上げます。
-
-
○国務大臣(
橋本登美三郎君) ただいま議題となりました
昭和四十二年度以後における
公共企業体職員等共済組合法に規定する
共済組合が支給する
年金の額の
改定に関する
法律等の一部を改正する
法律案につきまして御説明申し上げます。
この
法律案は、公共企業体の
共済組合が支給しております旧
国家公務員共済組合法及び
公共企業体職員等共済組合法に基づく既裁定
年金の額につきまして、このたび、別途国会に提案されました
恩給法等の一部を改正する
法律案による
恩給の額の
改定措置等に準じて、所要の改正を行なおうとするものであります。
次に、この
法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
まず、
年金額の
改定内容でありますが、公共企業体の
共済組合が支給しております既裁定
年金の額につきましては、
昭和四十五年度におきまして
年金額算定の基礎となる俸給を、
昭和四十四年度
改定後の額に対し、八・七五%増額いたしましたが、今回、その増額率を二・二五%補正して、
昭和四十六年一月分にさかのぼって増額することとし、さらにその増額された基礎となる俸給を八・四%増額して、
昭和四十六年十月分以後、
年金額を増額することといたしております。
次に、外国政府等の職員が引き続いて抑留または留用された場合におけるその抑留または留用された期間につきまして、
恩給公務員期間等として組合員期間に算入することといたしますとともに、昨年の第六十三回国会における附帯決議の趣旨に沿い、更新組合員でない者の外国特殊法人等の職員期間につきまして更新組合員の場合と同様の取り扱いとなるよう措置を講ずることといたしております。
さらに、今回配偶者であります遺族につきまして、その範囲を拡大することといたしております。
以上のほか、今回の
恩給法等の一部改正及び厚生
年金保険法の一部改正に準じ、所要の改正措置を講ずることといたしております。
以上がこの
法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
-
-
○
足鹿覺君 いつものことで、恐縮でありますが、すわったままですが、大臣、
政府委員もおすわりのまま、よろしくお願いいたします。
昨年の五月十一日、当
委員会において
恩給法審議の際に、私は、現在、各種の公的
年金があり、たとえば会社勤務の人は厚生
年金、公務員は
恩給または共済
年金、その他各種の制度がばらばらになっておるが、これは公的
年金の体系化と申しますか、一体化と申しますか、そういう方向で検討をされてはどうか、このような趣旨のお尋ねを山中長官に申し上げたのでありますが、政府の姿勢として、どのようなことをやったら前進できるか検討してみたい、こういう御発言であったと思います。今日までの検討された経過を、もしございましたならば具体的に承りたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ただいまのお尋ねの問題は、その後、これはいずれ御質問がありましょうが、スライド制の問題等とも関係がございまして、一律に議論することに非常な矛盾と申しましょうか、議論が平行線のままたどる推移がありましたので、これをあらためまして、おおよそ三つの——労災を合わせますと四つになるわけでありますが、範疇に分けまして、国民
年金的なもの、ただいま言われた
国家公務員共済的なもの、あるいは私学、農林漁業団体職員共済、こういう範囲のもの、さらに、労災も当初は考えておりませんでしたが、やはり、
年金スライド的な議論になりますと、労災の問題も、若干次元は違いますが、議論をしたほうがよかろうということで、大別すると三つ、労災を加えると四つのカテゴリーに分けまして、それぞれの部会をつくらして、いま、専門の各省の担当官を集めて、すでにもう会議を重ねて三回やっておると思いますが、今後の方向について、類型別に仕分けをして、そこで共通の問題点をとらえて、それから全体の問題としてどのように展開ができるかということで、まだ結論を出すに至っておりませんが、新しい方法で結論を求めるための、過去のえんえん時間を空費するだけという形を改めた姿でいま審議をいたしております。
-
○
足鹿覺君 大体の見通しとしては、来年度の通常国会あたりには結論が出、具体的な御提案の運びになるでしょうか。これは各省にまたがる問題でもあり、きわめて困難な作業であるにもかかわらず、誠意をもって御検討になっている点については感謝をいたしますが、もし見通しがつきましたならばこの点だけ、人事院の総裁が何か御都合があるそうでありますので、その点をひとつ承って、あとの
恩給問題は
人事院総裁のあとにお伺いいたしたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これはいまみたいな各省ばらばらの制度の統一の問題と、それから反面においてはスライド制の実現への要望が強いという問題等について議論をいたしておりますので、これを最終的に体系づける作業と、それをやった場合において、国の財政の中でそのような恒久的な姿勢に踏み切ることができるかどうか、こういう問題は、大蔵も加えた政府全体の検討事項になるかと思いますので、次の通常国会に提案できるかどうかとなりますと、ただいま即答はいたしかねる段階でございますが、作業は非常に良心的にかつ積極的にいたしておるわけでございます。
-
○
足鹿覺君
恩給法につきましてはあとで
恩給法二条ノ二の規定の問題、いま長官が触れました問題をお尋ねいたしたいと思っておりますし、公的
年金制度調整連絡会議等の運用とその見通し、あるいは
恩給に関する個別の問題等、内容は多岐に分かれております。あとでお尋ねをいたします。
次に百八条を中心に伺いたいのでありますが、これは主として
人事院総裁の御見解を先に承って、何か都合があるそうでありますので便宜をはかりますが、総裁はなかなか答弁がうまいので、われわれちょっといい面もありますが、困る面もある。御都合があって早くお帰りになりたければ、そのものずばりで御答弁いただけませんか。それではそういうお約束で……。
まず、
人事院総裁に伺いますが、国家公務員法が
昭和三十四年に改正されて、現在では同法八節が「退職
年金制度」と改まっておるはずであります。それ以前は同法八節が「退職者に対する
恩給」となっていたはずでありますが、いかがでありますか。
-
-
○
足鹿覺君 そういたしますと、この問題に関連をして一、二お尋ねをいたしますが、まず三十四年改正前の国家公務員法百八条と、
恩給法第二条ノ二の規定、つまりスライド規定でありますが、同一趣旨のものと理解してよろしいかどうか承っておきたい。
-
○
政府委員(尾崎朝夷君) お答え申し上げます。
国家公務員法におきます退職
年金制度、従来は
恩給制度でございましたが、この趣旨は、百七条にございますように、相当年限忠実に勤務して退職した場合に、その者に
年金に関する制度が、樹立し実施されなければならない、そういう基本的な内容が規定してございまして、さらに保険数理との関係の基本的な点が規定してございまして、いわゆるスライド制のごとき技術的な、いわば技術的な内容はここには従来から規定されておりません。
-
○
足鹿覺君 きょうは審議を急いでおるわけでありますので簡潔にお願いいたします。同一趣旨のものであるかどうか聞いているんです。技術的なものだとか、そういう御答弁では困ります。大体の趣旨は同一のものと解してよろしいかと聞いておる。あまりあなた方が技術的な答弁をするとだめですよ。総裁、御答弁なさい。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君) これらの条文は、この
年金制度についての大所高所から押えた私は基準的な条文だと思っておりますが、したがいまして、見方によっては、これは変わりはないという見方も不可能ではないというふうに思います。ただ、このスライド制の関係云々はこれからは出てこないだろうと思っております。
-
○
足鹿覺君 大体同一趣旨のものも含まれておると私は思うのであります。さような御答弁と理解をいたします。今回の改正法の趣旨が、そういう立場からお考えになったときに、どのような意味を持っておるか、御所見を承りたい。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君) 今回とおっしゃいますのは、いま御審議になっておるものというふうに了解いたしますが、これは要するに
昭和四十一年でありましたか、いわゆるスライド制の条文が入りまして、その条文の趣旨を受けての処置であろうとまずわれわれは直観的にそう思うわけです。これは以前には物価だけにたよっておったものが、ここ数年来、物価のみならず、公務員給与というものにも大きな重味を持って、これを考慮にお入れになって年々
改定の措置が加えられておるということと了解いたしますけれども、これ自体は私どもはまあけっこうな方向であろうというとうに考えております。
-
○
足鹿覺君 改正前の国家公務員法第百八条によれば「
恩給制度は、本人及び本人がその退職又は死亡の当時直接扶養する者をして、退職又は死亡の時の条件に応じて、その後において適当な生活を維持するに必要な所得を与えることを目的とするものでなければならない。」と規定しております。とすれば、退職当時の給与と同価値の水準を対象に一定水準の生活保障を与えることをこの規定が示しておると私は思いますが、この点はどう整理しておられますか、お伺いいたしたい。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君) その条項を非常に精密なところまで考える、と申しますよりも、いま述べましたように、率直に申しまして、たとえば現在、
昭和四十一年に入ったいわゆるスライド規定というようなものは、その条項の趣旨に合致したものであるというふうに考えておるわけであります。
-
○
足鹿覺君 いや、ただいま述べました百八条の精神をもととして、退職当時の給与と同価値の水準を対象に一定水準の生活保障を与えるものを規定しておるはずだと思うのです。この点はどのように前向きに御整理になっておるのかと、これを聞いておるのです。何のための百八条であるか、前向きにあなた方お取り組みになる必要あるでしょう。そういう機械的な答弁ではだめです。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君) 同価値ということばの解釈の問題ですが、これは見ようによっては、あるいはむしろそれは物価だけからくる判断であるというふうな見方も私はできると思います。ところが、実際は物価プラスたとえば公務員給与というようなものが今度は組み入れられておるわけですから、その点からいえば、いまのこの条項よりも前進を示しておるというような見方も私は可能であるように思います。
-
○
足鹿覺君 私は、退職当時の給与と同価値の水準を対象とすべきではなかろうか、それがつまり生活保障を与えることに合致するものものではないか、あながち物価だけを言っているのではありません。同価値の水準を対象にすべきではないか、こういうことに向かってあなた方どういうような整理をし対処をしておられるかということを聞いておる。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君) 同価値ということについては、いま申し述べましたような考え方もこれは私は成り立つと思いますけれども、それが正しいと考えておるわけではないので、そういう読み方が可能であるかどうか、それにもかかわらず、われわれこの
年金制度のあり方としては、いま最近実現しておりますように、物価ばかりでなしに、公務員給与なども重く見ていただく、そういう扱い方はきわめて好ましい扱い方であるというふうに考えるわけであります。
-
○
足鹿覺君 まあこの問題で議論をしておりますと、あなたがいつまでも帰ることができぬようになりますから、具体的な問題で承りたい。
現職公務員のベースというものがありますね。どの程度のものか、大体お示しをいただきたいと思うわけです。この点は今回の改正案の内容ともきわめて深い関連を持つもので、特に伺っておきたい。
-
○
政府委員(尾崎朝夷君) 現在の国家公務員の平均給与でございますけれども、昨年のいわゆるベースアップ後、つまり昨年の五月現在におきまして俸給が六万六千四百円、扶養手当、調整手当を含めましたいわゆる基準内給与では七万三百八十五円というふうに推定をいたしております。その後新陳代謝、昇給等がございますので、現在四月の水準につきましては、現在調森中でございます。
-
○
足鹿覺君 次に、今回の改正における仮定俸給のベースが幾らになっておるのか伺いたい。仮定俸給のベースですね。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) お答えいたします。
ただいまの御質問は、
恩給としてのベースとして理解いたしますが、御承知のように
昭和三十六年を境といたしまして、
恩給ベースと国家公務員の給与のベースは技術的にも合致しない、したがって比較することは技術的には無理だということになっております。ただし、われわれといたしましては、国家公務員の給与と物価を尺度といたしまして、
昭和四十四年以降、
恩給審議会の答申に従いまして
改善してまいっております。その経過から申し上げますと、
昭和四十六年度において措置しようとするベースは、
昭和四十四年度の国家公務員給与に見合うものである、このようにわれわれは考えております。
-
○
足鹿覺君 それはこれから伺うわけでありますから、要するに仮定俸給というものが出てきておるわけですから、そのベースは現在どの程度のものか聞いておるのです。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 先ほど申し上げましたように、実は……。
-
○
足鹿覺君 そのものずばりおっしゃい、そのものずばり。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 国家公務員給与と
恩給の給与を技術的に比較することは技術的にも事実上困難である。したがいまして、われわれといたしましては、四十四年以降、
恩給審議会の答申のしかたによって増額をしてまいっておるわけでありますが、御承知のように、まず物価、消費者物価の上昇に見合う部分を補てんいたしました。なおかつ国家公務員給与との格差がある場合におきましては、その格差の六割をとっておる、こういうことで、実は国家公務員給与と
恩給とを一つのまないたに乗せて比較いたしますと、
恩給のべースは
昭和四十四年度における国家公務員の給与に見合う、こういう表現が一番適当であろうというように考えておる次第でございます。
-
○
足鹿覺君 だから、仮定俸給というものを、あとで質問の中に出てきますが、出てくるので、仮定俸給のベースは幾らになっておるかということを聞いておるのです。それを答弁なさいと言っておるんです。ほかのことまで言わなくても、これからそれを聞いた上で聞くから……。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 先ほど申し上げましたように、実は
昭和三十六年度までは
恩給の給与というものは必ず国家公務員の給与に全体として合っておったわけであります。すなわち、
恩給の給与を国家公務員の給与の中に見ますと、必ず合ったわけでございます。ということは、三十六年度までは国家公務員の給与としては通し号俸的に
恩給と合致しておった。したがって国家公務員の給与と
恩給と比較することはそれなりに意味があったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、
昭和三十六年を境にいたしまして、国家公務員の給与が幾つにも、職階的な給与になりまして分かれてまいったわけであります。ところが、
恩給のほうは御承知のように八十二号俸の通し号俸になっている。したがいまして、そういう意味において比較するということは、技術的には責任持ってお答えすることはちょっと困難ではなかろうかというように考える次第でございます。
-
○
足鹿覺君 では私から申し上げましょう。大体私は四万二千円程度と推定しておりますが、いかがですか。当たらずといえども遠からずでしょう。弁明をしないで聞いておることに答えなさい。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 実は
恩給をベースでもって表現することはちょっと私は無理ではないかというように考えておるわけでございますが、数字的に申し上げますと、私のほうで大体
昭和三十六年の国家公務員の給与のベースと、指数的に申し上げますと見合うものが、この
恩給審議会の答申によりましておわかりのように大体四十年の
恩給ベースである。したがいまして、
昭和三十六年から
昭和四十三年度までのアップ率を
昭和四十四年度において改正してまいったというような経過がございます。そういう経過で申し上げますと、
昭和二十六年度の国家公務員給与を一〇〇といたしますと、現在われわれがそういう機械的に計算をいたしますと、指数といたしまして三四三ぐらいになるんではないかというように考えます。これは指数的には国家公務員の給与の大体、はっきりとは申し上げられませんけれども、四十三年と四十四年ぐらいの間に位置している。大体四十四年ぐらいにきておるというように私は考えます。ただし先ほど申し上げましたように、これは単に指数の問題でございますから、国家公務員の給与とそのままに当てはまるということではないということでございますから、この点を御了承願いたいと思います。
-
○
足鹿覺君 今回の改正に仮定俸給というものが出てくるんです。だから仮定俸給のベースは幾らかと聞いておるんですよ。とにかく格差があることは事実ですね。お認めになるでしょう。その金額の答弁、人が聞かないことまで先回りしておる。格差があることは認めますね。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 格差の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、格差を
恩給的な方法によって補てんするということでございます。
-
○
足鹿覺君 とにかく私の見たところでは相当大きな格差がある。あなた方がいかようにいま答弁技術をなさろうとも、格差のあることは事実である。したがってこの二つのベースの間の格差を、公務員法百八条に照らしてどこでどのように是正することが妥当と考えておられるか、これは
人事院総裁に聞いておきたい。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君) 公務員法百八条そのものは、先ほど申しましたように私ども考えておりますけれども、それを踏まえた上での
恩給あるいは
年金のあり方という点につきましては、私どもとしてはある種の理想も含めながら、制度の大きなあり方としてある種の理想も含めながら、たとえば公務員給与にごく密着した形で年々
改定する形が考えられるのではないか。
もう一つは、物価にせよ、公務員給与にせよ、これとリンクして機械的に、もう自動的にどんどん変わっていくような法制の立て方はどうであろうかというような非常に遠大なる問題意識を持ってずっと研究しているわけであります。これはまたいろいろそれ自体問題を含んでおりますし、実際上は、先ほど総務長官にお尋ねがありましたように、公的
年金一般の問題とも関連しておりますもんですから、各省の関係者の集まりである給与協議会等においても協議を重ねておりますけれども、われわれ自体は、一つのねらいとしてそういうものも意識に入れておるということを申し上げておきたいと思います。
-
○
足鹿覺君 確かに総裁はある種の理想を持ってということをおっしゃったので、まあさすがに総裁だと思います。だがしかし、国家公務員法百八条の精神からいいますならば、適当な生活を維持するに必要な所得とは、退職時点の給与と退職公務員の給与とを是正することによって、退職後の適当な生活の維持を保障することとなると私は考える。この精神に、もし違いがあったらたいへんなことになりますよ。したがって、この点について、遠大な理想を持つということは、いま総裁のおっしゃられたことばは、適当な生活の維持を保障することに向かって進んでいきたい、遠大な理想とはそのような意味に理解してよろしいのでありますか。
-
-
○
足鹿覺君 遠大なというと、無限もありますし、ある時点もありましょうが、非常に困難ないろいろな障害があると思われます。これは主として財政当局の抵抗によるものだと、私は端的に言って申し上げたいのであります。あなた方がぶつかっておられるのは、いろいろな問題もありましょう、理論上、実際上。そこで大蔵大臣が幸いおいでになりますから伺っておきますが、いま百八条の問題を中心に伺ったのでありますが、仮定俸給と格差をできる限り圧縮していく、その精神には御賛成であろうと思います。ただ問題は、財源措置が一時に講じられない、こういうお考えでありますか。私どもの聞いておるところによると、財政当局が非常に渋い。そこにこのようなものの是正が遅々として進まない、かように巷間いわれておるのでありまして、いい機会でありますので、大蔵大臣のひとつ御所見を承っておきます。
-
○国務大臣(福田赳夫君) 法律論になりますと、私も十分こなしておりませんが、いま人事院当局からお答えになったとおりかと思います。問題は、いま
足鹿さんもお話しのようにこの財源問題、ことにスライド制ということが問題になっておるわけでございますが、私は何とかして、退職公務員につきましては物価の問題ですね、これが一つある。それからまた、その後の経済事情に応じまして、現在の公務員の給与、これが物価とはまた別にかなり前進的に解決をされておる、こういうまあことになっておりますが、そういうものを見まして、過去において退職された人の生活、まあいま水準というようなお話がありましたが、あるいは法的にその水準という中にそういう意味が含まれるか含まれないか、これはまあ別の問題といたしまして、実態論として、なるべく過去において国家に功労、貢献をされたそういう公務員の生活、これは物価またその後の社会事情の変化、そういうものを含めまして、
改善すべきだと、こういうふうに考えております。
ただ問題はスライド制によってそれを解決するかと、こういうことに相なりますと、スライドした場合の所要の財源をだれが一体負担するんだというむずかしい問題に逢着するわけでありまして、そういうようなことでまだ結論を得ておりませんけれども、しかし、実質的にはなるべく、ただいま申し上げましたような実質価値ですね、実質価値の保障ということにつきましては、これはどうしても努力をいたさなければならぬ、かように考えております。
-
○
足鹿覺君 要するに、ただいまの大蔵大臣の御答弁は、差があってはならぬということについては御同感のようですね。しかし、技術的な問題もあるからよく検討したい、こういうことになる。大体今後の見通しはどうですか。これは物価の異常な高騰時における
恩給生活者の窮迫は言うまでもありません。いわんや仮定俸給と公務員ベースとの間に二万円もの推定格差があるということはたいへんな問題であります。
これから具体的に伺いますが、大蔵大臣はそこまで御存じないと思いますが、できるだけ財政措置を講じて、その差を早急に縮めていく、こういう方向へ向かって御善処いただけますか。
-
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのお話はそのとおりに考えます。ただ、先ほどから言われるスライド制ということになりますと、なかなか問題がある。それから今後の見通しはどうだと、こういうお話でございますが、よく検討いたしますが、やっぱり検討した結論の出るまでの間は、まあ二、三年とか、そういうような間になると思いまするけれども、その二、三年ごとに見直しをいたしまして、なるべく実質価値を、ただいま申し上げましたような内容をもって整備するという方向に努力する、こういうことかと存じます。
-
○
足鹿覺君 ただいま二、三年の間に是正するというおことばがありましたが、しからば承りたいのでありますが、今国会の改正が、前国会で改正された仮定俸給を本年一月分から二・二五%に、本年十月からの分を八・四見ているんですね。
人事院総裁、そうですね。間違いありませんね。
-
-
○
足鹿覺君 そのとおりだとおっしゃるからには、仮定俸給のもとになっている給与は、おそらくいつかの時点かの公務員給与を基礎にしておると思われますが、その給与の時点はいつのものであるのか、私の聞いておるところではかなり古いものだと聞いておりますが、どうですか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 四十四年の公務員給与を見ております。
-
○
足鹿覺君 私の知るところにおいては
昭和三十四年だと思いますが、あなたは四十四年とおっしゃいますが、間違いありませんか。
-
-
○
足鹿覺君 間違いない、四十四年に。
人事院総裁、間違いありませんか。違うでしょう、それは。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君) とくと拝聴中でございます。いま、とくと拝聴しつつございます。
-
○
足鹿覺君 拝聴しつつあるということと四十四年だということはだいぶ違う。私の見たところでは、調査によれば三十四年ですね。いまから十二年も経過しております。まことに遺憾千万な状態である。この私の説を拝聴なさって、真偽のほどは、私が間違っておるのですか、拝聴の結果はどうですか。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君) それじゃ感想を申し上げさしていただきます。
いずれにせよ、まあ、最近のこの
恩給法の
改定のあり方は、われわれとしては望ましい方向を歩んでおられるということは先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、片やわれわれの遠大な理想から言いますと、まだもちろん理想どおりではない。したがって、われわれとしてはこれを拝聴しながら将来の努力を考えていかなければならぬ、そういう感想を持って承っておるわけであります。
-
○
足鹿覺君 いずれにしろ、一歩譲って四十四年といたしましても、この三カ年間には大きな物価の変動があり、社会情勢は急激に変わっております。生活水準も向上し、いろいろとベース
改定も頻々に行なわれておりますし、非常に現時点に合わないものであるということはお認めにならざるを得ないと思います。
そこで、これはあとでまた総務長官に国務大臣としての御見解を承りたいと思いますが、すみやかにこれを現時点に合わせていただきたい、強くこのことを御要望申し上げて御検討いただきたい。御検討いただけますね。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ことしの
恩給の
改定の前提は、四十四年の国家公務員の給与の実績並びに物価というものを、後ほど
局長に説明させますが、それをもとにして計算して得た額というものを十月から実施ということでございますから、その前提の議論というのは、今日までの計算方式の議論だと私は思っております。
-
○
足鹿覺君 いずれにしましても、これは私の資料によれば、三十四年というふうになっておりますので、この点はまた別の機会に究明することにいたしましょう。
総裁もお急ぎのようでありますし、私も急いでおります。
恩給制度はいまや現状は
国家公務員共済法の適用がないところから、どうしても適用者の利益保護に欠くるところがあると私は思うのです。これまでに連合国司令官の命によって剥奪された
恩給権、その後復権した
恩給の受給権について、その間に相違があれば、どのような点に相違があるか、これを承りたい。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 追放の問題かと思いますが、実はマッカーサー司令部によりまして、
昭和二十一年に
恩給受給者のうち特定の者につきましては追放されたわけでございます。しかしながら、
昭和二十七年におきまして追放が解除されまして、
恩給の支給がされたわけでございます。今回の措置といたしましては、
昭和三十九年に、引き続き七年以上の在職年を持っておる文官に対しまして、一時
恩給を給付したわけであります。なお七年未満三年以上の在職年を持っておる公務員に対しましては支給されていなかったわけであります。それを今回一時
恩給として給付しようとする、こういうものでございます。
-
○
足鹿覺君
人事院総裁に最後にもう一点念を押しておきますが、先ほどの
昭和四十四年とおっしゃいましたけれども、私の資料によりますと、時点の差が大きいのです。
昭和三十年であると私明確にさように信じておるわけです。私の意見も聞いておると思いますので、この点は十分ひとつ、後日でよろしゅうございますので、御調査、御検討をいただくことにしたいと思います。いかがでございますか。
-
○
政府委員(
佐藤達夫君)
恩給の話と共済の話と二色あるわけでございます。共済の話にしましても、われわれは確かに意見の申し出をするという権限は与えられておりますけれども、給与問題でありますれば、これは私が一人で背負って立ってやるべき仕事になりますけれども、
恩給なり共済の面は、他にまた有力な実施機関がおられるわけでありますから、その四十三年度か四十何年度かというところは、私は責任を持ってここで正しいとか間違っておるということは申し上げませんけれども、しかし、われわれのねらっておる遠大なる理想ということばで申しましたけれども、それだけはひとつ御認識をいただいておきたいと思います。
-
○
足鹿覺君 わかりました。それではお急ぎのようですから、よろしいです。
恩給法の目的及び
恩給の性格等の問題を中心に山中長官に伺いますが、第六十三国会の本
委員会において、
恩給は公務員の身分に伴う権利で、給与請求権の延長である、との説に同意をされております。これらの意見についてあらためて長官の見解を聞くとともに、今回の改正もその延長に近づく一手段としての御提案と、かように理解してよろしいですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 給与請求権という表現は使っておりませんが、受給権者は正当なる
恩給を受ける権利を持つものであり、国家はそれに対して正当な計算に基づいた
恩給を支払う義務を負っておるものであるということを申しました。その意味においては今回の、昨年積み残しました二・二五%分というものを一月一日実施のための予算措置をして補完をいたしましたので、今回は大体においてその方向に沿い得た予算であると考えます。
-
○
足鹿覺君 最近、各種公的
年金法の改正は、
恩給法の改正内容に準じて行なわれております。したがって、
恩給法は社会保障制度との関連が一そう密接になってきておることも御承知のとおりであります。また
恩給法の目的及びその性格からも、少なくとも
恩給は公務員の退職または死亡後、本人または遺族の生活を保障する内容のものでなければならないというのがたてまえでありますが、いまさら先ほど来の議論を私は繰り返す気持ちはありません。よくその趣旨は長官もおくみ取りになっておると思います。ところが、今国会に出たたくさんの
請願を調べてみますと、
恩給受給者等は、近年における物価の上昇は激しく、最近に至っては
恩給等の増額も物価の上昇に追い込まれ、生活は一そう困難になっておると悲痛な訴えをいたしております。現在このような訴えをしておる
恩給受給者はどういう数であり、その生活実態はどのような状態であるとお考えになりますか。御調査になったことがございますならば、それを承りたい。また、それに対処される長官の御所見を承りたい。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 現在
恩給受給者は約二百九十万弱でございます。なお生活の実態そのものにつきましては、
恩給オンリーで調査したことはございませんが、特に生活保護との関係等において私どものほうでは関係省庁と連絡いたしまして、
昭和三十八年に資料をいただきまして検討いたした結果、
恩給受給者の中に約一万人ぐらいの生活保護者がおる、このようにわれわれは推定しておるわけであります。
-
○
足鹿覺君 約二百九十万人の文官と武官との内訳をお願いいたしたい。特に文官は二十万人余と私は思います。武官がはるかに二百六十万を突破しておる。その階級別員数をお調べになったものがありますか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 総体におきましては二百八十七万人でございまして、そのうち文官が二十万二千人でございます。残りが
軍人でございすして二百六十七万人でございますが、階級別等の詳しい資料につきましては後刻提出いたしたいと思います。このように考えております。
-
-
-
○
足鹿覺君 直ちに御提出を願いたい。
過去十年間における公務員給与及び物価等の上昇率及び上昇額に対し、恩総年額の上昇率及び増加額はどれほどになっておるか、また、公務員の給与ベースに対して
恩給年額のベースはどの程度となっておるか、その実態を明らかにしていただきたい。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) まず四十六年度から申し上げますと、四十六年度におきましては、物価と公務員給与を総合勘案いたしましてアップ率は八・四%であります。なおその前に一月から九月までには二・二五%上がっております。それから次は逆にいきますが、
昭和四十五年度でございますが、
昭和四十五年度におきましては、物価四・九%、それから公務員給与七・五%を基礎といたしまして六・五%の
恩給のアップ率になっております。それからなおそのほかに
昭和四十四年度の一積み残し分であります二・二五%分が加わります。
昭和四十四年度におきましては、物価が四・四八%、それから公務員給与が五・五七%を基礎といたしまして、結果といたしまして物価は四・四八%分だけ上がったわけでありますが、ただいま順序を逆に申し上げましたようにこの積み残し分が六・五%でございますが、これを上昇したアップ率に割り直しますと四・五%になります。それを四十五年と四十六年とに二つに分けまして二・二五%ずつ積み上げた、こういうことでございます。
-
○
足鹿覺君 その資料はあとで一緒に、ほかの問題もありますからいただくことにいたしまして、
恩給年額は、退職時の俸給を基礎にして算定されております。また階級及び等級によって大きな格差を生じておりますが、退職公務員、つまり普通
恩給ですね、及び遺族扶助料で、公務員の標準生計費並びに生活保護基準すら、それ以下のものが相当あると聞いておりますが、普通
恩給及び扶助料の
年金額別、人員別の資料はございますか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 資料ございますので、これまち御提出いたしたいと思いますが……。
-
○
足鹿覺君 いま私が指摘した標準生計費並びに生活保護基準、つまり、いろいろな理由をもって国の生活保護を受けておる人以下の者が相当あると聞いておりますが、そのような
恩給の実態の者が大まかに言ってどの程度おりますか。大まかでよろしい、資料はあとでいただきます。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 生活保護費でございますが、これは大体四級地の男子一人当たりを例にとりますと、年額約十一万円程度になると思うわけでありますけれども、文官——これは文官は在職年限が非常に長うございますから、文官等で見ますとその平均額はおおむね保護費を上回っているわけでございますけれども、個々の事例を見ますと、基礎俸給が低い方、たとえば警察官、こういった方はわりに基礎俸給が低うございますから、約一八%程度の者が、いま申し上げました男子一人の生計費である十一万円程度を下回るということにわれわれは推定しております。
-
○
足鹿覺君 そういう者が相当多いんですね。承知しておるだけで、その者に対する措置はどうなさる御所存ですか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 実は、先ほど先生も御指摘になりましたように、
恩給は退職時の在職年と俸給を掛けて算出するわけでございます。そういうことで、たとえば
軍人恩給受給者等には非常に在職年限が少ない方がおられるわけでございます。それと、片方におきましては、非常に在職年限の長い先生、教職員の方もおられますし、そういう方々を一体といたしまして、はたしてどの程度に持っていくかということはなかなかむずかしい問題ではございますけれども、われわれといたしましては、いわゆる低額
恩給受給者に対しましてはほぼ二つの手を打っております。まず一つは最低保障の問題でございます。最低保障は、御承知のように、現在実在職年がある者につきましては、普通
恩給におきまして九万六千円を最低保障にしております。それから、もう一つ、ただいま在職年の低い方があるということを申し上げましたが、こういう方々が老齢者である、七十歳以上であるという場合、あるいは傷病者であるという場合につきましては、いわゆる加算
恩給受給者につきましては、加算
恩給の減算率を撤廃いたしまして、十二年の
恩給を支給しておるような次第でございます。
-
○
足鹿覺君 先ほどお聞きいたしましたように、生活保護基準以下の者が約十七、八万ということでありますが、とにかく私どもにはその資料はないんです。で、普通
恩給及び扶助料の
年金額別、人員別の資料を御提出を願いたい。もらえますね。
-
-
○
足鹿覺君 なるべくきょうじゅうに出していただきたい。きょうこの法案を上げるんですから。
第五点は、
軍人恩給、特に兵に対する措置について伺いたい。多年公務に従事した者に対しても、普通文官に対してはそういう措置がとられている。さらに、兵——
軍人恩給の問題を見ますと、その格差は実に驚くべきものがある。私が調査室で調査をしてもらった資料によりますと、詳しいものが——兵、伍長、軍曹、曹長、准尉、少尉、中尉、大尉、少佐、中佐、大佐、少将、中将、大将とありますが、かりに兵と大将を比べてみましょう。そうしますと、兵は六万八千百六十七円が今度の改正で七万五千四百円になる。つまり差し引き七千二百三十三円上がるにすぎない。では大将はどうか、大将は五十一万三千二百六十七円から五十六万七千八百六十七円への増額がなされている。倍率はぼくの計算によると、大体兵に対し大将は八倍ということになりますが、差し引き大将の場合は五万四千六百円というのに、兵はわずかに七千二百三十三円。少なくとも最近の
恩給年額は一律
改定方式をとっておられますが、上に厚く下に薄いこの傾向を助長しつつある方針がとられているということは改めらるべきであると思う。いわんや赤紙一枚で、当時の一銭五厘のはがき一枚で徴兵令によって動員をされた兵に対する、生活権の一部を少なくとも保障する最低限度額を引き上げるのが本来の趣旨でありませんか。文官は三十万に足らない。大部分は武官である。その内容は資料をいただかなければわかりませんが、おそらく兵が一番多く、伍長、軍曹級が大部分を占めていると思う。このような一律
改定方式をとられ、なおさら物価上昇によって大きく影響を受ける下級者の
改定率を総体的にプラスして引き上げていかなければ是正がつかないと私は思う。この点は
靖国神社法を与党のほうでは固執をしておられて、遺族の心情に対して神社をもって祭られるというお考えのようでありますが、私どもは、この二百七十万人、膨大な
恩給受給権者のうち大部分が兵である。このことに対する具体的な措置こそ、当面政府が最も力こぶを入れられなければならない問題だと考えますが、この点は山中総務長官に御所見を承りたい。この是正方式について、画期的な方法を講じていただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君)
恩給制度は、御承知のように階級によって仮定俸給格差というものがございます。実は戦前の例を申し上げますと、上と下との格差は約倍であったと私は記憶しております。現在先生御承知のように約八倍ということでございますが、御指摘になりましたように一律のアップ率をもっております。したがいまして上も下も同じように上がっていくわけでございますけれども、われわれといたしましては、兵の階級におきましては、先ほど——説明がダブりますけれども、加算
恩給受給者が多いというようなこと、そういうようなことを着目いたしまして、加算
恩給受給者に対しては減算率を撤廃するというような方法で
改善措置を講じてまいっておるわけであります。
なおかつ、いまここで申し上げましたように、戦前との格差等につきましては、戦前よりは縮小していると、このように私は考えているわけでございますが、さらにこういった点につきましては検討してまいらなければならないと、このように考えている次第でございます。
-
○
足鹿覺君 公務員給与の
改定にあたっては、上級者に比し下級者の
改定率を若干高くしておる。これは私はいいことだと思う。これに準じて私は行なうべきだと思うのです。少なくともものごとに英断をもって対処される山中総務長官に、いま私が指摘した問題について、一率方式を、武官の場合においても仮定俸給との格差、さらに上厚下薄を是正する、そういう英断措置を講ぜられる御意思はございませんかどうか、この際大所高所から御答弁を願いたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君)
恩給局長の説明が少し不足だと思いますが、戦後の
恩給制度が出発いたしましたときに、いわゆる将官といわれるような高い地位の
軍人等についての復活のさせ方というものは、これは上を薄くしておるわけであります。したがいまして、兵の階級については伍長ということで扱っておるということでありますから、その意味においては出発のときに下厚上薄という形できておりますので、その後は一律方式をとっておりますが、ただいまのような御指摘の点はやはり検討を加えなければならぬ点だと思っております。
-
○
足鹿覺君 四十三年の三月の
恩給審議会答申以降、政府は毎年
恩給年額の
改定とともに、三年計画で個別問題の
改善措置を行なってきた。本年度はこの三年計画の最終年度であり、答申以降一時期を画すると私は思うのです。それゆえに重視して申し上げておるのでありますが、現行
恩給の問題に対する経緯はおくとして、少なくとも五十四項目にわたる
恩給の懸案事項がある中で、二十六項目を取り上げられたと、しかも最終年次はもうことしで来た。積み残しの問題点はどのように今後措置されるか、問題別に方針と具体的な見解を承りたいが、時間がありませんので、その見通しを資料としていただけますか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは審議会答申の二十六項目については、三カ年間で八、八、十、本年度十項目の実現をもって一応完了いたします。
恩給審議会の答申というものを私たちは金科玉条とはいたしませんが、少なくとも純客観的に結論を出されたものとして、明確な方針を求められたものには一応予算上の答えを出したつもりであります。それに従って法律を提案いたしておるわけでありますが、しかしながら、それについてただいまのような現実論とか、あるいはアップ率と、いろいろの基本的な問題等についてまだ議論が残っておることは私も承知いたしております。これらの問題は、一応政府は
恩給審議会の答申を尊重するというたてまえで、二十六項目の実現をもって政府自身の基本的な姿勢としては終了したと思っておりますけれども、しかし戦後処理というものはやはり疑念のないように最大限の努力をすべき問題であると考えますので、残された問題点のうち幾つかはさらに検討を加えて、結論を出す必要のあるものがあるというふうに考えておりますけれども、
恩給審議会で問題に供された全部をあらためて全部問題に供するという意思はございません。
-
○
足鹿覺君 おそらくそういう御答弁であろうと思いますが、とにかくその内容を検討されて、少なくとも、大まかなあなた方の御所見をきょう聞いておると切りがありませんので、積み残しの分について大体の考え方を、これはきょうでなくてもよろしい、後日でよろしいから御報告願いたい。よろしゅうございますね。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは
局長からはとても資料提出も意見の表明もできない問題でございます。したがって、勝負は八月の予算要求のときまでの間において議論される問題点でございますから、その予算要求においてどのように残された問題点を解決するのかという問題に対して、一応政府側の結論は出すことになりますので、それによってかえさせていただきたいと思います。高度の政治判断を要する事柄かと考えます。
-
○
足鹿覺君 このスライドの問題は当
委員会で何べんも附帯決議をつけておりますが、なかなか問題が解消しておりません。
恩給法二条ノ二は「国民ノ生活水準」ということが最初に出ている。何が国民の生活水準なのか。ここらの用語を今日的にどういうものが基準になるか。私は一ぺんこの時点に立って考えてみなければならぬと考えております。まあそれはそれとして、それを積算の基礎として理論づけるには相当研究を要すると私も思います。今後も十分長官のほうでは御善処をいただくことにいたしまして、一日も早く衆参両院の内閣
委員会の附帯決議の制度化を——私は、先ほどの類型別に検討していくと、こういうことをおっしゃったが、それとあわせてこの制度化だけは、ある制度にはある、ある
年金にはないということでは困るのであります。これはどうしても実現をしてもらわなければならぬ。先ほども長官はみずから進んで積極姿勢をお示しになりましたが、あらためてこの点も衆参両院の一致した当
委員会の満場一致の附帯決議でもありますので、強い意思をもって貫徹していただきたいと思いますので、重ねてひとつ御所見を伺います。
-
○国務大臣(山中
貞則君)
恩給に関する限り私は今年度予算をもって、ルール化という表現を使わせていただきますが、一応そういう基本的な予算要求、そして予算編成の方針は定まったと考えます。しかしながら、これをかりにスライド化の実現であると仮定をいたしますと、これを他の制度にどこまで及ぼしていくのかという問題について、先ほど私が申しました類型別の検討を開始しておるということにつながるわけでありますが、衆参両院の決議は、国家公務員の給与というものを基準にしろと書いてございます。しかし、
恩給法の第二条ノ二では、ただいま、先ほど読まれましたとおり、国民の生活水準、公務員給与、そして物価等の諸事情を勘案しと、こうなっておりますから、したがって私たちは、公務員給与と物価というものを、これを一定の係数をもって採用いたしておるわけでございますが、しかし、国家公務員給与そのものをとって見ましても、これは国家公務員給与の場合においては、公務員給与勧告に示すとおりに、民間の物価を反映した民間給与というものを対象にして、それに対して人事院勧告が行なわれるわけでありますから、その中には物価上昇分は入っておると、こう考えられるわけでありますけれども、先ほどの御質問にもありましたように、年限がずれるではないかという問題から考えますと、ずれないようにしようと思っても、たとえば四十五年のその年度の実績をことしの
恩給の
改定にしろと言われますと、予算編成技術上の問題でありますが、八月に予算要求をいたしますときに四月から出発したばかりの——いまの
改定は五月でありますが、出発したばかりのときでありますから、実績というものをはたしてそれがつかんでいるといえるかどうか。となりますと、やはり最も最近の年次としては四十四年に今回の場合はなるという問題点がございます。したがって、それらに対して物価というものでもって補完していこうということで、公務員給与というものをそのものずばりだけで、附帯決議どおりとりますと、またマイナスの面も出てくるのではないかということも考えて、いまのような政府の方針をとっておるわけでございます。
-
○
足鹿覺君 次に、この公的
年金制度調整連絡会議というものがありますが、
恩給法改正のたび毎回問題となっておる公的
年金制度調整連絡会議の第六十三回会以降における審議の進捗状況を聞きたいのでありますが、これはずいぶんなまけておる、その事態を申し上げたいと思っておりますが、とても時間がありませんから割愛をいたします。文書をもって何年何月にどのような問題を議題に供し、どのような結果を来たして今日に至っておるか。これは非常に怠慢のそしりを受けざるを得ない運営になっておる。これは長官ひとつ活を入れてください。私は無責任なことは申し上げません。この連絡調整会議というものはほんとうの責任を果たしておらない。一言だけ申し上げておきますが、その資料を御提示を願いたい。いつまでたってもらちがあかないならば、これは改組して活を入れていくべきだと私は思っております。こういうものを隠れみのに使っておくことはよろしくないと思う。長官自体のいわゆる政治責任にも帰することだと思う。この点だけを申し上げておきたいと思います。御善処を御要望申し上げたい。内容を聞いては時間がありませんから、省略をいたします。十分御善処をいただきたい、御所見がありましたら……。
-
○国務大臣(山中
貞則君) あります。それは今日までのような運営をしていたのでは、これは財政当局の基本的な問題点は、先ほど大蔵大臣が言いましたような問題点があるにしても、制度そのものが平行線の議論をたどっていることが多い。そのままで推移しておるということで、所管をいたしております審
議室長と相談をいたしまして、労災を加えれば四つの範疇別に大別をして、その部会で精力的に詰めていくという作業を開始させましたから、相当熱心にやっておりますので、私としては私自身の考え方に沿って運営というものが相当意欲的になされつつあると見ておるのであります。しかし、それが結論を出しました場合に、はたしてそれが政府としてのめる結論になるかどうか。大蔵大臣の先ほどの意見もありましたとおりに、よほど高度な判断を持って、それの実現に踏み出すためには、大きな閣僚間の協議会等も数回以上持たなければ結論は出ないのではないかというほどのむずかしい問題であろうと判断しておるところであります。
-
○
足鹿覺君 ただいま長官のおっしゃいますように、これは大体総理の御出席を要求してやはり問題にしなければならぬ問題だとも思っておりますが、これはきょうのことにはなりそうもありませんから、ただいまの長官の御答弁で一応私はきょうのところはとどめておきますが、次に個別問題について伺います。どれを積み残し、どれを今後取り上げるかということは、今後の問題としてあとで承ることにいたしまして、その個別問題十項目ありますが、旧
軍人等に対する一時
恩給の支給ということがありますが、一時
恩給とは一体何ですか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 一時
恩給とは、公務員が普通
恩給年限に達せずに退職し、三年以上の在職年限がある場合において給付する一
時金でございます。
-
○
足鹿覺君 今回の措置により一時
恩給を給付されることとなる者の対象人員及び経費並びに今回の措置から除外される下士官及び兵の数はどのようになっておりますか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 今回措置しようとします一時
恩給の該当者は約三十三万人でございます。今回の措置から漏れると申しますか、処遇漏れになる対象者は、下士官以上の
軍人でありまして三年未満の在職年の者、それから兵におきまして七年以上の在職年につきましてはすでに処置しておりますから、七年未満の在職年の者でございます。
-
○
足鹿覺君 今回の引き続く実在職年三年以上七年未満の下士官以上の旧
軍人で、下士官としての在職一年以上という条件については、非常に不合理だと思う。従軍地域による陸海軍別による終戦後の進級関係の不均衡等の事実があったことから、階級区分を撤廃すべきだと私は思う。一例をあげまして、兵の場合には——応召者の場合ですよ、応召して出る、また一勝帰休が認められる、やれやれと思っているとまた出てくるということで、切れ切れになって、昨年私とおない年の鳥取県の日野郡江府町柿谷部落の清水という人が、十一年ばかりの間が切れておりますためについにつなげない、何としても
恩給の受給権者になれない。いろいろ努力をしてやりましたが、法の立場上、この人の期待にこたえることができませんでした。しかるにこのような人は今回除外された。しかもその人は、それだけの努力をしてやったことに対して、もらえなくてもここまでやっていただいたということを言って、涙を流して喜んでくれましたが、その一月後には死んでしまいました。このような気の毒な兵の心情を察するときに、私どもは、巷間社会党が
軍人恩給に反対しておると宣伝をするものがありますが、私どもは決して反対はしておりません。上原下薄、このような赤紙一枚で応召を受けた兵に対しては一時
恩給すらももらえない、このような状態を許すわけにはならぬ。これを当時から主張し続けて今日に至っておることは御承知のとおりである。実在職年数の通算というものは、兵の場合はきわめてむずかしいのです、出たり入ったりいたしますから。結局、一時
恩給ももらえない、
恩給もつかない、そのうちにだんだんこういう人たちは年をとって死んでいきます。このようなものに対する救済措置と申しますか、何らかの措置が私はとられてよろしいと思う。この点総務長官いかがでしょうか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 先ほどお答えいたしましたように、一時
恩給というのは引き続く在職について給与をされておるわけでございますが、これは戦前の制度においてもそのとおりでございます。すなわち、こま切れの在職年の場合におきましては、そのそれぞれが三年以上あれば別でございますけれども、全部通算いたしまして三年以上になりましても、引き続いていない場合におきましては一時
恩給を給することができないのは、戦前においてもそのとおりでございます。そうしてこのたびの措置は、いわゆる
恩給審議会の答申の措置に従ったわけでございまして、
恩給審議会の答申におきましては、過去において一時
恩給が給与された経緯を考慮してと、こう書いてございますので、下士官としての一年以上の在職年及び引き続く在職年が三年以上であるということをそのまま戦前の制度として、
恩給審議会の答申として答申されたわけでございまして、それを実現したわけでございます。
-
○
足鹿覺君 先ほど山中長官は、必ずしも
恩給審議会の答申だからといって、それを全部採用するかしないかは別だという見解でありました。それと逆に、
恩給審議会の答申がなくても必要のあることはやらなければならぬ、これは論理の一貫性であろうと思う、政治家としてですね。現役応召、再応召の実在職年数を通算して、数年に及ぶ者について対象となっていない、こういう通算のやり方に対しては是正の必要があるということを私は申し上げておるのでございます。このような点について、特に今度の場合、適用除外されておる兵についても文官の一時
恩給、受給資格要件在職三年以上十七年未満との均衡を考慮し、一時
恩給受給要件を改めるべきである。今後兵についても検討されますかどうか。
私は、遺族会が年々大会を開き、
軍人恩給の問題についてしばしば要請を受けております。この兵の戦没者を持つ家庭の気の毒な心情を巧みに利用して票田の開発に使ったり、あるいはなすべきことを怠りながら、徐々にこれを少しずつ少しずつ陳情によって直すというようなことがもしあったとするならば、私は当を得ておらないと思う。おそらくそういうことはないと思いますが、そういう意味からも、この問題については兵について検討する、思い切った御答弁をいただきたい。この点について相当の財源を必要とするならば、大蔵大臣の御所見もあらためてあわせて承っておきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 私が先ほど申しました
恩給審議会の答申に対する政府の姿勢というのは、
恩給審議会が措置すべきであるといわれたこと、指摘されたことについては二十六項目を全部実現をいたしましたと申し上げたわけです。それ以外に問題に供せられたもの、そしてその中でやる必要はない、あるいはそういうものはやらないでよろしいというようなはっきりしたもの等は、今後幾ら議論をしてもやる気はありませんということを含めて、問題に供されたものをそのまま実現するとは限りませんということを申し上げました。そういう意味でございますが、そこでその兵の問題については、これは心情としてはおっしゃるとおりであります。しかしながら、戦前においてすら存在しなかった制度ということをここで新しくつくるという問題でありますから、その問題については直ちにこの質疑応答の中で確答をいたしかねますが、財源としてはおおむね二百億を要すると考えます。
-
○
足鹿覺君 個別問題の次に簡潔に承りたい。六十三国会の第三回本
委員会において附帯決議を行なっております。衆議院もおくればせながら、私どもの昨年の決議を本年は附帯決議第二項ですか、「旧満洲拓殖公社等の在外国策機関及び在外国策会社の職員期間については、外国特殊法人及び外国特殊機関の職員期間として、公務員期間との通算措置につき検討を加えること。」云々という決議をいたしております。そこで伺いますが、元満州拓殖公社在職期間の
恩給表への通算期間について、どのように考えられておりますか。聞くところによれば、対象人員はあまり多くないということを聞いております。特定郵便
局長の
昭和二十二年十二月三十一日時点の在職期間の
恩給表への二分の一通算を全年通算に改めると、そういう経過もございます。この点は十分御考慮をいただけるものだと思いますが、ここに私の手元にあります資料は古いものでありますが、
昭和三十九年九月九日、農林事務次官から
総理府恩給局長あてに、「旧満州国内における農産公社、林産公社および拓殖公社に勤務した職員に対する
恩給通算に関する要望について」という古い文書があります。これにもその要旨は載っておりますが、要するに、この永年の要望であります満鉄関係は、昨年の附帯決議の趣旨が若干取り入れられましたことは、私どもも政府の意のあるところを了といたしますが、これとてもまだ問題は残っております。
そこで満拓公社の問題を一例にして申し上げますと、
昭和十二年、日満両国政府間の条約により設立されているもので、日満両国政府が行なうべき満州開拓事業を代行したものであるが、その困難な条件の中で幾多の犠牲者を出すという実情にあったといわれておる。これらの性格並びに実情から見て当然に考慮されるべきものだと思います。長官は、
恩給答申において是正すべしとした二十六項目の柱と残された個別問題について、「それが真実である、あるいはその声に耳を傾けるべきであるという問題等については、国民の同意を得られる分野においてさらに検討してみたい」と、先般も述べられました。これは本年の四月二十八日の衆議院の内閣
委員会における答弁でありますが、本問題は、衆議院の附帯決議もあり、昨年の附帯決議もございますが、すみやかに来年度においては実施をしていただきたいと考えますが、いかがでありますか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 旧満州拓殖公社の問題は、先ほどの読み上げられました、古い文書と言われましたけれども、それでも林産公社、農産公社等が出てきておるはずでありますが、数十にのぼるそのような国策会社と満州国のみにおける会社と見られるものとの区分、分別のはなはだしにくいものが存在しております。そこで旧満州国のいろいろの会計検査の対象になったもの、監察と申しますか、それらのもの等を基準にしたらどこまでそれが対象に入るか、その点の検討をいまいたさしておりますが、旧満拓だけについて、ここで取り入れる、来年度予算には要求しますということにはちょっと当面できませんけれども、ただいまそのようなボーダーラインのものについて、いかなる基準をもってそれを処理したならばどこまでいけるのかという作業はいたしております。
-
○
足鹿覺君 ここに、私の手元にあります、ソ連長期抑留者の実相というものがありますが、この人々に対しましても検討を、抑留期間の問題等の年限算入等について御検討になっておりますかどうか。とにかく幾多の事例があります。十分に御検討をいただきまして、これら自分の意思に反してこのような実態になった気の毒な人々に対するあたたかい措置を講じていただきたいというのが私の心境であります。十分御趣旨をくんでいただけるかどうか、伺います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) そのような趣旨をくんでおりますから、一応問題点は終了したと思っております時点においても、満拓も含めて附帯決議もこれあり、その上にボーダーライン層の公社等についてどこまで適用が可能であるか、そのようなことを検討しておるということでございます。
-
○
足鹿覺君 運輸大臣にこの際伺いますが、満鉄職員の通算問題は、一応今回の改正で幾ぶん取り上げていただいたことはけっこうだと思いますが、もっと経過年数の制限を緩和される御意思はございませんか、ちょっといまのではきつ過ぎると思うのですが。
-
○国務大臣(
橋本登美三郎君) お気の毒でありますので、その点につきましてもいろいろ検討いたしましたが、他の関係各省との関係もありまして、なお検討中であります。
-
○
足鹿覺君 引き揚げ後の経過年数の制限緩和については、その人々は元外国政府等職員であった者の共済
年金通算についての「引揚後の経過年数の制限」緩和措置が講じられたということに対して非常に感謝しておる。しかし、その運用方針において、引き揚げ後、他に就職することなく一年以内に公務員に就職した者に限り適用されることになっておるので困る。
元満鉄職員のこの該当者の実情調査を行なった結果は、国家公務員で二割、地方公務員で三割、国鉄職員で七割程度の者しか救済されず、その他多数の者が通算から除外をされており、せっかくの法律改正も意義を大半失っておるのが実情でありますと、悲痛な現実を述べておる。しかも、
昭和二十一年、二十二年ころの国鉄の採用事務の実情を見ると、募集に応じて書類を提出しても、選考試験まで三カ月ないし六カ月を要する。合格通知を受けて現実に採用、就職まで六カ月を要するというのが少なくないと言っております。こういう人々の切なる要望はもう少し御緩和になってしかるべきではないか。同じやられるならば、このような実情をくんで緩和されたいと思います。少なくとも来年度、いまこの人々の要望が入れられるように御善処いただきたいと思いますが、御所信はいかがですか。
-
○国務大臣(
橋本登美三郎君) 数としてはそう大きな数ではございませんので、経済上の問題は別の問題でありますが、その就職関係の経緯からかんがみまして、はたしてそれまで救済することが妥当かどうかという問題、しかし、いまおっしゃったような当時の就職状況のこともあるようであります。その点につきましてはお気の毒でもありますからして、十分従来も努力してまいりましたが、その点今後とも関係省ともよく打ち合わせて努力をいたしたいと思っております。
-
○
足鹿覺君 次に、
恩給関係はひとまず——もう時間がありませんからちょっと打ち切りまして、後日のことにいたします。
公共企業体中の一番大きな対象になっております
年金団体は国鉄従業員だろうと思います。国鉄の赤字、
年金額の引き上げに関連して運輸大臣にお尋ねをいたしますが、赤字はまっ先に米と国鉄と健保だなどと新聞が書いてありますが、それぞれみな事情があるんです。四十六年度は八百六十四億といわれる。民間の会社なら倒産だなどといわれておるが、四十六年度予算を見ても、国鉄財政補助として三百十三億しか出ていない。累積赤字は千百八十億といわれ、四十七年度からやっと抜本的な再建策を立てるとはいいながら、こういう財政状態のときに
年金を引き上げることに対して一部から異論も出ておると聞いておるが、国鉄の財政赤字と
年金の引き上げとの問題、私は別だと思う。なぜなら、国鉄職員のいわゆる退職後における生活の保障という意味において、国鉄の赤字と制度の問題とは別であります。この問題に対してどう対処されますか、運輸大臣の御所見を承っておきたい。
-
○
政府委員(
秋富公正君) 御指摘のとおり、確かに国鉄の赤字問題と
年金の問題は一応別個の問題として考えられますが、一方公企体という経済の立場から見ますと、国鉄はやはり国に準ずるものでございまして、この点につきましてはやはり国鉄の財政再建という面から総合的になお判断していきたい、検討していきたいと思っております。
-
○
足鹿覺君 運輸大臣の御所見を承りたいのでありますが、いまの事務当局の答弁では迫力がないと思われる。独立採算をとって運賃収入にたよっており、しかも、かなりの赤字をかかえておる国鉄に何らかの財政補助をして、
年金受給者の不安を解消するのが民生の安定であり、あたたかい政治だと私は思うのです。したがって、これは運輸大臣の政治責任として解決をなされねばならぬと思う。共済
年金関係で国の補助が一文もないのは
公共企業体職員等共済組合だけであります。まことに不合理千万なことで、これは大蔵大臣に伺いたいと思いますが、いろいろの従来の経過から見て、一ぺんには改正できないといたしましても、赤字をかかえた団体だからやることはまかりならぬなどということは逆なんですね。この点は官房長官もつとめられた大ものの運輸大臣としての責任において解決を願いたいと思うのです。どうですか。
-
○国務大臣(
橋本登美三郎君) お話のように、国鉄の赤字問題とは直接関係はいたしておりませんので、方向としては、おっしゃるとおりであります。のみならず、国鉄の再建問題は、これを放置しておくべき性質のものでありません。いずれにせよ、国の関係機関として、これが再建は当然行なわなければなりませんので、そうした関係従業員の
年金の支給に関する問題に関しましても、当然それは全体的な解決の中において積極的にこれは片づけていきたい、かように考えております。
-
○
足鹿覺君 ぜひひとつ運輸大臣の在職中に手をつけてもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
法案の内容の点について、国家公務員問題でありますが、あとで国家公務員問題をもっとたくさんやるのでありますけれども、大蔵大臣がおられませんし、法案の内容でありますから一点だけ伺っておきますが、
年金の増額以外の関係で、法案内容について、退職一
時金の延長に関連して問題があると思うのです。今回女子職員のみ五年間延長しておられます。男子についてはすでに四十四年十月三十日で選択の余地は残されておらないはずであります。切れておる。男子についても要望はあろうかと思いますが、一方、国民皆
年金の立場から退職一
時金の検討の余地もあろうかと思いますし、また、この点についていかに検討になっておるか。女子について延長を認め、男子についての措置はどうなるのでありますか。この点を明らかにしていただきたい。かように思います。どこから御答弁を承ったらいいですか。大蔵大臣がなかなかこないようなので、時間を空費してもしかたがない。大蔵省、答弁してください。
-
○
政府委員(橋口収君) ただいまお尋ねがございました女子の一
時金の問題でございますが、これは御指摘のございましたように、今回法律的な措置をいたしておりますが、これは厚生
年金法の改正を受けての措置でございまして、男子につきましてもお尋ねがございました点は、率直に申しまして、共済としては検討をいたしておりません。ただ一
時金と通算退職
年金との関係等につきましては、御指摘の問題等もございますので、これは将来の問題としてよく検討いたしたいと思っております。
-
-
○
政府委員(橋口収君) 率直に申しまして、
足鹿委員からのお尋ねをいただきまして、問題としての意識を強く持ったわけでもございますので、どういう問題がございますか、まあ老齢退職、職を離れる場合が、継続してあと給付を受ける長期
年金と一時的に退職一
時金としてもらうものとのつり合いをどうするか。そのほかに減額退職
年金という制度もございます。それらで総合いたしまして、退職
年金自体の問題といたしまして、共済制度全体の問題としてよく検討いたしたいと思います。
-
○
足鹿覺君 厚生大臣がお見えになっておるようでありますので伺いますが、時間もありませんし、簡潔に御答弁いただきたい。
ILO百二号は労働者に対する社会保障の充実の問題でありますが、わが国は批准がまだだと思っておりますが、私の考え違うでしょうか。
-
○国務大臣(内田常雄君) 批准がされていないはずでございます。
-
-
○国務大臣(内田常雄君) まあ不肖にいたしまして、私はあまり詳しく存じませんけれども、しかし今日、日本は社会福祉のための給付条約で掲げられている幾つかの要素につきましては、おおむねそのレベルに達しているはずでございまして、したがって、他の事情がなければ私は批准をし得る段階にあるものと考えております。そのある他の条件がまだ満たされておらないということにつきましては、いろいろの事情があるようでございますので、担当の
政府委員から答えさせていただきたいと思います。
-
○
足鹿覺君 簡単に、資料で答弁ができるなら資料で……。
-
○
政府委員(北川力夫君) お尋ねの百二号条約につきましては、先生も御承知のように、老齢、遺族、廃疾、疾病その他の九部門につきまして、たしかいずれかの三部門についての基準に合致しておればこれを批准するというようなかっこうにミニマムなスタンダードはなっておるわけでございます。したがいまして、本件につきましては、私どももできるだけ早い機会に全体を検討してというふうなことでやってまいったわけでございますけれども、何ぶんにもまだ基準に合致していない面もございまするし、特に今後長期給付、それから短期給付を含みまして、非常に今後の社会保障全体の計画の重要な段階でもございますので、今後の進展を考えながらこの百二号条約の批准について十分関係各省とも協議の上検討してまいりたい、かように考えております。
-
○
足鹿覺君 どうもその理由があいまいでありますが、少なくとも自由国家群の中でGNPが世界第二位、経済大国、これがやがて軍事大国になるんではないかと外国では心配をする向きがありますが、そのような経済大国がILO百二号の批准がいまだに実現していない理由としては、私はただいまの御答弁では納得まいりません。総理の御出席を求めて伺いたいところでありますが、厚生大臣はこれに対して、どのような条件が満たされた時期において批准をなさる御所存でありますか。いわゆるいまここで問題になっておるのは、全国六百万に余る老人にいこいと安心を与えよ、これはあなた方自民党の選挙スローガンではありませんか。その問題でわれわれは
恩給法を論議したり、旧令共済の問題でいま論議しているわけです。それが実態なんです。したがって、厚生大臣のILO百二号の問題に対する御所見を、私はもっと前向きの御姿勢を承らなければ……。何がないのですか。どういう条件が満たされれば批准なさるのか、批准の見通しはどうなのか、もう少し承りたい。
-
○国務大臣(内田常雄君) 私は、社会福祉の充実の観点におきましては、国際的な現況におくれないような状況は、日本におきましても実現さしたいということで強い情熱を持つものでございますが、いまのILO百二号条約における幾つか、たしか九つかの社会福祉の面におきまして、わが国がその水準として達しておるものは全部ではないようでございます。条約を批准する最低の幾つかの要素につきましては、今日それに達しておりますけれども、その最低のところで批准ということにすべり込むことにつきましては、これは、さらにその他の点につきましても、国際的の条約の水準に達し得る可能性を見きわめた上で堂々と批准することのほうがいいのではないかと考える面もございますので、いま最低条件を満たしておりますけれども、その先の見通しをさらにつけました上で、前向きで私は処理いたしてまいりたいと考えております。
-
○
足鹿覺君 厚生大臣、憲法第二十五条の精神にのっとって、意義づけられて、われわれは
恩給法や
年金制度や旧令共済や公共企業体
年金を論じておるんです。老後のいこいと安心のない経済大国なんて許せません。いただけません。どういう条件が足らないんですか、最低条件が、具体的におっしゃい。
-
○
政府委員(北川力夫君) ただいま申し上げましたように、また、先生も御指摘のように、九部門中で失業、老齢、業務災害、それから廃疾、遺族のうちの一部門以上を含む三部門がございますれば、最低限これは批准できる条件があるわけでございます。で、いま現在の段階でまだ条件を充当していないというふうに考えられておりますのは、御承知のいわゆる出産給付についての現物給付というものが現段階ではまだこういう基準には合致をしていないわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、この一般的なILOの最低基準の規定から申しますると、一応はわが国は現段階では最低基準に達しておるわけでございますから、そういう意味合いでこれ自体を考えてまいりますならば、いま大臣も申し上げましたように、前向きに考えてまいるということでございますけれども、ただ今後のそれ以外のいろいろ社会保障に関する九部門の関係もございまして、そういう点の今後の状態も十分見きわめた上で、早急に前向きな検討をいたしたいと、こういう意味合いでございますので、決してこれを否定するようなことではございません。十分前向きに検討いたしたい、こういうことでございます。
-
○
足鹿覺君 否定したらあんたたちの存在意義がない。
最近老人対策について、特に人口の老齢化に関連して、七〇年代に解決をされなければならない課題の一つは老人問題です。老人対策のみならず、国民の保健衛生、老後の生活保障、児童対策、災害補償、失業対策、環境整備等々、数えあげれば国民生活に密着した保護政策に対する議論が種々な形で種々な層でその整備拡充を要望しておることは、厚生大臣もよく御存じのとおりだと思う。これが整わないということは、国政の無策とわれわれは受けとめざるを得ない。国の施策として、国民の生存権が憲法によって保障されている以上、社会的に国民生活に不安を生ずる問題に関して一定の保障を与える、いわゆる社会保障のあり方、あるいは施策が十分でないためにこうした議論が生じておると私は思うのでありますが、公的
年金というものの一つまり老人対策なんです、これは一口に言うと。このものの実態を見ましても、国民の老後及び働き手の死亡によって脅かされる生活保障のために設置された制度であることは言うまでもありませんが、これが主として財政上の理由から生じて、全く無意味な額の
年金が支給されておる。一九七一年四月二十六日、日本労働組合総評議会が行なった定年退職者の生活実態調査というものの中間報告の要旨だけを申し上げますと、現在日本の老齢者は六十歳以上で千六十九万五千人、総人口比で一〇・四%となっておる。
昭和四十二年の調査では、生活保護を受けておる六十五歳以上の老人が二十四万人もおると報告されておる。このため老齢者の自殺は、高度成長、世界第二位の繁栄の陰で、依然として女子は世界第二位、男子は第五位という不名誉なランクにあることを肝に銘ぜられるべきではありませんか。資料はたくさんありますが、時間がありませんから省略いたします。
このような立場から、私は現在のあなた方の想像の及ばないようなことを一つ例にとって申し上げてみましょう。国民
年金、福祉
年金というものがありますが、これは一定年齢以上のための国民
年金制度ができたにもかかわらず、当時加入できなかった人のために特に設けられた制度で、いままで月額二千円であったものが、本年度の予算で二千三百円になったにすぎない。たった三百円だけ上がったのですよ。大臣、笑いごとではありませんよ。ところが拠出制の公的
年金制度にあって、今日まで年額一万九千円、月額千六百円前後、一日五十円の
年金しか支給していない制度もあるとあります。これは著しい事例でありますが、少なくとも総評その他の資料によりますと、月、老人の一世帯の生計費は四万円なければ最小限やっていけない。そういう状態の中にあって、まことに老人対策の貧困を如実にあらわしておるものだと言わざるを得ません。それらのことがILO百二号の適用もいまだ進まない一つの原因にもなっておると思うのであります。
私が思うには、第一に、社会保障に対する基本的な精神というか、思想がない。一貫したものがない。国家として統一総合された基本路線が確立されておらないというところに問題があると思う。厚生省が本来は社会保障省的な性格を帯びるべきものだと私は考えております。こういうにもかかわらず、今日なお、ただいままで指摘したような事態を生じておる、これはまことに遺憾と言わざるを得ません。
第二に、わが国の社会保障施策の貧困の最大の原因は、社会保障制度を統一的に処理する所管官庁が確立しておらないということなんです。省はそれらしく位置づけられておるように先ほど申し上げましたが、各種の
共済組合も所管は所管各省別であり、労働災害は労働省、
恩給は総理府。社会保障全般を総合的に調整管理運営するたとえば社会保険省とでも言うべきものが、主務官庁の機関があっても私は悪くはないと思う。これが一つの今日の老後保障がばらばらになり、その程度が低く、今日を招来しておると思うのです。
いま一つは、
恩給関係の改正について私が調査してみたところによりますと、
年金の額の
改善についてはその精神規定が八つの公的
年金と
恩給法とにばらばらに規定されておる。その内容は全く同一のものであるわけであります。このような不統一、不経済、不合理な措置は他に類例がないと思います。これこそまさに根本的な欠陥だと申し上げて差しつかえありません。特に大蔵大臣がおいでになったから申し上げますが、およそ、国家として社会保障のために投入すべき財源は国民からの浄財である。しかるに、当
委員会における質問をせんじ詰めると、兵に対する一時
恩給というものは、御承知のようにこのたび除外されておる。山中総務長官のお話によれば、二百億円の財源があればできるとおっしゃる。問題は大蔵省として財政上の裏づけがなされないということにあるらしいんです。財源問題です。まず何よりも優先してこのような問題は解決されなければならぬと思う。具体的な事例をここで繰り返す余裕がありません、時間がまいりましたから申し上げませんが、政府の現在の機構の最大の欠陥は、私はこのような何でも大蔵省に協議しなければ、その承認が得られなければ、どんなに必要なことでもだめだ、こういうところに問題のネックがあるように思います。当面の急務は、本国会で、いわゆる官僚独善に通じる、各部の改廃は政省令でできるというような、国会の審議権を縮小するような前に、このような社会保障、老人にいこいと安心を与える問題すらばらばらに放置し、その財政的措置もろくに講じないでおることにあると思う。この行政運営をどのように再編成されるか、私はこれは総理に伺いたかったのでありますが、大蔵省がそれを握り、また、大蔵省自体の中に所管しておる
年金もあるんですよ。監督し財政権を握るものが、自分みずからが
年金制度を管掌しておる、こういう
年金制度も大臣あるんですよ。これは矛盾とお考えになりませんか。少なくとも私はこれは重大な問題でありますから、総理に聞きたいが、大蔵省としても反省をされ、たとえば、各省の定めた方針を、これを総理府なり別な機構でチェックをして、国会が承認をしたものに対していわゆる財務担当省が財源調達に当たるといったことも、私は考えてみる必要があるのではないか。社会保健省の問題も、あなたがおいでになる前に申し上げましたが、とにかく老人にいこいと安心をというようなスローガンで、今度の参議院選挙あるいは幾多の選挙にあなた方は国民に公約されておりますが、このような老人にいこいと安心を与えるに足らない実態を、私は今日の
委員会を通じて明らかにし、今後これと取り組む政府の行政運営、財源措置、ILO百二号の批准の問題をいま厚生大臣に伺っておるわけであります。大蔵大臣としては、あなたはポスト
佐藤の有力なメンバーの一人、どうですか、うんちくのあるところをひとつ伺いたい。
-
○国務大臣(福田赳夫君) いろいろ貴重な御意見でございますが、戦後のわが国の国づくり、これを考えてみますると、私は社会資本の面と社会保障の面、これが非常に立ちおくれている、こういうふうに感じます。国づくりという見地から見ますると、この二つにやはり焦点を当てなければならぬと、こういうふうに考え、そういう方向で大蔵省としても努力をしてきておるのです。社会資本の問題、これは本
委員会の問題じゃございませんが、これはかなり進んできております。それから社会保障の問題にいたしましても、
昭和三十年のころは、私どもは何とかおくれた社会保障の立ちおくれを取り戻さなければならぬ、こういうので、社会保障予算一千億ということを目ざしまして、ずいぶん努力をいたしたわけです。それが今日幾らになっておるかというと、一兆円をはるかにこえておると、こういうような状態でありまして、かなりこの努力のあとは評価していただいて差しつかえないのではあるまいか、こういうふうに考えます。
とにかく、社会資本の問題にいたしましても、あるいは社会保障の問題にいたしましても、戦前は少し極端なことばを用いますれば、ほとんど重要視されなかった、こういうようなことが今日押せ押せとなってわれわれの前に大きくふさがり、立ち阻んでおるわけでございますが、この二つの問題の立ちおくれ、こういう問題につきましては、これは政府としても、これまで申し上げているとおり、これはほんとうに重点を置いて国の整えというものを進めていかなければならぬ、こういうふうに考えるのです。幸いにしてわが国はとにかく経済の成長発展の勢いが他の国に比べると非常に高い、速度が早い。そういうようなことで、財政の規模もかなりこれを拡大し得る状態に、ありますので、そういう経済状態、財政状態というものを背景といたしまして、この二つの問題は特に重点を置いて取り組みますれば、このおくれの取り戻し、これは私はそう時間がかからないで達成できるのじゃないか、そういうふうに思いますが、とにかく戦前の状態がみすぼらしいような状態でありましたものですから、今日この時点では先進諸国に比べますると、この二つの問題が非常な見劣りがする現状でございます。しかし今後力を入れますれば、このみすばらしい状態というものはそう遠からざる時期に
改善できる、そういう方向で努力をいたしたい、かように考えております。
-
○
足鹿覺君
国家公務員共済関係と旧令共済関係がどうも落ちちゃったわけですが、先ほどの今度の
恩給改定で、文官は二十七万、武官が約二百六十万弱です。ところが、下士官以下は全部一時
恩給ももらえない。上厚下薄なんです。兵は大臣の八分の一しかない、一律
改定方式をとっておりますので、この兵に一時
恩給を出しなさいと、こういうことを言ったら、山中さんは、なかなか二百億の財源が要ると、こういうわけなんです。あの戦争のときに、みずから職業
軍人になった諸君と、赤紙一枚で徴兵をされ、平和な家業を営んでおった者が応召、そうして外地に行き、また一定のときに帰郷する、また徴兵を受ける、また戻るというようなことで、受給資格もなしに死んでしまう。こういう無慈悲な制度を私は許すわけにはまいりません。上厚下薄もあまりにもひど過ぎる。その階層別人員と給与額の問題は資料としていただくことになりましたが、この二百億の問題は、今度の
改定の一番私は急所だと思うのですが、今後どう対処されますか。
-
○国務大臣(福田赳夫君) その問題につきましては、衆議院のほうでも御議論がありまして、そうして衆議院内閣
委員会ではこれを検討すべきである、こういう御決議をいただいているのです。それに対しまして検討いたしますと、こういうお答えを申し上げているわけでございますが、これは旧憲法下における状態、これは国民皆兵ということだったことは申し上げるまでもないわけでございますが、その皆兵下における兵の処遇をどういうふうにするかということは、これはなかなか考えてみるとむずかしい問題だろうと思うのです。で、現に
恩給審議会におきましても、そういう問題が確かにある。あるにはあるが、これはなかなか一時
恩給というようなものの対象とすることはむずかしいのではないかというような趣旨の答申をいたしております。そのくらいむずかしい問題なんです。で、検討するというふうには申し上げておりますけれども、さあ、現実の問題となって、これをどういうふうに処理していくか、まだ御決議をいただいたばかりでございまして、まだ検討も始まっておらぬということでございますので、お答えはこの場ではできませんけれども、とにかく検討はしてみます。検討はしてみますけれども、これは制度的に見ましても、なかなか私はむずかしい問題である、財源ばかりの問題ではない、こういうふうにいま考えていることをひとつ御承知を願いたい、かように存じます。
-
○
足鹿覺君 時間も来ましたので、最後に伺いますが、いまの兵の問題は前向きで次の機会には一律
改定方式、一時
恩給の受給資格に兵を加える、この問題についてとくと御検討願いたい、御善処願いたい、強く要請いたします。
最後に、先ほども申し上げましたが、健康保険は厚生省、日雇労働者健康保険はこれは厚生省、船員保険は厚生省、
国家公務員共済組合は大蔵省主計局、地方公務員
共済組合は自治省、公共企業体等
共済組合は大蔵省、運輸省、郵政省、私立学校
共済組合は文部省、国民健康保険は厚生省、今度できた農林
年金は農林省、農林漁業団体職員
共済組合は農林省、こういうふうに各省に、厚生、大蔵、自治、郵政、文部、農林と分かれている。しかも、
国家公務員共済組合は大蔵省がみずから握っておられる、みずから予算を左右される。私は行政のあり方としておかしい。他の団体を見ましても、補助が出ているものが、国庫負担のあるものが、
国家公務員共済組合には国庫負担の給付費はなし、地方公務員もなし、公共企業体
共済組合もなし、私立学校
共済組合もない。あるものはある。しかも、私は衆議院当時にあなたに追及をしてみましても、一五%のものもあれば一六%のものもある。ないものもある、二〇%のものもある。私は、このような国が補助するからには、その補助が制度に常に正当に寄与するものでなければならないと思う。この点で私は従来あなたにもずいぶん強く追及をしてまいりましたが、いわゆるつかみ金的に調整金をあなた方は出しておられる。これは過去五カ年間積み立てまして、組合員やその特殊法人で積み立てておくけれども、それが何に使われていいのかわからない。利息も、他に転用してはいけない、こういうきびしい大蔵省は運用をしていらっしゃる。一体こういうことでは、せっかくの調整金が死に金になる。これは定率化なさい、定率化なさいということをしばしば私は言っている。一応定率化すべきである。そして当該団体が安心してその運営費の中に繰り入れできるようにすべきではありませんか。なぜあなた方はなさらぬのか、私はその理由がわからない。いまも国鉄関係の公企体の
年金問題で運輸大臣にもお尋ねをいたしましたが、このような八つ、九つの省へまたがるような老後保障の所管官庁が分かれておるというようなことでは、私は今後の老人対策というものがスムーズにいくはずはない。これを大蔵財政当局としては、真剣にお考えになる必要があろうと思います。これに今後どう対処されますか、この点を最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思いますので、誠意のある、具体性のある御答弁をわずらわしたい。
-
○国務大臣(福田赳夫君)
足鹿さんから、いま老後保障諸制度の所管官庁が多岐にわたり過ぎておると、こういう御指摘でございますが、これらの制度はそれぞれ沿革があって、そういうふうに多岐になってきておるわけであります。また沿革の裏にはそれぞれそういうふうな仕組みになったほうが便利であると、こういうふうな理由もあるわけであります。しかし、これらの諸制度の間に均衡を失するというようなことがあれば、これは考えなければならぬと、こういうふうに思いますが、いま財政当局としましては、これらばらばらに分かれておる諸制度ではございまするけれども、その間に均衡を失することがないようにということにつきましては、最大限の注意を払ってやってきておるわけであります。
それから、大蔵省が
共済組合の関係の仕事を管理する、これは矛盾をいたしておらぬかというお話でございますが、大蔵省は大蔵省としての本来の仕事があります。同時に、大蔵省は国家財政統括官庁としての役目、つまり大蔵省は二重性格なんです。予算をどういうふうに編成するかといいますれば、所管官庁としての大蔵大臣福田赳夫が国家財政統括官庁たる福田赳夫に要求いたしまして、そして予算はそこで査定があり、成立するというような状態でありますので、
共済組合の問題もそういうふうに理論的にははっきりこれを割り切って考えておるのであります。同じ財政統括官庁が仕事をやっておるというにいたしましても、私は一向理論的にも矛盾もなく、また、実際問題としても、
共済組合のこれが不利な待遇を受けるというようなことは、これはいたさせません。が、しかし、いろいろこれらの老後保障諸問題はむずかしい問題でありますので、なお、私どもといたしましても勉強していきたい、かように考えます。
-
○
足鹿覺君 ただいまの大蔵大臣の御答弁はまことに不十分な御答弁で、私は満足することはできません。本来ならば、総理の出席を要求して、もっと総括的な国政を主宰する人の所見をただしたいと思いますが、また別の機会もあろうと思います。他の人々との約束の時間もありますので、私はまだたくさんありますが、本日はこの程度で質問を終わります。よく御検討願いたいと思います。
-
○長屋茂君 だいぶ時間の関係もございますし、また、先ほどからの
足鹿委員の御質問に対するお答えの中から理解できた点もございますので、一言だけ、私が考えまして、今後の基本的問題と、こういうように存じておることにつきまして、山中長官にお尋ねいたしたいんでございます。
で、先ほどもお話が出ましたように、このたびの
恩給審議会の答申につきまして、いわゆる調整規定の運用と、それから例の二十六項目、これにつきましては誠心誠意、
恩給審議会の答申の御趣旨を御尊重になりまして、そうして着々これを実現されたために、この三カ年間におきまして
恩給が大きく面目を改めたということができたわけでございまするが、中につきましても、調整規定の問題でございまするが、今日なお問題点を残しておるわけでございますけれども、少なくも現在までにあげられました成果につきましては、私十八年以上この運動をやってきたわけでございまするが、それにつきましても、山中長官ならではといった感じを強くする次第でございます。
しかしながら、率直に申しまして、今日までの経過を見まして、実施されたあとと、それから答申の趣旨と考えられるものと対比した場合、また、答申そのものと、それから私どもが考えて、
恩給のあるべき本来の姿ないしは当然の姿というものと対比した場合、そこになお幾つかの問題点が残されておるという点につきましては、同僚
委員からお話のあったように、私も全然同感でございます。で、これにつきましては、長官は、さきの国会におかれましても、四十七年度以降においては総ざらいをするんだと、こういう再三のおことばもありましたので、私どもはそれに大きく期待いたしておるんでございまするが、その総ざらいにおきましては、どうか根本的な問題につきまして、一応御配慮をいただくという機会でありたい、こう強く念願いたしておる次第でございます。
で、やはり、私の一番戦後処理としての気になっておる問題は、先ほどお話にも出ました、いわゆる赤紙応召者の
恩給の問題でございます。で、私海軍におりましたので、海軍の経験から申しまするというと、平時要員につきましては、軍縮会議のあとといったような場合は、大体要員を充足し、かつ、そういう人々が一応
恩給の資格を得るというような人事行政が可能であった時点でございまするが、戦時要員につきましては、そういったようなことはとうてい不可能だということでございまして、大東亜戦争の期間が四年足らずということから考えましても、とうてい実在職年だけで
恩給をもらうということはできませんが、要するに三年おれば加算によりまして、兵の場合は一応普通
恩給の資格ができると、こういったようなことで、私どもとしましては、一応みずから慰めると、こういったことでやってまいったわけでございまするが、戦後の今日におきましては、そういったようなせっかく加算によっての
恩給ということもいろいろな制約を受けまして、まだ私どもの考えておる本来あるべき姿というところになっていないということがございます。で、
恩給本来の趣旨としまして、永年勤続者は重く見られる、これは当然でございますが、そういったようないわゆる赤紙応召者といったような者は、長期在職者というものには本質的に非常になり得ない、こう言ってもいいような状況にあるんでございますが、それがいま残された大きな問題点とからみ合いまして、そしてこの赤紙応召者の
恩給というものを非常に不利な地位に置いておるということでございます。
で、私どもは、このいまの一時
恩給の問題、それから号俸格づけの問題、それに加算の問題、この三つをヘドロ的存在と、こう申しておるわけでございますが、これは復活の当初からいたしまして、非常に該当者が多いと、こういったような点もあったと思いまするが、いつの改正にも見送られてきた。そして今日に至っておるということでございまして、今日これをあるべき姿に直されるということになりますれば、予算はもちろん、その他のいろんな面で御考慮にならなければならぬ面があると思います。しかしながら、やはり私どもとしましては、ただあの人たちがそういった
恩給になっておる大きな原因と申しますのは、結局は同僚の数が多いから、こういうことが一番大きな原因だと思うんでございますが、こうした公法の個人の権利におきまして、人数が多いからということで制限を受けるというようなことは、まことに当人にとりましてはお気の毒なことでございますので、この点が今後の総ざらいにおきまして何とかならないかというようなことを強く念願いたしておる次第でございます。
で、具体的に入る時間もございませんので、以上のきわめて抽象的でございまするが、その点につきまして長官の御所見をお伺いしたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ただいまの兵の問題は、すでに御承知のように、
恩給審議会答申において、兵については戦前においても一時
恩給は給されなかったものであるからという、実ははっきりとした答申が出ております。したがって、その点を、これを答申を越えてやります場合において、やはりすべての残り九項目にも大きな影響をもたらしたのではなかろうか。いわゆる予算折衝の過程において、ということもございまして、やはり答申の範囲、しかも戦前の制度にもなかったものを、新しく戦後二十数年たった今日戦後処理をしていること、そのことが恥であります。国家として恥でありますが、しかしながら、あらためてここで制度を起こすということについての問題点が、さらに大きな議論をしなければ解決ができ得ないところであろうと思っておるわけであります。私は、敗戦国家の処理はまず戦争のあと始末からであるというかたい信念を持っております。したがって、金額がかりに百五十億から二百億かかるといたしましても、それは国家が国家の名において、国家のために犠牲になった人たち、それらの人たちに給すべき義務を持つと判断できるものならば、これは私は政治家として、また、職務の担当の大臣として、財源のいかんにかかわらず、金額の問題において遠慮をする、あるいは要求すべきものをしないとかという姿勢はいままでもとっておりません。これはあくまでも国民のすべての人々の税金その他によって集められたものを分配する際の金額の問題でありますから、特定の部門だけ抽出して、金額が大きいからそれはできないんだということには決してつながるべき問題でなく、また、政治というものは、予算編成においてそういう姿勢をとるべきではないと思います。
一つの例については、具体的に申し上げたわけでありますが、その他の間接的表現等で触れられました問題等は、さらに今後検討をして、具体的に、しかもすみやかに、戦後処理を終わった日本という形にいたしませんと、経済がいかに繁栄をいたしましても、また、国民の生活が逐次向上の一途をたどるにしても、その陰に国においてなさなければならないことがなされていないという大きな傷あとを背負ったまま前進することになります。これは私たち政治家として十分反省し、慎しんで、そういうことのあってはならないという姿勢をとって進むべきだと考えますので、今後のいろいろな段階において、いろいろの機会において、いろいろの機関においても検討を続けるつもりでございます。
-
○長屋茂君 よくわかりました。
ただ、いまの御答弁に関連しまして、
恩給局長に一点だけお尋ねしたいのでございまするが、ただいまの一時
恩給に対する答申に関係した問題でございますが、引き続く実在職年が三年以上七年未満の者にも一時
恩給を給するかどうかというただいまの問題でございますが、これにつきまして、
恩給審議会の意見を読んでみますと、兵については戦前においても一時
恩給は給せられなかったのであるからして、だからして三年以上七年未満の者には給しないのが適当であるというようなことになっておるのでございまするが、一般的に申しまして、
恩給法に戦前にはなかったけれども戦後にあるというものが、御承知のようにたくさんあるのでございまして、
昭和二十八年の一五五号の附則の四十一条以下の数カ条というものは、みなこうした戦前にはなかったけれども戦後にできたもののいわば羅列でございます。それぞれ当然の理由があってなったわけでございます。ところで、そういうものと一時
恩給の兵に対する支給というものは、事の性質が違うのだと、こういったような御意見があるいはあるかもしれませんが、しかしながら、戦後におきましては、引き続く在職年が七年以上で最短年限未満の兵に対しましては現実に支給されておるわけでございます。でございますからして、戦前になかったからといって戦後にその存在を否定する理由にはならない、こういうように考えるのでございまして、私ども常識で考えますと、戦前になかったから戦後は要らないんだというのでなくして、戦前、じゃなぜなかったかと、そのなかった理由を一応探及して、その戦前になかった理由というものが戦後も引き続いて存在するならば、これは戦前になかったものは戦後給すべきではない。しかしながら、戦前になかった理由というものが、何かわからないけれども、とにかく戦後ではなくなっているのだということになれば、これはもう戦後には給せられて当然ではないか。現に七年以上の者にはやる、ただ七年以上の者にはやって三年以上の者にはやるかやらぬか、こういうのが問題点でございますから、そういうことが考えられるのでございます。
戦前に、じゃやらなかった理由は何かと、これは私どもにはよくわかりません。ただ私が海軍省で
恩給の担当の局員をやっておりましたときに、先輩からの口伝えでございますが、同じ
恩給で、ちょうど兵はおまわりさんに相当するものでございますが、文官系統にあって兵にないということは、結局兵というものは兵役義務に基づく、ことばはなじまないことばですが、必然的服務である、いわゆる非職業的な公務員である。であるからしてないのだ、こういうことを言われておるのでございますが、ほかに二、三憶測すればできないこともないんですが、私はそういう言い伝えにはまあまあ信憑性を含んでいると思います。であるといたしますると、戦後の今日におきましては、すでに兵に
恩給を給してはならない、こういった理由は消滅しているんじゃないか、こういうように受け取られるのでございまして、もしそうでないとしますれば、あの二十八年に
軍人恩給を復活した際に、七年以上の兵に一時
恩給が支給されるはずがない。こういうのが私の考え方でございますが、そこまで考えて、そうしてあんな答申は理由にはならないと考えたんでございますが、待てよ、十人の良識を備えた学識経験者が十人寄って、そうしてあれを理由とされた以上は、われわれのようなふつつかな者が考え及ばないほかの理由があるのかもしれない。これは一応反駁するならば、その前にそういうことを一応お伺いしてから反駁する、こういうような考えになったわけでございますので、そういった私が申し上げました理由に反するような理由がございましたらお教え願いたい。
-
○
政府委員(平川
幸藏君)
恩給問題、特に
軍人恩給問題を戦後いかに考えるかということでございますが、実はいま御指摘になりました
恩給審議会の冒頭で、
恩給審議会が次のような理解を
軍人恩給において示しております。それは、
昭和二十八年、百五十五号をもって
軍人恩給というのは新たな制度として発足した。それは
恩給法特例審議会の建議にもうたわれているように、廃止前の
軍人恩給の内容に相当の変革を加えたものであり、必ずしも戦前の制度をそのまま復活したものでなく、そのときの社会的、経済的な条件を考慮して発足したものであるということでございます。この点、いま長屋先生が御指摘になった趣旨と同一かと思います。で、例を七年以上引き続く在職年を持つ兵の問題について言及されましたが、兵として七年間勤務するというのはたいへんな御労苦だと私は思います。それに対して報いる道は戦前の制度としてはなかったわけでございますけれども、
軍人恩給を復活いたしました当時に、七年も兵として勤務している者に対し報いる方法は、実はその当時に加算
恩給が復活しておったならば、おそらく十中八九まで普通
恩給で給されていたと思われる方々を実は一時
恩給として給付したという考え方でございます。そういう意味におきましては、戦前にない制度も実は戦後復活したということは、いみじくも
恩給審議会の答申の冒頭でうたわれたとおりでございまして、われわれといたしましては、戦前の制度をそのまま
恩給審議会が復活することを答申したものではないというような理解をしております。したがいまして、そのときの社会的な、経済的な諸条件の勘案のもとに、この審議会の答申というものができておる、私はそのように理解するものであります。
-
○長屋茂君 ただいまの御答弁いただいたんでございまするが、この中にございましたように、
恩給法特例審議会の答申を御引用なさって、そういうことになったわけでございますが、私それにつきまして長官にお願いしておきたいのは、総ざらいでございまするが、これが私どもの考え方と、とかく二十八年の復活以来の
軍人恩給についてかなり論議されておる、こういったような感じが強いんでございまして、ただいまいみじくも
局長が御引用になった、それが戦前とは変わったものであるべきだということで進んできているわけでございまするが、やはり総ざらいとなりますと、
恩給が廃・停止されたそのときからさかのぼっていこうということでいただくことが必要であって、あの二十一年の三十一号の附則第二条、第七条、つまり第二条においては
軍人恩給は廃止になったけれども、なお従前の例によって一応既得権として認められておるんだ、それから附則七条の、やはり在職年について計算も一応既成事実というものについては認められておるんだ、こうしたような見解のもとで進んできておるわけでございまして、その考え方いかんによりまして、われわれのあるべき
恩給の姿というものが、考え方というものが大いに変わってくると思いますが、そういったようなところからさかのぼって総ざらいの御審議をいただきたい。これはお答えはいただかなくてけっこうでございますが、一応そういうことを長官にお願いしまして、私の質問は終わらせていただきます。
-
○峯山
昭範君
恩給法の一部を改正する
法律案の審議に際しまして二、三質問したいと思います。すでに同僚議員から長時間にわたりまして質問がございましたので、相当の点がダブっておりますので、私は二、三の質問をしたいと思います。
私も
恩給の問題について毎年この法案がくるたびに勉強するのでありますが、非常にきわめて難解である、そういうぐあいに思っております。昨年も当
委員会でも附帯決議をつけました。「抜本的検討を加え、その平易化を図ること。」というような附帯決議も第四項目につけましたのですが、その後、きょうの
委員会でも「実効
恩給規程」というような本が配られております。非常に口語文で書かれておりましてわかりやすくなっておりますが、これは一つには、昨年の附帯決議にうたわれたものでもあろうかと思うのですが、この辺のいきさつをちょっと初めにお伺いしておきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 昨年、附帯決議をつけられるまでもなく、私も
恩給法を全部、分厚いものを読み通したために、一カ月間急性結膜炎になったくらいでありますから、これは受給権者にとってはたいへんなことである。自分たちはどの法律のどの条項によって自分たちの権利があるのかということすら簡単に判断できないのじゃないかということを考えますと、いわゆるだれのためにある法律かということを考え直したわけでございます。その後、附帯決議等もございましたし、私も同感の意を表しまして、
恩給当局に抜本改正を命じたわけであります。その後、
恩給当局では緊急会議を何回も開いて相談をいたしました結果、とても全文を改めて法律として改正することはたいへんなことである。ことに法制局等からも、それだけはぜひかんべんしてほしい、このことだけで増員してもらいたいし、増員ができなければ何カ月もかかりますという専門家の意見がございましたので、そこでそれならば目的を達することでいいのだから、法制局を通らなくても、皆さんが権威あるものとしての手引き書なり、自分たちのために存在する実質上の新
恩給法というものとして受け取られるようなものができればそれでよろしいということに方針を変更いたしました結果、お手元に差し上げてあるようなものにして——それでもそうやさしいとは思いませんが、累次、上から張り合わせ張り合わせてまいりました、何ページを読んだら、さらに次に飛んで、どこかほかのところを見なければもとのところに戻ってこれないという法律のていさいからは非常に前進してまとめてあるものと考えておりますので、せめても、これを審議の便宜はもちろんのこと、全国の
恩給関係者あるいは受給者等が手近に置いて、自分たちの権利の確認ということに平易な説明書になるように願っておる次第でございます。
-
○峯山
昭範君 大臣の説明で大体わかりまして、確かに受給権者が
恩給法を読みましてわからなければ何にもならないと思いますし、そういう点からいきましても、こういうふうな本ができるということは非常にいいことだとは思うのですが、その点は評価いたしますが、たとえば、きょうのこの内閣
委員会の皆さんにはこの本が実際に配られております。しかし、大臣からお話がありましたように、実際に
恩給を受ける人たちにはこういう本がどういうふうな手続でいくのか、この点はひとつ問題だと思うのです。そこで、実際にこういうものはどういうふうにしてつくり、そうしてどういうふうにして一般の人の手に入るようにしておるのか、そこら辺のところをちょっとお伺いしておきたいと思います。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) お手元の「実効
恩給規程」につきましては、これは一万部印刷いたしまして、それを都道府県を通じ各市町村の地方公共団体にはすべて配付いたしました。なお関係する団体等にもすべて配付いたしました。なお、一般にも市販しておる次第でございまして、一万部につきましては目下配送しておる最中でございます。
-
○峯山
昭範君 その点はできるだけ受給権者の皆さんが手に入りやすいようにしていただければと思っております。
そこで、今回の改正案につきましては、先ほどからも種々説明がございました。
昭和四十三年に
恩給審議会からの答申が出まして、それから三カ年計画で順次実行していらっしゃるのでありますが、ちょうどことしが最終年度に当たるわけであります。そこで私はその中で——
恩給審議会の答申の中で初めに問題点としてピックアップされた項目が五十四項目かあったと思います。そのうち全部で二十六項目がことしまでかかってようやく実施されるわけでありますから、懸案として出ておりましたあと残りの問題二十八項目の問題については、これは一応否定されたわけでありますが、これはやはり
恩給を受ける人たちの立場に立って考えてみますと非常に大事な問題も多々あると思うんですが、これらの点についてはどういうぐあいに処置されていらっしゃるのか、また、これからどういうぐあいに処置していくつもりなのか、この点についてお伺いしておきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 政府のお願いした審議会でありますから、措置すべしという結論のものは全部政府の義務として措置いたしました。今後は残された項目ばかりでなくて、日本の戦後処理を
恩給の形からながめた場合に、完全にこれが最終の処理であるという結論を得るまで最終的な詰めを行ないたいと思いますので、
恩給審議会でかりに議題に取り上げられていない問題であっても、切実かつまた具体的、客観的、必要な問題であれば検討するにはやぶさかでないという態度でおります。
-
○峯山
昭範君 としますとですね、まあこれと別に新しい問題も私は確かにあると思います。したがってこういう問題を、まあ今度沖繩も返ってまいりますし、いろいろとそういう問題もこれはまたふえてくると思いますが、いずれにしましても、前回に審議会をつくったのと同じようにまた新しい審議会をつくってこういうふうな問題をこれから検討していらっしゃるのかどうか、あるいはまた何らかの処置を講じてやっぱり検討していかなければいけないとは思うんですが、そこら辺のところはどういうぐあいになっておるのか。さしあたりことしは——例年は八月一ぱいにいわゆる予算の概算要求をしなきゃなりませんから、ことしはこれはいずれにしても間に合わないと私は思うんですが、まあこういうふうな問題も含めて今後の問題でありますが、どういうぐあいに処置していらっしゃるおつもりなのか、そこらのところをお伺いしておきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 一ぺん審議会をつくって答申をお願いして、措置すべしと言われたものを全部やって、さらにその他のものについてこれから検討をする余地があると、こう申すのでありますから、そのほかの問題についてもう一ぺん検討するという審議会を別につくりますと、前の審議会の人たちに対してたいへん非礼であると考えます。そこで政府としては、その残った問題については政治的な判断をもって処理するということで、審議会の皆さんに非礼にならないような措置をとらなければならないだろうと思っております。
また沖繩の問題は、対馬丸の問題、あるいは台湾疎開の途中の尖閣列島にある者は生き残り、ある者は沈んだ人たちの問題、あるいは文官等の本土との格差の問題、これらは復帰の時点までには完全に解決をしておきたいと念願しております。
-
○峯山
昭範君 この問題については、いずれにしましても、この
恩給審議会というのはなくなったんですね、現在は。
そこで、それじゃ次の問題にいきたいと思うんですが、
恩給の
年金の引き上げの問題なんですがね。これも先ほどから種々お話がございましたけれども、
恩給の増額方法というのは、非常に私たちが見ておりましても非常にわかりにくい。したがいまして、本人の立場になって自分で計算しても非常に、給料が何%ぽんと上がるのと違って、非常にいろんな要素が含んでおりまして、私たち非常にわかりにくいわけでありますが、たとえば、今回の増額にしましても、積み残しだとか、四十四年度における公務員給与あるいは物価の上昇分だとか、いろいろとあるわけなんですがね。
恩給のいわゆる
年金の引き上げということについては、どういうぐあいになっているのか。たとえばことしの例を、具体的な例でけっこうですから、大体こういうぐあいの上げ方になっているのだということを、わかりやすくちょっと説明をしていただきたいと思うのです。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 具体的な例でお答えいたしたいと思いますが、兵の普通
恩給で申し上げますと、これは御承知のように仮定俸給制度というものをとっております。俸給ですね、これが現行は二十万四千五百円でございますけれども、これが二十二万六千二百円になります。
恩給額はこれの三分の一でございますから、現行額は六万八千百六十七円でございますが、これが七万五千四百円と、こういうことになります。そのほかに、増加
恩給を一つ例をとりますと、たとえば五項症で申し上げますと現行は十九万二千円でございますが、これが二十一万二千円になる、こういうことでございます。
-
○峯山
昭範君 この席上で詳細に聞いておりましても、なかなかこれは得心のいくところまではわかりませんので、後ほど機会を設けて教えてもらいたいと思っております。
先ほどから
恩給法の二条ノ二の問題についても種々話がありましたけれども、二条ノ二、スライドの規定があるわけでございますが、この条文の運用についてはいろいろ問題があると私は思うのです。当
委員会でも、先国会でも相当論争の的になりましたのですが、これは公務員給与のアップ分に比例して
恩給を上げると、先ほど大臣からもちょっと答弁ありましたけれども、あらためてもう一回お伺いしたいのでありますが、そういうふうなことはできないのかどうかですね、それについてまずお伺いしておきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 要するに、結論は幾ら上げるかということだと思うんですね、正直な話。そうすると国家公務員の給与だけを基礎に置いても、国家公務員給与は、先ほど
足鹿委員に答弁しましたように、これは民間の給与に対して勧告するわけでありますから、その中には当然物価の変動等も入っているわけです。したがって、公務員給与だけとってずばりいけばいいではないかという意見が、附帯決議等においては基礎としてという表現になっていると思うのです、これは衆参両院同じですが。では、国家公務員給与の何%をとるのかというときに、そこで議論が分かれてくるのだと思います。したがって、国家公務員給与の給与額そのものだということになりますと、現実に国家公務員として国民に奉仕をしておる職業でありますから、その日常の業務というものと、これは一応かつてはそういう仕事だったけれども、やめて老後を過ごしておられる方、いわゆる国民に対する実務を行なっておらないという人と、全く同格であっていいという意見はないだろうと思うのです。それならば、何%に相当するものをスライドさせていくのかという議論に必ず落ちついていくと思うのです。それでやはり議論はまた同じことに結果なるのではないかと思うのですが、しかし、衆参両院の決議のこともありますから、できれば国家公務員の給与一本でいって、いい数値が出せるかどうか検討してみますが、やはり物価というものを勘案して上げるほうが、私は生活保障的な面は
恩給にはとらない考え方を持っておりますが、しかし、生活費的な面はやはり考えてあげる必要があるというふうに考えますので、その点は今後検討させていただきたいと思います。
-
○峯山
昭範君 私は大臣のおっしゃる意味はよくわかるわけでありますが、その何ていいますか、公務員給与は昨年は一二・六七%だったんですね、それと同じ率で
恩給がぽんと上がるというわけではないのですね。要するに、そこのところどうもわかりにくいんですがね。これは私がわからないのであって、あとで教えてもらえばいいと思うのですが、いずれにしましても、ここの問題は私たちにもうちょっとわかりやすく端的に、公務員給与が一二・何%上がった、したがって
恩給のほうもそれだけと、何か非常にわかりやすいような気がするんですけれども、やはりそのほかいろいろな要素を含めてそうした計算をするのだと私は思うのです。私どういうような計算をするのか知りませんけれども、ちらっと聞いたところでは、計算だけでも相当な手間がかかるということを聞いております。そういう点も含めて御検討いただければと、こういうふうに思っております。
それから、先ほどから、これはまたちょっとスライドの問題とは逆になるわけですけれども、自分で言っていて逆のことを言うわけでありますけれども、公務員給与と同じようにばんとパーセントをかけるというと、逆に給与の高い人はよけい上がって、いわゆる少ない人は少ない、そういうことになるわけであります。
そこで、この問題についてはいろんな問題が私はあると思うのですけれども、いずれにしましても、先ほどから上厚下薄なんという話がずいぶん出てまいりました。
恩給にもやっぱりそういう問題があるのだということを私は認識しながら、先ほどから聞いておったわけでありますけれども、いずれにしましても、何といいますか、上薄下厚といいますか、下のほうのそういう方々に有利になるような方法というものは、これは制度的に非常にむずかしいと私は思うのですけれども、こういうふうな方法は、何らかの方法で考えられないものか。この点どうでしょうか。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 実は、
昭和二十八年に
軍人恩給が復活いたしますときに、将官については二号俸落として、いわば上薄下厚という線で現在までまいっておるわけでございます。御承知のように、先ほど御説明申し上げましたように、現在はアップ率を一律にかけております。これは実は技術的な問題といたしまして、
恩給の給与というものを国家公務員の給与からベースアップしてまいったわけでありますが、現在はアップ率そのものをかけておりますからそういうことになっておるわけでございまして、上薄下厚の精神は、
軍人恩給復活以来、その精神を堅持してまいっておるわけであります。
たとえば、傷病
恩給で見ますと、二十八年に傷病
恩給の発足当時におきましては、たとえば将官の一項症と兵の一項症とは違った額であったわけでありますが、それを是正いたしまして、全部一律にした。すなわち、下のほうを上へ上げたということで、そういう点も考慮して処遇してまいっておる次第でございます。
-
○峯山
昭範君 それでは次に参りますが、
恩給は社会保障であるのか、あるいは国家補償であるのか、そういった性格論というのは、昨年もこの内閣
委員会でかなり論議がありましたわけでありますが、少なくとも、先ほどから同僚
委員からもずいぶんお話がありましたように、老齢者とか、または傷病者とか、あるいは遺族、そういうふうな方々に対しては、何らか優先して
恩給の
改善が年々はかられていかなければ、生活の面、あらゆる面でこれはたいへんなことだと私は思うのです。過去においてもこういった人々の
恩給が一般的に優先して
改善された例があるわけですけれども、今回の改正案の中には特にそういう点は見当たらないわけでありますが、今後こういう点についてはどういうように
改善をされていらっしゃるおつもりか。基本的な考え方でけっこうですから、お伺いしておきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは、今後、アップ率の問題等もいろいろ議論になると思いますが、最初
恩給を復活いたしましたときに、先ほど
局長が御説明申し上げましたように、将官の号俸を二号俸落としたり、操作などいたしまして、下厚上薄になるように一応してありますけれども、その後は、一律アップというところにおいては同じになっておりますから、そのこと自体をやはりもうここらで検討しなければならない時期にきておるのじゃないか。じゃなくて、部分的な手直しで、いわゆる下といったらおかしいのですけれども、階級からいえば下の人たちに対して、何らかのさらに補完するようなことが措置されなければならないのか。これらは、今後さらに検討を続けてみたいと思います。
-
○峯山
昭範君 それでは、今回の改正によりまして、私もこの問題を質問するにあたりまして、ちょっと二、三見たのでありますが、昔の兵隊さんといいますか、もちろん役付けでいいますと伍長以下のいわゆる兵ですね、兵の皆さんの公務扶助料というのは、本年の一月から十六万三百五十二円ですか、十年から十七万三千七百九十七円ですね。これは、年額でこういうことになっております。それから考えてみますと、先ほどからこういう話はずいぶんありましたけれども、赤紙一枚で戦死した人たち、こういうふうな遺族の皆さんが全国で七十二万人いると、こういうぐあいに聞いています。これらの人たちは、結局、十七万三千円もらったにしても、月額で二万円にもこれはならないわけですね。私の数字が間違っていれば訂正していただいてけっこうです。
政府は口を開けば月二万円
年金ということをいうことは、しょっちゅう私たちも聞いているわけでありますが、月二万円
年金ということは、二十四万円ということになるわけですね。そういう点からいいますと、月二万円
年金で非常にかっこうはいいけれども、現実にはそうなっていない人がたくさんいるように私は思うのです。もし私の数字に誤りがあれば訂正してもらってけっこうなんですが、実際にはこれはどういうぐあいになっているのか。そこら辺のところをお伺いしておきたいと思います。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) 先生がただいま言われました数字は公務扶助料の額で、これは間違いございません。このたびの改正で兵の公務扶助料は十七万三千七百九十七円になります。ところで、実は
恩給の構成を見ますと、ただいま先生が言われましたように、扶助料を受ける方もございますし、あるいは普通
恩給を受ける方もございますし、傷病
恩給を受ける方もございます。しかも在職年は、最長四十数年から最短三年に至る在職年がございまして、たとえば兵でいいますと、南方で三年間勤務しますと
恩給がもらえるわけでございます。そういう方は、確かに非常に低い額になっております。公務扶助料を受給する方のほとんど全部が、実は在職年が非常に短い人で戦死したという方が多いおけでございまして、たとえば在職年が非常に長い人で公務扶助料を受けておられる方は、この額よりももちろん多いということになります。したがいまして、個々のケースを一々検討しなければお答えできませんけれども、たとえば文官で御説明申し上げますと、ことしの
改善で、文官を見ますと、文官の中で——文官にもいろいろございます、教育職員でございますとか、一般文官でございますとか、警察監獄職員でございますとか、こういう方々でございますが、文官の普通
恩給額を見ますと、年平均が約二十五万八千円ということになります。教職員の方が約三十万、それから警察監獄職員の方は十四万七千円、こういうことで、御承知のように、警察監獄職員の方は比較的給与が低く、かつ在職年が短いというのが普通でございます。こういうことで見てもわかりますように、在職年と最終俸給の額によって内容は種々万別である、このように考えております。
-
○峯山
昭範君 私はいまおっしゃることはよくわかるわけでありますが、南方で三年とはいいましても、三年でなくなって、それでその後遺族の皆さん方が、たとえば生活保護費よりも低いわけですね、そういうふうな低い
恩給受給者というのはやっぱりかなりいると思うのです。これは、生活保護費というのは現在どの程度になっているか、ちょっと私いま調査資料がありませんが、生活保護費より低い
恩給受給者というのが一体どのくらいいるか、これをひとつ教えてもらいたいと思うのです。この点一つ。
それから、いずれにしましても、たとえ三年でありましても、これは激戦のいろいろな関係が、具体的には私戦争に行ったことありませんし、わかりませんけれども、いずれにしましても、三年であろうと四年であろうと、そういう赤紙一枚で戦争にかり出されて、そうしてなくなった遺族の皆さんの立場に立てば、これは同じことだと思うのですね。そういう点に立つと、そういうふうないわゆる、たとえば片っ方で
恩給をもらいながら、片っ方で生活保護費をもらっているという人もいるわけです。そういう心配もしているわけです。そういう点から含めて、これはどういうふうになっているのか。そこら辺のところをお伺いしておきたいと思います。
-
○
政府委員(平川
幸藏君)
恩給受給者のみならず、
年金受給しておる者につきまして、現在生活保護の適用を受けておる者は総数約二十三万であります。で、その中から
恩給受給者を推定いたしますと、約一万でございまして、約四・五%ぐらいに当たると思います。
-
○峯山
昭範君 それじゃ
恩給法の最低保障額の問題についてちょっとお伺いしておきたいんですが、
恩給法によりますと、最低保障額の制度というのがありまして、厚生
年金の制度と同様にしていると私は思うんです。この最低保障額は、普通
恩給で年額九万六千円とか、先ほどもちょっと話がございましたね。遺族はその半分の四万八千円と、こういうふうになっておるわけです。そうすると、私は、少なくともこの最低保障額というのは、いろんな事情私はあると思うんですけれども、生活保護費以上にすべきじゃないか、最低線をそこら辺に持っていくべきじゃないかという考えが、私たちはいましろうとの考えでありますけれども、そういうぐあいに思うんですが、その点についてはどういうふうにお考えか。
恩給の最低保障額というのは、私たちはそこら辺まで引き上げるべきじゃないかと、こういうぐあいに思うんですが、その点はどうでしょう。
-
○
政府委員(平川
幸藏君) お答えいたします。
恩給の最低保障は、ただいま先生が言われましたように、九万六千円でございまして、遺族に対する最低保障は、その半分の四万八千円でございます。これは実は
恩給審議会の答申にも出ておりまして、もともと、
恩給自体には、旧法自体には最低保障という制度はなかったわけでございます。ところが、やはり
恩給でもそういう制度を導入すべきであるということで導入されたわけでありますが、この
恩給審議会の答申の中に、やはり
昭和四十四年度、この第一年度でございますが、四十四年度におきまして実は九万六千円に引き上げたわけでございます。したがいまして、第一年度の計画の中に入ってきたわけでございまして、なお今後の問題といたしまして、
恩給審議会の答申といたしましては、他の
年金との動向等をよく勘案して定めるようにという趣旨の答申がございますから、そういうことになるかと思いますが、現在といたしましては、第一年度目において処置をしたということでございます。
-
○峯山
昭範君 国の総予算に対する割合ということについて、よく防衛費関係が言われるわけでありますけれども、
恩給関係費というのは、一体国の総予算に関連してどのくらいのパーセンテージに現在なっているのかですね。また、特に戦後最も高くなったのは一体どの程度であったのか。また、現在は最低はどの程度であるのかですね。総予算に対するパーセンテージについてちょっとお伺いしておきたいと思います。
-
○
政府委員(平川
幸藏君)
恩給費の総予算に対する割合でございますが、
昭和四十六年におきましては、一般会計九兆四千億に対しまして約三・二五%でございます。戦後、実は
軍人恩給が復活しました翌年におきましては、八・四%、
昭和三十年でございますけれども八・四%、このあたりが比較的高くなっております。なお一番低い年におきましては、
昭和二十一年におきまして〇・二%という数字がございます。
以上でございます。
-
○峯山
昭範君 私は、どの程度が妥当であるかということも質問をしたつもりだったのですけれども、その点については答弁ありませんでしたけれども、いずれにしましても、私の調べたところによりましても、
昭和二十八年に
軍人恩給が復活しまして、その後二十九年に九・五%と、こうなっているようでありますが、三十年の八・四%が一番高いのかどうか、その辺のところちょっとわからないのですが、いずれにしましても、その後だんだん国の予算も大きくなってまいりましたし、
恩給そのものは、受給者が死亡したり、また、いろいろの問題がありまして、これはだんだん少なくなってきているように思うのですが、しかし、
恩給が国の予算の九%台のときには、相当いろいろな問題が出てまいりました。私たちも聞いておりますけれども、
恩給亡国論なんというのが飛び出しまして、一がいに
恩給費そのものが予算の何%を占めるなんということは、これは実際問題として適当であるかどうか。非常に適当であるとは私は言えないと思うのですが、しかしながら、四十六年度では三千億円をこえたと聞いているのですけれども、それでも三・四%程度、こういうふうに聞いております。そういうぐあいに考えてみますと、予算的にはもっともっと増額されてもいいのではないか、そういう考えもあるわけですが、この点いかがでしょうか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 総予算に対する比率というものは、私は
恩給の場合には、あまり議論の対象にふさわしくないと思います。いわゆるあまり懸念する必要はないことだと思います。さらに金額の面では、今年初めて三千億円台の大台になったわけであります。でありますから、逐年、中の質の
改善ということが進んできていることは、それで証明されるわけでありますが、私としては、やはり
恩給法の精神であるそれらの人々の受給する権利、そうして国がそれを支払う義務、こういうものを完全な制度として打ち立てた上の計算において、金額がたとえどのようにふえようと、パーセントと関係なく、それは国家の義務を遂行するための経費であるということで、他の問題の国家総予算に対する比率とは切り離しまして考えるべきだと考えます。
-
-
○峯山
昭範君 それじゃ三分ということでありますので、いずれにしましても、公務員給与はここ十年間に大体二・五倍になっております。所得倍増になっているわけでありますが、また、
恩給のほうを調べてみますと、大体全体の七割ぐらいアップになっている感じであります。しかし、物価を調べてみますと、物価自体も一・六七倍に上昇しております。こういうような数字が、私の調べたところが間違いないとすると、何と申しましても、経済成長の一番のひずみは
年金受給者ではないかと、こういうぐあいに私は思うわけです。これをどうするかという問題は、これは老人福祉の問題と関連をしまして、最近の大きな社会問題であり、また、かつ政治問題でも私はあると思うのです。この問題をどういうふうに解決し、また民生を安定させていくかということは、これはわれわれ政治家の責任でもあると思うのですが、総務長官は政治家として、この問題をどう解決し、また、どういうふうにこれからやっていかれるおつもりか、ビジョンをお伺いしておきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは雄大な政策を広げるものでもなければ、かと言って、また財源事情によってある年はちびるというものでもないと思います。やはり受給権者の正確な条件に沿って支払うべき国の予算の義務的な支出ということで、冷静に検討しなければならない範囲の予算だと考えますから、それらのだんだん老齢化していかれて、数も少なくなっていく階層であるということについては、遺族も含めて、十分私どもの胸中をふだん占めているところでございますので、御意見はそのとおり私も同感でございます。
-
○峯山
昭範君 きょうは大蔵省と運輸省いますね。ちょっとだけお伺いしておきたいと思うのですが、この
恩給制度の問題と関連をいたしまして、
共済組合等種々あるわけでありますが、先ほど私が質問の最初に「実効
恩給規程」というこの本の話をしたのでありますが、大蔵省並びに運輸省当局は、こういうものをつくる意図はありませんか。私たちはこの問題を審議するにあたりましても、非常に分散しておりまして、内容的にも非常にわかりにくい。たとえば、先ほどからいろいろ話がございましたけれども、社会保険の制度を調べてみましても、もうたくさんあるわけですね。あまりにあり過ぎて非常にわかりにくい。これはやっぱり何らかの形でわかりやすいものにしなければならぬのじゃないか、こういうぐあいに思っておりますのですが、この点に対して第一点お伺いしておきたいと思います。
それからもう時間もありませんので、端的に申し上げておきたいのでありますが、運輸省はおりますか——運輸省の人に一つだけお伺いしておきたいのですが、今回の当
委員会の附帯決議の趣旨に沿いまして、今回といいましても先国会における附帯決議をさします。外国の政府等の職員の期間の通算について、いわゆる更新組合員というのがありますね、そういうような人たちに限られていたのを撤廃してきたわけでありますが、それらの人のうちすでに死亡した人にまで適用して、さらに遺族についても、これは遺族については遺族
年金を出されていると私は思うのですが、ここら辺の点について二、三御説明をお願いして、私の質問をその程度で終わりたいと思うのです。
以上お願いします。
-
○
政府委員(橋口収君) 共済制度につきましては
国家公務員共済組合法に規定がございますが、これはごらんいただきますとおわかりいただけますように、
恩給法等とは違いまして、まあ表現もひらがなづかいになっておりますし、比較的わかりやすい法律であろうかと思います。特に共済制度でございますから、
恩給のように国が一方的に給付をするという性格のものではなくて、
共済組合員も負担をいたしておりますし、また国も事業主の資格において負担をし、あるいは社会保障推進の立場において、主権者としての国も応分の負担をいたしております。そういう点から申しまして、
共済組合にとってはわりになじみやすい性格の制度でございますので、
恩給等の比較において問題のむずかしいということはわりと少ないんじゃないかというふうに考えておりますが、ただ、
恩給とのつながりの部分におきましては、先生御指摘のように確かにやや複雑な表現等もございます。したがいまして、これは
共済組合員自体の、組合員自身の問題でもございますので、さらによく検討いたしまして、必要があれば同様な措置をとるように検討をいたしてみたいというふうに考えております。
-
○
政府委員(
秋富公正君) お答え申し上げます。
ただいまの先生の御指摘の点でございますが、現職者、それから退職者、さらに遺族に対しましてもこの適用をいたしております。
-
○岩間正男君 時間があまりないので、
国家公務員共済組合の問題に限って質問したいと思います。
昨年の当
委員会で中尾前
理事長にからむ連合会の不正不当経理問題に関連して、管理運営の民主化について質問したわけです。その後どのようにこれが処理されたか、その処理の経過、実態についてお聞きします。
-
○
政府委員(橋口収君) ただいま御指摘がございましたように、昨年当
委員会で
国家公務員共済組合連合会の組織問題について、いろいろ問題点の御指摘をいただいたわけでございますが、その際、大蔵大臣からもお答え申しましたように、一つは役員の交代という事実がございます。それから組織問題に対する直接の回答といたしましては、当時連合会の運営審議会というのが事実上の機関として設けられておりまして、運営審議会にはかりていろいろのものごとの御相談をいたしておったわけでございます。その運営審議会を定款上の正式の機関にいたしまして、メンバーについても答申をいたしまして、その定款上の存在である運営協議会を活用いたしまして、連合会の組織問題について前向きの処理をいたしたわけでございます。これは先生も御承知のように、連合会は
理事会というものがございます。さらに評議員会というものがあります。評議員会もいわば連合会の最高機関でございまして、予算その他重要事項については評議員会の議を要することになっておりますが、そのほかに運営協議会というものを正式の機関といたしまして、そこには組合員の気持ちも十分反映できるような配慮をいたして今日まで運営いたしております。
以上が現状でございます。
-
○岩間正男君 運営協議会というのは、これはどうなんですか、できたのか、できないのか。
-
○
参考人(岸本晋君) 運営協議会についてお答え申し上げます。
運営協議会は昨年十月一日から発足いたしております。これは設立に至りますまでの間は連合会側あるいは各省
共済組合担当主管者側の方あるいは組合員代行の方、そういう方々が集まりまして評議員会を設置いたしまして、十分慎重審議いたしまして、三者側の意見一致を見まして運営協議会として設立し、それで十月一日から発足ということに相なったわけでございます。
-
○岩間正男君 協議会というのはどんな任務なんですか、審議会とは違うわけでしょう。どんな権限を持っているのですか。参加させるにしても権限ですね、どうなんですか。
-
○
参考人(岸本晋君) 運営協議会は、目的といたしましては
共済組合連合会の運営について各省共済についての組合の方々の意見を率直に反映する、そうした仕組みができるようにという目的でつくられております。
-
○岩間正男君 これは決議機関じゃないのでしょう、諮問機関だ。
理事長の諮問機関じゃないですか。
-
○
参考人(岸本晋君) これは
理事長の諮問機関でございます。ちょうど……。
-
○岩間正男君 時間ないから聞いたことだけ答えてください。これは機構上の問題あとで聞きますがね、どう変えました。
この前とにかくあれだけ指摘されたわけだが、とにかく稲取に行って豪華な
委員会やるとか、常務
理事が自宅からわざわざ自分の専用車があるにもかかわらず乗り込んでくるとか、夜おそくまで勤務をやる。そうしてどうもマージャンをやっているらしい。そのときに結局超過勤務だというので、あとで酒を飲む、その酒を酒屋さんから買うならいざ知らず、それをわざわざ銀座の行きつけのバーから取り寄せてバーへ金を払っている。こういう問題も具体的に指摘したのです。それが直りましたか、その後。
-
○
参考人(岸本晋君) 昨年本
委員会で指摘を受けましたただいまの点につきましては、新
理事長就任以来、経理を通じまして連合会全体の姿勢をできるだけ適正なるものにいたしていくということにいたしまして、その実を今日まであげてまいっておると、私ども考えております。
-
○岩間正男君 そのバーから酒を買うなんということはやめたでしょうね。それから夜残って酒を飲むとか、マージャンやって、あとで超過勤務だといって夜酒を飲むに至ってははなはだしいわけだな。それから自動車の乱用、こまかくあげてやったわけですが、そういうこといまありますか、ありませんか、どうです。
-
○
参考人(岸本晋君) 御指摘の件は一切今日はございません。
-
○岩間正男君 ある程度の一部の努力のあとは見られると思うのですが、もっとも、私現場に行って見ていないからあれですけれども、あなたたちのそういう報告を信用するとしましょう。
さて、先ほどの機構の問題ですがね。これはどうなんですか、健保組合とか、それから地公の共済の場合ですね、こういう場合には組合員は組合会や
理事会に参加しているのですか、していないのですか。
-
○
参考人(岸本晋君) 健保連合会の場合には、確かに議決機関だったと存じます。ただ、その構成が若干異なるわけでございます、この運営協議会の場合と。健保連合会の場合は、各単位の健保組合の代表者が一人出てまいりまして、連合会で一つの組合会みたいなものをつくってやっているわけでございます。ところが、この運営協議会のほうは、その健保の連合会に匹敵するのがちょうどわれわれの評議員会のようなものがございますが、その評議員会も議決機関ということには相なっておらないわけでございます。ところが、運営協議会のほうは、各単位
共済組合を代表して出てくるという性格の
委員で組織されておりませんで、要するに各省の事務主管者側個人の方あるいは組合代表の方個人の方、こういう形で出ていただいているわけでございます。ちょっと、性格が若干それぞれ異なろうと思います。
-
○岩間正男君 その辺は、これは違うか知りませんし、実際は、この問題、どういうふうな組織になっているか。これは資料的にほんとうは出してもらうといいですな。健保の場合どうか、それから地公共済の場合はどうなのか。私たちの聞いているところでは、組合会、それから
理事会、こういうところに組合の代表を半数送り込めることになっている。そうして、この組合会とか
理事会というのは、これは執行機関だ、ここに参加できる。そうなっている、そうなっているはずです。ところが、国公共済の場合、なぜそれができないのか。これは諮問機関でしょう。執行機関じゃないんだ。執行機関の議決機関の中に——執行機関の中に、これははいれない。そうすれば、権限は非常に弱いわけだ。なぜ国公だけはそうなっているのか、この点をお聞かせ願いたい。
-
○
政府委員(橋口収君) まあ各種機関は、御承知のように、いろんな沿革や歴史もございますし、
国家公務員共済組合については、それなりの歴史を持っておるわけでございます。で、連合会の運営の問題、あるいは運営に必要な組織の問題につきましては、従来からしばしば論議のあったところでございまして、昨年の
委員会でもお答えをいたしましたように、かつての今井
理事長が一つの私案をお示しになりまして、それをたたき台にして、いろんな議論が発展をしたような経緯もございます。その今井元
理事長のお出しになりました私案というのが、現在実施をしております運営協議会を定款上の機関にする。で、評議員会は、先ほど来申し上げておりますように、法律上の正式の機関でございますし、連合会に加入している組合の代表するもの、連合会には単位の
共済組合は加入いたしておりますから、単位の
共済組合を代表するものということになるわけでございます。したがいまして、評議員会にはそれぞれの組合を代表する者が出席をいたしまして、連合会の最高の諮問機関として、定款の変更とか、あるいは予算・決算の承認とか、こういうことについての有権的な立場にあるわけでございます。ただ、運営協議会のほうは、そういういわばむずかしい立場を離れまして、いろいろ問題に明るい人が集まって、自由に討議をし、連合会の運営に対して率直な意見を言う。で、それは
理事長の諮問機関といたしまして、そういう会合を必要に応じて開いて、連合会の運営に対してプラスのほうに作用するように配慮いたしております。したがいまして、他の機関の例を直ちに公務員
共済組合の連合会に適用することの可否の問題も含めまして、先ほどお答えいたしましたような線で、現在は連合会の運営問題に対して、一応の決着は出ているというふうに私どもは考えております。
-
○岩間正男君 いまの説明でもはっきりしている。権限は非常に違います。
理事長に——諮問機関で、そこで自由に討議する。結局、それは、決定権は
理事長が持っているのだ。一方は議決権を持つ執行機関にこれは参加している。まるで違う。そんなことはもう三歳の童子だってわかります。そういうふうにしているのは、要求はあるんですよ。組合の要求はあるんだけれども、いままでの従来の慣習だからというので、ここまでこれはいっていない。これは再検討する必要があるだろう。地公共済ではそういうことをしているのだから。国公でなぜできないのか、できない何か理由がありますか。端的に言ってくださいよ。
-
○
政府委員(橋口収君) これは先ほどもお答えいたしましたが、連合会の構成員が単位共済になっているわけでございます。したがって、単位共済を代表するものが連合会の評議員会のメンバーになる、こういう仕組みになりますので、したがって、単位共済の代表者がだれであるかという問題になりますので、そこでその場合には単位共済の実務に明るい者を所属長が指名をしておる、こういうのが評議員会の構成メンバーの実態でございます。これはいまの法律のたてまえから申しまして適当な措置であるというふうに考えます。
-
○岩間正男君 それは法改正をやればいいんだし、一方の、同じ共済でありながら、地公のほうは権限を持っている、ところが国公のほうは権限がない、単なる諮問機関だ、こういうことでは、これはやっぱりおかしい。先ほど組合員の意思が反映すると言っていますが、これではやっぱり十分に反映することができないところが出てくる。最後の決定権というやつを持っていれば、これは違うのです。発言するやつが、ただ聞いている。こんなことじゃあほんとうの意思反映ということは——むろんそれは
理事長の運営のしかたにもありますし、
理事長の性格にもよりますけれども、しかし機構上は、はっきりそこのところが明確になっている場合となっておらぬ場合は、これは違うわけです。法のたてまえ上そうなっているという言い方はここではやめてもらいたい。その法を変えればいいんだ、そうでしょう。法のたてまえだからしかたがないというような答弁をやってもしかたがない。どっちが実態に、ほんとうに民主的であり得るか、その実態が組合員の利益を守るか、そういうところでこの問題が明確にならなければならないということは明白です。これは大臣どう考えますか。山中長官、長官のこれは見解を聞いておる。はっきりしておるでしょう。それは聞かなくたってわかることだ。
-
○
政府委員(橋口収君) 御指摘のとおり、諮問機関ということではございますが、実質的には、重要なことはすべて御相談申し上げておりまして、四十四年度の事業計画、決算、それから補正予算、さらに四十五年度の補正予算、四十六年度の予算、すべてこれはこの協議会で慎重に審議いたしまして、その上で全会一致ということでお通しいただいておりますが、これは事業計画と予算と申しますと、やはり法人体の死命を制するような重要問題でございます。これは非常に慎重に御討議をいただいている、実質上そういうことにいたしております。
-
○岩間正男君 だからそこのところは、まあ、とにかくいろいろ問題になったあとでありますから、現在そうかもしらぬが、事態によってはそれが法的に保障されるかどうかということを私は問題にしたいのですね。結局はこれは事業計画とか予算というのは大蔵大臣の認可事項になっているんでしょう。最後の段階になると、意見が対立したときにどうなるかという問題です。そこがはっきりしなければ、身分、権利保障というやつはなされないわけですよ。そうでしょう。そこを言っているんです。これは国家公務員のやっぱり権利をどう保障するかという問題につながる、そういうことですね。これはどうです。一体これは行政介入じゃないですか。大蔵大臣が認可事項をきめる、予算や事業計画、これは大蔵大臣の認可がなければこれはきまらない。これは一種の行政介入というふうに考えられると思うのですが、どうなんですか。
-
○
政府委員(橋口収君)
国家公務員共済組合連合会は、先生御指摘のように、公務員の福祉に密接な関係を持つ団体でございますから、その年度間の予算なりあるいは事業計画なり決算なりというものは、組合員の利益に非常に大きな影響を持っているわけでございます。したがいまして、予算の編成なり事業計画の策定につきましては、周到な用意を持ってこれに臨むわけでございまして、先ほど来御説明をいたしておりますように、
理事会という機関もございますし、さらに運営協議会という事実上の機関ではございますが、実質的に予算なり事業計画というものについて実体的な御審査をいただくような機関もございます。さらに法的には評議員会というものにかけて正式にきめる、それを大蔵大臣に申請をして認可を受けるという、いわば手続の上におきましても非常に周到な用意をしておるわけでございます。したがいまして、大蔵大臣が認可をすると申しましても、これはあくまでも所管大臣の立場において審査をするということでございまして、大蔵大臣が指図をしたり、あるいは指示をしたり、あるいは干渉をしたりというような立場の性格のものではございません。あくまでも連合会の主体性に基づきましてその立案をいたしました予算とか事業計画に対してチェックをするという性格のものでございますので、いまの法律の制度の運営によりまして、十分その目的を達成することができるというふうに考えております。
-
○岩間正男君 私はここがおかしいと思うんです。大体共済というのはどういうのです。だれの金でやっているのです。私は、これは行政介入になるから、実際はやめるべきだと思うのですね。積み立て金の半分以上が資金運用部資金として財政投融資に回されているのでしょう。だからこれは握っておきたい、支配のもとに。これを何でしょう、大蔵大臣の権限の中にはっきり握っておかなければ、資金運用部資金を保有することはできない。ここに機構の問題がありますよ。そういうことでなければ、何も大蔵大臣が——組合員がちゃんと自分の自主的な自由な、そしてそういう資格で積み立て金を出して共済をつくっているのです。それで最後は大蔵大臣の認可が必要なんです。必要じゃないじゃないですか。どこに自主性がありますか。最後段階で、いかにうまく言いくるめたって、法的にちゃんと権限があるかということが問題なんです。最後はこれを発動するのだから、いざというときに。そうでしょう。だから私は、これはあくまでも組合員の一人一人の掛け金の集積によってこれは築き上げられた、これが共済連合会の実態でしょう。したがって、その運用方法は当然組合員の利益と福祉向上のために運用されるというのが当然の原則です。大蔵大臣が認可をするなんて大それたことで、そんなことは大きなお世話なんです、早い話。自主性も何もないでしょう。山中長官、どうですか、すぱっと一発あなたの感想を述べてください。主計局次長の答弁は要らぬ。
-
○
政府委員(橋口収君) 岩間先生の御意見でございますが、
共済組合は、いずれにしましても所管省というものが必要になるわけでございまして、これは先ほど来御議論がございましたように、いまの
年金制度につきましてもそれぞれ所管得、所管庁というものがあるわけでございます。したがいまして、何か大蔵大臣が所管をいたしますと、いかにも財政大臣としての立場においてものごとを考えたり、あるいはチェックをしたりするような印象を与えがちでございますが、これはあくまでも所管大臣としての立場において
共済組合を管理監督をいたしておるわけでございまして、これはその他の共済制度につきましてもそれぞれ監督官庁があるわけでございますから、たまたま連合会につきまして、あるいは共済につきましては、監督大臣が所管大臣としての大蔵大臣ということで、ある種の誤解を生むような感じはいたしますが、一つの団体でございますから、どうしても所管省は必要であり、所管大臣が必要になるということについては御理解をいただきたいと思います。
-
○岩間正男君 どうも所管省が要るということですが、これは認可とかなんとかでないのだ。報告とかなんかでいいわけですね。認可ということになると、これは大きいですね。うまくスムーズにいっているときはいい。しかし、これがスムーズに行かない場合に、利害が相反するというような場合については、当然の権利はこれは組合員にあるわけです。組合員の連合体である連合会にあるのです。そこのところが明確になっていないというとまずい。ところが実際、いまいろいろな運営の面にあらわれているのですね。
では、次にお聞きしますが、連合会の積み立て金、これはまあ、現在、掛け金、これは千分の四十四ですか、月にね。
-
-
○岩間正男君 そうですね。それから年々の支払いをやって、そうして剰余金が出ているが、どのくらい剰余金を年間に出していますか。それから剰余金の総額は何ぼになっていますか。
-
○
参考人(岸本晋君) 剰余金の総額は、四十六年度末、本年度の事業計画でございますが、その推計では大体五千億ということでございます。
-
○岩間正男君 年間これは五百億くらい余っているわけですね。それで、これは六千億じゃないですか。これは何かやはり資料を出してもらうといいな。そのやり方ですが、資産構成のその二分の一はこれを長期の預貯金、有価証券、こういうものでやっているわけですね。あとの二分の一以上というのは、これはどこへいくのですか。
-
○
参考人(岸本晋君) 二分の一以上が政府に対します資金運用部への預託、それからあとは連合会で自主的に行なっております金融機関に対する有価証券等の金融債の運用、そういうことでございます。百分の五十以下が組合員の福祉事業でございますとか、あるいは組合員に対する貸し付け金、あるいは国でやっておられます特借宿舎に対する融通、そういうことでございます。
-
○
委員長(
田口長治郎君) 岩間さん、あと五分くらいでひとつ話をまとめてください。
-
○岩間正男君 ぼくが何分間やっていますか。時計を見て、もう少し正確にやってください。
一〇%ですかね、これは住宅で、公務員の住宅に使っているのだ。これは公務員の住宅が非常に少ないものだから、こういうもので埋めているという現状がありますね。こういうところにみんなやられるわけだ。いまこの住宅問題なんかもありまして、公務員給与が非常に年々の問題になって、当
委員会でも大きな問題になっておりますが、非常に赤字をかかえている。この前も話したのですけれども、総理府の総務長官の足もとで、実際はどうも俸給で食えなくて、そうして夜アルバイトをやっている。そういうような清掃のアルバイトなんかやっている、その問題も何回か議論している。そういうことですから、低賃金の中で、やはり組合員の貸し付け需要というものは年々多くなっているのです。そうですね。それで特に住宅などの問題だと、政府は何か労働者の資産づくりとかなんとかいっていますけれども、そういうようなものとも関連してきて、どこでも、どの単位組合でも貸し付け金の需要が多くてまかなえなくなっているという、そういうことを聞いているわけです。いままでも足りないので、足りない分は、これは防衛庁のワクの分から一部分を借りてこれをまかなっていたということを聞いておりますが、これは事実でございますか。
-
-
○岩間正男君 ところが、防衛庁のほうも非常にそういう需要が多くなったので返してくれというので、この問題について話し合いがあって、そうしてことしから一年で返せないので二年くらいで返還する、そうしてそのためにますます苦しくなってきている。貸し付け金のワクが本年ふやされない、そういうことを聞いているのですが、ことしのワクはどれくらいですか。
-
○
参考人(岸本晋君) 貸し付け金のワクは、本年度は前年に比べまして総体として約四十数億ふえておりますが、そのうち防衛庁のほうが多く、一般組合のほうはわりあいに少ない、しかし総体としてはふえております。
-
○岩間正男君 ことしは、公務員の共済の、防衛庁を除いた分はどのくらいですか。
-
-
○岩間正男君 去年は。
-
○
参考人(岸本晋君) 去年の総額分は百三十七億でございます、一般組合だけに限りますと。
-
○岩間正男君 去年よりふえているのですか。
-
○
参考人(岸本晋君) 失礼しました。去年がそれより九億少ないところでございますから……。
-
○岩間正男君 去年より少ないのですか、多いのですか。
-
○
参考人(岸本晋君) 去年の当初予算に比較しまして九億ふえております、四十六年度は。
-
○岩間正男君 去年は百五十七億ですか。
-
○
参考人(岸本晋君) 失礼しました。昨年度当初は百六十六億でございまして、四十六年度は百六十六億……。
-
○岩間正男君 どこふえたのですか。
-
○
参考人(岸本晋君) 失礼いたしました。ちょっと数字……。
-
○岩間正男君 あなたたちこれくらい知ってなければだめですよ。常務
理事でしょう。それだからどうもいかぬのだ。仕事がどこのところが肝心か——いまやはり組合員の要求がそこにきているでしょう。この問題をほんとうにどう処理していくのかということは、これは
理事としてやらなければならないわけでしょう。ところがそういったように、額ぐらい私たちよりわからないのじゃまずいでしょう。ふえていないじゃないですか。去年百六十六億、ことし百六十六億、どこに九億ふえたか。こんなことまで間違っていたのじゃ話にならない。そういうところをきちっとやってください。
大体そう言っていますが、貸し付け金のワクというのがおかしいですね。自分の出した金が五百億も余っておる。当然これは自分のほうに戻ってきて、いつでも自分たちが借りたいときに自由に借りられてもいいはずなのに、百六十六億という程度でワクがきめられてしまう。それはその最大の問題は資金運用部資金に三千億からの金がいっているからだ。これが六分五厘のいわば低利で貸しつけられているからだ。組合員が借りるときには、これはどのくらいなあれになりますか、利率は。
-
○
参考人(岸本晋君) 先ほど一般組合員の貸し付け金のワクをちょっと錯覚いたしまして、間違いまして恐縮でございました。資金運用部資金に対しては三千億まいっておりますので、千四百億くらいになっております。組合員に対する貸し付け金は五分五厘でございます。
-
○岩間正男君 だから、こういう金を借りたい、当然自分の出している金だから、そういう要求があるわけですね。その辺は私は資金運用部資金との関連で再検討する必要があるのじゃないか。一つには低賃金政策で、非常に赤字をかかえていて、要求は非常に大きい。住宅問題なんかの問題がからんでくれば、もう中年層は非常にやはりこれは切実な問題になっているわけだ。このワクというものをもっと改正しなければならぬ。それをぴしゃっと押えて、それで一方では当然の組合員の掛け金によってできたところのこのような積立金、そういう資産というものを、そういうかっこうで運用されているところに、どうも納得のいかないものを持っておりますよ。これが現在の共済の姿じゃないですか。大蔵大臣にちょっと来てもらいたい。大蔵大臣にやはりこういう問題について一ぺんきちっとした見解を出してほしい。来られませんか。呼んでください。最後にそれだけ聞いておきます。
-
○
政府委員(橋口収君) 連合会の資産運用の問題でございますが、内容は連合会から御説明を申し上げたとおりでございますが、岩間先生は金が余っているという表現をお使いになりましたが、これは現実に申しますと、被保険者に属するいわば資金でございます。被保険者が共済
年金の支給を受けるその原資として適正な運用をする必要があるわけでございますから、資産の運用の形態の問題、それから条件の問題、あるいは流動性の問題、それらを総合的に勘案して決定する必要がございます。
先ほど来御指摘がございますように、最近
共済組合の組合員の住宅資金貸し付けの要望が非常に強くなってきております。ことに土地購入を含めまして、借り入れ需要の相当部分と申しますか、大部分が住宅関係の需要になってきております。一人一人の金額も逐年
改定をいたしまして、いま相当の額まで融資ができるようになっておりますが、先ほど来お話しがございますように、なかなか需要に対して十分応じ切れないような実態でございますので、連合会の資産運用の形態を全体としてどうするか。先ほども申し上げましたように、これは一定の
年金数理で計算をいたしておりますので、資産運用の利回りがあまり低いということになりますと、これはやはり
年金受給者の権利を害するということになりますので、利回りの点、流動性の点、それらを総合的に検討いたしまして、われわれも従来の考え方を墨守する気持ちは必ずしもございませんので、よく検討はいたしたいと思います。ただ、組合員からの借り入れ希望に全額応ずることになりますと、これは先ほど来申し上げておりますように、連合会の流動性を阻害するという問題もございますので、その点につきましてもあわせて十分検討をいたしたいというふうに考えております。
-
○岩間正男君 大蔵大臣、これは一問だけお聞きしますけれども、昨年も、
国家公務員共済組合連合会の話、これは非常に経理が乱脈であった。経理のやり方、人員構成、組織、運営、そういう問題について民主化の問題で私はお聞きした。それで大臣が努力をするとここで誓われた。その以後の
改善の姿は私も聞いておりまして認めるわけです。しかし、最近大きな問題になっているのは、住宅の問題なんかもある。ことに土地が非常に高い。ことに政府のほうでは、労働者の資産づくりとかなんとかいうようなこともいま言っているわけです。非常に貸し付け金の需要が多くなっているわけです、組合員からの。そういう中で、一方では資産構成の部分の半分、これが資金運用部資金のほうでがちっと握られておる。そういうことで、いまのような組合員の当然の権利であるそういうものが非常に守られないという問題が出てくるわけです。
私はこういう点については再検討する必要があるのではないか。一国の財政金融政策というのは変わらないのだ。これはもう一ぺんきめたら何にも変わらないのだ。ところが、実際これができた何は掛け金からできているのだから、これは組合員のものなんだ。組合員の権利というものは、もっとこれに対して発言権を持っていいのだろう。そういう点について私は再検討をする必要があるのじゃないかという問題なんです。これはやはり大臣にお聞きしておくよりほかない。どうなんですか。
-
○国務大臣(福田赳夫君)
共済組合連合会につきましては、人事をはじめ刷新を行ないまして、かなり成果をあげたというふうに私は報告を受けております。受けて私も喜んでおります。
それから、さらに具体的な御指摘であります住宅資金の運用ですね。これなんかにつきましても、前向きで検討することにいたします。
-
○岩間正男君 前向きでというのだから、具体的でないのですけれども、いま言いました私の問題点ですね。組合員の掛け金によってできた資産の半分が、とにかく一方で金融財政にがあっと握られている。そうして余った分でこれは運用しているのだから、そこに不足が起こった。そうしたらこれは当然検討すべきだ、当然の組合員の権利としても検討すべきだ、そういう意味ですね、前向きというのは。
-
○国務大臣(福田赳夫君) 前向きというのはそういう意味です。そういう意味で検討する。
-
○
委員長(
田口長治郎君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終了したものと認めます。
これより三案を一括して討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。
まず、
恩給法等の一部を改正する
法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
-
○
委員長(
田口長治郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
-
○
足鹿覺君 私は、ただいま可決されました
恩給法等の一部を改正する
法律案に対し、自民、社会、公明、民社の四党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
恩給法等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について速やかに検討の上善処すべきである。
一、
恩給法第二条ノ二の規定については、国家公務員の給与を基準として、国民の生活水準、消費者物価その他の諸事情を考慮の上その制度化を図ること。
一、旧
軍人に対する一時
恩給に関しては、引き続く実在職年が三年以上七年未満の兵に対しても支給の途を講ずること。
一、旧満州拓植公社、旧北支那開発株式会社等の在外国策機関および在外国策会社の職員期間と公務員期間との通算を図ること。
一、旧
軍人の仮定俸給年額の格付是正、加算年の取扱いおよび傷病者、遺族、老齢者の処遇等について
改善を図ること。
右決議する。
本決議案の趣旨につきましては、本法案の審査の過程においてすでに明らかなところでありますので、説明は省略させていただきます。
以上であります。
-
○
委員長(
田口長治郎君) 別に御発言もないようですから、
足鹿君提出の附帯決議案の採決を行ないます。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
-
-
○
委員長(
田口長治郎君) 全会一致と認めます。よって、両案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
-
○安田隆明君 私は、ただいま可決されました共済二法改正案に対し、自民、社会、公明、民社、共産の五党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
恩給法等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について速やかに検討の上善処すべきである。
一、
恩給法第二条ノ二の規定については、国家公務員の給与を基準として、国民の生活水準、消費者物価その他の諸事情を考慮の上その制度化を図ること。
一、旧
軍人に対する一時
恩給に関しては、引き続く実在職年が三年以上七年未満の兵に対しても支給の途を講ずること。
一、旧満州拓殖公社、旧北支那開発株式会社等の在外国策機関および在外国策会社の職員期間と公務員期間との通算を図ること。
一、旧
軍人の仮定俸給年額の格付是正、加算年の取扱いおよび傷病者、遺族、老齢者の処遇等について
改善を図ること。
右決議する。
右決議案の趣旨は、二法案の審査の過程においてすでに明らかなところでありますので、説明は省略させていただきます。
以上であります。
-
○
委員長(
田口長治郎君) 別に御発言もないようですから、安田君提出の附帯決議案の採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
-
○
委員長(
田口長治郎君) 全会一致と認めます。よって、安田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本
委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、山中総理府総務長官、福田大蔵大臣及び橋本運輸大臣から発言を求められております。順次これを許します。山中総理府総務長官。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ただいまの決議については、その趣旨を尊重して検討いたします。
-
-
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの御決議に対しましては、政府といたしまして十分検討いたすことにいたします。
-
-
○国務大臣(
橋本登美三郎君) ただいま附帯決議のありました事項につきましては、政府といたしましても十分検討いたしたいと存じます。
-
○
委員長(
田口長治郎君) 審査報告書の作成については、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
委員長(
田口長治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
暫時休憩いたします。
午後五時四十七分休憩
—————・—————
午後六時十分開会
-
-
○
足鹿覺君 ちょっと総理、私健康を害しておりますので、すわったままで恐縮でございますが、総理もどうぞ……。
環境庁設置法の審議にあたりまして、総理にお尋ねをいたします。
五月二十三日、自民党の参議院選挙政策を発表になりましたのを見ますと、公害対策の条項に、公共の公害防止事業費を公害発生源の企業に分担させる。特定の有害物質の排出については無過失損害賠償責任制度を設ける。地方公共団体と企業との公害防止協定の締結を促進するという条項がございますが、この自民党の参議院選挙政策の内容は、自民党総裁として責任のある政策と受けとめてよろしいのでありましょうか、まず最初に承りたいのでございます。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) そのとおり御理解していただきたい。よろしゅうございます。
-
○
足鹿覺君 さよういたしますと、無過失責任法案の見送りが伝えられております。この
環境庁設置法案が今国会において成立をし、予定のとおり七月一・に発足をすることになると存じますが、首相は、新発足の環境庁の実効を発揮する上から見て、きわめて重大なきめ手というべき無過失責任法案の制定については、国民が多く期待をいたすところであり、党が国民に公約として掲げられた以上は、いついかなる方法でその法制化を実現されますか。たとえば今国会はすでに幕切れの寸前であり、とうていそれは不可能に近いことであります。したがいまして、最もすみやかなる時期にその法案を完備して御提出になる御用意があると受けとめて間違いございませんか、お伺いいたします。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) 無過失責任はまあ公害の対策上必要だ、こういうことで、この国会でもいろいろ政府側からは提出すべきだ、また、各党からも、そういう促進の御意見が開陳されました。出ればあるいは非常に短期間で成案を見るのではないかと、かような見通しもありました。しかし、いま言われますように、無過失責任というのは、どういうような損害に対して無過失責任を負わすか、これはなかなか一般の原則から見れば特例でございますだけに、非常にむずかしい問題であります。したがって、法律家の立場に立ちますといろいろの議論が出る、こういう状態でありますから、どうも急ぎましたが、この国会には提案することができなかった。まことに残念に思っております。しかし、今回、政策を発表するに際しまして、私は、党の政調会長からこの素案を見せられ、また、意見を徴し、十分審議をいたしたわけであります。その結果、よしそれが内容が限定的なものにしろ、この問題はどうしても取り上げざるを得ない。そういうことが公害行政の一つの目玉にもなるのじゃないだろうか。かように思いまして、政調会とは十分連絡をとった次第であります。したがいまして、できるだけ早い機会にこれがお約束ができる。また、それをすべきだと、かように思っております。ただ、いま御指摘になりましたように、一般もたいへんこれには関心が深い。国民の大多数の期待もあるので、政府は公約する以上、できるだけ早い機会に成案を得る、これは必要なことであります。また、各党の考え方もそこらにあると思いますので、これが範囲は、どうというような事柄について無過失責任を負わすか、いろいろまだまだ各党の主張にはそれぞれが相違はあると、かように思います。広狭の範囲がある、かように思いますが、とにかくこの問題は踏み出す、かような決意でおります。
-
○
足鹿覺君 最も近いと考えられますことは、伝えられる秋の臨時国会か、あるいはそれとも来たるべき通常国会か、少なくとも環境庁が発見する以上、その実効を期する上において、国民の期待は、きわめて本法制定への期待は強く大きいのであります。臨時国会と解釈してよろしいのでありますか、それとも来たるべき通常国会と解釈すべきでありますか、その辺の御構想等について承りたい。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) ただいま予想される、予定される特別国会、これは参議院選挙が済めば開かれますが、しかし、おそらく会期は非常に短いだろうと思います。もう一つ考えられるのが、いわゆる沖繩の祖国復帰についての批准国会、これは相当の期間を必要とするのではないか。かように考えますので、そういう際に、ただいまの問題が成案を見れば、やはり上程されてしかるべきじゃないか、提出をしてしかるべきじゃないか、かように考えます。もちろん、この通常国会においてこれが提案を見るということは、これはお約束してもいいと思いますが、ただいま申し上げますように、できるだけ早い機会に、かように私ども考えておりますので、機会があれば各党の皆さん方のぜひとも御協力を得まして成案を得たい、かように思っております。
-
○
足鹿覺君 首相のお気持ちもわかりましたが、問題は内容であります。内容については本日論議をし、御見解を承る時間がございません。すでにわれわれはこの問題については内容を吟味し、御提案を申し上げた経過もございます。十分に御勘案になりまして、国民の期待に沿い、また、すみやかにその実現を期せられるように重ねて御要請を申し上げておきます。
次に、大事な問題は、環境庁が設置され、その長官が勧告をする規定がございます。相手方にノーと言わせないためには、この勧告の内容についても十分権威あるものとしなければならないことは申し上げるまでもありません。それには勧告に十分な基礎データがなけらねばならない。相手がノーと言った場合、これを反駁し得る基礎がなくてはならないことは申し上げるまでもございません。環境庁にこのような権威ある勧告を行ない得る権限、能力があるかどうか。公害行政の一元化が不十分である環境庁として、しかも、長官が主任の大臣でないということからしても、公害行政の推進の上から、この勧告の持つ意義はきわめて重要であると思います。長官の勧告権の通用についていかに対処される御方針であるか。また長官については後刻他の
委員からも御発言があろうと思いますので、この際、総理は、環境庁長官より、内閣法六条に基づく措置についての意見具申があった場合は、直ちに閣議にかけてその措置をとる御方針か。公害行政が真に実施できるかいなかは、結局最終的には長官の権限ではなく、総理の強力な力が作用することになると思いますが、この点、総理はいかに対処されますか、確たる御方針を承りたい。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) これは山中君からすでにお答えしたことだと思いますが……。
-
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) まだですか。これはいまお話にありますように内閣法第六条ですか、このもとで総理の各省に対する命令権というもの、これは十分生かす、かように考えております。もちろん、いままでのところで、いわゆる事案の調査権等が必ずしも環境庁に一元化されておらない。また、ものによりましては主務大臣が違っておる、そういうことで、いまのような御疑問が起こると思います。しかし、公害問題、これは優先的に考えなきゃならない問題でありますから、今度はいままでのような事務の処理じゃなくて、新しい事務の処理がされる、かように御理解いただきたいと思います。これは国民も監視しております。また、皆さん方も、いままでのような事務の処理では必ずおしかりを受けるものだと、かように私思っておりますので、新しい観点に立ちまして、十分効果があがるようにしたいと、かように思っております。
-
○
足鹿覺君 もしどこかの省庁が環境庁長官の勧告に対して拒否をした場合、その拒否理由を国民の前に明示せしめて、その批判を受くべきだと私は思います。そうしないと、この問題は、従来の例から見まして、いつの間にか雲散霧消することもなきにしもあらず、このような国民は不安を持っておるものでありますが、ただいまの御決意にあらわれておりますが、何らかの新しい措置とは、拒否理由を明確にする、これに対して、さらに総理大臣が内閣法六条に基づいて強力な御指示をなさる、このような御決意と対処策があって初めて勧告の意義があると私は思います。要は拒否理由を国民に明示させ、これに対する世論を背景にして勧告なさるのが私は当然であろうと思いますが、いかがでありますか。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) 申し上げるまでもなく、内閣は一体、そういう立場でございます。ある大臣から他の大臣に対して一つの勧告が出る、そういう際に、それに協力しない、いわゆる拒否する、その拒否理由を説明するとか、こういうようなお話ですが、拒否するということはまず考えられない、かように私は思います。これはいわゆる協力ですね。協力をしないという閣僚が出てくれば、これは閣内の不統一ですから、さような事態は起こらない。かように思いますので、その点はあまり御心配なさらなくてもいいんじゃないか、かように思っております。いまの拒否理由を明確にして国民に判断を問え、こういうような問題にはならない、こういうことを重ねて申し上げておきます。
-
○
足鹿覺君 最後に、中央公害対策審議会の構成と運営について伺いますが、これには現在経済企画庁に設けられております中央水質審議会をはじめ、現在のものが集められる形式をとろうとしておるようであります。
委員の数も八十名ということになっておるのでありますが、去る二十二日、中央水質審議会の初会合がありましたが、
委員に任命された二十人のうち、学識経験者十二名中十人は顔をそろえたのに、関係各省庁の
委員の出席はほとんどまばらであった。最後には経済企画庁の事務担当者がエレベーター付近まで待っていらいらするという状況もあったといわれますが、このような状態では、この中央公害対策審議会の運営について、われわれは危惧と不安を持つものであります。水質審議会の初会合の醜態はおおうべくもありませんが、少なくとも被害者を加える等、民意の反映など、万全を期せられ、もって国民の声が少なくともこの中央公害対策審議会に反映でまる構成と運営について、どのような対策を講ぜられるか、この点について伺っておきたいと思います。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) 中央公害審議会について、ただいまのは水質汚濁のほうでしょうが、−いろいろ御意見をいただきました。将来そういうことのないようにいたしますというのは、普通の紋切り型の答弁になりますが、もちろん、さようなことがあってはならない。いま御指摘になられた点があってはならない、かように思いますが、どこかにやはり運営上欠陥があるかどうか、その点はもっとよく詰めていく必要があるんじゃないか、かように私思います。したがいまして、十分
委員会として、あるいは審議会として効果が発揮できるようなそういうものにしたい。こういうことで、何ぶんにも初めての会合であった、そういうところにも問題があるのでしょうが、また二十名であった
委員の方をいきなり八十名にしたところにも問題があったかと思います。たいへんどうも済みませんが、この点は山中君にお尋ねをいただいたほうがいいと思います。それで、私は、いま申し上げますように、とにかく効果があがるように気をつけます。そういう意味で、いまの御注意は御注意として承っておきます。最初の会合からそういうようなスタートであってはおしかりを受けるのは当然である、かように思います。十分引き締めます。
-
○
足鹿覺君 最後に、問題は予算であります。大体公害対策費は九百億、六百億は下水道予算、残る三百億が大体充当されるやに聞いておりますが、中途の発足でありますから、平年度の予算構想はどのような構想になるものでありますか。大阪は大体国並みの予算を組んでおると伝え聞いております。東京都は千億に近い予算を組んでおると、私どもも仄聞をいたしておりますが、平年席における予算規模はどの程度のものになり、それが十分国民の期待に沿うような効率的な使用ができるのかどうか、その辺の構想について明らかにしていただきたい。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) いま予算の規模並びにその使い方等についてのお尋ねでございますが、下水道の整備、これはたいへんおくれていることは、これはもうだれからも指摘されるとおりであります。これが整備されることが何よりも緊急の対策だろうと思います。これは地方自治体のやることでなく、国として積極的に取り組むべきことだ、また、地方自治体もそれについて所定の協力をする、これはもう当然だろうと実は思っております。それで、ただいまの規模が、九百億のうち六百億と三百億になっている、しかし、今後一体どうなるのか。これは性格から見ましても、公害対策費は発生源者の負担が非常に多い、企業の負担が非常に大きい、また同時に地方自治体がその環境を整備する、こういう形の筋のものですから、国自身がこういうことに取り組むその範囲はおのずから限られるのじゃないか。いま東京都がどうした、あるいは大阪府がどうした、そのほうが国よりも大きいとか、こういうような御批判がありますが、性質上そういうようなものではないだろうかと私思いますが、ここらにも、もちろん、しかし、国自身が公害そのものについての理解を持って、これを取り組む姿勢がないと、十分地方自治体の予算も生きてこない、かように私思いますので、それらは国だとか地方だとかということでなしに、真に国民の利益になるように、これは中央・地方一体となってやっぱりこの事業と取り組む、これが必要なことではないだろうかと思います。最近になりまして、東京都知事も、また、大阪府知事も私のところへ見えましたが、こういうことは、やはり都民のため、府民のため、やっぱり選挙が済めばいいことだと、かように私思っております。別にお尋ねになったことに的をそらしたつもりじゃございません。やはり一体となってこういう問題と取り組む、この姿勢が、実はたいへん必要なんじゃないか、かように考えております。
-
○
委員長(
田口長治郎君) 総理の御出席の時間が四十分までになっておりますから、お含みの上ひとつお願いします。
-
○峯山
昭範君 非常に時間が短いものですから、本来ならば相当時間をとっていただいて質問をしたいのでありますが、端的に申し上げます。
まず第一点、全部で三点お伺いしたいのでありますが、第一点は、公害対策の重要性を総理も認識されて、今回環境庁を設置されるということになったのであろうと私思うんですけれども、何といいましても、実効あるいわゆる環境庁にするためには、これは先ほどから話がございましたけれども、どうしても総理大臣のこれは指示権といいますか、指導性というのが私は必要であろうと思います。先日、総理も御存じだと思うのですが、ニクソン大統領が、ガンの撲滅のために、宇宙開発の次にはガンを撲滅しようということで、相当の、約四億ドルの予算を投じまして、全世界の注目をいま浴びているわけでありますが、総理としましても、ニクソンがガン対策に示したと同じように、わが国におきましても、この公害対策の面におきましては、相当決意を新たにして取り組んでいただかなければいけないのじゃないか、こういうように思っております。この点についての総理の決意をまず第一点としてお伺いしたい。
それから、時間がございませんので続けて申し上げます。第二点としましては、世界各国の公害に取り組んでいる人たちというのは、非常に若い年齢層が多いようであります。この点につきましては、総理も御存じだと思いますが、アメリカの環境保護庁の長官にしましても三十八歳でありますし、イギリスの環境省の長官も三十九歳、フランスにしても四十二歳、スウェーデンでも四十六歳というように私たちは聞いております。そういうぐあいにしまして、わが日本におきましても——私は何も長官が若いからどうのこうのということではございませんが、何としましても、若手のすぐれた技術者といいますか、そういうふうな人たちがどうしても必要じゃないか、そういうぐあいに思うわけです。そういうふうな意味で、若手のいわゆる人材の登用という点を、ただ単に年功序列だけではなくて、そういう点を真剣に考えるべきじゃないか、この点が第二番目です。
第三点を申し上げておきますが、これはいろいろ理由を詳しく総理に説明しないとわからないかもしれませんが、何といいましても、公害防止のために、いままで相当政府として取り組んできた
公害防止事業団というのがあります。私はきょう、この問題については、総理がお帰りになった後に質問をしようと思っているわけでありますが、
公害防止事業団の体制が非常に貧弱であります。そのために非常に迷惑をこうむっている人がたくさんおります。その根本は、私は、総理に責任の一端がある。なぜかならば、
公害防止事業団の
理事長に公害の専門の人たちが一回も来たことがない。前の原文兵衛さんにしても警察官僚であります。今回の
公害防止事業団の
理事長にしても、この人も警察官僚であります。私は前から
公害防止事業団の
理事長は、公害のことにほんとうに真剣に、また、造詣の深い、そういうふうな方面の専門家を充てるべきであるということを相当主張してまいりました。それにしましても、なぜあまり関係のないような人を持ってくるのか。そういうところにはやはりそういう点に真剣に取り組んでいる人たちを持ってこないといけないんじゃないか。ただ単に、天下りというとおこられるかもしれませんが、そうじゃないかもしれませんが、いずれにしましても、そういう点、はっきりした総理の所見をお伺いしておきたいと思います。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) このたび皆さま方の御協力によりまして、環境庁を設置する——政府は環境庁でございますが、各党から要望されたのは省でございます。もっと規模が大きかった、かように思います。しかし、私は庁でいいんじゃないか。しかし、その中身は省と同じ、変わらないような、担当大臣までちゃんと皆さんの御承認でできるんですから、そうしましたら、これは十分総理の指示権といいますか、内閣法上第六条を十分生かして、そうして皆さん方の御期待に沿うようにしたいと、庁ではありますが、省の仕事はしたいと、かように思っております。そこで各省の御協力を求めておるような次第です。
第二の問題、これはやはり若いほうの人を、広く人材を選べと、こういうようなお話、これは私も同感でございます。これはいま必ずしも国会の議員だけが大臣でなくともいいんですから、広い範囲で、こういう人は適当な人がおれば、そういう人を任命すべきじゃないか、かように思います。しかし、やはり、ただ、もうすでに衆議院にしても参議院にいたしましても、議席を持っている人になかなか優秀な人が多いものですから、議員外から選ぶということが最近はなくなった。吉田さん自身もさような意味で広く人材を登用された、かように思っております。また、こういう点では皆さんからもほめられるようにいたしたいものだと思います。
第三番目は、どうも
公害防止事業団の陣容が警察官上がりでいかぬと、こういうことでおしかりを受けておりますが、しかし、いままでの、最近は、まあ戦後はいわゆる警察行政ということばを使いませんけれども、しかし、どうも災害対策というようなものもとかく先になりますものは、いわゆる戦前の警察行政の範囲のもの、かように普通には受け入れられやすいのであります。まあそういうところでいまのような人が出てきたんじゃないかと思います。しかし、これから先はもっと広い範囲で人材を選ぶ、これは御指摘になったとおりでございますから、私どもも努力をいたすつもりでありますし、また、この環境庁の長官は、先ほど言うように広い範囲に求めるが、同時に
公害防止事業団の役員、その選任につきましても、十分私ども意を用いて、御希望に沿うようにしたいもんだと、かように思います。
-
○岩間正男君 時間がないから、三点についてお聞きしたいです。
環境庁の国民に負っている任務を真に達成するためには、これは何といっても組織運営の民主化の問題、それからもう一つは予算を十分につける、こういうところに大要尽きると思うのですね。そういう点から考えて、はっきりやはり処置することが重要だと思います。そういう中でこの法案の中に自然環境の保護というような問題が入っていますが、何よりもしかしこの任務は、産業公害そのものをなくすということが、これの対策が最も中心の課題だと思うのですね。そういう点からいいますというと、この機構の面から考えても十分にこの裏づけがなされていないと思うのです。こういう点について十分に考える必要があるのじゃないか。この点についての御見解をお聞きするのが第一。
それから第二の問題は、第一とも関連するのですが、一元化の問題、これは一元化が結局できなかった。その原因は各官庁のなわ張りにあるんじゃないか。そうして権限を依然として固執する。そういう中で強力な体制をとることができなかった。結局は連絡、調整的な、そういう任務で終わってしまうのじゃないか。私は沖繩に参りましたが、最近つくられました沖繩・北方対策庁というものは、全くこれは機能をやっていませんね。各官庁の報告を求めるだけで、それを交流させるだけの仕事でありまして、全くこれは沖繩県民のこの要望を実現するという、そういう方向にこれはいっておりません。したがって、このような形の官庁をまた環境庁という名前でつくっても、いま重大な問題になっている公害の問題を解決することにはならないと思うのであります。
第三は、こういう問題と関連して、ことに通産省あたりにはっきり出ているのでありますけれども、今度のこの環境庁設置までの経過をたどってみるというと、通産省の抵抗が非常に強かったと思うのであります。何といっても大企業の代弁者的性格を持っておるのが通産省じゃないかと思う。ことに電気・ガス産業の、今後の高度経済成長政策を遂行するためには、最も産業の血液ともいわれるこの電気・ガス事業については強力な権力をこれは依然として維持している。ですから、たとえば設置についての認可の問題、あるいは
改善命令について通産大臣がこれはやる。なぜ一体
改善命令のようなものを環境庁長官がこれはやれないのか、だれが考えたってこれはふしぎなのであります。これはやはり依然としていままでの高度経済成長政策、さらに新経済政策……。
-
-
○岩間正男君 そういうものを進める、そういうものになる。私はどうしてもほんとうに、この前の国会で法案が改正されて、経済との調和ということはやめて、そうして人命を大事にするというたてまえになっているのですから、当然これに即応した私は政策の検討というものがなされるべきだと思う。政策転換についても当然これは考えなきゃならぬ。これなしには、口でどんなことを言っても、この公害の真の解決は、解消はあり得ない、そう考えるのですが、この三点についてお聞きします。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) 第一は、組織の民主化、予算をふやしてもいいじゃないか、たいへん御理解のあるおことばをいただきましたが、どうも予算をそうやたらにふやすということにもならない。必ずしも私、いまの御理解あることばではあるが、必ずしもそのとおりだとは思いません。ただ、産業公害を中心にこれと取り組めと、この点はそのとおりだと思います。この点でいろいろまた御協力願いたい、かように思います。どうも民主化、予算をふやせと言われると、ちょっとわかりかねる点があります。
それから、その次に、第二の問題、一元化、これがどうもできておらない、これはもう不十分だ、こういう言い方をされます。しかし、まあ政府としてはできるだけの一元化をしたつもりであります。ことにその中でも、いま言われました電気・ガス事業、こういうような特別な産業については、これはそれぞれの、主務省は通産省ですが、これが責任を持って公害問題と取り組むと、こういうことでありますので、これは必ずしも環境庁で全部やると、こういうわけでもないだろうと私は思います。要は、各省ともやはりこれから大事なことは、公害と取り組む、この姿勢が最も大事だ、かように思います。ただいま御指摘になりましたように、産業の代弁者である、そしてその産業がかもし出す公害と取り組まないで、それを無視する、あるいは目をつぶると、こういうような姿勢で行政を行なってはならない、かように思いますので、ただいま御指摘になりましたように、これら問題は、十分その主体はどこにあるのだ、私が申しますような、いわゆる福祉なくして成長なし、この観点に立ちまして、十分この問題と取り組むことが必要だ、かように思います。電気・ガスについての認可あるいは
改善命令等が主務省において行なわれるということにいたしましても、環境庁自身が全然関係なしにこれらの点が行なわれるとは考えませんし、環境庁自身の要望がこういう問題にも強く働くということを御理解いただきたいと思います。これはいわゆる環境庁の勧告権と、こういうものでございますから、この点では御了承いただきたいと思います。
-
○岩間正男君 産業政策は、再検討します……。
-
○国務大臣(
佐藤榮作君) 産業政策は、さっき申しますように、福祉なくして成長なしという、その観点に立っておるということであります。
たいへんどうもはしょりまして申しわけございませんが、また次の国会におきましては岩間君の御高見を拝聴する機会が、意見を交換する機会もあろうかと思います。どうも失礼いたしました。ありがとうございました。
-
○山崎昇君 それでは、私からいま問題になっております環境庁について二、三お聞きをしたいと思うのですが、すでに総理に対する質問もありましたし、また、衆議院あるいはまた連合審査等もありまして、かなりな議論が進んでおると思いますから、私から、ごく、行政機構論から見て二、三の点についてお伺いをしておきたいと思います。
まず、お聞きをしたいのは、公害対策基本法の第四条を見ますというと、「国は、国民の健康を保護し、及び生活環境を保全する使命を有することにかんがみ、公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」と、こうあります。この「公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策」というのはどこで策定をして、どこでこれを推進するのか、まずお聞きをしたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 法律第四条の第一号、「環境の保全に関する基本的な政策を企画し、立案し、及び推進すること。」、第二号、「関係行政機関の環境の保全に関する事務の総合調整」、さらに、第三号では、予算、試験研究費については配分計画まで行なう、これら以下の問題については第五号以下、基本法に基づいて
内閣総理大臣の権限に属する事項、その他こまかく並べてあります諸項についてすべての基本的な問題について立案、企画、推進をいたすということになります。
-
○山崎昇君 この環境庁設置法の第四条でいっている第一号は、環境の保全に関する政策の企画と立案と推進は載っております。しかし「公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策」については、環境庁の所掌事務には入ってないのです。したがって、あなた方は総合機関だと、こう称するけれども、公害防止に関する限りは環境庁はそうならないのではないだろうか、こう思うのですが、もう一ぺん長官の見解を聞いておきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは第三条の環境庁の「任務」のところの冒頭に、「環境庁は、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全を図り、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、」という憲法二十五条を受けた思想を据えております。そして先ほど第四条で説明いたしました、第十六号からすべての公害規制法についての所掌事項が定めてございまして、これらのものは一義的に環境庁が公害防止の仕事を行なうということでございます。
-
○山崎昇君 私は、行政官庁というのは、できちまうというと、その権限あるいは責任というのは実体法に基づいて運用されるという性格を持っているから、特に法律的に聞いているわけです。ところがいま長官からお答えがありましたけれども、「所掌事務及び権限」の中にはないんです、何と言おうとも。そして二号では、「環境の保全に関する事務の総合調整」はあるけれども、公害防止に関する基本的かつ総合的な施策についての総合的な調整権限についてはない。第三号では、これは予算の単なる見積もりについて調整をせよというだけの話なんです。第四は国際協力関係。第五は、これは
内閣総理大臣の権限は、この公害基本法にも載っておりますその権限だけでありまして、あとは十四号の法律に基づいた多少の事務の処理について書いてあります。しかし基本的には一番大事なことについては、残念ながら環境庁の所掌事務に入っておらないし、権限に入ってない。この点が私は
参考人方も指摘をした点ではないだろうかと、こう思うんです。私も行政機構を見ると、やはりこの点が一番抜けた点ではないかと、こう思うんですが、どうですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 質問の意味が私ちょっとわかりかねるんですが、第三条の「任務」というところに、「環境庁は、公害の防止、」ということが一番最初に据えてございます。そして第四条で、環境庁の「所掌事務及び権限」というところにずっと列挙してございますのは、ほとんどが後半は、これがすべての大気、水質、土壌、騒音、工業用水、その他万般の公害規制法を全部所管するとしますと、残るのは行政の分野の問題でありましょうが、そうすると、大体のそういう権限というものは地方自治体のほうに委譲をいたしました。これは工場排水の例をとるまでもなく、もうすでに委譲しておりますし、残る問題は、たとえば建設省の下水道行政というものが、実務行政が入ってない。あるいはまた地盤沈下の遠因の一つともいわれている厚生省の水道関係が入ってない。あるいは先ほどの電気・ガス事業等の大気、騒音、それから水質等の適用除外がそのままになっておる。こういうこと等が御指摘になっている点かもしれませんが、これらはすべて先ほどの総理との質疑応答の中の勧告権、報告、あるいは総理大臣の指揮権というものを求める権限の中から逃げることはできないという範囲の中のものでございます。
-
○山崎昇君 長官ね、第三条の「任務」は、一般的なこれは環境庁の性格について書いてある。しかし第四条は、明確に何をすべきかという権限について書いてある、所掌事務で、その中に入っているのは、他の行政機関等における事務の総合調整が書いてあると言うんです。しかし、基本的な施策の総合調整については、所掌事務の中にもなければ、権限にも明確にされておらないから、私は一番、
参考人も環境庁の指摘した点の第一がここらにあるのではないだろうか。言うならば、これは第四条の中に、「所掌事務及び権限」の中にそれは明確にすべきではないか、それならば。しかし、それはこの基本法にはあるけれども、この基本法を受けて環境庁がすべき権限の中に明確にされてない。だからおかしいではないですかと、こう聞いている。だから環境庁がほんとうに施策も事務も予算も全部調整をして、環境庁がすべてやるというならば、その権限はこの第四条で明確にすべきではないでしょうか。そうでなければ、私は法制的にもおかしいのではないかという見解を持つんだけれども、もう大詰めですから、修正まで言わぬにしても、長官が四条の中に、これには施策の総合調整まで入るんですと国会で明確にするならしてもらいたい。そうでないと、総理府設置法第三条との関連も出てきます。総理府設置法第十九条との関係も出てきます。そういう意味で、この法は確かに私は不備でないかと思うんだが、もう一ぺんあなたの見解を聞いておきます。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 私の知能指数でようやくわかりました。それは第三条の「任務」のところもやっぱり見ていただきたいんですが、「公害の防止、自然環境の保護及び整備その他」、最後に締めくくりが「環境の保全を図り、」ということばで締めてあるわけです。そしてそれは姿勢として、憲法二十五条を受けた「国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、」であるということになっておりますから、この公害の防止及び自然環境の保護及び整備ということをまとめた「環境の保全」ということばを第四条の第一項に据えてある。そこで、「公害防止」ということばが入ってないという御指摘であるように聞きました。しかしながら、その第四条の並べてありまする各号の中で、後半のほうは全部、先ほど来申し上げておりまする公害規制の法律に基づく事務をそのとおり行なうわけでありますから、ことばとしてならば、その意味で第一項の「環境の保全」というのは、第三条の「環境の保全を図り、」と締めくくってあるそのことばを受けているのである。したがって、「公害防止」というのは当然入っているのだというふうに御理解を願いたいと思うんであります。
-
○山崎昇君 長官がそういうふうに言うんですが、私は総理府設置法の第三条を見ると、第四号に、「各行政機関の施策及び事務の総合調整」というのが総理府の権限に明確にされておるんですね。したがって、環境庁ができれば、この総理府設置法の十九条を受けて大臣が担任する庁についてはこれははずれると思うんです。そういう意味では、環境庁にこの施策の総合調整事務というのが移るんだろうと思うんですよ。もしそうだとすれば、この第四条に明確にしておきませんというと、施策の総合調整というのはやっぱり疑義が残るんです。事務の総合調整についてはいいんですけど、その点について私はいま指摘をしたんですが、長官から、第三条と四条と関連して施策の総合調整についてもやるんだというあなたの見解でありますから、これ以上申し上げませんが、法制的に私は不備であろうと、こう思うんです。
しかし、いずれにしても、この第四条は、これはなぜかというと、私がさっき申し上げたように、行政機関というのは、一たんできちまうと、実体法に基づいて動いていくんです、その機関そのものが。だからあとになれば、ここではこういうふうになっております、ここには施策という文字はございません、こういうことになって、環境庁が逃げを打つ、あるいはまたその他の機関との関にトラブルが起きることもあり得る。だから、私はあえてこの第四条は、法制的に言えば不備ではないかということを質問したんですが、担当である長官から、そうではないんだ、三条と四条と関連をして、施策についても当然総合調整をするんだ、こういう御見解のようでありますから、これでやめますけれども、いずれにしてもこの第四条は、そういうふうに一応私は指摘をして、あなたからもう一ぺんひとつ答弁をもらって、この質問は終わっておきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 言われることはわかりました。そういうことは絶対心配のないように法律をつくったつもりでございますので、今後の実行についてもそういうことのないようにいたします。
-
○山崎昇君 それでは次の質問に移りたいと思うんですが、今度の環境庁は、大臣を一名ふやすんですね。そしてまでこれを設置をするわけですね。なぜそれならば衆議院等における、あるいは参議院においてもそうでありますが、昨年の公害立法審議の際に、各党一致してやった環境保全省というものがつくられないのか。なぜ、大臣を一名ふやすなら、こういう重要な機関をつくるんですから、ほんとうに政治的に私は踏み切るなら、やっぱり省として踏み切っていくべきではないかと思うんです。なぜならば、これは国家行政組織法は、きょうここで論議するところでありませんからやりませんけれども、すでに国家行政組織法の中で、総理府にあまりにも大臣が長となるべきこの外局というのが多過ぎる。言うならば不自然なんですね、組織法からいくならば。それに、さらにこれだけ重要な庁というものを、大臣をふやしてまでやるのに、省とせずに庁としたところに私は納得がいかないのです、ほんとうは。そこでもう一ぺん、なぜ庁でなければいかぬのか、国家行政組織法と関連をしてあなたの見解を聞いておきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) いま総理府の外局の庁が多過ぎるという意見については、これはまた別な問題でありますが、先ほど総理の答弁では、省の実質上の規模に劣らない内容のものにするというお話でありましたけれども、これは私の総理に対する説明があるいは足らなかった点があったと思いますが、私はやはり総理府の外局に置くことによって、内閣法第六条の権限の行使の具申というものを求めるのに、やはり総理府に総理の直轄の——直轄とは申しませんが、総理府のもとに置いたほうがよろしいという判断をしたわけであります。したがって、経済企画庁とほぼ拮抗する人員、機構をもって出発するわけでありますから、省を名のってる自治省よりか数も多いわけです。したがって、省にしてもかまわないわけですけれども、やはり私としては、長官の権限というところにあります内閣法第六条の総理の権限の行使の具申を求めるというところに力点を置きましたので、これは一番大きな長官の権限でありますから、やはり総理府の外局がふさわしいと思ったのですが、総理に対する私の説明が不足のために、ちょっと答弁の感触が違っておりますが、私の考えるのはそういうことで、当初からその方針でございました。
-
○山崎昇君 しかし、長官、やっぱり行政機構論上から言うと、それはおかしいですね。なぜおかしいかというと、どんなに偉い長官であっても、機構面で言うならば、主任の大臣ではございませんね。したがって政令に署名することもできない。それは機構上そうなるわけでありますから、たとえどうあったとしても、各省大臣ということになるのと——あなたが長官になるようでありますけれども、環境庁の長官とでは、国家行政組織法上でやっぱり違うのです、これは。だから私は、先ほど論議がございましたから、内閣法の六条については触れませんけれども、私はこの内閣法の六条の関連でいっても、総理府の責任者たる
内閣総理大臣に対してあなたが言って、
内閣総理大臣は閣議の主宰者である
内閣総理大臣に対して提言をする以外に方法がないのですよ、行政機構論で言うならば。いきなりあなたが閣議に出してやることはできないのですよ。やっぱりそういう国家行政組織法上の制約があるのですから、言うならば、私はやっぱり各省大臣として、ここまでくるならば、そして大臣をふやすわけですから、それならば当然やはり省として、各省大臣として、主任の大臣として行動さすべきではないのだろうか、こう思うのです。しかし、これはもうここまできてこれは直すこともできませんけれども、私はきわめて残念に思うのです。せっかくあなたが、それだけ重きを置いて、この環境庁というものを考えるならば、当然法律的にそうすべきでなかったかと、こう思うのです。もう一ぺんこの点は意見を聞いて私は次に移りたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) この点は反駁するとか意見が対立するとかいうことでなくて、考え方だろうと思います。各省の大臣でありますと、これは完全に各省大臣と並列の関係に置かれますから、それに総理の内閣法第六条の権限を付与するのは非常にむずかしいと思うのです。しかし、総理府に置かれる外局の庁の長官たる国務大臣というものが、その総理府の外局たる立場において、総理大臣の内閣法第六条の権限行使を要請するということはまた非常にすらっとやりやすいということの反面はあり得るわけでありますから、その意味において別段こだわっておるわけではありませんで、私としては庁のほうがよろしいのではないかという判断を下したわけです。
-
○山崎昇君 そうすると、私は質問しないつもりでおったけれども、この内閣法の六条との関係においては変わってまいりましたね、意見が。先ほどは環境庁の長官が閣議を主宰をする
内閣総理大臣に対して勧告をしたものをやりなさい、まあことばが悪いのですけれどもね、実施してもらいたい、閣議できめてもらいたい、こういう意味でこれは議論されておったと思う。しかし、いまのあなたの説明から推していけば、環境庁の長官は、総理府の責任者である
内閣総理大臣に対して意見を述べて、総理府の責任者である
内閣総理大臣が閣議の主宰者である
内閣総理大臣に対して提案をするということになりますよ。そうでなければいまあなたの説明はおかしくなります。
-
○国務大臣(山中
貞則君) それはまた誤解を生んだようでありますが、そういう形にあるのは総理府本府だけでありますから、総理府本府はあなたのまさに御指摘のとおりになると思います。しかしながら、総理府外局の場合においては、総理府の外局とあっても、その長というものは独立した専任の大臣が置かれるわけですから、その意味において機構上の問題として、権限というよりはむしろ機構上の問題として総理府の外局に置いて、そして庁であっても省であっても、やっぱり国務大臣でありますから、それが総理大臣の、ただいま言われたとおりの閣議における指示権というものに対して意見を具申して発動してもらうということでありますから、別段意見の食い違いはないと思います。
-
○山崎昇君 違うのだ、やっぱり。それは違う。これは時間がないことはまことに残念ですがね。私はやっぱり法律というのはきちんとしておかなければいかぬし、解釈もきちんとしておかなければいかぬ、運営もやっぱりきちんとしておかなければならぬ。そういう意味で、本来ならばもう少し議論しなければなりませんけれども、大体総理府の外局の庁という、そしてその長に国務大臣を充てるというやり方は、本来行政機構論でいけば邪道なんです。正しいやり方ではない。正しいとか悪いということばを使うと少し語弊がありますけれども、本来的なやり方ではない。本来はちゃんと省なら省の大臣としてやるべきものです。ところがそうでないところに国家行政組織法上の問題点があるわけです。しかし、これはきょうやりませんが、いずれにしても、あなたのような説明でいけば、やっぱり二段がまえになってしまうのです、それは。ですから科学技術庁設置のときに議論された内閣法第六条との関係とは違ってくるということになってまいります。この点は私から問題指摘をしておきたいと思うのです。
その次にあなたにお聞きしたいのは、今度の環境庁法見ておりますというと、食品公害でありますとか薬品公害でありますとか、こういうものがやっぱり入ってこない。各省に残りますね。そこで長官はずいぶん全体をこう統一をしたいということをがんばったようでありますけれども、私どもこれを見て、関係法律全部洗う時間がなかなかないものですから、たいへん恐縮でありますけれども、一体長官が構想した環境庁というものがだいぶ縮小されたものとぼくら思うのだけれども、おもなるものでけっこうですが、一体どういうものがどういう省に残って、それはこの環境庁がどういう運営の中に入れて、全体の公害防止をやっていくのか、その点についての見解を伺っておきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) まず私としては、最も、環境庁出発の際に形を整えたかったことで、ことしはできなかったというものは下水道行政であります。これについては、根本建設大臣も非常に協力的でございましたし、また、事務次官以下も、将来そうあるべきものであるという認識については意見が一致いたしました。しかしながら、やっぱり役所の通弊として、新しい下水道五カ年計画がいま、ことしでき上がったばかりでございます。これは建設省の要求原案がそのまま認められたという画期的な一応の五カ年計画が出発する年であり、また、建設省は建設省として、下水道部というものを設置法を出して課を二つつくるということで、一応意欲を新しくかき立てていたときでございます。そこでいずれは、建設省の内部の諸君の意見でも、やはり建設行政の中では道路とか、あるいは治山治水に重点が置かれやすい、したがって、どうしても下水道行政は将来環境庁の大きな柱にしてもらって、そして日本の社会設備資本のおくれを取り戻すべきであると思います。しかし、ことしはちょっとかんべんしてくださいということで、最終的にいずれは将来環境庁の中に下水道局というようなものを設けて、そして厚生省のかつて終末処理で争いました水道部門等も一緒にした部局をつくるべきじゃないかということで、これは建設省側も基本的な方向として了承しております。その点を出発の際にセットできなかったことは心残りでございます。
さらに国有林野行政の伐採職員等の現業部門まではとは私も考えませんでしたが、しかしながら、少なくとも各種保安林行政等については、単に鳥獣保護や狩猟行政のみらならず、一義的に環境庁というものからものを言うべきであると考えて折衝いたしました。しかし、林野行政独自の保安林行政もございますし、かえってなじまないものもございました。したがって、そういうような風致保安林、そのことだけをとっていいかどうか、あまりにも継ぎはぎの感じがしましたので、これも今後の検討事項に残してあります。
あと建設省の問題で、さらに都市公園あるいは近郊緑地、ことに近郊緑地等はやはり環境庁のほうで所管すべきではないかということも話し合いをいたしました。しかし、途中で都市公園というものは、やはり都市計画の中の一環でないと、環境庁だけがそこばかりを計画してみてもむずかしいだろうということで、それらの代表的な例をあげてみましたが、これらの点は今後補完さるべき問題点であろうと思います。しかし、私自身で非常にこの点はよかったと思っておりますのは、やはりともすれば公害防止行政だけにおちいってはならない。諸外国の趨勢から見て、国立公園、国定公園を中心とした大自然のレンジャーをも含めた自然保護行政というものを大きな柱に据えることができた。これによって予算面でも行政面でも、少なくとも自然保護の行政の大きな前進があるだろうというふうに考えておるところでございます。
-
○山崎昇君 それでは、長官がちょっと用事に出られている間、少し事務的なことですが、二、三聞いておきたいと思います。
この環境庁の内容を見ますと、いままであった厚生省の国立公園部、公害部、通産省の公害部、こういうものが廃止をされて、そしてこれが今度の環境庁に移ってくる。その他、四十六年度の定員査定を見るというと、−わずか四十名足らずのものだけが何か公害定員として見られておるようです。言うならば、スクラップ・アンド・ビルドみたいな関係で今度の環境庁というものができ上がっておる。政府が鳴りもの入りで宣伝するほど、この構成内容を見ると、それほど強力なものでもなければ、何かあったものを二、三持ってきてつくり上げたというのが、言うならば環境庁になっているんじゃないだろうかという意味で、定員、それから内部の局はここに書いてありますが、どの程度の課をつくって、言うならば組織面ですが、それがどの程度のことになるのか、お聞かせを願いたいと思います。
-
○
説明員(植松守雄君) 御承知のように、環境庁の設置が
昭和四十六年度に取り上げられるということがきまりましたのは、予算編成の大詰めに近い去年の暮れであったわけでございます。そこで本来でありますと、もう少し準備期間がありますと、いまおっしゃいましたような機構、定員の問題についても十分練り上げまして、これを予算に計上すべきであったはずであります。しかし、そういう実は実際問題として時間的な余裕がなかったということでございます。そこで、とりあえずいま御指摘のような予算の計上をいたしておるわけでございますが、同時に予算総則によりまして、各省の定員、それから予算を予算総則に基づきまして移しかえるということになっておるのは御承知のとおりでございます。
そこで、現在各省と鋭意折衝中でございますけれども、長官がしばしば国会でも言明をいたしておりますように、五百名をめどとしていま各省から話をいたしております。われわれも、この各省と具体的に折衝いたしておるわけでございますが、おおむねそのめどはついております。
それから、課が一体どうなるかというお話でございますが、これにつきましても、法律事項でありますところの局以上のレベルにつきましては、この法律に書いてありますように一官房、四局ということになっておるわけでございますが、その下における課は、現在行政管理庁と、それから大蔵省主計局と、われわれ連日のように折衝いたしておりまして、これもやはり長官が国会で言明しておりますように、少なくとも二十課程度ということをめどにやっておりまして、これもおおむねめどがついておる状況でございます。
-
○山崎昇君 さらに、これからだんだんできていくんでしょうが、作々審議官といいますか、そういう職名のものも置く予定ですか。たとえば公害審議官だとか調査官だとか、あるいは監視官だとか、いろいろ名称があるかもしれませんが、そういうような職については、どの程度のことをお考えになっているのか、あわせて聞いておきたい。
-
○
説明員(植松守雄君) 現在の役所の組織の中におけるいわば官の名称でございますけれども、これについては各省によってそれぞれ呼称は違っております。概して言いまして、審議官というのは
局長クラス、省によっては
局長よりもえらい審議官というのもいるようでございますが、おおむね
局長クラスもしくは局次長クラスを審議官と呼んでいるようでございます。それからまた課長レベルのものを参事官、参事官の中にも省によって違いまして、あるいは
局長クラスの参事官というのもあるようでございますが、通常の呼称では大体課長同等という考え方でございます。こういう審議官ないし参事官というのは、やはり環境庁の場合には置く必要があるのではないかというように考えております。
で、もう一ついまおっしゃいました監視官でございますが、この監視官と申しますと、やはり何といっても第一線の現実の監視をする職名でございまして、それは現在御承知のように、公害関係の監視の事務は原則として地方公共団体にすべて委任をされておるわけでございます。ただ国のレベルにおきましては、海上保安庁等にそういう権限がございますけれども、オーソドックスな通常の公害の取り締まりは地方団体にいくという形になっておりますから、環境庁はそこまではいたしません。地方団体のそういう事務を指導、監督、助言をすることになっておりますから、したがって監視官というのはいまのところ置かれる予定はございませんが、それ以外に審議官、参事官というのは置かれることになるのではないかというふうに考えております。
-
○山崎昇君 公害関係の法律は膨大ですから、いまここですぐあなた、一体地方団体に対してどの程度のことを委任したり、あるいはまたやらせるのか、なかなか一口に言えぬかもしれない。これはどのくらいの時間をかけてこれからあなた方検討されるのか知らないけれども、やがて資料でもらいたいと思っているんです。なんならば国の機関で、直接国の出先を通じないでやっているのは、私のいままで見たところ農林省の水産庁だとか、二、三しかないですね。今度の環境庁も、これは各自治体を使っていろいろやるようでありますから、そういう点についてはいつごろまでに大体そういう内容のことがわかるのか。しかし行政事務でありますから、これから発足してやってみないことにはわからないといえば、それもまた一つの考え方だと思いますが、あまり強制はいたしませんけれども、大体のめどがあればお聞きをしておきたいと思うんです。
-
○
説明員(植松守雄君) 公害の仕事は、国が地方団体を使うというのは語弊があるのではないかと思います。これはもちろん地方におけるきわめて重要な地方団体の事務でございますから、したがいまして、国と地方と協力して公害防止のための各種の施策を講じなければならないというたてまえであろうかと思います。現在、地方団体にそれぞれの公害に関する各種の規制法が、いま御指摘のようにございます。それに基づきまして、いわゆる立ち入り検査の権限を持っておる職員が兼務職員も含めまして五千名近く、四、五千名という職員がいるわけでございます。さらにことし自治省のほうで地方交付税の算定の際に、その種の監視、取り締まりに当たる職員をたしか千八十数名増員をするということで、四十六年度から相当の増員を見込んでおるわけでございます。また、全体の数につきまして、いま私手持ちございませんけれども、それぞれの地方団体から聴取いたした感じから申しますと、最近における公害行政の重要性から、各地方団体とも相当大幅な増員をいたしておるというのが実情でございます。ただまあ量ばかりふえても、公害の問題というのは非常に科学的な知識を必要とする部面がございますし、その研修ということがきわめて重要でございます。そこで、その点につきましては、御承知のようにこの環境庁設置法におきましても、特別に公害研修所というものを設けまして、その辺の研修に遺憾なきを期するということを目標にいたしておるわけでございます。
-
○山崎昇君 もう一つお聞きをしておきたいのは、第六条の勧告権に関連をして、ここでは主として環境の保全をはかるための勧告についてかなり書いてありますが、たとえば、先ほど例に出しました食品公害であるとか薬品だとか、農薬だとか、この環境庁で直接扱わないような公害問題がたくさんある。そういうものについてもこの環境庁は勧告をする、こういうことになりますか。この六条の中にはそういうものが入ってくるのかどうかですね、その点聞いておきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは、いずれ無過失賠償の範囲の議論にもやっぱり同じようになると思うんですが、食品、薬品等については、これはやはり薬事法あるいは食品衛生法、そういうもので相当きびしい登録その他の検査もしておりますし、それらの問題をやっぱり一義的に厚生省で処理すべきものと考えました。しかしながら、農薬も同じような方法でやってるわけでありますが、農薬はしかしこういうふうな直截的な、まともに人の生命に行くようなものと違って、やはりあらわれてまいりました土壌汚染その他の、あるいは残留その他の問題として、やはり広い意味の公害対策を必要といたしますから、したがって、その部門については環境庁の長官の権限は当然及びます。しかし、薬品、食品、そういうものについては、一応厚生省の権限に残してあるということでございます。
-
○山崎昇君 時間がありませんから、あと一、二点でやめますが、今度のこの環境庁の中に自然保護局というのがつくられるわけです。おそらくこれは保護協会とか野鳥の会とか、多くのそういうものを一括して内局として取り扱うことになるんだろうと思うんですが、ただ私は、この自然保護局の問題は、農林省のほうから公園の問題が移ってまいりますけれども、最近観光行政と関連をして都市公園といいますかね、そういうものがにわかにふえてきているんではないか。また、私どもがこの公園へ行ってみますというと、動物園なら動物園でいいんだけれども、この公園政策の一環として、幾らか動物を飼っているというところもある。あるいは全く観光で、個人のうちがたくさん飼っているうちもある。それによる、この間、北海道ではクマの被害もありまして、何か起きれば問題になるんですけれども、行政上、環境庁から見て、こういう都市公園といいますかね、観光行政とも関連をして、この自然保護といいますか、そういうものについてはどういう御見解を持っているのか、この機会に聞いておきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 都市公園については、先ほど申し述べましたとおり、やはり都市計画の一環としての計画性が優先するだろうと考えたということは申し上げましたが、観光行政というものから見て、今後の環境保護という問題から考えますと、最近の観光は、人為的な観光立地というものですか、客寄せといいますか、そういうものが非常にふえてまいります。これは富士の自動車道路を例にとるまでもなく、微妙な、何万年と自生してまいりましたそういう自然の山野というものは、人間の手によって改良なり、あるいは——いままでは改良と思っておりましたから——いろんな工事が加えられました場合の天然に与える影響というものについては、私たちは少し観光行政の角度からも考え直す時期に来ていると思います。これはまあ洞爺湖の透明度の問題でありますとか、そういう問題もあることでありましょうが、こういう問題をひっくるめて、今後の観光行政そのものも、環境保護という分野をやはり考えなければならぬ。これはことしの観光白書をつくりますときに、そういう議論を相当いたしたわけでございまして、これは今後やはり急速に考えるべき課題の大きなポイントである、私もそう思います。
-
○山崎昇君 次に、付属機関の研究機関について一言だけお伺いしておきたいのですが、今度公害研究所等ができるわけでありますが、そのほかに各省ごとに持っている研究機関で、やはり最近はいろいろな公害について研究していますね。こういう研究機関全体に対して一体環境庁はどういうお考えを持ち、どういう政策を進めていくのかという点が一つと、もう一つ、私がいろいろ研究機関へ行ってみますと、学会という意味では研究員の集まる機会はあるけれども、研究員という立場で集まる機会がない。言うならば、交流をして、いろいろデータについても、あるいはまた他の研究者の勉強するといいますか、そういうことについてほとんどない。そういう意味で、全国の問題別にやればたいへんでしょうけれども、やはり一年に一ぺんか二度は、全研究機関の研究者を集めて交流をさせるということも私は必要でないかと思うのだが、そういう点、今後、公害が全国的にこれは分布しており、問題が広範でありますだけにたいへんだと思いますが、そういう考え方がもしあればお聞かせいただきたい。もしなければ、ぜひそういう要望が強いのでやってもらいたいと思うのですが、長官の見解を聞いておきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) まず最初の各省で現在行なわれている各種公害の省独自の研究機関による部門をどうするかという問題でございます。これは環境庁本庁と違いまして、付属機関として国立公害研究所は四十八年三月三十一日までの間になるべく建築を急いで、早く所を発足させたいと思っておりますから、それができますと、各省庁で行なっている分野で公害研究所のほうに移るべき分野もおのずときまると思います。しかしながら、その後もあるいはそれ以前の問題として、現在すでに各省庁で見るべき分野を、成果をあげていながらも、各省庁の中だけで還流してしまったり、あるいは都合の悪いデータは相手の官庁に知らせないようにと思われる節もあるわけです。ことに、民間の研究機関と国との研究分野の交流もありませんし、国立大学の研究分野は文部省すらタッチしていない、いろいろな問題があります。そこで、データバンクだけは、これは建物があろうとなかろうと、発足させることが可能な分野において、すでに今年度は予算をとっておりますので、まずデータバンクを出発させることによって、そこに資料を各省から集めて、そうして解析、分析して、できれば国際的な研究のデータにしたいと思っております。
現在アメリカでマグロの水銀汚染、最近はメカジキの議論が盛んになっておりますが、そういうものも、そういう権威のあるものがありますと、向こうから今度は調査団が来るようでありますが、そういうときも、よほどわが国では体制をきちんと整えて打ち合わせておきませんと、水産庁があったり、厚生省があったり、ばらばらしておりますと、私はアメリカからあらぬ日本の、たとえば例をとるならば、メカジキに対する水銀の汚染の研究不足と、したがって、アメリカが進んでいるのだからこれを国際的に禁止しようというようなことに持っていかれるおそれがあると思いますので、これはやはり急ぐべきだと思います。それから研究員が、それぞれ地方にも県立試験場とかいろいろあるのでありますから、これの交流が少ないという点は、一番いままで議論されてなかった点でございます。しかしながら、公害研修所というものはこれは東京都に——国立公害研究所は筑波のつもりでおりますけれども、公害研修所は東京都に置くつもりでございます。これの一義的な目的は、各県に権限をおろしました反面、各県がそれぞれ恣意に立ち入り権限その他を行使しながら、県境によってばらばらの公害取り締まりが行なわれても困る。そこで、さらにそれに加うるに、いわゆる全国平均したレベルの行政が展開されると同時に、日進月歩いたします研究成果あるいは公害の態様の変化、それに対応する測定やあるいは監視の方法等、そういうものを、地方の立ち入り権限を持っておるような第一線の職員を絶えず東京に集めて研修をさして、また地方に帰すと、こういうことを一義的な任務といたしておりますが、場合によっては、ただいまヒントがありましたので、そういう研究所の職員の中央における研修、あるいは合同研究、あるいは発表、こういうようなもの等も織り込んでいけるのではないかということをいま考えましたので、今後検討さしていただきます。
-
○山崎昇君 それでは、自治省来ておりますか——自治省に二つほどお聞きをしたいと思います。
一つは、公害基本法によれば、自治体もかなり責任を負わなければならぬことになっていまして、先般自治省から出された各自治体における公害担当部局だとか、あるいは公害関係の条例案の制定の経緯だとか、二、三出されておるものがありますが、これを見ましても、かなりな自治体でこの公害関係についてやはり力を入れていると思うのです。そこで、自治省としては、この自治体の公害関係の機構というものをどういうふうに整備をしていくおつもりなのか。これが一点。また、その予算といいますか、財政的裏づけといいますか、そういうものについてどういう積極的な政策をお持ちになっているのか、これをお聞きしたいと思うのです。特に、あなたのほうの出した資料を見るというと、すでに四十六の都道府県で公害担当組織があって、千三百人がもう公害担当専任職員でおるという、市町村では千七百四十六名がおるという、こういう実態から考えると、これからますます環境庁等ができて、公害問題に国が本腰を入れていくということになれば、私は当然自治体の組織もそれに対応せざるを得なくなってくると思うのですが、それについては自治省は一体どういう指導をされるのか、あるいはどういう御見解を持たれるのか聞きたいということと、あわせて地方自治法百五十八条について一点だけお聞きをしておきたい。
百五十八条によると、あそこに羅列されております部以外の部をつくるときには、一々自治大臣に協議をしなければならぬと、もう私はそんな時代ではないんじゃないか、こう思うんですが、これはほんとうは私は国家行政組織法のときに質問してみたいと思っている一項でありましたけれども、この行政機構整備というものは、これだけ世の中が動けば、やはり自治体だって動いてくるわけでありますから、当然この百五十八条というのはもう私はなくすべき時期にきているのではないかと思うのだが、あなたの見解を聞いておきたいと思う。そして、事前に自治大臣に協議をせよというやり方も私は改めるべきではないかということが一つ。もう一つは、これは国家行政組織法を見ればわかるとおり、組織は省あるいは庁、あるいは
委員会、部局としては局、部、課と、こうなっているわけです。ところが、自治体にまいりますと、都道府県は部であって、市役所へいくと局になっている。どうもこれらについて各地方あたりからずいぶんやっぱり意見がある。そういう意味では自治法の組織規定に関してはかなり再検討すべき時期ではないかと思うのだが、この点についてあわせて聞いておきたいと思う。
-
○
政府委員(岸昌君) ただいま御指摘のとおり、地方団体は直接地域住民の生命及び福祉に対します責任を負っております関係もございまして、公害行政につきましては、従来からもかなり進んだ施策を行なっております。また、先般制定されました公害関係の諸立法によりまして、地方団体に対する権限が飛躍的に拡充されましたことも御指摘のとおりでございます。このような観点からいたしまして、自治省といたしましても、公害行政体制の整備、それから公害担当職員の質的な向上並びに公害の監視、測定体制の整備につきまして、地方団体に対しまして強力に助言なり指導をいたしてまいっております。
ただいま御指摘のありました点につきまして、特に
昭和四十六年度の地方財政計画におきましては、ほかの職員につきましては極力削減をいたしております中におきまして、公害関係職員の増員といたしまして、先ほども御指摘ありましたように、県六百九十人、市町村三百九十四人の増員を措置いたしておる次第でございます。財政的な措置といたしましては、このほかに地方交付税におきまして四十六年度は約百三十億円の増額、それから地方債におきましても、前年度に比べまして三百十一億円増の措置をいたしておる次第でございます。
地方自治法の百五十八条につきましてただいま御指摘がございました。確かに急速に変わりつつある社会情勢に対処いたしまして、地方公共団体の組織も弾力的でなければならないと存じます。しかし半面、地方公共団体の組織も簡素であり、かつ能率的なものでなければならない、こういう要請がございます点も御理解いただけると存じます。国におきまして、その機構が法律をもって国会の審議事項にされており、また、総定員法のワクが示されておりますと同じように、地方自治は尊重しながらも、やはり標準的な機構というものを自治法において示していくというのが、地方自治法の基本的な考えでございます。もとより公害行政、環境保全行政等のように、現代の要請からいたしまして特に緊急な部局の増設につきましては、御協議をいただきました際に、自治省といたしましては、これに弾力的に応じており、決して硬直的な態度はとっておりませんので、その点は御了解いただきたいと存じます。
-
○山崎昇君 百五十八条はね、あらためてこれやりますがね。多くの矛盾があるんじゃないですか。たとえば二百万、三百万の六大都市ね、都市は何の制約もないのですよ。しかし、七十万か八十万の県になれば、たとえば島根県でもそうですが、鳥取県でもそうですが、そういうところが自治法の百五十八条であなた方縛るんじゃないですか。ですから私はきわめてその点はもう不合理だと思う。何で自治省は法律でそれを縛らなければならぬか。条例で全部つくればいいじゃないですか。そして事前に承認を受けなければならぬというに至っては、いまのあなたの答弁では答弁にならないと思う。だから私はここですぐどうというわけじゃありませんが、少なくともこの百五十八条については検討しておいてもらいたい、直してもらいたい。そうでなければ現実につじつまが合わない。そうでしょう。大きなといいますか、小さい市でもそうでありますが、市の場合には何の制約もなくて、県だけああいう百五十八条で縛るということ自体がおかしい。そして県のほうは部であって、市のほうは局であって、私は、部長だからだめだとか、
局長だからいいというわけじゃありませんが、やはり行政機構を考える場合には、やはりある程度統一しなければいかぬと思う。そういう意味で言うならば、それがまたさかさまになっているわけですから、そういう意味で百五十八条はもう時代に合わない。自治省がそうしなければならぬ理由もない。そういう意味でこれは強く、検討してもらいたいし、撤廃をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思う。
最後に厚生省おられますか——それじゃ厚生省に一点お聞きして質問をやめたいと思うが、公害問題を考えるときに、保健所という役割りがたいへん重要性を帯びてきていると思うのです。ところが、残念ながらいまの保健所の機能ではどうにもならない。したがって厚生省としては、これら公害問題と関連をして、保健所の機能というものをどういうふうにお考えになるのか。私はまあ具体的にきょういろいろお聞きをしようと思って調べてきているのだが、
昭和四十三年以降ほとんど八百三十二という数で押えてみたり、あるいは人口十五万以上になるというと、その市で設置しなければならぬというけれども、最近はほとんど五十万、六十万の人口ができても、保健所の設置とか、あるいは出張するにいたしましても押えられるとか、さまざまな制約があり、人員についてもほとんど拡充されておらない。こう考えるときに、私、保健所の役割りというものはたいへん重要性を帯びてきていると思うのです。特に食品公害でありますとか、こういう二、三名だけの食品衛生監視員だけ置いて、食品公害をどうこうすべきものではないと思うのですね。そういう意味で、私は保健所の機構というものは重要性を帯びてきているんだが、一体厚生省は今後この保健所というものをどの程度どうされるのか、あるいは公害の問題と関連して、どういう機構改革等行なっていくつもりなのか、この一点だけ聞いておきたい。
-
○
政府委員(浦田純一君) 地域におきまする保健衛生の中心機関である保健所が、やはり公害対策の機能を果たしていく、その一翼をになっていくということは必要であろうと思います。また、その必要性はますます高まるものであると考えております。このために従来から保健所に公害担当の職員を配置してきております。まあ数はわずかでございますけれども、
昭和四十四年度に三十三人、四十五年度に三十三人、また四十六年度には五十七人、これは全く公害専任の技術担当の職員でございます。これらの配置を考えてきております。また、公害の測定機器を整備いたしまして、公害に関する苦情処理と、あるいはことに健康にかかわる問題、健康診断、測定器監視等につとめてきているわけでございます。また、将来を見越しまして、公害問題に対処するために保健所の機能がいかにあるべきかということについて、現在保健所の基本的なあり方について検討いたしておる保健所問題懇談会の意見を参考にいたしまして、公害対策機能の強化について積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておるわけであります。
-
○山崎昇君 積極的に取り組んでまいりたいと、こう言うんだが、もう少し具体的に言ってもらいたい。たとえば、私ども保健所へ行っていろいろ聞きますとね、いま法律上では結核、性病と歯科ぐらいしか治療できないことになっておる。あとは集団検診ぐらいしかできないわけです。ですから保健所の性格そのものも、もう少し診療がやれるように、あるいは結核はだんだん少なくなってきて、地域の風土病だとか、あるいはまたその他の病気等がかなり多くなってきておる、そういうものに対処できないんですね、いまの保健所では。ですから、あなた方中央で、机の上だけで保健所をどうこうというよりも、もう少し保健所がほんとうにどんな役割りを果たしているのか、あるいはもっと、保健所が役割りを果たしておるならば、ああいうイタイイタイ病だとか、あるいはまた新潟県の阿賀野川の問題でありますとか、ああいう私は公害病の問題についても、もう少し行政機関として手が打てたんではないだろうか、こういう気がしてならないわけです。したがって、この保健所の機構の拡充といいますか、人員の整備といいますか、そういうものについて、具体的にあなたは一体どういうことまで考えているのか、四十六年度はもう予算きまっておりますが、少なくとも四十七年度以降どういうことをお考えなのか、もう少し具体的に明らかにしてもらいたい。
-
○
政府委員(滝沢正君) ただいま環境衛生
局長より公害に関連のある保健所機能についてお話がございましたが、先生お尋ねの保健所全般の強化策と申しますか、時代の要請にどう対応していくかということにつきましては、先ほど環境衛生
局長からお答えしましたように、保健所問題懇談会を開いて討議をいたしますので、先にわれわれのほうからその事務的に考えております問題を明らかにすることは、具体的には多少問題がございますけれども、先生おっしゃるように、確かに医療あるいは健康診断というような機能に、いまのように四二%しか医師の充足のない保健所が、さか立ちをいたしましても、これはこの国民の要請に十分こたえることはむずかしいわけです。
そこで、保健所問題の懇談会の主要な議題の一つになろうと思いますけれども、保健所法の中に、保健所運営協議会というものがございますけれども、これは終戦後、保健所を地域に設定して、その内容を充実していく、名前のとおり保健所の運営をはかると、御協議願うというような性格でございましたけれども、もはやそれは地域の保健問題をみんなで話し合うような仕組みのものに変えていかないと——これは保健所自体の調整、企画全体を見ていくという能力の発揮の方向にむしろ充実すべきであって、地域社会資源をやっぱり十分活用する方向を考えなきゃならぬ。しかしながら、保健所の職員のやはりいまの数ではこれは十分とは言いがたい面がございます。したがいまして、農村地区などでは、むしろ食品監視業務というようなものはもっと都市の中央の保健所から小さい保健所もカバーして、公害対策のような行政というものはもっと中心的な保健所を設定して強力にして、そこからカバーすればいい。むしろ住民に一番密接したところの対人保健対策と申しますか、いろいろの健康診断とか、そういうようなものは、むしろもっと緻密な人口単位に設定すべきではないか、こういうような衛生部長会議等の御意見もございますので、私も行政の立場からはそういうように性格を変え、強化すべきものは強化していくと、こういう方向をはかる必要があると思っております。で、地方自治の中で保健所問題というものが非常に大きく今後ともクローズアップしてまいりますのに、終戦後二十何年たった保健所の姿というものが非常に立ちおくれておるというような立場から、早急に結論を得たいわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう重要問題でございまして、厚生省各局にまたがる一番第一線の機関の問題でございますから、若干時間をかけましても、やはり基本的な問題を論じまして、拡充強化をはかっていきたい、機能分化的な強化をはかっていきたい、こういう考えでございます。
-
○山崎昇君 いま
局長から何か積極的な姿勢のようなものを示された。私はそれでまあきょうはやめにしますけれども、こういうところで質問すると必ずあんた方は検討しているとか、あるいは意見を聞きましてなんてこう言うけれども、ほとんど進んでないんだな。保健所なんていうのは
昭和十二年にできて、
昭和二十二年に一部改正あったとしても、もうすでに二十何年たっているわけでしょう。そうしてこれが私どもが行ってみるというと、保健所自体で検診ができなくて、車持ってきて、そして巡回の車の中で住民を裸にして健康診断やっている。そういう保健所すらある。ですから私は、問題点はもう明らかになっておるのに、ただ検討します、いや懇談会でどうします、そういうことではもうどうにもなりませんから——その懇談会というのは、せっかくあんた方やられておるようでありますから、一体いつごろ結論が出るんですか、それなら端的に聞きますが。
-
○
政府委員(滝沢正君) この懇談会は、予算をいただきまして四十五年、四十六年とやっておりますので、若干作業は、十分進んではいませんが、私としては四十六年度中にこの作業は終わりたいということでございますから、まあ事務的に残念でございますが、実際予算上に具体化するのは四十八年度の予算要求からになる。四十七年度には少し間に合いかねるというように思っております。
-
○山崎昇君 あんまりそれはゆうちょうじゃないですか。あなた、これだけ環境庁議論されて、そうして、少し私は環境庁の設置ということについては拙速的な面もあるけれども、しかしこれだけ政治的に燃えた問題で、政府も勇断ふるったわけですね。ですから、多少の欠陥あるとしても私ども賛成しているわけなんだが、その第一線の機関の保健所のあなた強化がまだ結論出ないで、四十八年度から予算どうかなんて言っているんでは、とてもじゃありませんけれども、この公害問題進みませんよ。ですから、少なくとも私は一そうかといってあまりどうでもいい結論でも困るけれども、少なくとも四十七年度ではやはりそれ相応のめどがつくように早めてもらって対策を講じてもらいたい、このことを強くひとつ意見として申し上げて私の質問を終わっておきたいと思うんです。
-
○森勝治君 大臣のお名ざしでありますから、これから若干時間をかりて御質問をしてみたいと思うのであります。
御承知のように、最近は公害を語らずして政治を語るなかれ、こんなことばがはやり出しました。けだしまた、公害問題が物価問題などとともに、国民にとりまして最も重大な問題となっておりますですから、この
環境庁設置法案の審議を国民は注意深く見守っておることでありましょう。われわれは、さきに野党共同提案をもちまして、環境保全基本法案を提案いたしまして、政府案のあいまいな点等を対比させながら、政府の意見をただしてきたところであります。
そこで、私は第一点としてお伺いしたいんでありますけれども、この法案によりますと、環境という名称を持ちながらも、所掌事務のおもな内容は、従来の公害対策であり、いわば局所療法的とでも申すのでありましょう。一、二の自然保護行政が取り上げられているにすぎないと私は思うのであります。したがって、政府はこの環境庁に一体どのような権限を与えられようとしておられるのか、その点まずお伺いをしたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 環境庁の基本的な権限と申しますか、姿勢と申しますか、おおむね二本の柱に分かれておると考えております。一つは、ただいまのお話になりましたように、自然環境の保護という点が重点でございまして、その内容は具体的に国立公園あるいは鳥獣保護、狩猟行政、こういうところの分野をとりあえず出発をさせますが、今後環境保全行政というものが大きな柱になっていくであろう。いま一つは、盛んに議論をいたしてまいりました結論としての公害防止あるいは抑圧、再び再発をさせないもろもろの施策を策定推進していく公害行政そのものというものの分野と、大きく二本の柱に分かれて進めていくつもりでございます。
-
○森勝治君 環境政策の総合性から見ましても、また二十一世紀にわれわれ人類がはたして生き残れるかどうか、こういうような重要な問題性もあるわけでありますが、そういう観点からいたしますならば、環境庁にもっと包括的な権限を与えてしかるべきだと私は思うんでありますが、この点いかがですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 私も同感でございます。今後環境庁が出発いたしましたならば、一番大きな基本的な命題への取り組みは、日本の国土の新しい見直し、すなわち放置された結果、自然に太平洋ベルト地帯に工業も起こり、人も集中し、あらゆる面の過密都市の悪い面も出てきたし、経済も伸張した。しかしながら、日本の六割以上の土地は山岳地帯である。こういう貴重な天然資源も保持しながら、なおかつその活用がごく一部の限られた平地の中の、特に太平洋ベルトラインに集中してしまった。その政治の結果というものを反省しなければならぬ時点にきていると考えます。したがって、新全総も一応明らかにされたわけでありますが、これは沖繩が返ってまいりまして、一ブロックとしての新しい
改定をいたしまする際には、やはりもっと公害環境保全という分野から日本列島の見直しという点に、いわゆる土地政策という点に環境庁というものが主導権を持っていけるときを、時代をつおくらなければならぬと考えますし、アメリカのようなああいう広漠たる砂漠や荒れ地などを持っている国であっても、大統領の教書にもそういう荒れ地もレイアウトの対象として考えろというような点を勧告をしている点から見ても、私たちの乏しい国土というものに対する取り組み方というのは、まだまだ姿勢を改めなければならぬ点があると考えます。したがって、その論理を進めてまいりますれば、やがては、通産省の許認可行政は残るとしても、産業立地その他の問題についても、やはり環境庁というものが一義的な国民全体の立場からしてものをいう行政分野というものに取り組んでいくべき命題が、新しい第一歩であろうと考えております。
-
○森勝治君 この法案を見ますと、自然環境ということばが使われているのでありますが、生活環境の保護、保全などということばがここから見出せないのです。われわれをもって言わしめるならば、最も重要な生活環境は「その他環境の保全」ということば、これにどうも「その他」ということですり変えられている。そういうふうに私は受け取っているわけでありますが、自然環境の保護、整備にいわゆる重点を置いて環境庁というものはスタートさせるのか、あなたは私の冒頭の質問に自然環境と公害防止という二つのお答えを、二面を持つのだというお答えをいただいたわけでありますが、この文字から見ますと、私が以上発言したようなそういうふうにしか受け取れないのであります。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ちょっと結びが御感想みたいになったものですから、ちょっとちゅうちょしましたのですが、要するに生活環境ということばの問題だと思います。私たちとしては、環境保全ということばというものは、もちろんそういう生活環境も含めて、第三条で、「公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全」という意味でとらえているつもりでございますが、第四条の所掌事務の範囲の中にもそういうつもりで公害防止施策を進めていくわけであります。しかしながら、たとえば日照権とか、その他の特定の地域であり、あるいは特定の人であっても、生活環境というものにとって重大な脅威を及ぼすそういう問題等について、この環境庁ではそこまで進んでまだ触れておりませんことは事実でございます。
-
○森勝治君 とおっしゃることは、衆議院のたぶん
委員会等のあなたの御意見から推察いたしますと、当面自然環境、いわゆる自然環境の保護、整備のほうに重点を置いているんだと、こういう御発言をしたように私は承っているわけでありますが、そういう受け取り方をしてよろしいですね。生活環境は従だ、こういう受け取り方をしてよろしいですね。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 自然保護の中には鳥獣保護まで含むわけでありますから、もちろんそれよりか優先すべき人間というものが無視される環境行政というものは私はあり得ないと思います。しかし、他面において、例を日照権にとったのが悪いのかもしれませんが、そういう私権上の対人紛争というようなものまでを環境行政の中に取り入れてないという点があれば、それは事実でございます。しかしながら、環境庁をもって出発をする公害防止行政というものは、人間が生活をするための環境というものが、公害という現象によって脅かされない環境というものをつくるんだと、そのために排出源についてはきびしく、そうしてまた環境基準等についても、人間の生活環境のあるべき姿を目標値と定めて、それに向かってアプローチを開始するということを示していると思います。
-
○森勝治君 先ほど山崎
委員の質問の中で、政府案三条、四条の問題が質疑応答の中で出てまいりましたが、政府案の第三条では、環境保全行政を総合的に推進をする、こういうことにはなっているわけであります。ところが、私ども、野党が出しております第三十五条には、「環境の確保に関する基本的施策を統一的、総合的かつ計画的に実施する」、こういう表現を用いているわけです。そうなりますと、政府案と野党案は明らかに違いがあると私は思う。政府案は庁の役割りを、政策の企画、立案、推進、あるいは事務の総合調整、これは第四条であります。この事務の総合調整のみにとどめて、依然として各省の環境保全行政のいわゆる縦割りとか縄張りとかの弊害を残しておるような気がしてならぬのです。この点についてどうお考えですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ここにことばとしては、第三条で計画的ということばは出てまいりませんが、実際上に環境基準、あるいはそれらを達成するための規制基準等を定めます際は、もちろん年次計画的にまいりますし、公害防止計画等をそれぞれの地域に対して次々と追加してまいりますし、明日の閣議でも、東京、大阪、神奈川、そしてその周辺の四県等を含めた公害防止の基本方針を示すことにいたしておりますが、これらの問題は、いずれもやはり年次計画を示しながら進んでいくわけでありますので、実質はそうたいして違わぬと思いますが、いま一つの問題としては、野党の提案されました案の三十五条のところで見ますと、「基本的施策を統一的、総合的かつ計画的に実施するため、」、この点はやはり総合的に私も違いを認めざるを得ません。ということは、先ほど私が山崎
委員にお答えしましたように、実施行政の中でとり得なかったものについて——とるというのはおかしいのですが、統合し得なったものについて、具体的に率直に意見を申し述べまして、さらにまた新しい考え方、御質問に対する答えになるならば、たとえば水質、大気あるいは騒音等に電気ガス事業の適用除外でそれぞれの個別法によることになっております。これら等も原料のローサルファー確保の国際的な問題、あるいは公益事業としての瞬間的に一工場を停止せしめた場合、供給される地域にそれをスイッチしていくというような行政等の必要性、そういうもの等を考え、一応昨年の国会等でも論議を呼んだところでありますが、適用除外についてでございますけれども、全体の環境庁長官の勧告権は及ぶとしても、やはり適用除外というような姿勢はなるべくすみやかに直していくべきではなかったろうか。その意味では社会党提案の案のほうが、環境保護あるいは公害防止、そういう面にはより野党提案のほうが直截的に作用したであろうと考えますが、私ども政府のほうは現実にやはりつくらなければならないという立場にございますので、先ほど申しました例をとりますならば、下水道行政、水道等はなるべく早い機会に予算面の再検討も含めて移しかえを、あるいは電気ガス事業等については、いまのところ燃料、原料の確保あるいは公益行政の点から通産省にしばらくはゆだねざるを得まいというような妥協した点がございます。その点は私どもはやはり政府でございますので、ただ極端な議論で、両立して議論をしておりましては法案ができないわけでございますので、そこでやはり今後に研究課題の幾つかを残しておる点は率直に認めたいと考えます。
-
○森勝治君 長官、やや正直にお答えになった。野党案のほうの優越性というものをややお認めになった。また、所管の長として一〇〇%いただきますということばが、あなたはほんとうは手を出そうと、いただきますと発言したいところでしょうが、それはあなたの立場は了といたします。
そこで次の問題に移りますが、たとえば企画、立案等にいたしましても、過去の実例でありますが、経企庁の単なる机上プランの立案の類似のような気がするわけです。しかも、それがいまのようなお話がありますから、個々の行政の実施の中で、どうもネグられるような可能性が私は生まれてくるような邪推を持つのであります。この際、あえて邪推という表現を用いますが、どうもそんな気がしてなりません。そこへいきますと、野党案は総合性の上に統一性、計画性を持たせて、保全省に強力な権限を与える。そして環境保全行政には他の行政に優位性を持たせることによって、いま申し上げた計画の立案、実施を可能ならしめている。これは環境政策の成否というものが、われわれ人間の生存にとって重大なポイントになっているこの時代の要請に沿い得たものと、われわれは野党案を自負しているわけです。
したがいまして、いま政府案の中身を見ますと、他省庁ですね、他の省や庁に対する勧告権だけではどうもその辺が弱いような気がする。もちろん長官はスタート早々、提案早々だから、法案の不備政善ということを言外にほのめかされて売りますけれども、どうもその辺が私どもはふに落ちないと申しましょうか、たよりないと申しましょうか、もう少し強力な方法をもってしたらどうか、こういう気がするわけですが、その点はどうでしょうか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) その点は第六条の環境庁長官の権限の問題でございますが、もしこの第六条の四、五、ことに第五項を法律上の権限として付与しなかったならば、あるいは危惧されるように、ほかの役所の非難をしておるわけじゃありませんが、経企庁の物価行政が非常に四苦八苦いたしております。そういう色男、金と力はなかりけりなんということがいわれるおそれのある状態に、あるいは環境庁になってしまうと言われると、返すことばがあるいはなかったかもしれませんが、しかしながら、この第六条における二、三、四と、勧告をやった場合には報告まで求められる、報告が勧告と食い違ってあるいは誠意がない。総理は不協力という表現を使われましたが、そういうことであったならば、最終的に第五項の伝家の宝刀を総理に抜いてもらおうという権限を付与するわけでありますから、その意味では、経企庁の物価行政に対するもどかしさというものを、これは質が違いますから、ほかの省庁の例を引くつもりはございませんが、同じ政府でございますので、そういうつもりはありませんけれども、環境庁としてはそれらの点は十分考えて、この立案のときに最も大きな権限上の問題点として、第六条第五項という点を重視して入れたわけでございます。
-
○森勝治君 たとえば文部省との所管の場合、これは具体的な事例をもって質問いたしますが、自然環境の場合、いわば古墳とか、そういう場合に、これの案ですと、単に所管の庁、いわゆる環境庁に連絡するとか通知するとか、あるいは意見を聞くというだけにとどまるだけであって、じゃ、それは環境庁の立場から見れば、よいとか悪いとかというそういう具体的なところまではいっておらない。役所の単に連絡、通達でこと足れりとしておるのではないか。私は、たくさんの事例がありますけれども、ただいまその一例だけ、時間がありませんから、一つの例だけをことあげして質問しているわけです。ですから、あなたがおっしゃったように、先ほど総理も協力だとおっしゃるけれども、他の省や庁等につきましては、いま言ったようにどうも弱いような気がしてならぬわけで、これがげすなことばでいう縄張り根性にややもするとつながるような憂いがありますから、もし縄張り根性につながって、環境庁ががんじがらめになるとすれば、これはゆゆしき大事だと私は思うのです。私が例示をいたしました点につきましては、ごく微小な部分でありますけれども、一つの例として私は申し上げたわけです。ですからそういう点についても、一例で申し上げたわけですから、あなたのお考えをもってしたら一体どうなるのか、その辺をお伺いしたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ただいま例に引かれました文化財保護法のあり方に対する環境庁との関係ですが、文化財、これもよその役所の批判じゃありませんけれども、文化財保護という立場からいきますと、ともすれば点、点と申しますか、ポイント、そういう感じで物体をとらえ、あるいは遺跡、建築物、そういうものをとらえがちでございます。しかしながら、やはりこれは自然景観というものの中で保存されてきたために価値のあるもの、あるいはそのものだけではこれは単なる物体だけにすぎないので、やはりそういうものがなぜ残ったかという歴史上の周辺の風致というようなものがどうしても背景になければならない。したがって、今回の場合においては、文化財保護に関して環境庁長官が、天然記念物、名勝、そういうものの地域指定をしようとする場合に、自然環境の保護の見地から価値が高いと思う場合には、環境庁長官のほうから、環境庁長官の意見をまず聞かなければ指定できないというふうにしてあるわけでございます。これは何も法律なしにやったわけでありますが、古都保存法と文化財保護法とが一見なわ張り争いみたいなふうにして飛鳥保存というものをやりました。この際は総理大臣の意向もございまして、法律にはございませんが、実際上私が中に入って、風致地区その他を広範囲に指定し、そして万葉の姿の当時のものをなるべく保存するという広い景観というような面から考えた上の文化行政というものと一致するような案をつくったわけでございます。今後は環境庁ができますと、当然文化財保護法あるいは古都保存法、そういう分野にまたがって、ただいま飛鳥で行なおうとしておりますような方向からのそういうような感じの行政が展開されてまいるものと私は期待いたしております。
-
○森勝治君 次に、公害対策審議会の権限の強化について質問をしたいのであります。これは先ほども御質問があったわけでありますが、環境行政というものを強力に推進をするためには専門的な諮問機関も、またそれにふさわしいものでなければならないと私は思うのであります。政府案の第十一条を見ますと、従来の総理府設置を環境庁に移しかえて、任命は総理大臣と、こういうことになっているわけであります。私どもが提案いたしました野党案では、環境保全省の付属機関、両院の同意を得て任命する、こういうふうに相なっておるわけであります。したがって、まことに失敬でありますが、政府案のように従来の任命だけでは必ずしも公正な人事とは言いがたい。私どもの立場をもっていたしますならば、まことに失礼でありますが、特に経済界等についてはだいぶ御遠慮なさっておるというようなお話も聞くわけでありますが、私どもの目から見れば、すなわち国民の目から見れば、適切な任命が行なわれることを心からこいねがっておるわけであります。そういう意味からいたしましても、国民の意思の反映という、こういう立場からいたしましても、国会の承認を得たほうがその権威を高める上からも好ましい、私はこう思うのであります。したがって、あなたも先ほどの、一つ一つの具体的な事象の問題については野党案のほうが若干進んでいるような同意を一部で示されましたが、こういう問題につきましても、私どもが提案しているような方策のほうがよかろうと思うのでありますが、この点はどう考えておられますか、お伺いいたします。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは国会同意人事とすべきものであるかどうか、これはおのずから判断の問題でございます。同意人事であるからそれが重視されておるとばかりも言えませんし、また、今回は非常に水質審議会等を廃止するかわりに、二十人を八十人に改めて、それぞれの部会の活動というものを、底辺を広くしまして、そしてそれぞれの部会が活動いたしますものが、そのまま八十名の審議
委員の中で、
委員としてそれぞれおもてに出て全体の討議に付せられるという形をこれからとってまいりたいと思っておるわけであります。したがって、われわれとしては、これからエコロジィー的な分野に至るまで、あるいは先ほど申しました土地政策に至るまで将来は考えた
委員の人選というものをしなければならないであろう、こういうふうに思うわけであります。
財界等に遠慮しているということでありますが、この私に関しまする限り、いま私があずかっております公害担当大臣としての行政に関しまする限り、私は全然遠慮したこともありませんし、また、遠慮するような男ではございませんので、私に関する限りはございません。しかし、将来これはだれがなるかによって、人によって違ってくる問題であります。これは法律によって違う問題でもなければ、機構によって違う問題でもありませんので、そういうことのない姿の環境庁というものでなければならないということだけを申し上げておきたいと思います。
-
○森勝治君 外国の例と比較をいたしますと、非常に政府案というものは見劣りがあるわけです。たとえばイギリスの例をとりますと、イギリスの環境省は住宅、運輸、地方行政省も統轄をして、あなたが言われた土地政策、いわゆる土地利用、公共住宅、輸送の計画まで直接コントロールができるようになっているのです。ところがこの政府案によりますると、環境政策にとって土地政策が重要だとあなたが言われたこの重要な土地利用計画も、住宅行政については環境庁には実質的な権限を持たせない、こういう違いがあるわけですが、この点はどうお考えですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 私はあまりイギリスの環境保護省、実はあまり敬意を払っていないのです。というのは、イギリスはいままでのありました各省庁というものを、住宅、地方行政、運輸等を集めて、それを環境保護省といいますか、そういう名前にしたにすぎないという感じがいたします。やはりもう少し体系立って公害発生を防止し、そうしてやはり自然の、人間の、その国内において住むべき基本的な条件を充足させるというような新しい角度からであったならば、もう少し換骨奪胎した形で進むべきはずであるというふうに考えておるわけでありますが、しかし、四千名余りの犠牲者を出した後、大気浄化法でもってロンドンの空をきれいにした歴史を持つイギリスでありますから、もう少しこれらは詳しく調べてみたいと考えますが、フランスもまだ取り組んでいる最中で、先ほどどなたからか話がありましたような、四十二歳の与党の書記長のプジャードが就任をして、いまからその機構づくりを研究をしておるようであります。私のほうにもそちらで発行するフランスの雑誌に寄稿を求めてきておりまして、日本に対しても非常に資料要求等がきております。やはりアメリカが、いま環境保護局をつくっておりまして、これが六千名という大世帯で、ただしアメリカもSSTの関係でありますか、騒音だけは入っておりません。その点等は少しおかしいなという気もしますが、一方においては、やはり強力な大統領直属の諮問
委員会の三人
委員会、ラッセル・トレイン氏の
委員会をそのまま残しておりますので、これはあさって私出発をいたしますが、アメリカにおける日米公害関係閣僚会議において、よく両者の長所、欠点等をお互いが確認し合って、よりよきものを学びとってきて、日本の参考にしたいと考えておるのであります。
要するに概括しますと、どこの国も環境保護行政というもので、これは典型的にすばらしい進んでいると思われるところにはまだ到達していないんではないか。スウェーデンの環境保護庁も、やはり農林省の管轄下の役所にすぎない。やっている質は非常に高いものなんでありますけれども、それらをあれこれ勘案しながら、この公害汚染への戦い、環境破壊への挑戦というものに世界がいま一斉にスタートについたところだ。ただし、日本においては公害というものが人の健康、生命にまで危険を与える状態にまできてしまって、そのスタートにつかざるを得なかったという点においては、大きな反省を必要とするところがあるという点は考えておりますけれども、これから先への姿勢としては、私は日本は立ちおくれてはいない。先頭に立てるんだと考えております。
-
○森勝治君 イギリスは手本にならないとあなたはおっしゃるが、あなたが先ほどの答弁の中で、私これで三回引用しますが、土地政策というものについてはあなたの提案よりも進んでいること、これはお認めになるだろうと思うんです。いみじくもあなたがフランスとアメリカの例を持ち出されましたが、問もなくアメリカへ行かれるそうでありますが、十分それは検討して、学んできていただきたいのでありますが、たとえば、アメリカの場合は、環境局は大気、水質管理部門のほかに、廃棄物処理部門、農薬管理部門、放射線管理部門も吸収をしているわけです。ところがこの案でいきますと、廃棄物については最終処分に関する基準のみにとどまっている。処理行政の骨格はしたがって厚生省に残る。農薬については、残留性、使用規制、登録保留の各基準の設定にとどまっている。生産や管理部門は、これまた農林省に残っておる。放射線等については環境庁は全くノータッチ、こういうふうにアメリカやイギリスの例をとりましても、日本の環境庁の性格というものは、企画調整機能を持つだけで、実施機能に著しく乏しい、こう指摘せざるを得ないのであります。企画と実施機能を一体化して、強力な環境行政を展開しなければ、あなたがいみじくも先ほどるる御説明になられましたりっぱな自然の環境の保護や、保全や、人間の生活の、いわゆる公害から人間を守ることはできない。先ほども総理がお話しになった「福祉なくして成長なし」ということばも、これはもううつせみのごとくわれわれは受け取らざるを得ないのであります。したがって、私はいま、強力な環境行政を展開せよ、もっと強いものにしなさい、こういう発言をしたわけでありますが、この点についての所見をいただきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは思想、党派を越えた問題として私たちが、やはりあなたも言われたと思うんですが、われわれの子孫にこの国土をいかに残せるかという問題をいま私たちが問われていると思います。その問いかけに対して答えるのが、いまの私たちの責任でございますから、その意味において御提言等の趣旨というものは、私も基本的に同感できる点でございますので・でき得る限りそういう方向に向けて進めていきたいと考えます。
-
○森勝治君 所掌事務等につきましても、従来の狭い意味の公害、いわゆる公害部局の寄せ集めにすぎないような気がするわけです。先ほども指摘いたしましたが、実施部門につきましても、依然として他省庁に残されておるという、この現実の姿、私はそれであなたが、党派を越えて強力にしようと言われても、どうもわれわれがこの辺が釈然としない。あなたは先ほど米国の例も出されましたが、たとえば米国の環境局等におきましても、大統領の直轄の機関で、従来の五つの政府機関、各種
委員会等に分散しておる十五部門を、あなたは何か六千人というようなことを言われたようでありますが、十五部門を統合している。ところが、日本の場合には、厚生省の公害部の公害課、庶務課、国立公園部、あるいはまた通産省の公害部が主力であって、他の省庁の公害関連部局はほとんどこれは移行してない。もっとも、あなたは先ほどの御説明の中で、下水道事業等については早く移管をしたいという表現は漏らされておりますけれども、現実にこの残された部門を、公害関連部門をわれわれがことあげいたしますと、まず清掃事業、食品、薬品公害、先ほど言いました下水道事業、農薬の生産、管理、海水汚濁防止事業、監視などと、いずれもわれわれ国民生活にとりまして、きわめて密接な部門が残されているわけです。これでは私どもをもって言わしむるならば、環境庁とは名ばかりで、政府の姿勢は、私ははたして、なるほどことばでは勇気を持って積極的、前向きにということばも先日来盛んに使われましたが、そういうおことばはあるけれども、こういう具体的な事象をとらまえたときに、その本意那辺にありや、こう疑わざるを得ないのであります。もちろん、あなたは誠実な人でありますから、しばしば、私に限って毛頭そんなことはありませんと、非常に積極的にお答えになっておられるわけでありますが、こういう一つ一つ事象をとらまえただけでも、どうも何となく、政府が国民に公約はされたけれども、真剣に取り組む姿勢というものに欠けているような、こういう気がしてならぬのでありますが、その点、ひとつお答えをいただきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 食品、薬品行政等は毒物及び劇物取締法等にも関係のあることでありますが、これはもう直ちに人の命に関係のあることが大多数であります。それらの分野というものは、やはりもっぱら健康に関する問題を絶えず分析し、その立場から行政をやっていく厚生省というものに、それぞれのまた研究あるいは分析の機能等も持っておりますから、それぞれの基本法である食品衛生法あるいは薬事法、毒物及び劇物取締法、そういうものでやっていってもらったほうがよろしいだろうという判断をしたわけであります。これはやはり私どもの公害行政というものは、一応自然保護の観点と、公害基本法案第二条の典型公害というような形から生まれてくる十数本の公害関係の規制法、こういうものを一元的に、まああなたは先ほど寄せ集めたと言われましたけれども、寄せ集めただけでも大仕事でありますので、これを寄せ集めただけでやはりばらばら行政のそしりはだいぶ免れると私としては思っているわけであります。なお、まだ残された分野等については、今後一そう取り組んでいくべき分野も残っていることは、先ほど申し上げたとおりでございます。
-
○森勝治君 長官は先ごろの公害対策特別
委員会で、自然の保護が環境庁の重要な役割りである、こういう発言をされ、いまも二、三そういうふうに承ったようでありますが、ならば、自然保護の行政はどうおやりになられるのか、具体的に御説明を願いたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君)自 然保護行政は法律に一応書いてございますけれども、現在の国立公園部でやっております行政というものをすべて所管いたしますとともに、鳥獣保護、狩猟等の分野まで所管をしていくわけであります。鳥獣保護等も、まあ日本の野鳥の宝庫あるいは渡り鳥の宝庫といわれておりました日本列島というものからだんだん渡り鳥の分布図が山奥へ山奥へと後退をしていく問題、こういうものはやがてやはりわれわれの、日本人の人間としての未来を示しておる一つの姿でもありますし、そういう意味からいって、いままでの狩猟法までふまえたあり方というものを基本的に考え直していかなくちゃならぬということで所管行政で一緒に合わせたわけであります。もちろん温泉行政などは完全に環境庁がやらなければならぬ行政であるかどうかについては異論もありましょうけれども、国立公園部の中で温泉関係だけを厚生省に残しますと、また厚生省の中でそれがまた自然環境の破壊等の問題あるいは泉源乱掘、そういう問題等とも関連を持って、すみっこのほうでかってにやってしまうというおそれもありますのでこの際一緒に包含をしたわけでありますが、ここらを足がかりにして、将来は日本の国土の自然環境というものをどこまで保護していかなければならないかの土地政策、逆にまた破壊に対してどこまで阻止しなければならないか、あるいは産業立地というものまで取り組んでいかなければならないか、そこらの分野に進展していく足がかりになるものと考えます。
-
○森勝治君 自然保護の問題で何といっても一番の重点と申しましょうか、問題になるのは、やはり土地問題だろうと思うのですね。あなたもそれは先ほどもことあげされましたが、国や地方公共団体にいま金がない状態で、私有地の買い上げなど一体効果的な対策が講ぜられるのかどうか、その辺が私はどうも懸念されるところであります。なるほど、高邁な理想をお話しになることはけっこうでありましょうけれども、いまのままでは、あなたのこの目的とされ理想とされ、思索されんとする事柄にほど遠いのではないかという気がするのでありますが、その土地問題はどう解決されるのか、その点ひとつお伺いしたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 土地問題等、私権の問題については、憲法上のいろんな問題もありましょうが、先般与野党の意見も踏みながら、根本建設大臣が新しい建設行政の方向を大胆に打ち出しております。これは単に建設大臣の構想ばかりでなくて、やはり日本のこの貴重な乏しい国土の中でみんながどのようにそれを共有し合っていくか、自分たちのものとしてどこまでわがままが許されるかという問題に逢着していくわけでありますので、これらは今後のやはり大きな検討課題であると現時点では申し上げるしかないと考えます。
-
○森勝治君 それでは時間がありませんから次へ移りますが、定員の配置はどうされるのか、この点お伺いしたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 現在の各省の公害行政を担当しております分野並びに先ほどの国立公園部その他の分野、それに付随する鳥獣保護、狩猟等の分野、こういう環境庁に関係の今回法律ではっきりと明定いたしました分野の予算、機構、人員ぐるみ全部移ってもらうわけであります。したがって、これらに対してはまだ各省がそれぞれの省の感触の違いによっては、まだ、さらに定員を移してくれるところもございますが、最終的には大体五百名を下らざる役所として出発をすることになる予定でございます。
-
○森勝治君 そういたしますと、厚生省からは、国立公園部からは二百十名、同じく環境衛生局の公害部から三十三名、通産省の保安局公害部から二十五名、合計二百六十八名でスタートされる、こういうお話でしょうか。
-
○
説明員(植松守雄君) いま申されましたのは、仕事の移動に伴いまして、自動的に移ってくる人員をあげられたのではないかと思います。そのほかに、先ほども私ちょっとお答えしたのでございますけれども、現在各省とのこまかな詰めをいたしておりまして、それで、先ほど申し上げましたように、予算編成の最後の段階で環境庁の構想が本ぎまりとなったために、予算の上にはわずかな人員しか計上されておらないわけでございますけれども、その後各省と協議を詰めました結果、いま長官が言われておりますように、相当多数の省から五百名程度の人員は集まるという見込みでございます。
-
○森勝治君 長官も、いまのお答えも、集めるつもりですというつもり発表をされているわけです。しかし、との法案が通るとするならば、七月の一日にはこれはもうスタートするわけですね。あと一カ月程度しかないこの段階でつもり発表とはこれいかにと私は借問をしたい。もっと具体的に作業というものは進んでよろしいもの、私はこう思うのでありますが、もしいま私が申した二百六十八名だけが自動的に移る、約五百名を包含するとおっしゃるならば、残りの約半数というものは、二百五十名弱というものは、各省庁とのいわゆる縄張り関係でなかなか話が進まないのかなという邪推もまた生まれてくるのでありますが、そういうことですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは全く別なほうから受け取ってください。というのは、環境庁設置法が衆参両院を通過して法律になりませんと、人事その他についても、あるいはまた課を幾つ、まあ二十以上になると思いますが、幾つ、何という課を置くについても、私の胸もとで作業はしておりますけれども、しかし、これを表に出すようなことをしてはならない。これは国会に対する私は礼儀だと考えて、礼儀と申しますか、当然のとるべき姿勢だと考えて、新聞その他で推測記事は出ておりますけれども、全然これは私のところから出たものではございませんので、まだ全然そのようなことは、環境庁が国会を最終的に通ったと、そのあとで直ちに着手すべき問題と考えて手控えております。しからば、五百人くらいにはなるだろうという無責任なことで法案を出しておるのかと言われますけれども、これはそうではありませんで、予算の問題についても、あるいは行管その他関係各省との間においても、おおむね五百名を下らざる人員の確保ということは確信を持っているわけでございます。
-
○森勝治君 株式会社といえども会社創立の場合には目論見書なるものを作成するわけです。この段階にきて、五百名程度であります、二百六十八名だけは参ります、あとはさっぱりわかりません、法案が通った暁に考えます、これではちょっと私はふに落ちないと思うのです。もう少し正直に具体的に御説明あってしかるべきもの、私はこう思うのです。あなたが慎重に対処されようとされておる気持ちはあながちわからぬでもありませんよ。しかし、この段階にきておるわけですから、国会の最終日にきて、なおかつあとの半分はどうなるかわからぬということでは困ります。ですからそれは、何十何名がどうのこうのというところまではかりにわからぬといたしましても、大体の方向というものがすでにもう机上では成文化されていると私は思うのです。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 私の胸三寸にはちゃんとございます。したがって、私としても国会で最終的に環境庁の法案が通過するまで外に発表をしないということでありまして、五百名を下らないということは絶対に間違いはございません。
-
○森勝治君 その辺が、発表しないということは、どういうことなんでしょうかね。われわれはここであなた方の目論見書を見ていないわけですよ。陣容の目論見書を発表しないで、省ができるから通せ通せ、これではちょっとつれないそぶりじゃないですかと、こう言いたいところでありますが、どうですか、もう少し正直におっしゃったらどうです。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは人によって取り方がまるっきり違うと思うのです。もしこれをぼかすか私のことですから、事務次官がだれ、官房長はだれ、
局長はそれぞれだれで、課が幾つで、大体どこから持ってくるということをべらべら発表したりしゃべったりしておりますが、まだ参議院で一回も審議しておらぬ、しかるにもかかわらず、巷間伝えるところによれば君はもうきまったようなことを言っているじゃないかというおしかりを人によっては受けると思うのです。ですから、おしかりを受けざる方向に私はいまそのほうへ道をとっているということでありまして、そのことがおしかりを受けるならば、そのおしかりのほうをむしろ私は甘んじて受けたいと思います。
-
○森勝治君 ハプニングが起こってはたいへんだという慎重な発言と私は受け取っているわけです。私はそれほど人が悪くないのですよ。それほど人が悪くないです。いま事務次官がどなたになろうと、課長がどなたになろうと、そこまで私は微に入り細をうがったお答えをいただこうと思っておりません。しかし、やはり庁ができるわけですから、広さとか中身ということになるでしょう、それをお聞きしたいのです。ですから何も特定な人、どこから持ってきたとか、気に食わないのは追い飛ばせとか、そういうことをお伺いしようとしているのじゃないのです。
-
○国務大臣(山中
貞則君) そういたしますと、大体私どもが考えております課、たとえば官房に何課、何という課を置く、あるいは各局に何課、何という課を置いて、どういう課であるということまで説明しろと、こういう御趣旨でございますか。
-
○森勝治君 それでいいです。
-
○国務大臣(山中
貞則君) じゃ、事務当局から一言……。
-
○
説明員(植松守雄君) もう少しその前に考え方を申し上げますが、先ほど二百六十八名ということをおっしゃいましたけれども、仕事の移管によりまして自動的に移ってくる数が約三百三十名でございます。それから役所でございますから当然のことながら、官房事務が必要でございます。そういたしますと、各省の立場からいたしましても、もし人員が三百三十名余り移ってまいりますと、それに伴って官房事務も移らなければならない。その数はいまの三百三十名には入っておりません。それからまた、環境庁を設置するに伴いまして、単に各省が従来やっていた仕事が移ってくるということだけではなくて、やはり将来の、たとえば先ほど来御議論がありましたような、今後における環境行政のビジョンを練るといったようなこと、その他国会でしばしば論議を受けております従来の行政組織のウィークポイント、それは補強をしなければならない、それは新しい仕事、いわば新しい仕事が出てくるわけでございます。これらにつきまして、関係の各省から協力を得まして、それぞれ人員を移してもらうという話が進んでおるわけでございます。
そこで、課の話は、先ほど長官から二十課を下らない程度というお話があったわけでございます。現在われわれ考えておりますのは、いわゆる原局と申しますか、企画調整局、それから自然保護局、それから大気保全局、それから水質保全局、これらの四局に各局ともおおむね四課程度を考えております。それから官房には当然通常の役所のスタイルでありますところの総務課とか秘書課とか、会計課というようなのは、これは当然必置の課でございますし、そのほかに環境問題が国際的な広がりを持っておりますから、国際協力を担当するもの、あるいはこの公害行政の問題は地方団体との関係が非常に重要でございます。そこで地方団体との関係のたとえば総合的な窓口といったようなことも考えなければいかぬだろうというような考え方がございまして、その辺課になりますか、あるいは先ほど御議論がありましたように参事官といったような形のポストになりますか、なお最終的にはいろいろ詰めなければなりませんが、その辺の課に相当するものが加わるということになろうかと思います。あれこれ加えますと、二十を下らない課ということになろうかと思います。
それからさらにもう一つ、長官よく言われておりますような、国立公害研究所は四十八年からでございますけれども、データバンクは七月一日からできるだけ早い時期に発足させなければなりませんから、その関係の担当も考えなければならない、こんなようなことになろうかと考えるわけでございます。
-
○森勝治君 どうも何ともあなたのお答えを聞いていますと、何か玉手箱を見る思いがするのです。何が出るか、ちょびっとしゃべったかと思うと口を閉ざしたりして明快でない。しかし、時間がないですから次に移りますが、明快に答えてくれますか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ちょっと答えられない理由を申します。
これは政府部内のことございますが、行政管理庁のやはり機構上の問題についての合意が必要であります。それから大蔵省との審議官、参事官等を含めた予算上の合意もやはり必要といたしますので、最終的にはまだ詰まっていないということもありまして、ただいま事務当局にも全部の課を羅列するという点は遠慮させたわけでございます。
-
○森勝治君 せっかくそういう御発言があって大体わかりましたが、しかし、こういう席上ですから、各省との詰めは十分先刻おやりになって、明快に今度お答えあってしかるべきもの、私はあえてこのことばをあなたに提示をいたしておきます。
次に移ります。
昭和四十六年度の一般会計予算を見ますと、環境庁設置に伴う必要な経費として一億八百三十六万九千円が計上されているわけですが、いまのやり取りでもわかりましたように、今後関係各省庁よりの事務の移管に伴って当然経費の移しかえも行なわれることとなると思うのでありますが、それならば、環境庁所管の総予算というのは一体どのくらいになるのか、これは見通しでけっこうですからお答えいただきたい。
-
○
説明員(植松守雄君) 現在、いわゆる公害予算としていわれておりますのが九百三十億御承知のようにございます。その中には自然環境の保護の関係の予算は含まれておりませんから、今回の環境庁は公害防止施策のほかに自然環境の保護も実施するわけでございますから、これは九百三十億のほかに加わらなければならない。ところが、九百三十億の予算のうち、確かにこれまでも御論議がありましたように、下水道予算が六百六十億を占めているという状況でございますから、これは建設省に残りますから、環境庁の移管の対象にはなっておりません。それからもう一つここで断わらなければなりませんのは、九百三十億といっている予算は人件費を含んでおりません。そこで人員がきまりますと、それに伴って人員は各省から移管してまいるわけでございますから、それに伴う人件費は当然予算上の移しかえになるということになるわけでございます。
そこで、いま環境庁の予算がどれほどになるかというお話でございますけれども、九百三十億の現在のいわゆる公害対策予算として考えられておるものプラス自然環境の保護の関係の、現在主として国立公園部についておる予算、あれこれ合わせますと三十億くらいということがいま見込まれているわけでございます。それに、ただし、ここでももう一つ、いかにも少ないではないかというお考えがあろうやに思いますからお断わりしておくのでございますけれども、現在の環境庁の所掌事務の中では、予算の一括計上をして、それを各省に配分計画で移しかえるということでございます。その移しかえは、実は四十六年度におきましては各省に予算がついておりますから、それを一たん環境庁に集めて、また各省に移しかえるということは意味ございませんので、その辺の数字が平年度の場合と違ってくるという面がございます。それからそれに人件費とか、その他旅費とか庁費とか、あるいは初度調弁の各種の経費とか、いろいろございますが、その辺のものはまだこれから人員がきまってから詰めなければならない問題でございまして、いま基本的な数字でちょっと申し上げるだけの用意はまだございません。
-
○森勝治君 いまのお話にもありましたように、公害対策予算があっても、そのほとんどが建設省所管の下水道整備事業に回されてしまう、こういうことですから、せっかく環境庁が誕生いたしましても、予算面から見ましても、一体環境庁に何を望むことができるだろうか、先立つものは金だということでありましたが、さっぱりない。そうなると一体予算の裏づけがないわけですから、環境庁に大を求めることは無理だということになりますね。これで政府が国民に約束をした自然環境の保護や、生活環境の
改善ということが事足れりとされたのでは、国民は迷惑、私はそう思うのです。防衛予算のほうにばかりはだいぶ金をおかけになっている模様ですが、こうした国民生活に重大な支障、影響というよりも支障を来たす予算については、ややもすればなおざりにしておる傾向があるのではないか、私はこう指摘せざるを得ないのであります。したがって、この微々たる予算の範囲の中で環境庁のもたらすメリットというものをどう考えておられるのか、この点大臣からお伺いをしたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) まず何よりも寄せ集めと言われようとも、かき集めと言われようとも、とにかく、ばらばらな行政というものを排除して、でき得る限り集中的に環境庁において公害のあらゆる抑止なり、防止なりの基準あるいは規制、そういうものを統一して行政に、反映せしめていく、これが一番のねらいでございますから、その意味においては、現在までの行政のあり方からすれば、私としては相当なる前進であると考えます。ことに、やはりこのことだけで責任を問われる大臣が一名増員してまで置かれるわけでありますので、いたずらにこれが徒食するような大臣であろうはずはないと、私も考えております。したがって、いま私がやむを得ず、総務長官の立場と公害担当相という立場で副本部長としての仕事をさせられておりますけれども、今後生まれます環境庁というものは、どなたがおなりになるにせよ、私は、総理も環境庁長官の人選については相当意を用いるであろうと思いますし、私は内閣の組閣に対して容喙する権限も、立場にもありませんが、これだけ苦労をして生み落とす環境庁の産婆役としては、初代長官については十分総理に私の存念だけは伝えておきたいと考えておる次第でございます。
-
○峯山
昭範君 非常に瞬間が長時間になってまいりまして、環境庁設置法につきましては、いろいろな問題がたくさんありますので、種々質問をしたいと思っておりましたけれども、時間もだんだん押し迫ってまいりまして、非常にわびしい気持ちです。
私は初めにやはり具体的な問題を幾つか取り上げて話をしないとどうもいけませんので、きょうは私初めに具体的な問題を取り上げて話をしたいと思います。
それは、一つは
公害防止事業団の問題であります。大臣も聞いてもらいたいと思うのでありますが、私はかねがね
公害防止事業団の問題について何回か質問をしてまいりました。私は質問をするたびに思いますことは、
公害防止事業団の体制は非常に弱体であるということであります。
そこで、二、三具体的な問題をお伺いしたいのでありますが、きょうは事業団の
理事長がお見えになっておりますので、
理事長から概略説明をお願いしたいと思うのでありますが、初めに塩釜の水産加工工場の問題があります。この水産加工工場の問題につきましては、これは非常に問題がこじれにこじれまして、重要な段階になっております。これは皆さん方も御存じのとおりでありますが、この塩釜の加工団地の場合は、宮城県の塩釜の人たちが、ささかまぼこをつくる工場が市内にたくさんありまして、そのたくさんの工場のために市全体が非常に悪臭がする。そういうふうな意味で、
公害防止事業団の肝いりで、いわゆる水産加工団地というのをつくったわけでありますが、現実には、そのつくった団地のいわゆる汚水処理装置がうまくいきませんでした。こういうような団地に入る人たちは、相当なお金を払うために、自分の家屋敷を売ってそういうような団地に入ったわけであります。入ったには入ったのですが、その後非常に処理がうまくいきませんでして、その加工団地の操業そのものもどうもうまくいかないというような現状にあります。実は私は、きょう夕方六時ごろでありますが、現地の市長並びに議長等から直接報告をいろいろお伺いをしてきたのでありますが、たいへんな実情になっているようであります。その経過並びに処置等について
公害防止事業団の
理事長からお伺いしたいと思います。
-
○
参考人(江口俊男君) 塩釜の水産加工団地の排水処理施設につきましては、ただいま御指摘がありましたとおり、過去にいろいろな問題がございまして、その後改良、改造というようなものにつとめて今日に至っておるのでありますが、問題は、初めに調査をいたしましたときの汚水の量及びそのよごれ方の程度というものにつきまして非常な誤算、実際問題よりも非常に量も多くなるし、よごれ方もひどいというようなことで、初めつくりました施設では十分その機能を発揮することができなかったわけでございます。
そこで、いろいろ研究をいたしましたけれども、ちょっとやそっとの改造ではなかなか所期の目的を達するわけにいかないということで、事業団の諮問機関といたしまして、塩釜基本構想検討
委員会なるものをつくりました。これは学識経験者なり関係官庁の係官等に入ってもらって検討いたしたのでありまするが、その検討の結果に基づきまして、現在は、暫定的ではございまするけれども、その検討の結果の御意見のとおりのことをやって今日に及んでおります。
その一つは、水産加工排水を初めは一括して処理をいたしておったわけでございまするけれども、どうしてもすり身から非常な汚濁水が出るということで、すり身の排水をひとまず別にし、すり身排水と一次処理等のその他の排水というものを分流をいたしまして、それぞれの貯槽に貯水をする、こういうのが第一点でございます。
第二点は、すり身排水はロータリー・スクリーンで固型物を除去いたしました後に曝気槽で活性汚泥法により除去をし、放流をするということにいたしました。すり身排水を分流した一次排水等の排水は、やはりロータリー・スクリーンで固型物を除去し、油水分離器で油分を除去しました後、ラグーン池に入れて、残っておる油、固型物、BOD、COD等を除去して放流するというような方策をとりまして、これでももちろんあそこの所定の基準には達しませんけれども、一時のひどさというものはなくなって、ただいまのお話では、なお非常な問題があるというお話でございましたが、私が昨日までに聞いておった限りでは、現在現住民の苦情はない。さらに第二次、第三次の計画がございまするので、逐次それを総合して改良していくというような方向をとっておるような次第でございます。
-
○峯山
昭範君 あのね、
理事長は現住民の苦情はないと言うたけれども、現住民って何です、これ。
-
-
○峯山
昭範君 現地とはいまおっしゃっていなかったですよ。
-
-
○峯山
昭範君 それからね、
理事長。いま三番目のBOD、CODを除去してというのはどういう意味ですか。私わかっているんです。わかっているんですけれども、ただ、BOD、CODを除去してというのは、その意味。
-
○
参考人(江口俊男君) ラグーン池に入れます——ラグーン池というのは、私も聞いてみますというと、まあ貯水槽、ため池、簡単に言えばため池でございますが、そこに三日間置くことによりまして、油分は上のほうに浮くもんですから、それを除去する。それから固型物、BOD、CODは自然に、ちょうど川で汚水が浄化されるような理屈で、三日置けばBODもCODもなくなるという、薄められる、こういうことだそうでございます。
-
○峯山
昭範君 私はね、だから大臣、さっきから総理大臣に質問したんです。何ですか、あなたの答弁は、実際、ほんとに。あなたね、
理事長になって、いつなったんですか、
理事長に。
-
-
○峯山
昭範君 まあいいですよ。あのね、BOD、CODを除去してなんという表現おかしいじゃないですか。ただラグーン池の中にね、魚の骨を入れておけばBOD、CODの値が減るんなら、田子の浦のヘドロなんて簡単なもんですよ。あんた、ラグーン池って見たことあるんですか、塩釜の。どうなっているのですか。
-
○
参考人(江口俊男君) いや、見たことはございませんが、この専門の技術官について、私いまのようなことを聞いて、そうであるかというふうに感じておるわけでございます。
-
○峯山
昭範君 だから、私はもうこの問題を、ほんとにこれだけじゃないんです。私は
理事長に、あなたをとっちめようなんて思いませんけれども、少なくとも
公害防止事業団の
理事長であるからには、いまこの
公害防止事業団がやっている事業というのはみんな中途はんぱで、みんなインチキなんです。私もこのラグーン池というのをわざわざ見に行ったのです、現地へ。とにかく百メーター、二百メーターぐらいあったのです。池といいましても、何にもない池です。要するに、松島湾のあのきれいな松の林の砂地を掘っているわけです。そこに初めの仮のラグーン池をつくったのです。要するに、魚の腐ったやつを入れんたです。私は向こうの工場の人に見せてもらいましたけれども、カラスが真ん中にすっと飛んでくると、池の上を飛びさらぬで途中で落ちるというのです、とにかくな。そのくらいひどいラグーン池なんです。あなた、ただ単にその中に入れてどういう処理をするのか知らぬけれども、BOD、CODってわかっているのですか、ほんとうに。BODなんぼのものがどのくらいになるのか、CODなんぼのものがどのくらいになるのか。少なくともこれは基本ですよ、これは公害の。大臣そばで笑っていますけれどもね。こんなことがわからなくて、あなたね、現住民なんて言うのです、だから。現住民の苦情はないなんて言うのですよ、結局は。だから、私はこの問題はもうほんとうにこれはもっともっと、ただこれだけの問題じゃないのです。あなたね、基本構想
委員会っていつできたか知っているのですかこれは。基本構想
委員会の結果に基づいてあなた云々とおっしゃっていますが、基本構想
委員会というのは、この装置がうまくいかなくなって、そうしてもうほんとうに困り切って初めてできたんじゃないですか、私たちがやんや言って。その基本構想
委員会がほんとうに、初め
公害防止事業団がほんとうにこういうふうな装置についての技術的自信がないならば、初めからこういうふうな
委員会をつくって、そうして初めからこのくらいのお金はかかるということにしてこの事業をやればいいんです。ところが、初めからそういうふうなことはやらないで、そうしてこういう装置をつくっちゃった。その汚水処理装置が五千万くらいでできた。いわゆるそのかまぼこの業者の皆さんは五千万くらいでできると思ったんです、現実に。ところが、実際は、今度は基本構想
委員会のやる仕事として、一体どのくらいかかるのですか、これは。現実にですね、この地元の魚の、このいわゆるかまぼこをやっている皆さん方は、そのために、あなたね、地元の住民の皆さんの苦情はないとおっしゃっていますが、地元の住民の皆さん方は、きょうあした首をくくろうかという人がたくさんいるのですよ。ほんとうなんですよ、これは
理事長。あなた、そういう実情であるにもかかわらず、ほんとうに地元の住民の苦情等ないなんということ、あなたどこで言っているのですか。私はきょうの夕方電話して聞いたと言ったでしょう。ほんとうなんですよ。地元の議長さん、また市長さん、全部電話して聞きました。こういう実情ですよ。まあこれは実は言っていませんがね。これは、こういうふうな現状に対して、あなたはもっと本格的に取り組んでもらわぬと困ります、これ。
まあいろいろ言いましたけれども、まあそれじゃいろいろ言っただけではまだ答弁できないでしょうから、一つずついきますけれども、地元の住民の人たちの苦情がないとあなたおっしゃいました。これはだれから聞いたんですか。
-
○
参考人(江口俊男君) その地元の方々のだれから苦情がないかということは別といたしまして、県庁あるいは市役所等に連絡した私のほうの係員から聞いたわけであります。
-
○峯山
昭範君 これはあなたのところから地元の県庁や市役所に電話入れたんですね。そうしたらそういうふうな苦情はないと言うのですね。
-
○
参考人(江口俊男君) もっとも、きょうじゃございません。
-
○峯山
昭範君 あなたね、苦情がないというのはですね、私はきょうは——事業団の
理事の人来ていますか。古沢
理事来ていますか。
-
○
参考人(江口俊男君)
理事は来ていませんが、係の課長が来ております。
-
○峯山
昭範君 どうして古沢
理事来ていないのですか。担当の
理事来るように、ちゃんと言ってあったんです、私は。この古沢という
理事も非常にひどい
理事なんですよ。これは大臣ね、ほんとうにひどい
理事ですよ。ほんとうに、私はね、これはもうはっきり本人前に置いて言いますけれども、(「どんな
理事だ」と呼ぶ者あり)どういう
理事かといいますと、これは
理事長も聞いておいてくださいよ。この間、実は塩釜の人たちが
公害防止事業団に陳情に行きました。私もこれについて行ったわけです。実は私ちょっと行くのがおくれまして、そのときに、その古沢
理事が地元の人々に対する話というのが、どんなことを話しているのかというと、要するに、
公害防止事業団に何ぼいろいろ言ってもらっても何にもできへんのや——これはちょっと、そんな、ことばつきは違いますけれどもね。とにかく、
公害防止事業団に言ってもらってもだめだと、要するに、あた方はね、農林省にこういうぐあいに言うて行ったら要するに補助金をもらえるんや、通産省にこういうぐあいに言うて行ったら補助金をもらえるんや、こういう話を一生懸命やっているのです。そうして、
公害防止事業団としてやったこの仕事についてはですね、ほんとうに申しわけないなんということは一言も言わないんです。
理事じゃないですか、あなた。私は少なくとも
公害防止事業団の皆さん方は天下りとかそういうふうなやつじゃなくて、ほんとうに公害の問題について必死に取り組んでいる人たちが——私は
理事長が取り組んでないとは言いませんけれども、そういうふうな人たちで固められないといかぬと思うんですよ、私は。そうでないとうまくいきませんよ。これだけじゃないんですよ。私はきょうこれから三つ四つ取り上げようと思っているんだけれども、その一つ一つが全部
公害防止事業団のミスです、結局は。いろんな事情はあろうけれども、あなたはこの今度の問題についてどう聞いてるんですか、この問題、塩釜の問題は。たとえば、水の初めの調査のしかたが悪かったとあなたおっしゃいました、先ほど。ということは、初めの調査が悪かったにしても、たとえば、初めの汚水の調査したときに、このときはBODで千二百PPMから千五百PPM、ところが実際に加工工場ではかってみたら一万PPMから二万PPMあったというんです。そんなことを言って、わかりますか。そうだったというんです。だから、その根本の測定が間違っていたということを私は聞きました。しかし、それだけじゃないんですよ。それだけだったら、処理装置を完ぺきにすれば直るんです。ところが、あなたがいま言った三つの方法——要するに、水産加工工場の排水のすり身に個々についてやる。また動体スクリーンを通して活性汚泥法でやる。また最後に油水分離器にかけて、それでいわゆるBODで高いのを低く下げる。私はこういうことであろうと、いまあなたがおっしゃったことをそうとるんですがね。こういうこと自体は、
公害防止事業団が初めからやることじゃないですか、こんなことは。初めから調査してやるべきことじゃないですか。そうでしょう、
理事長。あなた、新しい
理事長になったんだから、この問題について本気に取り組んでくれませんか。どうですか。
-
○
参考人(江口俊男君) 先ほど来申し上げますように、学者先生等の御忠告もございまするので、その線に沿って——もちろん
公害防止事業団だけでこれ解決できるとは思いませんけれども、重大な責任がございまするので、現地等とも一緒になり、できるだけ
改善の方向に努力したいと思います。
-
○峯山
昭範君 私はそんなことじゃ得心しませんよ。あなた、学者先生とおっしゃっていますが、それならどうしてこの問題については初めから学者先生——あなた学者先生とおっしゃるならば、どうして初めから学者先生にお伺いしないんですか。この事業が行き詰まって、どうにもならぬようになってから、どうしてこの基本構想
委員会なんか設けてやるんですか。どうですか。
-
○
参考人(江口俊男君) 私自身というよりも、事業団といたしまして、初めはそれぐらいの汚水の量、それぐらいの汚水の程度であるならば、住友機械のこういうものでよかろうというのでやったのでございまして、それが根本的に分量も違うし、汚濁の程度も違って、それが機能しなかった。おっしゃるように、にっちもさっちもいかなくなって学者先生にお願いしたわけでございまするので、ほんとうは初めからお願いしておけばよかったということは私も考えます。
-
○峯山
昭範君 ということは、初めから学者先生にお願いしておけばよかったと、そのとおりなんですよ。初めからちゃんとしてりゃよかった。あなた、たとえば初めの調査が、その水の問題にしても、水の量にしても、水のあれにしてもうまくなかったということは、これはいずれにしても私は事業団のミスですよ。調査不十分じゃないですか。どっちにしたって、調査が十分でありゃこういうことにならない、そう思うでしょう。あなた方、調査が不十分であったということは、
公害防止事業団のミスじゃないですか。さすれば、あなた、そのあと基本構想
委員会でこういうことをやるようになった。それはそれでよろしいけれども、それじゃ、こういうような問題をするのにどのくらいかかるんですか、お金は。
-
○
参考人(江口俊男君) 現在までかけましたのが、
公害防止事業団及び県、市、組
合等のものも、おのおの分担をきめて改造をしているわけでございまして、約五千万程度かかっていると思います。しかし将来に向かって幾らかかるか、あるいは第二次、第三次とどういう関連を持たせるかというのが、今後検討すべき問題だと考えます。
-
○峯山
昭範君 これは
理事長だけじゃだめですね。私はあまり言うともう申しわけないんで言わないんですがね。何を五千万とおっしゃっているか私わからないんですが、この汚水処理装置そのもの、一番初めにつくってつぶれたやつが五千万するんですよ。ラグーン池とあなたおっしゃいましたね。そのおっしゃったのをつくるのに大体千五百万から二千万かかったんですよね。知っていますか。
-
-
○峯山
昭範君 そうすると、その後仮の設備をつくったんでしょう。仮の設備をつくっていま動いているんでしょう。じゃ、この仮の設備というのはどのくらいかかったのですか、それだけ出しただけでも五千万オーバーしますよね。
-
○
参考人(江口俊男君) その五千万云々は動かなくなってから、その構想
委員会の勧告に従って事業団及び県、市、組合がやった金額であり、前のだめになったものとラグーン池に関しましては業者がやっております。
-
○峯山
昭範君
理事長ね、地元の人たちはこういうふうな問題についてもう相当悩んでいるわけです。
理事長も御存じのとおりですね。もう私はそんなきびしく言いませんけれども、地元の人たちは、初めに言いましたように零細なかまぼこ屋さんばかりなんですよ。そういうふうなかまぼこ屋さんが事業団と相談して、それで処理装置が大体全体で五千万円ぐらいでできるだろう、五千万円ぐらいなら自分たちもお金を出せると、自分の土地もありますからね、そのほかのものもあるわけです。これは処理装置だけで五千万なわけですね。そういうことはわかっておるわけです。だから自分のうちを売ったり、あるいはお金をつくったりして一生懸命になってそこに入ったわけです。入ったら、その処理装置がうまくいかないため、今度はそれ以上お金がかかるということになってくると、今度は組合の人たちもたいへんなわけですよ。その上にいまあなたがおっしゃっておるラグーン池、あとのお金が五千万円とすれば、もうこれだけでも——これも仮の装置ですよ。そうでしょう。仮の装置です。その仮の装置がこういうような状態では、これはもう組合の人たちをはじめ県のほうはたいへんな思いをしています。そうじゃありませんか、これ。これに対してぼくは山中長官、ほんとうにちょっと考えてほしいんですよ。
理事長はどうもなかなか——まだ
理事長になられて間もない関係もあるとは思うんですがね、これはほんとうに、実はこれだけじゃないんです。もっとほかにこれからやりますけれども、実はほかにもたくさんあるんです、こういうふうな問題が、全部ですね。たとえば非常に不明朗な問題もあるんです。
理事長、御存じですか、たとえば、いまあなたおっしゃったラグーン池というのがありますね。ラグーン池をつくったお金は、これは一体お金どこが払ったんですか、幾らだったのですか。
-
○
参考人(江口俊男君) ラグーン池は住友機械、現在の住友重機がつくりまして、約二千万かけたわけです。
-
○峯山
昭範君 いや、その二千万はどこが払ったのですかと言っているんです。
-
○
参考人(江口俊男君) 住友機械がその機能がうまくいかなかったので、アフターサービスとしてやっております。
-
○峯山
昭範君 ということは、住友機械はそのラグーン池をつくるのに二千万払ったのですね。自分のところで出したのですね。そうすると幾らの契約だったのですか、もとの契約は。住友機械との汚水処理装置の契約は幾らですか。
-
-
○峯山
昭範君 あなたね。四千九百万の契約で装置をつくった、それがうまくいかなかったので、あとで二千万円払った。これはどうです、正常ですか。
-
○
参考人(江口俊男君) まあ住友機械自身も、自分のつくった機械の結果がうまくいかなかったということで、アフターサービスとしてやったのでありますから、住友機械自身としてはばく大な損失をしているだろうと思います。
-
○峯山
昭範君 あなたね、住友機械の担当者に私は電話して聞きました。どう言っていると思います、あなた。あなた方が圧力をかけてやらしているんじゃないですか、結局は。その圧力だってどういう圧力をかけているかというと、この塩釜の水産処理工場というのは、こういうような装置というのは日本全国にある。塩釜が成功すればよそもこういう装置をしなきゃいけない。だからそろいうことについては、あなたのほうがうまくいけば将来もあなたのほうにやっていただくという可能性が幾らかでもある。だから今度はしんぼうしておまえのところは失敗した分を穴埋めしろと、こういうふうな話じゃないですか、大体。ということは、これは非常に私はいかぬと思うのですよ。こういうふうなことが行なわれるということは、これは正常じゃないでしょう。どう考えたって四千九百万の契約金で、それがうまくいかなかったからといって、あとで二千万円も出させるというのはおかしいでしょう。これは正常ですか。あなた正常と思いますか。こういうようなこと、どうです。
-
○
参考人(江口俊男君) まあ住友重機との関係については後刻私自身は聞いているわけでありまするが、よくそれだけ向こうもふんばったなあという感想を持っているのであって、いまおっしゃったような含みがなければ、あるいは正常とは言えないと考えます。しかし、私としましては、何しろ汚水処理についでは初めからの調査が十分でたかった点もありまするけれども、調査がかりに十分であっても、なかなかきめ手というものが現在においてまだ絶対にだいじょうぶだというものをつかめない状態でありまするから、こういう間違い、善意による間違いというものは将来に向かっても皆無を期しがたいので、これはある程度そういう事例が出た機会においては、そういうものを何らかの形において補修するという予算をいただきたいという考えを持っておりまして、このこともあくまでも住友重機自身で最後までかぶってもらうのかどうかということは、われわれの努力でそれを何らかの形で解決できれば、私は業者に負担させるべき性質のものではないと、こう考えております。
-
○峯山
昭範君 私はこういうふうな問題については、当然いま
理事長が最後の段階でおっしゃいましたように、こういうようなものを私はメーカーに負担させるべきじゃない。これは結局負担させると後々まで事業団が借りたということになりますよ。貸し借りの勘定がこれは帳面に出ないとしても、裏勘定で出ますよ、必ず。ですからこういうような問題は私はやめるべきだと思うのです。したがって、そういうふうな事業団独自で操作できるお金、予算というものは今後私は必要になってくると思うのです。そういう点はどうか早急にそういう点を考えていただいてやってもらいたいと思うのです。特にこの問題については、いま
理事長おっしゃいましたように、先ほどもおっしゃいましたように、二次加工団地というのは、すでに五億円ですかお金をかけて造成が終わっているわけですね。そうしますと、そういうような団地はもう青写真はぱっと広がっているわけです。しかしながら、実際にいまだに汚水の処理装置の問題について最終的などうやったらいいという結論は出ない。私はほんとうに問題だと思うのですよ。ということは、なぜかというと、あなた、
公害防止事業団に対してこれは地元の人たちは利息を払わなければいかぬわけですよ。ですから、その利息だけでもこれは地元の人たちは、市当局にしてもこれはたいへんな思いをしなければならない。こういうことになるわけです。ですから、こういうことでは私はいかぬと思うのです。したがって、こういうふうな問題も含めて、今後がっちりこの処理をしてもらいたい。また、この問題については
理事長も非常にお忙しいとは思いますけれども、できるだけこういうところの実情等もちゃんと掌握して処理をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
-
-
○峯山
昭範君 古沢
理事、来ないのですか、きょうは。
-
○
参考人(江口俊男君)
出席要求があったことは私聞いていないので、これは鎌倉から通っているものですから、時間的に間に合わないと思います、いまからでは。
-
-
-
○
参考人(江口俊男君) ただいま連絡を受けました者から事情を聴取いたしましたが、国会のほうから、私が古沢
理事を帯同して出てこいという連絡がありましたのを誤解いたしまして、古沢
理事が
参考人として呼ばれておるということを私のほうが解釈を誤りまして、手違いがありまして、本人が帰ってしまいましたことは、私から重々おわびを申し上げます。
-
○峯山
昭範君 少なくともこの塩釜の問題につきましては、
理事長、先ほどから私言っておりますように古沢
理事が初めから担当しているわけです。それで現実の問題として非常に込み入った問題もありますし、古沢
理事がいないとこの問題の解決はないですよ、実際問題ね。しかしながら、きょうは最終日でもありますし、いまから出てこいと言ってもこれは無理ですからね。ですから、いずれにしましても、
理事長が、これから種々質問をいたしますが、誠意を持ってこれから一つ一つの問題について答弁を願いたい、こう初めに私から一言申し上げて続けたいと思います。
いずれにしましても、塩釜の問題につきましては、
理事長、もうちょっと申し上げておきますが、第二次加工団地の問題につきましても、
公害防止事業団から五億円というお金を借りて、この土地をもうすでに購入終わっているわけです。第一次団地のほうがうまくいかないために、地元の市としては、
公害防止事業団に対して年六分の利息を払っているわけですよ。それだけでも三千万というようなたいへんなお金になっているわけです。何にもしていないのに、これからどんどんそういうようなお金を払わなくちゃならないというような段階にきているわけです。そういう点から考えますと、地元の人たちは、
理事長が初めにおっしゃったように、現地住民の苦情はないというこのことばは、私はだれから出たのか知りません。知りませんが、
理事長にこういうことを吹き込んだ人というのは非常にけしからぬと思うんです。きっと私は地元のこういうことを担当している古沢
理事なり担当の人が言ったんだろうと思いますが、とてもこういうような考え方では、これはいろんな問題がありますけれども、どれ一つ解決しないですよ。ですから、この問題については、私は、非常に重要な問題である、そういう認識に立っております。したがって、
理事長もこの問題を総力をあげて解決をする、そういうふうな意気込みでこの問題に取り組んでもらいたいと思うんですが、どうですか。
-
○
参考人(江口俊男君) 御趣旨に沿うように努力をいたします。
-
○峯山
昭範君 まあ
理事長に対しては私はこまかい質問ができませんので、こういう大きな質問しか……。ほんとうはもっとこまかいことをやりたいんですが、もうやりませんけれども、そういうふうなこまかい点もあると思いますが、いずれにしても
理事長としていまの答弁を私は信頼しておきます。したがって、こういうふうなこまかい問題について、総力をあげて解決のほうに取り組んでもらいたいと思います。
それから、こんな問題が
理事長、幾つもあるんですわね。もう一つ具体的に出してみます。高崎市にメッキ公害のない工業団地というのをスタートさせましたですね。これは、このことも私は事前にこういうこと、こういうことと言っているわけですから、
理事長のもとに答弁のあれがきていると思うんですが、これはどういうことですか、どうなっていますか。
-
○
参考人(江口俊男君) 高崎の金属工業団地の排水処理につきましては、団地に入居いたしました十八社のうちに、メッキ工場等が八社ございまして、その排水を処理するための施設でございます。
公害防止事業団の四十四年度事業として建設をいたしたものでございまするが、工事は栗田工業がこれを施工し、
昭和四十五年の十一月に、昨年の十一月に着手しまして、本年二月末に竣工いたしておりまするが、現在はまだ試運転中の段階でございます。
-
○峯山
昭範君 あなた、この問題も同じなんです。この工業団地も最近スタートしたわけですね。ところが、こういうふうな市内のメッキ工場並びにそれに関連する工場を集めてそういうような団地をつくった。ところが現実の問題として、そのメッキ工場の排水からシアンが検出された。これはどういうことですか。
-
○
参考人(江口俊男君) 高崎団地の排水処理施設は、各工場からの排水をシアン系とクロム系、酸・アルカリ系及び廃硫酸系の四つの系統に分流しまして、終末処理場の各貯槽に集水してこれを処理するという仕組みをとっておるのでありますが、私のほうで施工いたしておりますのは、その終末の施工だけでございまするけれども、そのためには、はっきりと四系統別々の水が流れてこないと、最後のところで前もって考えておるような処理ができないわけでございまして、試運転中シアン系の排水の一部が内部の工場の構造あるいは処理の誤りから酸・アルカリ系の水槽のほうにまじって流れてきた。そのシアンは一度まで許されているそうでありますが、四、五度のが一ぺん出た。これを聞きまして、私のほうとしましても、もと本と流してくるやつを厳格に別々でなければ処理ができないということから厳重に申し入れをしまして、改造し、その後の検査ではそういう事例はないそうでございまして、今後とも十分気をつけるよう注意をいたしておるところでございます。
-
○峯山
昭範君 この問題も、
理事長ね、これは私も事情は聞きました。けれども、これは初めからこのシアンの処理槽から——いわゆるメッキが自動じゃないわけですから、メッキしたものを次の槽へ移す、それは手動でやるわけですね。
理事長、私を見ていないと、わかりますか、あんた。答弁の原稿だけ見たってだめですよ。シアンをこの槽からこっちに移すと、こっちからこっちに移すという場合に、自動じゃないわけですから、そのシアンの液がこぼれたというんですよ。そのこぼれたやつがいわゆる雑排水に入って、そうしてシアンが検出されたというんですね。こんなことは初めからわかることですよね。こういうようなこともあるであろうということは予想できるところなんです、メッキ工場なんですから。したがって、こういうようなことについて、私のほうではこういうことまでは考えに入れていないなんということを説明にきているわけです、あなたのほうの担当の人がですね。そういうようなことじゃこれは許されないことなんです。ですから、こういうようなことは初めからわかることなんですよ。ですから、こういうふうな問題についても、これはメッキ工場の排水処理ですけれども、加工団地の処理装置と同じなんです、結局は。あなたのほうのいわゆる専門の技術者なり、そういう人たちが本気になってこういう問題に取り組んでおれば、こういう問題かって起きないですよ。私はこの問題についても地元の保健所へ電話して聞きましたけれども、地元の保健所でもこれはもうほんとうに、非常にあなたが圧力をかけたか何か知りませんけれども、非常に何といいますか、答えを渋っているわけです。非常に私は遺憾と思うんですよ。現実にこういうふうないいかげんな処理装置しかできていないということはよくないと思うんです。ですから、
公害防止事業団の内部においても、私はその中のいろいろな事情もよくこの間から説明は聞いておりますけれども、もう技術者も少ないし、完成の検査へ行って立ち会った人たちも、これだけの装置——これは塩釜の問題も同じでありますが、非常に人数も少ないわけであります。ですから、私は、この答弁にどう書いてあるか知りませんけれども、それだけではよくないと思うんです。ですから、もっと
公害防止事業団に対しては、これかって零細な業者が
公害防止事業団に満幅の信頼を置いて頼んでいるわけです。満幅の信頼を置いて頼んだのがあとでうまくなかったということになったんじゃ、これはもうほんとうによくないわけですよ。ですから、こういうふうなこまかいところまで配慮した
公害防止事業団でないといけないわけです。そうじゃないですか。
理事長。
-
○
参考人(江口俊男君) まことにおっしゃるとおりでありまするが、先刻もおっしゃいましたように、非常に組織が貧弱でございまして、また勉強の足らない点も相まちまして、そういうすみからすみまでの指導協力ができていないことは遺憾に思います。
-
○峯山
昭範君 この問題も確かに
理事長とやりとりしていてもなかなかだめですな、これ。先ほどシアンは——
理事長はシアン、何と言いましたかね。
-
-
-
-
-
○
参考人(江口俊男君) シアンは一度でいいというふうに私はどこかで聞いたから、その四倍半だなあと思ったんですが、間違いなら訂正します。
-
○峯山
昭範君 そうですか。私も一つきょう勉強しました。このシアンというのは四・五PPMというのが発見されたというのですよ。PPMというのを度というのですか、事業団では。私その点はきょう始めて聞きましたのですが、いずれにしましても……。
-
○
参考人(江口俊男君) PPMの間違いであります。
-
○峯山
昭範君 けっこうです。
それから、大臣がいないなあ。大臣がいらっしゃるまで次の違う話を……。
いずれにしましても、この問題も大臣は非常に監督不行き届きとか、いろいろなことをおっしゃっておりますけれども、こういうふうな問題は非常にたくさんあるわけです。たとえばもう一つ私は例をあげますが、例が幾つもあり過ぎて困るのです。私十時でやめろということですが、これは非常に時間的に、実は設置法そのものについても種々質問したかったのでありますが……。
それからもう一つ、
公害防止事業団がやる事業として、私は今度環境庁ができるにあたって非常に大事なことは、環境庁ができるという環境庁そのものの問題と、それから私は環境庁ができる理由は、やはり自然環境の保護というのがあるわけですよね。そういう点からいきますと、これは
公害防止事業団が自然環境を破壊するなんということがあってはいかぬわけですよね。そうでしょう、
理事長。自然環境を破壊するようなことがあってはいかぬわけです。そうしますと、この問題については山中長官に質問しますから、この問題はちょっとおいておきます。山中長官が来たら質問します。
きょう厚生大臣もお見えになっていますから、厚生大臣に一つだけ聞きたいのですが、厚生大臣ですね、私はきょうは宮城県の問題ばかりやって申しわけないのですがね、厚生省もほんとうにけしからぬのですよね、ほんまけしからぬのだ、これは。私は先般決算
委員会で塩釜の問題をやりましたときに、悪臭の問題をやりました。大臣はそのときおいでになっていなかったので覚えてないかもしれませんが、塩釜市の貞山通りというのですか、向こうにおける悪臭の問題について私は質問いたしました。そうして地元にも私は行ってきましたし、当時いらっしゃった城戸さんにも塩釜の写真を見せ、具体的にいろいろと話をいたしました。そうして地元で地元住民の健康診断をやるという話をやりました。そうしてその健康診断の結果については教えていただくということになっておりました。いまだにそれを教えてもらってないのです。どうなったのですか、これは。
-
○
政府委員(
曾根田郁夫君) たいへん不勉強でおしかりを受けることと思いますが、健康診断の件について、実は私担当のほうから聞いておりません。
-
○峯山
昭範君 いずれにしても、大臣ね、私は地元へ参りまして、そのときに私は地元の方から陳情も受けましたし、写真等も持ってまいりまして、その当時の担当の方にも見ていただきました。そうして非常に私も自分でかいできまして、猛烈なにおいがするのです。そのにおいをかいだら二、三日たいへんな思いをするくらいです。ほんとうに地元の皆さんのあれを考えますと、その地元の、特に赤ん坊の方の健康状態というのは、非常に心配されるような状態でありました。私たちもそのことについてさっそく県のほうの保健所に申しまして、健康診断をやらすという話があったわけです。その結果について私は報告を聞いておりません。しかし、実はここにはあるわけです。これは全国知事会がことし一月に出した結果の中に出ておりますが、いずれにしましても、こういうふうな一々の問題についても、やはり真剣に取り組んでいただきたいのです。今度公害の立法の中で悪臭防止法というのが通りましたし、そういうことも含めまして、こういうような問題についてもがっちりやってもらいたいと思うのですがね。大臣、どうですか。
-
○国務大臣(内田常雄君) 仰せのとおりに存じます。塩釜の
公害防止事業団の建設された施設が、先ほど来お話がありましたような事情になっておりますので、濃度等について、あるいはまた排水中の負荷量につきまして、私などが思うのには、計算上の違いがありましたために、せっかく工場アパートをつくったり、また数千万円の排水施設をつくりましても、いま御批判を得ておるように、悪臭が残ったり、また、少しもそれらの汚水処理の効果があがっていない、こういうことにつきましては、実は私の耳まで入っております。で、このことにつきましては、技術的にも最高の指導方針を打ち立てて、そうしてそれに付加して、せっかくここまでお金をかけてきておりますし、また、ここに入られた工場が水産加工で予定されておった工場が全部ではありませんので、今後の問題もありますので、これはひとつ私のほうも
公害防止事業団のほうを指導、督励してといったようなことをやってまいらなければならないということを考えております。しかし、これは他の地域にもありますような魚の頭を切ったり、はらわたを出したりするということを、いわば魚腸骨といいますか、それらの処理工場とほとんど似ておりますから、当然悪臭が実は出るわけでありまして、他の地域におきましても私はその問題を聞いておりますから、どうせのことをやりますならば、悪臭防止法も国会に出しているようなそういう事態のものでございますので、悪臭の防止の面につきましても十分効果があがるようなそういう施設をつくって、そうしてこの施設の利用者にも、また地域の住民にも信頼し、安心してもらうようなことをしなければならないと私は考えておりますので、いろいろおあげになりましたようなことにつきましては、今後とも環境庁と——これは直接の管理権は厚生省はなくなってしまいますけれども、しかし、実際国民の健康を守るのは厚生省だという考え方のもとに、権限のあるなしにかかわらず、私どもは助言をして、そうして国民の健康や環境の正常化のための貢献を進めてまいりたいと考えております。
-
○峯山
昭範君 この塩釜の加工団地の問題につきましては、これは七月一日までは大臣のところで、それからあとはこっちに変わるわけですか。そうしますと、これは非常に大事な問題が一つ残っておりますので、ちょっと両大臣にお伺いしておきたいのですが、いずれにしましても、魚の工場の処理装置としましては、
公害防止事業団の意図は私は非常にいいと思うのです。いま厚生大臣からもお話がありましたように、全国にこういうふうな工場がたくさんあると、したがって、全国のモデルケースとして塩釜のほうの問題を取り上げたと、これは非常にいいことだと私は思うのですね。したがって、全国のモデルケースとしてやるからには、何とか成功させなければいかぬわけですね。そういうような意味で、地元の市をはじめ、地元の住民の皆さんが、これは非常にお金の面で困っているわけですね。五億円というお金を借りてやった。第二次団地でそうであります。一次団地はもう操業をできるようになっているわけでありますが、それも含めるともっとたくさんのお金になるわけです。そういうふうな意味において、これは財政的な援助といいますか、そういうふうな問題について、再度検討していただく必要があるんじゃないか、そういうぐあいに思っております。したがって、この点について、両大臣から、今後——山中長官はこれから七月一日以降ちょっとわかりませんけれども、いずれにしましても、
公害防止事業団がここまで取り上げてきて、ここで行き詰まっているというからには、これを何とか軌道に乗せてやっていかなきゃならないという問題が残るわけです。この点について、両大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
-
○国務大臣(内田常雄君) これは、工場アパートの建設にたしか数億円をすでに出し、また、排水施設の建設に数千万円を出して、しかも、その数千万円の施設について十分な効果があがっておらないということでありますから、このまま放棄をしてしまいますと、人間の単に住宅と違いますから、所期の目的を達し得ないことになるわけでございますので、私どもは、その技術的な計算や、また計画につきましては、十分検討してもらわなければなりませんけれども、そういう前提のもとに、やはり必要な追加投資といいますか、追加施設につきましては、お金がかかりましてもやらなきゃならぬと思います。その場合、これは当然、市から金利も受け取らなければ公団も成り立たないでございましょうし、市がまた貸し付け料金を取るということでございましょうが、非常に巨額のお金が要ります際には、何らかの仕組みにおきまして、自治省とも協議の上、法律上可能なる助成といいますか、かさ上げといいますか、そういうこともできる道も検討をすべきであると思いますので、そういう検討もさしたいと考えます。
-
○峯山
昭範君 山中長官、あとで……。
それからもう一点、私は大臣に確認しておきたいんですが、先ほど住友の問題が出てまいりました。ラグーンの池の問題ですね。それで住友といま
理事長の話ではっきりしたんですが、四千九百万の、四千九百万ですね。四千九百万の契約で、その装置がうまくいかなかったんで、住友が二千万というお金を払ったというんですよね。こういうことは、どうですか、妥当ですか。大臣、いいと思いますか、こういうことは。
-
○国務大臣(内田常雄君) これは、まあ会社も企業でありますし、無理を押しつければ、必ずそれのはね返りというものがどこかにくるのではないかと思いますから、追加支出を二千万さして、それで事が済んだと簡単に考えるべきものでは私はないと思います。ただ、事業団の
理事長のお話ですと、今後他の方面にも同様の施設などをやる場合に、その二千万円の追加支出の効果を生かすようなことにもなることを期待しているというような意味のお話でございましたが、それは、その二千万円をあとから上に乗っけられたんじゃ、政府も困るし事業団も困るわけでありますから、私は簡単にそうも思いません。しかし、私がさっき一般的に述べましたように、相当のお金を出して、それがそのまま、十分な効果がないために途中でやめにするというようなことができるようなものではありませんので、これはやはり追加支出を、最終的負担はどういうことにするにいたしましても、最も公正妥当なるやり方のもとに仕事を完成させ、また
理事長が言うように、他の面にもその効果が及ぶものがありましたら、十分その辺を生かしていくということについては、公正妥当な処置を検討しつつやらせたいと考えます。
-
○峯山
昭範君 非常に微妙な発言していらっしゃるわけですけれども、いずれにしましても、との問題については、大臣、
理事長もまだ就任して間もありませんし、なかなか詳細わかっていらっしゃらないようでありますので、この問題についてはちゃんと調査して報告していただきたいと思うんですが、どうですか。
-
○国務大臣(内田常雄君) そのようにいたしましょう。また、私の発言は
理事長もお聞きでございましょうから、どうかそのようにして、調査をして国会のほうにも十分御報告をお願いをいたします。私のほうにも報告をお願いします。
-
○峯山
昭範君 それじゃ時間もあんまりありませんので、山中大臣、これはあとで大臣のほうの答弁をお願いしないといけませんので……。この
公害防止事業団の問題の中で、もう一つ問題があるのです。それは今度の環境庁をつくるということは、これは環境庁というものは自然の保護ということも私はこの中に含まれておると思うのです。実は
公害防止事業団が、これは大阪の柏原というところに工業団地をつくっているわけですね。これは工業団地の問題について、私は工業団地をつくるということ自体がいかぬと言っているわけじゃないのです。事業団としては、零細の企業の皆さんを集めて、そうして公害のない、すばらしいところに工場団地をつくって、安い土地を提供し、そしてそこでいわゆる鋳物工場にしろ何工場にしろ、工場の運営ができるようにするというのが私は当然だと思うのです。しかしながら、これは柏原の問題については、いろんな問題が持ち上がっておりますね。これはどうですか、概略、
理事長から説明していただけますか。
-
○
参考人(江口俊男君) 柏原の団地の問題について、私の伺っておる問題は二点ございます。一つは、取りつけ道路の問題で、どちらからどう入ってどこを通るかということで、現地の住民の方から苦情が出たということが一つ。それからもう一つは、その団地自身のことでございまするけれども、そこから百メーター、たぶん百メーターぐらいだと聞きましたが、そこに二十数戸の家屋がございまして、その方々から、そういう団地ができたら将来騒音もあるだろう、あるいは粉じんも降ってくるだろう、あるいはそれを造成する間に相当な公害が発生というか、騒音、振動等に悩ままされるのじゃないかというようなことで反対があったという話を、最近聞きましたのがその二点でございます。
しかし、どういういきさつの土地かと申しますというと、ここに土地を選びましたのは、まず第一点として、地元柏原市が確信を持って推薦されました土地であるということと、当該地区の地目は山林でございまして、周辺が都市化するおそれがないと考えたことと、また、都市計画上、工業地域として指定される旨の約束がございまして、現にその後工業地域に指定されておるということ、及び国道二十五号線から適切な取りつけ道路が敷設できるというような点、あるいは騒音防止、大気汚染防止についても適切な措置、計画が府の指導のもとに盛り込まれておるというようなことを考えまして、事業団としてはその土地を選んだわけでございます。
-
○峯山
昭範君 大臣、いま聞いておりまして、いまの
理事長の答弁の中に、矛盾しているでしょう。一つは、これは山の中なんですよ、山、ですから自然環境、都市化するおそれのないところという話が初め出てきたでしょう。それであとで、いわゆる工業指定にしたということは、これはほんとうは、私はまあ地元がどういうことを言ってくるにしても、これから大臣のところで管轄されるかどうかわかりませんが、とにかく環境庁で管轄する、この
公害防止事業団が、今後公害を防止するために、こういうような工場団地をつくる場合、要するに自然の山ですね、そういうところを切り開いて工場をつくるというのは、確かにそれは人家から離れておって、非常にいいかもしれませんけれども、私はこれは適切じゃないと思うのですよ。何でかと言いますと、大阪の場合にはもっとほかに、港のほうや築港のほうにずいぶん幾らでもあるわけですよね、工場団地をつくるべきところが一ぱいあるわけです、現実の問題として。そういうような面からいいまして、私はいま
理事長のおっしゃった初めの二点の問題点というのをそう問題にしているわけじゃない。要するに取りつけ道路がどうのこうのとか、中に住んでいる人たちが——そういう点にも問題はありますけれども、もっと大局的見地に立って、事業団は公害防止という面から、いわゆる自然環境を保護する、そういうような面に立って処理をしていかないといけないのじゃないか、こう思うのですが、
理事長どうですか。
-
○
参考人(江口俊男君) 私も自然環境をそのまま優美な形で保存するということにつきましては、大賛成でございまするけれども、新しく工場団地を持っていくところとしては、ただいま御指摘のように埋め立て地等があって、適当なものがあれば、それは私は一番いいと思いまするが、その次はやはり人里離れたところに持っていかざるを得ない。まあこの場合が一番適切であったかどうかということは別としまして、どこかには持っていかなければならぬということであれば、やはり次善の策としてはそういうところもやむを得ないかと存じます。
-
○峯山
昭範君 いま、私は終わりますけれどもね。最後に、いまの
理事長の答弁では、とてもじゃないけれども納得はできないわけでありますけれども、現地を私も見てまいりました。実際問題考えまして、こういうところへ工場団地をつくるということは、非常に適切じゃないと私は思うんです。そういうふうな意味から申し上げまして、やはり
公害防止事業団が、ほんとうに公害の防止といいますか、これから環境庁のもとに入っての自然保護という面からいいましても、私はどれ一つ取り上げてみても、
公害防止事業団がかえって公害を発生し、あるいは公害を増長しているというようなことになっては困ると思うんです。そういうふうな意味から申し上げまして、こういうふうな一つ一つの問題がずいぶん出てまいりますけれども、いずれにしましても、将来の
公害防止事業団のあり方といいますか、そういう点からいいまして、いま種々問題を申し上げましたが、それにさらに追加いたしまして、先ほども私は総理にも
公害防止事業団の人事のことについても申し上げましたが、確かに私は
公害防止事業団の中の人の一人一人についても、実は一覧表をもらいまして検討しましたけれども、あまりにも弱体なわけです。そういうような意味からも、どうか今後の
公害防止事業団の人事のあり方等も含めて、総務長官から答弁をいただきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 首脳の人事の話は、総理と問答がありましたから省略しますが、私がことし予算編成の際にタッチして感じましたことは、
公害防止事業団というのが、まず厚生省と通産省との共管であるということのやはり問題点があるように思います。さらに、それが弱体という意味の実体にもなるでしょうが、地方に手足を持っておりませんから、したがって、地方の実情というものを詳しく常時把握できる体制にないということと、それから融資業務等の分野が逐次拡大をされてまいりますが、これからその分野は大きくなると思いますけれども、すべてが委託をして融資をするという形しかとれない、それほど手薄なわけであります。したがって、いま少しく専門の分野の手足を与えてやること並びに融資業務等をもう少し事業団自体が相当な能力を持ってこなし得るような人材をそろえること、これはいまの許されざる環境の中でつくるわけでありますからむずかしいかもしれませんが、せっかく環境庁のもとに統一して直属の事業団になるわけでありますから、これからの仕事の分野、使命というものは非常に大きくなると思うのです。この際、やはり
公害防止事業団の本来の目的に負荷された未来への使命を満たすような人事、予算、能力等の問題について十分配慮をして、これから育てていく事業団であるというふうに考えております。
-
○峯山
昭範君 私はこれで質問を終わりますが、実は実態の問題を初めに種々やりまして、実は環境庁の設置法そのものの問題につきましても十分論議を尽くしたかったわけでありますが、時間等の問題がありますので、今後何らかの機会にこういうような問題を種々内容等の問題については取り上げてやりたいと思います。
以上をもちまして私の質問を終わります。
-
○岩間正男君 こういう形でほんとうに国会の大詰めの場でこの環境庁設置法が審議されるわけでありますが、この審議の過程をいま振り返ってみると、ハプニングの連続なんです。実にこれはまことにもう国会史上あまりかんばしいことじゃないですよ。こういう形で審議されて、しかもこの法案が通るということになると、非常にやはりわれわれは通した者として、国民の前に責任を負わなければならない。したがいまして、これを通すか通さないかということは、これはこれからの審議にもわれわれとしては関係するわけでありますが、現に公聴会が一昨日持たれまして、神戸大学教授の西原道雄氏が、こういう中で非常に不十分な形で、しかも実際は中をとるための調整というような形のものしかできないだろう、そして非常に不十分な形で通すことは必ずしもかんばしくない、こう言って否定的な態度を現に述べられているのであります。長官はこれを聞かれる、そういう時間がなかったわけですが、そういう点から考えますというと、非常にこの問題は重大であります。したがいまして、何といいますか、まだ成熟児じゃないというかっこうで、しかし発足させなければならぬので、昨年十四法案を通した。それで国民の下からの声に一応対応する形はとった。そうしてその結論の焦点としてこのような環境庁が設置されるということになるわけでありますが、こういうものをほんとうに目的に沿うようにやるために、どういう決意を一体長官として持たれるのか、最初は私はその点からお聞きをしたいと思います。いかがです。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 私は昨年七月三十一日、公害担当大臣になりまして考えましたことは、とりあえず、現在の日本の法体制の不備、そうして現実とあまりにずれている基準、規制、そうして各省ばらばらの行政のあり方、そうして後手後手と回りがちな政治の現実というものを率直に反省をして、そうして三カ月余り後の臨時国会に関係法案を、悪臭防止法一つを落としましたけれども、一応拙速と言われようとどうしようと、とにかく法案を提出することに全力を傾けて、その次にはやはり名実ともに公害防止行政、環境保全行政というものを一本化するということのためにはどうしても役所が一つ要る、独立した役所が要ると考えました。しかしながら、大臣を一人ふやすということについては若干の異論も私は持っておりました。しかしながら、専任の大臣がどうしても要るという最終的な結論になりまして、その点は最終的な政府の決断として大臣を一名増加させることもやむを得ないものとして、専任大臣のもとに環境庁を出発せしめることにいたしました。
〔
委員長退席、
理事塚田十一郎君着席〕
そのような姿勢をもって貫いてまいりましたが、私としては、やはり環境庁の行政の分野がいま少しく広い分野で出発できたらなおよかったと思いますけれども、しかし、さしあたりこの行政のみに専念する大臣が一人置かれるわけでありますから、この大臣のその行政に専念する政治手腕に信頼と期待とをかけて、そうしてすみやかに私が先ほど来率直に披瀝いたしました足らざる点、あるいは今後の問題点、こういうものを詰めていただいて、そうして諸外国に比してもりっぱな体制のもの、そうして国民から見ても、これがいわゆる国民のサイドから見て環境庁という役所であるという理解を得られるような姿勢をすみやかにつくり上げていくべきだと考えております。
-
○岩間正男君 まあ環境庁の基本的姿勢の問題ということになると思うのでありますが、大体この公害対策について政府の態度というのは、一応姿勢を変えたということを先ほども総理は言ったわけです。しかし、そうでないと思われる節も、これは言動がたくさんあるわけですね。私はそういう点からこの公害発生の原因は、言うまでもなく、これは高度経済成長政策によるところの大企業の産業公害である。これが基本的な問題だということになってくると思います。
〔
理事塚田十一郎君退席、
委員長着席〕
そういう中で、一体これが国民の生命を守るという立場から、国民的規模でこれに対置するのか、それから従来のそういう姿勢を温存していくのか、このことは非常に国民が重大な関心を持っているわけです。環境庁はできた、これで何か一つの問題をこれでもって緩和するような、そういう形だけの、いわゆる先ほど申しました、何か中をとるというような、そのようないわゆる連絡調整の機関であったのでは、これは全く国民の期待にそぐわないと、こういうふうに思うわけです。ですから、結局はどこにこの政治姿勢を置くのか。国民のほんとに命、安全を守る方向にはっきり置くのか、それともまた、それは口実であって、実際は大企業の立場に立つのかどうか。これは非常に抽象論になると思うのでありますが、しかし、この腹がまえが非常に重大だと思いますので、最初にこのことをお聞きしておきたいと思います。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは、当然はっきりさしておかなければならないことであります。すなわち、環境庁の目的や設置、任務、こういうものの中で、ことに第三条「任務」において「国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため」にこの役所をつくるのであるということを、はっきりとうたっております。これは憲法二十五条の条文をそのまま、最高の日本の法律の典範である憲法において保障された国民の健康で文化的な生活の確保ということが、環境庁の基本的な任務である。ここに底辺があり、ここに中心があるのであることを明確にして出発しておりますので、この役所がこれから仕事をいたします際に、自分たちの憲法の条章を受けた使命に反するような行政という姿勢は、とうてい私としては担当できないところでありまして、そのような批判を受けるならば、それは環境庁自体が運用を誤っておるとしか考えられないと思います。
-
○
委員長(
田口長治郎君)
委員の異動についてお知らせいたします。
本日、八田一朗君が辞任され、楠
正俊君が選任されました。
-
○岩間正男君 それじゃお聞きしますけれども、これは繰り返しになるかもしれませんが、私はいまの観点からこの問題を再度明らかにしておくことが重要だと思う。政府は、公害に無過失損害賠償責任を課する大気汚染防止法、水質汚濁防止法の両改正案を、今国会に提出しないのは一体なぜなのか。
佐藤総理や山中総務長官は、昨年九月のあの宇都宮の一日内閣以来、再三にわたって、今通常国会にこのような法案を提出するということを言明しながら、その公約というものが果たされていない。そういう結果になっているのです。これはどういうことなんですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これは、公害担当大臣としての私の政治力の足らなさを示すもので、私の責任でございます。私としては完全に法案も、法制局の段階も経て、印刷もし、また手続として中央公害対策審議会の議も経て、若干不満足な点もあるが、さしあたりはこれで出発するがよかろうということの了解も得て、さらに純法律的に、政府内においては法務省とも相談をして、民法の特例をいま開くことが不可能であるならば、この点において水質、大気等の定める物質について、無過失損害賠償責任を課する立法もやむを得なかろうという各般の了解を取りつけていたわけでありますが、しかしながら、三月の上旬に、政党内閣でございますから、与党と相談いたしまして、主として硫黄酸化物の複合汚染、その複合汚染が無過失損害賠償を適用された場合の対象者、あるいは賠償額の配分、その因果関係、これらの問題の純法律的な問題から、相当日数を経過いたしました。その後、党内の手続として、商工部会並びに法務部会等の賛成を取りつけなければならないという政務調査会長の要請がございまして、それらの三部会の賛成を取りつけるのに懸命の努力をいたしましたが、最終的に、私も自民党政策審議会に二時間余り出席をして、直接私自身が討論をいたしまして、ようやく正副会長に一任を取りつけました。しかしながら、翌々日の総務会において、議題に供することを、三役の立場において認められませんでしたので、結局は二回総務会に出席して意見を述べましたものの、私の政治力の不足によってこの壁を突破することができませんでした。したがって、最終的には公害対策本部長たる総理の決断を仰ぐ必要がありましたから総理の判断を仰ぎましたところ、総理としては、先ほどの答弁にありましたように、党としても今回はっきりと公党として総裁の立場からもこれを権威あるものとして、責任あるものとして認めるということで、参議院選挙の自民党の掲げる政策の中に無過失損害賠償責任制度を確立するということを入れたので、これは早ければもっと前にやるかもしれない、しかし、次の通常国会というならば提出をお約束するということを表明されたわけでありますが、そのような決意の表明が私にもありましたので、私の微力ではいかんともいたしがたく、法案としてすでに提出の手続を全部終わっていながら提案することができなかったということであります。
経過だけを申し上げたのは、弁解ではありませんで、全力を尽くしましたが、私自身の微力のいたすところ公約と相反した結果になりましたことについて、私自身の責任の存在を回避するものでないということを申し上げた次第であります。
-
○岩間正男君 まあ長官の努力された経過については、これいまお聞きをしました。しかし、長官一人のこれは責任というふうにわれわれは考えない、重く沈んでいる
佐藤自民党内閣全体のやっぱり責任というのを明確にしなきゃならぬ、こういうふうに考えるわけです。私はいま記憶をたどるというと、昨年の九月の宇都宮の一日内閣でしたね、高校生が出てきて痛烈な発言をしたはず。このとき答えたんですよ。この高校生はどう思っているだろう、政府の責任に対して。あの一日内閣というのは全くのでたらめだ。国民に対してほんとうに耳ざわりのいいことは言った。しかし、実施力を見ると、あれからすでに一年近くたっている。しかし、これは何ら解決されていない。この子供はどう思っているんだろう。これは、単にこの高校生だけの問題ではない。こういうような形で政治が進行しているところに非常に大きな問題があると私は思うわけです。この点についてはあらためてまああなたにお聞きするまでもないことだと思うので、こういうことも少し考えてください。教育の立場からも考えるがいいですよ、一日内閣、わざわざ高校生が出てきたんです。あの発言は痛烈だった。国民の胸をつくようなものがあった。これに対して答えたこの政府のこの政治の結果がこういうかっこうになってきた。これはうまくないと思うんです。しかも、どうです、この未提出の法案それ自体は、賠償責任は本来すべての公害について適用すべきものであるにもかかわらず、大気と水質だけに限定し、さらにその原因も特定の有害物質によるもののみに限定し、さらに大気汚染の中心である硫黄酸化物による被害を対象とするものではなく、さらに被害も人体の健康被害だけに限る等等、後退に後退を重ねている。いわばざる法的なものに成り下がっていたはずである。これをしも、これらの法案をも提案を見合わせる、これらの経過と結論こそ、公害に対する政府の対策の本質がいかにも如実にこれはにじみ出ていると思うのであります。こんな姿勢でたとえ環境庁を新設し、公害行政の一元化をはかると言ったところで何ができるかと、こういうふうに国民はこれは疑惑を感じているんじゃないですか。この点についてあらためて、一体長官はどう考えられるか。これは
佐藤総理にほんとうは聞きたかったんです。あなたは副本部長ですからね。だからほんとうは
佐藤総理に聞きたかったが、時間の関係で聞けなかった。まあ担当者としてお答えいただきたい。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 昨年の宇都宮の一日内閣の高校生の発言を例に引かれますと、私も胸が痛みます。率直に、今国会で提案すべき時間も十分にあったと、しかも法律の準備もできたと、そして最後にそれが出せなかったということの責任はあげて私にございます。高校生のその純真な心をあるいは傷つけたであろうということは深く反省をいたしております。
-
○岩間正男君 次に、環境庁について幾つかの問題についてお聞きしたいと思うのであります。
まず、その任務についてですが、これは先ほども
佐藤総理にお尋ねをしました。公害の防止というそういう任務のほかに、自然環境の保護というのをあげているんですね。私はあれだけの切実な産業公害の続出する中でこの問題が取り上げられたのでありますから、環境庁の任務をとにかく公害の防止、それに集中的に置くべきだったというふうに考えるわけですね。ところが、そうなっていないんです。これはどういうことですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) これはまあ見方の相違、考え方の相違でございます。公害防止行政、これを克服するためにまず全力をあげるための省をつくるべきだったと、役所をつくるべきだったという御意見も、また一つの考え方であり、しかしながら、諸外国に目を転ずるときに、やはり諸外国の環境汚染に対する挑戦の態度というものは、やはり自然というものをこれ以上破壊せしめないために、そしてたびたび申し上げておりますとおり、この私たちの地球的な規模でいえば地球、われわれの国でいえば日本というものを、私たちの子孫になるべく健全にして残していかなければならない、こういうことを考えますと、やはり公害防止行政という端的な直截な行政のみでなく、そこに自然、鳥獣保護まで加わったやはり自然の保護というようなことも一つの柱に立てていくべきではなかろうか。諸外国はむしろ自然環境の保護というところからスウェーデンあたりは出発してきたのではなかろうかというふうにも考えますので、これはあえておことばを返すわけではなくて、いろいろの考え方がいろんな角度からある。その結果、私としては、自然環境の保護もやはり双壁として、一方の柱を立てるべき存在のものであるということを、国際的な立場にも立って考えてみた次第でございます。
-
○岩間正男君 そういうふうにお答えになっていられるのです。しかし、これは見ようによっては一種のカムフラージュ的な意味を現実的に持ってくる面があるのではないか。自然環境の保護の重要なことは、これはむろんわれわれも人後に落ちるものではないのです。だからと言って、一見耳ざわりのいい任務を書き込むことによって、環境庁というものを何か次元の高いもののように見せかけながら、実は本来の任務であるべき産業公害の防止をあいまいにする意図が隠されているということになったら、これはぐあいが悪いと思うんです。だから、本来の一体最も重大な任務は何なのか、そこのところは集中されて、もっとも、この問題が解決されて初めて当然それは自然環境の保護というものを加えられることに対して、われわれはこういうようなうがったような見方をしたいとは思っていない。ところが、一方のほうは、いま無過失賠償責任の問題を一つ見ましても、非常にこれは不十分にされておって、そうして結局は一方のほうでこの自然環境の保護などという、非常にきれいごとみたいなものを加えている。そうすると、結局カムフラージュ的な役割りを持ってくるのではないかという現実的な分析の上から私は発言しているのです。どうですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) そういうふうに見る方もあるかもしれませんが、私どもとしては、やはり自然保護局というものも必要だ。しかしながら、やはり公害防止のために水質保全局、大気保全局という、またそれぞれの公害防止の中の双壁といいますか、二本の柱と申しますか、そういうものを環境庁の中核に据えて、少なくとも今後公害というものを起こさないということにまず重点を置く。しかし、その反面においても、これ以上の自然の破壊というものは許さないのだ、こういう姿勢も行政の分野として持つということについては、そう私極端に悪い姿であって、何かを秘匿してごまかそう、美しいかっこうをしようというつもりは決してありません。
-
○岩間正男君 私もあえてうがった、そういうような何か意地の悪い質問をしているわけではない。ただ、現実を分析すれば、そういう結論が出てくるということです。これは認めざるを得ないと思うのですね。だから一方がなおざりにされているから、こういう論議も起こってくるわけですね。その点は認めていただきたいと思う。
そこで通産大臣、私はまあいろいろ政府のカムフラージュ的な態度について言われたが、しかし、次のような事実は何と説明したらいいのですかね。山中長官は十七日の衆議院の内閣
委員会で、わが党の東中議員の質問に対して、「私は最初電気事業等についても大気汚染防止法や水質汚濁防止法に規定する都道府県知事の権限をすべて除外なく適用したいと考えていたが、通産省等との協議の過程で現行のように適用除外されることもやむを得ないと判断した。」、こういうふうに答えていられるわけですね。これは明らかに通産省への屈服ではないですか、どうなんですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) それは過程をこまかに説明したわけであって、理想像というものを私は当初は描いていたということであります。しかし、そのあとに、私のなぜそう思ったかということが出ているはずでありますが、それはエネルギーとしてのローサルファーの国際的な確保というもの、さらにまた、広域供給義務をだれが持つかということについてのエネルギー源として、一発電所をストップをかけて、その場合においてスイッチオンする場合に、数秒の狂いなく他の事業所なり、あるいは他の電力会社から電力を供給しなければ、今日国民生活の血液みたいになっている電気というものを実際にとめるわけにはいけない。計画なしにとめるわけにはいけない。その両々の要請というものは、やはり現実に環境庁というものがこれをすぐにやるといっても無理だから、したがって、それを通産行政の中で、電気事業法、ガス事業法等の中で公害に対する条文を入れて、その姿勢を改めた新立法によって今後そういう行政が行なわれていくだろうということを申しておるはずでございます。
-
○岩間正男君 そうすると、そういう経過措置とって、将来は環境庁のもとに置くと、こういうわけですか。こういう了解はついているのですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) その了解はまだつけてはおりませんし、また、環境庁の中には入れないということにしましたので、その後の協議というものはいたしておりませんが、今後の日本の環境行政の中で、ただいま申しましたようないろいろ理由ありますが、いわゆる低硫黄重油の確保という問題が完全に解決し、そうして広域行政というものが、地方自治体の長に権限をまかせても電力供給等において支障がないというような状態等が完全に客観情勢ができ上がるならば、これは環境行政の中に取り入れていってもおかしくはないし、将来はそうなるべき時代も来るであろうということは考えております。
-
○岩間正男君 とにかく、現在では無理だというのがあなたの見解なので、それにはそういう技術を持たなければならない、いろいろな技術面での充足もしなければならぬ。しかし、必要ならば、やはりそういうものはつくるべきなんですね。将来そういうものをつくって、はっきりそれを一元化する方向に持っていくという、そういう決意を持っておられるということですか。
-
○国務大臣(山中
貞則君) 私はいま環境庁の産婆さんでございまして、生み落とす子をなるべく健全にと思って努力をいたしております。ただ、私が長になりますか、だれがなりますか、いずれにしても、この環境庁を引き継いでやっていただく人について、これは当然通産行政とも常時密接なる相談をしながらやっていかなければならない問題でございますから、今後の日本の環境汚染に立ち向かう行政のあり方というものについて、当然だれがかわってもそういう方向に相談が進められていくであろうというふうに考えます。
-
○岩間正男君 通産大臣にお聞きしますが、いまの山中長官の述べられたそういう方向に将来——といっても近い将来ですね、そういう方向にこれは体制を変えていく、そういうことは了解されますか。ですから、結局は、通産省は発電所等の認可に環境庁が関与すること、これは当然だと、こういうふうに考えられますか、それとも反対ですか。反対だとすればその理由はどういうところにある。
-
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は、昨年公害関係の十四法案を御審議願いましたときにしばしば御説明をいたしたところでございますけれども、法律の改正によりまして、たとえ公益事業、電気事業でありましても、排出基準の違反に対する直罰、立ち入り検査、報告徴収、いわゆる緊急時の事務命令等々は都道府県知事に権限が与えられたわけでありますし、また、都道府県知事が通産大臣に措置を要請することができるということになっておりますことも御承知のとおりであります。そこで、今回環境庁の設置に従いまして、以上の公害規制の権限はすべて環境庁に移管されるわけでございます。そういう権限を環境庁の長官が持つということになるわけでございます。
それから、発電所の設置についてでございますが、これは御承知のように、電源開発調整審議会において決定をいたしておるのでございますから、今回環境庁の発足に従いまして、環境庁長官は当然に審議会の構成員となります。したがいまして、審議会で決定をする際には環境庁とも協議をしてしなければならない、これは当然のことでございます。
-
○岩間正男君 しかし、依然として通産大臣の権限は強いでしょう。たとえば、この立地条件ですね、これから発電所、そういうものを新しく設置するというような場合は、これは通産大臣の認可と、先ほども総理に聞きました。それから、たとえば違反に対する
改善命令、こういうものについても通産大臣が行なう、こういうことになってるんですから、権限の所在というのは、これは通産省に現在ある。その権限の所在をはっきり環境庁に将来当然譲ると、移管すると、そういうことなんですか。どうなんです、そこは。そこがはっきりしないのです。いまの、審議会があって、それの構成メンバーになっているからだいじょうぶだろうというような、そういう形でこの問題は切り抜けられる問題ではないと、こういうふうに私は思います。
-
○国務大臣(宮澤喜一君) 電気事業等の監督は、通産大臣が事業法に基づきまして持っておるわけでございますが、これは同時に、設備の設置あるいはその運転について、保安上の観点からも監督をいたしておるわけでございます。そこで、公害の除去、防止ということは、保安ということに相当事柄の性質上密接な関係がございます。
それから、先ほど山中長官の言われましたとおり、電力は、一カ所において発電いたしますものが全国広域的に運用されるのでございますから、それを一カ所とめますときには、それに対応する措置を直ちに考えておかなければならないという、一地域を越える問題もございます。このような見地から、昨年十四の
法律案を御審議願いました際に、あのような規定にいたしました。ただ、そうだからと申しまして、公益事業であるからといって一般の公害規制を免れ得るものではないことはもちろんでございますから、先ほど申し上げましたような新しい権限を、監督規定を、昨年の改正で挿入をいたしたわけであります。
それから、それと別の問題といたしまして、発電所の設置ということについて重ねてお尋ねがございますが、これは発電所建設のためには電源開発調整審議会の議を経なければならない、そして国の発電基本計画に組み入れなければ許可ができないわけでございますから、その審議会という場を通じて環境庁には当然それについて環境庁の立場からイエス、ノーという権限は持たせる。これは当然にそういうことになるわけでございますから、その点、御心配のようなことは起こらないと思います。
-
○岩間正男君 電源開発調整審議会というものがあって、それが絶対のような、こういうふうになされているところに問題があると思う。それが優先している。そして、そのもとにやっぱり公害規制も行なわれるというようにどうもいまの話は聞こえるのでまずい。そういう問題についても、この電源開発調整審議会というものはやっぱり公害規制の立場からこの問題を考えていくという面が大切だと、ここに私は政策を大きく変えていくということが必要じゃないかと思って、去年もこのような空気汚染の問題、火力発電所の問題、そういうものをめぐってあなたと当
委員会で一時間余りやり合った。あれは法改正前の問題で、もうお忘れかもしれませんが、ここにありますからね、速記録が。あのとき私はあなたのあれを読んでみました。しかし、その後に公害が起こって、いまこういう答弁をされないだろうと思うんですね。しかし、ずいぶんそのとき、いまから見たらちょっと耐えられないしろものですよ。ここに問題が私はあるというふうに考えておるわけですね。だから、経済との調和、そういうような問題になって、「経済との調和」というものを削って、「人命の優先」ということを一応うたったわけです。しかし、重く沈んだ部分ではたしてそうなのか。
佐藤自民党内閣の政府の性格そのものの中にも、先ほどから私が指摘しておりますように、重く沈んだものがある。だから、山中長官の相当若いエネルギーに富んだ努力にもかかわらず、この問題というものはなかなか解決はつかない。そういう問題がこれは出てくるわけですね。ところが、はっきり国民多数の意思で法改正がいまなされているんだというこの現実を、やっぱりどの点で受けとめているのか、どれだけの程度で受けとめているのか。この時点に立ってはっきりやはり私は政策を変えていかなきゃならない、こういうふうに思うんですが、この点はいかがですか。これは通産大臣、聞かせてください。
-
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの部分の御質問の含意がちょっとわかりかねましたが、公益事業として、公共事業でありましょうと、そうでありませんとにかかわらず、これは公害規制について法律——国民の意思によって定められた法律を厳格に守らなければならない、これは言うまでもないことでございます。
-
○岩間正男君 昨年もあなたは、その前の法律の立場から、私が東京都の規制、油の大気の汚染の規制の問題について質問したら、これはいままでの法律のたてまえからあくまで守るべきだと言われた。ところが、法が変わっているんですから、ここにはっきり、やはりこういう点では政策そのものを大きく変えていく、法律に即応したそういう方向をとらなければならぬと思うんです。ところが、私はそういう中で、実はこの前の、昨年の暮れのあの論争を聞いておったわけです。公害連合審査会が持たれましたね。そうしてそのとき、あなたはこういうことを言っておられる。これはいまもその考えておられるだろうかどうか、非常に私は重大な問題だと思う。それは、当時尼崎の火力発電所の問題がわが党から提起されまして、これに対する規制の問題が出された。ところが、あなたはこれに関連して、尼崎の大気汚染の原因は実は京都の宮津火力発電所、こういうものがちゃんと完成しておればこういうことは起こらなかったのだ、こういうふうに答弁された。そして京都府民のあの現地における反対の戦い——生命を守る、環境汚染から自分たちの環境を守る、命を守る、こういう戦いというものは、これは電力開発という一つの大きな、まさにこれは高度経済成長政策の血液ということをさっきから私は申しておるのでありますが、そういう電力とかガス、そういうものに対して、どうも地域住民のこのような戦いというものはいかにも不当なものであるというように、そう響くような言い方であなたはあのとき答弁をされております。これはこれでいいですか。これは全く通産行政の姿勢、そうして公害に対する最も基本的な課題だ。産業公害の問題が最大の課題なんです。その中心の大きな問題としてこの問題を私はお聞きしたいと思うのです。
-
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまもそのとおり考えております。お時間がございましたら、ゆっくりもう一度経緯を申し上げたいと思いますけれども、それができませんので、要するに、
昭和四十一年の四月に新宮津の発電所の立地、二基合わせまして九十万キロワットでございます。これについては、宮津市議会がこれを承認をし、そして宮津市長は、そのことを京都府知事まで進達をいたそうとまでしばしば努力をいたしたわけでございます。それにもかかわらず、このことが今日まで実現をしておりません。そのための九十万キロワットの穴というものは、関西電力としては当然非常に大きい。よそから支援いたしましても、これによって
昭和四十五年度の需給計画が大きく狂いましたことは、事実に徴して間違いありません。
-
○岩間正男君 これは現地で私たちもこの問題にタッチしているわけです。一体どんなことが起こっておる。宮津の市役所に対して、何百そうかの船を仕立てて、あそこの、何ですね、与謝の海ですか、あの漁師たちがすわり込みを三日ぐらいやりました。そうして、これは京都府民の意向として、あの発電所に対する反対の意思が表明された。これは当然ですよ。ところが、これに対して、これがだめだから尼崎の古い火力発電所を動かさなければならないのだというような、まるで、そのために、京都の府民のこの闘争というものは悪いことをしているような、そういう印象を与えるような形でこれは言われておる。私は、法案が変わっているんでしょう、法案が変わって、たてまえが違ってきているのでありますから、日本の高度経済成長政策、さらに新全総に発展していこうという、この政策そのものを、人命尊重の立場から再検討をするということが当然だと思う。政策を大きく変えるのだという、そういう方向をとらない限りは、実際はこの公害問題というものを解決することはできませんよ。これに対するいろいろな姿勢の問題、それがどんなにされたって、完全だということはこれはあり得ない。したがって、これは政策を人命尊重の方向に従い、従属させる、そういう方向で、日本のこのいまの産業政策、経済政策を、私はやはり大きく転換する方向をとるということが重大だというふうに考えます。ところが、その点についての何らの反省なしに、あのような答弁が繰り返されます。私は非常にこの点が通産省の基本的な姿勢として、さらにこの公害問題と対置する重大な課題として、私はこの問題を明らかにしなければならぬ、こういうふうに考えるのですが、あのときと少しも変わりがないというのですか。あのときは、まだ法案が通らないときでしたな。その審議の段階でした。それから法案が通った。法案は通っても変わりはないのだ、こういうふうにはっきり了解してよろしゅうございますか。
-
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、
昭和四十五年に、尼崎の火力発電所をたかなければならない、そのことが宮津に立地できなかったことの結果であると、おまえは昨年答えたが、いまでもおまえはそう思っているかというお尋ねでございますから、いまでもそう思っておりますと申し上げております。
市民の意思と言われますけれども、私ども、市民の意思というのは、正当な選挙によって選ばれた市議会によって、その議決によってあらわれるものであり、また、市長がそれを執行することによってあらわれるものである、そう考えておりますから、それは実は市民の意思ではなくて、市民の意思はほかにあるといったような御議論は、わが憲法の定めているたてまえではないと思います。
-
○岩間正男君 そういうことをあなたは言われるけれども、それは形式論でしょう。それは実際は、現実的に宮津の市議会も変わっていっているでしょう。そうじゃないですか。京都に行ってごらんなさい。あの火力発電に反対している人、賛成している人、これ調査してごらんなさい。住民の意思というのは、これは多数で決定されなければならないものです。市議会は操作したでしょう。前尾氏はあそこの出身だ。具体的にいえば、あそこで長年そういうような政治的な支配をしてきた人だ。その圧力があったことも知っています。後援会もそういう支配のもとにあった。しかし、それに対して、ほんとうに環境を守る立場から、生命を守る立場から、地域の人たちがあの火力発電に反対して立ち上がってきたんです。この意思を認めるのか認めないかというところが非常に最大の課題ですよ。あなたたちは、自分できめたそういう産業のもう一つのこれからの計画というものをどこまでも変えないんだ、これはもう前提条件にしてやっていくんだと、そしてすべてのものを従属さしていくんだと、これは通産省の当然の任務だと言わぬばかりに言われたとしても、これは了承することはできない。ここのところは非常に重大です。同じことが昨年の東京都における大気汚染の規制についても言えるんですよ。それは基本法に定めたそういうやり方からいえば、東京都はもっと非常にきびしい規制をやった。しかし、それは法律に違反しているからけしからぬ、こういうような形式論。しかし、どうです。東京都の大多数の人たちは、あのようなほんとうに経済との調和などということで、実は全くごまかされているところの、公害対策にはあまり役に立たないところの基本法、こういうものを打ち破って、そうして自分の命を守る立場から、美濃部民主都政のもとにあのような規制をなし遂げたんです。これははっきり都議会で決定されたもの。その方針を、しかも多くの人が支持された。あのとき私は言ったんであります。今度の選挙を見てごらんなさい。六五%以上の人がこれを支持している。
-
-
○岩間正男君 そういうことではっきりこれは変わっているんでしょう。そこ見てごらんなさい。
-
-
○岩間正男君 それから、これは宮津の市議会も、市議会、いま調べてみればわかりますね。その問題をこれはもとにして言ってますけれども、東京の場合はどうなんです、東京の場合は。東京の場合は、都議会の意思というものはこれはどういうことなんです。どういうことになりますか。いまのあなたの答弁というのは非常に矛盾に富んでいる。ここのところが非常に大きな問題なんです。ここのところが明確にならなきゃならない。まあ宮澤通産大臣は非常に温厚な方に見えます。しかし、しんが強い。あなたがいま産業の中で何を一体考えているかということは、これは知る人ぞ知る。そうでしょう。そういう意味で旗手だ。日本の経済成長を推進する旗手だ。そこのところが強くてがっちりがんばっている。通産大臣、どうですか。山中長官、ほんとうにここのところで対決ができるのか、あなた、問題がいま問われているんですよ。
まあ、時間が、先ほどから
委員長がしばしばもう親切な注意をしてくれていますから、私はあんまりこれ以上いばろうとは思いませんけれども、この点、明確に答えられぬですか。ここの問題、この問題解決しなければ、一元化の問題、そうしてほんとうにこの環境庁が公害実施庁的な性格、単なるほんとうに寄せ集めの連絡調整的な、そういうようないわば、何といいますか、非常にカムフラージュ的な様相を持ったそういう機関からはっきり国民を公害から守る、そういう機関にこれを変えていくことができるのだ——この問題、私は非常に軽視することのできない重大な問題だと思っています。まあ、この対決はこのまま残しておきますが、こういう形で実はどうもこの法案が審議されるというのはまずいですよ。まあ、答弁があったら、御両所から答弁を伺いましょう。そうしてそれについて私も最後の一問くらい結論を言って終わります。
-
○
委員長(
田口長治郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。
これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。
環境庁設置法案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
-
○
委員長(
田口長治郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
-
○
足鹿覺君 私は、ただいま可決されました
環境庁設置法案に対し、自民、社会、公明、民社、共産の五党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
まず案文の朗読をいたします。
本決議案の趣旨は、本法案の審査の過程においてすでに明らかなところでありますので、説明は省略させていただきます。
以上であります。
-
○
委員長(
田口長治郎君) 別に御発言もないようですから、
足鹿君提出の附帯決議案の採決を行ないます。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
-
○
委員長(
田口長治郎君) 全会一致と認めます。よって、
足鹿君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本
委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、山中総理府総務長官及び西田科学技術庁長官から発言を求められております。これを許します。山中総理府総務長官。
-
○国務大臣(山中
貞則君) ただいまの全会一致の附帯決議の趣旨を尊重し、極力努力をさしていただきます。
-
-
○国務大臣(西田信一君) ただいまの附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、善処をいたしたいと思います。
-
○
足鹿覺君 本決議に対する所信表明について、文部大臣並びに厚生大臣が御欠席になっておるようであります。したがいまして、その所信表明は、文書をもってすみやかに
委員長に提出されまするよう、
委員長よりお取り計らいくださいますよう要請いたします。
-
○
委員長(
田口長治郎君)
委員長は、ただいまの
足鹿委員の発言に対しまして、すみやかに実行することを言明いたします。
審査報告書の作成については、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
-
○
委員長(
田口長治郎君)
請願を議題といたします。
本
委員会に付託されております
請願は、第三号、旧
軍人等の
恩給処遇の
改善等に関する
請願の外九百五件であります。
これらの
請願の審査は、先刻
理事会で協議していただいたとおり、国家公務員関係八十七件、
恩給、共済関係九十七件、防衛関係一件、計百八十五件の
請願は、議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものとし、
靖国神社国家護持の
早期実現に関する
請願外七百二十件は留保するものと決定することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
委員長(
田口長治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
審査報告書の作成については、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
-
○
委員長(
田口長治郎君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。
国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査は、閉会中も継続して調査を行ないたいと存じますが、このように決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
委員長(
田口長治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
継続調査要求書の作成につきましては、これを
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
委員長(
田口長治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後十一時十二分散会
—————・—————