○国務大臣(内田常雄君) 今日
医療の重要性というものはますます高まってきておりますが、これを達成いたしますためには、医師の充足ということも必要ではありましょうけれ
ども、私
どものほうで見ておりますところ、問題は医師だけではなしに、いま
お話しのように、それに伴うパラメディカルの職員、すなわち
看護婦でありますとか、あるいは検査要員でありますとか、あるいは放射線を扱う職員でありますとか、そういう医師とともに
医療を担当する従事者の充実というものが同時に達成されなければ、私は
医療の需要に伴う充足というものができないことと常々
考えております。
その中でも一番大切であり、また
不足状況もひどいのは
看護婦さんではなかろうかという私は
考えを持ちますことは、
足鹿さんと同じ
考えでございます。医者はたしか
日本に十一、二万人おるはずでございますが、これも足りないわけでありますけれ
ども、
看護婦さんも、本来からいえば四十万人ぐらい必要であると思われるのに、二十数万人しか実際
看護婦さんはおらないというような
状況でありますので、
看護婦の充足
対策というものをいろいろの面から講ずべきだと私は常々
考えておるわけでございますが、やはり一番むずかしいのは、物的施設もさることながら、医師、
看護婦、その他のパラメディカルといったような職員の充足の問題がなかなかこれはむずかしいようでございます。
ことばをよそに持っていって恐縮でありますが、私
どものほうの大きな仕事であります社会福祉施設などにつきましても、問題は社会福祉施設で働いていただいている
専門職員の充足、またその身分とか待遇とかいうことが同じようにやはり問題になっておるのでございますが、これ両々ともに、なかなか私
どもが満足するような事態になって現在おりませんので、
看護婦の
養成につきましては、私
どもは一そうこの際思いを新たにして、私
どもの
考えもないわけではございませんが、国会方面の
考えなり、また一般社会や、また
看護婦さん方の団体の
考えることも十分聞きまして、これの充足をはかっていかなければならないと
考えておることが第一であります。
もっとも、私にもよくわからぬことがございまして、
看護婦と一口に言いますけれ
ども、
実態は正
看護婦と
准看護婦の二色ございまして、この間の
養成につきましていろいろの
考え方があるようでございますし、
准看護婦の必要性、あるいは正
看護婦との
資格の差異の問題なんかについても、いろいろの取り上げ方があるようでございます。また、
養成機関につきましても、いわゆる
養成機関というものはやめてしまって、すべて学校制度のもとに立て直すべきであるというような
議論もあるようでございまして、その辺のことにも触れてまいらないと、簡単な充足ということでもまいらない面があることも、私は
厚生大臣になりましてそんなに長い年月ではございませんけれ
ども、この一年数ヵ月の間に感じてまいりました。これは
足鹿さんも御
承知のように、昨年の国会に
准看護婦の
養成施策として、最近の中学校、
高等学校などの進学
状況に対応する
一つの案を
法律をもって出したことがございましたが、これまたいろんな
意見がふくそういたしまして、若干の修正のもとに衆議院は通りましたけれ
ども、参議院ではついに否決されたというような
経験もございまして、そのような過程を通じまして、私
どもこの問題のむずかしさということをつくづく感じたものでございますが、しかし、幾らむずかしくても、これは克服しなければならないことと
考えますので、ただいま申しますように、思いを新たにして、
看護婦さんの充足には今後もつとめてまいりたいと
考えます。
むろん国の設備補助、あるいはまた運営費の補助というようなこともやるべきでありますけれ
ども、取り上げられましたように、船舶振興会なり、さらにはまた自転車振興会、例の競輪の利益の公益還元の問題もございまして、そういう面も私は必ずしもいい
方法だとは思いませんけれ
ども、しかし現実の問題としては、これにもたよったほうが便宜と言ってはいけませんけれ
ども、この制度が存続する限りにおきましては、私は
厚生省としてもそれの活用、利用をさせていただきたいという気持ちを持つ者でございます。これにつきましては、とどのつまりは、船舶振興会の公益資金の配分を
関係方面全体としてどう配分するかということと、それから
厚生省に配分されたワクの中で、これは私
どもが社会福祉、あるいはいまの
医療施設あるいは
看護婦、その他の職員等の
養成施設に、
厚生省としてどういう傾斜配分の
意見を出すべきかという、こういう二つの問題がございますので、これは率直に申しますと、私も
予算ではないために、私が一々
厚生省における船舶振興会の公益資金の配分に私がタッチをしないで怠っておった面があることは、私も欠けるところがあると反省せざるを得ませんけれ
ども、
厚生省内における重点配分、傾斜配分につきまして、さらに私は
考え直さなければならない面があると思いますほか、また、
厚生省分ばかりじゃなしに、各省
関係の全体としての配分につきましても、
厚生省はできるだけ、今日おっしゃるとおり、これからの
国民生活というものは、人の生命と福祉の問題というものが大きな政治の課題、社会の課題でもありますので、
厚生省全体としての配分のワクをよけい振興会のほうの
関係の機関からいただくような
努力をいたしたいと
考えます。なおかつその余力が本年度におきましてあって、また一方において
看護婦養成などの施設につきまして、さっき言う学校であるべきか、
養成所であるべきかという問題もあるのでありますけれ
ども、そういう資金を活用することが適当のようなものが現実に残されている分がありましたならば、それらについては私は
考えてみることがいいとも思いますので、
局長はどういう
答弁をいたしたか知りませんけれ
ども、さらに私として、そういう余力については見直してまいりたいと、かように
考えております。
それから
看護婦の夜勤の問題あるいは処遇の問題につきましては、実はふしぎなことがあるとも言えるのでありますが、
看護婦さんなどは、一番処遇が比較的いいと思われますのは、国立病院など
厚生省の直轄の施設で働かれている
看護婦さんでございまして、これはもちろん公務員としての職階制というのでしょうか、あるいは俸給制あるいは定員制のもとに運用される状態のもとにあるわけでありますが、その中でも比較的国立病院における処遇並びに状態はよろしいが、民間にいくに従って処遇が非常に劣っているというような
状況にあることを私は聞いておるわけであります。でありますので、民間の診療所あるいは私立の病院等における
看護婦の処遇につきまして私が一々きめる、そういうたてまえではございませんけれ
ども、国立の病院等における、あるいは国立の療養所における
看護婦さんの処遇や地位の向上をもって民間で働く、民間の施設で働く
看護婦さんの給与や地位もこれを引き上げていくというような
努力はできることでございますので、私は続けてまいるべきだと思います。
ニッパチは、これは行政管理庁ではなしに、たしか人事院の勧告にあったものと思いますが、これも国立病院の
関係におきましては、幾ら人事院の判定がございましても、一挙にできるわけではございませんので、たしか三年
計画くらいを立てて、今年が二年目になりますか、三年目になりますか、そういう年次
計画のもとにこれをニッパチ制、あるいはそれに近い状態と申すよりも、ニッパチ制そのものが実現できるような方向の
努力を続けつつありまして、状態はまだ比較的にはいいかと思いますが、しかし、これが他の病院等におきましては、むしろその
状況が劣っておるところもあるようにも思われますので、このことにつきましても、私
どもは国立の病院のもとにおけるニッパチ制実現だけの目標ではなしに、
看護婦さんの働く職場環境というものを
改善をしなければ、一方において幾ら学校や
養成所をつくりましても、なかなか人はついてこないと思います。このことは給与につきましても同じでありますので、さような勤務環境、勤務条件、給与等の
改善をはかりながら、一方においては
養成所のみなら、ず、学校施設等の充足につきましてもできるだけの私は
努力をして、そうして
医療の仕組みが、今日の
医療需要の増加に応ずるようなことをぜひ達成しなければならない、全体といたしましてはそのように私は
考えております。