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政府委員(内村信行君) ただいま御
質問の羽田における過密
状態、これにつきましての需要並びに将来の見通し、これがどういうふうになるかというふうなことでございます。それにつきましてただいま
先生御指摘になりましたように、現在の羽田の
状況はもうすでにパンク
状態になりまして、これ以上の増便は不可能であるというのが現実の
状態でございます。
そこで、羽田の
処理能力の問題でございますけれ
ども、一番むずかしい点は羽田の
処理能力というもの、これは日によって違う、天候によって違う、また風向きによって違うというところに
一つの問題点がございます。しかし、定期便を入れます場合には、毎日毎日その便数を変えるわけにいきませんので、やはり一定の便数というものを入れていかなければならない、その場合に一番いい
状態のときを標準にいたしまして定期便をきめますと、天気が悪いときには過密
状態になってオーバーフローしてしまうということがございます。また一番
状況の悪いときを標準としてきめますと、
状況のいいときにはがらがらになってしまうということになります。その点が定期の便数をきめます場合に非常にむずかしい問題でございます。その場合に、いま例を申しますと、羽田の場合、北風の場合と南風の場合とございますが、北風の場合には比較的うまく航空能率が上がります。しかし、南風の場合羽田というところは非常に能率が悪くなるというふうなことでございます。そこで、同じ北風あるいは南風の場合でも有視界飛行
状態あるいは計器飛行
状態、それによってまた違ってまいります。またそこで、計器飛行
状態の場合におきまして北風の場合、これは大体一時間に三十機くらい、これが限度であろうと考えます。それから有視界飛行
状態で北風の場合には大体一時間に三十四機、このくらいが限度であろうというふうな
考え方、それからさらに、今度羽田のBランというものが延長されましたので、Bランの能率が若干あがりまして、南風の場合にも計器飛行
状態の場合に一時間二十八機、それから有視界飛行
状態の場合に一時間三十三機というふうな能力がございますというふうなことではございますけれ
ども、さて、こういうふうな能力がございますけれ
ども、それにつきましてどういうふうに便数をきめていくかということでございますけれ
ども、大体私
どもといたしましては、一時間に三十四回というものを便数設定の場合の最大の離着陸回数ということにいたしました。そこで、大体一時間三十四回と申しましても、先ほど申しましたように、有視界飛行
状態におけるいわば最良の
状態のときでございますから、全部これで通すわけにまいりませんので、三時間を通じて九十機というのをもう
一つ標準にいたしまして、そういうふうな標準をつくってやるわけでございますけれ
ども、さらにまた、三時間九十機ということをおきましても、これはなお天候が非常に悪くて南風が多いという場合には、なおこれでは困難になってまいります、実際問題といたしまして。そこで、そのために一日に幾らというようなもう
一つの基準をつくったわけでございます。そこで、これが大体一日に四百八十機というのが大体一日のマキシマムとしてとらえているわけでございます。なお、さらにもう少し技術的に申し上げますと、午前に一回、午後に一回くらい少し飛行機の飛ばない谷間をつくりまして、実際に天候
状況が悪くなって能率が下がった場合にも、押せ押せになってきた場合にも、そこでもって吸収できるというふうなのをつくります。そういうふうにいたしまして、大体一日当たり四百八十機ということをやってまいりますと、ほぼいかなる場合でもそれほどおくれるというものがなくて済むのじゃないかというふうな
考え方で進んでおります。
そこで、そういうふうなことでやりましても、なおかつ需要のほうはそれよりさらに上回っているというのが現状でございます。そこで羽田の需要を申し上げますと、遠い将来のことは別としまして、これはますます多くなってまいりますけれ
ども、さしあたり、現状を見ましても、すでにこの四月、五月くらいからは航空飛行便数というものは、需要といたしましてはもうすでに羽田に入り切れないということでございます。そこで本来ならば厚木というものを、また一方におきまして成田空港の建設を急いでおるわけでありますけれ
ども、成田空港の建設ができるまでの間は、さしあたり厚木というものを使用いたしまして、羽田でもってオーバークラウドになる、羽田でもってはみ出る便数を厚木に入れるということをいたしてまいりたいと思っていたわけでございますけれ
ども、現状まだ厚木につきましては地元の御同意が得られませんので、これを使う段取りになっておりません。そこでこれにつきましては今後ますます私
ども努力いたしまして、地元の御協力を得まして、厚木にも着けてまいりたいと思っております。
そこでこの羽田の
東京地方における定期便の需要と申しますものはもうすでに能力をオーバーしておりますが、五月、六月、さらに七月、八月になりますと最も多くなります。もう五十便くらいは能力を上回ってしまうというふうなことになるだろうというふうに想定されます。そこをさらに厚木を使いましてこなせればこれがこなせる。しかしこれがこなせない場合には、当分そのままで需要を押えていかなければならないのが実情でございます。
そこでその後どういうことになりますかと申しますと、この成田ができますまでの間、厚木を使いますと、それで一応
東京中心の需要というものはこなせるわけでございますけれ
ども、そこで今後成田ができますと、国際線がほとんど成田に移るということになります。そうなりますと、そこで大体年間五万回というものが浮いてまいります。大体羽田の年間能力は十七万五千回くらいといわれますが、そこで五万回あきますと、そうすると五万回が一体どのくらいもっかということでございますけれ
ども、五万回というものは、おそらく昭和四十九年ないし五十年くらいまでそれでもって、国内線の需要はこなせるのではないかというふうに考えております。しかし四十九年ないし五十年になりますと、再び羽田というものは一ぱいになりまして、さらに今度は厚木をもう少し本格的に使うとか、あるいは羽田というものをさらに拡張いたしまして、能力をつけてまいりませんと、どうにもしようがないというふうなことになるのではないかというのが大体の見通しでございます。