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鈴木強君 そこで、ちょっと少し前後したんですが、私はこの
法律案提案に対する
政府の基本的な
考え方について若干この際、伺いたいんですが、まず、今回この
電電公社の公衆電気
通信回線というものをデータ
通信需要のために民間に開放する。これはもちろん特定回線、公衆回線二つに分かれるわけですが、いずれにしても、私が問題にしたいのは公衆
通信回線なんです。これを民間に開放することに踏み切った理由は一体何か。これはもういままでも何回か論議をしてまいりましたから、さっきの
通産大臣との
お話ではないんですが、また蒸し返して私は
意見を申し上げようとは思いません。ただ、いまでも私が非常に心配するのは、現在電信
電話公社に与えられている一番大きな使命というのは、いま申し込んでいる三百万人の方々が
電話がつかないという苦情があります。この積滞
電話を一日も早くつけてやるというこのことがきわめて重大な、緊急な
解決しなければならない問題だと思うんです。しかも、さっきもちょっと申し上げたように、
設備料もこの
法案で三万円が五万円に引き上げられる。そういうふうに
設備料の改正が二回行なわれるわけでございますが、現にいま一万円の
設備料時代に申し込んだものが幾らあるか、これは後ほど明らかにしてもらいたいと思います。それから現在三万円で引ける
段階で申し込んだのが幾らあるのか。約三百万のうちでどのくらいあるのか、その点も明らかにしてもらいたいんですが、こういう状態であります。申し込んだ人は一万円のときに申し込んであるわけです。つけてくれないのは
公社なんです。だからそれが三年たち四年たって
設備料が改正になって、なおかつ
公社の都合で申し込んでもつかなかったものが、一万円で済むものが今度は五万円払わなければならぬという、そんなばかげたことはないと私は思うんです。こういう状態になってきていることは、もう非常に私は残念に思います。
公社が戦後二十数年の間に非常な
努力をして、
日本の電気
通信事業が飛躍的に
発展してきていることは、これはもう内外ともに認めているんですが、しかし、その陰にまだこういう具体的な不利な条件に追い込まれている人たちがある。だからしてこれを
解決することが、何回も申し上げますが、
公社にとって最大のやらなければならない
仕事だと私は思います。
そのほかに
加入区域の変更の問題、現在普通区域、特別
加入区域、区域外
——区域外になりますと、百メートル九千円ぐらいの特別な負担金をとられている。特別
加入区域の場合にもいろいろとハンディがあるわけですよ。そのほかに市
町村合併に伴う
電話の統合問題、これも十二キロに改革はいたしましたが、なおかつまだかなり残っておると思います。こういうふうな問題を
解決しなければならないときに、データ
通信のために公衆電気
通信回線を開放していくということはかなり無理があるように思うのであります。しかし、私は、一方におきましても、
情報化社会に突入したといっているわけですが、その
情報化社会の姿は何かわかりませんが、とにかく突入したといっております。突入したというならば突入したでありましょうが、それはどういうふうな姿なのか、ちょっと説明をしてもらいたい。いずれにしても突入をした。そうであれば、それに対応するまた
一つの
情報手段というものを考えなければならない。それはそれなりに
電電公社は自分の力でやっておられるわけです。民間は民間なりに
専用線を借りてやっておられるわけです。だからそれ以上になおそういうサービスが必要であって、どうしても
公社の線を開放しなければだめだという、そういうような
決定的な理由があればはっきりしてもらいたいんだが、いままで聞いてみると、五年後にどういうサービスがあるか、十年後にどういうサービスがあるか、三十年後にどういうサービスがあるか、まだかいもく絵にかいておられないような状態の中で、なぜ公衆回線をこんなに急いで開放しなければならない理由があるのか。これは
大臣がちょっとおられないのであれなんですが、私はそういうふうに非常に矛盾を感ずるわけです。そして、これはもし無理にこういうことをやりますと、電信
電話の機能疎通に支障が出てくるのではないか、こういう危険性が出てくることを非常に心配する。先般も小田急が事故になりまして、登戸
電話局の
電話が一時的に完全に麻痺しちゃっていることを聞きました。これは現在の自動
電話に負荷されている能力というものがどの
程度のものであるか、私わかりませんが、いずれにしても、負担が過重になれば当然その機能は麻痺する。データの機能がもし電信
電話にかわった場合にはたしてああいうふうな状態が出てこないという保証がはっきりあるのかどうなのか、この点も疑問として残るわけです。
それからさっき
通産大臣にも伺いましたが、
外国資本に対して全く何ら打つ手はない、これは自由でございますと、個人的見解でもそうおっしゃっている。こういうふうなことを思うときに、
日本の
電電公社の開放が他の国の利益をもたらすような、一面においてですよ、そういう結果にならないだろうかどうだろうか、そういう心配も
一つにはあります。
それから
秘密の保持についても、
公社は非常にいろいろ研究をされて技術的に可能な
範囲の
努力をされたことはいまわかりました。しかし、それを盗み出された場合に、まあ刑法の適用を受けるでありましょう
程度の
答弁しかない。それに対する基本的な
対策がない。だから
外国資本の問題についても、これは軽率に
通産大臣が個人的な
意見をしゃべっているんだが、私はもっと慎重であってほしいと思う。だからして
プライバシーの問題にしても、あるいは
外国資本の
日本に侵入の問題についても、
単独立法で
規制するか、あるいは
情報産業基本法で
規制するかは別としても、早くそういう基本になる問題を法制化しておかなければ困ると思うんですね。しかし、そういった点が
基本法はまだお聞き取りのようにいつになるかわかりゃしない。そういう中で、次々にこういうふうな問題が出てくることは本末転倒もはなはだしいと思っているんです。そういう
意味において、私は非常に心配をしている。こういう点が心配がなければ、私も幾ら開放しても電気
通信事業の機能疎通には何らの支障もないし、積滞申し込みについても、あるいは
加入区域の合併や統合についても何ら支障がないとおっしゃるなら、それはいいが、しかしそれには限られた
国会承認予算の中で
公社はおやりになるわけですから、どうしてもこういうほうに金を取られてしまって、本来的な
事業がおろそかになる心配があると思います。これは皆さんも同感だと思いますが、そういうときにあえて一部であってもそれはいろいろな基準を設け、最後には
大臣の個別認可か何かでやるそうですが、そういうふうなことをこの時期にどうしてやらなければならないのか。こういう点、非常に私は疑問に思います。ですから、まずこの
法律案の
審議の前段として、この点だけははっきりしていただきたい。