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鈴木強君 それは、私も
大臣の
考え方はわかるのですよ。だから、必ずしも公共企業体にしなければならぬということを
最初から考えているのじゃないのです。
いずれにしても、この
郵政事業というものが今日大きな頭打ちをして、大都市にどんどん過密というような都市の集中がある。大きなビルディングが建ってくると、どうしても配達は人間にたよらなければならないという特殊な
郵便事業から見て、なかなかこれは遅配が起きるとかあるいは誤配があるとか、いろいろの問題があるわけでしょう。ですから、そういう都市化の変革に伴って一体郵便というものがどういうようにそれに対応してスピード化し正確化していくかということをくふうしていって、それがどっちでやってもうまくいけばそれでいいのです、
経営形態は。西ドイツでいまやっているように、国営の形で経営の自主性というものをもっと国に与える。いわゆる公共企業体的なものだと思いますけれ
ども、国家公務員でありながら経営は理事長というものをつくって、そこでもってやってもらうというような方法もとっているところもあるわけです。現にこれが西ドイツの
国会でいま
審議中ですがね。
イギリスのようにいまやっているところもあるし、アメリカのように八月ごろからやらんとするところもある。いずれにしても企業体ですからね、
事業体ですよ、これは。お役所のデスクの仕事と違いますよ。ですからして何とかして、非常に困難な
郵便事業というものをどういうふうな形態にしたら、そこに従業員に将来勇気を持たせ、待遇を改善し自主性を持ってやれるかというそこに問題は集中されるわけですから、それが公共企業体でいいのか。国有国営の中で、こういうような形をこうすればそうなるということがあれば私はそれは経営の形式論にこだわらない。だけれ
ども、いままでいろいろやってきたけれ
ども、明治四年以来百年の
郵政事業というものの国有国営として一貫して
独占事業としてやってきたけれ
ども、この形の中ではなかなかこの頭打ちを打破することはできないだろう。だからそのためには、いまここで思い切って責任者に自主性を与え、思い切った待遇の改善もし、あるいは機械化もし、合理化もして、そして
国民の期待に沿えるような
郵政事業に持っていくのには、やっぱり公企体という形のものがまずベターじゃないか、ほかには
あまりそういう道はないんじゃないだろうかというのが、これは
答申になって出てきているのですよ。だから、そういういろんな形を論議した結果の集約として出てきたものが少なくともこの
答申だと見ておるのですよ。したがって、この
答申だって、もちろんわれわれにも
異議のあるところもありますよ。ありますが、それはそれとして一応方向としては国有国営化あるいは公共企業体化ですね、この二つに一つしかないと思うのですよ。まさか民営にするということはないでしょう。電電公社なんというのはもうかりますから、もともと資本家連中というのは、電電を民営にしようとしたのですよ。ところが、なかなかそれはできないから公共企業体になったというのです。向こうは魅力があります。ところが、郵便の側はどう見たって資本家がこれを民営に移管してやろうなんということを考える余地がないような、お先が非常に暗いというか、むずかしい仕事なんですよ、これは。だからして、結局は国有国営ということでやっていく。そうすると、親方日の丸、まあこれは
郵政職員でこうやっていればいいんだというようなことで、いろいろと問題が出てくる。特に、全逓との労使
関係についてはもう
日本の労働運動の中で一番悪いですから、全逓は。その責任は省側にもある、
大臣側にも。何でこんなふうな労使
関係にしたのか。といって
事業はしておる、その人が
ほんとうに皆さんと一体になってやるという、その
気持ちを起こさない限りは
郵政事業はだめですよ。それでなくてもむずかしい仕事なのに、全逓との間にはもう抜き差しならないところにいってしまったじゃないですか。そんなことで
郵政事業が信用を挽回するなんということはナンセンスです。まず、そこから始めていかなきゃならぬと思うのです。そういうものを基本におきながら、
経営形態というものを考えていかないと、私は
ほんとうに残念ですよ。私もかつて逓信省にごやっかいになったこともありますから、われわれもずいぶんつらい思いをしましたけれ
ども、やっぱり
国民の
郵便事業だということを常に自覚をして、どんな長い労働時間でも、つらいことでも私は耐えてきましたよ。戦後民主的労働運動ができて、かつてわれわれがどんなにつらくても言えなかったそのことを労働運動を通じて言える、
大臣にも、
局長にも。そしてその運動を通じてみんながよくなり、よくなることは
事業がよくなることなんですから、そういう
関係における労使
関係というものを正常化していくということがもう何といっても大事だ。それがあなた方は落第だ。労働運動に関する限りはあなた方はどこへも顔向けなんかできない。そんな恥しいことはない。それがなおれば、またそこには一つのファイトもわいてくるだろうし、従業員もやろうという
郵政魂に徹してくると思うのですよ。それがない限りは、私はどう論議してみても、いい
結論を見出すことはできないように思うのですよ。だから、それは百もわかっているけれ
ども、なおかつ
国民はだからといって毎日毎日くる速達がおくれてしまって、われわれは
国会に来るのにも公報が着かないなんということじゃ、どうしますか。せんだってもモスクワからこれがきたのです、私のところへ。これが玄関にぼしゃっと投げ込んで、こんなになっちゃった。表紙も裏も取れちゃっている。こうしてぶん投げてあった。これが郵便屋さんのいまの態度ですよ。せっかくモスクワから送ってくれたのだけれ
ども、両方取れちゃって、しかもこんなに破けて、それを玄関にほっぽり投げてある、こういう態度だね。労使間の紛争で
国民大衆に迷惑をかけるなんというのはこれは断じていかぬですよ。私はそう思うのですね。だからして、もう少しこの労使問題というのを
大臣としても考えてほしいのですよ。全逓を脱退すれば五点点数をやって、社会党員は二点だなんという点数表までつくって、そんなものを持ち出されるなんてかなわぬですよ。ふざけているですよ、大体。そんなことで労使間の正常化が期せるなんて思ったらナンセンスだ。前
時代的もはなはだしい。いま
局長になっている諸君は大学を出て一つの任用コースに乗ってどんどん昇進してきた人かもしれない。しかし、そうじゃなくて、昔小学校を卒業して
事業の中に入って、世の中で下積みで一生懸命苦労しながらやってきている人だっているのですよ。そういう
人たちの
気持ちをどう理解してあなた方は
局長の立場に立ってみんなの士気を鼓舞していくか。いまは権力で人を使おうたってそれは使えない
時代になっているのだ。ある人が言った。いまは管理者は下の
人たちに使われるのだ。そういう下から
信頼される
気持ちがなければ
局長はつとまらない、課長はつとまらない。そう言った人がある。これはりっぱな人だと私は尊敬する。そのくらいの
気持ちになって、
ほんとうに従業員と
信頼関係を持たなければだめですよ。局に来た局員が課長なんか何だと、課長の言うこともきかないようなことで課長がつとまるはずはない。それは言うほうも悪い。だからそれはやっぱり
信頼できるような
関係をお互いに謙虚になって話し合ってつくっていくということが必要ですよ。労働運動さえもう少しうまくいっておれば、私はそんなことはもう全然論外にして、本来のどうするかということにいけるのだ。そこにいけない。いけない前にこんな大きなネックがあって、そこでもって右往左往している。この
あとから聞く郵便料値上げをやるためにあなた方が
答申をいただいた、
郵政審議会の四十五年の十二月七日の
答申を見たって、この中にはこっぴどく書いてありますよ、実際。大都市周辺の速達速度なんというものは全く問題にならぬじゃないか、不安定で。だから、郵便料を上げるといったって、サービスをよくするから郵便料を上げてくださいと言っておって、サービスをよくしないで郵便料だけ上げる。だからみんなおこるのですよ。だから、話は少し飛躍したけれ
ども、横道に入ったんだが、一体公社化をするならするということで、まあ永岡
委員からも関連
質問ありましたけれ
ども、そういう
答申が出たら、そんなら労使間はそうあったとしても、ひとつこの公社化ということをまともに取り上げてこれを推進する中において、職員よひとつ奮起してくれ、将来はこういう希望があるのだと、おれ
たちはもっと自覚して責任を持ってやれるようになるのだと、そうして、もっと局舎もりっぱにしてあげなさいよ。十年一日のごとく、何というか、木造のきたならしい局舎の中で、それこそ行のうかか出ているほこりを吸いながら仕事をしている、これじゃ希望を持てない。せめて郵便局くらいは鉄筋にして、きれいにして、あんなごみなんかそれこそかからないようにしてあげなさいよ。職場環境もよくして、おれ
たちは
郵政事業に携わっているのだという誇りとファイトを持てるような職場環境をつくってやってほしいのだ、私は。そのためには、いまの国有国営じゃだめですよ、
ほんとう言って。もう少し何とかどこかに独自性と機能性を発揮できるような自主的な
運営というものがほしくないか。
予算総則の弾力条項くらいのものじゃだめですよ、これは。そういう中に、私は全従業員が前に一歩進んで行くというそういう
気持ちが出てくるような気もするわけだから——これは比較した場合ですよ、
大臣。そういう場合に、公企体でいくか、いまの点改善していくか、この二つになるわけですよ。
大臣のおっしゃるように、一挙にいけないから、現行をできるだけ直して、この
趣旨に沿ったような方向で直していくならこれもいいですよ。暫定的にはそうしてもらってもいいですが、たどるところは一体どこなのか。そういうことを展望しながら、それに到達する道程というのは長いかもしれぬ、困難であるかもしれぬが、それを一つ一つ克服していこうじゃないか、みんなで。やって、切り開いて、こういう道が開けてくるのだ。全二十万、三十万の職員の前に示して、そうしてみんなの奮起を望むということが必要じゃないでしょうか。そういう
意味で少しくどいですけれ
ども、私は、この公社化の問題について、熱意があるとおっしゃるならばどうぞやってみてください。この前私は、どうも
答申は出たけれ
ども、ずっと見ていると、各局の
局長、はっきり言うが、
局長仲間でも、やはり
ほんとうにやろうじゃないかと、公社化に。一丸になってやるというふうな気迫がないように思うのです。また、一面貯金なり保険なりの
事業というのは、それぞれの公企体になったらたいへんだと、そうでなくても郵便局が積み立て貯金だとか、定額貯金を戸別に回って貯金をしているから民間の銀行の貯金が伸びないのだというようなことを言ってあなた方の
答申に対して妨害するようなことをやっている、大蔵省
関係、銀行
関係で。だから、かつて私はここで言ったことがあるんだ。けしからぬ、零細の、安心できる郵便局に預けようという者に対して手ぬぐいを一枚持っていったら、それが民間と同じような商売根性を起こして貯金を集めようとしておるというようなことを言ったから、私はおこったことがある。そうじゃない、みんなもらった手当の中からたとえ手ぬぐい一枚でも、ふきん一枚でも買って、それを持っていって
気持ちをあらわしている、しかも自分の手当から。それなのに、そういうふうに、やはり妨害があるんですよ。保険のほうもそうですよ。最高保険額を上げるといって、そうじゃないですか、毎年毎年たくさん上げればいいんだ、それが上がらない。五十万とか何とかつけ足し値上げというのですか。そういうふうに外部からも公共企業体に対しては
反対があるんです。だから、すくんでしまっているんだ、やはり、私に言わせれば。どうもろうそくが細く消えていくような気がするから、私はこの前、
大臣にたいへん失礼だけれ
ども申し上げたんです。そうしたら、そうでないようだから、それならひとつもう少しあのときに聞こうと思ったんですけれ
ども、時間がなかったから、きょうはいい
機会ですからその展望をひとつ示していただきたい、こう思うんだが、どうもまだやるのかやらないのかよくわからないようですね。それならもう少し、
大臣どうですか、基本的にはあなたの感覚に賛成しますから、とりあえず現行で直せるほうはやったらいいですよ。今度の
答申を見たって、四十五年の五つの提案の中で三つをやってないんだ。
国民がやってほしいことは
あまりやってないで、それで
郵便料金の値上げをやり、しかも今度三種以下の
料金は政令でやっているものまで、あなたのほうでは省令できめようと、
国会軽視もはなはだしいようなものを出してきている。これは
時代に逆行する、こう思うんです。いかがですか。だからして、それならそれで一つの展望があればわれわれもわかるんだけれ
ども、展望がないままにこういうふうにやられると、財政法から見ても、
憲法から見ても、独占
料金というものはできるだけ
国会の承認を得るようにしていくというのが筋ですから、そういう筋から大きくはずれようとしている。それでその
答申の一番大事な送達速度の安定とか、労働力の確保の問題とか、作業施設の改善であるとかいうことについては、われわれが納得できるような施策が四十六年度の中でもないというので、どうも疑義を持つわけです。ですから、あなたが現行の中で、もう少しこうしたら一歩頭打ちを突き抜けられるというのを、
郵政省みんな集めて、
局長以下——これは専門的な機関でもつくって特命事項としてやらしたらいいでしょう、どうですか、それをまずやる。それから次に、いまある
委員会があるんだから、そこで公社化というものをどうしたらいいのか、絶えず連携をとりつつ進めたらいいでしょう。現行の国有国営の形態の中で、どうしたらいいかということについて、もっと突き詰めた論議をしてみたらどうですか。それとこの公社化の問題を突き合わしてみて、そこにある道を見出すというようなことをやってみられたらどうですか。きょうはひとつ具体的にこの問題についてどうするかということを
大臣からはっきり出してもらいたい。抽象論じゃだめですよ。必要とあればそういう部局——特別な、
大臣の官房でも何でもいいですから、そういうところに特命事項で何か置いてやったらどうですか。そういう具体的なものの中でやってみてくださいよ。私も真剣に考えていることなんですよ。だから、少し横道に入りましたけれ
ども、どうかひとつ私の意のあるところをくんでいただいて、もうわれわれが、なるほどそうやってくれているのか、
大臣ありがとう、われわれも一生懸命になってお手伝いしますよというような姿が出て来るようにしてください。だから、私は具体的にそういうふうな方法について、何か一つの特別な組織が必要なら組織、別に組織でなくてもいいですから、そういうようなものを具体的に何名かにやらしてみたらどうですか、こういう提案をするんですけれ
ども、どうですか。