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政府委員(宮澤弘君) 奄美につきましては、御承知のように、現在後期五ヵ年
計画ということで、四十四年度から四十八年度まで約二百五十億の
事業費で
事業を執行いたしているわけでございます。先ほど沖繩あるいは小笠原の
お話が出たわけでございますが、沖繩につきましては今後具体的な施策がきまると思うわけでございます。小笠原につきましては、すでに
計画をもって
事業を執行いたしておりますけれ
ども、補助率その他から申しますと、奄美と小笠原と比べまして、小笠原のほうが非常に優遇をされているというわけではございません。それぞれ地域の
事情がございますけれ
ども、概括をいたしますと、小笠原に比べて奄美のほうが補助率その他が低い、こういうことにはなっていないわけでございます。
そこで、振興
計画の大体全般の進みぐあいからまず申し上げますと、御承知のように、復帰当時、復興
計画がございました。復興
計画は、奄美におきます生活水準その他を、内地におきます戦前の
昭和九年なり十一年、その水準まで持っていくということが主としたねらいでございます。それから現在の振興
計画におきましては、奄美の水準を鹿児島の本土並みに持っていくということが目標でございます。はたしてその目標が現在達成されているかどうか、こういうことでございます。いろいろ指標があろうかと思うのでございますけれ
ども、たとえば所得の水準などをとりましても、まだもちろん鹿児島・本土並みにはなっておりません。大体八割五分くらいでございますか。復帰時におきましては、それが大体五割ぐらいでございました。かなり全般的に見ますと仕事も着々進んでいるということがいえるかと思うのでございます。
そこで、ただいま道路なり港湾、産業の振興のうちのサトウキビ等について大体の
事情を述べろ、こういう
お話でございます。道路につきましては、県道、
市町村道、御承知のようにございますが、県道につきましては、奄美が復帰をいたしました当時は大体四割でございました。四〇%ぐらいが通行不能であったわけでございます。昨今、それが大体四、五%までいっているわけでございます。しかし改良とか舗装とかいう
状況は、まだ鹿児島の本土に比べましてなお低い
状況になっております。私
どもといたしましては、この復興
計画が一応終わります四十八年度までには、改良率を大体五五%、舗装率を四〇%ぐらい、これぐらいまでに持っていきたいというふうに考えているわけでございます。それから
市町村道につきましては、
計画終了年度におきまして、改良率を大体三〇%ぐらいに持っていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。なお道路につきましては、大島本島の背骨になっておりますような道路が、実は奄美群島の振興
事業の外になっていまして、主要地方道ということで、通常のベースで建設省が補助をして、県が執行するということになっておりますが、これが非常におくれているわけでございます。その点につきましては、鹿児島県当局、あるいは建設省にも私
ども再々折衝をいたしておりまして、建設省のほうもここ数年のうちに
整備をするという目標を最近立てているわけでございます。
それから港湾でございますが、ああいう離島でございますので、やはり港湾というのは、いわば足になる一番重要な
施設の
一つでございます。これにつきましては、各島の主要の港湾を
整備をするという
方針のもとに、いままで参っております。現在におきましては、三千トンの接岸が可能なものは、大島本島の名瀬港と、それから徳之島の亀徳、これは一応現状におきましては、このくらいの
整備でまずまあまあではないかというところまでいっております。それから一千トンの接岸可能なものといたしまして、徳之島の平土野港、あるいは沖永良部の和泊港、与論の茶花港というようなものがございます。これはなお千五百トンなり千三百トンの接岸可能なように、現在振興
計画の中で仕事を進めておるという段階でございます。
それから産業の振興、特にサトウキビにつきましての御質問がございました。あそこでどういう産業を振興するか、なかなかむずかしいのでございますが、やはり御
指摘のように、あそこの風土に即した産業ということになりますと、どうしてもサトウキビということになるわけでございます。糖業につきましては、奄美群島が復帰をいたしました当時は、戦前の生産量の六割弱というところまで生産が落ちていたわけでございます。その後、土地改良でございますとかあるいは農道の
整備というような土地の基盤の
整備、あるいは種子や苗の
改善、あるいは病害虫の防除でございますとか機械の導入というような施策を進めてまいりました。大体、現段階におきましては、サトウキビの収穫面積は復帰のときの二・三倍ぐらい、それから生産量も復帰時の三・七倍ぐらいの、六十万トンをちょっとこえているのでございますが、目標といたしましては、
計画完了時に百万トンということを目標にいたしまして、鋭意
各種の
整備を進めておるわけでございます。あの群島の産業といたしまして、何かほかに適当な作目がないのかという議論もかねてございました。農林省なりといろいろ相談をいたしておるわけでございますが、やはりあそこの風土その他から申しまして、現在のところはサトウキビが産業の中心にならざるを得ないということでございます。私
どもは、やはりサトウキビの振興ということを中心に、今後農業を考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
大体、現状そういう
状況でございますが、しかし先ほど原田
委員御
指摘のように、今後沖繩が復帰をしてまいりますというようなことも考えますと、そういう新しい情勢に応じまして、奄美群島の振興ということをさらに考え直さなければならない時期にも達しておるかとも思うのでございます。地元のほうからも、
計画の
改定と申しますか、
計画の補完という要望も強く出ております。これは国庫当局、
財政当局のいろいろ
事情もあろうと思うのでございますが、私
どもはいま鹿児島県に、現在の
計画を一応総洗い、洗い直しをいたしまして、四十七年度には
計画の
改定と申しますか、
計画の補完と申しますか、そういうことで
財政当局と折衝いたしたい、こういうふうな心組みで仕事をいたしておるわけでございます。