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1971-03-02 第65回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二日(火曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員異動  二月二十六日     辞任         補欠選任      高田 浩運君     吉武 恵市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         若林 正武君     理 事                 熊谷太三郎君                 増田  盛君                 山本伊三郎君                 藤原 房雄君     委 員                 嶋崎  均君                 初村滝一郎君                 船田  譲君                 安田 隆明君                 和田 静夫君    政府委員        警察庁長官    後藤田正晴君        警察庁長官官房        長        富田 朝彦君        警察庁刑事局長  高松 敬治君        警察庁刑事局保        安部長      長谷川俊之君        警察庁警備局長  山口 廣司君        自治省行政局長  宮澤  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        林野庁指導部長  海法 正昌君        通商産業省重工        業局次長     山形 栄治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出)     —————————————
  2. 若林正武

    委員長若林正武君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月二十六日、高田浩運君が委員を辞任され、その補欠として吉武恵市君が選任されました。     —————————————
  3. 若林正武

    委員長若林正武君) 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、これより補足説明を聴取いたします。後藤田長官
  4. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案内容につきまして、逐条御説明申し上げます。  第一は、人命救助動物麻酔屠殺または漁業その他の産業用途に供するため必要な銃砲、すなわち救命索発射銃麻酔銃屠殺銃、もり銃等銃砲についての所持規制を合理化するための第三条第二項の改正であります。これらの銃砲は、元来、産業等用途に供するため業務上使用されるものであって、比較的危険性が少ない上、犯罪に使用された事例もほとんどないのであります。したがいまして、責任者所持許可を与え、その監督のもとであれば人命救助等に従事する者が個々に許可を受けることなく所持することができるようにすることが適当であると考えられますので、公安委員会に届け出た者については、そのような所持を認めようとする趣旨であります。なお、このことに関連して、第十一条第三項に所要改正を加え、人命救助等に従事する者が許可を受けた者の指示に基づかないで救命索発射銃等所持した場合には、その銃砲にかかる許可を取り消すことができることといたしたのであります。  第二は、空気拳銃を厳格な規制のもとに許可の対象とすることとした第四条第一項第四号及び第四項の改正であります。これは、最近、国際的に空気拳銃射撃競技が盛んとなり、世界射撃選手権大会及びアジア射撃選手権大会正式種目とされたことに伴い、わが国においてもこれらの射撃競技選手または候補者について射撃競技用空気拳銃所持許可する必要性が生じたことによるものであります。空気拳銃は、拳銃に比較して威力が弱いものではありますが、形態拳銃と全く同様であり、容易に隠して携帯できるものでありますので、拳銃と同様に、国際的な規模で開催される政令で定める運動競技会空気拳銃射撃競技に参加する選手またはその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者についてのみ許可することといたしたのであります。  第三は、猟銃及び空気銃に対する番号または記号の打刻についての規定を第四条の二として新設したことであります。猟銃及び空気銃許可数も多く、亡失し、または盗み取られる事例も多い上、同型のものも多数ありますので、当該許可にかかるものであることを表示させるため、必要がある場合には、公安委員会は、その指定する番号または記号の打刻を命ずることができることといたしたのであります。  第四は、ライフル銃所持の制限に関する規定を第五条の二第三項として新設したことであります。これは、ライフル銃社会的危険性にかんがみ、所持許可基準を厳格化し、銃砲に関する一般基準に加えて、次のいずれかの場合に該当するのでなければ許可してはならないこととしたものであります。  その一は、狩猟または有害鳥獣駆除用途に供するためのライフル銃所持許可基準を、ライフル銃による獣類捕獲職業とする者、事業に対する被害を防止するためライフル銃による獣類捕獲を必要とする者または継続して十年以上猟銃所持許可を受けた者といたしたのであります。なお、これに伴い、第十条第二項第一号に所要改正を加え、事業に対する被害を防止するためライフル銃所持許可を受けた者は、その事業に対する被害を防止する場合に限り、そのライフル銃を用いての狩猟または有害獣駆除を行なうことができることといたしました。  その二は、標的射撃用途に供するライフル銃については、その所持許可基準を、政令で定めるライフル射撃競技に参加する選手またはその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者といたしたのであります。なお、これに伴い、第八条第一項第六号に所要改正を加え、推薦されてライフル銃所持許可を受けた者が推薦を取り消されたときは、その許可は失効することといたしたのであります。  第五は、銃砲保管に関する第十条の三の改正保管状況についての報告に関する規定を第十条の五として新設したことであります。盗難銃砲による危害の発生を未然に防止するため、その保管に関する規制を強化し、銃砲所持許可を受けた者は、許可にかかる銃砲をみずから堅固な保管設備に施錠して保管しなければならないこととするとともに、当該保管設備には、保管にかかる銃砲に適合する実包空包または金属性弾丸当該銃砲とともに保管してはならないことといたしたのであります。また、これらの銃砲保管状況についてその実態を把握するため、公安委員会は、銃砲保管する者に対し、必要な報告を求めることができることといたしたのであります。このように許可を受けて銃砲所持する者の保管に関する規制を強化したことに対応して、武器等製造法の一部を附則において改正し、同法の猟銃等製造販売事業者は、業務のため所持する猟銃等を同法に規定する要件を備えた設備に施錠して保管しなければならないこととするとともに、当該設備には、保管にかかる猟銃等に適合する実包空包または金属性弾丸猟銃等とともに保管してはならないことといたしたのであります。  第六は、ライフル銃所持について新たな許可基準が設けられたことに伴う第十一条第一項の改正であります。ライフル銃による獣類捕獲職業とする者及び事業に対する被害を防止するためライフル銃による獣類捕獲を必要とする者であることをライフル銃所持許可基準としたことに伴い、これらの基準に適合する者として所持許可を受けた者が、これらの基準に適合しなくなった場合は、当該許可を取り消すことができることといたしたのであります。  第七は、模造拳銃所持禁止規定を第二十二条の二として新設したことであります。模造拳銃を使用する犯罪実態にかんがみ、これらの犯罪を防止するため、輸出のための模造拳銃製造もしくは輸出を業とする者またはその使用人が業務所持する場合を除いて、何人も、模造拳銃所持してはならないことといたしたのであります。  第八は、模造刀剣類携帯禁止規定を第二十二条の三として新設したことであります。模造刀剣類を使用する犯罪実態にかんがみ、これらの犯罪を防止するため、何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、模造刀剣類携帯してはならないことといたしたのであります。  第九は、銃砲または刀剣類事故届けに関する規定を第二十三条の二として新設したことであります。亡失し、または盗み取られた銃砲刀剣類犯罪に使用されることを未然に防止するため、許可または登録を受けて銃砲刀剣類所持する者は、その銃砲刀剣類を亡失し、または盗み取られた場合には、直ちにその旨を警察官に届け出なければならないことといたしたのであります。  第十は、罰則の整備に関する第三十五条及び第三十七条の改正であります。銃砲保管義務規定に違反した者、模造拳銃所持禁止規定に違反した者、模造刀剣類携帯禁止規定に違反した者、猟銃等に対する番号等の打刻命令に応じなかった者及び銃砲刀剣類事故届けをせず、または虚偽の届け出をした者は、一万円以下の罰金に処することとするとともに、両罰規定を適用することといたしたのであります。  最後に、この法律は、公布の日から一カ月を経過した日から施行することといたしたのでありますが、銃砲保管設備に関する改正規定及び模造拳銃所持禁止に関する改正規定は、保管設備の設置及び模造拳銃の改造に期間を要するため、公布の日から六カ月を経過した日から施行することとするとともに、必要な経過規定附則において規定いたしております。  以上が、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  5. 若林正武

    委員長若林正武君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、鉄砲と刀の取り締まりの問題についてはちょっとあとで聞くことにしまして、ガードマンに関して、先日成田空港で、しかもその場所が県庁建物を中心に、ガードマン事件が起こっております。わが党の衆議院議員も実はそれによって負傷したということであります。この問題について、この事件そのものの問題については衆議院の各委員会予算委員会でやっておりますから、それには私、触れたくないと思うんです。ガードマンの性格またはその他の本質的な問題について、警察庁並び自治省に聞いてみたいと思うんですが、まず、ガードマンとは、日本語でどういうのですか。
  7. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 普通ガードマンと、こういうふうに称しておりますけれども日本語でいいますれば、警備員ということであろうと思います。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで、自治省に聞くのですがね。あの千葉県庁内で起こった事件について、この警備員をだれが雇ったか、それから面会謝絶だということで拒否する行為をだれが依頼したのか、その点について。
  9. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいまお話しの、あるいは私の認識が間違っているかもしれませんが、お話し事件が起きましたのは成田の現地ではなかったかと思いますが、あるいは私の間違いかもしれません。  そこで、お話しの今回の事件との関連におけるガードマンをだれが雇ったかということでございますが、私ども調べましたところでは、ガードマンを雇っておりますのは空港公団空港公団ガードマンを雇っているわけでございまして、県自身ガードマンを雇ったという事実はないようでございます。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 警察にお伺いしますが、何ですか、強制執行に関して何か協議するということで、私の誤読であったら別として、新聞では、県庁内でそういう会議をするときに、陳情者と申しますか、抗議団と申しますか、そういうものが行こうとしたときに、ガードマンにさえぎられたというのですが、警察の調べはどうなんですか。
  11. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) いまおっしゃるトラブルの起きましたところは空港公団成田分室の、門から入りまして一号館の玄関の前で起こったというふうに承知をいたしております。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この空港公団について、これは所管は運輸省ですか。
  13. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) さようでございます。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ次に移りますが、このガードマン権限はない。一般の人と同様でありますけれども、その職務上からくる警備員のいわゆる法律上なし得る範囲ですね、そういう一般の人が——どちらも一般でございますけれども警察官でない者がそういう対人的な実力行使というものをやる場合に、それはどの程度が認められるか。私は大体の常識上、刑法からいくと正当防衛緊急避難の場合のそういう措置は許されておると思うのですけれども、そういう警備員が、一般の人と同じ同等な権限しかない、権利しかない者がそういう行為をできるという法律根拠はどこにあるか。これは警備局長保安部長、その点の根拠をひとつ知らしてもらいたい。
  15. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 現在、ガードマンにつきまして特別の権限を与えた法律は何もないのでございまして、したがいましてこういうガードマンにつきましては、一般の人と同じ法律的な権限しかないわけでございます。したがいまして、財産警備につきましては、一般の人が自分財産警備をできる範囲内、それから対人的な関係等につきましては、先生からお話しのありましたとおり自救行為はできないのでございまして、正当防衛とか緊急避難とか、そういう刑法のあれに当たる場合にのみ、常識上許される実力行使ができる、こういうことでございます。
  16. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あの成田空港事件は、公団の事務所というのは一応広義における公共の建物だとわれわれ認定するのですが、公団、公社にいたしましても、そういう所に用事があって入っていく場合、これは一つの例になりますけれども警備員警察官指示に従わずに雇い主の指示に従って、他人の入ることを拒む、しかも、それが過剰な行為だと私は見ているわけですね。警察一般財産を守るために家に入ろうといえば家宅侵入罪になるかもしれませんけれども、その場合も実力行使ができる限度がありますね、財産を侵しているかどうか、家宅侵入かどうかという——。あのときの認識は私はそうでないと見ているわけですね。そういう場合の警察の立場として、あの警備員のとった措置が、あなたがいま言われたように、刑法警察法その他の諸法に照らし合わして正当な行為警察は認めておるのですか。
  17. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) ガードマン空港公団が雇い入れましたのは、代執行をやる人たちを守ってやるということと、それから施設の防護という目的があるわけでございます。あの際には、ガードマン管理部長から、いろいろ反対同盟の人とか、あるいは抗議団が来たときには、自分のところに連絡して自分の許しを得てから入るようにしなさいと、こういう命令を受けておったわけでございます。それで国会議員先生あるいは県会議員の方々が入ろうとされたときに、ガードマンが、管理部長許可を得るからちょっと待ってくれと、こういうことをお願いしたところが、そういう必要ないということでトラブルが起こったわけでございますけれども、いまおっしゃるとおり、このガードマンがあの際いろいろ、暴行あるいは傷害容疑事件が起きたわけでございますから、それにつきましては、警察としては空港公団職員六名、それからガードマン六名にいろいろいま事情を聴取し、あるいは捜査をいたしておるところでございまして、確かに行き過ぎがあったということは私どもも認めておるわけでございます。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今後もこういう問題が、ぼくはああいうガードマン警備員という一つ職業と申しますかね、こういうところに問題を起こす場合が私は多いと思うんです。これはこういう警備員がそういうことができるなら、私は一般会社でもそういうものを雇っていろいろ問題の鎮圧と申しますか、そういうものに使われる憂いが私はあると思う。そうすると、警察制度警察官自体が一体、御存じのように、日本の法律憲法から、国民生命財産を守るために警察はあるんでしょう。私はそう思っておるんです。それに、金があるものは、そういう何らの権限のないものを雇って自分財産生命を守るということになれば、私はいまの憲法そのものに疑義を持つ。職業として認めておるものだからいいというけれども、その職業自体に私は非常に法律上問題があると思うのですよ。われわれは絶対かあるいは相対か知りませんが、われわれの生命財産を守るのは警察官である、こういう私は認識でおるし、またそういう法律であるということをわれわれ自身も考えて、国会で実は審議をしておる。しかし、警察官はあの場合にどういう処置をとりましたか。警察官が足らないからそういうものを雇ったというのか、それとも警察官じゃもう不信であるから、自己を守るために警備員公団が雇ったというのか、その点に私は警察制度に対する国民の非常に不信を買うもとをつくっているのじゃないか、そういう意味において、長官はどういう考えでおりますか。
  19. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 一般的に警備保障会社というものが成り立っておるゆえんのものは、官庁にしろ会社にしろ、守衛というものを大体置いております。その守衛を置くかわりに、警備等の面からみて専門のそういう仕事を引き受ける会社というものにやらせると、こういう社会的な需要が生まれてきて、こういう会社形態のものができておると思います。諸外国等においては、これは非常に発達をしておるわけでございます。そこで問題は、それじゃこの警備保障会社がなし得る警備限界はどうだと、こういうことになるわけですが、もちろん法的な根拠が今日あるわけではございません。したがって、そのなし得る限界は、やはり会社なり官庁なりが一般的に自分施設について管理権を持っておる。したがって、その管理権限界内でやる。人について言っても、人にそれぞれ個人としても危難を防ぐというだけのことは社会通念上許されておる。したがって、そういう限界それ以上にはガードマンというものはなし得ない。したがって、警察類似行為をやるわけでございますけれども警察のように一般的な犯罪の予防、鎮圧、こういった権限があるわけではございませんので、少しやり過ぎると必ずそれは逆に警備員犯罪行為を構成する、こういうことになるわけで、その点においては警察と全く根拠が異なっておる、こういうふうに私は考えます。ただ、この警備保障会社というものについて、諸外国等の場合には立法によってある程度のことを認めております。その点が、わが国においては今日法律がないということでございまするので、私どもとしては、今日すでに三百社二万六千人に達する警備保障会社及び警備員がおるわけで、しかも、これが社会的需要が多いということでふえつつあるという事実、さらにまたこの警備保障会社業務内容に多少問題があるのではないかというものも絶無ではない。あるいはまた労務給源等の面から、必ずしもいい素質の者ばかりとも言えない。したがって、ガードマン自身犯罪が相当あるという事実、あるいは服装あるいはその仕事やり方等警察官にあまりにも類似をしておって、国民の不満、不平がこの面に生じつつあるということ、あるいはまた所持禁止せられていない限度護身用の器具というものを彼らは持っておる。で、この使用方法というものは、一歩間違えば犯罪を構成する。またその使い方について一般国民の不安もある。あるいはまた、彼らは請負契約でやるわけでございまするので、特別今日法律に違反をしておるというわけではありませんけれども、その引き受け業務内容に必ずしも適切でないもの、たとえば労働争議そのものに介入をしておるといったような面も絶無ではない、こういうことから、私はやはり今日の段階では、業者の連合組織をつくらして自主的な規制をやらせるとか、あるいは警察が直接彼らに指導を加えるといったような行政上の措置をとっておりますけれども、これではどうやら不十分なのではないか、やはり諸外国にあるように、こういったものについては立法を必要とするのではないかということで、今日各国立法例わが国のこれらガードマン会社実態等資料を集めて、現在検討をいたしておるというようなのが実情でございます。
  20. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 このガードマンについては、これも聞きますけれども各国は非常にこの点が多くなっておるというのですが、アメリカ、ヨーロッパの現状はどうですか。
  21. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 詳細なことにつきましてはよくまだ調べておらないのでございますが、一般的には、やはりそういう諸外国におきましても漸次ガードマンというものがふえまして、そうして社会的にも大いに使われておるというふうに聞いております。それから、そういうものに対する規制立法が、米国の大州、あるいは西独その他の諸外国にございます。そういう状況でございます。
  22. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 保安部長に聞きますけれども、これは一般刑法理論になるかもしれませんが、こういうガードマンというものは、私はもう何らの権限もない、警察権もない、まことに長官が言われたとおりでありますけれども、やはりこの警備を主体としてそういう職業をするということ自体に、私は刑法上から見ましても、その行為自体に対して、いわゆる一つの民法上の請負契約であって、人が入ってきたならばこれは拒否しなさい——承知のように守衛とか何とかというものは、これは会社がその職務を指定して雇っておるんですからね、したがってこれはその会社業務執行するという一つの任務がある。しかし、それとても警察権はないのですから、門衛は入ってくる人に対して、どなたですか、どこへ行きますかと、しかも無理に入る人については、そういう行為をせずに、すぐ会社のほうへ知らせる、警察へ知らせるという態度をとっておるわけですよ。守衛の場合は、ガードマンのようなそういう権限は与えてないはずです。すぐ警察に対して連絡をして、こういう無法に侵入するから何とかしてくれという連絡をするということになっておる。ガードマンの場合は、現実の問題として、管理者が入るのを拒めば、実力行使をしてよろしい、こういう一応の認識を立てておる。それが実際の実力となっておるでしょう。また那珂湊の場合は、これは臨時職員として雇っておるんですから合法的な手段をとっているが、それでもちょっとオーバーなやり方があった。空港公団の場合は、明らかにそういうことは自分職業であるという認識でやらぬとああいう行為はできないですよ、実際問題として。すぐ警察にそういうことがあったからと言ってその警備員から連絡があって、そういう措置をとったんですか。みずからの判断で拒否しておるでしょう。これは通例ですよ。そういうものを欧米各国が許しているから、そういうものをわが国でも認めるんだということは、私は少し社会情勢の違いの上から軽率だと思う。もう少し掘り下げた論議というものが私は必要ではなかろうかと思う。そういう警備員がやっている範囲のものはほんのわずかですよ。あのようにだれもかれもがやっておるということはできませんよ。一般の善良な市民は警察に対して絶対の信頼を持って、連絡をして措置をしてもらう。これは、いわゆるいまの憲法による国民生命財産を守るのは警察である。われわれが選んだ立法府によって法律をつくって、その法律に基づいて行為をするのが警察官であるという、こういう制度によって、私はいまの刑法も、それによって刑法ができておる。それを欧米各国にあるから、これを一つ法律規制したらどうかというその趣旨に対しても私は異議がある。そういうものが一般人と違った特別のそういう権限を与えようという趣旨であるならば、私は刑法の論理も私はその点からくずれてくるんじゃないかと思う。今日実力行使をやるというのは、正当防衛あるいは緊急避難の場合はこれはやむを得ないという客観的な判断から許しておると思うのです。それを一般職業人として、特に一般人と別なそういう行為を付与しようというお考えには、私はまっこうから賛成はできないんです。その点についてひとつ警察当局の御判断をお願いいたします。
  23. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 私どもガードマン警備会社につきまして法律が必要ではないかということで検討いたしております趣旨は、一般の人と異なった特別の権限を与えよう、そういうことは全然ないのでございまして、その点は先生のおっしゃるとおり、いまの法律のたてまえからいって、与えるべきものではない。ただ一般の人ができる行為業務としてやる場合におきましても、先ほど長官から御答弁申し上げましたとおりに、たとえばだれでもかれでも自由にできるということであれば、その警備員に不適格な者等が採用されまして、そして反射的に弊害を及ぼすということがあってはならない、そういうことで、免許制を検討したり、あるいは警備員になる人の資格を定めたり、あるいは服装等について規制をしたらどうかということを検討したのでありまして、特別に、外国に、米国等にあるというふうに聞いておりますが、そういう日本の一般の人が持っておるより以上の権限を与えるべきものでないということは、そういうふうに考えておる次第でございます。
  24. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこが問題なんですよ。免許制度にするということは特定の人しかできないということを規定するのでしょう。一般の人ができないということ、一般の人ができないという規定は特定の権限を与えるということになるのですよ。医者の場合もそうです。職業の専業制です。そこから出てくる免許は、運転免許をとるとかいうことで、そこで一つ権限を与えるものが出てくるということです。一般の者しかやれないということなら、ああいうものを認めないことです。あれは一つの私の警察権ですよ。もっと言いかえれば、リンチですよ。どういう理由があるにしても、警察権のない者がそういう少なくとも実力行為を正当化しようということについては、法を犯す一般人の犯罪行為は、これは別の問題です。これは別です。黙って人の家に入るということについては、これは家宅侵入罪とか、そういう刑法の罪があることは事実です。これをさえぎるのは警察以外にはないと私は思う。これを一般の人に認めようというんでしょう。免許制度をとって、職業として認めようというのでしょう。そういうものが——アメリカの制度はアメリカの制度として別に論じようと思いますけれども、それがどういう弊害をもたらすかというところに問題がある。そういう点を私は追及しておる。しかも免許制がないのにそういう行為をやられては、一般国民はどうなるか。極端に言えば、金があればそういう者を雇っておって、少し不審なやつについてはそういう行為をさせようということになったら、警察は一体どうなるか。もう警察官は要らない。少なくとも消極的な防衛策としてはいいとしても、そこに一般国民警察に対する信頼感と言いますか、そういうものにきずが入る。そういうものの必要性がどこにあるかということを基本的に聞きたい。そういう警備員というものを置いて、ああいう警察権のない者が警備に名をかりてああいう行為をするという必要性がどこにあるか。警察官が足らないから補助的にそれを認めるというのか、それともどういう事情で、アメリカの場合は別として、日本の現状からすればどういう必要があってやるのか、その点をひとつ解釈していただきたい。
  25. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 警備会社が存在いたしますのは、先ほど来長官からの答弁がございましたとおり、いままでもそれぞれ事業所等におきましては、自分会社の管理を十分にやるために守衛等を雇っておるわけでございますが、最近の労務事情からいきまして、なかなかそういう適格者も得られないというようなことがありまして、そういう需要があって漸次発生してまいっておるわけでございます。なるほど警察国民生命、身体、財産を守る職責を持っておるわけでございまするが、やはり警察のやりまする限度は、そういう公共の限度というようなことにいつでもとどまらざるを得ない一個人個人として考えますると、さらにもっと自分としてはいろいろな点を万全に管理したいと、あるいは守りたいと、こういう要望のあるものがそれらの手だてを講ずるということはこれはやむを得ないのではないか。先ほど法律等を検討いたしておりますと言いましたのは、決してその警備会社に特別の権限を認めるというのじゃなくて、だれでもやっていいんでありまするが、一つ会社組織あるいは営業としてそういうことをやりますと、どうしてもいろいろな意味において行き過ぎが起こったり弊害が起こるおそれがある、そういうことがないようにいたしたい、こういう考えで検討いたしていることを申し上げたのでございます。
  26. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたはいま、自分生命財産を守るために、なお完全にしたいためにそういうものが必要だと、なお完全にしたいために。そうすると、それ以外の、雇い得るそういう財力とか、そういうものがなければ完全にできない、こういうことに通ずるのですね、そうでしょう。貧乏人はそんなものは雇えません。会社とかそういうところで雇う。それは何ぴとでも、日本国民何ぴとでも、警察の力によって、権限と、そういうものによってやってくださいということで警察制度ができておるのが日本の憲法であり、法律ですね。それ以外にそういう私人が、個人の財産を守るために必要だというなら、全部の国民にそうすべきでしょう。全部にすべきですよ、そういう法律上から言えば。それは特定の人だけはそういうものを雇って完全に守るのだ、ほかの者は不完全であってもいいと、こういう論理になるのですか、それはどうですか。
  27. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 警察といたしましては、どういう国民の方に対しましても平等にできるだけ完全に生命財産の保護ということにつとめるわけでございまするが、一方、国民の個々の方のお立場からすれば、いろいろお考えが違う。われわれは警察のほうが完全にやっているというふうに考えましても、一人一人の個人の考えでは、いや、まだ不完全である、もっと守りたい、こういうような希望を持つものもあることは当然でございましょう。そういうためにガードマンを雇うということはさしつかえないのじゃないかと、こういうふうに思うのでございます。
  28. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ところが、反対に、今度はそういうものを守りたいという考え方があるんだというなら、それは現実にそういうものは一部にありますよ、そういう特殊な場合に。警察だけではどうも頼りないというか、不十分であるからやりたいというのがありますがね、事実はそういうものが起きているからできてきたのでしょう。私が言うのはそうではない。そういうものを認めるなら、国がいまの警察力ではそれは完全にできないのだと認めるなら、警察のほうの権限のある措置をとるべきであるというのです。それを一部の人が民法上の契約でそういうものを雇って完全に守ろうということ自体が、認めること自体が法治国としてそれを許せるのですか、私はそこを言う。もし、あなたは警察の当局者でしょう、完全に守るためにはガードマンの必要があるという認定に立つならば、いまの警察官で足らなければ、また別の制度というものを考えてやるべきである。一部のそういう何というか、会社のようなものをつくってそれにやらして、完全に生命財産を守るような措置をとろうという考え方は、いまの日本のあらゆる立法権限を与える立法警察もありましょう、検察庁もありましょう。いろいろの権限を持たしておりますが、そういう措置でやるのが妥当じゃないかと言うのですよ。すると、あなたの言うことを言いかえますと、完全にいまの国民には生命財産を守るだけの警察の力がないからそういうものを認めるという論理を明らかにできるかどうか。これは重要な問題だから警察庁長官からひとつ聞いておきたい。
  29. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) なかなかぎりぎりと詰めた御意見でございますが、警察が保安が守れないというふうには私は考えておりません。しかし現実に、どのような場合にあっても守衛というものは置いております。守衛には守衛としての仕事がございましょう。警察をいかに強化しましても、守衛業務までは警察はいたしかねる、これが現実だと思うのです。その守衛業務を営業として警備保障会社という形態でやっておる、これが現実なわけでございます。守衛がわりと、こう御理解を願えばいいと思います。ところが、守衛がわりであるにかかわらず、とかく問題があることも事実でございます。そこで、こういった守衛がわりの仕事業務としてやる会社については、この際立法の必要があるのではないかということで検討をしておる。で、その中身は、やはり御質問のように、守衛がわりであるからといって、営業としてそれをやるガードマン実力行使をやる、で、それを正当化するものであるとか、あるいは法律をつくることによって特別権限を認めるのだといったような趣旨のものではない、こう御理解を願いたいと思います。私ども守衛がわりの仕事を業として営む会社ができた以上、各種の弊害除去のためにこれについてどのように立法規制をするか、これを考えておるのだと、さように御理解を願いたいと思います。
  30. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 後藤田長官守衛ガードマンとを、私は守衛を何も認めないとは言っていないのですよ。国会の場合はもう衛視として法律上他のほうからも独立した権限のあるものを与えておる。これはもう守衛ではない、衛視として警察官一つの役目を与えておることは御存じのとおりですね。会社の場合は守衛。まあいまは守衛というが、昔は門番といったのですね。いまは守衛ということばを使っております。あれはどういうことから出たか、私もいろいろ調べてきたのですが、まあ守衛と、守るという「守」も守る、「衛」も守るですがね、こういうことばを使っておるのですが、昔は、われわれの子供のときには、あれは門番といった。それは会社ですから、だれもかれも出入りをするといかない。ところが、最近は非常に製造会社も秘密の問題がある。したがって、特にそういうもののガードを厳重にするということで、守衛ということで、なかなか出入りを厳重にしていますね。それは私、わかるというのです。それは否定しないのです。その守衛を特殊のガードマンとして、私は最初、日本語でどういうか聞いたときに警備員と言われた。警備員守衛とは違いますね、違う。警備員というものを置いて、警備員というのは、これはまあ小学校の教室じゃないからそんなこと言わないけれども、おのずから警備員は違う。晩に学校なんかを回る人を警備員という形で雇っておるところもあります。これは火災の予防とか、そういうことですが、いまは非常に警備員は多いけれどもガードマン、これも一つ警備でしょうね。前はボデーガードとかいうものをつくった。重要な人にはあぶないからつけよう、そういうものもある。そういう職務範囲というものが大体限定されれば、おのずから私は警察権の問題とは別途の問題になると思うのですよ。しかしいまのガードマン警備員実態の性格から見ると、それを私は逸脱しているというのですよ。何を目的にしてやるか。後藤田長官は、守衛のかわりにやるんだと、こう言うんですね。守衛は、全部どこの会社守衛は置いていますよ。守衛というものはこんなもので、問題があったときに雇うわけじゃない。これはもう常時おらなければいかないんですよ、守衛の役目は。ガードマンはそんなものじゃないでしょう。事件が起ころうとすれば会社に雇って、何人か何十人か呼んできて、そうしてそれをいわゆる拒もうという、言いかえれば実力でこれを拒否しようというのが警備員ガードマンだ。いまの欧米各国実態を見てもそれが仕事ですね。日本の場合もそのとおりになっておる。単に守衛の役目ではない。実力、なくして十人も二十人も呼んできたって何にもならない。それならば人形を立てておいてもいいんですよ。何かの措置をさすためにやる。そうして生命財産を守ろうというんですね。そういうものに対して、私は、立法上というか、刑事法と申しますか、の上から、そういうものに対してどういう考え方でおるかということですね。  ごまかすということばは使いませんけれども実態とその職務内容とを考えて、警察権範囲に私は食い込んできておるという見方です。食い込んでおらないなら、そういうものを認める必要はない、ありません、守衛であれば。守衛なら守衛で、それはどこでもあるんですからね。これは守衛の役目ではございません。ガードマンガードマンとして別な職域を持っておる。それは警察に若干類似した行為をするということは、これはもう各国の大体常識的な判断ですよ。それを認めておる例が、アメリカとか、その他の国にその実例がありますよ。ギャング——ギャングと申しますか、非常に犯罪が巧妙になっているか、また非常に悲惨な犯罪を起こすというために、銀行その他を守るために一時雇っているところもありますけれども、日本の場合は、往々に、利用するのは労働運動あるいはまた大衆運動を鎮圧しようと——まあ鎮圧ということばは、これはちょっと行き過ぎですけれども、何とかそれを拒もうという行為だと思う。そういうものを認めるかどうかということについては、後藤田長官が言われたものについては私は納得できないんですよ。守衛の役目なら守衛とはっきりしてください。それなら、また私どもとしても、あの行為守衛行為かどうかということで、警察官の判断、警察庁の判断として、一般に私は国民に言ってもいいと思う。これは私、地方を回ったときに非常におそれておるんですよ。その中に暴力団がおるとかいうことについては、これは私は警察にまかせますけれども、これはああいうものが非常に横行してきたらどうなるか、こういうことがありますので、これを警察庁長官に聞いておきたい。
  31. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) どうも御議論を聞いておりますと、今日のガードマン会社、またそのガードマン行為が行き過ぎじゃないか、こういうことが根底にあって、ただいまのような御質疑になるんだろうと思います。私どもはこれがガードマンといい、警備員といい、どのような名前であろうと、今日これは守衛のかわりの仕事であるという以上のものには私どもは理解をしてないわけです。そこで、御質問のような行き過ぎておるじゃないかという面について、私どももその点について危惧の念を持っているわけです。したがって、それを立法によって、場合によれば弊害の除去を今日やらないと容易ならざることになるおそれがあるんだということで、準備検討をいたしておる、こういうことでございます。
  32. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、そいつを裏返してみると、そういう行為については非常に憂えるべきものがあるという心配を警察が持っておるというならば、私は一歩譲って、じゃあ、ああいうものを禁止すべきである。警察犯罪の予防をするのが役目でしょう。そういう憂いがあると言うなら、そういう会社そのものは、行為そのものはいかない。法律ができるまでそういうことをやるべきでないというのがたてまえになるんじゃないですか。もし、後藤田長官のことばを裏返せば、正当なものであると言うなれば、それはいいけれども、いわゆる犯罪行為につながる行為は、憂いがあるというなら、警察は予備行為としてそういうことができるでしょう。それをなぜやらないですか。
  33. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 守衛という業務があり、したがってそれを今度は営業としてやろうという場合に、それを私は禁止することはできない、こう思います。ただ、そこで弊害が生まれてくるおそれがあるから、その弊害面を除去するということは、当然立法としても場合によれば考えなければなるまいということで準備をいたしておる。これが今日の実情でございます。
  34. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ほんとうに今日の実情が問題であるから私は言っておるのです。実情に問題がなければあなたに聞く必要はない。そういう行為がもうすでにあった。それに対して警察がいま調べておるということですが、これは単に成田空港だけの問題ではないのです。方々で聞いておりますよ。それは新宿あたりではそういうガードマンの組織を利用し、あそこのいろいろな業者が共同でガードマンを雇っておる。そういうガードマンが、たとえば映画館に入る女の人の手を握ったりした人を恐喝して金を取ったとか。これはうわさです。事実は知りません。そういういろいろなものが出てきておる。しかもそれは会社として正当に認められておるというところに問題がある。正当な行為である、職業である。しかし、そういうことは、あなたはここの答弁として、それは違法行為だということを言うけれども一般の市井の中に入りますと、そういうことがガードマン行為だということで横行している。私はそういう事実というものを知っておる。守衛というような形であなたは言われるけれども、しからば聞きます。  営業権はありますよ。いまの日本の自由主義経済、個人の権利を保障しているところでは、営業権は何にでもありますよ。その営業が社会に害を与え、そういう市民に不安を与えるということがあれば、営業に対して干渉する権限を、特別な権限警察に与えているのでしょう。それに対してそういう権限のないガードマン——そういうものの弊害を除去するためにそういう立法をするというのですが、立法を考えるのはいいでしょう。これはまたわれわれ立法府で考えなければならぬし、考えますけれども、それまでの過程において、それに対してどういう取り締まりの方法をとっておられますか。ガードマン会社に対して指示するというが、指示するというだけではいけない。実際にそういう警察権みたいなものを持ってやるガードマン行為——これは一般人ですよ。それに対して具体的にどういう方法で取り締まっていくか。会社に対して指示しているとかなんとかということを聞いているのではありません。一般市民、ガードマン、そういう特別の権限を与えられておらない者の行為をどういうふうにして取り締まっていくか。
  35. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) もちろん、ガードマンに行き過ぎた違法行為があれば取り締まっていきます。その実例等も各地で起きております。そういう点について、私ども警察の立場で、ガードマンといえども一般人の行為ですから、行き過ぎれば当然取り締まる。ガードマンというものが一体なぜあるのかといえば、先ほどからるる申し上げておりますように、みんな自分自分を守る権利がある。それを会社等であれば守衛という形で私はやっておると思います。それを今日の社会的必要性から、営業的形態で請け負ってそれを引き受けるというものができておる。それをとかく行き過ぎがあるから私どもとしては規制をする必要がある。その立法は研究している。しかし、今日何にも法律がない。法律のない今日、それを禁止したらどうか、こういう御議論も先ほどありましたけれども、しかしそれはさっきも申しましたように、自分自身を守る権利がある、それを請け負う会社があるということで、これを禁止することはできない。行き過ぎれば、今日警察として、ガードマンといえどもこれは同じですから、取り締まる、こういうことであろうと思います。
  36. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もっと突っ込んでいけば、私は、取り締まるというよりも、ガードマンに対して警察が便宜を与えておるのじゃないかと思うのです。あなたは頭をかしげるけれども成田実態を見ると、あれが逆の場合だったら、直ちに警察官を出動してガードマン——一般人に対して検束をして、その行為について取り調べをして法の措置をとったと思う。そういう具体的な措置をとられたかどうか、ちょっと御報告願いたい。
  37. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) 警察としましては、あの少年行動隊とガードマンがぶつかっていろいろトラブルが起こりました。それから、先ほど来お話しのありました国会先生方に対する暴行傷害容疑事件がございましたので、ガードマンにつきましては、そういう警棒類似のものを使用する際に十分気をつけてやるようにということを、空港公団を通じて申し入れをいたしております。空港公団のほうでは当初から、ガードマンを雇い入れましたときからガードマン仕事については十分慎重にやるようにということを、空港公団管理部長のほうからガードマンに対して指示しておるというふうに聞いております。
  38. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その程度でしょう、傷害のあったことは事実。それはまあああいう混乱のときですからだれがやったかわかりませんけれども、公正な立場から言えば、それは少年隊が行くということ自体これは一つの社会現象として、善悪を私は言えないと思うのです。空港設置に反対するという立場から言えば、自分らのやはり生命財産を守ろうという行為ですよ、あれは。やり方については一般世上いろいろ問題があるように言われるけれども、純真な人たち自分生命財産を守る行為としてやっている。それはいまの政治的な判断から、あれは間違いだ、あれを取り締まれという考えなら別ですが、ぼくらから見ればそう考えるのです。一方、それをはばもうとして雇われたガードマンがそれに対して警棒もふるって、暴力にひとしいものをふるったとするならば、両者とも一般人であるから、公団がどういう指令を出しても、警察官は公正な立場でガードマン行為に対して取り締まりをし、行き過ぎであるかどうかということ、公団を通じてそういう行き過ぎはやめてもらいたいという、そういう私は一方的な、一方的といいますか、手ぬるいといいますか、正当な警察権の発動をしていないような行為に対して、結論的に私はそれを言いたいためにずっといままで進めてきたのでございますけれども、そういう行為に対して、警備局長はただ公団を通じてそういう警棒なんかをふるってはいかないという——普通のものがそういうことをやった場合にはどうですか。一般人ですよ、ガードマンは。さっきからずっと話している。その一般人が警棒をふるって、かりにその本人が傷つけたかどうかはわからないけれども、それを直ちに取り締まる警察がその場におったのだから、それについてやはり検束しなきゃいかぬでしょう、一般人だから。それに対してそういう措置が、あとから調べていろいろやられておることは聞いておるけれども、その場では一方的な行為であったことは、われわれとしては直接現場におりませんけれども、聞いたところではそういうことになっておる。それに対して私はいままで言ったように、警察は何かそういうガードマンに対して特別な権限を与えてないけれども、あるかのごとき認め方をしておるんじゃないか、こう私は判断するのが間違いであるか、それとも私の言うことが正しいかということについて、見解を聞いておきたいと思います。
  39. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) 先ほど来お話がございましたように、ガードマンといえども一般人以上の何らの法的な保護を受けているわけではございませんので、したがいましてガードマンが起こしましたいろいろな違法行為につきましては、これは当然厳重に捜査をしなければならないわけでございまして、先ほど申しましたような事件につきましては、現在千葉県警察で厳重に捜査をいたしておりますので、その点は先生御懸念には及ばないと思います。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あとからやるのはいいですよ。それはいろいろ問題になってきて、国会で問題になったからいいのですが、その場に警察官がおられたと思うのですね。全然警察官がおらぬとなれば、私は警察に落ち度があったと思う。そういう問題を起こした警察に問題があったと思う。あれは私人と私人とのいさかいですよ、言えば。一方は財産を守るということでやっておりますが、一方はまた自分財産を守るための行為、私人と私人の間の争いなんです。警察官がおれば、直ちにそれを両者とも、必要なものについては検束をし、取り調べ、行き過ぎがあれば両方とも、私はいまの法律があれば一そういう措置が直ちにとられたのであるかどうか。あとから調べるというのでなしに、そのときそういう措置をとられたか。こう聞いておる。
  41. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) 空港公団成田分室で起こりました国会議員先生方とガードマンとのトラブルでございますが、その際私どもの調べましたところでは、あのトラブルは分室の一号館の玄関前で行なわれまして、あすこの建物はその裏に二号館、さらにその裏に三号館とありまして、一号館と三号館の距離は大体七十メートル程度でございます。その三号館の裏手に当時制・私服の警察官が待機をいたしておったのでございますが、たまたま報道関係のヘリコプターなども飛んでおりまして、まあそのごう音でわからなかったということもございます。またちょうどそのころヘルメットをかぶった二十人ばかりの学生が空港公団分室のフェンスを倒そうということで襲ってまいりまして、そちらのほうに警察官の注意がいっておりまして、相当離れた第一号館の玄関前でのその事案については、残念ながら現場に居合わせなかったというのが実情でございます。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあいいときには居合わせて、悪いときには居合わせないようですね。ぼくらは行かなかったけれども、詳細に聞きました。それは私はいまのところ、あの現場の混乱はどちらがいいとか悪いとかということについてはいまここで言いません。警察としてその後、水かけ論じゃなしに、時間もございませんから、公団当局に対してそういう指示をされたのですが、ガードマンのやった行為についていま取り調べておるというのであるが、どういう人に警察に来てもらって、どういう方法で調べておるか。これだけ最後に聞いておいて、また時期があればその問題についてもう少し法理論的にひとつ掘り下げてみたいと思います。現実にどういう……。
  43. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) 木原先生をうしろから抱きかかえたガードマンにつきましては、これはまあ名前が宮野というので、わかっているわけでございますが、三ツ松県議が鼻血を出されたという、その傷害の事案につきましては、現在まだ被疑者を持定するまでに至っておりません。先ほど公団職員六名、それからガードマン六名と申しましたが、いままたふえておりまして、二十三人ほどの関係者を呼んで取り調べております。
  44. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 先ほどの御質問の中に、私どもにとってやや重要だと思われる御意見がございましたので、お立場が違いますからあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、お答えをいたしておきたいと思います。つまり成田公団分室における事件は別としまして、これは捜査をいたしております。ただ成田でああいう公団がやっている仕事、それと農民の抵抗の問題、これは一方は土地を守る行為だ、片方は代執行しようという行為だということで平等だと、こういうお話がありましたが、そこの認識は私は違う。片方は法に基づいた代執行行為である、片方土地を守るという気持ちはよくわかります、私は。しかしながら、それなるがゆえに公権力の行使である代執行と、農民の抵抗の行動が平等であるということについてだけは、私はその点は違うんだということをお答えいたしておきたいと思います。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 要らぬことを言うから、また言わなくちゃいけない。代執行一つ法律手続を踏んでいることは、これは私も認めておりますよ。私の言うのは、学生の運動とかそういうものに波及するものでありますが、私もいままで数度向こうへ行って、現実に話をしてきておりますから、なるほどあれが正当な納得づくでやられた人もありますし、また反対する人もいるのでありますね。あなたはどういう経歴か大体私は知っておりますけれども、百姓というのは、土地に対する執着が強いんですよ。法律的にはいまの法律で合法的だと言われるけれども、本人からしては生命の問題だ、そういうことからくると、あなたがいま言われたそういう感情とかそういうものからくるということで割り切ることは、私はますますいまの政治に対する不信がある、そういうことですから、あなたはそういう立場で、片一方は合法的にやっているんだ、片一方は非合法だからああいうことがあるんだと、そう言われると、別にまた問題がそれのほうに飛び火しますから、それは私は聞こえませんから、あなたの説明は私は納得しないから、またそれを言われるとだんだん時間がなくなりますから、その点はないことにしておきます。  もう一つだけ、初村さんやられますから、えらいすみませんが、ひとつ鉄砲と刀の問題でやっておかないといけませんから。  現在、ピストルですが、銃砲製造しておる一自衛隊に対しての供給でなくして、一般の民間の所持を許しておる製造会社がどこにあるものか。それと、もう一つ続けてやっておきますが、現在警察官あるいはまた自衛隊、正当に職業上というと悪いんですが、それが持ち得るものと、特に法律によって所持許可されておるものについて、いまはまだ法律がないから合法的に持っておる民間の所持者、それから所持——刀剣はいいです、銃砲、特にピストル類に問題があるから、それについてちょっと御報告願いたい。
  46. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) ただいまの御質問の一つでございます現在民間で製造しております企業数でございますが、四十四年度末で七百三十二企業でございます。
  47. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 現在、法令によりまして民間で持っておる銃砲のお尋ねというふうに聞きましたが、それにつきましてお答え申し上げます。  四十五年六月末現在で、銃砲の総数は七十八万七千二百五十九でございまして、そのうち猟銃が五十八万五千二百四十六、空気銃が十四万五千七百八十九、建設用銃が五万二千四百九十、その他の産業用の銃砲が三千七百三十四と、こういう状況になっております。
  48. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 刀剣はいいですが、銃砲で和製と、それから輸入というか外国製品とに分けて。
  49. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 私ども統計は、そういう日本製あるいは外国製という統計をずっととっておりませんので、まことに申しわけありませんけれども、お答えの資料を持っておりません。
  50. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 通産省に聞きますけれども、この七百三十二企業について、銃砲はどのくらいの生産能力を持っておりますか。
  51. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) 能力の正確なところは非常にわかりにくいのでございますけれども、これを生産台数といいますか、生産機数と申しますか、それで申し上げますと、四十四年の暦年の生産実績が、猟銃で十六万二千百十八でございます。
  52. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 猟銃以外は……。
  53. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) 空気銃が六千四百七十。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 猟銃以外のピストルなんかの製造はないのですか。玩具用でない本物のやつ。
  55. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) 拳銃が生産実績で、四十四年度で五千八百丁であります。それからついでに申し上げますと、小銃、これが一万八千丁、それからあとは兵器的な機関銃とかということになりますが、一応拳銃と小銃を申しました。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはほとんど警察官、自衛隊向けのやつですか。
  57. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) さようでございます。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 最後に警察庁に聞きますけれども、これらは大体日本製で、警察官または自衛隊向けですから、民間に流れてない、私はこう見ておるのですがね。これのいまの通産省の答弁を聞きますと、年間ピストルは五千八百丁、小銃で一万八千丁、現在民間の、俗に言う右翼と申しますか、暴力団と申しますか、それらが所持しておるのはほとんど密輸のものですか。密輸のものであれば、推定どれくらいそういう民間で持っているのか。
  59. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) ちょっといまこまかい数字を持っておりませんが、現在、毎年大体二百丁前後の拳銃を暴力団から押収しております。その大部分は外国製でございます。現在どれくらい彼らがまだそういう武器を保有しておるかということにつきましては、いろいろの推測はいたしますけれども、明確な数字はもちろん私どもも把握できないわけでございます。
  60. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 政府は、昨年五月のライフル銃によるいわゆるシージャック事件またはことしの二月十七日の栃木県真岡市の銃砲強奪事件、そのほか模造拳銃等による銀行の強盗、さらにまた昨年三月三十一日の「よど」号のいわゆるハイジャック事件、こういうものが最近における銃砲等による犯罪や人身事故の発生にかんがみて、これらを防止するために、今回、ライフル銃所持制限の強化、銃砲所持者及び銃砲販売店の保管義務の強化並びに模造拳銃及び模造刀剣類所持制限等を内容とする法律改正案を提案されましたことは、まことに時宜を得たものと思うのでありまするが、私は、さらに、若干の疑問点がありますので、政府当局にお尋ねをしてみたいと思います。  まず初めに、猟銃許可状況について、ただいま統計を山本委員から質問がありまして、資料の三一ページでわかるわけでございますが、この丁数はわかるけれども、持っておる人の数がわからないので、一応お答えを願いたいと思います。
  61. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 正確な人数につきましては資料がちょっと手元にございませんが、大体一割減、猟銃五十八万五千二百四十六丁を昭和四十五年六月末で許可しておりますが、人数にいたしますと、一割減でございまして、大体五十三万人ぐらい、こういうふうに承知しております。
  62. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 そういたしますと、現在の猟銃許可を十年以上継続しておる方の数、それから十年未満五年以上の方が幾らおるか、さらにまた五年以下、一年ないし二年、三年あると思いますが、一応、十年以上と五年から十年、五年以下と三段階に分けてお答えを願いたいと思います。
  63. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) お答え申し上げます。  十年以上の許可を与えておりまする猟銃は七万六千五百二十二丁でございます。約この一割減の人数でございまするので、約六万九千人ぐらいでございます。それから、五年以上十年未満の間許可をいたしておりまする猟銃は十六万二千二百三十四丁でございます。人数にいたしますると、十四万六千ぐらいの人員になると思います。それから五年未満のものは三十四万六千四百九十丁の許可をいたしております。約三十一万人ぐらいというふうに思われます。
  64. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 ライフル銃許可件数のうちで、獣類捕獲職業とする者、それと、また事業に対する被害を防止するために獣類捕獲を必要とする者の許可件数はそれぞれどのくらいになっておりますか、お答えを願います。
  65. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) お答え申し上げます。  第一の、ライフル銃による獣類捕獲職業といたします者につきまして、本年の二月一日現在で私どもが調査いたしました結果、人数で百十五人、丁数にいたしまして百四十七丁でございます。  第二の、事業に対する被害を防止するためライフル銃による獣類捕獲を必要とする者につきましては、同じ期日の調査で千五百二十九人で、千七百十六丁でございます。
  66. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次に、改正案では、十年以上継続して猟銃所持許可を得ている者はライフル銃所持許可を受け得るということになっておる。この規定では、現在の散弾銃の許可を十年以上受けている者であれば、結局ライフル銃が持てるというふうに解釈をいたしております。ところが、現に十年ならずして、いまの数字で、五年以上十年未満の者が十四万六千人もいらっしゃる。こういう方々も引き続いて十年になるまで持っておれば、今回の新しい改正案によって猟銃が持てるかどうか。持てるように解釈をしておるんでございますが、その点をお尋ねをしておきたいと思います。
  67. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) そのとおりでございます。現在猟銃だけを持っておりまする者が引き続き持ちまして、十年以上の経験年数に達しますると、持つことができます。
  68. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 そういうふうな解釈をいたしますると、今回のライフル銃所持制限を強化しようという法律改正趣旨に沿わない、こういうふうに私は思うわけでございますが、この規定を設けたその理由を説明していただきたいと思います。
  69. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) ライフル銃につきましては、その社会的な危険性にかんがみまして、これを必要な限度規制をいたしたいというのが今回の立法趣旨でございます。そういうことで、猟師の方とか、あるいは事業のために必要な方は、どうしてもこれは職業の手段でございまするから、どうしても認めなければならない。ところが、次に、ライフル銃は何に使われるのかということは、御承知のとおり、狩猟の場合におきましては、大型の獣類捕獲に使われるわけでございます。したがいまして、昭和四十三年の統計等を見ましても、クマ、ヒグマのたぐいが、私どもの調べたところによりますと、二千五百四十三頭とられておるわけでございます。さらにまた、イノシシ等につきましては四万四千九百頭、雄ジカ等につきましては一万一千六百五十九頭が捕獲されておるわけでございます。これらはやはり捕獲をいたしませんと、あるいは事業上、あるいは場合によりましては、人命にも影響があるわけでございまして、どうしてもそういう狩猟ないしは有害獣の捕獲のためにライフル銃は認めざるを得ないと思うのでございます。そういうものにつきましては、経験があって、安全にライフル銃のような危険なものでも持てる者については認める必要があるということで、十年間猟銃所持いたしておる者については、その安全性が立証できる、こういうふうに考えたわけでございます。と申しますのは、過去の私どものほうでとっております猟銃等の事故の例を見ますると、十年未満の方の場合におきましては、やはり年数の少ない人ほど事故が多うございまして、十年を過ぎますると、大体ここ数年間の統計を見ましても、事故の件数が数件で、一けたの範囲でございます。そういうようなことからも総合勘案いたしまして、第三項といたしまして、十年以上の猟銃を引き続き持っておるような者について認めることにいたしたわけでございます。
  70. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 一応そういう見解のもとで十年というふうに区切ったと思いますが、この点は、次の問題をはさんで、あとでまたお答えを願いたいと思います。  獣類捕獲に効果のあるライフル銃というものは、大口径のものが効果があって、小口径ではほとんど役に立っておらない、こういうふうに私は聞くわけでございますが、この際、獣類捕獲に要するライフル銃は大口径に限ってひとつ許可をするというふうにしちゃどうか、こう考えるわけでございますが、関係の方の御答弁を願います。
  71. 海法正昌

    説明員海法正昌君) 小口径のライフル銃につきましては、大口径のライフル銃に比較いたしますと威力が劣りますので、先ほどお話しのございました大型獣の捕獲には適さないということでございます。野ウサギ等の小型獣の捕獲に使用されておるのでございます。しかしながらこれらの小型獣に対しましては、散弾銃でもできますので、小口径のライフル銃を用具とする必要性につきましては、比較的薄いというふうに考えております。
  72. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は、小口径では非常に獣類をとるのに効果がない。したがって大口径のものに限定すべきではないかと、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、一応いろいろな関連から、どうしても必要であるということであればしかたがないと思いまするが、やはり行政面からして、十分にその危険度というものを考慮してもらいたいと思います。今回の改正案の附則第三項ですね、この資料の四ページを見てみますると、現在のライフル銃所持許可を受けている者は引き続きそのライフル銃所持できるということになっておりまするが、これはまた今回の改正趣旨に沿わない、かつ新法の所持要件との間に権衝がとれていないというような感じがするわけです。そこで政府は、むしろこの経過措置を修正をして、新法施行後五年間経過した時点ですべて新法の要件を適用するというふうにしちゃどうかと、かように考えるわけでございまするが、政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  73. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 経過措置におきまして、現在ライフル銃を持っておる者につきましてはこれを認めるということにしておるわけでございますが、その趣旨は、やはり第一点は、一般的に言いまして既得権をやはり尊重することは一つの原則ではなかろうかと、こういうふうに考えましたことでございます。  それから第二には、先ほど申しましたようにライフル銃危険性がありますので、今後は危険性が確実に少ないと思われるものにのみ認めることにいたすわけでございまするが、すでにライフル銃を持っておりまして、そしていままで、たとえば十年未満でございましても、何の事故も起こしておらないようなものにつきましては、その安全性といいますか、そういった点が実証されているのではないか。そういうようなことを考えまして、今回の改正案の御審議をお願いいたしておるわけでございます。しかしながら仰せのように、さらにライフル銃というものの数を少なくするというような観点から考えますれば、仰せのような意見もあろうかと思うのでございますが、その点につきましてはよく検討させていただきたいと思います。
  74. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 政府の前進した検討を期待してやまないものであります。  次に、二月十七日の未明に、栃木県の真岡市の銃砲店に賊が入って、しかも猟銃を十何丁とかあるいは実弾を千数百発強奪して逃亡した事件がありますが、この事件の全貌と申しますか、現在までの姿をひとつ教えていただきたいと思います。
  75. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) 二月十七日の午前一時半から二時二十分ごろまでの間の事件でございますが、真岡の塚田銃砲店から、学生風の男三、四名によりまして猟銃十丁、空気銃一丁、それから散弾多数、これは最初五百発と言っておりましたけれども、その後千五百発となり、さらにきのう、その塚田銃砲店主を呼びましたところ、二千八十発ぐらいというようなことで、いろいろ話が変わってきておりますけれども、相当多数盗まれたのでございますが、栃木県警は直ちに県下を緊急配備をいたしまして、また警視庁はじめ群馬、茨城、埼玉、福島の各県警に緊急配備を依頼いたしました。  警親庁の赤羽の岩淵派出所で、その朝の四時四十四分ごろ、埼玉方面から走ってまいりましたライトバンを検問いたしましたところ、運転免許証を出して、それを警官が見ているすきに急にフルスピードで逃走するということで、警官が三メートルばかり引きずられたわけでございますが、その検問の場所から二百メートルぐらい離れたところの民家に激突いたしまして、それから逃げたわけでございます。警察犬などを使いましてその付近を捜索いたしましたところ、その自動車がぶつかりましたところから約三百メーターぐらい離れたところにひそんでおりました二人を逮捕いたしました。  で、これはその後、調べによって横浜国大の尾崎康夫という男とそれから水産大学の中島衡平という二人の学生であったわけでございますが、警視庁としましては、これは直ちに京浜安保共闘の犯罪ということに結びつけるには、その当時はまだ材料不足ということで、いろいろ調べました結果、車のわだちの車轍痕あるいは足跡、それから血液、これは銃砲店の店主が左の指に出刃ぼうちょうのようなもので切られたわけでございますが、その血痕と犯人のはいておりました皮ぐつの血痕と一致したということで、当初は自動車の窃盗、それから公務執行妨害容疑で逮捕いたしておりましたのでありますけれども、その勾留期限の切れる二十八日の夕刻、あらためて猟銃強奪事件の被疑者として逮捕いたしたわけでございます。で、いろいろ二人を取り調べておりまして、それからまた情報活動も活発に行ない、民間の協力もいただきまして、彼らのアジトなるものが、栃木県の小山と栃木市、それから茨城県の下館、それから群馬県の館林に二カ所アジトが見つかったわけでございます。  実は、私どもは今回の猟銃強奪事件の犯行の行なわれたところが栃木県であるということに驚いたわけでございますが、それは、いま申しましたように、アジトが五カ所も栃木、群馬、茨城に出てきた。京浜安保共闘というのは、その名前のとおり京浜地方の労働者、学生等によって組織されておる団体でございます。したがってその活動の舞台もおおむねそういうところであったわけでございますが、今回の事件によって、やはり警視庁とか神奈川県警察という相当強力な警察の追及のきびしいところでは、なかなか彼らとしても仕事ができないということで、若干盲点と思われる、要するにいままで京浜安保共闘とあまり関係のないと思われている地点で犯行を犯し、また、その前にアジトを設定をしておったということでございます。その後、そういうアジトから出た指紋とかあるいはいろんな聞き込み、そのアジトの出入りの聞き込み等によりまして、さらに群馬県の太田でございますか、それから新潟県の長岡、そこへ奪った猟銃とたまを運んだという疑いが出てまいりましたので、その二カ所を捜索をいたしたわけでございます。そして猟銃一丁、空気銃一丁、それからたまが千七百四十一発でございましたか、を警察が押収したわけでございます。  先ほど申しました五カ所のアジト、それからさらに武器が隠匿されましたその二つのアジト、合わせて七カ所のアジトからいろいろ資料を得まして、実は昨夜、出てまいりました四名の共同謀議者を全国に指名手配をいたし、これはまあ公開捜査というような言い方が新聞に出ておりましたが、警察も全力を尽くしてこの凶悪な集団を追及するわけでございますけれども、やはり警察だけではなかなか十分にまいりませんので、民間の方々にも協力をしていただこうということで公開捜査というようなものに踏み切ったわけでございます。現在まだ猟銃が九丁、それからたまがまだ数百発おそらく隠されておると思いますので、その捜査に全力をあげておるというのが現状でございます。
  76. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は、資料の一番最後のほうに最近数年間の銃砲拳銃その他の盗難事件の件数等がわかるわけでございますが、やはり銃砲店の場合に盗まれた件数が多いんじゃないかというふうに聞き及んでいるわけであります。そこで、この資料をながめてみますると、銃砲販売の事業をする場合にはそれぞれの知事の許可でよい、こういうふうになっておるわけでございますが、私はそこに問題がありはしないか。私はこの許可をそれぞれの県の公安委員会に移しちゃどうかというふうな考えをしておるわけでございます。所持に対する取り締まりは公安委員会でやる。ところが許可を都道府県知事に——通産省ですか、この管轄は。そういう関係でされておる。一貫性がないんじゃないかというような見解をしておるわけでありまするが、これは将来の大きな課題として研究してもらっておけば幸いと思います。  そこで、銃砲販売店の盗難事件の防止をはかるために、今回の附則において武器等製造法改正して、販売事業者猟銃等の施錠保管義務、これを課しておる、この改正趣旨とあわせて、現行法の範囲内で銃砲販売店の許可基準の強化、これが先ほど言った意味が含まれておると私は解釈するわけだけれども許可基準の強化あるいは立ち入り検査権の活用等によって事件発生の防止につとめなければならないと思います。これについて、政府としてこの情勢にこたえるだけの自信がおありかどうかお尋ねをいたしたいと思います。
  77. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 銃砲店におきます猟銃等の安全な保管、そういう点につきましては、現在におきましても、まず都道府県知事が許可をなさいます際には、公安委員会のほうに事実上意見を求めてこられることになっておりまして、私どものほうからも御意見を申し上げることにいたしております。今後におきましても、こういう連絡関係を一そう密にいたしまして、間違いのないようにつとめてまいりたい、かように考えております。  それから銃砲店に対しまする一般的な立ち入り権は、これは警察にはございませんけれども、現行法におきまして生命財産を守るため、あるいは公共の安全を保持するため特に必要があります場合におきましては、警察官銃砲店に立ち入ることができることになっております。最近の治安情勢でございますので、通産御当局並びに県の主管部局等とも連絡をいたしまして、警察といたしましても、昨年におきましては全国一斉にやりましたものが一回、それから府県独自でやっておりますものが、県によって違いますが二回ないし八回、こういうふうにやりまして、相協力をしてこういった被害の防止、安全な保管、そういうような点について指導をいたしておるところでございます。今後におきましても一そう努力をしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  78. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 通産省にお伺いしたいのですが、例のいま言った二月十七日の事件について相当な責任があろうかと思います。というのは、やはり銃砲等の販売店からそれが盗まれておるという事実からして、この点について何か処置というか行政指導というか、そういう点をとられたかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  79. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) 先般真岡で起こりました塚田銃砲店に対します盗難事件でございますけれども、現在の武器等製造法規定によりますと——改正前の現行法でございますが、塚田銃砲店の行為は形式的には法律に違反しておらないわけでございます。しかしながら実態的には、修理中の銃を保管庫に入れませんで店内に放置しておったというような非常に不備な点がございます。これは現在審議中の改正法ではそういうことは絶対いけないことになりまして、かつ罰則の規定の適用にもなるような法律の整備がこれからはかられることに相なるわけでございますが、現行法では一応形式的には法律違反ではございませんが、非常に不当な、不適当な行為であるということで、事件の起こりましたあくる日の十八日に、県知事のほうから、猟銃の販売事業を一時自粛するように要請いたしました。現在、同店におきましては自粛中でございます。で、この自粛期間につきましては、同店の対策の整備を待ちまして、警察ともよく相談して、これでだいじょうぶだというところを確認して解除するというかっこうに相なっております。
  80. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 したがって、現在、その事件の起きた同店のみにだけ注意を促して、他の都道府県には注意をいたしましたか。
  81. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) ただいま塚田銃砲店についてのことだけ申し上げたのでございますが、一般的には、事件の起こりました直後の二月二十日に、通産省から各都道府県あてに、猟銃と火薬類の販売事業者指導の取り締まりの強化につきまして、これは前にも数回こういうことはもちろんやっておるわけでございますが、強くその要請をいたしたわけでございます。  で、内容につきましては、警察当局とも連絡をとり、この銃砲店に対します立ち入り検査を励行して厳格に指導、取り締まり体制を早急に実施すべきこと、これが一点でございます。それから二点目は、これも前から指導しておるわけでございますけれども銃砲火薬店におきます非常通報装置の設置、これは非常ベル等でございますが、それの設置と、それから火薬庫につきまして、やはり警鳴装置の設置を促進するよう各都道府県知事から各店ごとに指導を徹底してもらいたいということを通知いたしまして、現有実施中でございます。
  82. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 猟銃用の火薬類の譲渡あるいは消費等について、現在の規制措置はどういうふうになっておるか。無許可で譲り受けた火薬、あるいは実包使用残、そういうものについて、事故防止上どのような処置が現在とられておるか、これを聞きたいと思います。
  83. 長谷川俊之

    政府委員長谷川俊之君) 火薬類の一般につきましては、通産省並びに府県の系統で指導しておられるわけでございますが、猟銃用の火薬類につきまして、昭和四十一年に法が改正されまして、公安委員会におきまして許可をいたすことになっておるわけでございます。したがいまして、原則として猟銃用の火薬類の譲り受け、譲渡、消費等につきましては、公安委員会許可が要るわけでございまするが、現在それにつきましていろいろの便宜を考慮いたしまして、一狩猟期間、大体十一月の十五日から二月の十五日という狩猟期間が多いわけでございますが、その狩猟期間に限りまして、狩猟免許を受けた方が買う場合におきましては、実包は八百個以内の場合には無許可で買える、こういう制度になっております。それから消費につきましては、現在無許可で消費ができますのは、一日につきまして実包空包が二百個以下、それから標的の射撃の練習のためには、一日につきまして四百個以下、それから鳥獣の駆逐のためには、一日に空包百個以下ということになっております。しかしながら無許可で買えますものにつきましても、火薬店におきましてたまを売ります場合におきましては、まず銃の所持許可証、それから次に狩猟の免許を受けている証、それから無許可の数量を記入できる無許可の譲り受け表、そういうものを提示いたしまして、そしてそれがある者につきまして買うことができる。それからその最後の表には、どこどこで、何月何日、何発売った、買ったということを記入させることによりまして、そして八百個をこえないことを担保いたしておるわけでございます。しかしながら、狩猟に行くつもりで買いましても、いろいろな都合によって行けないという場合もあり得るわけでございまして、必然的にその一狩猟期間が終わりました場合に、手元にたまが残る場合があるわけでございます。こういうたまが残っておりますると、やはり何らかの場合に盗難にかかることもあるわけでございますので、現在のたてまえでは、その残っているものは次の狩猟期間までは使えることになっておるわけでございまするが、行政上の指導といたしましては、できるだけこれをたま屋さん等に預けることを指導する、あるいはまた少量のものであれば、それぞれの猟友会等に中心になっていただいて、射撃場等におきまして、射撃練習にでも消費していただく。それから万やむを得ず、どうしても残るものにつきましては、現在、法の改正でお願いいたしておりまするように、たま自体につきましても安全に分離して保管をする、このようなことを指導いたしておる状況でございます。
  84. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は、最後に、銃砲火薬類販売事業許可基準をぜひとも厳格化してもらいたい。そうして適切な指導、監督、さらにまた通産省にいたしましても、県にいたしましても、あるいは公安委員会にいたしましても、関係行政機関の横の連絡を緊密にして、事件発生の防止に一そうの努力を強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  85. 若林正武

    委員長若林正武君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三十五分散会      —————・—————