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1971-05-18 第65回国会 参議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十八日(火曜日)    午前十一時六分開会     —————————————    委員の異動  五月十七日     辞任         補欠選任      向井 長年君     片山 武夫君  五月十八日     辞任         補欠選任      片山 武夫君     向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 大竹平八郎君                 玉置 猛夫君                 中山 太郎君                 成瀬 幡治君     委 員                 青柳 秀夫君                 栗原 祐幸君                 小林  章君                 木村禧八郎君                 松井  誠君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君                 渡辺  武君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        大蔵政務次官   藤田 正明君        大蔵大臣官房長  高木 文雄君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        食糧庁長官    亀長 友義君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    法制局側        法 制 局 長  今枝 常男君    説明員        大蔵省主計局法        規課長      戸塚 岩夫君        農林大臣官房企        画室長      内藤  隆君        農林省農政局参        事官       安尾  俊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 法制局はお見えでしょうか。——私は法制局お尋ねしておきたいと思いますのが二つございますが、まずその第一は、赤字が年々出ておりまして、今度の特別会計法の一部改正で、約十年、十一年でございましょうか、いままでは単年度で解決してきたものを、今後十一年かかって、あるいは十年かかって穴埋めしようと、こういうことになるようでございますが、特別会計は、私の受け取り方としては、特定財源を使って、特定事業で云々というようなことが書いてございますが、独立採算制というものをやるんだと、初めからこういう赤字ではっきりしてしまって、しかも、その赤字を、足かけと申しますか全部で十一年かかって穴埋めしようということの、財政法上から照らして見て、向こう十一カ年間、あるいは今後来年からは十年間、一般会計支出を拘束するということが、一体いいか悪いかですね。なぜそういうことを申し上げますかと申しますと、継続費にしましても、あるいは国庫債務負担行為にしましても、この前のときは三年であったのを五年に現行法は延ばされております。五年一般会計支出を拘束するということになる。だからこそ、そういうふうに五年という年限がうたってある。しかし、ただし書きというわけじゃございませんけれども、なお特別の場合は除くということも書いてはございますけれども、とにかく一般会計をそう長年にわたって拘束するということは非常によくないことなんだからという趣旨財政法というものは組み立てられ、そして予算というものが編成されておるときに、こういうことが一体いいものか悪いものか、そういう点についてお答え願いたいと思います。
  4. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) いまお尋ねの事柄は、法制局としてお答えすべきことかどうか、私はやや疑わしく感ずるのでございますが、と申しますのは、七年間にわたって一般会計を拘束することがいいか悪いかという問題としてとらえますならば、これはどうも政策の問題のようでございますので、法的立場からお答えすることがはたして妥当かどうかという感を持つわけでございます。  ただ、お尋ねを、もし法的な立場にのみついて申し上げますならば、すでに先生お話しがありましたように、特別会計というのを設置する場合は、財政法の十三条に規定がございまして、これにはおよそ三つの場合が規定されております。それは、特定事業を行なう場合、それから特定の資金を保有する場合、それからもう一つは、特定歳入をもって特定歳出に充てる場合と、こういうふうに規定いたしておりまして、法律的な立場からの限定は、ここにあがっている三つになるわけかと思うわけでございます。したがいまして、この場合の中に、独立採算制を予想している場合がございますことは仰せのとおりかと存じますけれども独立採算制の場合だけに限定しているというふうには受け取れないわけでございまして、要するに、特定の事項に対する歳入歳出関係を明瞭にいたしまして行政効率的運営に資することができれば特別会計を設置すると、こういう趣旨でできているように思うわけでございます。まあ法的見地からお答え申し上げますのはその限度ではないだろうかと思います。  それからもう一つ継続費あるいは国庫債務負担行為が五年に限定されているということの比較がお話しがございました。これは、確かに、御指摘のとおり、五年ということになっておりますけれども、この五年も、はたして何年がいいかということは、当時いろいろと論議されておるわけでございまして、その結果が五年に落ちついたということでございまして、これも、五年というのが、政策一つのめどとして五年に限定されたということでございますので、ここからして法的にただいまお尋ねのような論が直接には出てまいらないのじゃないかと思います。ただ、政策的な問題として、五年がいいか七年がいいか、ことに一般会計を拘束するものであるから、どの程度年限にすべきかということは、これは政策論としてあるかと思います。ただ、そのことは、特別会計というもののあり方から直接に出てくる問題ではあるいはないのではないか。と同時に、法的な問題としてはそれ以上にお答えがむずかしいように思うわけでございます。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ私たちが非常に尊重していかなくちゃならないのは財政法で、しかも予算の単年度主義というのを非常に尊重していかなくちゃならぬというたてまえだと思うのです。あとのことは政策論でこれはどうにもなりませんよということで、あくまでも政策論なんだ、法律論じゃないのだと、こういう話になってくれば、議論がかみ合わなくて全然別のところに行ってしまう。ですけれども、少なくとも姿勢として、われわれがとるべき姿勢というものは、やはり単年度主義というものを尊重していかなくちゃならぬのじゃないか、予算の編成上は。それからもう一つは、特別会計をやる場合には、少なくとも、いろいろなことがございますけれども、その精神は、別なことばで表現すれば独立採算制ということだと思うのです。あくまでも赤字が予定されておるものを初めからつくって、そうしてそれに対して一般会計から入れていくんだというそれ自体というものはおかしいと思う。いや、それはもう法律論じゃないんだ、それは政策論なんだ、わしらは知らぬよと、こうおっしゃるなら、もう議論というものはしようがないわけですが、しかし、好ましいことか、そうではなくて好ましくないかということなら、これはお答えいただけると思います。  そこで、もう一度、くどいようでございますけれども財政法の十四条の二の二項なりあるいは十五条の三項、いわゆる継続費国庫債務負担行為の問題ですが、これは当初は三年であったのを五年に延ばしたわけです。ですから、立法の一番最初のときには、あくまでも予算というものは単年度主義なんだから、いくら長くても三年だよという一つの歯止めがあったと思うのです。それを、どうも、五カ年計画だとかなんとかということばもあるじゃないかというので五年に延ばしてきたと思うのです。今度、これは十一年にわたるわけですね。来年度から申しますならば十年間の一般会計支出というものを、確定と申しますか、先取りしておるわけです。そういうことが、立法精神からいって、いわゆる財政法上のたてまえからいって、それは好ましいことでしょうか、それとも好ましくないことでしょうか。
  6. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) 法律問題じゃないからということで回避したわけではございませんが、実は、法律上の問題に立ち入りますと、われわれのむしろ職務をこえたことになって越権になるのじゃないかという一つの配慮があるわけでございます。  まあそれはともかくといたしまして、予算の単年度主義ということが一つ原則であるということは、これは仰せのとおりかと存じます。したがいまして、それの例外といいますか、それが破られますためには、何らかの特殊なその必要性というものがある場合に限るということまでは申し上げられるかと思います。したがいまして、理由なくしてといいますか、あるいは薄弱な理由でもってそれが破られてまいりますことは、これは単年度主義のたてまえから好ましくないであろうということを一般的に申し上げることはできると思います。ただ、本件の場合がそれではどちらかということになりますと、これはいろいろな事情が考慮されましてただいま、いいますように単年度主義を破るのにやむを得ない場合であるかどうかということが結論づけられなければなりませんので、この事案につきましてそれが好ましいか好ましくないかということは、やはり私の立場としては申し上げにくいことであるというように御了承願いたいわけでございます。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 なかなか法制局としても言いにくいことだと思うのですが、結局、こういうことじゃないかと思うんですよ。単年度主義でやっていきますと、昭和四十七年、四十八年ごろに千八百億返さなくちゃならぬ。だから財政負担が重くなると。だから、延ばして、まあ一千億程度ならよさそうなんだからということでやっておると思うのですね。逆にこれを考えてみますと、これには、ただ繰り延べたって、利子がついてくるわけですね。ですから、繰り延べることによって、財政負担は、国から申しますと、二千億余負担増になると思うのです、利子を考えただけでね。ですから、一千億負担することならいいんだけれども、千八百億は負担ができません、だから伸ばしていくんだという、そういう理屈だろうと思うんですよ。じゃ、一千億なら負担は必ずよろしゅうございますと、千八百億は絶対負担することはできませんということについては、まだ私たちのほうも実は大蔵当局からその事情説明は聞いてはおりません。おりませんけれども、私の判断では、年間八百億の負担増ができないと、だから千八百億じゃ困るんだと、一千億ならいいんだよということについては、大蔵省もなかなか説明が実はできないだろうと思うんですよ。そういう理論と申しますか、そういう数字面で何兆という予算の中で、やりくり算段の話でございますから、私はそうたいした問題じゃないと思っておるんですけれども、しかし、こういう法律案が出ておることでございますから、特別会計等を設けてこういう姿勢でやっていかれると、私は、やがては単年度主義という大原則というものがこわれてしまって、むしばまれてしまって、いつかは骨抜きになりはしないかという点を心配をして法制局意見を求めたんですけれども法制局のほうで、まあこれはやむを得ぬことです、政策論ですよとおっしゃるなら、これ以上の議論はやめたいと思います。  もう一点、お尋ねしておきたい点は、どういう理由でこの過剰米処置されるかということについてお尋ねをしますと、これは食管法の第四条に基づいて過剰米を処理されておるというふうに説明がなされております。これは衆議院速記録等にも出ておりますから、四条ということは間違いがないと思います。四条でやりますと、これを受けて八条ノ二というのがございます。そういう場合に、いまのようなこういう過剰米処置のしかたというものが、四条でやり、そしてそれは八条ノ二でやるということは、少しこう拡大解釈と申しますか、無理な解釈じゃないだろうかというふうに私は思っておるわけですが、どういうふうにお考えでございましょうか。
  8. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) ある意味ではむずかしいお尋ねでございますが、食糧管理法が現在の状態で適用され動いておるということを前提で考えますときには、やはり四条しか根拠規定がないということと、それからもう一つは、四条をそれ自体として読みました場合には、それは必ずしも無理なことではないんじゃないか。と申しますのは、ただいま八条ノ二との関係お話しがございましたが、八条ノ二との関係は、政府が売り渡す相手は、「第八条ノ二第二項ノ販売業者ハ政府指定スル者」とございまして、八条ノ二でやる場合と、それからそれとは別個に政府が指定する者に売り渡す場合とがある規定というふうに理解されるわけでございますので、その限りにおきまして、四条そのものに必然に八条ノ二が伴ってくる形にはできていないわけでございます、いささか形式的な言い方かもしれませんけれども。まあそういう意味におきまして、どうしても四条でいくことが法に反するかと申しますと、それはそう読むことはやはりむずかしいのじゃなかろうか。やはり四条によっても法に違反したということにまではならぬじゃないか。と同時に、先ほど申しましたように、食糧管理法が動いております現在のもとにおきまして、やはり四条によるしか現行規定上は根拠がない——ということがこれを是認する理由にはなりませんけれども、そのもとにおいて考えます場合に、四条に基づきますことは違法とは言いきれないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 食管法は、米がこんなにだぶついてくるというようなことは予想しておらなかったと思うのです。たとえば、それは、買い入れの無制限買い入れですね、そういうことを書いておるわけです。ですから、四条は、あくまでも食糧として買い入れるということだと思うんです。それから売り渡すときも、私は食糧としてということになると思う。四条と九条との関係で言うならば、四条がそういうことを書かれるということは、食糧ということだと思うのです。そうしますと、今度政府が売り渡すのは、えさいわゆる飼料、工業用と、輸出と、この三本になっておるわけですが、そういう中身まで予測されて、九条じゃなくてそれは四条なんだよとおっしゃるなら、その四条で、実体面はいま言ったようにそういうことになるんですが、それを受けて八条で差しつかえございませんでしょうか。
  10. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) 食糧管理法ができました当時の事情から申しまして、この法律がむしろ食糧の不足に対処する趣旨でできました法律でございますので、四条も、この法が予想しておりましたことは、まことにお説のとおり、食糧として買い入れ、また食糧として売るということを予想していたのではなかろうかと存じます。しかしながら、法そのものは、これは幸か不幸かそういう形では規定いたしておりません。と同時に、先ほど来御指摘のように、食糧の余っている現状においても、食糧管理法が動いております限りにおきましては、四条によって売り渡すということが違法ということにはなり得ないと、このように思います。  それからいま御指摘のように、九条などとの関係からいって、売り渡すことも食糧として売り渡すということじゃないかというお話の点につきましても、確かに、法が予想しておりましたことは、法をつくる当時の頭の中にありましたことは、食糧として売るということが頭にあったということは、これは否定できないことかと思いますけれども、基本の事情が変わりました場合に、買うのは食糧を買ったけれども、これを売り渡すのが食糧以外の用途に売り渡されるということは、この法の規定そのものからいって直ちに許されないことだということにはならないように、あながちそれが許されないものだというふうにはならないというふうに考えるわけでございます。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ解釈ですから、あるいは運用ですから、どういうふうにでもへ理屈はついていくじゃないかとおっしゃるなら、それでいいと思います。私も、いやこれは法律違反ですよと、そんな答えは期待はいたしておりません。また、そういうことでもやっていけると、解釈というものはそういうふうに動いていきますよというのが原則だということですから、それでいいと思いますが、私は、いま申しましたように、この法律案全体について、少なくとももう少し法の原則から照らして見ると、二つのそういう疑問点があるということだけ申し上げておきたいと思います。  次に食糧庁長官お尋ねしますが、このあいだから、減反休耕あるいは転作等で非常に負担で自殺された方があるという話をいろいろと承っておりますが、ここに名簿をもらいましたのですが、「毎日新聞」と、それから全日農連合会の調べたもので、七名と、片方で八名で、石橋治さんという方が片方では抜けておるわけですが、どういう原因なんでございましょうか。ちょっと見ますと、組合長であってみたり、理事さんであってみたり、あるいはただ単に農業ということになっているようですし、県で見ますと、北海道が多いように受け取るわけですが、どういう理由なんでしょうか。
  12. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) お手元に御要求によりまして資料を提出いたしてございます。私ども、実は、おのおのの方について、どのような御事情であったかまでまだ十分調査が行き届いておりませんが、御指摘のように、「毎日新聞」並びに農民組合の調べによりますと、七人あるいは八人の当事者数が出ておるということでございまして、私ども、どういう事情にせよ、まことにこれはお気の毒なことだと思っております。一々の事情については、まだ十分調査も行き届いておりませんので、御指摘の点についてはお答えいたしかねるのは申しわけございませんが、私ども受け取り方としては、やはりこういう事実があった、行政を担当する者としても、農家の方々のいろいろな事情やお気持ちについて十分今後調査を進めて、念頭に置いて仕事を進めてまいりたいと、かように考えております。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これが政府のやってきた減反なり休耕なり転作原因で自殺されたということになると、私は、政府責任というものは重大な問題だと思っております。いま長官から承りますと、事情調査をしておりませんよと。全く無責任な話になっておると思うのです。少なくとも、政策が間違っておると申しますか、政策しわがこういうところに寄っていって、その代表と申しますか、責任の地位にある人が、それがために自殺をされたんだということになるなら、重大な問題だと思っておるわけです。長官はそういうことについて責任はお感じになりませんか。お感じにならないから、逆に言えば、その原因調査しておらぬということにもなると思います。責任感じておるんだといったら、調査はなぜやらないのですか、事情を。
  14. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 先ほど申し上げましたように、私ども新聞報道なり農民組合お話は伺っておりますけれども、私どものほうでまだ責任ある調査というところまでまいっておりません。もちろん、これが減反とかあるいは生産調整とか、いろいろ農村に与える諸問題の波及であるとすれば、私どもは、その政策についても——もちろん個々の人のその上にいろいろな御事情もおありと思いますが、政策全般についても、そういうことが直接に結びついておるということであれば、この点はもう少し反省もし、検討もしなければならぬと考えております。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは、亡くなられておるのは四十五年あるいは四十六年、そして新聞は四十六年の四月二十一日発表になっているのですが、一年以上もたっておるのに、少しはその調査をされようとした動きはあるわけですか、全然そういうことはないわけですか。
  16. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 私どものほうで農業団体お話をお伺いをして若干のところについては県の方々お話をお伺いをいたしたこともございますが、必ずしも県のほうでもよく調べておらないというようなこともございましたし、私どものほうで特にこの点を突き進んで調査をするということは十分手が回りかねておったという実情でございます。その点は、私どもも、御指摘のようなこともございますので、今後できるだけ早く調査をいたしたいと思います。私どもとして、御本人がこういうふうな不幸なことになられたということについては、なかなか実際問題として追及をしにくい面もあるのではないか、また、あまり個人のことに立ち入ってもという多少の遠慮もありまして、差し控えておったわけであります。しかし、とにかく農村にこれだけのことが相当数の人があったということは、やはり、いまの政策の余波というものが、大なり小なり個々事情があったにせよ、そういうものの波及があったのではないかという点を私ども心配をいたしております。この点は、そういう意味で、今後早急に調査を進めてまいりたいと思います。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは、長官、政治の姿勢の問題で私は申し上げておるわけです。水俣病なり、あるいはイタイイタイ病なり、公害の問題等も、とかく行政は見捨ててきたと思うんですね。今度の過剰米が出たから何の手があるかといわれたら、なかなか政策というもののきめ手というものはないと思うのです。そこで、減反ということもやむにやまれない措置だというふうに一つ政策としてそういうことがとられてきたことも事実と思うのです。しかし、ただそれだからこれでやったんだよというだけではいかない。少なくとも全日農なりあるいは「毎日新聞」が取り上げたということは、政策しわがこういうところに寄っておりますよという警告の意味で取り上げてきておると思うのです。そういうものに対して、時間がございませんでしたとか、何がどうでしたなんということは、許されることばではございません。言いわけにならぬと思うのです。政策を担当すると申しますか、行政責任にある者は、そういうことが新聞報道に出られるとか、あるいは全日農からあなたのほうにそういう申し入れがあってきたと。だから、いかんではないかと言われたときには、すぐその真相というものを調査して行政しわを寄せないという行政姿勢というものが非常に大切だという点で、こういう問題は大蔵委員会等でやるのではなくて、農林委員会等で十分議論される問題だと思うのですが、私はそういう点で長官意見として申し上げておきますが情けない姿勢だと思うのです。非常に残念だ。非常に残念だということだけ申し上げて、今後調査されて、そうして、もし減反であり休耕であり転作だというような問題であって、そういうしわを何らかの形で少しでもそういう方たちに寄せずに、第二の——私はよくわかりませんが、Aさんがそのために自殺したとするなら、Bさんが続いて出てきたりあるいはCさんが続かないような処置というものをぜひしていただきたい。そういうことが私の趣旨なんです。どうでございましょうか。
  18. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) ただいま先生指摘のとおりでございまして、私どもも、この問題につきまして、なおざりにする気はもちろんございません。また、こういう大ぜいの人を生んだということについては、政策あり方について十分反省もし、両検討もして、御指摘のように、第二、第三の人を出さないように十分善処していきたいと思います。特に農家に対する気持ちというもの——どもも、どうもこのごろ農林省は農家に対する愛情がないとか、いろいろ言われます。その辺につきましても、十分反省をして善処してまいりたいと考えます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四点伺いたいのですが、その第一点は、この過剰米処理につきましては、過剰米処理に関する検討会というんですか、民間の学識経験者の参集を求めた過剰米処理に関する検討会、そこの報告が出されて、それに基づいてこの処理を行なうということになっているようですね。そこで、この過剰米処理に関する検討会の報告書の一部を見たんですけれども、それによると、とにかく過剰米処理について巨額の損失が出ると。四十六年だけで千八百億ですか。それで、全体で六千億ぐらいの損失が見込まれるということになっている。その処理が問題なんですけれどもね。そこで、「巨額の財政負担を要するので、今後は新たな過剰を発生させないようにすることがまず明確にされなければならない。」と。それには、「需給の見通しを再検討するとともに供給過剰をもたらす要因を究明し、それに対応した有効な施策を推進する必要がある。このような政府の基本的な態度が明確にされたうえで、はじめて過剰米の処理が意味をもってくる。」と、そういう報告になっているわけですね。したがって、もしこの政府の基本的態度が明確にされないということになると、過剰米の処理、非常に巨額の六千億にも達するようなこうした財政負担を伴うこの処理が意味がなくなるわけですよ。  そこで、その点について伺いたいのですが、政府の出したこの資料によりますと、「今後における過剰米の発生の防止のための施策」というのが資料として出されている。それで、その施策は、三点に集約されている。一つは米の消費の拡大、第二は米の生産調整、第三は米の買い入れ制限、この三点に集約されているんですね。これを検討してまいりますと、これで、はたして政府の基本的態度が——柱としては明確ですよ。三つの点にしぼったということは明白だけれども、この内容について検討すると、必ずしもこれによって過剰米を生じないという保証があるかどうか非常に疑わしいですね。もっとこれは深く検討する必要があるんじゃないかと思うのです。六千億も財政負担を伴うようなこの処理について、これでだいじょうぶだとわれわれは国会で承認を与えることはできませんよ、こんな程度では。  そこで、質問したいのです、まずこの点について。第一の「米の消費拡大のため、テレビの消費宣伝等を行なう。」と。どういう宣伝をやるんですかね。そこで、米の消費量が減少してきたということが言われていますが、米の消費が減少してきた原因は一体どこにあるのかですね、その点についてもっと突っ込んで検討する必要もありますし、それから米の消費を拡大するについては、栄養の問題とか——従来はわれわれもずいぶんその宣伝に影響されていますが、米食率を落とさなきゃ栄養上よくない、体によくないというんですね。特に、農民なんかは、米ばかり食べておかずを食べないから、寿命が短いとか、脚気になるとかね。これはどういう意図があったか知りませんが、その結果としては、小麦の輸入が非常に増大しましたね。それでパン食に転換したと思うんですよ、あるいは粉食にね。現在でもそういう習慣は相当あると思うんです。一日に三度三度米を食べるとぐあいが悪いとか、やっぱり一回はパンを食べたいとか、あるいはうどんを食べたいとか、あるいはおそばを食べたいとか、そういう食習慣になってきていますね。これを転換させるということは容易ならぬことですよ。テレビで消費宣伝を行なうといったって、ただお米を食べなさい食べなさいと、そんな宣伝をしたって、そんなことでお米の消費がふえるものではありませんね。それから「米飯による学校給食を希望する学校において実施する」というけれども、米食率を高めたら栄養にいいのか悪いのか、これはもっと基本的に検討しなきゃならぬ。それで、もし国民にお米を食べたほうが栄養上いいんだと、あるいは従来米食率を落としたほうがいいいいと宣伝してきたが、そうじゃない、それは間違いだったんだと。アメリカからの余剰農産物を日本で消化するための宣伝だったんだと。そうであったかどうかは、これはまた検討する必要がある。われわれは、一つ政策上の問題があったと思う。あの昭和二十四年のドッジ・ラインのときドッジが来て、アメリカの余剰農産物を日本に援助としてやるということを盛んに言って、これはもうアメリカでは捨てるべきものを日本に援助としてやるんだから、非常に安上がりだと、こういうことを言っておったんですよ。そういう過去の歴史を見ますると、日本の米が余る、ことに消費減退をもたらすような政策がずっととられてきているんですよ。これをくつがえすことはたいへんだと思うんですよ。ですから、ただお米を食べさせるようにその宣伝をするというようなことじゃなくて、もっと科学的に、お米を食べたほうがいいんだとか、あるいはいままでの米食率を低下するということは誤っていたとか、あるいは経済的にはパン食なんかよりはお米が安いんですから、「貧乏人は麦を食え」というのは間違いであって、「貧乏人は米を食え」だったんですよ。現在もそうですがね。だから、「貧乏人は米を食え」ということを宣伝したらいいんですよ。むしろ貧乏人は米を食ったほうがいいんだと。そういうもっと科学的根拠に基づいたそれをやらないで、四十六年度は二億円の金を使って米の消費宣伝をやると。それから学校給食では米の無償交付のために一億三千四百万円を使うというんですね。  まず、この点について伺いたいのです。米の消費拡大について、いままではなぜ消費が減少してきたのか。それで、これを拡大させようというのですから、拡大するためには、もっと医学的に、栄養学的に、はっきりした根拠を示さなきゃならない。もし、お米はあまり食べちゃいけないというなら、学校給食をやるのはおかしいんですよ。やめるべきですよ。そうでしょう。お米をあまり食べちゃいけないというのに、学童にそんなにお米をどんどん食べさしていいんですか。食管の赤字を消すために学童に有害なるお米を食べさしていいのですか、栄養学的に。そういう問題も起きるんですよ。おかしいじゃないですか。ですから、この点については、もっと科学的な根拠を示しながら、ただテレビでお米を食べなさい食べなさいと宣伝して、そんなことじゃだめですよ。いままで米の消費が減ってきた原因について科学的にもっと検討して、そしてもっと栄養学者なり何なりに十分に検討をしてもらって、それでやらなきゃ、私はこんな子供だましみたいなことじゃだめだと思う。まず、この点について伺いたい。
  20. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 過剰米の発生防止対策につきまして資料を差し上げてございますが、私どもは、消費拡大がたまたま(1)に書いてございますが、必ずしもこれだけで過剰米の発生防止に大きな効果があるとは思っておりません。(2)、(3)に含まれることのほうがむしろそういう意味では大きな問題である。ただ、米の消費拡大も一方においてはその施策の一環としてやっていきたいということで書いておるのであります。たまたま一番最初に書いてありましたので御質問が出ましたが、本質的に、もう先生御承知のとおり、所得が向上してまいりますと、栄養の摂取源を穀類に求めるという度合いは非常に少なくなってまいっております。これは、日本だけでなくて、どこの国でも同じでございまして、動物蛋白とかあるいは脂肪等にカロリー源を求めるという食生活の傾向でございます。その減っていく穀類の中で、結局、小麦か米か、パンか飯かということになる、そういうものだろうと思います。そこで、私どもが、従来の消費傾向等から見ますと、米について、過去においても減退をしてきたし、五十二年までの見通しも持っておりますが、現在の生産力千四百万トンに比べて千百万トンぐらいの消費量になるんじゃないかという考えであります。  そこで、小麦との関係でございますが、確かに、食糧が足りない時分にパン食というものが普及をして、学校給食もそれによって行なわれた。この小麦というものが日本人の生活に定着をしてきておるという事実でございます。そこで、私どもとしては、現在の段階では、強制的にパン食を減らして米食に向かわせる、行政的に向かわせるということには、いろいろ物価政策としても問題がございますので、嗜好の転換をはかるというような形を通じて米食の増加をはかってまいりたいと、かように考えております。  ただ、基本的には、先生のおっしゃるように、医学的にもう少し解明をしたらどうか、あるいは栄養学的に解明をしたらどうかという点でございます。栄養学的には、単体としては米のほうがすぐれておるということは、従来も明らかにされておるわけであります。ただ、うまいから食べ過ぎになるとか、あるいは他の動物蛋白、植物蛋白への摂取量を少なくする傾向があるというふうなところからいろいろ指摘をされておるわけでございまして、私は医学のほうのことは詳しくないのでございますけれども、学校給食のお話が出ましたが、学校給食の文部省の関係のほうの審議会でも、米食を摂取するということの合理性は十分認められておるわけでございます。ただ、全体的な総合的な栄養の摂取ということに配慮をしてやらなければいかぬということが指摘をされておるわけであります。  それからテレビでございますが、私ども、もちろん、このテレビのわずか二億円ばかりのものによって、それだけで大きな効果があるというふうに必ずしも考えておるわけではございませんが、この中の米食の普及につきましても、調理法だけでなくて、先ほど御指摘のように、栄養価値に対する再評価という趣旨でいろいろ具体的に主婦の調理という形を通じて話を織り込んでいくとか、あるいは、経済的にも、御指摘のように、現在の段階では米のほうが安いというような趣旨も織り込んでやっておる次第でございます。  学校給食につきましても、もうすでに先ほど申し上げましたような検討の過程を経まして、米食を織り込むということで、審議会の御意見も前からそうでございましたし、具体的な体育局長の通達も最近新しいのが出まして、米食を取り入れていくという方向に変わっておるわけでございます。  何ぶん全体的な穀類消費が減少していく過程でございまして、小麦につきましても三十一年以降は停滞をいたしております。そういう全体的な穀類摂取のワクの中のことでございますので、テレビとかあるいは学校給食だけで一挙に米の消費の増大というものははかられるものではないということは重々承知をいたしておりますが、それにいたしましても、現在はあまりにも小麦に嗜好が片寄り過ぎているのではないか。また、先ほどお話のありましたような一部の医学者の方から言われたようなことがあまりにも国民の耳に入り過ぎているのではないか。せめてそういう点の是正でもという趣旨でテレビ等もやり、さらに、学校給食については、学童のときから必ずしも全面的にパンだということを是正をしていきたい、かような希望から、消費拡大というものをそういう意味で考えておるわけでございます。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ここで私が質問してあなたが答弁するだけで終わってしまったのでは全く意味がないのであって、質問すればそれに対していろいろあなたが答弁しなければならないでしょうけれども、もっと何か知恵がないものですかね。もっと学問的に、栄養学的に、あるいは医学上にも、専門家を委嘱して、そこが私は一番肝心だと思うんですよ。国民が、いままで、あんまりお米に主食に重点に置いていくと体によくない、それで麦のほうに転換したんですけれども、こういうふうな調理をすれば、こういう食べ方をすれば、あるいは玄米食なんというものがありますわね。いろいろあると思うのです。だから、パン食よりはお米のほうがこうやればむしろ栄養価値もあり、費用も安くという、何かそういうくふうをして知恵がありそうなものですよ。もっと科学的に医学的に学問的にそれを裏づけて——公害なんかの問題については、PPMなんという非常に科学的なああいうもので測定してやる時代でしょう。ですから、私は、少しこの点については研究が足りないと思うのです。非常におざなりですよ。おざなりで思いつきにすぎないのじゃないか。これは御答弁は要りません。もっと深く検討していただきませんと、ただ国会の場でこれを答弁をして終わったというのじゃこの問題の基本的な対策になりませんし、また、さっき御答弁をいただいただけでは、これではあたりまえのことをあたりませに言っているだけであって、常識論にすぎない。何かもっと深く検討した対策が必要じゃないかと思うのです。  それから第二の米の生産調整、これは食管制度とも関連があるんですが、先ほど成瀬さんの質問に対してお答えがあったとおり、この食管制度は、米が不足の時代に設けられた制度なんですよね。ところが、今度は過剰の段階に入ったから、根本的にたてまえが違ってきたんですから、根本的に再検討しなければならぬのじゃないんですか、食管制度そのものを。不足の段階において設けられ、不足の段階における需給調整を主として設けられた食管が、今度は過剰の段階に入ってきて、こういう対策では、ほんとうの小手先の、出てきた矛盾についての単なる現象を追っかけて処理をしているミクロ的な対策だけですよ。もっとマクロ的にこの過剰の状態のもとでの今後の食管のあり方——これは非常にたくさんの財政負担をするわけです。六千億も財政負担をするようなこういう過剰米が出てくるような状態のもとで食管でこの欠損を埋める。それから、これだけではなく、また、今度の米価の決定でも、みなうしろ向きでしょう。みんなうしろ向きの負担ばかりふえる。今度も米価を引き上げて、また補正予算かなんか組まなければなりません。あるいは予備費を使うとかなんとか言っていますけれども、みんなうしろ向きなんですよ、この財政措置は。だから、もっと前向きに、財政負担がふえてもいいですよ。ふえても、たとえば米の生産調整、そうして稲作転換にしましても、もっと予算がうんとかかってもいいですよ。それで農民が安心して転換できるような作物は何であり、そしてその作物についての価格の安定もはっきりさして、もっと全体の食糧需給というもののめどをつけて食管の問題も考えるべきじゃないですかもうそろそろそういう段階に来て、不足時代の食管がまだ存続して、またそのままの形でそれから出てきた欠損をしりぬぐいするというようなそういう形の処理のしかたではいけないんです。それでは報告書の趣旨に合わない。報告書は、もっと根本的に需給の見通しを再検討して、そうして供給過剰を今後もたらさないように政府の基本的態度が明確にされなければならぬと、こう言っている。その中には、もっと大きな情勢変化があらわれているんです。もっともっとそれに対応するような食管のあり方、これなんかはもう再検討していいのじゃないかと思うんですけれども、どういう検討のしかたをしているのか、対処のしかたをしているのか、その点を伺いたい。
  22. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 現在の食管制度が不足時代のものであるということは、私、そのとおりだと思います。従来の食管制度というものが、無制限買い入れ、それからいわゆる切符による配給制というものにささえられておりまして、そういう観点から申しましても、これが食糧が足りない時代に発足をしたものであるという点については、全くそのとおりでございます。したがって、いまの時代にこれをどのように考えていくか、さらに根本的に再検討すべきであるという御意見につきましても、私どももまことにごもっともな御趣旨であると思います。ただ、問題は、一つには基本的な米作をどうするかということでございまして、御承知のように、米に対する依存度というものが生産者の側からは非常に高くなってきております。他の農作物に比べて米価による収入のほうがはるかに高いという点がなかなかそれを是正することができない。これに対して非常な抵抗もあるというようなところから、私ども、一昨年来、総合農政ということを打ち出しまして、稲作から他作物への転換の促進ということをいろいろ計画をいたしておるわけであります。本年度予算で申しましても、稲作転換の推進だけに約四百億の金が特別に支出をされておるという実情でございます。ただ、稲作の転換の促進というだけでなく、あるいは他の作物につきましても、なたね、大豆、あるいは畜産物、牛乳等につきましても、それぞれの物資の実情に応じまして価格支持制度もございます。しかしながら、どうもそれだけではなかなか進まないということで、片一方で米を休む人、米をつくらない人にも、生産調整という形で千七百億もの金を出す。そんな中でも、単に休むだけでなくて、他の作物へ転換するという人は、さらにその度合いに応じてその奨励金の単価を高くするというふうな芸のこまかい政策もとる。さらに、これも単年でなくて三年ないし五年にわたって出すという政府としては約束をする、こういう施策をいろいろやっておるわけでございます。さらに、米価というものが他の転換作物に対する有利性を依然としてなかなか縮小できない以上、食管が無制限買い入れということをやっている以上は、どうしてもつくってしまうということから、今年度から買い入れ制限ということも打ち出しておるわけでございます。ただ、御指摘のように、基本的にやはり米作から転換をしていく。現在、御承知のように、日本の自給率ということを計算してみますと、米については一一八%にもなる。しかし、他の作物につきましては、八五だとか九〇だとかいうふうな数字のものが多いという状況でございます。そういう方向への転換をはかるというのは、私ども、五十二年までの生産及び需給調整の見通しはつくっております。さらに、過剰委員会のいろいろ御検討の結果もございまして、米だけにつきましては、この五十二年までの長期需給見通しをさらに地域的に細分をいたしました農業生産の地域分担の指標というのを現在試案をつくって、発表いたしておりますが、この際には、米につきましてはさらに最近の時点の要素を取り入れまして修正をした数字も作成をいたしまして地域分担の指標をつくっておる次第でございます。私どもとしては、そういう長期見通しと、地域分担の指標、これを一つの数量的な目標にいたしまして生産の転換をはかるということが政策の大前提でなければならぬと思います。かりに現行法のもとで無制限買い入れをいたしましても、それは食管が買わないだけであって、買わない以上はやはりどこかのところで流通をするということに相なりますと、国民経済的に余りのあるものがどこかでまた余るということになるわけでございますから、その点の基本的な農政の展開ということが基本的に樹立をされなければならぬ、こういう姿勢を私どもはっきり打ち出しておるわけでございます。  そこで、そういうものと並行いたしまして、食管制度をどういうふうにするかという問題がございます。当面、私どもは、現在の食管法のもとで、なし得る限度においてこれに対応いたしておるつもりでございます。基本的にこの食管制度を法律制度の根本にわたってどのように持っていくか、これは再検討すべき時期であるという点については、おそらくこれは消費者、生産者の方々も大体これはもう一致をした意見でないかと思われます。しかしながら、現在の生産者の立場から見ますと、やはり農政の転換、展開ということが、本来農業というものが長期的な政策を擁しなければなかなか地についていかないというところから、早急に切りかえることにはなかなか政治的反応も強いものがございます。また、消費者の面から見ましても、従来いろいろ味の点とかあるいは配給制度に対する御不満も多々ございますけれども、やはり一定のものが一定の価格で買えたという特に所得の階層によっては一つの安心感というものもあったというところから、私どもとして、これを大きくどのような形に切りかえるかという点については、まだ明確な結論が得られないでいるというのが率直な実情でございます。私どもとしまして、今後食管制度というものが、まあ不足時代に発足したにせよ、数十年にわたって国民生活の中に存在をしてきたということから、いろいろなその制度に関連をして生産をしあるいは消費をしておるという事実がある。こういう事実をいまの実態に合うように持っていくような見きわめをつけた上でやはり再検討の内容というものを明らかにしなければならぬというような意味合いで、やや御指摘の御意向からは慎重にかまえ過ぎておるのかもしれませんが、問題が重大なだけに、慎重に、また、一たん手をつけた以上は、国民的にも納得のいくような線を打ち出したいと思いまして、いろいろ各方面の御意見も聴取をしながら今後慎重に検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いろいろ御答弁をいただきましたが、私は政府の基本的態度を質問しているのでして、特にこの過剰米処理につきましては、その検討会の報告が基本的な態度というものを明確にする必要があるというこれが巨額な財政負担を伴う過剰米処理にあたっての前提条件だということに報告されておりますし、それが事実あるから問題にしているわけですよ。  しかし、私は、むしろ農林当局に同情しているんですよ。同情しているということは、むしろこれは総理大臣にほんとうは質問しなければいけないんですよね。やはり日本の経済の構造的に一つ大きな原因があると思う。たとえばいま重化学工業中心にいわゆる高度成長をやっちゃって、物も金も労働力も重化学工業に重点的に注ぎ込んじゃって、農業とか中小企業とかそっちのほうに対する投資を怠ってきたんでしょう。そういうもとで苦心惨たんをしているわけだ、農林当局は。その基本的な構造を直す努力せずして、依然として重化学工業中心の、物も金も重化学工業のほうにどんどん行くような、それを前提として、農林当局にあれしろこれしろと言ったって、私はそれは気の毒だと思うのです、むしろ。同情しているんですよ。だから、むしろそこを突き破らなきゃいかんと思う。やはり日本全体の資源配分の問題だと思う。だから、もっと徹底的に——さっき長官が言われましたが、四十六年度で稲作転換に四百二億計上しているなんて、こんなものじゃだめですよ、こんな規模でですよ。ですから、もっと農業投資をやって、減反しても採算が合うような稲作にする。そうすると、かなり減反するでしょう。数量を少なくしても、今度は生産性が上がるからね。そうして、今度は、思い切って稲作以外のほうに転換していく。それには、やっぱり農業投資がうんと必要ですよ。それをやらなきゃ、いくら口で言ったって、私は問題は解決しないと思うんですよ。そこに問題がありますからね。こういうことで、ミクロ的なことで農林当局を責めてみたところで、あんまり実のある質問じゃないと思いますからね。しかし、その点は、やはり今後の大きい一番基本だと思いますから、長官もただ食糧庁長官というだけでなく、そういうところについても大いに発言しなければだめだと思うんですよ。われわれいくら努力したって、基本のそこがくずれなければだめですと。重化学工業にばっかりどんどん物、金、労働力を注ぎ込んでいてね。構造的にやはり大きい転換をしていかなければいけないと思うのですがね。それは意見ですけれども……。  それから第三の質問は、もうこれで終わりますが、買い入れ制限の問題ですよね。買い入れ制限をして、五百八十万トンですかね、それ以上つくったものは農協に売って自主流通米でこれを処理しなさい。それは物統令をはずすというのでしょう。物価統制令をはずすと。そのために、消費者米価が実質的に値上がりするんじゃないかということが非常に心配されている。政府は、生産が過剰のもとで値上がりするはずがないはずがないと言っている。はずがないと言うだけで、そこのところをはっきり上がらないと言えるのかどうかですね。今度、お米屋さんは、自主流通米で売ったってかまわないでしょう、配給米を。そうなると、どうしたって上がるんじゃないかと、こう思うのですが、その点はどうなんでしょう。そこのところをひとつ……。
  24. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) いまの御質問に関連しまして、現在、こういう制度になっておるわけでございます。現在、政府の配給米と自主流通米というのがございます。政府の配給米につきましては物統令を適用いたしまして、自主流通米につきましては物統令はすでにはずれておるわけでございます、御存じのとおりでございますが。四十六年度は、政府買い入れ米は五百八十万トン、残りは自主流通米ということで、これはもちろん自由価格ということでございます。  そこで、はずれた後に末端価格が上がるかどうかという問題でございますが、現在でも、自主流通米の価格は、もちろん品質のいいものを農協としても生産者からも政府より高く買って末端でもいいものを売るという主義でございますから、もちろん配給米よりは高い状態でございますが、しかし、経済的には、もう私が申すまでもなく、政府配給米の値段というものに経済的には関連を持ちまして、簡単に言えばまあ足を引っぱられるというようなことで、その間におのずからそこにバランスができて米の末端価格が形成されておるというのが実情でございます。そこで、物統令をはずしますと申しますのは、今後政府の配給米についてだけでございます。当然そうなるわけでございますが、その際に、政府としては、政府の売り渡し価格は今年度はそのままにする。さらに、中間マージンの増高ということも考慮いたしまして、昨年よりも一俵について六十五円だけ割引をして、六十五円だけ安く政府は卸していく方針にいたしておるわけでございます。ただ、御指摘のように、いまのような人件費等の値上がりの時代だから、中間マージンがふえて、配給米のほうも値上がりするんじゃないかという御懸念は、これは当然あり得ると思います。問題は、私どもは、やはり物統令をはずす以上は、これを経済的に押えるような努力をしなきゃいかぬということでいろいろな施策を考えております。  物統令をはずすまでには準備万端を整えたいということで、いろいろ企画庁とも相談いたしておりますが、これは一つには従来のような米の末端への販売方式、こういうものを根本的に変えていくという計画が三年ほど前からございまして、いわゆる大型の精米機を備えつけて一挙に精米をする、これによって精米コストというものが非常に下がる。それから大都会のように、たとえば一つの銘柄米が年間供給力があるというようなものではございません。大都会というものは、やはり全国各地の米が入ってくると、こういうもとで、適正な混米と申しますか、そういうものによって品質も年間なるべく一定限度を維持するような方策を大型の精米でやる。それを小袋詰めにして末端には配給する。こういうふうな流通経費の削減ということを第一に考えておるわけでございます。これは三年来実施しておりますので、大都会におきましてそういう大型精米等の支配率というものは非常に高まってきております。  それから販売業者の問題でございますが、従来企業制限的でございまして、これを根本的に再検討して、新規業者の参入等についても検討をする。特に袋詰めが市場で流通の大半を占めるということになりますと、末端店舗においても必ずしも従来のような精米機を備えた小売り屋でなくても、一般商品に準じたような形でかなり広範な店舗において小売りは行なうことができるという面の改善も考えておるわけでございます。これは競争原理の導入というような企画庁からの強い要請もございまして、そういう点について検討を進めておるわけでございます。  その他、基本的には政府の売却操作ということが大きな問題になろうかと思います。この点で、私どもは、従来よりも特に大都市におきましては弾力的な運営をするようなことを具体的に検討を進めてまいりたいと思っております。  以上のような施策をいろいろ総合的に検討して、そういう形で政府の卸価格等はそのままであるにもかかわらず、中間段階でのマージン的なものによって末端価格が値上がりをすることのないよう、施策を考えていきたいと思っております。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いろいろ質問がありますけれども、大臣に対する松井さんの御質問がおありのようですから、私はこれで一応終わります。
  26. 松井誠

    ○松井誠君 大臣にせっかくおいでをいただいたのでお尋ねをしたいのですが、質問の順序が逆になってしまったので、その前に、大臣にお伺いする前提の問題を事務当局にちょっと一、二点お伺いをしたいと思います。  このあいだいろいろ資料のお願いをしまして、資料をいただきました。そこで、私がやっぱり問題にしたいのは、長期的な需給の関係がどうなるかというその問題にまだまだ疑義があるわけです。将来の供給の見通しでありますけれども、千四百万トン台が定着できるかどうかという問題について一つ長期的な見通しとして必要なのは、やはり規模別の農家の反収というものが長期的にどうなってきているのかというそのことは相当大事な資料になるだろうと思うのです。これからあと、経営規模が拡大をするような形に確実になっていくのであるかどうか、あるいは、そうじゃなくて、現在のような零細規模が続いていって転業という形で切り抜けていくという形になるかどうか、そのどっちにいくかによってずいぶん違うわけでありますし、したがって、経営規模別の反収というものを押えておくということは非常に大事だと思うのですね。ところが、その経営規模別の反収というのは、いただいた資料には、四十一年と四十二年の二つしかない。私はこれはもう少し長期的なものがあればもう少しわかるかと思ったんですが、これしかない。もう一つは、このあいだむずかしいと言われましたけれども、兼業別・専業別の反収、これもこれからあと兼業がどの程度進むか進まないかといういまの木村先生の話じゃありませんけれども、高度成長というものが兼業というものを促進していくとすれば、一体その兼業の反収というものと専業の反収というものとはどういう開きがあるのかないのかということも大事な資料になると思うのですが、これも全然ない。こうなりますと、私は、一番大事なのは、長期見通しの供給の側についての資料の科学的な根拠というものが非常に薄くなるのじゃないか。そういう気がするんです。その四十一年と四十二年しかやらなかったという理由はどういうことなのか。そうして、こういう規模別反収というものの長期見通しにおける重要性というものについては一体どういうようにお考えになっているのか。
  27. 内藤隆

    説明員(内藤隆君) ただいまの先生の御指摘の点についてお答え申し上げますが、実は、規模別の反収につきまして「農業調査」が一般的な根拠がある調査であるというふうに考えられますので、「農業調査」の数字があります年度を採用して先生のところにお出ししたわけでございますが、先生指摘のように、長期的に見まする場合の一つの数字といたしましては、水稲の生産費調査におきまして規模別の反収というのが出ているわけでございますが、生産費調査は、御案内のように、平均的な生産費ないしは規模別の投入の費用、それから労働時間というようなことの組み合わせ、その費用合計というようなものを調査するような設計になっておりますので、規模別の反収というようなことの動向をそれから見るというようなことは若干困難でございます。ただ、最近国会に提出いたしました年次報告におきまして三十九年と四十四年につきまして規模別の反当の収量というものを出してございますが、その傾向というのは、たとえば東北の典型的な水稲の生産地帯の生産費調査農家について調べてみましても、一町から一町五反層というのが三十九年におきましては反収において最低、それが四十四年段階になりますと今度は最高になるというようなことで、どうも反収の信頼性というようなことからいいまして生産費調査の規模別の農家を採用するのは問題があるというような意味でお手元に差し上げなかったわけでございまして、生産費調査のそういう年次別の長期の変動は別にいたしまして、全般的な毎年度の生産費調査の傾向から申しますと、規模別には規模の大きいもののほうが若干反収が多いのではないかというようなことは一応推論されまするけれども、数量的な根拠として先生方のお手元に差し出すには統計的に非常に不備と、こういうふうに考えた次第でございます。  それからなお、専・兼別の反収につきましても、それを目的とした調査がございませんために資料の提出をいたしませんでございましたが、センサスその他の際の付属資料、それから一般的な伝聞というようなことから申しますれば、専業というほうがやはり兼業農家より平均的には反収が高い傾向にある、そういうふうに私ども存じている次第でございます。
  28. 松井誠

    ○松井誠君 まだ実は二、三お伺いをしてから大臣にお伺いしたいと思っておりましたけれども、時間があまりないようでありますから、大臣にお伺いをしたいと思います。  私、この前にも申し上げましたんですけれども、四十二年から千四百万トン台というものになった。これが一体定着をするのかどうかということ。それから消費の面について、これは一人当たりの消費量というものは減少していくだろうということは常識的にはわかるわけでありますけれども、しかし、それの問題でさえも、必ずしもそうでもないという見解もあるわけです。そういう意味で、私も、需要の面も供給の面も農林省が立てておる長期見通しというものの科学的な根拠というものが一体あるのかどうかということを再検討をする必要がある、こういう意味でいろいろ実は質問を申し上げ、資料もいただいたわけです。これからあと農地というものはだんだん少なくとも減少していくことになるわけでありましょうから、したがって、これからあと反収が一体どうなるかというそこの問題に長期見通しとしては相当大きな比重を置くべきではないか。いままで農林省は長期見通しをやりまして、これは経済の成長率ほどじゃないにしても大体狂うのが原則みたいなことでありまして、私はなぜ狂ってきたのかというその理由がいまいろいろ議論をしておってわかったような気がする。それは、必ずしも見通しが科学的じゃなかったということに原因があるのじゃないかと思う。たとえば、これからあと反収が必ずしもふえていかないだろうと思われる根拠というものはいろいろある。これは私のまあ素人なりの一つの思いつきかもしれませんけれども、いま言いましたように、規模別の農家の反収というものを比べてみますと、やはり趨勢としては大規模の農家のほうが反収が多い。反収のふえる伸び率そのものは、小規模の農家でも、あるいは大規模の農家でも、ほとんど違っていない。しかし、もともとの反収が違うところから出発をしておりますから、伸び率は同じでも、だんだん反収の具体的な量は差が開いてくる。将来、小規模な農家が何かの形で大規模な農家というものになるということであれば、それなりの収量の見通しというものはできるでしょう。ところが、そうじゃなくて、小規模は小規模なりに零細経営という形が残ったままで兼業とかいろいろな形でしのいでいくとすれば、やっぱりそういう収量というものが基本に相当ならざるを得ないでしょう。ところが、そういう具体的な資料というものはほとんどないわけですね。われわれ常識的に考えて、いままで農家戸数の減少のしかたというものは非常に少ない。農業人口は減ってきますけれども農業の戸数というものの減り方は少ないといういままでの常識的な経験から言うと、経営規模そのものあるいは農家戸数そのものはそう大きく減らないんじゃないか、経営規模そのものは必ずしも拡大をしないんじゃないかということになると、ますますこれからあと兼業というものが多くなる、だんだん荒らしづくりというような形になっていくということになると、そういう面から反収がいままでどおりの一本調子で伸びるということについて相当の疑問があるんじゃないかというのが一点です。  もう一つは、機械化がだんだん進んでいく。いただいた資料によりますと、動力耕うん機というのは、まだ壁にはぶち当たってはおらないにしても、伸び率は低くなってきております。だんだん機械が中型化、大型化になっていく。そうなりますと、いわゆる労働集約的な農業から、粗放農業といいますか、そういうものになっていくとすれば、大型の機械になれば反収というものは減ってくるというのは私は常識だと思う。しかし、これはあとでまたもう少し事務当局に聞きたいのですが、必ずしもそういう資料もなさそうなんですね。しかし、そういう面でもやっぱりもう一つは反収が減るのではないかという、あるいは少なくとも頭打ちになるのじゃないかという疑問を持っております。それが二つ目ですね。  それからもう一つは、これは例のうまい米づくり運動というものが全国的に普及をした場合に、一体反収がどうなるか。これはこのあいだの農林省の説明では、実際はたいした違いはないんだと考えておる、こういうことです。われわれの普通いわれている常識から言うと、いわゆるうまい米というのは、大量にとれる米に比べて一割くらい違うというのが常識だと言われておる。しかし、違いはないだろうという根拠の具体的な科学的な根拠というものはなんにもないわけですね。そのうまい米づくり運動というものが進んでいった場合に、一体反収がどうなるかという問題が一つある。  もう一つは、これはこれからお伺いをしなければならぬのですけれども、いわゆる公害の問題にからんで、農薬の使用というものを差し控えてくる傾向はないのか。佐賀県でわらにBHCが入っておる、それが乳牛の体を通して牛乳にBHCが入ってくる、そういうことでBHCの使用そのものを相当控えるという状況になっている。佐賀県という生産力の非常に高いところがそういう形になってくるとすると、BHCの問題はずいぶんいまいろいろいわれておりますから、そういう問題で農薬の使用を控えてきたときに、一体反収がどうなるかという問題がもう一つあります。  こういう問題を考えてきたときに、四十三年に出した農林省の「長期見通し」の供給のほうですね、これが一体自信が持てるのかどうか。そこで、大きく農業政策を転換をしなきゃならぬというそれだけの科学的な根拠としてあり得るのかどうかという疑問を私はこのあいだ提出をしたわけです。それをまとめて言えばそういうことなんですけれども、まずその点からお伺いをしたいと思います。
  29. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもがふだん考えておりますむずかしい問題をたくさん御指摘いただいたわけでありますが、農業基本法が制定されまして十年でございますが、私ども、この十年を顧みまして、基本法が指向いたしておりまする自立経営農家の確立ということにつきまして、これは私どもが理想といたしたほど成果があがっておらないということは事実でございます。私ども、当時国会で農業基本法制定に当たりました一人といたしましてつくづく考えてみますというと、当時から日本経済が高度に成長はいたしてまいる足取りでありましたけれども、地価の高騰がこういうふうに激しくなるということは、ほかの方はどうでありますか、私などは実はあんまり予想しておりませんでした。いま、総合農政を実施してまいりますために、規模拡大を言っておりますけれども、地方都市周辺におきましては地価の関係等で規模拡大がなかなか困難であるということは、いなむことはできない事実でございます。私どもは、しかしながら、わが国の農業が競争力を持ったしっかりした体質の農業に育成していく、そういうものが中核になって日本の農業を維持していくということが必要なことであると、こういう考え方で一応規模拡大を目ざして、総合農政の推進をいたしておるわけでありますが、その農政と取り組みつつ、米のお話を考えてみますというと、ただいまの反収でございますが、これはもうすでに事務当局からお話を申し上げたかと存じますが、最近までの傾向は、逐年、やはり反当収量は増加いたしてきております。これがどこまでまいりますか、農林省の技術会議、附属のそれぞれの機関等においては専門家がいろいろ研究はいたしておりますが、まだ収量がふえていく傾向であることはそういうところの報告でも示しておるところでありますが、そこで、いまお話しのございましたうまい米、これは地方の農業の古老のお話を聞いてみますというと、やはりうまい米というのは収量が少ないということをずっとわれわれは教えられておるわけであります。銘柄米など特にそういうふうに言われますけれども、技術者の調査を依頼いたしますと、必ずしもこの説を肯定いたしておりません。その辺について、私どもとしては、まだ研究を掘り下げてやっていかなければならないのではないかと思っておるわけでありますが、お話のございました農薬につきましては、BHCであるとかDDTというふうなものの使用を禁止してしまいました。したがって、そのほかの農薬でもかなりいろいろな規制を加えておるわけでありますが、そういうことによって反収がどの程度影響を受けるかということは、禁止いたしましてこれからの実験でございますので、十分にまだわかっておりませんけれども、これも一応反収には影響のあるものである、このように私どもは素人なりに考えておるわけでありますが、総じて、生産性というものはやはり少しずつ上がってきておりますので、この傾向でまいりますならば、五十二年の長期見通しにつきまして、一応農林省としてはいろいろのデータを積み重ねて需要供給の観測をいたしておるわけでありますが、なお、お話のございましたような点については、この上とも十分検討してまいりたいと、こう思っております。
  30. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、姿勢と申しますか、そういうことでお尋ねしておきたいと思うんですが、けさ食糧庁長官お尋ねしたわけですけれども、「毎日新聞」なりあるいは全日農が、農政のしわ寄せによって自殺した人があると。「毎日新聞」は七名、全日農は八名と報告しておりますが、全く、その政策の犠牲になられて、それが原因で自殺されたというなら、たいへんな問題だと実は思っておったんですが、そういうことに対して事情調査してない。それは、理由は、あまり個々の問題について何だというようなことに立ち入るということはいかがというようなことで実はやっておらないという話でございましたのですが、政治が一つでも間違ったことによって自殺者を出したというようなことは、実は重大な問題だと思っております。大臣は、こういう問題について、どうお考えになっておるのか。いわゆる政治姿勢の問題について、非常におかしいと思いますから、その点を申し上げて、あとでそれに対する御意見を聞きたいと思います。  それから大蔵大臣にお尋ねしたい点は、米が余ってきたと、だから今度食管会計を四千億埋めますよと、こうおっしゃる。それは国民一人当たり平均四千円のお金を使うことになるわけです。消費者米価は据え置かれたかもしれぬけれども、実質的には国民がそれを負担しておるわけです。何か、こういうことになると、すぐ金で勝負しようじゃないかと。今度、ニシンの問題について四十六億とかなんかというまで金を出そうとしております。それから繊維がいかなかったからというので六百十億金を出そうじゃないかと。考えてみれば、政府が出すのじゃなくて、国民全体が負担をしておるわけですね。私は、ニシンの問題なんかで言えば、一つの外交折衝の問題であり、いろんな問題だと思う。繊維の問題につきましても、いわゆる貿易の自由化等、その他そういう一つの国内政策しわが逆にそういうところにはね返ってきていると思う。ですから、そういうふうに国のいろんなお金というものを、何かこう金を出しさえすればそれで金で解決していくんだというのじゃなくて、もう少し政策の面で事前にそういうようなことがやっていけないものであろうか。総合農政が出てから十年だとおっしゃる。過剰米が出てきた。どうにもしようがない。これで見ると、テレビまで今度広告してやるなんという全くふざけたやり方のところにお金を使っていくわけですね。こういう姿勢というものがいかぬじゃないか。大蔵大臣、もうこういうところには、もう少し金の効果的なと申しますか、うしろ向きの金をあんまり出さずに、前向きのほうに金を出すという姿勢というものが非常に必要じゃないかというふうに感じております。何かおっかけもっさで行って、そして金でしりをぬぐってくる。大臣は気持ちがいいかもしれぬ、これはおれが金出したんだと。考えてみれば、負担は国民なんですから、たまったものじゃないと思うのですね。政治の姿勢と申しますか、そういうことについてどういうふうにお考えになっているか、この二つをお尋ねします。
  31. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私は財政金融を担当しておりますが、これは私なり大蔵省がその金を自由にしているんだという考え方はもう全然持っておりません。これは国民の大事なお金をお預かりしているのだ、そういう気持ちで財政金融の運営に当たっておるのであります。最近、うしろ向きの対策のために金が要る。私はこれは非常に残念なんです。残念なんですが、さてしからば、たとえば繊維の問題、これをほっておいていいものだろうか、ニシンの問題はほっておいてそれで済むものであろうかというと、これは外交の問題、いろいろあります。ありますが、それはそれなりに手を尽くすんですよ。尽くしても、なお事態は解決されない。中小企業者のこと、中小漁民のこと、こういうことを考えますと、何らかの措置が必要になってくる。そういうようなことでうしろ向きの金も出さざるを得ない、こういうふうになるわけでございますが、しかし、私は、この出すお金というのは、国民からお預かりしておる金である、そういう意識は十分に持っており、その出す場合の内容等につきましては厳重に検討いたしております。私は、そういうようなお金であれば、出してくださる、預けてくださる、国民の御理解も得られるのじゃあるまいかと、そういうふうに考えながら運営に当たっております。御指摘の点は、全く同じような気持ちでやっておるということをはっきり申し上げさしていただきます。
  32. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまお話しのございました農業者の中に自殺者が出たというお話し、これは農業団体お話しのときにもありましたし、新聞の記事でも拝見いたしておるわけでありますが、どういう事情でございましたか、詳しくはその事情をよく存じませんが、ただいま、私どもは、著しい勢いで変化して、その変化に対処してまいらなければならない農政を推進しているわけでありますが、そこで、長年の間米をつくっておられた方が、米の生産調整をやって、さてどういう方向に行くべきであるかというようなことについて御不安を持たせないように最大の努力をいたしておるわけでありますが、そういうことについて御心配をおかけいたすことのないようになお大いに行政について十分注意しながら、また、団体、地方自治体等を通じて農政の将来に御不安を持っていただくことのないように最大の努力をいたすように指導してまいっておるわけであります。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 農林大臣、その事情調査をしていないというところに私は非常に問題があると思うんですよ。新聞であれだけ出て、あるいは全日農が言ったときに、どうなんだという事情調査をすべきじゃないか。それが行政責任者だというふうに言いたいわけです。その調査をしないところに農林省の今日の間違っだ姿勢があるんじゃないかということを指摘したいわけです。  それから次に申し上げたい点は、けさ、新聞に、対中国との関係で契約栽培の問題が出ておりましたですね、高級野菜等の問題で。私は、前向きで農政に取り組むというなら、少なくとも、国内で、転作なりあるいは休耕等、いろいろな問題が出ている。片方では野菜だけでございますね。ですから、契約栽培等の問題についてもっと力を注いでいくべきじゃないだろうかという意見を持っておりますが、いかがでしょうか。
  34. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 外地との契約栽培等、これはいろいろお話しもございますが、たとえば、私どものほうでは、現在、濃厚飼料の原料でありますトウモロコシ、マイロ等は、アメリカ等からかなり買っておりますので、こういうものについていわゆる開発輸入というふうなことがもっとコストの安い地域で行なわれるという——たとえば東南アジアなどにそういう計画もあるようでありますが、そういうことについては、私どもにとりましてもたいへんけっこうなことだと思いますが、わが国で農業を推進していくために、農業を維持してまいりますために、ぜひつくっていかなければならないようなものについて、たとえば東南アジアでは安い米ができますけれども、米をそういうことをやらせるわけにいきません。したがって、総合農政で私どもが農政推進のために必要な作目等についてはそういうことについては考えないほうがいいのではないか、このようなことで対処いたしておるわけであります。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと、大臣、趣旨が違っている。中国との間に高級野菜で契約栽培をやろうじゃないかというようなことが出ておって、何か訪中使節団を十名から二十名ぐらい編成して六月にそれが出発するんじゃないかというような話があるんですから、とするなら、国内でいま野菜だけが困っておるわけですね。ですから、消費地との間において契約栽培というようなことを、せっかく農業指導員等もおって指定地生産等もやられるわけですし、品目も少しふえておるようで、十一品目ですかふえてなっておるようですから、そういうところにもう少しお金を出して、そういうことにうんと力を注がれるようなことをやられる。いわゆる生産から流通まで一貫されたことについてもう少しお金を出したらどうだ。たとえば、いま四十億前後ぐらいですね、今年度は。そういうのにもっと予算を使い、そうして、たとえば東京都なり大阪なり名古屋等の大きな都市がほんとうに野菜というものが契約栽培され、計画輸送され、いろいろなことになってくるなら、もっと安くて、しかも農家で言うなら収入が保障をされてくる。いわゆる農家の庭先で五十円の大根が、家庭で買ったときには二百五十円したなんという、そんなばかげたことのないようになると思うのですから、そういう契約栽培の方途をうんと検討され、力を注がれるのが妥当ではないかというふうに考えますが、どうでしょうと、こういうことです。
  36. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘のありました国内における契約栽培方式につきましては、最近各方面で検討され、また、研究されつつありますが、問題は、われわれといたしましては、現在の既存の産地と既存の商業ルートに対する一つの刺激的な効果があるのではなかろうかというふうに思っております。また、産地直結の一つあり方としてただいま御指摘の契約栽培がございますが、各都道府県あるいは地方自治体におきまして、現在、産地の選定あるいは契約品目についていろいろ検討されておりまして、われわれのほうにも御相談がありますが、問題は、そのできましたときの価格いわゆる取引価格をどうきめるかというような点につきまして、また、販売方法をどういうふうに進めるのだ、やはり既存の小売りルートに流していくというようなこと等につきましてもいろいろ問題が残っておりますので、われわれといたしましては、検討しながら前向きで対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それでは、五十二分までだそうですから、時間がないから、大臣になるかあなたになるかわかりませんが、いま、過去五年ですか六年ですか、それの平均の八割ですか七割しか補償はできないことになっていますね、生産者農家が農協を通してやったときに中央卸売市場で。こんなばかげた価格補償はないんですね。過去五年なり六年の平均の七掛けなり八掛けでしょう、いま補償するということがきめられておるのが。これを、それじゃ、なしにするという考え方はございますか。
  38. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいまの価格補てんの立て方の一つに、過去七年間の市場価格を前提にいたしておりますが、その価格は単に過去七年間のものを直ちにいただくのではなくて、それぞれ毎月ごとの物価修正をいたしまして平均市場価格を計算しております。その平均市場価格と補てんすべき価格基準は、平均市場価格の四分の三——約七五%でございますが、四分の三といたしまして、それが補てんすべき基準価格ということで物価修正をいたしておりますので、過去七年といいますけれども、相当価格そのものの補正は行なわれておるのでなかろうかと思いますが、いろいろ各方面から現在の野菜価格のあり方について御意見なり御批判がございますので、われわれといたしましては、農林省でいま鋭意検討いたしまして、次の機会にはできるだけその点につきましては農家が農家生産のほうで安心して野菜生産と取り組めるような価格基準にいたしたい、こういうふうに思って検討いたしております。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、たとえば自治体が、東京なら東京都が、ある農協との間に自主的に契約しますね。そのときに、いま言ったようなあなたのほうの価格が一番問題なんですから、そこで、価格補償の問題について、いまの取りきめのある七年間の価格修正をした七五%というのを無視してもいいですか、それは。自由裁量にまかされますかどうですか、そういう用意がございますか。
  40. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) われわれのほうといたしましては、政府が指定産地制度を設けまして、また、価格補てんの対象になっております野菜の種類につきまして、いわゆる中央卸売市場に出荷いたしました野菜で価格水準を割ったものについて野菜生産出荷安定資金協会から価格補てんの財源を支出することになっておりまして、そういうルートのものにつきまして一つの価格補てんの義務支出をわれわれとしては受けなければならないと思っておりますが、いわゆる地方自治体あるいはその他の団体が自主的におやりになります契約栽培につきましては、そのあり方にもよりますが、われわれといたしましては、ある程度自由裁量におまかせ申し上げたい、こういうふうに思っております。ただ、自治体等から御相談があれば、その取りきめるべき価格水準等については、われわれの持ち合わせております資料等を参考にいろいろ御意見は申し上げたい、こういうふうに思っております。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 要は、私は、契約栽培されて、それが中央市場を通って、市場法でいろんなことがあるんですね。ありますが、その中でいま言ったように価格補償が一番問題なんですよね。農民のほうで言えば、契約栽培がしたいわけなんです。ただ、しかし、売ったときにどうなるんだと。そこで、地方自治体のほうとして、いや去年の相場できめますよ、あるいは去年の相場に物価の値上がり等があるから二%上のせしましょうということをきめたって、それはあなたのほうでは文句は言いませんねと、こういうことを聞きたいわけです。
  42. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいまの答弁が少し長々なりましたけれども、それは自由におまかせいたしたい、こういうふうに思っております。
  43. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 農林大臣に伺いたいんですが、先日も農林省のほうから御答弁をいただいてわかったのでありますが、戦前戦後を通じてまいりまして、今回のように過剰米が非常にあふれてきて、約六百六十万トンというものを処理しなきゃならない、こういうようになってきておりますが、その過剰米が出てきた一つの大きな理由が、一人当たりの年間消費量というのが非常に少なくなってきている。戦前の昭和九年から十三年が総体的穀物で百五十七・七キロ、そのときにはお米は百三十五キロで、小麦が八・六キロである。そのほかに、大麦、裸というものが十一キロ入っておりますが、それがだんだん減少してきて、現在、このあいだの答弁では、昭和四十四年が、お米が一人当たり年間消費量が九五・三キロ、それに比べて小麦が三十一・三キロというように非常に大きいわけです。一方で、はっきり申し上げて、主食の自給ということは、当然これは大きな農政の目標になっておる。それでありながら、小麦が増加をし過ぎているのではないか。これがほとんどが輸入ということであります。そうすると、農政全体の行き方としても、食糧自給ということを考えれば、米の消費というものをもっとふやす方法を考えるのがほんとうではないか。そういうような主食全体に対しての指導というものがどこか抜けたのがこんなふうに過剰米があふれてくるという一つの大きな原因になったんじゃないか。総体的に穀物全体でも減ってきておりますけれども、しかし、小麦だけは逆にふえてきている。そうすると、米はやはり急激に減ってきている。こういう点を考えると、私は食糧の自給体制という一つの問題と小麦の問題とが大きく矛盾をしているように感じてならないわけですが、そういう点、これは当然農林大臣としても考えていられることだと思います。パン食がふえたから、粉食がふえたからということだけではこれは済まない問題じゃないか。そうして、非常に高い価格で買い上げたお米を、トン二万三千円程度で処分していくということになると、どう考えても私どもは納得ができないわけでありますが、その点をまず一つ伺いたい。  もう一つ、農林大臣に伺っておきたいのは、資料として私もいわゆる「外食用の米飯の金額についての資料」というのを要求いたしまして、いただきました。その参考のところを見ると、米飯の価格が大体百三十グラムから百四十グラム前後一杯で五十円から六十円というふうになっております。ところが、これがそのコストのほうは大体二十二円から二十六円という資料をいただいているわけでありますが、そうすると、倍以上の価格で売られている。こういうところにも私はもうちょっと考えるべきものがあるのではないかということを考えるわけでありますが、その点、二点について伺いたいと思います。
  44. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話しのございましたように、わが国の国民一人当たりの穀類の摂取量は年々減少してきておりまして、最近五カ年ぐらいでは、ほぼ年率二ないし三%程度恒常的に減少を来たしております。これをいまのお話しの品目にしてみますと、米、大・裸麦等、こういうものが年々減少しております。小麦は、パンでございますが、これは最近は横ばいになっております。そして、政府は、行政的には、まあいまもお話がございましたように、長い間いろいろな学校給食等で教育された方々の食事に対する嗜好の変化もございましょうが、定着してきておりますが、私どもは、行政的には、米をできるだけ食べていただくようにし、そして小麦の輸入をできるだけ節約するという方向で指導いたしておるわけであります。いま申し上げましたように、急にこれを取りかえるというわけにもまいりませんが、逐次そういう方向でやっておるわけであります。  それから飯屋等で出しますどんぶり等の値段のお話がございましたが、外食での米飯は原料米の倍の値段というのがどうも普通のようでありまして、これはいろいろ加工費その他のものが加算されておるのだろうと思いますが、炊事その他のいろいろな労務賃等が加算されて、およそそういういままでも大体倍ぐらいになっておるのではないか、このように観測しているわけであります。
  45. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いままでも大体そういうふうに倍になっているのではなかったかということでありますが、この点はよく調査もしていただいて、そういうことが、たとえば米価のちょっとした動きでもって、本来ならば二円上がるべきところが十円も上がるというようなことがいままでもあったわけなんですから、そういうところをやはり押えておいていただきたいと思いますし、また、その指導はがっちりやっていただきたい。  それからいわゆる農政においての自給体制の問題でありますけれども、いまの話では、小麦がいまは消費量も横ばいである。これはまあ御安心をしているのじゃないだろうとは思いますけれども、自給ということから考えたら、小麦というのをどんどん減らしていくとか、米の消費量をふやすという、これが基本方針として確定をしていただかないとまずいのじゃないかと思います。いまの話ですと、そういう指導はしているけれどもということでありますけれども、私は、食糧の自給ということだけをほんとうに考えていらっしゃるならば、余ったから減反もしよう、また、余った分の過剰米は何でもいいから食糧以外のことで処理をしようという、そういう考え方にいま追い詰められてきたのはしかたがないかもしれませんが、そういう考え方じゃなくて、小麦の輸入ということになればカナダとかアメリカとのからみもあるということはわかりますけれども、これを強力に指導し抜いていくというそういう方針をとるべきじゃないかと思うのでありますが、そういう点をお伺いしたいと思います。
  46. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私ども、ただいま生産調整をやりまして、それをどのような方向に転換させるかということにつきまして一応計画を立っておるわけでありますが、ただいまお話しのございました麦につきましては、だんだんとコストが高くなって、しかも使用量がうんと多いということになってきておるものですから、外麦がいままでのように入ってきておりまして、それをいま行政的に食いとめようといたしておる、そういうお話を申し上げたわけなんですが、これからさらに、毎年の米価審議会等でも麦作対策についてこのようにすべきであるというふうな御意見も出ておりまして、私どもといたしましては、稲作転換作目の一つとしては小麦等にも生産に力を入れてまいると、こういう方向で、国内でまかなう量をできるだけ増加いたすことにつとめてまいるという方針であります。
  47. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ここで大蔵大臣に一つ伺っておきたいのですが、四十六年度予算編成、その基本方針の中に、米の生産者意欲を刺激しないために、生産者米価の水準は据え置くという方針があったと思います。そういうようなことがあったと思いましたが、その国会がまだ開かれている最中に、今回のように、基本米価が約三%、そのほかのつかみ金、いろいろありまして、四百六十五億円というものがふくれ上がってまいりました。この調子で行きますと、本年度予算がつい最近きまったばかりでありますけれども、再び補正を組まねばならないというふうになってくるのではないか。こういう点、最初の基本方針をどうして無視しなきゃならなくなっちゃったかという点が私ども非常に疑問なんですね。その点を明快なる御答弁をいただきたいと思います。
  48. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お話しのように、政府は、四十六年度予算編成にあたりましては、米の生産者米価、消費者米価、これは据え置くと、こういう方針を出したわけです。ところが、昨年四十五年度において二百三十八億円という奨励金を出した。これについて、ことしもそういう方式をとるのかというような議論があったわけです。私は、この方式はまあいろいろ議論があるところだろうと。米価ではないと、こういうふうに説明がされておりますが、受け取る農民のほうからいえば、米価として受け取るわけです。そういうような意味で、二百三十八億円は、ああいう方式はまやかしじゃないかというような批判があったわけです。私は、そういう御批判はごもっともだとも思ったのでありますが、同時に、ただいま申し上げましたような米価水準据え置きということを言いだした。それをどういうふうに調整するか、非常に苦慮したわけでございますが、結局、これは実態論に立つことが妥当である。農民の要請、また、社会的なこの二百三十八億円の奨励金の受け取り方、そういうものを考えまするときに、これは米価の中に組み入れても米価水準の維持というふうに言えるのではあるまいかと、こういうふうに考えまして、そういうふん切り方をいたしたわけであります。いろいろ見方はあろうと思いますが、私どもとしては、米価水準は維持する。しかし、いろいろ御議論のあろうことはとくと承知いたしております。かように御了承願います。
  49. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 だいぶ苦しい御答弁のようだったので、この辺でやめておきますが、最後に一つだけ。今度のこの法律案の問題ですが、これは今後過剰米が出ないということが大きな前提でなければならないと思うのでありますけれども、その場合、逆に昭和四十五年度のように過剰米が出た場合には一体どうするのかという議論一つ残ってくるわけですね。その点はいかがでございましょうか、その点を詰めておきたいと思います。
  50. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは、過剰米は今後出ないという前提であらゆる施策を考えておるわけであります。ただいま申し上げました米価の問題、これなんかも、そういうことを配慮しながらとった措置、こういうふうにも御理解願いたいのでありますが、いまここに農林大臣もおられますが、生産調整を行なう、その結果、過剰米は出しませんと、こういうことを申しておるわけでありまして、過剰米は全然前提として考えておらぬ措置である、さように御了解願います。
  51. 渡辺武

    ○渡辺武君 ほんの二、三点だけ農林大臣に伺いたいと思います。  先日、十四日の衆議院の農林水産委員会の御答弁の中で、農林大臣は、グレープフルーツの輸入の自由化にとって、温州ミカンの輸入解禁州の拡大は絶対的な条件ではないと、輸入解禁州の拡大の問題とは切り離して早期の自由化があり得るんだというふうにとれるような答弁をなさったわけです。どうも一年半ばかり前にやった日米共同記者会見で使われた英語の解釈がいまごろになってちょっと解釈が違っておったんだというようなことも言われているわけでして、これはミカンをつくっている農民にとってはたいへんな問題じゃないだろうかというふうに思うのです。  そこで、伺いたいのですが、グレープフルーツの自由化、これは温州ミカンの輸入解禁州拡大と切り離して行なう意図がおありなのかどうか、これをまず伺いたいと思います。
  52. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私、衆議院委員会で、ただいま渡辺さんがおっしゃいましたようなお答えはいたしておらないつもりでありますし、それから一年半前にやりました日米協議会の英語の解釈等についても、別段解説いたしたことはございません。  それで、私が終始一貫して申し上げておりますのは、わが国の現在のような経済事情のもとにおいては、やはりできるだけ自由化というものは促進することのほうが利益であると、こう考えております。したがって、農林省関係の物資でもできるだけ自由化することが好ましい。ただし、ただいま総合農政等で転換作目等を選んでおる、そういうことに特段の力を入れようとしておるわけでありますので、そういうような関係にありますものにつきましては、やはり近代化等を促進いたしまして、それで国際競争力を持たせるように全力をあげて育成していく。それで、なおかつまだ間に合わないようなときには、弾力的に関税政策等を講じていくつもりである。これが大きなたてまえでございます。  そこで、グレープフルーツにつきましては、これは本年の末に自由化するということになっておったのでありますが、政府はだんだんと——これはグレープフルーツばかりじゃありません、二十品目、その二十品目を逐次繰り上げまして、四月末に自由化する品目の中の二十品目に入っていたわけです。ところが、一方におきまして、やはりいろいろ生産者の御希望もあり、それから前任者の御努力のことばども残っておりますので、私といたしましては、できるだけアメリカの温州ミカンの輸入解禁州をふやしてもらうように最大の努力をしていくんだと。しかし、これがなければどうであるとかこうであるとかということとは別個に考えて、できるだけ温州ミカンの輸入解禁州をふやすように努力を続けてまいるのだと、こういうたてまえでありますと、こういうふうにお答えいたしたわけであります。
  53. 渡辺武

    ○渡辺武君 従来の農林省が国会で答弁され、あるいはまた新聞などに発表された立場というのは、アメリカの輸入解禁州の拡大がグレープフルーツの自由化の条件なんだというのが一貫した立場だったと思うのですね。それが、どうも、いまの御答弁でもわかりますけれども、条件ではなくなったような感じがするわけですが、つまり、アメリカが輸入解禁州の拡大をしない場合でも、グレープフルーツの自由化というのはやられる可能性があるんじゃないだろうか、そういうお気持ちがあるんじゃないだろうか、そのことを重ねて伺いたいと思います。
  54. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) アメリカ側と当方で協議をいたしました当時の記録であるとかメモであるとかというものをいろいろ聞いてみたのでございますが、どうもその辺ははっきりいたしておりませんけれども、わがほうの希望としてはできるだけ解禁州をふやすようにしたいと、こういうことで、ついせんだっても、ここにおります園芸局長をアメリカに派遣し、先方の農務省ともずいぶん懇談をいたし、なお継続してこれに前向きに取り組もうと、こういうようなお話が継続されておるわけでありますので、われわれは続けて努力をいたしておるわけであります。そこで、四月末にやると言っておりましたのを、やはりなお検討を要するということで、政府が一たん決定をいたしております四月のを、全部しばらくこれからの検討をさらに続けてまいる、努力を続けてまいるということで、いまだに実行いたさない。なおわれわれの希望がかなえられるようにいま努力を続けておると、こういう最中でございます。
  55. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、アメリカの輸入解禁州の拡大というのは、日本政府の希望であり努力目標だと、それで四十四年に行なわれた日米協議の場合の確認事項じゃないというふうに解釈できると思いますが、その点、どうですか。
  56. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 当時私が立ち会っておりませんものでしたから、その時分にありましたいろんな記録を調べておるわけでありますが、先般もアメリカ側の者が私のところへ訪問いたしましたときに、たまたま両国の貿易関係の話が出ましたときに、この一年半前にありました日米協議会等の話も出ましたけれども、向こうの考えておるのとこちらの考えておるのでは若干ニュアンスの違いはあるようでありますが、しかし、私どもは、そういうことはもう別問題といたしまして、全力をあげて輸入解禁州をふやしてもらうように継続して努力をいたしておると、こういうわけでございます。
  57. 渡辺武

    ○渡辺武君 持ち時間が来ましたので、あとはかためて一、二点伺いたいと思います。  そうしますと、ここに大蔵大臣もおられますけれども、いま、日本の円の切り上げということについては、外国からいろいろ強い圧力がかかっている。あるいはまた、直接に言って来なくても、実質上そういう方向に日本は逐次追い込まれているということは、これはもう衆目の見るところだと思うのですね。それをかわすためにも、自由化の繰り上げですね、これをやらざるを得ないというのが実情じゃないかと思うのです。いま、農林大臣も、農産物の輸入自由化というのはできるだけ早くやりたいというような趣旨のこともおっしゃっておりますので、いま交渉中だとはおっしゃいますけれども、そういう事態のもとでは、グレープフルーツの輸入の自由化もやがて近い将来にやらざるを得ないのじゃないかと思いますが、大体いつごろおやりになるおつもりなのか。それからまた、グレープフルーツのあとでオレンジの自由化が行なわれやしないか。これもミカンをつくっている農家の非常に心配しているところです。オレンジは非自由化品目の中に入っておりますけれども、いま申し上げましたような事態のもとでは、このオレンジもやがて自由化されるというおそれが十分あるんじゃないだろうか。その点、農林大臣はどんなふうにお考えになっておられるのか、それを伺いたい。  それからもう一つは、ミカンは、私が申し上げるまでもなく、米と並んで日本の農業の中では比較的安定した農作であったわけですね。米よりも収益がいいくらいのところじゃないかと思うのです。ところが、グレープフルーツが自由化されると、直接的にはアマナツミカンだとかイヨカンだとか、あるいはハッサクだとかいうようなところが直接的な打撃を受けるでしょうけれども、しかし、同時に、温州ミカンも大きな打撃を受けざるを得ないと思うのです。従来、外国の農産物が日本に非常に急速に入ってきて、そのことが日本のいろいろな農作品目に対して大きな打撃を与えているというのは、私が資料を申し上げるまでもなく、大臣はよく御存じのとおりだと思うのですね。そこで、いま、米の減反政策とかその他等々の一連の施策をやっておられる。いま議題になっています法案でも、古米の処理にばく大なお金を使うというようなことになっているわけですけれでも、この米の問題がなかなか解決できない一つの大きな原因は、私は、農民が米作以外に安心して転換することのできる農作がないというところに大きな原因があるのじゃないかと思うのです。したがって、米作農民が喜んで安心して転換できるような条件をつくるためにも、こうした農産物輸入政策、これはできるだけ制限して、おもな農産物については自分の国で自給するという政策をとって、価格補償政策などともかね合わせて農民の自主的な転換のできる条件をつくるべきじゃないだろうかというように思いますけれども、この点、大臣はどんなふうにお考えになっておられるか、あわせて伺いたいと思います。
  58. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) グレープフルーツにつきましては、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、自由化をする方針でおるわけであります。しかし、それは、先ほど来お答えいたしておりますように、温州ミカンの輸入解禁州をできるだけ——ただいま五州でありますが、これを拡大するように最大の努力をし、向こうも好意的に考えておって、話を継続いたしておると、こういうことでございます。  オレンジにつきましては、私どもは、自由化を考えたことはありません。  それから転換の作目につきまして、ただいまお話しがありまして、私どもも、実は、生産調整をこのように大幅にいたすからには、農家の方々に、まあ農家といいましても日本じゅうそれぞれありますけれども、ことに単作地帯の方々などについてはそうでありますが、転換をする作目について、このような圃場整備、土地改良等をやって、このようにするから、こういうものに転換なさいというふうなことを親切に世話をいたすだけの用意が必要でございます。政府は、地方の農政局、それから県庁、農業団体等と協力いたしまして、本年度予算にもいろいろ申しておりますが、農林省が出しております資料によりましても、とりあえず五十万ヘクタールの転換について計画的なものを出し、それから先般発表いたしました地域指標、そういうものを加味いたしまして、転換について皆さんのやりやすいように誘導してあげる。四十六年度予算をごらんくださればわかりますように、この転換につきましては、直接間接にかなりの予算を計上いたしております。農業団体や地方自治体の長などの団体におきましても、政府のこういう方針に全面的に協力をしてくれまして、その協議会にも参加していただいて、将来の不安なからしめるように、転換について全力をあげてただいまやっているところでございます。
  59. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 福田・倉石両大臣に申し上げます。お約束の時間が参りましたので、御退席いただいてけっこうでございます。ありがとうございました。
  60. 渡辺武

    ○渡辺武君 この提出されている法律案の提案理由説明によりますと、七百万トンをこえるいわゆる過剰米の処理によって今年度千八百億円、それから四年間に総額六千億円を上回る売却損失が予想されているわけですが、この大きな支出がほんとうに前向きの生きた支出になるためには、今後の農政が農民と消費者の要望にかなった適切なものであるかどうかということにかかっているんじゃないかというふうに思います。   〔委員長退席、理事中山太郎君着席〕  そこで、伺いたいのですけれども、いま政府は農民に対して二百三十万トンの減反を行なわせようとしておりますし、それから先日は生産者米価も平均三%引き上げというような措置をとっておりまして、農民のほうからすれば平均わずか三%の引き上げではとうてい経営は成り立たないというような強い意見もあるわけです。この措置は、先ほど大臣の答弁を伺っておりますと、農民に米作から他の作物に転換させることを考えているんだというふうにおっしゃいましたけれども、どうも、私ども見ているところ、転換というのがなかなか条件として整っていない、むしろ農民を最終的に農業から離脱させる、もっと端的に言えばもう農業をやめさせて町の大企業のために安い労働力を提供するということが目標になっているんじゃないかというふうにしか思われないのですけれども、その辺はどんなふうにお考えになっておられるか、今後の農政はどういう方向を目ざして考えておられるのか、それを伺いたいと思います。
  61. 内藤隆

    説明員(内藤隆君) ただいまの点でございまするが、私ども昨年の秋に米の将来の需給の見通しを行ないまして、昭和五十年代に入りました年代におきましては、いろいろ推計のしかたに前提はございまするけれども、五十万ないし六十万ヘクタールの余剰の水田を生ずるというような見通しが一つございます。そういう米の需給事情を前提にいたしまして、また、わが国農産物全体の需給の状況というようなことから判断いたしまして、そういう国土資源の有効利用、それから農業所得という面への配慮ということも当然考えられるわけでございますので、具体的なものに即しましてその五十万ないし六十万ヘクタールというような余剰水田の大部分というようなものを他の作物に転換してまいりたいというようなことで、昭和五十年度までに五十万ヘクタールにのぼります転作計画を立てまして、それを推進することにしたい、こういうふうに考えました。したがいまして、四十六年度以降の生産調整におきましては、もちろん地域におきます経営、それから土地利用等の実態から申しまして、相当の休耕というものが経過的に存在いたしますことはもちろん否定するわけにはまいりませんけれども、ものの考え方といたしましては、転作を中心に据えた生産調整を今後五年間計画的に実施していくというようなことで、奨励補助金の各区分の単価、それから転作に伴います基盤整備その他の補助事業というようなものに格段の意を用いたわけでございます。  本年度の実施状況につきましては、現在各農家の段階に生産調整の目標数量ないしはその生産調整目標数量のこまかいこなし方というようなものが相談されている段階でございますので、的確なことはまだ申し上げられる段階ではございませんが、初年度十五万ヘクタールというふうに想定計画をいたしました生産調整の目標面積に関しましては、作目別に若干の変動は当然あるというふうに存じますけれども、おおむねそういう目標に近い数字の転作の計画というものが現在各農家の段階で計画されている、こういうふうに判断している次第でございます。   〔理事中山太郎君退席、委員長着席〕
  62. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまお答えがありましたけれども、重ねて伺いたいのですけれども、私、昭和四十四年度生産調整の実績をちょっと調べてみたのですけれども、百三十九万トンですか、この中身ですね、これはどんなふうになっておりますか。ほかの農産物への作付転換が何%かというようなところでお答えいただきたいと思います。
  63. 内藤隆

    説明員(内藤隆君) ただいまこまかい数字についてお答え申し上げますが、おおむね約六割が休耕でございます。——それじゃ、具体的に申し上げます。転作が全体の二一%でございまして、実数の面積で申し上げますと七万九百ヘクタール。それからその内訳でございますが、飼料作物が一万四千八百ヘクタールでございまして、転作全体の中では二一%、それから野菜が二万八千八百ヘクタールで四一%、それから豆類等が九千二百ヘクタールで一三%、そういうようなものが主要なものでございます。
  64. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、先ほどの御答弁ですと、休耕は約六割と、正確には六六%ですね。それで、作付転換は二一%だと。しかも、その作付転換の中身を見ますと、野菜への転換が四一%で、飼料用作物が二一%、こういうことになっているわけですね。ですから、この数字をちょっと見ただけでも、生産調整そのものを農民がどう受け取っているかということがはっきり出ているのじゃないかと思うのですね。つまり、休耕が六六%もして、ほかの農産物への転換をやった場合でも、比較的米への再転換のきく野菜だとかあるいはまた飼料用の作物などに中心を置いてやっているというのが実情じゃないかと思うのですね。こうなってまいりますと、政府は作付転換のためにいろいろな措置を講じておりますと言うけれども、農民の実情はそうなっていない。なぜそういうふうな状態にあるのか、この点を追及してそれに対する対策を立てることが私は大事だと思うのですね。  ところで、それに関連して伺いたいのですけれども、いま一日一人当たりの家族労働報酬、これがおもな農作物ごとにどうなっているのか、それを最初に伺いたいと思います。
  65. 内藤隆

    説明員(内藤隆君) 家族労働報酬につきまして一日当たりで申し上げますと、四十四年の調査結果でございますが、水稲が二千四百四十円でございまして、それから主要なもので申しまして、小麦が六百五円、大豆が千二百二十七円、それからキュウリ——促成のキュウリでごさいますけれども、蔬菜の代表というようなことでとりますと千六百九十七円、それからミカンが四千二百七十四円、そういうようなところが主要なものであろうかと思います。
  66. 渡辺武

    ○渡辺武君 私が農林省のほうからいただいた資料とほぼ一致しておりますので、なおいまの答弁で足りないところを補いながら質問を続けたいと思うのですけれども、いまお答えになったものの中で、米並みの労働報酬がある、あるいは若干それを上回っているというようなものは、ミカン一つなんですね。私のいただいた資料では、キャベツの春どり夏どりのキャベツ、それから大根の春どり、秋どりの大根、それからアズキというようなところも米以上の労働報酬を取っているわけですけれども、そのほかはほとんどおしなべて米以下の労働報酬、こういうことになっているんです。ミカンは、先ほど申し上げましたとおり、これは米と並んで日本の農作の中では比較的安定した、しかもいままではかなり急速に発展しておったと言えますけれども、あと、キャベツだとか大根だとか、こういうようなものは、価格が非常に変動して、経営としては不安定だというのが農民の共通した意見です。季節が来れば大暴落する、そしてその大暴落が済んだと思ったらその次は今度は大暴騰をやるというような状況で、農民も困り果てているというのが実情だと思う。それからまた、アズキについて言っても、これも同じような状態で、決してこれは安定した農業経営じゃないし、いわんや米などにかわり得るものじゃないこともこれまた明らかだと思うですね。そういった実情に農民はいま置かれているんですね。だから、先ほど申しましたように、生産調整の中身で、農民は、転換したくても転換できない、経済的に引き合わないから。そこで、さっきあなたが読み上げられた数字のように、休耕が六六%、いつでも米に戻れるというような状況に置いておくというのが実情じゃないでしょうか。したがって、この問題を解決することが私は今後の農政で一番大事な問題だと思うのです。  そこで、時間がないので質問をどんどん私のほうから先に申し上げてしまいますけれども、私はこうした状態に日本の農作が置かれている原因には幾つかあると思う。大きな原因だけ拾ってみましても、先ほどちょっと農林大臣にも申し上げましたけれども、外国から農産物が急速に日本に入ってくる。そうして、このために、日本の農業経営が非常に大きな打撃を受けるということが一つの大きな原因だと思う。さらにはまた、いまちょっと申しましたけれども、野菜その他——米はいままで食管制度である程度価格は保証されておったわけですけれども、それ以外の農作についてはまるきりほうりっぱなし、こういうような状況で価格の変動が激しく、したがって、また、農業経営も非常に不安定だというところに一つ原因がある。さらに、もう一つ、つけ加えて言えば、農用資材の価格が大企業の製品が非常に高くなって農業経営に引き合わなくなってくるというようなところに大きな原因があると思うんですね。だから、私は、農民が喜んで作付の転換をやることができるような条件をつくるために大事なことは、外国の農産物が日本にどんどん流れ込むというような事態を制限することが必要じゃないか。そうして、おもな農産物について、日本の国内で自給できるような体制を政府の施策として強力に進めるということが必要じゃないかと思う。その点、どういうふうに思われておりますか。
  67. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 御指摘のように、農業の転換ということは農家にとっても非常にきびしい問題であるということは、私ども承知をいたしております。また、農産物を経済的に見る農民の側からいたしましては、あくまで農家の手取りがどうなるか、農産物の各種の価格の相対関係がどうであるかということに関しては、当然これは経済的経営の担当者として敏感であるということも当然のことであります。そういう観点から申しまして、米の価格が他よりも有利である、依然として米に依存しがちであるという御指摘でございますが、確かに相対比較につきましてそういう面は多分にございます。しかしながら、経年的に見ていただければ、逐次その点は改善をしつつあるというようにわれわれは考えております。家族労働の報酬の資料でも御説明申し上げましたように、米価が据え置かれたということもございますが、米よりも有利なものの数が毎年多少なりとも増加をしつつあるということは、これはわれわれも認めていただきたいと思います。  同時に、全体的な食糧の自給の目標でございますが、私ども、先ほども申し上げましたように、米だけが自給率を一八%もこえる、しかし、他方、果樹、野菜等はなお八〇とか九〇とかを低迷しているものも多いというような状態でございまして、こういう需給見通しのもとに転換の政策を進めるという点をやらなければならぬと思っております。  その際に、御指摘のように、問題は、自由化とそれから他作物への転換の具体策でございますが、自由化を全体として否定をするということは、先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、日本はガットにも加盟をいたしておる、また、日本の現在の置かれておる経済的地位から見まして、そのこと自体を否定するわけにはいきませんし、また、消費者の目から見ますと、国際的に日本だけが割り高のものを食べるということは、消費者はまた消費者の立場からいろいろ御意見もあろうかと思います。ただ、生産者のことを考えますと、やはり輸入については関税その他によって適正な保護措置を講ずる。あるいは国内において価格支持をやる。自由化という方向と生産の増大をはかるべき農産物の生産の増加ということが矛盾をしないような調整措置を講ずるという点が私どもの基本的な考え方であります。  それから他作物への転換助成でございますが、稲作の転換の推進にあたりましては、転作の奨励誘導のために、それぞれのものにつきましての価格保証の措置が、でん粉でありますとか、あるいは肉類、牛乳、あるいは野菜等についても、米とは違った形でいろいろすでに助成なり価格支持の制度がございますが、そういうものによって拡充をはかりますとともに、一方、転作奨励ということのために、休耕よりも転作には奨励補助金において優遇をする。御承知のように、本年からさらにそれについては五カ年にわたって奨励金を出す、休耕の単価よりははるかに高い単価で金を出すというふうな優遇措置。さらに、基本的には、土地基盤の整備、あるいは農業近代化施設といわれる機械化の施設とか、あるいは流通加工の施設、冷蔵保管の施設、こういうようなものも助成をしてまいるというふうな総合的な転作の対策をいろいろ本年度予算においても具体化をいたしておるわけでございます。  まあ、基本的には、農業でございますので、やはり一般の商工業と違いまして、農業政策というのはかなり長期的に施策を講じていかなきゃならぬという考え方を私ども持っております。また、その間の具体的に実現するまでの農家に対するつなぎの対策ということも考えていかなきゃならぬということも十分承知をいたしておりますし、そういう面、まあ率直に申しまして、生産調整を始めました初年度よりは、本年度の四十六年度は、予算的にも実行面でも非常に拡充をしてまいっております。これを毎年今後さらに五カ年計画でやるということになりますので、私どもとしましても、いろいろ現在の進捗状況も検討し、反省をしながら、さらに予算的にも毎年毎年拡充をし、また、農家に対してもきめのこまかい指導ができるような体制を築いていきたいと考えております。
  68. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一問だけお伺いしますけれども、転換を促進するためにいろいろの措置を講ずると、いま詳しくおっしゃったんですが、しかし、先ほども何回も申しましたとおり、外国の農産物が日本にどしどし入ってきているというような状況のもとでは、せっかく使った金も死に金になるというのがいままでの実績の示すところだと私は思う。その点をあなた方はよく考えてこれから先の農業政策を進めていっていただきたいと思う。なぜかといえば、これはもう農業関係の数字をちょっと見た人はだれも気がつくことですけれども、外国の農産物が日本に入ってくる、それに伴って日本の国内の生産高が激減していくというのが、いままでの事実の示すところだと思うのですね。あなた方はもう御存じだと思いますけれども、かりに、昭和三十五年に比べて昭和四十五年、この十年間の農産物の輸入高を一、二拾ってみますと、たとえば小麦の場合には、この十年間に一・五倍になっております。小麦は前からどしどし日本に入ってきておりますから、十年間でもわずか一・五倍ですが、大豆に至ってはこの十年間に二・八倍になっている。ところが、この外国の農産物の競争に圧倒されて、日本の小麦の生産高は、三十五年に比べて四十五年はわずかに三一%に下がっている。大豆の場合には三〇%に下がる。なたねなどは一二%に下がるというような状況です。そうして、したがって、これに伴って国内の自給率が急速に低下している。小麦の場合には三九%から一四%に下がる。大豆の場合には二八%から五%に下がっているというのが実情だと思う。小麦のように自由化されないものでもこんな状態なんです。自由化された場合にはどういうことになるか。たとえばレモンの場合で言えば、自由化後五年間で輸入高は九倍にふえるとか、バナナの場合は六年間で八倍にふえるとか、ものすごい勢いで外国から入ってくる。そうしてこれがそれぞれ日本の農作に深刻な打撃を与えている。しかも、先ほど農林大臣に伺いましたところが、米と並んで、あるいは米以上にと言って差しつかえないほどいままで安定した経営を保証することのできたミカンが、グレープフルーツの自由化はこれはもう進めますと農林大臣はここで言明する。おそかれ早かれこれはもう自由化されて大きな打撃を受けると思う。四〇%の季節関税をかけたって、そんなものは乗り越えて外国の農産物というのは日本に入ってくる。大きな打撃を与えることは避けられないと私は思う。こういうようなことを進めておいて、どうして農民に転換をしろといって農民が喜んで転換できますか。だから、いやだいやだという農民に減反を上から天下り的に押しつける、こういうようなことをやらざるを得ない。この農産物の輸入政策、これを転換して、そうして輸入の制限をやって、おもな農産物の自給できるような体制を中心として施策を講ずる。外国農産物の輸入制限と、そうして国内の農業を自給させるという、これは切り離すことのできないたての両面ですよ。これを切り離してあなた方はやろうとするから、さっぱり成果があがらぬ、こういうことに私はなると思う。いまの米の過剰だってそうでしょう。こういうことで米以外の農作が経営が引き合わなくなるから、やむを得ず米に生産を集中せざるを得ないというところに追い込められているんじゃないですか。これが私のあなた方に申し上げたい第一点。これをやるつもりがあるかどうかですね。やれば——七千億円に及ぶべらぼうな支出が今後古米対策だけでも出されるということです。これも死に金ではなくなると私は思う。それが一つ。  それからもう一つは、経営上は云々ということを言われましたけれども、先ほど申しましたように、野菜その他のように価格が非常に不安定だ。しかも、いま皆さんがやっておられる価格補償制度というのは、これは農民の希望に合致していない。時間がないので詳しく言いませんけれども、その価格補償制度をしっかり確立して、米のほうも食管制度を改悪するというようなことをやめて、そうして農家の経営を価格の方面から安定させるという処置をとるべきだと思う。消費者に対しては、あの食管制度を十分に活用すれば、安い営を保証できる。農民には生産費に引き合うような米価を保証できる。まさにそのような価格補償制度を他の農作にも私は適用すべきだと思う。その点をおやりになる意図があるかどうか。  この二点を伺います。
  69. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 非常に大きな問題でございまして、私がお答えするのが適当かどうかわかりませんが、私ども農林省といたしまして、御指摘の自由化とそれから農産物の価格補償という大きな問題にどのような考えで取り組んでおるかということを御説明するにとどめたいと思います。  自由化の問題に関しましては、いろいろな御意見もございますが、やはり日本の経済というものはもうすでに国際経済の中にある。その中で農業だけが孤立的な農業という形をとるということは、これは日本の国の全体の経済の問題としてなかなか困難な問題であろうと考えております。ただ、そういう中にあって、農業に従事する人々、あるいは農産物を消費する人々に、どのような物資の供給と、どのような経済生産体としての利益の保証、取得の保証をするかということが大きな課題であろうと思います。もちろん、現在、農産物について逐次自由化が進められておりますが、私どもしばしば申しましたように、日本の農業といえども、できるだけ国際的な生産費の水準を保てるように農業の構造政策を進めていくということが大きな基本のラインであろうと思います。しかしながら、御承知のように、日本の農業というものは、都市的な拘束もありまして、一挙にそこまで行かれない。さらに、気候的な制約から、必ずしも日本人の欲するものが十分に生産されないというふうなものもございます。そのような制約をいろいろ緩衝するために、関税とかあるいは割り当てとかいうものが経過的には必要になってまいる、さらに価格補償というものも経過的には必要になってまいる、かようなふうに考えております。そのような政策は、日本だけでなくて、ヨーロッパの諸国においても、また、アメリカ、カナダ等の国においても、合理的な意味をもって現在でもそれぞれ農政の保護が尊重されておる理由であろうと思います。日本においては、それらの国より以上に、日本の農業の特殊性という考慮をすれば、農業に対してあたたかい保護が与えられてしかるべきであろうと思いますし、さような観点から私どもも努力をいたしたいと考えております。
  70. 向井長年

    向井長年君 大臣が出席したときに質問できなかったんですが、いまも若干質問がございましたが、食糧庁長官に聞きますが、政府食糧行政というものは非常に一貫しないんじゃないかという考え方を持つわけです。ということは、国民の食生活、これに対して、あるときには米が足らぬからパン食を指導してみたり、米が余ったから今度は米をできるだけこれを用途に供するとか、こういう形に変わりつつございます。なおまた、生産と需給の問題に対しても、十分なこれに対する対策が練られておるのか、非常に不均衡な状態が特に野菜生産に対しましてもあると思う、米だけじゃなくて。その他魚介類に対しましてもそういう状態があらわれておるんじゃないか。あわせて、食糧に対する輸出輸入の問題も、これも、何と申しますか、そのときそのときの状態でこれがいろいろやられておる。食生活あるいは食糧行政という全般にわたっての一貫性にかけておるんじゃないか、あるいは将来のいわゆる見通しの中からこうあらねばならぬということが今日まで指導されてそれに合った行政がとってこられたかどうか、こういう問題について私は非常に疑問に思うわけです。この点についてまずお聞きいたしたい。
  71. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 米その他野菜、魚介類に至る広範な食糧政策の問題でございますが、私は食糧政策の見通しというものはむずかしい問題であるというふうに感じております。この原因は、私は、二つあろうかと思います。一つは、農業というものが生産面で非常に政策的に長期を要する、また、農家の側としてもなかなか品物の転換というものは工業製品等に比べて非常にむずかしい、そういうものに本来農業並びに農業政策というものが転換に長期を要するという点が一つと、もう一つは、これは農業外の事情でございますけれども、消費の変化ということでございます。消費の変化というものがわれわれの身辺を考えてみましても、戦前と戦後と非常に変わっております。衣食住といわれますが、おそらく、戦前戦後を比べれば、食が一番変わっておるのじゃないかというふうに思います。そこら辺に、生産と需要という面の結合という点に私ども非常に苦慮をいたしておるわけでございます。でございますので、こういう見通しを作成する場合にも、きわめて従来ともちゅうちょをいたしております。企画庁で経済計画とか経済見通しをつくられますが、これは主ととして鉱工業生産のほうがどちらかといえば中心のような場合が多いわけでございますが、比較的工業生産等においてはそういうのがやりやすい。また、生産の転換とか育成ということも需要に即応したような形で開拓されていくという傾向が強いのでありますが、農業の場合にはおよそそういうことが当てはまらないということで、先ほど松井先生お話しがありましたように、見通しについて科学的にやれと。まさにそのとおりでございまして、非常に慎重にかまえるのでございますけれども、もう三年ぐらいたつとどうもずれてくるというようなことがありまして、そういう過誤というものは、私、事務的にもこれは率直に認めざるを得ないと思います。  逆に、私は、そういうものを立てた場合に、一たん立てたからということでそれに固執するということのほうがかえって弊害を生むのじゃないか。いつまでもそれに固執しておるから、かえって経済と遊離した形でいろんな財政負担ばかりかかって効果はあがらない、こういうことが出てくるのじゃないかと思います。  そこで、計画を立てるには、慎重であり、また、科学的であることを要すると同時に、立てた後においても、一ぺんつくったから絶対に変えないんだと、土地改良何年計画をつくったから、もう米がいくら余っても変えないんだとか、そういう式のことでなくて、計画を立てても、農業の場合には、転換に長期を要する、消費の形態というものの変化が非常に激しい。その変化というのは、農業以外の諸要因によって消費のほうは動かされていく。所得であるとか味覚であるとかということでありますから、そういう要素を織り込むためには、やはり、計画を立てても、ふだんちゅうちょなく検討をやっていく。特に先ほど松井先生の御指摘のように、学者の意見もいろいろこれまた新しい見解が出てまいりますので、そういうものもちゅうちょなく取り込んで、訂正すべきところはまた訂正をしていくという、弾力的に考えていくべき態度を持つべきだろうと思います。  私ども、四十三年に「農産物の需要と生産の長期見通し」というのを出しまして、さらに昨年農産物の地域分担指標というものも出しております。この間にも、計数的にはいろいろ議論がございましたが、両者の間にも、米麦等については積極的に若干の調整をしたつもりでございます。そういう意味で、長期計画という頭を基本に置きながら、この長期計画を誤りなからしむるためには、その後の事情に応じてふだんの検討というものが必要だろうと思っております。  いまの向井先生お話し、私、率直に反省をいたしまして、さような感じを持っておる次第でございます。
  72. 向井長年

    向井長年君 これは大蔵委員会で、農林水産委員会ではございませんけれども、若干そういう問も触れたいことは、特に生産と需給の問題について非常にアンバランスが起きておる。御承知のごとく、お百姓さんは、やはり目先を考えて、何とか収入を増そうと、こういう形から、蔬菜の問題に対しても、いまこれが若干売れ行きがいい、もうかるといえば、それに集中してくると思うんですよ。たとえばイチゴがいいといえばイチゴに集中してくる、生野菜がいいといえば生野菜に集中してくると、こういう状態が各所にあらわれておるのじゃないか。それが飽和状態になって、かえって価格も不安定で、しかも腐らしていくというような状態が各地域に出ておると思います。そういう蔬菜の問題一つ考えても、まあ総合農政総合農政と言われるのだが、計画的に生産し、需給の均衡と価格の安定というものをそこで見出すことが、農業行政、いわゆる食糧行政の一番重要な点じゃないかと思います。この点についてどういう指導をして、どういう適地においてそれを奨励し、あるいはこれに対しては増産を奨励するとか、いろんなそういう適切な方針が食糧行政の中で講じられなければならぬのじゃないかと、こう私は思うわけですよ。われわれが各所へ回りまして体験することは、いま、農家は、米の問題は生産調整でこれだけ調整しなければならぬ、収入がどんどん減ってくる、何に転換していくかと、こうなれば、いま申しましたように、少なくとも早く金になり少しでも収入をふやすやつをつくろうとしますよね。これに対して、同じような気持ちでそうなっていくならば、飽和状態が起きるし、価格の安定もできないし、結局は農家も共倒れのような状態になる。これは、やはり、政府食糧行政の中から、十分な調整と、あるいは指導、あるいは計画生産、こういう問題が必要ではないか、こう私は思うんですよ。この点についてどうですか。
  73. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) ただいまの向井先生お話し、私どもも全く同感でございます。私ども現在でもいろいろな計画を立てておりますが、やはりこの計画がときどきずれてくる。その原因というのは、いろいろ分析をいたしますと、農産物の市場が変化をする——これは私が申し上げました消費の変化ということもあわせてでございますが、市場が変化する、消費の物が変化する、さらに都市人口の移動等によって消費地というものが拡大をしたり縮小したりしていくということが一つございます。それからもう一つは、労働力の問題がございます。先ほど小麦の生産が非常に減っているじゃないかということがございましたが、これはやはり小麦の労働、冬の労働というものの農業労働が充足されないという面も非常にあるわけでございます。それからさらに、土地の資源の移動とか、あるいは農業技術の発展とかいうふうな、いろいろな問題がございます。ございますが、こういう要素を計画を立てた後においてもいろいろ織り込む余地を残しながら計画を立てていくということが必要だろうと思います。  当面、具体的に何かと言われますと、私どもがいま持っております生産の指導のしかたといたしましては、農業生産の地域生産指標というものをつくっております。これは、各県の意向、農業団体の意向を聞きながら一年ぐらいでつくったものでございます。これをさらに地方ブロック別、県別に分解をいたしまして、これによって各県と連絡をとりながら農政の展開というものの一つの地域的なベースにしていきたいと思います。  それからいろいろ過剰とか足りないとかいういわばそういうものが完成するまでの調整的な措置としましては、価格補償であるとか、あるいは補助金による助成とか、こういうふうなことも拡充をしてまいるという、これは毎年毎年の予算で実現をしていくという考えでございます。計数的あるいは地域的な方向としては、もうお読みかもしれませんけれども、私どもつくりましたこの地域分担の指標というものを、一応まだ試案と称しておりますが、これをさらに各団体、各県とも細目を協議いたしまして具体的に固めていきたいという考えでございます。
  74. 向井長年

    向井長年君 そう言われますけれども、まだまだこれは不十分ですから、十分これはひとつ行政上の体制としてつくり上げていただきたいと思います。それと同時に、食料品に対する輸入問題ですが、これに対しましても、国内生産が十分あるにもかかわらず、輸入がますます拡大になっていくという現況も出ておると思います。この問題については、国内生産と輸入の均衡と申しますか、もちろん輸出問題もございますけれども、こういう問題についてもっと真剣に取り上げなければ、今日まで農家があらゆる問題についていろいろと生産に努力をしておる、ところが、輸入の問題で押されて非常に価格は不安定であるし、あるいはまた、過剰になる、こういう状態で非常な不安な状態が現に出ておりますよ。こういう問題について今後どう対処するつもりですか。
  75. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) いろいろ外国から物資も入ってきておりますが、一番大きなのは飼料でございまして、これは、御承知のように、日本では外国のトウモロコシ、マイロのような大量の供給力がまだないということでございます。それから小麦等は、御承知のように、日本の生産が非常に減少してきております。そんな事情でございまして、非常に競合するじゃないかとしいて言われれば、私は、果実であるとか乳製品であるとかいうようなものじゃないかと思います。そういうものにつきましては、これは逐次自由化という方向をたどらざるを得ないかと思いますけれども、牛乳、乳製品等につきましては、現在でもかなり外割り制度というようなものもございますし、あるいは自由化されたものにつきましても関税の制度もございます。また、表向き自由化となりましても、実際上は関税割り当て制度ということで国際的に理屈の通る範囲で保護措置を講じておるものもかなりあるわけでございます。また、果実等につきましても、先ほどもかんきつ類のお話が出ましたけれども、日本のかんきつ類の生産は現在二百五十万トンぐらいございますが、外国から輸入しておるものは全部合わせて五千トン足らずぐらいだと私は思っております。いろいろ私どもとして産品の競合という問題には非常に気を使っております。特に、入ってくる場合の保護措置、自由化の時期、それから関税の高さ、関税割り当て制度の採否とかいう点については今後十分に私どもも気を使い、慎重を期してまいりたいと思っております。
  76. 向井長年

    向井長年君 いま言われました乳製品だけじゃなくて、鶏卵一つ見たって、どんどん輸入がふえているじゃないですか。一万トンで押えるんだというのが、もう二万トン以上になっている。そうして国内ではどんどん生産されているんだな。だから、そういう国内生産と輸入の問題の均衡なりバランスというものを——これは畜産局かしらぬけれども食糧庁長官食糧全般にわたって目をみはって、それに対する均衡を保っていく、価格の安定を保つ、こういうことでなければならぬのじゃないかと、こういうことを、私は、若干質問いたしましたが、強く要望しておきたいと思います。  それで、本論に入りますが、これは他の委員からも質問があった問題であろうかと思いますが、今度の過剰米としての処理すべき数量は、ここには趣旨説明の中では「七百万トン近い大量」と、こう書いてありますけれども、白書では七百万トンであるとか八百万トンであるとか、いろいろまちまちなことが言われておりますが、ほんとうに処理すべき確定的な数量は明確に言えないんですか。
  77. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 七百万トンというのは、概数で申して約七百万トンというふうに申し上げてきておったわけであります。正確には、私ども、これは、四十六年四月以降処理する必要があるというふうに見込んでおります過剰米の数量は、六百五十四万トンというふうに考えております。これを一応厳密な数字と考えております。ただ、私、いま申し上げましたように、四十六年四月以降処理する必要があると見込む過剰米の数量でございまして、これは、過剰米と申しましても、別に札をつけておるわけではございません。結局、いまある政府の在庫の米の中で、将来日本国内で主食用、工業用等に向ける見込みがない、要するに、主食用以外の用途に処分をしなければならないと見込まれる数量が現時点におきまして六百五十四万トンという意味でございます。もちろん、これは、将来においてこの数量が変動要素もございます。たとえば、そういうこともないと思いますけれども、六百五十四万トンの中には四十五年産米で余るものも入っておりますので、そういうものが、たとえば、非常に需要が増大したとか、あるいは、まあそういうこともないと思いますが、不作があったとかいうようなときには、これは当然主食用に戻して食べていただくということになるわけでございまして、現時点における見通しに基づけば、過剰米として主食用以外の用途に処理すべきものが六百五十四万トン、そういう意味での確定数字というふうに御了解願いたいと思います。
  78. 向井長年

    向井長年君 では、六百五十四万トンを今後何年間でこれを処理するつもりか、言うならば処理計画ですね、処理計画はどう立てられておりますか。
  79. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) この過剰米の処理につきましては、四十六年度以降おおむね四カ年以内に処分することを計画いたしております。当面、四十六年度におきましては、輸出用に四十万トン、工業用に二十万トン、飼料用に百四十万トン、計二百万トンを処分することを予定をいたしております。
  80. 向井長年

    向井長年君 これは、食料加工といいますか、加工なり、あるいはまた、えさ、あるいは輸出、それぐらいがいま立てられておる見通しだと思いますが、それ以外に、そういう米を加工してアルコールをつくるということは考えていないですか。そういうような形で、まあ酒という意味でなくて、アルコール製品というものはできますか。
  81. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 私ども、この過剰米の用途を検討するに際しまして、昨年、学識経験者によります過剰米の処理の委員会というのをつくりまして、この委員会でいろいろ学識経験者、実務家等の御意見を集めて、現在その委員会の報告書ができ上がっておりまして、その報告の結果に基づきましていろいろ処理の形を考えてまいったわけでございます。御指摘のアルコールに処理することにつきましても、この委員会でいろいろな見地から検討をいたしたわけでございます。そこで、現在、アルコール——もちろん米はでん粉でございますのでアルコールになるわけでございますが、原則的には、他の用途の値段、たとえばでん粉でございますとかいうものと比較をいたしますと、えさ用以下の値段でなければ採算として合わないというような大体の結論でございまして、こまかく申しますといろいろございますが、酒への用途、あるいはその他の飲用アルコール、ガソリン添加用アルコール、いろいろアルコールの中の各種用途についても検討いたしましたが、やはりそういう他の原料との関係でございます。  それからいまちょっとお酒の話が出ましたが、昔はほとんど米でつくっておったが、いまはかなり米以外のものからつくられたアルコールを添加をいたしております。この点も、いろいろ酒屋さん等の意見を聞いてみますと、このごろ非常に栄養がよくなってきて、むしろ、酒でも、あまりこくのある重い酒というのはなかなか売りにくいという声が強いようでございます。やはりアルコールが添加された軽い酒という感じでないと売れないということでございます。そういうことで、あまりこれにも大きな期待がかけられなかった次第でございます。もちろん、一、二のところで試験的にやってみようということでやってはいただいておりますが、まだその成果が出るまでには至っておらない実情でございます。
  82. 向井長年

    向井長年君 これも午前中に他の委員から質問があったかと思いますけれども過剰米の処分損失は実際にはどれほどの額を見込んでおられるのか、この点、いかがですか。これは大蔵省ですか。過剰米の処分損失についての額ですね、大体どれくらい見込んでいるのか。
  83. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 過剰米の四十六年以降におきます損失は、これは四カ年以内に処分に従いましてそれぞれ出てくるわけでございますが、予定の六百六十万トンの処分が、先ほど御説明いたしましたような計画で、毎年二百万トンずつ、最終年次は少し減りますけれども、そういうことでやりますと、処分に伴う損失だけで約六千億円というふうに考えております。それから提案されております法律が成立いたしますれば、損失の繰り延べということを行ないますので、その間の食糧証券の金利の負担というのが増加をいたしますので、これが約一千億程度、合計いたしまして約七千億円ぐらいが直接の損失として出てまいろうかと思います。
  84. 向井長年

    向井長年君 これは、大蔵のほうで、使途がまだ不明確であるというこういう場合に、不明確の中で負担をするということになれば、これは財政法上疑義があるんじゃないですか。その点、どうなんですか。
  85. 戸塚岩夫

    説明員(戸塚岩夫君) 四十六年度、農林省の計画によりますと、二百万トンの過剰米を処分するわけでございまして、それに対しましては、売却につきまして約一千八百七億円、それからこれを繰り延べますと、金利につきまして約三百億円というような損失が生ずることが予定されるわけでございまして、それに対して、いま御審議願っております特別会計法の改正によりまして、その損を四十六年度以降七カ年度の範囲内において計画的に一般会計から繰り入れをして補てんしていくというような法的な措置を講じて処理するわけでございますので、財政法に違反するという問題は生じないと考えております。
  86. 向井長年

    向井長年君 まあ、専門家だから、そういうことでしょうが、われわれ、常識的に考えて、七年間の使途不明、この関係から考えて財政法上若干疑義を持つんですけれども、これは、毎年毎年繰り入れておる、こういう形で疑義はないんだと、こういうことですか。言うならば、使途が明確になってきておる、こういう立場からそう言われるのだが、先ほど言ったように、輸出の問題に対しましても、あるいはえさ、食糧加工、これがはっきり明確に出されるのかどうか。これくらいの予想をしているという程度であるのか。明確にこれが毎年出してくる、したがって、これは損失補てんもできるから問題ないんだと、こういうことなのか。この点、どうなんですか、食糧庁もあわせて。
  87. 戸塚岩夫

    説明員(戸塚岩夫君) 先生の御趣旨のとおりでございます。特別会計法の改正法案をお読みいただきますと、第一項のほうに「七箇年度内ノ期間ニ於テ毎年度予算ノ定ムル所ニ依リ計画的ニ之ヲ繰入ルルモノトス」というように規定しておりまして、毎年度歳出予算という形において国会の御審議を経てこれを特別会計に繰り入れるという形になりますので、問題はないと考えております。
  88. 向井長年

    向井長年君 わかりました。それは国会の審議の中で毎年毎年繰り入れると、こういうことですね——それはわかりました。  そうすると、ただ、大蔵大臣が常に言うように、財政硬直化はできるだけなくしていくんだと、こういう方向で進んでおるんですが、こういう状態になってくると、財政硬直化の方向をたどらざるを得ないのじゃないかと思うのですが、そこに矛盾を来たしませんか、それに対して。
  89. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) おっしゃるとおりでありまして、十一年間にわたり処理していくわけでありますが、その間、おっしゃるとおり、残念ながらピーク時でも一千億円以下ではございますけれども拘束された金額が出るわけでございます。たいへん異常な在庫の状態でございまして、このようなことが二度とないように大蔵当局としても考えたい、研究いたしたいと思っております。
  90. 向井長年

    向井長年君 食糧庁長官ね、もし四十五年度産の米の過剰米は生ずるといたしましても、四十六年度以降は、生産調整しているので、もう年間の需給は均衡していると、こう見ていいのですか。つまり、今後は過剰米はこれは起きてこないんだと、こういう考え方で進んでよろしいのですか。
  91. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) いま御指摘のとおりでございます。
  92. 向井長年

    向井長年君 これは明確に断言できますか。
  93. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) いま先生からお話しございましたように、私どもは、米の過剰を解消する、需要に対応した米の生産を行なう、農業は総合農政という観点に立って稲作転換のための各般の対策を強力に講ずると、こういう政策姿勢で臨んでおるわけでございます。その政策の計数的な基礎としては、米の需給見通しに基づきまして必要量以上の生産は行なわないということで政策を樹立をいたしまして、また、四十六年度予算も、それに従って編成をされておるわけでございまして、政策姿勢として、また、具体的措置としても、そのような処置は十分とっておるということでございます。
  94. 向井長年

    向井長年君 では、続いて、本年は、田植え前に苗が冷害で各所で被害をこうむった。特にこれは東北なり北陸あるいは北海道等で非常にそういう状態があらわれておるんですが、苗が半作といわれておるならば、作況は結局不作ではないかと、こう私たちは思うんですよ、常識的に考えて。こういう問題について、いままで政府が言うように、米の品種の改良とか技術の改良、こういう形において不作はないんだと、こういうことが例年今日までいわれてきておると思います。今度もそういうふうに考えてよろしいか。
  95. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 農政局の専門の参事官が参っておりますので……。
  96. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) 四月下旬から五月上旬にかけまして、北海道、東北、北陸等、北日本に、降雪、気候差を伴います低温が襲ってまいりまして、それによりまして苗代に被害が出ておりまして、詳細につきましては目下調査中でございますが、すでに、必要な対策としまして、一部、再播種の実施、それから種子の確保、それから苗代期間の延長によります回復等、対策技術がとられております。  今後の見通しでございますが、冷害対応技術といたしましては、研究の結果、品種の改良その他かなり技術的に進んでおりまして、これまでの実態から見ますと、よほどの不順な天候がない限り、大幅な不作はないと、こういうふうに考えておりますが、五月二十日に、気象庁から、六月より向こう三カ月の長期予報が出ますので、この予報を考慮しまして、気象条件に対応した技術指導を徹底してまいりたい、こう考えております。
  97. 向井長年

    向井長年君 技術指導はいいけれども、われわれ常識的に考えて、寒暖によって、豊作であるかあるいは不作であるかと、こういう問題が著しく左右されるように思うんです。ただ、問題は、そういうようにして、特に開花時期とか、あるいはまた穂ばらみというのですか、この時期に非常にそういう状態があらわれるのじゃないか。そういうことは絶対ないということであるのであるならばいいけれども、そうじゃない限りにおいては、やはり備蓄制度が必要になってくるのじゃないか、こういうことを私は聞きたいわけですよ。備蓄制度をやはり考慮しなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、そんな必要はないと言いますか。
  98. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 不作の問題につきましては、また専門家のお話を聞いていただければと思いますが、今後極端な気象の変化が起こらない限り大幅な減収はないというふうに考えているのが現在の農林省の見解でございます。  ただ、私どものやっております食糧管理の面で備蓄という点はどういうふうに考えておるかということでございますが、現在、生産調整、総合農政をやっております際の基本的な考え方として、毎年度の生産は需給均衡の生産レベルにする。しかし、百万トンだけは古米を保存をして翌年に持ち越す。翌年に新米とまぜて食べる。そうすれば、翌年がまた百万トン余りますから、それは次へ送って次の年に消費する、こういう政策でございます。そこで、百万トンというのは、大体現在の日本の消費量が千二百万トンから千百万トンの間くらいだというふうにすれば、大体一割近くなるわけでございまして、いろいろ専門家の意見を聞きましても、最近は、数字的に見れば、せいぜい五%ぐらいの豊凶のフレであろうというふうに考えておるわけでございます。そういう観点で、生産調整が完全に達成をされましても、備蓄という機能を果たすべき百万トンというものは、私どもすでに想定いたして、いろいろな施策をいたしておるわけでございます。  また、具体的にことしはどうかというお話しでございますが、四十五年産米は実は昨年百三十九万トンの生産調整ができましたけれども、いろいろな要因から、私どもの見込みでは、ことしの十一月、新米穀年度が始まるまでに、四十五年産米、いまの新米の持ち越しが大体二百万トンぐらいあるんじゃないかというふうに見ております。二百万トンは、当然あり得べき持ち越し量、先ほど申し上げましたようなものでございます。そのほかにも百万トン近いものが持ち越し得るんじゃないかというふうに思っておりますので、四十五年産米に関する限りはさらに大きく問題はないというふうに考えております。  備蓄に関する基本的な考えと生産調整という点に関しましては、大体百万トンということを想定しながら基本的にやっておる、四十五年産米につきましてはそれ以上の持ち越しが期待できると、結論的にはそういうことでございます。
  99. 向井長年

    向井長年君 最後に、政府はこの過剰米を完全に処分する、したがって、備蓄米制度を設ける必要はない、こう解釈してよろしいのか。ちょっとわかりにくいんです、その説明では。
  100. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 備蓄米制度ということの考え方でございますけれども、私どもとして、かりに、備蓄米というものが、ある数量設定をして、それはいつでも食べないで置いておくんだということになりますと、それ自体食糧の価値は逓減をいたします。そうすると、毎年かりに二百万トンよけい備蓄だから生産をしてということになると、毎年毎年二百万トンずつ余る。それをもし備蓄が食べるような事態があればいいですけれども、なければ、毎年二百万トンずつこれまたえさかなんかに処分していかなければならぬと、こういう経済的にもまた財政負担もかかるというのはまことに不合理である。やはり備蓄として必要な数量は最初のときに保留をしておいて、翌年にそれを食べて今度新米でそれを残して、翌年食べて、ローテーションでやっていくと、そういうことが備蓄であるというふうに私ども考えておるわけです。それを百万トンというふうに考えておるということでございます。
  101. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時二十一分散会