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1971-02-12 第65回国会 参議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十二日(金曜日)    午前十時十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 大竹平八郎君                 玉置 猛夫君                 中山 太郎君                 成瀬 幡治君     委 員                 青木 一男君                 青柳 秀夫君                 伊藤 五郎君                 岩動 道行君                 今  春聴君                 津島 文治君                 丸茂 重貞君                 松井  誠君                 鈴木 一弘君                 渡辺  武君    衆議院議員        大蔵委員長代理        理事       山下 元利君    政府委員        大蔵政務次官   藤田 正明君        大蔵大臣官房審        議官       吉田太郎一君        農林省畜産局長  増田  久君    事務局側       常任委員会専門       員         坂入長太郎君    説明員       国税庁税部長   江口 健司君       農林省農政局参       事官        岡安  誠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金につい  ての所得税及び法人税臨時特例に関する法律  案(衆議院提出)     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案議題といたします。  まず、衆議院大蔵委員長代理理事山下元利君から趣旨説明を聴取いたします。衆議院大蔵委員長代理理事山下元利君。
  3. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) ただいま議題となりました昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案につきまして、提案趣旨及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、去る二月五日、衆議院大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出いたしたものであります。  御承知のとおり、政府におきましては、最近における米の需給状況の著しい変化に対処するため、米の生産調整対策を講ずることとし、その一環として、稲作の転換または休耕を行なう者に対して奨励金交付し、米の減産をはかることといたしております。  本案は、このような米の生産調整奨励のための補助金交付されるに至った経緯等にかえりみ、昭和四十五年度において交付された同補助金にかかわる所得税及び法人税について、その負担の軽減をはかるため、おおむね次のような特例措置を講じようとするものであります。  すなわち、同補助金のうち、個人交付を受けるものについては、これを一時所得として取り扱うとともに、農業生産法人交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に固定資産取得または改良に充てた場合には、圧縮記帳特例を認めることといたしております。  したがいまして、個人の場合は、その所得の計算にあたり、三十万円までの特別控除が認められ、これをこえる部分の金額につきましても、その半額が課税対象から除かれることになるのであります。また、法人の場合には、固定資産取得価額から、その取得に充てた補助金の額を減額した価額を、当該資産帳簿価額とすることにより、その減額にかかわる損金補助金取得にかかわる益金とを相殺することが認められるのでありまして、補助金を受けたことに伴い直ちに課税関係が発生せず、課税の繰り延べがはかられることになるのであります。  なお、本案による国税減収額は、昭和四十五年度において約五億円と見積もられるのでありまして、大蔵委員会におきましては、本案提案を決定するに際しまして、政府意見を求めましたところ、中川大蔵政務次官より、米の生産調整対策必要性にかえりみ、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。  以下がこの法律案提案趣旨とその概要であります。何とぞすみやかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。
  4. 柴田栄

    委員長柴田栄君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは全く突然の話で、あるいは突然といえば突然、あるいは前もってわかっているといえばそれまででありますけれども、ゆうべのテレビあるいはけさの「朝日新聞」に出ておりますが、カドミウム汚染、そういうようなものに対する補償金が出た場合に、大蔵省はこれに対して課税対象としておりますが、本法律案を議員提案されるようなときに、そういう問題について衆議院における審議で何か議論になったことがございましょうか。
  6. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 御指摘の点につきましては、衆議院大蔵委員会審議の際におきましては議論対象にはならなかったのでございます。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は山下さんに質問はございませんですから、あとちょっと大蔵省のほうに聞いておきたいと思います。  こういうことは前々から予想されておることなんですね。そこで、たとえば災害の場合も一つありますですね。災害被害にあえば、それの減収に対してはいろいろな税の恩典を見ておるわけですね。これは補償金をもらった。だから、一時所得とみなすのだ、あるいは農業所得とみなすのだ——一時所得農業所得とではたいへんな違いになると思いますが、農業所得とみなすのだと、こういう決定を大蔵省はして、そのように農業所得とみなして課税をするような通達をしたと、こういうことになっているわけですが、こういうことについては、どういうことなのか、一通り説明をしてもらいたいと思います。  なお、なるたけまとめて答弁をしてもらいたいから聞きますが、汚染のたくさんなところと少ないところによっては、一〇%でいいとか、あるいは四〇%は必要経費として引くというような、そういう基準も何か出ておるやに聞いておるわけですが、ここでこまかい御答弁にならなければ、あとで資料としてお出し願えればそれでもけっこうでございます。
  8. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 最初の、こういう農業に対する災害と申しますか、農業一種補償に対してどういうように税制上考えておるかという御質問でございますが、現在、災害でありますとかいうことで心身などに加えられました見舞い金あるいは慰謝金というようなものについては、非課税扱いをいたしております。ただ、事柄の性質が、一種事業が何らかの形で通常の収益を生まない、それに対して事業補償的なものであるというようなものについては、これは事業所得と  いう形で課税が行なわれているわけでございます。このカドミウム黒部市の問題につきましては、後段の御質問の具体的な資料としてどういう扱いをしておるかということにつきましては国税庁のほうで資料を出さしていただくことにさしていただきたいと思いますが、原則といたしましては、これは農業所得に対する補償である、事業補償であるという解釈をとっているのではないかと考えております。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは、出したほうの会社でいえば、当然損金に算入できるわけですね。
  10. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 損金になると考えております。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、理屈はいろいろなことがあると思います。それから大蔵省立場もわかるわけですが、出すほうの側でいえば、あなたは慰謝金については課税対象にはなりませんよ、こういうことをおっしゃったのだが、なるほどそれは事業所得とみなすことができるかどうかというところが一つ問題点だと思います。損害補償だといえば損害補償になるんですから、そういうものを大きくいえば事業所得ですよと言うが、受けたほうでいえば何もそれがために非常に得をしておるわけじゃないんですね。おそらく、補償金というものは、いろんなことを言いますけれども、損が百あれば、それに対して九十でうまるとか八十でうまるとかということはあると思うんですが、百十でうまるということはないと思うんです。たとえばダムをつくるときに田畑なんかに対して離作料とかいろんなものを払う、そういうのと意味が違うと思うんですね。これ全くたいした税額ではないと思うんですよ。こういうカドミウム汚染なんかに当たられた人たちの精神的なショックは大きい問題でしょう。それからこういうところから出すという精神的な苦痛というんですか、そういうものは、事業所得ではなくて、弔慰的なあるいは慰謝的な意味というものも相当入っておると思うんですよ。ですから、そういうものをどういうふうに見るかというところだと思うんです。単に所得があったんだから税を取るのは公平の原則なんだからと、こういう発想だけでやられてはたいへんなことと思うんです。全く黒部人たちは私は戦々恐々としておられると思うんです。いつ発病になってくるかどうかというような点について非常に不安になっておいでになると思うんです。そういう点については何ら考慮せずに、単に金が入ったんだから、しかも、それを被害の多いところに必要経費は一〇%だ、四〇%だというような全く杓子定規的な扱いというものはいかがなものであろうかというふうに考えておりますが、どうでしょうか。
  12. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 私が先ほど申し上げまして、一種所得補償であると申し上げましたのは、税制上のたてまえを申し上げたわけでございます。ただ、いま先生のおっしゃいましたように、具体的なケースにつきまして、事業に対する一種所得補償であるか、あるいは弔慰金的なものであるかどうかということは、具体的なケース個々ケースについて具体的にやはり考えてみないといけないことだと思います。私どもたまたま税制所管しておりますたてまえで原則を申し上げたわけでございまして、いずれ具体的なことについては、もしも資料の御要求がございますれば、税務執行を行なっております国税庁のほうから提出させていただきたいと考えております。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 きょうは実は国税庁の方はお見えになっておりませんけれども、そういうことは国税庁のほうでやっていいんだとおっしゃるよりも、あなたが、事業所得ならば課税ですよ、慰謝料的なものなら非課税ですよということなんだと、それは個々ケースによって違うんだ、こう言われるんですが、それは国税だからおれは知らぬ、こういうのじゃなくて、審議官として、こういうものはほんとう所得と考えられるものなのか。少なくともカドミウム汚染によるところの汚染田に対して補償をしておるわけなんですよ。それはあくまでも事業所得というふうに解釈されるのか。厳密に解釈してもらえば答えが出ると思うから、何らまだ検討しておりませんよということならそれでもよし、どうなんです。
  14. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) この補償金事業所得であるかどうかということにつきましては、私は、ある新聞で読む限りでは、これを事業所得であると読むのはむずかしいかと思います。ただ、事業に対する所得補償するものであるかどうか、所得補償するものであるか、あるいは慰謝料あるいは見舞い金性質を有しておるものであるかどうかということについては、さらに具体的なケースを承知さしていただかないと判定がつかない問題であろうと思います。確かに、補償金そのものを、先生のおっしゃる意味での事業所得と観念することについては問題があるかとも思いますが、事業——この場合でごさいますと農業所得でございますが、それにかわる補償である、所得補償するものであるということについては、そういうことがあり得るのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  15. 藤田正明

    政府委員藤田正明君) ただいま吉田審議官答弁しましたように、業事所得であるのか、あるいは慰謝料的な性格であるのかというのも、まだはっきりいたしておりません。今後政府といたしまして検討いたしまして配慮いたしたい、かように思います。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実は、国税庁といえば国税庁ですが、大蔵省としては態度はもうきちっときまっているんですよ。補償金農業所得と見ていると思うんですよ。だから課税をするんですよ。しかし、そのときに、課税対象からは、必要経費があるだろう、だからそれは肥料代なんぞは引きますよ、こう言っているわけですよ。ですから、ここでおっしゃっていることはわかります。わかりますが、現に通達が出て言っていることは、もう農業所得とみなしちゃっているわけです。だから問題にしているわけですよ。
  17. 藤田正明

    政府委員藤田正明君) ただいまのカドミウム黒部の件でありますが、具体的なことがいまわかりませんのではっきりしたことが申し上げられないのが残念でありますが、通達がそのように出ているかどうかということは、即刻調べまして、また、検討いたしたいと思います。
  18. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 藤田政務次官の言われることは全くそのとおりだと思いますから、またこの問題は後刻やりたいと思いますが、そのときには、少なくとも出された通達ということよりも、今後、公害の問題というものは、単に黒部だけの問題でなくて、御案内のとおり安中にもございましょう。まだほかにもいろいろな問題で公害の問題はあると思います。そして、これは、単にいわゆる農業所得ぐらいではなくて、ほかにもいろいろあると思いますから、いろいろと広範な影響もあると思いますから、慎重に御検討いただいて、そのときにあわせて御答弁を願うようにしたいと思います。  それから次に伺いたい点は、農林省のほうにちょっと伺いたいのですが、これは全く大蔵委員会とは無関係といえば無関係な話になると思いますが、まあ農林委員会等でやっていただくのが本来なんでありますが、一言聞いておきたいと思います。それは何かというと、たとえば野菜生産地指定ということをやりますですね。で、税金がそちらのほうに相当多額に、多額といっても二十六億ぐらいですが、今度の予算では三十億前後だと思いますが、それにしてもそういうお金が使われているということは、物価対策上、あるいは野菜の値段というものを少しでも下げようじゃないかというような問題も中に含まれているだろうと思いますが、そうした場合に、そうしたことをやれば、共同出荷というようなことが義務づけられておるやに聞いておるわけなんですが、私がお尋ねしたいポイントは、少なくともそういうふうに国のお金が使われておる以上は、ただ単に出したらおしまいではなくて、それがどういうふうに効果をあげておるかという追跡調査を、少なくとも野菜指定生産地については追跡調査をやっておいでになるかどうか、その点がお聞きしたいのですが。
  19. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 実は、私、農政局の参事官でございますので、的確に野菜の問題でお答えできるかどうか問題だと思いますが、知っている限りお答えいたしたいと思いますが、お説のとおり、野菜等生産につきましては、生産地を指定いたしまして計画的な出荷をするということを指導いたしております。問題は、いま御指摘のとおり、補助金を出しっぱなしにして、効果等点検といいますか追跡調査をやっておるかどうかという御質問でございますが、従来からも追跡調査につきましては随時やっておりましたけれども、特に最近の野菜値上がり等に際しまして、農林省におきましても、野菜その他の農産物の価格対策につきまして本部を設けまして推進をいたしておるわけでございまして、その一環として現在追跡調査をいたしまして、これはどういうようなルートでもって価格形成が行なわれておるかということを現在調査をいたしておるわけでございます。
  20. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が知り得ておる範囲は、追跡調査をやられたら、何で補助金をいただいたか、引き揚げなければいかぬようなところがたくさん出ると思いますが、そういう場合にはどういう措置をするのですか。
  21. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 補助金効果点検というような意味合いからの追跡調査ということではございません。いわば野菜の末端におきます消費者価格形成の内容といいますか、そういうような調査をいたしておるわけでございまして、その結果補助金をどうのこうのということは実は考えておらないのでございます。しかし、問題は、それとは別にいたしまして、主産地形成その他の施策十分効果をあげているかどうかということの点につきましては、別途私どもこれは調査また点検をしなければいけないと考えております。
  22. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が言っていることとあなたの御答弁とは全く逆なんでして、あなたは生産地で一本幾ら大根消費地幾らになっておるかということは調査しておると言うが、私はそういうことを言っているのじゃない。少なくとも国費が使われておるじゃないか、その国費がどれだけ貢献をしておるかということを追跡調査をしていただいて、意味がなかったらやめたらいいと思う、簡単に言えば。共同出荷を半分以上やらなければいかんということをきめて、もしそれをやらなければ補助金を引き揚げるとか返してもらうとか思い切ったことをやらなければ意味のないことだと思うのですがね。農林省というものは、補助金を出してしまえば、金を出してしまえば、それでおしまいで、あとどうなろうとも、それは会計検査院が指摘するとか、よその役所のやることだと、そういう無責任なものなんですか。
  23. 岡安誠

    説明員岡安誠君) やりっぱなしというようなそういう施策をやっているわけではございませんで、当然その効果につきましては点検をしなければなりませんし、私ども野菜の主産地指定等につきましては、単年度の事業としてやっておるわけではございませんで、継続的にやっておるわけでございます。したがいまして、おっしゃるとおり、その効果が現にあがっているかどうか、これは十分点検いたして今後の施策に反映しなければならないと考えておりますので、御趣旨の点、十分拝聴いたしまして、今後最も効果のあるように施策推進につとめたいと考えております。
  24. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いまの物価の問題でいろいろな議論がされておりますよ。それは何かというと、生鮮野菜が一番高いじゃないか、これが一つ大きなウエートを占めておるということは、もう百もわかっておることですよ。それを今後やりますじゃ、全く手おくれじゃないですか。少なくとも主産地形成してそしてそれを政府流通ルートの上に乗せてやるというところに主産地形成補助金が出ておると思うのです。額が多い少ないということはありますが、とにかく出ておることは確かなんです。それが目的に合致しておるのかどうか。ましてや、出した補助金については、義務というものが必ず裏づけられておる。その義務が施行されておらないというならば、補助金を返してもらうというのが私は原則だと思います。しかし、片方でいえば、耕作農民立場から見れば、全くこれだけの価格よりも下回った場合は買い上げるという最低保証方式がとられておるようですが、その価格というものは非常に安いのですから、平均の五年間の七掛けなんというべらぼうに安いから、耕作農民でいえば仲買いにどうしても売らなければやっていけぬじゃないかという理屈があるとするならそれを排除するとか、着々と次の対策というものが講ぜられると思うのです。それが、何も調査もしておらない、これからやりますんだといまあなたここで答弁されましたけれども、これはおそらく来年もおやりにならぬと思うのです、こんな調子じゃ。ほんとう野菜というものが一つ物価高のたいへんなものになっている。大根でいえば、五十円のものが二百円も新宿へ来るとしている、こんなばかな話はないじゃないか、どうなんだいというようなそういう流通機構の問題もございましょう。ありますが、その前に、どこでくずれておるかというと、せっかく出された補助金が生きておらないところに問題があると思うですよ。だから、私は、何といっても追跡調査と申しましょうか、出した補助金というものが生きて、そして少なくとも共同出荷まではルートに乗ったんだ、そこまでは乗せるんだと。それからまたいろんな問題が出てくると思うんですが、まず第一段はルートに乗せてもらわなくちゃならぬ。もしそれにネックがあるとするなら、そのネックというものは何だ、それを排除する努力農林省所管なんですからやってもらわなくちゃならぬと思いますが、どうでしょうか。
  25. 岡安誠

    説明員岡安誠君) ちょっと最初にお断わりしておきましたが、私は所管の局におりませんものでございますから、こまかい点をお答えできないで、はなはだ申しわけないと思っておりますが、先生のおっしゃるとおり、野菜につきましては、その計画どおりにまず乗っかるということが先決であろうと私どもも考えております。そこで、そういう点につきましていろいろ問題があるとするならば、これは改善しなければならないということを申し上げたわけでございまして、さらに先生の御趣旨をよく伝えまして効果があがるように努力をいたすということをお答え申し上げたいと思います。
  26. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の守備範囲じゃないということをおっしゃる、そのこともわかりますし、これはもちろん大蔵委員会でございますから、農林委員会等十分論議をされる問題だと思いますが、しかし、いま申しましたような点は大事な点だと思いますから、ひとつどういうかっこうかで農林省として前向きに、これはおれの守備範囲だとかなんだとかということじゃなくて、そういうふうな繩張りじゃなんにもできないことですから、十分に留意してやってもらいたいと思います。  次にお尋ねしたい点は、これはまことに言いにくいことなんですけれども、どこで御答弁いただくのかちょっとわかりかねますのですが、外国で「ゼンガクレン」ということば日本語で通るんですね。「ノウキョウ」ということば日本語で通るわけなんです。これは一体どういうことなんだといえば、全学連は非常にゲバ棒でやったというので有名だ。農協金使いが荒くて相当観光をおやりになる。一体それほど金があってしかるべきものかどうかというところに私は非常に問題があると思うんです。あるいは休耕補償ハワイ旅行をしたというような話もあるわけです。それの真偽のほどは別にして、一体、耕作農民から見れば、実際米はつくりたいわけです。それを生産調整だといって強引に押しつけられてしまう。これもたいへんなことだと思うのです。そういうようなものに対して、少なくとも公平の原則から照らして、片方は休んだ金で、寝ていれば金が入ってくると。だから、おれはそれを持っていくよということじゃ、何か納税意欲というようなものがそがれるようになってしまうんですね。ですから、そういうようなことについては、農林省としてどういうような指導体制をとっておみえになるものなのか。私も、一反三万何がしという数字が妥当であるかないかということは非常にむずかしい問題だと思いますけれども、まあそういうふうにきまっているんですが、どういうような指導の姿勢を農林省はとっておみえになるか、一言お伺いしておきたいと思います。
  27. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 農協というのが外国で非常に名前が有名であるということは私どもも聞いておりますが、いろいろ農業関係が最近国際的な交流が多くなったということのほかに、御指摘のとおり、団体を組みましていろいろ外国のほうの見学に参る、そういうことでその団体が目につくというようなことだと私ども聞いております。ただ、私どもは、そういうような現象だけをとらえまして、現在農業関係があり余った所得をあげているというふうには実は考えないわけでございまして、従来は、いわば食うことがなかなか困難な状態もございましたけれども、最近は、いろいろ計画的に生産をすれば、たとえば年をとった父親なり母親なりにつきましてこれをいろいろなところに一時保養にやるようなそういうような余力といいますか、農業自体が当然持ってあたりまえであるような余力を備えた農家も出てきているというふうに実は私ども理解をいたしておるのでございます。したがって、そういうことで、今回の生産調整につきまして、たとえば休耕についても奨励金をやるのが妥当かどうかということがもちろん御意見としてあるわけでございますけれども、私どもは、そういう休耕というものは、本来それをたてまえとしてそれを第一義的に推進をしていただくというふうに実は考えておらないのでございまして、現在の農業の実情からいきまして、米の生産を減らしまして他の作物に転換をしていただくということを第一義的に推進をいたしたい、そのための奨励金というふうに実は考えております。ただ、農家がいろいろ転作の作物を選んだり、それから実施をする場合におきましては、いろいろの準備、たとえば土地条件の整備なり、技術の導入なり、その他いろいろの準備がございまして、一挙に相当大面積を転作をするというわけにはまいらない場合におきましては、やむを得ず休耕という場合があり得るだろう。しかし、その休耕というものも、ぜひ私どもといたしましては御協力をいただくという意味合いから、額は差をつけてございますけれども奨励金ということでお出しいたしまして国策に御協力を願うというところを趣旨にいたしておるわけでございます。したがって、遊んでいて金をもらえるとか、遊んでいる者にも金をやるという趣旨で私ども奨励金を組んでおらないということをひとつ御了解いただきたいというふうに考えております。
  28. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私ども、農民の側から見れば全く迷惑な話だと思うんですよ。ですから、そういう点について補助金をお出しになる、これはけっこうです。税金に対しても、そういうものに課税するというのは全くけしからぬ話だと思いますから、これはこれでいいわけです。しかし、いまお話のございましたように、休耕をするだけじゃなくて、なるたけ転作をするように、土地を遊ばしておくのはもったいない話だから転作を奨励しますよ、こういう話ですが、現地で若干お話を聞いてみますというと、転作をするときに何をつくったらいいのか村で困っちゃっているわけですね。村長さんをはじめ、あるいは町長さんは、全く頭痛はち巻きなんですよ。農業指導員にどうしたものだろうと聞かれても、農業指導員も困っちまう。野菜をつくりなさいといってつくったけれども、それはどうにもならない。出荷ルートに乗っていかない。買いたたかれちまう。全くたいへんで、転作はしたいんだけれども転作はできないというのが実情だと思うんですね。ですから、米が余ったんだから休耕してくださいよ、休耕じゃどうもいかぬから転作をと、大体こういう順序に来ていると思うんですよ。転作の構図というようなものはまだ描かれておらぬのではないですか。それに、農林省としては相当具体的な案というものができてそういうことをやられておるのかどうかという点に私は非常に疑問に思っているんですよ。どうも、休耕だ、それをいかぬから転作だというふうに思いつきで来たそこまでで、具体的な施策には入っていないのじゃないかというふうに受け取っておるわけです。耕地面積の中でいえば何%はもうすでに転作しておりますよという数字が出ておるかもしれませんけれども、それは、農民がどうにもならずに、農民がここら辺じゃなかろうかと思って、非常に心配しながら、危惧を持ちながら、土地を遊ばせておくのはもったいない、自分の労力も遊んでいることだから、ひとつやってみようじゃないかという、そういう転作であって、それがほんとう農業所得を補っていくなり、あるいはその労働が社会に貢献するような、そういうものになっていないんじゃないか、生活に結びついていないんじゃないか、社会生活に結びついていないんじゃないかと、こういうふうに危惧をしておりますが、いかがですか。
  29. 岡安誠

    説明員岡安誠君) おっしゃるとおり、大々的なといいますか、相当大規模な生産調整は四十五年度から実は行なったのでございまして、四十五年度におきましては、大規模な生産調整の初年度ということもございまして、農林省といたしましては転作等を中心に奨励をしたつもりでございますけれども、なかなか準備の点等もございまして、奨励金につきましても休耕一本ということもあったかと思いますけれども、必ずしも大量な転作面積というふうには実は考えておりません。現に、四十五年度の実績におきましては、転作の面積は約七万ヘクタールでございまして、全体の生産調整の三十三万ヘクタールのうちではその占めるウエートは少ないというのが現状でございます。ただ、私どもは、四十六年度は二年目にもなるわけでございますし、生産調整の意図また転作についての農林省の考え方等も浸透をいたしてくるものというふうに期待をいたしております。また、先般、地域分担その他の案も公表いたしました際には、米は相当減らしましてほかの作物に転換すべきであるという趣旨も公にいたしたのでございまして、私どもは、昭和五十年度の年次におきましては、現在の水田面積のうち約五十万ヘクタールはほかの作物に転換されるものと、また、していただきたいというふうに実は期待をいたしておるのでございます。もちろん、この五十万ヘクタールというのは、一挙にやりますには相当大きな面積でございますので、私どもは、やはり順次年次を追いましてこれを実施をするということで、とりあえず四十六年度は約十五万ヘクタール程度の転作というものから実施いたしまして、目標年度の五十年度に約五十万ヘクタールの転作を実現いたしたいというふうに考えております。このためには、改良普及員その他の技術員を総動員いたすことはもとより、そういう技術指導のほかに、現実に転作を実施するために必要な施設を充実するために、四十六年度におきましてはこのために約四百億円の補助金等を準備いたしております。これらをあわせまして、私どもは、年次を追いまして計画的に転作を推進いたしたい、かように考えておるのでございます。
  30. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 御答弁で、大体、休耕から転作、そういうものに随時移行していく、あるいはそういうところに力を入れていくのだ、予算もそのために相当つけたい、こういう御答弁で、たいへんけっこうだと思います。先ほども申しましたように、農家は、もう米がどうかというようなことは農民自身がよく知っておりまして、そして、農民自身も、これではいかぬじゃないか、とすればどうしたらいいのだろうということになれば、おのずから転作というものが出てまいります。ですから、私は、その対策というものを誤らずに適切に、あなたがおっしゃるように、改良普及員なら普及員のところに各県別にずっとやっていくようなふうに全くルートに乗せるような、そのためには法律改正等が必要だと思いますけれども、そういうものが先になされないと、農民は、心配ということより、不信感というものがある。そういう不信感というものが起こることのないようにひとつしていただきたい。その辺は、税金を免除するということぐらいでは事が終わらない。それは全く後向きな措置なんですからね。前向きな措置というものが国会でとられるようなふうになると非常にいいと思いますから、ひとつそういう点で御努力願いたいと思います。  それから、最後に、これは大体所要資金は五億と言われておりますが、四十万に上がって、どう言ったらいいですか、納める額と申しましょうか、逆に言えば、ほんとうに一戸で大きく休耕される額というものはどのくらいに押えておいでになりますか。面積はわかるわけですが、今度は、個人で一番大きな面積というものはこのぐらい休耕するのだ、そしてそれに対する補償がこのぐらいになる、だから税額はこのぐらいだというような、そういう非常に上位な人たちと、それから五億といえば休耕人員に対しておおよそ納税人員というものはどのぐらいになるかということをお答え願いたい。
  31. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 政府側としてお答えしていいことかどうか多少疑問かと思いますが、私どもが四十四年度あるいは四十五年度の奨励金支出の実績等から考えますと、五億の見込みというのは大体妥当なところではないかと考えております。と申しますのは、四十四年度の場合は、きわめて少額と申しますか、四十五年度に比べまして十億円程度の実績がございましたわけでございますが、それについて、サンプル調査と申しますが——全部の課税状況をいま先生のおっしゃいましたような所得別ということではこの問題について調べることは困難でございますので、北海道におきますおもな税務署で調べましたところ、二百七十五件の交付金の支給が行なわれたわけでございます。それにつきましては、一時所得特別控除三十万をこえるために、一時所得として申告のございましたものは五件でございます。そのうち四件につきましては、課税最低限以下でございますので、納税額がなく、結局、納税があったのは二百七十五件中一件であったというのが四十四年の実績でございます。四十五年につきましては、これはやはり一時所得特別控除額は三十万ということになっておりますが、その前提で一応推算いたしてみますと、生産調整奨励金約千百二十億の実績があると見込まれるわけでございますが、その中で、休耕と転作との割合、あるいは納税者の割合等を勘案して計算いたしますと、課税所得といたしまして五十億程度が減少するのではないか。それに対しまして税率最低の一〇%を掛けますと、五億程度の減少になるのではないか、かように推算いたしますと、この御提案の五億というのも妥当な金額ではないかと考えております。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 直税部長さんがおいでですから、カドミウムのことについてちょっとお尋ねしたいと思います。  あなたのほうの通達が出されたようにテレビなりあるいは新聞も報道しておりますからお尋ねするのですが、これは全部が農業所得なのかどうか。これは今後まだこういう補償金の問題はいろいろ出てくると思います。それからもう一つは、イタイイタイ病でいえば、本人がもらう補償金というようなものもありますね。もう会社に勤めることができなくなって、それでそれに対してやったと。ただ単に入院費だけじゃなくて、生活全体がこわれたというような意味所得として補償されるというようなやり方というものも今後起きてまいるわけです。ですから、今度の汚染田に対する補償課税というものが大きな影響がある問題ですからお尋ねをするわけなんですが、どういうふうに立場上しておみえになるのか。
  33. 江口健司

    説明員(江口健司君) 一般論はあとにさしていただきまして、けさ、「朝日新聞」に、富山県の私のほうでは魚津税務署管内の問題でございますが出ておりまして、実は、私のほうから本件につきましては特に通達をいたしておりません。したがって、新聞等を拝見いたしまして急遽金沢局のほうに事実関係を確かめたわけでございます。その結果をお話し申し上げ、法律的な根拠も御説明すれば、おわかりいただけるかと思います。  けさほどの金沢局からの報告によりますと、現地での補償の額は、四十五年の水稲に対しまして、十アール当たり六百二十五キログラム収穫という前提で八万四千円の補償金を支給するという約束が日鉱三日市製錬所と現地との間できまったようでございます。この六百二十五キロ十アール当たりの収穫というものは、どういう根拠でこういう数字が出たのかは、当事者同士の話し合いの模様でございまして、私ども税務当局のほうでは参加しておりませんので、計算の根拠等はつまびらかではございません。結論としては、いま申しましたように、十アール当たりの六百二十五キロとして八万四千円ということでございます。そこで、魚津税務署のほうから局のほうに、本件についてどういう取り扱いをするかという緊急の問い合わせがございまして、局で検討の結果、次のような回答をいたしてございます。これはもちろんあとで申し上げます法律に根拠を置きまして局のほうから判断した結論でございますが、この魚津税務署の公害地域の隣接地域の十アール当たりの平均収穫量は、税務署の調査によりますと、四百八十一キログラムでございます。これは四十五年度産米についての調査の結果に基づく平均値でございますが、これに対する金額六万七千二百二十円が収入金額になるわけでございます。そこで、この四百八十一キログラムの私ども調査による平均十アール当たり収穫量と、六百二十五キログラムの話し合いできまりました収穫量との差額をどう考えるかという判断でございますが、局のほうでは、実際の見込み収穫量よりもこえたものを見ておりますので、その差額の百四十四キログラムにつきましては、いわゆる心身と申しましょうか、精神的な負担に対する補償金であろう、お見舞い金であろう、こういうふうにみなしまして、これは非課税の規定——所得税法の九条一項二十一号でございますが、この規定の適用ありと判断いたしまして、課税をしないことにしてございます。そこで、一般の平均の収穫量四百八十一キログラムに対応するものとしては、これも税法に基づきまして、税法の施行令でございますが、九十四条の規定がございますが、これに見合ったものとして一応収入とみなす、と。ただし、これには経費がかかるわけでございますので、青田刈りの場合——本件の場合には青田の段階で刈り入れをし焼却をしておると、こういうことでございますので、青田刈りの場合の必要経費十アール当たり一万五千七百二十円、これを必要経費として引くことにいたしまして、先ほど申し上げました六万七千二百二十円からいま申し上げました必要経費一万五千七百二十円を差し引いた差額五万一千五百円を十アール当たりの所得標準として指導をしたわけでございます。  税法の関係を申し上げますと、先ほど申しました所得税法九条一項二十一号に、補償金見舞い金あるいは損害賠償金等についての非課税の規定がございますが、それに関連のあるものといたしまして、施行令の九十四条に、そうした場合の収入にそのうち入れるべき金額をどういうふうに計算するかという規定があるわけでございますが、一応収穫がなかったものに対応する見舞い金あるいは損害賠償金というものは、この九十四条によりまして収入に計算するという規定になっておりますので、現在金沢局が指示をしております内容につきましては、この法令に基づいて誤りなき指導をしたものとわれわれは考えておるわけでございます。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたのほうの処置というものが、当・不当のことは別として、筋論としては一応のことは御説明でわかりました。——賛成じゃございませんよ。わかりましたが、そうしますと、余分に出たものは、これは弔慰的なものがあるからいいと。そこで、平均的なものは、いままで例年のその周辺の平均的なものは農業所得とみなして課税しますよと。しかし、農業課税なんだから、当然必要経費を引きますよと、こういうことなんですね。そうすると、四万九千五百円ですか、四万九千円ですか、どれだけが課税対象になるんですか、ちょっとその差額の十アール当たり……。
  35. 江口健司

    説明員(江口健司君) 四百八十一キログラムというのがこの地域での平均十アール当たりの収穫でございます。この金額が六万七千二百二十円でございます。これに対応する青田刈りのための必要経費が一万五千七百二十円でございます。これを差っ引きますと、差額の五万一千五百円というのが本件地域での十アール当たり所得標準ということに相なります。  ちなみに、御参考まででございますが、話し合いのつきました六百二十五キログラム八万四千円という金額のいわゆる一俵当たりの金額、六十キログラム当たりの金額を見てまいりますと、一万三千四百四十円ということで、おおむね四十五年産米の三ないし四等米の中間という単価のようでございます。この辺はどういう話し合いになりましたか、当事者に加わっておりませんのでわかりませんが、結果的に見ますと、三、四等米の中間価格ということで計算したようでございます。——失礼しました。いま六十キログラムと申し上げましたが、百キログラムでございます。
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは今年度の話ですね。
  37. 江口健司

    説明員(江口健司君) 四十五年分の農業所得の問題でございます。
  38. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは日鉱の三日市製錬所が全国の初めてのケースでしょう。
  39. 江口健司

    説明員(江口健司君) 私どものほうでキャッチしております事例としては、初めてのようでございます。
  40. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この汚染が出たのは、四十四年が初めてですか。四十四年、四十三年、どうでしょうか。
  41. 江口健司

    説明員(江口健司君) この地域で私ども聞いておりますのは、四十五年分が初めてでございます。
  42. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が質問しておるのは、こういう汚染というものは四十五年にごそっと初めて出たものですかと聞いているんです。
  43. 江口健司

    説明員(江口健司君) 安中地区で四十四年分について別な形態のものがあったと思いますが、ちょっと手元にこまかな資料を持っておらないのでございます。
  44. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 お百姓さんの立場——あなた方のほうは、簡単に、平均よりもこれだけこえた分だからこれは弔慰金的な性格のものですよとあっさり判断したのだが、交渉の過程の中では、カドミウム汚染というものは、去年もあったのじゃないか、おととしもあったのじゃないか、工場ができたときから。そうして、そうしたものは、食べちゃってわれわれの身体に入っている。もちろん、それは、供出すれば全国にばらまかれると思うわけですよ。ところが、そこの人たちは、それだけを食べておるから、もっとたいへんじゃないかということで、平均を上回ったその上乗せ分は、ただ単なる四十五年度分のものでそれはことしの分だけだというより、ずっと前の分まで相当入った加算じゃないかと思うんです。ですから、その算定方式はいろいろあると思うんです。どういう形でやったかと思うのですが、単に上乗せ分だけが弔慰金ですよというやり方は、それは税務署としてはそういうものは一つの発想としてあると思うんです。しかし、納めるほうの農民でいえば、われわれはそうじゃなくて、もっとたくさん補償がもらいたかったんだけれども、ここまで縮められちゃったんだ、だからおれのほうではもっと補償額が多いんだよと。精神的なショック、あるいは今後予想される自分の寿命が幾日縮んだなんということはなかなかわかりっこないのだけれども、そういう点についての補償が占めているのは、あなたのほうでいえば平均を上回ったものだけですよと、こういうことだけには農民は受け取らぬと思うのですがね。あるいは、会社のほうも、上乗せした分だけが全くお見舞い金ですよというものじゃないと思うのですがね。もう少し弔慰金的な精神的なショックというものを重く見てやっておるというふうにあなたのほうは解釈して運営をしてやっていくというのが行政じゃないかと思う。何でもいいから引き算さえすればいいわいということだけじゃ、ちょっと考えとしていかがかと思います。あるいは、必要経費とするなら、相当働くことを休んだ、それに対しては折衝もあったと思います。あるいは自分たちも何日か寄り合って相談もしたことだと思います。そういうようなものは必要経費じゃございませんよというなら、やはりそういうやり方というものがいいものかどうか。取る側と納める側というのは、これは相反するものですから、いろいろと意見の食い違いということはあってもしかるべきだと思いますが、もう少し農民の側に立ってやれば、農民としては非常に言い分があるのじゃないかと思うのです。そういうようなことについては、何ら考慮を払う用意はございませんか。あなたは、金沢の局のとった措置は妥当なものだと頭からきめ込んでおられるのですか。
  45. 江口健司

    説明員(江口健司君) ただいま先生の御指摘、まことにごもっともだと思います。私どもも、当委員会の質問の有無にかかわらず、けさ新聞を見まして、急遽どういう実態かということを調べて、その旨をただいま御説明したわけでございますので、御指摘の点はもっともだと存じますし、幸い現在まだ指導中の期間でございますので、もう少し実態を私どものほうでも確認をいたしまして、局のほうとも相談をいたしまして、先生の御趣旨に合う状態のもとに話がされ、あるいはまた、われわれの判断としてもそのほうが適切であれば急遽措置をしてみたいと思います。
  46. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何ぶんにも二月十五日から申告が始まるわけですが、十五日の大蔵委員会はないわけです。この次は十六日しかないわけです。そこで、こういう問題は、先ほども申しましたように、将来に相当影響を及ぼす一つの一番最初ケースだと思いますから、ぼくは国税庁立場もわからないわけではないが、納めるほうの立場も、喜んで納税ができるということが一番いいことなんです。私は、公平の原則というものは、いろいろなことがあると思うんです。租税特別措置法の中からやってみたり、いろいろ問題があると思いますから、そういうような立場から大きな視野に立って、しかも、公害の問題というものは今後大きな発生をする問題でございますから、運用というものは十分配慮をして、あなたのおっしゃるように十分検討されて、血の通った納税が行なわれるようなそういう行政と申しますか納税制度を確立していただくことをお願いして、私は質問を終わります。
  47. 渡辺武

    ○渡辺武君 この議題になりました法案によります減税措置ですね、これの対象となる奨励金、これは総額が一千百二十六億円ということでしょうか、それからまた、四十六年度は大体どのくらいの額になる見通しでしょうか、その点をまず伺いたい。
  48. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) この法案の対象になる奨励金の支給は、お話のとおり、千百二十六億円でございます。それから四十六年分の予算におきます生産調整奨励金の総額は、千六百九十六億円でございます。
  49. 渡辺武

    ○渡辺武君 昨年が千百二十六億円で、四十六年度つまり本年度が千六百九十六億円ですね。ふえておるわけですけれども、今後も奨励金はふえる傾向を持つというふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。
  50. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 昨年とことしにおきましては、奨励金につきまして、まず目標の面積が違うということが一つございます。昨年は、一応百万トンという目標でありまして、実際は百三十九万トンできました。来年度は、一応私どもは二百三十万トンという目標でいろいろ生産調整をいたしていきたい。それから単価につきまして、昨年は休耕奨励金一本で計算しておりますけれども、今回、転作を奨励する意味におきまして、転作のほうにウエートを置きまして、休耕のほうは下がるという操作をいたしまして、単価的にも違っております。  今後ふえるかという御質問でございますが、私ども、先ほど申しましたように、大体二百三十万トンがらみの生産調整は今後とも継続いたしたいと思っておりますけれども、中身におきましては転作をふやしていきたい。来年度は大体転作のほうは十五万ヘクタールということを一応考えておりますけれども、これがだんだんふえていく。そういうふやすということになれば、その結果、転作に対しまして交付する奨励金休耕に対しまして交付する奨励金が違います。その限りにおきましてはふえるということも考えられます。なお、もちろん、単価等につきましては、今後なお財政当局と析衝する余地がございますので、単価が若干変動すれば、また増減があり得ると考えております。
  51. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、年々相当に多額奨励金を支出するということになろうかと思うのですね。もちろん、この奨励金は、政府の責任で増産をさした米作、これをこの段階に来て生産制限しろということで、また政府が言ってみれば農民の意図に反して押しつけておるということで出しておる金ですから、これは出すのは当然ですし、そうしてまた、いま議題になっております法律案に出ておりますように、これに税をかけるというようなことはやるべきではない。これは当然のことだと思うのです。しかし、それにしましても、千数百億円という国の金を支出するならば、その金が十分に有効に生かされなきゃならぬだろう、これは国民だれもが当然考えることだと思うのですね。その見地から見てみますと、この生産調整奨励金が従来十分に役に立っていたかどうか。私は、あまり役に立っていなかったんじゃないかというふうに考えるんです。いまの御答弁の中に、当初生産調整百万トンであったのが百三十九万トンに達したということで、表面的には生産調整が目標量よりもふえているように見えておりますけれども、しかし、内容を洗ってみますと、これは必ずしも国民にとってあるいは農民自身にとっても有効なものであったというふうには言えないと私は思うのです。  まず、考えてみますと、生産調整百三十九万トンのうち、休耕が六六%を占めている。つまり、休耕の比率が圧倒的に大きい。これに土地改良の夏期施行一二%を含めますと、合わせて七八%、これが大体休耕というふうに見て差しつかえないと思うのです。そうしますと、転換がわずかに二一%程度と、こういうことになるのですね。休耕の比率が非常に大きい、八割程度だということになりますと、これはいつでもまた米作に戻るという条件が可能性としては残されているというふうに見て差しつかえないと思いますね。さらに、転作の内容も調べてみますと、野菜が非常に大きく約四割を占めているというような状況でしょう。永年作物に転換するならば、これは米作に戻るという可能性はなかろうと見ていいわけですけれども野菜のような生産に転換したということになりますと、これまたいつ米作に戻るかもわからぬという条件だと思うのですね。こういうことでは、私は、やはり米過剰問題が正しく解決されつつあるというふうには見られない。一時的には確かに米作の削減が行なわれているとは言っても、いつ戻るかわからぬという状況です。したがって、せっかく出した奨励金も有効には使われていないんじゃないかというふうに思うのですけれども、一体その原因がどこにあると考えておられるか、まずそこを伺いたいと思います。
  52. 岡安誠

    説明員岡安誠君) お話のとおり、四十五年度の生産調整におきまして休耕が大部分を占めたことは、結果的には御指摘のとおりでございまして、私どもも四十五年度におきましても転作は大いに奨励をいたしたつもりでございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたとおり、全国的に大量の生産調整をいたしました第一年次でございまして、準備その他役所のほうの側におきましても必ずしも十分でなかったという点もございますけれども、受け取る農民のほうにおきましても必ずしも準備が十分でなかったということで、私ども、必ずしも二一%七万ヘクタールに及ぶ転作面積で十分とは考えておりませんけれども、一応の成果をあげたものというふうに実は考えておるのでございまして、四十六年度におきましては、この倍程度の転作になるようにということで順次進めるというのが私どもの方針でございます。御指摘の中でも、転作の中で永年作物に転換するのはいいけれども野菜等につきましてはいつでも戻れるんではなかろうか、これでは転作の意味がないという御指摘でございますけれども、もちろん水田がまず転換をいたしまして宅地その他になるということは水田がつぶれる第一でございますけれども、それらの面積におきましても、また、果樹等永年作物面積を推算いたしましても、なかなか私どもの予定しております五十万ヘクタールをこえるような水田の減少というわけにはまいらないというふうに実は考えております。現実問題といたしましては、それ以外のもの、たとえば現在でも不足いたしております飼料作物なり大豆その他のものにつきましては私どもやはり生産を希望しているわけでございますし、野菜等につきましても、これは計画的に増産をされるならば、ぜひ私どももそういうふうにお願いをいたしたいというふうに考えているものでございますので、そういうような作目につきましても私どもは転作を奨励をいたしたいというふうに思っております。御指摘のように、野菜については、いつでも米に戻れるんではないかという御指摘でございますが、確かに物理的にはそういうことも言われると思いますけれども、一度農家の経営の中に定着をいたしますれば、そう簡単に、ことしは野菜をつくり、来年は米をつくるというわけにはまいらない、やはり野菜農家は野菜農家らしい経営形態というものを整えるわけでございますので、私どもは、これらの面積等が相当程度安定性をもって農家の経営に定着するものというふうに実は考えておるものでございます。
  53. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま、飼料作物、大豆その他の作目の名前があがりまして、そういう方向に転換することが望ましいというふうに言われておりますけれども、私どもも、いま日本の農作物の自給率が年々低下していっているというふうな事態からしまして、何も外国から輸入するまでもない、国内でもってつくろうと思えば十分つくれるようなものがたくさんあるのに、それを農民につくらせないで外国から輸入するというようなばかな農政は一日も早くやめなきゃならぬというふうに思っております。したがって、いま日本で特に自給率の低い麦類だとか、あるいは大豆だとか、飼料だとか、さらに言えば野菜、あるいは畜産物、そういうようなものの生産の拡大と、米の生産削減と、両々相まって進めなければ日本農業の総合的な発展ということはあり得ないのじゃないか。むしろ、このままの状態でいま農林省のやっておられるようなやり方で米の生産調整を進めていけば、日本の農業自身が全体として先細りになるというふうに思っております。  そこで、考えますことは、いま申しましたように、農民がなかなか休耕はするけれども転作のほうに足を踏み出そうとしないその原因ですね。いま、初年度でいろいろ特殊な事情もあったというような御答弁ですけれども、私どもは、やはりそこのところはもう少し詰めて考えてみる必要があるのじゃないかというふうに思うのです。たとえば、これは農林省の発表したものですから御存じかと思いますが、「米と他の農作物の家族労働報酬比較」というのがございますね。一日当たりの家族労働報酬で比べてみますと、米が一日当たり二千七百九十四円ということになっております。これは作目の中では最高水準ですね。その次が鶏卵で二千三百三十三円、それから肉豚が千九百七十四円、次がミカンの千九百十六円、それから生乳の千八百四十八円というような順序になっている。つまり、同じように農民が働いても、その労働から来る報酬が、米が最高であって、そのほかの作物についてはずっと低いというような状況があるんです、客観的な現実として。だから、そういう現実をそのままにしておいて、そうして転作しろ転作しろとただ言うだけでは、これは農民としては当然転作はできない。だからして、条件さえ整えばまた一番報酬のいい米に戻ろうということを考えるのは、当然なことだと思うんですよ。一度野菜をつくり始めれば、それが農家の条件になって、米への転作は妨げられるとおっしゃいますけれども、そんなことはないですよ。農民の実情を見てごらんなさい。一体どれが一番報酬がいいかということで当然なことながら自分の作目を選ぶわけですからね。だから、その問題を解決しなければ、いま申し上げたような問題の根本的な解決はあり得ないと思うのです。その点、どんなふうにお考えになっておられますか。
  54. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 御指摘のとおり、現在、そういう労働報酬そのものにつきましては、特定の野菜等を除きますれば、米が最高であるというようなことになっておりまして、それ以外のものにつきましては相当低いわけでございますけれども、そういうものを放置したままで転作ということになれば、当然、おっしゃるとおり、より有利なものに行くというのは当然でございます。私どもが今回転作を進める場合におきましては、そういうような条件の改善ということもあわせてねらっているわけでございまして、たとえば生産性を上げるためには、規模の利益といいますか、規模を拡大しなければならない。それから機械等も、相当程度の高性能の機械を入れなければならないというようなことも考えまして、土地基盤の問題、そういう資本の導入の問題等につきましても、私どもは、先ほど申し上げましたように、四十六年度におきまして四百億をこえるような補助金をつけまして、あわせて条件の改善をねらっているということでございます。
  55. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がありませんので、あまり考えを十分に申し上げる余裕もございませんが、私どもは、それじゃだめだと思うのです。まず、第一に、いまの農産物の自由化ですね、これをやめて、外国農産物の輸入を制限しなきゃならぬと思うのですね。日本の国内で従来小麦などを十分つくっておった。ところが、いま、小麦の自給率がずっと下がって、大体二割台に下がっているでしょう。これは、小麦の輸入は自由化されているわけじゃないけれども、自由化同然ですね。どしどし外国の小麦が入ってきている。大豆、菜種にしても同じことだと思うんですね。外国農産物の競争の圧力で国内の農民の生産が非常に大きな打撃を受けているという条件のもとでは、転作しようにも転作できない。いまあなた方が言ったような基盤整備その他に規模の利益その他といいますけれども、一方でもって外国農産物のどんどん流入するのにまかしておいてそういうことをやろうと思ったって、これはなかなかできやせぬですよ。この点が一つです。  それからもう一つは、野菜なり畜産なりその他の農作物について、何よりもまず生産の安定ですね、そうしてまた、生産安定の条件になる価格の安定ですね、これをはかっていく必要があると思うんです。価格の安定をやるためには、これらの点について国が責任をもって価格保証制度をしっかりと確立するということが私は必要だと思うんです。そういう方向に進むおつもりがあるかどうか、これをまず伺いたいと思います。
  56. 岡安誠

    説明員岡安誠君) おっしゃるとおり、自由化といいますか、外国農産物の影響というものは、わが国の農産物の価格について非常な影響のあることは、御指摘のとおりでございますが、私どもは、まず、そういう弱いといいますか競争力の弱い農産物を育成するために自由化の障壁を設けておくということがいいかどうか、これは検討しなければならない。やはり、根本は、外国農産物にもたえ得るような基盤を持った農業にいたしたいというのが念願でございまして、そのために、自由化のテンポ、それから自由化に伴います措置等は、必要なものは措置をしていくというふうに実は考えておるのでございます。  それから価格の問題につきましても、私どもも、漸次転作等を進めていくにあたりまして、また、その奨励金等の施策推進するのに照応いたしまして、必要な価格の安定等の措置につきましては検討し、準備をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  57. 渡辺武

    ○渡辺武君 その問題につきましては、いずれ時間をとってゆっくり論議したいと思います。ただ、たとえば野菜の問題につきましても、いま行なわれている野菜生産出荷安定法でしたかね、あれによる価格保証の問題をとってみましても、農民に直接聞いてみますと、実際実情に合っていないと言うんですよ。たとえば私ども調べました群馬県の例で見ますと、キャベツの例ですと、キロ当たり生産費が二十六円六十銭というのに、保証基準価格はわずかに十九円五十銭ということで、少なくともこの保証基準価格生産費に見合うところまで引き上げてほしいという非常に強い要望があります。そのほか、補てん率などもいろいろ問題がありますが、これは私の持ち時間もほとんどなくなりつつありますので、またいずれ時間をとってゆっくり論議したいと思います。  もう一つこの際伺っておきたい問題があるんです。それは何かと申しますと、農林省のほうは、二月の二日の日ですが、二百三十万トンの生産調整目標の都道府県割り当て数量ですね、これを提示し、さらに政府買い上げ限度数量で七百六十万トンですね、これも提示したというようなことで、今年度の生産調整の実施に踏み切ったわけですね。ところで、これについて農協の中央会が非常に強い不満を持っているということは御存じのとおりだと思うんですね。  まず、第一に、生産調整に強制力を持たせるための買い入れ制限を一方的にやろうとしていること、それからもう一つは、二百三十万トンの目標数量、それからまた奨励金の額についても、農業団体との相談、了解なしに、政府が一方的に決定し、強行したということで、今回の生産調整には責任を持てない、政府の責任で行なえというような強い態度を去年とは変わって打ち出してきているというのがことしの特徴じゃないかと思うんですね。  それで、私どもは、農業団体がこういうような態度をとっている一番大きな原因は、従来政府は米の食管制度は守っていくんだということをたびたび言明しておったのにもかかわらず、今度は、御承知のように、米に対する物価統制令の適用をやめるとか、あるいはまた、米の商人の新規参入をかなり大幅にゆるめていくというようなことで、流通面のほうから食管制度をくずしていく。さらにはまた、これは今後どういうふうにやられるおつもりかそれも伺いたいのですけれども、米の二段米価、あるいはまた買い入れ制限など、いろいろ食管制度の根幹そのものをくずすような措置をとっておられる、そこに対する農民の不満が一番大きな根本原因としてあるんじゃないかと思うのですね。ですから、せっかく出される千数百億円もの生産調整奨励金が、有効に農民の利益にも国民の利益のためにも働くためには、先ほど申しましたように、農産物の無制限な輸入を制限すると同時に、農民がみずから選んで喜んで転作できるような価格保証制度を米以外の農産物にも確立すると同時に、いま申し上げた米の食管制度を堅持していくということが私は必要だと思うんです。  一体、農協のこういう強い態度に対して、今年度の生産調整二百三十万トンというのをいかにしてやっていくおつもりなのか。成功的にやっていく自信があるのかどうか。私どもは、農民団体のこういう強い抵抗の中でこういうようなことを強行すべきじゃないと思っておりますけれども、その点についての御意見はどうなんですか、それを伺いたい。
  58. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 御承知のとおり、今回の二百三十万トンの生産調整実施にあたりまして、私どもは、これは政府だけではなかなか成功するわけにまいりませんので、都道府県、市町村の御協力はもとより、農業関係団体につきましても協力を得たいということで、数次にわたって懇談その他をしてまいったわけでございますけれども、現段階におきましては、必ずしも農業団体のほうの全面的な御協力というわけにはまいらないというのが現状だろうと思います。ただ、相当回数を重ねまして懇談をしていく過程におきまして、農業団体におきましても、やはり現在の日本農業の置かれております現状認識等につきましては私ども一とそう変わっておりませんし、その認識の中から米の生産調整等も実施しなければならない、また、転作も進めなければならないという考え方もそんなに変わっているというふうには実は考えておらないのでございまして、いろいろこの二百三十万トンの実効を確保する面におきまして考え方が多少違っている点から現在問題が残っておりますが、今後、先生のお話がございましたとおり、都道府県、それから市町村、それから農家というふうに、いろいろ生産調整の実施に御協力をお願いする段階におきましても、関係の方の御協力というものもおいおい得られていくものというふうに期待し、また、そういうふうに私どものほうもさらに働きかけてまいりたいというふうに思っているのでございます。
  59. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に、問題の根本は、いま申しましたように、食管制度の問題なんですよ。農民が一番不満を持っているのは、政府がいままでの言明を実質上踏みにじって、食管制度そのものを将来は廃止していこうと間接統制もしくは米の自由流通の方向に切りかえていこうとしている、いまやっている措置はそれをなしくずしにやろうとしていることだということが一番の不満の中心なんですね。この食管制度をどうするつもりなのか、最後にその点だけ伺いたい。
  60. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 食管に対します考え方につきましては、それぞれ農家といいましても地帯地帯によりましても考え方も違うことでございましょうし、また、団体等におきましてもそれの対応策が違った形であらわれているというふうに実は考えております。私どもは、今回の諸制度は、やはり生産調整を実効あらしめるために必要な施策等を立て、さらには、実情に合わせまして最小限度の手直しをしたというふうに考えておりまして、今後の食管制度というものは、やはり生産調整実行の段階におきまして制度のあり方その他は順次検討もなされていくものであろうというふうに考えておるわけであります。
  61. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  64. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 全会一致と認めます。  よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十三分散会      —————・—————