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説明員(江口健司君) 一般論はあとにさしていただきまして、けさ、「朝日新聞」に、富山県の私のほうでは魚津税務署管内の問題でございますが出ておりまして、実は、私のほうから本件につきましては特に
通達をいたしておりません。したがって、新聞等を拝見いたしまして急遽金沢局のほうに事実関係を確かめたわけでございます。その結果をお話し申し上げ、
法律的な根拠も御説明すれば、おわかりいただけるかと思います。
けさほどの金沢局からの報告によりますと、現地での
補償の額は、四十五年の水稲に対しまして、十アール当たり六百二十五キログラム収穫という前提で八万四千円の
補償金を支給するという約束が日鉱三日市製錬所と現地との間できまったようでございます。この六百二十五キロ十アール当たりの収穫というものは、どういう根拠でこういう数字が出たのかは、当事者同士の話し合いの模様でございまして、私
ども税務当局のほうでは参加しておりませんので、計算の根拠等はつまびらかではございません。結論としては、いま申しましたように、十アール当たりの六百二十五キロとして八万四千円ということでございます。そこで、魚津税務署のほうから局のほうに、本件についてどういう取り
扱いをするかという緊急の問い合わせがございまして、局で検討の結果、次のような回答をいたしてございます。これはもちろんあとで申し上げます
法律に根拠を置きまして局のほうから判断した結論でございますが、この魚津税務署の
公害地域の隣接地域の十アール当たりの平均収穫量は、税務署の
調査によりますと、四百八十一キログラムでございます。これは四十五年度産米についての
調査の結果に基づく平均値でございますが、これに対する金額六万七千二百二十円が収入金額になるわけでございます。そこで、この四百八十一キログラムの私
どもの
調査による平均十アール当たり収穫量と、六百二十五キログラムの話し合いできまりました収穫量との差額をどう考えるかという判断でございますが、局のほうでは、実際の見込み収穫量よりもこえたものを見ておりますので、その差額の百四十四キログラムにつきましては、いわゆる心身と申しましょうか、精神的な負担に対する
補償金であろう、お
見舞い金であろう、こういうふうにみなしまして、これは
非課税の規定
——所得税法の九条一項二十一号でございますが、この規定の適用ありと判断いたしまして、
課税をしないことにしてございます。そこで、一般の平均の収穫量四百八十一キログラムに対応するものとしては、これも税法に基づきまして、税法の施行令でございますが、九十四条の規定がございますが、これに見合ったものとして一応収入とみなす、と。ただし、これには経費がかかるわけでございますので、青田刈りの場合
——本件の場合には青田の段階で刈り入れをし焼却をしておると、こういうことでございますので、青田刈りの場合の
必要経費十アール当たり一万五千七百二十円、これを
必要経費として引くことにいたしまして、先ほど申し上げました六万七千二百二十円からいま申し上げました
必要経費一万五千七百二十円を差し引いた差額五万一千五百円を十アール当たりの
所得標準として
指導をしたわけでございます。
税法の関係を申し上げますと、先ほど申しました
所得税法九条一項二十一号に、
補償金、
見舞い金あるいは損害賠償金等についての
非課税の規定がございますが、それに関連のあるものといたしまして、施行令の九十四条に、そうした場合の収入にそのうち入れるべき金額をどういうふうに計算するかという規定があるわけでございますが、一応収穫がなかったものに対応する
見舞い金あるいは損害賠償金というものは、この九十四条によりまして収入に計算するという規定になっておりますので、現在金沢局が指示をしております内容につきましては、この法令に基づいて誤りなき
指導をしたものとわれわれは考えておるわけでございます。