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1971-02-05 第65回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月五日(金曜日)    午後四時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 大竹平八郎君                 玉置 猛夫君                 中山 太郎君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君     委 員                 青木 一男君                 青柳 秀夫君                 伊藤 五郎君                 岩動 道行君                 丸茂 重貞君                 木村禧八郎君                 戸田 菊雄君                 松井  誠君                 吉田忠三郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   藤田 正明君        大蔵省主計局次        長        橋口  收君        大蔵省主税局長  細見  卓君        大蔵省関税局長  谷川 寛三君        大蔵省理財局長  相沢 英之君        大蔵省証券局長  志場喜徳郎君        大蔵省国際金融        局長       稲村 光一君        国税庁長官    吉國 二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査  (当面の財政及び金融等に関する件) ○外国証券業者に関する法律案内閣送付予備  審査) ○証券取引法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国  会の議決を求めるの件(内閣提出)     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  当面の財政及び金融等に関し、大蔵大臣所信に対する質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二月四日の大蔵委員会での大蔵大臣所信表明に関連しまして、若干質問をいたしたいと思います。  まず、第一に、最近の景気動向景気対策について伺いたいのですが、大臣もちょっと所信表明で触れておりましたが、昨年の秋ごろから景気が落ち込んできていると。しかし、最近、財界なんかの発表を見ましても、落ち込み予想よりはかなりきびしいような発表になっておりますけれども、この落ち込みについてどう考えられ、それからこれに対してどういう対策をあるいは金融面なり財政面なりで考えられておりますか。また、新聞等で、まだ四十六年度予算は成立しておりませんけれども、事前にかなり機動的な弾力的な対策もすでに打ち出しておるようですが、そういうようなことにつきましてまずお伺いしたいと思います。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、今国会においてもしばしば申し上げたところですが、四十一年から四十四年にわたるこの四年間の経済状態、これはよくない、超高度成長は是正すべき事態であると、かように考えたわけなんです。そこで、一昨年の秋から景気抑制政策をとり出したわけです。それが去年の秋ごろになると実体経済面に反応が出てまいりまして、いまお話しのように落ち込み傾向がずっと今日まで続いておるわけであります。それで、私の経済に臨む姿勢は、過熱もなし、また、落ち込みもなし、とにかく一三、四%の勢いで成長した日本経済でありますから、これを一挙に冷やすわけにはいかない。そこで、その冷やす目途を一〇%というところに一応置いてみたらどんなものだろうというふうに考えまして、四十六年度は一〇%成長、正確に言うと一〇・一成長というところを指向しておるわけなんです。ところが、景気抑制政策の結果、四十五年度の経済状態は一体どうだということを見てみますと、おそらくこれは正確な統計が出ているわけじゃない、私が大ざっぱな指標だとか私の勘だとかを加えて見てみまして、四十五年度の上半期四月から九月、この時点は、一二%成長、これは実質の話です、そういうところへ落ち込んできておる、こう見ておるのです。さて、下半期十月からことしの三月の動きはどうなるか。これは、現に経過中ですから、予測するわけにはいきませんが、かりにこれが——かりにです、これが一〇%成長ぐらいまで落ちたということになりますと、私の言う一〇%成長というのに合致をすることになるわけでありますが、実はこれは私の言う一〇%成長とは合致しないのです。つまり、去年の秋十月ごろの時点成長は、これはあるいは十一%ぐらいの高さであったかもしらぬ。それがだんだん落ちてきておる。そして、ことしの三月ごろ一体どの辺まで行くか。それを平均すると一〇%という観測ができるかもしれませんね。これはほんとう観測でありまして根拠はそうありませんが、しかし、いずれにしても、私が申し上げたのは、三月ごろの時点かなり——景気の瞬間風速とよく言いますが、この景気の高さというものは落ちておるんじゃあるまいか、そういうふうに想像されるのです。  いま、木村さんは、最近はだいぶよくなってきたというようなお話でございますが、九、十、十一とずっと落ち込みが続きました。これは諸指標です。つまり、生産が落ち、出荷が落ち、そうして逆に滞貨がふえる、こういう状態ですね。それが十二月になりますと、ちょっとこれが頭打ちの数字が出ております。しかし、それにしても、それらの指標中心というのは、何といってもこれは生産であります。鉱工業生産は、前年に比べまして一〇%を割るというような状態で、かなり落ち込み状態になっておる、こういうふうに見ますので、まあ過熱になっても困る、落ち込みでも困るとは言うが、いまこの時点に立ちますと、むしろ落ち込みというほうによけい心配をしなければならぬかなと、こういうふうにいま考えておるのです。  景気過熱したときにこれを締める、抑制する、これは金融政策が一番いい。しかし、景気が落ち込むときには、金融政策というのは受け身の働きしかしない。どうしてもこれは財政によって直接需要を喚起するという政策が第一である。そういうような見地から、昭和四十六年度予算は、中立機動型——中立という意味は、落ち込みもなくまた過熱もない、中道を目ざすという意味であり、機動的というのは、刻々の動きに応じまして機敏に財政がその景気調整機能を発揮するという体制、こういう考え方景気運営に臨みたい、かように考えております。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは一般論ですが、現実現時点で、先ほど大蔵大臣は瞬間風速と言われましたが、瞬間風速は九%を割っているのじゃないか。ですから、現実にどういう手を打っているのか、また、打とうとしているのか。なるほど政府発表では一〇・八%ですね。しかし、それは平均ですから、一二、三%を平均する場合には、一−三月ごろは九%以下くらいになる。平均で一〇・八ということになると、いまお話しのように、最近はかなり落ち込みが来ている、そういう状況らしいんです。私は具体的に調べているわけじゃないけれども、きのうの経団連あたり見通しでは、この落ち込みかなりひどいようです。四十年以降の設備投資が二〇%増であった、過去の設備投資が非常に大きかったというその圧力がある。それから鉱工業生産伸び率政府見通しよりもかなり低い、二%くらい政府見通しよりダウンするのじゃないか。それから金融緩和が、七月以降、特に都銀の資金ポジションが非常に悪い、だから金融緩和しても実際には意味がない。そういうようなことから、かなり悲観的に見られている。そうして、実際政府現時点でどういう手を打っているのか、また、今後打とうとしているのか。まあ四十六年度予算が成立するまで黙っているのか、それとも、一−三月は落ち込みかなりひどいといういまのお話ですが、じゃどうしてこれを防止するか。どうも、政府は、四十五年度予算編成前提として四十五年度経済見通し発表しましたが、それと現在とでは少し基礎が違っているのじゃないか。そうすると、今度は四十六年度予算編成前提も狂ってくるのです。四十六年度の景気見通し、これも狂ってきます。鉱工業生産経済成長率物価見通しでも、かなりそこに違いが出てくるのじゃないか、こういう印象を受けるのですが、いかがですか。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これからの景気には、私は、四十六年度予算かなり決定的な影響を持つだろう、こういうふうに思います。とにかく九兆四千百四十三億円、これは膨大なわけです。景気情勢によっては支出の促進あるいは繰り上げ支出、そういうことも考えられます。あるいは、これは御説明いたしておりますとおり、予算じゃありませんけれども、予算と関連をしながら、いわゆる弾力措置と言われておる政府債務負担行為の増額でありますとか、あるいは政府保証債の発行、あるいは政府関係機関借り入れ権限の拡大、そういうようなことを考えております。それで、予算の全貌が明らかにされた。そこで、これが経済界かなり刺激を与えるであろう。つまり、これで需要がだんだんと起こってくる状態というふうに見ている。  しかし、じんぜんとして手をこまねいて四月の予算の執行まで待つ必要はないので、そこで、まず、簡単にというか、機動的にとれるのは、金融手段です。そこで、二回にわたって公定歩合の引き下げを行ない、それから量的緩和の方針を打ち出しておる。それで、量的緩和につきましては、この一−三はかなり緩和をするんです。都市銀行につきましては、昨年の一−三に比べまして貸し出し額がおよそ六割ぐらいふえるであろう、あるいは六割を若干こすかもしれないという程度の緩和日本銀行が考えておるわけなんです。ですから、そういう金融情勢、それから財政のさきざきに対する展望。そういうものを見ながらなだらかな回復基調——急に移ってもらっちゃこれまた困ります。なだらかな回復基調にする、こういうことが予想されるわけでありまして、そう行けばまずまずの成果というところに行くんじゃあるまいか、かように見ております。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも、これは、大蔵大臣でなくても、非常にむずかしい事態だと思うんです。いままで景気が行き過ぎておったのを、行き過ぎを調整するといういま調整過程です。調整過程予想より落ち込みがひどくなってきている。さあ一体これをどうするかということですね。それでまあいろいろやっていますけれども、まだ十分の効果がない。四十六年度予算の実施を待つといっても、それまでに落ち込みがひどくなるとどうするかという問題が起こってきます。大蔵大臣は、四十六年度予算中立型の予算と言っていますけれども、実際は非常に大きな予算なんだ、だからこれが発表されたこと自体が景気を浮揚させる力になると、こう言っています。ですから、これは実は非常に積極的予算じゃないですか。そんな中立どころじゃない。中立だったら、これは浮揚的な力はないわけです。  四十五年度と四十六年度予算の非常に大きな違いの一つは、これは予算委員会でもっと論及したいのですけれども、政府財貨サービスが今度初めて成長率を上回っているんですよ。いままでは政府財貨サービス成長率実質より下回っていると説明してきた。だから積極財政じゃないと言っておったわけです。今度は、はっきり政府財貨サービス成長率を上回っているんです。この計算はまだ非常に不十分です。地方財政のほうを予算で組んでいますから、予算で見ていますから、非常に不十分ですよ。地方財政を決算で組んだら、もっと大きいですよ、政府財貨予算は。だから、かなり刺激的な予算と言わざるを得ないんですよ。  それでもなおかつ景気浮揚をしないとしたら、どうなるか。いまの情勢では、一般の見方では下期に回復するだろうと言われておりましたけれども、下期に回復しないのじゃないか、秋まで延びるのじゃないか、さらにもっと延びるのじゃないか、そういう考え方かなり支配的になってきたわけです。この予算編成当時は、それから政府見通し発表した当時は、財界発表でも政府でも、大体下期回復説というのはもう支配的でしたよ。いまはそうじゃないですよ。どうももう少しおくれるのじゃないか。そうなると、私は、中小企業に対する影響が非常に深刻になってくると思うのです。それに対して十分の読みを持ち、そうしてこれに対する対策を用意しているかどうかですね、この点を伺いたい。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうも、木村先生の言うことがよくわからないのですがね。この予算が多過ぎる多過ぎると、こう言っておしかりを受ける。景気見通しにつきましては、これはずいぶん刺激的効果があって、すぐにでもよくなりそうな、あるいは逆にインフレにでもなりそうなことを心配されながら、予算が大きくなると、こういうふうにいまおっしゃるのかと思うと、さにあらず、景気のほうは秋になってももうどうなるかわからぬのじゃないか、財政影響もないのじゃないかと、こういうようなことで、どうもよくわかりません。わかりませんが、しかし、私は、的確にいつどういうふうになるということはちょっと申し上げかねますが、曇り後薄日だ、そういう状態が一番いいので、そういうふうに金融財政も運営したい、こういうふうにまあ申し上げておるわけです。  しかし、逆に、これはそういうことは万々ないと思うのですが、また逆に過熱というようなことがあるかもしれない。そういう際には、金融を締めます。また、これは皆さんにも相談しなければならぬが、財政支出抑制ということもしなければならぬ。それで私はかじとりというものができると思う。いままでは、日本のエネルギーがあり余るのじゃないか、だから一三%でも一四%でもいいじゃないかというような議論でありましたが、私も当時からずいぶん心配しておったんですが、これは資源でどうしたって行き詰まります。もう現に油の問題で昨今たいへん窮屈な事態になってきておるようでありますが、資源問題でどうしても行き詰まるんですよ。ですから、過熱にしては絶対困るのでありまして、そういうときには、財政金融総力をあげてこれに水をさすという対策をとる。とりますが、しかし、落ち込み、よりよけいに予想される落ち込みがなお進行するという事態に対しましては、やはり財政ワクは広げておくという必要があるのじゃないか。また、同時に、これがそんなことを実際に発動せんでも済めばいいんですが、弾力条項というような用意までして景気下支えということをしなければならぬのじゃないかというふうに考えておるのです。  それで、話が中小企業のほうにいっておりますが、こういう変動期には、私は、一番困られておるのは中小企業の方々であろうというふうに思うのです。そういうふうなことを考えまして、これは、まあ税制の問題もありますし、また、金融の問題もありますし、それから根本的には労働問題があると思うのです。そういう問題から非常にお困りになる。これに対処して手を打たなければならぬが、基本的な問題はやはり労働問題です。つまり、大企業賃上げが行なわれる。労働力の需給が逼迫しておる。そういう態勢下において大企業賃金を上げれば、これはどうしたって大企業中小企業の人手はとられてしまう。そこで、中小企業防衛措置を講じなければならぬ。それで賃上げを行わなければならぬ。大企業のほうは賃上げをある程度吸収する力を持っておるが、中小企業のほうはそう大企業のようなわけにはまいりません。そこが私は中小企業の一番むずかしい点だろうと思います。  その点がありますが、それは私どものほうの所管の問題とは違いますから、それはそれといたしまして、金融につきましては、昨年の暮れ、財投の追加を行なって、三機関融資ワクを拡大する。それから税制につきましても、いまこれから御審議をお願いしますが、いろいろと対策を講じておる。特に、中小企業は、特恵関税問題なんかも重なってきておりますので、そういうことも配慮しながらいろいろな対策を講じなければならぬというふうに考えておりますけれども、先ほど申し上げました金融量的緩和、これは中小企業に非常に強く響いていくと思うのです。つまり、とにかく、日本銀行が、都市銀行だけについて言いますると、一−三の間に貸し出しを去年に比べて六割も七割もふやそうじゃないかと、こう言う。そうすると、だんだんとこれが中小企業への支払い遅延の解消という形で出てくるわけです。これは私は非常に効果のある施策であるというふうに考えておりますが、とにかくこれからの景気動向をよく注視しなければいかぬ。それからさらに景気動向なんか見て、中小企業に与える影響というものを特に注意をいたしまして有効適切な対策を機動的にそれこそとっていく、こういうふうなぐあいに考えております。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣は、私が、景気が相当落ち込むであろう、それに対して政府は四十六年度予算積極財政をとって景気落ち込みを防ぐ、そういうことに対して、そうしたらインフレになるのじゃないか、こんな大きな予算をなぜ組むか、こう言うのは論理が矛盾しているじゃないか、こう言うのですが、景気ダウンの一番大きな原因は設備投資ですよ。いまの資本主義経済のもとで景気推進役になるのは、国民総支出の中に占める割合の一番大きいのは個人消費ですけれども、しかし、景気に一番大きな影響を与えるのは設備投資です。財界設備投資ダウンを非常に問題にしているわけです。だから、財政をふくらして、はたして設備投資がそこで回復してくるかどうか、そこが非常に大きい問題で、財政を大きくふくらしたら、それは直ちにインフレになりますよ。物価は上がる、確実に。スタグフレーションの問題が出てくるのはこれからなんですよ。いままではそうじゃない。そこが問題だ。  特に私は中小企業の問題を提起しましたのは、大蔵大臣はこれから総理大臣におなりになるようにいろいろ言われておりますが、今度政策転換するときには、やはり大川報告をよくお読みになる必要がある。中小企業賃金問題をいま出されましたが、いままで労働力とかもろもろのものを大企業のほうにのみどんどんつぎ込んだので、そっちの生産性はどんどん高まったが、しかし、それは管理価格物価は下がらない。ところが、中小企業とか農業とかあるいは漁業のほうにもうけや労働力をつぎ込むのが少かったから、生産性が非常に低い。そっちのほうで賃金が上がるから、価格を上げざるを得ない。そこに問題がある。これは根本的に財政金融政策で低生産性部門に重点を置いた政策をとらなければいけない。そして、中小企業のほうで賃金が上がっても、生産性が上がってそれがカバーできるようにしておかなければいかぬ。そうしなければ根本問題が解決しない。ですから、いままでのような惰性で問題を考えているのではだめだ。だから、いくらやっても物価対策にはならぬのですよ。大川報告はいますぐには役に立ちません。かなり長期的なサイドですよ。しかし、いまからそれをやらなければ、資源配分、所得の配分、これを決定的に変えなきゃならぬ。それは、財政金融ですよ。大蔵大臣の役なんですよ。次に来る総理大臣はこれをやらなければ意味ないし、物価の問題、公害の問題は解決しない。資源配分問題、それが一番重要ですよ。その点はどう考えられるか。いま中小企業問題について大蔵大臣賃金問題を非常に不用意に持ち出されたから、もっと大川報告は勉強しておかなければいけないですよ。かなり重要な報告なんですよ。あれだけじゃ物価問題を説明しておりません。総需要の問題、あるいは管理価格の問題を除外しておりますから、あれだけじゃ不十分ですけれども、あれは長期的な物価対策の核心をついている、そう思います。これは議論になると時間がありませんが、将来総理大臣になった場合には着目しなきゃならぬ問題です。  それから当面、中小企業の問題で私は非常に深刻に考えておるのは、特恵関税の問題です。これは所信表明にございましたね。七月ごろからこれを実施したとき、台湾とか韓国はものすごく低賃金じゃありませんか。もしあんな低賃金のところで、これは日本資本がどんどん進出しておりますけれども、もし特恵を認めた場合、どうしますか、日本中小企業は。直接的に日本に安い物が入ってくるだけではなくて、今度は諸外国との競争の場合、韓国台湾とか低開発国がみんなアメリカあたり関税が低くなる。そうすると、日本中小企業とどうして競争しますか。あの経済白書に、日本の商品の海外における競争状況発表されていますが、かなりみんな各国ものすごい競争です。そういうときに低開発国特恵関税をやった場合にどういう影響があるか、これは具体的に影響について検討されなければならないと思う。これは関税局長からも具体的に御説明願いたいと思う。  もう一つは、公害の問題です。今後中小企業の取り組まなきゃならぬ重要な問題は公害だと思う。われわれも、公害については、公害発生源企業に責任がある、企業負担をやれやれと言うのですけれども、大企業のほうはいいですよ。しかし、それはあまり強調すると、中小企業のほうは、社会党は中小企業をつぶす気なのかと、こう言われる。これは非常に深刻な問題なんです。ですから、公害問題にほんとう政府が取り組むならば、やはり公害中小企業関係ですよ。これに対して、税制金融、あるいは資材の面とか、それから配置の問題、そういうものが重なってくるわけですよ。それからいまの特恵関税の問題があるでしょう。それから景気対策としてのしわ寄せがやってくる。だから、非常にいろいろな問題が中小企業にこれからしわ寄せしてくる。ですから、構造的な変化に基づく中小企業の新たな危機が来ると思うんです。これまでは、労働不足ということが非常に中小企業を困難ならしめましたね。今度は、新たに、まだ労働不足も解消しないと思うんですが、公害の問題、それから特恵の問題があります。だから、ここに中小企業対策は新たなる着眼点で取り組まないと、いままでと違ってきておるんですよ。  それから金融問題につきましても、いままでは、日銀公定歩合を下げますと、金利は下がる。ところが、いま、市中銀行ポジションが非常に窮屈である。それから日銀金融緩和しても、それがストレートに中小企業金融緩和にならない。ですから、それに対しても金融緩和になっていないのですから、大蔵大臣、それをどうされるか。日銀公定歩合を下げ、あるいは窓口規制緩和しても、実際に金融緩和になっていないんですよ。市銀ポジションが窮屈である。その点について……。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうも、金融緩和したり財政を拡大したりいたしますとインフレになるというおしかりを受けるその木村さんから、金融緩和——中小企業問題の角度からではありましょうが、金融緩和せよ、こう言わぬばかりのお話なんで、答弁に当惑をいたしますが、私は、当面の最大中小企業対策景気を立ち直させることだ、つまり、いま下降傾向にある日本経済動向というものを下支えをする、あるいは若干の浮揚政策をとる、こういうことが最大中小企業対策だと思うのです。なお、御指摘のような、中小企業には関税の問題もあります。また、公害の問題もあります。そういう視点からの特別の施策を必要とすると思いますが、何といったって景気下降状態下において中小企業がいいということがあり得ようはずがない。こういうことで、先ほども申し上げましたが、とにかく一−三におきましてはかなり金融緩和をいま日銀は計画しております。それから大蔵省は、財政中心といたしましていま中立機動型という性格の財政を打ち出しておるわけであります。これが両々相まって、私は、景気を浮揚させ、中小企業の立場を大いに改善させるだろうと、こういうふうに見ておるんです。その特殊な特恵関税の問題、あるいは公害の問題、これらにつきましては、それぞれ金融においてあるいは税制におきまして特別の対策を講じたいと、いずれ今国会に御提案を申し上げる所存でございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 特恵関税について、関税局長……。
  12. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) いま大臣からお答えいたしましたが、私ども、特恵関税の供与方式につきまして案をつくります際に、お話がありましたように、中小企業に対する影響を最小限に食いとめたいということで、たとえば、野放しに特恵を与えるのでなくて、いわゆるシーリング方式と申しておりますが、それぞれの物品につきましてワクを設ける、そのワクの中で特恵を供与する。それからまた、品目を選ぶ際にも、生糸とか絹織物とか、わが国にとりまして非常に問題のある物品につきましては、七品目ございますが、全く特恵を供与しない。それからまた、その他繊維製品とか雑貨とか皮革類といいました五十七品目でございますか、これにつきましては、原則無税のところ、無税までは持っていけない。国内産業にまた影響がございますから、税率のカット幅を五割にとどめるというような配慮もいたしまして、計画自体で中小企業対策としてきめこまかく配慮してございます。  それからまた、そういうふうにいたしましてもなお中小企業影響がありそうだ、おそれがあるという場合には、関税定率法に規定しておりまする緊急関税の条件を若干緩和しましたところで緊急関税の規定を準用さしていただくということも考えまして、被害を最小限度にとどめたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、そういたしましても、個々の企業につきましては、いろいろな問題が生ずる場合もあろうかと思います。転換産業等につきましては、ただいま大臣からお話がありましたように、租税特別措置法でも措置をしてございます。それから別途通産省のほうで立案をされているようでございますが、中小企業特恵対策特別措置法案につきましても、きめこまかい配慮をいたしておる次第でございます。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 具体的に、実際の影響については、いろいろ御調査されたんでしょう、どういう影響があるかについてですね。
  14. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) ただいま申しましたように、影響がありそうなものにつきましては、供与の方式自体におきましていろいろときめこまかい配慮をいたしております。これはまた別途法案を提出しました段階におきまして、御指摘いただきたいと思っていますが、きめこまかい配慮をいたしております。  それからまた、そういたしましても、個々には影響が出るものもあろうかと思いますので、それにつきましては、ただいま申し上げましたように、租税特別措置法で転換の場合の特別償却というものを認めるとか、それから転換企業に対する融資の問題とか、いろいろ指導助言等も含めましての中小企業対策の措置を通産省の法案で措置をしておる次第であります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、関税定率法のほかに、通産省で、それは、特恵関税による中小企業に対する悪い影響とかそういうものに対する措置だけではなくて、たとえば自由化による中小企業に対する影響がありますね、そういう広範な問題に対しての中小企業救済措置というんですか。あるいはアメリカの繊維の問題がある。そういうものを含めた総合的な法案になっていますか。
  16. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) 私どもに御相談になっておりますものは、中小企業特恵対策特別措置法案となっておりまして、特恵関係影響に対する措置でございます。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ、特恵だけではおかしいじゃないですか。特恵はもちろんわれわれやらなければいけない、いま質問していますけれども。それから繊維の問題があるでしょう。それから自由化の問題がありますね、大蔵大臣所信表明にも出ていますが。これからかなり緩和する、中小企業に出てくる。そういうものについて、なぜもっと総合的な対策を考えないのですか。特恵ももちろんやらなければいけませんよ。もっと総合的になぜできないのですか。
  18. 谷川寛三

    政府委員(谷川寛三君) これは私から通産省の関係でございますから申し上げる関係じゃないと思いますが、法案を用意しておりますのは中小企業特恵対策、こういうことでございますが、その他いまもお話がございましたような大きな問題につきましては、法案は出しませんでも、別途いろいろな措置がなされているように聞いております。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは総合的に考えておるのです。総合的に考えて、そうしてその部門で特恵対策、あるいは自由化対策、そういうふうに打ち出しておるわけです。あるいは公害対策、そういうことで、事は総合的に考えての具体的な措置である、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは少し無理じゃないですか、特恵中心とする法律にそこまで含めるのは。ですから法律的に何か——政策としてはわかりますよ。そうしないといけませんが、当面そういうものがみな関連している。公害もあるでしょう。特恵もあり、自由化もあり、それから繊維もありましょう。そういうふうになっているのですから、もう少し個々でじゃなくて——おそらくそういう議論をされたと思うんですよ。どういうわけで総合的にできなかったのか、どういういきさつがあったのか知りませんが、これは割拠主義か何か知りませんけれども各省のセクショナリズム、そういうことじゃないですか。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは総合的に考えているのです。中小企業が当面する問題はどこにあるか。それと公害の問題がある。公害の問題とすると、他の一般のものとして中小企業がその中にどういう位置付けをするか、こういう考え方になるわけです。それから税の問題でも、特例措置、その中の特例という形で出てきます。それからたとえば金融の問題につきましては、公害ワクというものを設定いたしまして、そうして政府金融公害対策中小企業に特に働くように配意をいたす、そういう手段を講ずる。そして、一方、特恵につきまして影響のある業種があるわけです。それに対しては、あるいは税の面においても、金融の面において、金融のほうは特別ワクを設定いたしますが、そういうようなことを考え、また、自由化に伴って影響を受けるものにつきましては、それぞれこれも対策を立てる。総合的に考えておるのです。ただ、御審議を願う仕方がこれは一つの法律でというわけにもなかなかいきませんものですから、幾つかに分かれるというだけの話であって、根っこは総合的である、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはまた別の機会にお聞きしたいと思います。  次に、デノミの問題についてちょっとお伺いしたいと思います。大蔵大臣は、先月三十日の衆議院予算委員会で、「理論的には、国の威信にかけてデノミを実施すべきだと思う。だが、いまは物価上昇が続いているので、時期として適当でない」と言われた。これに関連してお伺いしたいのは、日本銀行の印刷ですね、どのくらいの印刷をしているのか。その中で、一万円札はどのくらいの割合で、千円札、五百円札、百円札——百円はコインになっているかもしれませんけれども、その割合はどうなっていますか。いま、二月三日現在では、四兆三千二百十七億円の通貨が発行されています。この中で、あとで数字を聞きたいのですが、七割くらいがもう一万円札だといわれているんですよ。この調子でいくと五万円札の発行が必要でないかといわれております。そういうことも関連して大蔵大臣の頭にデノミのことが浮かんだのかもしれませんが、威信問題もさることながら、もう一つ私はわからないのは、大蔵大臣は、デノミをやると計算が簡素化されるようなことを言われているんですよ。しかし、銭と厘が復活したら、計算は簡素化されないと思うのです。百分の一じゃなくて、千分の一にデノミするならば、簡素化されます。あるいは、その際に、銭と厘は切ってしまう、そういう単位は切ってしまうのか、円だけにしてしまうのか、そうすれば簡素化されますね。しかし、百分の一にデノミしたときに、銭と厘を復活しないでそれでいろいろな経済行為が進んでいくのかどうか、その点がどうもわからない。それから時期はいつごろか。円の切り上げと関連するから——円の切り上げは、前に、大蔵大臣は、少なくとも沖繩返還まではできないと言われたように記憶するのですけれども、言わなきゃ私の勘違いですが、沖繩返還前に切り上げたのでは、これは沖繩に対してのショックもありますから、もちろんそれまではやらないんじゃないかと思うのです。しかし、財界は、きょうの新聞を見ると、経団連では、円の切り上げはますます切り上げ論が盛んになるだろうと、こう言われております。こういうことになりますと、ますます為替相場も円高になってしまいますよ。実質的にはある程度の切り上げが行なわれたと同じようなことになってきてしまう。ですから、みんな為替変動差損を計上しなきゃならぬようになってくるんですね。その点、いかがですか。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) デノミの論議は非常にデリケートでありますので、これは誤解のないように特にお願いしたいのですが、私は、理論的にデノミはやるべきだと、こういうふうに思っておるのです。理由は、円のというか、わが国経済の威信の問題が一つ。それからもう一つは、計算上の便益という問題です。厘を置くか置かないかという話は、おそらく厘を存置するというような考えはどなたもお持ちにならないんじゃないかと思いますが、とにかく計算単位は百分の一でも千分の一でもかなり違ってくると、かように見ております。  しかし、私は、デノミネーションというものは、これは物価が浮動する時期においては断じてこれをやることを避くべきである、こういうふうに考えるのでありまして、したがって、物価が今日のような状態である限り、デノミを行なうということは避くべきである、断じてこれを避けていきたい、こういうふうに考えておるわけなんです。  いま、お札が券面別にどうかというお話でありますが、デノミに関連いたしましてそんなことを調べたこともありません。ただ、いま、そういう問題と離れて、どういうふうになっているんだというお話であれば、これはもう詳細にお答え申し上げますが、デノミという発想のもとにそういう調査をいたしたことはございません。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いまどうなっておりますか。
  25. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 手元に一月末における日銀券の流通高を持っておりますので、額面別に申し上げますと、一月末の日銀券の流通総額は四兆七千九百六十七億でございまして、その枚数は二十一億二千六百万枚でございます。このうち、一万円券は三兆三千百九十四億で六九・二%、それから五千円券は三千三百二十億円で六・九%、千円券は九千六百八億円で二〇%ちょうど、五百円券は千九十四億円で二・三%、百円券は五百四十八億円で一・一%でございます。  以上申し上げました数字の内訳の計が総額に合いませんのは、百円券以下の日銀券がなお存在しているためであります。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、大蔵大臣物価安定の自信がないということですね。そうでしょう。デノミができないということは、物価上昇がいつまでも続くという見通しですね。ですから、物価安定の自信がないということです。物価対策についてその裏づけですよ、逆に言うと。もう一つ日銀券の印刷能力ですよ。限界に来るのじゃないですか。デノミと別にしましても、こんな一万円札を七割も、これで物価がどんどん上がっていくでしょう。ですから、五万円札を刷るのじゃないかという、そういうことが出てくるように思われるのです。もう限界に来ているのじゃないですか。いかがですか。
  27. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま、五万円札の構想は持っておりません。  印刷能力につきましては、理財局長からお答えいたします。
  28. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 日本銀行券は印刷局で印刷いたしておりますが、この製紙能力及び印刷能力とも枚数にいたしまして二十七億枚ということになっております。昭和四十六年度の印刷計画は二十六億九千二百万枚でございまして、大体この製造能力に見合っております。したがいまして、現在の一万円以下の紙幣の印刷が能力の関係で十分に間に合わないというようなおそれはございません。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう時間がなくなってきましたので、質問だけ簡潔に申し上げますが、第一は、所信表明大蔵大臣は福祉社会の建設ということを相当強調されていますね。それで、今後、これも予算委員会でもっと具体的にお聞きしたいのですけれども、福祉の指標として、いままでのGNPは福祉の指標にならぬのですね。何を考えているか、福祉の指標として、総合的に。何か研究されているか、それが一つ。  それから最近脱税が非常に多いのですが、その脱税がなぜ多いか。その脱税する本人が悪いということは、これはわかります。しかし、こんなに脱税が多いということは、税法に何か欠陥があるのじゃないか。それから税金の所得再配分機能が非常に後退してきているのじゃないか。これは所得の構造変化、累進課税的な総合所得が相対的に減ってきて、そうして、たとえば配当控除なんかがうんと大きいとか、あるいは租税特別措置でどんどん減価償却で落としてしまうとか、何かこういうものを実際に調べたものがありますか。税の所得再分配機能が低下してきていると学者がみんな言っていますよ。そうなると、これから税制を根本的に考え直さなければいかぬ。税の非常に大きな役割りの一つは所得の再分配機能です。これがずっと低下してきています。もっと具体的にこれは調査されなければならぬと思う。何か調査がございますか、そういうもの。それが第二点。  それから第三は、これは意地悪いような質問で恐縮なんですが、大蔵大臣は前に私に物価の値上がりは預金金利以下にどうしてもしなければならぬということを強調されました。最近、どうですか、七・七%も物価が上がってしまった。そうしたら、一年年半ものが出てきたって、六分です。これも税引き利回りはなお低下している。そこで、今後、物価を預金金利以下に下げるのか、それとも預金を物価にさや寄せするのか、貯蓄の増強という観点から。  その三点ですね。それで、あと、抽象的な御答弁では困りますので、数字的な資料等につきましてはあとで出していただきたいと思います。さっきの特恵関税の問題も、何か資料がございましたら、それも出していただきたいと思います。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 内政の七〇年代ということを総理は言っているわけです。同じような意味におきまして、私は、量的成長の六〇年代から質的成長の七〇年へと、こういうふうに言っているわけであります。つまり、国内におけるわれわれの生活環境、これを整えなければならぬというふうに考えるわけですが、ことしの予算をごらんになりましても、この九兆四千億、なかなか大きな予算です。しかし、その中で一番の大口のものは何だというと、これは地方交付税です。つまり、地域社会のためのあれです。これは別格といたしまして、それを除きますと——交付税が総予算の中で約二三%、二兆円になるわけですが、これを除きますと、一番大きいのは何だというと、社会保障費です。一兆三千億、パーセントにしますと一三%ぐらい……とにかく一兆三千億、おそらく一三、四%のシェアになるのじゃないか、こういうように思います——社会保障費じゃない、その次は公共事業費です。公共事業費が一兆七千億。で、一兆七千億の公共事業費で何をするかというと……
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一兆五千億でしょう。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一兆七千億です。今度新しく住宅の住宅五カ年計画、下水道五カ年計画、港湾五カ年計画、また交通安全五カ年計画、空港五ヵ年計画、これはもうわれわれの生活に直接関連のあるものばかりです。いま、私どもの日本の社会というものは、先進諸国に比べると、非常に立ちおくれています。そういう面で先進諸国は百年あるいは何百年という積み重ねがあるわけですが、わが日本で、そういう住宅対策だ、あるいは下水道対策だ、あるいは道路計画だ、これが始まったのはやっと戦後と言ってもいいくらいです。そこで、今日この時点に立ちますと、たいへんな立ちおくれでございますけれども、たとえば、住宅について五カ年計画を遂行してどういうことになるか、これはたいへんな改善になるわけでありまして、これで住宅事情が先進諸国並みまでというまでにはいきませんと思いますが、しかし、見違えるような改善になってくるわけです。下水道にいたしましても、下水道対象世帯、そういうものに対しまして大体七割を五カ年間で充足して整備する、こういうふうなことになってくると、これも見違えるようなことになってくる。非常な勢いでいま取り戻しを進めているわけです。七〇年代においては、そういうわれわれをめぐる生活環境、こういうものはまあ様変わりという様相を呈するのじゃないか、私はそういうふうに思いますが、そういうことをごらんになりますと、とにかく内政の七〇年代という構想が相当強力に進められておる。そういうものに投ずる金ですね、特に公共事業費につきましては、日本財政の中における比率は世界第一ですから、取り戻しを世界の国と比べますと非常に猛烈なスピードでやっておるという状態でございますので、いまこの時点はなかなかそうは申し上げられませんけれども、そう遠くない時期にはいわゆる福祉社会というものが実現されるのじゃないか、それを目ざしながら財政の運営をやっていく、そういうことです。そういう考え方であります。  第二点の税、これにつきましても、社会還元というか、福祉社会の建設のために税というものが効果的に使われているのじゃないか、そういうふうに思います。  それから預金の問題がありましたが、私は、物価の上がる比率ですね、これは預金金利の上げ率の下にどうしても位しなければならない、そういうように考えておるわけです。その考え方、これは放棄いたしません。しかし、物価が上がったから預金金利を上げるという考え方、これは安易に過ぎると思うのです。そうでなくて、預金金利は金融界の情勢によってきめなければならない。また、国際社会におけるわが国の金融という面からきめなければならないけれども、とにかく物価のほうをそれよりも下げるという姿勢でやっていきたい、かように考えております。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと、大臣のおっしゃる数字が違っておりますから、一つだけ。公共事業費は一兆五千九百二十七億です。私は何回も調べております。それは再三言っているでしょう。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一兆七千億です。これは私が編成したのですから。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですか。おかしいじゃないですか。じゃ、この発表に、一兆五千九百二十七億、一九・八%の増と……。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あなたは災害を取っているんですよ、災害対策のほうを。災害対策を引いているわけでしょう。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうです。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうするとそうです。あなたの言う数字も正しいし、私の言う数字も正しい。
  39. 多田省吾

    ○多田省吾君 昨日、大臣所信表明をお聞きしたのでありますが、その中で、いままでのような二二%あるいは一四%の成長を続けますと、五年の間に倍になりますので、これは資源や輸送力、労働力関係から壁に突き当たって脳天をぶち抜くおそれもある、こういうことから、当面一〇%でやってみて、それで中立機動型、こういうお話もあったわけでございます。それで、その点について、一つ御質問したいのですが、このような資源や輸送力、労働力を考えますと、それでは、一〇%を続けますと、七年で倍になるわけでございますけれども、七年の間に倍になっても、資源や輸送力、労働力の確保ができる見通しがあるのかどうかですね。もし、大臣が先ほどおっしゃったように、景気を立ち直らせていく自信が、また、そういう傾向があるものならば、八%くらいのほうが望ましいのか、その辺のところをお答え願いたいと思います。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 二二、四%成長の勢い、これは抑制しなければならぬ、そういうように考えたわけでありますが、さて、その場合におきまして、どの辺まで落とすか、こういうことになりますと、一応政府には経済社会発展計画一〇・六という数字が出ておるのですが、まあこれは一つの目標としなければなりませんけれども、当面その辺でやっていく、あるいは、ことしあたりの時点では、一〇・六は高いので、私どもは一〇・一、つまり一〇%ということを言っているのですが、当面経済社会発展計画を踏んまえながらやっていかなければならぬが、私はそれにこだわってはいかぬと思うのです。そういう計画ができたから、まあいろいろな問題が出てきておるけれども、その目標を踏まなければならないというふうには考えておりません。とにかく一三、四%の勢いの経済を落とすのに急に一〇%を大きく割り込むというところまで落としたら、これまたそれなりに問題があると思う。そこで、当面一〇%というところでやってみて、そうして、資源状態、あるいは輸送の状態だとか、あるいは労働需給の問題だとか、そういう問題をよく検討いたしまして、そうしてまた必要がありますれば、つまり、これは一〇%ではちょっと低いというならば多少上げる、あるいはこれは高過ぎるというならば下げる、その辺は機動的に弾力的にやっていったらいいじゃないか。当面目ざすところは一〇%前後だと、こういう意味を申し上げているわけです。
  41. 多田省吾

    ○多田省吾君 わが国の予算で非常に特徴的なのは、一つには、昨年も社会党の成田委員長からお話があったわけでございますけれども、予算は国会で全然修正しないと、こういう姿でやってきたわけです。ことしもまた、どのような野党の妥当な要求があろうとも修正はなさらない、こういう方針なのか。それからもう一点は、財政硬直化ということは、何も去年、ことしにおいて解決されたわけではないと思うのです。ますます硬直化していく段階にあると思います。ところが、アメリカ等においては、PPBS方法、すなわち費用対効果比というものをコンピューター等ではじいている。あるいは事業別予算を組むというような新しいやり方をやっておりますけれども、わが国の場合は相変わらず増し分主義といいますか、各省予算で積み上げていくと、こういう方法をいつまでもとっていくのか。この二点をお伺いしたい。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 予算の提案権というのは、憲法の規定によりまして政府にある、こういうことに統一的に解釈されておるわけです。したがって、野党あるいは与党でもそうでありますが、国会のほうで修正ができるかと、こういうことを考えてみますと、これは政府の提案権を害しない範囲内においての修正だ、こういうふうに解釈されておるわけでありまして、したがって、そういうルールに従っていくほかはないと思います。それはまあ法律上の問題でありますが、今度は実態上の問題です。各党において意見があるわけでございますが、私はそういうことを考えまして、予算編成にあたりましては、暮れの忙しいときでありますが、時間をさきまして、社会党、公明党、民社党、各党の書記長に御連絡し、書記長の来られるところもありましたし、また、政審会長の来られるところもありましたが、各党の考え方というものをつぶさに承ったわけであります。承っていますが、各党ともみんな考え方が違うんです。基本的な違い方なんです。予算の性格論というところから始まる。そうすると、公明党、社会党のほうでは、インフレ化ということを非常に心配されまして、いわゆる警戒型の予算というようなことを言われるわけです。かと思うと、民社党のほうじゃ、たいへんだ、たいへんだと、これは数字まじりで言っておりましたけれども、九兆五千五百億でしたかの膨大な予算を組む、そしてその財源としては公債を七千億ですか発行する、こういうようなことを言われております。経済の現状認識も違えば、それに対処するしかたも違うのでありまして、それを統合的に政府編成する予算に反映させるということは非常にむずかしいんです。それから個々の問題につきましても、いろいろ御意見の違うところがあるんですが、これにつきましては、私ども検討いたしまして、わが国の現状から取り入れてしかるべしと、こういうものにつきましては、できる限りこれに配意をしたわけであります。多田さんのほうで御主張になられておる児童手当、その内容については御不満の点が多々あるようでございますけれども、とにかくこれを取り入れるということにいたしますとか、そういう配意をいたしておるわけなんです。ですから、よく御意見はこの国会を通じて承らなくちゃならぬけれども、大きな修正を求められるという予算を出しているというふうにはいま考えておらない。どうかひとつよろしくお願いします。  PPBSにつきましては、これはかねて国会のほうでも御議論がある問題です。そこで、私どもといたしましても、これは情報化社会にふさわしい予算編成のあり方、こういうことから、受け入れ体制につきまして準備を始めておるんです。受け入れ体制というのは何かというと、資料の整備、つまり電子計算機に乗っけるデータ、これを整備しなければならぬ。それから電子計算機とそれから出てくる結果、政策効果ですね、これとの結びつきをどういうふうにするかという技術開発という問題であります。それからもう一つの問題は、要員の確保、こういうことであります。その三つの点に中心を置いていま準備を進めておるわけですが、これはまだちょっと実用化するには時間がかかりそうです。アメリカが先んじてこの制度を取り上げましたが、そのアメリカにおける効果につきましても、賛否両論があるようです。そういうようなアメリカの経験なんかもよく見る必要があろうと思います。とにかく、前向きで取り組んでおるということだけは申し上げておきます。  なお、事業別予算という考え方、これはそういう考え方があるわけなんです。あるわけですが、それを予算面にどういういうふうに表現するかというふうになりますと、これは事業別予算という形で表現することはなかなかむずかしいのです。しかし、あるものにつきましては、事業別という体系をとったらいいじゃないか、つまり一部採用というふうなことができるかどうか、これも財政制度全般の中の重要な課題として今後検討していきたいと、かように考えております。
  43. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣は、衆議院の予算委員会の席上において、円切り上げは理論上も実際上も行なう意思はないとはっきり答弁しておられますが、切り上げのときは、どの国の大蔵大臣も、これははっきりおっしゃらないで、突然切り上げを行なわれるのでございますが、非常にいま懸念されておるわけです。特にきのうの大臣所信表明の中において、日本は好況で国際収支が非常によろしい、そのために注目され、批判され、圧迫さえ受けている、外国には保護貿易の可能性さえ生じている、こういうお話もありまして、この一月末におきまして四十五億ドルぐらいの外貨準備高になるという予定らしいのでございますけれども、こういった関係でアメリカ等から円切り上げを強く西ドイツのように迫られるという懸念は私は大きいと思うのです。そういう場合に、どこまで抵抗できるか。たとえば外貨準備高であるならばこの程度までは持ちこたえられるんだ、しかし、六十億ぐらいにもしなればどうも円切り上げは断わり切れないのじゃないか、こういうようなお考えもあろうかと存じます。それに対して、外貨準備高をそれでは減らすにはどうしようかとか、そういうお考えをお持ちだと思いますけれども、円切り上げに関連しましてそういう見通しはいまどのようにお持ちであるか、お伺いしたい。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 円の切り上げの根拠として、外貨保有高が日本では大きいんじゃないかというふうなことを言う人がありますが、いま四十五億ドルになりましたが、この四十五億ドルというのは、日本経済の規模からいたしますと、決して大きいものではございません。アメリカでは百四十四億ドル、ドイツにおきましては百三十六億ドル、それからフランスにおきましても、イタリアにおきましても、あるいはカナダまでが、わが日本よりは多いのです。わが日本はとにかくGNP世界第二位だというが、外貨の保有高ではまだ第六位である、こういうような状態でありますので、これが多少ふえたからといって外国からとがめだてを受けるということはないと私は思うのです。問題は、国際社会に臨むわが国の経済姿勢、そういうところにあると思うのです。つまり、貿易制限の問題でありますとか、資本の自由化の問題でありますとか、あるいは特恵関税に対する対処方の問題でありますとか、そういうような問題にあると思うのです。わが日本は、先進諸国と非常に違っておる点があります。それは、わが日本におきましては、他の諸外国と違いまして、短期資本の移動というものを管理している。ですから、円が高くなりそうだ、円買いが起こるかというと、円買いは起こらない、そういう状態です。ドイツがマルクの切り上げをやりましたあのときなんかは、一週間のうちに何十億ドルという金がドイツに流入をしておるわけなんです。つまり、為替管理の手段をドイツとしては持っておらなかった。私は為替管理というのはどんどん撤廃していきたいと思うのですが、そういう短期資本の移動につきましてはあくまでも慎重にこれを堅持していきたい、こういう考え方をとっておりますので、諸外国で何か圧迫を加えるというような動き、あるいはそれが他の諸外国に見られるように円買いというような形で出てくるというようなことがありましても、有効に対処し得る体制にありますので、この点はどうかひとつ御安心願いたいと思います。
  45. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほども質問に出ましたが、デノミでございますけれども、いま、大臣から、威信のためにも、また、計算上、理論的にはデノミをしたほうがいい、ただ、物価が安定したときにやりたい、こういうお話でございますけれども、一つには、デノミをもしやるとすれば、それが円切り上げを強要されるような動きが強まらないかという点、あるいは、デノミをした場合、計算上も、何円何十何銭というより、何百何十何円というほうが計算しやすいのじゃないかというような感じもしますし、イタリアと同じように額が他国とは非常に違うという点はありますけれども、威信よりも、まず実際的な考えで、もしデノミが行なわれるとすると、いま心配されているのは、タクシーなんかも、百三十円が一円三十銭になれば、一円五十銭というふうな便乗値上げも行なわれるのじゃないか、みな四捨五入で切り上げが行なわれるのじゃないか、こういう考えもあるのでありまして、そういう点から見てデノミの必要がないのじゃないかと考えますけれども、いかがでございますか。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話ごもっともかと思うのですが、ただ、デバリエーションですね、つまり円の切り上げ、これと円のデノミ、これはもう全く別ものでございます。ただ、便宜的に一緒にやるというようなフランスの事例なんかもありますが、これは別ものである、こういうふうに御理解願いたいのであります。それで、いま、デノミは軽々にやるべきじゃないというお話ですが、これはほんとうにそのとおりだと思います。私もこの問題には非常に慎重であり、特に、切り上げますと、端数切り上げだとか、四捨五入だとか、そういうような現象が起こる、そういうことはあり得ることであります。特に、そういう現象が起こりますのは、物価が上がり調子にあるとき、こういうふうに思いますので、物価対策が十分できて、そうして物価にいささかの悪い影響もない事態であるということを見きわめない限り、デノミというものは行なうべきじゃない、そういうふうに考えます。
  47. 多田省吾

    ○多田省吾君 付加価値税導入についてお尋ねいたしますけれども、これは間接税に多く移行しようという目的のためか、それとも、歳入を多く将来準備さしていこうというそういう考えのためか、あるいは、両方の考えを一緒にしたそういう付加価値税を今後大臣は三、四年のうちに考えたい、こうおっしゃっているわけですが、税制調査会等においても、八月の答申で勧告するのじゃないか、こういうこともいわれておりますが、もし勧告があった場合は、早急に積極的に行なおうというお考えなのか。そうして、その場合、付加価値税というものはフランスあたりにおいて最初に導入したわけでありますけれども、物品税よりも消費者への転嫁が重くなるという可能性も考えられるわけです。こういったことで、フランスなんかも、相当慎重に行政指導しながら、物価が上がらないように気をつけてやったようでございますけれども、日本の場合は、もっともっとこれはたいへんなことになるのじゃないかと思いますが、その点の御意見をお伺いしたい。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 付加価値税という構想は、予算の財源をよけい調達するという考え方じゃないのです。そうじゃなくて、いま、日本の国におきましては、いわゆる租税の負担率というものは他の国に比べて低い状態でありますが、それにもかかわらず、重税感というものが訴えられる、それを緩和するのはどういうことかと申しますると、特に所得税に非常にウエートのかかったいまの税制を、所得税は大いに減税をする、そうしてそれに置きかえるに付価価値税をもってする、こういうことが考えられないかというのが付加価値税論なんです。自民党で昨年政調会長がヨーロッパへ参りまして、そうして、この問題について、各国の、特にヨーロッパ諸国に多いのでありますが、その状態を調べてきまして、だいぶ自民党のほうではこの行き方に魅力を感じてきたような報告を受けております。それで、政府のほうでは、この問題の取り組み方は非常に慎重であります。つまり、これは、ほとんどあらゆる物資に対しまして軽微な税をかける、こういうことになるわけであります。それが物価にどういう影響ではね返りを持つか、こういう点なんです。これは物価かなり安定状態になる時期でないとなかなか採用しがたいのじゃないか。所得税が大幅に減税できる、そのかわり付加価値税というものが生まれる。そういうことをながめてみますと、一応一つの望ましきタイプだというふうな感想も持つ人が多いわけなんでありますが、しかし、物価に与える影響、これを考えますときに、これはそう軽々に踏み切るわけにはいかぬ。同時に、これに対しましては、かなりの準備期間、それからまだたくさんある業界に対するPRの時間、こういうものが要るわけであります。かりに実施というような方向になりましても、まだ三、四年とかそのくらいの日子は要するのじゃあるまいか、こういうふうに思うのでありまして、慎重の上にも慎重にこの問題とは取り組んでいきたい、こういうふうに考えて、税制調査会に対しましてもひとつ慎重に検討していただきたいということを申し上げておる次第でございます。
  49. 多田省吾

    ○多田省吾君 もう一点だけ、公害税の問題でお尋ねいたします。アメリカのマスキー上院議員は、来週発表になる予定のニクソン大統領の公害教書に先立ちまして、総額二百五十億ドルに及ぶ全米水質汚染防止法案を議会に提出しましたが、この中で、水質基準をそこなうような排水をした汚染企業に対しましては一日一万ドル、故意に汚染した者には二万五千ドルの罰金を科するというものでありますけれども、さきの石原産業等の例もあり、このような汚染企業に対しては、わが国でもきびしい態度をとる必要があるのではないか。  また、もう一つは、昨年二月のニクソン公害特別教書の中では、大気汚染に関連して排気ガスの規制基準を設けまして、この基準に違反した者は一日当たり一万ドルの罰金、さらに、同年九月二十二日には、空気汚染防止法案——マスキー法案を上院で可決しています。特に、この中で、自動車の排気ガスにとどまらないで、発電所、製鉄所、セメント工場など、大気汚染の元凶となる施設の新設については最新式の汚染防止設備を義務づけ、これに違反した場合、民事事件の場合は一日一万ドル、刑事事件の場合は一日二万五千ドルの罰金を科するということになっておりますけれども、このようなことは、世界一の公害国といわれる日本で考えないことはかえっておかしいのじゃないかと、このように思います。  また、ニクソン公害教書では、地方自治体は工場廃棄物の処理コストに十分見合う料金または税を企業から徴収する、このようにしておりますけれども、これは当然なことであって、日本においても地方自治体に徴収権限を付与すべきではないか、このように考えます。このことに関しまして、簡単でけっこうですから……。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昨年の暮れの臨時国会で公害罪というものが制定されまして、公害をかもし出す企業等に対しまして罰則を適用するということになったことは、御承知のとおりであります。それから公害を出すものの財政負担をどうするか。これは、公害が出ないにこしたことはないのでありまして、公害が出ないようにするための措置はそれぞれの企業がみずからの負担においてやるわけです。それから各企業で処置できない問題を、共同の事業として公害対策を講ずる。つまり、これは公共事業です。そういう際におきましては、各企業等の公害発生源より負担金を徴収する、こういうふうにいたしましたので、大体多田さんのおっしゃる方向に仕組みができ上がったわけであります。これからそれをどういうふうに運用していくか、こういう過程になってきたわけであります。
  51. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本件の質疑は、この程度にとどめます。     —————————————
  52. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、外国証券業者に関する法律案証券取引法の一部を改正する法律案、及び国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件、以上三案件を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田大蔵大臣
  53. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま議題となりました外国証券業者に関する法律案外二件につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  最近における国際的資本取引の著しい増加、あるいは昨年九月に行なわれた証券業の資本自由化等に見られますように、証券市場を取り巻く国際化の趨勢にはまことに目ざましいものがあり、わが国証券会社の海外進出も次第に増大しつつあります。しかるに、現行証券取引法は、外国証券業者の本邦内支店の設置を認めるための規定を欠いております。  このような状況にかんがみ、かつは、わが国資本市場の健全な発展にも資するため、外国証券業者が国内において証券業を営むことができる道を開くとともに、わが国証券市場の秩序維持と投資者保護の見地から、その営業活動について適正な規制を行なうこととし、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきましてその大要を御説明申し上げます。  まず、第一に、外国証券業者は国内に設ける支店ごとに大蔵大臣の免許を受けた場合に限り、当該支店においてその受けた免許にかかわる証券業を営むことができることといたしております。免許の種類、免許の審査基準、拒否要件等につきましては、国内証券会社の場合とおおむね同様といたしておりますが、株式会社と同種の法人でない場合、一定の経験を有しない場合及び原則として証券業専業でない場合を拒否要件として明定する等、支店に対する免許の付与であることの特殊性に対応して規定の体裁を若干異にしております。  なお、欧州等には銀行業務と証券業務をあわせ営むことを常態とする国のあることにかんがみ、免許の拒否要件において所要の調整をはかることといたしております。  また、引き受け業務の免許を受けていない外国証券業者であっても、大蔵大臣の許可を受けて、有価証券の引き受け業務のうち、元引き受け契約への参加その他の一定の行為を国内において行なうことができるよう措置することといたしております。  第二に、外国証券業者の本拠が外国にあることにかんがみまして、国内の投資者保護の見地から、免許を受けた外国証券業者は、営業の開始に先立って営業保証金を支店ごとに供託しなければならないことといたしておりますが、供託に代わるべき所定の契約を締結した場合には、営業保証金の一部を供託しないことができることといたしております。  また、同様の観点から、支店の資産について、その所定の部分を国内において保有しなければならないことといたしております。  第三に、免許を受けた外国証券業者の支店の業務及び財務に関する規制につき、証券取引法の規定とほぼ同旨の規定を置くことといたしております。  そのおもなものは、基本事項の変更等の認可、免許の取り消し、業務の停止命令、経営保全命令、不公正取引等の禁止、法定準備金の積み立てなどに関する規定であります。なお、取引所会員たる国内証券会社の場合にならって、外国証券業者が国内において行なう過当数量取引等を制限し得ることといたしております。  以上のほか、外国証券業者等が証券業に関連のある業務を行なうため事務所等の施設を設置する場合の届け出義務等を規定するとともに、附則におきまして証券取引法をはじめ関連法律について所要の整備を行なうことといたしております。     —————————————  次に、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  証券取引法における有価証券の発行・流通に関する制度は、昭和二十八年以来今日に至るまで改正が行なわれておりませんが、この間、わが国証券市場及びこれを取り巻く諸情勢は大きく変化してまいりました。すなわち、近年における証券市場の拡大は著しく、その果たすべき役割りはますます重要なものとなってきております。さらに、最近におけるわが国経済の国際化、資本取引の自由化の進展は、証券市場の動向にきわめて大きい影響を及ぼしつつあります。  このような情勢の変化に即応いたしまして、投資者保護の一そうの徹底をはかり、また、企業の長期資金調達の円滑化及び証券市場の秩序維持に資するため、この際、企業内容開示制度の改善合理化を行なうとともに、株式の公開買い付けの規制に関する制度を新たに設ける必要があると認められますので、ここに、この法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。  この法律案は、大別して二つの部分から成っております。  第一は、企業内容の開示制度に関するもので、現行証券取引法第二章を改正しようというものであります。企業内容開示制度は、有価証券届出書、有価証券報告書等により企業の財務、営業等の内容を広く投資者に公開するための制度でありますが、今回、これに全般的な再検討を加えまして、証券市場の今後の趨勢に適応し得るよう、所要の改善合理化をはかることといたしました。  まず、企業が増資等に際して大蔵大臣に提出する有価証券届出書につきまして、その提出基準を引き上げ、開示の時期を早めるなど、最近における増資の実態に即応し得るように改めることとしております。  次に、企業が毎事業年度提出する有価証券報告書につきまして、提出会社の範囲の拡大、半期報告書及び臨時報告書制度の創設等により、流通性に富む有価証券の発行会社の企業内容が投資者に適時適切に開示されるようにすることとしております。  また、企業の粉飾決算は依然あとを断ちませんが、粉飾についての民事上及び刑事上の責任に関する現行規定は、投資者保護の上からは十分でないと考えられます。したがいまして、最近の実例にもかんがみ、これを整備・強化いたしますとともに、粉飾決算を行なった企業に対しましては、相当の期間内は増資等ができないように大蔵大臣が行政処分を行ない得ることとしております。  第二は、株式の公開買い付けの規制に関する制度の創設でありまして、証券取引法に第二章の二を追加しようとするものであります。  わが国経済の国際化に伴い、近年、諸外国企業の合併、経営権取得等の手段として広く用いられている公開買い付けによる株式の大量取得が、今後わが国においても行なわれるようになることが予想されます。現行法では、これに関して何らの規定もなく、全く当事者の自由にまかされた形になっておりますが、これでは、さような事例が実際に発生いたしました場合、投資者保護と証券市場の秩序維持という点からみて好ましくないと考えられますので、これに対処すべく一定のルールを設けようとするものであります。  すなわち、この法律案におきましては、ある会社の株式を一定割合以上取得するため、市場外において不特定多数の者に対して買い付けの申し込みをしようとするときは、あらかじめ買い付けの期間、価格等、公益または投資者保護上必要と認められる一定の事項を記載した届出書を大蔵大臣に提出し、かつ、その効力が発生した後、これを公告しなければならないこととしております。さらに、公開買い付け者に対し対象会社への通知を義務づけ、一方、対象会社には意見表明の機会を与える等、所要の規定を設けることといたしております。     —————————————  最後に、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件につきまして御説明申し上げます。  本件は、大蔵省所管の普通財産を総理府(宮内庁)所管の皇室用財産とすることにつきまして、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるものでありまして、その概要は次のとおりであります。  宮内庁におきましては、現在大蔵省所管の普通財産となっております東京都港区高輪に所在する本件土地に高松宮殿邸を建設することとし、昭和四十六年度においてその準備に着手することを予定いたしております。  これに伴いまして、本件土地を、大蔵省所管の普通財産から総理府(宮内庁)所管の皇室用財産に所管換するものであります。  以上が、外国証券業者に関する法律案外二件の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。
  54. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、補足説明を聴取いたします。  志場証券局長
  55. 志場喜徳郎

    政府委員志場喜徳郎君) ただいま議題となりました外国証券業者に関する法律案外一法律案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。  まず、外国証券業者に関する法律案につきまして申し上げます。  現行の証券取引法は、当初より、国内において証券業を営む者として外国証券業者を全く考慮の外に置き、国内の証券会社のみをその規制の対象としてとらえておりまして、このことは証券会社の免許制採用を柱とする昭和四十年の同法の一部改正の際にもそのまま踏襲されてまいりました。  しかしながら、昨今、資本取引及び証券業の国際化には著しいものがあり、わが国の証券会社が海外に進出する例も増加してきている事情にかんがみますと、外国証券業者がわが国に進出できないこととなっている現行制度をそのまま維持することは適当でなく、この際支店形態での進出を認めるための法制を整備すべきであると考え、今回、この法律案を提出することといたした次第であります。  この法律案におきましては、提案理由の説明にもございましたように、外国証券業者に対し、原則的には国内証券会社に対すると同様の規制を行なうことといたしておりますので、ここでは、国内証券会社についての取り扱いと異なるおもな点につきまして、若干補足させていただきます。  まず、免許につきましては、外国証券業者が国内に設ける支店ごとにこれを付与することといたしております。これは、外国業者の本拠が国内にないため、本支店を含めてその法人の営業を一体として見るよりは、各支店をそれぞれ本店に直接従属する別個の営業体としてとらえることが実際的であり、指導監督上も適当であると判断されるためであります。また、免許は原則として証券業専業でないものには与えないことといたしておりますが、これは、わが国において証券会社が原則的に兼業を禁止され、また、特に金融機関が証券業務を営むことができないとされていることに対応して設けることとした規定であります。ただ、本国においては金融業などを兼業しておりますが、わが国においては証券業のみを行なう場合であって、かつ、本国においても証券業につき明確な区分経理が行なわれているような者につきましては一定の例外を設けることを考慮いたしております。  次に、引き受け業務の一部についての許可の規定でありますが、本来、社債発行等の場合における引き受け業務につきましては、その業務のうちのどの部分でありましても国内で行なうためには免許を要するとするのが原則であります。しかしながら、国際的な証券発行は今後いよいよ盛んになることが考えられますとともに、諸外国における慣行をも考慮いたし、たとえば、たまたま幹事証券会社から勧誘を受けて、外国において販売を行なうため、その幹事証券会社が発行者と協議して内容を確定した元引き受け契約に参加して調印のみをわが国において行なうような場合にまで支店を設けて免許を受けなければならないとするのは、いささか窮屈に過ぎると考えられますので、そのような場合については、簡易な許可によってこれを行ない得るように措置いたしたいと考えている次第であります。  最後に、営業保証金に関する規定であります。国内証券会社につきましては、最低資本金の定めがあり、また、純財産額が資本金を欠くに至った場合には早期に経営保全命令を出すなど、支払い能力確保のための手段が用意されているため、特に営業保証金制度を設けておりませんが、外国証券業者についてはその法人の本拠が外国にあることにかんがみまして、国内における支払い能力を直接的に確保する意味で、この規定を設けようとするものであります。したがいまして、その額は相当多額のものでなければ投資者保護の趣旨に合致いたしませんので、外国証券業者について法定される最低資本金の十分の一までとすることができることといたしております。他方、あまり多額の資金を供託させ、固定化させることは、資金効率を悪化させることにもなり、会社の負担をあまりに重くするおそれがあるので、諸外国、特に米国において発達しております保証あるいは保険制度を参考としつつ、供託に代わるべき契約を一部認めることといたした次第であります。  なお、外国証券会社の支店の資産のうち、一定部分については、国内で保有することを義務づけることとしておりますのも、国内投資者に対する即時的支払い能力の確保という、同様の見地からの措置であります。     —————————————  次に、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  今回、証券取引法を改正することといたしました趣旨は、ただいまの提案理由の説明のとおりでありますが、有価証券の発行・流通に関する制度の整備改善の必要性につきましては、昭和四十年に行なわれました証券業を免許制とするための証券取引法の一部改正の際に本委員会の附帯決議におきまして指摘されたところでありまして、これを受けて証券取引審議会におきまして慎重審議を重ね、昨年十二月十四日、大蔵大臣に対して、有価証券の発行・流通に関する制度の根幹をなす企業内容開示制度等の整備改善についての報告が提出されました。今回の改正は、この報告を具体化しようとするものであります。  以下、改正の概要につきまして、順次御説明申し上げます。  まず、企業内容開示制度の改正でありますが、その第一は、企業が増資等を行なうに際しての開示制度の改正であります。現行制度のもとでは、増資のため募集する有価証券の券面額の総額が五千万円超の場合に有価証券届出書を提出することとされていますが、これを投資者が募集に応じて支払う金額、すなわち発行価額の総額が一億円以上の場合に提出することに改めることとしております。最近における増資の実態及び投資者保護の見地からは、発行価額に提出基準を求めることが合理的であること、及び金額基準を投資者保護に支障のないと考えられる範囲内で引き上げることが適当であることを考慮したものであります。  また、現行法では、届け出の効力が生じなければ有価証券届出書は公衆縦覧に供されず、また、投資勧誘もできないことになっておりますが、これを有価証券届出書が提出されたときは、直ちに公衆縦覧に供するとともに、届け出の効力発生前にも投資勧誘ができるように改めることとしております。有価証券届出書は投資者の投資判断資料でありますので、できるだけ早期に公衆縦覧に供し、かつ、これに基づいて投資勧誘が行なわれることによって投資者に十分な熟慮期間を与えようとするものであります。  第二は、既発行証券が取引される流通市場における開示制度の改正であります。現行制度のもとでは、増資等に際して有価証券届出書を提出した会社だけが、その後、毎事業年度、有価証券報告書を提出することとされていますが、今回の改正では、有価証券届出書提出会社のほか、証券取引所に上場されている有価証券及び店頭売買銘柄として証券業協会に登録されている有価証券の発行会社は、有価証券届出書の提出がない場合にも、有価証券報告書の提出義務があるものとしております。有価証券報告書は流通市場における投資判断資料でありますので、流通性に富む有価証券、すなわち上場証券及び店頭登録証券の発行会社は、すべて有価証券報告書を提出することとするのが適当であると考えられるからであります。  また、現行法では、一年決算会社は年に一度有価証券報告書を提出することとされておりますが、年に一度の開示では投資判断資料として十分ではないと考えられますので、毎事業年度六カ月、経過後に半期の営業及び財務の状況等を記載した半期報告書を提出する制度を新たに設けることとしております。  次に、国外における有価証券の発行、災害の発生等流通価格の形成に影響するところが大きいと考えられる事実が発生した場合には、遅滞なく投資者にその内容を開示することが適当であると考えられますので、そのような事実の内容を記載した報告書をその事実発生のつど提出する臨時報告書制度を新たに設けることとしております。  第三は、粉飾決算等があった場合の民事、刑事上の責任規定及び行政処分の規定の改正であります。現行証券取引法には、有価証券届出書に粉飾決算等の重要な虚偽記載があった場合の届出会社にかかる損害賠償責任の規定が設けられておりますが、今回の改正では、投資者がこうむった損害の救済についてさらに十全を期する見地から、届出会社だけでなく、その役員、売り出し人、公認会計士または監査法人及び元引き受け証券会社も賠償責任を負うことを明らかにしております。  また、有価証券報告書に重要な虚偽記載があった場合の損害賠償責任については、現行法には規定が設けられておりませんが、有価証券報告書の開示資料としての重要性にかんがみ、損害賠償責任に関する規定を新たに設けることとしております。  次に、有価証券届出書等の虚偽記載等に対する刑事罰についてでありますが、現行法では、その及ぼす影響の大きさに比して刑事罰があまりにも低く定められておりますので、虚偽記載等に対する予防効果をあげるため、これを整備強化することとしております。  さらに、現行法では、有価証券届出書に粉飾決算等の重要な虚偽記載があった場合であっても、届出会社が訂正届出書を提出して虚偽記載を訂正しさえすれば増資ができることとされております。しかしながら、虚偽記載が訂正されましても、虚偽記載を原因とする当面の不安定要因がなくなるまでの間は、健全な姿での増資は行ない得ないと考えられますので、その間、増資を延期させる行政処分を行ない得る規定を新たに設けることとしております。  次は、株式の公開買い付けの規制に関する制度の創設であります。  これにつきましては、投資者保護と証券市場の秩序維持という観点から所要の規制を行なうこととしております。  まず、有価証券市場外において不特定多数の株主からある会社の株式を買い付け、その結果その会社の発行済み株式総数の一〇%以上を所有することとなる者は、買い付け価格、買い付け期間等所要の事項を記載した届出書を公開買い付けを開始する十日前までに大蔵大臣に提出しなければならないこととし、その届け出の効力が発生した後届け出の内容を公告してからでなければ買い付けを行なってはならないこととしております。  次に、公開買い付けばその対象会社にとって重大な関心事でありますので、届け出の効力の発生するときまでに届出書の写しを対象会社に送付することを公開買い付け者に義務づけることとしております。対象会社は、これにより株主の判断に資するよう公開買い付けに関する意見を表明することが可能となります。他方、株主に対しては、大蔵省及び証券取引所における届出書及びその写しの公衆縦覧により、公開買い付けに関する情報を開示することとし、買い付けにあたっては説明書を交付しなければならないこととしております。  また、公開買い付け者が公開買い付けによらないで株式を買い付けることは、公開買い付けに応じた株主に不測の損害を与えることにもなりますので、公開買い付け期間中はこれを禁止することとしております。  なお、公開買い付けにあたりましては、買い付け株式のすべてを単一の価格で買い付けなければならないこととするほか、株券の受け渡し等について一定の規制を行ない、投資者保護をはかることとしております。  以上をもちまして、外国証券業者に関する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明といたします。
  56. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 相沢理財局長
  57. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) ただいま議題となりました国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  昭和四十三年十二月に開催されました皇室経済に関する懇談会において了承されました皇族殿邸を逐次国費で整備する旨の方針に基づきまして、宮内庁において皇族殿邸を順次整備してまいっております。  すなわち、昭和四十四年度には三笠宮の殿邸の建設に着手いたしまして、昭和四十五年十一月に完成いたしましたので、これに引き続きまして、昭和四十六年度には秩父宮の殿邸の建設及び高松宮の殿邸建設の準備に着手する予定であります。  このための建設費は、昭和四十六年度の予算案に計上されておりまして、本件と並行して御審議をお願いいたしております。  本件財産は、戦前は皇室の高輪御料地でありましたが、昭和二十二年に財産税として皇室から国に納付等されまして、国有財産となり、現在は、大蔵省所管の普通財産となっております。  以上提案理由を補足して御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  58. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 三案件に対する質疑は、これを後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十五分散会      —————・—————