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政府委員(
赤澤璋一君) ただいま御
指摘のように、安易に業界の保護育成をはかるというような面が
法律運用上出てまいりますと、かえってこれは業界をただ眠らせるといいますか、安住させるだけで、本来
本法の
目的の主としておるところにはいかないというような面があることも、まことに御
指摘のとおりだと思います。これは私
ども本法の
運用について今後とも十分戒心をしてまいらなきゃならない重要なポイントだと思います。ただ、従来この
合理化カルテル、私
どものこのいわゆる
指示カルテルで行ないました例を一、二申し上げて御理解をお願いしたいと思いますが、
先ほども申し上げましたように、
機械工業の中には非常に中小
企業性の高い
業種が多数ございまして、こういったものはなかなかお互い同士の話し合いではうまくいかない。のみならず、ユーザーのほうはといいますか、要するにそういう
部品を買うほうの
機械工業というのは、どちらかといえば大
企業でございます、だからなかなか注文側からの圧力もあって、お互いお互いが競争状態でございますから、たとえば
品種の
制限にいたしましてもその他にいたしましても、思うようにできないという面があるのもまた事実でございます。たとえば過去の例を一、二申し上げますと、人造研削砥石というのがございますが、これは非常に中小
企業が多いのでございまして、ユーザーからの仕様、注文に従いまして、非常に多
品種少量
生産をやっておりまして、これにつきましては
昭和四十一年から
規格制限カルテルを
実施をすることにいたしましたわけでございますが、その結果、従来
規格は約六万ございましたが、これを一万二千五百に整理をするということに成功いたしました。これもまあ三、四年間でございますが、一応六万という非常に多
品種の
規格をもってユーザーの注文に応じて
生産しておったものを、この四年間で一万二千五百、約四分の一以下にこれを落としたのであります。また別の面で
生産分野の調整
カルテルというのが
実施できることになっておりまするが、これも四十四年の十二月から全体の
生産シェアの九割に当たります六十二社が加盟をいたしまして、ろ過器でありますとか、あるいは熱交換器、こういったような五つの
機種につきまして、お互いに適正な
生産規模になるように、あまり今後見込みのない
品種については
生産を中止する。そういうことで調整をはかりました結果、延べ
品種にいたしまして約四割のものをカットいたしました。今後
生産しないということにいたしましたし、全体でいま十九
品種ございますが、そのうちの十四
品種につきましては、従来の機振法で言っております、いわゆる適正
生産規模というふうに私
どもが見ております
規模にまで、この十四
品種が到達することができた、こういったようなわけでございます。こういったふうに、従来の機振法におきましても、もう業界の中だけではとうていうまくいかないような、
体制を整備し、
規格、
機種を
制限をし、そうしてそれぞれが
一定の
規模に達してその中で競争してもらう。いわば競争以前のいろいろな
体質を
強化できないような面を、この
指示カルテルをもって解決をしていく、こういうのがこの
カルテルの
基本的なねらいでございます。しかし冒頭に申し上げましたように、こういったような
指示カルテルを行なうことによりまして、安易に業界がその中に安住する、競争意識を非常になくするということは重大なことでございまするので、この
カルテルにつきましても一応
効果があがればその段階で打ち切る、あとは競争というふうな
運用をいたしておりまして、十五年の長きにわたってはおりますが、
カルテルにつきましては実際問題として大体短いものは一年余り、長いものでも三年ぐらいということで、その
効果を見きわめ次第
カルテルはやめるというような
運用をしてきて、いま御
指摘のような弊害がないように注意をしてまいりましたし、今後もこの問題の
実施にあたりましては、十分その点は戒心をしてまいりたいと考えております。