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政府委員(
坂元貞一郎君) 逐次お答えを申し上げます。
三千円の金額が非常に低いんじゃないかという御指摘が第一点でございます。
児童養育の費用の負担の軽減という目的を持っているわけでありますけれ
ども、この
児童の養育費の全部を
児童手当制度でカバーするという思想では決してないわけでございまして、親の扶養責任と、それから
児童手当制度によるいろいろな
児童の養育の負担の軽減ということになるわけでありますが、
外国等におきましても、どの
程度児童手当制度で養育費の負担を軽減するかという点につきましては、必ずしも明確な基準はないように私
ども承知いたしているわけでございます。二分の一がいいのか、三分の一がいいのか、そこらあたりが非常にまだ
外国等でも明確なものはないようでございまして、一応のめどというものがさように言われていると私
どもは
承知しております。そこで
児童手当審議会におきましても、さような
考え方からいたしまして、一応の明確な基準というものはなかなかっくれないけれ
ども、まあ現在の
わが国のもろもろの諸事情というものを考えた場合は三千円というようなところが適当であろう、こういうようなことから三千円というのが
審議会の
答申に出てまいりましたので、今回の
法律案でもそれを引き継いだわけでございます。
それから第二の点で、
大学生等までに
外国等が進学奨励というような
立場から
対象にしているという御指摘でございますが、確かにそういう国が多いことは事実でございます。この点は、
先ほど大臣からもお答えいたしましたように、現在の
わが国の諸
制度のたてまえからいきまして、大体十八歳というところがやはり
児童という観念でとらえられておりますので、第一
段階の現
段階においては
対象にすべきだということに相なったわけでございます。
それからスライド制ということにつきましては、
法律の中にさような
考え方が取り入れられております。
それから、現物給付を入れないのはどういう
理由かという
お尋ねでございましたが、
外国等においても、若干の国がそういう現物給付というのをやっていることも
承知いたしております。ただ、
わが国の現在のいろいろな諸
制度を見ますると、
保育所のいわゆる入園料と申しますか、
保育所の徴収金等の問題等につきましては、やはりそれぞれの
制度がございますので、そういうそれぞれの既存の
制度等を十分今後
充実強化していく方向のほうが正しいんじゃなかろうかということで、今回の
法律案ではそのような現物給付的な
考え方は取り入れなかったわけでございます。同様に出産
手当なり、妊婦
手当につきましても同じような
考え方に基づくわけでございます。
それから
段階的に
実施する際に、五歳といういわゆる低
年齢の
児童のほうからスタートするのじゃなくして、むしろ年長
児童のほうからスタートしたほうがいいんじゃないか、確かにそういう御議論もありました。私
ども、
審議会等で審議していただく場合にも、そんな御意見があったことも事実でございますが、私
どもが五歳
未満というものを第一
段階の
対象にいたしましたのは、今回の
法律案が三人以上ということになっておりますので、そのような三人以上ということになりますと、大体親の
年齢もそう高くないと、つまり三人以上の場合の五歳
未満ということでございますので、大体扶養する親の
年齢も高くないと、つまり親の
年齢が若いし、所得は一般的に低いので、そういう方面からまず
段階的に
実施する場合は最初に手をつけるべきじゃなかろうかということで、低
年齢児童のほうから逆にスタートをいたしたわけでございます。
それから所得制限の点につきまして、
イギリス等の例をお引きになったわけでございますが、私
どもも、そのようなことを大体大筋を
承知いたしております。そこで、
児童手当審議会等では、この所得制限の問題につきましても、やはり相当な議論をしていただいたわけでありますが、
政府の今回の
法律案におきましては、この所得制限を一応入れているわけでございます。この
考え方の基礎にありますのは、
児童の養育費の負担を軽減するというのが
一つのねらいになっておりますので、そういうような養育費の負担を軽減するということになりますと、そのような必要性のない、いわゆる高額の所得者については、この際
児童手当というものをやっても
ほんとうに効用が出てくるかどうかわからないというような、一種のそういう
国民的な
感情というものも片一方にございますので、そこで、大体前年収入が二百万というような、それ以上の高額所得者につきましては、この
対象からはずしたと、こういう事情に相なっておるわけでございます。