運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-01-21 第65回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年一月二十一日(木曜日)    午後一時二十九分開会     —————————————    委員異動  一月五日     辞任         補欠選任      中村 波男君     松永 忠二君      鈴木  力君     足鹿  覺君  一月九日     辞任         補欠選任      足鹿  覺君     中村 英男君      江藤  智君     大谷藤之助君  一月二十一日     辞任         補欠選任      中村 英男君     足鹿  覺君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         北村  暢君     理 事                 佐田 一郎君                 増田  盛君                 武内 五郎君                 塩出 啓典君     委 員                 上田  稔君                 大谷藤之助君                 小林 国司君                 佐藤  隆君                 初村滝一郎君                 中村 英男君                 松本 英一君                 藤原 房雄君                 高山 恒雄君                 河田 賢治君    政府委員        総理府総務副長        官        湊  徹郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     高橋 盛雄君        厚生省社会局生        活課長      蝦名 真一君        水産庁長官官房        総務課長     樋貝  勇君        水産庁漁港部長  瀬尾 五一君        通商産業省公害        保安局公害部公        害第二課長    根岸 正男君        運輸省港湾局技        術参事官     竹内 良夫君        気象庁予報部長  高橋浩一郎君        自治大臣官房調        査官       河野 文雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (一月上旬の暴風高波による災害に関する  件)  (昭和四十六年一月四日、五日に発生した冬期  季節風による災害に対する決議の件)     —————————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る五日、中村波男君、鈴木力君が委員辞任され、その補欠として松永忠二君、足鹿覺君がそれぞれ選任されました。  また去る九日足鹿覺君、江藤智君が委員辞任され、その補欠として中村英男君、大谷藤之助君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 北村暢

    委員長北村暢君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、山陰地方等における一月上旬の暴風高波による災害に関する件について調査を行ないます。  まず、本件に関して先般当委員会が行ないました島根県の被害状況調査のための委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。塩出君。
  4. 塩出啓典

    塩出啓典君 去る一月十二日から十四日までの三日間、大谷藤之助委員中村英男委員及び私の三人は、強風による災害に見舞われた島根県の実情調査に行って参いりました。以下その調査の概要を報告いたします。  私たち一行は、十二日夕、島根県庁に着き、直ちに田部知事をはじめ関係部長から被害状況並びに要望事項について詳細な説明を聞くとともに、県の漁業六団体からなる冬季季節風漁業災害対策本部陳情を聞いたのであります。  翌十三日は、被災地である御津港をはじめ、小伊津漁港田儀港、鳥井漁港、和江港、仁万漁港今浦漁港波子漁港松原湾及び浜田商港中心に時間の許す限り被害状況を視察するとともに、応急措置復旧対策等について調査を行なったのであります。  まず、今回の災害原因となりました気象概況について申し上げます。一月四日早朝、朝鮮北部に小低気圧発生、南東進し、午後九時ごろ島根半島沖に達し、中心気圧九百九十八ミリバールを示した。この低気圧が北々西の強い風と雨、雪を伴って時速約四十キロメートルで東へ進み、五日午前零時半には松江市内最大瞬間風速三十四メートル、冬季としては松江地方気象台始まって以来の強い風を記録したのをはじめ、約二時間にわたって平均二十五メートルの強風が吹き荒れ、十メートルをはるかにこす高波と一・五メートルの高潮と重なったため、特に港湾施設並びに漁船に大きな被害が生じたのであります。  次に、被害概況について申し上げます。  死者行え不明おのおの一人のほか、重軽傷者十九人を出したのをはじめ、家屋の倒壊や漁船流失、被損、港湾の決壊など、県当局の発表によると、十一日現在において、総額二十九億一千万円にのぼっているのであります。その内訳を申し上げますと、漁船被害が最もはなはだしく、動力船一千四百二十隻、無動力船三百八十六隻が被害を受けており、県内保有漁船九千二百十二隻の実に二〇%に当たっているといわれ、これまでに最高であった大正三年一月七日の暴風雨被害による五百四十四隻を大きく上回るもので、その被害沿岸部二十一市町村の範囲に及んでおります。  このほか、魚具養殖漁港等水産関係被害は十六億円をはるかにこえ、河川海岸港湾等土木関係の九億九千三百八十九万八千円、農業施設五千六百八十八万四千円、農作物関係五千四百九十六万円、商鉱工業関係二千八十万円、教育施設六百四十五万七千円、畜産関係七百五十一万円、山林関係五百四十九万六千円、公共施設百六万円等となっておりますが、なお詳細な調査が進むにつれて、その被害は、増加するものといわれております。  次に、県の対策について申し上げます。県は、今回の災害に対処して、七日その救済対策基本方針を決定し、漁業者に対し、漁船建造資金中心とした長期低利資金融通に対する特別融資を行なうこととするほか、イチゴ及び野菜等被害者に対しては、ビニールハウス復旧資金として特別融資を行なうことにしております。  また、浜田港ほか四港並びに仁万漁港外八港の港湾並びに漁港施設早期復旧に対する応急的な対策や、浜田木材整理場臨海道路を早急に建設着工することのほか、世帯更生資金災害援護資金の別ワク及び自作農維持資金貸し付けワクを国に要請する等、本年度応急措置額十億九千百二十五万円の支出を決定しております。  次に県当局要望事項について申し上げます。  第一は、公共土木施設災害復旧農林水産業特に水産業建設のため激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の適用をされたい。  第二は、漁港及び港湾等災害復旧にあたっては、徹底的な改良復旧を講ぜられたい。  第三は、天災融資法適用が受けられるよう特段の措置を講ぜられたい。  第四は、漁船再建策として、(一)、本年度及び来年度において漁業近代化資金増ワク並びに農林漁業金融公庫資金すなわち主務大臣指定災害復旧資金一般災害資金特別割り当てをはかられたい。(二)、激甚災害法適用による共同利用小型動力漁船建造費補助並びに漁船保険金早期支出をはかられたい。口、制度融資資金融資条件の緩和をはかられたい。  第五は、漁港施設早期復旧及び整備をはかられたい。  第六は、漁協所有共同利用施設復旧について地元負担の軽減と国庫補助大幅増大を講ずるとともに、遊休漁船購入あっせんをはかられたい、等であります。  最後に、調査団の若干の意見並びに対策について申し上げます。  第一は、地元要望を待つまでもなく、天災融資法並びに激甚災害法早期発動が必要であります。  今回の災害の特徴は、何といっても漁業関係に集中し、漁船漁具等個人被害がきわめて激甚で、しかも被災者大半沿岸沖合い漁業を営む零細な漁業者によって占められており、経済的にも弱体である事実であります。重要生産手段である漁船漁港共同施設等を奪われた漁業者は、手足をもぎ取られたにひとしく、今後の生活のめどさえ立っていない実情にあります。したがって担保力信用力に乏しい被災者たちが立ち直るためには、あたたかい国の指導援助措置が不可欠であり、しかもその一日も早い実施が望まれるのであります。  第二には、現在底引き漁最盛期であり、かつ一月下旬から巻き網、刺し網、一本釣漁業等漁期を控えている地元の事情を勘案し、漁船保険金早期支払い代替船建造破損漁船修理に伴う緊急特別融資等により零細漁業者にとって最大生産手段である漁船再建措置を講ずる必要があると考えます。  なお、今回の災害実態にかんがみ、全国の漁船保険加入者の全員の早期加入をはかる必要があります。  第三には、島根沿岸は御存じのように平たん部が少なく、山稜が急傾斜をなして海に注ぎ、多くの漁港は、船の置き場も一狭い上に防波堤も低く、かつ今回のように北風による被害が多かったことは、この面に対する備えが不十分であったためと考えられます。さらに、日本海沿岸唯一の重要港である浜田商港外防波堤も甚大なる被害を受けている事実をあわせ考えますと、この地域一帯漁港及び港湾の耐波性、耐風性の強化等、根本的な対策が肝要かと考えられます。  最後に、県内には造船所並びに船大工が少なく、応急修理等にもこと欠く状態であります。今回の被害の一番大きかった平田市では、市内に小さな造船所が一カ所、また同市小伊津町には造船業を営む店が一軒しかない状態であり、現地で聞きましたが、木造の小舟を建造するにも最低二カ月を要すとのことで、これら造船所建設船大工の養成並びにあっせん等措置を早急に講じなければならないと考えます。  以上で、今回の調査に関する報告を終わります。  なお、鳥取県からも今回の災害について、田伎町役場まで陳情に来られましたことを申し上げます。
  5. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、今次災害について政府から報告を聴取いたします。湊総理府総務副長官。
  6. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) 今次一月上旬の暴風高波による災害状況について御報告を申し上げたいと思います。  報告に先立ちまして、今次被害によってなくなられた方々の御冥福をお祈りし、また負傷された方々の回復の一日もすみやかならぬことを祈ると同時に、被災されました現地皆さんに、衷心からお見舞い申し上げる次第でございます。  で、被害状況については、先ほど来島根県のほうからも話がありましたし、ただいま塩出議員のほうからも報告がございましたので、重複を避けまして、私どものつかんでおりますところ、並びに現に講じつつある措置等中心に御報告を申し上げたいと思います。  今回の強風高波による被害は、島根県を中心といたしまして、山陰地方一帯、大体四日の夜半から五日深夜過ぎ、かなり長い時間強風が続いたために、沿岸には高波が押し寄せて、そのため港湾漁港施設及び漁船等に大きな被害をもたらしたわけでございます。  この被害を受けました府県は、島根県を中心に七府県ございますが、その概況を御報告申し上げますと、まず一般被害といたしましては、死者、行え不明になられた方が五名ございます。それから負傷された方が十五名、建物の全半壊流失が十七棟、罹災者が九十九名、こういう状況であります。これは十九日現在の数字であります。  次に、施設関係被害といたしましては、これはまた現地のこまかい査定等を実施いたしておりませんので、県の報告中心になると思いますが、公共土木施設関係で約四十四億円でございます。そのうち、担当別に一応分けますと、建設関係が大体十億円、これは海岸河川道路等でありますが、わりあいにさっき申しました七府県に散在的にこれは発生をいたしておりまして、島根県でも建設関係被害は一億五千万、こういう状態であります。次に、運輸省港湾関係海岸も一部入りますが、港湾関係中心に申し上げますと、これが約十三億円になっております。港湾の場合は、そのほとんどが島根に集中をいたしておる、十一二億円のうちの約十億円が島根県である、こういう状態でございます。最後に一番大きい農林関係被害でございますが、これは漁港がもちろん中心で、そのほか一部治山あるいは海岸被害もございますが、総計約二十一億円、これまたそのうちの大半十二億円が島根県、こういう状況になっておるわけでございます。次に、養殖施設、これはワカメ、ノリが中心であります。養殖施設が約三億円、水産物等被害が約十億円、それから漁船関係が、金額にいたしまして約七億円ということでございます。隻数にしますと二千三百五隻、そのうち小型漁船、無動力船を含めまして、島根県の場合七百八十七隻、こういうことになっております。漁具が約四億円、その他約一億円で、総計いたしまして六十九億円約七十億円、こういう報告でございます。  政府といたしましては、直ちに関係各省庁の担当官を集めて数次にわたる会議を開き、一昨日は私が主宰して各省の担当官にお集まりを願って、各種対策検討いたしたわけでありますが、特に査定につきましては、現地のほうの準備ができ次第、時期はおおむね二月に入ってからになると思いますが二月の上中旬あたりに、現地査定を実施したいということで手はずを整えておるわけでございます。  で、応急対策についても同様でありますが、その査定に先立って被害の大きかった特に漁業関係等については、農林省のほうから専門官派遣も・考慮しておるわけでありますが、さらに各種災害関係法令がございますので、これらの法令に基づく措置についても並行して具体的に検討を進めたい、こういう段階でございます。一刻も早く結論を急ぎたいと思っておる次第でございます。  以上御報告申し上げます。
  7. 北村暢

    委員長北村暢君) これより本件に対し質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 中村英男

    中村英男君 大体塩出団長総務長官報告があったから、委員の方も十分御理解いただけたと思うし、また当局のほうでも災害に関するそれぞれ手当てをしておると思います。私も実は昔からまあ網元で漁師をし、戦後沖へ出て漁師をやっておった。このごろ遊び半分にやっておるが、風があるときにはやっぱり気になるのですね、漁師として。あの辺の風は大体西から北へ回って、西北風になって、夜十二時過ぎに北に回って、まさかそんな被害になると思わぬから気になりながら寝ておったら、朝早く漁師がやってきて、「たいへんだ先生たいへんだ全部やられた、先生のところもだめだ、」こう言うから、そうかじゃあことしはだめだなというわけで出てみたらたいへんでした。そこでここだけではなかろうといって隣の国府町に行ってみたら、これも本来は北に強い港ですが、ここでも高潮のために相当流失破損していた。浜田港に行ったら、これは避難港ですが、漁師が非常に興奮してやあやあ言いながらわしをおこっておる。こんな避難港でありながらここにみんなつないだらすっかりやられてしまった、どうしてくれるのだと言うのだ。これでは設計し直してやり直してもらわなければならぬということで、あくる朝ですがやかましく言われて、それで港を見てその日のうちに私は三分の一の港を見て歩きました。それから皆さんと十三日に県内を歩いたのですが、そのときには一週間たっておりましたからね、大体施設破損は別ですが、船の破損ですから漁師がみんな片づけたりしておるのです。漁師としては見てもらいたいが一体災害があったのか、こう思われては困るというそういう心配もあったものです。しかし新聞写真でごらんになりますように、片づけはしましたが、漁船がたくさんやられておる。浜田のごときは商港漁港のほかに昔の自然港がある。非常に深いりっぱな自然港が帆前船の時代からたくさんそこへつないだのですが、そこに三そう六十トンの底びき船をつないでおった、鉄船をつないでおったのですが、その綱を切って百メートルくらい先のテトラポットの上に乗っかっているのですね。こんなことは見たことはないのですが、よほどの高潮だったようですが、そういうたいへんな従来島根県が経験しなかったような災害ですから、県も一漁民も非常にあわてておったし、また現実困っておるわけです。  そこで私お伺いしたいのは、浜田港のことなんですが、浜田港はいま木谷君の報告申しましたように、あそこの港は北には強いのですが西には弱いのです。私どもが見ますと。波高六メートルに耐えるようなブロックが乗っかっておるのですが、それが歯が抜けたようにころがったりしておるのですね、移動しておるのですね。ですからこれが九十メートルくらいやられておるのですが、これはこのままの従来と同じような六メートルの高波に耐えるようなそういうものでよろしいかどうか、これはやはり設計をし直して、もう少しこういう波に耐えるようなそういう防波堤にしてもらいたいというこういう要望です。ごもっともと思います要望ですね、これについてのお考えを承りたいと思います。
  9. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) 浜田港の防波堤についていま先生がおっしゃいましたように、従来西北風の風、西側からの風、したがいまして、そちらのほうからの波に主体的につくってございます。それは昭和二十一年からいろいろ観測いたしまして、その最大の悪い条件に対してつくったわけでございますが、今回は気象庁のほうからいろいろお聞きしますと、北のほうからの大きな波がまいりまして、それが非常に大きな形になっておる。われわれのほうの波高計は全部吹っ飛んでおりまして、原子力発電所の鹿島町というところの波高計から推算いたしますと、われわれのちょっと想像も及ばないような大きな波が記録されております。そういう点を十分私ども研究いたしまして、現在第三港湾建設局という、神戸にわれわれのほうの技術のほうの港湾建設局がございますので、その担当官等派遣して、いまそれを調査中でございます。また今後は港湾技術研究所等技術者の知識を糾合いたしまして、今回の原因を十分つかみまして、それらに対応できるような防波堤復旧をしたいというように考えております。
  10. 中村英男

    中村英男君 もう一つ、あの港の中に貯木場があるのですが、これがソ連材アメリカ材、大きな材木がすっかり流失して、そして、私どもが行った一週間あともやはりごろごろして参ったのですが、これは聞くところによると、本来あそこに貯木場をつくったが民家が直接あるのですね。ですからごとりごとりして少しの波のときでも眠れないという不満があって、たいへん摩擦を起こしておるところなんですが、この際に民家との間に道路をつくっていただいて、そしてその民家との摩擦を避けたい、こういう要望がありますから、これは十分ひとつ現地をこの間見てもらいましたからね。そういう従来の摩擦がないようにこの際やってもらいたい、こういう要望です。これはこまかな、時間がないから私は申し上げませんが、まあせっかく商港としてこれから非常に地元は期待しておるわけですから、万全を期してりっぱな港にしてもらいたいものだと思います。
  11. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) おっしゃるとおり貯木場が人家のそばにございますが、今後この木材があばれないようにするためには、先ほど言いましたように、まず防波堤を完全に改良したいということ、それから貯木場といいますか、整理場という名前をつけておりますが、整理場の前の防波堤でございます。これもやはり改良していきたい。それから同時に中のHパイルというのが打ってありますが、これも今後もっとよくやらなくちゃいけない。同時に最後先生のおっしゃいました道路につきまして、これは臨港道路というような形で県のほうでも考えておるようでございますので、国のほうも、たとえば今度の災害復旧費というのがございます。一緒にやるとか、あるいはできるだけ援助をするというような形で、先生のおっしゃるように今後道路をつくることによって、民家に対する被害をできるだけ少なくさせたいというような方向で検討してまいりたい、というように考えております。
  12. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 ちょっと関連していまの民家との道路の問題ですね。これは貯木場でなくて整理場なんだから、これは国の補助事業としてやってもらうことでよろしゅうございますか。
  13. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) 整理場の前の防波堤は今回の被害を受けております。それに対する災害復旧の対象になり得ますので、まあ今度の災害復旧改良といいますか、形でやっていけると思います。
  14. 中村英男

    中村英男君 それじゃ二番目に誤報の問題をお伺いしたいのですが、これは気象庁見えてますか。私、しろうとだからわからないですけれども、低気圧が通ってすっぽり水を吸い上げて大きな波が来る前にかわいたんですね。それから何回かこう波長の長い波が来ているのですから、そういう津波みたいに私しろうとは思いますが、これはどういうことなんですか。
  15. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) ただいまの点につきましては、実は非常にまれな現象でございまして、いろいろ現在検討しておる最中でございまして、その原因につきましてよくわかりませんけれども、一つ考えられますことは、静振と申しましょうか、たとえば湖の水が振動いたしますと、水面が上がったり下がったりする、そういったような現象が湾の中に起きまして、今回のような異常な現象があったのじゃないかというように思われるわけでございます。従来の経験によりますと、こういったようなことは、長年つとめておりますけれども初めて経験するわけでございまして、非常に異常な現象だったと思われるのでございます。
  16. 中村英男

    中村英男君 まあまれであっても、これからないとは限らぬわけです。これはこの間現地へ行っていろいろ聞いてみると、あの高い堤防が役に立たなかったのですね、海の中へ沈んで。そして島根県は、いま団長報告しましたように山が迫って、島根の石見のほうは船の引き場がないのですが、少し引いているのですけれども、波が強くて、波が高いものですから、防波堤が役に立たずに、そのままぐっと押し上げてがちゃがちゃと、こうやっておる。ですからこれはやはり原形復旧でなくしてやはり改良復旧をしてもらいたいという要望は、私は当然だと思うのですね。これはひとつぜひそういう点を研究して、何年に一ぺんくるかわからないが、そういうことに耐え得るようなひとつ防波堤に、漁港にしてもらいたいということです。そういう点はもちろん原形復旧でなくて改良復旧してもらえますな。
  17. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 今回の島根県の異常な災害による災害復旧の問題でございますが、まことに先ほど気象庁のほうからもお話がございましたが、局地的に非常に大きな風浪があったことでございまして、私どもとしましては、この復旧につきましては、復旧に要するいわゆる被害原因とかその実態を十分把握いたしまして、このような波等に対しましても、今後災害が再び起こらないような復旧設計を立てて、ひとつこれからやっていきたい、こういうことで目下いろいろ検討をいたしておる次第でございます。設計波高の問題とか、あるいは防波堤の高さの問題、根入れ等いろいろあるわけでございますが、目下こういう点につきましていろいろと慎重に検討して、復旧設計書等の作成を急いでおりますので、こういうものができ次第査定にもかかりまして、再度災害をこうむらないように、いわゆる原形復旧にこだわらない態容を考えた災害復旧をやっていきたいということで考えておりますし、やはりまた必要なものにつきましては、災害関連工事等をできるだけ実施して、遺憾のないようにしていきたいと考えておる次第でございます。
  18. 中村英男

    中村英男君 今度の災害の特徴はそういう災害ですから、漁船がいかれたことは報告のとおりです。しかもきわめて大きな船もあるが、零細な漁船がいかれておるわけです。そこでいろいろ問題が起きているが、まず第一に島根のほうの所有の二〇%ですか、相当の漁船流失破損しておる。これは造船所も大工さんが少ないので、いろいろ手配はいたしておりますけれども、漁期を迎えてちょっとできないように思うのですね。そこで近ごろはやりの船を持ってきておるのですが、なかなかそれではワカメをとったりすることができないという事情で、非常に困っております。これはどうも農業と漁業を比較してみると、農業の災害復旧については比較的たびたびある。そういう意味でわりときめのこまかないろいろなことがしてあるんだ、こういう災害は少ないのですから、非常にそういう点が手当てがむずかしいように思うんです。政令や法律では。たとえば船員保険があるんですね、船員保険があるけれども、大きな船は入っておるけれども一三トン以下の船は入っていないのだ。これは第一、保険法の扱いを入りやすくするように改善しなければいけない、これが一つ。  それからまあ漁船はちょうど農業の農地のように、不動産ではあるが、片方は不動産、片方は動産の違いはあるけれども生産手段の点においては同じなんですね。農業のほうでしたら一町歩のうち五反流れたと、いまはあまりそういうことはしていないそうですが、昔は農薬代や種代を補助しておった。ところが半分は補助によってやってた。漁船なんというも一のは、これはこわれてしまうと生産手段をなくするのですからね。これに対する一体何かいまの法律あるいは政令の中でそういう手当てができるようなことが、私ちょっとわかりませんが、あるかどうか。
  19. 樋貝勇

    説明員樋貝勇君) お答えをいたします。漁船被害に対します助成でございますけれども、いま先生補助のことを念頭におかれての御質問であろうかと思いますが、まあ激甚災法にも書いてございますが、激甚災ということで適用がございますれば、共同利用を前提といたしました補助というものがございますが、そのほかにつきましては、漁船自体に対する補助制度というものはいまのところございません。低利融資、公庫資金なり、あるいは漁業近代化資金等による融資でめんどうを見る、あとは漁船保険の加入を促進をいたしまして、事故がありましたときには再建資金についてめんどうを見るというような形になっております。
  20. 中村英男

    中村英男君 まあこれは将来の話ですが、保険に入っていないのが大多数やられておるのですな。これは保険法を拡充して小さな船も入れるような、そういうことにしてもらわなきゃならぬ、将来。そうすると、一体激甚法の指定になる可能性がありますか、してもらいたいのだが。
  21. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) ただいま激甚法指定の問題が出たわけでありますが、実はこの問題、まあ三時間余、おととい実は各省庁お集まりを願って相当広範囲に検討を行なったところであります。そこで、これは法制の問題とも非常に関係が深いわけなんでありますが、御承知のように、激甚法の成り立ちというものが国民経済全体に甚大な影響を及ぼすんだという大前提で考えてございまして、したがって、公共土木とか、農地農業用の場合ですと、数百億ないし数千億円の総体の被害が前提になって激甚法を発動すると、こういう慣例にいままでなってきたわけです。ところが実際の災害実態を見てみますと、そうじゃない。局部的に限られた漁業なら漁業、あるいは農作物なら農作物という局地的な激甚災害がかなり多発しておりますので、そこで局地激甚制度というのを補完的な制度として昭和四十二年につくったわけであります。自来、市町村を中心にした局部的に激しい災害については局地激甚の適用によってカバーする、こういうやり方を今日までとってまいっております。今回の場合を申しますと、漁港それから漁船、水産物に非常に被害が集中しておりますが、たとえば島根村の例を見ますと、小さな、ほとんど財政収入のない村で一億余の漁港中心にした災害がございます。こういうものは大体やはり局地激甚で救っていくのが筋だろうと私どもも見当をつけております。ところが同じ布施村という村がございます。ここのところは、漁港災害は実は三百万足らずなんであります。ところが一般の港湾施設がかなり激甚な被害を受けておる、こういう実態がございますので、ひとり農林省だけじゃなくて、運輸省のほうからも行ってもらって、現地査定をした結果、両方合わして−さらに建設被害もあるかもしれませんから、あるいは治山の被害等もあわせて公共被害ということで何とか局地激甚で拾えるようにしたいということで、いまさっき申しましたように、その査定の準備を現地と各省ともに急がしておる次第でございます。  そこで問題は、ただいまおただしの共同利用の小型の漁船でございますが、さっき御報告申し上げましたように、漁船災害が全体で約七億円という報告ですが、そのうち、五トン未満の激甚法の十一条の適用対象になる船の被害額はおおむね三億二千万程度でございます。そこでこの激甚法の指定と申しますものが、まず、この災害激甚災害でありますよと、たとえば総体として五百億以上の公共被害がありますから、この災害は激甚にしますよと、まずやっておいて、その激甚に指定した災害によって具体的にどういう事業を対象にして当てはめをやっていくかという適用基準、この二つを両建てできめていくというのが、激甚災の指定基準になってございます。この場合、問題は小型漁船でありますから、当然その適用対象にはなり得ると私は思います。さっき言いましたように、小型だけで島根だけでも七百八十七隻と、こういう非常に多数の船でありますから、適用はできそうに思います。ただし、三億二千万という、その部分だけを取り上げて三億円の災害激甚災害でありますよというふうに指定するために、その災害そのものを指定する基準がない、率直に言いますと。というのが、いまのたてまえになっております。これが公共土木とか、農地農業用の施設災害が一緒にございまして、そちらのほうで優に数百億になると、たまたま小型漁船もあった。去年の十月の土佐の台風十号による災害はまさにそうなんでありますが、そういうことですと、すらっと本激甚の指定も可能である。今度の場合は被害が集中して、激甚災の適用基準にはめるのが、たまたまこの小型漁船しかないというところに問題の非常にまあむずかしい点がございまして、したがって、私ども検討の過程では、先ほど水産庁のほうからも申しましたが、漁船保険でありますが、おっしゃるように、三トン未満のようなものはほとんど加入率はございますまい。五トン以下になりますと、大体四割が入っているようであります。それ以上だと、大体七割になっておる。そこでまあ漁船保険でカバーし得るものはカバーしていただく。  それからもう一つは天災融資法でございますが、これもついでに申し上げますけれども、従来は大体三十億程度の被害があったらば適用しようという運用をやってまいりました。ところが、これも一さっきの局地激甚と理屈は全く同じでして、ひょうが降ったり、突風が吹いたり、たつまきが起きたり、あるいは部分的な高潮があったりしますと、非常に限られた地域だけの被害発生いたしております。そこでそういうものは特例的に十億ぐらいに運用の基準を下げて、そして天災融資法を発動をしても一いいのじゃないかという扱いを従来やったことが二、三回ございます。今度の場合も、願わくはそういうふうな特例運用によって天災融資法の発動をしたいものだ、こういうふうに考えております。そこで問題は、天災融資法が発動になりますと、漁業の場合は、五トン未満の小さな船あるいは漁具、これも一天災融資の対象になることになっております。そこでまず一つ救われる点がある。それ以上にメリットがありますのは、農林漁業公庫から、実は主務大臣指定施設として漁船に対する建造融資がございます。これは一千万円という限度額でありますから、運用によっては相当これはいけるわけでありますが、これがその天災融資法が発動になった場合に、農林公庫の主務大臣の指定融資が、普通は七分五厘の金利を六分五厘に下げて適用する、こういうことになっておりますので、天災融資法とそれから農林公庫、これをセットで何とか運用する方法がなかろうかというので、大蔵省もまじえて目下折衝中でありますが、大体そちらのほうはいけそうな見通しであります。それと近代化資金。いずれにしましても、共同利用の小型漁船でございますから、地元の県さらに漁業協同組合と話を詰めていただきまして、この部分は漁船保険でいく、この部分は公庫融資で何とかいこう、これは天災融資でカバーする、あるいはこれは近代化資金でやるということを地元で大体の折衝をしていただいて、どうしてもやはり補助金をもらってやらなければ困る、どれくらいお困りの方がある、こういうことになりますれば、さっき申しましたように、本激甚の指定ということは率直に申しまして三億円だけの問題になってしまいますので、非常にむずかしいんでありますが、それにかわるような何かの措置というものは考え得られないもんだろうか、こういうこともあわせて水産庁と大蔵省に検討させておる、こういう現状でございます。
  22. 中村英男

    中村英男君 前段の話はよくわかりまして、非常に喜んでおりますが、おしまいのほうですね。救えないものが残るわけですね、いろいろ融資をしたり、いろいろなことをするけれども。これは、なかなか法律や政令というものは非常にむずかしいですからあれですが、そういう弾力性のある運用はして、そうしてその残った小さな零細な漁民をどう救えるか、そのことを具体的に検討してもらいたいと思うんです。私ども法律や政令のむずかしいことはわからないけれども、いま困っているのは、それがいま困っているわけですね。しかも、動力のない小さなものでこれだけのワカメの養殖をやっておるわけですが、これもみんなやられておる。これも融資とか、そういうことはあるかもわからぬが、補助はないということで、これは困るでしょう。そういう小型の動力のない船でワカメの養殖をやっておるのが、これもみんなやられておって、いま何しておるけれども、これはなかなか、五十万のやつを買うてきていろいろ世話をしておるけれども、これはまたこんなことをしてやりにくいだろうと思う。これはやっぱり日の目を見ないのではないか。そこら辺、いろいろ末端に行ってみると、やっぱり問題がたくさんあるんですよ。これは整備をしてもらって、私は法律でどういうことができるか、行政官でないから、よくわかりませんが、ひとつ懇切丁寧にそういう漁民がなるほど融資や援助で立ち直れたと、こういうふうに、この際、私はやってもらいたいと思うんです。そうしないというと、さっき陳情を受けましたように、それでなくても後継者がいないんです。島根県のごときはもう過疎で後継者がいなくなって、非常に県としてもこれは重大なことだと思うので、こういう零細な漁民、しかも、それは非常に老人が多いわけです。そういう点もぜひいろいろ県とも御相談をいただいて、専門家の皆さんですから、なるほど救ってもらえたということをやってもらいたいと思います。これは私のお願いです。  それから、いま厚生省がおいでになっておりますので、それにちょっと付随して。それでもなお救えない者ですね。金を借りに行ってもなかなか漁師には、その手続だとかいろいろなめんどうなことで、金を借りて船をつくろうにも一担保にする財産がないと、こういう場合がありますね。船がないと少なくとも漁業はできないですからね。そういう生活のしにくい人たちがたくさんおるわけですね、漁師の中には。それを何か救える方法はあるのですか、生活保護法か何かで、そういう方法が何かありますか。
  23. 蝦名真一

    説明員(蝦名真一君) お答えいたします。災害によりまして生活が非常にできにくくなった人につきましては、一番目には生活保護法という法律がございまして、生活保護法によって救うということがございます。生活保護に落ちる前の段階の低所得層あるいはボーダーラインの人につきましては、世帯更生資金あるいは母子世帯につきましては母子福祉貸付資金等を貸し出しまして生活を維持させようという制度がございます。これはいずれも貸付金でございまして、非常に有利な条件でございますが、後日返済していただくという性質のものでございます。
  24. 中村英男

    中村英男君 時間がないな。私だけやっても悪かろうからこの辺でやめますか。これは弁士交代せんとあれですが、たくさんお伺いしたいことはあるのですが、これは専門家の皆さんにこれから調査をしていただいて、こういう特殊な災害はなかなかないですから、皆さんもいい勉強になるでしょうから、ひとつ十分見てもらって、そうしてこれは他の地域にもこういうことはあり得るかもわからぬですから、農業のほうは比較的あなたは専門家であれだろうけれども漁業はおくれていて漁業のほうはそういうことがないから、十分目の詰んだことをやっていただきたいという私の希望を申し述べまして、時間をとりましたが質問を終わります。
  25. 北村暢

    委員長北村暢君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  26. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  27. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 いま厚生省側から世帯更生資金やら母子貸付資金という話が出ましたが、具体的に今度の問題で、それじゃあひとつ今年度大幅にひとつ予算措置を何とか講じようという具体的なことを考えておられるわけですか。やっておられるような段階ですか。
  28. 蝦名真一

    説明員(蝦名真一君) 母子福祉資金のほうは聞いておりませんが、世帯更生資金につきましては、県からの要望もございまして、私どももその災害につきまして何らかの措置を講じなければならないというふうに考えております。ただいま県のほうの要望現地に即して詰めたところ、どのぐらいどういう形になるかということを調査させております。その結果によりまして適切な処置をとりたいと考えております。
  29. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 その問題につきましては、現地でもだいぶ話が出ております。単年度で全部をカバーしようという点はなかなかむずかしいと思いますから、今年、明年、一一年度ぐらいでカバーするような具体的な配慮をしていただきたいと思います。
  30. 蝦名真一

    説明員(蝦名真一君) お答えいたします。御趣旨に沿いますように、私ども年度末近くになりまして手持ちの資金も非常に窮屈でございますので、次年度のこともあわせて考えてまいりたいと思います。
  31. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 副長官に。先ほど激甚災害の指定の問題から基本である天災融資法の話が出てまいりました。あとで尋ねますが、ちょっと重ねてはっきりさしておきたいと思いますけれども天災融資法は、いろいろ従来ですと数字にいろいろワクがありましたからかなりこれを取り上げるということがむずかしいことも承知しておりますが、異例の措置をやった例は二、三件あると思います。十億前後というものを考えましても、これは必ずやってもらえると期待しておるわけでして、この点はひとつ前向きにぜひかなうように、この上とも御配慮をひとつお願いしたいと思います。
  32. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) ただいま重ねてのお話でございますが、たまたまそういう特例措置をやった帳本人が私自身でございまして、何とか一あの当時衆議院の災害委員会で発案をしてそういうことにしたわけでございますので、当然今回のやつも降ひょうとか突風とか高潮と同じような局地的なもの、先ほどからの御説明のとおりでありますから、そういう前提で現在県のほうから上がった数字だけでおおむねおそらく十六億になっておるようでございますので、天災融資等は発動するという前提で、これから作業を進めていきたいというふうに思っております。
  33. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 激甚災害指定の問題について重ねて副長官にお尋ねします。まあ一般の激甚災害指定はこれはなかなか至難であることは、私ども現地のいろいろたいへんな状況は承知して帰ったわけですが、なかなか困難だと。しかしながら局地の指定のほうはこれは大体この基準に該当するものがかなりあると受けとめておるわけです。まあおそらくこれはこの場でどうということをと具体的に聞かなくてもけっこうでありますけれども、まあ全部カバーしなくてもその基準に合うものは、前向きでひとつこれは指定をお願いしたい。必ず一部は実現を見るものと期待いたしております。ただその場合に特殊激甚災害の指定を受けます公共土木につきましては、これは問題ないと思います。あるいは農業土木あるいは中小企業、そういうものは問題ないと思うのですが、局地激甚災害を指定をされる場合は、やはり例の基本である六条ですか、六条は共同利用の施設ですな、それから七条の養殖漁場、十一条の小型漁船関係、これはいろいろ協業化のものが前提になるわけで、これはいろいろ問題があるようですが、少くともその三カ条は局地激甚の場合に適用していただかなければならぬと考えているわけですが、現在の副長官のお気持ちはどうですか。
  34. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) ただいま局地激甚の話がございましたが、これは御承知のように、これも四十二年につくられた制度でございまして、現在その公共土木施設災害と農地農業用施設災害と融資に関する中小企業の特例とこの三つの項目からなってございますので、今回の場合漁港災害中心にした局地激甚指定の第一号基準、これに該当するところがあるんではなかろうかということで、さらっと調べただけでも、さっき御紹介しましたように一、二あるわけでございますが、問題はその局地激甚の指定基準といたしまして査定事業費がその市町村の一年間の標準税収入の二倍をこえる。したがってその査定が終わってみませんと、実際これだけの被害を受けたというんじゃなくて、それを復旧するためにどれだけの銭がかかるかというその査定額が結局その指定の基準になるもんですから、若干時間はかかりますけれども、大体の目見当をつけながら、できるだけ拾っていきたいと、こういう方向で指定をいたしたいと思っております。  それから本激甚につきましては、先ほど申しましたとおりなんでありますが、これはさっき中村先生もおっしゃいましたように、農業のほうというのはかなり前例もございますし、こまかいものさしが克明にきめられているんですが、漁業のほうというのは率直に言いましていままで非常に例も少のうございますし、一月、まして冬場の災害というのは去年の台湾坊主がございました。あのときもほかの農地農業用等の施設災害がかなりあったもんですから、相乗りの形で共同小型漁船を乗っけて、そして激甚の指定をした、こういう経緯がございます。今度の場合は単発災害でありますために、そのために本激甚を指定するものさしというのが、具体的に現在ございません。これからつくろうとすれば、さっき申しましたように国民経済に著しい影響を及ぼすという大前提がかぶっておりますから、激甚法には。そうすると大体百億円以上、常識的に考えても。ところがさっき申しましたようにこれの単発災害で共同漁船だけを救おうとすると、三億か四億円くらいの被害しかないわけですから、とうてい災害を激甚として指定するということは、実際問題として不可能に近いんではなかろうか。そこで何かほかにいい手はなかろうかというので、実は苦慮しておるのが率直な現況であります。
  35. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 まあ、適用云々といっても、いろいろ問題があることは承知しております。また、現在出ておる申請は、これは別途お話をしようと思ったのですが、島根県は災害県でありますから、従来とも皆さんにほお世話になっている県の一つでして、県の今日の時点の調査資料、報告資料というものは相当政府側でも前向きにこれは尊重していただいていい資料ではないかと考えております。そういう点でひとつ、ぜひともお願いをしたいと思いますけれども、それに重ねて、いまの私一口に言うと、農業のほうは非常に重視しておるけれども漁業のほうはまことに軽視されております。こういう点を実は言うわけですけれども、それにはいままでの背景がありまして、歴史もありまして、これはひとつ今後もう一ぺん抜本的に洗い直して立て直す、あるいは手を入れるということで進んでもらわなければならぬと思うのですが、さしあたり、この局地災害の話が出ましたが、具体的にはそういう六条あるいは七条、十一条といいますけれども小型漁船でこれが融資の道はあっても補助の道がない。農家のほうは田畑が流れればすぐこれは補助しよう。しかし、これは局地災害でやるからということでやりましても、たとえば漁船三千五百隻おってもこの十一条によって救われたものは四十隻しかない。これは言い値であって、中身は何もない。この法律というのは、いわゆる小型漁船実態に即していない、死んだ法律とこれは同じだと言って過言ではないと私は思うのです。そういう十一条を今度適用するという場合に、まあ、適用してもたいした効果は実際問題としてあがらない。この際だから行なうことは別として、そういうものをひとつ十一条は適用されても、しかも、これが個人の固有漁業、いわゆる田畑がなくなったと同様だ。こういう状況ですから、それに対しても一激甚災害補助対象になるように特段の措置を考えてやる必要があると思う。この点はひとつむずかしい点もあろうかと思いますが、抜本的に洗ってもらったらどうかと思うわけですが、いかがですか。
  36. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) 私も大体一年担当しておりまして、各種災害実態をながめながら、現在の激甚法及びそれを適用するための指定基準の内容についてはいろいろ矛盾がある、でこぼこが大いにある、こういうことを痛切に感じております。ここで例を申すのは何かと思いますが、去年の台風十号の際も、愛媛県でかなり商店街中心に中小企業がやられた。ところが、その前提としては災害救助法を発動する地域に対して中小企業への融資の特例を講ずるということになっておる。ところが、愛媛県は災害救助法は発動しなかった。だから、しないがために被害実態としては大いにありながら、事実上はその恩恵に浴することができなかった、こういう前例も去年ございまして、だから指定基準というものと災害そのものの指定基準と、適用するための基準とどうもちぐはぐなものが法的にもございます。養殖漁業等についても同様でございます。こういうやつはもうすでに内部で事務的な検討は始まっておりますが、早急に詰めて、ちょうど公害について全体の法体系が一応整備されたと同じように、災害についても全体を見直す時期にきていると、私はこう思いますので、当面の問題は当面の問題として、できる限りの知恵はひとつしぼっていきたいと思いますが、今後はそういう考えで進みたいと思います。
  37. 塩出啓典

    塩出啓典君 まず最初に、ただいまのお話で、天災融資法は大体適用できる、激甚災も局地激甚は適用できる。だけれども、いわゆる、第十一条、十一条の内容については、いま大谷先生からお話がございましたように、いろいろ改善すべき点はあろうと思うのですけれども、現在のこの法の趣旨からいいまして、その全体が激甚災になるには、第一条の国民の経済に重大な影響を及ぼすためには百億以上ないと全体が指定にならない、そういうことをいま言われたわけですけれども、私はそういうことは非常に間違っておると思うんですね。何となれば、そういう点間違っているから、すでにこの前局地激甚の指定ができたわけですから、その中に中小企業とかあるいは農地の復旧とか入っているけれども、その中には漁民の漁船被害については何ら触れてない。そういう点は先ほど来話が出ているように、やっぱり片手落ちじゃないかと思うんですね。当然私はやはりそういう漁船被害についても、局地激甚的な考えを入れるべきである。そういう点で私はすみやかにひとつ検討していただいて、そんなのんびりしたことを言わないで、早くやらなければ、こういうときに改めておかなければ、副長官もずっと災害委員をやられて矛盾のあることは知っているわけですが、自分が副長官になれば態度を改めてなかなか動こうとしない。だから副長官の姿勢を疑いたいと思うんですよね。そういう点で私は根本的にこの際この法案を検討して、基準を検討して、これも適用できるようにしてもらいたい。と同時に、天災融資法についても三十億、また特別の場合十億というけれども、それも基準自体もおかしいと思うんですね。たとえ三十億であろうと十億であろうと、被害を受けた人は、局部的に受けた場合に、たとえ一億でも非常に激しい被害を受けている場合もあるわけですからね。だからまあ天災融資法等の基準をやはりもっと現状に即して緩和すべきだと思う。そういう点を本気になってひとつやっていただきたい。災害対策特別委員を長年経験された副長官のおる間にそれをやっておかないと、また次の副長官が来たのじゃなかなか実現しないと思うのだな。そういう点で、その点をお願いしたいことと、それとまあこれも早く−もちろん査定という問題もあると思うんですけれどもね、やっぱり政府としても早く天災融資法も一するのだ、大体県から出ているわけですから、その査定も多少違ったところで、それは大きな違いないわけですから、早くぼくは決定をして、そしてやはりそれが一つの政府被害者に対する熱意のあらわれじゃないかと思うんですね。そういう点ですみやかにやってもらいたい、そのことを最初に要望しておきます。
  38. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) ただいまの御趣旨、十分よくわかりました。  ただ、この際一つ御理解いただいておきたいのは、激甚災もそうですし、法律そのものは国会がおつくりになったわけなんですね。そのつくった国会が片っ方では国民経済に著しい影響を持つと書き、天災融資法の場合は国民経済に対する影響が大なる場合に天災融資を発動せいと書いてあるわけなんですね。そこでその国民経済に重大な影響とは一体何じゃというと、国民所得が七十三兆円になっているわけですから、そうすると一%だけで実は七千億、そうすると〇・一%でも七百億、だから著しい影響とは一体何じゃという議論が先立ちますので、あの条項をカットするなりあるいは眠らせる——眠らせるというのはどうも申しわけないのでありますが、何かそういうことを考える必要があるだろうと思うんですね。局地激甚のやつをつくるときも、その点が実は最大の問題でありまして、ある程度目をつぶったようなかっこうでその後運用しているということでございまして、いまのようなお話からしますと、むしろ本激甚で考えますと、逆に非常に困った事態が起きます。といいますのは、これは共同漁船だけではなくて、養殖施設もあれば、社会教育施設もあれば、文教施設もあれば、いろいろな社会福祉関係のこまかい施設、養護施設等も入っているわけです。そういうやつを一つ一つ一条ごとに激甚なんだといいますと、そうすると一億でも二億でも激甚になるじゃないかという議論になって、そうして災害そのものを指定するときの基準ということになりますから、そうするとどうも激甚法というやつがどっかへ行ってしまう。だからもしおっしゃるようなやつを生かすとすれば局地激甚で、さっき申しましたように公共土木と農業共同施設と中小企業の特例しか考えていない、その特例をもう少しふやして、いまのような局地的なものは局地激甚で救えるように局地激甚の指定の幅を広げる、こういうことでいくのが筋じゃなかろうかというふうに考えながら、実は各省の担当者の皆さんにも宿題を現在預けて検討願っておる、こういう状況でございますから、大いに馬力をかけてひとつやりたいと思います。
  39. 塩出啓典

    塩出啓典君 ただいまお話がありましたように、法律は国会がつくっていることは間違いないので、ひとつ次の機会に超党派で先ほど言いましたような条文を削除するなり、検討したいと思います。  それで次に、最初に気象庁にお聞きしたいと思うのですが、今回の季節風災害において三日の十六時に強風波浪注意報、十日の十時三十分に風雪波浪注意報が出て、最後まで警報は出なかったわけでございますが、気象庁としては私はこれは当然警報を出すべきではなかったか、そういう点で気象庁として反省すべき点がある、そのように考えているわけですが、その見解はどうでしょうか。
  40. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) いまの件についてお答えいたします。現在の気象庁の注意報なり警報なりを出す段階で申しますというと、いわゆる暴風警報などにつきましては今回の場合につきましてはまだその段階に達してない、注意報の段階でございます。そういう点で申しますと、きわめて何と申しましょうか、規則的な面で見ますというと別に違っていたわけではございません。しかしながら注意報、警報につきましては災害を防止するということが目的でございますので、いまになって考えてみますと、このような大きい災害が出たわけでございますから、当然警報を出しまして注意をもっと大きく喚起すべきことであったかと思うわけでございます。その点につきましては、今後もう少しいろいろ検討いたしまして、改善する方向に向かっていきたいと考えております。
  41. 塩出啓典

    塩出啓典君 この注意報を出す場合、それから警報を出す場合、それぞれ地域的に基準があると聞いているのですが、島根県において警報を出す場合のいわゆる風速、風の場合ですね、大体何ぼになれば警報を出すようになっているのですか。
  42. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) いまの点についてお答えいたします。風速と申しましても、実は平均風速とそれから瞬間風速と二つございまして、普通、気象庁でふだん使っておりますことばは、十分間平均の風速を申しております。これで申しますというと、陸上と海上において違いますけれども、陸上におきましては二十メートル以上、これが警報の段階でございます。海上におきましては二十五メートル以上でございます。もちろんこれは地方によって違いまして、非常に被害の受けやすいところではもうちょっと下へ下げるところもございますし、非常にじょうぶなところでは上げるというような若干の開きがございますけれども、この島根県地方につきましては、いま言いましたような二十メートルと二十五メートル、これが現在の暴風に対しての基準になっております。
  43. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると、今回の季節風の場合には最大瞬間風速は松江で三十四メートル、そういうような報告でございますが、気象庁からいただいた資料によりますと、いま言った風速ではこれは松江の場合は五日の午前四時が十七メートルで最大なんですね。そうすると、現在のこの気象庁の基準からいえば、二十メートルに達していないわけですから当然警報を出す必要はない、そういうことになると思うのですけれども、今回このような被害を受けたという点から考えれば、非常にそういう基準自体が現状にそぐわないのじゃないか。当然これは検討をして改めなければいけない、私はそう思うのですが、その点気象庁の見解どうでしょうか。
  44. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 確かにおっしゃるとおりでございますけれども、実はただこの場合につきまして問題が一つございますのは、今度の被害はおもに風そのものも問題でございますけれども、先ほども話が出ておりましたですけれども、大きな波浪が非常に問題であるわけでございます。波浪と風というものは実は必ずしも並行いたしませんで、風が比較的弱い、たとえば具体的な例で申しますというと、風がなくても台風がございますとうねりがございましてそれで大きな波浪被害がございます。そういった点も合わせまして、この問題につきましては十分検討してみなければいけないことだろうとは思っております。率直に申しまして、従来波浪につきましてもいろいろ検討はしてまいりましたけれども、従来のあれではまだ検討が足りないところでございまして、この面は今後もっと力を入れまして万全な警報を出すようにつとめるようにいたしたいと考えております。
  45. 塩出啓典

    塩出啓典君 今回は波浪注意報が出ていたわけです。確かにいま言われたように、今回は波浪によってこういう被害が出たわけですけれども、波浪は必ずしも風速とは一致しない。それはもちろんわかると思うのですけれども。それでそういう波浪のいわゆる注意報を出す、あるいは波浪警報を出す、そういう基準というものがまだ明らかでないと、そういうことですか。
  46. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) まあ大体そのとおりでございます。ある程度全然基準がないわけではございませんで、波浪につきましても、たしか五メーター以上でございますか、一応その辺を目標にいたしまして警報なり何なり出す段階にするようなことになっております。その点につきましては遺憾ながら今度の場合は注意報の段階でございまして、警報が出なかったことは、まことに申しわけないと思っております。その一つの理由は、実は海岸状況がよくわからないことと、今度の場合の波浪というものは非常に異常な状況でございまして、ふだんの場合でありますと平均で十八メーターくらいの風ではあのように大きな波ということは予想できないことでございます。こういったある意味で申しますと非常に特殊な現象が今度ございましたので、それが一つの大きな原因になっているかと思います。その点につきましては今後十分検討いたしまして、今後こういうことがないように持っていきたいと考えております。
  47. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでこの高波の観測ですけれども一、気象庁として島根県の−日本海側においていわゆる波高計ですね、気象庁としてはあまりその波高をはかっている場所がないように、私はそのように存じているわけですけれども一、それは事実ですか。
  48. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 全国的に申しまして波浪計はあまり数は多くございません。いまの場合島根県の場合には外ノ浦でございますか、そこに一カ所あるだけでございます。そのほかにほかの官庁で若干持っているようでございます。波浪計につきましては非常に問題がございますので、将来の問題といたしまして全国に何カ所かつけたいというような考え方は気象庁として現在持って、そういう考え方を進めております。
  49. 塩出啓典

    塩出啓典君 島根県の日本海側に一カ所しかない。そこは今回の波の高さはどういう記録だったのでしょうかね。
  50. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) いまの点、残念ながら実はまだ資料が届いておりませんもんですから、いずれ必要でございましたら、届きましてからお答えいたしたいと思います。
  51. 塩出啓典

    塩出啓典君 私はそういう値を問題にしているんじゃないけれども、いやしくも波浪注意報を出す気象庁が、波浪の測定データがないというそういういいかげんなことではいけないと思うのですね。そういう点でこれは総理府副長官にもひとつお願いしておきたいのですけれどもね、いつも言うように、非常に気象観測体制というのは弱いわけですね。波浪計一つ見ても気象庁では持ってない。全国でも数少ない。島根県においても一つ、それも動いているのかわからない。そういうことで十分な予報はできないと思うのですね。特に漁業や農業の方々は、これは天候に非常に依存される点が多分にあるわけですから、やはり気象のいかんによって人間の生命も救うか救われないかそういうのが、非常にわれわれ陸に住む人に比べて気象予報というものは非常に大事だと思うのですね。そういう点でこの高波の観測体制というものをもっと充実をするように、総理府としても側面からひとつ応援をしていただいて、もう少しその予算獲得に努力してもらいたいと思うのですね。昨年末きまった昭和四十六年度予算案においても一、予算全体の中から見れば気象庁の予算ははるかに低いわけです。毎年そうなんですね。あれほど気象観測体制の強化が叫ばれながら、依然としてやはり気象庁の予算が少ないということは、もちろんそれは気象庁にも要求が弱いという線もあると思うのですけれどもね、やはりこういうことは側面的に、言うほうが−どんどん言えば取れるのじゃないかと思うのですね。こういう点でこの高波の観測体制というものにも、ひとつ気象庁検討していただいてまた総理府も側面から応援をしていただきたい、そのことを私要望しておきたいのですけれども、その点どうでしょうか。
  52. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) ただいまの御要望、私もそのとおりであると考えております。従来、総理府というのは大体いろいろな各省庁、実施部隊の各省庁がやっておったのを、いろいろな意味でぶっつけ合いになったりけんかになったりそういうのを、まあまあ言うて仲裁するような役目が主であったようですけれども、やはりいまのような時代になってみますと先取りしていくことが必要である、そういう観点で、ことしも御承知のように公害の問題、私のところでやることになった意味もそこにあるだろうし、同和対策その他各省庁にまたがる交通安全対策、あるいは青少年対策、いずれも各省庁の予算まで私のほうから積極的に首を突っ込んでそうして調整をすると同時に、予算の編成過程で応援団の役目も一すると、こういうふうにしたいというのでことしもだいぶやったんでありますが、なかなかからだ一つで、率直な話は実質的な応援を申し上げるところまではいっておりません。これからはひとついまのように総合調整を必要とする各種の施策について、特に災害については私もある程度中身ものみ込めてまいりましたし、大いにひとつ積極的にやってみたいというふうに思います。
  53. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  54. 北村暢

    委員長北村暢君) それじゃ速記を起こして。
  55. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 このたびのいま議題になっております災害も、実は死者二名、行くえ不明三名というとうとい人命が失われておるわけであります。  そこで、実は昨年も一昨年もずっと議論をいたしてまいりました災害共済制度の問題について、この機会にひとつただしておきたい、こう思います。  先ほど来議論がありますように、これからの災害対策というのはやはり局地激甚の改定、検討の意味もそこにあろうかと思いますが、個人災害というものを一体どうするか、これがこれからの災害対策中心的課題になっていくと思います。そのことについては、もう副長官はよく御存じのはずでありますし、すでに災害対策委員をずっとやっておられて、そうした経験から、いままでにない副長官としてのお役目を果たしておられることに敬意を表しておきますということで、ひとつこの災害共済制度の問題について、張り切り長官のもとで、ぜひ皆さんの在任中にものにしていただきたい、政府提案まで持っていっていただきたい、これを従来からお願いしてまいりました。いよいよだめであれば、三党共同提案くらいというところまで委員会ですでに議事録に残っておるところであります。昨年度四百七十万円の調査費を皆さんの御努力でつけていただいて、そしてそれが去年の十一月末集計になっているはずであります。いろいろな調査をおやりになったわけでありますが、その調査の結果を、ここでひとつ明らかにしていただきたい。
  56. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) ただいまお話がございましたように、特に人命を中心にする個人災害等について何らか共済的なシステムがとれないかというかねがねの議論がございまして、昨年調査のための予算をおつけ願って、九月から始まって、大体年末までに一応の集計はいたしたわけでございます。で、その集めたそのものを一応ガリ版のようなかっこうでまとめたものは用意してございますが、率直に申しまして、調査の結果を見ますと、聞き方が悪かった点があるいはあったのかもしれません。たとえばこの趣旨に賛成かと言えば、ほとんど九割の人が賛成と手をあげております。しからば、では入っていただけますかということになると、大体六割くらいの人が入ってもよかろう、こう言っておる。しかもまたそれを実際にやるときに県が主体になっておやりになりますかと言うと、県知事さんのほとんどは、いや県が主体になるよりも市町村のほうがいいでしょうと言うし、市町村長のほうになれば、これはやはり広域的に始末をつけなければ一村だけじゃどうにもなりませんので、県知事さんのところが中心になり、国のほうからもお手伝いを願って考えるのが至当でございましょう、こういう返事になってまいりますので、いずれ実施になりますためには、そこら辺の書いたもので調べたやつだけじゃなくて、もう少し補完調査をしなければいけぬ面もございますし、それからいろいろ解析してみませんと、個々の個票の持つ意味というやつをある程度読んでやりませんと、裸の数字を出すことが、一体結果として、矛盾したようなものをそのままずばり裸で公表することがいいか悪いかということで、実はいま思案しているところであります。いずれにしろ委員会等でも御相談の機会等もおつくりいただけるでございましょうし、そういうところでざっくばらんにひとつ調べた結果と、それからさらに急いで解析を、それから補完調査を若干やらしたいと思っておりますので、そういう段階でまたこまかく申し上げさしていただきたいというふうに思います。
  57. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 調査の結果は、少なくともだれの責任だかわからない災害、たとえば自然災害、天災、そうしたもので失なわれた人命というものをお互いにこの社会でひとつ救ってやろうではないか、弔うてやろうではないか、こういう趣旨でありますから、この趣旨には全部が賛成なんですね。賛成という答えが圧倒的なんですね。さてだれがやるかということになると、いまおっしゃるようにお役所のなわ張りで、どうも交通災害のほうはあまり進みぐあいがよろしくないから、これもやってもどの程度かなという心配もあるでしょう。県は市町村だと言う、市町村は県だと言う、それじゃ自治省はどう考える、こういうことになると自治省自身のまた考え方もおそらくまだ固まってないと思います。そうした段階で、少なくとも制度の趣旨は賛成とこう出ているわけでありますから、国民ほとんどがこれに賛成しているわけでありますから、あと具体的にどうやるかということだけですね。そうすると方法論について知恵をしぼらなければならぬ、こういう段階になってきたわけですから、これから四十六年度にも何か三百万円くらいで調査をされるという予算もついたようでありますから、閣議決定になっておるようでありますから、ひとつそういう調査も積極的に補完的に進められて、少なくともある時限を切って何かひとつ結論を出す努力をしていただきたいと思う。もう私が総理府にたたき台を出してから足かけ三年であります。ですから、もう相当な時間はかかっておるわけでありますから、ひとつこのたびの調査のやり方にもいろいろ欠点はあるいはあったかもしれません。しかし、これからやるべき、年度内にもやはりまだおやりになる作業も残っておるということも漏れ聞いております。四十六年度にはまた三百万かけると、こういうのですね。かけた結果は一体どうなるのか。必ず何らかの形でまずはやらねばならぬということは、総理府においては決意をしておるところであるというくらいのお考えはここでお示しになってもいいのではないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  58. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) そもそも予算を提出するということが、決意の具体的な表明のしかたでございまして、出した以上は締めくくりをつける、こういう前提で予算もこれから国会で御審議をいただきたいと思いますし、私どももできるだけ結論に近い形に持っていきたいというふうに思っております。ただ率直に言いまして、農業者年金制度をつくるときも、私もタッチいたしましたが、あれだってやはり相当な経過といきさつがございましたし、つまり本案の共済制度、保障財政とは全く別のファクターというものを持ち込まない限り、保険制度としては三百万の加盟者を持つ農業者年金でさえも成立しない。それを農政上の要請というやつをはめ込みまして、ああいうかっこうで仕上げたという経過がございまして、自然災害のやつも、るる申し上げておりますように、最近は非常に死傷者の数が減って平均二百名前後ということでございますから、なかなか保険という純然たるものではこれはできないことは、もう初めから、調査の前から率直に言ってわかっているのであります。そこでどういうくふうをしょうか、そこら辺が私どもも知恵をしぼりますし、国会のほうでも、ひとついろいろ小委員会なりその他御相談の機会をつくっていただいて、両方協力して結論に向かって進みたいというふうに思います。
  59. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 委員長に申し上げておきますが、いま政府側から非常に貴重な御意見が出たわけであります。どうしても何らかの形でこれをひとつやらねばなるまいという意思に基づいて、しかし方法論について苦慮しておる、さらに調査を進めたい、こういうことであります。しかも災害対策特別委員会、その筋で何か相談の機会、検当の機会等もあればという意味の御発言がありました。これを受けて、何も小委員会をつくれとかなんとか、そういう具体的なところまで申し上げようとは思いませんが、ひとつ委員長において、しばしばこれはもうこの場で議論になってきている問題であり、衆議院においても同じように議論されてきておる問題でありますから、ひとつ特別の計らいをもってこれを前進させる意味の何らかの措置を、委員会検討するということの意見の一致ぐらいはさしていただきたいと思いますが、委員長要望をいたします。
  60. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまの佐藤君の御意見については、後ほど理事会にはかりまして趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  61. 河田賢治

    ○河田賢治君 副長官が留守になるそうですから、二問だけひとつ伺いたいと思います。  先ほど塩出委員からも今度の大きな被害について波の問題が出ましたが、実は気象台あたりでも、いま新しい試みとして、御承知のとおり日本海の大和堆ですか、そこにブイロボットを置いて観測をし始めた。ところが、こういうものが、一カ所あれば大体観測所の十カ所分くらいいろいろな材料が集まってくるということが、当事者から言われているわけです。ところが予算が、三号ブイの製作五千五百万円を要求したけれども、ゼロになった。運営費だけしかついてない、こういう点は防災対策として起こってからその処理をして、そしていろいろな被害復旧するとか、改良復旧するということにわれわれは重点があってはならぬと思うんです。やはり大きな国民の災害を未然に防ぐという意味ならば、やはり防災会議長官あたりは、この気象庁の新しい試みに対して、多少でも予算はどんどん出して、そしてその成果を積み重ねていくと、そしてできるだけ正確な予報を早く持つと、それで警報し、そしてまた国民の被害をできる限り少なくするというのが当然だと思うわけなんですが、こういう重大な問題が予算で削られているんですね。先ほどいろいろ各省庁でいろいろ案分するとおっしゃいましたけれども、やはり防災の立場から言えば、やはり長官あたりが先頭に立って、どこにどういうところに重点を置くかということはやるべきじゃないかと思いますが、この点ひとつ伺っておきたいと思います。
  62. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) この点は先ほども申し上げましたように、何か従来の行政組織に関する規則によれば、総理府の役目というのは、各省庁の事務の総合調整をやると、こう書いてございまして、積極的に首を突っ込んで、これをやれ、あれをやれという差し出がましい権限はないことになっているようでありますが、しかし、私も山中長官もそういう理解はいたしておりません。先ほども申しましたように、こちらから場合によって積極的に各省庁のほうにひとつお願いを申し上げ、さらに積極的に予算等についても、率直に言いまして、事前に私ども一相談を受けるという形になっておりません、今日は。しかしながら、今後はさっき公害その他二、三の例について申し上げましたように、そういう形を予算の編成過程でとっていくようにぜひともしたいというふうに思っております。
  63. 河田賢治

    ○河田賢治君 こまかい点はまだ水産、漁業、その他気象についてはありますが、今度の被害によって、非常に零細な漁業者が非常に大きな被害を受けた。ところが、生産手段である船がなければ漁業を営むことができない。ところが御承知のとおり、島根県の、私も行きましたけれども、大体山ですぐ海になっているわけですね。だから都会のほうへ、平地のほうへ、松江とかその他へあるいは行くにしましても、相当時間がかかりますし、なかなかまたそういう事業も最近は電子関係なんかの工場なんかでは、首切りがある、倒産したらしいということも聞いております。だから、どうしても船ができるまでのつなぎの生計、生活資金の貸し出しも一そこはあるでしょうけれども、何らか県あるいは市町村で、やはり総合的に復旧について、早く何らかの仕事をして、そしてその人の生活を得る処置を講じないと、なかなか二カ月、三カ月も遊んでおれるような大体状態でないと思うわけです。こういう点で自治省あたりでもいろいろお考えだと思いますけれども、あの辺で県道をやっておりましたけれども一、五、六人の人が砂利を敷いているくらいのことで、あそこあたりでもあまりたいした土木工事も行なわれていないわけですね。ですから、防災会議でもいろんなことをして、その地域の復旧をできるだけ早く、できるだけ十分に、まとめて仕事を出すとかというようなことを積極的に、そういう各省の連絡をとりながらやるということはいかがですか。
  64. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) ただいまの趣旨は賛成でございます。ほかに生活の道がないということで、かつて昭和二十八、九年のころ、大冷害の際は緊急の土木事業と銘打った単独の事業をやった経緯もございますから、その後の経過から見ますと、できるだけ査定を早くやって、その地区でもっていろいろな復旧あるいは改良のために行なわれる工事に、優先的にその被災者の人を御参加いただくと、こういうふうに従来も災害のつどやってまいっておりますし、そのほかの一般事業についても一、いま場所によってはあまりないところもございましょうが、できるだけ集中して被災民の生活の助けになるような形で、県の段階で調整をしていただきながら、いま申し上げたような趣旨で私ども一も各省と相談してまいりたいというふうに思います。
  65. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  67. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 このたびの災害調査につきましては、実は特異災害だということで前例にかかわらず当委員会でも委員長あるいは理事さん、各議員の方に非常に御配慮願って今日に至っておるわけです。この点は深く感謝するわけですが、同時に政府側から関係の各省庁、従来この面についてはベテランといわれる責任者を調査団に同行さしていただいて、その点も非常に私どもも一感謝し、また地元もこれに対してたいへん感銘いたしております。ただ島根県のこの災害というのは、御承知のように連年災害、中国地方で一番多いのは島根県と山口県です。四年前もあの台風の調査で参ったのですけれども、非常に災害が起きる。しかも一島根県は、たいへんお恥ずかしい話ですけれども、現在全国数えて後進県、びりから二番目でございます。その県が頼っているものは従来は木材、山ですが、同時にあとは海だけ。しかし木材もほとんどいまは島根県の対象地域ではございません。関連した炭もかつては燃料資源としてうたわれたものでありますが、これもない。現在の島根県をささえるものは漁業をおいてほかにない。あとは観光資源だけでございます。そういう島根県に次いで鳥取県が西にあって島根県が東にある。出雲大社ということがあれば島根県ということがわかるけれども、どっちがどっちかさえわからないという、いまでもやはりそういう県の置かれている場で、しかも漁業被害中心だったということは、非常に島根県にとっては不幸なことでございます。これがたいへん失礼な言い分ですけれども、農業災害あたりが大きくマッチしておりますと、先ほど来、全体の場からカバーする面もあるわけですけれども一、法的にはまことに、水産業の置かれている地位というものをわれわれ認識しながら、法的な措置その他にわたっては非常に不備な時代おくれな逆行している面が少からずあるわけでございますが、そういう中に将来の改定を急いでもらうこととして、当面の措置ということになりますと、いまの激甚災害なりあるいはその内容についての問題を、弾力的にひとつまた幅広く準用してもらうというようなあたたかい措置を特にお願いするわけでございます。実は漁業といいますけれども、いまあがっている各被害港の中で浜田港というのは、日本海岸における唯一の特定三種漁港でございます。それほどの漁港におきます地位を占めておるわけで、その点は全国でも刮目されておる漁港の代表的な一つでございます。また港湾も日本海における重要港湾の指定港の一つで、最近には二万トン三万トンのいわゆる対ソ、対南洋、そういう船も入ってきておる。あるいは一万五千トンが横づけする、こういうような、実はそういう後進県の中でも海に関係する中では島根県は大事なところでありまして、そういうような特異な災害漁業関係港湾に集中したという点で、従来おいでの皆さんにも格段の配慮を賜わっておりますけれども、県からもらう相当な詳細なものも私どもが見ましても、現地を見まして、まだ落ちているものがあるのじゃないかと言われるほど急いだり、最近は文句が出ておりますから、どうぞひとつ前向きにそういう点を基本的な姿勢の中に取り組んでいただいて、長官、副長官あるいは関係省庁において、またよりひとつあたたかい措置をお願いし、お礼を申し上げるわけであります。
  68. 湊徹郎

    政府委員湊徹郎君) ただいまの御趣旨しかと承知いたしました。私どもも従来もそういうかまえでやってまいっておりますし、今回の場合、先ほどからの論議の過程でも明らかにされておりますように特殊中の特殊な災害である、こういう認識を私ども持っておりますので、そういう前提で願くはこれもあれもということで救えるものは救っていこう、そういうかまえでやっておりますので、御期待に沿えるように全力を尽くしたいと思っております。
  69. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  70. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記起こして。
  71. 塩出啓典

    塩出啓典君 総務長官帰られましたので参事官から伝えておいていただきたいことは、総理府副長官が同時に中央防災会議の議長ですから、副長官という立場で言えば予算に口出す権限はないけれども、自分は一席やるんだと、いかにも自分の仕事外のことをやっているようにおっしゃいますけれども、中央防災会議の議長なんですから、災害関係の気象観測体制のことについてもどんどん積極的に発言されるのは当然であって、相談がなければこっちから行ってでも聞いてやっぱり気をつかう、それでこそ中央防災会議の議長じゃないかと思うんですね。その点をひとつ伝えておいていただきたい、こう思います。  それから次に、気象庁に、先ほどの高波の観測体制の問題ですけれども、今後の方針ですね。現在は非常に観測設備もない、ところが、一方港湾局等においては高波の測定の施設浜田なんかではこわれたそうでございますが、また島根県の鹿島町の原子力発電所等にもそういう自動波高計もあるわけです。ですから、やはりそういうふうな気象庁外の県なり、あるいは港湾局なり、あるいは海岸にある会社なんかの持っているそういう波高計の記録も一カ所に集中してなわ張りにとらわれないで、やっぱり気象庁だけで観測網つくるということは現実の問題として不可能であるならば、そういうところと体制を組んでわが国の四面海に囲まれた日本のその波浪に対する観測網の体制をつくって、その予報の的確を期していかなきゃならない、そう私は思うわけですが、そういう点の考えはどうなのか、それをお聞きしたいと思います。
  72. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) ただいまの御趣旨ごもっともでございまして、実は海のことにつきましての観測と申しますか、というようなことは気象庁もやっておりますけれども気象庁だけではないのでございます。水産庁のほうも一やっておりますし、それから同じ運輸省の中でございますけれども、水路部のほうでもやっております。そういうような関係でございまして、そういったようなところで一つのグループをつくりまして、いろいろ互いに連絡をとりまして、いろいろの計画を進めておるような状況でございます。その点につきまして。
  73. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) ただいま日本の海岸線には全般にわたりまして、大体いわゆる波高計というようなものが二百五十カ所ぐらいやっているのではないか、そのうちの大体半分ぐらいを港湾のほうの工事のほうの現場でやっているという体制でございます。ところが、これが非常に近年やってきたものでございまして、技術的にもそれぞれのまた器材でございますね。そういうものがあまり調整とれていないという点で、港湾関係といたしましては十四カ所、相当系統的にやっている。これはどちらかといいますと、港湾のほうはお金がありまするのでこういうことができたわけでございます。気象庁のほうは、なかなかそこまでいかないという点がありまして、昨年から運輸省といたしましては、運輸技術審議会というところがございまして、その運輸技術審議会の中におきまして波浪の観測も、先生のおっしゃるように、系統的にやるべきであるというような勉強会を現在開いております。いま研究中でございますが、どちらかといいますと、やはり数十カ所の波高計気象庁港湾関係が協力してつくりまして、それに対する資料も、まん中で一カ所に集めながら勉強していきたいというような体制を現在検討中でございまして、それができ次第、われわれとしてもできるだけそっちのほうに向かって予算をやっていきたいというような体制を現在とっております。
  74. 塩出啓典

    塩出啓典君 それは研究中で、大体いつごろから実施して、大体全国的に波浪観測体制が完備するのは大体何年ごろをめどにやっておるのか。四十六年の予算の中にこういうものが組まれているのですか。
  75. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) 現在いま言いました運輸技術審議会という大臣の諮問機関の中でいま勉強中でございまして、それを受けましてやはり考えていくということになると思います。ただ港湾当局といたしましては、いまの事業の中で全国に十四カ所、相当な精度の波高計をつくりまして統計的にやっていくという体制を、現在は進めておるわけでございます。
  76. 塩出啓典

    塩出啓典君 今回のそういう災害に照らしてひとつすみやかに促進をしていただきたいということをお願いしたいと思います。  それから、やはりまあ海洋上の観測網の整備、これが非常に大事になってくると思うのですね。やはり海から風は吹いてくるわけで、海上の気象状態がわからない、これでは正確な予報ができないと思うのですね。まあそういう点で気象庁も洋上の観測網の整備ということで、今年度も六千二百八十九万円の予算を要求しておったけれども、わずか一割の七百四十六万七千円に非常に削られておる。そうしてまあともかくブイロボット二基だけ日本海に置くと、そのように私先日説明を受けたわけでございますが、大体この洋上観測網の整備という非常に大事な項目が、このようにばっさり削られて一割くらいになったというのは、やっぱりどういうように考えているか、どういうわけですかね。それを気象庁にお聞きしたいと思います。
  77. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) まあその点につきましては、いわゆる技術者の立場から申しますというと、なるべくたくさんの観測があったほうがいいわけでございますけれども、それを運営していく場合のことを考えてみますと、何と申しますか、洋上の非常に波の荒いときも起こるわけでございますから、非常にしっかりしたものをつくらなければいけない。簡単につくってやりますというと、かえって何と申しますか、安物買いの銭失いとでも申しましょうか、そういったことも起こりかねないので、やはりそういった点は十分中間試験というようなことをやりましてやっていくのが筋ではないかと思っておるわけでございます。  それともう一つ予報の立場から申しますと海上の観測があったほうがいいわけでございますけれども、もう一つそれを救う一つの方法といたしましては、気象衛星あれがございます。あの観測によりまして海上のこの雲の動きがわかります。それがわかりますというと低気圧状況や何かも一わかりますので、そういったようなものを十分使って海上の状態を調べていくというようなことを考えて、一般の予報の改善につとめていきたいと、そういう考え方でおります。
  78. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは次に運輸省港湾関係及び水産庁の漁港関係にお聞きしたいと思いますが、たとえば浜田港の場合は、これは港湾局といたしまして設計波高が六メーター、そういう有義波高六メーターのその高波には耐えることができる、そのように設計をされたと聞いております。まあ今回はそれ以上の高波がきたわけでございますが、この設計波高が六メーターという、そういうのはどういう根拠で決定をされたのか、これを港湾局にお聞きしたいと思います。また漁港の場合には大体設計波高は何メーターくらいで設計されてきたのか、その点お聞きしたいと思います。
  79. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) その港湾の波の高さは、そこの地形であるとかあるいは水深等によりましていろいろ変わると思います。浜田港の場合におきましては、これは外海に面しまして水深が十八メートルというような非常に深いところがございますので、何といいますか、波が砕けないでまつ正面からやってくるというような感じで設計をするわけでございます。それで波の高さをきめる方法といたしましては、これは大きくとればとるほど安全になるわけでございますけれども、当然そこには費用といいますかお金をかけるわけでございますから、最も効率のよいということも考えなくてはいけない。そこでわれわれのとっている態度といたしましては、長い間観測いたしまして、その中で最大波高をとろうじゃないかという考え方が一つございます。それからまた、そういうような観測がない場合には、いろいろ気象のほうから計算いたしまして、波の高さを計算いたしましてそれから判断する、それで最終的にはそこにおける責任技術者が判断するというような態度をとっております。外海に面するようなこの浜田港におきましては、昭和二十一年から波浪の観測をいたしまして、そのときの最大波高が八メートルくらいでございます。その最大波高と申しますのは、百の波がきますと上から十の波をとりまして、その十分の一くらいだと十分の一波高といいますか、そういうような大体匹敵するのが八メートルでございまして、ところが設計に対応するものは百のうちの上から三十三波、三分の一の波高の平均値、これを先ほど先生のおっしゃいました有義波と言っておりますが、その有義波が大体六メートルになっております。十分の一の最大波高が八メートルで有義波が六メートルになりまして、そういうものの観測が行なわれましてそれをとったわけでございます。もう一つ、浜田の場合には先ほど言いましたように、風のほうの観測それと対岸距離と申しまして、ちょうど朝鮮半島からの西北風の方向でございますが、それが約三百キロございまして、この三百キロの海上に二十メートル〈らいの風が相当長い期間吹きますと、先ほど言いましたような有義波が六メートルくらいになるということを計算いたしまして、それをもちまして有義波六メートルの波に対する防波堤設計すれば、最大波高八メートルくらいのところまでは何とかなるというように判断いたしましてきめたという結果になっております。なお、こういうような大きな防波堤でなく、岸に近い防波堤のようなものにはそう大きな波は参りません。底の深さ等を勘案しながらきめていくというような形をとっているわけでございます。
  80. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 浜田漁港において、漁港では設計波高をどれくらいにとっておるかという御質問でございますが、設計波高の決定につきましては、ただいま運輸省のほうから御説明がございましたようなことで設計波高をきめております。しかしながら先ほどもお話が出ましたが、波の問題につきましては地形の問題、海底の深さ、海底の勾配その他いろいろな要素がございまして、その状況に応じていろいろと検討しなくてはいけないものが多いわけでございます。先生も御承知かと思いますが、浜田港の中で長浜が港湾になっておりまして、漁港浜田漁港は北のほう及び北西が背中になっております。波は回ってきて当たることになっておりますので、私どもも過去の種々の資料から検討いたしまして、現在のところ設計波高は五メートルということで算定をいたしております。今回の災害によりましても、よく言われておりますように、北寄りの波であったといわれておるわけでございますが、ちょうど浜田漁港にとっては北のほうが山でございました関係上、浜田漁港につきましては漁港それ自体の被害も非常に少なくて千数百万円のオーダーではなかったかと思っております。したがいまして浜田漁港に関しましては、現在の波高につきましてどういうふうに考えるかという問題も一あるわけでございますが、現在のところ漁港自体には大きな被害もなかったわけでございますし、そのままとっていくか、あるいはこれを多少修正するかということにつきましては、浜田漁港も現在一つの計画を持って防波堤計画を進めておりますので、その実施ともひとつ合わせて十分検討をしてまいりたい、かように考えております。
  81. 塩出啓典

    塩出啓典君 浜田以外の漁港も大体五メーターくらいなんですか。
  82. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) これは場所によって違いまして、大体水深が五、六メーター以上で、湾形その他によりますけれども、そういうところは大体四メーター五十ないし五メーター、場所によっては六メーターというふうに考えておりまして、画一的にはなっておりません。それは地形、海底の事情、それからその他いろいろな、何といいますか湾の幅とか、あるいは形状、奥行き、その他いろいろな状況によりまして考えておりまして、一律に何メーターというふうには考えておりません。
  83. 塩出啓典

    塩出啓典君 港湾局から出してもらいました資料によりますと、秋田とか北のほうは非常に七・五メーターとか、だんだん西のほうにいくとだんだん下がっておる。これはやはり過去のそういう昭和二十一年以後の最も大きい波が何メーターの波があったか、そういうようなことを基準にしてきめたためにこうなっておると思うのですが、この点どうですか。
  84. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) 先生に差し上げた資料は、この計算値の資料を差し上げたと思いますが、御承知のように日本海がやはり北東から南西に向かって楕円形のような形になっておりまして、したがいまして北東から南西にかけて長い、それから北西から南東にかけては短いような日本海になっております。その日本海における波は、これ冬でございまして、冬の季節風によって一般には波が多くなります。したがいまして季節風というのは西北風が常に多うございまして西北風の風が吹いてくる。したがいまして楕円形の一番まん中のところが一番広いのですけれども両端が狭くなる、そういう形がございます。それでその西北風が吹いてまいりますと、浜田あたりは比較的・距離が短い。したがいまして、わりあいに波が少なく計算されるわけでございます。それからたとえば新潟であるとか酒田であるとか、こういう楕円形の一番太いところになりますと非常に大きな波になる。秋田くらいになりますと、秋田のところは男鹿半島という半島が奥のほうに出てまいりますので西北風がさえぎられまして、むしろ南寄りの風が吹いてくる。そういうような形もございまして、そういう地形あるいは季節風、そういう実際の地形の関係から、大体、山形県、新潟県あたりに非常に大きな波が起きまして、島根県では一般的にはあまり大きくない、総体的には大きくないというような形が出てくるものと思われます。
  85. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、今回この北風、まあ北方向の風が吹いてこのような被害を受けたわけですが、いまのお話で、いままでは大体西、季節風を対象に考えておったのですね。今回こういうような北風が吹いた以上は、当然これからの港湾設計というものにおいても、今回のような程度の風は当然やはり吹くということは考えなければならない。そういう点で今回波の高さが、最大波高が十メートルあるいは十五メートルともいわれているわけですけれども、こういうのは当然やはりそれに見合う高さにしなければいけない、私そう思うわけですが、運輸省としても、港湾の今度の復旧工事においては大体設計波高を何メートルぐらいに考えておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  86. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) いま先生のおっしゃった形ですべての港湾にそういう最悪の事態といいますか、考えられる最高の事態だけを考えてすべての港湾対策をつけるということは、これはなかなかむずかしいと思います。しかし今回のこのような現象というものを十分調査いたしまして、それを加味した上の設計を他の港湾にも一及ぼさなくてはいけないのではないかというようにも一考えます。ただ、この浜田港の災害復旧というものに対しましては、この程度の波に対して対応できるような復旧の工事はするというように考えております。ただ、ではどのくらいの波が今度の設計波高になるかというようなことになりますと、これは相当丁寧に研究しないとすぐには結論できませんので、現地の直轄の技術者あるいは港湾技術研究所の技術者を動員いたしまして少し丁寧に調べていきたい。御承知のとおりに、私ども波高計そのものが飛んでしまったということもございます。それから中国電力の原子力、この鹿島町というところですか、そこの防波堤は、三十二トンのテトラポットが吹っ飛んだということ、それからその波高計が生きていたわけなんでございますが、これは非常に大きな波高を示しておりまして、ちょっと私どもの想像には以上のものでございます。十四メートルぐらいの数字が出ている。これがほんとうかどうか、そういう点につきましても、十分技術的な調査をいたしまして対処していきたい。それによって今回の災害に対する設計波高をきめていきたいというふうに考えております。
  87. 塩出啓典

    塩出啓典君 漁港の場合もやはり今回の被害に照らして、被害を受けたところは、この今回程度の災害には十分耐えるように設計波高を変えるべきところは変えていくと、そう判断してよろしゅうございますか。
  88. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 漁港の場合も、いま先生のおっしゃったような趣旨でやっていきたいと思っております。ただ非常に数が多うございます。先ほど申し上げましたように地形であるとか、いろいろな条件が違いますので、おのおのの漁港につきまして、それぞれの特質がありますから、今回はさらに痕跡の調査と申しますか、今回の波は一体どのような形で、どういうような被害をどのように及ぼしたかというような事柄を、被害のあった漁港につきまして十分実態をきわめまして、設計波高も考えていきたい、こう思っております。また海はつながっておりますから、関係のところ、いわゆる運輸省港湾局のほうとも十分関連をとりまして、今回のような風、波が起こっても、これからは災害をこうむらないような復旧をやっていきたいというように考えております。
  89. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで港湾局にお聞きしたいのですが、浜田商港防波堤等について非常に、たとえば貯木場防波堤の地盤が砂であるとか、そういう点、あるいは外のほうの防波堤もやられているわけですが、海面下の基礎工事が非常に不十分ではなかったのか、もちろん設計ミス、あるいはまた工事における手抜き工事といいますか、ちょっと設計のミス、工事ミスというか、そういうのがあるんじゃないか、そういうような住民の声も一部にはあったわけですけれども、この問題については、運輸省としてはどう考えておりますか。
  90. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) 御承知のとおりに防波堤等は氷山のようなもので、水の下に大体本体が九〇%以上入っているわけでございます。たとえば神戸の防波堤は一番下が百メートルくらいありまして、水の上に見えるところは、わずか十メートルぐらいの幅しか見えない。したがいまして、港湾工事というのは、水の下に全力を入れているという点で、われわれ何百人という技術者がおりますけれども、少なくとも見えないところの波に対しては全力を注いでいるという点がございます。で、昭和二十一年から観測いたしまして、この設計をいたしまして施工しておるわけでございますが、施工は県がやっております。また設計も県がしておりますし、その設計の際には国のほうの直轄の技術陣も一応援しているという体制をとりまして、先ほど申し上げましたような観測に基づいてやっておりますので、一応そちらのほうの面の、ミスはないというように考えております。それから施工面につきましても一県の土木部が監督施工いたしまして、最後の検査は土木部の管理課というところでやっているようでございます。業者も相当大きな港湾のほうの一流業者が施工しております。その後の検査につきましても、いま言ったような手抜かりはなかったというように私どもは判断をいたしております。
  91. 塩出啓典

    塩出啓典君 そういうお話でございますが、いずれにしても今回の災害については、よく調査をすべきだと思います。やはり今回の災害を、災いを転じて福とするためにも、設計波高の問題もその一つでありますが、やはり専門家を加えた、ほんとうにやはり十分な調査を行なって、そして新しい島根県の漁港が二度と災害にあわないような、そういう漁港をつくるためのやはりこれからの資料としていかなければならないと思うのですが、そういう点で、これは総理府にお聞きしたいと思うのですけれども、やはりこういうような災害の場合、やはり港湾研究所が調査に行くというお話がありましたけれども、当然参加すべきものでございますが、大学の先生方でつくっている防災の研究班も一あるわけです。そういう中には海岸の防災を専門的に研究している学者もおるわけでありますから、そういうのを加えたまあ調査団というか、専門の委員会というか、そういうものをやはり国がつくって、そういう問題に対する姿勢を示すべきだと、私はそう思うのですが、総理府の見解をお聞きしたいと思います。
  92. 高橋盛雄

    説明員高橋盛雄君) 専門的な技術調査団または技術会議というお尋ねでございますが、いままでも、また去年の高知の災害につきましては、現に技術研究会をつくって高知の高潮に対する対策ということを練っているわけでございますし、また専門調査団ということに関しましては、かつてえびの地震等による専門の技術調査団ということも一実施いたしております。いずれ、この問題はきわめて技術的な問題でございますので、水産庁、それから運輸省港湾局等と十分協議いたしまして検討してまいりたい、このように存じております。
  93. 塩出啓典

    塩出啓典君 総理府に一言お願いしておきたいことは、先般の高知における被害に対する調査団にしても、国がやっているのじゃないわけですね、県でやはりやっているわけですね。もちろん国の各省のそういう専門家の方も参加はしているわけですけれども、県がやるのに国が行く。やはりこういう高知県の災害にしても一今回の災害にしても一、そういう災害の一つの貴重なデータというものは、今後の日本全体のあらゆる港湾建設の一つの資料にしていかなければならないものですからね。そういうものは当然国がやはりもう先頭に立ってやるぐらい大事な問題だと、私はそう思うんですけれど、その点どうですかね。
  94. 高橋盛雄

    説明員高橋盛雄君) 内容がきわめて技術的な問題でありますので、その専門家による調査、それから今後の対策ということは十分必要だと思います。そのような趣旨におきまして、重複いたしますけれども運輸省、農林省とよく御相談してまいりたいと、このように思っております。
  95. 塩出啓典

    塩出啓典君 それではあまり時間もありませんので、次に水産庁にお聞きしたいのですが、これは県からのこの要望書の中にも、漁業近代化資金ワクをふやしてもらいたい。四十五年度はあまり残りが少ないそうでございますが、四十六年度においては大体県の要望に満たすことができる見通しであるかどうか。それから次に公庫資金の特別割り当て、この点についても一見通しはどうなっておるか。それから激甚災法の適用による公共利用小型動力漁船建造費補助は、激甚災法が適用にならなければこれはだめでございますが、その次のいわゆる制度融資資金融資条件の緩和及び既存債務の償還条件の緩和、現在すでにこれらの制度資金によって船をつくっておる、そうしてその返済が済んでいないのに今回の被害にあって、そうしてまた新たに制度資金を借りなければならない、そういうような人のために償還条件を緩和する、そういうような問題、それと漁船の保険金を早く支払ってもらいたい、そういう要望が出ているわけでございますが、こういう要望に対してどの程度希望に沿えることができるのかどうか、その点の見通しをお聞きしておきたいと思います。
  96. 樋貝勇

    説明員樋貝勇君) まず漁業近代化資金ワクの問題でございますが、これは今年度の全国のワクが二百五十億でございます。本年度分につきましても若干の残ワクがございます。それから四十六年度予算におきましてはこれが三百五十億にふくらむことを期待いたしておりますので、県からの御要望がどれだけ出てまいりますか、まだはっきりきまっておりませんけれども、かなり十分に御要望に沿えるのではないか、というふうに考えます。それから公庫資金につきましては、これもかなりワクがございますので、御要望に沿い得るのではないかというふうに思うわけでございます。それからすでに借りております制度資金等によって取得いたしました船等が、今回の災害被害を受けている場合の、これについての償還条件等の緩和の問題でございますが、公庫資金等につきましては、これは従来も災害のつど被災者実情に応じまして貸し付け条件の変更を行ないましたり、償還猶予等の措置がとられておるわけでございます。したがいまして、今回の被害につきましてもよく実態を把握いたしまして、同様の措置をとり得るのではないか、というふうに考えるわけでございます。それから漁業近代化資金でございますが、この点につきましては、実はまだ、四十四年度の半ばにこの制度が発足をいたしまして、期間もそれほど経過をしておらないわけでございますが、据え置き期間等の実際の運用等につきましてはできるだけ考慮をいたしまして、緩和措置をとるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それから漁船保険保険金の早期支払いでございますが、この点につきましては、災害が起こりますと同時くらいに現地のほうに係官を派遣いたしまして、実態調査をいたしておるようなわけでございまするので、これはできるだけ早く現金の支払いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  97. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから厚生省には世帯更生資金の貸付金のワクを五千万円増ワク配分してもらいたい、そういうような要望でございますが、これはどうなんでしょうか。
  98. 蝦名真一

    説明員(蝦名真一君) お答えいたします。世帯更生資金につきましては五千万円の要望をされておるわけでございますが、この五千万円の額が適当かどうか、これを実際の世帯面につきましてと申しますのは五千万円の積算が船舶の被害の面から積算されておりますので、世帯更生資金の本旨にかんがみましてほんとうに生活に困っておる世帯、世帯更生資金を必要とする世帯はどの程度の数があるのか、またその所要額はどのくらいなのか、県に調査さしております。そうして本年年度末も一迫っておりますので、本年度並びに来年度早々におきまして、適切な措置をとりたいと考えております。
  99. 塩出啓典

    塩出啓典君 最後に通産省に…。浜田におきまして山陽パルプの廃液のために、非常に泡がたくさん出まして、それがあそこの新川という川を逆流して、二メートルぐらい、軒下まで泡が来た。先般私たちも一参りましたときに江津より東のほうの漁港にはだいぶ泡が来て、皆さん困ったわけでございますが、そういう泡がなぜ発生したのか、またそういう泡が人体に被害がないのかどうか、またそういう泡が出れば視界も一さえぎられるし、からだにもつくと思うのですね。そういう今後の対策というものを、やはり実際に検討していかなければならないと思うのですが、その点検討する用意があるかどうか、どうでしょうか。
  100. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) ただいまの問題は、山陽パルプの江津工場というところで、ただいまも御審議がありましたように、非常に風が吹いたということのため、波と工場排水の中のCODという形で代表されます有機分が入っておりますので、これが泡をつくったというふうに考えられるわけでございます。これが海岸に沿いまして西のほうに流れて、その新川に入って、いまの御指摘のような状況が出たわけでございます。これにつきましては直ちに消泡剤を混ぜまして、あるいはシャワー等で翌日の昼までには全部泡が消えるような処置をいたしたわけでございまして、それの被害につきましても、市のほうにあっせんを、会社のほうから依頼しておりまして、誠意を持って対処すると申しております。で、今後の問題でございますが、これはいま申し上げましたように、CODが相当高いということと、気象条件が重なりまして、非常に大量の泡ができたという状況になっておるわけでございますので、当然CODのカットを考えなければならぬ。それからもう一つ、昨年の暮れいろいろ御審議願いまして、水質に関する法律関係も改正になりまして、全国に統一的な排出基準がかかるということがきまっておりますので、会社側としましても、昨年の暮れからいろいろ計画を立ております。ただいまわれわれのほうで聞いております計画としましては、内容としまして、濃縮燃焼という方式をとりまして、金額はいまのところまだはっきりきまっておりませんが、おそらく十億以上かかるのではないかと思いますが、その程度の資金で、今年の十二月の末までにそれを完成させるという計画を一応立てております。で、われわれとしてもぜひそれを推進してもらうということによりまして、CODのカットが相当大幅に行なわれますので、今後はこのような大量の泡が出るというようなことはなくなると考えております。
  101. 塩出啓典

    塩出啓典君 最後港湾局に。先ほどお話がありましたが、浜田港の木材貯水場ですね、これは先ほどお話がありましたが、木材がどんどんたくさん当たっていって非常に振動する。これは今回の季節風でなくて、その以前の、ちょっと風が吹くとどんどん当たって風呂場のタイルが落ちたとか、そういうような点があるという苦情がございました。いろいろ現地を見てみますと、あそこにH鋼を立てて、そうしてそこにビニールかなんかの網を張っておったそうですが、それも非常に行き当たりばったりの応急手当というのですかね、非常に十分な対策ではない。そういう点と、それともう一つは、木材をトラックに載せて運搬をする場合に、トラックから材木が落ちたり、非常に住民の人が危険を感じておる。それからまた木材を消毒するときのにおいが非常ににおってくる。そういう三点についての苦情があったわけですね。そういう点でかなり県なり市に対して不満を持っている声があったわけでありますが、国としてもそういう点も十分配慮をして、設計は県がやるにしても国もちゃんと資金を出しているわけでありますから、国も責任があると思うのですね。そういう点の十分な検討をして対策を立てていただきたい。そのことを要望いたしまして終わりたいと思います。
  102. 竹内良夫

    説明員竹内良夫君) 浜田港におき、ましては現在約十八万トンくらいの外国産の木材を輸入しております。それが昭和五十年になりますとおそらく四十万トンくらいになるだろう。いままで内地材で生活された方が外地材に頼っておるという形でございまして、それがどうしても水面の中に貯木しなければならないということがございまして、結局あすこの場所しかないという形でございます。したがいまして、いままでの十八万トンの輸入したものに対しましては、そのくらいのものに対しましてはやはりあすこの場所に整理上置かざるを得ない。したがいましてそこのところの安全性を先生のおっしゃるようにもっと十分考えていかなければならぬ。そのために先ほどからも申し上げましたように防波堤を完備し、それから整理場前の防波堤を完備し、同時に人家と整理場との間に県のほうでは臨港道路をつくるということも計画されておりますので、臨港道路をある程度国のほうも一緒になってつくっていく、そういうことと同時に、先ほど先生のおっしゃったHパイル、これを相当やはり考える、水に打つというような、四つくらいの方策が考えられますので、それを同時にやっていきたいというふうに考えております。また、これからどんどんふえる材木に関しましては、今度は水面だけで処理するのでなくて、岸壁のうしろのほうに、ある程度陸上で貯木するというようなことも一前向きに考えていきたい。水だけで整理するのでなくて、今度は陸上のほうでやっていく、それには大型岸壁のうしろのほうも使用しながらやっていこうというように今後は考えていきたい、というように私ども一考えているわけでございます。
  103. 河田賢治

    ○河田賢治君 二、一二漁港の問題について関係者に聞きますが、私直接平田市の塩津港というところに行ったのですが、ここはあまり大きな港ではないのですけれども、従来北西のほうから岬が出ておって、この東側に湾があるわけですが、ここに県のほうで観光道路をつくった。岬の中央に山をくり抜いちゃったわけですね。ところが町の故老といいますか、お年寄りはその観光道路に反対をしていた。北西の風があすこは吹きますから、どうしても家なんかにぶつかってくると、それから今度の災害のときもやはり北西の岸壁のところが十分な防潮の高さになっていない、岸壁に沿ってコンクリートでやっているのですけれども、それが低いわけです。だからそっちからどっと水が入ってきて、それで避難しておった小さな船がじゃんじゃん岩にぶつかると、こういうような事態があるわけです。ですからやはり県自身がそういう道路をつくったのですけれども、こういう場合にやはり漁港が一連のものとして大きな影響を受けるわけですね。ですから、こういう場合に  は、やはりどのような形で、観光道路をどうしても一つくらなきゃならぬなら、できるだけ漁港が影響を受けないような方法でつくるとか、こういうとの相談があってしかるべきではないかと思うのです。そうしませんと、国もやはり一定の補助金を出すわけですから、県自身が計画されたとし  ても、それを実現するにはやはり漁港との関連を見る必要がある。それからもう一つやはり十六島港ですか、この北浜漁港に参りましたときも、ここは大体東北からの風には耐えたんですけれども、西北の風はまともに受ける。相当大きな港ですから、これでどんどん波が入ってくる。ところが埋め立てが港湾の中で行なわれているんです。ですから波が入ってきてそれに当たり、引き返して向こうから入る波と三角波を起こして、ここにも大きな被害を与えている。そういうことをここの組合長は言っておられました。だからこういう港について相当総合的に考えませんと、漁港漁港だけ、あるいは若干何か工業的な都市計画のもとに埋め立てをするといいましても、どこに置いたらいいか、そういう問題が十分国とあるいは県との間に、あるいは市との間にこういう問題がばらばらにやられているように考えるわけです。こういう点について今後とも災害復旧で若干改修がされるでしょうけれども、こういう問題が相当地元とのお互いに技術的な問題についても一話し合ってやるというこういう方向をお持ちでしょうか、その点を聞いておきたいと思います。
  104. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 平田市の塩津漁港のことでございますが、この漁港は実はこの道路ができるまで道路連絡が非常にまずいところでございまして、多井から釜浦を通りまして塩津に行くという道路がなかったわけでございますが、そこでこの漁港漁具でございますとか、あるいは漁獲物の運搬等のためにぜひ道路がほしい、観光の意味も一多少あったかもしれませんが、そういうことで、これは漁港関連道として計画をいたしまして、昭和四十四年から四十五年にわたってこの道路を完成しようということで、いま先生のお話しのありました点はもうすでに完成をいたしておると思います。それでこれを計画します場合にこの高い部分を切り開く、いわゆるカッティングをして道路をつけるわけでございますから、そういう点につきましても十分私どもとしては県を通じまして、そういう点も道路をつけていいかどうかということを念を押したわけでございますが、道路のほうがぜひ必要だからということでこのようにして道路をつけたわけでございます。それで私もこの道路について塩津の漁民諸君は非常に喜んでおる、こういうことを実は聞いておりまして、ただいま先生のお話があったわけでございますが、これはおそらくこの岩を切り開きまして道路をつくったわけでございますが、その道路の高さが海面から四、五メートルくらいでまたその道路の護岸の天端がプラス五メートル程度でございまして、波がぶつかって、そのしぶき等が道路に落ちまして、かなり海水のあふれたものが流れて多少被害があったんではないかとこのように思っております。この点につきましては、近日中に二月に入りましてから緊急査定を行なうことになっておりますし、またその以前にも十分いまの点は調査いたしまして、低いものは高くする、あるいは波当たりを緩和するようなひとつ方法を考えるとか、いろいろやっていきたいと思っております。ただカッティングをして道路をつけたわけでございますから、風よけだけはなかなかこれはむずかしいと思いますが、十分ひとつ現状を調査いたしまして善処をいたしたいと思っております。  それから十六島港の問題でございますが、ただいまお話しになりましたように、湾奥に埋め立て地をつくりまして給油施設等をつくる計画がございます。その計画をやるにあたりまして、これは御承知のとおり、十六島漁港と河下という地方港湾にまたがってつくられるわけでございますが、それが湾口から入ってくる波によって支障があるのではないだろうかというような懸念もございまして、護岸等につきましては十分消波工を施し、また、その防波堤の前面には波殺しの消波堤等も設置いたしまして、湾口から入ってくる波による被害はほとんどないであろうというようなことで計画をされておったわけでございますが、私どものほうでも、この問題につきまして、県当局及び市当局にも連絡をいたしておるわけでございますが、現在のところさしたる被害もない、こういうようなことでございますので、私どもといたしましては、さらに先生の御質問もございましたし、また実情を十分調査いたしまして関係のところとも一連絡をとりながら、ひとつ災害が起こらないように整備を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  105. 河田賢治

    ○河田賢治君 私は現地を見てきた。やはり道路をつくりますと、そこはずっと低くなるし、したがって高い波が来れば道路よりも低いところに護岸がある、コンクリートの護岸がある、低いところはもう少し上げて相当高波が来ても一防げるということにしないと、あそこでは波が防げない。私が見ましても一中途はんぱな工事のように見受けられました。それが一つと、御承知のように島根のあの辺は小さい漁港がたいへん多い。現代科学の粋を集めた原子力発電所すら大きな高波で堤防がすっかりこわれちゃったということ、それほど今度は大きな被害を受けましたが、それにも十分な防波堤をつくるということは、経済効果から見てもなかなかむずかしい問題があろうと思います。そうだとすれば、やはり船を急なときには揚げていく船揚げ場−ウインチで揚げれば相当大きな船も揚がりますし、これは相当小さな漁港にはやっぱり山のところを多少でも一切り開いたりして、こういう措置をとる必要があると思います。ところが船揚げ場をつくっておるところのそのまた船揚げ場のコンクリートがこわれて、このくらいの薄さのコンクリートですから、中から洗われてすっかりこわれちゃった、こういう事態があるわけです。ですからせっかく漁港をつくりましても、少々の風量に耐えるような、損害をできるだけ漁民に与えない、あるいは船に与えないというようなやはり設計が必要じゃないかと思うのです。至るところにそういう、私は今度鹿島町と平田市を見て回りましたが、そういうところがたくさんあります。こういうところは今後とも改修のときに十分それぞれの市、あるいは県なんかと連絡をとってやってもらいたいと思うのです。  あと、気象の問題ですけれども、たしか新潟のほうではその当時警報が出たと聞いたのですが、警報は出なかったのですか、注意報だけですか。
  106. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 新潟のほうには警報は出ているようでございます。
  107. 河田賢治

    ○河田賢治君 今度の被害は富山県あたりで大体とまっておるんです。報告を見ましても新潟のほうで警報が出る、一番ひどかった松江では警報が出ないということになりますと、大体同じ一つの風が動いているわけなんですから、そうするとこれについて気象庁はどういう考えを持ちますか。
  108. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 警報の件につきましては、実は災害と申しますのは、気象条件はもちろん関係いたしますけれども、その地形なり、あるいは、地形と申しましょうか、その辺の住民の状況とか何とかというのが非常に関係いたしますので、警報を出します場合に、警報は各県の所在の地方気象台で判断いたしまして出す体制になっております。したがってそこの判断によりまして、場合によりますと、片方の県は警報が出て片方の県では注意報が出るというような段階もあるわけでございます。それともう一つは、今回の場合におきましては、先ほども申し上げましたけれども島根県では異常な波と申しますか、波浪によって起きたのでございまして、先ほども先生おっしゃいましたけれども、普通の状態で考えるならば注意報でいいような状態であったわけでございます。結果的に申しますというと、確かに警報を出したほうが適切な処置であったと思いますし、将来はそういうことを考えましてさらに万全のほうに持っていきたいと考えております。大体そういう状況でございます。
  109. 河田賢治

    ○河田賢治君 この災害があったのは四日の夜ですから、お正月で船も出ていなかったので、幸い死傷者は少なかったんですが、船が大きな損害を受けたのですが、警報とか注意報というのは、それぞれの専門家でなければ、まあ専門家でなくてもよほどしっかりした人は注意するだろうと思うんですけれども、一般にはあまり内容が理解されていない。  それで、御承知のとおり、島根だけでも昨年注意報や警報が出た回数が、調べてみますと九十四回出ているんですね。この中には強風が三十四回、波浪が三十六回というふうに、大体注意報というものが相当出ているんです。そうすると、注意報というようなものは大体あのくらいの風かということになりまして、あまり注意をしなかった。注意報を出しても注意しなくなる、こういう結果を生んでいるだろうし、また観測所のほうも一、気象台のほうも、松江のレーダーが十時にもう終わっているんですね。ところが十二時過ぎにあの大きな被害、一番強風が吹いているわけですね。レーダーが十時に終わるというのは、勤務上そういうことになるだろうと思うんですけれども、ああいう場合にやはりそれ相当、こういうレーダーなりいろんな気象の観測装置をすべて動員して、それでずっと追跡していくということがあれば、そうして若干予報にしましても警報を出せば、あの辺の人はそういうことにはかなり敏感でしょうから、もっと注意して、そうすれば船をどんどん丘に揚げるという時間も、そうなくはなかったんじゃないかとも思えるわけですね。こういう点で、相当気象庁に対して県のほうのいろんな漁民の方やそれらの被害を受けた方々がだいぶ不満に思っております。  そこで私は聞きたいのですけれども、現在海上の船舶からもあまり通報がなくなってきている、それからこちらも出さぬ。従来二十四回ですか、毎時出しておるようなものがこのごろは八回になった、こういうこと。それから、日本海方面はあまり無線を発するような、気象を観測して通報するような船が少ない、こういうことから大体条件がだんだん悪くなっているわけですね。そうしますと、将来にわたって災害の起こらぬように予防するためには、相当やはり気象庁あるいは海洋気象台等が今日いろんなデータもより精密につくって、あるいはまた人員も、定員何割減だというようなことで人を減らすのでなくて、やはり必要な人員、特にこの前、鹿児島あたりでは三人の方が、だんだん倒れて一人だけが三日二晩つとめて観測したということも一聞いておるんです。こういう状態では、ほんとうに国民に大きな被害を受けないように観測を間違いなく予報し、あるいはとらえてそうして警告をする、そうして損害を未然に防ぐということができがたんじゃないかと思うんです。気象庁としても、内閣の決定で人員削減だとかいうようなことで従がわれておるんだと思いますけれども、さっき防災のほうの総務長官に話しましたように、やはりこういう損害を未然に防ぐ意味からも人員を十分確保し、また必要な予算を取るという積極的な姿勢がないと、私は気象の十分な使命を果たさぬのじゃないかと思うわけです。こういうことについて、ひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
  110. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) いまの点についてお答えいたします。先ほど先生が二十四回通報を出されているというようなお話をしておられましたけれども、二十四回観測のことじゃございませんですか。
  111. 河田賢治

    ○河田賢治君 ええ、観測です。
  112. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) それは、あれを八回にしたところもございますし、大阪、それから東京でございます。これは実はその近くに飛行場やなんかもございまして、そのほうでは二十四回観測しておりますので、それで十分ではないか。それからまた一般的に問い合わせがありました場合におきましては、観測あるいは観測と申しますよりは通報がなくなったわけでございまして、そういう資料なり何なりははっきりございますので、それを見ればお答えできるというので、そういう意味で十分ではないかというわけで減らしたわけでございますので、その点を御了承願いたいと思います。それから人員とか予算につきましていろいろ御激励いただきましてありがたいと思うわけでございますけれども、われわれといたしましては、やはりできるだけの現在の予算なり人員で万全の対策をやっていかなければいけないと考えております。したがって、必要な予算やなんかにつきましては、十分大蔵省のほうにお願いしているわけでございまして、本年度の内示によりましても、まあわれわれといたしましては、かなり、かなりと申しますか、非常によくついたのではないかというふうに考えております。われわれといたしましては、やはり十分な態勢をとりまして、また観測機械につきましても、だんだん近代化をはかりまして、防災なり何なりに合うようなふうに仕事を進めていきたいと、こう考えている次第でございます。  なお、警報とかあるいは一般の予報に対しましてのことに関しましては、現在少なくも一昔と比べまして、何と申しますか、手を抜いたということはございません。いろいろ仕事の合理化なども若干はかりまして、従来どおりやっているつもりでございます。それからなお、その警報と申しますか、注意報と申しますか、そういったものの発表につきましては、確かに先生おっしゃるように、この発表なり何なりにつきまして、皆さんが聞いてすぐわかって、防災なり何なりわかるようなふうに持っていく必要があるとは考えておりますけれども、その手段を考えてみますというと、特殊なところに対しては何か電話なり何なりでお知らせしておるわけでございますけれども、何しろ国民一般多数でございますので、その手段といたしまして現在とられるのは、大体テレビだとか、ラジオ、場合によって新聞ということもございますけれども、そういったものを通じてやるわけでございます。そういうことと、もう一つは、やはり対象の相手がたくさんございますので、そういったような適切なことを言います場合に、全部をとても言い尽くすことができませんから、したがって、発表するに際しましては比較的平均的なことを申し上げるというよりしようがないという、気象庁の立場としてはそういうような状況じゃないかと思います。  あとの災害防止に関しましては、これはむしろ県なり警察庁のほうの仕事でございまして、そういう方面に対しましては、非常に大きな災害が起こる場合におきましては、特別な説明会を開くなり何なり、そういったようなことをやりまして、十分気象状況災害との関連について御説明いたしまして、防災効果があるようなふうに当局としては心がけておる次第でございます。以上でございます。
  113. 河田賢治

    ○河田賢治君 直接気象に携わっている人から声を聞いてきたわけですけれども一、さっきの人員の問題ですけれども、たとえば気象観測は二十四時間やっておるが、予報的には夜間はやれないというのです。ただし、火急の場合は構内にある官舎の人員を呼び出したりしてやっている。気象台の勤務を消防署や自衛隊、警官と同様に二十四時間勤務の状態をつくりだすことが必要である。海洋気象台の場合は、形式的には二十四時間体制ができているが人員が伴っていない、こういうことを現場の人は言っているわけです。熱心にやはり自分たちの職務をほんとうに果たすためには一定の休養も必要ですし、休養すればかわりの人が要りますし、かなりそういったような予算的な措置がありませんと夜間は特別に動かしたといっても十時から全然レーダーは使っていない。ああいうかなり強風が吹いている場合、やはりそれを最終的にまで追跡しなければ、正しい予報を与えることはできないのではないかと思うのです。こういう点について、これは予算との関係もあるでしょうけれども、やはり気象庁が十分一体となって、こういう問題については対処してもらいたいということだけを申し添えて、私の質問を終わります。
  114. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) ただいまの件につきまして、レーダーの問題について御説明いたしますと、ふだんの場合でありますというと、一日二回程度観測いたす程度でございます。しかし非常時の場合につきましては、必要に応じまして随時観測をやっております。それは、そういうときに応じまして特別に職員を臨時に泊めたりなんかして、防災に差しつかえないようなふうに万全の対策をとっております。そうして一般の予報に関しましては、おもに予報いたしますのは昼間のこと  でございますので、そういうことで、ふだんの状態におきましては、特に真夜中に予報を出すというようなことは、特別な場合以外は出しておりま  せん。もちろん強風なんかの場合には二十四時間  やることもございますので、そういう場合には特別なそういう体制をとっておりますけれども、一般の予報に対しましては、やはり必要に従いまして出すような体制でやっております。以上のような状態でございます。
  115. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 質問がありましたので、私はあまり質問すまいと思っておったのですけれども、一つだけ要望意見的な質問を申し上げたいのです。実はこの沿岸の問題ですが、塩出委員の御質問に対して御答弁がありましたから、再度申す必要もないかと思いますけれども、どうも災害というのは忘れたころに来る。特に農地災害なんかと違いまして、沿岸災害はほんとうに忘れたころに来る。そうして答弁してもらっても同じことの繰り返しだと、私はこう思っているんですよ、実際問題として。それではやはりだめだと思うのですね。一つの例を申し上げますならば、塩出委員が御質問されたように、一体沿岸の堤防にいたしましても港湾の問題にいたしましても、もっと検討できないのか、研究が総合的にできないのか、日本にはそれだけの権威者がいないのか、私はそれが言いたいんですね。ところが、いると思うんですよ。いるけれども一、総理府が総括的な研究で、あらゆる研究者を寄せて、一体港岸の施設というものはこれならだいじょうぶと言えるだけの自信のある検討がしてない、こう思うのです。たとえば例を申し上げますなら、今度の写真を見ても皆さん御承知のように、一定の基礎は完全にできておる、その上は部分的に全部洗われている。これは四国の徳島もそうでした。御承知のように富士市もそうです。私はたいがい災害地へ行っておりますから。しからば、われわれしろうとが考えた場合、少なくとも一つのブロックがその波によって洗われるということであるならば、国鉄のレールを中に織り込んで、もっとウェート的なものにしてもいいんではないか、これはしろうと考えです。で、そういう総合的な研究が日本の場合はないために、災害が起こってから補償の問題だけにお互いにやきやきになっておる。これではぼくはだめだと思うのですね。したがって、せっかく総理府で今度総合的な対策をやっておられるのですから、私はもっと日本のあらゆる技術を、ひとつ研究を集約して、そうしてモデル的なものをこの島根県の場合はつくってもらいたい、やるべきである。そうして、それが何年かたってまたそういう災害があるかないかわかりませんけれども、これならだれが見てもやはり完全だ、こういうようなものをひとつこの際こそ予算的にも私は政府としては努力すべきだ、こういうふうに思います。申し上げたいことはたくさんありますけれども、時間も一非常にきょうは長時間みな御質問申し上げておりますし、私の、その点だけを政府はやる意思がないのか。いままでのような状態では、あった災害の補償の問題だけでお互いにやきやき言っておる。先ほど佐藤委員が質問されたように、もうあれも四年前から個人補償を一体どうするのか、これはもうみんな聞きあいているのですよ。こういうことをほんとうにやっていこうという姿勢がほしい。この点、ひとつ総理府から御答弁願いたいと思います。
  116. 高橋盛雄

    説明員高橋盛雄君) 総理府に対して非常に強い大きい御要望、御期待をいただいたわけでございますが、実は土木事業については建設省、それから運輸省、農林省、各省におかれまして、それぞれの技術の立場で検討もされておりますし、さらに建設省においては土木研究所、建築研究所、あるいは運輸省においては港湾技術研究所、それから農林省も同じような研究機関を設けて、それぞれ技術的な検討を加えられている現状でございます。先ほど副長官から申し上げましたように、総理府は縁の下の力持ちということでございますので、さらに御趣旨を体して、各省に陰ながら御援助申し上げるということで、今後も努力してまいりたい、このように思います。
  117. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 一点だけ申し上げます。水産庁にお尋ねしたいのですが、島根の特産の養殖事業としてはワカメが品質も随一と言われているのですが、このワカメの関係は、養殖場も船関係も全滅といっていいわけですが、これは一体例の激甚災害の指定の中の七条にあたる政令できめた養殖事業の対象の一つにすでにあげられているのですか、どうですか。
  118. 樋貝勇

    説明員樋貝勇君) ワカメの養殖施設につきましては、非常に大きな金額にのぼるような大災害の場合でございますと、過去におきましても一、先生いまお尋ねのような激甚災の適用を受けたということも実はあるわけでございますが、今回は非常に局地的なものでございまして、個別被害としては非常に大きなものでございますけれども、従来使用してまいりました激甚災の関係からいたしまするというと、まあなお実態はよく調査はいたしますけれども、結論を申し上げて、激甚災の適用というのはむずかしいのではないか、というふうに私は考えておるわけでございまして、養殖施設等に対します手当てといたしましては、これはやはり金融的なものでめんどうを見るというようなことになるのではないか、というふうに考えるわけでございます。
  119. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 天災融資法の融資対象としては…。
  120. 樋貝勇

    説明員樋貝勇君) 天災融資法が発動されますれば、これは融資対象にはなります。
  121. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 それで融資だけでは問題にならないので、この全体的なそういう場の問題は別として、従来そういうことで政令指定の中に織り込むべきだということで話が出た前例もあると承知しておりますけれども、まあいまの法的な場は別として、従来さようなことで国会でも重点的に論議をされた経緯もありますから、実施にあたってはひとつ、査定査定ですけれども、そういう点を重要視、あるいは弾力的に運用して、何か措置をするというようなことで格段の御配慮を願いたいと思います。  自治省おられるか。−自治省については、例の特別交付税、この点は十二分に御配慮願っていると思いますけれども、ひとつよろしく願います。
  122. 河野文雄

    説明員(河野文雄君) 御趣旨に沿いまして、今後の財政運営に支障を及ぼさないように努力したいと思います。
  123. 北村暢

    委員長北村暢君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  速記とめて。   〔速記中止〕
  124. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記起こして。  この際、本委員会の決議に関する件についておはかりいたします。  まず、決議の案文を朗読いたします。    昭和四十六年一月四、五日に発生した冬期季節風による災害に対する決議(案)   政府は、本災害実情に鑑み、被災地の復興と、被災者の救済および今後の災害防止に万全を期するとともに、特に左記事項の実現に努めるべきである。     記  一、被災地災害実態に鑑み、広く天災融資法適用に努めるととも一に、激甚災害法の救済措置について検討すること。  一、被災漁船等については、その復旧救済制度に再検討を加え、小規模経営漁民の再生産確保に努めること。  一、被災港は、北寄りの風浪に対する防災が不十分な点もあるので、これが改良復旧ならびに、整備の促進を図るとともに、小型漁船等に対する船揚場造成に努めること。  一、山陰地方においては、破損漁船等の応急修理等を行なう造船所船大工が少ない実情に鑑み、これが整備に努めること。    右決議する。
  125. 北村暢

    委員長北村暢君) 本決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  126. 北村暢

    委員長北村暢君) 全会一致と認めます。よって本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本決議の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十五分散会