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政府委員(
湊徹郎君) ただいま激甚法指定の問題が出たわけでありますが、実はこの問題、まあ三時間余、おととい実は各省庁お集まりを願って相当広範囲に
検討を行なったところであります。そこで、これは法制の問題とも非常に
関係が深いわけなんでありますが、御承知のように、激甚法の成り立ちというものが国民経済全体に甚大な影響を及ぼすんだという大前提で考えてございまして、したがって、公共土木とか、農地農業用の場合ですと、数百億ないし数千億円の総体の
被害が前提になって激甚法を発動すると、こういう慣例にいままでなってきたわけです。ところが実際の
災害の
実態を見てみますと、そうじゃない。局部的に限られた
漁業なら
漁業、あるいは農作物なら農作物という局地的な
激甚災害がかなり多発しておりますので、そこで局地激甚制度というのを補完的な制度として
昭和四十二年につくったわけであります。自来、市町村を
中心にした局部的に激しい
災害については局地激甚の
適用によってカバーする、こういうやり方を今日までとってまいっております。今回の場合を申しますと、
漁港それから
漁船、水産物に非常に
被害が集中しておりますが、たとえば
島根村の例を見ますと、小さな、ほとんど財政収入のない村で一億余の
漁港を
中心にした
災害がございます。こういうものは大体やはり局地激甚で救っていくのが筋だろうと私
どもも見当をつけております。ところが同じ布施村という村がございます。ここのところは、
漁港の
災害は実は三百万足らずなんであります。ところが一般の
港湾施設がかなり激甚な
被害を受けておる、こういう
実態がございますので、ひとり農林省だけじゃなくて、
運輸省のほうからも行ってもらって、
現地で
査定をした結果、両方合わして−さらに
建設被害もあるかもしれませんから、あるいは治山の
被害等もあわせて公共
被害ということで何とか局地激甚で拾えるようにしたいということで、いまさっき申しましたように、その
査定の準備を
現地と各省ともに急がしておる次第でございます。
そこで問題は、ただいまおただしの共同利用の小型の
漁船でございますが、さっき御
報告申し上げましたように、
漁船の
災害が全体で約七億円という
報告ですが、そのうち、五トン未満の激甚法の十一条の
適用対象になる船の
被害額はおおむね三億二千万程度でございます。そこでこの激甚法の指定と申しますものが、まず、この
災害は
激甚災害でありますよと、たとえば総体として五百億以上の公共
被害がありますから、この
災害は激甚にしますよと、まずやっておいて、その激甚に指定した
災害によって具体的にどういう事業を対象にして当てはめをやっていくかという
適用基準、この二つを両建てできめていくというのが、激甚災の指定基準になってございます。この場合、問題は
小型漁船でありますから、当然その
適用対象にはなり得ると私は思います。さっき言いましたように、小型だけで
島根だけでも七百八十七隻と、こういう非常に多数の船でありますから、
適用はできそうに思います。ただし、三億二千万という、その部分だけを取り上げて三億円の
災害が
激甚災害でありますよというふうに指定するために、その
災害そのものを指定する基準がない、率直に言いますと。というのが、いまのたてまえになっております。これが公共土木とか、農地農業用の
施設災害が一緒にございまして、そちらのほうで優に数百億になると、たまたま
小型漁船もあった。去年の十月の土佐の台風十号による
災害はまさにそうなんでありますが、そういうことですと、すらっと本激甚の指定も可能である。今度の場合は
被害が集中して、激甚災の
適用基準にはめるのが、たまたまこの
小型漁船しかないというところに問題の非常にまあむずかしい点がございまして、したがって、私
ども検討の過程では、先ほど水産庁のほうからも申しましたが、
漁船保険でありますが、おっしゃるように、三トン未満のようなものはほとんど加入率はございますまい。五トン以下になりますと、大体四割が入っているようであります。それ以上だと、大体七割になっておる。そこでまあ
漁船保険でカバーし得るものはカバーしていただく。
それからもう一つは
天災融資法でございますが、これもついでに申し上げますけれ
ども、従来は大体三十億程度の
被害があったらば
適用しようという運用をやってまいりました。ところが、これも一さっきの局地激甚と理屈は全く同じでして、ひょうが降ったり、突風が吹いたり、たつまきが起きたり、あるいは部分的な
高潮があったりしますと、非常に限られた地域だけの
被害が
発生いたしております。そこでそういうものは特例的に十億ぐらいに運用の基準を下げて、そして
天災融資法を発動をしても一いいのじゃないかという扱いを従来やったことが二、三回ございます。今度の場合も、願わくはそういうふうな特例運用によって
天災融資法の発動をしたいものだ、こういうふうに考えております。そこで問題は、
天災融資法が発動になりますと、
漁業の場合は、五トン未満の小さな船あるいは
漁具、これも一天災融資の対象になることになっております。そこでまず一つ救われる点がある。それ以上にメリットがありますのは、農林
漁業公庫から、実は主務大臣指定
施設として
漁船に対する
建造融資がございます。これは一千万円という限度額でありますから、運用によっては相当これはいけるわけでありますが、これがその
天災融資法が発動になった場合に、農林公庫の主務大臣の指定融資が、普通は七分五厘の金利を六分五厘に下げて
適用する、こういうことになっておりますので、
天災融資法とそれから農林公庫、これをセットで何とか運用する方法がなかろうかというので、大蔵省もまじえて目下折衝中でありますが、大体そちらのほうはいけそうな見通しであります。それと近代化資金。いずれにしましても、共同利用の
小型漁船でございますから、
地元の県さらに
漁業協同組合と話を詰めていただきまして、この部分は
漁船保険でいく、この部分は公庫融資で何とかいこう、これは天災融資でカバーする、あるいはこれは近代化資金でやるということを
地元で大体の折衝をしていただいて、どうしてもやはり
補助金をもらってやらなければ困る、どれくらいお困りの方がある、こういうことになりますれば、さっき申しましたように、本激甚の指定ということは率直に申しまして三億円だけの問題になってしまいますので、非常にむずかしいんでありますが、それにかわるような何かの
措置というものは考え得られないもんだろうか、こういうこともあわせて水産庁と大蔵省に
検討させておる、こういう現状でございます。