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1971-03-10 第65回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十日(水曜日)    午後一時二十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         永野 鎮雄君     理 事                 後藤 義隆君                 戸田 菊雄君                 多田 省吾君     委 員                 井川 伊平君                 高橋文五郎君                 平島 敏夫君                 山本敬三郎君                 横川 正市君                 岩間 正男君    衆議院議員        公職選挙法改正        に関する調査特        別委員長代理理        事        大西 正男君    国務大臣        自 治 大 臣  秋田 大助君    政府委員        内閣法制局第三        部長       荒井  勇君        自治省行政局選        挙部長      中村 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    小林  朴君        国税庁直税部長  江口 健司君        郵政省郵務局次        長        高仲  優君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○選挙制度審議会設置法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付)     —————————————
  2. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  選挙制度審議会設置法の一部を改正する法律案及び国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案一括議題とし、趣旨説明を聴取いたします。大西衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員長代理理事
  3. 大西正男

    衆議院議員大西正男君) ただいま議題となりました選挙制度審議会設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  御承知のとおり選挙制度審議会は、昭和三十六年総理府に設置され、以来数次にわたる審議会におきまして内閣総理大臣の諮問に応じ、選挙制度に関する重要事項などについて審議の上、答申等を行なっております。  また、昨年末発足しました第七次選挙制度審議会におきましては、衆参両院議員選挙区制、選挙方法、政党のあり方などの基本的問題についての具体的改善策並びに議員定数問題等幾多の重要問題の審議が期待されております。  本改正案内容は、かかる重要問題の審議をになう審議会委員の使命の重要性にかんがみ、委員任期を一年延長し二年とすることにより、本審議会における計画的かつ十分なる審議を促進し、もって諸問題の解決に資そうとするものであります。  なお、本法律公布の日から施行することとし、現在の第七次選挙制度審議会委員任期は、昭和四十七年十二月二十一日までといたしております。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 永野鎮雄

  5. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) ただいま議題となりました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容概要説明申し上げます。  この改正法案は、国会議員選挙等執行について、国が負担する経費地方公共団体に交付するものの現行の基準が、実情に即さないものになりましたので、今回これに所要改定を加えようとするものであります。すなわち、最近における公務員給与改定賃金及び物価変動運賃改定等にかんがみまして、執行経費基準改正し、もって国会議員選挙等執行に遺憾のないようにしたいと存ずるものであります。  次に、この法律案による改正内容についてその概要説明申し上げます。  第一は、最近における公務員給与改定等に伴い超過勤務手当積算単価実情に即するよう引き上げ投票所経費開票所経費等基準額改定しようとするものであります。  第二には、最近における賃金変動に伴い、人夫賃等単価実情に即するよう引き上げ投票所経費開票所経費等基準額改定しようとするものであります。  第三には、投票管理者開票管理者投票立会人開票立会人等費用弁償額実情に即するよう引き上げようとするものであります。  第四には、運賃及び物価変動に伴い、旅費燃料費及びポスター掲示場費単価実情に即するよう引き上げ関係基準額改定しようとするものであります。  以上が国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案の要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  6. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) 次に、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案補足説明を聴取いたします。中村選挙部長
  7. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) ただいま議題となりました基準法改正案に関しまする説明につきまして、事務的に若干の補足を申し上げたいと存じます。  お手元に御配付申し上げております関係資料の青い表紙の二つ目のところにございますが、法律案要綱をお示しいたしております。これによりまして御説明を申し上げます。  要綱といたしまして五点を掲げておるわけでございますが、第一点は、先ほど大臣からお話のありましたところによりまして、公務員給与改定に伴います超過勤務手当積算改定をお願いをいたしたいと存ずるところでありまして、この点につきましては、昭和四十三年に改定をされて以来そのままであったところでありまして、今回約四割の引き上げをお願いしたいと存じております。これによりまして、引き上げに要する所要額は約七億六千万円でございます。  それから第二点といたしまして、選挙管理事務に雇用をいたします人夫賃単価改定をお願いいたしております。これも最近におきまする単価実情にかんがみまして、約三割の引き上げをお願いしたいと存じております。これに要する経費が一億八千六百万円でございます。  それから三番目に、投票管理者開票管理者投票立会人開票立会人等費用弁償単価改定をお願いいたしたいと存じます。管理者につきましては、いままでは千五百円、立会人につきましては千二百円というのが従来の単価でございましたが、これにつきましては、こういう種類の、いわゆる一般的な委員に対する報酬というもののにらみ合わせをいたしまして、若干高額でありますが、六割見当のアップをお願いしたいということでございまして、管理者につきましては、いままでの千五百円を二千五百円に、立会人につきましては千二百円を二千円に引き上げをお願いいたしたいと存じておるところでございます。これに要する経費は約一億八千九百万円でございます。  それから第四点といたしまして、運賃のその後の改定でございますとかあるいは物価の動きもございまして、旅費燃料費あるいはポスター掲示場、その他入場券配付等に要する経費等につきまして実情に合いますように改定をお願いいたしたいというのが第四点でございまして、この四点目につきましては所要額は約三億二千万円であります。  こういう四項目にわたりまして、総額といたしまして十四億六千万円、引き上げの率にして約三〇%——二九・何%というような程度改定を今回お願いしたいというふうに存じておるところでございます。これによりまして、引き上げ後の六月に予定をされております参議院議員選挙に関しまする執行経費のうち地方公共団体に交付をいたしますものはお願いいたしております十四億六千万円の引き上げを含めまして六十六億三千万円という経費になるところでございます。  なお、五点目として、この法律公布の日から施行をお願いしたいと存じておりますが、四月には統一地方選挙も控えておるところでございまして、できるだけ早く御決定を賜わりまして、地方選挙につきましても一つの準拠としてこれが用いられることを私どもとしては切願をいたしておる次第でございます。  以上補足説明を申し上げた次第であります。
  8. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) これより両案に対する質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 横川正市

    横川正市君 まず三月、四月の地方統一選挙についてはその日取りがはっきりいたしましたが、参議院のその日取りについてはまだ明確になっておりませんが、これはいつ決定されるわけですか。
  10. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 大体皆さんも新聞紙上等で御承知のことと思いますが、まだ内閣としては正式決定閣議決定等に至っておりません。六月二十七日の日曜日に執行しようということが大体の目安になっておると申して差しつかえないと思います。
  11. 横川正市

    横川正市君 それでは最初に警察庁の方にお尋ねをいたしますが、新聞等で私ども散見いたしますと、選挙ということになりますと、その担当のところに選挙取り締まり本部というのがたいへんりっぱな看板を掲げて始まるのが通例のようであります。印象からいたしますと、この選挙というのは実はその有権者が喜んで参加をするということがたてまえなんでありまして、いままでの立法考え方からすれば取り締まりが何か先行するような印象というのを持つわけなんで、これは報道機関がそういう取り上げ方をするのであって、あなたたちのほうではそういう考え方を持っておらないのかもわかりませんけれども、ただそういう点からいたしますと、あらかじめ選挙が始まる——ことに、ことしは選挙の年といわれるぐらいいろいろな選挙が重なってあるわけなんですが、一体その取り締まりというたてまえに立っての例年の方針というものが明らかにされたわけですか、それともされないわけですか。どういう状態になっているのか、その点をお聞きをいたしたいと思います。
  12. 小林朴

    説明員小林朴君) 選挙取り締まり本部でございませんで、選挙違反取り締まり本部がまあ大体公示の、あるいは告示直前ぐらいにでき上がります。これは御承知のように、警察仕事というのは、たいへん臨時的な仕事が多うございまして、そのほかに、恒常的な仕事もあるわけでございまして、そのためにどうしても選挙運動の期間中に違反があるというような場合に選挙の係というものが直接に警察にはいないわけでございます。そういうことで、やや臨時的な組織を編成するというような意味で取り締まり本部ができるわけでございます。これはもちろん選挙そのものではございませんで、違反について私のほうで注意をしたいということでございます。  で、違反取り締まり方針でございますけれども、これにつきましても、従来から選挙公示あるいは告示直前になりまして、一応全国的にそういう方針統一するということが必要でございますので、私どものほうに全国担当人方に集まっていただきまして、そしてその席で一志どういうふうに方針をきめるかということについて決定をするわけでございます。で、今回、統一地方選挙を前にいたしましてすでに全国刑事部長にお集まりを願って取り締まり方針等につきまして検討をいたしたわけでございます。その内容は、もちろん従来と特に変わるものはございませんけれども選挙違反というものを取り締まりをするということによりまして、選挙が自由に、しかも公正に行なわれるということを担保してまいるというような方針でございます。そのためにまあ事前運動に対しまして、警告等によりましてできるだけ違反を未然に防止するという方針をとりたい。なお、そういう形がありましても、非常に悪質な違反、証拠の明白なものにつきましては、事前においても検挙をせざるを得ないというような方針取り締まりをするということにいたしております。  以上でございます。
  13. 横川正市

    横川正市君 たまたまけさの報道を見ますと、買収供応公務員地位利用選挙自由妨害等実質犯取り締まり重点が置かれるが、違反文書等配付掲示などの形式犯も、悪質で組織的なものについては投票日前でも強制捜査する方針である。その次に、八日までに三百五十九件警告をいたした、こういうことになっておりまして、その内容は、違反文書掲示配付、実態のない後援会事務所連絡所立て看板新聞折り込みなどで配った後援会入会加入状立候補予定者写真入りカラーポスター等となっておりますが、この報道は大体間違いないですか。
  14. 小林朴

    説明員小林朴君) おそらくそれは警視庁取り締まり本部ができるということで出したものだと思います。私どものほうで、全国的な形で取り締まり本部がいつできるかということについては把握をいたしておりませんけれども、各県がたとえば知事選がございますところは、もうすでにそういう用意をいたしております。知事選がない県におきましては、まだそういう取り締まり本部というようなものを設けてはいないと思うのでございます。で、違反警告件数でございますが、これもおそらく警視庁がその程度警告を出したんだろうと思いますけれども全国的に見ましては四千六百件程度がすでに、これは三月の八日現在でございますけれども、八日現在で調査した結果によりますと、大体四千六百件程度という警告件数となっております。以上でございます。
  15. 横川正市

    横川正市君 そうすると、これはおもに東京のことが中心になっているのだろうと思いますが、警告というのは、いわゆる形式的なものに対しての警告で、いわゆる従来形式犯と言われておるものですね。で、捜査重点になっているような実質犯の問題については、まだ具体的なものが明らかにされておらない、こういう実情でしょうか。
  16. 小林朴

    説明員小林朴君) 一応そういうふうに考えていただいていいんじゃないかと思いますが、形式犯のもので、ほうっておきますと、そういうものが蔓延をするというようなものにつきまして、一応警察のほうといたしまして、警告によってそういうものをやめていただくというような形でやってございます。ただし、そういう実質犯的なものになりますと、警告になじまないものが相当ございます。たとえば物品の供与だとか、あるいは供応してしまったというようなものにつきまして、それをやめろというわけにまいりませんので、そういうものにつきましては検挙という形をとるわけでございます。
  17. 横川正市

    横川正市君 そこでちょっと具体的にやっておられる内容でお聞きをいたしたいのですが、一つは、総括的な件数であげられる場合には、それは大小とか、そのいわば罪の軽重といいますか、によって明らかでないと思いますが、取り締まりそのもの地方別といいますか、そういうような点の指導というのはどういう形で行なわれるかという点なんですね。これはたとえば刑事部長会議が行なわれて、あなたのほうからいろいろな通達が出される、あるいは質疑に答えられる。その範囲内でそれぞれ地方警察にまかされると、こういうことになるわけですね。ですから、その点では通達までは大体一貫して全国に出ていく。ところが、それを受けた警察ではそれぞれの立場判断をする事件がたくさん出てくるわけですね。そうすると、Aの県ではそのことは全く取り締まり対象とならないが、Bの県では取り締まり対象となるというような、そういういろいろなでこぼこが出てくる可能性があるわけですね。そういうようなものについてはどういう指導をされるわけでしょうか。それは一つ事件を取り上げて、それを何らかの形で判例化していくような方式をとられていくのか。それとも条文上判断をいたしますとどちらにもとれるが、いつでもそれは罰するほうにとって検挙率を高めていく、あるいはあるところではそういう点はできるだけ形式犯選挙の公平とそれから明朗性を確保するために警告程度でおさめる、いろいろのかっこうが出てくるのじゃないかと思いますが、それをどう指導されるかという点をお聞きしたいと思います。
  18. 小林朴

    説明員小林朴君) 確かにそういうアンバランスが生じると、事実認定の段階でそういうことが考えられますので、警察庁といたしましては、できるだけ、特に新しい選挙運動の形態とか、特異なものにつきましてはすぐに報告をいただいて、警察庁見解として全国に流します。それから警告をした事案と、あるいは検挙をするものというような程度判断の問題でございますけれども、これも非常にアンバランスになっては困りますので、できるだけ私のほうに警告事案は少なくとも事前の現在行なわれているものにつきましては全部報告をいただいております。それによりまして各県でどういうような認定のしかたをしているか。それで、それが非常にアンバランスになるようなものにつきましては、私どものほうから直接に電話で連絡をするというようなことで、できるだけその統一というものを期しているわけでございます。  なお、検挙等につきましても、特異な事案につきましては電送等によりまして当庁の見解と、それからそういう事例がこういうふうに行なわれたということでございますが、これらの、もちろん特定の非常に詳しいものではございませんが、その一つ先ほどお話がございましたような判例化したような事例としてこういう事例が発生した場合、こういうものについてはこういうふうにしたほうがいいのではないだろうかということで、私のほうの見解を添えて全国に流すというような形でそのアンバランスを是正するという仕組みをつくってございます。
  19. 横川正市

    横川正市君 そこで私は、これは公職選挙法特別委員会はいろいろな法律関係を論議をいたしますが、その前段である選挙制度審議会、あるいはその選挙制度審議会での元あなた方の同僚の意見、そういうようなものを総合してみますと、日本選挙法そのものが歴史的な面から見ればいわゆる取り締まり立法経過から見ればやや緩和の方向、それから展望から見ると形式犯はこれは取り締まり対象から除外、こういう経過をたどっているわけなんですが、いまのあなたたちのいわゆる取り締まり方針としては、実はこれは警視庁のあげられた点なんですが、これは私は非常にきびしく厳格にやってもらいたいと思う点なんです。ところが、一連の文書その他でいわゆる新聞が、いかにも選挙が腐敗しているかのごとく報道される形式犯ですね、数の問題が出てくるわけなんですが、この点については、もう少し指導上の態度というものが少し強まっていいのではないか、過去はいざ知らず、現在はですね。将来は取り締まり対象からはずす、こういうことになろうかと思いますが、そういう当面している選挙を目の前にしての取り締まり当局立場としてはどういうふうな立場をとられるのか、これをひとつお聞かせいただいておきたいと思うのですが、それをなぜお聞かせいただくかというと、実は私どもから見ますと、何の取り締まり対象にならないようなものが、間々地方では取り締まり対象になっていることにぶつかるわけです。たとえばあなたのところの親戚におまわりさんがいる、そうしてあなたの家に遊びに行く。それで状差しを見ると、その状差しにいわゆる二百四十条違反文書があった。それをちょっと貸してくれといって持っていく。それがきっかけになって村全体の捜査網が張られる。それからそのうちに今度はそれと関連した別件逮捕が出てくるというように、たまたま親戚友人かの家に行って状差しに入っておった一通の手紙が中心になって捜査が広がっていくという事例に実は私どもぶつかるわけなんです。その場合に結果から見ますと、その関連をしたものについてはこれは注意とか、あるいはしかりおく程度で終わるのですが、その中から出てきた、たとえば二、三人で一升買って飲んだと、だれが金を出したかというところに発展していって、一人頭にすれば三百円か五百円くらいの金のだれかの授受が買収供応に発展していく、買収供応というのはそんなものじゃないと思うんですが、しかし、そこでは買収供応でもう一年も二年も裁判をやり、ひどいときになるとそういうことから自殺者が出てしまうというようなことが事例になっておるわけなんですが、たとえば文書の場合、違法文書というのは計画の時点か、それとも印刷の時点か、あるいは在庫の時点か、配布の準備の時点か、配布されたことか、その時点のとらえ方によっては私はそれぞれ判断というものは違ってくると思うんですけれども、そんな点で形式犯でのアンバランスが出てきているという事例にぶつかるわけなんだけれども、こんなささいなことが自殺者を出すような例が間々過去にあったわけですから、そんな点を、過去の取り締まり一本の法律のときには私はそのことができることはやむを得ないという事情があったかもしれませんが、今後は一体この点はどうだろうかと、こう思うわけですがどうでしょうか。いまのような事例があるわけですけれども、実際にはどうお考えでしょうか。
  20. 小林朴

    説明員小林朴君) 形式犯取り締まりはできるだけ、軽微なものであれば警告等によりまして、そういうものが蔓延しないようにという形でやめてまいりたいというふうに考えるわけでございますけれども犯罪捜査は何ぶんどういうところに捜査の端緒があるかということにつきましては、なかなかこれむずかしいのでございます。ただ先生のおっしゃるような形で、何と申しますか、犯罪捜査の動機というものがそんなに考えもしないところから出てくるということがはたして妥当かどうかというようなものにつきまして若干考えていかなければいかぬ問題はあろうかと思うわけでございます。ただ買収の問題にいたしましても、非常に少額の買収につきましては、やはりそれは軽微ならば軽微なような方法捜査方法というものを進めるということがやっぱり筋だろうと思います。ですから、三百円、五百円がどうかという問題については、私ここで確答することはできませんけれども、いわゆる軽微な買収事犯につきまして、何でもかんでも逮捕して調べる、それによって自殺者が出るというようなことは非常に好ましくないことだとさように考えております。
  21. 横川正市

    横川正市君 それと、私はいまの考え方が非常に妥当だと思うんですが、非常に巧妙に、たとえば折り詰め弁当、二合びん付き百円会費というのがあるわけですよ。折り詰め弁当二合びんが百円というわけはないですね。しかし、会費が百円払ってあったらそれは買収供応にはならない、友人が集まって、おまえひとつそれを払っておけといったやつは買収供応だというような、まことに日本風俗習慣からいきますと、たいした悪気があってやったことじゃないのに、あとから考えてみたらたいへんなことになったというふうに発展をさせられる事例が間々あるわけですよ。ですから、私はそういう点は、選挙取り締まり全国的なひとつ指導の中で、やはり常識的な指導というものがあっていいんじゃないだろうか。  それからもう一つ非常に重要項目だと思うのは、公務員のいわゆる地位利用の問題なんですが、地位利用というのは厳密的に捜査立場からいえば、たとえば何々省の何々次官がやめて立候補したというのが実は地位利用だと思うんですよ、実際にいえば。地位というのは、いわば有名であるとかあるいはなんとかだけじゃなくて、かってはその地位から恩恵を浴した人たちですね、この人たちに対する選挙のいわゆる要請をするわけですから、明らかにこれは地位利用なんです。私は高級公務員地位利用というのは、たとえば地方へ行きまして、私どももう地方でぶつかることがある。どっかで宴会をやっている。あの宴会何だと言ったら、どこどこの次官がやめて退職のあいさつに来たのだ。それには関係団体が全部呼び集められている。一体これは何なんだという場合にぶつかるわけです。そういうような時点地位利用なのか。地位利用というのは重要な取り締まり項目なんですけれども取り締まりのいわゆる一貫した指導としてはどういうお考えでしょうか。
  22. 小林朴

    説明員小林朴君) 地位利用の犯罪というのは、公務員の場合ももちろんその中にも含まれると思うのですけれども、教職員の場合も地位利用ということばが使われておるので、そういう面から禁止をされておるわけでございますけれども、ともに常識的な考え方で申すならば、それはその地位にあればその影響力というものがいろいろな形で出てまいりますから、すべてその地位利用ではないかという、こういう話もあろうかと思いますが、私ども法律的に解釈をいたしておりますのでは、その地位の影響力というものを利用するという場合に地位利用による犯罪が成立するというふうに解しております。したがいまして、公務員の場合におきましても、その公務員がその時点におきまして身分を持っておる、退職すればこれは一応その地位というものがなくなるということになるわけでございます。退職前におきまして、自分の直接監督下にある部下あるいは自分のところと取引その他におきまして非常に影響のある一般の業者等に対しまして、自分が今度やめて立候補する暁にはひとつよろしくというようなことで運動するというような、地位の影響力というものを直接に利用するというような場合に地位利用の問題が出てくるというふうに考えております。したがいまして、その退職のあいさつだけであるという場合に、一体それが地位利用になるのかどうかということにつきましては、具体的な言動によってやはり、選挙にひとつよろしくという形の動きが何かの形でない限りは、にわかにはそれが犯罪になるというふうにはちょっと認定できないのではなかろうかと、かように考えます。
  23. 横川正市

    横川正市君 これはまあここで論争してみても、いままでの事例からいってみて、あなたがいま言ったようなそのものに該当しない選挙というのはただの一件もないと私は思っているわけなんです。ですから必ず地位利用、しかも悪質な内容を伴わなければ、争ってそういう人たちが多数選挙に立候補するというようなことはまずないと考えていいと思うんですね。だからこの点は重要な一つ取り締まり項目ですから、これもひとつぜひあなたのほうの選挙の推進についての指導をよろしくやっていただきたいと思っております。ちょっと時間がありませんからこれで終わりますが、ぜひ前段での指導を適切にやっていただいて、いささかでも選挙の明朗な推進に障害にならないという点だけはひとつはっきり確認しておいていただきたい。  それでもう一点最後にお聞きをいたしたいんですが、これは非常にとっぴな話ですが、東京都知事選挙の警告が三百五十九件か出ているわけですが、これは知事選挙ということになれば両派あるわけです。たくさんいるわけじゃない。その場合私が非常に残念に思うのは、元検事次長だったですか岸本さんは。いわゆる法務省の取り締まりの総本山にいた人が大阪から立候補して、全国最大の違反事件を起こした。これは取り締まり当局に対する一般国民の受け取り方から言ってみて、現役の皆さんにどうだろうかという意見を私たち持ったことがあるわけです。今度の場合もこの間までは取り締まり当局にいた人が出るわけです。そして警告を受けているわけです。非常に私どもとすれば遺憾なことなんだが、あなたたち自身も判断すればたいへんこれはよしあしの問題じゃないと思うんです。そんな点が私は現職の皆さんに意気阻喪させたりなんかさせないというような配慮、これはどう考えますかとお聞きしたいところですが、それはやめます。配慮は十分やっていただくように、これはお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、次に郵政省から来ている高仲さんですね。この三種の認可というときに、三種の認可の条件には発行部数とか、それから発行目的とか、そういうようなものが当然伴って三種認可をされるんだろうと思うんですけれども、あるいは持続性とか、その点はどういうあれになっておりますか。事前審査、それから認可事後、これについてどうするのか。私は郵政省はたいへん貧乏なお役所だと思うんです。あまり三種を乱用されて郵便料金を出されることは好ましくないと思っているわけですが、そういう点から見て、一体三種認可というのはどういうたてまえからやられておるのか、まずそれをお聞きしたい。
  24. 高仲優

    説明員(高仲優君) 第三種郵便物の条件につきましては郵便法に規定がございまして、第三種郵便物につきましては、「毎月一回以上号を逐って定期に発行するものであること。」、「掲載事項の性質上発行の終期を予定し得ないものであること。」、「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」、これが郵便法に規定しております三種郵便物の条件でございます。この趣旨に従いまして認可事務を取り運んでおる次第でございます。
  25. 横川正市

    横川正市君 そうすると、この三種の認可を与えられる場合には、この条件に伴っていればいつでも認可をする、こういうことになるわけですか。
  26. 高仲優

    説明員(高仲優君) この条件にかなっておりまして、所定の申し出をしたものにつきましては認可いたすことと相なっております。
  27. 横川正市

    横川正市君 そうすると、その後定期に発行されるであろうということの確認は、事前にどういうふうに確認をされるわけですか。
  28. 高仲優

    説明員(高仲優君) 発行のとき、申請のときにおきましては将来のことは話だけでございます。したがいまして、実際そのとおり行なっているかいないかという点につきましては、発行のつどそのもの自体を提出してもらいまして、それによりまして監査いたすことと相なっております。
  29. 横川正市

    横川正市君 それじゃ郵政省はいいです。  それであとは自治省に、選挙部長大臣にお聞きをいたしたいわけなんですが、「読者と新聞」というのがあります。これは大体どういう傾向のものなのかということをちょっと見ますと、東京都連合朝日会、東京都毎日会、東京読売会、東京サンケイ会連合会、東京新聞東京会、東京都日経会、順序不同で書かれておるそれぞれのいわゆる日刊新聞新聞社の中にある何らかの団体だと思うのですがね。私は、これは一面で見る限りにおいては、それが何を目的として出されたものなのか、あまりはっきりしないのですね。「読者と新聞」という、いわゆる新聞のPR版だ、新聞とはこういうものなのだということをやろうと、こういうことだろうと思うのです。ところが裏を見ますと、これは全部一面広告になっております。四兆円ビジョンがどうだこうだということを書かれることは別に問題はないと思うのですけれども、一体この集会の広告がこういうふうに出されて、秦野何がしという人の、これは言ってみれば宣伝なんですね。これが東京全部に、全戸に新聞に折り込まれているわけなんです。これは何に該当いたしますか。ただこれはチラシでしょうか、それとも新聞でしょうか、何でしょうか、これ。新聞とは書いてあるのですが、三種の認可も何もとっておらない。そのつど刊行される不定期刊行物ということになるのじゃないかと思いますがね。これはどういうことになりますか。
  30. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 日本の現行法制におきましては、放送につきましては放送法という非常に厳格な法制がございますが、新聞につきましては新聞法というものがございません。したがって、法律上これが新聞であるということを明確に定義づけたものは実はございません。したがって、新聞という場合に、これが新聞といえるかどうかということを役所として定義づけると申しますか、認定をするということは、どこにスタンダードを置いていいのか、たいへん困惑をするところでございます。しかし結局、あるものが新聞であるかどうかということは、したがって単なるビラあるいは単なるパンフレットでないということが言えるかどうかということは、やはりこれを出していらっしゃる方の考え方一つは問題であろうかと思います。要するに、この社会のいろいろな事柄を報道をし評論をしょう、いわゆる報道評論というお立場に立ってお考えになっておるかどうか、またそういう考え方が第二には実体としてあらわれ、あるいは継続をしておるかどうかというような点で判断せざるを得ないかと思います。  そこで、お示しのこの「読者と新聞」というのは、そういう意味で、なかなかきちっとしたスタンダードに基づいて申し上げるということは困難なことではございますけれども、私どもの見たところ、これは一応お考え方は、さらによく関係者との間で詰めなきゃいけないと思いますけれども、見たところ、新聞という形を一応とっておると見ざるを得ないのではないかというふうに存ずる次第でございます。
  31. 横川正市

    横川正市君 ちょっと時間がないから次回にまた譲りたいと思いますが、自治大臣一つお聞きしたいのは、最近、東京が震災にあったらという見出しの記事が非常に多くなってまいりました。まあロスの関係もあって出てくるんだろうと思うんですが、自治省とこれは建設省も関係あるんですが、そういうようなことは個人のアイデアで片づくものとお考えになっていますか、それとも、政府があらかじめ予想されることに対してどう施策をするかという責任の問題ですか、この点自治大臣考え方をひとつお聞かせいただきたいと思うんですが。
  32. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 御質問の趣旨が那辺にあるか捕捉に苦しむわけでございますが、いろいろ個人が自分の考えについて自由に発表することは、それは表現の自由というものが確保されている以上、これが公共の秩序等を害さない限りにおいては許されると思います。しかし、全体的に震災、大災害に対処する方法としては、常識上政府なりあるいはその関係しておる消防庁なり、あるいは防災会議なりというものが統一的にある程度見解を示し、社会に不安、動揺を起こさないよう措置をしながら、大体の方向につき住民意識の統一をはかるということはしかるべきことであろうと存じておるわけであります。
  33. 横川正市

    横川正市君 この件は、ひとつまた後日のこの委員会でいろいろ御意見をお伺いしたいと思います。  で、あと国税庁の江口さんにお伺いいたしますが、政治団体の届け出したものが、政治団体へ金を授受する場合ですね、これはいわゆる課税対象ではない、それからその政治団体が政治目的をもって使われる分についても、これは課税対象ではない。そういたしますと、これがかりに個人に渡された場合には、これは個人の所得というふうになるんではないか、こう私は思うんであります。ある人が、たとえばロサンゼルスの災害の視察にすぐ行きました。旅費をいただきました。これは政治団体の政治行動なのか、それともこれは個人の知識、経綸を高めるためのものであって、第三者からそれが贈与、それを受けた場合は個人の所得になる、こういうふうに思いますが、その見解一つだけただしておきたいと思います。
  34. 江口健司

    説明員(江口健司君) 政治的な行為に対する収支の問題は、実は正直に申しますと、税法でしかく明確には予想していなかった事態でございますが、先生御案内かと思いますが、四十一年以来この問題が特に検討を要するということで今日まで来ておりますが、先生の御質問の中で、若干不正確と言うと失礼でございますが、若干補足させていただいたほうがよろしいかと思いますが、政治団体、これにもいろんな形態のものがございます。いわゆる人格なき社団というようなものもございましょうし、あるいは財団、あるいは社団というようなかっこうをとっておるものもございますし、それから正式の法人の形態をとっておるものもいろいろあるわけでございますが、これらに対する支出、これは法人あるいは個人がそこに寄付金あるいは交際費、その他役務に対する対価、あるいは資産の譲渡といったような形でいろいろの形の金品が贈られるわけでございますが、この場合には、贈ったほうについてどういう問題が起きるかという一般的な税法の問題がございます。受けたほうの政治的団体、これにつきましては、現在の所得税法では、収益事業を行なわない限りは課税の問題は生じないということにはっきりなっておるわけでございます。そこで、収益事業を行なわない限りは課税の問題は起きない、しかし、部分的には料金その他を取ってある種の経済活動を行なうとあるいは刊行物を有料で発行するといったような事例が間間見受けられますので、その刊行物等の場合には特にまた問題が分かれまして、純粋に一般の刊行物であるかどうか、あるいはそのほかに政治的な活動あるいは特定の人の政治活動を応援するための刊行物であるかどうかというようなことによってもまた判定をしなくちゃいかぬと思いますが、とにかく有料の場合にはそれが純粋の一般の経済取引のような収益性があるかないかということによって判定しなくちゃいかぬと思います。それから特定の団体、政治的な活動を支援する団体、あるいはみずから政治的な活動をする団体、これが特定の個人に対して金品を支給すると申しますか、贈与すると申しますか、そうした場合には一応現在の税法上は四十一年度以来の経緯によりまして雑所得になるべき収入というふうにみなす、したがって、それに伴う経費がございますればその経費を差し引いて、なお残りがあればこれは雑所得として課税の対象になる、こういうたてまえで現在まできておるわけでございます。ただそうした場合に、雑収入とはなぜ雑収入という観念をとるかという理論構成につきましては、衆参両院の大蔵委員会の理事等の皆さんとしばしば議論が当時行なわれまして、現在一応統一解釈と申しましょうか意思統一と申しましょうか、税法上の解釈を統一したわけでございますが、ある特定の個人に対して政治的な活動を負託する、その負託するものに対応するものとして金品を、一応贈与ということばを使いますが、贈与をする、そうした場合には雑所得を生ずべき一応収入とみなそう、そこから引きますところの必要経費、雑所得というのは必要経費を引くことに法律が、明文がございますので、なおそれで余りがあれば、雑所得の残に対して十二月三十一日現在の状況でもって課税をする、こういうことになるわけでございます。ところが、その雑所得の必要経費とは一体何かということになりますと、実は冒頭に申し上げましたように、税法では必ずしも政治活動というものを一般の経済活動と違った形でとらえていないというところに実は問題があるわけでございます。政治活動とは何か、あるいはそれよりも前に政治家とは何かという点につきましても他法令等には明確な定義がないわけでございます。したがって、一応われわれの段階といたしましては、選挙等の時期が近づきました場合には、そうした政治団体が一応政治資金規正法に基づいて届け出が出されておるかどうかということを確認することを励行いたしてございます。政治資金規正法によって届け出を出しておられれば、その収支につきましては必ず選挙管理委員会等に届け出を出すことになっております。現在、御承知のとおり、上半期と下半期の分を年二回に分けて届け出を出すということになっておりますので、私どもは自治省その他でそれらの資料を全部写し取りまして一応資料を管理する、その中で政治活動に使われたかどうか、あるいは個人に渡されたものかどうか、あるいはその団体みずからがそれを使ったかどうかということを判定するわけでございます。そこで特定の個人にそうした団体から金品が一応贈与された場合にどういう場合に原則として課税になるかと申しますと、いま言ったような雑収入でありますれば、必要経費を引きまして残があれば一応課税の対象になる——これは十二月三十一日現在で残があればということになります、個人所得でございますから。そのほかに残がなくても個人の資産にかわっておる、たとえば、うちを建てるとか、あるいは株式を取得したとかいったような事実があった場合、あるいは個人の消費生活にそれが使用されたという事実が明らかな場合、これは、明らかに政治活動とはもちろん申せないわけでありますから、そういう資料がキャッチされた場合には、従来も必ずしも数は多くないかもしれませんが、課税処理をした例がかなりございます。そんな観点で処理をしておるわけでございます。  それからもう一点、まあ特定の人がそうした団体等から旅費等をもらいまして、外国あるいは国内の場合でも、まあ程度の差で同じような問題があろうかと思いますが、旅費は一体どうなるかという問題でございますが、一般的には雇用関係にある場合には、所得税法の九条に、いわゆる相応の旅費であれば非課税という規定がございます。しかし、雇用関係がない場合にはどうなるかということになりますと、一応贈与という形になる可能性がございます。それから、まあ政治家の定義が、先ほど申しましたように、必ずしも明確な法的な措置がないわけでございますが、まあ、かりに政治活動をしておられる方ということになりますと、先ほどの問題に返りまして、一応雑所得を生ずべき収入というふうに考えてはどうかと、かように考えております。したがって、それがまさしく政治的活動にその旅費等が使われた場合、旅費日当等が使われた場合に、それが社会常識から考えて適当なものであるとすればプラスマイナスゼロという形で、事実上課税の問題は起きてこないというふうに考えられます。  それからもう一つ、特殊な場合として、選挙の時期が近づきますと、公職選挙法によりまして、いわゆる公職の候補者の届け出が、公示または告示の日から四日以内に行なわれるわけでございますが、そういたしますと、公職選挙法によって金品の授受があったということになりますと、当該公職の候補者が、これも選挙管理委員会等に収支の内容を明らかにいたしまして届け出を出すことになっております。そういたしますと、所得税法の九条一項二十二号に、公職選挙法によって届け出を出しました法人からの金品の贈与については非課税とすると、こういう規定がございます。なお、個人からの贈与につきましては、これは相続税法のほうに規定がございまして、全く同文でございますが、やはり非課税にするという明文規定がございます。したがって、公職選挙法に基づくところの公職の候補者ということになりますと、明らかにその部分につきましては非課税の取り扱いになるということになります。ただ、この場合でも若干私ども、まあ少しくどくなって恐縮なんでございますが、公職選挙法のたてまえからいきますと、公示または告示の日から四日以内に届け出ますと、これは一応公職の候補者という法律の定義に全く合致するわけでございますが、いまの公職の候補者が受けますところの金品あるいは出資するところの金品等につきましては、その期間の前後につきましても報告をすることが可能になっております。そういたしますと、いつの時期まで、公示または告示の前あるいは選挙のあといつまでの時点までを公職の候補者として判定すべきかどうかということについて、かなり問題があるのではなかろうか、まああまり何年も前の話では、これはおかしいと思いますけれども、一応公職の候補者という認識が、本人もそれを意識され、多数の方がそれを認識されるという事態が起きた範囲内で、しかも届け出をされて公職の候補者になった場合、その場合の金品の出入りにつきましては非課税の対象として考えざるを得ない、まあかように解釈をしておるわけでございます。
  35. 横川正市

    横川正市君 いまの国税庁の江口さんのやつは、さらに速記録をよく読ませてもらって、ちょっと私理解できないので、後日また質問いたします。  最後に、自治大臣にお聞かせいただきたいのは、私は本来ならば、選挙法というものは一つの政党間とかあるいは個人間の良識で、お互いが公平に行なえるというようなそういうたてまえで行なえれば最善だと思うわけですね。何回も言いますが、私、選挙法というものがひとつ基準になっている、その選挙法の中に一人の人間は金があるから幾ら使ってもそれはいいんだ。一人のほうのは金がないから使わないのがあたりまえじゃないかというような不公平が今度の場合も非常に明確に出てきているというふうに私ども思うわけです。そういう点からいって、これは必ずしも当面それをどうすることもできないわけなんだが、一体自治大臣としては、政治資金規正法を三党が出して、そういうような不公平を幾らかでも公平にしようとする努力をしていることに対してどうお受けとめになるか。それから政府自体としては政治資金規正法の問題についてどう考えるか、これをひとつお答えいただいて、次回にひとついたします。
  36. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 政治資金規正法につきまして三党が御提案をなさるというこのことにつきましては非常に敬意を表し、その御努力、その御尽力に対しましてはこれを高く評価するものでございまして、いろいろ拝見さしていただきたい  と思っております。
  37. 横川正市

    横川正市君 ちょっと聞こえない……。
  38. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) もう一ぺん申し上げます。  この三党御提案の政治資金規正法改正原案に対しましてその御努力を多とし、ひとつ拝見さしていただきたいと考えております。まあ金がある者がたくさん使っていい、金がない者は指をくわえて見ていなければいけないというような点につきましては、そのこと自体につきましてまことに不公平な、そういうことがあってはならないと思いますが、何が選挙運動であるかどうかという点にいろいろ問題もあろうかと存じております。以上でございます。
  39. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、最初に、沖繩国政参加の問題特に来たるべき参議院の通常選挙に際しまして、この全国区、地方区はこれは日本国内のことでございますが、沖繩住民の国政参加特別措置法というようなものがございまして、その関連から大体どのような姿になっておるのか、簡明に最初にお答えいただきたいと思います。
  40. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 沖繩におきましては昨年国会議員選挙を実施をいたしまして、今年の六月に予定されております日本政府の通常選挙に合わせまして、参議院の改選を予定をいたしております。それにつきましての沖繩の関係法令をさきの臨時国会で本土政府が改正をいたしました面がありますので、その面に合わせて琉球政府として手直しをするかどうかは、現在琉球政府の関係当局において検討中と聞いておりますが、いずれにしても、内地と歩調を合わせて沖繩政府において、参議院議員選挙をいたすべく準備を進めておるところと承知をしております。
  41. 多田省吾

    ○多田省吾君 その場合、沖繩から定数一名の参議院議員を選ばれること、これは当然でございますけれども、問題は全国区でございますが、この前の衆議院特別委員会におきましても、選挙部長から、沖繩の方々につきましては被選挙権はあるけれども選挙権はないのだ、そういう答弁がございました。これは非常に大ざっぱな御答弁でございますので、この日本のいわゆる公職選挙法並びに沖繩における琉球政府立法院が制定した選挙法、あるいは沖繩住民の国政参加特別措置法、こういった関連から簡単にいままでどおり被選挙権があると言えるのかどうか、その辺をもう一回お尋ねしたいわけです。というのは、もし選挙のまぎわになって法律上はちょっと被選挙権があやしいというようなことになれば非常に御迷惑をかけることになるわけでございますので、もしそういうことであれば、こういう沖繩住民の国政参加特別措置法なんかももう少し改正して、被選挙権が従前どおりあるようにしなければならないじゃないかと、このように考えるわけです。選挙権につきましては、いろいろむずかしいことがありそうでございますから、まあこれはやむを得ぬじゃないかと思いますけれども、この被選挙権があるかないかということで、特に沖繩住民の国政参加特別措置法の第二条にございますように、この法律に少しも違反しないものかどうか、この辺をひとつお答えいただきたいと思います。
  42. 荒井勇

    政府委員(荒井勇君) この沖繩住民の国政参加特別措置法が制定されまして、このもとにおいて参議院全国議員選挙ができるか、沖繩住民はそれにその選挙権を持つものとして参加することができるかということでございますが、この沖繩住民の国政参加特別措置法は、その第一条にも書いておりますように、「沖繩住民の選挙した」ということで、沖繩住民及びその本土の住民が選挙したというものは想定しておらない。その第二条で見ますと、「沖繩を選挙区として、」「琉球政府立法院が制定する選挙法の定めるところにより、衆議院及び参議院における国政の審議に参加すべき者を選挙する。」のでありまして、沖繩が選挙区である、沖繩及びその本土を一体としたいわば選挙区というものは考えておらないということでございますので、この沖繩住民の国政参加特別措置法が制定されたことによりまして、その参議院全国区選出議員選挙を行なう立場というものは何らの変更を受けておらないということでございます。したがいまして、公職選挙法第十条の規定によりまして、日本国民である限りにおきまして、その十条各号に掲げる年齢要件というようなものを備えるものはそれぞれ当該の議員の被選挙権は有するということで、その状態も変わっておりませんが、まあそれ以上の変化を来たしたものではないということでございます。
  43. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあそのようにはっきりしていれば問題ないわけです。  で、次に私は、今度選挙制度審議会の一年任期を二年任期に改める改正案が四党の議員立法として出たわけでございますが、前回も私は、自治大臣に、一つは第五次選挙制度審議会における衆議院選挙法につきましては、これはまだはっきりした答申がありませんので、それをもとにして法案を提出するというようなことはないという、そういう御答弁をいただいたわけです。そうしますと、まあ二年延びた結果、来年の十二月二十一日までに第七次選挙制度審議会委員任期が延びると、こういうことにこの法案が通ればなりますけれども、その時点までこの答申は出ると仮定しますと、私は、いままでの自治大臣の御答弁から考えて、当然ことしあるいは来年の春とか、この答申が第七次選挙制度審議会衆議院区制に関する答申が出る前に、自治省がこの法案を出すというようなことは、私は、絶対これはないと思うんです。これは、第七次選挙制度審議会に総理あるいは自治大臣からのあいさつもあったわけでありますから、私たちはそう心得ております。そういうことに間違いありませんか。
  44. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 大体間違いない。そういう方針でございます。第七次審議会の答申を待って処置をいたしたい。第五次等のものを基礎にしてやるというような考えを持っておりません。
  45. 多田省吾

    ○多田省吾君 しかし、巷間伝えられるところによりますと、自民党の内部におきまして、ある自民党の有力者が、相当佐藤内閣時代に小選挙区制を実施するというような啓蒙を強くやっておられるやに聞いておるわけであります。そうしますと、私たちは常識から考えまして、どうも自民党の内部に、第七次選挙制度審議会の答申が得られる前にこの改正案を出すべきだというような意見が強まっているように考えられるわけですね。それはいまの自治大臣お話で、そういうことは絶対にないと、大体ないという御答弁ですけれども、それもあわせて、そういうことはないと考えてよろしいわけですね。
  46. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 個々にはいろいろ御意見もあろうと思います。しかしながら、ただいまのところ、私に関する限りさような処置をとるというようなことは考えておりません。
  47. 多田省吾

    ○多田省吾君 それからもう一点は、この前もお伺いしたのですけれども任期が二年になったからといって、緊急措置すべき事項まで全部任期ぎりぎりまで答申を待つ必要はないのであって、たとえば第五次選挙制度審議会においては、緊急措置すべき事項として早急に政治資金規正法改正のための答申が出されたわけでございますけれども、それと同じように、前回もお伺いしましたように、たとえば衆議院選挙はいつあるかわかりません。総理大臣も一月の末の閣議におきまして、次の総選挙に間に合うように衆議院の定数是正を現行区制のままで考えていくのも必要じゃないか、こういうような発言をなさったやに聞いておりますし、また、前回は自治大臣からもそういう必要もあろうかというような答弁もいただいたわけですけれども、それに間違いはございませんか。
  48. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 政治資金規正法の改正案提案につきましては、これは前に大体あるからすぐ出せるということでございますが、これにつきましてはいきさつがあるわけでありまして、これについては過去何べんも申し上げておりますのでここにはこれを省略さしていただきますが、いろいろ、二年あるからといって何もかも二年後を待つのだというものでもなかろうと思います。そのものの性格、本質によりまして処置すべきものは処置すべきものと心得ておりまして、また、選挙希度審議会ももちろん審議委員の皆さまの自由なる意思に待つものでありますが、皆さま練達の方々でありますからそこいら十分お考えを願いまして慎重審議、時宜に即しまして御答申をいただけることと期待いたしておる次第でございます。
  49. 多田省吾

    ○多田省吾君 この政治資金規正法でございますけれども、総理大臣も自治大臣も、何回となく、今度は第四回目の提出をした以上は通るものにしたいということで、提出をいままだ見送られているわけでございます。その間に、いま横川委員からお話がございましたように、第五次選挙制度審議会の答申にのっとった野党三党の改正案というものもすでに衆議院に提出をされているわけであります。このことに関連をしまして、政府が改正案をなかなか提出しないため、政治資金規正法改正はできない状態でございます。ですから、ただ一つの存在価値であるところの公開の原則すら現在は政治資金規正法は失われている実情でございます。で、私は、現在の政治資金規正法でも、たとえば支出の項目統一するとかあるいは最終支出先の明確化をはかるとか、こういった問題につきましては、現在の政治資金規正法でも実施できるものでありますから、これは強く行政指導をして励行し、法の趣旨を尊重すると、こういう立場をとったほうがいいのじゃないかと、こう思います。前にもたとえば国会対策委員長に七千万円を渡した、それだけの届け出であり、全然その先の領収書もなければ、最終支出先の明確化も行なわれてない。こういう現状では非常に政治不信を招くわけでございますし、また黒い霧も絶えない、こういう姿もありますし、これはいつも言われていることなんです。ですから、そのくらいは現状の政治資金規正法であってもできるのじゃないか、これをおやりになるお気持ちはおありになりませんか。
  50. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) いま実例をお示しになりました例につきましては、私まことに浅学にしてその内容を存じませんが、一般的に申しまして、現行法の規定の励行は、行政上の措置をもってその趣旨に合うよう実行願えるよう措置をいたすべきものと心得ております。
  51. 多田省吾

    ○多田省吾君 しかし、そういう観念的な御答弁じゃなくて、いまあげました支出項目統一するとか、最終支出先を明確にせよとか、こういう通達を出すなり、行政指導をするなり、そういう強い姿勢を打ち出されないかどうか、それを具体的にお尋ねしておきます。
  52. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) ただいま大臣からお答えのありましたように、何とかして現行法が励行されるというふうに私どもとしてはぜひやりたいということで、昨年来いろいろとおもんぱかっておるところでございます。多田先生の仰せのように、支出の報告につきましても、さらに支出の最終の先が明確になるような報告のしかたを行政指導すべきではないかという御趣旨につきましては、私どもとしても同様に感ずる面が多うございます。よく研究をいたしまして、関係団体の御理解を経て、そういう方向にもっていくようにつとめたいと思っております。
  53. 多田省吾

    ○多田省吾君 それからもう一つは、現行法のままで、結局政治団体報告書の提出を怠っている。あるいは政治目的を有しなくなったときの届け出もしてない。あるいは虚偽の記入もしている、こういうことは当然罰則の対象になっているわけですね。ところが実情は、今度も、この前も資料をいただきましたけれども、千四百九十五団体ですか、二県以上にまたがる政治団体。この中で、あとでその数は言っていただきたいのですが、約五割が報告書の提出を怠ったりしておりますし、また、寄付を会費というような名目で届け出ているような姿もありますし、そのほか幽霊団体が多くて、アンケートを出しても行き先につかないで郵便物が戻ってくる。こういう例すらあるわけでありますが、そういったアンケート調査をした結果、具体的にこれをどのように対処していこうとなさっておりますか。
  54. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 多田先生のただいま御指摘いただきましたことは、私どもとして差しあたって政治資金規正法の問題の上では事務的に番対応しなければいけない点だというふうに存じておるところでございます。届け出が励行されるように、またしたがって、すでに活動をやめたような団体については、やめたものとしてはっきりさせるということをぜひやりたいと思っております。数字で申し上げますと、四十五年の上期で届け出のあります団体総数は千四百九十五団体でございます。そして報告のありました団体数は七百四十五団体でございます。多田先生の仰せのように、四九・八%という届け出励行率でございます。そこで私どもとしては、昨年来三次にわたりまして関係団体のそれぞれに直接御連絡を申しました。権限の上ではあるいは疑問がありますけれども、権限上の問題というよりは、私どもの行政的な立場関係団体の御協力をいただくという姿勢で御連絡をしておるところでありますが、そういう形で関係団体に御照会を申し上げまして、私どもの現時点で把握しておりますところでは、千四百九十五団体とはいいながら、現実に活動をしておる団体は八百八十団体程度ではないかというふうに把握をしております。したがって、届け出の励行率は八割五分程度なんだというのが実情ではないだろうかと思っております。そこで、そういうふうに事実上解散をしたり消滅をしたような団体につきましては、関係者を追跡して解散の届け出をやっていただくように指導をいたしております。現在各都道府県の選管を通じまして関係団体とその面の折衝をやってもらっております。いずれ近く、そういう意味で、ほんとうに活動をしておる団体は活動をしておる団体として、そうでないものはそうでないという仕切りをはっきりさせるようにいたしたいというふうに存じておるところでございます。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 その仕切りをはっきりさせた場合に、この未報告団体というのは、この前も自治大臣から話がありましたけれども、非課税の対象から除外する、こういうような実行はできると思うのです。もうすでに三回のアンケート調査を行なって、しかも何の処置もきめないというのでは、これは自治省のアンケート調査が、ただ、これはきつ過ぎるようでありますけれども、気休めに行なった遊びにすぎなかったということになりますから、三回もアンケート調査を責任を持ってやった以上は、それにすら答えないような未報告団体に対しましては、やはりある程度の処置をとるとか、あるいはその処置の一つとして非課税の対象から除外する、このように宣告する、そういうことが絶対必要だと思う。これはどうですか。
  56. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 多田先生の仰せのように、税法との関連が政治資金規正法励行の一つのポイントであるとは存じております。そこで大蔵省、国税庁当局と何回もその点についての打ち合わせはやっておるところでございますが、現時点で大蔵省との間でその取り扱いについての最終結論にはまだ至っておりません。その点はたいへん恐縮に存じますが、なお大蔵省とよく相談をいたしまして、この面について一歩進められればよろしいとは存じておりますが、税法上の考え方と必ずしも届け出の励行というものがうまく結びつかないというのが大蔵省、国税庁当局のお考え方でもありまして、必ずしもいま非常にいい方向に話が進んでおるというわけではございませんが、一つの問題点と存じておりますので、引き続き協議をしたいと思っております。
  57. 多田省吾

    ○多田省吾君 去年から一年間近くにわたって協議をしたい、協議をしたいということで勇断が下されないということは非常に残念でありますが、これはすぐやっていただきたいと思う。  それから透明度ということがこの前からずいぶん問題がありまして、寄付を会費として届ければ、もう寄付をした団体名さえ届けなくても済むというような残念な姿になっておるわけですが、これは私たちは非常にこの現行法のたてまえからいっても法改正の原則を踏みにじっていることになりますから残念だと思います。そういう意味で、現行法でも寄付を会費として届けている団体につきましては、政治資金規正法第三十一条を活用いたしまして、規約の提出を求めて、どういう条件で会費としているかといったことは現行法の範囲内でも規制できると思うのですが、これができるかどうかですね、それをやられるおつもりはないかどうか。
  58. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 多田先生の仰せのように、会費あるいは党費というような形になりますと、いわゆる会員なり党員としての義務として納付されるものということで寄付ではないという扱いになっております。寄付ではないということでその氏名なり金額の公表もされない仕組みであります。そこで多田先生の御指摘のように、実体的には寄付なんだけれども、形の上で会費なり党費ということで隠れているものがあるのではないか、そういうものについては現行法の三十一条の調査権限に基づいて調査ができないのか、する気があるのかという御指摘でございます。実は私どもも昨年来、何とかしてその点についても一歩を進めたいと存じておりまして、現在、現にやっておりますことは、臨時会費とか臨時党費というふうに銘打ってお届けのありますものにつきましては、これは直接私どものほうからそれぞれの団体に御連絡をして、これは本質的には寄付なのではないでしょうか、そうでありましたら寄付としてお届けをいただきたいということを個別的に御連絡をし、そういう意味では行政指導をやってきておるところでございます。しかし、報告の中で、ただ完全に会費あるいは党費とだけなっておりますものを、これは実体が寄付であるのではないかということまで立ち入ることは現在のたてまえの中では無理ではないだろうかというふうに存じまして、そこまではやりかねておりますが、臨時会費とか、臨時党費というようなことで表示をされておりますような団体につきましては、三十一条を権限として発動するというよりは、事実上の行政指導のよりどころといたしまして関係団体連絡をしておるところでありまして、今後そういう姿勢はさらに強めていきたいというふうに存じておる次第であります。
  59. 多田省吾

    ○多田省吾君 たとえば、党員であるとか、個人である場合は、これは個人の意思で会費を出す場合もあるのですから、まあその辺は、これは寄付ではなくて会費であろうということは大体、およそ見当はつきますけれども、たとえばいままで会社や法人から寄付という名目で届けられていたものが、この政治献金問題が論ぜられた昭和四十二、三年ごろから急に会費になったと、しかも、どうもこれは会社や法人らしいという場合は、これはいままでの経過から見ても、これは旧来の寄付というものを会費という名前で出して、しかも自分の存在を明らかにしないようにしているのではないか、このように思われてもこれはしようがないのじゃないか、そういうものまで手をつけようとなされないのか、どうも立ち入ることが困難である、そういうことで逃げられようとしているのか、これはいかがですか。
  60. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) お話の点につきましては、お届けの書類を見て、これは問題ではないかと思われる点については積極的にそれぞれの団体に御連絡をし、御注意をして、今後対処していきたいと思っております。
  61. 多田省吾

    ○多田省吾君 これはこの次、どういう実効があがったのか、お尋ねしたいと思います。  ここで私は、現行法でもやれるものは、この政治資金規正法が改正されるまでは当然現行法できびしくやっていくべき義務があると思うのです。それははっきりやってもらいたい。  それから私は、この政治資金規正法の問題に関しまして、最後に大臣に、本国会中に政府として、第五次選挙制度審議会の答申にのっとった改正案を出されるおつもりはないのかどうか。それからもう一つは、その答申にうたわれているいろいろな内容があるのですね。そういったことに賛成なされないのかどうかですね。これはいかがですか。
  62. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 政治資金規正法の改正につきましては、しばしば申し上げておりますが、やはり第五次の答申等、やはり政治資金という面からこれを縮小せしめようという、大体こういう発想に基づいておると思います。で、それに基づいて過去三回、いろいろ御提案を申し上げ、廃案になり、通過しないわけであります。そこでやはり金のかからない選挙、金のかからない日常の政治活動のでき得るような体制をつくり上げて、それには政党本位の選挙運動なり政治活動というものが同時に考えられるわけでございますが、そういう点はある程度整備した上で、この問題を取り扱ったらどうだろう。そのとき初めて実現可能な案ができるのではなかろうか、こういうような観点に立って、この問題の処理を検討しておるわけでございます。したがって、いま直ちにこの国会で成案を得て御提案を申し上げるということにつきましては確信はございません。しかしながら、その点決してほうっておるのでなくて、真剣に考慮しておるということはひとつ御了承願いたいと思うのでございます。
  63. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま大臣のおっしゃったような問題は、もうすでに数年前から総理大臣も、車の両輪説はとらないとはっきり明言されて、この政治資金規正法は単独でも必ず改正案を出して成立せしめるのだと、こういうことを公約しておりながら、いまになってそういう車の両輪を言い出されるということは非常によくないと、こう思うのです。  次に私は、選挙の管理執行に対する基本方針について若干お尋ねをしたいと思います。  まず、第六次選挙制度審議会の答申の中にもありましたが、選挙の管理機構組織の強化という面はなかなか実現しないのですね。予算面でも充実しておりません。議会主義の根幹である選挙、しかもその選挙の管理機構について前進をしないということは非常に残念なことです。この問題はどうなっているか、ひとつ簡明にお答え願いたい。
  64. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 選挙の管理機構といたしましては、中央におきまする問題、それから市町村等第一線におきまする問題があるわけでございます。中央におきまする機構につきましては、選挙制度審議会の御意見もございまして、その機構を拡充したいということで、今回の予算の編成にあたって関係方面といろいろお話をいたしましたが、全体のつり合いの上で特に今回それが実現をするという運びには至りませんでした。たいへん恐縮に存じております。まあさしあたって私どもは、地方の、特に市町村の選挙管理能力を強化したいというふうに存じております。そこで四十六年度の地方交付税の配分にあたりましても、第一線の選挙管理委員会の所要経費がいままでよりも一歩を進めて確保できるように、そしてそれに基づいて人員なり機構なりがさらに整備されるように進めてまいりたいというふうに存じておる次第であります。
  65. 多田省吾

    ○多田省吾君 参議院議員通常選挙費として昭和四十六年度の予算額でございますか、その中に臨時啓発費は四億八千万円でありますか、それから常時啓発費といたしましてこれは参議院議員通常選挙とかかわりなく別途計上として五億八千万ほど出ておるわけです。ところが、こういうお金が出ておりながら選管等におきましては啓発事業におきましても、棄権防止は選挙の前に少しやっているようですが、その他の啓蒙はほとんどやってないように見受けられます。これは前からお願いしておいたのですけれども、たとえばいろいろ公報を発行したりあるいは任意制の立ち会い演説会などもやったらどうかという提言もしたのですけれども、これなんかも東京の都選管内の反対のために任意制の立ち会い演説会ですか、これは都選管のほうで取りやめにしたというようなことを聞いておりますし、あるいは任意制の公報なんかもこれは福岡県の瀬高町で反対のためにしょうがなくて民営の公報を発行したと、こういう状態も出ておるわけです。こういった選挙の啓蒙に関しては、自治省としてどういう態度で臨んでおられるのか。
  66. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 多田先生からお話のありましたように、まず第一に、選挙管理機関といたしましても、常時選挙民に対しまして政治に目を向けていただくという意味合いの啓発活動は活発にしたいと思っております。四十六年度におきましては、そういう意味合いでの常時啓発費は五億八千万円という額、前年よりもある程度増額をして確保いたしました。これをぜひ活用をいたしまして、もとより非常に飛躍的とは申しかねますけれども、漸次強化をしてまいるようにいたしたいと思っております。  それから二番目にお話のありましたように、選挙管理機関としては、選挙民に対しまして特に選挙の際に適切な情報を提供するというような意味合いにおきまして、適切な選挙公営はぜひ拡充をしていくべきだと私ども存じております。今回の統一選挙を控えましても、そういう意味合いでそれぞれの選挙管理委員会に対しまして、できるものはぜひ踏み切ってやっていただきたいということで連携をとっておりまして、お話しのように、できないところも若干ございますが、全体としては、都道府県会議員選挙あるいは市町村段階の選挙につきましても任意制の選挙公営を実施をする団体が非常にふえてはきております。ただ多田先生からお話のありましたように、東京というようなたいへんマンモス都市になりますと、短い選挙運動期間中の中で処理し切れないいろいろな問題が出てまいっていることも事実でございます。そういう意味でマンモス都市等におきましては思ったように選挙公営が伸びておりません。たいへん恐縮に存じますが、この点はやはりいまの仕組みの選挙公営をそのままやってくれ、やってくれと言っておりましても、やはり消化し切れなくてやれないのだと反省をしております。したがって、今後選挙公営のやり方につきましてもマンモス都市なりあるいは選挙運動期間の短い選挙等につきましては、やり方自体の再検討ということもぜひさせていただきたいというふうに存じておるところであります。
  67. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度の参議院の通常選挙におきまして選挙公営費というものが大体算定されていると思うのです。そのことにつきまして今度全国地方区ともにいわゆるテレビの政見放送あるいは経歴放送に関してどの程度の予算をとり、大体どういう内容でやられることに予想しているか。これもひとつ簡明に。
  68. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 今度の参議院通常選挙につきましては、本日御審議をお願いしております基準法が御決定を賜わりますと、それによって額がきまってくるわけでございますが、予算といたしましては、今回の参議院通常選挙につきましての選挙公営費は、これを議員一人当たりに割って見ますと、前提は全国区が百十人の候補者、地方区が二百四十人の候補者という前提ではありますけれども、それで割って見ますと、選挙公営費は全国区は一人当たり四百八十九万八千円という額であります。前回三年前は三百八十七万五千円でありました。それから地方区につきましては六百八十八万三千円という額になりまして、それに相応する三年前の地方区の経費は五百五十万円ということであります。こういうふうにかなり前回と比較をして増額になりましたおもな点は、先ほど多田先生からお話のありましたような政見放送というような点にテレビが入ってくる、あるいは公営ポスター掲示場単価が上がってくるというような点がおもな理由でございます。
  69. 多田省吾

    ○多田省吾君 それじゃ、そういうお金をかける政見放送の全国区、地方区の場合、大体何分程度あるいは何回程度、そういったことは大体固まってきておりますか。
  70. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 参議院選挙につきましては、政見放送は今度初めて通常選挙としてはテレビを使うことになるわけでありますが、テレビにつきましては前回の衆議院の際と同様に現在の時点では一人の候補者が四分三十秒おしゃべりになって三十秒はその人のアナウンスに使う。一人当たり五分以内という考え方でおります。回数につきましては若干放送能力が地域によって異なりますので区々になりますけれども全国区につきましてはNHKによりましてテレビ二回、ラジオ一回で考えております。それから地方区につきましては原則としてテレビ、ラジオを通じまして六回、大体その程度考え方で準備をいたしておるところであります。
  71. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは今度の国会議員選挙等執行経費につきまして、どうも公務員の超過負担分が非常に多いのじゃないか、こういうことも言われております。いままで大体どの程度足りなかったのか、あるいは今度この改正案が出た場合に、はたして間に合うのかどうかですね。これをひとつお答え願いたい。
  72. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 多田先生のいままでの国の選挙に関しまして地方団体が持ち出しをしていたのかどうか、今回はこれで足りるかどうかという点につきましては、実は全国三千余の団体のそれぞれにわたるわけでありますので、たいへんむずかしいめんどうな問題も含んでおるところでありますが、私どもは、今回お願いをする改定によりましてほぼ必要経費は確保できるというふうに結論としては考えております。ただ選挙のしかたにつきまして、それぞれの団体にはいろんな従来のしきたりその他があってなかなか全国画一の基準ではまかない切れないやり方をとっておる向きもないとは言い切れません。しかし、全体をながめてみますれば、それぞれの団体に交付される総ワクの中でそれは一応処理をし切れるものというふうに存じておる次第でございます。
  73. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に私は、先ほどのテレビの政見放送なんかも全国区の有権者に対するPRが非常に足りなくて、いつ政見放送があるのか、それも有権者各位にはなかなか知ってもらえないと、こういう姿もあるわけです。ですから、政見放送をテレビで今度やるにしましても、やっぱり効果を上げるためにはそういった啓蒙もかなり必要ではないかと、こう思います。ですから私は、先ほど申し上げましたように、常時啓蒙費あるいは臨時の啓蒙費というものも出ているわけですから、そういったものを利用して常時選管の広報なんかもやっているところもありますけれども、やってないところもずいぶんたくさんあります。なるべくそういったものを発行すると、あるいは選挙時に、買収とか供応とか、こういった選挙違反はしてならないんだと、こういう啓蒙もするとかもっともっとやり方があるんじゃないかと、こう思うわけです。そこらはどうですか。
  74. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 現状が十分であるとは私どもも存じておりません。御趣旨の点に従いましてもっともっと進めてまいるようにつとめてまいりたいと存じます。
  75. 岩間正男

    ○岩間正男君 法案についてお聞きする前に、先にお聞きしたいのでありますが、それは、先ほど参議院会議の会場におきまして、社会党の和田議員の質問に対して佐藤総理が東京の秦野候補を支持するような演説をされているわけです。これは明らかに私は事前運動に対する禁止を明記した公職選挙法の違反だというふうに考えるわけですが、これは自治大臣どうお考えになりますか。ちょうど自治大臣もあの席においでになったわけですから、あの実態をごらんになったと思うんですが、いかがでしょう。
  76. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 私は選挙の応援的なものとは思いません。御質問に応じて総理は、地方自治の本旨に従いまして、四兆円のいろいろビジョンとこれに対する考え方を述べられたものであると、こう受け取っております。特別に選挙応援演説だとは私は考えておりません。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 これ私たち速記録を実は調べたんですね。和田議員の質問は、秦野氏が四兆円のビジョンということを盛んに宣伝している、しかし、その財源的にはこれはどう保証するんだと、ことにこれは与党である自民党ですね、それが財源的な担保を伴っているようなそういう形で宣伝されていると、そういう点について質問した。ところが、これに対しては何らの答弁がないわけです。質問に対する答弁ははずされている。そして全然これは秦野候補を支持するような、そしてこれのもう賛美をするようなそういう答弁をされているのです。そういうことになりますというと、これはどういうふうに自治大臣お聞きになったのか知りませんけれども、これは選挙の監督の立場としては非常に私はまずいんじゃないだろうかと思いますがね、これはいかがでしょうか。
  78. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 確かに四兆円ビジョンに対する予算措置等の質問があって、それに対するお答えが最初抜けておったという点は御指摘のとおりであって、いろいろ場内交渉の結果、さらに総理が語られたわけです。まあこれはもし当選されれば、政見に従っていろいろお話があろう、それに応じて考うべきことであるという補足のお答えがあったと思う。当然そうあるべきものでありまして、そのお答え等から察しまして、これは決して何も応援に出たものではない、こう私は考えておる次第でございます。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 あの総理の釈明的な答弁も非常に不十分です。これはもうお話にならない。この質問——これは念のために速記を私とってまいりましたから読んでみようと思います。まあ要点だけ読みますが、和田議員の質問はこういうことです。「中央直結のチャンピオン秦野都知事選予定候補は、いわゆる四兆円ビジョンを掲げて選挙戦に臨もうとしております。いまさら申すまでもなく、この四兆円ビジョンには、与党によるその財源的担保が伴っていたはずであります。総理は、国政の私物化を具現するように、ほんとうに秦野氏を特別扱いし、その四兆円ビジョンを財源的に保証するつもりなのか。とすれば、具体的にどういう方法でそれをなされるのか。それとも、あれは選挙対策用の単なるから約束だったのか、お聞かせをいただきたいと思います。」、これはまあ中央直結という名前で実は財政の私物化の問題が非常に問題になっている矢先でありますから、この質問は非常に時宜に適した、私は国会でしなければならない質問だというふうに考えます。佐藤総理は、これに対して一体どういう答弁をしておりますか。こう言っている。「秦野君は、東京の改造について、住みよい東京の建設についてすぐれたビジョンを持ち、かつ、強い熱意を持ってその実現に当たろうとしているのであります。私は、その熱意に対しては心から共感を覚えますので、これにはできるだけの協力もし、応援もしたい、かような気持ちでございます。東京都民も秦野君を信頼して、東京都をまかそうという気持ちになってくださることが、その前提であることは申すまでもありません。」、こういうふうに答弁しているんで、その中でどのようにしてこのビジョンを果たすのかということについては具体的にはない。ただそのビジョンを応援する、協力をするということを言っている。  さらに私は、この中で、東京都民も秦野君を信頼して、東京都をまかそうという気持ちになってください、——これはまさに私は選挙運動であるということを言わざるを得ない。秦野を支持してください。そうすれば国がこの四兆円ビジョンというものにも協力をします、こういうことを明らかに語っておりますね。これに対する釈明もほとんどこれは不十分でありまして、とてもこれはわれわれも納得するものではありません。こういうことは、明らかに私は先ほど申しました事前運動を禁止した公職選挙法に抵触する疑い十分だと思うのですが、もう一度念のためにお伺いします。
  80. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) ただいま岩間先生お触れになりました、東京都民の中にも支持する多数の人云々というくだりは、要するに、多数の人が支持する人もあって、そういう方の支持によって出た場合に初めてこの四兆円ビジョンというものの実現に対するいろいろの措置が出てくるのだがと、こういうことを述べたことであり、また、その点に対する二回目登壇された場合の総理の釈明もあったわけでありまして、全体を通じましてこれは事前運動であるということは、私感じないわけでございます。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう解釈は、あなたは閣僚の一人でありますから、総理のやったことを非常にけしからぬと言うわけにもいかない、そういう事情もあります。しかし、事はいやしくも一国の公職選挙をどうするかという課題であります。当委員会では何回もこれは論議してきた問題なんです。しかも、一週間後に告示が迫っておる。そのときに国会の壇場を通じてこのような一体演説を一国の総理がやっていいかどうかという問題です。これは政治姿勢の問題なんです、私が言っているのは。これは望ましいこととお考えになりましょうか。いかがでしょう。
  82. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) その点の批評はおのおの批評でございまして、この際私としては、いい悪いの問題は別としてこれを避けたい。閣僚の立場もございます。御了承を願いたいと思います。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことでは、選挙の公正な取り締まりはできないだろう。閣僚だろうがやはり公正な議会制民主主義の根幹を決定する重大な問題でございますから、こういう問題についてはき然たる態度を私は望むのでありますが、あなたはいまのような御答弁をなさっていらっしゃる。大体総理は常に何と言っている。えりを正すと言う。これはえりを正すことになりますか、どうですか。
  84. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 先ほどから申し上げておりますとおり、これは選挙事前運動の発言とは私は見ていないのでありまして、その意味におきまして、問題は別であると考えておるわけでございます。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 一国の総理の、しかも本会議場における発言としては適当だとお考えになりますか。
  86. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) この問題につきましての私のお答えも、また先ほどと同じでございまして、何もこれは選挙の応援演説をやられたものではなくて、秦野ビジョンに対する意見を述べられたものでございますから、総理としての意見を述べられることは当然のことだと、こう考えております。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの立場もわからないわけじゃないけれども、一国の政治を正す大もとでしょう。選挙の大もとです。あなたが、いわばそういう態度じゃだめだ。だから、たとえば小林法務大臣どうです。私の在任中は、私が法務大臣をやっているうちは選挙違反のことは心配がない。これは国会では追及されなかったけれども、これは週刊雑誌でもこの前の首になったときの放言以上のこれは重大な問題が起こっております。こういう法務大臣をかかえている。そうしてこういう総理大臣がこの放言をやるというようなことで、一体ほんとうに選挙の公正を期すことができますか。どうお考えです。基本的な問題です。
  88. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 先ほどから申し上げておりますとおり、先刻の参議院会議場における総理の答弁そのものは、御質問に対する総理の見解を述べられたことでありまして、私はそれが選挙運動ではないと考えておりますので、これが選挙取り締まりと云々という関係はないものと思っております。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう態度で、あなた、やはりプライベートみたいな取り扱いをされては心細いですわ。ほんとうにこれは選挙が取り締まれるとは思いませんわ、こういう立場に立っているんでは。あなたの立場というのはわかるけれども、それはわかるというのは、そんなのは私情の問題であって、私は公的な立場で議論しているんですから、もっとばりっとした、そうしてほんとうに日本選挙制度をどうするかと、こういう立場にはいないと、こう言われてもしかたがないと思います。いまあなたとこれをやっていると、そこのところ、いつでもそういうかっこうになるんでありますけれども、私は、こういうやり方というものは、一国の総理の、しかも場所柄といい時といい、許すことのできない問題だということをはっきりさして、私は次に進みたいと思います。  法案の審議に入りますが、最初に選挙制度審議会委員任期の問題、まず率直にお聞きしますが、委員任期を二年に延長するのは、これは何のためなんでしょうか。
  90. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 御審議の便宜のためでありまして、やはり一年となりますと、すぐ任期が来ることになりまして、十分御審議ができないという点もございます。また、これはいろいろ考え方でございまして、すぐ任命すれば、あとお願いをすれば一年でもいいじゃないか、こういう御意見もあります。しかし、実際は一ぺん任期が切れますと、その後これを委員の方々にお願いをして再び御活躍を願うためには、やはり何と申しましても相当の時間をその間要しまして、時間が空費される点もあります。こういう点をいろいろ考慮いたしまして、議員の皆さまの中にも二年説というようなものが、ことに野党の中から強力に起きられて今回の議員提案になったものと考えております。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はまあ任期の問題は、これは検討していいだろうと、そう思うんです。問題はその二年間に何をやるかということです。何を一体検討するか、この問題と関連させないで、単に任期を二年だ、だからそれは形式的にいいんだ悪いんだということにはこれはいかぬと思うんですけれども、何を審議されるんですか。この二年間でいま諮問なんかと関連して何を一体重点的に審議されるんですか。
  92. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 政党本位の選挙運動なり政治活動をひとつ具体的にどうしたらいいか考えていただきたい、こういうことをこのたびは総理から明らかにされまして、これに対するひとつ御答申がいただきたいということになっておるわけでございます。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはこの中で小選挙区制と政党法の検討だということは当然含まれて、しかも重点的になされるということは、総理のあのときのあいさつ、第一回目の審議会の発足にあたってのあいさつの中にも出ておった。一人もしくは三人区制の、これはそういうものを含んでいる、これはそう考えてよろしゅうございますね。
  94. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 先生のいま御発言によりますと、小選挙区制を主として実現を意図して提案したかというおことばがあり、かつ一名ないし三名のということも言っておるといういま内容を御説明がございました。したがって、三名となればこれはまあ小選挙区制というのに当たらないのでございまして、この点から考えましても、総理は必ずしも小選挙区制度を言われたわけじゃございません。政府といたしましても、必ずしも小選挙区制度を予期いたしましてこういう御審議を願いたいということをしたわけではございません。広く政党本位の選挙運動なり政治活動につきまして詳細具体的にひとつ御検討を願いたい、こういう次第でございました。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 全然小選挙区制について触れないというんですか。現行の中選挙区制をそのままに置くと、そういう前提でやっていくということですか。
  96. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) いま総理のごあいさつの内容はここにございますので、あるいは小選挙区ということに、ことばは触れなかったかどうかわかりませんけれども、しかし、趣旨は小選挙区を目がけてやるという趣旨では私はなかったと思います。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 伺いますが、ここで小選挙区制の問題について、あるいは比例代表制を含む、そういうことについて検討をされないとおっしゃるのですか。それともそういうことを考えておると、こういうふうに自治大臣考えておられるのですか、どうですか。総理の答弁は一応はずしてもいいですよ。
  98. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 先ほどから申し上げましたとおり、この政党本位の選挙のあり方をお尋ねしておるわけでございますから、これについて審議委員の方々が自由にひとついろいろ考えていただくのは当然でございます。その中に小選挙区も出てくるでありましょうし、中選挙区も出てまいりましょうし、比例代表制というものも出てくるであろうということは想像にかたくないところでございますが、しかしながら、小選挙区制度そのものを目ざしておるというような意図は政府にはございません。
  99. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかくそういう可能性は、これは十分にあるんだということは、いまの答弁の中にもはっきり含まれておると思います。しかも、これはいまの情勢を見ますと、そういうことは非常に重要でしょう。たとえば一月中に経団連と関西の経済団体の懇親会が持たれた。そこではっきり小選挙区制を推進するんだという決定がなされておる。これは新聞も報じておりますね。そういう情勢がこれははっきりそういう財界などの意向が明確になっている。それからさらに私は、こういう問題をもってこれは二年の任期考えられておるわけなんですが、ところでどうでしょうか、自治大臣審議会そのものについてとやかくの批判がいままであると思うのですね。これは自治大臣はどうお聞きになっていらっしゃいますか。選挙制度審議会に対する世の中の批判、これについてどういうふうにおつかみになっていらっしゃいますか。
  100. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) いろいろ御意見があろうと思います。新聞等には、政府は答申を求め、しかし、尊重するといって尊重しないというような御意見もあります。また、委員の一部の方にもそういう御発言をされた方もあります。私も聞きました。しかし、また必ずしもそういう見地にのみ立ってない、また、のみとばかりじゃない、そういう見地に立ってない方々の御意見等も私は個人的にいろいろ拝聴いたしておりまして、これに対してはいろいろの御意見があると、こう私は理解をいたしております。
  101. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前の委員会で、私は今度新しく委員になられた一人に、名前をあげるのはこの前あげておきましたから、ここで繰り返すまでもないと思いますが七新聞にこの委員に選ばれたあとの感想みたいなことが述べられているのをこの前実は読み上げましたが、ここで「いくら答申しても、政府がいうことを聞いてくれない。ああいう審議会にはいっても無意味なんですがね……」、こういう前提をやり、「選挙制度は民主主義を実質的にささえていくものなんですが、現状は制度自体が民意を反映しない方向になっている。こういうことでは大きな政治不信を招く。落ちて行く先がどうなるか、私はこわい」、さらにまたこの人は「審議会自体のあり方にも問題があるでしょうね。そこへかけてお茶をにごす——政府の政治的な逃げ場に使われている。民主的装いをこらすための飾り物にされているだけですからね。名前どおり、選挙制度を全部洗って、政党の立場からはいやなことでも変えていかないと、政治はよくならない」、これはこの前も私はあげたのです。こういう問題についていま申しているような卒直な意見が出されている。むしろこういう意見が出るほどよろしいと私は思っております。これについての自治相の感想なり御見解を伺いたい。
  102. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) ただいまも私申し上げましたとおり、この審議会の評価につき、あるいはこれに対する政府の態度につき、いろいろの御意見があるということを申し上げました。ただいまお読み上げになりましたような反対的な御意見もあることを承知し、またそれを意識してただいま申し上げたのでございまして、こういう点をわれわれは十分御批判を受けまして、いやしくもそういうそしりに当てはまることのないように十分注意をしてまいりたい、こう考えております。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 具体的にそれでは聞きましょう。たとえば都合がいいときは審議会にかけ、都合の悪いときは審議会を無視する、こういう態度があったわけですが、こういうことは今後はおやりにならないということでしょうか、どうでしょうか。
  104. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 何が都合が悪いか、何が都合がいいか、これもやはり主観にもよりましょうし、それにもおよそ客観的な寄りどころがあるということが言えますが、その点につきましてもいろいろ意見が分かれておるところでございます。政府といたしましては、聞くべきは聞き、聞く必要のないものは聞かずと考えて、事のよしきに従って処置をしておるつもりでございますが、その点、先生とまた御意見が違って、従来からいろいろ御批判を受けておることは十分承知しておりますが、そういう点につきましても十分考えながら今後もひとつ処置をいたしてまいりたい。いやしくも信念にさからい、だれが見てもいけないというものを相談しないでやるということはしないつもりでございます。これについても意見が分かれておるということは十分承知いたしておりますが。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここでそれを繰り返しても何ですから触れないですけれども、しかし、これは第五次審で関係された委員の方々が、この前、公職選挙法の改悪について何ら審議会にかけられないで、政府のこれは独断においてやられたことに対して、多くの委員、多数の委員が不満な意見を持っておられることは御存じだと思うのですね。これに代表されるように、世論はやはり公職選挙法をかけなかったということについては非常に奇異な感じを持ち、やはり政府の恣意から出ておることだという気持ちを持つのはあたりまえだと思う。だから、これは何がどうだというその判断基準といいましても、私は、やはりこういう基本的な問題は、かけるべきものはかける、かけないならかけない、そういうふうにはっきりすべきだと思うのですね。ところが、都合がいいときはかける、都合の悪いときはかけない、これではやはりまずいですよ。そうとられてもしようがない。  その次にどうですか、審議会の答申についても、それを採用するかしないかというのは全く政府の意向できめられているのですね。いいことは聞く、聞きたくないことは聞かないという話がありましたけれども、しかし、そこにはやはり党利党略が非常に動いておるのが現状じゃないか。そうなるとこの審議会というのは全く私物化され、現に私物化の道を歩んでおる。これは先ほど私が読み上げましたこの委員の方の発言でもはっきりしておる。これはいかがでしょう。
  106. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) これらもやはりいろいろ考え方の相違があろうかと思います。私物化をしている、していない。前に多少戻る感じがいたしますけれども、昨年も臨時国会で御審議を願いました公職選挙法の一部改正の点につきましても、これを選挙制度審議会にかくべきであるという御意見が大勢であったというお話でございますが、しかし、いろいろやはり意見はあったわけでございまして、政府といたしましては、これは自由の原則にもとるものでないから、この程度改正についてはあえて選挙制度審議会にかけなくてもいいのだという確信に立ちまして処置したものでございまして、今後といえども、私物化をしてこれが運営に干渉をしようというような考え方は持っておりません。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、そこのところはだいぶ論議したところで、ここで繰り返す気はありません。これはもう明らかに世論が批判して明確にしている問題ですから、私だけがこんなことを言っているのじゃございません。これはあらゆる新聞がどのような論調を下したかということは明白でありますから、ここで繰り返そうとは思いません。  そこで、あらためてお聞きしますが、この審議会を、真に国民の期待する、そういうものにこたえる機構とするためには、委員の構成並びにこの審議会の運営そのものを民主化する必要があると思うのですが、この点はどうお考えになりましょうか。
  108. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 審議会の運営が民主主義の原則にのっとって運営さるべきであり、その審議会の構成もまた民主化の線に沿って構成さるべきであるということは申すまでもないのでありまして、現状、私は、その基本の方針にのっとって構成され、かつ運営されておるものと存じております。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ具体的に、構成についてまずお聞きします。審議会委員は、設置法によりますと、「学識経験のある者のうちから、」「内閣総理大臣が任命する。」というふうになっていますが、これを選ぶとき、どういう基準でこれは任命されているのですか。
  110. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 学識経験者のうちから選ばれる、そこに、この審議会で問題になるのは、特別委員であろうかと思います。特別委員というのは、特にその主軸をなすものは国会議員でございまして、ことに現国会議員であることが、今日、実情になっております。で、この点につきましては、実はもう特別委員要らないじゃないかという御議論も、一部に有力に主張されておったところでございます。しかし、私は、やはりこれらの特別委員がおられることがいいのではなかろうかという意見もありまして、結局、総理大臣から、これらの方も含めて御委嘱をするということになったわけでございます。しかし、特別委員の設置は任意であり、その任務も限定されており、また任期も制約されている趣旨から、定数はきまっておりませんけれども、全体が三十名であることの関係から、まあ三分の一程度が適当じゃなかろうかというような従来の考え方で任命、構成されておりました。今回も従来の慣習によってできておる。したがって、全体として、第七次選挙制度審議会委員の構成は、従前の例にもより、民主主義の線に沿うものである、こう考えております。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあこの特別委員のことはあとで私聞こうと思っておったのですが、先にお出しになったわけですから、特別委員のことを簡単に先にお聞きしましょう。これが要るのか要らないのかということは、私はここで議論することを差し控えておきますけれども、これは決議権を持っているのですか。
  112. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 委員、特別委員は、それぞれ議決の権限は持っておられますが、特別委員につきましては、議決の権限について制約がございます。特別委員につきましては、具体的な選挙区割り等につきましては、その審議に参加し、議決に「加わることができない。」ということが、審議会設置法の中に明定されておるところであります。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは決議権持つのですが、定数がきまってないで決議権ということになりますと、これは会の運営そのものが非常に不安定なものになりやしませんか、これをお聞きしたい。定数には入ってないのですかな。端的に答えてくださいね、時間あんまりありませんから。
  114. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 特別委員は、一般委員のおおむね三分の一ということで従来任命されてきております。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは設置法じゃないでしょう。設置法の運営についてですね、そういうなにで、趣旨でやっているわけですね。現在はこれは特別委員は何人……。
  116. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 十一人でございます。これは第一次審議会以来十一人でございます。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、今度のやつの場合の内訳を言ってください、党派別の。
  118. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 第一次審議会以来、衆議院議員であられる方が七人、参議院議員であられる方が四人ということでございます。それぞれ、各院の議院運営委員会で配分をおきめいただいておるところでございまして、この第七次につきましては、衆議院議員の七名は、自民四 社会一、公明一、民社一でございます。参議院議員は、自民二、社会一、公明一でございます。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 この決定とかなんかについてはあとで——時間の関係もありますからね。ただ、小会派から入ったこともありますな、いままで。
  120. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 第一次審議会におきましては、参議院の方は、自民二、社会一、二院クラブ一でございました。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題、時間かかりますし、もう少しわれわれも検討したい問題ですから保留をしておいて——私が先ほどお聞きをしたのは、つまり、学識経験者という具体的内容はどういうことになっているんですか。
  122. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 審議会委員、一般委員三十人の構成につきましては、従来から学者の方、学界の方、それから言論界の方、それから一般の学識経験者の方並びに選挙管理関係の方、この四つのブロックから、大体学界、言論界で三分の二、学識経験者と選挙管理機関が三分の一というような振り割りで従来やってきておるところでございまして、そういうワクの中で、現行の選挙制度についてのスペシャリストをお願いをするということでやってまいっておるわけであります。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、選挙制度は、国民の意思の正確な反映を保障するものであるかどうかは、これは単なる技術問題ではなくて、議会政治の根本にかかわる重大問題であると思います。この選挙制度審議する審議会は、当然各界、各方面の意思が反映されるものでなきゃならぬ。つまり、全国民的規模、そういう背景を持つものでなきゃならぬと私は思うのです。しかし、審議会のメンバーを見ると、かなり片寄った人選が行なわれているとしか私たちには思えない。たとえば、人口のわずか四%も占めていない資本家の代表と思われる人がこの中に数人います。それに引きかえて、国民の六〇%を占める労働者側の代表なんというのは、これは一人もいないのですね。この点はこれはどういうふうにお考えになりますか。この委員会そのものが、国民的なそういう背景の上に立ったところの民主的な審議会としての性格をこれでとることができると、どうでしょう。
  124. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) その点につきましては、御論議があるところかとも存じますが、従来選挙制度審議会委員の選任につきましては、先ほど申し上げました学者、言論人、学識経験者、選挙管理関係を含む、こういうことで、その中のスペシャリストという意味で選任をいたしてきておりまして、いわゆる何々の団体の代表というようなニュアンスでの選考方針はとってまいっておらないわけでございます。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうふうに言っていますけれども、とにかくだからいま言ったように、学者とかそれから経験者とか、選挙管理関係だとか、そういうふうに規定してしまって、最も広範な層であるたとえば労働者の代表なんていうのはこれはないわけですね。それからその団体とかそういうものを代表するかっこうにはなっていないと言うけれども、たとえば資本家の代表として、これは日本鋼管の社長赤坂武氏ですか。それから日本航空常勤顧問、それから三菱鉱業社長、毎日新聞最高顧問、読売新聞最高顧問、NHK会長、日本経済新聞会長、こう見ますと、全くこれは財界のお歴々の顔なんですね。どうもやっぱり審議会の性格がこういうところにこれははっきり出ておるんじゃないですか。だから、そこのところを私はもう一ぺんこの委員会そのものというものを国民的視野において明らかにするということなしには、この選挙制度のいま申しました何か私物化の問題とも関連して、私は明確にすることができないという考え方を持っております。これは大臣にお伺いします。
  126. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) いろいろ御意見もあろうかと存じますが、従来各種の審議会委員等の選定につきまして、労働界の代表を入れろという御意見があるわけでございます。で、これらの場合にも通じますが、今回の場合でもやはりその審議事項に関する学識経験者、一般的な視野を持った方々という見地から選んでおるわけでありまして、いろいろ御意見もございましょうが、そういう観点から選ばれるべき人があればこれを選抜していくと、こういう趣旨でございますので、ただ労働界の代表なるがゆえに選ぶもこういう趣旨からは選んでないわけでございまして、その点ひとつ御了解を願いたいと存じます。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ学識経験者だってずいぶんこれは視野を広げれば、あとでこれはなにしますけれども、自分のめがねで見て都合のいいのをピックアップしてくるというのは私はまずいと思うんですね。しかも、いま言ったように七非常にこれは財界とか大企業、こういう代表が多いわけですよね。ここが一つの性格。  その次は、委員の選び方がどうも世襲的なにおいがするんですね、そうでしょう。審議会委員など、たとえば経団連の法規部長が連続して選ばれる。これは個人じゃないでしょうが、経団連法規部長という形で選ばれているんじゃないですか。さっきあなたの答弁じゃ、個人だと言っているじゃないですか、団体の代表じゃないでしょう。篠島秀雄氏、これは三菱化成でしょう、この人がやめると、今度は大槻文平氏、これは経団連の法規部長ですわ。それから元警察庁の長官の柏村信雄氏、これがやめると原文兵衛氏、原文兵衛氏がやめると新井裕氏、これはどうなんですか、世襲でしょう。専修大学もそうだ、木下広居氏がやめると国井成一氏、それから国井成一氏がやめると小関紹夫氏、こういうことになっているんですが、この世襲のにおいは何とかならぬですかな。この委員会そのものにとってこれは封建の残滓をつけておる。もっと広く人材を求めたらどうです。ほんとうに民主的な審議会に値するものであったらそうならなければならぬと思うのですが、どうです。
  128. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 世襲的な考えは全然ないのでございますが、やはりその道の学識者、スペシャリストとなりますと、なかなか実際問題として選ぶ場合に非常に苦労いたしまして、気がついてみると関係者が世襲的な形になっておりますけれども、どうもなるほど言われてみるとそんな感じがいたしますが、世襲的な意味で選んではいないと思います。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 結果的に。苦しんでいる気持ちはわかりますよ。それはやっぱりあんたたちの狭い視野で選ぼうとするからです。それから有意的に意識的に選ぼうとするからこうなる。広いんですよ、一億の入善の中にはすばらしいそういう人がいるんですから。現に公聴会にこの前来てもらったああいう発言者の中には、全然審議会関係しない人がいる。この人なんかピカ一じゃなかったですか、私が言うとおかしいけれども。どうしてこういう人を選ばぬのです。そうしてどうも何かいま言ったような世襲的なものによっちゃ私はまずいと思う。  もう一つ。発言を全然しない人がありますね。何度も審議会委員に選ばれながら、ほとんど発言しない人がいる。何も意見を述べない人を選ぶ必要はないんじゃないか。この真意は何ですか。結局は賛成議員だという意味ですか。これは名前をあげるまでもないと思うんですが、これは中央選挙管理委員長の大浜さん、それから選管関係で中央選管、それから都道府県選管、六大市選管、全国市区選管、選管が多過ぎますな。その中で安藤さんというのはここに来た。この前安藤さん、ここで証言をやったわけですが、この証言の中で、これはひどいですな、買収供応が京都の選挙でなかった、これは大量に先に金を使ってしまったからそういう買収なんかやる金がなかったなんという発言をされたんですが、こんなことでいいですか。選挙管理委員の中で、そんな見識のない事実無根の発言をする、そういう人が現にここに出てきておる。私、時間がなかったからあのとき質問できなかったけれども、どうなんでしょう、その点は。賛成議員でいいですか。
  130. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 岩間先生の仰せでございますですが、全然発言なさらない委員という方は私どもはたしかなかったと思っております。発言の多い方と少ない方があるのは事実でございますが、それぞれの、特に自分が受け持ってその点について知識があるというような点については、それぞれ御発言をいただいております。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど選管は大浜さんだけだったから訂正しておきます。  そこで、私がこの構成の問題について最後に問題にしたいと思いますのは、審議会の会長さんの高橋雄豺氏は、ここにありますけれども、第三次審議会で会長になる前にこんな発言をしている。「会長を引き受ける以上、小選挙区制をやらざるを得ないが、それでもよいのか」と、政府・自民党は高橋氏にだめを押され、そのとき佐藤首相は、「一切高橋君に無条件でまかせる」と言明した、これは三十九年ですから佐藤総理でしよう。朝日新聞の報ずるところでありますが、こういうことを書いている。このような小選挙区制推進論者を引き続いて会長に据えている。そうすると、先ほど自治大臣がおっしゃった小選挙区の問題だけやるのじゃないと言われても、私たちはなかなかそのままでは受け取れないところがあると思います。  また、一次審から三次審まで引き続いて委員になっている人々の中には、ごく一部の人を除いて、単純小選挙区制または小選挙区・比例代表併用——小選挙区制を基本とした考え方を持っている人が圧倒的に多い。これは私たちいままでの何を調べたのがございますけれども、ここで私一々申し上げる必要もないと思います。委員の中でも、小選挙区制論者が過半数を占めている、こういうことになりますというと、もう大体この結論というのは性格づけられてくるんじゃないかというふうに考えるわけです。それから特別委員を見ましても、これは過半数は自民党の方々が占めている。まして会長が小選挙区制の推進論者であるときていれば、審議会の答申の行きつく先というものはいまから予想されるということになりはしないか、こういうふうに考えるのでありますが、私はこの構成問題をもう少しどうですか、世論を充ててみたら。この中でほんとうに日本の民主主義を、そうしてその根幹である議会制民主主義をはっきり確立する、そのような選挙制度に根本からここでほんとうに私は変える、刷新するのだという、ここのところをやはりやらなければまずいんじゃないか、こういうふうに思いますが、この点についての御見解を伺いたい。
  132. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 一般には相当政治意識が向上し、政治意識が普及をされてまいりましたが、小選挙区がどういうもので、中選挙区がどういうもので、比例代表制がどういうものであるかということをおわかりになっている方は、まあ人口比からいくとそうたくさんはいないんじゃないかと思います。しかし、これをどういうふうに知るか、いろいろの方法がございましょうが、これの聞き方等についてもいろいろ御意見があろうと思います。そこで選挙制度審議会を設けているわけでございますが、これの構成が小選挙区論者に片寄っておるという御批判があるわけであります。大体会長からそうじゃないかとるる、いろいろ御説明があったわけであります。会長から先ほどお読みいただいたような意見が述べられますれば、総理として、いやいけませんとはこれは言えない。これは審議会として自由に慎重に御審議を願いたいと申し上げるよりほかないわけでございます。しからば審議会が小選挙区の結論に必ず傾くかどうかという点につきましても、私は小選挙区論者を多く集めようというような意図をもって審議会委員を選ぶことについての心がまえを持ったこともありませんし、そういう指示を与えたこともございません。したがいまして、これらにつきましては、今後自由に慎重に御審議を願い、その結果にわれわれはよりたいと思うのでございます。先ほどから繰り返し申し上げておりますとおり、私たちは、意図をもって今回の第七次選挙制度審議会委員構成をいたしたわけではございません。また、たとえば与党内においてもこの論者が多いのだとおきめつけになっておりますが、与党内部におきましても相当いろいろまだ議論があるのでございます。必ずしも小選挙区論に固まっておる、きまっておるということは、私は言えないのが公平な今日第三者から見た現状であろうと、こういうふうな性格のものでございまするから、ひとつ今回の選挙制度審議会が小選挙区制度をやるものであると初めからひとつ先入主観をもって見られることは、ごかんべん願いたい、こう思います。御批判は御自由でございますが、われわれはそういうことを意図してつくったわけでは決してございません。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあそうおっしゃいますが、目の寄るところには玉も寄るということわざがございます。三つ子の魂百までも。だから一ぺん掲げたそういう議論というものは、そうやすやす変えられませんよ。これはおとなですよ。だから傾向ははっきりと構成員によってわかってくるという形、もしこれがいま大臣がおっしゃるようなものでしたら、やはり私はむしろ民主的に改善をして、これは選挙法でも何でも変えればいいんだから、ほんとうにこれは国民の負託にこたえるような、民主主義の根幹を養えるような方向にいくべきではないか、こういうふうに思います。  もう一つの問題は運営の問題ですが、簡単にお聞きをします。この審議会の運営を見ますと、重要な問題で国民各層の意見を聞くために公聴会なり、参考人を呼んで意見を聴取したことがいままであると思うのですが、 これはどういうことになっておりましょうか。
  134. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 累次の審議会におきまして問題事項によりまして、あるいは出向き、あるいは東京においでをいただいて各界の方の御意向を伺うということは従来ともやってきておるところでございます。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 ところがこれどうです。私は審議会の資料をいただいたんですが、最近は減ってきているんじゃないですか。  第一次のときを見ますと、選挙運動選挙管理に関する事項、罰則政治資金法、政党法等に関する事項、それから公明選挙の推進強化に関する事項、それから選挙区制度の合理化に関する事項、こういうのでたとえば第一日は都道府県選管委員三名、うち女性一名。それから市から二名。第二日は民間人七名。第三日は民間人六名。第四日は民間人七名。商工関係、青年関係、婦人関係団体、こういうところに相当これは公聴会なり参考人、こういうものを尽くしていますね、これは。  第二次、これも今度は地方に行きまして、北海道で民間人五名の各界代表の意見を聞き、東北地区では仙台で六名、東海地区では名古屋で七名、近畿地区では七名、中国では広島で、これは人数わかりません。四国は高松で五名、九州は福岡、こういうふうに全国的に出張してまでやっております。  ところが第三次になると全然なし。  第四次では、選挙の浄化について片山哲さん、清瀬一郎さん、市川房枝さんを呼んで聞いておる。  ところが第五次になりますと、これは非常に重要なものだと思います。これは衆議院選挙区制が変更されたときですから非常に重要な問題でありましたが、これはNHKと、NET、それから民放連、こういうふうにテレビ関係を聞いております。参議院選挙制度こういうことを聞いておられますけれども、だんだんこれは減っておる。参議院制度については佐藤人事院総裁呼んで聞いておりますね。  それから第六次になるというと、学者、それから文化人ということで佐藤功、林修三、豊田雅孝、坂西志保、この四氏を呼んで聞いておりますけれども、第五次なんかのとき、肝心なときにあまりそういうところに意を用いられなかったのはどういうわけなんですか。
  136. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 公聴会あるいは参考人の意見聴取のやり方、人数等は、岩間先生の御指摘のとおりであります。で、この点は第一次あるいは第二次審議会当時私も直接関係をいたしましたが、まず発足にあたって、選挙制度をめぐって日本の各界の人は何を考えておるか、まずそれを初めに把握をしたいということで、初めの間はそういう意味合いの比較的綿密な各界意見の聴取ということをやってまいったわけでございますが、そういう各界の意見をずっと前提にしてその後累次の審議会はそれを参考資料にしながら進めてきておるというのが実情でございます。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、第五次審議会あたりはもう少しやっぱり意を尽くされる必要が私はあったと思うんです。今度はどうです、過去のことは過去のこととして。第七次審議会では、まあ今度は選挙区制や政党制や、さらには最重要問題が審議されているので当然国民の意見を聴取する必要があると思うんです。これもできるだけ広範に綿密に聞く必要がある。しかも二年延長するというのだからその期間は十分あるわけです。それをとらなければ二年延長の意味というのは非常に薄らぐわけです。そうすると、中央でもこれは聞くとして、ブロック別の地方公聴会なり、こういうものをどんどん開く必要があると思いますが、大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  138. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) これは選挙制度審議会の自主性に待ちたいと思いますので、私がいろいろ申し上げるのははばかりたいと思います。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっともう一度。
  140. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) やはり、運営につきましては、これは何と申しましても選挙制度審議会の、また審議委員の方々の自主性を尊重してまいりたいと思いますので、ちょっとはばかりたいと思います。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、大臣としての御希望はございましょう。大臣なら当然そういう御希望を持っていられると思うんです。そういうふうに運営なされることが望ましいと私は思うんですが、大臣の意見を伺っておきたい。
  142. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 今回の答申の内容は、いままでずっといろいろ御検討をされましたものの集大成、そしてそれの結論的なものでございます。したがいまして、もう過去に十分されておって必要がないのか、しかし、やはりそこいらの事情が私全部トレースができておりませんので、必ずしも私の確信のある意見ということを申し上げることができませんけれども、それはそれにしても、この際やはりいろいろ聞くべきことも残っておろうと思います。そういう点を十分考えられまして善処されることは望ましいと考えております。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 私たち審議会に希望を申し述べたいと思うんですけれども、とにかく三十六年発足だと思いますから、十年前に聞いたことを土台にしてそういうものをやられたんではこれはたまらぬですよ。人口の移動だって激しい。そのとき小学校に入った子供も今日では有権者ですよ。そうすると、そういうものを反映しないで、そうしてここでいままでに聞いたたくさんストックがあるからそれをもとにしてやったというのじゃもうすでに古くなっているわけですよ。こういうことじゃまずいですから、当然これは審議会、こういうものを公聴会なり、もうできるだけ綿密に、しかも何のために任期を延長したんだということが国民の前に明らかにならなくちゃならないわけです。そういうことも関連して私は特に要望し、それからまあ主管大臣としてもこういう点についてはやっぱり要望を伝えてほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
  144. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 先生の御要望は、事務当局を通じてこれを反映させるように処置をとってまいりたいと思っております。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは私の要望というよりも、当委員会が職責を尽くすならこういうことになる。  もう一つお許しをいただいて聞きますが、第二の法案の問題ですが、執行経費の問題についてお聞きしておきますが、東京都の二十三区では、国会議員選挙執行経費基準実情に合っていないために、四十四年度の衆議院選挙だけでも二千五百万円ほどの超過負担が出ておるといわれておる。この超過負担は、今回の改正でかなり解消されると思いますが、やはり単価の計算が実情に十分合っていなければ今後も超過負担が出る可能性があります。これは先ほども話が出ておった。この場合、政府は、衆議院の公選特別委員会で、補助費の中から調整費という形で見ていく、こういうことを答弁されておると思うのですが、これは超過負担分を全部見るという意味でしょうか、それともその一部分を見るという意味でしょうか、いかがでしょうか。
  146. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 岩間先生のお話しのように、今回の改定によりまして、かなりの程度に従来持ち出しといわれたものは解消すると存じております。ただ先ほども申し上げましたが、選挙のやり方によりまして超過になる、ならないというような問題もございますし、また、その団体給与の水準によってもいろいろ問題の出てくるところでございまして、二十三区の中でも同じような規模の団体で、全然持ち出しをしないところと、するところがあるというのが実は実情でございます。そこで私どもとしては、今回の改定によりまして、個々一つ一つ経費については、あるいは持ち出しになる、あるいは持ち出しにならない、いろいろあると思いますが、全体としては大体今回の改定でほぼまかない得るのではなかろうかというふうに存じておるわけでございまして、どうしてもやむを得ない事情があって、しかもそういう特殊事情が基準法の一般的な中で処理し切れないと考えられるようなものにつきまして可能な限り調整費の活用も考えたいというふうに思っております。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはやはり全額負担するというかまえでそういう点をやらないとまずいと思うのです。  もう一つ、二十三区でいままで出ておる超過負担分は全部で幾らになるか。それからいままでの分、これは四十四年度の分でも二千五百万というのですが、この負担分について政府はその解消のためにどんな手を打たれようとしておるか、これをお聞きして、私の質問は終わります。
  148. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 従来の分につきましても、それぞれの選挙ごとに事情がございますのですが、選挙ごとに可能な限り調整費のワクで処理をしてきたところでございまして、まあ、これからさかのぼって過去のものを云々ということはちょっといたしかねるところかと思います。これからの執行にあたりまして、ぜひ超過負担の出ないような配慮を十分尽くしていきたいと考えております。
  149. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間もありませんから、若干の問題について質問してまいりたいと思います。選挙制度審議会設置法の一部を改正する法律案について一点だけお尋ねしておきますが、いまの質問にもあったのですけれども、諮問内容ですね。諮問内容についてどうも大臣説明が歯切れが悪かったように聞こえるのですが、どういう諮問内容ですか、それをお聞きしたい。
  150. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 今度ははっきり諮問をいたすようなやり方をとっております。そのときの文章もございます。そのままここで読み上げます。「政党本位の選挙を実現するための選挙制度全般を通ずる根本的改善策を具体的に示されたい」、こういうのでございます。
  151. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この選挙制度審議会設置法の一部改正法律案、これは大臣説明をされたんです。この内容によりますと、提案理由説明、これでいきますと明確だと思うんです、私は。「第七次選挙制度審議会におきましては、衆参両院議員選挙区制、選挙方法、政党のあり方などの基本的問題についての具体的改善策並びに議員定数問題等幾多の重要問題の審議が期待されております。」と。だから方向は私は、大臣提案をしたこの趣旨説明からいって、——ちょっと錯覚を起こしました、さっき大西議員のですね、彼が提案されたんですね。だから私は大体、この提案に至るまでの問で、それは行政庁としては大臣のほうに相談その他はなかったかもしれませんけれども、方向としてはこういう問題でひとつ審議をしてくれということできてるわけですからね、本問題については。だからそういう理解を持っていいんじゃないかと思うんですが、大臣どうですか。
  152. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 大西君の御提案の趣旨をとらえまして、——私いま正確にその文書を持っておりませんので、あるいは微細な点につきまして不都合なところがあるかと存じまするけれども、その趣旨と今回第七次選挙制度審議会設置につきまして諮問をいたしました趣旨とは、基本においては私は変わらないと思っております。諮問の文章には簡潔に、「政党本位の選挙を実現するための選挙制度全般を通ずる根本改善策を具体的に示されたい。」というのでございますが、この中にはやはり金のかからない選挙とか、関連いたしまして選挙のいろいろ区制の問題とか、ただいま岩間先生からもいろいろ御質問のありました等々の問題点が当然出てくるものと予測いたしております。
  153. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 で、私は主として執行経費基準  に関する関係について若干お尋ねをしたいんですが、この改正内容の第一点は、地域の特殊性というものをどういうふうに判断されたかですね。たとえば降雪地帯のポスター掲示の場合には、あるいは屋根じりとか、いろいろな創意くふうがなくちゃいけないと思うんですね。そういう問題とか、あるいはプレハブで投票所を設置した、そういう場合の費用の問題とか、あるいは電話架設の必要が生じたとか、あるいは区、市、町村、こういうことで分けたのでありますけれども、大体隣接市町村に事実上あまり開き、差というものはそうないんじゃないか。だから、こういう諸点についてそれぞれ全国を見た場合には、地域の特殊性というものは当然加味されていかなければいけないんだろうと思うんですが、こういう問題についてどういう判断をされてるか、この点をまず第一にお伺いいたします。
  154. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 戸田先生の仰せのとおり、地域地域によりまして、あるいは選挙の時期によりまして、特定の地域に思いがけない経費の要ることがしばしばございます。そういう意味合いで十八条の中に、総経費の百分の五という限度はございますけれども、調整費を設けることにいたしておりまして、これをぜひ活用じたいと思っております。なお、これでも足らない、特別にお話しのように大きく雪が降ったというようなことがあるとしますれば、私どもとしてはぜひ財政当局と話し合って、予備費の措置等によりまして具体的な事態に対処をいたしたいというふうに存じております。なお、投票所等につきましては御指摘のように、できるだけたくさんつくっていきたいし、身軽に投票していただけるようにしたいと思っておりまして、そういう意味合いで所要経費は今回の基準改定で確保できる見込みでおるところでございます。
  155. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ただいまの指摘内容等については十分考慮ないしその万般施策がとれると理解してよろしいわけですね。予備費はどれくらい取っておりますか。
  156. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 調整費といたしましては、純粋なものとしては四千万円でございます。しかし、これで足りないような特殊な事態がありますれば、さらに財政当局と折衝したいと思っております。  なお、先ほど申し落としましてたいへん恐縮をいたしましたが、市、区、町村という三つのランクに分けて考えておるわけでございますが、これは現実が市と区と町村で、職員の給与の実態あるいは雇用する人夫賃実情が違っておりますので、基準法の性格からいいますと、できるだけ実態に合わせたいという意味合いで区分をしておるところでございます。ただ、戸田先生の仰せのように、区にすぐ隣接をした町村とか、大都市に隣接をした村というものがありますといたしますと、それはずっと離れたほんとうの山村と同じように扱えないという接点の問題がいろいろあることは御指摘のとおりでございますけれども、しかし、やっぱり画一的にと申しますよりは、段階を設けてやったほうがより実態に近づくであろうということで、こういう形でお願いをしている次第でございます。
  157. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 われわれが地方に参りますと、一つは選管の苦情というものは要員が足らないということですね、それはどこへ行っても苦情として出されます。それからやっぱり予算がないんですね。もう一つはどうしても超過勤務が非常に多いんですよ、一挙に解決する作業が一ぺんにやってくるわけですから。そういう面で非常に苦労されているというのがいまの実情です。選挙部長お話ですと、四千万円のこの調整費があればいまの全体が大体希望どおりにいけるというふうな印象に聞こえるんですが、私はそんなものじゃないんじゃないかと思う。改正するのですから、そういう部面は必要最小限度見てやるという、こういう考えがなければ改正をした値打ちは私は出てこないだろうと思うのですが、その辺はどうですか、自信のほどをひとつお聞かせ願います。
  158. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 戸田先生仰せのように、要員にしましてもあるいは予算にしましても、特に超過勤務をめぐりまして問題が従来ありましたことは全く事実であります。今回かなりの程度に改善をしております。超過勤務につきましては、先ほど申しました調整費として、純然たる四千万円の調整費のほかに、これは今後の給与改定のからみもあるわけでありますけれども、二億程度経費は確保はいたしておるところでございます。しかし、これも実際選挙をやってみて、不足の経費が特定の団体にかなり出るという事態がないとは言い切れないところでございますので、そういう事態になりますれば、あらためて財政当局と相談をして、予備費等の措置についても十分話し合いたいと思っておるところでございます。
  159. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 今回改正はしてもまだ不十分の点が多々あると私は思うのですね。たとえば入場券の郵送費、こういうものは実現をいたしました。しかし、公報の郵送はまだなっていないんですね、その場合。あるいは管理者立会人、こういう費用弁償額、これは実際低いと思いますね。こういう問題、あるいは職員が管理者となった場合の超過勤務手当、大体四、五千円と思いますが、こういう問題もありますね。さらに、年度途中のベースアップの場合ですね、どういうふうに法律上措置をされるのか、この辺の問題が私は明らかじゃないと思う。さっき選挙部長がちょっと説明をされましたけれども、たとえば参議院選挙の場合ですね、全国区百十名立候補予定、一人当たり四百八十九万八千円とりました。三年前は三百八十七万五千円。それから地方区が二百四十名立候補で六百八十八万三千円とりました。三年前五百五十万円、こういう計算を発表されたと思うのです。ちょっとこれ私がここで試算したからあるいは誤りがあるかもしれません。これはそれぞれ全国区の場合一二・六%、それから地方区の場合は一二・五%、わずかに二・六%ないし二・五%ですよ。ですから経済動向からいきますと、私の理解で、いま詳細な資料持っておりませんが、あるものによっては二百四十倍なんていう物価上昇もあるわけですよ。ことにいま選挙で必要なプレハブとか、あるいは電話架設とか、こういうものは比較的上昇が早い。非常に上がっている。そういう選挙費用、各種宣伝用資料と申しますか、必要資材というものはそれ相当上がっている。物価そのものを考えたって今年度は七・八%ぐらいになるというのですよ。従来六%で来ているのですよ。四十四年、五年は六%です。それだけでもすでに二〇%近い物材費値上がりですよ。こういう各般の経済状況からいけば、やはり相当おそらく選挙部長なり自治省としてはがんばったんではありましょうけれども、それは御努力は私も認めるのでありますけれども、まだまだ十分とは私は言えないのじゃないか。むしろそういう物材、いろいろな値上がりそのものすら逆に下回っているわけです。だからこういう問題について、私は必ずしも清勢にマッチした科学的な値上げを今回実行しているとは考えておりません。だからこういう問題についてどう一体対処されるのか、この辺ひとつ明確にお答え願いたいと思うのですね。
  160. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 戸田先生からお話しございました第一の入場券の郵送経費はある程度今回解決できましたが、公報の点につきましては、郵送の経費は話し合いがまとまりませんでした。これは財政的な側面と申しますよりも、現実に郵便によることが可能かどうか、あるいは適当かどうかということをめぐってなかなか話がまとまらなかったからでございまして、しかし、それの配布に必要な経費というものはある程度増額をしたつもりでございます。  それから御指摘のありました立会人等の費用弁償、これにつきましては先ほど申し上げましたが、特に立会人等は従来の千二百円、これは確かに御指摘のように、いまの御時勢ではあるいは低過ぎたかと思いますが、これを二千円に改定することにいたしまして、まずこれであれば何とか片がつくのではないかというふうな気持ちでいるところでございます。  それから三番目にお話しのありました年度途中のベースアップについてどう対処するのかという点につきまして、この点は確かに非常にめんどうな問題でございまして、財政当局との間で非常に議論をいたしました。いまの時点でどのくらいベースアップになるから、どのくらい確保しておくというようなことを、そうあからさまに言うことは事柄の性質上許されませんし、といって六月にあります選挙でありますので、それについてある程度の用意はしなければいけないというようなことでるる議論を重ねまして、先ほど申しましたように、本年改定されるであろう動きを配慮をして、調整費の中で超勤分の上積みとして二億円を考えたわけでございます。  なお、先ほど選挙公営費の立候補者一人当たり経費について申し上げたわけでありますが、それにつきまして、前回三年前と比べての伸び率等について御疑問が提せられたところでありました。先ほど申し上げましたのは、いわゆる選挙の公営経費だけでございまして、選挙の管理のために必要な投票所経費、開票所経費というような点につきましては、人夫賃その他の値上がりによりましてかなり上がっております。したがって、今回基準改定でお願いしております。全体は、先ほどちょっと申し上げましたが約十五億円で、改定をお願いをする率は三〇%でございます。公営費の中にはほとんどそれほど値上がりをしない要素のものもございまして、戸田先生の仰せのような御疑念が出るのかと存じますけれども、全体としては先ほど申し上げたような形で対処したところであります。決してこれで十分だというふうにはもとより申しかねますけれども、何とか国の選挙について全体的には持ち出しにならないで、最低限管理できるのではないだろうかというふうに思っているところであります。
  161. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ですから部長の言われる努力のあとは私は認めているのです。しかし、これでは不十分じゃないか。たとえばこの職員の超勤問題について要員を確保した。これは一人当たり時間にして何時間で何万名やったのかわかりません。その辺ひとつ説明していただきたい。わずかだろうと思うのですね。  それからもう一つ私はどうしても疑問に思うのは、大体二十五年五月以降二十一回程度法律改正しているのですね。三年前やったとき、これは四十二年四月十五日、現行法で来ているわけですね。三年間そのまま据え置かれた。これは公務員関係は毎年一二%程度賃上げ、ベースアップをやられている。それに付随してこれが行なわれていないというのはどうも同じ公務員立場でおかしいじゃないか。それはこの給与改定ばかりじゃなくて、あるいは人夫その他もおるわけでありましょう。そういうものがほっぽり上げられたままやっている、こういう点がどうも私は疑問でならない。だからこの法律で、一体年度途中のベースアップがあったような場合は何かもう少し法的に自動的に同じようなベースでいけるような一つ方法というものを考えられないものかどうか、その辺はぜひ私は検討していただきたいと思うのですが、どうですか。
  162. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 戸田先生のお話しのように、四十三年に直して以来そのままであるということでございます。まことに仰せのとおりでありますが、実はどうしてもこの基準法の改定は、選挙があらかじめ予定をしていいし、当然に予定をしなければいけない参議院通常選挙の機会でないとなかなか直せないというのが実際でございます。総選挙予定をして直すというようなことは、実際問題としては、非常に政治的な動きとからみましてうまくいきかねているというのが実態でございます。したがって、その間におきまする限りにおいては、結局調整費というものを積み上げて対応をしてきているというのが実態であります。先ほども申しましたように、今回四十六年度におきまする給与改定に対応をした超勤の取り扱いというのはたいへん御指摘のように問題のあるところであります。そこで申し上げましたような形で財政当局にも話し合って、ある程度それに対応できるような含みのあるものを調整費の中に積み上げているというのが実情でございます。
  163. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この人夫賃、嘱託手当あるいは運搬費、いわゆる算出基礎があるわけですけれども、これをちょっと見ますと、たとえば給与の場合ですね、五等級一号、月額が一万九千円、単価で言うと七百六十円ですね、三年前。それから町村単価、これはいろいろ地域によって違うでしょうけれども、千百三十六円、市の、指定市の単価ですね、八百七十二円。この単価では私はいろいろ苦労なされているんでしょうが非常に低いものではないか、こういうように考えますが、これは大臣どうですか。
  164. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 事務当局からお答えします。
  165. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 戸田先生の御指摘のとおり、いままではたとえば町村が六百十円という単価でございました。今回これを八百円に改めようというわけでございます。また区につきましては、いままで九百円でありましたものを千百四十円に改めるということであります。これはいろいろ実情により地域によって特殊な事情もあろうかと思いますけれども、私どものやり方としては、御指摘にございましたように、行政職二表の五の一の本俸月額を出しまして、それにそれぞれの市、区、町村という段階におきましての労働省の賃金実態統計の示す数値によって補整をしたというのが実情であります。で、これによってどこの地域も画一的に足りるかという御指摘でございますが、必ずしも画一的にすべてがこの単価でまかない得ると言い切れない面もあろうかと思います。しかし、人夫の人数あるいはそれを含めました全体の執行経費のワク内で何とか配慮をして執行してもらいたいというふうに存じておるわけであります。
  166. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま急速に要員をふやそうといってもなかなかそれは無理な話がいろいろあると思うんですね。だからどうしても金でそれらを救済をしていくということになり、いきおい超過勤務ということになりますね。この超過勤務手当の各費目別算定の内容というものを参考のために言いますと、大体投票所経費で平日五・五時間、土曜が十時間、日曜日が十四時間等々になって、開票所経費は六時間、いろいろこうあるわけですけれども、その中で事務費は参議院の場合三十四日、こういうことになってますね。選挙期間を除いて前後五日ずつプラスをすると、これではたして算定の内容が妥当だと思いますか。選挙部長どうですか。これはさっきも指摘しましたように、特殊地域云々というのは、船で行かなければいけないというようなことが各所にありますね、日本の場合。それは新潟においても鹿児島においてもいろいろあります。だからそういう条件を考えるならば、やはり現実の実情を加味したそういう内容をやっぱりすなおに本部で集めて、そしてやっぱり対処していかなければ、どうしても一定の予算のワク内でもって押えていくということになれば、現地のそういう労働強化、そういうものにどうしてもしわ寄せいっちゃうんですね。だからこれは至るところで私は基準違反の数々の事象というものが各所でやられている。これはもう日常茶飯事やられている、選挙で異常時なのだからしようがないというのが現地の考えなんです。そういうところに常に追い込ませて選挙の一番重要な各般の作業をやらせようというのは私はどうも納得がいかないのです。どうお考えですか。
  167. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 戸田先生の御指摘のように、国の選挙地方が委託を受けてやるわけでございますから、要る経費は全くすべて国が見る、これはもう当然なたてまえだと存じます。そういう意味で、いま御指摘にありましたが、超過勤務時間が一日二時間でいいのかどうか、あるいは選挙期日——公示から選挙の期日までの日数にそれぞれ前後五日間しか見ていないのはそれで足りるのかというような御指摘も当然いろいろあるかと思います。まあこれは一日二時間で、期間は選挙運動期間の前後五日を含めてということで一定人数を算出をしておるわけでございますので、この標準どおりいくところもあればいかないところもあるということは御指摘のように十分考えられます。しかし、まあ総人数のワク内で配分をすることでありますので、まあいずれにしても一つ基準でありますから、これでどんなところも例外なしにやれるとは決して申し上げかねるところでありますが、全体としてのワクで消化をするということになりますと、何とかこのワク内で最低限の仕事はできるのではないだろうかというふうに存じてお願いをしておるわけであります。しかし、基本的に言えば、前段に申し上げましたように、国の選挙について理由はともあれ超過負担をしいる結果になるということは決して好ましいことではないと思います。ただ、先ほども申し上げましたが、どうも仕事のやり方が標準的な仕事を頭に置いて、そしてそれに要する必要経費というような側面も全く考えないわけには実際問題としてはまいりかねる面もありまして、その点は、私ども常にこの基準法を論ずる場合に苦慮をいたしておるところでありますけれども、要は、実際超過負担が漸次解消できるような形に一歩一歩努力をすることだというふうにまあ心に期しておるところであります。
  168. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 大臣、どうですか、その基準法抵触事項が一ぱいあるんですよ。そういう問題について大臣はどうお考えになりますか。
  169. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) なかなかいろいろ、現実の状態はいろいろでございますので、一つの法則で全部にこれでだいじょうぶだというわけにはなかなか事の性格上むずかしい問題もあります。また、社会経済上の変動の激しい当節のことでもございまして、先ほど御指摘のありましたとおり、いろいろ物価の趨勢に直ちにこの既定のいろいろ数値の合わない点もございます。今後これらの点をさらに検討はいたしますが、大体において従来の状態を大幅に改善できてほぼ実情に即した措置が今回の改定でできるのではなかろうか。それに対しましてまた調整措置もございます。特殊の場合には大蔵当局ともいろいろ相談をいたしまして、ごく特殊の場合これに応ずる措置等も規定されておるわけでありますから、これらのひとつ活用をもってひとつ事態に対処をいたしたい、さらにさらに今後ともこれが改善につきましては十分心してまいりたいと考えております。
  170. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は部長にお願いをしておきたいのですがね、委員長にも。資料要求ですね、でき得れば次回の委員会まで。この基準法抵触事項に関して、超過勤務の体制についてひとつ資料を、どの程度、いままでの実績でけっこうです。四十年、四十三年でけっこうですから、その二回にわたっての選挙の現地の実情、そういうものについての資料、次回の委員会までに御提示を願いたい、委員長にお願いをしておきます。
  171. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) 出せますか。
  172. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 戸田先生の仰せでございますので、できるだけしつらえたいと思いますが、実は毎回報告は徴しておるわけですが、報告によりますと、それできちっと精算されてきておるわけです。そこでそれを差し上げましても、あまり意味がないんでございます。で、その点を私どもも反省をしておりまして、もっと実態がクリアになるような実情の把握をやらなければいけなかったわけですけれども、その点について、いままで必ずしも十分でございませんでしたので、特にいま先生の仰せの的確な資料を前回の実情に基づいて云々ということについては、たいへん恐縮をいたしますが、直ちに適切なものを用意をする自信はないところでございまして、たいへん恐縮でございますが、来たる参議院選挙については、この改定法が具体的にどう適用になったか、問題意識をクリアにして、あるいは視点を明らかにして把握をしてまいるようにつとめてまいりたいと思っておりますので、たいへん恐縮をいたしますが、過去につきましては、形だけの資料ということになりかねないおそれがありますので、御了承を賜わりたいと存じます。
  173. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 部長の言う内容でけっこうですから、参考までにひとつ。時間もありませんから急ぎます。選挙の管理執行の基本方針についてですけれども、まだまだ不十分なんじゃないかというふうに考えるのでありますが、その一つは事務の執行、こういうものに対して選管としてはどうしても一定のワクに閉じ込もって啓発事業、こういうものはあまりやられてないんじゃないか。さっきもちょっと話が出たんですけれども、やってたのは大体棄権防止ですね。宣伝カーに乗ってあした投票日だというようなときに若干市区を回る、町村を回る、こういうようなかっこうだったと思うのですね。ただ人手が少ないもんですから、演説会、こういうものは係官の不手ぎわでもってやめなければいけないというようなことが、地方においては再々あるわけです。こういった問題とか、あるいはテレビ放送も最近は非常に重視をされてきておるわけなんですけれども、こういうものに対する、やはり何といいますか、審議会も長期にやっているわけですから、私はできるだけ十分検討されて、どうしても、これから、まあいままでは私の理解では、選挙を投票する場合の参考はどこに求めるかということになりますと、大体新聞が四五%くらいになっておるのですね。いま非常にテレビの視聴率も上がってまいりました。非常に重視されるような状況になっております。本問題等についても、やはり今後の選挙をいろいろ執行していく上については、やはりウェートは十分置いて考えていかなければいけないのじゃないか。そういう各般の問題等について十分啓発あるいは科学的な実施方法ですね、こういものをやはり自治省としても十分検討する必要があるのじゃないか、こういうふうに考える。  それからもう一つ選挙機構ですね、こういうものに対する組織面からの強化というものが何か弱体化されている、こういうふうに考える。こういった機構のやはり強化方策についてどういうお考えをお持ちになっているのか。まあこういう問題が一ぱいあるわけですが、さらに地方選挙の場合ですね、どうしても国はおろそかにする傾向が多いわけです。もっともっと私は全体の高揚、強化という方向をとっていく必要があるのじゃないか、こういうふうに考える。ことに最近は住民運動その他によって住民の政治的な高揚といいますか、やはりそれぞれ地域によって違いますが、やはり高揚の方向に向かっているのじゃないか。こういうところに適切なサゼスチョンを与えていくということになると、よりいい政治に対する関心というものが私はもっともっと起きてくるのじゃないか。こういうふうに考えるわけですが、こういった各般の現在までの管理、執行の部面での弱点が数多くあると思いますが、こういう面については長年自治省も十分おわかりになっているのじゃないかと思いますが、こういう問題についても十分メスを入れる必要があるのじゃないか、こういうふうに考える。  時間がありませんから、次の質問も一括してお尋ねいたしますが、もう一つは選管の事務担当の誤りによって、たいへんな選挙に対する不信感というものが多くある場合がございます。具体的な例をあげれば数多くございますけれども、そういう問題についてのいわば改善策ですね。こういう問題についても今次改正に伴ってどれだけ一体検討されたか、主としてどういう方向で自治省としては検討されたか。そういう内容があれば具体的にひとつお示し願いたいと思います。
  174. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 戸田先生から多角的な選挙管理委員会のあり方について御指摘をいただいたところでありまして、御指摘の問題についての考え方等につきましては、ほとんど同じように共感をする面が多いわけであります。選挙管理委員会として啓発に力を入れるべきだという仰せには全く同趣旨に存じます。ただこの問題は、選挙管理委員会だけがやって効果があがる問題ではありませんが、これは各方面と提携をしながら選挙管理委員会は選挙管理委員会としてぜひ力を入れていきたい、単に棄権防止にとどまるというようなことでは私も情けないと思っております。  それからテレビの利用という点につきましても同様に感じておりまして、ただこれが効用としても非常に大きゅうございますし、またテレビにつきましては非常に多くの人がいろいろな期待を持っているところでございますので、これを拡充していくということになりますと、やはり方向としては政党が前面に出てくる、そういうウェートを多く持たざるを得ないのじゃないかと思っております。そういう意味合いで、おそらく、御指摘にもありましたが、今度の審議会でもそういう方向でテレビをもっともっと選挙民のお役に立つようにしていくということになっているのではないかというふうに存じているところでございます。  それから選挙管理機構の強化につきましては、私はやはり何といっても市町村選挙管理委員会の機構が充実されなければいけないと思っております。なかなか一挙にまいりませんけれども、これについては毎年計画的に要員の拡充がはかれるように地方交付税で具体的に措置をいたしてまいるようにいたしたいと思っているわけであります。  それから地方選挙重要性について御指摘になりましたが、この点も全く同感であります。むしろ地方選挙がほんとうにそれぞれの地域社会のこれからを考えるという意味で大きなウエートを持ってまいると思いますので、こちらのほうの重要度は幾ら強調されても、され過ぎるということはないものと思っております。私どももそういうつもりで今回の統一選挙には向かいたいと思っているわけであります。そういう意味でやはり公営ということも極力拡充したいということでつとめております。ここにこまかい数字がございますけれども、市町村だけで見ましても、立会演説会は千団体程度はやっておりますし、選挙公報も四百五十団体くらいが今度やることにしております。都道府県議会議員選挙につきましても、選挙公報は今度はおそらく十四、五団体がやってまいるのじゃないかと思っているわけであります。ただ先ほど多田先生にも申し上げたかと思いますが、いまの公営のしかたそのものにやはり検討し直さなくちゃならない余地があるように思っておりまして、そういう配慮を加えることによって、四年後にはもっともっとこの面について前進が可能であろうし、またそうさせなきゃいけないというふうに存じておる次第であります。  最後にお話がありました選管についていろんなミスがある、そういう面で住民の不信を買うという事例も少なくない、その点はたいへん恐縮に思っておりますが、具体的な改善策というものにつきましては、基本的には選挙管理機関の強化ということに通ずることかと思いますけれども、その他いろんな投票管理手続等についても改善の余地があるであろうということで、昨年末たとえば不在者投票制度等について改善をお願いをしたりいたしてまいったり、あるいは記号式投票制度の拡充等について国会の御議決をいただくというようなことで進めておるところでございます。いずれにしても、御指摘の各項目について私どもとしては、これから十分に努力をしていくべき問題を御指摘をいただいたというふうに感じているところでございます。
  175. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと答弁漏れがある。私は改正について、そういう執行管理体制の中で、どういう面を中心に置いて具体的に検討されたかというその検討内容をちょっとひとつ、漏れていたと思います。これで終わります。
  176. 中村啓一

    政府委員中村啓一君) 選管の強化という面につきましては、一つは機構の面で、一つは人員の面で、一つ経費の面で、この三点から強化をしたいというふうに思いまして、検討を加えたところでありました。まあ機構の面につきましては、いろいろ論議をいたしてみましたけれども、まず形をつくるよりも、選挙管理なり、選挙啓発に当たる要員をふやしていくことが先決だということになりまして、私どもとしては、四十六年度の地方交付税の算定にあたって、それの強化をぜひやりたいというふうに存じておるわけであります。また、一般的な選挙管理関係経費の拡充については、今回の基準法の改定等とも関連をいたすところでありますが、そういう点を通じて地方団体選挙のための経費については、交付税措置等のいままでの点の改善をやってみたいというふうに思っているところであります。
  177. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと三点の面からいろいろ強化策を考えるということですが、そういう青写真というか、構想というものは持っておりますか。たとえば何年後にはこういうことになるというようなものをですね。検討はされたと、人員は強化しなければいけない、あるいは機構の管理体制をつくらなければいけないと、こういうけれども、思っているだけではなかなか私は実行できないと思いますね。だから、そういうものについては、一定の青写真をもってこういくべきだというような、やはり一定の方向というものをこの辺で持つべきではないか、いま部長のおっしゃられるように、そういう熱意をもってやるとするならば、当然そういうものが私は手段としてあってもいいのではないか、こういうふうに考えますが、それはどうですか。これは大臣がいいかもしれませんね。
  178. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) ただいま戸田先生から御指摘の点、選挙部長と同様に、私もその趣旨において異議はございません。共感を覚えるところでございます。そこで、いろいろ選挙のやり方及び管理機構、あるいは選挙自体のPRについて、いろいろテレビを利用する、あるいは選挙管理委員会が正しい明るい選挙推進のために、そういうテレビを利用する、また機構におき、またその運営に、ことに身近な統一地方選挙などにおきましては、一票一票を争う場合がございますので、過去において数多くその実例をわれわれも見聞きいたしましたような、管理上のミスをしないように十分注意をする必要はもちろんあり、そのつど注意をいたしてまいったところであり、また、ごく最近全国選挙管理委員会の諸君にお集まりを願いました際にも、特に私からその点を指摘をいたしまして、いやしくもケアレスなミステークをしないように、十分注意をしてほしいということもお願いをしておきましたが、これらについてひとつ計画的に、具体的に、総合的にどういう措置をとるかというお尋ねでございます。大体われわれはこの問題に対処すべく、まず大もとにおいて選挙部を選挙庁に引き上げることによりまして、選挙がいかに民主政治の根本をなす重大な問題であるかという問題意識も、同時に実質これに対処する方策を講ずべしという趣旨で、強く行政簡素化、合理化の叫ばれている今日でありますが、この点をあえて主張したのでありますが、はなはだ遺憾でございますが、われわれの説が認識されておりません。したがって、この点につきましては、今後根強く、根気よく主張をいたしてまいる、また、その主張をする必要があると存じております。これが中央の機構の整備を待ちまして、市町村等の選挙管理委員会等の機構の充実を期したいと思いますが、これにはただいま部長からも申しましたとおり、交付税等の措置等で、できる面もあるわけでございますから、今後これらにつきまして、ひとつ御趣旨に従いまして、十分検討をいたしまして、できるものからわれわれの理想を具体化するように、ひとつ十分検討してまいりたいと存じます。
  179. 永野鎮雄

    委員長永野鎮雄君) 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時八分散会      —————・—————