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1971-05-07 第65回国会 参議院 公害対策特別委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十六年五月七日(金曜日) 午後一時八分開会
—————————————
委員
の
異動
五月七日 辞任
補欠選任
小野
明君
竹田
四郎
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
占部
秀男
君 理 事
久次米健太郎
君 長屋 茂君
竹田
四郎
君
内田
善利
君 委 員 鬼丸 勝之君 川上 為治君 古池 信三君 矢野 登君
加藤シヅエ
君 小平 芳平君
衆議院議員
産業公害対策特
別
委員長
小林
信一
君 発 議 者
細谷
治嘉
君
国務大臣
厚 生 大 臣
内田
常雄
君
通商産業大臣
宮澤
喜一
君
政府委員
内閣審議官
城戸 謙次君
厚生政務次官
橋本龍太郎
君
厚生省環境衛生
局公害部長
曽根田郁夫
君
通商産業省公害
保安局公害部長
森口 八郎君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
悪臭防止法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
特定工場
における
公害防止組織
の
整備
に関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
環境保全基本法案
(
衆議院送付
、
予備審査
) ○
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
(
衆議院送付
、
予備審査
) ○
公害紛争処理法案
(
衆議院送付
、
予備審査
)
—————————————
占部秀男
1
○
委員長
(
占部秀男
君) ただいまから
公害対策特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日、
小野明
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
竹田四郎
が
選任
されました。
—————————————
占部秀男
2
○
委員長
(
占部秀男
君) 引き続いて
理事
の
補欠選任
についておはかりいたします。
委員
の
異動
に伴いまして本
委員会
の
理事
が欠員となりましたので、この際、
理事
の
補欠選任
を行ないたいと存じます。
選任
は、先例によりまして
委員長
にその指名を御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
占部秀男
3
○
委員長
(
占部秀男
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは
理事
に
竹田四郎
君を指名いたします。
—————————————
占部秀男
4
○
委員長
(
占部秀男
君)
悪臭防止法案
、
特定工場
における
公害防止組織
の
整備
に関する
法律案
、
環境保全基本法案
、
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
及び
公害紛争処理法案
、以上五案を一括して
議題
とし、順次
趣旨
の
説明
を聴取いたします。 まず、
悪臭防止法案
について、
内田厚生大臣
よりお願いいたします。
内田常雄
5
○
国務大臣
(
内田常雄
君) ただいま
議題
となりました
悪臭防止法案
につきまして、その
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。 近年、
公害
はますます
深刻化
、多様化してまいっておりますが、
悪臭
の
発生
につきましても、
国民
の快適な
生活環境
をそこなう深刻な
公害
問題となっております。
悪臭
につきましては、これまでその
測定方法
、
防止技術等
の
開発
のおくれなどから、国による一元的な
規制立法
が見送られてきたのでありますが、ようやく今日に至り
悪臭
に関する
研究
、
防止技術
の
開発等
も一応の水準に達し、主要な
悪臭物質
につきまして、逐次
規制
の
対象
に取り上げることが期待できる段階に至りました。 これらの
研究開発
の成果を基礎とし、
公害対策基本法
の
精神
にのっとり、
悪臭公害
に対する
規制法
を定めることとし、ここにこの
法律案
を
提出
いたした次第であります。 以下、その
内容
につきまして
概略
を御
説明
申し上げます。 第一に、この
法律案
におきましては、
工場
その他の
事業場
における
事業活動
に伴って
発生
する
悪臭物質
の
排出
を
規制
する等の
措置
を講ずることにより、
生活環境
を
保全
し、
国民
の健康の
保護
に資することを
目的
としております。 第二に、
規制
の
対象
とする
悪臭物質
は、
アンモニア等
の不快なにおいの原因となる
物質
について、これを
政令
で定めることといたしております。 第三に、
規制地域
は、
都道府県知事
が
市町村長
の
意見
を聞いて指定することといたしております。 第四に、
規制基準
は、
総理府令
で定める範囲内において、
大気
中の濃度の
許容限度等
として、
都道府県知事
が
市町村長
の
意見
を聞いて定めることといたしております。 第五に、
規制地域
内に
工場
その他の
事業場
を設置している者は、
規制基準
を順守しなければならないものとし、これに違反している者に対しては、
都道府県知事
が
改善勧告
及び
改善命令
を発することができることといたしております。 第六に、
市町村長
は、
住民
の
生活環境
を
保全
するため必要があるときは、
関係都道府県知事
に対して
規制地域
の指定、
規制基準
の設定、
改善命令
の
発動等
を要請できることといたしております。 第七に、国は、
悪臭防止施設
の設置または
改善
につき、資金の
あっせん等
の
援助
につとめるとともに、
悪臭防止
に関する
研究
の
推進
につとめることといたしております。 第八に、
都道府県知事
の
権限
に属する
事務
のうち、
政令
で定めるものは
市町村長
に委任することができることといたしております。 以上が、この
法律案
を
提出
する
理由
でありますが、何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
占部秀男
6
○
委員長
(
占部秀男
君) 次に、
特定工場
における
公害防止組織
の
整備
に関する
法律案
について、
宮津通産大臣
よりお願いいたします。
宮澤喜一
7
○
国務大臣
(
宮澤喜一
君)
特定工場
における
公害防止組織
の
整備
に関する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
趣旨
を御
説明
申し上げます。 近年における
わが国経済
の
高度成長
は、
国民生活
の著しい向上をもたらした反面、
産業活動
の
飛躍的拡大
、人口の
都市集中等
に伴って
大気汚染
、
水質汚濁
、
騒音等各種
の
公害
問題を
発生
せしめ、
国民
の健康や
生活環境
に重大な
影響
を与えるに至っております。 このような事態に対処して、
政府
といたしましては、さきの
臨時国会
において、
公害対策基本法
の
改正
、
大気汚染防止法
の
改正
、
水質汚濁防止法
の
制定等公害関係
十四
法律
の成立をはかり、
公害対策
の
強化拡充
につとめているところであります。 しかしながら、
産業公害
の
防止
に万全を期するためには、
各種
の
規制措置
の
強化
とともに、これに対応して、
事業者
による
工場
内の有効適切な
公害防止体制
が
確立
されることが必要であります。 このため、今回、
工場
における
公害防止組織
の
整備
をはかり、もって
公害
の
防止
に資するため
所要
の
措置
を講ずることを
目的
として本
法律案
を
提出
した次第であります。 次にこの
法律案
の
趣旨
について御
説明
申し上げます。 第一は、この
法律案
の
適用対象
となる
特定工場
についてであります。 この
法律
は、
工場ごと
に
公害防止統括者
、
公害防止管理者等
の
選任
を義務づけることとしておりますが、その
選任
が義務づけられる
工場
は、
ばい煙発生施設
、
汚水等排出施設
、
騒音発生施設
または
粉じん発生施設
を設置する
工場
で
政令
で定める
要件
に該当する
特定工場
としております。 第二に、
特定工場
におきましては、
事業者
は、
工場
の
事業
の
実施
を
統括管理
するいわゆる
工場長
を
公害防止統括者
として
選任
し、
公害発生施設
の
使用方法
の
監視
、
公害防止施設
の
維持等工場
における
公害防止
に必要な業務の
統括管理
を行なわせなければならないこととしております。 なお、
政令
で定める
要件
に該当する小規模の
事業者
については、
公害防止統括者
の
選任義務
を免除することとしております。 第三に、
特定工場
におきましては、
事業者
は、さらに
公害防止管理者
を
公害発生施設
の
区分ごと
に
選任
し、
公害発生施設
において
使用
する燃料または原材料の
検査
、
ばい煙量等
の
測定
の
実施等公害防止
に関する
技術的事項
の
管理
を行なわせることとしております。このほか、大規模な
ばい煙発生施設
と
汚水等排出施設
が併置されている大
工場
については、
公害防止管理者
を指揮して
公害防止統括者
を補佐する
公害防止主任管理者
を
選任
させることとしております。 第四に、これらの
公害防止管理者
や
公害防止主任管理者
には、
国家試験
に合格した者その他
政令
で定める資格を有する者をもって充てなければならないこととしておりますが、このため、国及び
地方公共団体
は、
公害防止管理者
及び
公害防止主任管理者
として必要な知識及び技能を習得させるため必要な指導その他の
措置
を講ずるようつとめるものとしております。 第五に、
都道府県知事
は、
公害防止統括者等
が
公害関係諸法令
に違反したときは、
事業者
に対し、これらの者の解任を命ずることができることとしております。 このほか、
都道府県知事
の
権限
の
市町村長
への委任、
立ち入り検査等
につき、
所要
の
規定
を設けております。 以上がこの
法律案
の
提案理由
及び
趣旨
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、御賛同くださいますよう御願い申し上げます。
占部秀男
8
○
委員長
(
占部秀男
君) 次いで、
環境保全基本法案
、
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
及び
公害紛争処理法案
について、
発議者衆議院議員細谷治嘉
君から発言がございます。
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
占部秀男
9
○
委員長
(
占部秀男
君)
速記
をつけて。
細谷治嘉
10
○
衆議院議員
(
細谷治嘉
君) ただいま議題となりました
環境保全基本法案
につき、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。 今日まで
わが国
は高い
経済成長
を遂げましたが、反面で広範かつ深刻な
公害
の発生をもたらしたことは御承知のとおりであります。 今日、
わが国
における
公害
の惨禍は一部の地方、地域にとどまるものではないことは明らかであります。
工場周辺
には何らかの
公害
が発生していると言っても過言ではありません。水俣、
四日市
、神通川、阿賀野川など、企業の私害とも言うべき
公害
をはじめ、東京、大阪など
太平洋ベルト地帯
の水や空気が
許容限度
をこえて年々
汚染
が
深刻化
しており、
太平洋岸
の沿岸はもはや漁場としての価値がなくなるほど
汚染
と破壊が進んでおります。一方、陸上においても、
プラスチック等
の膨大な量の
産業廃棄物
が処理の見通しのつかないまま捨てられ、農薬その他による土壌の
汚染
が
年ごと
に悪化している情勢にあります。 こうした事実は、われわれがやむを得ないこととして放置し、または、生産と
企業利益
が優先するとして軽視することは決して許されないことは言うまでもありません。 すでに国民の体内には、異常なほどBHC、鉛、水銀、
カドミウム等
の
有害物質
が蓄積されております。都会では珍しくなくなった
気管支障害
の増大、
わが国
では比較的少ないとされた
肺ガン
の著しい増加、さらには、文明の発展とともに増加している
異常児
の出生など広範な
環境
の
汚染
を示す証拠はすでに明白なことであります。こうした事実は、これまで政府が行なってきた
公害対策
のような経済との調和した
公害対策
、限られた
社会資本
のたらい回わしによる
公害防止対策
によっては決して解決し得るものではないことは明らかであります。 今日われわれが受け継いだ
文明社会
の秩序を根本的に再検討し、改めることなくしては、
公害
を
防止
し、
環境
の
保全
をはかることは不可能であると申して決して過言ではありません。
公害
の
防止
は、企業の利益に優先するものであります。同時に、
自然環境
の
許容力
には明らかに限界があり、人間は
自然環境
との調和の中で生存せざるを得ないという事実は、いかに文明が発達しようとも普遍的な原理であります。資源の浪費は
企業利益
と一致するものであっても、
環境
の
保全
とは相いれないものであります。 ここにおいて、
公害防止
は、健康にして文化的な生活に必要な
環境
の
保全
の施策の一環として、
自然環境
の
保全
、
社会資本
の充実を一体のものとして実施し、
汚染
を未然に
防止
することに国の施策が貫かれなければならないことは明らかであります。 ここに提案いたしました
環境保全基本法案
は、かかる
環境
に対する国の施策の
基本姿勢
を正し、
環境保全
を今日、人類が直面する最大の課題として取り組むという
闘争宣言
であり、われわれの子孫に対する責務を明らかにしたものというべきものであります。 以上が本
法案提出
の理由であります。 以下、本
法案
の内容の概略について御説明申し上げます。 まず、前文及び目的、
基本理念
におきまして、健康で文化的な生活を営むことは、国民の基本的な権利であり、そのため良好かつ快適な
生活環境
が国民何人にも保障されなければならないことを明らかにしております。今日の著しい
環境
の
汚染
はもはや人類の生存にかかわり、われわれとわが子孫のために、あらゆるものに優先して、人と自然との調和を基本とする新たな社会の建設に取り組まなければならないことを明らかにしております。 さらに、この
法律
は、単に
公害対策
にあるのみではなく、国民が健康で文化的な生活を営むために必要な
自然環境
及び資源の確保、すぐれた自然的景観十分な
公共的施設
の整備、さらには文化財の
保全等
を含む良好な
環境
の
保全
にあり、したがって、人と財産への
被害
を
防止
するのみならず、
自然環境
の
汚染
、人と自然との調和がそこなわれることも一体のものとして
防止
しなければならない旨を明らかにしております。 したがいまして、第四条以降では国及び
地方公共団体
は、かかる良好な
環境
の確保に関する施策を
総合計画
及び
年度別計画
によって総合的に実施することを義務づけております。 第二章におきましては、政府は、
自然環境基準
、
施設環境基準
、さらに
公害防止環境基準
を、
学識経験者
によって構成する
環境保全会議
の議を経て、
類型別
に設定し、
都道府県
は、その地域の状況に応じて類型の中から
環境基準
を適用することとしております。 第三章におきましては、国、
地方公共団体
は、すべての
産業政策
、
企業利益
に優先して
公害
の
防止
を行なわなければならないこと、
事業者
は
公害防止
の責務があると同時に、
産業廃棄物
の処理、さらには製品の使用に伴って
公害
の発生が起こらないよう必要な
措置
を
構ずる責務
があることを明確にしております。 また、
地方公共団体
は、認定した
公害防止環境基準
を維持するため、
排出等
の規制を実施し、国は
公害防止
のために必要な
事業活動
の禁止、規制、さらには
施設等
の
改善命令
、操業の
停止等
の
規制制度
の確立を行なわなければならないと同時に、
公害予防
の観点に立ち、製品の
審査制度
を確立し、製品の
品質等
の
改善命令
、
販売等
の規制を実施しなければならないことを明示しております。 さらに、
公害防止
のため、調査、監視、
試験体制等
を総合的に整備しなければならないことを義務づけるとともに、
公害
の総損失の計量、
植生図
の
作成等
、
公害予防
に必要な調査及び必要な
科学技術
の振興、
専門技術職員
の
確保等
を行なうことを義務づけております。 また、
事業者
は
公害防止
に関する
統轄責任者
を置かなければならないこと、
被害
にかかわる
紛争
に関する
損害賠償等
の
裁定制度
の確立、
生活保障
を含めた
被害者救済制度
の確立、無
過失損害賠償制度
の
確立等
をそれぞれ定めております。 第四章におきましては、良好な
環境
を確保するための国土の
開発整備
に関する計画の整備、
土地利用
の規制、
自然環境基準確保
に関する施策を明らかにし、日照の保護を明文化するとともに、
地方公共団体
に対する
財政措置
及び
環境保全
に対する
教育等
の国民の理解の促進、
国際協力
の
推進等
を定めております。 第五章におきましては
環境保全省
及び
環境保全会議
、
環境問題研究所
に関し所要の規定を設けております。 以上本
法案
を提出いたしました理由及びその大要について御説明申し上げます。 次に、
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
につき、提案の理由とその内容の概要を御説明申し上げます。 今日、
公害
による
被害者
は、
公害患者
として政府が認定したものだけでも七地域、約二千三百人をこえております。また、自治体で受けた
公害苦情件数
は、昭和四十四年度で四万件以上にものぼっていることを考え合わせますと、七地域以外においても
公害
による
被害者
が発生し、それらの数は膨大になると考えられます。 ことに、熊本、新潟の水俣病、富山のイタイイタイ病、
四日市
、
川崎大阪
、尼崎の
ぜんそく病
などの
公害患者
の悲惨な実態を見るとき、現在の
公害被害者救済制度
の立ちおくれを指摘せざるを得ません。現行の
公害被害者救済法
は、その対象を大気の
汚染
と水質の汚濁による健康の
被害
に限定しているだけでなく、
医療救済
、
介護手当
の内容がきわめて不十分であり、また、
被害者
及び家族の
生活費
についての配慮を全く欠いております。 昨年末の
臨時国会
におきまして
公害対策基本法
の一部改正をはじめとした十四件の
公害関連法
が成立しましたが、
公害被害者
の
救済措置
については従来のままであり、
公害予防
の見地からこれを充実するのは緊急の課題であります。 以上が本
法案
の提出の理由でありますが、次に、本
法案
の内容について概略を御説明申し上げます。 まず、この
法律
の目的でありますが、
公害
にかかわる健康の
被害
に関して
医療費
、
医療手当
、
介護手当
、
生活援護手当
または
埋葬料
を支給し、及び
健康診断
を行ない、並びに物の
被害
による収入の減少に関して
特別手当
を支給する
措置
を講ずることにより、その
被害
の
救済
をはかることとしております。 次に、この
法律
における「
公害
」とは、大気の
汚染
、水質の汚濁、土壌の
汚染騒音
、振動、地盤の沈下または悪臭の影響によって人の生命、身体、財産または
生活環境
が侵害されることと定義しております。 第二章におきましては
都道府県知事
に、
公害
にかかわる健康についての
被害
が生じ、または生じるおそれのあると認められる地域の住民について
健康診断
を行なうこと、
健康診断
に関する記録の作成と
一定期間
の保存を義務づけております。 第三章は、健康にかかわる
被害
についての
救済措置
でありますが、
都道府県知事
は、
環境保全大臣
の指定する疾病にかかっている者の申請に基づき、
公害
にかかわる疾病または障害の認定を行なうとともに、
公害被害者手帳
の交付を行ない、
認定被害者
に対する
救済
として
医療費
、
医療手当
、
介護手当
、
生活保護手当
または
埋葬料
を支給するものとすることとしております。
医療費
の額は、
社会保険法
または
医療費
の
公的給付
に関する法令の規定に基づく医療に関する給付の
自己負担分
に
相当額
とし、
保険医療機関
で医療を受けた場合は、
当該保険医療機関
に対する直接支払いの方法をとるものとすること、
医療手当
は医療を受けている
認定被害者
に対して月額六千円を限度として支給すること、
介護手当
は介護を要する
認定被害者
に対して月額三万円を限度として支給すること、
生活援助手当
は
認定被害者
の
収入減
を補てんするために政令で定める
生計基準額
から収入を差し引いた額を支給するものとすること、
認定被害者
が死亡したときはその埋葬を行なう者に対し
埋葬料
として三万円支給することとしております。 第四章は、物にかかわる
被害
についての
救済
でありますが、
都道府県知事
は、
環境保全大臣
が指定する地域において、
環境保全大臣
の指定する農産物その他の物について
公害
にかかわる
被害
が生じた場合の収入の減少による
生計費不足分
を補てんするために、政令で定める期間、
特別手当
を支給するものとし、その額は、政令で定める
生計基準額
から収入を差し引いた額とすることとしております。 第五章では、
都道府県
に
公害被害者
の認定に関して議決する機関として
公害医療審査会
を置くものとすることとしております。 その他、この
法律
に定める
公害
にかかわる
被害者
の
救済措置
に要する費用は、
当該都道府県
の支弁とし、国は、
都道府県
に対してその全額を交付するものとするとともに、国は、この
法律
の規定により支給した金額の限度において、
公害
にかかわる
被害
の
加害者
に対して有する
損害賠償
の
請求権
を取得するとしております。 以上、本
法案
を提出いたしました理由及びその内容についてであります。 次に、
公害紛争処理法案
につき、提案の理由とその内容の概要を御説明申し上げます。 昨年末の
臨時国会
におきまして十四件の
公害関連法
が成立しました。これは、社会、公明、民社の野党三
党共同提案
による
環境保全基本法案
の精神に比べますならば、まだまだ不十分であると言わざるを得ませんが、それらの
法律
が成立していない時点と比べますならば一歩前進と評価すべきでありましょう。しかし、
公害対策
の万全を期するためには、さらに
抜本改正
もしくは
新規立法措置
をとらなければならないと思われる幾つか問題が指摘されます。その一つが、
公害紛争
の処理に関する
措置
であります。 現行の
公害紛争処理法
では、
中央公害審査委員会
は独立の
行政委員会
ではなく
総理府
の
付属機関
となっているため弱体であることは否定できず、その上、
仲裁制度
も、
当事者双方
の合意による中立が
仲裁開始
の条件となっており、したがって、これを利用するかいなかは事実上
加害者
の選択にまかされ、今日の
企業者
の
倫理意識
と
責任感
では、この制度は十分に機能していないと言って言い過ぎではありません。ことに、今日の
公害裁判
を見ますならば、時間と金のかかる
民事訴訟
で行なわれており、この間
被害者
は悲惨な中で放置されている現実を見ますならば、準
司法的権限
をもつ
紛争処理機関
を設置し、迅速かつ科学的に処理する裁定を行なうことが緊急の課題であるといえます。 以上が本
法案
の
提案理由
でありますが、次に本
法案
の内容の概略を申し上げます。 第一に、
公害
の
紛争
については、和解の仲介及び調停の制度並びに
裁定制度
を設けて、解決をはかることといたしております。特に、
加害者
の責任を徹底的に究明するため、
当事者
の一方のみの申し立てでも開始される準司法的な
裁定制度
を設けたのであります。 第二は、組織としては、中央に
国家行政組織法
による
三条機関
たる
公害審査委員会
を、
都道府県
に、
公害紛争調停仲介委員会
を設けることといたしております。中央は裁定を、地方は和解の仲介及び調停を行なうのであります。 第三は、中央の
公害審査委員会
に
公害専門調査会
を設けたことであります。
公害紛争
の焦点は、
因果関係
の究明が困難な点にあるのでありますが、これを究明させるため権威ある
自然科学者
を
専門調査会
に動員いたしまして、これに
自然科学
上の判断を行なわせ、
法律的判断
たる裁定はその意見に基づいて
裁定委員会
が行なうこととし、
専門調査会
の
委員
及び
臨時委員
は、審理、
証拠調べ
に立ち会い、独自でも事実調査をすることを認め、これによって裁判上
救済
の困難な事案を
救済
するレールを敷いたわけであります。 第四は、裁定と訴訟との関係について、特に大気の
汚染
または水質の汚濁によって生じた人の生命または身体にかかわる
被害
についての
損害賠償
に関する
紛争
その他の民事上の
紛争
については、裁定を経た後でなければ、訴訟を提起することができないこととし、裁定の権威を高めるための機構、運営に万全を期することといたしております。
裁定委員会
の
証拠調べ
及び
証拠保全
、
職権探知
、
立ち入り検査等
も、
公害専門調査会
の活動と相まち、裁定の
科学性
、
合理性
、
客観性
を立証するための必要な
措置
と申すべきであります。 第五に、裁定の効力は、裁定について、
裁定書
の正本の送達を受けた日から三カ月以内に、訴えの提起がなかったとき、裁定の内容について
当事者
間に合意が成立したものとみなすことといたしております。 以上が三つの
法案
についての提案の理由及び内容の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願い申し上げます。
占部秀男
11
○
委員長
(
占部秀男
君) 引き続き
悪臭防止法案
について、
衆議院産業公害対策特別委員長小林信一
君から、
衆議院
における
修正点
の
説明
を聴取いたします。
小林信一
君。
小林信一
12
○
衆議院議員
(
小林信一
君)
内閣提出
の
悪臭防止法案
に対する
衆議院
修正の
趣旨
について御
説明
申し上げます。 まず修正の第一点は、本法第八条の
都道府県知事
が発動する
改善勧告
及び
改善命令
の
要件
についてであります。すなわち第八条第一項中、「
事業場
の周辺
地域
における
住民
の
生活環境
がそこなわれていると認めるとき」とあるを「
住民
の
生活環境
がそこなわれていると認めるとき」に改めることにより、
規定
実施
の際の無用の誤解を取り除こうとしたものであります。 第二点は、
改善命令
の
規定
について、附則第一項ただし書きにより、法施行後も二年間は施行しないこととされているのを
政令
で定める
事業場
に限り、法施行の日から二年間の猶予
期間
を設けることに改め、零細
企業
、皮革業等特に配慮を必要とする
事業場
以外のものについては、
公害
苦情の現状等から本法の早期
実施
を配慮いたしたものであります。 以上であります。
占部秀男
13
○
委員長
(
占部秀男
君) これより
悪臭防止法案
について質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
内田善利
14
○
内田
善利
君
悪臭
につきましては、
公害対策基本法
が制定されて以来
公害
として取り扱われておるわけですけれども、また、へい獣
処理
法とか、あるいは清掃法等でも
悪臭
の
発生
源の
規制
をする
法律
があります。 〔
委員長
退席、
理事
久次米健太郎
君着席〕 しかしながら、
公害防止
ということについてはほとんど役立っていないと、このように思われるわけです。その
証拠
には、各
地方公共団体
で一番苦情が多いのが騒音とともに
悪臭
であるということから、早急にこの
公害防止対策
が講ぜられなければならないわけですけれども、実情は、昨年の
臨時国会
でも見送られ、今日に至ったわけでございますが、この
法案
が成立することによって法制面では一応
整備
されることになると思いますけれども、はたしてこの
法案
が成立した場合に、実効のある
悪臭
公害防止対策
が期待できるのかどうか、まずこの点からお聞きしたいと思います。
橋本龍太郎
15
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) 先生よく御承知のとおりに、いわゆる
公害
の中で指摘されております
悪臭
というものの中には、本来
水質
の
保全
が完全に行なわれるならば
悪臭
は
発生
し得ないはずのものが、
水質
の
管理
の上に問題がありますために、ヘドロが堆積をして
悪臭
を発するようなケースもございます。それだけにこの
悪臭防止
法だけで私は臭気に関する問題一切が解決をするとは申せません。しかし、
悪臭
の原因となる
物質
を
規制
していくことによってほかの関連
法律
と併用し、運用をはかってまいりますならば、私どもは
悪臭
による
被害
というものは非常に
減少
させていくことができると、今日考えております。
内田善利
16
○
内田
善利
君
大気汚染防止法
あるいは
水質汚濁防止法
で
排出
規制
ができればということですけれども、諸外国は
大気汚染防止法
あるいは
水質汚濁防止法
で
悪臭
を出す有毒
物質
も
規制
しているわけですけれども、いろいろ考えてみますと、洞海湾の場合について考えてみましても、例をあげますと確かに
悪臭
を放っております。そして、風向きの方向によってはひどい
悪臭
で、ぜんそく患者とかあるいは心臓病の人などはその
悪臭
によって発作を誘発するというような面もあるわけですが、そういった場合、この
法案
が成立しますと、
悪臭
が出た、
規制
する、そういう場合にどこで
一体
規制
するのか。各
工場
から有毒
物質
が
排出
されておる、それが原因で
悪臭
を発するようになる、その
悪臭
に対して
規制
をするという
法律
がいまできるわけですが、
水質汚濁防止法
によっても
規制
がされておる。こういった
関係
で、かえって
悪臭防止
法ができることによって混乱を起こすおそれはないかということを心配するわけですが、諸外国のように
大気汚染防止法
あるいは
水質汚濁防止法
で
規制
はできないものか、この点はどうでしょうか。
橋本龍太郎
17
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) 確かに先生の御指摘のような考え方も私はできないとは申しません。しかし、まあたまたま先生いま洞海湾を例として取り上げられましたが、いずれの
地域
であれ、この
悪臭防止
法の第四条の中に、
事業場
における
事業活動
に伴って
排出
される
悪臭物質
というものを幾つも条文もありますとおりに、
工場
等から
排出
される排煙あるいは排水、そうしたものの中に含まれている原因
物質
が、
大気
の
保全
あるいは
水質
の
保全
という観点から見れば許容のうちにあるものでありましても、においという点においては非常に付近の人々に不快感を与えるようなケースも当然私はあると思います。それが必ずしも
大気汚染防止法
あるいは
水質
保全
法というものの中で処置し得るものばかりとは考えられません。同時に、においのないものでありましても有害なものはたくさんあるわけでありまして、
大気
保全
の見地から、
水質
保全
の見地から、当然取り締まらなければならぬものも多くありましょう。そうした場合に、私はやはりにおいに対する一つの法体系というものは必要だと考えます。そして、それと同時に、この法を施行し
実施
していくことによって、
地方
自治体においても、またその
悪臭
を
発生
するおそれのある
発生
源、施設においても、においという比較的今日まで対策がなおざりにされてまいりました
公害
の中の一つの大きな問題に対して認識を深め、対策を
実施
していく姿勢を植えつけていく役割りもあるかと思います。最初に申し上げましたように、私は
悪臭防止
法そのものだけで一切のにおいについての問題を解消し得るとは申し上げることはできません。こうした諸点を考え合わせてまいります場合、やはりこうした一つの法体系をとっていくという考え方が
わが国
の場合においては至当なものと考えております。
内田善利
18
○
内田
善利
君 このことについては、あとでまた詳しくお聞きしたいと思いますが、次に第一条の「
国民
の健康の
保護
に資することを
目的
とする。」と、このようにありますが、この「資する」という意味をお聞かせ願いたいと思います。
橋本龍太郎
19
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) これはどうもちょっとどういうふうに申し上げるのが一番的確か、非常に表現のしづらい部分でありますけれども、においというものの性格からして他の
大気汚染
あるいは
水質
の
汚染
、こうしたものと違って、
国民
の健康上の問題を
発生
する以前に実は
悪臭公害
というものはその周辺の
生活環境
そのものを実は破壊していくわけであります。確かににおいが非常にきついことによって病気が誘発されるということも当然あるでありましょう。そういうこと以前にもうその
被害
は非常に不愉快な状況になります。
生活
し得ない
環境
をつくってしまう。その場合に、ほかの
公害
問題と
悪臭公害
というものの違う点がそこに一つございます。そこでまず
生活環境
を
保全
し得る状態をつくり出すことによって人々の
生活
に何ら支障のないところまでにおいというものを取り除いていくことができれば、当然
国民
の健康に
影響
を与えるような問題というものは起こり得ない。他の法体系と異なりまして、むしろ「
生活環境
を
保全
し、
国民
の健康の
保護
に資する」という語句を使いましたのは、こうした
悪臭公害
というものの他の
公害
問題と違った一つの姿というもの、それを考えてこういう体系をとりました。
内田善利
20
○
内田
善利
君 政務次官がおっしゃることはよくわかるわけですが、どうもこの
法案
には、
国民
の健康を守るというような字句が全然見つからないわけですが、最後のこの
理由
の欄のところも、「
悪臭
により
国民
の
生活環境
がそこなわれている実情にかんがみ」と、こういうことで、
国民
の健康を
悪臭
がそこなっているというような字句は全然見当たらないわけですが、実情は先ほども申しましたような実情にありますし、そういったことから第一項の
目的
は、「
国民
の健康の
保護
に資する」と、こういうふうになっておるということですが、
国民
の健康を守る、その前の段階で
生活環境
を
保護
すると、そういうことだと思います。どうもこの
法案
はもう少し
国民
の健康ということを、
大気汚染防止法
あるいは
水質汚濁防止法
とは違うとおっしゃいますが、やはり両
法律
には、
国民
の健康を
保護
するとともに
生活環境
を
保全
するというふうに明確にうたってあるわけですが、この
法律
にはそれがないけれども、それはそれでいいわけですね。
橋本龍太郎
21
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) 騒音
規制
の場合も同じような御指摘がたしか先生からなされたと思いますが、むしろ
国民
の健康に
被害
の起るところまで放置をすること、これのほうが実は私はたいへんな問題だと思います。むしろこの
悪臭防止
法の場合に、
国民
の健康の
保護
をまず前提に出していった場合、では健康上に直接何らかの
影響
が出てこなければ、そこまで
悪臭
は発せられていいのか、
生活環境
そのものは破壊されても直接健康に
被害
が出なければいいのかというような極端な議論もなし得ないわけではございません。私どもは、むしろ健康に
被害
は一切起こらなくても、健康の上に何らの問題は起こらなくても、
悪臭
というものを
公害
の中で考える場合には、
生活環境
が破壊されることのほうが、まずやはり優先して考えられなければならないことだと思います。健康に
影響
を及ぼすところまで
悪臭公害
というものを放置しておくことのほうがむしろ問題ではないだろうか。それよりも早く
生活環境
を完全に
保全
することによって、むしろ健康上の問題まで考慮しなくても済む状態をつくる、それが
悪臭防止
というものについての
基本
的な考え方でないかと思っております。
内田善利
22
○
内田
善利
君 その次の第二条ですが、「
生活
と
環境
をそこなうおそれ」というのは、具体的にどういうことですか。
橋本龍太郎
23
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) においにはそれこそ、私はあまりにおいに鋭敏のほうではございませんけれども、非常に個人差がございますが、不特定多数の住宅の存在する
地域
をかりに想定した場合、その中に何らかの
悪臭
発生
源があるといたします。ごく鋭敏な方だけがときに風の間に間に、においを感じられる程度であれば、これは
生活環境
を破壊するとは言えないかも知れません。しかし、その中でも過半数の方々がそのにおいのために一日じゅう朝起きた瞬間から寝つくまで不愉快であるというような状況であれば、これはやはり一つの
生活環境
の破壊ということにつながってくると思います。それが天候その他種々の状況でいろいろのケースが出てまいるでありましょうけれども、そういう
物質
が
排出
された場合、周辺の人々に不快を催せしめるというような
物質
——非常にあいまいな言い方でありますが、実はこれを読みあげましてもけっこうでありますけれども、実はそういう意味で考えられる
物質
というものは非常にたくさんございまして、その中の代表的なものを私どもは
政令
で今日ここで定めようとしておるわけでありますけれども、これ以外に問題を起こす可能性のあるものがないとは申せません。その点非常にばく然とした表現をとっておるという御指摘かと思いますが、におい、こういう非常につかみにくい性格のものを
対象
としたものでありますだけに、この表現はお許しをいただきたいと思います。
内田善利
24
○
内田
善利
君
政令
で定めるものは十三種類だと聞いておりますが、はたして十三種類でいいのかどうか。この「
生活環境
をそこなうおそれのある
物質
」といったら相当数あるのではないか。養豚、養鶏あるいは水産加工物等いろいろあげれば相当「
生活環境
をそこなうおそれのある
物質
」があるのじゃないか、そのように思って質問したわけですが、
政令
で定められる予定は十三種類ですか。
橋本龍太郎
25
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) さしあたり十三種類を考えております。
内田善利
26
○
内田
善利
君 それから
規制地域
ですが、この
法案
は、
規制地域
、たとえば
悪臭物質
があってもなくてもとにかくこの団地はあってはならない、そういうことが中心になって、この
悪臭物質
を出す
工場
あるいはその他の
事業場
が中心になっていないように思いますが、この点はいかがでしょう。
橋本龍太郎
27
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君)
悪臭物質
の
排出
を
規制
する
地域
を
都道府県知事
が指定するという考え方をとっておりますのは、
悪臭
というものによる
被害
というものはおおむね感覚的なものにとどまる。同時に
悪臭
の原因となる
物質
というものについては、カドミウムその他非常に蓄積が問題になる微量重金属によるようなものの
被害
等の
発生
等とは異なりますために、むしろにおいというものを考えていく場合には、
住民
に
影響
を与えないような
地域
というものは特に
規制
を行なう必要がないと考えたからであります。
内田善利
28
○
内田
善利
君
悪臭物質
についてですけれども、いまおっしゃったように一応考えますけれども、
規制
物質
、
悪臭物質
が感覚的
方法
によって認められるわけですけれども、現に日本に起こっておる
悪臭
というのは、先ほどもちょっと申しましたが、養豚、養鶏あるいは水産加工物
関係
あるいは畜産の
工場
集団があって、その
工場
集団からいろいろの水が排水されて、そしてそれが海で化学変化を起こしたのかどうか、非常に
悪臭
を放つ、そういう非常に複雑な
悪臭
の状況にあるわけですが、はたしてこういったことで、第三条のようなことで
規制
ができるのかどうか、非常に疑問に思うのですが、この点はいかがでしょう。
橋本龍太郎
29
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) 私どもは、少なくとも
都道府県知事
という
地方
自治体の首長がその
地域
地域
における
住民
の声を吸い上げつつ
地域
をきめてまいりますならば、十分にそうした問題点については対処し得ると考えております。
内田善利
30
○
内田
善利
君 次に、第三条の
地域
の
規制
ですけれども、たとえば隅田川のようなあの
悪臭
はこの
法案
でなくすることができるかどうか。
橋本龍太郎
31
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) 私は、隅田川のようなケースというもの、むしろこれは
悪臭防止
法以前に
水質
保全
の立場から
処理
をされるべきものだと考えております。というのは、むしろこれはにおいがすることが隅田川の問題ではございません。
汚染
し、ある程度のヘドロが堆積し、そのために流水そのものが完全に
汚染
され、しかもそれに
工場
の廃液あるいは都市の下水の一部、こうしたものが流れ込んだ結果
汚濁
し
汚染
し、その中から
悪臭
というものが生まれてきております。今日、いわゆる他からの導水によって隅田川の浄化がはかられておるのもそうした考え方をとったわけであります。むしろ私は、
水質
保全
の立場から何とかして隅田川の
水質
をもとの状態に復せしめようという、
水質
保全
の考え方で隅田川の場合には取り組んでいく問題である。そこの中に流されておる
汚染
物質
の中で、たとえば
工場
等から
排出
される水の中の
悪臭物質
等、個々に取り締まっていかなければならないのは私どもしなければならない一つの仕事と考えておりますけれども、それだけでたとえば隅田川が完全に正常なものになるかというと、これはそうとも申し上げ切れません。最初に申し上げましたように、他の
法律
の運用と相まってということを申し上げましたのも、そうしたケースを私ども自体が想定しておるからであります。
内田善利
32
○
内田
善利
君 論点はそこにあると思いますけれども、確かに
水質
保全
法で、
水質汚濁防止法
で
規制
すべきでありますが、そういった
規制
内で出しておる排水が一緒になって化学変化を起こして、あるいは腐敗して発酵して
悪臭
を出してきた。そういう場合に、
水質
保全
法でははっきりと基準以内で出しておる。ところがそれらが一緒になって
悪臭
を放っておる、こういう場合にはやはりその
規制
は
生活環境
をそこなうおそれのある
悪臭
を放ったということで、その辺から
環境基準
なりをきめてそうして
規制
すべきじゃないか、このように思うのですけれども、その点どうですか。
橋本龍太郎
33
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) むしろ、
内田
先生の御指摘のもの、たまたま現在非常に
汚染
の度合いの進んでおる隅田川を例にとられましたので、いま申し上げたような見解を申し述べたわけであります。今後については、確かにいま御指摘のような方向へ私どもも努力をしなければならぬと思います。しかし、すでに堆積してしまい、よごれ切ってしまったもの、これの中で
悪臭
だけを取り出して
悪臭防止
法で処置できるかというお尋ねと解しましたので、これは
悪臭防止
法の範疇をはずれるというお答えを申し上げました。今後については、いま先生御指摘のとおりだと考えております。
内田善利
34
○
内田
善利
君 今後は
環境基準
をきめて、それから
悪臭防止
法を適用して取り締まりの
規制
をしていく、そういうことになりますね。たとえば洞海湾のような場合でも、もうあらゆる排水が長年の間あるいは化学変化を起こして発酵して
悪臭
を放っているわけですが、それによって
工場
の
規制
をする。
規制
をする場合に各
工場
は
水質汚濁防止法
に従ってその基準内で排水している。
悪臭
を放ったら各
工場
にどういう
規制
を
一体
すればいいのか、この点はどうですか。
橋本龍太郎
35
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君)
水質
保全
の立場から行なわれる
規制
というものは、当然おのずから、先生御承知のとおりのような形で法も運用されていくわけであります。同じように
水質
保全
法の適用の中からはずれる
物質
でありましても、いわゆるこの
悪臭防止
法で、いま私どもが
政令
によって定めようとしておる
物質
がその中に存在し、
水質
保全
法の網からははずれるが、現実に
悪臭防止
法の中で、
政令
で定めようとしている
物質
がその中に含まれて流されておる、また今後流されるとするならば、当然これは
悪臭防止
法としてのそうしたものの除去についての指導がなされるわけでありまして、むしろ今後についての行政の一面であれば、私どもはいま申し上げましたように、それぞれの
法律
が相まって処置をしていくということを申し上げているわけであります。ただすでに
汚染
し、堆積が相当量にわたり、しかもその結果、腐敗等により、流されてきた
物質
以外の
悪臭
原因
物質
の生まれてきているようなケース、洞海湾も一つでありましょう、あるいは現在ヘドロの運び出しが行なわれている田子の浦等もそうでありましょう。むしろこれは
悪臭防止
法で処置をするというよりは、むしろ他の法体系によって処置をされるべきものだと私は考えます。
内田善利
36
○
内田
善利
君 その次に、この
法案
では
悪臭
を
発生
する
発生
施設の事前
規制
というものがないように思うのですが、そういった
悪臭
を
発生
するような施設については届け出制が必要ではないか、このように考えるわけですが、将来は技術の進歩に伴って届け出制をとるべきであると、このように思いますが、その点はいかがでしょう。
曽根田郁夫
37
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君) 先生の御指摘ごもっともな御
意見
かとも存じますが、事前届け出制を設けまして、これによって事前指導を行なうという場合に、そのねらいはもちろんいろいろありますけれども、大きくいいますと、一つは事前届け出制等によって
発生
源というものを行政的にはっきりと把握しておくということが一つございますし、それからもう一つは、ただいま申しましたように、それによって届け出を受けて
悪臭
の
防止
の施設
整備
等についても事前指導を行なうということでございます。
悪臭公害
につきましては、先ほど来申し述べておりますように、これは感覚
公害
でございますので、
発生
源というものは容易に外部から認知されるという点がございます。それからまた、事前指導につきまして、これははなはだ残念なことでございますけれども、
大気汚染
や水等の場合と同じように、すべての
悪臭
の
発生
源についてすべての
地方公共団体
なり国なりがいまの段階で完全に効果のある事前指導を完全に行なうということが、実際問題としてはまず困難でございます。そういったことから、この
法律
では、他の
法律
の例にならって、たとえば特定
施設等
の
制度
を設けてこれを事前に届け出させるというような
法律
上の
規制
を行なっておりませんけれども、しかしそのことは、決して事前指導が必要ではないということではございませんので、当然市町村、
都道府県
等で行政能力等が十分あるところであれば、これは十九条にもございますように、条例をもってそういう事前指導を行なうことも可能でございますので、私どもは、そういった条例の制定におけるいろいろ助言なり指導を通じて万全の
措置
を講じてまいりたいというふうに思っております。
小平芳平
38
○小平芳平君 関連。先ほどの
政府
次官の御答弁だと、隅田川のようなものはこの
対象
にならない、現状として。そうなりますと、田子の浦も
悪臭防止
法の
対象
にはならない。今後の運営の面においては他の
法律
と相まってこうした
悪臭
の
防止
、
環境保全
にはつとめることになるだろうけれども、現状としては、こうした田子の浦、あるいは洞海湾、あるいは隅田川、あるいは長野県の諏訪湖なんかもそうですが、そういう非常な
悪臭
を
発生
している、そして
生活環境
がはなはだしく破壊されているわけです、現状として。しかし、今回の
悪臭防止法案
ではいかようともしようがない、こういうことでございますか。
橋本龍太郎
39
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君)
悪臭防止
法の第十二条に、「下水溝、河川、池沼、港湾その他の汚水が流入する水路又は場所を
管理
する者は、その
管理
する水路又は場所から
悪臭
が
発生
し、周辺
地域
における
住民
の
生活環境
がそこなわれることのないよう、その水路又は場所を適切に
管理
しなければならない。」という
規定
を置いています。ですからその意味でいくならば、確かにそうした、いま先生が幾つか列挙されたようなケース、これはその
対象
になるということも申せましょう、しかし現実問題として、これが十分に適切に
管理
が行なわれておればむしろ問題は起こらぬわけであります。そうしていま御指摘になりましたようなそれぞれのケース、隅田川の場合、あるいは洞海湾の場合、あるいは諏訪湖の場合、田子の浦の場合、いずれも特定の、あるいは不特定多数の
企業
の排水、あるいは家庭排水、こうしたものが積み重なって今日の汚水状況を来たしております。その中からなされなければならないことは、この状況をいかにしてもとに復するかということでありまして、その中でにおいだけを取り出して消すという
方法
ははっきり申し上げてありません。むしろこれを解決していくためには、その中で堆積しておる従来からの汚水
物質
を取り除き、水が流れるようにし、同時に新規に流入してくることをとめる。そうした
方法
をとらざるを得ないわけであります。その場合には、
悪臭防止
法がそれを命ずるというよりも
水質
保全
法等がそこにかぶさってくる、あるいはかさ上げ法等の適用が行なわれる。そうした結果、正常な水の状態を取り戻し、においがなくなるということでありまして、その中から
悪臭
だけを取り出してぱっと一ぺんに解決をするというような方途はございません。
小平芳平
40
○小平芳平君 私がお尋ねしている点は、この
法律
のねらいについてお尋ねしているんですが、それはこの
法律
のねらいとして、まあ養豚場、養鶏場、あるいは化学
工場
、そういうところから
発生
しているそういう
悪臭
を
防止
しよう、これが一つあると思うのです。それとまた、いま指摘された十二条の
管理
者が、建設大臣の場合も、知事の場合も、あるいは個人の場合も、
管理
者はいろいろあると思いますが、 〔
理事
久次米健太郎
君退席、
委員長
着席〕 そういう
管理
者が
環境保全
につとめなければならないというところに大きな一つのねらいがあるのではないかというような気もいたしますが、その辺について……。
橋本龍太郎
41
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) この
法律
の
目的
に書きましたとおり、「
工場
その他の
事業場
における
事業活動
に伴って
発生
する
悪臭物質
の
排出
を
規制
することにより、
生活環境
を
保全
し、
国民
の健康の
保護
に資することを
目的
とする。」しております。同時に、ただいま先生の御指摘になりましたように、第十二条に書かれておりますように、従来の積み重ねによってすでに
悪臭
が
発生
している場合もありますし、
管理
が不十分であった、あるいは今後
悪臭
の
発生
し得るような可能性のあるような下水溝、河川、池沼、港湾その他の汚水が流入する水路または場所、これを正常化していきたいという考え方ももちろんございます。しかし、現実にすでに
汚染
の度合いの進んだ河川、あるいは池沼あるいは港湾、こうしたものについてはそれを回復していくことは、この法体系からだけで処置をするというよりも、他の法体系を駆使して、むしろ、それ以前の問題を解決することによって
悪臭
問題というものも解決をしていきたい。先ほどから申し上げたとおりでございます。御指摘の点は、先生のいまお話しのとおりであります。
内田善利
42
○
内田
善利
君 次に第七条ですが、「
規制地域
内に
事業場
を設置している者は、当該
規制地域
についての
規制基準
を遵守しなければならない。」と順守義務を設けてあるわけですが、やはり
悪臭公害
というのは非常に多いわけですが、もう少しきびしくする必要はないかどうか。直罰方式を導入したらどうかと、このように思うわけですが、この点いかがですか。
橋本龍太郎
43
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) 昨年の
臨時国会
で
改正
をされました、あるいはまた新たに制定されました
大気汚染防止法
、
水質汚濁防止法
等については、
規制基準
を順守しなかったり、すなわち違反すれば、
排出
を行なった者に対しては、いわゆる直罰をもって臨むことにしておりますけれども、これは
大気汚染防止法
やあるいは
水質汚濁防止法
によって
防止
しようとしている
被害
は、直接、人の健康あるいは
生活環境
についての具体的な、また
生命
の不安にもつながるような重大な
被害
を生じるものでありますために、この
排出
基準の違反については特にきびしい態度で臨む必要があると
判断
をしてきたからであります。
悪臭
というものは、先ほどから何回か申し上げておりますように、一般には人に不快感、嫌悪感などを与えるというような性格のものでありますために、
悪臭物質
が
規制基準
をこえて
排出
されたり、またあるいは何らかの欠陥のために漏れておりましても、それが
事業場
周辺の方々の
生活環境
を直ちにそこなうという事態を生じていない場合には、むしろ、これを漏出しておる場所を修繕するとか、そういう処置をしていけばそれ以上の
規制措置
を必ずしも必要としないものでもありますし、
地域
の方々の
生活環境
に
被害
を与えておるという場合でありましても、おおむね、その
被害
というものが本質は感覚的なものでありますだけに、いわゆる直罰をもって臨むよりも、まずその漏出個所に対する
改善勧告
でありますとか、その設備そのものの
改善命令
でありますとかいうことで事態の
改善
をはかるという取り扱いをしたほうがより妥当ではないかという考え方をとってこうした形式をつくり上げたわけであります。
内田善利
44
○
内田
善利
君 非常に一貫してこの
法案
は次官のおっしゃるとおりにできておると思うのですけれども、次の第八条の二項にしましても
都道府県知事
の勧告
規定
にとどまっておるわけですが、
大気汚染防止法
あるいは
水質汚濁防止法
に違反した場合には、操業の一時停止という
規定
も設けてあるわけですけれども、実際は、クラフトパルプの製造
工場周辺
にしても、養豚、養鶏の
悪臭
にしても風向きによっては眠っておる人の目をさますほどの刺激臭があるわけですが、そういったことに対して
生活環境
の
汚染
だからというのではなしに、もう少し積極的な、勧告
規制
にとどまらず、一時操業の停止をして装置を改めるなどの勧告はできないものかどうか。そのように思うのですが、健康以前の
生活環境
を
汚染
するところでストップしたいというところの気持ちはよくわかるのですが、もう一歩
国民
の健康
被害
ということあるいは
被害者
が訴えてくるならば、その
被害者
の実情をよく聞いて、県知事がその会社、
事業場
に対して勧告をするとかいうような、もう少し
国民
の側に立った考え方はできないものかと思いますが、その辺はどうですか。
橋本龍太郎
45
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) 非常に妥当を欠くかもしれませんが、一つの想定し得るケースを考えてみたいと思うのです。たまたま一つの村の中の一定の
地域
の中で、その
地域
の農業協同組合の
関係
者が寄って大規模な養鶏団地を建設した。もちろんその
地域
にはその養鶏団地に携わらない方々も、ほかの仕事をしておられる方もおられるわけであります。大規模な養鶏団地から、清掃その他の不備のためにはなはだしい
悪臭
を生じて付近の方々から苦情がくる、そうした場合には、むしろその鶏舎そのものを清掃しあるいは鶏糞等の
処理
をきちんとしろということを勧告し、それを
実施
させることができれば十分その
地域
の人々の
生活環境
を
保護
できると私どもは思うのです。そうした場合に、それに対して直罰方式をもって臨み、いきなり罰則を加えていくことが
地域
の実態に合うかどうかにも私は疑問があると思います。この第八条は、先生御承知のとおりに、
改善勧告
をまず行なうと同時に、第二項において「勧告に係る
措置
をとるべきことを命ずることができる。」いわゆる
改善命令
も発し得るわけであります。そういう点を考えてまいりますれば、私どもは
大気
あるいは
水質
、こうした直接重大な健康
被害
、人命そのものに対しても問題の起こるようなものと同じ直罰方式を
悪臭
において採用することが妥当であるとは思いません。
内田善利
46
○
内田
善利
君 その次に同じ第八条ですが、最後の五項目の「
都道府県知事
は、小規模の
事業者
に対して第一項又は第二項の
規定
による
措置
をとるときは、その者の
事業活動
に及ぼす
影響
についても配慮しなければならない。」この「配慮」とは具体的にはどういうことをさしますか。
橋本龍太郎
47
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) これは小規模
事業者
についてはどういうふうな
改善
措置
を命ずるか、また、それをどの程度の
期間
内に達成しろということを命ずるか、こうしたことを決定する場合に、その
事業者
の資力でありますとか、経営
内容
、また同時に、その程度の小規模な
事業者
で採用し得る技術水準というもの、そうしたものをも考えて、できるだけその
事業活動
を著しく困難に追い込むことのない
措置
をとるようにということを求めているわけでありまして、それと同時に、そうした
改善勧告
、場合によっては
改善命令
というものを行なう場合に、その命じた
改善
措置
を実行することができるだけたやすく行なえるように融資を行なうとか、あるいはまた融資のあっせんを行なう、または命令勧告の出しっ放しではなくて、むしろ技術的な
援助
の助成
措置
等を講ずる。そうしたものをもあわせて行なうように期待をしておるわけであります。この場合に小規模の
事業者
と申しましても、資本あるいは技術力、
事業
規模等から考えて
社会
通念上小規模と思われる程度のものを考えておりまして、必ずしもこれ以下が小規模でありこれ以上が小規模ではないという線を引いているわけではありませんが、私どもが想定しておりますのは、中小
企業
基本
法でおおむね常時
使用
する従業員が二十人以下としてとらえられていると大体同等のものを
悪臭防止
法でいう小規模の
事業者
というふうに考えております。
内田善利
48
○
内田
善利
君 第十一条の濃度の
測定
ですけれども、これは最初に
提案
事項でしたか、「
防止技術
の
開発等
も一応の水準に達し、」とありますが、この濃度の
測定
は、現在の科学的な
測定
は可能なのかどうか。
曽根田郁夫
49
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君) 十一条の
悪臭
の
測定
についてでございますけれども、ここでは、
都道府県知事
が
規制地域
におけるいわば
環境
濃度について必要な
測定
を行なわなければならないというふうに
規定
しているわけでございます。この濃度の
測定
につきまして、最近いろいろ
測定
機器等も
開発
されまして、かなり低濃度の
悪臭
ガス等についても十分
測定
できる機器が
開発
され、すでに普及いたしております。そういったことで、私どもは、たとえばこの知事の
権限
が
市町村長
に委任されたような場合におきましても、
測定
自体としてはそう困難もなく全国的に行なわれるものと考えております。
内田善利
50
○
内田
善利
君
都道府県
あるいは市町村で、先ほどの十三の
物質
について濃度の
測定
はできるわけですね。
曽根田郁夫
51
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君) 可能でございます。それからまた、たとえば市町村等に
権限
を委任した場合に、市町村のすべてが
測定
を一々するのはというような御
意見
もあろうかと思いますので、そういった場合、場合によりますと、市町村としてはいわゆるその
悪臭物質
を含んだ
悪臭
ガスを採取いたしまして、つまりサンプルは市町村段階で採取いたしまして、それを
都道府県
のたとえば衛生試験場に持っていって
測定
してもらうとか、そういったことも考えて、実情に合ったような行政
措置
を行なってまいりたいと考えております。
内田善利
52
○
内田
善利
君
被害
を受けた
住民
の側からこの
測定
要請があった場合には
測定
できますか。
曽根田郁夫
53
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君) そういったことが実際問題としては非常に多かろうと思いまして、当然そういう場合には
測定
を行なう考えでございます。
内田善利
54
○
内田
善利
君
大気汚染防止法
あるいは
水質汚濁防止法
にはこの
測定
の公表ということがありましたが、これも当然公表されると思いますが、この点はいかがですか。
曽根田郁夫
55
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君) この
法律
では特段の
規定
はございませんけれども、そういった問題を含めまして、別にそれを隠すこともございませんので、条例等で
所要
な
措置
をとることについては私どもは差しつかえないものと考えております。
内田善利
56
○
内田
善利
君 次に十二条ですが、先ほどお話がありましたけれども、話題にのぼりましたが、
管理
者の適切な
管理
というのは、具体的にはどういうことをさしますか。
曽根田郁夫
57
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君) この十二条で
規定
いたしておりますのは、御承知のように、こういった河川、港湾等につきましては、それぞれの
法律
によりまして
管理
者の
規定
があり、また
管理
者の行なうべき
措置
等が定められておるわけでございますけれども、その中には当然
悪臭
の問題も含めました広い立場からの
規制
ということになるものもあろうかと思いますが、特段
悪臭
だけを取り出して一つに
規定
はいたしておりませんので、
悪臭防止
法制定の機会に、やはり全般的な
管理
者として
悪臭
の見地についての適切な
管理
ということでこのような条文を設けたものでございます。したがいまして、この適切な
管理
といいますのは、何といいますか、それぞれの公共水域の
管理
者として
悪臭
の見地からも当然予定される妥当適切な
管理
という程度の意味に理解して差しつかえないと思いますけれども、ただこの条文で——これは罰則もございません、訓示
規定
でございますけれども、実際問題として河川、港湾等の
管理
者は、実は、ときにはみずからがむしろ
悪臭
について
被害者
である場合が多いわけでありまして、つまり他の
事業場
等からの汚水の流入によってみずからの
管理
する公共水域が
汚染
され、
悪臭
を発する、そういう意味で
被害者
の場合が実は多いわけでございます。したがいまして、これについて非常に強い
規定
を置いたらどうかという御
意見
もあろうかと思いますけれども、そのようなこともあわせ考えまして、適切な
管理
ということでこの条文を定めたような次第でございます。
内田善利
58
○
内田
善利
君 どう考えてみましても、この
法案
が成立することによって、あの田子の浦の硫化水素がなくなるのか、洞海湾のあの
悪臭
がなくなるのか、隅田川の
悪臭
がなくなるのか、
一体
だれが、適切な
管理
をするとありますけれども、
水質
保全
法はりっぱに守られておる、
大気汚染防止法
も基準どおり守られておる、ところがその結果、
悪臭
がひどいところは
悪臭
の
管理
をするということですけれども、
大気汚染防止法
みたいに、この
管理
者が
工場
等に対してこういった
悪臭
を生ずるであろう
物質
を
排出
してはならないというようなところをどういうふうに
規制
するのか、この辺がまだ私にはよく納得いかないのですが、いろいろな
物質
が出ているが、それは
水質汚濁防止法
の基準どおりにちゃんとある、ところが出てから
悪臭
を放ち出した、そういう場合にその悪法を
防止
する
方法
はどういう
方法
があるのかですね。
管理
者が適切に
管理
するということですけれども、禁止できるのかどうか、この辺はどうでしょう。
橋本龍太郎
59
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) 先ほど小平先生にお答えをいたしました部分に一部重複をいたしますけれども、お許しをいただきます。この
法律
だけで隅田川あるいは田子の浦、洞海湾あるいは諏訪湖と例に引かれましたような
地域
の
水質
の浄化が行なえるとは申し上げられないということを私は先刻から繰り返して申し上げました。 〔
委員長
退席、
理事
久次米健太郎
君着席〕 ただこれらの河川あるいは港湾、池沼に
水質
基準がかぶせられ、その
水質
基準の許容する範囲にまでその状況が
改善
をされました時点に、今度は
悪臭防止
法そのものの役割りが出るわけであります。もしもいわゆる
水質
基準に定める以内にまで水が浄化して、なおその中から
悪臭
が
発生
し付近の方々の
生活環境
を破壊する状態が出ました場合には、おのずからその原因があるはずでして、たとえば流水の少ない、水量そのものが少ないという場合でありましたら、現在の隅田川でとられておるような増水も行なわなければならぬ場合もあるかもしれません。また、いわゆる
水質
基準の上からは問題とされておらない
物質
でありましても、
悪臭防止
法のたてまえからいけば
規制
を受けるべき原因
物質
がどこから漏出してそこにたまってきておるのかもしれません。これはその
排出
源においてあるいは漏出源において
悪臭防止
法そのものの役割りとして押えていかなければならない仕事であります。ですから私は何回も先ほどから申し上げておりますように、将来においてその
水質
基準の設定されたその限界内にまで状況が回復し、いわゆるもとの正常な水の姿を取り戻した時点においてなお
悪臭
のために付近の方々の
生活環境
を破壊するような事態が起こるとすれば、これは
悪臭防止
法として
悪臭防止
法そのものがひとり歩きをして解決していかなければならない問題だということであります。その意味では私は、この
法律
は十分に生きていく
法律
であると思っております。ただ現に非常に
汚染
の度合いの進んだところをこれのみで解決をするということは無理だということを繰り返して申し上げておるとおりでありまして、その点は分けてお考えをいただきたいと思うのであります。
内田善利
60
○
内田
善利
君 くどいようですが、もう一言お尋ねをいたしますが、将来
水質
基準の範囲内で
排出
していく、そういう場合に万一
悪臭
を放った場合はこの
悪臭防止
法の立場から
水質汚濁防止法
の基準を変えるということはあり得るわけですね。
橋本龍太郎
61
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君)
水質
基準を変えると申しますよりも、
悪臭防止
法の基準によって
政令
で指定される原因
物質
、これがいまはとりあえず十三を考えておりますということを申し上げましたが、とりあえずということばが示しますとおりに、においを出す
物質
の中で
生活環境
の破壊につながるようなものは将来ともこれは追加していくわけであります。
水質
基準というよりもその場合には
悪臭防止
法に定める原因
物質
の
規制
ということから取り締まりが行なわれることになると思います。
内田善利
62
○
内田
善利
君 その次に、十三条ですが、「野外で多量に焼却してはならない。」ということですが、大体わかるような気がしますが、多量というのはどういう範囲ですか。
曽根田郁夫
63
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君) これも一種の訓示
規定
でございまして、まあ私どもときどき河川敷等で散見する古タイヤなどを燃して、それがやはり付近の
住民
に非常に迷惑をかけておる。したがいまして、多量というのはやはりそのつどそのつどケースによって違おうかと思いますけれども、要するに付近の
住民
の
生活環境
に
影響
を及ぼすような
悪臭
の
発生
を伴うようなものの焼却というふうに考えてよろしいんではないかと思います。
内田善利
64
○
内田
善利
君 屋外で多量の
悪臭物質
を放置するとかいう場合の
規制
、それから清掃車が
悪臭物質
を乗っけて走る場合の
規制
、こういったことはできますか。
曽根田郁夫
65
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君) 清掃車等の車による移動の
発生
源につきましては、実はこの
法律
は第一条でも明らかなように、
工場
、
事業場
等の固定資産
発生
源だけを
対象
にいたしておりますので、直接的には触れるものではございませんけれども、先生御承知のように、昨年の末の国会で御
審議
いただきました廃棄物の
処理
に関する
法律
によりましても、そういった点につきましては廃棄物の収集、運搬の基準として十分
所要
の処置を定めることになっておりますので、物の収集運搬等に伴うそういった
悪臭
問題はそちらの基準によって
処理
いたしたいというふうに考えております。
内田善利
66
○
内田
善利
君 最後に
悪臭
防止技術
の、機器の
開発
ですが、この点はいまどのようになされておりますか。
曽根田郁夫
67
○
政府委員
(
曽根田郁夫
君)
悪臭
の
防止技術等
の
開発
につきましては、主として
昭和
四十年度以来
科学技術
庁の特別
研究
調整費によって
関係
各省の付属
研究
機関
等を中心に
研究開発
が進められております。ある程度原理的には
防止
の技術はでき上がっておるのでございますが、ただ問題は、それがたとえば零細
企業
等の場合に十分採算に合うかどうか、そういったことにも問題がございます。それからまた、やはり
悪臭
の場合にいろいろな
防止
方法
がございますけれども、実際には単一の
防止
方法
といいますか、というものはなかなかむずかしいので、幾つかのたとえば水で洗うとか焼き捨てるとか、いろいろ化学的に中和するとかいろいろな
方法
がもうすでに原理としては
確立
されておっても、そういうものをどういうように組み合わせるか、またそれが資金的に引き合うのかどうか、そういったことは今後の問題として残っております。幸いに
法律
の施行まで多少の時間的余裕がございますので、今後一そうそういった
研究
について鋭意努力を進めてまいりたいというふうに考えております。
内田善利
68
○
内田
善利
君 もう一つだけ質問しておきますが、
水質汚濁防止法
では広域
規制
がうたってありますね、両県にまたがるような場合。この
悪臭
の場合はそういうことは考えられないかどうか、
発生
源がよその県にあったような場合、そういったときにはどのようにするか、広域
規制
についてはどう考えておられるか。
橋本龍太郎
69
○
政府委員
(
橋本龍太郎
君) においの場合、たとえば隣県の方々の
生活環境
に
影響
の出るような状態でありましたらば、そこに至るまでの周辺の方方というのはその県内においてむしろ実は大問題であろうと思います。ですから、
都道府県
をまたがってというようなケース、これは実態上ほとんどあり得ないものと私どもは考えております。ただし、市町村の場合にはこれはあり得るわけであります。むしろたとえば県境のその市町村という
関係
でとらえて、いわゆる隣接市町村という考え方でとらえた場合には必ずしもそうしたケースがないとは申せません。県対県という形ではなく、たまたまそこの間に県境はあるかもしれませんが、これはむしろ隣接市町村という
関係
でとらえるほうが
悪臭
の場合よろしいのではないか、その場合には、これはいわゆる第九条で
関係都道府県知事
に対し要請することができると書いておりますとおりに、これは隣接の
都道府県知事
に対しても行なえるわけであります。ただ、むしろその状況から見て
都道府県
単位の広域
汚染
というようなものの考えにくい性格からむしろ市町村という考え方、隣接の市町村という考え方で法令は
整備
しております。 〔
理事
久次米健太郎
君退席、
委員長
着席〕
占部秀男
70
○
委員長
(
占部秀男
君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後二時三十八分散会 —————・—————