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説明員(
山本宜正君) 小林教授をお呼びして意見を聞かなかったか、こういうお尋ねでございますが、私
ども、小林教授にお願いいたしまして、検出されました
カドミウムのことに関連いたしました
質問を書状で出しているわけであります。その内容といたしましては、二月の六日付、私、公害課長名で、小林純教授にあててお手紙を差し上げてございます。ちょっと時間をちょうだいいたしまして読ませていただきます。
「
カドミウム公害問題につきましては、常々ご示唆をたまわり深く感謝いたしております。さて、先般、先生の手で分析されたと報道されました
安中市中宿、故中村登子氏の遺体臓器中の
カドミウム等重金属の
データについて、今後の
カドミウム公害対策の
資料として活用いたしたいので別紙様式にてご回答いただきたく、また、分析試料の残部がありましたら、研究用
資料として、ご提供たまわりたく、ご多忙中恐縮に存じますが、折返しご返事いただきますようお願い致します。」ということで、次に、腎臓、肝臓、肺臓、胃、小腸、大腸、大腿骨、肋骨、胸骨というような各臓器ごとに、分析試料に用いた
部分はどこの
部分か。それから左右のかつまたどの
部分であるか。臓器の損壊または腐敗の状況がどうであるか。さらに、生重量、乾燥重量、さらに灰の重量、
カドミウム、
亜鉛その他の
重金属の定量値、灰分中の定量値等をお尋ねする表を差し上げたわけでございます。
それに対しまして二月十三日付、小林純教授から私
どものほうに御回答がございました。
「二月六日付をもって御照会をいただきました分析
データは別紙の通りですから御回答申し上げます。」ということで、私
どもがお願いしました表よりも非常に簡略にされましたパーセンテージあるいは
PPMというような比例数で出した
数字での御回答をちょうだいしておりまして、実際に私
どもの生の重量あるいは乾燥重量、灰の重量等がどのくらいであったかということがわかりますならば、ある
程度いろいろな類推がつきますわけでございますが、そういったような御回答をちょうだいいたしましたので、さらに折り返し、それにつきまして念を入れておきますために、二月十六日付、公害課長名で再度小林純教授につきましてお願いをして照会をしたわけでございます。
ちょっと読ませていただきますと、
「標記の件については、当方よりの照会に対し、早速、ご回答いただき、厚くお礼申し上げます。
ところで、ご回答に関して下記の点につき、確認させていただきたく、ご多忙中誠に恐縮に存じますが、折返しご返事たまわりますよう再度お願い致します。
1、「試料は全部灰化して分析に使用した」とご回答にありますが、灰試料も残っていないのでしょうか。
2、腎臓は右、肺臓は左の
部分を分析試料とされたとご回答にありますが、左の腎臓、右の肺臓は残っていないのでしょうか。
3、1及び2で、灰試料または臓器が残っている場合には、
厚生省に研究試料として提供いただけるでしょうか。
4、前回の照会の際、各臓器の生重量をお尋ねしたのについてご回答がありませんでしたが、生重量分の灰重量が計算されておりますので、当然各臓器の生産量が分っていることと存じます。よろしく、ご回答の程お願いいたします。」というようなお尋ねをしてあるわけでございますが、現在までのところ御回答がないわけでございまして、私
ども、そういったようなことから、今後場合によりましては、小林教授にもさらにお尋ねをしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
それから先ほどの中村登子さんの遺体の件でございますが、
鑑別診断班といたしましては、
じん臓障害は存在しなかったものと推定されるということの根拠につきましては、これは
カドミウム鑑別診断の一
方法として、尿中の
たん白をはかる
方法にスルフォサリチル酸法というのがございますが、これと同じ
検査をしておりますのは七回でございましたので、それについての
判定から得られた結果としてじん障害はなかったと推定される。それからレントゲン
検査等をもとにいたしまして、
カドミウム吸入に基づく急性の呼吸器症状を示す所見も得られなかったということでありますが、さらに先ほ
ども読み上げましたように、上記以外の所見については
資料不足のため判断することは困難であるということで、じん障害と
カドミウム吸入急性呼吸器障害の否定を発表をしている、こういう内容でございます。