○
政府委員(森口八郎君) お
手元に
昭和四十六
年度の
通商産業省の
公害対策の
資料をお配りしてございますので、この
資料に従いまして御
説明申し上げたいと存じます。
通産省の
公害対策は非常に多岐にわたっておりまして、この
資料の初めにございますように、「
公害規制の
強化」とか十
項目にわたっておりますが、その基本といたしますところは、
公害規制に
企業者が万全の
公害防止の体制をとれるようにすること、また
公害規制の
強化をより容易にするというようなことを目ざしまして、
公害防止の条件
整備につとめるということを
通商産業省の
公害防止の基本
施策といたしております。
二ページにまいりまして、
通産省の四十六
年度の
公害関係予算は二十六億一千三百万円でございまして、前
年度に対しまして約一・九倍というような額にのぼっております。また、
財政投融資額は概算で約四百九十四億円で、前
年度に対しまして約一・八倍という額にのぼっております。なお、
関税軽減につきましては、後ほど申し上げますように、低硫黄化
対策といたしまして、原重油の
関税軽減
施策をとっておりますが、約九十八億円の
関税軽減額を
予定いたしております。
次に、各
項目について御
説明申し上げたいと思います。なお、こまかい数字等につきましては、二五ページないし二八ページのところにこまかい数字があがっておりますので、御参照いただければと存じます。
まず第一に
公害規制の拡充でございます。
大気汚染、工場排水、
騒音振動、悪臭、微量重金属等各種の
公害原因につきまして
調査をいたしまして、これに基づいていろいろな産業指導をいたしてまいりたいということで約七千二百万円の
予算を計上いたしております。
次に、
公害防止技術の
開発の
推進でございます。
公害防止のためには
技術の
開発が重要でございまして、
通産省の各試験
研究機関が中心になりまして
技術開発を行なっておりますが、特にいわゆる大型プロといたしまして、従来排煙脱硫の研究を実施し、これを完了いたしましたが、重油からの直接脱硫
技術についても現在研究を進めておりまして、来
年度については約一億八百万円の
研究費を計上いたしております。なお、直接脱硫
技術は四十六
年度をもって完了する
予定でございます。また最近におきます
自動車排出ガスの
公害の解消のために、来
年度から新たに
電気自動車の
開発研究を実施いたすことといたしまして、これに対する
研究費四億五千万円を計上いたしております。なお、民間におきます重要
技術の
開発を援助いたしますために、新たに高率の補助、所要
研究費の四分の三を
予定いたしておりますが、高率補助をいたします重要
技術開発費
補助金制度を創設いたしまして、約二億円の額を
予定いたしております。なお、
通産省傘下の試験
研究所におきましては、昨
年度に引き続き四十六
年度におきましても
公害のための研究を実施いたすこととし、これに要する
経費五億九千七百万円を
予定いたして
おります。
次に、未然
防止総合
対策の充実でございます。大
規模な工業地帯に工業
開発、工業立地が進められておりますが、立地にあたりまして、その地帯におきます産業
公害を
防止いたしますために、その
地域の自然的条件などを精査いたしまして、その結果に基づいて
公害が起こらないように
企業及び
地方公共団体において適切な
公害防止措置、土地利用の適正化を行なわせることが必要でございます。かかる観点に基づきまして、産業
公害総合事前
調査ということを数年来実施をいたしてきておりますが、この
経費として約一億二千四百万円を計上いたしております。
また、電算機などを使用いたしまして、
大気汚染及び
水質汚濁の予測システムを
開発し、工場の新増設に対する指導を行なう
資料といたしたいということで、システム
開発を行なっておりますが、この
経費約八千二百万円を計上いたしております。
なお、瀬戸内海等におきましては、汚濁が進行いたしておりますので、新たに瀬戸内海の汚濁の
防止に資しますために、瀬戸内海の大型水理模型の建設に着手することといたしまして、約四億円の
予算を四十六
年度に要求することといたしております。本水理模型は総額約十五億円の
経費を
予定いたしております。
次に、助成
措置の拡充について御
説明申し上げます。
公害防止事業団の
事業につきましては、後ほど
事業団のほうより御
説明がありますので、
説明を省略させていただきます。
次に、金融上の助成
措置でございますが、日本
開発銀行におけるいろいろな金融上の助成
措置について御
説明申し上げます。従来から昨
年度より
公害防止機器リース
事業の助成あるいは工業用水道への転換設備に対する助成あるいは
公害過密
地域からの工業分散に対する助成、
地域暖冷房施設に対する助成を
開発銀行を通じて行なってまいっておりますが、この
融資制度をさらに拡充をいたしたいというように考えております。
さらに
開発銀行における
融資制度といたしましては、四十六
年度より新たにガソリンの分解改質装置等に対する助成、硫酸焼鉱の脱硫、脱砒に対する助成、それから特定の
公害防止施設の
設置に対する助成を新たに行なうことといたしますほか、後ほど申し上げますような廃棄物
処理施設に対する金融助成を行ないたいというように考えております。
次に、税制上の助成
措置の拡充の問題でございます。従来から
公害防止施設に対しましては、初
年度三分の一の
特別償却を実施しておりますが、この
特別償却の割合を二分の一に引き上げますととも一に、新たに
合成高分子廃棄物処理施設、汚水の再利用施設、有効成分回収施設、つり基礎等の四つの施設を適用
対象施設として追加をいたしたいというように考えております。
また、固定資産税の
関係につきましては、新たに
合成高分子廃棄物処理施設、汚水の再利用施設、有効成分回収施設、それから有害物質
処理施設の四つについて、新たに固定資産税を免除いたしますとともに、つり基礎、
騒音防止施設、砂利汚水
処理施設、重油脱硫装置、排煙拡散用煙突、
廃油処理施設等につきましては、固定資産税を三分の二軽減をいたす
措置をとりたいというふうに考えております。
その他
公害防止事業費事業者負担法に基づきます
負担金にかかわります繰り延べ資産の早期償却制度をつくりたいというように考えております。
次に、中小
企業の
公害対策について申し上げます。
中小
企業におきましては、金融上の助成
措置といたしまして、従来から
中小企業金融公庫、国民金融公庫に
公害防止貸し付け制度を設けておりましたが、
中小企業金融公庫につきましては四十億円、国民金融公庫につきましては十五億円の
公害防止貸し付け制度ワクを実施をいたしたいというように考えております。
また、設備貸与制度に、従来
対象となっておりませんでした
公害防止設備を新たに
対象とするということを考えております。
また、保険制度におきましては、中小
企業信用保険制度に新たに
公害防止保険制度を創設するというような助成
措置を考えております。
なお、中小
企業につきましては、公設試験
研究機関の
公害関係指導施設の補助を
強化いたしますほか、新たに振興
事業団に
公害研修制度を新設いたしまして、指導員の養成をはかりたいというように考えております。
また、昨
年度より中小
企業者の
公害に関する相談に応じますために日本商工
会議所外十三カ所に産業
公害の相談所を
設置いたしておりますが、来
年度はさらに十四
会議所を加えて、その充実をはかりたいというように考えております。
次に、低硫黄化
対策の
推進について御
説明申し上げます。
低硫黄化
対策を実施いたしますために、従来から重油の脱硫につきまして
関税軽減
措置を講じておりますが、四十六
年度は従来の
キロリットル当たり三百円の
関税軽減を
キロリットル当たり五百円に引き上げたいというように考えておりますが、同時に、低
硫黄原油の輸入
促進をはかりますために新たに低
硫黄原油についても
関税軽減
措置を四十六
年度から実施をいたしたいというように考えております。
次に、
事業者の
公害防止体制の
整備について御
説明申し上げます。
事業者の
公害防止の体制を
整備いたしますために、
企業内に置かれます
公害管理者等について新たに国家試験を実施いたしますとともに、
公害防止担当者養成機構についても予備
調査を行なうということにいたしております。
次に、
産業廃棄物対策の
推進について御
説明申し上げます。
近時問題になっております
産業廃棄物の
対策につきましては、来
年度におきましてコンビナート
地域あるいは大都市の工業
地域につきまして、
産業廃棄物の処理処分などに対する基本
計画を策定することといたしたいというように考えております。
また、特に廃棄物の中で問題になっております合成高分子廃棄物につきましては、その有効利用をはかるという観点から、実態の把握及び有効利用
計画の策定を行ないたいというように考えております。
なお、先ほど御
説明申し上げましたように、
産業廃棄物の
処理施設につきましては金融上並びに税制上の助成
措置を実施をいたしたいというように考えております。
次に、鉱山鉱害
対策について御
説明申し上げます。
近時稼行鉱山等におきまして鉱山鉱害の
増加が目立っておりますので、鉱山に対する鉱害の監督を一そう
強化することといたしまして、必要な人員及び
予算の拡充をはかっておりますほか、四十六
年度におきましては新たに休廃止の鉱山について鉱害予防をはかるという観点から、休廃止鉱山について鉱害
防止工事を行ないます
都道府県に三分の二の割合で補助をしてまいりたいというように考えております。
なお、
通産省におきましては、各局におきまして業種別
公害対策の
推進の項に書いてございますような代表的な
公害産業につきまして、その
公害の現況を
調査いたしまして、指導してまいるという趣旨から、皮革産業、メッキ産業あるいは石油精製産業、火力発電所及びガス
事業場、化学工業、鉄鋼業、採石業、砂利採取業というような各業種について
公害の実態を
調査するというようなことを考えております。
以上が
通商産業省の四十六
年度の
公害対策の
概要でございます。