○国務大臣(
根本龍太郎君) 御指摘のとおりです。それで先ほ
ども答弁申し上げましたように、私は七〇年代の
日本と、あなたは特に
発展途上国の
東南アジアに限定しましたが、それだけでも非常に重要な
役割りを
日本の
建設事業、
建設技術か非常に大きく関連づけて考えなければならぬと思うのです。
日本の経済
協力の大
部分をそこに指向すべきじゃないかと考えるわけです。で、先ほど御批判がありましたように、
賠償の問題は、いろいろわれわれもこれについては反省させられる面が多かった。けれ
ども、これは
日本は金は出すけれ
ども、選択権は
向こうにある。しかも新しく独立した国のいわゆるリーダーなる者、政治家なる者がどうしてもスタンドプレイをやりたがる。それと同時に、みんなデモンストレーションのようなものだけに取り組んでしまう。しかもその中にいろいろな好ましからざる動きがあったということのために、
向こうの国においてもあまり評判もよくなかったし、
日本の
国内における評判のよくなかったことは、にがい教訓として残っていることは事実だと思います。そのために、
日本の
業界の連中も、あそこの国に行ったのでは骨の髄までしゃぶられちゃってとても行けるものではないという
一つの何といいますか、なますを吹いて食う傾向すらある。しかし、それに萎縮しちゃって黙っておったのではだめだ。そういう意味で私は、
日本の
建設技術とその業務の
東南アジアに対するもっと積極的な国の取り組み方が必要だと思います。その意味で
関係各省、本格的に
協力してやるために、これまた
建設省の例のプロジェクト・チームにこれをいま下命しております。で、これは
建設省の役人だけでできるものじゃありません。そこで各方面の
意見を聞いて、どうしたならばこれができるかという
一つの方向づけをし、これを育てていきたい。その意味から、私は、きょう
田中さんがこういう問題を高度の政治的判断を要するものとして取り上げられたことに、私も非常に教えられ、かつ見識に共鳴し、かつ敬意を表するわけでありまするが、これがもしできた場合には、いわゆる単なる経済進出を越えた以上の大きな七〇年代の
東南アジアの新しい行き道になる、そしてまた
日本を再評価してもらう
一つの道になる、私はこれは平和への最大のりっぱなベースを築くことになると思うのです。
実は私も七、八年前に、アジア・ハイウエイの問題を持ちまして
東南アジアをずうっと回ってきました。当時はまだ、いまのスカルノさんも、それからいまのラーマン首相、これらの
方々の
意見を見てみると、まだほんとうにその民族、その国家の再建のためのじみな構想はなかなか出てこない、どうしてもスタンド・プレーが多い。私は、ことばは丁重であるけれ
ども、かなり苦言も呈し、批判もしてまいりました。また、昨年、
東南アジアの各国の首脳が万博の
関係で来たときも、それらの人々と会った機会に私も
意見を述べておきましたが、私は、やはりみんな
東南アジアの国々の人々は、すぐに重工業、これを何とかやりたい、あるいはまたホテルとか、そういうものをつくりたいというほうにいっちゃうのです。ところが、それらの国はいま一番困っているのは食糧問題であり、
国内の交通
関係であり、あれだけ簡単に生活できるようであってもやっぱり住宅問題であり、それからまた公共施設の問題もあり、それに対して、どうもピントが合ったプロジェクトを持っていない。そこの点から、これは指導と言えば
向こうのほうではあまりおもしろくないでしょうから、
一つのサゼッションを差し上げて、彼ら自身の
一つの意図としてこれを持たせるということが
一つ。
それからいま
田中さんが御指摘になりました
商社を前面に立てるということについては、かなりのメリットはありますけれ
ども、
商社はやっぱり一発勝負をどうしてもやりがちです。そうして、その中においてコミッションを取るのが彼らの商売ですから、彼らの意図が、必ずしもその国の再建に最適と思わなくても、とにかく商売になればいいというような動きは、これはもちろんなきにしもあらずです。その意味で、せっかくのこういうチャンスに、
商社だけが持つ
情報だけでやるというところの、何といいますか、デメリットも相当ありまするので、できるだけ
日本の官庁同士の連携をよくすると同時に、やはりそういう意味で、私はある意味では国会外交というものが必要だと私は思っております。国会議員の
海外旅行について、ときどきマスコミでひやかしているけれ
ども、私はむしろ国会から、もう
国内旅行ばかりじゃなくて、
東南アジアを、
一つのチームをつくって見てきて、そうしてその国にはどういうような経済
技術援助をすべきかということ。そうしてまた、今日まで
日本が
海外経済
協力をやった、それをフリーな立場で、あげ足とりじゃなくて批判して、そうしてそこから
政府のやった面と国会とのある意味における
意見調整、こういうことが必要だと私は思うのです。私は
アメリカあたりの最近の、失敗とはあえて言わぬけれ
ども、かなりおもしろくないような成果の問題も、どうも
海外における
アメリカの政策についての、
アメリカの国会議員の諸君が、ほんとうの深いところまで検討していないというような気が実はするのです。実は数年前でございましたが、ライシャワーさんがここの大使をしており、そうしてちょうどトンプソン、あれは
アメリカの大統領補佐官ですか、これはたしか第一次大戦当時、モスクワがまさに陥落せんとするようなところまでいったときに、レーニンがまだ政権を取っておったときに、あそこの
アメリカ大使だったはずです。彼が来まして、私と会いたいということで、何で会いたいかということを聞いたら、いまの現在問題になっておる南ベトナムの、これについての
意見を求められたときに、私は
アメリカが軍事的にあそこで支配するために金をつぎ込み、人命をつぎ込んでも、それ自身としてはたいした効果がないと思う。私は満州建国にあたってやった経験から見て、むしろ、南ベトナムの各地にイリゲーションの施設をつくり、そうしてその部落、部落が、自分たちの手で自分の村を守るという基本的な対策をやらすべきだ。それにはたいした金はかからない。年間二、三億ドルをあそこの軍事政権を経ずに直接地元住民に与える方法をとったら必ず成功する、やりなさいということを助言したら、たいへんおもしろい助言だと言ったが、結局だめでしたがね。私は、そういうようなことを自分が戦時中、戦争の中を行って見て感じ、それからまた、先般、これは何年ぶりですか、十何年ぶりでビルマのネ・ウィン夫妻と会ったときも、非常に熱心な人だけれ
どもこれは
田中さんと
意見を異にするが、彼は社会主義政策であれは失敗しているのですよ。私は前の政権をやったウ・ヌー政権のときに行って、あのときよりもずっと下がっている。非常に心配しているから、これは食糧政策の誤りだ、とにかく農民が自分で生産意欲を燃やすことが必要なんだ。それにはイリゲーションをもっと真剣にやりなさいと言ったが、彼はどうも自分の基本政策に触れたから、それだけは喜ばなかったのでありますけれ
ども。私は、そういうことを言うのは、
外務省の役人だとか
商社はこれは言えないのです。お互いに政治家同士なら言えるんですよ、そういうことが私は必要だと思う。そうした前提のもとに、彼らの指導者がああそうか、それじゃおれのほうでこういうプロジェクトをやろうじゃないか、ついてはどうだ、
日本のほうでこういう援助をしてくれないか。よし、それではわれわれがひとつ
政府にも働きかけよう、こういうのが非常に効果があがるんですよ。私はソ連との
関係が非常によくなったのは、やっぱりときどき国会が行き、特にかなり有力な連中がソ連の指導者と会い、それに続いて
日本の財界の指導者の諸君も行って率直に話し合った結果です。まあ私はあえてここで藤山使節団を批判するわけじゃないけれ
ども、中共との間だって、あれは高碕さんが行ってほんとうにルートを開いたんで、高碕さんは周恩来首相に率直にずばずばものを言うし、
向こうの
意見もどんどん聞いていくという、そこに私は大きなああいうLT貿易の道も開いたし、いま最近政経分離はけしからんと言うけれ
ども、政経分離は
向こうのほうから実は言い出したことなんですから。積み上げ
方式もそのとおりなんです。それと同じように、私は
東南アジアにおいても、いまあなたの
商社だけ使ってはならぬということもわかりますけれ
ども、それ以上に私はもう少し国会が、これだけ膨大な
日本の
海外援助
資金を使っているんだから、もっと国会もしっかりして、
国内を見るばかりでなく
海外を見てきて、そしてこういうところで
委員会で堂々とお互いに議論するということが大きなあれになると思う。それを受けて今度は各行政官庁がより高いレベルで、単に
各省がなわ張り根性を抜けて、そして大きな方策を立てるということが非常に必要だと考えておったんですが、きょうはたいへんそういうふうな意味において、この
建設委員会、いままではおそらく
建設業法というと、いや中小企業がどうだこうだとそういうようなことばかり言っておったんだが、国際視野の立場において業法を論ぜられるとまことに私も愉快でありますから、一生懸命やりますから、どうぞ御支援のほどをお願いいたします。