○国務大臣(
根本龍太郎君) まず第一に、大
企業が二〇%をピンはねするということですが、私は、過去にはあるいはそういうことはあったかもしらぬが、現在はあり得ないと思う。そういうものを引き受けるような
下請業者は、いまほとんどないと思います。できないです、そういうことは。私の聞いているところでは、現在はせいぜい五%が取れればいいほうです。もしそうじゃなければ、ある
企業のごときは一年に何千億という受注をしておって、それが二五%もうかったらそれはたいへんなことですよ。それはかちては一時そういうことが一部あったかもしらぬけれども、私はそれはあり得ないと思う。これは話というものはだんだん誇張されてくるのでして、みんなピンはねされた、ピンはねされたということがずいぶんあります。まあここに
松本さん
委員長席にすわっていますけれども、おそらくあなたも御承知のように、二五%ももうけるなんという、こんな業界はどこにもないです、日本には。それは私は少し誇張に過ぎると思う。
それからその次に、一体、大
企業と小さなものを一緒にするのはおかしいということですけれども、商法は、あれはたいへんなでかい仕事をやるものですが、みな同じですわ、これ。
法律というものは、私は、特別立法というのは特別何かの方法で保護するということではあり得るけれども、私は、そういうことのために、何といいますか-大体、業法を
考えるのは、その業界の利益のためにのみ、私はこういう立法はすべきじゃないと思う。基本的にやはり国民全体、端的に言えば、公共の利益のために稗益するということと
一般国民に稗益するということが第一前提
条件であり、その次には、この事業に従事する人々が現在よりもよりよき
営業を営み得る、しかも均斉のとれた保護政策がこの法によって保障されるということに私は問題があると思うのです。そういう意味からいたしますれば、私はむしろ、今度の業法は大きい特定
業者に対して非常に重大なる責務を重加しています。従来、民法上契約すればどういうことをやってもかまわなかった。そうして結局は、最後の末端の孫請か曾孫請ぐらいが一切の
責任を持っておったのを、今度はさかのぼって上にまで
責任を追及するのだということは、立法措置として私は前進だと思うのです。
それからもう
一つ、これは小さいのを押えるじゃないか、押えるじゃないかという、これは野党の方々が
一つのコンプレックスを感じているのですけれども、これは、たとえばたばこの小売り店、あれも
許可制度だけれども、一定の
基準がありまして、周辺何メートルのところには競争者は置けないとか、酒なんかもやっている。これはそうじゃないのです。どういう資格、どういう
条件をとれば、あと全部が持てるということであって、これは
一般国民保護の
立場に立っている。だから、これは端的に言えば、一億の人間がこの
条件を具備したら、一億全部
許可になりますよ。そういう意味で、数を制限するということの目的ではなくして、国民の生命財産に関する重大な
建設事業に対して、それに耐え得るだけの素質と、それから向上し得る基礎を持たせると、こういうことでございまして、われわれのほうでは、各県ごとに
許可人数をこれくらいにしてそれ以上やってはいけないというような、そういうことは毛頭
考えていないのでございまして、これは実は私自身も十三年も前に
建設大臣をしておったときから、私のときもずいぶんいろいろといままで一人親方も来ました。私、実は私の県のほうの会長は民社のだれがやっておったか、県会議員かなんかで、私はもう十何年それの顧問をしております。そこで、最初は非常に危惧を感じておったけれども、よく
説明すると、なるほどというようなことでありまして、この立法の趣旨、これの実態を、自分だけの想像で被害感を受けている向きもかなりにありましたので、これはよく
説明すれば、むしろ乱立して――一人親方のほうはまだ自分が
経験があるんですよ、
技術を持っているんですよ。ところが、このごろはそうじゃなくて、いままでお百姓をしておった人が、今度はどうも作付転換で、これはなかなかたいしたことで、だめなんだと。それで土地を処分して、二、三百万金を持った。それじゃ土建でもやろうか、こういうのがどんどんどんどん出てきています。そのために、むしろ、一人親方のほうが脅威を受けておるということをずいぶん私は聞いておるのです。だから、ほんとうに
建設業に対する
経験のある者を排除するということは毛頭
考えていない。むしろそうじゃなくて、届け出さえすれば、若干の金さえ持って一おればどんな者でもとれる。そうして、今度そういう人に限って、私のほうで実情をいろいろ聞いてみますと、いままでに
経験のない人が今度届け出をして
業者になったというと、県会議員だとか市会議員に話をして、今度おれは資格を持ったから、ぜひ指名させい、そういうことでずいぶん自治体に突っ込んでいく、
経験のない人がやるから問題起こす、そういう実態がたくさんあるということも、これは高山さん御承知だと思うんですよ。だから、そういうふうに、
一つの立法をやる場合に、何といいますか、欠点と思われることを言えばもう限りなく心配がありますが、やはりこれは立法府としてはもう絶対のものはないんです。これはもうあらゆるところから突いても完全無欠ということはないのであって、
立場立場から見れば、それぞれに若干の危惧の念はあるかもしれません。総体としてこれが
建設業界のために、
一般国民のために稗益するかどうかということで
考えてみると、これは私は相当の前進になる、こう思いまして、ぜひとも皆さん方の高い見識の上に、これを御通過させていただきたいと
考えている次第でございます。