○黒柳明君 そこで確かに、この海事財団の設立の経緯、それの中に、いまおっしゃったように、
調査研究とか海難防止とか、海事思想の普及宣伝とか書いてありますけれ
ども、この
実態なんですよ、大臣。これから問題に入っていきますが、またごたごたいうと時間が長くなります。大臣、御予定があると思うんですが、これの
実態ですよ。これをまず私はここで端的に
指摘してまいりたいと思うんです。
そこで、なぜ水先料をこういうふうに単純にピンハネの閣議決定をしたかということは
あとの論議にしまして、その
実態はほんとうに海運の普及宣伝というようなことに使われておるかどうかということなんですが、この表を、ちょっと
局長お二人にもメモしてもらいたいんですが、幾つも問題点があるんです。これは私が調べた範囲ですが、私いま非常に忙しいものですから、なかなか徹底的に調べられませんでした、いつものように。私の調べた範囲では、ごく氷山の一角ですが、これを言いますと七十三億、これが配分されておる団体ですね、海事財団から。二十九団体になっておりますね。
その中で、まず第一点を
指摘いたしますと、この閣議了解で要するに——変なことはですみませんけれ
ども、水先料をピンはねした。日本海事財団が設立された、それ以後できた外郭団体——これはいまの七十三億が配分されておるうちの十五団体全部がそうなんです。三十九年以後。二十九団体のうちの十五団体が全部三十九年以後。しかも、ひどいのはその設立の期限、たとえばここに一例をあげますと、海事産業研究所の設立が四十一年五月二十一日、それに日本海事財団からいわゆる水先案内料のピンはね——すみません、こういうことばを使わせていただきたいんですが一それが四十一年に六千万円きているんです。ですから海事財団から六千万円の
資金をもらって、海事産業研究所というのは四十一年五月に設立されているんですね。ですから設立されたときの基金というのは、海事財団を通して、すなわち閣議了解で水先案内人の料金——ほんとうなら水先案内人がもらうべき料金、これについては
あとからいろいろ
質疑したいと思うんですが一それをピンはねした分をもらって、これを設立しているわけです。こういう例を申し上げます。海事産業研究所、海上労働科学研究所、東京湾海難防止会、神戸海難防止会、西部海難防止会、日本海洋振興会、運輸経済研究センター、マラッカ海峡協議会、戦没船員の碑建立会、これら九社は、設立のときの基金というのを、要するにこの海事財団からもらっているんです。しかも、
あとの六社もこれは三十九年以後に設立されている。非常にこれは天下りがこの
あと出てきますよ。こういう外郭団体の設立は明らかにこのピンはね料をもらって、それで設立された、これははっきりしているわけですね。
それからさらに、そのような二十九の配分金を受けている外郭団体のうち天下りが二十一。いろんな例がありますが、まあ個人の名前をあげるのは申しわけありませんが、あげますと、海上労働科学研究所・下田行夫、いま専務になっています、元海運
局長。海難審判協会、これは藤枝盛さん、元高等海難審判所長官、いま
理事長になっています。日本海事広報協会、これは粟沢一男さん、いま
理事長です。元運輸事務次官です。日本船舶職員養成協会、これは元気象庁次長の太田九州男さん、いま会長になっております。さらにいろんなのがありますね。港湾荷役機械化協会・秋山竜さん、これも元運輸事務次官。それからマラッカ海峡協議会、これは元海上保安庁長官・亀山信郎さん。粟沢一男さんのごときはさらに戦没船員の碑建立会、ここの
理事長にもなっているわけですね。配分金を受けている二十九団体のうち二十一団体に、要するに運輸省の高級官僚がずらっと天下っている、これが第二点。
しかも、その中にはもっとひどいのがいるんですよ。運輸省を退官したと同時に、この外郭団体の
役員になっている。海難審判協会の藤枝盛さん、四十三年六月十五日です。この方が退官したのが。四十三年七月一日にこの協会が創立しているんです。それから日本海洋少年団連盟・仲西克己さん一いま運輸経済研究センター、元運輸大臣官房付の湊恒生さん、退官が四十三年十月一日、この研究センターの設立が四十三年十月一日です。それから船員災害防止協会・木内文治さん、これは元新潟海運
局長で四十二年十月三十一日退官とともに協会入り。この協会は四十二年十月三十一日設立、こういうことですね。ですから、二十一団体に運輸省の高級官僚が天下っている。天下りもいいですけれ
ども、退官と同時に天下り、水先案内料のピンはねを海事財団からもらって、それで設立しているのはどうか。さらに、この給料が高いですね。いろんな例がありますけれ
ども藤枝盛さん、海難審判協会のいまの
理事長、この場合には十七万円。それからもっと高いのがいますね、二十五万円の人が。東京湾海難防止協会常務の山口久次さん、これは元巡視艇「いず」の船長ですが、二十五万円。それからもっと高いのは、
先ほど言った元運輸事務次官、いま日本海事広報協会の
理事長粟沢一男さんの二十六万。さらにもっと高いのがありますね。日本海員抜済会、いま副会長をやっている元関東海運
局長の三村令二郎さん、三十八万円。それから
先ほど言った運輸経済研究センターの湊恒生さん、三十万円。それからマラッカ海峡協議会の元海上保安庁長官亀山信郎さん、いまの
理事長、三十万円。これは天下りの通例として非常な高給をもらっていますね、こういう点。さらには、これは仕事をやっているのか、やっていないのか、こういう点。
役員の構成は、東京湾海難防止会は、
理事が四十五名で職員が六名です。琴平海洋会館は、
理事が三十名、職員が三名。日本船長協会は、
理事が三十九名で、職員が六名。港湾荷役機械化協会は、
理事が四十五名、職員が五名。マラッカ海峡協議会は、
理事が十名、職員が五名。戦没船員の碑建立会は、
理事が十九名、職員が三名。現にそこに行ってみますと、そう言っちゃなんですが、全部が全部とは言いませんけれ
ども、ひどいのはマージャンをやっていたり、ゴルフに行っていたりして、
役員はいやしませんよ。もっとひどいのは常勤職員が一人もいないところがある。灯光会、日本海法会は常勤
役員は一人もいない。しかも、ここに四十三年度で一千五百万円、一千二百万円、合計三千万円も——二千数百万円も出ている。常勤職員がいないのに、なぜそんなに三千万円も二千万円も金を出してやる必要があるのか。こういうことがありますね。
さらに、この配分金を受けている二十九団体についてはいろいろなケースがあります。たとえば日本船員奨学会というのは七五%を海事財団の配分金に依存している。日本海洋少年団連盟、これは子供さんのためにいいところだと思うのですが、こういう
実態がわかると非常に問題ですね、これが八四%海事財団の配分金に依存している。それからまだありますね、東京湾海難防止会が四〇%。それから西部海難防止会が五〇%。ということは、これらの団体が全面的にこの海事財団からきている配分金に依存しているということですね。しかも、仕事といったら、これだけ
理事が多いのに、常勤の
役員で職員は、現場に行ってみると、仕事なんか何をやっているのかわからない。こういう問題が出てくる。その中の特異な問題は、日本海洋少年団連盟の仲西克己さん一いま常務です。元海上保安庁第八管区本部長をやっていた方です。この方は四十三年に退官して、いまの少年団に入った。その前の四十一年、四十二年までは二千万円、三千万円だったのが、この人が入ったとたんに五千万円の配分金になった。これは三千万円の持参金つきじゃないかということが言われた。私はそう
思いませんよ。外部の人がうるさく、そういうふうにうわさをしている。まだまだこれば一ぱいありますけれ
ども、いま言いましたように、これはごくわずかの判明した分であります。
しかも、この水先案内のパイロットの人は収入がいいところは非常にいいのですよ、しかし全部じゃない。収入の悪い北海道の人なんかはおこっている。何のために閣議了解をしたのか。おれ
たちのもらう分をピンはねして、それでこういう高級官僚を養うような外郭団体にストレートに、海事団体を通じて流す。こんなために閣議了解をされるなんということはとんでもない。こういうことなんですね。まあ水先案内人というものは高級技術者でありますから、確かに収入が多いのですが、全部が全部ではない。収入が少ないところのパイロットはこのことを非常に憤慨している。本来私
たちに入るものを、どうしてこういう高級官僚を養うために——変なことはですけれ
ども、食わせるためにやり、私
たちが彼らのために働かなければならないのか。まあ、これについてはいろいろな問題があるかと思うのですが、大臣、この
実態をどうごらんになるか。これはちょっとごちゃごちゃしていて申しわけありませんけれ
ども、これを見てください。(資料を示す)この
実態にもう少し目を通していただいて、大臣、お忙しいと
思いますけれ
ども、その
実態をどういうふうにごらんになるか。その
実態は非常に問題なわけですよ。