○
渡辺武君 それでは、大蔵省からも
人事院からも、きょうは
資料をいただいて、それに基づいて
質問するということができませんので、私が全税関労働組合当局を通じて
調査した中間
報告をもとにして議論をせざるを得ないと思います。その
資料は、もうすでに大蔵省のほうにも
人事院のほうにも差し上げてございますので、それをごらんいただきながら私の
質問をお聞きいただきたいというふうに思います。なお、お
手元にあげたもので若干
数字が訂正されたものがありますので、それはあらためていま申し上げて
おきます。
私が
調査したところによりますと
——東京税関の例で申します
——これは
昭和四十六年一月現在の
数字でありますけれ
ども、
公務員五級職
試験、現在の中級職
試験、これに合格し、もしくは旧高専卒業の資格で、
昭和二十五年に
採用された者、この
人たちが東京税関には現在十三名おります。その十三名の中で行(一)四
等級、つまりすでに課長補佐または課長相当の役職におられる方が六名、それから行(一)五
等級、つまり係長もしくは係長相当、これが六名、それから行(一)六
等級、つまり役職についていない一般
職員が一名おります。この一般
職員六
等級の一名が全税関労働組合員、五
等級以上には全税関労働組合員はただの一人もいないという実情です。
同じく
公務員五級職
試験合格者、これは旧高専卒業の資格を含んでおりますけれ
ども、
昭和二十六年に
採用された者の中で、現在三十五名残っておりますけれ
ども、そのうち行(一)三
等級、うまり課長相当が一名、行一四
等級、これが十四名、行(一)五
等級が十五名、行(一)六
等級が五名です。この六
等級のまま据え置かれている五名全員が全税関の労働組合員、五
等級以上に全税関労働組合員は一人もいないというのが実情です。なお、現在東京税関では全税関の組合員と女性を除いて
昭和二十八年の高卒入関の者、これが全員役付
職員となっており、約七割の者がすでに行(一)五
等級に昇格している。つまり、
あとから入関した人が先に入関した人を飛び越えて、そうして五
等級に昇任しておる。これは官庁ではあまりざらにはない現象ですよ。これが、全税関労働組合員五名が依然として六
等級にとどまっているという実情があるがゆえに、組合員以外の者はそれを飛び越えて五
等級に昇進しておるという
状況です。
それから
昭和二十四年高卒で
採用された者、現在十名いるうち行(一)五
等級が九名、行(一)六
等級が一名ですけれ
ども、この六
等級一名が全税関の組合員。五
等級の中にはもとより全税関の労働組合員は一人もいないということです。
それから
昭和二十五年高卒で
採用された者、現在十五名中行(一)五
等級十一名、行(一)六
等級四名です。ところが六
等級のままに据え置かれておる四名のうち三名が全税関労働組合員であり、一名が女性だ、こういうことです。もとより五
等級以上には一人もいない、こづいう
状況です。
時間がなくて残念ですけれ
ども、とにかく実情をよくつかんでいただくために、もう少し私詳しく
報告してみたいと思います。
昭和二十六年に高卒で
採用された者、現在三十五名いるうち行(一)五
等級が二十九名、行(一)六
等級が六名。この六名のうち二名がまた全税関労働組合員、四名が女性、五
等級の中にはもちろん全税関労働組合員はいない、こういう実情です。
それから横浜税関の例をもう
一つ申し上げてみますと、
昭和二十三年の入関者の中で、現在七名いますけれ
ども、行(一)五
等級が五名、行(一)六
等級が二名、これは合計七名ですね。六
等級のまま据え置かれておる二名は全税関の労働組合員。こういうことで、五
等級以上にはもとよりいません。
昭和二十五年に税務講習所を卒業して入関した者、現在三名いるうち行(一)五
等級が二名で、行(一)六
等級が一名ですけれ
ども、この一名というのが全税関労働組合員、五
等級以上には一人もいない、こういうことです。
昭和二十五年の高卒入関者の例をとりますと、現在二十四名中行(一)五
等級十八名、行(一)六
等級六名、この六
等級にいる六名のうち三名が全税関労働組合員、
あと三名は女性という
状況で、五
等級以上には一人もいない、こういうことです。
なお、この横浜税関はもとより、神戸税関、それから大阪税関、それから函館税関、長崎税関、門司の税関、名古屋の税関、みんな同じような
状態があらわれておる。特に門司の税関については特殊な場合でありますので一言だけ申し上げて
おきます。
全税関門司支部の組合員である長田という人は、旧高専卒業生で
昭和二十三年門司税関に
採用された。そのときの同僚十名、うち女性二名、これは女性を除いて全員が五
等級係長または係長相当となっているけれ
ども、長田氏は現在もなお六
等級審査官のままに据え置かれておる、こういう
状況です。長田氏は全税関が分裂する以前のすなわち
昭和三十九年四月に下関外郵出張所の係長、つまり審査官となり、現在まで同じ
ポストについている。もともと長田氏が任命されている
ポストは標準職務表及び
等級別定数の指令から見ても、行(一)五
等級に評価されているのが普通です。その証拠に長田さん以外の人が長田さんが現在の
ポストについたときには五
等級に格付けされていたという
状況です。
このほかにもまだ図表に示してお
手元に差し上げてあります。これを見ていただけば一目瞭然このひどい
状態がわかっていただけると思いますけれ
ども、この実例をお聞きいただけば、関税局の中で全税関労働組合員及び女子
職員が長期の間継続的に五
等級つまり係長または係長相当への昇任昇格から排除されており、別の
ことばで言えば、組合員であること及び女性であることを理由にして昇任昇格上の著しい差別が行なわれていたということがはっきりと示されていると思う。大体
国家公務員はストライキ権を奪われておる。そのストライキ権も奪われて抵抗できないような
状態にしておいた上に、昇任昇格を徹底的に差別をした。組合員であるからということで、そうして組合を分裂させ、組合から脱退を強要する、組合から脱退を強要するという実例も幾つかございます。全税関の労働組合員の中には、もし必要があるならば、
委員会に
参考人として呼んでいただきたい。そうすれば自分が生き証人になって、当局による組合脱退強要、これを申し上げますと、何人もおりますよ。そういう実情が明らかにわかっていただけると思うのです。関税
局長はこの事実をお
認めになるかどうか。