○羽生三七君 私はそれではまずいと思うので、仕組みはどうあろうとも、返還協定の中にそれが明記されるかどうかが、
沖繩の住民あるいは本土におけるわれわれの関心事であるわけです。というのは、たとえば明日にもこの核兵器及び他の大量破壊兵器の海底における設置の禁止に関する条約、これは審議することになるかもしれない、明日か明後日に。それから世界全体が核不拡散といこと
——核の拡散に反対するということが世界の当面の課題になっておる。それから、大量殺戮兵器である核というものが将来の人類にどういう
影響をもたらすかということが今日の大きな世界の課題であることも、これも言うまでもない。
しかも、
日本は原爆の最初の被爆国で、今日まで
政府自身が重ねて繰り返し繰り返し核を持たないということを明らかにしておる。
アメリカもそれを認めたという。
しかも、その核を持たないということが世界の新しい方向で、それに先べんをつけていくのに最もいい立場にある
日本が、
沖繩返還の態様についてそういうさまざまな形を整えることは大事でしょうが、同時に、それを返還協定の中に明記するということは、少なくとも
日本のいままでの長い主張を生かすことでもあるし、また、
アメリカが認めておるというならば、それによって少しも日米友好を妨げるものでも私はないと思う。ですから、むしろそれを明記することによって、世界の中に
日本のような国もあるということを明らかにして、
しかも、そういう条件の上に立って、あるいは国連であれ、あるいは
ジュネーブにおける軍縮
委員会であれ、いかなる国際場面においても、あるいは二国間の間においても、さらにこの問題を一そう明らかにすることによって、世界のあるべき姿、方向というものを
日本が先達となって切り開いていくという、そういう気魄があってこそ私は
日本外交というものに非常に意義があると思う。そういう意味で形を整えるということはよくわかりますが、
しかし、それを返還協定の中に明記するということは非常に私は重大、重要な意義があると思う。それができないということは私どうしても理解できないし、この前も予算
委員会で総理に申したのですが、たとえば
国会における非核武装宣言もやらない。あるいは返還協定の中に核抜き明記もしない。あるいは中曾根長官がこの前提起をされた「国防の基本方針」を
改正しようという意図があって、その中に非核三原則を盛り込みたいと中曾根長官答えたが、総理はそれに消極的な態度を示された。非核三原則、「国防の基本方針」を改定するかしないかは別として、それにも盛り込むことは消極的である。
〔理事長谷川仁君退席、
委員長着席〕
また、返還協定の中に核抜きを明記することも賛成はできない。
国会における非核武装宣言にもこれは反対だ。
しかも、
日本は核を持たない。どうも私、
ほんとうに持たないのなら、今後とも持たないのなら、それを明らかにすることがどうして妨げになるのかということですね。それから、将来のフリーハンドを縛るというようなことをもし考えておられるなら、それはたいへんな間違いなんで、将来こそ
日本のような国が先べんをつけて最終的な禁止にまで持っていく
努力をするべきで、将来のことを考えて今日の自由性を留保していくということは大きな間違いではないかと思います。その意味で、私は、
アメリカが反対してくる、それに抵抗するということはこれは別の問題として、
日本自身が、
アメリカと同じ考えに立って核抜き明記をしないというそういう立場をとられることは非常に遺憾なので、ぜひ外相、積極的にその主張を貫いていただきたいと思う。そのことが少しも日米友好に妨げになるとは思わないし、一昨日も
アメリカの議員団と会談をした際に私たちの考え方も一部述べておきましたが、外相の積極的なひとつ意図を聞かしていただきたい。