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政府委員(
山崎敏夫君) まず、キューバとかアラブ
諸国の問題でございますが、仰せのとおり、キューバはへーグ
会議に欠席いたしておりまして、この
条約に加入するかどうかは予測できない次第でございます。
〔
委員長退席、理事
石原慎太郎君着席〕
しかしながら、キューバは
自国にはやはりハイジャック
防止法というものを持っておるようでありまして、ハイジャックの
防止そのものについてはかなり関心を有しておるものとわれわれは思っておりますので、将来はキューバもこの
条約に入る可能性は排除し得ないのではないかと思っております。
それから、アラブ
諸国に関しましては、アラブ連合、クウェート、レバノン、リビア、チュニジア、アルジェリアはこの
会議に参加したのでありまして、アルジェリアを除きましたこれらの
諸国は
条約の採択には賛成しておりまして、署名は仰せのとおりいたしておりませんけれども、
会議には関心を持っておったということは事実でございます。したがいまして、こういう国はもう将来としては加入する可能性は十分あるのではないかとわれわれは考えております。
アラブがこの問題に関して非常に慎重であるのは御承知のとおりでございまして、中近東のあの紛争に関連して、アラブ・ゲリラの問題があるからでございます。しかし、このアラブ・ゲリラの問題も、これらの
政府としては内心迷惑な面もあるようでございまして、したがいまして、アラブ、イスラエル紛争の成り行きが好転すれば、こういうアラブ
諸国の
態度もだいぶ変わってくるのではないかとわれわれとしては期待しておるわけでございます。
それから、分裂国家のためにせっかくオールステーツ
方式をつくったけれども、入らないようではないかというお話でございますが、この点はわれわれとしても非常に残念に思っております。
わが国といたしましても、従来の国連でつくります
条約の一つの例外として、軍縮以外の
条約では初めての例として、この
条約についてはオールステーツ
方式をとることにむしろ積極的に働いたわけでございまして、われわれも過去の「よど」号の事件その他の経験に照らして、ことに
アジアにあります分裂国家が入り得るように十分な配慮をしたつもりでございますが、それにもかかわらず、これらの
諸国からまだ何らのインディケーションがないことは非常に残念に思います。しかし、われわれがそういうことでやっておることはこれらの
諸国も承知しておりますし、各国がどんどんこれに入ってくれるなれば、そういう
アジアにあります分裂国家もかなり関心を示してくるのではないかと思います。その意味で、われわれとしても率先してこれには加入したいと考えておる次第であります。
それから、そういうわけで、あまりこの
条約は、せっかくつくっても効果がないのではないかというお話でございますけれども、私たちとしては必ずしもそうは考えておりません。ハイジャックはもちろん体制の異る国の間で起こることが多いことは事実でございますけれども、同じ西欧
諸国の西の国の間におきましても起こっておるのでありまして、たとえばアメリカの脱走兵が飛行機をハイジャックしてイタリアのローマのほうに逃げたというようなこともあるわけでございまして、やはり世の中には頭の変な人もいて、そういうふうなことをやる人もたくさんいるわけでございますから、必ずしも主義主張だけではなく、やはりそういう人間もおるのでございますからして、
〔理事
石原慎太郎君退席、
委員長着席〕
そういう人たちの処罰には十分役立ちますし、また、そういう人たちがそういうことをやれば厳罰に処せられるということをこの
条約をもって示すことは十分効果があることと考えておる次第でございます。