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政府委員(岡部秀一君)
沖繩の
復帰にあたりまして、いろいろの暫定特例の諸
措置をいたしまして、そして
県民の生活及び経済等を
本土復帰にあたってスムースに移行させようという仕事、それからもう
一つ、
復帰後において、特例的なことも、いままでの対策要綱で、二年あるいは三年の間の
特別措置とか、あるいは五年の特例
措置とかいうことがありますから、これがスムースに、円滑にいくようないろいろの連絡
調査等をやっていかなければならぬということが、
一つ、
復帰後でも大きな仕事に残ると思います。そのほかに
沖繩の開発の問題、これが、北海道開発庁の場合は主として公共事業を中心とする開発ということに限っておるようでありますが、
沖繩の
復帰後には、
沖繩の二十五年間の格差是正と、さらに
沖繩の振興策ということを
考え、あるいはまた、そういう
沖繩の格差是正という消極的な観点だけでなくて、さらに大きく、
沖繩が
本土に
復帰になったということで
——沖繩をそのままにしておけば何らの価値ないもの、あるいは格差是正だけをやらなければならぬということになりますが、
沖繩が
本土に帰ってきたということで
本土の価値がそれだけ増すという
考え方をすべきだと私は思います。そうすると、
本土のほうでも、そういう格差是正、マイナスの面をようやく水準まで持っていくというんじゃなくて、
沖繩が
復帰した、その
沖繩の価値というものに振興開発という力を注ぐならば
本土の価値がぐっと上がる。すなわち、
日本の価値がぐっと上がると言うことができると思いますし、そういう観点で
沖繩の振興開発というものをすべきだと私は思います。たとえば農業におきましても、現在では
本土では温帯の農業、これが、亜熱帯という地域が返ってきて亜熱帯農業というものが
日本にプラスになってくると、こういう
考え方ができると思いますし、また、
沖繩のあの離れている島、これを僻遠の地だという
考え方じゃなくて、今後
日本が発展していく東南アジアの前進
基地だと、中継
基地だという
考え方をもって開発をしていくならば、
沖繩の開発、それは
沖繩だけでなくて
日本全般の価値を大きく伸展させると、そういうことになると思います。そういう面で
沖繩の振興開発ということを
考えていくならば、単に北海道開発庁のような開発
関係でなくて、いろんな面に力を注いでいかなくてはなりませんし、また、特に格差是正の問題もありまするから、開発のほかに、経済面において、あるいは教育文化面、あるいはまた社会福祉の面、観光の面と、そういう面で、開発だけでなくて、広く全般の開発振興というふうなものをやっていくということが必要だろうと思います。その面で大きな力を今後
沖繩の開発に注いでいかなくてはならない、こういうことを
考えますならば、今後、秋の
沖繩に関する臨時国会のときに、従来の暫定特例
措置の法律のほかに、
沖繩振興開発法というふうな法律を制定するということが大事だと思うのであります。そうして
沖繩の開発をやっていくということがけっこうだと思うのですが、その
沖繩の振興開発をやるのについては、やはり強力な機関というものが必要であろうということで、
沖繩開発庁というものをぜひとも置くことが
沖繩のためだし、
日本全般の振興に役立つというふうに
考えます次第でございます。
それにつきまして、その振興策をするのについて、
沖繩振興開発法という法律の中に、国の負担金を手厚くするとか、あるいは補助金を手厚くするとか、そういう特別に手厚い、いろいろな諸施策、補助等を盛り込んでいくということによりまて、法律できまっておるということで相当の振興をすることができますけれ
ども、しかし、今後毎年毎年の予算及びその振興
計画の調整、
統合、進展というふうなことを
考えますると、開発庁を置いてそうして所管大臣を置く、大臣を長とする開発庁を置くということが最も
沖繩のためにもなるというふうに
考えております次第でございます。
その所属をどこに置くかということについては、全然まだ検討をいたしておりません。いろいろと利害得失を
考えていったらいいと思うのですけれ
ども、いずれにしても、各省庁でやる諸事業を連絡、調整し、推進していくというふうな高い観点から、各省よりは高いというか、そういうふうな観点でやっていく必要があろうと思いますし、先ほどの立法院の方々の要望は、総理大臣直属の総理府外局としてという意向が非常に強いということを、先ほど立法院の
人たちも言っておりましたような状況でございます。それをどこの所属にするか、どういう機構でするか、これはひとつ十分に研究をしていくべき問題だと思いますし、要は、
沖繩の振興開発、豊かな
県民生活ができるようなということを頭に置きまして今後いろいろと研究をしてまいりたいと思っております。
それからその次にお尋ねの、北方の問題をどうするかということにつきまして、これは開発庁の中に入れるかどうか、あるいはまた、別に置くかどうかということにつきましても、まだ具体的になっておりませんので、今後研究をしていかなくてはならないと思います。
ただ、こういうことは言えると思います。
沖繩が
返還をいたしましたあとは、北方領土問題が唯一の未解決な重要な領土問題として残るということでございます。そういたしますると、この北方領土問題に関するところの啓蒙宣伝、
調査研究、北方領土の元居住者の援護というものにはさらに拍車をかけて、行政面においても事務を進めていかなくてはならないということになりますと、根本的な
考え方としては、いま、
沖繩と北方と両方の対策をやっております
沖繩・
北方対策庁よりも、少なくともそれ以上の、少なくともそれよりはレベルを落とさないところの機構、やり方というふうなやり方をやっていく必要があると思います。分離するにしてもしないにしても、そういうやり方、今後、いまよりももっと力を入れた機構ややり方をやっていくべきであろうということについてはだれも異論がないと思いますが、その点の、具体的にそれをどうするかということは、今後さらに皆さん方のお知恵を拝借しながら
考えてまいらなければならないと思います。