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国務大臣(
山中貞則君) これは私もたいへん頭の痛い点であります。ということは、政策以前の問題として、昨年国会で制定されました過疎
地域対策緊急
措置法のときにもそれを痛感いたしたのでありますが、どのような施策をとってみても食いとめられない現象があります。それはやはりテレビ等の普及発達が非常に大きな心理的な影響を与えていると私は思いました。ということは、
沖縄にもだんだんテレビが普及してまいりますが、そのテレビの画面にあらわれる東京とか大阪のイメージというものは、若者にはたいへんパラダイスみたいな感じの享楽的な面がドラマその他においても多うございますし、それに、やはりテレビのスイッチを切った、と、あたりは虫の声だけがあって、波の音。そしてテレビの画面からいえば、
自分も恋をささやきたいと思っても、適齢の女性はほとんどいないというような環境等であって、じゃ
自分もやはり東京に出てみようとか大阪まで行ってみようかという背景が、
本土でも過疎
地域にはあるように思いました。この現象は、
沖縄においてもやはり大東島あたりの人口の減少の傾向等をつぶさに見ますと、わりと大規模農業を
沖縄でやっているのは大東だけでありますけれ
ども、しかし、また反面、若い青年諸君が比較的踏みとどまってもおりますが、どうしても花嫁難であるということ等もいわれておりますし、今後テレビがカラーも完成をいたし、そして大東あたりにも今度はテレビが入るわけでありますが、そうなりますと、やはりそういう心理的な面からのあこがれとか、
自分の周囲を振り返ってみて
自分も一ぺんはというような気持ちで離れていく人たちを食いとめる手段はないのではないか。こういう点を非常に私は
心配しております。しかも、この層が
産業人口
構想の上からは一番働き手の諸君であろう、こう考えますと、その
意味では非常にさびしいと申しますか、
心配をしておるわけであります。
他方において、政策的にそれらの
地域について考えてあげた場合に、
配慮をした場合に、食いとめられ得る要素というものはこれまた幾つかあるわけであります。
沖縄の場合にはほとんどが本島も含めて全部離島と言ってもいいわけでありますから、問題は島と島との間の航路というものをどのように便利にしてあげるか、そうして通信というものをどのように一体感を持って居住できるような環境に置いてあげられるか、そして住んでおる島そのものの中において、西表島等においては、東部と西部とは、同じ島に住んでおっても、東部の人はまっすぐ西部の部落に行けない。西部の人は一ぺん石垣島に行って別の航路に乗らなければ東部には行けないという状態にありますから、こういうことはだれが考えても、縦貫道路、もしくはいま
計画しております一周道路というものが完成いたしますと、これは島の中が
二つに分かれたような状況が解消されるということは自明の理でございます。したがって、そのような島の中の居住環境の改善という問題に資する道は数多くあると思うわけであります。これらの政策は道路、航路あるいは通信その他万般にわたって逐次設備をしてまいるつもりでありますし、もちろん、公看制度まで含めた、不測の場合の病気やけがの場合に対処するというようなこと等も含めて、安心して住める環境づくりということはできるだけやっていかなければなりませんし、それによって食いとめたいと思っております。ただ、
沖縄群島の中においても那覇を中心としては人口増加
地域であります。これらのことを考えますと、全群島が過疎
地域に化しつつあるということではございませんので、やはり
沖縄に対する新しい経済の年次
計画、未来の青写真を描くことが
地域に即した具体的なものができますならば、私は、やむを得ない面として一部離島においての人口の流出は食いとめられないとしても、少なくとも
沖縄県内においてそれらの人々がやはり
産業貢献人口として生活の向上、所得の向上にそれぞれ貢献できるような経済
計画というものは描けるんだということを反面は考えておりますので、流出をする島等もございましょうが、なるべくそれも食いとめる施策をつくる反面、
沖縄県内から
本土等に流出することを
最大限食いとめる政策の立案というものがぜひ必要だということで、現在
沖縄経済開発特別立法というものについて検討しておるわけでございます。