○
国務大臣(
山中貞則君)
対策要綱について
説明をするようにという事前の御連絡をいただいておりますればきちんと整理して書いてお渡しできたわけでありますが、昨日の衆議院のほうでも突然の御
要望がございましたが、お手元に配ってございます第二次
要綱、これについて口頭で私のほうで補足しながら
説明をいたしますので、その形式でお許しを願いたいと思います。
沖縄復帰対策要綱でございますが、第二次に関しまして、まず第一に「
沖縄県および
市町村」という問題に関しては、知事並びに県の議会の
議員につきまして
復帰時において
琉球政府の主席にある者、これを
本土各県の知事とみなす。
立法院の
議員についても
県議会議員とみなすという
措置をとるものでありまして、
現地の御
要望どおりでございます。「
市町村」については、これはもう問題はございません、
奄美大島の
例等もございますから。
あと、「イ」についてはそれぞれを定めたものでございまして、何も問題はございません。
「ウ」のところで、「
復帰後
一定期間、
合併市町村に対し
従前の
特例の
趣旨を尊重して所要の
措置を講ずる」、これは
沖縄においては、
本土の
市町村合併促進法に比べて全般的に
本土のほうが手厚うございますが、
沖縄独特のものとして、たとえば
合併した
市町村、新しい市もしくは町に対して
琉球政府から
補助ができるようになっております。いわゆる
補助金の
制度というのは
本土にはございません。実際の支出がなされておるかどうかの点について疑問の点がございますけれども、
法律はそうなっておりますので、
沖縄側の進んでおると申しますか、手厚い点、
一定期間促進する必要が
沖縄においては、
有人離島の数あるいは
市町村の数、さらに
国民健康保険実施にあたっての現在の
市町村の区割り、数等についてたぶんに問題のあるところであり、
本土の
合併は一応もう終わったという
感じがいたしますが、引き続き
沖縄においては、
琉球政府の
特例をさらに上乗せをして
一定期間に
市町村合併を促進しようというものでございます。この
機構のところで当然入っていなければなりませんでした、
本土に
復帰した場合に
本土の
政府側における
機構をつくるかつくらないか。ほかの県と同じように、それぞれの各省とつながるだけの県にしてしまうかどうか。私どもとしては、
沖縄側の、
向こうから申しますれば、文句をつける相手という相手がやはり必要であるし、こちらから申し上げれば、責任を持って
沖縄の
新生第一歩をまとめて、
予算も、たとえば
復帰時の第一年度の
予算であろうと仮定される四十八年度
予算の総額は幾らになりますということを、
本土の
予算が決定いたしますときに、財投まで含めて、たとえばことし六百億二千万円というふうに明らかにいたしましたけれども、こういう
措置をとることが、
本土政府が
予算の面においてどれだけ
沖縄の新しい
第一歩に支援をしようとしておるかということを具体的に示すものとして、どうしても一本化された
行政機構が、たとえば
仮称沖縄開発庁というようなものが必要となると思っておりますが、しかし、
現地側においてやはり県政の
自主性、
地方自治の
独立性に対する
中央権力の圧迫になりはしないか等の
懸念等が存在いたしまして、いまだ話の
調整がついておりませんので、この点を
総合出先機関も含めてこの際は落しておるわけでございます。後ほど御
質問等がございますれば、三次に関する問題についていろいろとお答えを申し上げてなお
説明をいたしたいと存じます。
次に、「
琉球政府の
関係機関」でございますが、
琉球電信電話公社についてはこれは問題はございませんです。ただ
向こうは一本でございますので、それぞれ
日本電信電話公社、
国際電信電話株式会社というものがその
事務を行なう
職員を引き継ぎ、
受け入れ、という
表現になっておりますのは、
電電公社と
国際電信電話株式会社の違いでございまして、実体は変わりません。
「
琉球土地住宅公社」というものが存在いたしておりますが、これは
公社の形で存在するよりも、やはり
本土の
地方住宅供給公社という形に切りかえていったほうがすらっとしてよろしいということで、これも
意見が一致いたしております。
「
沖縄下水道公社」、これは
本土において
流域下水道という、
市町村固有の
下水道業務を越えて行なうという道が開かれましたので、
沖縄の体制から考えて県営の
下水道にすることが最も好ましいと考えて合意したものでございます。
「
沖縄放送協会」については、いわゆる
OHKでございますが、ちょっと文章にニュアンスの違いがございます。「
復帰により
沖縄の
放送法が失効するのに伴い」、あとは
NHKが
業務を引き継ぎあるいは
職員を引き継ぐ、こういうことになって
受け入れるということになっておるわけでありますが、これはやはり
NHKというものは
公共放送でありますが、それゆえに
独立性、
自主性というものを堅持いたしておりますので、これは義務的に引き継ぐのであるという
表現は困るという主張がございました。したがって、これはことばだけの問題ですけれども、
沖縄の
放送法が失効する、したがって
OHKというものは一ぺん消える、しかし、それは形だけのことであって、その形において
NHKが
公共放送として引き継いでいくということでありますから、実体は変わらないわけでございます。
日本放送協会の
自主性の尊重という
意味でそういう
表現を使っただけでございます。
「
沖縄観光開発事業団」、これは県でやるよりも
法人組織がよろしいのではないかということに
意見が一致いたしております。事実、
事業内容から考えて
復帰後はその方向がよかろうと思っておるわけであります。
「新全総および新
経済社会発展計画の
改訂等」、これの中で
沖縄の地位について一
ブロックとして扱う。本来、今日までの経過から考えますと、
沖縄県は
復帰後は
九州ブロックという
感じで作業をいたしてまいったのでありますが、私がたびたび申し上げておりますような、また、「計画の
改訂等にあたつては」という後段のほうに「わが国土に
沖縄地域が加わることによりもたらされる価値を明確にする」、すなわち、
付価価値の大きさというものを新全総の中ではっきりと位置づけよう。さらに、それは「わが国の最南端に位置する
亜熱帯地域の特性を生かし、
産業の
開発、
環境条件の
整備保全および
交通通信体系の確立を図ることにより、
沖縄地域の発展と豊かな社会の
建設をめざす」んだということで、一
ブロックとしての取り扱いの
扱い方というものを明確にしたつもりでございます。
次に、「
沖縄振興開発公庫」、これは
現地においても、さらに
本土の各省、各
金融機関についても相当な
議論をいたしてまいりましたが、最終的に、
沖縄のためにこのような
方法が最善であるということで
沖縄振興開発公庫をつくることにいたしました。一応「
仮称」としてございますが、これは
法律の段階まで
仮称だという
意味でございます。これは、日本
開発銀行から始まって
住宅金融公庫等に至る
各種政策金融機関を一本でたばねて
沖縄でそれぞれの
業務を行なわせようというものであります。さらに、現在
沖縄の
政府という形をとっておりますために持っております
大衆金融公庫から
運搬船建造資金融通特別会計等、
本土にない
制度等もございますが、これらも
業務全部を引き継いでまいりましょう。
アイウエオのエで、それらの体制をもって出発する
沖縄振興開発公庫のあり方は、
沖縄の
産業・
経済の実情を勘案し、適切な
貸し付け条件その他を定めるということで、
貸し付け条件の金利あるいは
償還条件等について、それぞれ、
本土の
開発銀行から
住宅金融公庫に至る
条件の中では解決し得ないような
条件であっても、
沖縄振興開発公庫であれば解決し得るということで、それらの事前の打ち合わせを済ませた上でこれらの
表現をしたわけでございます。この
制度は
沖縄の未来にとって非常に大きな進展をもたらし得るものと確信をいたしております。
「
教育・文化」のところではあまり問題はございませんが、1の「
学校制度」ア、イについては、それぞれ「
本土の」「みなす」という
措置をとることだけでございます。
ただし、「
私立大学の取扱い」で若干問題が存在しないとは言い切れません。「
私立大学については、
復帰までの間に、
本土の
大学の水準に達することができるよう
統合その他の必要な
整備」をはかってもらいたいということがまず第一に望んでございます。しかし、それをやらない、
復帰して
本土のほうの新しい
制度である
経常費補助あたりをあてにする、悪くいえば、そういうようなことで残っていこうとしてもそれはだめです、
学校教育法による
大学とみなさないことになりますから、したがって、卒業生、在校生は
大学卒業の身分、資格を認めますけれども、新しい補充はできなくなりますよということを言ってあります。非常にドラスチックなものの言い方をしているわけでありますが、これは前提がございまして、
琉球政府の
私立大学特別委員会において、両
大学の
統合を勧告いたしております。それに対して、一
大学は拒否し、一
大学は賛成の意を表明いたしたわけであります。その後
大浜私案等々も提案されまして検討の最中でございますが、これはぜひとも一本になってほしいという
本土側の希望であります。しかし、
復帰して一本になっていなければこうするぞというたいへんきびしいことを言っておりますが、そのかわり、
統合整備をされて一本になられても、なお
沖縄の
私立大学は
本土の
学校教育法による
大学設置基準にはおそらく達しないと思います。しかし、その場合は、達しなくとも、
沖縄における唯一の
私立大学校として
特例でそれを認めていこうということを含みといたしておるわけでありまして、ある
意味においては、あたたかい
措置をとるにはこのような苦しみ、手段を通り抜けてきてくださいということをお願いしているものでございます。
私立学校は、
琉球大学を
国立に移すのと違いまして、それぞれ
私立学校の
経営者がおられまして、
経営者の
人たちの間には賛成もあり反対もあり、
教授会のまた
意見も分かれております。しかし問題は、
沖縄で引き続き
私立大学の存在することの
必要性、そしてだれのためにこの
議論がなされておるのか、すなわち、
私立大学の
学生たちの将来のためにあるべき姿ということを考えるべく、この問題はぜひともこういう方向で進んでもらいたいし、
琉球政府、
立法院等もこのことを希望しておるということをつけ加えておきます。
「
教職員の
特別研修」については、
復帰いたしますと
本土派遣というのは少しおかしいんですけれども、しかし、
教職員のレベルアップというのは緊急の必要なことでございますので、
一定期間——大体ここらから「
一定期間」というのは五年ぐらいという
意味でありますから——いままでどおりいたしましょうということでございます。
「
宗教法人制度」「
学校安全会」等は、それぞれ
一定の
期間内に規則の承認を受ける等の
条件はあるにしても、
本土と同じようにしたいということでございます。
「
琉球育英会」については、第一次で
国費留学生については触れてありますが、これはその母体である
育英会というものについてそのまま
民法法人として存続してください。なおさらに、
琉球大学等に入学する
沖縄県内子弟等においてもやはり
奨学資金貸与等の
制度が及ばなければなりませんので、これは
国費留学とは別に、
日本育英会が
沖縄に同会の支部を設置することによってその
業務を行なうということで、別段これが
琉球育英会対立するものとはならないわけでございます。
「
私立学校振興会」、これはやはり存続するわけでございます。
「厚生・
労働」、「
福祉事務所」、これは
本土法でいえば、必置しなければならない
市等について、
沖縄の状態ではまだそこまで一挙にできないという場合は、その
事務を当分県でやってくださいということを
特例で申し上げておるわけでございます。
「
結核および
精神病に係る
公費負担」については、
本土の
制度では通院あるいは
自発入院等について
沖縄よりも手薄くなることになりますので、ここのところについて、
沖縄の
特例をなお存続しようという精神を貫いておるわけでありますが、この問題で将来
検討課題としてできれば第三次
要綱等に具体化したいと考えておりますのは、いままでの
委員各位との御
議論でも申し上げてまいりました、
沖縄の
精神病、
結核の異常な比率の高さ、あるいは
精神病院、
結核患者の
収容ベッド数等の極端な不足、こういうものから考えまして、
復帰後
琉球大学の
保健学部の
附属病院としていま
整備されつつありますが、
国立の
病院というものが事実上存在しない
地域になるおそれがございます。そこで
琉球政府側も、現在の南援でやっております
精和病院等を
国立にしてほしいという
希望等もあるわけでありますが、それらのことも勘案しながら、この
結核、
精神病の病人を対象の中心とする
国立病院の設立が必要ではなかろうかと考えておるわけでございます。単なる
財源措置だけでは済まない問題であろうということでいま考えておりますが、これから厚生、
大蔵等とよく相談をいたしてみたいと考えておるわけでございます。
「
医療機関」についてはもう御
承知でございますから、
本土のほうは十九人までとなっております
診療所というものを、
沖縄では
沖縄法によって二十九人までを
診療所とみなしております。したがって、五年間ぐらいはいままでどおりやっていってもらいたい。
本土では二十人以上は
病院ということになります。したがって、その
特例を認めますと、
診療所における患者の
収容時間というものが、二十人から二十九人までの規模の
病院において
本土の同じ
診療所の
入院期間というものを規制されることになりますので、これもやはりその規模について
従前の例を認めれば
収容時間等も
沖縄の
特例から見てこれを同じように
特例として認めるべきではなかろうかということでございます。
「
労働者災害補償保険」、これ等も
本土のほうで順調に引き継いでいって、「
復帰前に生じた
業務上の事故にかかる
復帰後に支給すべき諸
補償給付等」の問題が、少し具体的に書いておかないといけませんので、そういう場合には、特別の場合でない限りは
本土の
労災保険が引き継ぎます、こういうことを申し上げておるわけです。
「
失業保険」、これも大体そのまま引き継いではまいりますが、
沖縄の
失業保険の、
船員保険法も含めて、順調に、これが
計算方法その他も
本土並みになれるようにいたしたいと考えます。
「
外国人季節労働者」、これは
沖縄の
基幹産業、農業の
基幹作物である。
パインアップル及び甘蔗というものの
収穫期に台湾から大量に
季節労務者が入っておりますことは御
承知のとおりでございます。
本土の
出入国管理令ではちょっとこういうものは認められないし、
労働省といたしましても、
万博等の
外国人労務者等の
議論の経緯もありまして、そう簡単に認められないという立場でございましたが、しかし、
台湾人労務者の御加勢を得ない場合に、
沖縄の、ことに離島の
キビ作並びに
パイン作農家は一挙に
生産手段を失ってしまうという実態を了解をしてもらいまして、
一定期間は
外国人労働者の季節的な
労務者としての
受け入れができるような
特例を講ずるわけでございます。法務省のほうも了解をしてもらいます。
次に「
産業・
経済」に移りますが、「含みつ
糖対策」については、これはいままでずいぶん
議論をいたしてまいりました。しかしながら、
本土の
糖価安定法そのものに入れるということは非常に困難である。しかし、現在
沖縄では、
原料価格の公示、あるいはそれによって
経営者である
事業者が受ける損害について最低限の支出を
琉球政府がいたして
補助をいたしておりますので、さしあたりはこの
制度を継続していこうということで、当分の間はこういう
措置を講じようとするわけでありますが、ここで「当分の間」という
表現が出ておりますが、「
一定期間」よりも長いという
感じの「当分の間」でございます。
「
農業協同組合および
水産業協同組合」、これは
本土のものとみなす
措置でございますが、
農林漁業職員共済に対する問題は、他の
国家公務員、
地方公務員共済の
関係等が、
掛け金期間、
勤続期間、給付の
金額等についてまだ話し合いがついておりませんので、一連のものとしてたいしてこのほうは問題がないと思いますが、第三次に落としてございます。
次に、「
国有林野」については、明治四十二年の勅令で
沖縄県に
貸し付けた
国有林野は、
貸し付け期間がまだ残っておりますので、その
期間の間は
従前と同じ
条件で
沖縄県にそのまま
貸し付けて活用してもらう。
沖縄の
森林法に基づいて
貸し付けられてある
国有林野については、原則として
一定期間従前と同じ
条件で
貸し付けを継続しながらも、なお、西表(いりおもて)について特別な付け加えがありますが、これは御
承知のように、大戦中に本島のほうから強制的に西表に入植、開拓を余儀なくされた方々が非常なマラリアと戦いながら、
国有林の、
沖縄の
森林法に基づく
貸し付けを受けて、今日もなお
自分たちの
収穫物は
自分に帰するとはいえども、その土地というものは愛着も込めて
自分のものでない。したがって、担保その他の
措置も講ぜられない。したがって、だんだん離村していく人がふえるというような事情もございまして、この際、念のために、「
国有林野事業に著しく支障を生じない限り」とは書いてございますが、支障を生ずるようなところはないと思いますので、西表のそういう強制開拓者、入植者等については、時価と申しましても
現地の価格は知れたものでありますから、格安ということであります。譲り渡す
措置を講ずるということでございまして、非常に
現地で歓迎をされておると思います。
「部分林契約」についても同じく承継をいたします。
「漁業」について。漁業法を同じく
沖縄にもそのまま適用いたしますが、
沖縄県というもののあり方が、将来漁場の中に
沖縄があるということについて、特別に
沖縄に対して許可漁業、指定漁業等の認可隻数、許可隻数、こういうものについて配慮をいたしまして、
本土法の及ばない——すなわち
本土法ではカツオ、マグロ等において単純なワクの増加は認められませんし、新しい申請も受け付けない。あるいはスクラップ・アンド・ビルドでなければだめであるというきびしい
条件で資源保護をはかっているわけでありますが、
琉球政府では
琉球政府自体の判断で、
本土の各県であるならばとても考えられない相当な隻数の公示をしておられるわけでありますから、その公示された隻数については、
本土のいろいろな関係県、漁業県、もしくは関係漁業団体から、少し行き過ぎであるという抗議もありましたけれども、
沖縄の未来を考えた場合に、やはりここで、
琉球政府の公示した隻数については
本土のほうでそれを認めてあげることにしたらいいんではないかということで、水産庁に努力をしてもらってのんでもらったということでございます。
「漁船保険
制度」も琉球漁船保険組合を
本土の法令に基づく漁船保険組合とみなして引き継ぎますということであります。
次に、「自由貿易
地域」、これについては、いわゆるフリーゾーンでございまして、ずいぶん
議論がございまして、賛否両論、あるいは必要がない、そういうような
意見等もございましたけれども、やはり先ほどの、
沖縄県を新全総の一
ブロックとして位置づけるために、そうして一番南の
地域にある——最南端の
沖縄の立地
条件というものを生かすために、どうしても
沖縄に自由貿易
地域を設定しなければならぬ。現在ある自由貿易
地域程度のちゃちなものではだめだということで、一歩前進して、相当な土地を獲得もしくは埋め立て等をいたしまして、外資、
本土資本あるいは現場
沖縄県内の資本を問わず、そこで、税制上のあらゆる特典を与えて、全体を保税
地域的に扱って自由貿易
地域をつくっていこう。日本においては初めての試みでありますが、ようやく
意見をまとめることができました。
「伝統工芸
産業の振興」、これは小さなことのようでありますが、
沖縄における伝統工芸品は長い歴史の上に立って築き上げられたものであり、将来これを育成することによって
本土市場の相当な
資金獲得と申しますか、シェア拡大ができるという希望のあるものでございまして、現在は細々とやっておる
感じがしてなりませんので、ここで伝統工芸品の紅型、織物、陶器、漆器等、これらのものについて近代化、組織化、あるいはデザインの今日で求められているものに対する適応のしかた等、あらゆる問題について科学的にも技術的にも研究をする。琉球工業研究指導所というものを県立の工業指導所的なものにして、これに対して
資金を国が大幅に援助をしていく。
国立にするのにはちょっと
本土各県でもそれぞれ
地域の工業試験所を持っておりまして、やはり
地域に応じた
措置をとるのがよろしゅうございますから、
資金面さえめんどうを見れば県立のほうがよりよろしいということは琉球側も認めて承認、合意したところでございます。
「工業所有権
制度」、これはもうほとんど問題はございません。商標等についても一部
本土等で似たようなものを使われて困るという話もありましたけれども、
沖縄は幸か不幸か離島でございますので、そういう
意味で、大体問題なく移しかえられそうでございます。
「琉球銀行の株式」については、明確に
復帰前に地元住民に対し処分されるよう
措置するものとして、これは
沖縄県民以外の者がこの株式を取得しないということを言っております。アメリカの銀行資本も含め、あるいはまた
本土の一般資本、銀行資本も含めて、この五一%分の取得に乗り出してはならないということを申しておるわけでありまして、これを取得する者は琉球の地元住民であるということを明確にいたしました。あとは、その株式の評価の金一額等の問題が残りますが、これは対外折衝の問題でございます。このような
措置によって、
沖縄に明確な
沖縄県民の金による
沖縄県民の地方銀行が誕生するものと考えます。もっとも、
沖縄銀行もあるわけでございますから、地方銀行二つ、できれば一つにしてほしいですけれども、この五一%の問題についてはそのようなつもりで処置したつもりでございます。
「証券会社」も、
沖縄で証券会社がはたして成り立っていくかどうかということもありますが、まあ経過的に、
本土の許可制ということでは無理であろうということで登録制で認めていこうということでございます。
だいぶ時間がたちましたので急ぎますが、「運輸・通信」の「港湾の管理運営」、ここのところでは、なるべく港の格づけをして、それから
沖縄の重要中核港湾である那覇商港、泊港、那覇新港、こういうものをできれば那覇市、できれば
沖縄県というもので一体的に管理してもらえないだろうかということでございます。これはしかし、まだ那覇市と
沖縄琉球政府との間で
意見が一致いたしておりません。しかし、この方向で努力しようということで
意見が一致しておるわけでございます。
「空港の
整備」は、那覇空港については、民間航空路に占める重要性というものを考慮して、アメリカが
建設予定の金を出さなくなりましたので、
本土政府が肩がわりして、そしてそれにふさわしいりっぱな空港
整備を
本土政府がやりますということを言っているものでございます。離島空港についても、今日の実情からその
整備促進をはかっていく。
「海運業」については、現在の
沖縄の運賃同盟というものをそのまま当分の間
一定期間認めようということでございます。そして近代化等をやろうということでありますが、これは
本土の国内のほうにおいて反対
意見がございます。
沖縄が
本土に返ってきた場合に、
本土の船が
沖縄県民のサービスに入っていくのがなぜ悪い、同じ国内じゃないかという強い反対
意見がございましたけれども、現在の施政権下において置かれておる、一部
本土の業者も入った運賃同盟を解除いたしますと、
沖縄の離島航路も含めた
意味で、次のアもイも含めた
意味でありますが、ことにアの場合において、
本土の強力な資本、船会社資本が行った場合に
沖縄の既存船会社というものが窮地に立つのではないかということで、五年間ぐらいの間に体制の
整備をはかる間、
本土のほうの乗り入れはがまんしなさいということを
意味しております。
「辺地、離島バス運行の確保」については、これは特別に、
沖縄においては、辺地、離島バスが必要なところでありますので、実情に沿うようなそういうバスの運行確保等について
本土の
制度を十分活用していきたいということであります。
「車検
制度」は、当初、
本土に返ると全部国営車検になるので
自分たちは廃業しなければならぬ、補償金をよこせという御
議論でございました。なおいまでも補償をよこせと言う人はおられますが、
本土のほうで昨年の法改正によって民間車検というものが委託で認められるようになりましたので、現在
沖縄で営業しておられる方は、その
制度を利用して全部指定検査人になってほしい。なってくださればよろしいのではないでしょうか。しかし、国営による検査を必要とするものについては、若干、二行ほど書いてございますが、これは
沖縄県の左側通行、右側通行などの違いにより、
本土からシャシーを送りまして、
向こうで入り口を違えた、おおいをかけると申しますか、そういう、どっちかといえば組み立てを一部やっておりますので、この部分だけは構造、その他の安全性をどうしても国営で検査する必要があるということで、これは
沖縄の既存の自動車の検査
業務を行なっておる
人たちを圧迫するような分野ではなく、わずかな分野でございます。「
公共放送の実施」については、可及的すみやかに
本土並みにしよう、受信料はしかし、朝、「今晩は」という放送を見せられる
地域等もございますから、あるいは時間送電の
地域等もございますから、これはやはりサービスの実態に応じて
特例措置を考えなければなるまい、こういうふうになっておるわけでございます。
「司法・法務」。「民法、商法または有限会社法に基づく法人」、これはほとんど「みなす」わけで問題はございません。
「会社の発行する株式等」、これもドルと五百円との問題がございます。これもそれを問題なく処理しようということでございます。
「登記」についても、大体、所有者不明土地登記及び
市町村非細分土地登記というもの、これはまた別な問題がありますので除きますが、登記は
向こうの登記をそのまま認める。
「戸籍」についても同じであります。
「供託」、「司法書士会および土地建物
調査士会」、「免許資格」の1及び2の「水先人」、それから「公証人および司法書士」、「海事代願人」、「特級ボイラ技士」、「受胎調節実地指導員」、「行政書士」はそれぞれ
本土の資格とみなす、もしくは若干の講習その他も含めながらそれがまた仕事ができるようにしたいということであります。なお、「獣医師」、「製菓衛生師」、「消防設備士」等も同じでございます。最後に、「在沖外国人の在留資格」、これについては法務省、外務省等と、いろいろ
本土における朝鮮、中華民国等の問題とからみ問題になるのではないかということで、
沖縄に住んでおる
人たちについて現在認められていると同様の法的地位を維持できるよう好意的に配慮することについては、
議論がございましたけれども、
沖縄は遠く南の離島で、
本土のほうとそら問題は混淆しないであろうというので、こういう
特例をつけ加えることにいたしました。
「なお、平和条約の規定により日本の国籍を離脱した者で、
昭和二十年九月二日」——ミズーリ号での調印の日——「以前から
復帰の日まで引き続き
沖縄に在留するもの(
復帰の日までに出生したこれらの者の子を含む。)に対しては、特段の事情」——犯罪歴その他の事情——「がない限り、永住を許可できるよう」に希望するならばいたしますということで、好意的な配慮を貫いておるわけでございます。
以上で概略の御
説明を終わります。