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国務大臣(
山中貞則君) 農業振興策の基本構想というのはたいへん大きくなりますから、基幹産業にしぼって申し上げますと、今回分みつ糖については
本土復帰とともに
沖繩産糖の特別買い入れ
措置法を廃止すれば
本土並みの
条件になるわけでございます。奄美大島と同じ
条件になるわけでありますが、その際でも問題として残るのは、種子島から与那国に至る、あれだけの長い、気象
条件の異なる
条件下における熱帯性作物のキビについて、一本価格の買い入れでいいかどうか。この事業団買い入れ価格等の問題については、
本土法をどうするかという問題が
一つ背景にあるわけでありますけれども、いずれにしても、現在より悪くなるわけはないということはわかっておるわけであります。そこで、現在では琉球
政府限りで保護をしていて、
復帰後は、現在の
本土法にない黒糖の保護でありますが、含みつ糖についてはいろいろ議論が分かれまして、農林省としても自信が最終的に持てなかったわけでありますが、しかし、現在琉球
政府でとっております含みつ糖
地域の一本価格の原料告示、並びにそれに伴う
企業に対する
——間接的には生産者でありますが、五十万ドルの琉球
政府の財政
措置をもってする
救済措置、これについて
本土政府が
復帰後引き続きめんどうを見ていくことによって、黒糖というものについて、一応の安心感を持ってもらいたいという気持ちでおるわけであります。
パインについては、一応果樹振興法ということで考えておりますけれども、それだけでは、現在琉政の原料価格の告示で、パインの果実の直径の大きさによって価格が分けて告示されております、いわゆる生産者の、告示による価格の保障、この問題が果樹振興法では目的が達せられませんので、これらの点をどうするかということをまだ詰め残しておるわけでありますが、これまた、
復帰後といえども、パイン産業全体を通じて、現在よりもマイナスになることはない。すなわち、現在はLCを組んで商社の手を経由して
本土の商社は
沖繩のパインを買うと同時に、外国の台湾その他のパインも買う商社でありますから、そこらの思惑がからみ合って、なかなか価格、数量、引き取り時期その他について、通産省の
段階で毎年ごたごたしておりましたものが、今度は国内市場になるわけでありますから、琉球農連等の窓口でお互いの組合が一本になって出荷その他の手段を講じますならば、
自分たちの国内市場としての、十分のいわゆる商業の原則に成り立った市場獲得の展開が容易になるという
意味では前進だと考えておるわけでございます。
なお、農業に
関係しては、今回落としましたものの中に農林漁業の役職員共済の問題がございますが、これは全般の他の共済の問題がございまして、これには、その共済役員としての
資格期間の問題、いわゆる掛け金をかけていないで
本土並みにいたしますと、給付は掛け金をかけていた
人々と同じ
条件で給付をしてほしいという問題がございます。これはたいへんむずかしい問題でございます。
そういう
問題等がありまして、これまた第三次で明らかにする問題の
一つでございますが、要するに、
沖繩を、第三点の、新全総の中の
沖繩の
位置づけと関連いたしますけれども、やはり
日本の最南端の要衝にあって、−ということは、原材料を外国から持ってまいりまして加工して
貿易で生きていく
日本として原材料の
輸入先の東南アジア、中近東に一番近い場所であるという
意味であります。それと、気候の上の亜熱帯性の
地域であるという二つの
条件を有利に生かし、そして農林漁業というものを含めて、漁場の中に
沖繩があるというその
条件を文字どおり有利に駆使して、
本土の漁
業者が太刀打ちできない、漁業の自給自足の県であり、
本土市場に対して
沖繩の漁獲物がどんどん入ってくるような
沖繩漁業にしなければならぬということを考えておるわけでございます。
なお、将来は畜産等も考えていかなければなりませんし、黒糖のキビのバガス、あるいは梢頭部
——トップと言っておりまする
部分の飼料としての価値は非常に高うございますし、
沖繩においては牧野改良のいかんによっては一年じゅう優良な牧草が育つわけでありますから、こういうような
条件を利用して、現在二万八千頭ぐらいの肉牛をどうしても十数万頭まで底辺を広げまして、そして、産地処理工場をつくって、コールドチェーンも、カーフェリーの戻り船として冷蔵コンテナで大消費地にこれを運んでいくような有機的な、キビやパインの農家は必ず畜産をやる、畜産をやる農家は必ずキビやパインを植えているという農業形態にしていきたいと考えますし、なお、くだものその他の、ミバエ類、ウリミバエ、ミカンコミバエ、こういうもの等につきましても、大体本島においてはウリミバエはいないということが農林省の一年間の調査でほぼわかりましたので、大体
復帰前においても、
沖繩の本島においてつくられたメロン等、かんきつ類等は、
本土のほうに無検査で大体運び出せるような状態ができつつありますが、これを久米島、あるいはその他の宮古、八重山等の、現在ミバエの生息しておりますところを、奄美大島のように徹底的に駆除いたしまして、優秀な熱帯性の、しかもキビとかみ合わせなければなりませんから、単年性の作物として、これを
本土の市場に高価な、優秀な反収をあげるものとして
位置づけていくということが必要であろうかと思うわけであります。
なお、まだ具体的に検討いたしておりませんが、
本土のほうがかつて想像もしなかった生糸の
輸入国になり下がっております。ところが、
沖繩は非常に養蚕において適地が多いそうでございまして、いまのような、かつて戦前の生糸の輸出の王座を誇った姿から衰れな転落をしています姿を見るにつけて、外国から
輸入して外貨を払ってまでその輸出の地位を確保し、国内市場のために生糸をやっておる
日本の養蚕業というものを、
沖繩に対して、新しい活路が
沖繩のために求められるのではないか、
本土のほうもそれに対して望むところという、いわゆる足らざるを補うという
意味において非常に有望ではなかろうかという見解をちょっといま聞いておるわけでありますが、具体的には、私の手元で最終的に技術その他の検討をして、だいじょうぶという確信をつかむまでに至っておりませんが、
沖繩における絹のかすりや、あるいはつむぎ等について、原料の糸が地場の特産物としても相当消費されるわけでありますから、一石二鳥ということにもなりますので、その
意味において、養蚕もこれからは考えられるのではないかという気持ちを持っておるところでございます。
第二の、全軍労の解雇者、不幸にして解雇されました
方々の退職金については、現在のところ、先般
措置いたしました六億三千万円、これは年内の金額でございますが、四十六年度もそういう
条件で進みます以外に、再就職のあっせんその他の費用以外に、直接一人一人にお渡しする金としては、ちょっといまのところ考えられないわけでございますが、問題は早期支給という問題で確かに問題がございます。これは私どものほうは、
沖繩側に支出をすることを決定いたしますれば、それでいつでも出せるわけでありますけれども、大蔵まで含めて決定をするわけでありますから出せるのでありますが、
沖繩側としても無理ないことに、一体どこのだれが、いつから、どんな月給をもらっていて、何年つとめていて、そして退職金を幾らもらって、差額が幾らであるかという、その計算に非常に苦労しておられるようであります。そのために若干支給がおくれておる点が事実ございますので、これらの点は事務当局にもかねがね、やめた
人たちに対してはせめて退職金の、
本土のほうから支払う分の支給がおくれないように、事務的に督促をいたして努力をさしておるところでございます。
それから、新全総と
沖繩の
位置でございますが、これは第二次
要綱に考えておりまする文章でございますが、「新全国総合
開発計画および新経済社会発展計画については、
復帰後所要の改訂および組入れを行なうものとし、この場合、新全国総合
開発計画上
沖繩を一ブロックとして取り扱う。また、計画の改訂等にあたっては、わが国土に
沖繩地域が加わることによりもたらされる価値を明確にするとともに、わが国の最南端に
位置する亜熱帯
地域の特性を生かし、産業の
開発、環境
条件の整備保全および交通通信体系の確立を図ることにより、
沖繩地域の発展と豊かな社会の建設をめざすことをその基本的な
方向とする」、こういう言い方をしたいと思っております。これはまあ意見が一致しておるわけでございますが、本来ならば九州ブロックということになる予定でございまして、しかし、たびたび私が申し上げておりまするように、先ほどの農業のところでちょっと触れましたように、
日本の一番南にあるという有利なる
条件と、それから
日本唯一の純離島亜熱帯
地域であるという
条件を生かして、これを最も有利な新全総の展開の新たなる付加価値にするという
意味において、これからそのブロックに組み入れる作業をいたしたいと考えておるところでございます。
さらに最後の、学術会議の選挙に対する
沖繩の科学者の参加の問題でございますが、私も公的に予算委員会において、今国会に提出し、しかも、三月末の一応の受付締め切りまでに衆参両院を通してもらうようにお願いをするつもりであると申し上げているところでございます。いまもそのつもりでございますが、私どものほうの党の手続でいまだに最終的に閣議決定ができないでおりますることをたいへん申しわけなく思っておりますが、なお、来週急ぎまして国会に提案をいたしましたならば、すみやかに衆参両院の格別なる御審議と御可決の
措置をお願いをしたいと考えている次第でございます。