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国務大臣(
山中貞則君) ずいぶんどえらい質問で、これだけで一時間もかかりそうですから、誠意がないわけではございませんので、要点だけ簡略に答弁させていただきます。
まず、学術
会議に参加する件でございますが、これは今国会に法案を
提出いたします。でありますので、この法案を三月末の締め切りまでに立法化できますよう、これは私のほうからお願いでございますが、ことに沖特委の
委員を中心として、できれば衆参両院、
法律は単純なものでございますので、したがって、
提案をいたしましたならばすみやかに成立をさせていただく、こういうことをお願いしておきたいと思います。
さらに、現在の国費留学生についての一定
期間は五カ年としておりますが、その五カ年とは、特別選考によって入学せしめる
措置を五カ年ということを考えております。国費を支給しそのままでやっていく制度については、いまいろいろ育英会とも
相談をいたしておりますが、いろいろの
方法がありまして、たとえば
現地で育英会のほうの御希望として言われておるようなものとして、
本土政府が
復帰の際に十億なら十億の基金をくれ、そうすると償還金やその他をひっくるめて現在の規模の与え切りの奨学
資金としてやれるというような御
意向もありますし、また、これらについては特別選考を残すと同時に、これらに対して国費の貸与制度というもので、特別に
沖繩に全額貸与いたしまして、そして
沖繩に帰って地方の中核となって働いていただく人にはそれを免除する、しかし、
本土に残って帰らないという人はその
資金は返済してもらうという制度と二通りあると思いますが、そのいずれも
沖繩側の御希望の
方向に沿いたいと思っておるわけでございます。その検討をいたしております。
それから、含みつ糖の保護
措置については、これは御承知のように、先ほ
ども少しお答えをいたしましたが、
本土法では糖価安定事業団のほうで買い入れの対象にいたしておりません。したがって、現在の
法律では、生産者価格の告示等もできないということでございますので、
沖繩か返ってまいりますと、
沖繩の離島というものは含みつ糖以外につくれない離島でございますから、それについて特別の
配慮ができるかどうか、どのような手段が一番適確であるのか。含みつ糖の場合は、二百五十万トンの推定の消費に対して国産が五分の一もございませんから、これを
法律で
措置して事業団が買い上げていってもだいじょうぶなんですが、黒糖の場合は年間需要が約三万トンばかりでございますので、これを奨励する策をとりますと、奄美大島を含めて黒糖に切りかえる事業も出てまいります。そうすると、三万トンをオーバーした場合には直ちに価格の暴落につながる。暴落は、事業団が現物を買い入れて保管するということになりますと、売り先のないものを保管しなければならないことにもなりまして、非常にむずかしい問題がございますので、どのような
措置をすべきか、いま農林省を中心に大蔵も交えて
相談をしておるわけでございます。
右側通行の問題は、お話しのように、
本土こそこの機会に切りかえてしまえという御
意見があることは、これは私も承知いたしております。単に喜屋武君だけの御
意見でないんで、現実にそういう御
意見があることを承知いたしておりますが、同一
国内において、右と左と両方の交通区分を採用してはいけないという、こういうことが幸か不幸か
沖繩は離島でございますので、全体が離島でございますから、何とか経過
措置が講じられる。しかし、最終的には一本にしなければなるまい。これは条約のたてまえでございます。しかし諸外国を
展望したときに、
日本のほうは比較的少ない例外的な通行区分をとっておる国である。しかも、
日本の自動車産業等は、
国内では右ハンドル、輸出は、相当なウエートになっておりますが、むしろ輸出産業に近い
形態にかっていても、輸出の場合に左ハンドルというふうに、わざわざ仕分けしてつくらなければならない。いっそのこと
本土側は世界の趨勢並みに右側通行にしてしまったらどうだ、これも決して私は暴論ではないと思うのです。しかし、これをやりますと、もうすでに
本土において自動車道というものは相当な整備がされておりますから、インターチェンジ、乗り入れ口、おり口、いずれを一つとって考えてみてもたいへんな投資を必要とさせられるわけであります。
沖繩は、軍用道路に例をとるまでもなく、人の通る道路の前に、軍用車両の優先通行道路的な感じが非常に強い。数年前までは、ほとんど那覇市と郊外に一カ所くらい信号があったくらいの道路でございました。これが最近ややあちこちに信号ができたとはいえ
ども、交通安全施設という点においては非常におくれておりますので、これらの点を今後やっていきまする際に、やはり
本土と同じ安全施設その他を逐次設備しながら、バス等の昇降口その他乗客等を見合わせながら、その年次等に合わすように、あるいは学校教育の場において、車が右、左になった場合に、どういう交通安全の教育が必要か等を、子供たちにとっては、ことに弱い
立場にある子供でございますから、十分事前の
準備がなされなければならぬと思います。
米軍の車が非常に多い
沖繩における特色でございますが、
本土においても
米軍の車は輸入車両を使っているものも相当あるわけでございます。ハンドルの位置にしても、通行区分の別なしに
沖繩と同じ事情にあるのでございます。むしろ左ハンドルで左側通行にすると見通しもききませんから、逆に追越しその他慎重になるということも言える点もあるかと思いますが、しかし、
沖繩の
米軍の今日までの運転のしかた、交通違反の実情等を見ますと、これは簡単なものではないと思いますので、切りかえる際は十分にそれらの点は
配慮をしなければならないことだろうと思います。
毒ガス撤去に関しての対米
交渉でありますが、これは先ほ
ども御答弁申し上げましたように、私としては、あるいは
外務大臣も含めて
政府としてすみやかに、しかも一つも残さずという
折衝をいたしております。しかし、それが現在の既存の道路では困難であるということが一次の
撤去において判明いたしましたので、それにかわる
ルートについては、先ほど来お話し申し上げているような姿勢でもってやっていきたいと思いますが、決して
日本政府が責任を回避しているつもりはありませんし、責任を持って進めたいと思うわけでございます。
コザ事件については、
軍労と
業者の
対立の形でなくて、今後引き続き予想される
事態として、両者とも両立できるような、それぞれの
生活権が主張できるような
配慮をすべきである。この点はまさに私もそのとおり思っていますので、具体的な手段としてはなかなかむずかしい問題でございますけれ
ども、よく良識を持って、そして具体的な代案を持ちながらこの困難な両立問題ができるように
努力を傾けていきたいと思います。
それから特別国体のその後の進行状況でございますが、予算
措置は本年度の補正予算の十五億も含めて御承知のとおりでございますので、
復帰までにメーン競技場でございます奥武山を中心にして、北部のほうも
コザ市を中心にいたしまして、やがてはこれが逐次特別国体のみならず、数年後に本国体が
沖繩で開かれるようなレイアウトのもとに諸
準備を進めていきたいと考えますが、少なくとも一九七三年の春には
沖繩において特別国体が順調に開催されるような
措置を講じたいと思っております。これにはまだほかに大量の役員、選手団を送り込む輸送手段と宿泊の問題がございますので、これらも、予算とは別に船の建造その他について特別の
配慮、ホテル
建設等についてどのような援助ができるか、具体的に支障のないように進めたいと思っているわけでございます。
尖閣列島の問題は、領有権の問題と、
石油開発の問題、いろいろあろうかと思いますが、これは愛知
外務大臣からも申し上げておりますように、尖閣列島について領有をどの国とも
議論をするつもりはない。当然
日本国の領土であり、現在の米施政権下においても明確に施政権の版図の中に入っておる列島であるということで尽きるかと思います。開発については、これはすでに
沖繩の
県民の方が先願としてそれぞれの権利改定の申請がなされておりますので、十分にそれぞれの
人たちの権利を尊重し得るものを
本土法に照らしてそれを優先的に認めていくという姿勢でもって尖閣列島の抽出の現実の開発にピッチを上げてまいりたいと存じます。
次に、下地島のジェット・パイロット訓練飛行場の問題について、
残りまだ公害の問題が残っておる。いわゆる騒音公害というものにどのように対処するか、場合によっては
——あまりございませんが、油等の問題も起こるかもしれません。そのようなことなど、当然これは下地島訓練飛行場
建設の際に
本土政府の責任において十分に対処をしなければならぬと考えるわけでございます。もちろん、これについて宮古まで考えた発展策でなければならぬ。その他
経済政策も
沖繩の低賃金、瞬取というような角度からの企業進出なり
経済発展計画はいけないというお話でございますが、私
どももそのとおり考えておるわけでございます。したがって、下地島についてだけ言うならば、それは低賃金で何もやろうというのではなくて、
建設その他の労賃も正常な労賃で支払いましょうしあるいは訓練飛行場ができましたあとにおいて必要な物資の納入、あるいはそれに
関連する必要な
業者、そういうものがすべてまず一義的に下地島の旧地主の
人々、そして村の
人々、やがては農作物その他の搬入等については宮古全体というようなものが一体となって、年間の総需要四、五十億を宮古群島においてまかなえるようにというつもりでおるわけでございます。
最後に、
軍労の間接
雇用の問題の
前提として
実態の把握ということが必要であるということでございます。もちろんそのとおり考えております。私
どものほうにおいても、つかみ得る限り
実態把握に
努力をいたしておるわけでございます。数字もございますが、それらは省略するといたしまして、その中でもことに御指摘の点で同感でありますのは、どのような技能を現在すでに持っておるのか、あるいは、
基地内の訓練等においてもうちょっとそれに手を貸してやれば、これは
米側のことですけれ
ども、予算も組んでおりますから、頼んでおりますけれ
ども、現在は
沖繩法、
本土に戻ったら
本土法の特殊免許なりなんなり技術の免許が与えられる者は、
基地内で働いているうちに訓練でもって免許を与えておいてもらいたい。そういう者に不幸にして
解雇という
事態があっても、腕に覚えのある免許証を持ってライセンスがりっぱにその人の職業として成り立っていく、人生を保証するようなものが絶対必要だと思いますので、これらの技能、職能というようなものについても十分
調査をいたしたいと存じますが、退職金等の差額を
支出いたしますのも、一体何人、正確にはだれとだれが、どのような月給のものが
解雇されて、それに対して
本土の差額にしてどれだけだれがもらうか、総額幾らになるかということが
琉球政府のほうもなかなか手が回りかねて支給等が遅延いたしておるような例もございますので、これらは私
どもの
沖繩事務局も一体となって御協力することによって、きめた方針、金額が支給の段階で遅延することのないように、立法においてはそういう
努力もしてまいりたいと思います。
以上、御不満かもしれませんが概略骨だけを一応答弁させていただきました。