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国務大臣(
橋本登美三郎君) 何といいますかね、感情的常識論からいいますと、いまおっしゃったようなことはわれわれもよくわかるわけですね。ただこれが、企業体が
一つであるか、もしくは運賃
制度が
一つであるか。これは、
一つならば問題はなかったわけですが、
一つは運賃
制度が違うと。実はこの問題だけじゃなく、ほかにもやっぱりいま私の聞いておるところでは非常に複雑な問題があります。たとえば、私鉄から地下鉄を乗り入れて、たとえば京浜なら京浜急行というものが押上まで行くわけですね。それから京成
——そこまでやっぱり地下鉄が乗り入れをしておる。まあこれはお互いに
話し合いの上で運賃計算をやっているようですが、たいへんめんどうだということを言っておりました、やっぱりこの地下鉄の運賃が、料金
制度が違うということが。ことに国鉄の場合になりますと、国鉄は一応この国鉄の運賃表で、東京都内のいわゆる国電と称するものですかね、山手線とか中央線とかというものを、地下鉄のいわゆる運賃
制度とは別個に切り離して料金
制度をきめておる。まあそういうところにいろいろのぶつかりが出てくるわけですが、ただ、いま鉄監局なり国鉄が
心配しておりますことは、従来、そういうような現行
制度は加算
制度をとっておるということが大きな原因だろうと思うのです。
これはまあ、もしこれを従来の定期券でそのまま通すということになれば、おそらく、私もよくわかりませんけれども、定期券の中で支払うべき金額を当然まあ国鉄が背負わなくちゃならないということになるでしょう。あるいは地下鉄が、いや、まあ国鉄並みでけっこうだといえば、国鉄のほうは損しなくても済みますけれども、もしどうしても、自分のほうは原価計算から見てやはり地下鉄の定期券の金額でもって計算をしなければ困ると、こういうことになれば、それだけ国鉄が、国鉄として売った定期券の中からやはり支払わなければならぬ、こういう問題が出てくるだろうと思うのです。金額の上では、おっしゃるように全体の国鉄の収入の上から見ればそう大きな問題ではないかもしれませんけれども、その金の問題よりも、先ほど鉄監
局長あるいは国鉄当局から説明がありましたように、運賃
制度の問題をどう
考えるかということがまず頭にきておる。ここだけの問題ではなく、ほかにもそういう問題が、もしそうなればこういうことがほかにも出てくると、こういう問題があるわけなんです。
こういうことからこの問題の解決に苦慮しておるというか、どうも従来の方式をとらざるを得ないということでおるようでありますが、いま直ちにこれを実行できるかどうかは別にしましても、ある
意味においては、この東京二十三区内といいますかあるいは地下鉄の及ぶ範囲内において共通する場合、これを共通料金といいますかね、そういうものをひとつ将来は
考えなければ、こういう問題は、どんどん今度は地下鉄が出てきますと、国鉄もしくは私鉄との共同使用といいますかね、運行が当然これはひんぱんになってくる。その場合にもっと簡単な、値段が上がる、下がるは別問題にして、もっと計算のしいいような状態をつくらないと利用者にも迷惑をかけるということにもなりますから、この点は将来の研究課題としてこれは
考えなくちゃならぬと思いますが、ただ現状では、いま直ちにこれを従来の定期券でもって使用させるということは非常にむずかしい問題があるように思います。
しかしながら、使用する人から見れば、それが国鉄であろうと営団であろうと、自分は従来目的地はここへ行くのだと。その間たまたま企業体が異なり、運賃体系が異なるために、従来とも違ったところへ行くんでないにかかわらずよけいな金を取られると。ただ問題は、
一つは御承知のように西日暮里で乗りかえていけば一カ所で済む。それを北千住で乗りかえるということになれば、今度は、もし山手線を利用する人は上野と、もう一カ所乗りかえなければならぬ。こういう不便があるわけであります。同時にまた、北千住の乗りかえで、大きな駅ですから、たいへん時間も要するし、二分、三分を争う通勤のときですからして、西日暮里のほうは非常に簡単に乗りかえができる。一方の北千住の場合ですと、おそらく二分とか三分以上かかるでしょう。その上に上野でまた長いホームを乗りかえる。たいへん不便じゃないか。そうなれば、いわゆる混雑度も少ないのだから、西日暮里で乗りかえさしてもらう。しかしながら、そちらさんの都合だから、いわゆる地下鉄を通る通らぬはそちらのほうで解決してもらいたいという使用者の
考え方も無理はないと思います。そちらのほうでそういうふうにした、そのほうが流れがよくなるわけですから、
考えてもらいたい、こういう問題は、利用者側の
意見も、まあ気持ちとしてわからぬわけではありませんけれども、現在のいわゆる料金
制度の問題、及び従来からとってきました処理
方針から見ますと、料金加算制というやり方をとってきたということが、しかもその金額が五十円なり百円の違いならいいのでしょうけれども、
相当の金額の差があるようであります。したがって、通勤者のほうから見れば、一カ月何百円という相違が出てくることは、はなはだ迷惑千万、がまんのしようがない。しかも乗りかえが、幾らか西日暮里のほうが簡単かもしれませんが、いずれにせよ乗りかえが一ぺんあるのですから、そういう点においては迷惑千万だという
意見もよくわかります。これらよくもう少し、私
自身検討もしてみたいと思っておりますし、従来の現行
制度等も、これをどう将来に向かって
考えていかなければならぬか、こういう点も
考えまして、ひとつ研究もしてみたいと思います。