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国務大臣(
橋本登美三郎君) 具体的な問題の
お話が先でありますが、
一つの基本的なものの考え方としましてはですね、日本は御
承知のように陸上、陸地が非常に狭いわけです。ただ幸いなことに、非常に海岸線を、これはアメリカ合衆国よりも長い海岸線を持っておるんですね。そういう
意味において、総合交通というものを
計画する場合においては、非常に日本は地理的条件はよろしい。ただしかし、国自身が十分なる消費を必要としなければこれは別問題ですけれ
ども、いまわれわれが想定しておりますように、
昭和六十年においては
貨物の出荷量は百六十兆円になるだろうと、こういうような大きな
見通しがいわれておるわけであります。そういう点になった場合に、いわゆる
貨物及び人間も含めて交通上の
輸送機関が陸上を
中心としたもので間に合うだろうかどうか。
道路もこれからは自動車交通のためのトラック及び長距離用の高速
道路ができましょうけれ
ども、また
鉄道も新幹線等によっていろいろな増強がはかられるわけですが、はたしてそれだけでもって全体の
貨物及び旅客の順調なる
輸送が可能かということになると、かなりむずかしい問題がありはしないか。そこで、
瀬谷さんのおっしゃるように、いわゆる海上をレールと見て、そうしてもっと考えるべきだろう。
港湾あるいはカー
フェリーあるいは
コンテナ等を含めて
お話しでしたけれ
ども、もっともな意見でありまして、たいへん参考になると思います。そういう
意味において、それを
国鉄のまあ従来の経営上の困難というものと関連して考えるかどうかの問題は第二の問題としまして、全体としてそういうように従来交通といえば陸上と考えておった、いわゆる
国内交通を。まあ内航船というものはありますけれ
ども、これも一部の
貨物を送るというにすぎなかった。ところが、いまの情勢から見ますならば、
コンテナ化が、これはどんどん
国内貨物についても
コンテナ化が進んでいくことは間違いありません。ヨーロッパにおいて
外航の
コンテナ化は九割が
コンテナ化されておるといわれておる。ヨーロッパではされておるといわれておりますからして、日本なんかでも現在は大体六〇%をこえておると思います。したがって、この影響はいわゆる
国内の
貨物の
流通の上にも大きく反映してくることは間違いないことでありますから、したがって、
国内コンテナ化ということも考えながら港を
整備する必要があろう。同時に、そういうものをどういう形で機関が取り扱っていくべきか、
国鉄はその場合にどういう地位を与えるべきかということは、この青写真のもとにおいて
国鉄の役割りもやはり将来は飛躍的なものの考え方をしなけれ
ばいかぬのじゃないだろうか。
いま申し上げましたような基本的な考え方からいいますというと、実は
道路に、たとえば五カ年
計画でもって、あるいはもっと十ヵ年
計画ですか、十兆円以上の金を投ずるとか、あるいは新幹線に対しても十兆円以上とかいっておるさなかにおいて、これは今度の五カ年
計画は五ケ年
計画でありますけれ
ども、二兆一千億円という、実は私のいま言ったような前提に立って考えるなればですね、
港湾計画というか
整備計画というものはあまりに小さ過ぎるというのですね。ただ従来一兆三百億円であったんですが、二兆一千億円というのは倍以上になったとはいうものの、しかし、いま言ったような
総合交通体系というものは、近代的な
流通機関の
整備という上からいうと、ほんとうは
港湾の
整備、
コンテナ等を含めて、こういうところに思い切った金をかけて初めて総合交通体形ができる。しかし、なかなか従来の関係もありまして、いきなり三倍にも四倍にもできないということから、私としては思い切った今回の新五カ年
計画をつくったわけでありますけれ
ども、実はそれでも、私のものの考え方からいえばまだ半分にも達しない。実はできれば三兆五千億円くらいの金があって初めて
陸上交通との間のバランスがとれる、こう考えておるわけですが、なかなかそうは実際上はいかないものですから、この
程度で一応五カ年
計画を進めていこう。あとで
お話があるかもしれませんけれ
ども、従来の五カ年
計画を途中で打ち切って、そうしてこういう五カ年
計画をつくらざるを得なかったのも、いま申しましたような
輸送機関の近代化、
コンテナ化、あるいは
貨物量が従来考えておったものを三
年間ですでにオーバーしておる、五カ年でふえるだろうという
貨物輸送が三
年間でオーバーしておるという実情、そういうような新しい事態が伴なってまいりましたので、どうしてもこれは五カ年もこのままずるずるとやっていたのでは、かえって
港湾の近代化、
輸送状態の近代化からおくれる、こういうことからして従来の
計画を打ち切ってこういう新五カ年
計画を立てましたのも、先ほど来から申しましたような本格的な進め方をこの際進めていく必要があろう。それにいたしましても、もちろんこれは規模の上においては十分ではありませんけれ
ども、少なくともこの新しい芽をこの機会に出しておく必要がある、こういうような気持ちから、このようないわゆる五カ年
計画の策定をいたしたわけであります。まあこの点は御
質問がありませんでしたけれ
ども、関連がありますので申し上げたのでありますけれ
ども、それについては
国鉄の役割りも全然従来とば考え方を変えて、
国鉄だから
鉄道だけでいいといったわけじゃなくて、もっと広い
意味で考えていく必要がある、これは交通体系の上においてもっと積極的に考えていく必要があろう、こう考えております。