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国務大臣(
橋本登美三郎君)
利子補給制度をいつまで続けるかというお話ですが、これは新
海運政策の中でも明らかにしておりますように、最近造船界もたいへん状態がよくなってきておるわけであります。もう十何年という間世界の第一位を占めてまいっておるわけでありますが、しかし、現在の世界情勢で見ますというと、ことに
イギリスあたりは非常に国家
助成策というものを強くやっておりまして、これは
日本以上の金を出しておるわけですね。ただ、ヨーロツパ諸国は労働賃金等その他物価等の
関係があって、やっぱり割り高になっておるということから、
外国の
日本に対する船をつくる依頼が非常に多いというわけでありますが、しかし、これは国の金、一般の税金を使うのでありますから、自立経営ができる状態が実現しますれば、もちろんこれはやめるべき性質のものだと思います。そこで、今回の新
政策におきましても、順次減らしていく、あるいは
開銀の
融資率も多少下げていくとか、全体の水増しの状態をだんだんに薄めていくということで、一ぺんにショッキングな打撃を与えないというやり方でやってまいりまして、四十九年度にはほとんど利子のなくなる状態にまでもっていきたい。その後において今後どうするかということは、国際造船界の情勢等もにらみ合わしていかなければならぬと思いますので、四十九年度以降は一切やらないのだと、こういまからも断定はできませんが、原則としては、これはひとつ自立経営ができるように指導してまいりたいと、こう考えております。
ただ、配当と
利子補給の
関係ですが、大体現在の指導方針は八%に押えておるわけでありますが、おそらく
船会社のほうとしては、もう少し見てもらいたいという意向が強いだろうと思う。ということは、一つは、御
承知のように、いわゆる社債を買っても八分以上に回る、あるいは転換社債であれば一割以上に回る、こういう状態のときに八分で押えられるということになれば、なかなか増資というみずからの力を集中していくという方面に非常に力が足らぬ。こういう
意味で、いわゆる造船界にそのような希望があると思いますが、いま直ちに運輸省としては配当の引き上げを認めるという考えを持っておりませんが、しかし造
船会社がさような考え方を持つのも、いまの
金利高といいますか、そういう点から見るというと、ある程度は同情せざるを得ない点もありますけれども、しかし、国の金を使っておるのですからして、できるだけこれはがまんしてもらいたいと思っております。
それから第二の、検査官の問題ですが、先ほど
船舶局長から御答弁申し上げましたように、急激に船が増産されてまいります大勢に対して、はたして検査官が十分かと、こう言われますというと、完全無欠であるという答えは出てまいりませんけれども、ただ、型式認定の問題その他いわゆる
制度上の合理化を一方においてはかっていく、できるだけ安全性とかあるいは適正な検査というものからほど遠い問題、形式的な問題、こういうものはなるべく近代化、合理化をしてまいらせまして、そうして必要な人員を、実際上の必要な船の安全性その他に、十分に構造上の方面に強く振り向ける、こういう
制度を合わせまして、そうしていま海事協会が考えておりますような六〇%アップを目ざしてやっていけば、まあまあ現在の難関を通り抜けるのではなかろうかと、こうは考えておりまするが、一方においては、問題は技術者の問題でありますから、技術者の養成という面もこれはおろそかにしてはいけないのであって、いわゆる学校等にも十分ひとつこれら増員方をお願いして、そして補充人員というものを十分に備えていきたいと、こう考えております。
先ほど沖繩のいわゆる造船界あるいは造船事業、
港湾の修築といいましょうか、そういうものの建設に関連して造船の話が出ましたが、私はやっぱり沖繩というところが、将来考えますというと、中国にも近い、あるいは韓国にも近い、台湾にも近いのでありますから、ある程度の船——あまり大型船はどうかと思いまするが、中級船の需要はものによっては出てくるのではないか。ただ問題は、なるほど労働力が安いといいましても、単なる労働力じゃ造船には向かないのでありまして、ことに近代化されましたから。したがって、造船技術は総合技術でありますから、一方において造船
関係の技術者の養成というものをやはりあわせて考えてやる、こういうことがありませんと、ただいわゆる人夫が幾らおったって船ができ上がるものじゃない。そういう
意味では、労働力が豊富だということは、内容的にもっと質的向上をはかっていかなくちゃならぬ。そういう
意味で、その種のいわゆる高等学校といいましょうか、まあ技術養成所もしくは工業高等学校といいますか、造船に関する、そういうものをやっぱりこれは併用して、沖繩対策庁のほうで考えていくべきものであろうし、また、私どものほうからも注文したいと思います。
もう一つは、私は、ある
意味においては修繕
造船所といいましょうか、修理
造船所、こういうものも必要ではあると思いますが、これもまた大型船になりますというと、たとえば東京、大阪等に参りました大きな
タンカーをあそこまで持っていくということになりますれば、非常なロスになる。したがって、やはりこの修繕
造船所というものは
国内でも非常に少ないのでありまして、先ほど来から、いわゆる大型船の損傷の問題が起きておりましたが、これはもっと修理
造船所が充実しておればこういう問題はもっと時間的ロスを省いてできるわけですね。ところが、その修理
造船所というものが非常に数が少ない。それがために、ドックに入れるためには一週間もしくは十日も待たされる、こういう点も一つの隘路になってると思います。その
意味において、いま横須賀のドックが、沖繩返還と同時に基地が返されるという話もありますから、私としては、これは国有であれ何であれ、やっぱり中型、大型の
造船所のドックというものを考えていく必要があるのじゃないか。こういうぐあいに、破損の問題につきましても、これは検査体制、総点検の問題もありますけれども、ただ点検したところで
あと始末をしなければどうにもならぬと。そういう
意味において、まあ
船舶局長にも、
海運局長にも話をしておるのでありますが、ただ、現在のところは船をつくるということのほうが有利であるということと、修理造船というものは経営的に困難である。どこに困難なところがあるか検討しなければいけませんが、そういうこともあわせて、船の、大型船の安全性というものを高めていかなければならない。ただ点検しっぱなしで、
あと修理が十分でないということではいたしかたがありませんので、それらを含めて総合的に対策を急速に樹立するように、かような指示をいたしております。その一環として検査官の増員等も検討してまいりたいと、かように考えておるわけであります。