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1971-03-11 第65回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十一日(木曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員異動  三月十日     辞任         補欠選任      藤田  進君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鬼丸 勝之君     理 事                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 大和 与一君     委 員                 河野 謙三君                 重政 庸徳君                 温水 三郎君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 岡  三郎君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        警察庁警備局長  山口 廣司君        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        運輸省船舶局長  田坂 鋭一君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省航空局長  内村 信行君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    寺尾  繁君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     今井 栄文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (富士急行電車脱線事故等に関する件)  (新東京国際空港問題に関する件) ○外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十日、藤田進君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  3. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会参考人として新東京国際空港公団の役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  この際、富士急行電車脱線事故等について政府から発言を求められておりますので、これを許します。
  6. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 富士急行列車脱線におきまして、死者十七名、重軽傷者六十九名という大惨事が起こりましたことは心から遺憾に存じ、死者方々に対しまして、心から冥福をお祈り申し上げると同時に、重軽傷者方々に対しましても、心からお見舞いを申し上げる次第であります。  なお、概況及び原因等につきましては、鉄監局長からこれを報告させることにいたします。
  7. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 三月四日午前八時二十五分富士急行列車脱線事故がございまして、死者十七名、重軽傷者六十七名、大事故が生じました。また同じく三月四日の午後三時三十分ごろ、神戸電鉄粟生構内におきまして、列車逸走によります列車衝突がございました。旅客二名が大けがをなされ、さらに三月七日に、奥羽本線大沢駅と峠駅間におきまして列車停止をし、ブレーキがきかないために後退をいたしました。死傷者はございませんでしたが、非常に旅客に対してサービスが不十分であったという事故がございました。これらの事故、特に死傷者が生じました富士急神戸電鉄事故に対しましては、まことに申しわけがないと思うのでありまして、なくなられた方々に対しましては心から弔意を表しますとともに、おけがをなされました方々の一日も早い回復をお祈り申し上げるものでございます。  そこで、まず富士急事故でございますが、三月四日、午前八時二十五分でございますが、富士急行暮地駅、それから三ツ峠駅、この両駅の間におきまして列車脱線事故発生しました。死者十七名、重軽傷六十七名を生じたわけでございます。この事故は、大月行の二両編成列車でございますが、これが月江寺駅付近にございまする緑ケ丘第二踏切道、これは遮断機つきの第一種踏切でございますが、そこで小型のトラック遮断機を突破して線路内に進入をいたしてまいりました。そうしてこれと衝突いたしまして約四キロメートル逸走をいたしまして脱線をしたものでございます。電車逸走いたしましたのは、トラックとの衝突によりましてブレーキが破損したためと思われるわけでございますが、直ちに東京陸運局並びに本省の職員が現場に向かい、さらに鉄道技術研究所技術者にもお願いして原因を究明をいたしております。大体のところはわかりました。先ほど申したようなブレーキの損傷ということによる逸走、それが曲線部脱線転覆したということでございます。  それから神戸電鉄事故でございますが、これは三月四日午後三時三十分に神戸電鉄粟生線の粟生駅の構内におきまして、停車中の列車逸走してきた回送列車衝突いたしまして、このためにホーム上の旅客二名が重軽傷を負うという事故でございます。この事故粟生駅から二つ目の小野駅におきまして入れかえ作業が終わりました回送列車が一時停止中に、乗務員が用務で列車を離れた直後に逸走を始めたということでございまして、原因につきましては調査中でございますが、とにかくこれは乗務員列車を離れたということに根本的な原因があるわけでございまして、この点は鉄道係員の大きな過失であると私ども考えているところでございまして、まことに申しわけない事故でございます。  それから奥羽線車両故障でございますが、これは三月七日の十八時二十五分ごろ、奥羽本線大沢駅と峠駅の間におきまして六両編成電車「ざおう3号」でございますが、これが千分の三十三・三という上り勾配におきまして信号を確認するために停止をしようとしたわけでございますが、ブレーキがきかなくなりまして約一・四キロメートル後退をした、そうして停止をしたという事故でございます。その日は天候が、非常に猛吹雪がございまして、積雪が三メートル程度ございました。それでブレーキシュー制輪子でございますが、そのブレーキシューと車輪との間に雪をかき込みましてブレーキ力が平常時の約三分の一程度に低下をしておったというふうに推定をされるわけでございます。勾配のために後退したというわけでございますが、徐々に雪が解けまして、そのブレーキ力回復をして停止したというふうに考えられます。この事故では死傷者は全然ございませんでしたが、ただ長時間停電をいたしまして列車救援措置というものもふぶきのために手間どってしまうと、そのために旅客サービスについて十分ではなかったということで旅客の方にはたいへん御迷惑をかけたわけでございます。今後、救援対策旅客サービスの向上ということにつきまして十分に検討いたしまして指導をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。以上でございます。
  8. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) これより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 ただいま鉄監局長から御報告のありました、最近、国鉄あるいは私鉄の両面にわたる事故が続発をいたしておりまして、まことに遺憾にたえません。御報告のなかったものもございまして、たとえば三月五日、山陽本線上り雲仙2号の車両が火災になったと、これは幸いに負傷者がなかったのですが、そういう事件も起きておりますし、とにかく最近、国鉄私鉄事故というものが非常に瀕発をしておりますことを残念に思います。きょう私は、時間の関係がありますので、このうち富士急行事故に対して質問をしたいと思います。  御説明のように、四日の午前八時二十五分この事故発生いたしまして、十七人の死亡者と八十二人の重軽傷者を出しました、たいへん大きな事故でございます。私は現地を一応見てまいりましたし、また五日の決算委員会では、とりあえず応急措置について運輸省民鉄部長から概況を伺っております。きょうも、なくなられた多数の皆さんの御冥福をお祈りし、御遺族にお見舞いを申し上げ、さらに、負傷された皆さんの一日も早き御全快をお祈りしつつ、このような事故が再び起こらないようにぜひ当局皆さんの今後のしっかりした御方針を立てていただきたいということを念じながら質問をしたいと思います。  事故発生当時死亡者はたしか十五人くらいだと思いましたが、その後入院治療中に不幸にしてなくなられた方があるようでありますから、正確な数字をひとつ国鉄側から説明していただきたいと思います。死者何名、重軽傷者何名ですね。
  10. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) おなくなりになられました方が十七名、それから重軽傷の方が六十九名でございます。
  11. 鈴木強

    鈴木強君 この被害者に対する救済措置は現在どういうふうになっておりますでしょうか。
  12. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 事故発生と同時に、おけがをなさいました方々等につきまして、病院に直ちに収容いたしまして、必要な手当てをいたしたわけでございますが、なお、被害者の、死亡方々あるいは負傷方々に対しましては、これは原因の問題とも実は関連をするわけでございますが、会社側から、とりあえず社長以下があがりまして、お悔やみを申し上げあるいはお見舞いを申し上げて、そしてお見舞い金を持ってお見舞いをいたしておる次第でございます。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 額は。死亡者並びに重軽傷者等に対する見舞い金は幾ら出しておりますか。
  14. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは、私ども聞いておりまするところでは、死亡なされた方々に対しまして二十万円程度のお見舞いを差し上げておるようでございます。おけがをなされました方々に対しましては、とりあえず、入院なさいましておる方々に対しまして一応三万円のお見舞い、それから、その他御帰宅なされておる方々に対しまして三千円、両方ともくだものとともにお見舞いをお届けしておるようでございます。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 この二十万円という見舞い金は、従来のこういう事件発生の際にやっております慣例からすると、実績からすると、額はどうなんでしょうか。
  16. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 事故が起きましたその原因によりまして、その事故事業者責任に属するという場合には、これは賠償といたしましてお払いするわけでございますが、かりに事故事業者責任でない場合のお見舞いにつきましては、従来必ずしも一律ではございません。全然いわゆるお金によりまするお見舞いということを必ずしもしていないというところもあるようでございますし、あるいは二、三万円程度のお見舞いをしたという例もございます。なお、十万円ないし十五万円ぐらいまでが従来のお見舞いの額ではなかったかと、実績的にはそういうふうなお見舞いをされておるところがあるということでございます。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、まあ後ほどまたいろいろお伺いする事故原因ですね、そういうものとの関連で、もし富士急側事業者としての責任が明らかになった場合には、これはもっとこの額はふえるというふうに理解していいんですか。
  18. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 鉄道事業者側に対しまして、責任がある場合には、これはもう当然その方々に対しまする賠償といたしまして高額の賠償をお払いをするということでございます。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 従来の例からすると、その賠償の場合ですね、最高はどのくらいになっておりますかね。
  20. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは事故原因等によってきまるわけでございますが、かりに、全く責任事業者にあるという場合には一千万円程度ぐらいまでの賠償をいたしたことはございます。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 まあこれは今後の問題になると思いますが、直接の見舞い責任というのはまあ富士急行側がやるわけですから、国鉄当局としては監督の立場に立ってできるだけのお見舞いをするという、そういうことで今後行政指導をしていただきたいと思います。  そこで私は、この際一言触れておきたいと思いますことは、この事件発生をして直後に遺家族皆さんほんとうの気持ちは、もう耐えられないふんまんを持っておりまして、特にこの事件のありました、私どもが視察をしたその次の朝私の自宅にも電話をかけてきまして、会社側態度がどうも誠意がないと。たとえば、入院をしている重軽傷者のところに会社の人が来たそうですけれども、大きな声で笑ってみたり、きわめて不謹慎だと。われわれは金もほしくない、ただ問題は、会社側ほんとう責任を感じて、誠意を持って遺家族方々に接してほしいということが一つ。それからもう一つ、ぜひ再びこういう事故を起こさないように、安全施設というものを完備してほしいと、そういうことを言っておりました。ですから、誠意というものがあまり見られないというところに非常にふんまんを持っておったようでございましたが、こういう点はひとつぜひ、こういう事件が起きるたびにわれわれ言っているわけですけれども、運輸省としてもそこらのものの考え方事件に対する責任感というものをもう少し感じなければ次の手が私はおろそかになると思いますから、そういう点についてはぜひひとつ御配慮をいただきたいと思います。これは運輸大臣特にひとつお願いしておきます。
  22. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 遺族及びけがをされました方の家族の心情は全くそのとおりであろうと思われます。私も事故が起きました直後に、直ちに鉄監局長を通じて、なくなられた方々及びけがをされました方々に対しては最善措置を講じろと、丁重にこれを扱えと、こういうふうに指導せよという指示を与えまして、局長から富士急行の本社にその旨を伝えたと思います。このような事件、私は原因がいずれであれ——もちろんこれは形式論といいますか、理屈の上から言うなれば、原因が金額には影響があることはもちろんでありますけれども、しかしながら、人が死んだ、けがをしたという事実は、原因のいかんにかかわらずこれは明らかなる事実であります。したがって、原因が他にあるから非常に少ない見舞い金でいいんだとか、あるいは原因が直接であるからして高額だったというものの考え方は少し考え直していく必要がありはしないかと。とにかくなくなったという事実、けがをされたという事実は、原因がいずれにあるを問わず、結果的には同じなのであると。こういう意味においては、もっとやはり交通安全並びに人命尊重の上から、そういうような考え方を、やはり事業者もまた監督官庁も考えを新たにすべき時代に入ってきておる、こういうふうに強く私は感じます。ただそれを、そう申しましても、そういうような精神的ないわゆる意味合いの意思表示あるいは物的な意思表示をどういう形でやっていくかという問題はもちろん残るわけでございまするが、それらにつきましても今後検討して、少なくとも死者に対する礼を失しない、精神的にも経済的にもこういう道を開いていく必要があろうと、かように考えて検討をさしておる状態であります。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 大臣の非常に誠意のある真心を込めた御発言は、私は遺族の方にも伝えたいと思います。  それで、そのときちょうど六日の新聞に、大臣のいま言われたことが載りましたですね、地方新聞に。したがって、遺族の、さっきの電話をかけてきた方も、一方には大臣のそういう談話が載って、橋本運輸大臣が非常に親切に誠意を持って話してくれている記事があるんだけれども、実際には会社態度はこうだということを、私さっきちょっと言うのを省略したんですけれども、そういうふうなことをその人は言ってまいりました。ですから、やはり大臣大臣としてそういう御措置をとられたことはりっぱなんですけれども、それが実際に下部末端まで大臣の趣旨が伝わらなかったのではないかと私は思うんですよ。ですから、そういう点、その後別に何も言ってきませんけれども、たとえばそのときも何か、入院された方もあるいは自宅に帰った方も、三千円見舞い金を差し上げるということになっておったようですけれども、その人は、聞いてみましたら、いや全然一銭も持ってこない、そう言っておりました。ですから、そういうところにもわれわれが御質問申し上げて御回答いただいたことと実際現地とは食い違いが出てきているわけですね。まあたくさんの負傷者が一ぺんに出たんですから、会社側としても一生懸命やったでしょうけれども、やはりそういうところに何か心のゆるみといいますか、そういうものがあって、そのことがその遺家族方々にとんでもない大きなショックを与えたということですから、大臣のおっしゃるように、今後ともぜひひとつ監督の面で万遺憾なきを期していただきたいと思います。  それから、直接の事故原因というのは確かに十九歳の少年が運転しておった車を踏切の前でとめた、そしてサイドブレーキをかけるのを忘れて車が動き出したということですから、そこらに確かに第一の原因があると思います。  第二の原因は、ぶつかったあと三つブレーキがきかなくなった、そして四キロ暴走してカーブで横転して、そのときに死者が出たわけです。ですから、ブレーキというものは電車にとっては絶対なものですから、私たちの人間の心臓みたいなものですから、そこが最悪最悪の場合に効果を発揮しないということは、何としても利用者の側からすれば納得できないですね。そういうふうに私は問題が二つあると思う。  それで、警察庁にもおいでいただいておりますが、その後この少年は傷もなおったんですか。とにかくすぐなおったというわけじゃないでしょうけれども、病院連絡をして一応逮捕したそうですね。実際に翌五日の日ですか、私が五日の日に御質問をしたときには、まだ逮捕してなかったですね。逮捕した結果、当時私に述べたような、ベニヤ板が風に吹かれて落ちそうになったから、それを直すために外へ出ようとしたんだという、そういうことは取り調べの結果間違いなかったんでしょうか。それひとつ取り調べの結果を。その少年がやったその行為に対するその分だけでけっこうですから。
  24. 寺尾繁

    説明員寺尾繁君) お答えいたします。  その少年につきましては、七日の午前十一時に病院からの退院を機会に逮捕いたしました。四十八時間後の九日の日に刑法及び道路交通法違反及び検察庁に送っております。  原因につきましては、申し上げたのとほぼ一緒でございまして、少年の話では、片足をおろした、ずっと遠くまで飛んでいったという状態じゃないようでございますが、それ以外には、ベニヤ板が落ちてそれを拾おうとしていた。ところが、サイドブレーキをかけ忘れておったために、千分の十五の勾配のある踏切の中に車が動き出した。ちょうどそのときは電車が十ないし十五メートル手前まで来ておったということでございます。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 この少年はどこの会社につとめておるのですか。
  26. 寺尾繁

    説明員寺尾繁君) 私まだその資料を手持ちしておりませんので。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 これは富士建材という会社の車のようですね。取り調べしていないんですか、そういう点は。
  28. 寺尾繁

    説明員寺尾繁君) 富士建材の社員で、緑荘というところに住んでおるようでございます。詳しい内容につきましては、手持ちの資料がございませんので、現在お答えできません。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 現在お答えできません、それじゃ答えにならぬ。私はさらに、ここの社長はどういう人か、その社長は、われわれが知る範囲においては、この少年勤務外に起こした事故であるから、雇用主としての責任はないということでその責任を回避しようという考え方であると思われるわけですね。一方、少年虚謙に悪かったと言って陳謝をしているわけですね。一体これはどうなるんですか。この辺の取り調べの状況はどうなんです。
  30. 寺尾繁

    説明員寺尾繁君) 詳しいところは私まだ十分承知してないわけでございますが、原因関係につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、これは当然警察として——この少年はまだ未成年ですから、名前は一応差し控えていると思いますが、どこの会社につとめて、どういう車に乗って、そしてその会社はどこでその社長との関係はどうかというようなことは、当然警察当局としては取り調べをするわけでしょう。それ、しておるかしてないか、あんたそこに資料がないというのは、要するに現地連絡をとってないわけだな。そうすると、そういうことについてはここでは答えられないと、そういうことだったらすぐ連絡をとって、その辺の事情、事実関係はどうなのか、取り調べの結果を聞いてくださいよ。
  32. 寺尾繁

    説明員寺尾繁君) 車は普通貨物自動車サニートラックでございまして、ライトバンと聞いております。取り調べの詳しい内容につきましては、原因関係につきましては申し上げたとおりでございますが、関連した点は当然調べておりますので、調べまして御報告したいと思います。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それじゃひとつさっそく現地連絡をとって聞いてください。できればこの委員会の終わるまでにひとつ。  それから被害者に対する救済ですが、当然富士建材というのは自動車損害賠償保険に入っていると思うんですね。入っていると思う。したがって、この事件にからんで自賠責保険が支払われると私は思うんですね。こういう点について、この会社東京海上火災保険に入っているようですからね、自賠責、これは鉄監局長どうなんです。当然私は支払われるべきものだと思うんですがね。そういう点について何か運輸省としてもおやりになりましたか。
  34. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 自動車運行によりまして生じました事故に対しましては、自動車損害賠償保障法強制保険で、加入を強制されておりますので、当然この適用がございまして、したがいまして、自動車運行による事故ということになりますれば、その面から賠償がなされるということでございます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 賠償がなされるということなんですが、具体的にこの件に対して何か富士急ともお話し合いしたんですか。われわれが知る範囲では、富士急富士建材にかわって東京海上火災保険に対して支払い請求を、手続をするという話が私に聞こえてきているんですけれどもね、そういうことについて運輸省は全然知らぬですか。
  36. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは民事的な問題といたしましては、被害者加害者に対しまして請求をし、そして、それの賠償に対して自動車損害賠償保障法によりまして保障をするというのがたてまえではないかと思いますが、そうして、ただその場合、富士急がそれをやったということでございますれば、おそらくそれは被害者にかわりまして、まあその委託を受けましてそういう各般の手当ての助成をしておるというふうに考えていいのではないかと思います。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 これ大臣ね、事務当局どうもらちがあかないですがね、ひとつ大臣から言明してくださいよ、こういう点について。支払われるものだと私も信じますから、支払われるように最大の努力——まあかりに富士急に委任をしてもしやるとすれば、運輸省でも積極的にひとつ世話して、最高五百万円ですね、これは死亡の場合は。それから重軽傷の場合には五十万円、それぞれ支払い金が出ることになっているわけですから、それを可及的すみやかに遺族の御家族の手に渡るように大臣としても最善努力をしていただきたいと思います。お願いします。どうでしょうか。
  38. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話しのように、当局を督励して十分な措置を講じるようにいたします。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 それから次に——まあ踏切事故の点についてはちょっとまだ捜査の結果がわかりませんから、それはあとにしまして、一番問題になったのは、富士急側責任としては、なぜ電気と空気と手動の三系統のブレーキ全部がきかなくなったかということだと思うんですね。この調査のために、さっき何か鉄道技術研究所ですか、そこから係員を派遣したとおっしゃっておるんですが、その原因はわかりましたですか、どうでしょうか。
  40. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 技術者調査に参りまして、その結果、まずこのブレーキ装置でございますが、この車両には自動ブレーキ——これは貫通ブレーキ装置でございますが、その自動ブレーキがつき、そして発電ブレーキでございますがつき、さらに手ブレーキと、三種のブレーキがついているわけでございます。それでまず自動ブレーキでございますが、これがこの電車の根幹的なブレーキでございまして、これはブレーキ管の減圧でブレーキが作用する、したがって、列車分離の場合等につきましても非常ブレーキが自動的に動作するという仕組みになっておりまして、国鉄等におきましてもこれを使っておりまして、現在の鉄道の根幹的なブレーキと申し上げてもよいかと思います。それから発電ブレーキのほうは、これは主電動機を発電機として作用させるところのダイナミックブレーキでございまして、これにつきましては、結局、高いスピードの場合に非常にブレーキがきくというわけでございまして、その意味では、先ほど申し上げました自動ブレーキに対しまするむしろ補助的な役割りということでございまして、低速の場合の、ブレーキ力が弱いということでございます。それで今回の事故につきましては、結局、自動ブレーキの操作のために非常制動をかけたわけでございますが、そのときに、その段階でブレーキがかからなかったということでございます。そのかからなかった原因といいますのは、要するに、ブレーキの専門的なことになってしまいますが、供給空気だめというものからシリンダーへの配管部分があるわけでございますが、その部分が自動車衝突によりまして破損をいたしまして、第一両目が破損した。普通ならば、第一両目だけでございますと当然二両目のブレーキが働きまして非常ブレーキがそこで自動的にかかるわけでございますが、その自動車の車体が——さらに何といいますか車が小さかったせいもあるわけでございまして床下にずっと引きずり込まれまして、そしてそれが機器を全部損傷をして二両目のブレーキの装置まで損傷してしまった、そのために二両目のブレーキもきかなくなってしまったということでブレーキがかからなかったというのが根本的原因でございます。それで電動ブレーキにつきましては、この非常ブレーキが優先でございまして、非常ブレーキがかかる場合には電動ブレーキはかからないということでございまして、ですから根本は、その自動ブレーキの緊急ブレーキが二両目にかからないような損傷を受けてしまったということが今回の一番大きな事故原因であります。  次に手ブレーキでございますが、これは、手ブレーキはその使用を一生懸命やったわけでございますが、手ブレーキ自体の能力というのは、やはり人の力で車輪を押えつけるわけでございますから非常に弱いものでございまして、転動防止、その他スピードの弱い場合には効果がございますが、これだけの車両逸走いたしました、スピードがついた段階では手ブレーキを一生懸命やってもそれだけではとてもきかないということで、それだけでは十分効果が発揮できなかったということでございます。  調査の結果、大体以上の点が判明いたしております。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 まあ以上の結果が判明したんだが、いまお話にもありましたが、最も重要な空気ブレーキというものが機能を発揮しなかった。しかし、われわれが聞いている範囲では、たとえ衝突の衝撃でブレーキ・パイプがこわれても、いまお話しのように、両方の車両ブレーキが自動的に働く仕組みになっている、それが働かなかった。それから片方の車両の空気だめが事故のショックで故障しても、片一方の空気だめが働いて二重の制動がかかるようになっている。ところが、やっぱりこのエアブレーキというものがきかなかったわけですね、こういうことだと思うんですね。ですから、ぶつかった瞬間にそういうものが全然だめになったんだと思いますね。しかし、取り調べは、向こうへ四キロ走って行って横転して、第二の現場でいろいろ調べた結果こういうことになったわけですからね。いずれにしても、その制動装置というものが、自動車のライトバンが一つぶつかっただけでめちゃめちゃになってしまう、そのことは一体どういうことなんでしょうか。たとえば、もっと制動機というものを、制御装置というものをしっかりしたカバーに包んでおくとか、そういう安全対策に対する完ぺき性というものが欠けておったのじゃないですかね。そんなもろいもんですか。これはちょっとぶつかって……。それから手動ブレーキにしても、奥羽線事故のときには手動ブレーキでとまったわけでしょう。新聞に書いてありましたよ。これは手動ブレーキがきかなかったというのですが、これはぶつかって——どの程度のスピードを出しておったか、これはわかっておったら知らしてもらいたいのですが。その瞬間に、まず運転者は手動ブレーキに、ほかの二つがだめならば、そこに手が行くはずでしょう。そういうことがやられておるのかどうなのか。  それからもう一つ、手動ブレーキというものは、それは九十キロも百キロも走ったときにはだめでしょうけれども、われわれは、手動ブレーキというものがあれば最悪の場合にはきくもんだと、そう思いますよ。昔は、東京の市電なんかは、よく手で回してやるのが走っておりましたけれども、ガガーツと、けっこうあれは手動ブレーキで運転しておったわけだから、大体あれはこの前聞いたら百キロくらいの力しかない、性能しかないというのですね。われわれはそうは思っていないわけですね。やっぱり手動ブレーキというものは、最悪の場合に、他の空気とか電気とかと同じようにとまではいかなくても、相当安全性のためには必要なものだと思ったんですが、これは気休めにあるのですか、この手動ブレーキというものは。だから、もっと原因を、一体どういうところでどういうふうにして調べたのか知らぬが、これは、一体、今後どういうふうにしますか。調査結果は、最終的なものが出たわけですか。
  42. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) まず手動ブレーキの能力でございますが、これは、昔は手動ブレーキブレーキの主体であったわけでありますが、その後技術の進歩によりまして現在のような各般のブレーキを装置をするということになったわけでございます。ただ、手動ブレーキはやはり人間の力で押えつけるわけでございますから力は非常に弱いわけでございまして、スピードが出ればやはり手動ブレーキではなかなかとめるというところまではいかない。それで奥羽線事故につきまして、あれがなぜとまったのかということにつきましては、手動ブレーキだけではなくて、やはり事故自体が、雪がはさまったというようなことでございまして、それが、制動子と車輪との間の雪が徐々にとけてブレーキ力回復して空気ブレーキがきいたというのがやはりとまった原因だろうというふうに考えられております。  それから空気ブレーキの損傷によってブレーキがきかなくなった、これは、こういう事故が実は初めてなんでございますが、このブレーキの作用といたしまして、非常に安全サイトで、たとえば列車が分離をしたような場合にも両方の車両ブレーキがぴしゃっとかかるというような仕組みになっておるわけでございます。それが、供給空気だめというのがございまして、それからシリンダーへ配管する部分があるわけでございます。その部分が今回は損傷をした、そのためにそのブレーキがかからなくなってしまったということであるわけです。このある部分は台車のうしろのほうにございまして、その部分には、めったにそういうことは、そこまでやられるということはあまりないわけでございますが、今回の場合にはそれを抱き込んでしまったということでその部分が損傷をしてしまった、そうしてさらに二両目までそれが損傷してしまったというのが今回の事故の根本原因であるというわけでございます。  それで今後そういうものをどうするかと、非常にむずかしい問題でございますが、これは国鉄私鉄ほとんどすべての車両がこの種のブレーキを使っておるわけでございますが、そのブレーキのどこの部分をどのように損傷した場合にどのようになるかという全体のやはりシステムといいますか、列車の制動のシステムというものをもっと検討をしていく必要がある。さらにブレーキ自身の防護という問題もひとつ考えなければならぬ。それから車両構造全体の問題と実は関連してまいりまして非常にむずかしい問題でもあるわけでございますので、そういうシステム的な考え方を取り入れまして根本的な解決をやはりはかっていかなきゃならぬと思います。その意味で国鉄の技術的研究所並びに技師長室それから運輸省の研究所というようなもので、この問題を非常に重視いたしまして、今後そういう研究を進めてこの種の事故の全くないようにしたい、一ぺんきりの事故にしたいということをいま考えてやっております。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 まあやっぱりこれで最終的な調査の結果はこれ以上やってもあれですか、いまの段階というか、最終的な結論はいまあなたが述べたようなことなんですか。もう最終的なものですか。
  44. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 現地におきまする調査等につきましては、先般まいりました調査団によりましてまず解明ができたものじゃないかと私ども考えております。あとは、今後その解明のもとに将来どういうふうにして事故を防止していくかという対策なり技術の開発というものに力を注いでまいらなきゃならぬと考えております。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常に大事な点だと思います。それで、システム上の問題についてもぜひひとつこれは考えてほしいのですよ。たとえば、これは一基しかないのですね。やっぱりスペアとしてもう一つ逆の方向にそういう装置を置いたら、こっちが故障してもすぐ切りかえたらそっちが使えるとか、少なくとも回線そのものを、システムそのものを、スぺアくらい置いてやるようなことを考えてくださいよ。それはどのぐらい予算がかかるか、構造上はどうなるか、あなた方にまかせるわけですが、とにかくそういう第二の措置まで考えておく必要がありますよ。それをひとつやってくださいよ。そういう構想はとっていないのでしょうか。
  46. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これはおっしゃるとおりでございまして、非常に鉄道の、何といいますか、車両技術の全体の問題をこれによってどうするかというほどの大きな実は問題でございます。私どもそういう意味で技術のほうの人を督励いたしまして最善の機能を持った車両の作製ということをやってまいりたい、先生おっしゃるようなことも十分考えてまいりたいと思っております。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それはやっていただくと同時に、いま言った制御装置というか、それをカバーする絶対的なものを考えてやってほしいのです。それからブレーキなんかももう少し考えたら、手でやってもその手で回す力だけでとまるわけじゃないですから、もう少し力学を応用していけば相当のスピードでも手動でもって私はブレーキがかなりきくことはできると思うのです。このくらいのことはあなた、鉄道に関係しておる人たちだったら当然研究し考えなければならないことじゃないですか。そういう点もあわせてひとつやってほしいと思うのです。  それから事故発生して現地皆さんのほうからすぐ行かれたときに、こういう報告運輸省のほうにしている。一つは、事故原因につながる制動機の致命的な損傷が見つからない。二つは、車両整備のミスは考えられない。三は、車両は十五年使っているが古くない。四つ目には、衝突したトラック電車にはね飛ばされておる、制動機の内部が大きくこわれたとは考えられない。こういう四つの報告がきているように聞いております。これはきょう私は時間がありませんから、いずれまたもう一回構造上の問題も含めて安全性について伺いますから、それはそういうことがあるように聞いているので、ちょっといまの話とは食い違いが出てきているところもあるから、さらにこれはただします。  それで、国鉄私鉄がほとんどこういう車種のものを使っているということですが、この前どこの会社でつくったと聞いたら、どこの会社でつくったか会社はわからなかった、どこの会社でつくったものか。それから国鉄私鉄でどのくらい台数があるものか。
  48. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この車両は日本車両の製作でございます。それで、これと全く同じ型式の車両私鉄関係で約五十三両でございます。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄は。
  50. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 国鉄は若干構造が違っておりまして、たとえば国鉄の場合には、この種の自動ブレーキをつけたものは発電ブレーキをつけていない、これが約三千両ございます。それから別個にまた別の構造のものも相当ございまして、その他のもの、別の構造のものが八千両ほどございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 これはいずれにしても、こういう事故原因について、現に動いている車をどうするかということで、私は、決算委員会でしたから民鉄部長さんほかだれも来ていただけませんでしたけれども、当時労働政務次官にお願いしました。ひとつぜひ運輸省のほうと相談をして直ちにこの総点検をしてほしい、場合によったら多少車をとめてもやってほしい、こういうことを申し上げておきましたが、その点はどうしてくれましたか。
  52. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 事故原因自体は整備の不良等ではないだろうと私ども考えておりますが、しかしながら、一応事故に対しまして、さっそく整備自体につきましても点検をするということを、国鉄並びに私鉄に対しましてそれを強化するように指示をいたしております。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 これはひとつ厳重の上にも厳重にお願いします。さらに今後ぜひひとつ監督を厳重にしてください、この点は。  それから、この富士急行というのは勾配が千分の四十もある、急な山間部ですね。地方鉄道建設規程というものを見ると、勾配千分の三十五以上のものは、鉄道建設の際に特別に大臣から認可を得なければ建設できない、こういうふうな規程があるのです。この前聞いたらこれは認可をされているようですが、こういうものはあれですか、千分の四十あるいは四十五とか、六十とか、箱根登山鉄道のように千分の六十というのがあるのですが、こういう場合には特別に安全装置については何かこうせいという一つの基準があるのでしょうか。
  54. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは特別の設計でやりまして、さらに鉄道の施設につきましては、これは鉄道建設規程というのがございまして、それにこまかく各般の要件が定められております。そしてその要件に従って工事施行の認可という段階で技術的な設計その他を個々に具体的に審査をいたしまして、そういう審査をした上で、これは安全であるとか、これは安全ではないとかいうようなことでやっております。  なお、勾配につきましては、当然、勾配とそれからスピードとの関係というものも考えまして、そして当該線区におけるスピードの制限というようなものも考えた上で処理をしておるということでございます。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 この富士急行に特別認可をしたときの条件はどういうものですか。
  56. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この富士急行の線路をつくりましたのは昭和四年でございます。それで、ただ昭和四年にどういう特別条件ということでなくして、具体的にその設計等を見まして、その設計の上で審査をいたしまして、そうしてこの線区については支障がないということで特別設計の認可をいたしております。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 この線はその後、霊峰富土に登山する人たちもだいぶふえてきましたね、あの辺の開発が進むにつれて。国鉄でも現在新宿発着の普通列車上りが四本、急行が六本、それから下りのほうは普通が一本、急行が六本、これは新宿−河口湖間に直通運転している。言うならばこれだけの車を国鉄自体が動かしているのだから、民鉄であるけれども、実際国鉄が実際に車を動かすわけですから、この辺はもう少し時代の変遷とともに安全性についても変わってきていると思うのですよ。だから、昭和四年にできた富士急行がその後いろいろ技術も開発され、こういう安全基準を置くということで、この建設規程そのものは路線をつくる場合のものかもしれないけれども、安全についてはもっとシビアなものがあってほしいと思うのですよ。たとえば箱根登山の場合には千分の六十でありますが、ここでは空気と電気と手動のブレーキのほかにカーボランダム・ブレーキというものをつけている。少なくとも四系統の装置がついている。しかも四系統の装置が全部だめになったときには安全側線が各駅ごとに設けられている。そしてかなり安全性については配慮している。ところが富士急の場合には、昭和四十三年に一部の駅にあった安全側線すら取ってしまった。それはなぜかと言ったら、列車集中制御方式という、CTCというものを採用したから側線は撤去したと言うのです。こんなべらぼうなことないですよ。やっぱり三系統のブレーキをつけ、列車集中制御方式に切りかえても、少なくともああいう勾配のところには安全側線を駅につくるというような指導をなぜしなかったか。そういうことをかってに、運輸省に相談しないで取ったりつけたりできるのですか、これは。
  58. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 当該線区について国鉄が乗り入れをいたします。長大な国鉄線の車両乗り入れをするわけでございまして、その点につきましては、この安全について最大の努力を払わなければならぬわけでございます。さらに国鉄自体の乗り入れということで、国鉄線も乗り入れるということで別個の種類の車両が入ってくるわけでございますから、その面の審査等もいたしまして、乗り入れについて、運輸省が見ましてこれでいいということで乗り入れを許可いたしております。  それからなお、安全側線の問題につきましては、当時CTC化いたしました。このCTC化というのは合理化のためもありますが、安全の面にも非常に大きな効力を有するものでございまして、一カ所で列車運行を制御しておるということでございまして、安全面につきましては、相当に金も入れ、そうしてやっておるわけでございます。なお、これは当然、運輸省が工事施行の認可という形で出てきたものを審査の上これを認めているということでございます。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 だから、あなた方の目先というのはきかないんですよ、率直に言って。CTCを入れたと、だから安全側線は取ってもいいと、こういうことじゃないですね。安全側線をむしろふやして最悪の場合に備えるべきじゃないですか。ブレーキ装置だって、システムの改造をいまごろあなた言っているけれども、そんなことはとっくにやって、もう一つ最悪の場合には、切りかえたら、そっちのブレーキがきくようにするべきですよ。あなた方は国鉄に職を奉じているんじゃないですか。何を一体平素やっているんですか。そんな安全側線を取ることについて了承しています——今度の事件を顧みて、もう少し本腰を入れてあなた方が民鉄を指導監督をしておったら、こういう事故は未然に防げたんですよ。かりに自動車電車がぶつかっても、そのあとの電車を停車できるかできないかということは、いま私が聞いた中でも幾つかの問題について不勉強ですよ。やっていませんよ。安全対策に欠けていますよ。そんなことで運輸省の鉄道監督がつとまりますか。もう少し安全性に対してのはっきりしたものを考えてくれなければ困りますよ。これは大臣、役人さんというのは、大体こういう事故が何回起きてもそのつどすまぬような顔をしてやるやると言うんだけれども、さっぱり具体化しない。出てくればそのときにすみませんというような顔をしているだけだ。もっと鉄道魂に徹して、それこそ鉄路をまくらに死んでいくというような、かつての鉄道の先輩が言ったような精神に立ち戻ってやらなければだめですよ。酒を飲んで電車の運転をするような、そんなふざけた者がいるじゃないですか。あなた方はその責任を感じますか、一体。何を平素あなた方はしているのか。私はめったにおこらないけれども、この事件については腹が立つ。不可抗力のものではない、これは。防げば防げたんだ。十七名の死んだ人たちに頭を下げてあやまりなさいよ、あなた。絶対再びこういうことを起こしてもらいたくない。そのために、もっと真剣に安全施策を考えてほしいんだ、私は。そう願うからこそきょうも私は質問しているんですよ。これはもう時間がないから次に移るので終わりますけれども、ぜひあの点も、もう少し踏切についても——私鉄の運賃を上げるときには安全は確保しますと言っているんだ。あそこに行ってごらんなさい。踏切がどのくらいふくそうするか、そうしてしかも勾配のあるところですからね。もう少し遮断機——あれだって左半分しかないんだ、遮断機は片一方しか。だから、あれをもう少しがんこなものにするとか、あるいは傾斜になっておるんですから、傾斜のほうからくれば五メートルなら五メートル踏切より手前でストップするようなことを考えたら、かりにブレーキをはずしても防げたと思うんだ、私は。そういうふうなくふうをして、たとえば将来は立体交差にしていくとか、そういう安全対策に対したって、もっと私鉄を督励してやってくださいよ。まあ私の言っているのは、これは言い過ぎでないと思う。大臣からもひとつあわせて伺いたいと思う。
  60. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 安全の確保が鉄道の最も大事な使命であるということは先生御指摘のとおりでございまして、私どももそのつもりで安全の確保を最大の重要事と考えまして仕事をしているところでございますが、問題は、私どもは、安全はどういうふうにしたらよいか、鉄道のいろいろな面の安全の問題があると思うのでございます。それでまず第一に、私ども人間の能力といいますか、従事員の力というものの面の安全、人的な面における安全につきまして、たとえば指導、教養の強化をするとか、あるいは適性検査をするとか、あるいは試験制度をとるとか、その他各般の措置によりまして安全を強化をしておるわけでございます。  それから物的な面におきまして、私どもいろいろ考えておる中で、第一には、鉄道自体と申しますかの安全という面があるわけでございまして、これは施設線路の面、あるいは車両の面等について鉄道自体が安全でなければならぬということでございます。その点は、たとえば勾配の問題曲線の問題、線路の構造の問題、あるいは路盤の構造の問題というような面の改善ということで、その面からも問題が起きないようなふうに、各般の問題について目を配ってやっていく。車両自体についても、先般、車両の不燃化対策というようなものもやったりいたしておるわけでございますが、そういう面の安全面を考えていく。それから信号のあり方等につきましても同様の問題でございまして、継電連動その他の方式によって安全を少しでも高めていく。  それから第二に、車両車両との関係の安全の問題でございまして、この点は、鉄道は専用の軌道を持っておりますから、現在の電子技術というものの応用というものがかなりできるという性格がございますので、私どももこういった技術を大いに取り入れて、そうして車両車両の安全が完全に保たれるということを企図しておるわけでございます。ATC、ATS等の整備促進だとか、あるいは信号閉塞方式の改良だとか、そういったような方向のものは全部この考え方の一連のものでございます。  それから第三番目に、今度は動いている車両と他の交通機関との関係でございまして、これたはだいま先生御指摘のような踏切事故の問題が一番大きな問題であろうかと思うわけでございます。それで、根本的な問題といたしましては、私ども踏切道総合対策というものを交通対策本部で決定をいたしまして、政府全体としてこの問題に対処していかなければならぬということで、その根幹は、できるだけ踏切道を少なくし、そうしてあるいは立体交差をするということをやはり促進をしてまいるということがそのポイント。それから第二に、残る踏切につきましては、これはなるべくりっぱな踏切遮断機、警報機、踏切保安設備をつくりまして、そうして事故のないようにつとめていくということでございます。  そういう意味の人的な面、物的な各般の面というようなものの上に立って、私どもシステム的にこの事故の防止、安全の確保というものをつとめてまいらなければならぬというふうに考えているところでございまして、私どもといたしましては、そういう面で御指導を得まして、さらに事故の防止というものに力を尽くしてまいりたいと、このように考えるところでございます。今後とも御指導を賜わりたいと思います。
  61. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ交通関係に携わるものとしては、人命尊重ということは最も重大な問題でありますので、私をはじめ関係事務当局も全力を尽くしておることはひとつ御理解を願いたいのであります。  ただ、どうも私こういうふうに思うんです。実は先ほど鈴木さんが踏切の場合、何かもう少し障害といいますか、スピードの出ないような措置、私もあの事故が起きましてから、しろうとなりにいろいろと心配をし考えて、そうして第四のいわゆるまあブレーキというものを技術的に開発する道はないかということを関係者に指示をいたしております。それ以外にいわゆる技術開発といいますか、技術にたよるということだけじゃなく、他の——もっとも技術開発だいぶ遠いんですけれども、プリミティブなあるいは政策かもしれぬが、そういう面でも考える必要がありはしないかということを考えておったんですが、ちょうど幸い鈴木さんからして、ああいう踏切が盛んになっているのなら、ちょっとしたまくら木のような障害物があったら、サイドブレーキをかけなくても、あるいは走り出しはしなかったんじゃないか、私はこういうことをちょっと考えたのです。これは私はどうもやってみたらいいんじゃないかという気がします。全国どれくらいあるか知りませんけれども、踏切をどうせ横断するときにはスピードが出ておらないのですから、多少一センチぐらいの高さのコンクリートの棒があっても、そうそれはじゃまにはならない。そういう意味で私も考えておりまして、私は技術屋でもありませんし、あまりしろうとが技術屋さんに口を出しますときらわれますので控えておったのですが、ちょうど鈴木さんからお話がありましたから、この点は真剣にひとつ考えてもらいたい。ある程度の坂のときには、踏切のそういうところには、そういう措置を講じたらどうだろうか。  もう一つ、私は先ほど来事務当局あるいは技術屋の説明を前から聞いておりましたが、大体四十キロもしくは五十キロといいますか、四十五キロの速度でいった場合に、あの程度のカーブであるとすればまあ心配はないのだ、こういう説明で、あるいは技術的にはそうだろうと思います。ただ、今度のように三つのブレーキ一つもきかなくなったというような珍しい事態でありますけれども、しかしそういうことが起こったのですから、技術屋さんのほうから見るというと、とにかく第一段、第二段、第三段というブレーキの制動があるのだから、それ以上のことは考えなくてもよろしいという頭があるかもしれません。これは鈴木さんも技術屋さんの一人ですから、ややもすればおちいる弊害でもあるわけです。私はしろうとでありますし、皆さんも大体はしろうとなんですが、そこで、こういう場合にもっと運行規程といいますか、その中で、この程度の傾斜の場合においては、その速度を非常に極端に制限して運行しろ、こういう規程があったらどうなるだろうか。あすこでは何十キロで走っておりましたか、おそらく急行ですから三十キロとか、何十キロとかあったと思います、踏切を通ったとき。あれが傾度がいわゆる千分の三十とか、千分の四十というような場合には、これを十五キロとか二十キロに制限して走っていった場合には、あの事故が起きた場合にはどういう速度が出ていたんだろうか。この間の富士急の場合においてはおそらく百キロ近いものが出たんじゃないか、最終的には。そこで脱線したんだろう。あれが三十キロとか、四十キロという速さで行ったから、そういうようなブレーキがきかなくなってああいう事故になったが、もし二十キロ以下で押えておったらこれはどうなったろう。これはわれわれのようなしろうとが考えることで、いわゆる技術屋さんはそういうことをお考えにならぬかもしれませんが、そういうことを含めて科学技術の開発は、もちろんこれは尊重しなければなりませんが、同時にもっとその以前の問題、扱いの問題といいますか、そういうこともあわせて検討をする、こういうことによって事故を少なくしていきたい。いま鉄監局長が申し上げた将来の見通しとしては一切がっさいを立体交差にするということは、これは前提であります。しかしこれは五年、十年でできる問題じゃない。しかし事故はあしたをもっていないのでありますから、三十年、五十年先のことを当てにしておったのじゃしかたがない。もちろんこれは進めなくちゃいけませんけれども、一方にはそういうような対策をあわせて考えていくべきであろう。かように考えて人命尊重、安全運転、こういう面でもって全力を尽くしたい、かように考えております。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 大臣非常に明快に、しろうと、しろうとと言うけれども、そうじゃないですよ。ほんうとに国民のやってほしい点をぴんぴん言ってくれまして非常に力強いんでございます。それで幸いというか、これを不幸を転じて幸いにしなければいけませんから、あそこの現場へひとつ運輸省の役人を派遣してくれませんか。そうしてあの勾配をどうしたらいいかというようなことをちょっと調査をして、それをひとつ基礎に研究をすることも大事だと思いますから、早急に大臣、その処置をやってくれませんか。
  63. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 運輸省の専門家も一応参りましたけれども、今度違った角度でそのようなことを調査のために、国鉄の技術屋も、これは国鉄もあそこ運行しておりますから検討さして最善措置を講じたいと、こういうように思います。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それでは時間がちょっとなくなったようですけれども、これでこの件は終わりますが、警察のほう参りましたか。
  65. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 先刻の鈴木委員質疑に関し、交通企画課長から発言を求められておりますので、寺尾通企画課長
  66. 寺尾繁

    説明員寺尾繁君) 非常におそくなって申しわけございませんが、少年のつとめ先は、富士吉田市下吉田千五百三十四番地の富士建材株式会社につとめております。その会社雇用主は分部安政という方でございまして、会社の規模は、この社長と、事故を起こしました少年と、その内縁の妻、三人でやっておるというような小企業でございます。  なお、雇用主の刑事責任につきましては、目下捜査がまだ全部完了しておりませんので申し上げられませんけれども、国として、おそらく、こういう通勤途上でありますことでもありますし、また、従来の捜査の状況から見ても刑事責任はむずかしかろう。しかし民事上の、これは自賠法の三条によります運行供用者の義務といったようなものは、最近の判例から見ても大体入っておる範疇だろうと考えております。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それでは次に移りますが、成田空港の建設用地の強制代執行の問題について大臣もたいへん御苦労されておりますけれども、結果的に見て、執行の際に大きなトラブルが起きて多数の重軽傷者が出ておるようですが、これは警察のほうでもいいし、公団のほうでもけっこうですから、どの程度負傷者が出たのですか、ちょっとそれを報告してもらいたい。
  68. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) 実は私どもとしましては、警備の中心として、彼我双方にけが人が出ないということを基本方針として臨んだわけでございますが、遺憾ながら相当激しい抵抗がございましたので、負傷者が多数出たことをたいへん残念に思っております。実は昨日の衆議院の運輸委員会で御報告申し上げたのでございますけれども、その後また応援派遣をいたしました県から、負傷者負傷警察官の数をいろいろまた言ってまいりましたので相当ふえております。昨日は警察官三百六十六名と申しましたけれども、九百八十九名にふえております。うち入院いたしました者が十二名で二名が現在まで退院をいたしておりますので、いま入院中の者が十名。それから県、公団の関係につきましては公団総裁からまたお話を願うといたしまして、私どもの調査では反対派が七十四名、これは学生とそれから農民の方々を含んでおるわけでございますが、ただ私どもとしては、この反対派の負傷数につきましていろいろ聞いて回っておるわけでございますけれども、なかなか実態がつかめない、おそらくこれよりある程度多いのではないかと思っております。それから一般人の方が四名、それから報道関係の方、これは昨日は十一名と申しましたが十四名にふえております。そういう状況であります。
  69. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 公団職員あるいは県、ガードマン、作業員等の負傷内容を申し上げますが、公団職員が十五名、県職員が六名、ガードマンが三十七名、それから作業をいたしました作業員が二十六名ということでございまして、中で入院者は公団職員二名でございます。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 逮捕をした人はどのくらいおりますか。
  71. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) この代執行の始まりました二月の二十二日から終わりました三月の六日までの間に四百六十一名を、凶器準備集合、それから公務執行妨害、威力業務妨害などで逮捕いたしました。うち農民の人が三十一名おります。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 警察官の——機動隊ももちろん含めるんですが、出動回数というのは何回で、延べではどのくらい警察官は出動されたんでしょうか。
  73. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) 二月の二十二日からの数字を、これはちょっとこまかくなりますけれども一応申し上げますと、二十二日が千名、二十三日が千五十、二十四日も同じく千五十、二十五日が千三百、二十六日が千四百、それから二十七、八と三月の一日は代執行をやめましたので、それぞれ二百五十人ずつでございます。それから三月の二日が二千三百、三日も同じく二千三百、四日もまた代執行を休みましたのでこれは三百、それから五日が三千、最終日の六日が三千五百と、こういう数字で、合計いたしまして一万七千九百五十という警察官の動員数でございます。
  74. 鈴木強

    鈴木強君 公団の総裁は——いま警察官のお話がありましたが、特に二日の予算委員会で加瀬委員が総理に御質問申し上げた際に、総理としては、けが人がないように十分注意すると、こういう趣旨の発言もされておるんですが、このお考えはおそらく橋本運輸大臣のお考えでもあり、政府のお考えでもあると思います。で、当初からそういうふうな政府の御意向を体して総裁はおやりになったんでしょうか、代執行をやる際にですね、基本的な考え方として。
  75. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) おっしゃるとおりでございまして、したがいまして、私どもは当初はできるだけ警察のお世話にならないように、自力で代執行の作業をやる——代執行は、御承知のように県知事の権限でございまして、公団はその作業の委託を受けてその下で働いたという形になるわけでございます。ガードマン等を雇いましたのも、できるだけそういうふうなトラブルが起こらないでやれるようにというつもりで当初の数日間は努力をいたしたわけでございます。
  76. 鈴木強

    鈴木強君 しかし、四百六十何人にも及ぶ逮捕者も出ておりますし、けが人も相当出ておると思います。それから私どもテレビとかラジオ、新聞等でいろいろ報道を刻々聞いておりましたが、公団側——公団側というか県がもちろん執行やるわけですけれども、あれを見ておりますと、木の上に人間が登っておりましたね、それを根もとから切り倒してしまうようなところが出て、ほんとうにぼくらは目をそむけましたよね。特に第五地点のケヤキの木が切り倒されたときなんかはほんとうにどうなるかと思いました、私は。ああいうことをなぜやらなければならなかったのでしょうか。近代的なはしごなんかがあるんでしょう、ですから、せめて木に登っている人たちによく話をしておりてもらうような方法をいろんな角度でやってみて、それからすべきじゃないでしょうかね。とにかくそういうこともやらないで、いきなり木を根もとから切り倒して人間もろとも大地にぶつかっていくようなああいう姿を見たときには、一体もう日本には政治はない、行政もないというような気がするわけですね。事のいかんのよしあしは、これは見解の相違もあるし、私はここではきょう触れませんけれども、実際あの現象を見たときにそういうふうな気がするのですよ。それにはもちろん原因があって結果があるとおっしゃるでしょうけれども、それにしてももう少し何か方法はなかったんですか。ああいうやり方について総裁はどうですか、反省しないんですか。まずかったじゃないですか、ああいうやり方は。
  77. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私も先生と全く同意見でございまして、ああいうふうな方法はできればとるべきでなかったという感じがいたすわけでございますが、したがいまして、現地の実情等を聞いてみますと、木に登っておられる方々の説得に極力努力をいたしたわけでございます。しかしながら、投石が非常に激しいというふうなこともございましたし、また、木に登っておられる人の中できりの非常に長いものを持っておる、下から上がっていって話をしようと思うときりで抵抗するというふうな——きりといいましても一般のきりよりは、むしろ細長い、細い鉄の棒の先のとがったやつじゃないかと思います。ですから、なかなかおりていただくわけにまいらぬということで、やむを得ず下のほうへ網を張りましてゆっくりうしろからロープで引きながら木を倒すというふうな方法をとって、上におる人たちが負傷したり何かすることのないようにという方法をとったように聞いております。これは方法としてはきわめて私は先生のおっしゃるようによい方法ではなかったと思いますけれども、当時の代執行というのは、やはり立木その他の一切の物件というふうになっておりますものですから、県側とすればやはりあの木を倒さなければ代執行を行なったということにはならない、それのために御本人たちにおけががないようなできるだけの措置をとったという、しかもそれは全く非常に激しい支援団体の投石の中で行なわれたことでございまして、ああいうふうなことは私どもとしては決して好ましい方法ではないということは全く先生と同感でございます。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 ガードマンの人たちは、総裁、延べでは二十二日からどのくらい頭数雇いましたか。
  79. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) いま明確な数字を持っておりませんが、大体一日百五十人ないし百六十人程度でございます。これは道路の規制あるいはまた私どもの庁舎の警備をも含めまして大体百五、六十人ということでございますので、八日間といたしまして千名、延べ千名内外であるというふうな数字になるのではないかと、いまここに手元に正確な数字は持っておりませんが、もし御必要であればそういう数字を明確にして資料でお出ししたいと思います。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 もしわかっておったら知らせていただきたいと思いますがね。  それで、ガードマンの性格といいますかね、私よくわからないので、これは一回、予算委員会のほうででも伺おうと思っておりますけれどもね。ガードマンというのは相当最近流行になりましてね、方々でガードマンを雇ってやるんですけれども、しかしまあとんでもない、茨城県のどこかの市長さんが臨時職員雇ってああいうふうな問題が起きております。最終的には解雇したのですけれども、まあそこのガードマンになる人たちの素行なり、そういうものが一体どうであったかということについても最終的にはよくわかりません、私は。これを規制するような法律もいまないようですね。ですからして、どこの会社からそのガードマンを雇ったかは知りませんが、これどこの会社ですか。
  81. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) ガードマンは空港公団の分室で契約をいたしたのでございまして、一つのガードマン会社は成田空港警備株式会社、これは敷地内の農民の方々で土地を私どもにお売りいただいて代替地に全部出られた方々が将来の空港の警備をやるというふうなことで、空港関係の業務に将来就業し、あるいはまた営業するという観点から、主として敷地内の農民の方々が代替地に移られて将来の生活設計のためにおつくりになった会社でございまして、私どもは、従来でも分室の警備であるとか、あるいはまた資材、道路の交通安全のためのガードであるとかいうふうなお仕事を実はお願いしてまいったわけでございまして、こういう会社は位置決定当時の閣議の決定事項にもございますし、私どもは地元の方々の空港との関連事業を極力育成するというたてまえで現在御支援申し上げておる会社でございます。それ以外に綜合警備保障、これは日本で一番大きなガードマンの会社でございまして、綜合警備保障それからもう一つは大同帝国警備保障、これはわりあいに若い方々が多いようでございます。この三社の会社のガードマンと契約をいたしたというわけでございます。あるいはまた、その帝国警備のほうは成田空港警備の下請という形で入っておったんではないかとも思っております。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、まあこれは成田空港警備株式会社、これはひとつ定款とか、会社設立がいつであったか、それから役員構成ですね、役員の給与とか、そういうものについてひとつ資料としてあとで出してもらいたいと思います。それから、まあ敷地内の農民の方ですでに土地を売り渡した方ですね、そういう人たちが主だとおっしゃるんですが、一体警備に対してどれほどの訓練をされたのでしょうかね。そういう点もあわせて、いま時間がありませんから資料で出してほしいと思うんです。ですから、あなたがさっきおっしゃったように、木を切り倒すために針金でゆわえて、一ぺんに落ちないように、急に倒れないように、徐々に倒れるようにやったとおっしゃるでしょう。たしか小さいような木を切り倒すやつを見ておりました、テレビで。そうすると、確かにかげんしてこっちへ引っぱっておったところがありましたよ。ところが、ケヤキの木を切ったのを見ますと、これはもうテレビですから全く変わりないでしょうね、実物ですから。ぱっと倒れてくるのですよ、上に乗っているのがね。そうすると、私は一瞬はっとしまして、どうなるかなという、ニュースで見まして、そんな配慮は、あなたがそうおっしゃってもしてないんですよ。ですから、ガードマン自体が訓練も何もしてないんですよ。訓練も何もしていないと言うと語弊があるかもしれませんが、ああいうトラブルの起きた場合に備えてまさかやっておったんじゃないでしょうね。閣議決定の事項にもある。それは要するに農民の方々が土地を警備する、空港の普通の状態において警備をお願いしようという段階、ああいうトラブルに何も経験のない、訓練のない人たちを連れていってみたところで、結局は感情に激していろんな行き過ぎをやるんですよ。そういうところにやっぱりガードマンの使い方についてあなたは間違っていましたよ。それは私は大同帝国警備保障会社というのはよく知りませんから、これはいずれ別の委員会でガードマンに対する法的規制とか、実態についても私は伺いたいと思っておりますけれども、まあ何かいい面もあるかもわからぬが、また悪い面もたくさんあると思うんですよ。ですから、そういう点を考えると、ガードマンを使ったというのは軽率ですよ。ああいうトラブルの中にガードマンを突っ込ませるということは、これは全く無謀ですよ、そう思いませんか。
  83. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私もガードマン自体の法律的な性格、あるいはまたどういうふうなことまでやれるかというふうな点について詳しい法律的な知識は持ち合わしておりませんが、公団の職員あるいは県の職員あるいは実際に代執行の作業を行なう作業員というものを、やはりみずから自分でもって投石その他から守らなければならない。これは当然正当防衛である、緊急避難であるということで許されるわけでございますが、そういう者は自分でみずから守ることができない立場におるわけでございます。あるいは作業をする、あるいはまた先方に対してかけ合う、いろんな仕事があるわけでございまして、結局、ですから、私の感じでは、これは間違っておるかもしれませんけれども、ガードマンを雇ったということは、私どもの職員みずからがみずからを守るためのいわば手足というふうな感じでおるわけでございまして、いろんな使い方その他の状況について先生の御批判をいただいたのですけれども、あの当時の多くの支援団体の非常な激しい抵抗の中で、しかも代執行を行なわなきゃならぬというふうな異常な事態になりまして、いろいろトラブルが起こった点については私ども十分反省をいたしておるわけでございます。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 私、言っているのは農民の方ですよ。やっぱり本来あんな乱闘へ行って仕事をやる人じゃないですよ。まあ普通の守衛さんのような立場に立って、空港を建設するために夜間の警備に当たるとか、そういう程度のものであって、あんなあなた、三派全学連が来て竹やりをやったり何か投げるようなところに立ち向かっていく部隊じゃないですよ。そういうことを私は言っているのですよ。そういうところで農民を使っているのは間違いじゃないか、ガードマンだって普通のガードマンと違うんですよ。その点について反省していますかと言っている。
  85. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) その点は十分反省をいたしておりまして、私どもとしては、むしろそういうふうな空港警備のガードマンというふうなものは、先生のおっしゃるような守衛等に類するいわゆる分室の警備、あるいはまた資材輸送その他でもってトラック輸送がふくそうしておりますので、あるいは学校もございますし、そういうような意味で、交通事故を起こさないようにある程度車両のコントロールをやるというふうな意味で使うというのが本来の筋でございまして、今後においては十分おっしゃるようにいたしたいと、かように考えております。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 ぜひその点は御注意をいただきたいと思います。  それから警察のほう、警備局長さんですか、お尋ねしたいんですが、これは新聞の報道ですからね、私も事実を確認していませんので伺いたいのですが、三里塚闘争を支援する学界・文化人の会というのがございますね、代表世話人はもののべ・ながおきという数学者ですね。この方が九日に、佐藤首相、それから友納千葉県知事と、ここにおられる今井国際空港公団総裁に対して、機動隊が催涙ガスを使用したと、しかもこれを農民の農薬使用によるもののように偽装工作をした、こういう残虐行為を直ちにやめるようにという声明書を発表しておりますが、こういう事実はありましたのでしょうか、どうでしょう。
  87. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) これはおそらくこういうことの間違いではないかと思います。二月二十五日の午後三時五十二分ごろでございますが、代執行の対象になっております第三地点がございますが、その付近で、千葉県の警察の約六十人が、公団側が行ないました整地作業に当たっておりましたところ、付近におりました反対同盟それから学生ら約三百人の中から、この警備部隊に向かって牛乳びん大のびんが投げられたのでございます。その結果、この中隊の隊員の大半が突然目に強い刺激を受けまして涙が流れ出しましたので、一たん部隊を後退させました。その後、新しい部隊が再び現場に出動いたしましたが、そのときにはすでに異常は感ぜられず、また、びんも発見されなかったのでございます。直ちに、この被害を受けた出動警察官から事情を聴取いたしましたところ、農薬のクロルピクリンと推定されたのでございます。で、実はこのガスの問題につきましては、衆議院で楢崎弥之助先生から、この成田の問題について穴の中にガスを使うことは考えておるかどうかというような御質問がございまして、私は、穴の中には絶対に使いません一まあ楢崎先生は穴の外だから使っていいと言うのじゃないと言っておられましたが、私どもも、今回の成田警備につきましては、慎重の上に慎重を期して、ガスはもうよほどのことがない限り使うべきではないという考え方で臨んでおったわけであります。したがいまして、穴の中はもちろん、穴の付近で風向きによっては穴の中に入るような状況にあっては絶対に使わない。普通の警備で申しますと、とにかく竹やりが数百本押収されている、あるいは火炎ビンも一日に多いときは九十本投げられておる、投石が非常に激しい、これはいままで警察が警備をやってきております状況から考えますと、これは当然多数のガスが使われた状況だと思いますけれども、私どもとしては、ガスは、成田警備にあっては絶対に使わないようにしたいと、こういう心組みで臨んでおりましたので、自信を持ってガスは絶対に使ってないということを言い切れるわけでございます。ですから、先ほど申し上げましたようなことがおそらくあやまって伝えられたのではないかというふうに考えております。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 それで、時間をだいぶ私とってしまって申しわけないのですが、まだ若干いろいろ聞きたいことありますけれども、もうポイントにしぼってやりますが、いま地下ごうの中に農民の方々が何名か入っておられますが、公団としては、どの程度の農民の方が入っておられるか推測できますか。
  89. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 現在のところでは、公団としては地下ごうに近づいて具体的に調べるというふうなことができない状態にございますので、私どもとしては何名入っておるかわかりません。  それから先般、成田で副総裁以下と反対同盟幹部との間で話し合いが行なわれた際にも、私どものほうから、ごうへ入っておる人たちの員数と氏名を知らしてもらいたいという要求を出したんですけれども、これに対しては具体的な回答が得られなかったということで、私どもとしては現在ごうの中に何名入っておるかということは、数字はつかめません。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 それで、何人いるかわからないのですけれども、この地下ごうに入っている農民の方々を排除するということはあなた方は考えているわけですね。何か反対同盟側の皆さんと話し合いができて一つの覚え書きといいますか、協定といいますか、そういうものができ上がったようですけれども、この地下の中に入っている人たちは、これは非常に人命に危険を及ぼすようなことが出てくると思うのですけれども、その覚え書きとも関連をして、この地域における工事については、公団としてはどういう態度で臨もうとしているのか。
  91. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 一昨日、現地において、加瀬先生あるいはまた木原先生、それに千葉の社会党の小川県会議員というふうな、いわゆる社会党議員団の方々の立ち会いで反対同盟幹部と私どもの副総裁以下の幹部が会合いたしたのでございますけれども、その協定ができ上がった根本の趣旨は、やはりごうの中におる人たちの健康上の問題、あるいはまた、ごう自体の落盤等による人命の問題というふうなきわめて人道的な立場から、できるだけ早く出そうという趣旨で協定が結ばれたのでございまして、私どもは、できるだけ早く出ていただくように反対同盟あるいはまた先生方に説得をお願いするという立場で現在何らの工事を行なっておらないというのが現状でございます。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 それはまあ話し合いが進んでいたということは非常にけっこうなことだと私も思います。それで、そうすると、その話し合いがうまく進むまでは手をつけないと、こういうふうに理解していいですね。
  93. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) これはいま申し上げましたように、人道上の観点からの問題でございまして、そう長いこと同じ人たちをごうに入れておくことは、その人たちの健康上の問題なり、あるいは穴自体が非常に危険な状態でもありますので、はたしてそういう長期間話し合いを続けておくことが適当かどうかという問題がございます。それからなお、私どもとしては、現在あの付近の谷地田の滑走路部分については特に造成を始めたいわけでございますけれども、そういう問題がございますので、現在やむを得ず手控えをいたしておるわけでございます。すみやかにそういうふうな意味で話し合いがついて、早くごうの中から人が出るということがもう最大の私どもとしての願いであるというふうに考えております。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 それでね、この千葉県の市町村会ですね、これがあっせんに入って騒音補償地をふやす等の一つの具体的なあっせん案というものが示されておるわけですがね。これは空港公団はあれですか、事前に知っておりましたですか。
  95. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) そういうお話は、知事さんから伺ったことはございます。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣あれですか、政府のほうとして山村政務次官が、新聞報道によると、九日ですからおとといですね、千葉市の自治会館で市長会、町村会の代表の方と会っておりますが、その際に示されたこの市長会、町村会の空港解決のための一つのあっせん案ですね、そういうものについて、こう述べているのですね。「これまでの紛争からみて戸村委員長があっせん案を受け取ったということには意味がある。運輸省としてはいつでも話合う気でいるが、このあっせん案は予算的な面でかなりむずかしい点がある。しかし、運輸省としてはこの案の実現については前向きで努力するつもりだ」、こういうふうに、持ち帰ってあっせん案を検討すると、話し合いの場があれば運輸大臣出席することを明らかにしたと、こういうふうな記事が出ておりますがね。大臣としてはこのあっせん案を市町村会が出す場合に、事前にそういうことを御存じだったでしょうか。
  97. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 結論的に申しますというと、そのあっせん案が出ておったことは承知いたしておりません。山村政務次官を現地に派遣しましたのは、一つは、代執行後の状態を直接に見てもらうということが一つと、もう一つは、現地の千葉県当局及び関係者に対して、まあいろいろけが人も出ておることでありますから、お見舞いを申し上げると、かつまたお礼を申し上げると、こういうような目的で参ったわけであります。したがって、山村政務次官が参ったときには現地で協定ができておったようでありますが、それももちろん承知しておりません。参って初めて町村会からそのようなことが出ておるということで、それでは町村会の方々にも会って意向を聞こうということで、初めてそのときにそのような案を提示されたものと思います。  私は、この問題の扱い方ですが、御承知のように、国際空港は何としてもまあ四十六年度中には操業が開始できるようにいたしたい。これは皆さんも十分、専門家でありますから、御承知のとおりに、羽田の空港は全く満ぱいの状態であります。すでに十数便の減便をやりましてかろうじてまあこれもっておるという状態でありますからして、このような状態でありますというと、いわゆる航空行政にも大きな影響があるばかりでなく、なおいかに注意をいたしましても万が一の事故が起きる危険性がないとは言えない。こういう意味において飛行場には余裕を持たなくちゃなりませんので、いわゆる一部が使用できるような状態に四十六年度中にはいたしたい、かように考えておるわけでございます。しかし、この協定ができましたのは、先ほど来お話がありましたように、人道上の見地から中におる人を説得をして表に出すということが目的であります。今後とも仕事をやらないという意味のいわゆる休戦協定ではないのでありまして、人道上からして、長期間にその中におることは人命上も非常な危険があるということ、したがって、そのためには関係者が積極的に説得をしてくださると、こういうことでこの協定ができ上がったのでありますから、私もこの協定については歓迎をいたします。ただ問題は、じんぜんとして、そうしてもし万が一——さようなことはないと思いますけれども、万が一にも、ただ引き延ばす戦術のためにやるということであればこれは大いに考えなくちゃなりませんが、私は人の善意を信じますからして、関係者の方々はそういう意味じゃなく、あくまで人道的にこういうような危険なところにおる人を何とか説得して表に出したいと、かつまた反対者の意見も十分に聞き、関係者に十分話をさせたいと、こういうような善意の行為であると思います。したがって、町村会の提案されました項目はかなり多岐にわたっておりますけれども、しかしながら、解決のためには最善努力をして、できるだけこれは反対者の意思に通ずるような、ただ前提としては、空港を設置することは動かし得ないことでありますが、それ以外の条件については最善措置を講じたい。これは反対者だけではありません。全体の人にも関係する一つの方策でもありますから、そういう意味においては、積極的な対策は十分に話し合ってこれを進めていきたいと、かように考えておるわけであります。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 新聞を見ますと、この協定に基づく当分の間というのについていろいろ解釈も出ているようですし、また多少、協定に基づくトラブルもあるようですけれども、要は、大臣のおっしゃったようなねらいがあるとすれば、とにかくその農民の方々が納得できるような、代替地の問題とかその他諸般の将来の農民の生計の問題等についても、なるほどというように皆さんがうなずけるようなものがないとこれはいけないと思うんですね。ですからして、そういうふうな立場で、まず、前段、農民の理解を得るということが反対している方々の一番大事なところだと私も思います。ですから、ただ単に、この相当の期間というものが一週間が限度でどうしても動かせないんだと、そういうかたくななことではなくて、要するに、根本の問題について誠意を持ってやれば、五日で解決できるかもしれない、あるいは十日かかるかもしれないが、事の成り行きを十分判断して、そしてせっかく軌道に乗り、まとまりかかったものを絶対にぶちこわすことはいけないと思いますよ。ですからして、そういうことで大臣も公団のほうを指導してもらいたいし、総裁もたいへん御苦労な面はわれわれも国民としてよくわかりますけれども、あまり権力を使ってああいうことをやりますと、あなた方が逆に結局批判されますよ。事のよしあしは別として、これのやり方、手段、方法が絶対国民からは納得できない。だからして、その辺をかたくなに考えないで、いま大臣のおっしゃったような納得できる施策というものをやっぱり示さなければ問題の解決にはなりませんよ、了承しなければ穴から出てこないわけですから。そのことは、結局あの方々がなるほどというふうに皆さん考え方を理解してもらえるかどうかということにかかっていると思いますから、その面についての最高努力をするということが私はこの事態では一番大事だと思いますから、そういう点でひとつ、総裁の何か一週間にこだわっているようなことを私は心配しますから、大臣の趣旨もそうではないように思いますから、その点総裁として慎重にやっていただきたいと思います。
  99. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御意見ごもっともでありますから、最善措置は講じたいと思います。ただ、権力の発動と一口に申されますけれども、御承知のように総裁は、今回の反対者の人々を含めて従来何百名かの人に対しては、再三再四どころじゃない、おそらく十回前後ぐらい話をつけて、その結果ほとんど九割以上のものが賛成に入ったわけでありますから、積極的にやってまいったんでありまするが、どっかの行き違いがあったんでしょう、一部の人が残った。しかし農民の気持ちがわからぬわけではありません。ことに農地に対する愛着というものは心から同情もし、かつまた理解もいたします。したがって、この問題は、単に権力を振り回してやるならばもりと何年前にやれるわけですね。それを三年も四年近くも説得期間をおいてきたということは、決して権力をまず第一に振りかざしたのじゃないということは、ひとつ皆さんにもわかってもらいたいと思います。したがって、今後も、もちろんこれは権力を先に出すわけはありません。できるだけ、いま残っておられる反対者の人にも、政府の意のあるところを十分に理解してもらって、そしてこの問題を円満に解決していきたい。こういうことのためには、先ほど警察当局から説明がありましたように、ほとんど無抵抗の状態で二千名以上の暴力学生集団を向こうに回して仕事をしたんでありますから、千名近くのけが人が出たということをもってしても——いかに機動隊、警察関係にしても、人命には損傷を与えたくない。雨あられと降るようなそういう投石の中に、あるいは火炎びんのあれだけ投じられた中に、全くそういうものを使わずに、そして代執行に携わったということは、警察関係においても、相手方の人命に対してもできるだけの配慮をしたということが、結果的には多数のけが人を出したということでもひとつ御理解を願いたいと思います。
  100. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私も、考え方においては先生と同感でございます。いま大臣からもお話があったわけでございますが、協定を結んで私ども一番心配いたしておりますのは、それを単に地下ごうの防備のための準備期間に使うというようなことが行なわれると非常にぐあいが悪いということで、実は昨日も加瀬先生、木原先生にそのことをお願いしたのでございますけれども、もう一切やはり地下ごうの、私どもが作業を行ないました線に構築物をつくらないという点だけはどんなことをしても順守していただかないと、また再び同じようなことが繰り返されるということが、私どもの意図いかんにかかわらず行なわれていることははなはだ残念だと思いますので、もうその点だけは、成意を持ってお話し合いをしていただいている間ぐらいは現地を平静な姿でそのまま存置さしていただきたいと、もうすでに私どもは二回も警告を発しているわけでございますので、代執行終了当時の姿に現地を戻していただきたい、いまつくった新しい構築物等は、やはりこれは撤去していただくと、こういう点でぜひひとつそういった面についての御支援もお願いいたしたい、かように考えております。
  101. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 鈴木さんの質問にちょっと関連して、若干、せっかく大臣出席をしておられますから、若干の質問をしたいと思いますが、いまの成田の問題なんですけれども、まあこれはわれわれがやっぱり心配をしているのは、不測の事態が起きやしないかということなんです。総理は一応、死者はもちろんけが人も出したくない、こういうことを言っておられましたけれども、穴にもぐっている農民にしても、だてや酔狂でもぐっているわけではないと思うんですよ。それで、いまさら説得をすると言っても簡単な話じゃ私はできないと思うんですね。そこで、この前の委員会のときもちょっと私は局長にお尋ねしたんですけれども、政府現地との間には千葉県なり公団というものが中に入っているわけですね。たとえてみれば、アメリカのベトナム戦争かなんかのように、ちょうどアメリカと南ベトナムとかラオスとかの関係が、政府と公団なり千葉県の関係のように、現地では反対派と賛成派がしのぎを削っているけれども、うしろで絶対命令を出しているのは政府であるといったような姿に見えるわけです。だから、もしほんとう現地でもって話し合いをやって事を円満に運びたいということであれば、ある程度政府のほうでも計画変更なりあるいは設計変更なり、何らかの形で譲歩をするといったような用意がないと、話し合い話し合いと言っても、話し合いというものは、事実上は衝突する以外にはないんじゃないかということを懸念をするわけです。したがって、ここで大臣にお尋ねをしたいということは、もう予定どおり、四十六年中に何が何でも成田空港を完成させて一番機を飛ばせなければならないということを至上命令として考えて、一歩も譲る気はないのかどうかということなんです。その点どうですか。
  102. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 計画変更ということはどういう意味かわかりませんが、いまの最後のほうの意味ですか。あるいは、飛行場の計画についての変更という意味でありますならば、飛行場の計画変更をする意思は全くありません。これは御承知のとおり、当初、運輸省が計画をいたしたのは、坪数にいたしまして七百五十万坪という大規模のものでありました。それを政府サイドにおいていろいろ検討の結果、約半分弱のいわゆる中規模のものに変更したのであります。その中で最大限の効率を発揮するように、こういうことで、技術の粋を集めたといいましょうか、あらゆる点から検討を加えて現在の成田空港の計画が決定したのでありますからして、これを変更する余地はないし、かつまた、将来ともにこの計画自身を変更する意思は全くありません。四十六年度中に完成したいということは皆さんにもお願いいたしまして、四十五年度の予算の審議及び四十六年度の予算の審議に財政的、予算的措置——四十六年度中、あるいは当初は、四十六年のまあ中ごろにでもこれを出発したい、かような考えで予算をつけていただいて、御審議を願って可決を得たわけであります。しかし、実際問題として、いろいろ、一部の者の説得及びその他の工事等のおくれ等もありましたので、これを約一年近くを延期して、四十六年度中、すなわち四十七年の三月末までには何とかして供用開始に運びたい、かような目途で進んでおることも、これはいま変更する意思は持っておりません。
  103. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、四十七年の三月までには完成させて飛行機を飛ばすという予定は何が何でももう絶対に変更しないということであって、そのためにはいかなる無理をしても、たとえば穴蔵の農民を引きずり出しても、血を流してもやるんだというふうに受け取ってもよろしいんですか。
  104. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ目途ですから、四十六年度の末が目途ですから、何が何でも絶対というようなことばはどうかと思いますけれども、しかし、穴蔵の人を、それだからといって、何が何でも、命にかかってもというようなことも、これも御質問のほうも少し強過ぎはしないかと思います。穴蔵にどうしてもいなければならぬ、一生かかってもいなくちゃならぬというのであるならば、これはやっぱり問題点があろうと思います。しかし、いろいろの条件等、あるいは国策等を理解してもらって、そうして出るということが将来ともに考えられるなれば、必ずしも、私は、四十六年度末の供用開始はそう無理なスケジュールではないのではなかろうか。加瀬君や木原代議士にお骨折り願ったのは、あの中に長くおったのでは人命に差しかかわる、だれが何もしなくても、ああいうところに長く同じ人が入っておったらこれはもう生命の危険があるから、ここで人道上の問題としてこういう協定を結んだということは、永久にあの穴の中に入っているということじゃなかろうかと思います。したがって、お互いに話し合いをつける余地は私はあるのではないか。そこで、山村政務次官にも近い機会に——反対派の諸君が、公団の人々とは会っていろいろ今日まで話もしておるわけですが、なお運輸省の幹部にも会いたいということになれば、山村君は積極的に会ってよろしい、会ってよろしいだけではなく、十分に反対者の方々の意見も聞いてもらいたい、その上で私が会う必要があればもちろん会います、こういうことを指示いたしておりますからして、私たちは、もちろん人命尊重の上から、何が何でもと言いましても、それよりもまず、はたしてあの中に何カ月でも一それは特別な座敷でもつくってしまえば別でありましょうけれども、とにかく、それは、そういう無理をすることは、お互いの人命の上からも危険でありますから、できるだけ早い機会にこれは穴から出てもらいたい。そうして、言うことがありますれば十分に聞かしてもらいたい。われわれは積極的にその言い分を取り上げる。空港建設という前提、これはくつがえすわけにいきませんけれども、それを除いてはできるだけ、いわゆる農民といいますか、農家の方々の意向を尊重して処理をしていきたい、それがために多少の予算を計上することもやぶさかでない、かような決意を持っているわけであります。
  105. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 十分に、練りに練って成田にきめたのだから、いまさら変更できないというお話でしたけれども、四十六年の三月に完成できなければ、やはりこれだって計画変更ということになると思うのです、計画としては四十六年度中にやるということになっていたのだから。だから、そういう意味で私はいろいろ聞いてみたのです。幾ら突っぱってみても、四十六年度中にできなかったら、やっぱり計画変更ということになっちゃうでしょう。それから、話し合いと言っても、それじゃあ、政務次官と話し合いをする用意があると、大臣が話し合ってもよろしいと言うけれども、いままでこの成田空港の問題で、反対派の人たちと政府が、あるいは大臣が話し合おうとしたことはなかったと思う。それからまた、運輸委員会自体が——これは社会党のほうから呼びかけをした記憶があるのだけれども、現地調査をしようとしたこともなかったわけです。また、その反対派と具体的に突っ込んだ話し合いをしようとしたようなことは、衆参両院を通じて——それは社会党なら社会党が行ったということはありますよ。しかし、委員会として、あるいは政府として、話し合いなり、調査をしようとしたことはないように私は思う。それを、いま話し合う用意があると言うのは、穴蔵へもぐってああいう激しい抵抗をしたからこそ、その気になったんだろうと思う。本来ならば、その激しい抵抗のあるなしにかかわらず、最初から誠意を持って政府は臨むべきだったと私は思うのですよ。その点は、はなはだ遺憾だったと思うのです。  そこで、今後の問題についてはどういうことになるか、まだ、よく推移を見なければ、われわれには判断がつきませんけれども、あんまり空港をつくるのに無理をして、恨みのこもった空港ができると、将来ろくなことがないんじゃないかという心配もありますからね、その点は政府としても、もっと柔軟な態度でもって、メンツにこだわらずに、現地の農民と話し合いをし、ほんとうに納得をさせるという誠意を私は示すべきであろうというふうに考えます。  以上のことを——私はこれ以上きょうは申しませんので、注文だけつけておきたいと思います。
  106. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ちょっと……。私は衆議院の運輸委員会で、あるいはこの参議院でも加瀬君から質問があったと思いますが、特に衆議院の委員会では、私が大臣になりましてから間もなくの国会でありますが、三月の運輸委員会だと思います。木原代議士からして、大臣は会って話をする用意があるかという再三にわたる質問に対しまして、再三にわたって、私は空港建設を前提とする、その他の条件について話し合えというのであるならば、いつでも喜んで、私は必要によっては現地まで行って話し合いをする意思でありますと、それについては、木原先生も、たいへんであろうけれども反対農民の諸君に対して、その点をよくお話を願いたい、お話しをした結果、それじゃ運輸大臣とそのことについて話しましょうというのであるならば、私はいつでも参って、あるいはこちらに来てもらっても、話し合いをいたしますということを、お願いしてまいったのであります。しかし、木原代議士も、どうも時期尚早であるということで、そういうようなあっせんの労をとるまでに至りませんでしたが、決して政府は話し合いを拒否しているわけではない。向こうさんからも、いまだかつて話し合おうとも言ってこない。私のほうから話し合おうと、木原代議士を通じて申し上げているのですが、その機会を得なかった、かように、その点においてはまことに残念であります。ただ、空港公団としては、総裁も、それ以下の諸君も、直接に話を何回か進めてまいったのですが、今日の事態に入った、こういうことでまことに遺憾なことではありまするが、今後とも、まあ瀬谷さんのおっしゃるように、いわゆる話し合いを中心にしてできるだけ円満なる措置を講じてまいりたい、かつまた農民の気持ちも十分察知してこれに合うような措置を講じていきたい、かように考えておりますので、関係者、皆さんにおかれましても政府の意図を十分に御理解願って御協力を願えれば幸いである、かように存じます。
  107. 鈴木強

    鈴木強君 関連。  さっきの私の質問に、四十六年度中ということを大臣は言っておられましたが、総裁ね、四十七年の要するに三月三十一日ですね、来年の。それに供用開始するとすれば逆算して一体何カ月あの工事はかかるんですか。それが一つ。  それから大臣には、そうおっしゃるけれども、一つは、この際いろんな空気も出てきているでしょう。ですから、あなたが直接——これは政務次官を使うこともいいですよ。しかし、あなたが直接出かけて話し合いをするくらいのやはり勇断を持ったらどうですか。そのことによって済みますよ。私はそう思いますがね。その辺の勇気はないですか。
  108. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私も決して勇気がないわけではありません、単独会見をしたがっての経験もありますから。ただ、問題はやっぱりものの動きですから、人の心の動きですから、いきなり会ったからといって聞けるものでもない。そこでやはり友納県知事も、あるいは近く会ってくれるだろうと思います。あるいは山村政務次官も会う。こういういろいろな段階を経て、そうして私が会うということのほうが筋であるばかりじゃなく、問題をこじらせないでいくとか——なかなか冷凍の魚をぱっと解くようなわけにはいかないと思います。何せああいう感情が、お互いにしこりでありますから、そういう意味においては、まあ総裁も一週間ということを言っておりますけれども、それが私自身の気持ちからすれば長く延びることは困るけれども、まあ一両日とか二、三日の間をどうのこうのという問題ではありません。したがって、先ほど四十六年度中と申し上げましたのを目途でありますから、それが一日も欠けてはいかぬというような気持ちではありませんけれども、ただ漫然として国策が延ばされるということは、それは日本民族の将来、何も経済的将来じゃありません、ものの考え方として、そういう日本民族ができ上がったらどうなるだろうか。これは自由主義的な思想を持つとか、社会主義的な思想を持つということじゃありません。そうしてただ一面糊塗していくという、そういう姿が日本人の心理ということになってしまったら、はたして日本人というものは将来ともに精神的に生き延びるだろうか。やっぱりそういうことじゃなく、少なくともけじめはけじめとしてつけていくべきである。しかしながら、もちろんこれは寸秒を争って、ただ最後には段平を振り回すということはやらないにいたしましても、とにかく法治国家であり、そうして法治国家のもとにおける民主主義的なものの扱い方、これは当然必要であります。しかし、それを越えてのんべんだらりとどう向いているかわからない民族ができてしまったら、これもたいへんなことになるのではないだろうか。したがって、一応——一応と申しますか、四十六年度中に供用開始といった目途で努力していきたい、こう考えておるわけであります。
  109. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私から具体的な工事のスケジュールを申し上げますと、現在あの混乱の中でも工事は進行いたしております。現在、ターミナルの建設並びに四千メーター滑走路の舗装がすでに始まっておるわけであります。一日たりとも私どもは現地で工事は休んでおりません。ただ問題になりますのは、先ほどから先生おっしゃるように、代執行対象地、あそこは御承知のように、谷地団のものが入っておりまして、谷地団の傾斜面に洞穴が掘ってある、こういうようなことでありまして、しかも一部分は滑走路並びに誘導路の部分に当たっておる。これは私どものほうの技術の話によりますと、まず盛り土をいたしまして、すっかり地盤が安定した上で整地をいたしまして、さらにその上に相当強固な舗装をしなければならないということでございますので、どんなに急いでも整地から舗装まの期間を約七カ月はほしいということを言っておるわけです。ですから、その七カ月を逆算いたしますと、かりに三月から工事を始めましても九月の末にならなければ滑走路はでき上がらないということでございます。で、現在各工事並びに設備についてはすでにほとんど全部を発注いたしておる段階でございまして、この代執行の問題さらに引き続いてそれ以外の第二次以降の私どもが緊急裁決を要請いたしております十数カ所の一坪運動、その他団結小屋等の用地、これは面積的にはごくわずかでございます。これを雨期までに私どもが入手できれば、大臣が先ほど言明されましたように、四十六年度中の開発は、私どもとしては間違いなくできるというふうな確信を持っております。
  110. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  111. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 外航船舶建造融資利子補級臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 外航船舶の問題と、それからさっきの鈴木さんの質問内容関係があるわけです。どういうふうに関係があるかはこれから申し上げます。  富士急行脱線事故の問題でさっき鈴木さんが質問をされていろいろと御答弁があったのですけれども、その中で、ここに書いてある「関係者」として、「運転士二十八歳、経験〇年七カ月、車掌二十七歳、経験三年」というふうに書いてある。ところが、先ほどの警察庁の人の御答弁の中に、小型トラックの運転手は十九歳の少年というだけで、具体的には、その運転手がどういうふうにして事故を起こしたのか、あるいは運転手の経験年数はどういうものであったかという点については詳細に触れられなかったような気がいたします。それで、よく未成年者の場合は新聞でも、何かやっても犯人が未成年者の場合は、犯人の少年AとかBとか、こういう書き方をしておってはっきりわからないのでありますけれども、いま答弁の中でも、報告の中でもそういうふうな言い方をそのままされておるのです。何でそういうふうにしなければならないのか。国会の調査報告の場合はそんなに——別に名前を聞きたいと思っておるわけじゃないけれども、少年というふうな言い回しをしなくてもいいじゃないか、運転手十九歳でいいじゃないかという気がするのですが、その点はどうなんですか。
  113. 山口廣司

    政府委員山口廣司君) 所管の課長が帰っておりますので便宜私から答弁さしていただきますが、少年法の六十一条に、家庭裁判所の審判に付せられた少年それから少年のときに罪を犯した者につきましては、その者の氏名、年齢等、要するにそれによってその事件の本人であるということを推知せしめるようなことを新聞その他の出版物等に掲載してはならないという条文がございまして、それを受けまして、国家公安委員会規則であります犯罪捜査規範におきましても、二百六条で、少年事件については、新聞その他報道機関に発表する場合においても、氏名、住居等、要するにその者を推知せしめるに足るようなことを発表してはならない、こういう規定がございます。したがいまして、よくよくの例外的な場合、つまり凶悪な罪を犯した、それを早くつかまえないとまた同じような凶悪、残虐な罪を再びやるというようなことのおそれのある場合には、早くつかまえなければならぬということで、ごく例外的に発表することはございますけれども、通常の場合は発表しないということで、今回の場合も、おそらくそういう精神にのっとりまして、またおそらく逃亡するおそれもないというようなことで氏名を発表しなかったんだろうというふうに思います。
  114. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 六十一条は、「その者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」、こういうふうになっております。きょうは、報告を求めたことは、どこで、いつ、どういう事故があって、関係者はどういう者かということまでずっと報告をしてもらっているんだけれども、事故原因の最たるものは小型トラック遮断機突破なんですよね。そうすると、小型トラックを運転していた者が十九歳というなら十九歳でもいいけれども、名前は別に言ってもらわなくてもいいけれども、一体いつ運転免許を取って、経験がどのくらいあって、そのときどういうふうにやっておったのか、何が原因だったのかということがポイントになるような気がするのです。そのポイントになるところを、何か、運転手は十九歳の少年だった——女の子だったら少女というのですか、こういう場合は。そういうことで、さらっとかわされたような感じでよくわからないのですけれども、問題としては、たとえば運転免許を与える年齢がはたして現行どおりでいいのかどうか、こういう問題にもなってくる。それから、当時の状況は、ポイントになる運転手の状況というものがよくわからない。これじゃぐあいが悪いと思う。したがって、少年法の問題は、運輸委員会の問題としては適当でないから、少年法のよしあしについては私は言うつもりはないけれども、報告をする場合には、そういう点は六十一条には別に該当はしないと思うので、もっと正確に、運転手の状況等も関係者として報告をしてほしいということを要望しておきたいと思います。  それから、この富士急の場合、車両の製作会社が日本車輌だったということでありますが、この車両は目方がどのくらいで、寸法がどうであったかといったようなこと、それから、構造上、特に急傾斜地の構造に合わせて特別な設計が行なわれていたのかどうかといったようなこと、そういうことがわかったら御報告をお願いいたします。
  115. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この車両は全金属製二軸ボギー電動客車でございまして、モハでございます。自重は三十二・九トン、定員は百二十人、最大寸法が二万ミリ×二千八百六十五ミリ×四千百ミリメートル。それから軌道面上床高が千百五十ミリ。ボギー中心間隔一万三千六百ミリ。連結装置が日鋼式小型自動密着連結器。それから、その他重要なことといたしましては、電気方式、千五百ボルト、架空線式で、駆動方式がWN平行駆動方式、制御装置がABF−八八−五EDHAであり、それから制御方式が多段式間接制御方式、ブレーキがARD、これは電空併用でございます。先ほど申し上げましたが、電気ブレーキ、空気ブレーキ併用、手用ブレーキというのがおもな仕様でございまして、なお、急勾配用の速度制御装置というものがこの車両には整備をいたしております。
  116. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 こまかな寸法よりも、要するに欠陥車でなかったかどうかということを私は聞いてみたかったわけです。たとえば小型トラックがぶっついただけでブレーキがみんないかれてしまうといったようなことは、急勾配区間を走る電車として万全を期したものとは言いがたいのじゃないかという気がするのです。東北線でも電車がバックしたという事故があった。それから神戸電鉄でも衝突事故があった。こういうことがありましたけれども、これらの事故を起こしたというのは、雪が降ったとか雨が降ったとか、いろいろなことがあったとしても、雪だとか雨だとか風だとかいうのは天然現象なんですから、そういう天然現象があっても一番肝心かなめのブレーキなんかに故障を起こさないようにしておくのが普通じゃないかという気がするわけであります。そういう点で、どこか手抜きがあったとかあるいは欠陥があったとか、そういう点は、監督官庁として見た場合に、遺憾はなかったと言い切れるかどうかということなんです、特に聞きたいのは。
  117. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この車両につきましては、ただいま申し上げましたように急勾配用の速度制御装置がついておりまする電気ブレーキ、空気ブレーキ併用、手用ブレーキというブレーキ装置でございまして、ブレーキ自体といたしましては、従来考えられておりましたブレーキを使っておるわけでございまして、ブレーキとしては欠陥は、私どもはなかったものと考えております。このような事故は今回初めて出たわけでございますが、問題は、自動車が衝撃をした場合に、通常ならば、一両のブレーキがきかなくなれば当然二両目のブレーキで非常ブレーキがかかるということでございまして、その点は列車分離等の場合においても十分に防護ができておるわけでございます。したがって、その意味では、このブレーキは非常に安全なブレーキであったわけでございますが、一番の問題は、同時に一両目二両目のブレーキをその自動車の衝撃によってこわされたという非常な問題がございまして、その点は、一つには将来のブレーキのあり方という問題を今後の技術の問題として考える必要があるという点が一つと、それから、ブレーキのそういう損傷に対する場合に備えましたブレーキの防護の問題という問題につきまして将来私どももっと考えていく必要があるのではないかというふうに考えております。したがいまして、それは、先ほどもお答え申しましたように、ひとり今回のような、空気だめからシリンダーへ至る間が破損したという場合に限らず、ブレーキ構造全般にわたってシステム的にこれを調べまして、将来もっといいブレーキを開発していくということが必要じゃないか、このように考えておるわけでございます。
  118. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この車両をつくったのは日本車輌だということの先ほど報告がありましたね。日本車輌は——たとえば日本車輌の蕨工場なんというのは、左前になって、身売りをするということになってしまった。汽車会社であるとか、要するに車両関係会社が軒並み左前になっておるわけですよ。それで、軒並み左前になっているところでつくらせる車両というのが欠陥車だというふうに即断するわけにまいりませんけれども、そういうふうに財政的に予算的にうんとしぼられてくるということになると、そこで製造される車両も欠陥車が出てきやしないかと、こんなような懸念が出てくるわけですね。  そこで本題の外航船舶の問題ですけれどもね、こっちのほうは、外国の造船事業者に請け負わせて外航船舶を建造する場合にも政府が利子補給契約を結ぶということなんですね。これは大臣にお伺いしたいのですけれども、言うなれば、外国の造船業に対する間接的な援助ということになると思いますね。国内じゃ日本人を運んでいる車両メーカーがつぶれて——まあつぶれていると言うと極端だけれども、つぶれそうになって、そして工場が身売りするという状態になっているときに、外国の造船業者に対してはこうやって利子補給をやって援助するということに、何か割り切れないような気がするわけなんです。そこでまあ富士急事故と外航船舶の利子補給の問題とは関係があるということを私は言ったわけでございます。で、政府の政策として、この船だろうと電車だろうと、乗りものとしては海の上を走るのとおかの上を走るだけの違いです。それを船舶の建造に対して利子補給をするということ自体、別に悪いと言っているわけじゃないけれども、それを幅を広げて外国の造船業者にまでそういう配慮をするというならばですね、国内の国鉄関係あるいは私鉄関係に対しても、もし合理化が安全を犠牲にしたりあるいはサービスを犠牲にするおそれがある場合には、運輸大臣としては同じように考えなきゃならぬ問題じゃないかという気がするのですが、その点はどうでしょうか。
  119. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) ちょっと事務的なことだけをお答えいたしますが、このたびの利子補給法の改正でございますけれども、造船所が利子補給を受けるわけでございませんで、つくる船主さんが開銀からあるいは市中からお金を借りますときに、その場合の金利につきまして、政府が利子補給を、お金を金融機関に出すわけでございます。したがいまして、それをしも建造について造船所に補助するというふうにおっしゃれば、間接的にそうかもしれませんけれども、直接的には金融機関に出すわけです。ただおっしゃったような問題は確かにございますと思います。したがいまして、まず計画造船といいまして開銀の財政融資を出す。それに伴いまして、協調融資を市銀が出す。その場合にどこの造船所でつくるかということにつきまして、開発銀行で融資する場合にはやはりそういう点も調べるのでございます。そういうチェックする点がございます。まあさらに、利子補給をする場合には、これは政府がやる場合でございまして、その場合にも、一体どういう造船契約の内容かということを十分チェックいたしまして、その上でもって利子補給をする。まあ二段がまえのチェックをするのでございますので、いまおっしゃったようなことで、非常にまあ外国の造船所でもって非常に性能の悪いというようなところで船をつくるのだと、それについて開銀の融資をし、かつ利子補給をするのだということであれば、その点は十分調べまして、融資なりあるいはまた利子補給契約を結ばせるという点は、私どもといたしまして、開銀とも十分そこでチェックをいたしたいというふうに考えておりますので、そういうような懸念は、そういったような面からでは私どももチェックいたしますので、あり得ないのではないかというふうに存じておる次第でございます。
  120. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もう一つ大臣に対する質問は、たまたまこの外航船舶の問題について私がまあ聞こうとしたわけですけれども、きょうはその前に事故関係報告があって、鈴木さんからいろいろ質問があった。その中に、ちょっと聞いておりますと、事故を起こした車両は日本車輌のものであった、どうも欠陥車だったんじゃないかという懸念がある。しかし、日本車輌がたまたま左前になったからといって、前につくった車両が欠陥車だというふうに断定はいたしません。断定はしないけれども、車両メーカーなりあるいは民有鉄道あるいは国有鉄道を問わず、たとえば高知交通みたいに、ああいったような企業も出てくるわけですから、要するに国内の交通機関が、バスであろうと鉄道であろうと、交通機関が全般的に非常に苦しくなっているということは否定できない。だから車両メーカーまで左前になっちまうということにもみなこれはつながっていると思う。問題は、交通政策に対して、政府がもう少してこ入れをする必要があるのじゃないかということを、この事故から私は考えるのです。だから直接、欠陥車——日本車輌と、こういうふうに結びつけていいかどうか別としても、大きな目で見た場合には、この交通政策に対して、もう少し政府としても考えてみる必要があるじゃないかということを、これは大臣に聞きたかったわけです。その点はどうですか。
  121. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ瀬谷さんは、利子補給については十分おわかりである、ただそれを一つの足がかりとしてそちらのほうの御質問になったのだろうと私も理解しておりましたが、ただ、お話のように、まあこれとこれとは全然別個の問題でありますから、こうやったからこちらはこうということにはそのままには援用できませんけれども、それとは別個に交通体系といいますか、最近における交通事情が非常な変化を遂げてきた、いわゆる絶対的なそれぞれの交通機関の持つ量もだんだんふえてまいりますけれども、それよりは異常に通勤時におけるいわゆる旅客の輸送の増大、それがためにはふだんはそれほど必要でない車も、通勤、通学に対処するための車を用意せざるを得ない、もちろんこれはそれに対する人件費も用意せざるを得ない、こういうところが全体としての交通経済を悪くしておる、こういうことになっておると思います。これは社会情勢の変化でありますからして、私は、新しい政策としては、いま瀬谷さんがおっしゃったように、これはやはり従来の考え方を変えていくべきであろう、単なる独立採算制と、こういうことを極端に押しつける一これは国鉄に限らず、私鉄も同様です。私鉄にいたしましても、今日までは付帯事業等によってある程度の利益を得、それをマイナス面の鉄道事業に回しておったのですが、これも大体限度にきておる。そうならば、やはり交通線としての国鉄あるいは地方鉄道あるいはバス等についても、国の全体的な要請あるいは地域住民の要請の上から、やはり抜本的な考え方をいたしませんと、これはなかなか救われない状態である。こういうことからして、まあ国鉄に関しては本年の、四十六年の予算では、従来の利子補給といいますか、助成金の——形式は助成金でありますが、いわゆる六分五厘から五分五厘に引き下げた。私はもちろんこれでいいとは思っておりません。もっと積極的にしなければならぬと思っております。同時にまた地方鉄道につきましても、あるいはバス等につきましても、ものの考え方が、たとえばこれは交付税の点から考えましても、道路や何かが交付税の配分の積算根拠になっておりますが、どうして地方鉄道やバスをその配分の基礎に入れることができないだろうか、これも私は考えていかなくちゃならぬと思います。下水道あるいは上水道あるいは道路等について、配分の要素になるにかかわらず、その地方住民に密着しておる地方交通事業というものがその対象にならない、これを検討すべき時期に入ってきておるのではないだろうか。また国としても、総合交通体系というものを考えていく以上は、国鉄のもちろんあるべき地位というものをきめると同時に、そうした地方交通のあり方、地方交通の存続確保、これに対してやはり国自身も考えていく。そのためには、そうした関係の経済事情も考える、こうした時期に急速に突入してきた、こう考えますので、御趣旨のほどは十分に私も理解します。ただ私、非力にしてこれが直ちに実現できない現状にあることは、まことに残念と思いますが、おっしゃるような方針のもとに、今後ともいわゆる交通機関に対する国及び地方団体の助成、同時に、これが地域住民の足の確保、こういう点から——及び車の安全性に関する措置をももちろん考えていかなければなりませんが、ただ車両等につきましては、これは、その購入するものが適正価格で買っているという前提であれば、直ちにその車両メーカーに対して云々という問題はなくなるとは思いますけれども、いずれにせよ、その買うべき本体が最近では弱ってきておる、これをいかにすべきか、これが非常に重要な問題であろうと考えております。
  122. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 このOECDの造船作業部会の話し合いというのが今回の外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の改正の一つの根拠になっているように受け取れるわけですけれども、これはやはりOECDに対する日本の立場からすれば、こういうふうに改正をしないというと都合が悪いということになるかどうか。それとも、これは別にOECDとは関係なしに、国内だけではなくて、外国の造船についても同じようにするのがたてまえであるという考え方に立つものか、その考え方のよりどころは一体どちらなのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  123. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) ただいま先生から二つの点についてお話がございましたけれども、立場、よりどころはちょうど申されました二つのことそのものでございまして、OECDの場におきまして、世界の造船界の安定ある、また秩序ある発展を願いまして確保するために、輸出船の信用条件の統一化ということをやり、引き続いて諸国の造船界が門戸を開くということが議論されてきたわけでございます。これらの国際情勢の中で、世界一のシェアを持ちますわが国の造船界が国際的協調のもとに進歩していくということは望ましいことであり、また期待されておるところでございます。これら二点のことから言いまして、OEDCからも期待がされておる、また、世界一の造船国といたしまして国際協調をやっていく必要がある、また、これをやっていきながらわが国の造船界の発展が期待されるという二点でございまして、先生のおっしゃいました二つの点がそれぞれ主題でございます。
  124. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 実際問題として、外国の造船所に請け負わせて外航船舶を建造するというような実績はどのくらい今日あるのか。また、外国にまで持っていかなければならないような日本の造船業の状況なのかどうか。その点はどうなのか、ちょっとお伺いしたいと思いますが。
  125. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 従来、計画造船におきまして外国にやられたことはもちろんございませんが、この利子補給法というような規制のございません自己資金船につきましても、外国におきまして建造された実績はございません。また、将来も、特別の例外の事態が起こらない限り、そのようなことは——現在の情勢がこの状態で推移いたしますれば、そのようなことは考えられないのではないかと私どもは考えております。
  126. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃ、一応、きょうのところは、この問題についての質問を留保しておきたいと思いますが、一つ、先ほどの問題と関連があるんですけれども、踏切事故ですね、これの国鉄私鉄を問わず、去年なら去年、一年間の踏切事故の件数がどれくらいあって、それによる死傷者がどれくらい出ておるのかといったようなことの資料を次回までに提出をしていだきたい。それに基づいてまたいろいろと御質問したいということもあります。それから、この外航船舶関係については、またあらためて質問したいと思います。きょうのところは、私の質問は、この辺でとめておきたいと思います。
  127. 山田勇

    ○山田勇君 関連。  先ほどから瀬谷委員鈴木委員富士急行電鉄のいわゆるブレーキの故障等についていろいろ聞いておられますが、私ずっと質問を聞いておりまして、先日、アメリカへ行ってまいりましたときに、乗りものに興味があるものですから、サンフランシスコのケーブルカーですが、あの有名な、チンチン電車というのですが、その電車に一時間ばかり、終点から終点乗ってまいりました。あれはかなり勾配があると思うのですが、その九十度ほどの勾配——ないところでございます、その中で手動ブレーキだけで電車をとめているわけです。これは車両は一両ですが、それはたいへん力の要る仕事のように見受けました。相当大きく、こういうようなものを引っぱってとめるのです。とまり方そのものはエアブレーキとか電気回路のブレーキと違ってスムーズにはとまりませんが、確実にとまるそうです。そうして、交通局へ行って聞いてみますと、ブレーキの故障で電車事故を起こしたことは一度もない。相当古い歴史を持つサンフランシスコのああいう有名な電車ですが、鉄監局長言われるように、これから技術の改良ということを今後ともやるんだと、また、そういう技術の粋を集めて研究の課題とするのだということを先ほどから言われておりますが、私も、それがどういう形で電車がいまとまっているのか、ブレーキが制動しているのか、サンフランシスコの電車ブレーキ構造は知りませんが、それを一度ちょっと調べていただいて一これから山間地の開発なんかで相当急勾配を走る電車も出てくると思います。大阪でも高野線なんて南海電鉄が走っております。そういう点、何かもう惰力がついて五十キロから四十キロになると電車がとまらない手動ブレーキなんて実際役に立たないということになります。確実にとまるということ、せめて急勾配を走る電車だけにでもそういうものを取り入れて、完全に手によってとまる、相当労力を要するようでございますが、外人のことですからかなり大きな人間ががちゃんがちゃんとやっておりますが、そういうものを若干取り入れられまして、またそういうものが実際に技術導入は可能なのか、その点をよく調査していただいて、これからの電車の改良、また、そういうものが必要であれば義務設置をしていただくように特にお願いしておきたいと思います。
  128. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 十分勉強いたしまして善処したいと思います。
  129. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 私は外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、いささかお尋ねしたいと存じます。  まず第一に、OECDにおいて——経済協力開発機構で一九六九年ですか、条件の統一の話し合いができたということでございます。一九七〇年にこれが改定せられた、その改定に基づいて今回の立法措置が必要であるということのように承知をいたしますが、ただいまその理由については政府当局説明もあり、また、大臣法律案提案理由の説明にも明らかになっております。ただ、この改正せられた部分に対する第二項でございますね、いわゆる自国の船主が自国の造船業者に発注する場合のみ助成を与えるという制限を撤廃すると、こういうことでありますが、この条文はどういうことになっておりますか、一ぺんお伺いしたい。
  130. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 条文は、この前お配りいたしました資料にあると思いますけれども……。
  131. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 英語でなくてもいいですから。
  132. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 条約の内容でございましょうか。
  133. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうです。
  134. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 了解の成立いたしました理事会におきまして、その理事会の議事録といたしまして次のようなことが申し述べられております。「参加国政府ができる限り早くおそくとも一九七一年十二月三十一日までに船主の国内発注誘因が一九七〇年十二月三十一日現在より強くならないような状態に到達するよう努力することを記録する。」。
  135. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 その意味が、利子補給を外国造船業者に発注をした場合も同様に認めればいいということになりますか。
  136. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) この決議、私ども日本側といたしましては、国内船主が国外の造船所に発注いたしました場合に、利子補給法によりまして、従来の計画造船におきまして利子の補給がなされておますものができないというようなことを、国会の御了解が得られればこれを改正するというふうに了解いたしておるわけでございます。
  137. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そこですよね、この意味はおそらく、その各国の造船に対するこの条件というものを同一にして、そうして自由競争の立場において造船業界の安寧というか、平和を保とうということであると思うのですね。そうすれば、そういう利子補給というようなもの、それ自身をやめるということじゃないですか。
  138. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) このことは、OECDのこのことの議論の前段に、国内船に対します助成と輸出船に対します助成の格差を今後減らしていくという議論がございまして、まさに先生がおっしゃいましたようなその議論は根底にあるわけでございますが、これを、利子補給法の趣旨にのっとりまして今後まだ国内船主に対します助成が必要であるということで、私どもといたしましては、利子補給法の改正によってこのことが達成できる。あるいは前段の議論は海運対策上の問題であるので、造船作業部会といたしましては、造船所の関連する部分、造船所の受注に関連する部分、こういう部分の制限を撤廃するというふうなことでよろしかろうという討議をいたしまして、以上のような了解に、決議に達したわけでございます。
  139. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それはわが国の政府がそう考えておるのですか。
  140. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 全体的な、OECDにおきます海軍を主といたします造船国、そういう国からの強い要望がございまして、私どもはそういうふうな努力をいたしますという決意をいたしたわけでございます。
  141. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それならばおかしいんじゃないの。つまり同一条件、イコール・オポチュニティというか、そういう方向に持っていって世界の造船業界の平和を維持しようという意味ならば、国内について国内船と国外船という条件の相違はもちろん何も関係ない。国内船の利子補給をやるのはその国自体のかってにやれることなんであって、ただ国外船に対してそういうことをやること自身は、そういうことによってやらないという、このほかのものにやらないというとやらない国があるから、やるほうの日本の造船業が非常に繁栄の上にも繁栄をしていくというようなことになるから、それはやめろというのじゃないですかね。そういうことになれば、私は、もちろんいまの利子補給を全部やめてしまえばこれは一番いいと思うのですが、これはわれわれのいままでのいきさつから考えても、また今後の新造船建設計画、そういうようなものから考えても、いまの船主いわゆる船舶業界においてそういう時期にはまだ至っていないと思います。これ、あともう一つ船舶局長にお伺いいたしますけれども、こちらの問題として、OECDが考えることは、そういう利子補給をやめろという意味なのか、あるいは、やるならば各国にも利子補給をするということにしろという意味かですね。この法案で取り上げられておることは、これはOECDは認められるのか、あなた方の努力だけでこれから押し切っていこうと、ある程度はほおかぶりでいこうということであるのか、そこをお聞きしたい。
  142. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) このことによりまして各国もわが国の処置に同意をいたしましたので、これで押し切ろうということではありませんで、合意がなされておるわけでございます。  なお、外国の造船所がわが国の計画造船を受注いたしましたときに、その発注いたしました船主あるいは金融機関に利子補給をするということでございまして、ただいま先生のおっしゃいました海運界の問題ではございません。
  143. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それではお伺いいたしますが、ともかくも利子補給自身はやめられないだろうと思います。私もそう思う、わが国におきましてはね。ことに最近の海運界、特に外国船舶の建造計画というものがああいうぐあいに政府が大きい方針として打ち出されて、これに努力されておるということであれば、その建造費について利子補給をするということはまだ当分やめられないのじゃないかと私は思います。ところで、この利子補給自身の必要性について、海運局長、まだ必要なのか必要でないのか、それを簡単にひとつ御説明願いたい。
  144. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 利子補給の必要性につきましては先ほど大臣がお触れになりましたのですけれども、先般、海運造船合理化審議会という大臣の諮問機関がございますけれども、そこで、いままでの——四十四年度から四十九年度までの六カ年間に二千五十万トンをつくるといういままでの計画を、その審議会でいま一度見直していただいたのでございます。それで、その結果、要するに新しい経済五カ年計画の改定がございましたので、それに見合うべく、二千五十万トンの建造を二千八百万トンに今度ふやしたのでございます。その際に、いままでの利子補給につきまして多少の後退をいたした。たとえば、いままでの利子補給で申しますと、まあ定期船、一般船に分けまして、いわゆる一般船につきましては、四十八年度と四十九年度におきましては、開銀に対しまする利子補給はもうやらない、もうゼロにする。いままでの例でいきますと一%でございますけれども、一分でございますけれども、今回新しい計画ではゼロにする。それから市銀に対しましても二分二厘というのを二厘落としまして、二分というふうにいたしまして、利子補給の助成を後退させましたのですが、これは最近の市況によりましてかなり収益が上がってきたのでございますけれども、まあ一般的に申しまして再建整備も終わりまして、非常に海運企業それ自身も力がついてまいりました。したがいまして、そういままでどおり国民の税金を使うわけにいくまいということで、多少の後退をいたしたのでございますけれども、しかし片や一方、そういったような大量建造いたしますので、やはり国の輸入物資輸出物資の安定輸送という面から船会社の私企業だけでは負い切れないという点もございますので、多少の利子補給は残す、助成は残すという趣旨でそういう案ができたのでございます。したがいまして、多少減りますけれども、やはりこれからはいま言ったように大量の船をつくること、これは安定輸送に資するんだということが一つと、それからいま一つは、新しいコンテナ輸送というのが実は出てまいりまして、非常に熾烈な国際競争をやっておりますので、非常に船自身あるいはコンテナピア等特別な港湾設備等が、御承知のように非常にお金がかかりますので、これをいま太平洋航路がやっておりますけれども、近い将来には欧州航路あるいはニューヨーク航路も全部コンテナ化するということをここ二、三年来やらなければいかぬということがございますので、そういった面からも非常な負担がかかります。それからいま一つは、やはり諸物価の高騰で、たとえば修繕費とかあるいは保険料とか、あるいは燃料代とか、そういうものが毎年上がっておりますというようなことでございますので、やはり当分の間は、後退はしましたけれども、国の助成は必要だというふうにわれわれは判断しております。
  145. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 利子補給をいまの段階においてやめるわけにいかないということは私もよく理解できます。ところで、いま利子補給を受けておる船主の数、それから大体、利子補給をやっておるいまの総額、ここ二、三年のがわかりませんか。それをひとつ。
  146. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) いま利子補給を受けています会社が総数で申しますと約四十三社ございます。それでそのうち、これは一番大きい会社は例の日本郵船以下六社がございまして、これはかつて十二社あったものを六社に集約したのでございます。三井大阪商船、川崎汽船など中核六社ございます。それに系列がずとなっておりまして、系列会社が二十三社、それから専属して船を貸すという会社が十四社、現在四十三社が利子補給を受けておるわけでございます。もちろん一番大きゅうございますのは中核六社、六社が大部分を占めておりまして、中核六社が一番たくさんの利子補給を受けておる。これは一番その会社が船をつくっておるという趣旨でございます。  それから利子補給の実績でございますけれども、四十五年度では、これはまだ終わっておりませんので見込みでございますけれども、総額が百四十一億でございます。それから四十四年度の補給の実績が百三十億、四十三年度は百八億、四十二年度は八十四億ということでございまして、四十三年度から百億台にのぼったということでございます。これは建造量が四十三年度から大幅にふえましたので百億台の利子補給ということに相なっております。なお、四十六年度につきましても百五十億程度の予算を見込んでおる次第でございます。
  147. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 したがって、この建造費に、いまのような状況で大体比例しておるわけでございますね、建造費の総額といまの利子補給の総額は。
  148. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) さようでございます。
  149. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 大体そうだと思いますが、ところで、先ほどお話しのように、最近船舶業界におきましても、各船会社というものが非常に景気が好転しておるということで、まことにそれはけっこうなことですが、前にたな上げなんかをやりましたね、過去において。そのたな上げの始末はどうなっておるか、それをひとつ簡単に説明していただきたいと思います。
  150. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) この前いわゆる再建整備、昭和三十九年から始まりまして、五カ年間でございますね、その間に、要するに開銀と市銀の利子が払えないということでございまして、その支払い猶予の制度をとったわけでございます。そのときの額が全部で三百五十億ですね、三百五十億円ばかり猶予をしたわけでございます。それでその内訳は、三百億が開銀の利子でございまして、残りの五十億が協調融資の市銀に対する利子、この分を猶予した。それでこれは、その後再建整備が進みました結果、この四十四年度から返還に入ったわけでございます。つまり再建整備の期間の終わった四十三年、次の年から、はや支払い猶予の利子の支払いに入ったわけでございます。これは実は法律できまっておりまして、十五年間にその分を返すということになっております。それで五カ年ごとに、最初の五カ年は十分の二、次の五カ年は十分の三、残りが十分の五ということで三段階に分けまして十五年間で返す。返した実績は、四十四年度、これは下期でございますけれども、開銀と市中合わせまして四十四年の九月期が十三億でございます。それから四十五年三月期が、開銀が七億六千万、それから市銀が一億八千万返しております。したがいまして、四十四年度と四十五年の三月合わせまして、開銀が七億八千五百万、市銀が十二億ばかり返しておるわけでございます。それからさらに昨年の九月期に、開銀に対しましては五億、それから市銀に対しましては一億ばかり返しております。それで、この三月期の決算で開銀に七億ばかり返すつもりで現在やっておるわけでございます。いずれにいたしましても順次返しておるという趣旨でございます。
  151. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それで、かように利子を入れて、十五年間の支払いでしたね、そういうことになりますと、ずっと残っておるわけなんですが、この船舶業界の景気が非常にいわゆる業績が上がってきて、配当もずいぶんしておる船会社がふえてきたと思うんですが、そういうことになれば、十五年間——あれは十五年間やはり待つことになっておるんですか、調子のいいところはすぐ払うことになったと私は記憶しているんですが、それはどうですか。それと配当をもうすでに船会社で、四十三社のうちでやっているのが何ぼか、また無配のものがどういうことになっているのか、そこがわかればそれも聞かしていただきたい。
  152. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) これは開銀の分につきましては、いまのような方法で払うというとこでございますが、市銀の分につきましては五年間で返すというふうになっております。したがって、それまでにどんどん返したらいいかどうかという問題はあるんですけれども、これは一応そういうたてまえでございますが、それまでに返すものがあれば非常にけっこうでございまして、それはこだわらないわけでございます。  それから配当の趣旨でございますけれども、現在、中核六社は一社を除きまして、五社とも八分配当を実はやっております。それで時期でございますけれども、日本郵船が一番早くて、四十四年度に六分の配当をすでにやっております。四十四年の九月期に八分配当に上げまして、増配いたしまして、それから、ほかの、大阪商船三井船舶、川崎汽船、ジャパンライン、山下新日本、この四社は四十四年の九月期から八分配当を復配しております。それから昭和海運の一社だけが、四十四年九月でございますけれども、六分配当で現在やっております。八分になっておりません。それから系列会社の二十三社でございますけれども、そのうち配当している会社は、約十社が配当をしております。ほかは無配でございます。中核会社は全部配当している、ただし一割には至らぬというわけでございます。
  153. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 大体さようなことになって、これはいまの法律によって定められた十五年間とか、五年間ということに、配当までできておっても、これはまあ年次割りで払っていくというようなことになっておるようでありまするが、これはしかし一方、船舶新造計画というものが追っかけ追っかけきておる、あるいはまた港湾等における港湾整備、特にコンテナヤードというような、いろいろな重い問題が出てくる、造船主のほうにかかってくるであろうから私はやむを得ないものであるかと思うわけですが、今回のいわゆるOECD——経済協力開発機構できめられたこの問題で、それを受け取って、わが国が外国造船業者に対しても内国と同様、利子補給を認める、言いかえれば国民の税金をそちらに補給をすると、やっぱりそういう結果になると思うのですが、ただこれによって一体造船業自身としてはどういうことになりますか、非常によくなるんですか悪くなるんですか、その点をお伺いいたします。
  154. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 先ほども申し上げましたように、現在わが国の造船業は、昭和三十一年以来世界最大の建造量を確保するようになりまして、以来ずっと続けております。最近特に世界の五〇%の建造量をなすようになってきておりますので、OECDこういうふうな議論がなされるというような国際環境の中におきまして、さらにわが国の造船業が一そうの発展をしていきますには、国際協調という面も相当に考える必要があろうかというふうに考えます。それらの点からいいまして、このようなことがなされるということは非常に望ましいことではないかと考えるわけでございます。また一方、このようなことがなされて、現在の欧州の造船界はわが国の造船界よりもさらに長い、多い受注量を持っておりまして、大体わが国は二年、欧州主要造船国は大体四年近い受注量を持っておりますので、当分こういう傾向が続きますれば、ごく例外的なことが起こらない以上、実際の、こういうことが適用されるという事態は起こらないかと考えます。また、最近欧州の造船界におきましては、労働事情あるいは関連工業の十分な発展がないというような状態で、さらにわが国の造船業の発展よりも顕著な発展をなされるというような見通しも立っておりません。以上です。
  155. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ちょっといまあなたのお話によりますというと、受注量から考えれば、日本よりもよけい持っておるというようなことであるならば、日本をそう歯牙にかけてやかましく言うことはないはずなんですがね。日本が世界の造船量の五〇%以上も占めるというからこそ、日本も控えてくれという意味において、いわゆる条件を、助成を撤廃しろと、こう言われたんじゃないかと思うのですがね。それに、この保護を撤廃するのではなくて、外国造船業に対して、わが国の船舶を発注する際に、やはり利子の補給も認めるということでは、どうも答案になっておらぬような気がするのだが、どうもそこがわからないのですがね。
  156. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 本来のOECDの造船部会の基本の思想は、正常な造船業の受注におきます競争を曲げるということの要因を逐次減らしていくということでございます。そこで、わが国の国内船、計画造船に対します助成におきまして国外の造船所でなされるということを排除しておるということは、この正常な外国の造船所とわが国の造船所とが、受注の競争をいたしますときに、正常な競争条件ではないのではないかというようなことかと考えられます。
  157. 大和与一

    ○大和与一君 ひとつ関連ですがね。OECDがカンパニア組織だから命令権はない。したがって、いわゆる外交慣例上の条約を上回るような強さはない。それを今度それぞれの国からいうと、自主性を持っておるわけだから、そうすると、その国がもちろん協力してまとめていく努力はするが、その国の自国内の産業なり、関係業界がよくならぬというようなことがあり得た場合には、これについては、権能は、それぞれの国が確保しているのだ、だから心配ない、こういうことが言えるとすれば、その心配のない根拠は、条約ではこうだ、規定ではこうだ、国際的な申し合わせではこうだ、それをいつどこでこういうふうにきめてある、こういうふうに返答すれば、大体わかるのだが、大体どうですか。あまり詳しく言わぬでいいから。大体でいいんです。
  158. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) このタイミングをはずす、これにつきましては、OECDにおいて大勢の意見の一致が見られ、日本代表も、これにつきまして法改正の意向を表明して、了解をいたしたわけであります。そこで、業界で、御承知のとおり了解のことが議事録に載りまして、一応の決定がされたわけでございますので、道義的には、私どももこれに従うような努力をするという必要があろうかと考えております。
  159. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 その外国造船業者に対してわが国の外航船を発注するということになるならば、向こうとしてもよくなるわけですが、だから、それを、その制限をその意味において解除するというのが、本法案の主目的であろうと思うわけでありますが、しからば、これによって少なくともわが国の造船業者にわが国の船主が注文しておった、また、今後注文すべきであろうところのものを外国造船業者に頼むという可能性はどう見ておるんですか。言いかえれば、この法案の影響はどうなるかということをひとつはっきり答えてください。
  160. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 本法案の影響いたしますところは計画造船でございますが、具体的に申し上げますと、従来から自己資金でやります自己資金船という助成等の行なわれない船、しかも、こういう制限のついていない船、こういうものが、従来から、毎年約百数十万トンつくられてきておりますが、これらのものにつきましても、わが国の造船コストと西欧諸国との造船コストの差、あるいは納期、あるいは性能、あるいは今後の修繕に対します配慮、そういうことからしまして、全く発注がなされたことがございません。そういうような状態からいたしまして、現在のわが国の造船業の勢力といいますか、状態が続き、また、西欧の造船界の状態も同じような推移をしていくというふうなことでございますれば、ほとんど影響はなかろうかというふうに考えております。
  161. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そこでお伺いするんだが、これに造船発注がなかろうと、こういうぐあいに非常に楽観しておるわけなんですがね。で、実際にいまの建造費はトン当たりおもだったところだけ、どうですか。それから、わが国と比較してどうですか。
  162. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 本日、資料を持っておりませんけれども、大体コストの差は二〇%前後というふうに理解しております。
  163. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 二〇%前後と。それはどうなのですか。
  164. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) わが国のほうが安いわけでございます。
  165. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それならば、向こうが高いということになれば、出ないという楽観をしてもいいと思うんですが、わが国も、なかなかこれでもってインフレ関係に進んでおるし、こう法律まできめてやろうというのに対して、あんまり簡単な見通しではいかぬと思います。ところで、これが出ますと、いままではまあ建造計画というものがありまして、しかも政府がちゃんときめてやるというのですから、これは、それで一つの歯どめにはなっておると思いますけれども、向こうのほうが安くなるというようなことになってきた場合には、非常に困ると思うんですね。いまかりに——いまないと言うからそう言うのですが、かりに外国造船業に注文した場合に、そして、船を今度はこちらへ持って帰るというか、これはやっぱり輸入か何かになるのですか、そういうことになるのでしょうね、もの自身は、船主としては。そうすると、関税と、それから普通の税制面からの得がいくとかいうようなことはないのですか。たとえば、船籍をほかのところへ持っていけば、ノルウェーへ持っていけばどうだとか、非常な得なことがありますね。そういう点は、この建造について、これに関してはありませんか。
  166. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 外国の造船所でつくりまして、わが国に持って帰るということになりますと、輸入になります。が、輸入につきまして、昭和四十四年四月一日に、一万総トン以上の船舶の輸入関税を撤廃いたしておりますので、関税上の制約といいますか、デメリットというものはなくなっております。ですから、この点で、外国に注文するということを押えるといいますか、制約を加えるというような働きはございません。
  167. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうすれば、いまの歯どめの一つとして、逆に、あまり向こうにたくさん注文が、かりに、いくようになったとして、そういう場合には、関税をかければいいわけだな、日本が。輸入関税をかければ、もう注文せぬようになりますわね。それはできるんですね。
  168. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 日本の造船界の最近の目ざましい発展ということから、関税の撤廃も、国際協調という観点からの自由化の一環として今日まで進んできたわけでございますので、こういう状況が特段の変化を起こしたというときには、そのときの状況によりまして、また考えるということになろうかと存じます。
  169. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 船舶局長にお伺いいたしますが、コンテナ船のいまの計画ですね。それから、これに対する建造というようなものも、外国造船業及び日本造船業とあまり変わりはないのかどうか、その点と、一つは、今後のコンテナ船の開発の見込みですね、それはどういうことになっておるんでしょうか。
  170. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 現在、わが国で計画されておりますコンテナ船につきましては、トップ・スピードが大体二十八ノット見当の状況でございますが、海運航路の差から、米海運会社がドイツに三十ノットのコンテナ船を発注して実施されたような状態にあります。この現状からいいますと、スピードにおきましては、海外の造船所のほうが先がけて、速い、スピードの高い船に手をつけたという現状ではないかと現在は判断しておりますが、わが国といたしましても、今後のコンテナ船の発展等を促進していくということで、積極的に造船界、また私どもも努力しておるわけでございますが、昨年、私どもの大臣の諮問機関である運輸技術審議会に三十五ノットといいますか、超高速のコンテナ船の開発上の問題点というものを審議いただいておりまして、現在、相当この審議が進みまして、技術的には、十分な試作をすれば、可能であるという見通しが立っておる次第でございます。
  171. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうするというと、いま超スピードを必要とする今後の外航船舶の関係から考えても、わが国の造船業は決してひけをとらない、スピードの点においても、外国がやれるようなことは、わが国においてもやれるだけの技術員、また施設等ができるという確信をお持ちになっておるわけですか。
  172. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 持っております。
  173. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それじゃ、もう一つ飛躍しまして、今後のいわゆる原子力船ですね、特にいろいろな鉄鉱石を運ぶとか、油もそうかもしれないが、鉄鉱石等の輸送については、原子力潜水艦の形をとってやれば非常に、四十ノットぐらい出るというようなことを聞いたんですが、何か世界にはもう五、六ぱいできておるんじゃないでしょうか。そういうことについて、こういうものが非常に鉱石その他の輸送に開発されるようになってきますと、これはみな外国に頼まないかぬということになるんだろうと思うんですが、その点の見解はどうなんでしょう。
  174. 田坂鋭一

    政府委員(田坂鋭一君) 船舶の抵抗の主要なものは、船舶が走りますときの水と船体との摩擦と、それから船舶が走りますときに波を起こしますための抵抗と、こういうものが主体でございまして、ただいま先生からお話がありました、もぐって走るということになりますと、波を起こしませんので、その点におきまして非常に有利性がございます。そこで、原子力機関は酸素の補給を必要といたしませんので、潜水しまして走るということには非常に適しておるわけでございますので、将来そういう方向に進めば非常に有利な面があらわれてくると考えておりますが、現在の段階では、原子炉の安全性、信頼性、こういうものに対します十分なる資料がまだ得られておらないということ、また、これらの遮蔽の問題、付帯します機器の問題、それから自由に各国の港に入り得る状態にまだなっておらないというような状態、こういうような事態と、あわせまして、船価、建造費が従来の一般用の機関を使いました船舶に比べましたらいまだ相当に高いというような現状で、目の前にそういう時代が近づいておるということではなかろうと、まだこれから開発の努力を進めていかなければならないというふうな現状かと私どもは理解いたしまして、舶用原子炉の開発等に現在努力をいたしておる次第でございます。
  175. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 本法案自体は、まあ一種の国際協定というような意味で、OECDの開発機構がいわゆる造船に関する平和協定ともいうべきこういうものを取り上げておるわけですから、むげにわが国がこれを退けるわけにもいかないであろうという政府の考慮も十分に理解できます。ただ、これによってわが国が現実に、造船業にいたしましてもあるいはまた船主の側にいたしましても非常に不利益をこうむるというようなことにならないよう、政府は十分の配慮をせられて対処せられることが必要であろうと思うわけです。  私は、この辺できょうは質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  176. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑は、この程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十四分散会