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国務大臣(
橋本登美三郎君) まあ交通
関係に携わるものとしては、
人命尊重ということは最も重大な問題でありますので、私をはじめ
関係事務当局も全力を尽くしておることはひとつ御理解を願いたいのであります。
ただ、どうも私こういうふうに思うんです。実は先ほど
鈴木さんが
踏切の場合、何かもう少し障害といいますか、スピードの出ないような
措置、私もあの
事故が起きましてから、しろうとなりにいろいろと心配をし考えて、そうして第四のいわゆるまあ
ブレーキというものを技術的に開発する道はないかということを
関係者に指示をいたしております。それ以外にいわゆる技術開発といいますか、技術にたよるということだけじゃなく、他の
——もっとも技術開発だいぶ遠いんですけれども、プリミティブなあるいは政策かもしれぬが、そういう面でも考える必要がありはしないかということを考えておったんですが、ちょうど幸い
鈴木さんからして、ああいう
踏切が盛んになっているのなら、ちょっとしたまくら木のような障害物があったら、
サイドブレーキをかけなくても、あるいは走り出しはしなかったんじゃないか、私はこういうことをちょっと考えたのです。これは私はどうもやってみたらいいんじゃないかという気がします。全国どれくらいあるか知りませんけれども、
踏切をどうせ横断するときにはスピードが出ておらないのですから、多少一センチぐらいの高さのコンクリートの棒があっても、そうそれはじゃまにはならない。そういう意味で私も考えておりまして、私は技術屋でもありませんし、あまりしろうとが技術屋さんに口を出しますときらわれますので控えておったのですが、ちょうど
鈴木さんからお話がありましたから、この点は真剣にひとつ考えてもらいたい。ある
程度の坂のときには、
踏切のそういうところには、そういう
措置を講じたらどうだろうか。
もう
一つ、私は先ほど来
事務当局あるいは技術屋の
説明を前から聞いておりましたが、大体四十キロもしくは五十キロといいますか、四十五キロの速度でいった場合に、あの
程度のカーブであるとすればまあ心配はないのだ、こういう
説明で、あるいは技術的にはそうだろうと思います。ただ、今度のように三つの
ブレーキが
一つもきかなくなったというような珍しい事態でありますけれども、しかしそういうことが起こったのですから、技術屋さんのほうから見るというと、とにかく第一段、第二段、第三段という
ブレーキの制動があるのだから、それ以上のことは考えなくてもよろしいという頭があるかもしれません。これは
鈴木さんも技術屋さんの一人ですから、ややもすればおちいる弊害でもあるわけです。私はしろうとでありますし、
皆さんも大体はしろうとなんですが、そこで、こういう場合にもっと
運行規程といいますか、その中で、この
程度の傾斜の場合においては、その速度を非常に極端に制限して
運行しろ、こういう規程があったらどうなるだろうか。あすこでは何十キロで走っておりましたか、おそらく急行ですから三十キロとか、何十キロとかあったと思います、
踏切を通ったとき。あれが傾度がいわゆる千分の三十とか、千分の四十というような場合には、これを十五キロとか二十キロに制限して走っていった場合には、あの
事故が起きた場合にはどういう速度が出ていたんだろうか。この間の
富士急の場合においてはおそらく百キロ近いものが出たんじゃないか、最終的には。そこで
脱線したんだろう。あれが三十キロとか、四十キロという速さで行ったから、そういうような
ブレーキがきかなくなってああいう
事故になったが、もし二十キロ以下で押えておったらこれはどうなったろう。これはわれわれのようなしろうとが考えることで、いわゆる技術屋さんはそういうことをお考えにならぬかもしれませんが、そういうことを含めて科学技術の開発は、もちろんこれは尊重しなければなりませんが、同時にもっとその以前の問題、扱いの問題といいますか、そういうこともあわせて検討をする、こういうことによって
事故を少なくしていきたい。いま
鉄監局長が申し上げた将来の見通しとしては一切がっさいを立体交差にするということは、これは前提であります。しかしこれは五年、十年でできる問題じゃない。しかし
事故はあしたをもっていないのでありますから、三十年、五十年先のことを当てにしておったのじゃしかたがない。もちろんこれは進めなくちゃいけませんけれども、一方にはそういうような対策をあわせて考えていくべきであろう。かように考えて
人命尊重、安全運転、こういう面でもって全力を尽くしたい、かように考えております。