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政府委員(野村一彦君) お答えいたします。
宅地開発等の増進に伴いまして、東京
周辺のいわゆる団地と称する集団居住区が次々に造成されておりますが、その中でいわゆる
自主運行——マイクロバス等によります
自主運行というものがときおり行なわれておったわけでございますが、その中で一番長期的に行なっておりますのは、この鶴川地区でございます。
鶴川地区の
自主運行が起こりましたのは、直接の動機といたしましては、昨年の七月でございましたか、いわゆる団地住民の深夜の足を確保するという要望が前からあったわけでございます。そこで、東京陸運局といたしましては、
現地の、現在バスを運行しております神奈川中央その他の
関係の会社に話をしまして、結局、神奈川中央がその深夜バスの運行をやろうという計画をしておったわけでございますが、これが、深夜になりますと、特に片道輸送であって、駅から団地まで行ききりで、帰りの輸送がないということ、それからバス運行従業員等の夜間割り増し手当あるいは宿泊施設ということにコストがかかりますために、特別料金の深夜バスというものを実施したわけでございます。このときに、
現地の住民の方の
相当の方が深夜バス
反対ということで、マイクロバスによる
自主運行をされたわけであります。そこで、東京陸運局といたしましては、
現地の住民の代表の方と
話し合いをいたしました結果、そこに双方から歩み寄りが行なわれまして、普通バスの運行を十一時以前にやめておりましたのを十一時過ぎまでやる、現実には十一時十分まで普通のバスの深夜運行をやります、それから、それ以後におきましては、特別料金による深夜バスを運行するということで、一便運行をいたしております。これは当時、普通のバスの運賃が二十円、それから深夜のバスの運賃が六十円でございましたが、この六十円の場合に、団地の居住の方等が定期を持っておれば、それに四十円プラスすればいいということで、定期の通勤者の方には実質上四十円に値下げをした。それから普通バスの運行時間を繰り下げたということによりまして、団地の
相当の
部分の方はそれでもって、いわゆる認可された普通の深夜バスを利用されることになったわけでございますが、今年の一月末でございますか、武蔵相模地区のバスの運賃の改定が行なわれました。そのときに、神奈川中央並びに小田急バス
——その付近を運行しておりますバス会社でございますが、これがほかの会社と同じように、従来一区二十円であったも一のを三十円に改定された。これが直接の動機だと思いますが、
現地にバス値上げ
反対の会というものが、鶴川地区の住民の方の一部にそういう会ができまして、そしてその会の方が、これは深夜ではありませんで、普通の日に、通勤あるいは通学の時間に運行をされておるわけでございます。
その概要を申し上げますと、運行の責任者は鶴川バス値上げ
反対の会という団体、もちろんこれは任意団体でございますが、そういう会でございます。それから使用している車は民間のレンタカー会社からのレンタカーを借りましてやっております。それから運転者は、これは東京運転代行会という会がございまして、そこの所属の運転者が三人くらいで交代で運転をしておるという
状況でございます。利用方法は、正会員と準会員とありまして、正会員は月額千円で、正会員のメンバーになっております。準会員は乗車ごとに二十円のカンパを出すということで、そういう人は準会員だということで、いわゆる会員制ということで実施をいたしておるわけでございます。そこで、運行の回数でございますが、これは鶴川の団地六丁目から鶴川駅までの間でございまして、所要時間は約十分か十二分、実働時間は十三時間、運行回数はおおむね四十七回ということで運行をいたしております。
それから御
説明が前後しまして申しわけございませんが、
基本的な要因といたしましては、私
ども冒頭申し上げましたような、最近東京その他大都市の
周辺における団地の急速な発達に伴いまして、住民の足を確保するために、いろいろバス路線網の再編成というようなことを現在行政指導をいたしておるわけでございます。たとえば通勤通学時を除いた昼間において、わりに閑散な都内の路線等を、できればこういう新興の住宅団地等に、同じ会社の路線であっても持っていくというようなことでもって輸送需要の実態に合った路線網の再編成をするように、それからまた、数社で重複しておるような路線におきましては
話し合いをして、そして輸送需要にこたえながら、いわゆるオーバーラップしている
部分を調整していくというようなことをやっていくことが必要であると
考えまして、そういう行政指導をしておるわけでございます。現在までのところ、どちらかといいますと、住宅の急速な発達にそういう政策がついていけなかったということが
一つの原因であろうかと思いますが、この点につきましては、現在、運輸政策
審議会の都市交通部会等におきまして、大都市におけるバスのあり方という問題を論議いたしておりますので、早急にこの結論を得て、先ほど私が申し上げました大都市
周辺におけるバスの問題につきまして抜本的な施策を講じたい、かように
考えております。