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国務大臣(
橋本登美三郎君) まあ
公共企業体という場合には、もちろんこれはその
資本関係が、国かあるいは国にひとしいものが持っておるかどうかということがまず第一であります。しかし、その
仕事の
機能からいいますというと、
国鉄も
私鉄も、これはやっぱり
公共性がある、これは言い得るわけでありますね。したがって、
機能の上から申せば、要するにまあ
交通機関というものは
公共性が強いものである、こういう
見解は成り立つわけでありまして、これは
ひとり国鉄だけではない。ただ、
国鉄の場合には、どうして現在のような苦しい
状態に入ってきたかということになりますと、まあもちろんこれは短時間では議論ができませんが、いろいろな問題を包蔵しているわけであります。その
一つの大きな
原因は、何といってもいわゆる独占的な
事業であったものが、ここ十数年間に
競争原理、すなわちこれと競争し得るいわゆる
機関が生まれてきた、こういうことが
一つの
原因であります。同時にまた、公共的な、
国民経済の全体に影響があるためにその料金に対しても抑制料金をとらざるを得なかった。たとえて考えますれば、明確な数字は別といたしまして、他の料金に比較しまして、
鉄道料金、運賃というものは、その上がりの倍率は非常に低いところに押えられている。こういうような
一つの国家的な経済といいましょうか、
国民経済の上から抑制料金の対象になっておる、こういうことを考えますというと、国が、
国民生活、消費生活なりあるいは経済生活なりの上において抑制をすべき料金に対しては何らかの形でこれにいわゆる助成の道を考えなければならぬ。
国鉄が、その成り立ちが国の
機関であったからというだけではなくして、そういう公共的な使命を持っており、かつまた、いま申したように、消費部面あるいは
国民生活の上においてその料金が影響するところ大であるから抑制料金をとろうというならば、それに見合うだけの、国なり他の
機関が助成
措置を講じなければ、完全なる独立採算制ではやっていけない。ただ、一応独立採算制の形をとるゆえんのものは、まあ親方日の丸という
考え方になったのでは、これは結果的には必ずしも
国鉄のためにはならないのでありますからして、したがって、一応の独立採算制はとりますけれども、その独立採算制をとり得る
状態——いわゆる投下資本に対する国の助成、たとえば利子の点で考えましても、昭和三十五年には全体の収入に対して六・五%くらいが収入に対する利子を支払う金額であった。昭和四十五年度
——まだ推定でありますけれども、昭和四十五年度の
状態を見ますというと、全収入の一六%強が利子の支払いになっておる。こういうような
状態が生まれてきておるということは、いかにいわゆる投下資本というものが増大して、それに収入が見合わないかということを一面においてはあらわしておるのであります。そうなれば、収入に見合うだけの料金を取るということになれば、現在のあるいは五割、十割というものを上げなければできない。しかし、これは
国民の消費生活の上から見ても好ましくないのでありますから、抑制料金として押えるならば、国がそれに見合うだけの手当てをすべきものである、これは個人的
見解でありますけれども、さように考えて、そこで四十六年度の予算の編成にあたりましては、従来になかったような一般会計からのいわゆる助成金というものをしたわけであります。まあ必ずしもこれは本格的なものではありません。しかし、従来はほとんど一般会計からのいわゆる助成金というものはなかったにかかわらず、四十六年度の予算で、金額は多くありませんけれども、しかしながら突破口を開いたということは、大蔵
当局にしても
政府全体にしても、いわゆる完全なる独立採算制は不可能なんだ、何らかの
意味で国が
めんどうを見なければならない、こういうことを明らかにしたものとして、私は、四十六年度の予算は、暫定ではあるけれども将来の明るい希望を持っておると、かように考えておるものであります。