○楢崎
分科員 そこで私は問題を二つにしぼって、これは要請もありますけれども、御
見解を聞いておきたいと思うのです。
第一
分科会でもすでに私自身取り上げておる問題です。長谷川才次という人の主宰する時事通信社、この時事通信社プロパーのはもちろんそうですが、時事通信社
関係のいろいろな関連会社の書物が各省でとられておるわけですね。外務省は
あとで資料をいただけることになっておりますけれども、外務省だけでも一億以上時事通信社
関係にかかっておるのです。そこで時事通信社
関係のその種の会社を全部私、私の能力の及ぶだけで一応調べてみたのですが、言うならばあの長谷川才次氏の主宰しておるすべてにわたって、ものの見方、
考え方ですね、それが明らかに軍国主義復活の思想であり、天皇制復活の思想であり、皇軍思想であり、皇国史観であり、教育勅語復活であり、憲法
改正なんです。その思想であらゆるものが貫かれております。ちょっと読んでみたいと思うのですが、これは「内外情勢調査」でございます。「お礼とお願い」ということで時事通信社が「少年日本史」というものを発行した。これが相当の県で財界の団体が
買い上げて、それを県の教育委員会に寄付した形にしている。今度は県の教育委員会あるいは市の教育委員会が県内の中学校、小学校に配付しておるのですね。現物はこれですが、これはどういうふうに長谷川才次氏はこれを宣伝しているかというと、ここに宣伝文句があります。これは「週刊時事」です。やはり時事通信社のものです。「これこそ二十五年にわたる黒雲をつんざいて、初めて正統日本史の世界へ少年の心を導き入れる一大国民教典である。」という宣伝のもとに小中学校にこれがおろされておる。それで、私も初めから全部は見ておりませんが、一応古いことは水かけ論になりますから、私が少なくとも事実
自分で知っておる時代のことを読んでみます。それで、最近は「忠君愛国、質実剛健、一身の利害をかえりみずして進む精神は、うすらいで来ました。」そういうところから、いまや「満州も支那も、すべて共産党のものとなって了った」と書いてあるのですね。事実こう書いてあるのです。それから大東亜戦争のことについては「敢然としてアジアの自由独立を取戻そうとして起上った大東亜戦争」こういう認識で書かれております。それからまだあるのですよ。日支事変、シナ事変ですね、これの起こりのところがあるのです。「
昭和十二年七月七日夜の北京郊外盧溝橋事件であります。これは夜間演習を行なっていた日本の小部隊が、中国軍から射撃を受けたので仕方なしに応戦したというのですが、
関係者の話を綜合すると、日本と中国との開戦を希望する第三者の工作らしく、それを隻方共昂奮して大戦争に持込んだのは、残念な事でした。」——こういうことを私は聞いたことがありません。これが先ほど申し上げたとおり「二十五年にわたる黒雲をつんざいて、初めて正統日本史の世界へ少年の心を導き入れる一大国民教典である。」そこでこれを文部
大臣にお尋ねしたらやはりこれは適当でない。それで小中学校へ贈られておるそうだが、図書館等に置くのはふさわしくないという
見解を示されたわけですね。これが
一つ。
これがやはりそうですね。「フォト」、これは各省買っておる雑誌です。ここに「戦後紀元日本人の民族的課題 長谷川才次」、この一番最後に、教育勅語です。それで教育勅語は、「
昭和二十三年六月十九日衆議院と参議院とが、それぞれ決議案を採択して、教育勅語は明かに基本人権を侵害するから当時まだ残っていた謄本を全部焼き棄てろと文部省に命令しているが、勅語のどこがどう基本人権を侵害するのか、わたくしにはとんと合点がいかない。」そして以下ずっと書いて「真憲法制定の大前提として、教育勅語を復活したいと思う。」長谷川さんのサイン入りです。この人がいわゆる主幹です。
それからまだあります。いま言いました「内外情勢調査」というのは、いまの「少年日本史」、これは「地の塩、世の光となる」ものである。それで「六万部を売り尽くそうとしています。厚くお礼を申し上げます。」「真憲法の制定から教育勅語の弘通、そして国史の復興と週刊時事は大きな旗じるしをかかげて、世論の啓発につとめて」おります。週刊時事はこういうことをやっておるというのです。
それから「マスメデア会報」、これもそうです。時事通信
関係です。ここに沖繩のコザ事件の批判を書いております。「ああいうやり方は法治国家のつらよごしだと、むしろ沖繩県民をたしなめるのが社会の木鐸としてのつとめではなかったでしょうか。」——佐藤総理の答弁と違いますね。
それからこれは一番新しい問題に対する長谷川才次氏の考えです。「時事解説」で「言論不自由国」という題で例の小林法務
大臣の放言について触れられております。「知事選挙の応援演説でちょっと口を滑らしたことが、
国会で取り上げられると、とたんに
大臣が
辞任するというのだから、
大臣の相場も暴落したといわねばならない。」「片言隻語をつかまえられて、いちいち責任を問われたら、どなたもそして一日も公的地位には止まることができなくなるだろう」「公的発言についてもある程度までは免責という慣行が成立しなければ、日本は言論不自由国となろう」「わたくしは今度の小林法相の失言は、実は本人の本音だと思うし、そしていっていることはいちいち真実だと思う。平生茶のみ話で話していたことを、うっかり口走ったまでのこと」、「慌てて
辞任というのは、もっとも拙劣だ」——これはもうわれわれ
国会に対する挑戦であると思いますね。もうあげれば切りがないのです。そしてこれはせんだって二月の十八日に一般質問でわが党の山口委員が取り上げたガードマンの問題です。時事通信社では労働争議にガードマンを使っている。そして四名の負傷者が出た。そのガードマンの本体は何かというと、これは元暴力団であります。こういう事件が最近多いのであって、茨城県の那阿湊市もそういうガードマンを使ってやっておったからわが党の調査団が調査に行った。その議員に対して脅迫状がそのガードマンから来ておる。それはどういうことで来ておるかというと、
自分たちは三島精神、飯守精神でやるんだ、気をつけておけというような脅迫状が来ておる。この時事通信でもそういうガードマンを雇ってやっておるような会社なんですね。そしてこの時事通信社
関係に対して、たとえば内外情勢調査会、これはやはり長谷川さんがやっておるのですね、実際問題として。これは
内閣調査室が委託調査をいろいろと依頼しております。中央調査社というのもある。これも長谷川さんの
関係。これは毎年世論調査をやっている。やり方も私詳しく知っておるのですけれども、抽出するのですが、一般の新聞社がやるのと違いましてその数が少ない。そしてふしぎなことに、どの新聞社より佐藤
内閣の支持率がいいのですね。そこにも金を出されておる。委託してそういう調査をされている。それから、いま言ったようにそういう調査をするために
政府から金をもらっているわけですね。だから内外情勢調査会が調査をその金によってやらなくちゃいけない。ところが、
政府からもらった金によってどうやられておるかというと、時事通信社の社員をして実際は調べておるのですね。そしてその調査をした社員に対しては架空の伝票を切らしている。金を実際にやってもいないのに、その内外情勢調査会のための調査であるというふうにするために架空の伝票を切って、そのために調査費をもらったような形にしてある。実際に時事通信の社員ですから金なんか渡すわけはない。それで私はいま
内閣調査室あるいは
内閣広報室に対して、この時事通信社
関係の一切の
政府各省で
買い上げているものを調査させております。
会計検査院のほうとしても厳重にこの時事通信社
関係をチェックしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。