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井野分科員 大臣、私のお尋ねしようとすることはたった
一つだけでございますから、また三十分では余すところなく
説明することは私の能力ではとても不可能でございますので、
資料をまず提出いたしておきましたから、このことについては後ほどお読みになって、私の
質問をあとから理解していただくという方法しかない、こう
考えて
資料を渡したわけでございますので、以下申し上げたいと思います。
御
承知のように昨年の十一月に読売新聞が取り上げました外国資本による出版物の
輸入販売の、いわゆる割賦セールスによる販売の問題であります。
いままで私
どもの常識では、消費者とこれを販売する会社との間のトラブルというものは、自己の業績をあげるために非道な契約あるいは虚偽の契約等を行なったのがすべてセールスマンの責任になって、これが意図的に行なわれたりあるいはそういうことを行なうことを、経営者としては
防止につとめておるものだという商業道徳の確立があるものだと実は理解しておったわけであります。
ところが約四カ月ほど前でございますが、たくさんの被害者の訴えの中から私の社会党が聞いてみて、たいへんややこしい仕事だし、なかなか追跡調査はむずかしいと思うが、おまえは一年生だしひまなんだからやれというふうに命ぜられまして、私も約四カ月、この人たちと一緒に実は
日本じゅう調査をいたしました。私はたいへん英語に弱いわけですから、私もその一人の被害者であることを知ったわけでございますが、調べてみますと、国会議員の半分以上はこの本を買わされておるようであります。したがって以下私の申し上げます点は、まず第一にそこに杉山君という人の報告書を載せてございますが、いま外為法によって届け出をして、そうして通産省の認可をいただいてやっておる大手の会社は、そこにございます五社でございます。これらについては役所の皆さんのほうとよく打ち合わせをしておりますので御
承知だと思いますが、この表に示してありますのが、大体私
どもの掌握をした今日わが国において外国資本による図書、特に百科辞典でございますが、これを
中心にするその他の教材を売っておる会社でありまして、その下にそういう系列で会社があるわけであります。これを全部調べるということになりますとたいへんでございますので、私はその中のユニバーシティー・ソサエティー、大学協会出版なるものについて詳しく突きとめてまいりました。
まずそこで概略を御
説明申し上げますと、これらの資本は
国内に資本を持ち込んで、
国内法規に従ってきちっと届け出をしておるかどうか。あるいは届け出ないし許認可の手続が正しく踏まれておるかどうか。あるいはその後の事業において
国内ルールを守っておるかどうか、これらの点について私の当たった感じでは、通産当局はたいへんこれらを信頼して保護の気持ちを持っておるようでございます。疑って調べてみるとまではいっておらぬようであります。そこに割賦販売法に基づく商法上の違法行為あるいはセールスマンと消費者と会社との契約
関係の中における責任追及ができない仕組み、そして希望を持って大学を卒業してきた人たちが誇大の宣伝にひっかかって雇用されて、非合法な商法をあたかも正しいかのごとく教育されて、印鑑偽造の契約書にあたかも合意したかのごとく見えないところで判こを押すというやり方。さてその消費者が会社に持ち込んだときには、そういうセールスマンは当社にはおりせんという仕組み等々、その一件をとらえれば、裁判に持ち込むのには契約金額があまりにも少なくて、裁判の費用にはたえない。さて会社に持っていけば、そういうセールスマンは私のところにはおりません。法的に向こうが請求するときには、あなたは契約金を入れて合意した、契約書に判を押してこのとおり民法上の契約は成立しております、こういう巧みな仕組みになっておるわけであります。
まず一番先にわかりやすく申し上げますと、その会社が販売をしたいわゆる目玉商品、これは
アメリカのものであります。この割賦販売法の第三条ですか第五条ですか、一番きつく規制しておるのは
価格の表示でありますね。そして割賦による場合、二重
価格になるわけでありますから、現価販売と割賦販売にする場合の
価格の表示、これが契約の根拠になっております。ところが、これらの図書には、これは商社から提供願ったものでありますが、いずれも
価格表示はございません。これは国会議員みな買わされておるのですよ。私もこの法律制定の経過をよく読ましていただいたら、わが党の
田中武夫先生あるいは現在おられる多くの先生方が、すばらしい意見を述べられて附帯条件なんかがついた法律が通っておりますけれ
ども、一番大切な商品の表示
価格がない、これは法律によって罰則がございますね。
それから第二番目は、従業員、セールスマン、会社員と会社員でない会社の責任を持った販売員ですね。雇用契約は固定はしてないけれ
ども、会社を代行して販売に当たるわけですから、大学協会の例をとってみますと、すばらしい宣伝文を出してこういうふうに職員の募集をやっております。この文章を読んでいたらとても長くなってだめですからやりませんが、ニューヨークにある本社の
日本支社となっております。登記には、これは
日本だけの会社であって、大使館を通じて調べてみたら、
アメリカにもあるそうでございますが、
関係はございません。明らかに広告にはこのように虚偽の広告を出しております。そして、これが大学協会出版と読みかえるのだと言っておりますが、この中には大学協会出版部となっております。私も最初は間違えました。国立大学協会に聞いたら、
関係ありません。私立大学協会に聞いたら、
関係ありません。そうしたところが、この社長さんが私のところへおいでくださって詳しく
説明されたので、これが詐欺行為、うそだということがはっきりわかりました。大学協会自体は、今度はこの会社を廃止して、大学協会出版という会社に切りかえて麹町にあるということだ。調べてみると、今度新宿へ移った。新宿の登記を調べてみると社長さんの自宅になっている。居所を転々として登記を変えているわけです。そこにもこれは商法上の意味があると思います。こういう形で行なっておりますから、これもまた、この出版会社も、この割賦販売法の届け出その他の条項には合わないわけであります。届け出の虚偽が行なわれている、こういうことであります。
最も大切な点は、従業員の問題だと思うのでありますが、この表によりますと、届け出の数は、労働基準局で調べたものと通産省で調べたものと、もう
一つこれは言いませんが、最も過酷に最も峻厳に公平に調査をする
機関があるわけでありますが、ここは個人の財産にわたり、その後の事業にも差しつかえがあるから公表しないでほしいと言えば、もう鋭敏な
大臣はおわかりだと思いますが、私
どもも調べましたし、こちらでも調べてみたら——
数字はわかっておりますから
数字は言いません。言いませんが、あまりにも人員の数が違う。労働基準局で調べたのが一番少ない。通産局で調べたのはそれよりも多い。しかし、現在はその三倍ぐらいに当たる。これは意見が一致しました。なぜこういうことになるか、これは
大臣、御想像がつくと思いますが、最初に、この誇大な宣伝によって、希望に胸をふくらまして大学出版に来た従業員は、杉山君の言うとおり、全然そういうことではなしに、別なところへ連れて行かれて、報償金による歩合制度の販売員に仕立てられ、そしてユニバーシティー・ソサエティーという会社にいながら、グロリアのIB事業部というところの商品として持ち歩くわけであります。そしてこの宣伝の内容は、これまた全英連、これは文部省が補助金を出してやらしております、学校教師の中における英語を担当する教師の研修グループであります。これの指導を受け、これの推奨を受けてやっておると言って歩くわけであります。またここの教師がたいへんなものであります。講演をして、文部省のやる教育では今日の世界に通用する英語の習熟をすることはできない。この本を買うことこそ初めて英語にたんのうになって、世界に通用するなどと言っておるのだから、たいへんな教師がいるものです。これはちゃんと文書に載っております。また国立大学の校長先生がこれを週刊誌で宣伝をしておる。そして、かわいそうに愛知先生まで元文部
大臣として写真入りで推薦のことばを書いております。愛知先生おそらくそんなことしていないと思いますが、ここまでやっておる。こういうことは三つ問題があると思うのです。
一つは、わが
国内法を守っていない。割賦法の法律に従っていない。もう
一つは、若いこれから世の中の役に立つ人に、違法の商業行為を教育をし特訓をして、やり方によって自分の所得が多くなるという欲に結びつけて背徳行為を教育して、それを慢性化さしておる。第三は、家庭へ人と人とのつながりを利用して入り込んでいって、契約書を見せるときにはかばんを見せないようにして判を借りてすかさず押せというようなことが
一つこの特訓の教科書に入っておるわけです。こういうやり方をする。そうして通産省がこの人たちを集合させて、解約ができないということをしてはいけないと指導なさったら、この五社は、さっそく会合して、契約書の安易に解約はできないという条項は消すけれ
ども、解約は事実上できないような仕組みにするという申し合わせをしてやっておる英文のものがあります。これは通産省に差し上げますから、ごらんいただきたいと思うのです。
以上のことを私が
説明をいたしまして、これからの
措置についてお尋ねをいたします。
私は、警察官ではありませんし、検察当局でもありませんので、強制捜査するわけにもまいりませんけれ
ども、明らかに消費者とそれからセールスをやる人たちによってこういう印鑑の偽造等の問題があります。認め印ですからきわめて簡単にやるわけです。
こういう点について、法務省の見解を伺っておきたいと思うのですが、契約金内容が十三万とかあるいは二十三万とか、十八万とか、いろいろございますけれ
ども、その程度のものでも、それを積み重ねていけば、これは印鑑盗用、偽造等の犯罪として
考えられると思います。そのまま、しようがない、そんなものまでやっておったら、これだけ犯罪の多い国だからしようがない、こうおっしゃられるか、この点一点お尋ねをしておきたいと思います。
一括全部言いますからあとで答えてください。
それから大蔵当局にお尋ねしたいのは、少なくともいままで突き合わせをしてみて、届け出その他にはかなりの遺漏があるようです。正しい行為をしているようには思えませんけれ
ども、通産省と大蔵省の連絡が悪いということだけははっきりしました。
アメリカ人だからといって信用するわけにいかない。実は好ましからざる行為をやっておる人は、
アメリカ生まれの
日本人、たとえば
アメリカに長く役人としておられたような方で、非常に事情に詳しくて、
日本人の弱いところを知っておる高名な人がうしろで指導しておられると私は思います。こういう形で、会社の所得をごまかし、個人の所得をごまかし、脱税行為があるような気がしてならない。しかし、これは私
どもが調査してもあるともないともおっしゃらないので、最終的にきちっとならなければ、大蔵省がいろいろ言われるのは当然だと思いますが、そういう傾向をお認めになりますかどうか。あるいは今後十分の連絡をとれば、
国内法に従わせて納税の義務についてはきちっとやるかどうか、この点についての感じをひとつお話しを願いたいと思います。
それからたいへん法律で定めた報告について報告漏れがあり、日銀の審査委員会ですかと大蔵当局の主務局との連絡も悪いように思います。
こういうことで、先進国家のやることだから間違いはないだろうというふうに
考えておられると、たいへんな犯罪が犯されるのではないか、こういう気がいたしますので、この点をひとつお尋ねをいたしたいと思います。
その次に労働省のほうであります。第一労働基準監督署に報告すべき人員は
一つも報告されていなかったという事実が明らかになりました。そういうことで、外国商社の支社とはいいながら、ここに働く労働者の権利というものをほんとうに保護ができるかどうか。そういうことで、基準監督署が任務を果たしておるかどうか私は疑うのであります。そこで、きちっと掌握してくれないと、私は二十四日にお尋ねしますよと言ったら
数字が出てきたのですから、やる気になればやれるものだということは間違いありません。こういうような執務態度、これを一体どうお
考えになるのか。また通産省で調べて得る
数字と、労働省で調べる
数字と、もう
一つ調べる
数字がございます、源泉徴収その他ありますから。この
数字とでは三倍にも広がるということは一体行政機能はどうなっているのか。そこには固定雇用の者とセールスの者と、事業報告で三様も四様もの報告書がつくられなければならないからではないだろうか、こうも
考えられますので、この辺、基準監督署のこれらの仕事に対する労働者保護あるいは雇用
関係の指導等々についてはどうお
考えになられるか。
それから次は通産省であります。通産省については、いま言ったように主管庁でございますから。すでに消費者連盟で問題になっておるブリタニカについては千五百通、二千通ぐらい消費者の訴えが出ております。その中には恐喝もありますよ。解約について恐喝した例もあります。契約について恐喝をした例もあります。グロリアは最近出てまいりまして、これもまた二百通近くになっております。大学協会だけは出てこないのです。出てこないはずなんです。大学協会の名前で人を集めてはグロリアの販売をさせておるわけですよ。だからグロリアのほうに問い合わせをしてもそのセールスマンはいない、こういう仕組みになっている。大体早いのでは二週間くらいで自己費用で歩いて、予納金を納めて、契約ができないときに引き戻しになってみんな取られるような仕組みになっておりますから、若い人は失望してやめたり、それとも猛烈セールスマンに仕上がったりしておるわけです。私の推定では、少なくとも今日までこれらの外国資本によって雇われたセールスマンは三十万人を下らないと思います。世の矛盾を感じてやめた人、猛烈な社員になっていま恐喝をやっている人も含めて三十万人は下らない。これらの被害者は、私は五百万人を下らないと思います。こういうような通産行政が平気で行なわれている。私はこれはきわめて重大だと思いましたので、あえてこの問題一間にしぼってお尋ねをする次第であります。
もう
一つ、文部省のほうはたいへんいろいろな適切な
措置をされた旨の報告はございましたけれ
ども、現職の学校教頭、こういう人が、実は文部省の英語教育はだめなんだ、こんなことをやっていたら絶対大学まで卒業しても実用向きの英語の仕事のできる人はできない、こういう図書によって初めて世界的な仕事のできる学問になるんだ、こういうことを講演された教頭が、この間おります。ですから、全英連としてはやっていないというけれ
ども、全英連の主軸の役員、たとえば会長、たとえば総務部長という人がやれば、それは人格二重論は通じないと私には思われる。社会通念として、全英連がやっておる人ということになると思いますが、おまえ懲戒までせぬでもいいじゃないかと私
ども言ったのですが、ここまで病気が深刻だとすると、私は重大な決心をしていただかなければならぬと思うのです。これらの点についてそれぞれ御
答弁をいただきたいと思います。