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1971-02-25 第65回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十五日(木曜日)     午前十時四分開議  出席分科員    主査 登坂重次郎君       赤澤 正道君    中野 四郎君       松野 幸泰君    大原  亨君       小林  進君    西宮  弘君       華山 親義君    兼務 細谷 治嘉君 兼務 有島 重武君    兼務 小川新一郎君 兼務 古寺  宏君    兼務 川端 文夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       山口シヅエ君         経済企画庁審議         官       西川  喬君         経済企画庁長官         官房長     船後 正道君         経済企画庁長官         官房会計課長  岩田 幸基君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         計画局長    矢野 智雄君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         経済企画庁調査         局長      小島 英敏君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省社会局長 加藤 威二君         海上保安庁次長 上原  啓君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         大蔵省主税局税         制第一課長   山内  宏君         国税庁間税部酒         税課長     藤原 重信君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省薬務局企         業課長     松田  正君         農林省農林経済         局企業流通部長 森  整治君         農林省農政局参         事官      岡安  誠君         食糧庁総務部長 松元 威雄君         通商産業省企業         局参事官    増田  実君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     森永 昌良君         建設省道路局企         画課長     井上  孝君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         北海道東北開発         公庫副総裁   小熊  清君     ————————————— 分科員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   西宮  弘君     華山 親義君 同日  辞任         補欠選任   華山 親義君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     小林  進君 同日  辞任         補欠選任   小林  進君     西宮  弘君 同日  第一分科員小川新一郎君、第四分科員有島重武  君、古寺宏君、川端文夫君及び第五分科員細谷  治嘉君が本分科兼務となつた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算経済企画庁、厚  生省及び自治省所管  昭和四十六年度特別会計予算厚生省及び自治  省所管      ————◇—————
  2. 登坂重次郎

    登坂主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。議事進行に御協力のほどをお願い申し上げます。  なお、政府においても、答弁は簡潔にお願いします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。華山親義君。
  3. 華山親義

    華山分科員 一月二十五日に、自民党鈴木さんが総理大臣施政方針演説に対する質疑を行なっております。その中で、太平洋ベルト地帯からそうでない地域工場等分散等が行なわれるべきであるということをお聞きしているわけでございますが、その答えが、「太平洋ベルトライン集中する企業計画的、合理的に他の地域分散配置せよとの御指摘がありましたが、鈴木君の御意見には全く同感であり、一昨年に決定した新全国総合開発計画におきましても、工業立地について、従来の大都市集中から遠隔立地への移行助成促進することとしております。」こうお答えになっているわけで、鈴木さんのお聞きになったのは「計画的、合理的」、総理大臣お答えは「助成促進」、こうなっているわけで、このおっしゃった新全国総合開発計画からは、私は助成促進ということがうかがえない。これは一体どういうところに助成促進重点があるんでしょう。
  4. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 総理お答えですか、私の……。
  5. 華山親義

    華山分科員 総理です。もう一度申し上げますが、総理お答えは、「昨年に決定した新全国総合開発計画におきましても、工業立地について、従来の大都市集中から遠隔立地への移行助成促進することとしております。」ということを言っておりまして、これが太平洋ベルトラインからそうでない地方への分散に対する回答になっておるわけです。それでこの中からは、総理大臣の言う計画からは、私はそういうふうなことがうかがえないということなんです。どういうことなのか総理大臣にお聞きをすればなおいいんでしょうけれども、担当が佐藤さんでいらっしゃいますから……。
  6. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 日本の今日までの産業発展あと考えてみますと、何といってもまず第一に交通が便利である、旧来の施設、工業設備というものと近接している、隣接している、こういうことでだんだん隣接地帯へと拡張していく、こういう傾向が非常にあったと思います。もちろん、そのほか電力事情であるとか水の問題であるとか、いろいろ工業立地に必要な条件を備えているという地域がどうしても優先されてきておることは確かでございますけれども、交通という問題が一番決定的であると思います。そういう意味において従来太平洋ベルト地帯に、一方においては京浜からだんだんと延びてまいる、また阪神方面からその両側に延びていく、こういうことで、とかく太平洋に偏した立地が結果的になされてきた。それはある意味において自由主義的に全く自由に放置して、しかも急速な経済成長のもとにおいてある程度やむを得ない結果であったと思うのでありますけれども、今日はそれではいけない。それにはやはりまず計画的に交通網通信網というものを確立する。最近、たとえば東海道のいわゆる東名高速道路なんかができましたが、ああいうものを見ましても、それに応じてそれを中心にしていろんな工場立地というものが形成されつつあることは、現実にわれわれも見ておるところでありますが、そういう意味におきまして、この高速道路あるいは新幹線あるいは通信網、こうしたもののネットワークというものを全国的にひとつ拡大していく、そうしてその計画を推し進めて、そうしてそういうことによって全国工業というもの、企業というものが分散し得るまず基本的な素地をつくるということであろうと思います。そのほかなお、御存じのように特に大きな、大プロジェクトと称するものにつきましては、陸奥湾、小川原湖に見られるように、われわれとしてはさらに具体的に、計画的に個別のものについても考えてまいる、こういうような、いわゆる新全総に盛られておるところのものをさして総理は言っておられるのだろう、こう思います。
  7. 華山親義

    華山分科員 それで私、決して皮肉を言うわけじゃございませんけれども、この新全国総合開発の中を読んでみますと、やはり重点は、太平洋ベルトラインにあります。これは、おかしなことを言いますけれども、ページ数を見てごらんなさい。北海道東北等については二ページとか二ページ半だ。それから太平洋ベルト地帯になってきますと、もっと具体的に三ページ半、四ページを使っているわけですよ。東北地方北海道地方についてはきわめて抽象的であって、そして太平洋ベルトラインのほうには具体的に書いてある。そういうふうなことを見ますと、私は、総理大臣答弁だけでは、この計画からは生まれてこないのじゃないかと思うわけなんです。  それで私、特に感ずるのでございますが、先生こうだとおっしゃいますが、それはそのとおりでございますけれども、太平洋ベルト地帯とそうでない地域との違いというものは一体何にあるか。九州南部のようなところもありますけれども、気候が悪いということですね。同じ条件であるならば気候のいいところが人は住みやすいし、いろんなことで行くわけですが、この気候に関することが、私は徹底的に条件が悪いと思うのです。そういうふうなことでございまして、同じ程度にいまおっしゃった交通が出ていくならば、これは相対的な問題ですから、いつまでもそういう地帯はおくれますよ。たとえは現在——それが悪いなどと私、ごうも申しません。申しませんけれども、山陽には山陽新幹線がどんどん進行している。四国と中国の間には四つの橋をかけるという、そういうふうな状態で、あちらのほうに公共投資重点的に行なわれている。これからも行なわれようとしているわけなんです。そういう事態を考えますと、もっと公共投資等によって、いま長官のおっしゃったような交通網整備あるいは通信網整備というものはこれらの地方に追いつくようなふうにしていきませんと、同じ程度にやってたのじゃ、私どうかと思うのです。どうでしょう。私は、その点につきまして、経済企画庁方面から、公共事業についての重点をもっと太平洋ベルト地帯でないところに移すような方向を出していただきたい。いかがですか。相対的ですから、もう絶対に落ちるのですから、太平洋ベルトラインでないところは。伺いたいと思う。
  8. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これはページ数のお話がありましたが、一つは、たとえば東北なんかについては、一面において大食糧基地としてのビジョンというものがあるし、畜産基地としてのビジョンもある。こういうことがありますから、工業という面から見ますと、ただ工業だけに偏するということでなく、それらの地域の特性に応じたところの期待が持たれておるわけであります。  それから、またなるほどプロジェクトの中で計画されている小川原湖の問題にしても、志布志湾の問題にしても太平洋になっておりますが、これは別に太平洋であるからということではないのです。全体としてそういうお感じを受けるかもしれませんが、私たちとしては、とにかくいま御指摘になりましたように、たださえ自然条件の不利な地域ということでありますから、従来のものの考え方では。したがって、交通網をかりに整備する際にもおくれをとることが多いわけでありますから、そこを、従来の考え方というものを百八十度変えて、そうした方面にもなお道路網を建設していく、交通網をつくっていく、こういうことが大事であり、やはりそれが基本になりませんと、なかなかそっちのほうが発展していかない一方の事情というものがありますから、そういう意味において、おっしゃるように、そうしたいままで不利な方面にさらにそうした意味公共投資をできるだけしていく、そういう方向を今度のこの新全総ははっきりと出していると私は思っておりますが、問題は、今後の実行の問題です。そうしたことで、ひとつこの新全総の思想に沿ってやっていきたい、こういうふうに考えております。
  9. 華山親義

    華山分科員 くどいようですが、交通状態にいたしましても、私も東北に住んでおりますけれども、東北もずいぶんよくなりました。よくなっておりますけれども、そうでない地域太平洋沿岸地域——東北太平洋沿岸地域がありますが、それは太平洋ベルトラインとは言わないようです。ですから、その地域発展の模様を見ますと、昔よりも私は格差がついているのではないかと思う。それはよくはなっておりますよ。そういう意味で、そういう格差の大きい間は、いかに東北のほうをよくしよう、あるいは日本海沿岸のほうをよくしようと言ったって、それはだめなんじゃないかということを申し上げた。そういう構想が、この書かれたものの中には出てこないので、私からお願いしているわけです。  たとえば、いまおっしゃったから私も申し上げますが、青森県の小川原湖にいたしましても、あれは大プロジェクトとしてなさるわけで、それは私もけっこうだと思いますが、今度の新幹線にしても、なぜこれを小川原湖まで延ばさないのか、なぜ盛岡で切っているのかということなんですよ。そうだったならば、それはいつかできるかもしれないけれども、やはりあそこにほんとうに熱意があるならば、新幹線をあそこまで延ばしておらなければいけない。盛岡までだ。それはあと計画には載っておりますけれども、そういう点、ほんとう政府がお考えになっているのかどうか。私はお考えになっていると思いますけれども、非常に足りない面があるのではないか、こう思うわけです。  それから、ただいまなおおっしゃいましたけれども、東北農業だなんて言っている間は——それはけっこうなことですが、私はだめだと思う。鈴木さんのお聞きになっているのも、農業のことを言っているんじゃないんですよ。そういうふうな意味で、ぜひひとつ御配慮を願いたいのでございます。  それで、たとえば小川原湖まで鉄道が延びる、あそこまではなかなか採算がとれない、こういう問題があるだろうと思うのですけれども、今度の計画にいたしましても、盛岡までの計画にいたしましても、初めの八年くらいは赤字だということになっているようでございます。これは将来はわかりませんけれども、私は鉄道のことにいたしましても、鉄道採算ということを目的にしてやったならば、これはもう太平洋ベルト地帯が一番安全なんですよ、大都市を貫いていくんですから。東北なんかは、鉄道を敷いたってなかなか採算がとれない。鉄道採算という問題と地域開発の問題は矛盾しているんじゃないか。長官どうでしょうね。
  10. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いまお話しのように、それは従来確かに都市の急速な集中ということであったわけですから、そしてまた人口集中し、企業集中してきたので、どうしてもそれに必要な公共投資というものを、あと追い行政といいますか、あと追い投資でやらざるを得ない羽目になってきていたわけです。その結果として、いま御指摘になったように公共投資も、どっちかというと現在の太平洋ベルト地帯集中投資が行なわれてきたことは事実であります。しかし、従来のようなそうしたことをそのまま是認するわけにはいかない、こういうことから、今度は、たとえば工場地方分散にいたしましても全国的な規模で日本工業発展考える、こういうようなことになってきたわけです。現在は、率直に言いますと、東京中心とする地域はその集中がいまやとまりつつあります。それからまた、現に首都圏地域については、工場の増設を抑制するとか、いろいろな政策もとられておるわけであります。そしてまた、労力の問題からいいましても、逆に東京から戻ってきているという現象が非常に多くなってきております。そういういろいろなこともありまして、いま御指摘の心配もわかるのですけれども、今後の方向としては、過度な集中を避けるという意味においても、どうしてもいま御指摘になった方向にいかざるを得ないと私は思っております。  それで、鉄道採算については御指摘のような点がございますけれども、しかし、今後のいわゆる新幹線のような大きな問題につきましては、別に主要な都市というものをもちろん連ねていく。これはいわば新幹線としての、どうしても使命でありますから、これはやむを得ない。別に盛岡ということで区切っているわけではないのでして、ずっと札幌まで主軸を「形成」ということばであらわしているように、福岡と札幌までは早急に期間中にやろうというわけでございます。ですから、これはなおできるだけその方面の進捗をはかるということで、今後——ローカル線なんかにはいわゆる採算の問題もありましょうけれども、これはまたこれでもって別な解決方法を見出していく。鉄道がいいのか、道路がいいのか、御存じのような議論があるわけでありますけれども、そうしたことで、今後その地帯に応じてそうした点はくふうをしていかなければならない、こういうことだろうと思います。
  11. 華山親義

    華山分科員 しかし、東京都知事選挙でも四兆円ビジョンとか、何とかビジョンとか言っておりますが、ああいうことをやったら東京に人が集まるだけですよ、ほんとうに。このごろよく聞くのですけれども、たとえば横浜とか千葉とか、東京あたりでも埋め立てを行なう。この埋め立ての認可というのはどこがやっているのかわからないけれども、公害を防止するために工場を移転するための埋め立てですね。それが住宅のための埋め立てというならばわかりますけれども、新しい工場をそこに置くための埋め立てということになりますと——それは発電のような特別なものもありますけれども、私は、ああいう埋め立てをやるというふうなことは、人口集中を招くゆえんだと思っておる。やはりよそに人が行くというよりも、そういうところに人が集まらないためにはどうするかということを考えていただかなければならぬと思う。  ここで私、御参考までに申し上げますが、自分のことになりますけれども、東北開発促進法でしたか、あの法律ができたのは、地域開発としては一番初めなわけです。あのとき私は山形県の県庁におりましたが、議員諸公が来たわけです。みんなで一生懸命協力してくれ。主として自民党人たちの言い方は、今後東京にどんどん人口が集まってくるのだ、そうすれば東京に大きな投資ができるし、いろんな弊害も起こる、その人たちはどこから来るかといえば東北から来るのだから、そういう現象のないように、東京に将来つぎ込むべきところのものを東北地方にいまからつぎ込んで、そういう人口東北地方に吸収したい、こういうことがうたい文句だったのです。全くそのとおりのことだと思ったのです。しかし、だめだったですね、東北に何もやらないのだから。それで皆さんが心配したとおりの事実が東京にあらわれたということなんです。それで、しばしばこういうふうな問題とか、そして今度も何か農村工場——農業の転換に伴って農業構造改善の一環のような形で工場を配置する、それに対する法律ができるというのですけれども、このことがいつも使われるのは選挙運動だけなんです。何にも実効をあげていない。東北開発というようなことは、いかに選挙に使われているか。それでいろいろなことを聞いておりますけれども、私は、ほんとうにできるなどということは、あの農林省と通産省でやっておることについても全く疑問を持たざるを得ないわけです。——時間はまだよろしゅうございますか。
  12. 登坂重次郎

    登坂主査 いいです。
  13. 華山親義

    華山分科員 私が出かせぎ者の問題について質問したときに、それを保護するためのもう少し秩序のある立法なり仕事をしてもらいたいということを申し上げたところが、総理大臣は私に答えて、立法はいたしません、出かせぎ者を吸収するための工場地方につくるように新しい法律をつくります。こういったようなことは、できるはずがないじゃありませんか。山形からの出かせぎ者は、現在明確にわかっておるのが四万。私は六万あると思う。六万の人の働ける工場なんというものは——六万の人が働かなくても、そこからいろいろな仕事が出ましょうから半分でもいいのです。三万の人が働ける工場なんというのは、山形農村にできるはずがない。常識だって考えられないじゃありませんか。三万といえば、千人の従業員工場が三十なければいけない。それは自由主義経済のもとでできるはずがないと思うのですね。その構想等についても、時間があればこれからお聞きしたいと思うのでございますけれども、これは経済企画庁所管なのかどうかわかりませんが、今度の新しい法律構想をひとつお聞きしておきたい。
  14. 岡安誠

    岡安説明員 いまお話し農村地域工業を導入するということにつきましては、現在、農林、通産、労働省等が主になりまして、法案を作成中でございます。近日御提案できる運びになろうかと思っておりますが、現在までに固まっておる考見方を簡単に申し上げますと、私ども考えておりますのは、農村地域工業を積極的に、かつ計画的に導入をいたしまして、農村におきます農業従事者をその工場のほうに円滑に就職できるようにするということと、あわせまして周辺の農業構造改善促進いたすということを私ども目的としておるのでございまして、これによって、農工一体としての発展ができるものというふうに考えておるのでありますが、これを確保するといいますか促進をする措置といたしましては、農業工業と両面にわたります計画をつくりまして、その計画に即しまして工業が導入された場合には、税制とか金融上の優遇措置を講ずるということを考えておりますが、それ以外におきましても、たとえば農業者が円滑にその工場へ就職できるように、職業訓練というものも積極的にする。また、農業者農業から手を引きまして工場で働き得るように、周囲の基盤整備その他も優先的にやるというような措置考えまして、あらゆる施策を総合的にいたしまして、工業立地促進をいたすというふうに考えております。
  15. 華山親義

    華山分科員 自由主義競争原理のもとの企業におきまして、はたして実現ができるかどうか私は非常に疑問の点がありますし、先ほど申しましたとおり、とてもそんなに各県の出かせぎ者を吸収できるようなものはできっこないと私は思っているのです。そういうことではありますけれども、そんなものはやめてしまえと言うようなわけにももちろんいきませんし、ぜひひとつ実効のあがるようにしてもらいたいのでございますが、一つお願い申し上げたいことは、各村に、小さなところにぽつぽつと工場を置くことだけはやめてもらいたい。これは小さな工場はあぶないですからね。できるだけそれは、ひとつつとめて通える道というものをよくしてもらいたい。工場に通える道というものをよくして、たとえばいま東京だったならば通勤に一時間なんていいますけれども、いなかの人ですから一時間というわけにもいかぬでしょうけれども、通勤三十分程度のものであるならばいいので、私は道路をよくしてもらいたい。それから公営バスについて配慮してもらいたい。そういうふうなことも考慮の中に入れていただきたい。それから何か地方税のほうを減免した場合には、それを特別交付税ででもまかなうような計画なんということをちょっと耳にいたしますけれども、それは絶対反対。それから、これは長官に私、ちょっと申し上げておきたいのですが、御参考になるかどうか。私、東北開発促進法ができましたときから言ったのだが、東北開発株式会社なんというものはつくらないほうがいい。むしろ東北電力会社基本にした会社をつくるべきだ。そして私の言ったのは、電力料金をまけなさいということなんです。東北地方全体とはいかなくても、その会社のいまおっしゃったような農工一体の立場からも、あるいは太平洋ベルト地帯からいう場合にも、電気料金というものを考えてもらいたい。電気料金といったって、全部の電気料金を下げるという意味ではありませんけれども、特定のいろいろな工場については電気料金は下げるべきじゃないか。しかし、そうすれば電力会社採算影響があるかもしれない。その電力会社採算影響があるからといって、国が金を出すわけにはいきません。それで私は考えるのでございますけれども、現在電気会社というものは、設備のために大きな借金を負っているわけですね。これの利息を払っているわけですよ。この利息を低くするために、政府資金等の安い金利のものにかえたらどうだ。そして会社の経営の状況を見て、もうその会社が独立して働けるのだということになったら、いつまでも安い金利ということも必要ないわけでございまして、そういうことを私はときどき、十何年も前から言ってきました。東北電力の社長等もそれでまかなえるのだと言っています。そういうふうなことを言ってまいりましたけれども、これを私は申し上げておきます。これは私、十年叫び続けてもなかなかとらないのでございますから、政府はとらないと思いますけれども、あきらめ切れませんから一言最後に申し上げて、佐藤さん、ひとつ考えてください。これで終わりますが、法律はいつできますか。
  16. 岡安誠

    岡安説明員 間もなく閣議決定——きょう次官会議、あす閣議の予定にいたしております。
  17. 登坂重次郎

  18. 細谷治嘉

    細谷分科員 三十五年以降、地域開発立法なりあるいは全国総合開発計画、こういういろいろな計画なり立法が行なわれたわけでありますが、私はそういう点について若干お尋ねしたいと思います。  最初にお尋ねいたしたい点は、時間がありませんから簡単にお答えいただきたいのですけれども、三十七年にできました新産都市、いわゆる世紀の鳴りもの入りの陳情合戦が行なわれたといわれております新産都あるいは工特に対する計画と実績の乖離が、かなり激しく起こっておると思いますけれども、その実情をひとつ簡単に御説明いただきたいと思います。
  19. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘ございました新産都市それから工業整備特別地域、これの基本計画が策定されましてから約六年を経過しておりますけれども、全般的に申しまして建設整備の状況は、昭和四十四年度末で新産都市で約三九%、工業整備特別地域で三四%の進捗率でございます。これはいわゆる概算の経費での進捗率でございますが、一応こういう面ではほぼ順調な足取りを示していると思いますし、また工業出荷額について見ましても、新産地区では目標額に対しまして大体順調に伸展いたしております。それから工業整備特別地域では、むしろ目標額を上回るような伸展ぶりであると申せると存じます。ただ業種、たとえば工業の業種内容などにつきましては、確かに当初予定しておりました業種があまり伸びませんで、むしろ既存の企業の伸びが——当初予想いたしました業種と少し形が変ってきておるという問題がございます。それから人口問題でございますが、これも新産地区、工業整備特別地域ともに相当の人口集中があるであろう、人口の伸びがあるであろうという考え方に立っておりましたが、これは基本計画の伸び率よりも、約半ば程度の伸びの実情でございます。このような意味計画と実績とでは、確かに先生のおっしゃるとおり、やや乖離が見られるという点がございます。また、これはよけいなことかもしれませんが、当初想像しておりました以上に、公害の問題等がだいぶふえておる向きも明らかに見られるわけでございます。そのような面で、先生のおっしゃいましたように、当初の計画との内容的な乖離が事実上あるということは否定できない事実だと存じます。
  20. 細谷治嘉

    細谷分科員 ちょうど三十九年から始まって、現在中央点をやや後半のほうに走り出している。したがって、中央段階でありますからちょうど中心、折り返し点に来ているわけでありますから、非常に重要な段階でありまして、この辺でひとつチェックをしなければならぬ段階にあると私は思うのです。そういう点からいきまして、確かに工業出荷額は伸びましたけれども、その伸びた圧倒的な部分というのは重化学工業であると思うのです。したがって、いま御指摘のように、たとえば水島地区にいたしましても大分にいたしましても、あるいは工特地区である茨城の鹿島にいたしましても、たいへんな公害が起こっておる。これはもう予想しなかったというのが誤りでありまして、実は予想するにかたくない当初からの問題だったんですが、現実に出てまいっておる。それから生活関連あるいはその他の軽工業的なものについては、かなり伸び率は落ちておる。言ってみますと、重化学工業だけが先行して、その他の生活関連施設なりあるいは軽工業的なそういうものはかなりおくれておる。大きな乖離が起こっておる。そういうことが拠点開発主義をとったこの新産都市の重要な問題点であり、したがって、そういうことから人口分散というものよりも、さらに集中度が加速されておる。この目的の一つであります格差の是正というものは、是正はなされないで、逆に格差拡大になっておるというのが、今日見て重要な点ではないかと思いますけれども、長官いかがですか。
  21. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いま御指摘になったような地域ではなるほど重化学工業が進んでおりますが、私の報告を受けたところによりますと、新産都市と工特の全体を通じてみますと、むしろ計画では重化学工業化をはかろうとしておったところが、そっちのほうはあまり伸びない、むしろ地元の既存工業が伸びる、そういうような点もだいぶ——これは新産都市もずいぶん数がございますから、全体として見るとむしろそっちのほうの点が目立っておる、こういうような状況も見られるようでございます。ですから、これはだいぶ地域地域によって模様が違うのではなかろうかと思われます。ただ、新産都市全体について見ますと、形の上の進捗状況はともかくといたしまして、やはり当初予定したような充実した内容のものになかなかなってきておらない。そしてその結果として、いま御指摘のように、格差を免じているところもあると私は思います。そういう意味においては、今後新全総もできたことでございますから、当時の新産都市が当初考えられた時期とだいぶ違って、新しい角度でやはりそうしたものについての拡充、充実をはかってまいる。これがどうしても必要であろう、こういうふうに考えます。
  22. 細谷治嘉

    細谷分科員 まあ言ってみますと、新産、工特合計二十一あるわけでありますから、たとえばその中の幾つかをとってみますと、おっしゃるような点がありましょう。たとえば生産関連の施設よりも生活関連施設のほうが伸びたところも幾つかあります。幾つかありますけれども、全体として見れば、やはりこの計画のそもそもの目的というのが過密問題を解決しよう、それから地域間の格差を解消しよう、この二つの目標を掲げた地域開発主義をとったわけでありますが、その目的は達せられなかったと総括するのが正しいのではないかと私は思うのであります。達せられなかったということは、言いますと、まあどうも長官はおまえヌアにとっているじゃないかと言われますけれども、私はヌアと言いませんけれども、全体の方向としてはこの目的より逆の面のほうが強く出ておる、こういうように評価してよろしいんじゃないかと思います。いかがですか。
  23. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 先ほど御指摘になった水島とか鹿島とか、やはりむしろ重化学工業化が進み過ぎて、また問題が起ころうとしているところも私はあろうと思います。ですから、これはだいぶ地域によって違うんではないかというふうな感じは持っております、総体的にいうと。しかし、おっしゃいますように、当初の目標というものに照らして見て、いわゆる過密分散という大きな目標から見るとまだまだ足らない点が非常に多い、こういう点は言えると思います。
  24. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこでお尋ねしたいのでありますけれども、新全総計画なり工特地域の開発問題というのは、私は地域開発主義をとっていますけれども、これはある面では、あとで御質問したいと思います全総計画プロジェクト主義と違いまして、私はやはりこれはかなり経済政策だ、こういうふうにとってよろしいかと思うのでありますけれども、いかがですか。——私の聞いたことわかりませんか。
  25. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 経済政策とおっしゃいましたか。
  26. 細谷治嘉

    細谷分科員 そういうふうに理解できませんか。
  27. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 経済問題だとおっしゃる意味ですか、むしろ地域開発というよりも……。
  28. 細谷治嘉

    細谷分科員 私は、今日、地域開発という面とかなり経済政策的な性格というものを新産都計画というものは持っている、こういうふうに理解してよろしいかということです。——そこで、新聞等にも書いてありますけれども、この段階で過密問題というのは解決できなかった、あるいは言ってみますと、今度の四十五年度の国勢調査の結果を見ますと、全総計画の予測一と二というのがありますけれども、私は予測一のパターンのほうを現在も歩いておる、こういうふうに理解しなければならぬじゃないか。こういうことになりますと、この二つの目標、地域間の格差というのは是正されなかった、過密問題というのはやはり解決されなかった、そして公害問題というのを激しく生んでまいった、こういうことになりますと、言ってみますともっと自然保護、環境保護あるいは生活優先、人命尊重という観点から、この新産都計画というのは練り直さなければならぬのじゃないかと考えるのでありますが、いかがですか。
  29. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 確かに、当初予定しておりましたところのいわゆる過密分散という目標に照らして考えてみますると、はなはだ不十分な結果に終わっている。これにはこれでいろいろと原因もあったことでございますが、しかし、そうしたことをやはり改めて、新全総という考え方をとって、新しい角度から発展を求めておるわけでありますからして、大体この新全総のものの考え方にいわば新産都市の問題は吸収されていく。そうして今後の新産都市の進め方につきましては、その新全総の線に沿って具体的にはきめのこまかいやり方をやっていかなければならないであろう、こういうふうにいま考えております。したがって、いわゆる相当前にできましたところの新産都市の総体の計画そのものを変えるというよりも、新全総という新しい見通しができたわけでありますから、この線に沿って実際の実行を進めてまいる、これでいいんじゃないかと実は考えておるのであります。
  30. 細谷治嘉

    細谷分科員 新産都計画というのを新全総計画の中に吸収させるということになりますと、いま私が申し上げた方向とは逆行するんじゃないか、逆の方向じゃないか、こう私は思うのです。現に国土総合開発審議会あたりも、昨年の八月に、公害問題が非常に深刻になってまいった、公害の予防というのを十分配慮した上で新全総を実施すべきである、こういう意見を出しておるわけですが、長官はどういうお考えか知りませんけれども、私が申し上げるまでもなく、この新全総計画というのはプロジェクト主義をとっておるわけでありますから——まあプロジェクト、言ってみますと情報通信網の大きなプロジェクトをやろう、それから工業についての大きなプロジェクトをやろう、もう一つは生活関係、これは新全総計画に出てきた一つの柱でありますけれども、その三つに柱を置いたプロジェクト主義がとられているわけですけれども、この新全総計画は、申すまでもなく産業基盤整備経済第一主義、こういうものに徹した計画ではないか。でありますから、昨年の八月あたり、国土総合開発審議会あたりもきわめて控え目に、公害の予防等あるいは人口分散等過密過疎問題、こういうものを配慮しつつ適切な措置をとっていけ、きわめて控え目であって、ほんとうのことからいいますと、政府もこの間の公害対策基本法の中で経済第一主義はやめた、何といっても福祉なくして成長なし、こういう原点に立ち返ったという以上は、この新全総計画はそういう前提に立って練り直すべきじゃないか、改定すべきじゃないか、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
  31. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 新全総そのものが、むしろその方向としてもう時代にそぐわないというお考えのように感じられましたが、そう理解してよろしいですか。
  32. 細谷治嘉

    細谷分科員 三十年代はともかく、少なくとも四十年代からもう時代にそぐわぬ、政府の福祉なくして成長なしという基本姿勢からも新全総は練り直すべきだ、これが私の考えです。
  33. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 実はこの新全総について、私も予算委員会や何かでも御質問をしばしば受けているのですが、新全総というものは、公害という観点からいって十分考えていないんじゃないかと、いろいろな御質問を受けてきています。  それで、新全総のでき上がりました経過は細谷さんもよく御存じのような状況で、実はむしろ公害という問題を非常に頭に置いて議論が行なわれてきているということが言えると思うのです。いわばこの計画全体が国土の再編成、したがって太平洋ベルト地帯集中しがちな投資というものを全国的に分散するんだ、こういう構想に立った、これはこの計画の最初からはっきり出ていると私は思います。そういう立地的な見地から開発のあるべき姿というものをここに書いておるのでありまして、そしてそのことは、もう個々の公害対策ということは本来の公害対策の問題として扱えばよろしい、しかし、開発とか立地とかいう見地から見て、国土全体をいかに活用するかということがすなわち公害問題にこたえる一つの大きな基盤である、こういうことも頭に置いてこれはできていると思うのです。そういう意味からいいましても、この新全総の考え方自体は決して古いものではない。もちろん一方において、いわゆる情報化社会ということに突っ込んでいくわけでありますから、いわゆる中枢的な機能というものを一定の場所に集積したり、あるいはまた、通信その他交通手段によって、全国的なネットワークということで絶えず情報というものが緊密に連絡がとれるということはもちろん必要であり、いわば全国的な経済というものが有機的に動くこと、こういうようなことが一面において必要であります。そういう意味においての一面集積というものがありますけれども、しかし、物的な施設その他いろいろなものを全国的に分散する、こういうことによって公害の問題も頭に置きながら、国土のあらゆる地域というものをその立場に応じて活用していく、こういう構想でございます。ですから、一方において大きなプロジェクトがその地域において集中するということは当然のことでございまして、いわゆる虫食いというか、さっきも議論がありました小さなものをばらばらにさせるということは避けながら、そしてしかも広く農村にも工業分散させていく、こういうことで、結局それが結果的にいわゆる過密を防ぐことになる。ただ、現実の問題としてなかなかそうしたことができないのは、やはり交通通信網がまだでき上がっておらぬとか、いろいろな条件格差というものを埋めていく努力というものがまだ不十分である、これをこれからやっていかなければならぬ、こういうところからなかなか実効があがってない点が確かに多いのでありますけれども、方向としてやはり新全総の方向で行っていいのではないか、こういうふうに考えております。
  34. 細谷治嘉

    細谷分科員 それではちょっと角度を変えてお聞きしますが、いま新全総というのは、言ってみますと新産都と違って経済政策的な面というのはかなり薄められておる、プロジェクト主義に徹しているんじゃないかと思うのです。これは作成段階で経済の規模あるいは伸びは八・三でしたかね、現状では六十年に達するので……。昭和四十五年でありますが、大体伸び率は、四十五年度ベースで見ますとどのぐらいになればいいのですか。さらに、新経済社会発展計画の五十年ベースで見たらどのくらい伸びていけばいいのですか。
  35. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ちょっといまの最後の点、新経済社会発展計画考えました場合とこの新全総との……。
  36. 細谷治嘉

    細谷分科員 いや、いや……。
  37. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いまのお話、フレームの問題だろうと思うのですが、このフレームは、いま御指指のように八・三%というようなことで一応の試算をいたしております。そこで、このフレームの考え方なんですけれども、一応の試算としてここに数字を出しておるという立場を実はとっております。まあ経済の見通しの問題でございますから、率直に言ってなかなかむずかしい問題でございます。それを昭和六十年までという、相当長期にわたっての話としてわれわれ取り上げているわけです。新経済社会発展計画ではなるほど一〇・六、これについても、いろいろ議論がありましたけれども一応一〇・六ということにしておりますが、これはまだ昭和五十年までの話でございます。それで、昭和六十年までを非常に具体的に数値をきめるということはなかなかむずかしい点があろうと思いますので、一応いろいろなこれからの計算をする上においてその前提としてのフレームの数値をここに掲げてありまして、実はこの新全総の一番の主体は何かというと、この課題それからその課題にこたえるところの対策、こうした中身にあるというふうにわれわれ了解しております。そういう意味において、いまのさしあたっての新経済社会発展計画の一〇%にはちょっと及ばない数値になっていることは事実でありますけれども、昭和六十年までという長いことになってまいりますとそう大きな差もないであろう。多少の差があるかもしれませんが、しかし、それはあくまで一種の試算として、いろいろな数字的な計算をするときの前提としてこれを言っておる、大体こういうことで、むしろ中身はこの文章にある、この課題の設定とそれにこたえる対策にある、こういうふうに従来から新全総を説明してきておるわけであります。
  38. 細谷治嘉

    細谷分科員 フレームの問題でありますが、大体八・三%というのが一応想定になっている。しかしこれについては経済政策というのはほとんどノータッチであります、プロジェクトでいっているのですから。四十年度からずっと伸びてきておりますから、四十五年度ベースですと六十年までにこのフレームの上限に達するには実際は七%前後、その程度経済が伸びれば到達できる、こういう感じになるだろうし、新経済社会発展計画でいきますと、五十年代は五%前後の伸びでフレームは到達できてしまう。こういうことになってまいりますと、新経済社会発展計画も四十七年に改定される計画でどうも作業が進み始めておるようでありますから、新経済社会発展計画という経済政策とこの新全国総合開発計画というものの乖離が非常に極端に目立ってくるのではないか、こういう気が私はするんです。言ってみますとフレームはそうだけれども、プロジェクトでありますから、それを達成していけばいいんだということでありますから逃げられますよ。逃げられていきますけれども、つくられるであろう経済政策とは全く別個のものとして六十年まで新全総計画が走っていくというのは、先ほど申し上げました公害問題と現実に対応できないと同時に、この計画自体としても問題があるのではないか。前の全国総合開発計画だってたいして寿命がなかったわけですね。ですからこういう意味からいっても新全総計画は、根本的なものを含め衣がえをしなければいかぬ。そして私は端的に言いますとこの段階で経済計画と開発計画、こういうものをもう一ぺん高い次元で統合をしたものにしていくべきではないか、こう思っているのですよ。この辺いかがですか。
  39. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御指摘のようにプロジェクト中心にしておりまして、まあフレームは一応の前提ではありますけれども、それがあまり離れ過ぎるということが目立つじゃないかというお話でありますが、この八・三などという数字は昭和六十年ということまでを考えますと、私は決して小さくはないと思っています。今後の日本の課題が、成長というものを徐々に安定化していこうというようなこともございます。ここにとられている数字も非常に長期的な数字で一応の試算の前提にしていまして、短期の五年なら五年でとると別ですけれども、十年とか十五年でとると平均的な値というものはそれほど大きなものにならない。そうしたことで一応の前提としてのフレームではございますけれども、そういう長期的な数字をとっていまのような数字が出ているわけでございまして、全体として新全総の中身がいまの時代に非常にそぐわなくなったというお話のようでありますが、そういう意味からいって私は実はそうは感じないのであります。プロジェクト主義が一体適当かどうかということはあると思いますけれども、率直に申しまして昭和六十年までの経済見通しというものを数字的に確定するということもなかなか困難でございます。したがってあくまでそれはフレームである、こういうことで大きな方向づけをするというところにこの新全総の意義を認めていいんじゃないか。そういう点からいえば今日の問題点を十分網羅してできている、こういうふうに私は考えております。もちろんこれからの長いことでございますから、そしてまたいろいろの問題について大きな変化もあらわれておる段階でございますから、われわれがそうした変化に常に注目をしまして、そうして適当な修正を行なわなければならないときにはもちろん修正を行なうことにやぶさかでございませんけれども、いま直ちにそれについてどうというところまでは目下は考えておりません。まあ全体の方向としては誤りがないというふうに考えております。
  40. 細谷治嘉

    細谷分科員 少しピッチが合いませんけれども、この辺は時間が来ましたからこれ以上議論をしませんが、さっき大臣は、新産都計画なり工特というものは新全総計画の中に統合させていきたい、こういうことであります。現実問題としていろいろな問題が起こっている。あるいはさっきも申し上げたように、人口計画どおりいくどころじゃなくて、残念ながら人口の過密過疎はいよいよ進んでいる。四十年度の国勢調査と四十五年度の国勢調査では若干その様相を異にしておりますけれども、それは公害地区にいっているんであって、人口集中する地域と過疎化が進んでいく地域というのは歴然としておる。そういう状況の中で新全総計画の中での主体というのは、言ってみますと新産都、工特というのは過去のものであって、そして大工業基地という構想が非常に前面に出てきておる。でありますから秋田地区あたりは、もう新産都市なんてやめて大規模工業地帯のほうになだれ込もうかという動きすら出てきておる。岡山の県知事がこの方面の議長をしているんですけれども、政府もどうも公害という落とし子だけ残してあとは適当にやれ、こういうような形で大規模工業基地にいってしまうんじゃないか、新産都をどうしてもっと目的に沿うようにやってもらえないんだとか、こういうことばすら出ておる段階ですね。ですから簡単に統合するなんて言いますと、これは大臣、地方の実情を御存じないおことばになると思うのですね。新産都というものについてのいままでの欠陥がやはり出てきている。目的と違った乖離が起こっておるわけですから、これも検討し直し、同時にこの新全総計画はフレームでありますが、フレームで逃げ切ってはいかぬのであって、やはり経済政策を統合した形でいかなければならぬ。大臣はよく安定成長、安定成長と言うけれども、私は何べんも聞くのでありますけれども、一体大臣は安定成長というのをどの辺をにらんでいるのか。いまは一〇%から一一%の間ぐらいというのだけれども、一九八〇年代、昭和五十年から六十年ぐらいになるとどうも七、八%くらいを安定とにらんでいるんじゃないかという感じもするし、あるいはもっと低いところをにらんでいるのか一向わかりません。ですから安定成長ということばで逃げていってはいかぬのじゃないか。統合するとか安定成長とかあるいはフレームでございますとか、こういう形ではなくてもっと信頼できる、そしてそれについていけばこの地域としてはやっていけるんだ、こういう方針をきちんと打ち立てていただかなければならぬ。同時に、もう時間がありませんから申し上げるのでありますけれども、開発立法というのは、言ってみますと何かのしをつけるようにやたらにできましたが、この段階で立法自体についても整理統合していくことが必要ではないか、こう思っております。この辺の大臣の基本的な考えを伺って私の質問を終わっておきたいと思います。
  41. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 確かに、新産都市を生みっぱなしにしてほうり出した感じが非常に強い、これは各方面で聞かれる声でございます。そういう意味においてわれわれとしては、先ほど申し上げましたようにその後新全総もできたことでございますから、御存じのようにこの新全総におきましてもネットワークの一つとしての地方の中核都市ということの意義、存在というものを重視しているわけでございますから、そういう意味においてもいままで新産都市に向けてきた注意というものをさらに一そう積極的にしなければならぬと私は思います。そしてそれが全体の新全総の過密を防止するという思想に合ってくると思いますから、先ほど申し上げましたように、これはそういう意味において今後新産都市の扱いをどうするかということについては、いままでの方向と違ったものをやはり十分考えていかなければならぬ、そういう意味において具体的な方針を立てていく必要を認めるものであります。その点は具体的な問題としてひとつ取り上げていきたいと考えております。  それからお説のように、昭和六十年あるいはもっと長い目で見ての日本経済方向とかあるべき姿、これは今日五年計画でもっていつも見通しを立てていますからもの足りない点もあります。そういう意味においてこれを模索し、そうしてある意味での見通しを常に持っていくということは、われわれの経済政策遂行上非常に必要なことでございます。そういう意味において、現在のいわゆる五年とか六年とかいうような中期的な見通し以外に、さらにそうしたものについても十分探索をするということは非常にいいことだと思います。まあわれわれもそういう意味の努力は続けていかなければならぬ。私自身としては長期的に見まして一〇%の経済成長というものが一体どの程度続くものか、これも高過ぎるという批評があるように、私自身もこれがいつまでも続くとは思っていません。もちろんこれは段階的に安定化をはかっていかなければならぬという意味において今日一〇%ということになっておりますけれども、経済の各種の条件というものはまた違ってくると思います。そういう意味においてもこの一〇%の成長というものは相当高い成長である、国際的にもそうであるし、今後日本の国内の諸条件から見てもそういう時期がくると思います。まあ具体的なことは申し上げられませんが、そうした感じを持っております。  いずれにしましても、私は細谷さんのおっしゃる点はよくわかります。全体としての経済方向経済政策というものともう少し結びつけたプロジェクトであってほしい、こういう御希望でありまして、そういう意味においてはこれをすぐ一体化をするということはなかなかむずかしいが、両方を進めていくことによって、できるだけこのプロジェクトというものがあまり抽象的なものにならないようにこれをやっていかなければならぬ、こういう感じを強く持っております。今後私としてそういう点は検討したい、こう考えております。
  42. 細谷治嘉

    細谷分科員 立法の統合については……。
  43. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 立法の統合問題は、実は検討しているのです。ただ、いわゆる一番基本になる、それらの地域開発法の基本になる国土開発法、このあるべき点から検討したいというので、まずそこの検討をいまやっておるところでありますが、いま御指摘の点はわれわれの一つの長期的な目標として、まず国土開発法から手をつけて、そうしていま御指摘のような点も考えていきたい、こういうことで今後のいわゆる整理あるいは統合という点を検討はしております。
  44. 登坂重次郎

    登坂主査 次、有島重武君。
  45. 有島重武

    有島分科員 今国会の審査の中でもって薬価の問題がクローズアップされまして、国民の注目を集めました。厚生省の定めております薬価基準は不当に高い、これが健保の赤字の大きな要因となっているという指摘は久しくされておりましたけれども、その解決はまだされていない。私は薬業界の実情ということに照らしてみて薬価基準の引き下げは可能である、薬価基準の引き下げをしなければならぬ、そういった観点からきょうの御質問をしたいと思います。こうした国民生活にいま重大な影響を持つ医薬品の価格をめぐって、時間もわずかでございますから基本的な最も重要と思われる二、三の点だけはっきりとさせておきたいと思うのでございますけれども、こまかい問題につきましては後日のいろいろな委員会に譲るといたしまして、きょうは問題の大筋については責任のある御回答を得たいのであります。  第一番目に、医薬品の流通段階にはメーカーと卸売りとそれから薬局や医家、このほかに現金問屋というブローカー的な存在がある。それが一つ。もう一つはそれに伴いまして薬価については厚生省の定めている薬価基準、それからメーカーの卸売り価格、そのほかにC価格とかS価格とかいわゆる貴店行きの価格というものがある。こうした三つの種類の価格がある。そのほかにいわゆる卸売り相場という実勢価格、裸正味価格というように言っておるようでありますけれども、こういう価格が存在しておる。こうしたことは公然の秘密といいますか、周知の事実となっているわけでございますけれども、このことにつきまして厚生省とそれから公正取引委員会との御見解を承っておきたいわけなんです。特に公正取引委員会に対しましては半月ほど前に資料をこちらからお渡しいたしまして検討を重ねていただいておると思いますので、はっきりしたお話を承りたい。
  46. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答えいたします。  先生がお示しになったのは、薬界速報に載っておるのがもとではないかと思いますが、薬界速報によりますと、たとえばアリナミンF二十五ミリグラム卸売り相場が七万八千円となっておりますが、卸売り表示価格は十万八千五百円というふうになっております。これがいわゆる景品表示法の不当な二重価格表示ではないかという御質問だと思いますが、景品表示法ではこれは法律に書いてありますように、一般消費者に誤認される表示をしてはならない。価格の場合でありますと、価格について著しく有利であるというふうに一般消費者に誤認される表示を不当表示として禁止をしておるわけであります。ですから対象は、一般に対して誤認を生ずるかいなかということでございます。一般に消費者というものは商品の品質とか価格につきまして必ずしも十分な知識を持っていないわけでございます。虚偽のまたはまぎらわしい広告表示によりまして容易にだまされたりあるいは誤った理解をするという傾向があるということで、このような不当表示を規制していくということが法律の趣旨だと思うわけでございます。  御質問の卸売り表示価格というのは、このアリナミンFの場合は医家向け、お医者さんが対象でございまして、一般消費者に対する表示というふうには認めがたいわけでございます。景品表示法の問題になるかどうかは疑問ではないか、かように思います。
  47. 松田正

    ○松田説明員 ただいま先生おっしゃいました流通経路はおおむねそのとおりだと思います。ただ医薬品の場合は非常に複雑な経路を持っておりますので、ことしその実情を調査する、こういう予定で予算も組んでおるわけであります。
  48. 有島重武

    有島分科員 公正取引委員会の不当表示には必ずしも当たらないというお話、これは私は不当表示には当たらないけれども、ではほかの問題はどうなのかということを、なお問題に残すべきだと思います。それでもって、きょうは時間がありませんから、こまかい詰めばまたの機会に譲ります。あるいは時間が余ったらまたやります。  それから厚生省、現実の現金問屋というものがある、そのとおりである、これについては調査費をつけて今後調査をしていくというわけですが、こうした卸相場、こうした現金の相場があるということについてはどのように考えていらっしゃるのかということ、その見解を聞きたいわけです。
  49. 松田正

    ○松田説明員 先生御質問のアリナミンFということでございますが、これは医療用医薬品でございます。したがいまして医療用医薬品の価格と申しますか、これはいわゆる薬価基準ということで定められておるわけでございます。この薬価基準が、いわゆる流通をいたしております実勢価格に若干相違があるということも御指摘のとおりでございます。したがいまして厚生省といたしましてはこれを毎年一回卸の価格を調査をいたすことになっております。ことしも二月を対象にいたしまして、三月に入りまして調査をするわけでございますが、その調査、すなわち市場価格を再調査をいたしまして薬価基準を策定する、こういうことでございますので、そういうふうに卸価格が先導してまいりますれば、当然薬価基準にも反映される、こういうことでございます。
  50. 有島重武

    有島分科員 いまおっしゃったのは、こちらの言ったのをすりかえたと思うのですよ。卸売り価格と薬価基準の問題、その話じゃないのですよ。現金相場との話なんですよ。それで次へいきます。  いわゆる現金問屋というのは、現品添付を回収して、そうして売買するということでもって成り立っておる。そうした事実についての、これは厚生省経済企画庁との御見解を承っておきたいと思うのですね。これについては製薬企業懇談会というところの報告がある。これは厚生省なんかも御承知だと思います。この製薬企業懇談会というのは武田はか全部の製薬会社が加入しているわけでございます。それで、この中に現金問屋の性格というものが明記してある。薬屋自身も認めておる、そういうものでございます。こうした現品添付を回収して、それを売買するのを商売としている、そういうようなものがあるということについての御見解。どのようにそれをお考えになるか、経済企画庁長官お願いいたします。
  51. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この現金問屋というものが現実にあるわけでございますが、これは戦後の若干経済が混乱しておったような時期に、特に統制下にございましたわけでございますが、いわゆるやみ屋というようなものが発生をいたしまして、それが卸売り業者等の過剰在庫、そういったものの投げ売りの薬を仕入れまして、売っていくというような形がだんだん大きくなって、ある程度のものになっておる、こういうことのようでございます。薬の全体の流通の中で占めます割合からいきますと、五%程度で、そう多い量ではございませんけれども、ただいま申しましたような形で流通が行なわれますために、価格の面では必ずしも普通の経路と同一のレベルで比較するということは適当でない面もあると思われます。いずれにいたしましても医薬品の流通という問題は、先ほど厚生省のお話もありましたようになかなか複雑でございまして、いろいろ問題もあるというふうに見ております。これはその適正化という方向で今後ともわれわれも努力していかなければならないと考えている次第でございます。
  52. 松田正

    ○松田説明員 現金問屋が存在をいたしておりまして、経済企画庁のほうからもお話がありましたような流通の実態であることは承知をいたしております。ただ、その内容がどういうものであるか、またどういう方法等で流通をいたしておるかにつきましては、今回の調査で明らかにいたしたい、かように考えております。
  53. 有島重武

    有島分科員 今回の調査で明らかにするとおっしゃるけれども、そういうことはすでに御存じなんじゃないですか。ここでもって知らないからこれから調べますというようなかっこうはいいけれども、そういうことは御存じなんだ。その上でもって昭和四十五年十二月十四日付でもって医家向け医薬品の現品添付は禁止された。ところが現在なおその現品添付の回収業である現金問屋が存続をしておる。現金相場は卸売り価格とは別に一つの実勢価格として業界で行なわれておるし、この薬界速報というのには現金相場など出ておるわけでありますけれども、これは四十六年一月十一日付ですよ。まだ新しいのもありますよ。こうした事実について厚生省はいまどう思うのか。ここでもって厚生省側のおっしゃるそのことによって、これからの調査の方向が定まるわけだ。調査をなさるのもけっこうです。どういう方向でもって調査をなさっていくのか。せっかく調査費をお使いになるのですから、その方向はもういままでの経験でずっとあるわけです。定まっていらっしゃるだろうと思うから、私はここで見解を聞いておきたい。その余のこまかいことについてはまたの機会でよろしい、こう申し上げておるわけです。
  54. 松田正

    ○松田説明員 医療用医薬品につきましては、薬価の実態調査をいたします際に、そういう現金問屋の医家向けの流通量も当然調査の対象としております。今回予算を計上してお願いいたしております調査は、現金問屋を含めました卸の流通経路を明らかにする、こういうことでございます。
  55. 有島重武

    有島分科員 ちょっとはっきりしないのだけれども、どういう方向で調査をなさるのか、もう一ぺん伺いたい。
  56. 松田正

    ○松田説明員 薬の流通のまず経路の実情を明らかにする、これが第一点でございます。それから同じ卸と申しましても、一次卸もありますし二次卸もある。またそのサイドには現金卸があるということもわかっておりますので、その辺の荷の動き方、これはどういうふうになっているか、それからさらにその段階におきまして物の価格はどういうふうに動いているか、こういうことを中心にして調査をすることになろうかと思います。
  57. 有島重武

    有島分科員 それで現品添付がもうすでに禁止されておるのだ、そういったことが一つございますね。それで先ほど公取のほうからは一部ありましたけれども、ずいぶんだくさんあるわけなんですよ。  一つ二つあげてみますと、先ほどあった武田薬品工業のアリナミンF二十五ミリ、薬価は御承知のとおり十一円三十銭、だから一万錠で十一万三千円です。これが卸売りは十万八千五百円。それからいわゆる貴店行き価格、C価格、S価格といわれるものが十万五千四百円。これについての相場というのは七万八千円ですよ。この相場と卸との比率というのは三九%もある。それから貴店行きにしても三五%の値開きがある。もう一つ極端な例でございますけれども、三共のビオタミン二十五ミリグラムなんかになりますと、卸売り価格が一万錠十万三千円です。これは基準は十円五十銭ですか、これが、その相場ですと四万二千円というわけですよ。一四五%のことになるのです。こういう極端なことについて、厚生省は、調べる前から御存じなんだと思いますけれども、これからお調べになるという。こういった事実があるということについてもう一ぺん経済企画庁から御見解を聞いておきたいのです。
  58. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 医薬品についての価格の形成ということはなかなかいろいろ問題があるという御指摘でございますが、私どものほうでもこういった面については、かなり関心を持っていろいろ調査なども見ております。そしてこの問題に対する取り組み方としては、一つは今度厚生省が打ち出されました医家向けの薬についての現品添付禁止という形で措置がとられるわけでありますが、これは当然価格の引き下げという結果になってまいると思います。さらに一般の消費者向けに売られる価格と医家向け価格というのが違うという問題もございますが、こういった面についても公正取引委員会といろいろ関係機関の御努力を仰ぎまして、だんだん是正していかなければなるまいと思っておる次第でございます。一方再販問題というのもございますから、そういった現在のいろいろの問題につきまして取り組んでいきまして、そして価格表示、価格形成が適正に行なわれるようにわれわれとしては努力をしてまいりたいと思います。
  59. 有島重武

    有島分科員 いまおっしゃいましたように、これは価格の引き下げにつながっていかなければならぬ問題だ。  それからもう一つ医家向けと一般向けの価格のバランスの問題もあることでございますけれども、価格競争に反映しないで、添付という姿をもって価格競争をしてはいけないのだということになったわけですね。これは全般の一つの見解ですね。にもかかわらずまだこういうことが絶えない。しかもこんな大幅なことが行なわれておる。これがまた薬価基準の下ざさえになっておる。先日物価の連合審査でもって申し上げたことと重複いたしますけれども、今後の物価政策ないしは消費者運動について、コストアップという一面ずっと大衆の目を集中していくという行き方では限度があるので、引き下げを下ざさえする要因を厳重に追求していかなければならないのではないかということを企画庁長官に申し上げたと思うのでございますが、この場合も薬価基準の価格が、最近三%、五%引き下げにはなりました。値下げされているというのだけれども、実勢はほとんど変わりございません。こうした業界における現金相場というのは七円三十銭、七円五十銭というところでもって、ほとんど変動がない。こうした点について、先ほど不当表示じゃないという話がありましたが、公正取引委員会としてはどのようにお考えになりますか。
  60. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 医家向けの医薬品の中には、実質的に内容が一般向けの医薬品とほとんど変わりないものもあるのじゃないか。これは具体的に調査しませんとわかりませんけれども、医家向け医薬品については、現在再販売価格はできないことになっております。ただ、それと実質的に同じような内容の一般向けの医薬品については、これは再販価格がある場合がございます。そういう場合に、同じようなものについて、医家向けのほうが非常に安くて一般向けのほうが非常に高いというような場合には、われわれいま検討いたしておりますが、具体的な四条の二の運用基準について早急に結論を出そうということで検討いたしておりますけれども、そういう場合は一般消費者の利益を不当に害するのじゃないかという観点から、具体的な運用基準ができましたらそれに従って何らかの規制を加えてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。具体的に申し上げますと、値段が高いということについて合理的な理由がなく、かつ、一般消費者の利益を不当に害すると認められる場合には、これは規制を加えていかなければいけないのじゃないかというふうに考えているわけであります。
  61. 有島重武

    有島分科員 先日も予算委員会のほうでわが党の渡部通子が質問した際に申し上げたように、薬の値段が安いほうがいいということは、それはちょっとわかりません、そういったこととはちょっと別なんです。ここの問題は、最初に申し上げたように薬価基準が不当に高いということになれば、これは健保にどのくらいはね返っておるかということの問題になるわけなんです。一般消費者といいましても、これは野菜や何かと違いまして、相手は御病人であり、それをささえている国民全部になるわけなんですよ。ですから、ややいまの一般消費者に不当に損害を与える、不利益になるというような言い回し方がそのままでいいかどうか。その点もよく研究しておいていただきたいわけです。ちょっと違うわけですね。それから先ほども、これは一般消費者を不当に誘引するというような言い回しには当たらない、四条二号のようなことにはならぬ、それはそうでしょう。みんな専門家がやって厚生省が認可を出すのでしょう。それですから、みんなそれは知っている連中だからそれはならないかもしれませんけれども、われわれ、しろうとには条文のほうはわからない。そういうことをさらに突っ込んで検討していただきたいし、それからただし書き条項のようなものをつくらなければならないときにきているのじゃないか、それをお願いしておるのですよ。これは健保の問題も国をあげてのたいへんな問題だといまいわれているのですから、それはぜひやっていただきたい。それで経済企画庁長官、なかなか答えていただけないのだが、厚生省が添付禁止したが、必ずしも薬価の引き下げには連なっていない。かえってこれが大手メーカーを守って、中小メーカーを圧迫していく方向になるのじゃないかという見方も出ているわけです。こうしたような一つの禁止のことが、変なふうに逆用されることのないようにしなければならないと私は思うのですけれども、そういった点について、経済企画庁長官、どういうふうにお考えになりますか。
  62. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私も実態がよくわかりませんが、いまお話を聞いておりまして——もちろんせっかく添付を禁止しても、その結果としていわば引き下げに連ならないというようなことでは困るわけであります。そういう場合に一体どういう方法があるのか、ちょっといま私も具体的にお答えできないのでありますが、一つは行政指導を十分にやってもらわなければならぬと思います。それからあるいは二重表示あるいはやみ再販というような問題に連なる実態を持っておる場合に、これは当然公取委員会で十分にそれのチェックをしてもらわなければいけないし、いずれにしても、現在の体制のもとにおいてできるだけ不当な利益というものがそこから生まれてこないように、これについてはもちろん政府も十分関心を持っていかなければならない、こういうように思っております。
  63. 有島重武

    有島分科員 最初に申し上げたことでもってこれは結論になりますけれども、こうした事実、事実だけれどもこれから調査すると言っていらっしゃいます。長官も事実をよく知らないということでいらしゃいますけれども、こうした事実はゆるがないことでございますから、第一番にやらなければならないことは、どうしても薬価基準の引き下げということ、これだけはひとつお約束いただきたい。いかがでございますか。
  64. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私もよく実態をつかんでおりませんが、もう少し、ひとつよく実態を知りたいと思います。そうして、その上でもってそこに不当なものがあれば、これは当然われわれとしても担当省である厚生省にも強く要望して、そうしてこれの是正について話し合いをしなければいかぬ、こう思っております。
  65. 有島重武

    有島分科員 しつこいみたいだけれども、是正方について話し合いをなさる。その是正の話し合いは、薬価基準の引き下げを目ざして努力をしていただきたい。そのお約束をいただきたいわけですよ。
  66. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは、実は財政にも関係してくる問題でありますけれども、一般的に薬の値段のきまり方というものが、流通機構が複雑なために、率直に言うと必ずしも実態がつかめてない。厚生省でさえこれをいま調査をしよう、こういうことであります。そこで、われわれとしては、その実態に応じて結果が出てくるでしょう。そうして、もしもそれが何らの理由なしに不当な利益を医薬品のほうの関係者に与えるということなら、これは当然引き下げを要求するのはいわばあたりまえであろうと思います。そういう意味において、厚生省も当然そのつもりで調査をしておられるであろうと思いますけれども、われわれとしてはまた物価の見地から、また財政の見地から、いろいろな角度から当然引き下げ問題を要求しなければならない、こう思います。
  67. 有島重武

    有島分科員 これ以上またこまかいことは時間がかかりますから……。  最後に、いまおっしゃったことで一つ気になるのは、何らの理由もなしに高くなっているなんというようなことを言われましたけれども、そういうことは、ものごとはみな存在理由というのが少しはあると思うのですよ。ですから、そういうことを言われるとやっぱりまだ心配になるのですよ。
  68. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 それは気になさらぬでだいじょうぶですよ。
  69. 有島重武

    有島分科員 それじゃ、ぜひとも薬価基準の大幅引き下げに努力されることを要望いたしまして、質問を終わります。
  70. 登坂重次郎

  71. 川端文夫

    川端分科員 企画庁長官にお尋ねしたいわけですが、物価の問題を基本にいたしまして少しお尋ねしてみたい点があるわけです。  そこで数ある大臣の中で、その問題に対してはかなり熱意をお持ちであると信頼しておる企画庁長官であるが、先日の委員会の所信表明においても四十五年度は七・三%の値上がりを認めざるを得ない。四十六年度は五・五やむを得ないというような数字が所信表明の中に入っておったわけですけれども、七・三といえばわれわれの預金、いわゆる一年ものの定期にしても五・五の利子しかつかないわけですから、七・三というのは異常な値上がりではないかというふうに私どもは言いたいわけです。そこでこれらの値上がりの原因に対して、はたして現状における法律なり行政指導だけで問題が解決つくのかどうか。この点がどうもお説教だけされているように——あなたは評論家でないので担当大臣でもあるわけですから、そういう希望的な観測ではなしに、具体的に何をしようとされておるのか。四十二年度の消費者基本法成立以来、依然として物価が毎年上昇していることに対処して、やはりこれをしなければ抜本的な解決にならぬという何かお考えがあるはずだが、最初にその御所見を承ってみたいと思うわけです。
  72. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私はかねがね申し上げているのですが、現在の高い経済成長のもとにおいては、これは経済学者一般も認めておるところでありますけれども、どうしても高い物価というものが実現する。そこでやはりその成長と物価とのいわゆるトレードオフ関係といわれておりますが、その関係はこれを認めざるを得ないであろう。もちろんそれの具体的な幅については、そこにやはり政策的な努力によって違いも出てきますし、そういう点でいわゆる数字的に別に固定したことではありませんが、大きな流れとして、あまり経済成長が高いと物価はどうしても上がるということも基本考えざるを得ない。と申しますのは、やはり六十カ月に及ぶところのこの高度成長というものが加速度がついてきて、そうしてこれが物価上昇の非常な基本になっておる、これはいなめないと思います。そういう意味で、われわれとしてはかねがねこの成長というものをまずある程度安定的なものに直していかなければならない。この基本がなければ、ほかの対策をやってもなかなか実効があがらない。そういう意味において、まず軌道を修正するという意味においてできるだけ成長を穏当なところに持っていく。労力から見ましてもその他あらゆる経済の諸条件から照らしてみて、日本の現在の条件に比してあまりにも無理な成長というものは、これは全部に対して無理を起こしひずみを起こす。その最大のものは物価である。そういうことを考え合わせまして、やはり軌道の修正をやる、そしてできるだけ成長率を安定的なものにまずおろしていく、こういうことだろうと思います。そしてもちろんそのときにわれわれとしても注意を要する点は、最近いわれておりますように、消費者物価の上昇の中にはいわゆるコストプッシュという要因もだんだん強くなってきておる際であるから、昔のようにただ引き締めをすればすぐ下がるというものではない。卸売り物価は御存じのように他の要因も加わっておりますが、やはり引き締めによって相当鎮静化してきていることは事実でありますが、消費者物価に対しては非常にタイムラグがある。そういう意味において、ある時間の経過というものがやはり必要になってくる。そうしてまた今度は引き下げ方にもよるのでありますけれども、ある程度景気が落ち込んでまいりますときに、やはり物価高というものがどうしてもあらわれがちであるから、そこにまた留意をしなければならぬ。そして現在そういう引き締めを通じて安定的な環境をつくろうとしておるわけですが、そういうときに、いままでの高度成長のツケが回ってきている。この高度成長のツケというものは何かというと、やはり賃金の上昇というものがどんどんと起こってくる、こういうことであろうと思います。そういうようなことで、今日の物価高にはそうした基本的な点があるということを十分認識して、これからの物価対策を立てていかなければならぬ。もちろんその中には、たとえばやや特殊なものもあります。生鮮食料品というような問題については、これはそうした全体の経済情勢の中とは無関係ではありませんけれども、しかし、特に日本の場合には、この生鮮食料品高というものにはいろいろな特殊な原因が加わっておる。ですから、そうした特別のものについては、しかも相当比重の高い重要な問題ですから、これは個別対策として生鮮食料品の価格をどうやって安定させるかということについては、特別の集中的な努力を、それはそれでしなければなりません。いつも言うのでありますけれども、今日の野菜の値段が高いのは、流通の問題、いろいろとありますけれども、基本は何といっても絶対的な供給の不足であります。この供給の不足ということを放置しておいて、いろいろな小手先の価格対策をやっても安定するわけではありません。何よりも物をふやすことが野菜に対しては大きな政策で物価対策である。そういう意味において、いまできるだけ生産の、供給の安定をはかっていく、これは現在一番問題になっている野菜の問題についての一つの大きな方策であろうと思います。それから生鮮食料品等についての価格対策は、そういう個別的な対策を進めることで農林省中心——まだ十分とは言えません。これを強くわれわれも要求しているわけでありますが、そのほか、最近におきましては特に繊維製品であるとか、それからその他のいろいろなサービス料金であるとか、これが上がってきております。これらは、いずれも人件費が高くなったということを理由にして、あとからあとから値上がりが生じてきておる。これについては、先ほど申し上げましたような全体の経済というものを、環境をもっと安定した、鎮静化したものにしていくということを基本にして、今度はそれぞれの問題がございます。流通機構にも問題がありますし、そうした問題をやはり個別対策としてほぐしていかなければならぬと思います。それから野菜問題等にもあらわれておりますように、やはり急激な経済成長によって消費需要というものは非常に急激に膨張しておりますが、それに対して生活必需品なんかで供給が十分に追いつかないものについては、野菜に限らず供給をふやさなければなりませんが、そうした方面についての投資がやはり従来不十分であった。そうしたものについては、生産性の低い部門についてやはりもう少しさらに投資をしまして、そうしてその合理化なり供給の安定をはかっていかなければならぬ。そうして全体として、やはり流通機構も含めまして、競争、いわゆる自由競争の原理というものができるだけ働くようにしてまいる。それには競争を阻害するような諸条件を排除していかなければならぬ。再販の問題もありますし、あるいは大企業については管理価格の問題等も問題になってきております。また、ただ国内的にそういう対策について進めるよりも、何よりもやはり一番輸入を自由化し、そうしてそれによって各方面に刺激を与えることによって、いまのような自由競争の原理というものをできるだけ実現する方法がある。こういうことで、あといろいろと、いわゆる構造対策といい、競争対策といい、自由化対策といい、いろいろなものを、やはり考えられるものはすべてやってまいる。そして過渡的には、価格の一部でありますから、ただ機械的に抑制することはできませんけれども、しかしその中にあって、やはり公共料金というものについては特別に抑制するような考え方で臨み、そして安易な値上げというものを許さないというようなことで、現在の物価対策というものは、いろいろな角度から、できるだけのものを進めてまいる。全体の環境というものを鎮静化した中においてそうした政策をやっていく。それが鎮静化した雰囲気の中で初めて実効を奏してくる。そういうふうに私たち考えて、及ばずながらできるだけの政策努力を進めてまいりたい、こういう考えを持っておるわけであります。
  73. 川端文夫

    川端分科員 いまの御答弁、かなり長く御説明いただいたわけですが、異論があるわけですけれども、時間の制約もあるので——たとえばコストプッシュの問題に対して所得政策導入の考え方、いわゆる賃金問題に対しての考え方もお持ちのような気持ちで何かお答えされているようにも思うけれども、この問題を話していると長くなりますから、これは別の機会に譲るとして、たとえば、そういういろいろな問題でなくて、結果として物価にはね返る原因をつくるものが幾つかあるのに、しかもそれは政府の手においてかなりの手を打てるようなものに対して、いまだに、結果を見てからという、言うならば、昔からいわれている、どろぼうを見てなわをなうような施策が多いように思うんです。たとえば先日来問題になっている原油の、いわゆるOPEC諸国の値上げの問題からくる値上げの問題は、当然はね返ってくるわけでしょう。これらの問題に対して、日本は避けて通ることはできない。こういう問題に対して、いまだ具体的な手を打とうとされていない。しかしそれは当然物価にはね返ることは必然的ではないか。私は、このエネルギー政策の問題は商工委員会でまた別の角度で質問いたしますけれども、物価を一つ考えてものを考えた場合においてみても、この原油の値上げが企業努力だけで吸収できない一面があることに対して、政府は成り行きをごらんになっているようにしか思えない。先取り、前向きの、いわゆる資源開発等に対してはいろいろのビジョンを出されておるけれども、当面の物価の問題にはね返ってくるであろうという問題に対しての具体策の用意がなされていないように思うのだが、この点はいかがですか。
  74. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 経済政策の中でも、物価政策というのは、ほかの政策とはまた格別なものであろうと思います。特に心理的な影響などというものは無視できないものであります。確かに皆さまが御心配をなさることは当然でもありますし、その気持ちもわかるわけでございますけれども、まだ交渉中であったり、はっきりとどういうことになるかわからないような問題についてあまり騒ぐというのは、私はどうかと思うのです。もちろん政府自体としては、やはりそうしたことがきたときの心がまえというものは御指摘のように必要でございます。しかしできるだけやはり国際資本に対して、がんばってもらわなければなりませんし、それからまた、さらにその上でもって今度は企業努力による吸収ということも十分にわれわれとしては期待しなければならぬわけでございますから、いまからそれについていろいろな具体的なことについてどうしろ——中身は、御質問の御趣旨は、必ずしも私はよくわかりませんけれども、たとえばどういうことをお考えの上でのことかわかりませんが、われわれとしても十分心がまえというものは持っていなければならぬが、われわれとしては、今日、できるだけひとつ国際資本に対して強い態度でもってこの交渉に臨んでもらうということが、やはり現段階における問題である、そういうふうに考えます。
  75. 川端文夫

    川端分科員 話はきれいごとでは済まぬ現実が起きているわけです。国際資本の石油価格に対してのこれからの交渉のあることも十分わかっているわけですが、そういうさなかにおいて、先日の新聞報道によれば、インドネシアのミナスの原油に対しては五十一セントですか、もう値上げを認めて契約をしているという事実の上に立って、これは必然的にやはり、国際石油資本とどのような交渉を続けても結果としては値上げは避けられない、こういう問題を頭に置きながら考えても、昨年灯油等に対しては十月と十一月に五百円ずつ二度値上げされておるわけです。これは輸送運賃その他の事情があるというものの言い方ではあるけれども、現に上げておるという事実があるわけです。  さらにもう一つ見のがしてならぬのは、この三月一日からあるスタンドにおいてはガソリン二円、灯油一リットル一円という値上げを発表して値上げ準備を進めておるところがあるわけです。     〔主査退席、松野(幸)主査代理着席〕 したがって、一リットル二円といえば一バーレル三百八十幾らになるわけです。こういう値上げをすでに予測して、原油が上がるであろう、やがては上げなければならぬのなら、私をして悪く解釈すれば、いまのうちに小幅に上げておいて、さらにまた上がった時点でまた上げるという意味で二段がまえで上げようとしている。この事実は都内に明らかにあるわけです。こういう事実に対して、これはまだ国際石油資本との折衝が残されているからわれわれはものを言うべきではないとか、しかも先日、あなたではないけれども、新聞を見れば通産大臣が、これを値上げするならば石油事業に対してはめんどうを見ないというような強い態度をお示しになっているけれども、何らの法的な規制もない今日の石油製品に対して、三月一日から値上げを発表しているのですよ。このことを御存じなしに、まだ交渉中だからというだけで放置しておいていいのかどうか。物価の問題、先日来生鮮食品やいろいろな問題で質疑があったことと重複を避けて、きょうはものを言いませんけれども、日本のエネルギー産業の基礎的な石油がもう値上げをされるという必然性の上に立って、小売り商店では値上げを発表しているこの事実に対して、結果が出てからというのではあまりにも政治不在と言われてもやむを得ないんじゃないかと思うのだが、これはいかがでしょう。
  76. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 個々の消費者価格にまでもちろん政府が介入する力はありません。でありますから、政府として持っておる力を発揮する以外にないのでありまして、通産大臣の言うように、石油についてはずいぶん保護も与え、事業法も持って規制もしておる産業でありますから、そういう意味において通産省としての行政指導の行なえる面は十分あります。そういう意味でできるだけのものを行政指導をやっていこう、こういう気持ちで言ったのだろうと思います。私たちもその点はできるだけその方向でやってもらわなければならない、こういう考え方であります。ただ、何もしないといいましても、もちろんできるだけのことをする。その上で、あとは全体の物価対策でこれをやっていく以外にないわけであります。ですから、まず何よりもメーカーができるだけ企業努力で吸収する、そしてまた、そうしたことを頭に置いて行政指導をやってもらう、こういうことに尽きると思うのです。目下考えられる方策としては、具体的にはその行政指導をやる以外には私はないと思っております。そういう意味において、われわれも率直に言って頭の痛い問題です。個々の問題、スタンドが上げるということについていまこれにストップをかけるというような手段がないわけなんです。全体としてメーカーの段階からできるだけ値上げを押えていく、こういうこと以外にはないと思います。もちろんもし公共料金に事が関係することになれば、これはわれわれとして公共料金の引き上げを認めない、こういう強い態度で臨むつもりでおります。
  77. 川端文夫

    川端分科員 そうであるとするならば、公共料金等に対してはわれわれは強い監督の責任もあるし、指導もできるが、一般小売り店の個々の値段に対してはわれわれは力がないというお話を承ってよろしいわけですね。そうであるとすると、私はものには結果、原因があると思うのです。私はまだ各石油会社の内容を調べておるわけではないけれども、伝えられるところによると、年間大体八百億円かの収益を持っているようでありますが、今度の値上げをほんとうにそのまま受け入れるとすれば二千億をこすに至るのではないか、こういわれているのですが、こういう事実の前に、はたして企業努力だけで消化できるという前提に立って指導だけでよろしいのかどうか。この点もう一辺承っておきたいと思います。
  78. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 もちろん直接指導のきく面についてのお話を申し上げたんで、間接的にもしこの指導が期待できるものなら、できるだけその方向でわれわれも要請しなければなりません。でも、その上でいまあなたのお話しになりましたような点があった場合、もちろんこれは今日において自由価格になっておるものについてはわれわれとしてはいま直接に手段はない。でありますから、結局全体としての物価対策の中にこれを織り込む以外にはないわけでありまして、その他の具体的な個々の問題となると、やはり与えられた行政指導をフルに発揮する、これ以外にはないと申し上げられると思います。
  79. 川端文夫

    川端分科員 現行法において機械的にお答えになればそういうお答えになるのではないかと思うのですが、いわゆる石油に対して日本政府がいろいろな名目で課税している課税収入から考えると、大体過去五年間に三兆三千億ばかりの収益をあげておることになるわけです。しかも今回の値上げに対してOPEC諸国は、消費国というか、これの買い入れ国は自分たちから安く買って、国の税制の上においても産業振興の上からいっても、両面から利益をあげているではないかということを強く主張したと伝えられているわけですが、物価というものに本質的に真剣に取り組むならば、これらの問題ももう一ぺん考え直す必要があるのではないか。四十六年度の予算に総額一兆二百九十六億円という数字をあげていま提出されておるわけですが、もしこのOPECの値上げがそのままわれわれ消費者にかかってくるということになれば、必然的に消費者価格を上げざるを得ないか、税制等において考えるか、二つの道しかないように思うのですが、これはどういうふうにお考えでありましょうか。
  80. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私がさっき申し上げたのも、つまり、御存じのように石油製品は非常に複雑でございます。でありますから、一体どういう製品にどういう形で転嫁がはかられようとするか、これも方向は目下のところはさだかではありません。いろいろな製品があるわけでございますから、そういう意味において、税金に関係する製品とそうでない製品とどういうことになるか、これはまだ全然現在のところ予想がつかぬわけであります。そういう際に私たちがそうした問題を取り上げるということは私は適当でないと、少なくとも現時点においては思っております。  それから長い目で見ての議論ということになりますれば、これは結局、価格の問題というより税負担をどうするかという問題でございます。価格プラス税、消費者の負担が全体としてこの程度になった場合にそれをどうしたらいいか、こういう問題でございます。さっきお話しになったように、その前にまず価格の問題が具体的にあらわれてくる問題である。あるいはそのときに消費者の負担という立場から、現在の税をどうするかということをあらためて判断をする問題があろうと思います。ただ、なるほどOPECの諸国では日本は非常に税金が高いということをいっておりますけれども、これは諸外国ひとしく相当取っておることも事実でございますから、はたしてそうした角度だけから税負担の問題を取り扱うことが適当であるかどうか。これはもしも上がるという場合、上がり方にもよるでしょう。そうしたものをいろいろと十分検討した上での話でありまして、いまからそうした点を議論するというのは適当でないのではないか、こういうふうに考えております。
  81. 川端文夫

    川端分科員 それでは角度を変えて、今年度の物価指数の見込みに対して、五・五%以内におさめたい、こういう大臣の所信でもあるわけですが、いわゆる原油値上がりに伴う石油値上がり、これは石油のみでは済まないと思うのです。化学製品とかいろいろな点で波及していくものがたくさんあるはずですが、これは織り込み済みなんですか。
  82. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 物価指数の全体の問題を考えるときには、別に個々の価格の積み上げ計算をしているわけではありません。また国際価格についても、石油だけでなく、運賃が上がっているとか、上がり下がりはたくさんございます。そういう意味において個別のものを考えているわけではありませんから、特にわれわれとしては、石油の問題は頭の痛い話であることはわかりますけれども、別に五・五と結びつけて考えてはおりません。ただ五・五を実現するためにさらに一つの非常に困難な条件が加わってくる、それはわれわれも心配をしております。そういう意味において、これは全体としての価格政策を進めていくという以外にないと思います。
  83. 川端文夫

    川端分科員 企画庁長官も、言うなら経済の動向の見通しに対して非常に御心配いただいておることを承って敬意を表したいわけですが、特に石油価格の値上げの影響を一番受けるものは、これを直接小売り店から買わざるを得ないものは中小企業である。現在経済の動向が心配されているときに、現在の不況ムードの中で、そういうものの影響を吸収できるほどの力はないということを心配せざるを得ない。したがって、これを成り行きにまかすというような考え方は何としてもがまんができない。言うならば、現にミナスで五十一セント、日本は契約して上げたではないか、さらに消費者価格に対しては、三月一日から灯油一リットル一円ないし二円の小売り価格の値上げを要求しているではないか。こういう事実が目の前にあって、これに対してまだ国際資本とのいわゆる交渉が残されているというだけでは済まされないのではないか。私は、経済政策の問題を抜きにしても物価の上にはね返ってくることは必然であるから、これらの問題に対しては対策があってしかるべきだと思うのだが、それはまだ必要ないとお考えになっているかどうか、お聞かせ願いたい。
  84. 松野幸泰

    ○松野(幸)主査代理 まだ御質問がありますか。
  85. 川端文夫

    川端分科員 そろそろ結論をつけます。
  86. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 物価問題という見地もさることながら、中小企業の負担の問題、実はこういうお話でありまして、確かに、万一価格が上がるというようなことになってくると中小企業も負担がその面で増大するという面が出てくると思います。まあしかしこれは価格全体の話でございますから、その場合に、先ほど示唆されましたいわゆる消費者負担という観点からの税金の引き上げの問題をお取り上げになっておるのだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように中小企業の問題も確かに重要な問題でありますし、それはそれでもって別に中小企業の対策として政府としては十分に強力に推進していかなければならぬのでありますが、このガソリン問題について中小企業だけ別扱いの取り扱いができるかどうか、そうした問題でもあろうと思いますけれども、なかなかこれは率直に言ってむずかしい問題じゃないかと私は思います。現在中小企業はほかにもいろいろとむずかしい問題に直面しているわけでありまして、そうした意味では中小企業の総合的な対策が別に強く要求される、こういう方法によってこの問題は処理していく以外にはないと思います。ですから、税金の全体をどうするかということは今後の問題として残された問題であります。ただ中小企業だけをその場合に特別に考えるかということになると、なかなかむずかしいのじゃないかという感じがございます。
  87. 川端文夫

    川端分科員 主査から時間が来たという催促を受けていますから、商工委員会であらためてまた質問申し上げますけれども、とにもかくにも今日の国民というものは、何といっても物価の問題と公害の問題に集中して非常な不安を感じていることは間違いないはずです。このことは長官も十分御存じのことだと思うのです。したがって、個々の問題もさることながら、政治である限りにおいては基本的な姿勢の始まりから、しかもこのような原油値上がりの始まりに通ずる問題等に対しては、深い配慮と対策が十分立てられなければならぬはずだ。このことを強く要望して、時間の関係もありますから、もう一ぺん大臣の奮起を促したいということを申し上げて質問を打ち切りたいのですが、大臣いかがですか。     〔松野(幸)主査代理退席、主査着席〕
  88. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 実は私もほんとうに頭の痛い問題なのでありますけれども、まあそれに対する対策をいまどうということは、先ほど申し上げましたように率直に言って慎重にしなければならぬと思っております。できるだけ上げない方向でもって何とか努力をする、及ばないときにどうするかということは、そのときに考えるということではないかと思うのです。あまり御満足のいく御返答ではありませんけれども、もう少しわれわれとしても推移を十分見守りたい、こう思っております。
  89. 川端文夫

    川端分科員 一〇〇%不満です。いろいろ申し上げたいことはあります。物価に対する基本姿勢の問題をもう少し話し合いたかったわけですが、時間がなくなってやむを得ない一面がありますけれども、とにもかくにもこの重大問題が目の前にあるときに、しかも政府の手である程度対処できる問題にすら時間かせぎをされていることに対しては不満であることを申し上げて、私の質問を打ち切ります。
  90. 登坂重次郎

    登坂主査 次に、小川新一郎君。
  91. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 経済企画庁長官にお尋ねいたします。  二月四日の衆議院予算総括質問に、私が水の問題を取り上げて、水質汚濁の問題で厚生大臣及び大臣にお尋ねしたことは御記憶に新しいことなので、カシンベック病の問題についてお尋ねいたしますが、経済企画庁で立てられた水質基準の問題ですが、大臣、水道三級はBOD〇・五PPM以下ということをお定めになったのはおたくのほうなんですが、大腸菌が十ミリ五千以下。ところがこの間の予算委員会の総括で私がデータを示してお聞きしましたね、非常に多摩川が濁っておる、そしてカシンベックの疑いもあり、取水をとめておる、こういう問題がありますが、昨日、東京都の玉川系水道水質調査会の第五回会合で「三十八年以来、多摩川下流にこの病気が多発し、新しい公害病となっていると警告していたが、厚生省や都水道局は「水道水からは原因物質が検出されない」としてこれまで否定的な態度をとってきた。」が「多摩川などから取水した水道水からカシンベック病の原因物質を検出した」と、半谷高久都立大学教授が発表しておりますね。大臣はいま新聞をごらんになっておりますからよくお聞きになっておらぬが、私が聞きたいのは、経済企画庁で定めた公共水域指定の水質汚濁の環境基準以下になっている日本全国の水道からこのような実態が出たということについて、どのような御見解を持っていますか。
  92. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私どもで水質基準をきめますときには、もちろん現在の技術において最高度に努力し得る目標をもって水質規制を要求しているわけでございます。そしてその水質規制というものを前提にして、しかも現状におきましては下水道等も不備でございますし、そうしたことからして、特定の使用目的のために、水につきましてはやはり今度はその目的に応じた処理がさらにされなければならないということになっております。でありますから、水道につきましては、御存じのようにああいう特殊な水の利用でございますから、人の健康に基本的にかかわる問題であるという意味において、担当者としての厚生省において特別の化学的な処理をさらにほどこす、そしてそれによっていわゆる健康の保持に差しつかえのないように処理を行なっておるというのが現状でございます。
  93. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると、人の健康にこういうふうに問題が出たときは、経済企画庁としてはどう態度をとりますか。
  94. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これはむしろ厚生省答えていただいたほうがいいと思いますが、結局水道の水をどう扱うか、最高度に、現在許されておる化学的な処理によってその弊害をまず除去し、そうしてどうしてもそれが困難であるという場合においては一時使用禁止ということに相なってくると思います。
  95. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 使用を一時中止しようということで調布の玉川取水場ではストップしています。それ以下の大和川はいま取っております。これはこの間の委員会で追及したとおり。ところが同じ多摩川でも砧の浄水場から検出された、相模川から検出された、江戸川から出た。金町浄水場、東村山浄水場、長沢浄水場、こういう浄水場から検出されたということは厚生省のほうではどういう見解をとるのですか。こういう問題が出てきますと東京じゅう——相模川まで拡大してきたわけです。これはまだ顕著になる、検査をしなければならぬけれども……。私が一番不満に思うことは、この間の厚生大臣の答弁では、お医者さんだけの調査会を持っておるという。ところがこの半谷さんは化学のほうの学者である。こういう方面の方から指摘されてる問題で、医者のほうから指摘されてない、こういう調査の不安定な水を東京都民が飲んでいる。また現実に相模川も長沢浄水場では飲んでおる。金町浄水場でも江戸川の水を飲んでおる。大不安が巻き起こるのではないのですか。だから、不安定だからこそ、私のこの間の質問では大臣はこう答えているのですね。そういう社会的不安が巻き起こっているから、カシンベック病とか——そういう経済企画庁できめた水道の限界をもはるかに越えたところの悪い水を取って化学的処理をしているけれども、なおかつ重金属とか、こういうカシンベック病の原因になるパラヒドロキシ桂皮酸とか、フェルラ酸と呼ばれるような有機物質は、現在の水道の浄化装置では、活性炭では取れない。それから下水道処理で二〇PPM以下に押えなければならないのが二〇PPM以上、もう機能の上ではいまの下水道処理施設では取り切れない。これはあなたも御存じのとおりです。そういう水を都民とか横浜市民、神奈川県民が飲んでおるということについて——半谷さんが滝沢教授の学説を追及して検出された動物実験では動物が死んでおる。こういうことになってきますと、これは大問題なんですが、一体厚生省としてはこの問題については、どういうふうに都民並びに国民の不安を除去するような、この提起した問題について反論できるのか、この点についてお尋ねいたします。
  96. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  けさの新聞で、多摩川のみならず、長沢、金町あるいは他の水系で、原因物質といわれております物質が検出されたという報道がされておりますが、これは御承知のように、東京都の水道水質調査会でお調べになったようであります。まだ詳しく報告を聞いておりませんので、さっそく概要を詳しく聞きたいと考えております。ただこの問題は、いわゆるカシンベック病といったものに対する問題がかなり以前から出ておったわけでございますが、こういった疾病といわゆる河川の水との関係、あるいはいわゆるカシンベック病といわれるものの本体、そういったものが過去におきましては主として病理学の見地から研究されてきたという経緯もありまして、これはやはり臨床学的な見地からも十分に追及する必要がある、こう考えておりまして、私どもといたしましては、昨年十二月カシンベック病研究班を設けまして、現在本体そのもの並びにこれの疫学的な調査、それからさらには病理学的な物質との関連におきます研究等を、緊急に四十五年度からも始めて、現在行なっているところでございます。したがいまして、御指摘の点がいろいろな意味で不安がもたらされているものといたしましたならば、緊急にこの調査会におきましてできるだけ早くこの方向を見つけ、広い範囲でいろいろな角度からこれを究明していきたい。そのためには、現在の研究班は主として医学のサイドの病理学と臨床の先生方ばかりで構成されておりますが、もちろん原因物質等に話が入ってまいりますならば、分析化学、その他水質関係の専門家の方にも御参加いただきまして、十分に検討いたしたいと思っております。さように考えております。
  97. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そこで長官経済企画庁で定めた水質基準以下の水質で事故が起きた場合に——経済企画庁で定めた水質の基準がありますが、水道の水というものは、いろいろな問題で、大体ここまでが限度であるということをあなたのほうでお定めになっている。ところがそれ以上オーバーしておることはこれは諸般の情勢、やむを得ない。これは過日も私聞いたのですが、下水道整備五カ年計画の二兆六千億投下してもなおかつ、昭和六十年には、現在の都市化が進めば、都市地域における下水道の五五%しかできないということは、もうわれわれ建設常任委員会で議論が出ておる。そういう中において、あなたのほうでお定めになった基準以下の水から事故が起きたときには、これは国民としてはだれが一体責任をとってくれるかという問題になるのですが、その点は取水のストップをさせる命令はもちろん出せると思いますが、いまのような実態からは、たった一言でけっこうですが、責任問題が起きたときにどういうように対処されるか、事故が起きたときに。
  98. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま御指摘の点は、いわゆる環境基準の当てはめ行為ということで、政府が行政目標としてきめておる点をおっしゃっておられるのだと思います。これはそれぞれ取水目的に従いまして、水道であれば水道の一級から三級までございますが、こういう環境が望ましいということで、それを達成するための排水基準あるいはいろいろの対策事業をこういう形で運用するわけでございます。具体的に水道の水源の水質につきましては、これは水道法によりまして、厚生省のほうで衛生的な面からの基準がきめられておるわけでございます。したがいまして、そちらのほうの関係でそういった問題についての指導なりあるいは対策ということがとられる、こういうことに私どもは理解しております。
  99. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 だから私が聞いていることは、こういう基準を定めても守られないような状況下にあるものに、公共水域指定の水質に限ってこういう環境基準、人の健康に関する基準という基準を定めた。この基準というものはどうしても必要だから定められたのだと思う。大体必要がなければそんなものを出す必要はないのであって、やはりこれは経済企画庁としては当然そこにまで持っていかなければならぬ最終目標なんですね。だから、その段階においてこういういろいろな問題が起きてくるわけなんです。私は一言にいって、この問題をいつまでも議論している時間がございませんけれども、厚生大臣に何か経済企画庁長官のほうからこの問題に対して、よその委員会で取り上げられているかどうか私知りませんので、こういう問題が本委員会で取り上げられたのだけれども、経済企画庁としての立場をひとつ厚生大臣に何らかの形で表明いたしますか。
  100. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いまお話がございましたように、環境基準というのはいわばわれわれが終局的な目標として望ましい行政目標でございます。それでこの目標に到達するために五年を要し、あるいはさらに多少年月を要していろいろな対策を集中的に行なっていこう、こういうことで、現行としてできるだけの水質規制を行なっていく。その他のことは御存じのようにやっておりますし、下水道もやっておりますが、具体的に今度は個々のそれらの規制を通して、個々の使用の問題につきましてはいまの水道のような特殊な目的のためのものがあり、そういうようなものについては、先ほどから話がありますように、厚生省が十分その見地からやっておるわけでありますから、今度の事態は新しい事態として厚生省自身がまだ確認しているわけではありません。至急に調査をされるのだろうと思います。しかし、それにしても、そうした問題については当然これは厚生大臣として、国民の健康保護、保持の立場からして許容さるべきでは絶対ないわけです。私が言うまでもないことと思いますけれども、御議論もあったことでありますから、厚生大臣に対しても私からもひとつこの点についてはよく報告をしておこうと思います。
  101. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ひとつこの問題については、人の生命、健康にかかわる問題でございますので、すみやかなる結論をお願いしたいと思います。  次に、下北半島の新全国総合開発計画における大規模工業立地における土地収用の問題についていささか疑問がありますので、お尋ねします。  こういった計画というものは閣議決定されてから——昭和四十四年五月の三十一日に新全総の閣議決定が行なわれた。それから出発するものなのか、その前から土地の収用が行なわれて、地元には流れるものなのか、どういうのです、この問題は。
  102. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 確かに下北半島にいろいろとブローカーが出入りしているというような点も指摘されております。もちろん、これをそのまま許容するわけにはまいりません。先行取得を、いわゆる公共的なものを中心にして土地の利用目的というものをいま策定しようとしている際ですから、これについては、青森県も県庁を中心にしまして、住民の協力を得て、いわゆる抜け買いといいますか、そうした買いあさりを極力防ぐような体制をいま固めておりますし、それからまた一方において、土地の先行取得についての特殊の機関というものを設立をするように検討しております。
  103. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私が聞いているのは、四十四年五月三十一日に閣議決定された以前、四十四年三月にもうこういう、むつ湾小川原湖大規模工業開発調査報告書、四十四年三月、日本工業立地センター、こういうものが財界の手に渡っております。うわさによると、これを一部何十万円でもいいからくれと言った業者もあったそうです。どうして四十四年三月に、閣議決定されない以前にこういうものができ上がってしまうのですか。
  104. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 それは私も存じませんが、とにかくビジョンを、ビジョンをと言って、ビジョンを書くのもいいけれども、考えものだと私も思っているくらいで、全くあずかり知らぬ一種の架空の予測ではないかと思いますが、詳細なことをもし必要でありましたら、事務当局から説明させます。
  105. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいまのお話し日本工業立地センターでの計画、これは県があの地域の開発計画というものを委託されておつくりになった計画だと存じます。ただいま先生のおっしゃいました新全国総合開発計画というもので私どもが考えております問題のむつ小川原地域の開発というものは、私どもむしろまだまだ調査の段階であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、ただいま長官も申しましたように、一つのそういうビジョンが出たというのは事実でございますが、私どもはそのままでいくんだということは全然考えておりません。
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 調査費がことしついたわけですが、それでは、先ほどの特殊機関という会社を設立して土地の先行投資をはかるということは、確実にここに大規模工業立地をやる、政府もそのために、いまのままでいったのではたいへんだというので、こういった、むつ小川原開発株式会社なるものを設立する、これに間違いありませんか。
  107. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいま確かにその会社の設立の準備段階で、近く発足するということでございます。
  108. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 その会社政府出資はどれくらいになるか。それから、青森県の出資は幾らなのか。それに財界から幾ら出るのか。パーセントと金額と、その会社の土地の取得の面積はどれくらいなのか、お願いします。
  109. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 この予定されておる会社につきましては、一応当初の払い込み資本金は十五億円と予定いたされております。その十五億円のうちの四〇%、六億円は北海道東北開発公庫が出資をするという考え方でございます。さらに青森県は一〇%の一億五千万円を出資をするという考えでございます。したがいまして、これをトータルいたしますとちょうど五〇%になります。残りの五〇%である七億五千万円は民間資金を調達するという考え方でございます。
  110. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 買い取る面積は……。
  111. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいまこの会社でどれだけの面積を取得するかという点については、確たる数字がございません。この会社は、たとえば先ほどのお話にもございました公共用地的なものを先行取得するという問題、それから工場用地になるような部分を先行取得するという問題というような、いろいろな用地の目的、用途によって違うわけでございまして、現在の段階では計画がまだきまっておりませんので、特に用途別に考えませんで、入手し得る土地をなるべく取得していくというような考え方で、特に何ヘクタールを目標とするというところまで固まっておりません。
  112. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そういうあいまいなことでは私は、そういう政府が出資金を六億も出すのに困ると思うのです。目標も定まらない。言っていることがちょっと言い違いですね。調査をしてからというのに、もう片一方では政府の出資金を六億も出す。青森県が一億五千万出す。財界は五〇%の金を出す。そういう先行の会社ができ上がっているのに——この三月から発足するのでしょう。片一方では調査だけだ。片一方では土地の先行がきまっていく。むつ・小川原開発株式会社目論見書というのが財界から出ていますが、それによると、「事業規模」は「国の計画との関連で決まるが、約三万ヘクタール程度を対象とする。用地取得は昭和四十六年以降五年間、造成分譲は昭和四十八年頃から約十二年間、」こういうことなんです。こっちでは計画ができているでしょう。政府ではきまらない。どっちがほんとなんですか。
  113. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 確かに目論見書では、約三万ヘクタールを取得する。さらに、四十六年度から五カ年間で一万九千ヘクタール程度を取得するというもくろみを立てておられるわけでございます。私どもといたしまして、現実にさしあたり発足いたしまして、それで先ほども申しましたように——どうも矛盾しているとおしかりを受けましたが、現実にこういう大計画をいたしますのに、いままでの一番問題であったのは、計画が確定しない前にむしろひょこひょこと取り組むというのが一番悪かったのです。したがって、私どもとしてはこの計画、マスタープランをどうしても前提としてやる。ただ土地の取得は、いまのお話にもございましたように、民間ブローカーが相当入っている。したがって、むしろ全面的と申しますか、もちろん全面的にあれだけ広いところを買えるはずはございませんけれども、相当広い範囲をこの会社で取得するという考え方に立っているということでございます。
  114. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 長官、いまのお話を聞いてちょっと不審に思いませんか。計画が漏れることが一番土地の収用に困る。ところが漏れるわけなんですね。むつ小川原の大規模工業基地開発のこのメンバーの中に飯島貞一さんという日本工業立地センターの人が入って、それから、大規模工業基地の考え方及び開発方式についての中間答申、昭和四十五年九月一日、産業構造審議会、これは大臣の諮問機関、その中に入っている。これでは、この計画がツーツーになっちゃうわけですね。だから、私が先ほどから心配しているように、四十四年の五月三十一日に新全総の閣議決定が行なわれる以前の四十四年三月にはもうこういうものができ上がって、どんどん買い占めが行なわれているのですよ。  そこで具体的な例を一つあげますと、地元民はいまどれくらいの土地を登記がえしているか御存じですか。
  115. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 詳細存じません。
  116. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 だから困るのです。私が、これは青森県で調べたところによると、昭和四十五年十月現在で約三千ヘクタールの登記がえがこの地点において行なわれている。ところがその買収者は不明であるという答弁がきている。国及び県は用地の買収を行なっておりません。昭和四十五年の十月現在、一坪も買ってないのです。その時点で三千ヘクタールの大規模のものを、これは私、名前を言わないけれども、東京のM不動産とか、何とか不動産という大会社が行ってどんどん買いまくっている。やったって、それもいいんですよ。そういう利にさとい企業家が、あの下北半島の荒れ地を坪四十円で買っているじゃないですか。現在の時点においての値段は幾らか御存じですか。
  117. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 存じません。
  118. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、こういう実態です。坪四十円で買って、その買い方は、ここに大養鶏場をつくる、大養豚場をつくる、牧畜をやるんだとだまして買っている。大規模工業立地に対して地元民が多少なりともそこに利益をこうむるならいいけれども、このまたあとで私は述べますけれども、ここには原子力製鉄所、アルミニウムの製錬所、それから電力、石油コンビナート、こういった公害発生の危惧を抱かせる大企業が、やはり海浜コンビナート方式じゃないとだめだというこの国の施策に従って、大規模に下北半島をはじめ鹿児島の志布志湾、山口の周防灘、西南地区と北東地区と、大規模工業——大臣が一九七〇年代の日本列島のあり方と題して今回演説なさっている。  私がこの間の二月四日の予算委員会で聞いたのは、千葉の埋め立て方式が、公有水面埋立法が大正十年の法律で、この許可権者と認可権者が一緒になってやるところに問題がある。しかも、それが三分の二も大企業がその権利を収奪をしてしまう、そこに問題がありますよと言って、私は質問したわけですね、大臣御存じのとおり。それで、関連法が六十八もあるからどうするかという質問に対して、大臣はこれを整理なさるという御答弁をいただいたのです、この二月四日に。御記憶に新ただと思う、この間の総括質問でやったんですから。そういう問題がこの下北半島にも及んでいるのです。いまのお話を聞くと、財界が五〇%です。国と県が合わせて五〇%です。  じゃ、もう一点聞きますが、政府の関係の役人がこの下北半島のむつ小川原開発株式会社に入っていますか。
  119. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 いまのこの発足すべき会社の人事の問題かと存じますけれども、まだ決定いたしておりません。
  120. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 金を出す。六億も金を北海道東北開発公庫が出す。それから一億五千万は青森が出す。財界は残り七億五千万を出す。合わせて十五億円。そこまできまっていて、政府の監督者が入らなかったら一体だれがこの会社の運営をやるのですか。これは、五〇%を握っている、株を持つ、権利を持つ、それこそ経団連の——これはまた社長が経団連から出るんでしょう。なるという予想になっていますよ。経団連の会長の植村さん、この答申にも名前が出ていますが、植村甲午郎さんですね。この経団連会長であり、産業構造審議会の会長である、こういう方がこういう答申を出していらっしゃるのです。だから、問題になるのは、政府の役人を早急に入れなかったら、このむつ小川原開発株式会社がいいようにされますよ。それを心配しているのです。これもすぐきめなくちゃいかぬと思うのですがね、この点……。
  121. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御心配はほんとうにごもっともな点があるわけでありますけれども、御存じのように、政府が金を出しているところに全部役人を派遣することになりますと、これはまたこれでたいへんです。問題は、やはりその新しい会社なら会社がわれわれの考えている目標に沿ってほんとうに動いてくれるかどうかという信頼と、それからまた今後において、監督権があるわけでありますから、これを十分監督してまいる。人事につきましてまだきまっておりません。しかし、当然のことでありますけれども、むしろ会社側のほうとしても、これからマスタープランを企画庁中心でつくっていこうという際でありますから、ぜひ適当な人材をほしいという要求も当然出てくると私は考えております。かりに人が入りましても、あるいは入らないにいたしましても、御心配の点のないようにわれわれが十分監督をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  122. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そこに心配が出てくるのですよ。いまかってに買い占めをやっている大企業の不動産会社の社長が、むつ小川原開発KKの中に設立発起人になって入っているじゃありませんか。入っていませんか。
  123. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 どうも、どういう会社のあれかは存じませんが、確かに発起人の中に大手の不動産業の社長が入っておられることは事実でございます。
  124. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ではたとえていいますと、ここにこれだけの名前がずらずらずらと載っているのですよ。この中に不動産協会会長何の何がし、何とか不動産の何とか何がし、三菱何とか、みんな出ているじゃないですか。自分たちのつくった政府会社に自分たちが発起人に名を連ねて、自分が先に行って買って、必要な土地は今度はその会社に買わせるのじゃないですか。四十円でお百姓さんから買った土地がいま坪二千円にも三千円にもはね上がっている。これは競争の原理でいくとまだ上がっていきますよ。どうしても公共用地に必要だ。青森県で泣いているのは、われわれが公共用地で取得したいところは全部押えられてしまった。もう八十%方、土地買いあさり戦争は終わったと豪語しているのです。そこを今度、自分たちがつくった、財界が出資し政府がつくってくれるこの会社が、自分の買った土地を買いにいかなければならなくなっちゃう矛盾が出てくる。こんなめっちゃくちゃな話はないじゃないですか。それで坪四十円。いま二円六十銭の農地問題が騒ぎになっているが、それがあなた十倍にも百倍にも千倍にも上がってその利ざやを——どうしてそんなことがその二年も三年も前に流れちゃうかということを私はさっきから言っている。これはもう前から問題になっていますよ。新幹線の用地が問題になれば、その周辺の土地を買いあさって上がってだめになってしまう。こういう問題があることを私は指摘しておきますが、大臣いまの問題どうです。
  125. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 とにかく新全総などという、昭和六十年までのことを早くつくると私はこういうことになると思うのです。こういうことが一体適当なのかどうか。もう案をつくっているときから民間に流れることはわかり切ったことです。また学識経験者の知識を利用して考えていらっしゃるのですから……。ですから問題は、一番考えられることは、もう案をつくる前から下北半島を譲渡禁止にしてしまうというような法律でもできれば一番いいのですが、なかなかそうもいきません。率直にいいまして、特に青森県も貧乏であまり金もない県であります。県も実はそれで困っておりますが、いたずらに小さなブローカーが暗躍して、そうして値をつり上げることだけはかるというようなことは好ましくありません。ある程度の資力のある者が安定的な土地を取得するということが今日法律で禁止されない以上、これもやむを得ない。でありますから、問題は、今後それが正式に会社に移る際に適当な値段で取引されるかどうか、こういう点にあろうと思います。率直にいって知事自身が、お百姓の立場に立ってみると幾らに値を踏んでいいかわからないと、この前言っておりました。ある程度何かそういう取引が出てくると一つの基準というものが出てきて、県自身が初めてそこで価格を設定して買い進みができるんだ、こういうのでちょっとしばらく模様を見ているんだというふうなことを言っておりましたが、そんなにじんぜんと過ごすことはできませんから、できるだけその取得機関のほうを早急に発足させる。そうしてこれによって、いわゆるいかがわしいことの起こらないように厳重に監督をし、さらにその価格は、正式な機関に移るときに十分留意をしていかなければならぬ、こういうことになろうと思います。
  126. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 時間が参りましたから私これで終わらせていただきますが、山口次官にいまの御感想をひとつお聞きしたいのです。女性の立場で、やさしい気持ちで——農民が坪四十円で売り払っちゃったのですよ。先生、かわいそうじゃないですか。大臣は一生懸命そうお答えになっているけれども、下北の烈風吹きすさぶ中で、しもくれ立った手で、だまされていま泣いている人たちに対して、この人たちを泣かせるような施策は政治じゃないと思うのです。そこで、公害問題が入ってくるようなこういう問題等々をお考えになられて、最後に私は政府の監督権というものを強く要求すると同時に、あなたなら一体どうする、こういう立場に立って御質問して終わらせていただきます。
  127. 山口シヅエ

    ○山口(シ)政府委員 それじゃ最後にお答えさせていただきますけれども、先生のその御精神に私も同感でございます。  それから、ただいま長官お答え申し上げましたお答えの中には十二分に人情も含まれておると存じます。買い取ったものを売り渡すときの心がまえをおそらく政府がしっかり持つことにおいて、ある意味でもう買い取られたものに対する処理ができるのではないか。そこに多分に農民に対する人情を含めて実行すればよろしいのではないか。ただいまの長官お答えに私は感銘して聞いていたわけでございます。同じお答えに相なるかと存じます。ありがとうございました。
  128. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ではこれで終わらせていただきます。
  129. 登坂重次郎

    登坂主査 次に、小林進君。
  130. 小林進

    小林(進)分科員 企画庁長官にお伺いしますが、第六十四国会、昨年の十二月二十六日付で豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律が通過をいたしました。そこで特別豪雪地帯というものができて、そこで政府があらためて特別の措置を講ずるという公約ができ上がっておるのでございまして、もちろんこの法律の決定に至る過程の中では、経済企画庁中心にいたしまして各省それぞれ公約をされておるのであります。その公約が四十六年度の予算の中にどう一体具体化していただいたかということを私は限られた時間の中で御質問をいたしたい、こういうことでございます。  まず経済企画庁長官にお伺いいたしたいことは、こういう特別豪雪地帯というものは各省にまたがります。その意味において、調整あるいは統括する主管官庁としては、同和対策あるいはその他の関係から見て、総理府が私は適当じゃないのかと思っているのでありますが、これはどうも企画庁で統合、調整をおやりになっているようであります。将来とも企画庁で担当してやっていかれるのかどうか、それが一つであります。  時間がありませんからかけ足で申し上げますが、いま一つは、この法律に基づいて特別豪雪地帯というものを指定することになっております。その指定の作業がもうでき上がっておるはずでありまするが、それがどうなっているか、これが第二点です。  第三点は、これは少しこまかくなりますけれども、豪雪地帯には雪上車というものを経済企画庁でそれぞれ配分されることになっている。そして、少なくとも雪の降る地帯には五年間の計画で雪上車の配分を完成したいということをしばしば繰り返して言われているのでありますが、その五年間の計画に基づいて四十六年度はどういうふうな作業を進められているか、具体的な数字をお示し願いたい。  以上三点であります。
  131. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 所管の問題につきましては、どうして一体こういう問題が企画庁にきたのか私もよく存じてないのですが、各省特定することのむずかしい問題がしばしば企画庁にきております。御指摘のように、私もむしろ計画官庁である企画庁より総理府がいいかとも思いますが、ある経緯でこうなりましたから、目下すぐこの所管をかえる、そういうことはいま考えてはおりません。御趣旨の特別委員会における決議、これは十分わかっておるつもりでございます。そういう意味においてこれをできるだけひとつ尊重するという方針のもとに目下検討を進めております。  そこで、地帯の指定等につきましても、そうした趣旨のもとに目下検討中で、できるだけ早い機会に、いわゆる審議会がございますから、この審議会の議決を得るように段取りは持っていきたい、こういうことで案を検討を進めております。  それから緊急な事態ということの点についても、各省担当部門について検討を進めておりまして、特に企画庁においては、雪上車の問題については四十六年度の予算においてそれの話験的な整備を行なう、こういう予算をとっております。  なお、詳細のことでございますから、政府委員をして説明させます。
  132. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいま先生のお話にございました、まず特別豪雪地帯の指定の問題でございます。これは毎々の国会の際に申し上げましたように、できるだけ緊急に指定していきたいということで、現在作業中でございます。  まず、範囲等につきましては、この前附帯決議をちょうだいいたしましたし、大体あの線で進めていきたいという考え方に立っております。そこで近々、来月の三日でございますか、豪雪地帯対策審議会を開催させていただきまして、この審議会において今後の指定の基本方針、指定基準の問題、それから今度のこういう計画の問題等を御審議いただいて、その線に沿ってできる限りすみやかに指定の段取りに運びつける予定でございます。  それから第三点の雪上車の問題でございますが、確かに先生おっしゃいましたようにいろいろ調査をいたしまして、昭和四十一年度から四十八年度の間に全国で約三百八十台の雪上車の整備をする必要がある。そこで四十一年度から四十五年度までの五カ年間で約二百四十台の整備を終わっておりまして、そこで残りの約百四十台の整備につきまして、四十六年度にはこのうちの五十五台の予算を計上いたしまして、御審議を仰いでいる次第でございます。  さらに、これはちょっとよけいなことかもしれませんけれども、いまちょっと長官が申しましたように、従来豪雪地帯に対しまして雪上車の予算を計上していたわけでありますが、さらに新しく特別豪雪地帯に対しましての特別措置という問題で企画庁で所管いたしております問題は、このような雪上車の車庫であるとかあるいは、附帯決議にもございましたように、たとえば越冬の食料の保管であるとかいう、一応かりに名前を克雪管理センターというふうな名前にいたしております、このようなセンターを、少し実験的ではございますが、ひとつ整備をしようということで、四十六年度予算といたしまして二千万円の予算を計上して御審議を仰いでいる次第でございます。これはとりあえず実験的でございますが、大体六カ所程度の克雪管理センターをまず実験的に整備、開始してみようという考え方でございます。
  133. 小林進

    小林(進)分科員 雪上車については明年度五十五台の予算を請求されているということですが、それがどういうふうに配分になるのか、あとでまた資料等で詳しく聞かしていただきたいと思いますが、特にこの前、審議の過程では、三、二、一というふうな抽象的な分配ではなくて、実情に即して、ほんとうに困っている、豪雪地帯でもそれぞれの差があるのですから、そういう実情に即した配分方法をしていただきたいということを繰り返しお願いしたはずであります。それがどういうふうに一体具体化されているかも、いずれあとで詳しく個々の話し合いの中でお聞かせ願いたい。  それからもう一つ、これは第四点の問題といたしまして、企画庁にこれもお願いしておる事項でありますが、いわゆる税金の問題であります。これも特別豪雪地帯というものはたいへん雪の被害を受けているのでありますから、所得税はもちろん法人税、事業税、住民税、特に固定資産税についてはどうしても軽減の処置をやっていただかなければならないということを、これはもう古きは池田さんが大蔵大臣のときからお願いしてきたのでありますが、これも今度の特別豪雪地帯法の審議の過程で企画庁は、ごもっともです、でありますから、その問題について私ども積極的に取り上げて実現に向かって努力をいたしたいと思いますという答弁をいただいているのであります。これは昨年の六月でございますから約七、八カ月の期間を経過いたしております。その答弁に基づいて、その後具体的な作業が経済企画庁の中でどういうふうに進んでおるのか、長官からお伺いいたします。
  134. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいまの税関係の問題、これは確かに古い歴史のあるお話でございます。また、たとえば豪雪地帯対策審議会の場においても絶えず御要望のある問題であります。私ども何らかそういう向きに進めたいという考え方はただいま先生のおっしゃったとおりでございます。ただ残念ながら現実の問題といたしましては、私どもがお答えするのはどうかと思いますが、まだそういう税制上の特別扱いをするというところまで至っておりません。
  135. 小林進

    小林(進)分科員 至っていないことはもともと承知しておるのでありまして、あなた方は昨年の六月のこの法案の審議の過程において、経済企画庁としてもごもっともです、調整機関といたしまして各省に連絡をとりながら前向きにその問題の解決に向かって努力いたします。——もっと具体的にそのことばをそっくり言ってもいいですが、時間がありませんから要約して申しております。あなた方は非常に積極的な答弁をされておる。そういう答弁をされたからにはそれが具体的に何らかの形であらわれてこなければならぬ。それをどのように具体的に進められているかという、ingを聞いておるのです。何も言うことはないでしょう、あれだけりっぱに言われたのですから。
  136. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 確かに仰せのとおりでありまして私ども実態的にどういう問題点があるか、いろいろ現地の方からもお話を伺っておりますし、私どもとしてもこの調査をいたしました。それで現在もまだ続けていたしております。結局税制上の、要するに雪のためにたとえば家計上よけいな経費がかかる、それが一体どのくらいの額であるかというような調査をして、その調査の結果で何とかそういう方向に持っていきたいという考え方をとっておるのは事実でございます。ただ現在は調査中でございます。それでこの調査結果によりましてまたさらに各方面と折衝するということを考えております。
  137. 小林進

    小林(進)分科員 これは大臣、私は最後までいまのことばを追っていくのですからよく聞いてくださいよ。あとで知らぬなんて言ったって困りますよ。それは雪の重さです。雪の重さで柱も大きなものを使っておる。雪の重さなんかは何よりも重い。雪が軽いなんていうのはとんでもない。あれほど重いものはない。それに耐えるために柱一本でも特別に大きなものを使う。固定資産税は高くなっていく。しかもどんな新しい家でも雪にあえば、一メートル五十センチからの雪ですぐ痛んでしまう。それを、家がりっぱだからといって固定資産税を高く取られる。家の痛みは、こういう雪の降らない地方の二倍もある。自動車だってそのとおりですよ。雪の降る中でチェーンなんか巻けば普通のときの三倍も痛むでしょう。そういう実情が一つも税金の中にあらわれてこないというのは、これほど不公平な税制はないのです。そこをひとつ真剣に考えていただきたいというのでありますから……。今度はあなたを前にして言っているのですから、逃げるわけにはいきませんぞ。私ここで申し上げておきますが、次の回答は、この作業がちゃんと進んでいるような回答をしていただかなければならぬと思っております。  次に、時間がありませんから、建設省にお伺いいたしますけれども、建設大臣も道路局長もお見えにならない。大体建設省というのは一番勉強しない悪い省でございまして、何か問題がむずかしくなると都合をつくってこういう委員会に出てこないという悪いくせのある省でありますから、委員長、そういうことのないように将来とも十分建設省の委員会出席率を監督していただきたいと思うのであります。  そこで私は特に建設省に豪雪の問題について申し上げておきたいと思いますけれども、雪の降る地方における主たる行政の中心道路行政なんです。この道路行政をやっていただかなければならぬ。雪の降る地方と降らない地方の住民の生活というものは全くはなはだしい差を持つことになる。御承知のように一夜のうちに一メートルも一メートル半も雪が降ってしまう。そうすると、農村なんか大体一軒一軒三十メートルから二十メートルくらいの家並みで家ができている。雪が降らないときは窓をあけて、隣の大将と言えば、呼べば答えるわけで、それで用事が足せるのです。ところが一たん雪になると、この雪が動いてどんなすき間からでも入ってきますから、雪がすき間から入ってきて一分のすきもなくうちを囲ってしまうわけです、水と同じように。そういう雪囲いをしているところへ一晩で一メートルも二メートルも雪が降ってくるのでありますから、三十メートルも離れた隣のうちも全く他国になってしまうのですよ。もはや呼べば答えるわけにはいかないのですよ。その隣のうちに わずか三十メートルでも、用事があって行く場合には、この一メートル半の雪の道をかきかき、あるいはこれを踏みつけながら行くのですから、最低どんなにしたって二時間はかかるぞ。あなた、うそだと思ったらやってごらんなさい。どうだ建設省。呼べば答える中でも、この豪雪にしてやられると一晩で、二時間もかからなければ隣のうちへ行けないのですよ。これが豪雪地帯における半年の住民の生活です。この問題を雪の降らない地方と同じような待遇をしてもらうためには、このうちとこのうちと、各戸のうちの道路を確保する、戸から部落道へ出る道路を確保すること、部落から村道、村道から市道、市道から県道、県道から国道と、これがずっと一連につながらなければ、雪の降る地方と降らない地方の住民の差というものをなくするわけにはいかないのですよ。この道路の確保です。このうちとこのうちとの交通、戸から部落、村道、市道、県道、国道に至るこの道路の確保について一体どうしてくれるか。豪雪問題を審議したときにはこの問題は一番やかましく私どもは要求した。善処いたします、最大の努力をいたしますと、あなたは繰り返して言ったのだから、これが一体四十六年度の予算の中にどういう形であらわれているのか、お聞かせをいただきたいと思う。
  138. 井上孝

    ○井上説明員 先生ただいまおっしゃいました雪の降らない地方と雪の降る地方との格差でございますが、これにつきましては、道路の場合には、御承知と思いますが、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法というのがございまして、これによりまして私ども俗に雪寒道路事業というのを毎年やっておるわけです。特に道路事業費の中では雪寒道路事業には重点を置いてやっておりまして、来年度予算では総額約二百二十二億を計上して、これは私ども昨年の八月に予算要求をいたしました要求額とほとんど同じでございます。ほとんど一〇〇%に近い予算を計上することができたわけでございます。その二百二十二億でいわゆる除雪事業、それから防雪事業、それから凍雪害防止事業と申しまして路盤の凍上を防止する事業、それと除雪用の機械の購入費に対するもの、こういうものをやっております。  雪寒事業の促進につきましては以上でございますが、昨年の特別豪雪地区設定の豪雪法の改正にあたりまして、衆議院のほうで附帯決議があり、そのうちの一つにいま先生の御指摘の、交通が途絶するような部落、それと基幹的な幹線道路とを結ぶ道路改築事業、これを取り上げよという附帯決議がございました。私ども、すでにその時点では予算要求を済ましておりましたので、予算の決定の際にいかがするかということを大蔵省とも十分御相談をいたしまして、結局いま御指摘のように大部分が市町村道である、末端の道路であるということで、すでに要求いたしておりました市町村道のうちで、そういったもののために年度当初に保留をしておきます地区の設定の作業が、企画庁のほうでおやりになるのでありまして、いつになりますか、私どもはっきり承知いたしておりませんが、地区設定ができ、路線の指定ができ、計画が立てられましたならば、さっそく四十六年度の予算で処置ができるように、年度当初の配分にあたりまして地区設定待ちで保留しておこうということで、保留額約三千万円で大蔵省と話をいたしました。  大体以上でございます。
  139. 小林進

    小林(進)分科員 それでは若干色をつけていただいてこの問題も考えていただいているようでございますので、建設省の御苦労の点はひとつ認めるといたしまして、時間もありませんから、私のほうで具体的な問題を提起してあなたのほうからひとつお答えをいただきたいと思います。  一つは、特別豪雪地帯の基幹的市町村道の県道認定基準を緩和していただきたい。これはなるべくひとつ県道認定を促進をしていただきたいということが一つ。この問題はできるかできないか。  それから、いま言われました積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法の施行令に関する問題でございますけれども、雪寒の指定路線の問題です。この地帯の指定と同時に、雪寒指定路線とすることとして、同地帯の冬季交通の確保を必ずしていただけるかどうかという同時認定の問題ですね。この問題が一つ。  特に第三番目に、いま何か留保されているというようなお話がありましたが、市町村道に対する除雪と防雪とそれから凍雪、雪害防止事業に対する国庫補助の問題、除雪車あるいは除雪の機械等については補助金を従来どおりいただいておりまするが、今度ももっとこの補助金も大幅に確保していただかなければならぬ。一体どのくらい除雪車あるいは除雪の機械に対して補助金をおやりになっておるか、お尋ねしたい。  それとあわせて、市町村道に対する補助というものがいまのところは全然ないわけだ。ありませんね。いま申し上げましたように除雪、防雪、凍雪害予防等に対しては町村道はないのです。まして部落道は何もないのです。部落の道には何もない。これをひとつどうしても国庫の補助金をつけて、できれば部落道までこういう問題に補助をしていただきたいという問題であります。  以上、三点をひとつお答えをいただきたい。
  140. 井上孝

    ○井上説明員 先ほどお答えするのを忘れましたが、附帯決議の中に、先生御指摘のように市町村道の県道への昇格を進めよという御注文がございました。これにつきましてはただいま県道の認定基準——これは道路局長通達でございますが、この認定基準の改正作業を進めております。まだ最終的な結論を得ておりませんが、できれば今年度内くらいには認定基準を改正いたしまして——改正といいましても緩和でございますが、できますれば私どもの考えとしてはこういう豪雪地帯に特別の基準ができないものだろうかと考えております。まあこれはできるかできないかはちょっとまだ断言できませんけれども、そういう方向で認定基準の改正を考えておる。  それから雪寒指定路線の延伸でございますが、ちょうど実は道路整備五カ年計画が十兆三千五百億で、ことしの三月に閣議決定を予定をいたしております。雪寒道路事業も実は道路整備五カ年計画の中でございまして、雪寒も法律に基づきましてこの三月に五カ年計画を改定をいたします。改定のつど、私どもとしては雪寒指定路線の延伸をやっております。ちょうどこの四十六年はその年に当たりまして、御指摘のように特別豪雪地区の指定がございました場合、そういうことを十分勘案して雪寒指定路線の追加を考えたいと思います。  それから最後に市町村道の除雪に対する手当てでございます。これは毎度申し上げておりますが、ただいまのところ市町村に対しては除雪用の機械の購入費に対する補助、これのみをいたしております。(小林(進)分科員「それだけです」と呼ぶ)除雪の作業費等には補助をいたしておりません。これは機械の購入が、非常に高い機械でございますので一度に財政上の負担になるということで、国庫で三分の二の補助をいたしております。実際は除雪の作業費につきましては、これは維持的な経費でございます。また私どもの道路事業というのは、雪寒事業も含めまして一々設計書をつくりまして、それを建設大臣が認可して補助金を交付する、こういうことになっております。またできれば出来高を確認をいたしまして、交付金の認定をいたします。また会計検査も受ける。そういった事業の補助の性質なものでございますから、雪寒地域の市町村、おそらく千市町村ぐらいあろうと思いますが……
  141. 小林進

    小林(進)分科員 豪雪でいいよ、百二十くらいでいいのです。
  142. 井上孝

    ○井上説明員 そういうところにまたたくさんの設計書をつくらせて一々審査をして承認をして補助金を交付するのは、これは行政の効率上も問題もあろうということで、自治省のほうの地方交付税の積算のほうで十分除雪のための作業費を見ていただくという方針で、私どもとしてはここ当分は最も金のかかります機械の補助のみに限ってまいりたいという方針でございます。
  143. 小林進

    小林(進)分科員 一、二のお答えには、私も若干誠意の点を認めて半分感謝の意を表しておきますが、三番目の町村道、部落道に対する補助金の問題については、あなた、豪雪地帯一千行政区なんとおっしゃいましたけれども、私どもはそれを問うておるのではない。特別豪雪地域の問題、これはいま作業をお進めになっておると言っておりますけれども、全国百三十前後におさまると思っております。その地域のそういう町村道に対しては特別の補助金を出してもいいじゃないか。その形はどうでもいいですよ。あるいは交付税の形で出てきてもいいし、あるいは特別道路の維持費だという形で建設省がお出しになってもいいが、これはどうしても国庫で、形は問いませんが、出してもらわなければ、いま言うように陸の孤島ですよ。一軒一軒がみな孤立してしまうのですから、どうしてもこの問題は真剣にひとつ考えていただきたいと思うのです。考えていただけますな。よろしゅうございますか。
  144. 井上孝

    ○井上説明員 特別豪雪地域の設定がなされましたならば、まず第一には私どもとしては町村道の県道昇格を考えております。そうすれば県の手で除雪もできます。その次に、県道の昇格もできない場合に、御指摘のような市町村道に対する直接の除雪費の補助というものも検討したいと考えております。
  145. 小林進

    小林(進)分科員 時間もありませんから繰り返しませんけれども、この町村道、それは県道も含めてですよ、一体特別豪雪地帯における末端行政区はどれだけ多くの負担をしておるか。これは調査になればわかるのです。これはひとつ経済企画庁長官も聞いてください。雪除きのために、国道、県道までみんな末端の行政区が負担をしておる形になって、ばく大な負担をしておるのであります。これはやはり国が、こういう県道昇格もけっこうですけれども、それとあわせて町村道、できれば部落道まで私は国庫で補助を出していただくことを強く要望いたします。  それからいま一つ、除雪機械の補助金の三分の二、これは非常にけっこうですが、これもまだまだ足りませんぞ。これも大幅に機種をふやしていただくように、数をふやしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  次は、厚生省にお願いいたしますが、これもやはり厚生省も特別豪雪地帯措置法の経過の過程においてたいへん心強い公約をされたのであります。その公約が四十六年度においてどう一体具体化されるかということをお伺いいたすのでございますが、第一番目には豪雪地帯における国民医療の確保の問題についてです。どういうふうに予算措置をしていただいたか。一つは往診用の雪上車の獲得、具体的に言えばこの台数がどのくらい計上してもらったか。その補助率も従来は半分でしょう。これを少なくとも三分の二くらいにしていただかなければならないと私は思っておりますが、これは一体どうなっておるか。それから診療所の整備費、運営費の補助率、こういう問題もやはり私は特別豪雪地帯法の設置とともに三分の二はひとつ国庫で見ていただかなければならないと思いますが、どういうふうになっているのか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  146. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 豪雪地帯におきまする医療確保の問題はいろいろな問題がございますが、ただいま御指摘のように、一番問題はやはり交通手段の確保、そういうことで、昨年から初めて、医者みずからが運転できる、いわゆるいま御指摘の小型雪上車を十台一これは全部いま新潟県に投入いたしまして、その実行計画あるいは実行効果というものもあわせてひとつ判断したい、こう考えております。これは四十六年にはさらに三十台にふやすことにいたしました。ただし補助率におきましては、いま御指摘の点も含めまして、すべてほかの僻地対策と同じに二分の一になっております。
  147. 小林進

    小林(進)分科員 これは補助率もどうしても三分の二ぐらいにはしていただかなければ、豪雪地帯などというものは貧乏町村が多いのでありますから、これは維持管理、非常に困難をいたしますので、この点を考えていただきたい。  それから、これは別の問題でありまするが、最近長崎ですか、医師会の会長の武見さんが、過疎地帯——過疎の中にはもちろん豪雪地帯も含まれておりますが、こういう豪雪、過疎地帯における医療というものを確保するためには診療費を二倍にしてもらわなければならない。過疎地帯においては患者も少ないし、なんでしょうけれども、普通の診療費じゃやはり医師という医療担当者の経済が持たないから倍にしてもらわなければならないというふうな発言をされておったのでありますが、ともかくこの豪雪地帯の医療の確保というものはほんとうに命がけで苦労しておるのであります。もしこれが二倍でほんとうに医師と診療が確保できるものなら私はけっこうじゃないかと思います。その二倍に上がった分はみんな国庫で補助していただけばよろしい、厚生省が責任持ってお出しになってくださればよろしいのでありますから、この問題に対する御所見をひとつ承っておきたいと思うのでありまするが、これも一案として、この豪雪地帯における医師の確保、診療の確保というものに対して、これはしばしば繰り返されたことでありまするが、一体厚生省医務局として四十六年度予算の中にどうこれを具体化していただいたかをお聞かせいただきたいと思うのであります。
  148. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 前段のほうの問題は、いわゆる自由開業制度をささえていくという意味において、豪雪地帯を含む僻地における診療費が他の一般と同じであっては、これはやはり進出できないからということの御指摘だろうと思います。私どももそれは確かに一つの考え方だと思います。しかしこれはまた同時にその地区の負担能力が非常に低いということを考え合わせますと、直ちに実行できる問題ではないのではないか。一つの課題として十分検討すべき課題である、こういうふうに考えております。  それから第二の問題で、医師の確保ということはきわめて困難であります。したがいまして、私どもは医者を定着させるという対策以外に、先ほど申しましたような手段を使って医療自体を確保したいということにいろいろと苦心をいたしております。その中で特に親元病院といったようなものを整備いたしまして、そこに医者を確保する。そこからただいまのような機動力その他を使って医療の確保に活動する、こういうふうな手段をとってまいりましたが、さらに四十六年からは、そういう過疎地区、特定の地区を含めますある一定の地区全体をあげまして、その地区に対して共同作業ができるいわゆる連携対策費というようなものを組みまして、同時に、ふだん医療に乏しい地区の健康管理体制もあわせてやりたい。こういうことを新規の事業として計上いたしておるような次第でございます。
  149. 小林進

    小林(進)分科員 時間もございませんので、これで四十六年度から豪雪地帯の一番切実な問題が解決するかどうか、私は非常に疑問を残しておきます。  次に一つ厚生省にお伺いしたいのは、豪雪地帯における災害救助法の適用の問題でありますが、これが一体どうなっているのか。豪雪のために住家が倒壊する危険性が増大した、あるいは住家並びに住家周辺の除雪を実施しなければ日常生活に重大な支障を生ずる、こういうような事態がしばしば起きるのでありますが、そういうときにおける住家並びに住家周辺の除雪を、いわゆる災害救助法に基づいて実施することができるかどうか。これは時間がありませんから私は言うのですが、厚生省はいままでできるとおっしゃる。できるとおっしゃるのだが、これは異常のときの一定の基準がそろえばできるとおっしゃるのでありますが、その基準が不明瞭なんです。だから、具体的にはこういう異常豪雪のときの雪掘り料金なんか災害救助法で適用になった例がいままでないはずだ、たしか。そこで私が言いたいのは、災害救助法というものを改正をするなり、あるいは基準を明文化して、そしてこれがひとつすなおに適用できるようにやっていただく一体お考えがあるかないかを承っておきたいのであります。
  150. 加藤威二

    ○加藤政府委員 豪雪に対する災害救助法の適用の問題でございますが、これは御指摘のとおり豪雪に対しても災害救助法は適用できるわけでございまして、現実に昭和三十八年の一月、新潟県はじめ十一県百十市町村にこの豪雪について災害救助法を適用いたしました。そのときにおきましては、除雪その他も災害救助の一環として実施をいたしたわけでございます。問題は、確かにこの豪雪に対しまする災害救助法の適用の基準が、他の災害の場合ほどはっきりいたしておりません。他の災害の場合は、倒壊家屋が三十戸とか何戸とか、そういう具体的な数字の基準がございますが、豪雪の場合はそれがない。ただ豪雪のために交通が途絶しておる、あるいは一般の住宅の倒壊またはその危険性の増大、あるいはなだれ発生による人命の被害が起きそうだ、そういうようなことでそれを総合的に判断して災害救助法の発動ということに踏み切るわけでございますが、その基準につきましては、さらにこれを明確にするように検討してまいりたいと思います。
  151. 小林進

    小林(進)分科員 その基準を明確にされることを強くひとつ要望いたしまして、次は、時間もありませんから、農林省にひとつお伺いいたしたいと思うのでありますが、苗しろ——御承知のとおり五月になれば千葉県や雪のないところは田植えが始まっているのでありますけれども、豪雪地帯はまだ一メートルも二メートルもたんぼの中に雪が残っていて、とても苗しろがつくれないという状態です。その一メートルも二メートルもの雪をのけて苗しろをつくる、これに要する費用だけで十アール当たり六万円から十万円かかるという、こういう犠牲を忍んで苗しろづくりをしているわけでありますが、こういうことに対する費用、この費用を一体四十六年度ではどのように見ておるか。私は共同育苗施設の利用に対する補助率を少なくとも二分の一——三分の二くらいと言いたいのでありますけれども、やっていただきたいと思っていますが、これがどうなっているか。  それから、消雪の施設に対する補助率を一体四十六年度はこれをやっていただけたかどうか。新規に加えていただいたかどうか。  第三番目は林道の補修事業です。雪が降れば道は非常に痛むのです。この造林保育裏業、この国庫補助の制度を一体拡充されたかどうか。補助率は林道補修事業に二分の一、造林保育事業には私どもは十分の三くらいほしいと思っていますが、この点どうなっているのか。それから、段階的造林事業、雪が降るから段階的に造林していく必要があります。なだれが落ちてきますから、なだれ防止林の造成、育成事業の補助率なども一体どのくらいにおきめをいただいて、そして豪雪災害、林業等にあたたかい施策をやっていただいておるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。時間がありませんからかけ足で申し上げましたが……。
  152. 岡安誠

    岡安説明員 お答えいたします。  まず苗しろの問題でございますが、四十六年度におきまして、新たに大規模の共同育苗施設という事業を新設いたしまして、現在予算要求をいたしておりますが、これは現在、四十六年度におきましては百カ所ということで予算を計上いたしております。補助率でございますけれども、これはいろいろあったのでございますが、結果的には、この施設の性格といいますか、普及拠点を設置いたしまして、普及効果をねらうというような施設の性質からまいりまして、補助率は三分の一ということで現在計上しているのでございます。これにつきましては、もちろん地元の負担ということもございますが、いろいろと御協力を願いまして、効果のあがるようにやってまいりたいというふうに実は考えておるわけでございます。  それから林道、それから治山関係のなだれ防止林、それから造林関係の階段造林等でございますが、これは対象の面積等の増加、特に造林事業につきましては、四十六年度は倍の対象面積を予定をするということで計上されておりますけれども、補助率等につきましては、私ちょっといま詳しくは知っておりませんけれども、聞いておりますところでは、大体前年と同程度というふうに聞いておるのであります。
  153. 小林進

    小林(進)分科員 いま一つ農林省にお尋ねをいたしたいのですが、補助率は、特別豪雪地帯というものに対する特別の補助率も一つも上がっておりません。これはやはり審議の過程において、そういう特別豪雪地帯には特別の配慮をいたしますというお約束が一つも実施されておりません。確かに数はふえているけれども、面積はふえているけれども、これは公約違反です。ひとつお帰りになりましたら、農林大臣にくれぐれもこの点を言っていただきたい。また場所を改めて農林委員会等で申し上げますけれども、公約にやはり違反してはいけませんよ。これはいけません。  次にやはり畜産事業についても、この特別豪雪地帯における畜産事業はいかに困難であるかということを私は申し上げたいのです。半年分の飼料を入れるための貯蔵庫をつくらなければならないし、その貯蔵庫に入れられた飼料も山ほどあるわけですから、飼料の搬出入だけでもたいへんだ。ずっと廊下をつけて飼育場と一緒にしなければいけない。そういうことに金がかかる。その飼料のための金だけでもたいへんです。ところが今度はできた製品の豚でも卵でも生牛乳でも、これは雪の中を道路まで持って出るのがたいへんです。私道から県道、県道から国道、市場まで、飼育した豚でも、卵でも牛乳でも、持って出るのは命がけの仕事です。そういう搬出入に対する不便等の問題等を加えて、豪雪地帯の畜産というものは全くたいへん困難です。また豚小屋だって牛小屋だってそのとおりです。雪が一メートルも降れば、普通の建物だったらすぐつぶれてしまうのですから、非常にがんこなものをつくらなければならない。そのための施設費もまたたいへんだ。こういうことに対して特別の補助をしてこたえていただきたい、特別の協力を得たいということで申し上げたのです。十分考慮いたしますと言われたが、どの程度に考慮していただいたのか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  154. 登坂重次郎

    登坂主査 小林君、時間ですので、まとめてください。
  155. 岡安誠

    岡安説明員 お答えいたします。  積寒地帯におけるところの畜産振興につきましては、従来から草地開発事業、つまり家畜導入事業等についてやっておりますけれども、いまお話しの特別の施設につきましても、特別の助成ということにつきましては、国の助成金としてはちょっと実現が困難ではございますけれども、たとえば従来からやっております地方競馬の益金等から、これをこのほうに若干助成するというようなルートもつけまして、多少ではございますけれども配分を考えておりまして、国のほうの補助金としては現在措置しておらないのでございますが、これはひとつ御了承願いたいと思います。
  156. 小林進

    小林(進)分科員 委員長から御注意を受けましたので、私は残念ながらこれ一問で終わりますが、農林省の御答弁、まだ満足じゃありません。満足じゃありませんが、時間がないから、次はひとつ運輸省に豪雪地帯の問題について。私は運輸省——運輸省というようよりは、運輸省の監督下にある国鉄公社というのは非常にけしからぬと思っているのでありますけれども、合理化、合理化というような話をされて、この豪雪地帯における交通運輸を確保するというような努力を一つもされない。努力をされないのみならず、こういう豪雪地域における駅を無人駅にしてしまった。そうしたら、異常豪雪になっているところでは、住民は雪を踏み分け踏み分け駅に行ったところで、無人駅で駅員が一人もいないのだから、寒いところでふるえているわけです。しかも大雪ですから、汽車が何分おくれてくるか、あるいは途絶して、来るか来ないか、それもわからない。しかも無人駅ですから火もない。そういうところで半日も、ときには一日も、いわゆる汽車に乗る人がふるえながらいるという状態に対して一つも考慮が払われていません。特別豪雪地帯において幾つ無人駅にされましたか。そしてそういう気の毒な住民、当てもなくふるえながら駅に待っている人たちに対して一体どういう手当てをされたのか。いまお聞きのとおりで、それでも各省とも一応特別豪雪地帯は気の毒だから、何とか手当てをしましょうという若干でも前向きの努力をしているのに、逆をやっているのは運輸省と国鉄公社だけだ。こんな失敬千万な、血も涙もないやり方がありますか。一体特別豪雪地帯における無人駅を幾つつくって、これをこのまま放置していく考えであるかどうか、お聞かせいただきたいのであります。
  157. 森永昌良

    ○森永説明員 お答え申し上げます。  実はいまの御質問、私どもあらかじめ伺っておりましたのと若干違っておりまして、たいへん申しわけございませんが、私こういう関係を担当いたしておりませんので、無人駅が幾つあったかというようなことをただいまお答えできませんけれども、後ほど即刻担当のほうから詳細な御説明をいたさせるつもりでございます。ただ国鉄として、全般的に雪害対策を何もなまけているわけではございませんで、現在御承知のように非常に財政は困難でございますけれども、四十六年度の予算を取り上げてみましても、全体の工事経費は非常に圧縮されておりますけれども、昨年以上に四十六年度についても計画をいたして、ほぼ十九億の設備投資を地上設備並びに車両にかけておるわけでございます。ただ、先生御指摘の雪が降ってダイヤが乱れたときに、そういう無人駅も含めまして、各駅にいらっしゃるお客さまに対する連絡等について非常にまずい点があることは私自身十分承知しておりますし、その辺についての対策はさらに考えなければならないと思いますが、そちらのほう、何ぶん私担当いたしておりませんので、明確なお答えができなくてたいへん申しわけございません。ただ一生懸命やってはいるし、現にその成果があがっておりまして、列車が動かなくなるという状態を雪の多い新潟に例をとりまして、新潟鉄道管理局の過去四年間の列車が雪のために運休したキロ数で申し上げますと、四十二年が八万キロ、四十三年が七万キロ、四十四年の冬は六万キロになりまして、ことしの冬は特に雪が少なかったせいもございまして、まだ一万キロしか運休いたしておりません。私どもは、雪のせいもありますけれども、設備投資、並びに運転を若干早めに規制いたしまして、除雪を早期にやるという対策が効果をあらわしてきているのじゃないかと考えておる次第でございます。ただ御指摘のとおりにまだ十分ではございませんので、いまから精一ばいやっていきたいと思っております。
  158. 小林進

    小林(進)分科員 まだ質問が残っておりますけれども、主査に協力する意味においてこれで質問を終わりたいと思いますが、経済企画庁長官、いま全部お聞きのとおりであります。あなたは統括、調整機関といたしまして、この問題をさらに具体的に進めていただくことを特にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  159. 登坂重次郎

    登坂主査 この際、暫時休憩いたします。  なお、本会議散会後直ちに開会することといたします。     午後一時四十四分休憩      ————◇—————     午後四時十七分開議
  160. 登坂重次郎

    登坂主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大原亨君。
  161. 大原亨

    ○大原分科員 最初に、これは質問通告になかったのですが、いまの新経済社会発展計画、これが設定されて日にちは浅いのですが、条件が変わって関連の数字も違ってきていると思うのです。これは、いままでの前例に従って再検討をやるのですか。
  162. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 新経済社会発展計画自体においても、ある時期には再検討することを予定しています。もし情勢の変化等も大きくあれば当然のことであります。目下のところはまだ第一年度が経過中のことでありますから、いま直ちにではありませんけれども、適当な機会を見て検討を開始するということは十分考えられることであります。
  163. 大原亨

    ○大原分科員 どういう点が再検討の対象なんですか。
  164. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 その具体的なことは、まだ全然どうということをきめているわけではありません。新しい情勢を見ながら、その時点に即してやはり考えていかなければならぬわけであります。ただ、今日において、大きな経済の転換点ともいわれておる時期でございます。なおこれらについては十分熟してない点もありますから、そうした点を十分見きわめる必要があろうかと思います。
  165. 大原亨

    ○大原分科員 成長率の一〇%は、目安はともかくといたしまして、物価については、三%程度という目標はいまのままでは達成できない。三%程度というのは最終年度における安定目標であるのか、あるいは平均値ということはないけれども、その点はどうなんですか。
  166. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは最終年度に三%台にしたい、こういうことでありますから、いまからこれができるとかできないとか言うわけにもまいらない、こう思います。
  167. 大原亨

    ○大原分科員 それは、最終年度にこそっと三%になっても三%程度ですか。
  168. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 まあ大体のベースを議論しておることでありますからして、そのときになってみなければもちろん言えないことでありますけれども、最終年度に三%台に落ちつくように何とか持っていきたい、こういうことであります。
  169. 大原亨

    ○大原分科員 それはだんだんと下がって三%になるのじゃないですか、来年は幾らで、再来年は幾らで、五十年には幾らと。それとも五十年に三%になり、五十一年には八%ぐらいにばっと上がってもいいのですか。
  170. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 計画は、つまりその間の線というものを別にはっきりと示しているわけではありません。経済のことでありますから、そこに景気の局面の差というものも出てきます。そういう意味において一律の線を予定しておるわけではありませんから、大きな目で見れば、これは徐々に今後下げていかなければならぬと思いますけれども、特別の線を描かないで最終的にやはり三%台に持っていくように、もちろんそうなるには、いま言ったようにぽこっとある年になるとは言えないと思いますが、だんだんとそういう方向に持っていかなければならぬという点は確かでありますが、それでも最終年度に何とか三%ぐらいになるように、こういう点は変わりません。
  171. 大原亨

    ○大原分科員 つまりことしは幾らになったから、昭和四十五年は七・五%、その次は、本年は五%程度、来年は何%、こうやっていかなければいかぬでしょう。それで五十年が三%、こういうふうにならなければいかぬでしょう、一応の目標は。好不況とかいろいろなことがあるでしょうから、条件は。それでなかったら、これは一つの願望というかおとめの願いにすぎない。そうでないですか。
  172. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 経済のことでありますから、そういう波はもちろんあるのです。傾向としておっしゃるように持っていかなければならぬ、こう思ってます。
  173. 大原亨

    ○大原分科員 つまりふらふらしておれば今度は次の総選挙も来るし、くらがえもするし、長官は今度はここへすわるようになるから、そのうち時間がたてば何とかなるだろう、こういうことですね。いかがですか。
  174. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 別にそういうわけでもなと思います。
  175. 大原亨

    ○大原分科員 きょう本会議で答弁を開いていると、物価の経済企画庁、それから公害の環境庁という山中長官がしゃれたせりふを言っておりましたけれども、しかし、経済企画庁のような環境庁ができたのでは何もなりませんね。計画を立ててはくずし、立ててはくずし、全然各庁に対してもなにがないということでしょう。どこに経済企画庁が企画官庁としての機能を発揮できないという原因があるのですか、あなたの反省の中から。
  176. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 まあ企画庁自身が計画官庁でありまして、いわゆる実施官庁でないという性格を持っておることは、これはいなめないことであります。ただその中で物価については、ややいわゆる計画というものと異なった機能を与えられております。そういう意味においてはわれわれもできるだけ所管の各省と連絡をとり、調整をとっていかなければならないという立場が特に強く要請されておるわけでありますから、そういう意味においてできるだけの努力を払ってまいりたい、こういうふうに考えております。ただ、もちろん今日の物価高の原因というものは非常に錯雑し、原因についてもいろいろとむずかしい問題を持っております。そういう意味においてこれを処理していくということには、いろいろな困難があることは確かであります。そういう意味で、何かもう少しいろいろな点について打つべき手を打ち得るようなそうした権限というような議論がしばしば出ておりますが、いわゆる統制的な手法を用いないで、いわゆる自由主義的な手法のもとにおいてこれを実行していく、こういう前提があるわけでありますから、そういう意味におきましては、いわゆる経済の政策運営全般がいわば物価の姿に集約してあらわれてくるという意味においては、内閣の経済政策運営全体に関連することでありますし、そういう意味において形式上何か権限が非常にないという感じをお与えしているのであろうと思います。そうはいいましても、われわれの立場からはいろいろとまた発言のチャンスがあるわけでありまして、それをフルに活用して、できるだけ物価についても所期の目標を達成するように努力をしてまいりたい、こう考えております。
  177. 大原亨

    ○大原分科員 つまり物価でも公害でも特徴は、これは私はいつも言うのですが、自然現象でもない、雨や風のように。地震や雷のような災害でもない。経済の部分的な現象でもない。そのトータルですね。そのトータル、つまり国民生活の観点から立てばどういうふうに配慮されているかというバロメーターが物価だと思うのです。物価はそういう観点で見るべきだ。そういう観点ならば、皆さん方のような自由経済の立場をとる場合であっても、それは公正な自由競争の条件整備することが目標でしょう。そういうことを通じて物価の安定をやるわけでしょう。生産性が向上したら、賃金と事業主の利潤とそれから消費者に対して公正に還元される、こういう公正な自由競争の条件を整えるのでしょう。その条件を妨害するような事態があれば、それに対して、経済企画庁長官が各省庁の企業とくっついた助長行政に対してコントロールができなければ、物価の関係庁ということはできぬわけでしょう。そういうことはできぬわけでしょう。そういう機能がないわけでしょう。自由経済であるから、ふらふらして時間がたてばいいというものじゃないでしょう。公正、自由な競争条件整備するということが必要でしょう。そういうためには何が必要なのかという行政上の権限があるはずです。そういう物価に関する権限については、経済企画庁長官は他の省庁の権限よりも優位した権限を持つ。公害の問題について総理大臣の勧告権ということがあるが、物価についてもやはり承認を得るとか許可を得るとか、単なる協議をし相談をするだけでなしに、経済企画庁長官が企画官庁として、実施官庁としてそういう権限を持つような改革が必要ではないか。きょうは物価の問題について議論しませんが、制度上の問題について、大体たくさんの官庁エコノミストを養っておるわけですから、その人は仕事は確かにおもしろい。毎日毎日いろいろ電子計算機をはじいてやるわけですから、いろいろなああでもないこうでもないとやることは、普通の官庁の事務よりおもしろい。おもしろいけれども、やったことは何もないということでは困るわけです。そういう点の機構について改革すべきではないか。あなたの反省があればひとつ承っておきたい。
  178. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 今度環境庁ができまして、企画庁とだいぶ違う権限、具体的な権限、事柄の性質上監督権限を持った官庁ができました。企画庁の場合には、いまもお話がありましたように各省を通じてやる。直接民間に対する許認可というような監督権限を持たないで、各省を通じてやる、これがきわめてはっきりしています。その際に、結局いわゆる対策閣僚協議会、こういうような形を通じてやることになっております。これはいまのお話のように、形式上物価の調整についての権限を与えられておりますけれども、具体的な権限に欠けていますから、そこでああいう構想もおのずから出てきたわけであります。でありますから、もの足りない点があるといえばそういうお感じを持つ点もあると思いますが、閣僚協議会というようなものも運営のしかたが大事だというふうに考えております。私も就任以来そういうことで物価対策閣僚協議会をいかに活用したらいいかということで、最近では、あまり大ぜいの大臣が一堂に集まって形式的な決定をするということよりも、やはり各省の大臣と十分に懇談をして、そうしてわれわれの所期する方向に持っていく、そのために十分各省に対しても要請を強める、こういうような運営のしかたをできるだけ心がけておるようなつもりでございます。いろいろと足らない点もあろうかと思いますが……(大原分科員「機構改革はいつやるか、そういう権限の強化を」と呼ぶ)まあ権限につきましては、いまのやり方をもっと強めていく。かりに権限の問題となりますと、それぞれの立場からどっちにも権限が分かれるというような、かえって混乱が起こるかもしれません。そしてこの流通問題一つとりましても、一体どこから切ったらいいのかということになると、最近の野菜問題を例にとりましても、生産の問題が非常に重要である。これはもう農林省自身がやるべきことでもあり、やってもらわなければ困る。こういう点は、企画庁自身が手がけるというわけにまいらない問題もあります。ですから、どこに線を引くかということは、実際問題として私はなかなかむずかしい問題があると思うのです。そういう意味において、場合によってはそうした線を引かないで生産自体についても農林省に対して要求をする、こういうような行き方も一つの方法であろう、こういうふうに考えております。そういう意味においていま直ちに形式的に権限をどうするということは、現在はまだ考えていないわけであります。
  179. 大原亨

    ○大原分科員 できるだけ長官は無難にすらすらやっていけばいい、そのうちに時間が過ぎるからそれで役目は終わり、こういうことになると思うのです。しかし考えてみると、あなたはときどきいいことを言われるわけです、新聞なんかに。わりあい他の閣僚に摩擦があるようなことであっても、正しいことをばっと言うわけです。それがニュース等に出るのである程度の期待をするわけですが、いつの間にか消えてなくなる。公共料金でも何でもそうですね。ですから、そういう公共性を持った料金でも、あなたの承認がなければできないというふうに法制上しておけばいいはずなのです。あなたに期待したことが実現できるわけです。ですから、そういう点についてやらないと、幾ら自由経済だといったって、やはり経済企画庁が価値のあるデータを提供するということもさることながら、私は全然だめじゃないか、こう思うわけです。この点については、あなたは七月の内閣改造でおられるかどうかわからぬが、できるだけおってもらいたいと希望しますけれども、私はしっかりした考えを残してもらいたいと思うのです。最近の所得政策なんかのふらふらした発言なんか落第だと思っておる。初めこういうことを言っておいてひっくり返す、これは私は非常に権威を落としておると思うのです。専門家がどんどんいろいろな発言をしておりますね。ですから、経済企画庁としては部内でいろいろな意見があったと思うのだけれども、やはりああいうことは私は権威を失墜したのじゃないかと思うのです。だから私は、経済企画庁がスタッフをそろえてやった専門的な研究というものがきちっと行政の上に生きるような、そういう権限を持つべきだと思うのですね。それをやらなかったら、私はどんなことを国会で議論したってだめだと思う。どんな議論をしたって、ああでもないこうでもないと各省庁が言うだけであって、何にもなりやせぬですね。物価の審議でも、結局一つの焦点にならなかったが、そこに一つ問題があるということを私は思うわけです。私は強くそういうことを意見として要望しておきますが、あなたの見解があれば承りたい。
  180. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 力の足らない点は反省しなければなりませんし、今後ひとつできるだけ御指摘のような方向でわれわれも一そう努力していきたい、こう考えております。  それから所得政策につきましては、別に企画庁は当初から考えを変えているわけではありません、今日の事態において物価と賃金の問題の関係が深いことは明白でありますから。しかし、また自由主義体制のもとにおいて、本来経営者と労働組合が自主的に決定すべき筋のものでありますから、できるだけ全体の経済の観点において自主的に決定してほしい、これがわれわれの願いであります。そうして経済のバランスをくずさないように、現在は経営者と組合が中心になってこういう問題を決定していくという、その大原則を前提にしてわれわれはどういうふうに考えるかということを言っておるのでありまして、まだ所得政策を直接とるということを企画庁が言ったわけでもございません。ただ、やはりいま言ったような意味で、もう一回経営者と労組がそういう観点に立って行動してほしいという希望を終始一貫述べているだけであります。具体的に所得政策云々ということは検討しております。検討はしておりますけれども、政府としてはそういう意味では一貫して実は発言しておるつもりであります。いろいろな発言があるように思われても困りますから一応申し上げておきますけれども、そういう点が真意であることを御了解願いたいと思います。
  181. 大原亨

    ○大原分科員 時間的にタイミングが悪かったというのは、物価についてはいろいろな提案が政策会議からなされておる。そしていろいろなことを経済企画庁は言ったが、何をやっても効果がなくて、その時点においてはとうとう物価が七・数%上昇したという数字が出てきた。そこで何か所得政策、物価と賃金の関係だけに焦点を合わせたようなことをあなたが苦しまぎれに発言したように見える。私はそういう情勢判断をしておるのです。だから、それは不見識じゃないか、客観的に見て権威を失墜するものじゃないかと私は思ったのです。最近生産性本部が言うように、生産性の向上を上回る賃金の上昇はあり得るわけです。労働分配率という絶対的な基準が一つあるわけですから、相対的な生産性とか賃金上昇率というものはあるわけです、短期的に見る場合と長期的に見る場合と。そういう議論が学者の間で起こってくることは当然です。日本の総合的な観点から見るならば当然ですから、私は、そういう納得のいくようなことをやってもらいたいというのが希望です。  時間がなくて重要な問題が聞けなくなったわけですが、今度環境庁が七月に発足しますね。それで経済企画庁に残る権限というものは何ですか。出ていくのではなくて、いまの公害行政で残るのは何が残るのですか。
  182. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 公害関係につきましては全部行きます。企画庁がいままで持っておった具体的な権能は、全部持たないことになります。
  183. 大原亨

    ○大原分科員 そうすると、あなたと議論してもつまらないことになるわけだ。四、五カ月したら行っちゃうわけだ。そのうちあなたも内閣改造でやめ、蒸発していなくなるということになれば、公害のことについてあなたと目くじら立てて議論してもしようがない。しかし、国務大臣であるし、佐藤内閣の責任ある閣僚の一人であるから、あなたはいいかげんなことは言わないでしょう。よきことを残さなければいかぬということになりますね。全部行ってしまうわけですね。水質については何もない、こういうことになるわけですね。この間、私は本務員ですからここにおるときに水質審議会のことが問題になりましたが、今度中央水質審議会というものができるわけですね。やはり環境基準——私は瀬戸内海の総合的な浄化対策、汚染防止対策というものはどこが責任を持ってどういう順序でやるべきか、漫然と部分的に政策を積み上げてもだめだ、こういう感じを実際に私どもが足を踏み入れてみて痛感するわけです。総合対策がないのが日本の環境保全、公害対策の欠陥である。東京湾でも内海でも、どこでもそうなんです。あるいは国土全体についてもそうだ。その基本を言えば、土地利用計画かもしれない、土地政策かもしれない、そういうものが私は欠陥だと思うわけです。もう一つは企業のモラル、企業責任のモラルです。これは私もいつも言うのですが、元大蔵次官の何とかいう人が報告書を書いています。そうあってほしいと私は思いますね。     〔主査退席、松野(幸)主査代理着席〕 そこで、この環境基準の設定については、私はどういう観点から見ても、客観性のある、納得のいくものでなければいかぬ。その手続においてもそうだし、結論においてもそうだ、そう思うわけです。そうでなければ、部分的に説明ができてもだめだ。そういう総合的な観点からできるようにすべきである。水質汚濁の防止について、環境基準、排出基準その他一般都市排水の問題を含めて、油の投棄その他の問題全部含めて総合的、具体的なものでなければならぬ、こういう点ですね。だから、その中で環境基準はどうあるべきかということを考えていかなければ、環境の改善ということはできぬと思うわけです。総合性がなければだめだと思うのですね。客観性がなければいかぬ。各利害関係者から意見を聞くことも必要です。可能なことであり、協力せねばならぬから意見を聞くことも必要ですが、しかし、やはり客観的な妥当性のある、そういう総合性のある基準をきめなければならぬ、そういうことは手続においても、結果においても重要である。結果の基準数値においてもそうだし、手続においても住民が納得できるようにしなければならぬ、そういう面においては、私は何も議事録というのは、利害関係者がどっと入ってきて、そしていろいろな意見を言うたり大きな声を出したりすれば、これは自由な発言が妨げられるでしょう。しかしながら、その審議委員が出て発言をする場合には、幾ら自由な発言をするといっても、企業の利益を言ってもいいわけですが、しかし、それが客観性のある主張でなければいかぬわけです。責任ある主張でなければならぬ。責任ある主張が積み上げられて基準ができなければだめです。そういうものが、たまたま大きな圧力を持っていて、人の見えないところでやってひん曲がった形になってはだめです。そういうものは行政に対する信頼の問題になる、そういうものは守られもしない、住民はそれに対しては価値を認めない、こういうことになるとすれば、トラブルは政治的になることは必至でしょう。だから私は、そういう重要な環境基準の設定のプロセス——議事録の問題はこの間議論しておいたが、議事録の問題はこれは公開の原則、そして委員の選任については、やっぱり一方のサイドだけではだめだ、これは国民の側に立って納得できなければだめです。これが企業のモラルの問題、企業の責任という問題、企業はつぶすのじゃないのだから、公害対策は企業をつぶすのじゃないのですから、そういう点では住民のサイドにウエートがあるような審議会の委員を選任しなければだめだ。私は、そういうプロセスの問題と委員の選任の問題について、もう一回大臣はどう考えているかということについて、悪いことは聞いておりませんでしたけれども、この点については重要な問題ですから、これは事務の引き継ぎというか一つの前例をつくる問題ですから、このお考えを議事録にとどめておきたいと思います。
  184. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 先にあとのほうから申し上げますと、いわゆる住民の意向を代表する立場の委員をできるだけ入れる、これは私も大賛成であります。今日においても、それを主として地方自治体の代表者であるとかそうしたメンバーを入れておるわけでありますけれども、今後の運営においては、もちろんそうした点を無視するわけにはいきません。われわれもまたそういう考えであります。  それから、このいわゆる議事の公開、非公開の問題ですけれども、これはいままでの議事規則にもきまっておって、いままでのルールがそういうふうになっているわけであります。やはりそれは忌憚のない自由な意見の交換を活発にさせようということであり、これが非公開であるという前提のもとに今日までの議論がなされてきておる。ここまできておりまして、これは審議会の考え方でどちらにでもなることでありますけれども、今日までのそうした審議会の考え方というものは、今日までの事態から見るとやむを得なかったと私も考えています。今度の大きな制度の改変によりまして、中央の審議会においてはいわゆる一律基準の設定をやりますけれども、個々の基準の設定は地方審議会になると思います。それで、一律基準の設定というようなことにつきましては、これは私の考えでも、別にそのために発言がどうということはないわけでありますからして、今後の審議会の新しい構成が行なわれた際に、十分そうしたことも頭に置いて議事の運営がされるようにルールがつくられると思います。まあ地方の具体的な水質基準、個々の水質基準については今後条例によって上乗せがきまるわけでありまして、地方の水質審議会がやはりまたその立場において、その角度から、みずからどういう議事運営をしたらいいかというルールをおそらく定めることになろうか、こう思っております。
  185. 大原亨

    ○大原分科員 それで、公開、非公開の問題は、議論をしておけば、あとどういうふうに運営するかということについて、政府の方針やあるいは関係者、審議会の方針のやはり参考になると思うのですね。だから、野放しにしておいてはいかぬわけです。だから、非公開というのは会議を運営する上での問題であって、中身は、天下国家に堂々と公開してはばからないものでなければならぬわけです。だれの発言だって、審議会の委員というものは責任を持った発言で、その積み上げで結論が出るわけですから、それは特に地方条例による審議会の問題との関係もありますが、そういう点においては総合的に、客観的に妥当な基準でなければならぬ。岩国や大竹地区の問題を具体的に取り上げてここで議論してみても、とてもじゃないが、ABC地域を設定してみましても将来五カ年間にこれが達成できるとは、これはだれも信用しない。これは環境基準だけの問題じゃない、他の政策全体の問題ですね。  私はもう一つだけあなたの御意見を聞いておきたいのですが、海洋の汚染とか水質の汚濁。内海とかああいう地域の場合に、だれかが総合計画を立ててそれを遂行する責任を持ち、ヘドロをなにして費用の負担をきめたりする、責任を持ってそういうイニシアチブをとる、今度はそういうことになるのだろうが、これは運輸大臣に聞いたって橋本さん何もわかりやせぬ。海上保安庁の取り締まりのことは少し、時間がないからあとで聞くが、こういうふうな方針で一生懸命やっている、最近非常にいろいろ勉強してやっているが、しかし、あとは何も知ってはおらぬ。あんなものにまかしておいて何もきれいになりやしない。それは橋本さんが悪いというのではない、あんなものは何もするようになってはおらぬです。だから、だれが責任を持って総合計画を立てて、一つ一つ手を打っていくのか、予算の裏づけをしていくのか、こういうことです。  たとえば、屎尿汚染一つをとってみたってそうです。瀬戸内海の、内海に投棄をさせない、六月以降は。こういうわけです。そうしたら大きな鉄鋼船が要るわけです。距離も長い、量も多いし、時間がかかる。太平洋に出れば波もあるわけですから、小さな下請船でやるということはできないわけです。それをやっているから途中でたれ流しをするわけです。ですから、そういう責任を持って総合政策を立ててやるのはだれがやるのか、だれが一番適当であるのか、あなたの見解があればお聞かせ願いたいと思います。
  186. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 お説のように、今日まで非常にばらばらでありましたし、また、それが今日の公害対策をおくらせた大きな原因であります。そういうこともありましてやはり環境庁の発足を見るようになったわけでございますから、ここにこれだけの権限を集中したわけでありますから、これを中心にして十分従来の欠点を補っていけると思います。ですから、海洋汚染なんかも、もちろん運輸省も所管でございますけれども、少なくとも国内対策については、御存じのように今度はいままでと違って一律基準を設ける。ですから、大竹の場合のように指定を待つ必要もなく、一律に瀬戸内全体についての基準がまず設定をされますし、そういうようなことで廃水についての対策も進んできますし、それから海洋の投棄その他については、いわゆる海外船舶の問題というようなことがもし起これば、これについては規制の不十分な点もありますけれども、しかし、それでも国内的な規制を、御存じのようにできるだけ強めていくという体制になっておるわけですから、やはりその欠点を補いながら、総合的に環境庁において計画を逐次遂行していく、こういうことが非常にやりやすくなったと私は考えております。
  187. 大原亨

    ○大原分科員 以上で終わります。
  188. 松野幸泰

    ○松野(幸)主査代理 次に、古寺宏君。     〔松野(幸)主査代理退席、主査着席〕
  189. 古寺宏

    古寺分科員 大臣にはこの問題についていままでもたびたび質問申し上げてまいったのでございますが、東北開発促進計画もきょうで期限切れとなるわけでございます。促進計画の中には、おおむね四十五年というふうに書かれてございますが、計画の最初からの経過からいきますと、ちょうどきょうがその期限切れになるのじゃないか、こう思うわけであります。そこで、この新しい東北開発計画と申しますか、このことについては現在まだはっきりいたしておりません。これと関連いたしまして、先日の東北開発審議会の建議もなされているわけでございますが、そういうような一連の問題について、きょうはもう一回また同じような繰り返すような問題でございますが、質問申し上げたいと思うのです。  そこで、まず最初に東北開発三法というものを全面的に改定をしたい、こういうことは昨年の国会におきましても、あるいはその後におきましてもお聞きをいたしておるわけでございますが、その点について大臣は現在どういう構想をお持ちになっておられるのか、まず承りたいと思います。
  190. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 東北開発計画は、いま御指摘のようなところであります。そこで、私どもといたしまして、ここへすぐ計画を新たにつくるかどうかということについて検討いたしたのでありますが、どうも単なる計画を急ぐということよりも、やはり体制の整備が先ではないか。と申しますのは、御存じのように、全国総合開発計画といういわば開発の基本法ともいうべき法律がございますし、これはだいぶ前につくられたものでありまして、新しい事態に必ずしも即応しなくなってきているという意味においてまずそうしたものに手をつけ、それからそれと呼応して各地域開発機構、こうしたものを一体どういうように扱っていくか、こういう点の検討をまずすべきではないか。そして御存じのように、たまたま新全国総合開発計画ができまして、この新全総の中には東北をはじめ各ブロック編というものができておりますので、一応そうした展望はできておりますから、まずそういう制度的な点を検討し、そしてこの計画をしかる後につくっていこう、こういうような考え方で今日まで処してきておるのであります。そういう意味においては、私どもも全国総合開発、いわゆる総合開発法をどうするかという点の検討を進めているわけであります。それにつれて各地方の開発についての体制をいかにするかを検討しなければならぬ、こう考えているわけであります。
  191. 古寺宏

    古寺分科員 そこで、経済企画庁から東北圏開発整備法のA案とB案が示されている、こういうことを承っているのですが、A案とB案というものの内容について教えていただきたいと思うのです。
  192. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 一応概略を御説明させていただきます。  A案とB案というのと、現在現行法での対照を申し上げたいと思います。  まず、A案と申しますのは、計画主体が現行法では国でございますが、この計画の主体を特別地方公共団体にしていこうという考え方でございます。そこで、それではその計画の手続はどうなるかと申しますと、現行法では東北開発審議会というものがあるわけでありますが、やはり同様に審議会の議に付しまして総理大臣に協議をするという考え方でございます。それから事業計画といたしましては、現行法では、各省が作成いたしまして経済企画庁が調整をするというたてまえになっておりますが、このA案では、都府県が計画考える、さらに現行法では全然ございませんが、地域指定という問題で、都市開発区域あるいは産業開発区域というものの地域を指定していく、さらに特別の財政措置と申しますか、そういう意味では、A案では地方債の発行の許可であるとかあるいは補助金の特例であるとか、そういうものを考えていく、大体大づかみに申しますと、そういう仕組みであります。  さらにB案を申し上げますと、これは計画主体は国が計画主体である。そこで、やはり計画の手続といたしましては審議会がございます。内閣総理大臣基本方針を指示いたしまして、地方の協議会というものが原案を作成するという姿で考えております。事業計画は、各省が作成いたしまして経済企画庁が調整をする。それから地域指定の問題では、都市開発区域というものを考えているわけであります。  非常に荒っぽい御説明で恐縮でございますが、大体の筋はそのような考え方でございます。したがってB案は、一言で申し上げますと、比較的中部圏の整備に似通った考え方、それからA案は、現行の制度と非常に変わった新しい考え方を入れております。  以上であります。
  193. 古寺宏

    古寺分科員 そこで、このAB二案に対しまして東北の知事さん方が非常に反対をした。それで甲乙二案というものを、知事会のほうでは企画庁側に提示しておるということを伺っておりますけれども、そのいわゆるAB案と甲乙二案の相違点はどこにあるのでしょう。
  194. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 先ほども申しましたように、A案というのは、非常に東北の各県がこの開発に対して一つのつながりを持つというような考え方。これに対しまして各県の考え方は、やはりそれぞれの県の独自性というものを確保したいという御要望が強いようでございます。そこで、むしろB案に近いような感覚の御返事が来ておるわけであります。  そこで、特に私どものお示しいたしました案に対しての違いの大きな点を申しますと、この事業計画というものがいわゆるローリングシステム、年次をきめてその間手直しをしないというのではなくて、順々にローリングさせていくというような計画であるべきだ。それから先ほどの地域指定の問題では、都市開発区域、産業開発区域、これはA案と同じでございますが、保全区域というものを地域指定する必要があるというのが、これは乙案のほうで返事が来ております。  それからさらに、甲乙両案に共通な点は、いろいろな開発奨励金であるとか雇用奨励金であるとかいう財政援助をもっと手厚くしろという点の御指摘がありました。したがって、一言にして申しますと、このようなB案、いわゆる中部圏方式に似通った感覚で、しかも地方の協議会が計画の原案を作成するという点ではB案の考え方を了承された。そこで、それの体制というものが乙案では経済企画庁、国が計画の主体となる。ところが甲案では、東北圏開発本部というような独立の機関をつくるべきであるという点が違っておるかと存じます。
  195. 古寺宏

    古寺分科員 それでは、現在はどういう段階まで検討が進んでおるわけでございますか。
  196. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 現在A案、B案に対して、また地方サイドから甲案、乙案という一つの提示があり、それから私ども、それぞれの構成されております方々あるいはその他の方々の御意見などを承ったわけでございます。その際にいろいろな御意見が出てまいりまして、一応こういう甲案、乙案という一つのスタイルを示されたのでございますが、これにつきましてもいろいろな各県によっての御意見がございます。したがいまして、私ども、そこの辺でもう一度これを振り出しに戻して、先ほど長官が申しましたが、国土総合開発の全体の仕組み、それから法律で申しますれば、国土総合開発法が基本法であるその一つのブランチをなす東北開発促進法というものがどういう姿であるかというような、その体系づけということを考え、さらにもう一点は、これはむしろ新全総で御存じのように、たとえば大規模開発のプロジェクトというような問題がございます。こういうものをこういう地域開発にどういうふうに織り込んでいったらいいかというような点などを検討いたしました。それでいろいろな意見が出て、むしろ事務当局として相当な論議をしておるという段階でございます。
  197. 古寺宏

    古寺分科員 東北開発圏法については、大臣も、新聞を見ますと山形かどこかで、今度の国会に提案したい、こういうことをおっしゃったように新聞の記事には載っております。東北の人というのはこういうことに非常に期待をしているわけでございますが、こういうことではいままでの開発促進計画も期限切れになりますし、今度の国会にこれが提案になるのかどうか、こういうふうに皆さん期待をしているわけでございますが、その見通しはどうなのでございましょう。
  198. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいま、率直に申しましてなかなか成案を得るところまで……。なかなかむずかしい問題だと考えています。その点、長官からもできるだけ早く整備せいという命令を受けておりますのですが、現実の問題としては、今国会に間に合うかどうかというのはいささか心配をいたしておる段階でございます。
  199. 古寺宏

    古寺分科員 これはやはり東北開発審議会にはかるのでございますか。
  200. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 考え方がまとまりましたら当然審議会に御説明申し上げ、御意見を承りたいと考えております。
  201. 古寺宏

    古寺分科員 それでは、東北開発審議会にはかる予定は大体いつごろ、目標は。
  202. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 先ほども申しましたように、ただいまの作業段階で申しますと、どうもまだいつということをちょっと申せないところでございます。なかなかむずかしいことなのでございます。
  203. 古寺宏

    古寺分科員 新全総の中に地域開発基本構想というものがありますので、それでいいのだというような先ほどの大臣の御答弁だったのですが、そういうことでは、私は東北開発促進計画にはならぬと思うのですね。もう二月二十五日で期限切れになるということははっきりしているわけでございますので、もっと早く審議会に諮問するなり準備を整えてこの問題は対処しなければいけなかったのではないか、こういうふうに私は考えるのですが、どうでしょうか大臣。
  204. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 おっしゃるとおり、できるだけ急ぐべきものであります。ちょっと強く響いたかもしれませんが、新全総にあるからそれでいいのだということまでの気持ちで申し上げたわけでもありませんけれども、何よりもやはり基本的な制度、こっちのほうを優先して考えるべきではなかろうか、こういうことが基本にあったわけでありまして、それがなかなか、残念ながら率直に言って意見もまちまちでありますし、そこでこれの調整には手間をとるのじゃないか、そういうこともありまして、いま局長からの説明もございましたけれども、私も昨年の段階でできるだけ急ぐようにということで、ずいぶん心がけるようにしてきたのですけれども、なかなか思うように進まなかったような実情でごいます。今後も督励をしたいと思うのでありますが、いずれにしても計画そのものにつきまして、その制度改正の進行状況ともにらみ合わせてやはり考えなければいかぬ、こう考えています。
  205. 古寺宏

    古寺分科員 そこで、新全総ができた当時と現在では非常に情勢が変わってまいっております。先日も労働大臣に出かせぎ問題でいろいろと質問をいたしました際に、労働大臣は、農村地域工業導入促進法というものを今度提案することになっている、こういうお話がございました。これは東北には非常に大事な提案であるというようなお話があったのでございますけれども、この中には経企庁は入っていないわけですね。これはどういうわけなのでございましょうか。
  206. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいまの農村への工業導入というような問題につきましては、確かにもう近々に国会に提案になる法律だと存じます。その法律の中のいわゆる主務大臣という問題については、農林、通産、労働三省の大臣が主務大臣になるというふうになるかと存じます。そこで、経済企画庁長官がその主務大臣に入っていないのはなぜかという点でございますが、一種の地域開発立法であることは確かでございます。ただ、非常に現在の農政上の特殊な問題、特にたとえば休耕の問題であるとか、そういうような問題に対して、農業振興上の問題と工業をそこに導入してつくっていくという、非常に現代と申しますか、現時点的な問題点を強く打ち出しております。したがいまして私どもは、これの計画をお立てになり、あるいは基本方針をお立てになるというときには、十分協議を受けてわれわれの一つの考え方というもので御相談を申し上げることにはいたしておりますが、あえてその主務の大臣に参加する必要はなかろうという考え方を現在持っておるわけでございます。
  207. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いま局長の申したとおりでございますが、要するに企画庁は一種の調整機能というのを持っております。それで個々の具体的な法律地域開発に関係のあるものにつきましても、いま話がございましたように、ものによっては別に所管大臣にはならないで、しかし実際は必ず相談にもあずかり、そうして調整を行なっておる、こういうものもございますし、そういう意味において今回特に所管大臣にはなりませんでしたけれども、この立法の過程において相談にあずかってきておる、こういうことであります。
  208. 古寺宏

    古寺分科員 いろいろお話を承っておりますと、東北開発促進計画というこれも非常に空白になる、あるいはこういう新しい法案ができるのに経済企画庁が入っていない、何か大臣は、農村地域あるいは東北開発に対しては非常に熱意がない、むしろ東北開発法からいえば大臣の怠慢じゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  209. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いわゆる所管になるかどうかということは多少法律技術的、法律組織的な議論でありまして、所管になるならぬということでその判断をするというのは必ずしも無理ではなかろうか。この法律案ができる過程において非常に各省の間に意見の対立があり、調整困難というようなことになりましたら、あるいは企画庁が乗り出すという場面がもっと出たかもしれません。幸いにして三省間で十分話し合いがついたわけでございます。そして個々の許認可というような監督行政はもちろん各省が分担することでございます。ですから、実際は企画庁が調整しながら、法律の表面に正式に出ていないものはたくさんございます。いわゆる経済協力もその一つでございますし、そのほか自由化の問題もそうでございます。ですから、形式上の所管大臣ではございませんけれども、実際問題としては企画庁の全体の計画と密接な関係を持って、そして行政的に密接に連絡をとり、調整をとってやっていく、こういうことになっております。
  210. 古寺宏

    古寺分科員 時間がないのであれでございますが、東北開発株式会社とかあるいは北海道東北開発公庫というようなものは、やはり新全総もございますし、そういう将来の発展計画というものに並行した進み方をしていかなければならないと思うわけです。東北開発会社の問題でございますが、最近はセメントあるいはハードボードですか、こういうものの成績が非常にいいということを承っておりますが、こういう黒字になった実績のあがっている会社は、地域発展のために地元にお譲りをいたしまして、いままでのような赤字の会社は地元に押しつける、亜炭であるとかそういうものはみな放してしまう、こういう行き方ではなしに、黒字になったもの、育ったもの、一人前になったものに地域発展のためにお譲りするというような行き方でなければならないと思うわけでございますが、そういう点はどうでしょうか。
  211. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御指摘のように、すでに相当成績をあげておるもの、主として民間事業と競合しやすいようなものは、実績をあげ次第民間に移譲していく、こういうようなことも十分考えております。そうしていわゆる工業団地の造成であるとか、畜産基地の造成であるとか、むつ・小川原の問題であるとか、そうしたものについてやはり東北開発には相当力を注いでいく。大きな方針としてはそういう心がまえで今後やっていきたい、こう思っております。
  212. 古寺宏

    古寺分科員 それから開発公庫にお聞きしたいのですが、どうもいままでのあれを見ていますと、北海道東北の二分方式と申しますか、ここに百円あれば五十円ずつというような非常に実態に沿わないいままでの配分のしかたと申しますか、こういうことがずっと行なわれているわけでございます。この二分の一方式というのは、根拠はどこにあるのでございましょうか。
  213. 小熊清

    ○小熊説明員 お答え申し上げます。  先生御存じのように、公庫は北海道東北、どちらかというと開発のおくれた地域に対して産業を振興するための長期の資金を供給いたす、それによって両地域が、他日先進地域と比肩できるようにするというのが公庫の使命かと存じております。このような観点に立ちまして、いまお話の資金運用面でございますが、公庫の使命、目標に十分かんがみまして、これまででも両地域の実情に即して資金運用をしておるというように考えておるわけでございます。御指摘のような一つのめどというようなものは内部的にありますけれども、根本は、やはり両地域それぞれが実情に合った開発発展をしていくというために、一番いい資金の運用方法をとっていくというように考えておるわけでございます。したがいまして、今後におきましても、両地域の開発の熟度でありまするとか、先ほど来お話の出ておりまするような大規模な開発プロジェクトというような動向も十分踏まえまして、運用を遺憾なきようにいたしていきたい、かように考えておるわけであります。
  214. 古寺宏

    古寺分科員 これは直接その問題と関連はないかもわかりませんが、いままでの東北開発促進計画はきょうで完了するわけですが、その促進計画の中にはいろんなことが書かれてございます。これは私のほうの、今度のむつ・小川原開発の対象地域になっている下北半島の先端に行きますと、神武以来、日本の歴史始まって以来少しも手を加えられないというような漁港もあるのです。ところが海峡を渡って北海道に行きますと、どんな漁港でも大体整備されているわけです。そのために青森県の漁民というのは、ちょっと海が荒れますと操業ができないわけです。そういうふうな開発のおくれというものを、海峡一つはさんで、そこに住んでいる住民そのものがはだをもって感じているわけです。毎日の生活を通して感じているわけです。そうしますと、東北開発というのは一体いかなるところに原因があってこういうふうにおくれているのだろうか、こういうふうに現地の住民はすなおに考えるわけです。われわれに訴えるわけです。私がいろいろ調べてみましたら、そういうふうにずっと二分の一方式というものを、だれがおつくりになったかわからないのですが、おやりになっておる。やはり開発を促進するためには実態に即した、新全総もございますが、そういうものを生かしていくための運用でなければいけない、私はこう思うわけなんですが、時間がありませんので、今後十分にそういうことを検討していただくことをお願いしておきます。  最後に、先日の東北開発審議会から建議になっておりますむつ・小川原の工業開発のその後の状況について、御説明を願いたいと思います。
  215. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 先日の東北開発審議会の会長から総理大臣に対しての御建議の中で、「むつ小川原地域における大規模臨海工業基地の建設にあたっては、当面、次の措置を講ずること。」というようなことで約三項目の建議が出ております。これを要約して申しますと、まずこの基礎調査あるいはこの計画というものを考えるために、調査の調整をはかって早急に調査を完了しなさいという項目がございます。これが第一点でございます。これに対しまして、その調査費につきましては、四十五年度約五億程度の調査を実施いたしております。さらに四十六年、四十七年、この三カ年で約十七億程度の調査を何とか実施するように考えております。さらに、調査をいたしますと、どうしてもいろいろな機関で調査をいたすという点もございますので、この調整あるいは計画を立案していくという前提に立つ調整という問題につきましては、関係の各省及び青森県とで連絡会議を持つということにいたしております。  次に、この基礎調査の成果が出ますと、これに基づきまして新しい技法を取り入れた計画というものを策定するために研究開発体制といいますか、マスタープランをつくる、あるいはこの調査の結果のデータをバンクする機構を考えるというのが第二点の御建議でございますが、これにつきましては、一応東北開発株式会社と青森県と民間によりまして出資いたします調査機関の設立をただいま検討いたしておるところでございます。さらにこの用地問題が問題でございますが、用地対策といたしましては、県が中心となって住民対策を確立することが必要だという面につきましては、これは御承知のように、ほんとうに地元の県が中心になってやっていただかないととてもできるものじゃございません。私どもといたしましても、青森県にお願いいたしまして十分検討していただく、さらに、たとえば農協などが地域住民に呼びかけまして、土地の思惑買い防止につとめていただくようにお願いしているところでございます。  また、この用地取得の問題で、でき得る限り先行的な用地確保のための機関を設立することが望ましいという問題では、ただいま民間と北東公庫と青森県による先行的な用地取得のための機関の設置ということを進めている最中でございます。さらに、この問題につきましては、現地といたしましてもどういう態度をとられるか、それについても県と御相談をしている最中でございます。
  216. 古寺宏

    古寺分科員 大臣にお話し申し上げたいのですが、いままでの開発計画を見ますと、こういう住民対策とかいままで現地におった人に対する対策というものが全く無視されているわけです。それは、もう県とかそういうところにげたを預けてしまう。このむつ・小川原の場合も、約四千戸の開拓農家を初めとする農民がいます。その開拓農家というのは、引き揚げ者であるとか戦災者であるとか、そういうような方々がここへ食糧増産のために入り込んで、そして一生懸命になってやって開拓した土地なんです。それが今度こういう大規模の工業開発があるというので、土地ブローカーが入りまして、非常に安い価格でだまされて売ってしまって何にもなくなって、出かせぎに来ているという人もたくさん出てきているわけです。こういうことは昨年の予算の分科会のときにも私は大臣に申し上げた、土地の問題は。そういうことが非常に無視されているというか冷たいと申しますか、全然顧みられていないというのが今日までの実情でございます。今後は、こういういままでそこで一生懸命働いてこられた現地の住民に対するところの住民対策というものもあわせて考えていかなければならないのじゃないか、片手落ちじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そこで大臣から一言承って、質問を終わりたいと思います。
  217. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私もそういう事情も漏れ聞きまして、竹内知事とも直接会い、現地にも行きましていろいろと心配したわけなんです。率直に言いまして、中央政府が住民の対策に直接に乗り出すということは実際問題としてもなかなか困難でありますから、地方庁を通じて地域住民の結束を固める。多少おくればせでありましたけれども、やっと農協のほうで、個人的にかってに売らないようにというような通達があとになって出たようでありますけれども、何しろ生き馬の目を抜く商売人なものですから、かってに入り込んで知識の十分でない農民をだましたという事例があったのはまことに遺憾であります。私は、そういう点について手の打ち方がおそかったのじゃないかという感じがいたします。こういう点は、今度のようなプロジェクトの問題というのはある意味では初めての経験でもありますし、今後十分そうした点に留意していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  218. 登坂重次郎

    登坂主査 次に、西宮弘君。
  219. 西宮弘

    西宮分科員 私は、現在の物価高に苦しんでおる現状の中で消費者は一体何をやったらいいだろう、消費者はみずから自衛するためにいろいろなことをやらなければならないということを当然考えるわけですが、消費者のやるべき仕事は何だろうということをいろいろ考えてみて、そのうちの一つに生活協同組合運動がある。これも消費者の自衛運動の一つとして非常に大事な運動だ、そういう考え方に立ちながら、一体いまこの物価高の中で消費者がやらねばならぬ仕事は何だろう、さらに、そういう中で生協の位置づけといいますか、これなどは経済企画庁としてはどういうふうに見ておられるか、そういう点もお尋ねしたいと思います。
  220. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 日本においても消費者運動というものが相当活発になってきまして、これはもうわれわれ物価政策をやる者にとっては非常に心強い限りでございます。一部に多少の行き過ぎがあるというような批評もありますけれども、私は全体として、特にこういう時期においては、やはり自由主義経済を前提とする限り、生産者のほうに力があればあるほど消費者は結果が必要である、そういう意味において消費者運動を高く評価しております。また、それとあわせて生協の問題も、消費者の生活を守るという意味においてさらにこれを伸長させていくべきものではないか。率直に言いまして、これについては小売り商あるいは中小企業者との調整というようなむずかしい問題もございます。そういう意味においていろいろと問題がありまして、意見の調整ということについてはなかなか手間がとれるのでありますけれども、しかし、今日の物価情勢あるいはまた流通の現状、こういうものを見、そして既存の流通機構が必ずしもその与えられた社会的責任を十分果たしていないのではないかということを考えてみますと、新しい意味のとらわれない生協というものを十分伸長していくということは一つの方向であろう、こういうふうに考えているわけであります。
  221. 西宮弘

    西宮分科員 この物価高に対する消費者の自衛運動として、私はこういう点があるのではないかというふうに考えたのですが、一つは、われわれが日常使っております商品の品質等について、その内容を分析したり調査したりするというような仕事、それといまのみずから購買活動をやるという仕事、それからさらにもう一つは、いわば例のネーダーなどがやっておるような問題を取り上げて告発する、そういうような、何といいますか、そういう意味での非常な実践的な行動ですか活発な行動、こういうことが必要なのではないかというふうに考えたわけです。  経済企画庁で出しておられます新経済社会発展計画の中にも、その点についてはこういうようにたっておられる。「消費者教育、商品監視、苦情処理、購買活動の合理化等をはかるためには、消費者自身の自主的な組織に期待する面も大きいので、これら組織の健全な発達を期する。」こういうふうに書いてあるわけですね。私、これを分析いたしますと、商品の監視というのが、私が申し上げた商品の品質を検査したり分析したりテストしたり、そういう仕事、それから、いま私が申し上げたいわゆるネーダー式の摘発というようなことは書いてありませんけれども、これは当然実際運動としてはやらなくちゃならぬ仕事だ。それから三番目に、新経済社会発展計画の中にもうたわれております「購買活動の合理化等をはかるためには、消費者自身の自主的な組織に期待する面も大きいので、これら組織の健全な発達を期する。」こういうように書いてあるわけですが、ここでいうところの「購買活動の自主的な組織」ということになれば、これは事実生協以外にはないんだと思うのですね。ここに書かれておりますのに何か生協ということばは使っておりませんけれども、いわゆる購買活動の自主的な組織というものに、生協以外に何かを頭に描いておられるのでしょうか。
  222. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 現在、現実に活動しておりますのは主として生協の活動でございます。
  223. 西宮弘

    西宮分科員 現在活動しているのは主として生協だというお話でありますが、私は、少なくとも現時点では生協以外にないと思うのですよ。ですから、これは当然消費者みずから自分たちの生活を自衛するというためには、さっき私が三つの点を指摘したわけですが、そのうちの第一点は品質の検査であるとか量目の計量であるとか、そういう問題は、必ずしも消費者自身がやらなくても、公の機関にまかしてもいいんじゃないかと思うのですよ。ただ、もしそれで満足できないというのであれば、これも消費者がやればなおさらけっこうだと思いますけれども、これは公の機関におまかせするということでもいいじゃないか。そうすると、このあとに残ったいわゆる購買事業の自主的な活動ということになると、これは全く生協以外にないわけでありまして、厚生省が出しております厚生白書の中でも生協の任務に触れまして、「最近は日本経済における最大の課題の一つとなっている物価対策からもその果たす役割が注目されてきている。」と、こういうふうな評価をしておるわけです。私は、その点はまさに当然だと思うわけです。  そこで、その生協のやります仕事にもいろいろな面があるわけですけれども、昨年六月九日に物価対策閣僚協議会で決定をされましたその中にあります一項目、「産地直結取引等流通経路の多様化を通じその効率化を推進し、流通経費の低減を図るため、次の措置を講ずる。」その第一は、「青果物、食肉、鶏卵、冷凍水産物等について、小売店の協同事業および消費生活協同組合と農業協同組合または漁業協同組合との間の計画出荷、直配送を一層促進する。」一応ここまでですね。この点について、これは昨年六月九日の物価対策閣僚協議会できめられました方針でありますが、この問題についてどういうことが今日まで行なわれてきたか、あるいはどういう実績があがってきたか、その点をお聞きをしたいと思います。
  224. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいまお話しの、消費生活共同組合が農業協同組合等といわゆる産地直結取引という形で結びついてやっていくということでございますが、これは従来でも大きな、たとえば灘生協のようなところでかなりやっておりましたけれども、こういった線を来年度はさらに強化していきたいということで、予算上の問題等でもいろいろ考えております。その一つは、生鮮食料品を送りますほうの産地の問題として、集送センターというものが今度新しく予算化されることになりました。それから、受けるほうの生協の施設につきましても、一種の集配センターというようなものをつくるわけでございますが、こういったものにつきましても、日本開発銀行の大都市流通近代化ワクというワクがございますが、この中からこういったものの融資をひとつはかる、こういうことが方針としてきまっております。来年度の問題としては、かなりこういった点についての強化が行なわれる、こういうふうに思っております。
  225. 西宮弘

    西宮分科員 農林省からも、この方面を担当しておる専門家に出席を願っておるはずですが……。
  226. 登坂重次郎

    登坂主査 森企業流通部長が参っております。
  227. 西宮弘

    西宮分科員 それでは、そっちのほうからひとつ話をしてください。
  228. 森整治

    ○森説明員 ただいま国民生活局長からお話しがありましたのと大体同じでございますが、この問題に対しまして私どもの一番問題だと思っておりますのは、実は価格なのです。価格の取りきめが、双方納得がいきませんとなかなか長続きしない。それから、いろいろほかにも品ぞろえですとか決済の問題ですとか、われわれが調べた例によりますと、どうもそういうところにいままではいろいろ問題があったようでございます。そこで、むしろわれわれがそれをやはり指導していくということから、来年度、若干の金でございますが、そういうもののいろいろ契約のめんどうを見ていくというような予算も実は計上いたしておるわけでございます。
  229. 西宮弘

    西宮分科員 いまの農林省の御説明でありますが、私も、いわゆる中間の卸売り市場を通す、そういうところを中間を省略する、そういうことによって直ちに安くなるというのはあまりにも単純な考え方だと思うんですね。生産と消費を直接結びつければ、もう機械的に必ず途中の経費そのものは省略されるのだというふうな考え方は、実はそう単純ではないのだろうと思うんですよ。したがって、いま価格の問題を指摘されましたが、たとえば規格の問題等にしましても、現物取引というようなことがまずできない、ないしは困難だというような、そういう実際面にはかなり多くの問題点があると思うのですね。問題点はありますけれども、しかし、それにもかかわらずその方向をできるだけ開拓をしていくというのが、やはりわれわれのねらう行き方ではないかというふうに思うのですが、その点はどうですか。
  230. 森整治

    ○森説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、実は産地直結という中にいろいろタイプがございます。デパートでいろいろ安売りをやっておる型ですとか、そういうものはちょっとのけまして、先ほど国民生活局長からお話しのございましたように、その中間にやはり施設的なものが必要だと思います。その例が、たとえば全販の集配センターでございますとか、あるいは灘生協で考えておるような施設でございますとか、西友でやっておりますようなそういう施設でございますとか、そういう施設で一応荷が集まりまして、そこが集荷をし分荷をする機能を果たす。それを生産者団体がやるか消費者の側でやるか、あるいはスーパーみたいなものが運営するか、そういう形でのいわゆる直結といいますか、そういう形が今後一番恒常的に乗るルートではなかろうかと実はわれわれは考えております。そういう中で、先ほど申しましたような、そこまでいかないでも直接にいろいろ取引をしたいという希望が非常に多うございます。ですから、そういうものも含めまして、一応指導費的なものを来年度計上しておりますけれども、われわれといたしましても前向きにそういうものに積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  231. 西宮弘

    西宮分科員 先ほど企画庁の国民生活局長からお話しがありまして、産地では集送センター、それから消費地では集配センター、そういうものがことしの予算で実施されることになったというお話でありますが、農林省のいまの御答弁で、そういうことがとにかく価格を引き下げるのに相当有効な働きをするということであれば、私は、単に大消費地だけでなしに、地方の中規模のそういうところにも設けなければならぬというふうに考えるわけです。今度、受ける側のほうの消費者の側でつくる集配センターというのは、たしか一カ所ではないか、厚生省の予算では二カ所になっておりますから、二カ所できるのでしょうか。一カ所かせいぜい二カ所だと思うのですが、そのうちの一つは、たしか灘の生協を対象にしてできるというふうに聞いております。むろんそれもけっこうなことで、大いにやってもらいたいと思いますけれども、同時に私は、中規模の都市、そういうところでもそういう形態がどうしても必要になってくる。さっきも申しましたように、こういうやり方はいわゆるバイパスと名づけておるようですが、バイパスができたからといって本道がなくなってしまう、本通りがなくなってしまうというまでに、バイパスが本道の機能を代替するということはまずあり得ないじゃないかと思うのです。しかし、このバイパスができることによって、その本道のほうの交通を非常に合理化していくということは十分期待できるので、私はもっとこれを拡充して、しかしてこれをいまおっしゃったような地方の中小都市にも及ぼす、こういうことをやってもらいたいと思うのですが、これはやはり国民生活局長にお願いします。
  232. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 来年度の問題として、いま具体的な計画がある程度固まってきつつありますのは御指摘のような共同施設の問題ですが、こういった施設をつくるということになりますと、かなりの量を扱わなければならない。要するに生協の規模というものは非常に問題になります。御承知のように、現在の生協は、大部分が非常に弱体でございまして、なかなかそういった大きな施設を持つほどの力になっておりません。したがって、厚生省の予算で出します都道府県を通ずる貸し付け金的なもので若干の調整をやっておりますけれども、今後だんだんこういった組合が力をつけてくるということに応じて、こういった融資制度なども拡充する方向で努力してまいりたいと思います。
  233. 西宮弘

    西宮分科員 この問題は長官にもひとつ関心を持っていただきたいと思うのですが、せっかくそういうバイパスで、できるだけ安い価格で消費者に提供する、こういう取り組みができると、いわば本道のほうですね、そっちのほうからたいへんな横やりが入ってくるわけです。つまりそれは生産者あるいは生産地に対して、あそこに扱わせるならば、正しい、ここでやっているのと同じ値段でなければ売っちゃいかぬぞ、こういうことでこっちのほうから文句がついてくるわけです。生産地は、残念ながらこちらはまだバイパスですから量的に少ないわけです。ですから、それがそっちのほうでボイコットを食ったらたいへんだ、こういう心配で、結局この値段もそっちのほうから牽制されてしまって思ったように安くならぬ、こういうことがある。これはまあしばしばそういうことがあるわけですね。これは商売の取引ですから、扱う人自身にしてみれば、そのために大きなお客を棒に振っちゃう、こういうことじゃかえって損だというような心配も当然ありましょうし、非常にデリケートな問題ではありますが、その点を何とか、せっかくそういうふうに物価対策の一つとして企画庁でも取り上げたこの問題なんですから、それが物価仰制の目的を果たし得るように、それを何とかうまく指導できないものかということなんですが……。
  234. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私も実は全く同感であります。ただ、これには私はよほど大きな、農林省もそうですけれども、従来の市場関係者の頭の切りかえが要ると思います。というのは、率直に申しまして、市場関係者が今日流通機能を十分果たしてない、十分消費者の立場にもこたえていない、生産者の立場にもこたえていない、これが私は特に農産生鮮食料品関係の市場だと思うのです。それだからこそ、あらゆる生産者のほうからも消費者のほうからも、こういうバイパスをほしがる声が出ているわけです。農林省はよく生産者の立場を考える省であるといわれますが、もし生産者の立場をほんとう考えるなら、いまの市場の声をそんなに重視するのは私はおかしい。生産者の立場からいいましても、供給の安定ということは非常に重要な問題でございます。私たちの物価安定会議における御存じの提言におきましても、さっき西宮さんが御指摘のように、コストの点からいうと、必ずしも中間を省いたからコストが安くなる、こういう期待をあまりかけられないかもしれない。むしろそういう点ではたいして評価しないけれども、しかし、今日やはりこんなにも生鮮食料品の流通が混乱しておる一つの理由は、生産者の面においても消費者の面においてもあまりにも組織化が足らない、したがってその消費者、生産者ともに組織化が足らなかった結果として、いわゆる計画的な出荷というものを困難にしておる。そういう意味において、一方において消費者の意欲というものを、気持ちというものをもっと取りまとめる機能が必要であるし、生産者の側においてもさらにそういう必要がある。そういう意味からいって、いまの直結取引というものをこの段階においてもっと重視していいんだ、こういうことを明らかにいっております。すなわちそれは、農民の立場からいっても、でき過ぎるとそっぽを向く市場関係者と違うのでありまして、そこに一つの継続的な供給取引というものの道を開く。それがやはり過剰生産に対する農民の不安をもやわらげる道にもなるわけでありますから、そういう意味におきまして、この直結取引というものによってせめていわゆる計画的な出荷の道筋の崩芽が出る、そしてまた、もともと全体の量的にいえば現在の市場取引が中心にならざるを得ませんけれども、そうした立場に対して一大反省を加える、こういうことができると私は思っています。でありますから、できるだけ、先ほどもおっしゃいましたように、国道が混んでいる以上バイパスの要求があるのは当然なんでありまして、そういう意味においても私はこの道を、もう少し農林省にも従来の考え方を一そう切りかえて、そうして行政指導によってこの道を推進してほしい。決してこれが市場を破壊することにもならなければ、市場関係の利益をそこなうことにもならない。今日の市場関係者の考え方と現在の働きぶりを見ると、いまに国民経済において機能を果たさないというのでボイコットを食うのじゃないか、そうすら私は思っております。そういうことで、この方面についてはさらにひとつ力を入れてもらいたい、こういう考え方を実は持っております。
  235. 西宮弘

    西宮分科員 先ほど国民生活局長からお話がありましたように、残念ながら受け入れ側の生協のほうがまだきわめて弱体だ、こういうことで、それが弱体であったのではせっかくのいまの長官構想なども具体的に生かされてこない、そういううらみがあるわけでありますが、私は、ぜひそちらのほうの消費者の組織が拡充されるというために努力をしなくちゃならないと思うのです。これはもちろん自主的な団体でありますから、自主的な努力によってその強化、拡充をはかるということがまず本質であることは当然でありまして、そのために組織に参加をしておる者が全力をあげて組織の拡充をはかる、こういうことでなければならぬことは申すまでもありませんけれども、しかし同時に、これは政府のほうからもこれに対するてこ入れをするということが、この生協を育てるために、一つの外部からの力として大きな役割りを果たすということはいまさら申すまでもないことです。  長官にちょっとお尋ねをいたしますが、これはあるいは私が期待するようなお答えはいただけないのかと思いますけれども、この生協の位置づけですね。たとえば群小の小売り商というのが、小規模の零細規模のがたくさんあるわけです。あるいはさらに資本力からいうと非常に強いスーパーなどがあるわけです。私はその際にスーパーなどは生協とは同列に見るべきものではなくて、これはやはり利潤追求の団体で、日本の消費革命を促したという点においては大きな歴史的な役割りを果たしたと思いますが、しかしやはり依然として利潤追求を目的とする団体でありますから、その意味において、その点に関して生協などとは本質的に違う。生協はそういう利潤追求が目的ではない。したがって、非常に収益率の悪いところでも出かけていって店を開いたり出前をやったりということもやらざるを得ない、あるいはかりに剰余が出れば、それは全部組合員に分配をする、還元をするというようなことで、本質的な違いがあると思うのです。したがって、政府の側から見た場合にも、そのスーパーと生協とを全く同列に置いてこれを育成助長するというようなことではなしに、いま申し上げた特殊な性格を持った、特殊な任務を持った生協を政府の行政の対象とする、政府の保育行政の対象とするという場合には、生協を取り上げるべきだというふうに考えるのですが、その点はいかがでしょう。
  236. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いまおっしゃった点は、私ははなはだ疑問に思っております。というのは、生協というのはいわば消費者そのものでございます。でございますから、その消費者そのものと、それからその中間団体であるたとえば八百屋さんその他あるいは最近のいわゆる新しい各種の大型の流通機構というものとを直接比較するのは機能的にも無理ではないか、私はこういうふうに考えております。その流通機能が正しく社会的な要求を満足し、そうして消費者の声を反映して、そうしてできるだけ低廉豊富なものを供給するという限りにおいては、これはりっぱな一つの社会的な機能を果たしておるのですから、私はその地位というものを守ってやっていいんではないか、こういうふうに考えております。たとえ生協といえども、何らかの意味でもってむやみに組織を大きくしたり、あるいはそのために人件費を食ったり、能率がはなはだ悪いために経営がうまくいかなくなったというようなことになりますれば、それはそれでやはりその機能を果たしてないと私は思うのであります。でありますから、これは一がいに立場の違うものを同列に比較するのは無理ではないか。ただやはり今日流通機構の革命ということが行なわれているわけでございますから、要求されている際でございますから、やはりその時点、時点に立って重点をどこに置いて考えるかということが必要だ。そういう意味において、今日消費者の声というものを最も重視しなければならぬ、そういう立場からいって、やはり生協というものを制度的に育成していくということは必要であろう。しかしそのために特別な手厚い保護を加えなければならないというふうな点になると、それについては私はいささか疑問を持っているわけであります。
  237. 西宮弘

    西宮分科員 消費者の立場からいえば、いいものを安く売ってくれればだれでもけっこうだ、こういうのが消費者の心理だと思いますが、私はその点ではスーパーなどの存在も非常な役割りを果たしてきたと思うのです。その点は十分評価ができますけれども、その生協は、いわば、一人一人を取り上げたら全く弱い消費者が集まって、自分たちの力で自分たちの生活を防衛しようというそういう組織なんですから、ちょうど農協とか漁協とかいうのと同じようなものだと思いますね。したがって、そういう立場にあるものとしてこれをそういうとらえ方をしていくということは当然必要だし、おそらくその点については長官も同意をしていただけると思うのですよ。私は、生協がこういう面にまで役割りを果たしているのか、もしそれが日本でもほんとうにできたらばたいへんけっこうだなと実は考えたのは、昨年の夏、スウェーデンのICA、国際協同組合連合ですね、そこの代表と会ったのであります。そうすると、あそこでは、労働者の賃上げの問題の際に生協も一枚加わって、物価はこの程度に押える、したがって賃金はこの程度でいいじゃないかというようなことで話し合いをする、こういうことを言っておったのですが、あそこでは生協のシェアが二〇%ぐらい占めておるそうです。したがってそういうことも可能なのだと思いますけれども、それに比べると日本の生協は、さっき局長お話しのように、これは全体を合計してみてもきわめて微弱なものです。ですから、まだとうていそういう影響力を持ち得ないのですけれども、私はいまのスウェーデンの例が——これは担当者の話を口頭で聞いただけですから、詳しいことは私もよくわかりませんけれども、そういうことまで果たせるようになったならば、これは政策的にもたいへんな役割りを果たすと考えるわけです。現に、たとえば山形に鶴岡という生協があります。これは小さい町の生協でありますが、しかし小さい町でありますから、その人口の四割ぐらいが直接間接関係をしているわけです。したがって、その生協の値段が町の値段を規制している、こういう事実があるようであります。あるいは神戸の場合でも、灘生協の店舗のあるところは物価が安い。こういうことでことしの地元新聞のお正月の社説に載っておりました。だからそういう役割りを相当果たし得る組織を持っている。それだけにやりよう次第では、小さいけれども、そういう局部かもしれませんけれども、相当の影響力を与えていくことができる。ぜひわれわれはこれを強化していかなければならぬと考えるわけです。  そこで、いろいろな問題が問題になるわけですが、かいつまんでお尋ねをしたいと思います。実はこれもやはり経済企画庁で担当しておられる消費者保護会議ですが、この消費者保護会議の昨年の十一月十七日の、これは答申というのでしょうか、建言というのでしょうか、それによりますると、生協の法律改正をしろ、それから融資の問題を検討しろ、こういう二つの問題を生協については指摘をしております。まさにそのとおりに法改正の時期に到着をしているわけです。これは二十何年かたっているわけですから、当然法改正の時期が到来した。これは厚生大臣なども同様の見解であります。その点について、これは所管は厚生大臣でありましょうけれども、いわゆる消費者行政を担当する企画庁としても当然重大関心を持っておられる問題でしょうから、その点について長官のお考えはどうですか。もしできるならばいつごろまでにそれをやりたいというようなことまでお話ししていただければなおけっこうだと思います。
  238. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま御指摘の生協法の改正の問題でございますが、これは厚生省のほうで検討に入りました。生協のほうの団体からもこの改正案の要望等がすでに出ておるようでございます。内容は、御承知のとおり、現在あります地域制限とか、そういうものの緩和をある程度したらどうかという問題とか、それ以外に生協の構成について商法的な考え方を入れたらどうだろうかというような問題も議論になっておるようでございます。これから逐次検討を進めまして、秋ごろに成案を得たいということで、厚生省事務当局のほうが作業を進めておる、こういうふうに聞いております。私のほうも促進方をお願いをしておるという状況でございます。
  239. 西宮弘

    西宮分科員 その法改正の場合には、地域の制限の問題とかあるいは商法適用の問題とか、いま例に二つあげられたけれども、それ以外にもたくさん問題があるわけですから、これはぜひ、いまここで一々申し上げませんけれども、厚生省のほうが十分御承知ですから、企画庁のほうでも十分その認識を持って、これを推進していただくようにお願いしたいと思います。  大蔵省の主税局の担当官にお尋ねをいたしますが、租税特別措置法に関連をする税の優遇措置の問題ですけれども、これがまあ一ぺん廃止されて復活をした。復活するときに、ほかの農協などは問題なしに復活したわけですが、生協だけは議会の修正で、ゼロだったやつが、一千万まで認める、こういうことが行なわれた。私どもとしては一千万という天井をぜひ取り払ってもらいたいというふうに考えておるのですが、いかがでしょうか。
  240. 山内宏

    ○山内説明員 一般的に申し上げまして、協同組合は協同組合員の相互扶助と申しますか、そういったもののために協同事業を一緒に行なうというところに本来の精神があるというふうに考えますと、もともと協同組合において利益が出ました場合には、これはそのつど組合員に配当がなされて、新しい資金が必要な場合には出資の形でお金を集めるというふうな形が、最も協同組合の精神に合致したやり方であろうかと考えておる次第でございます。そういう協同組合の基本的な理念に応じまして、法人税法におきましても、通常の法人の場合でございますと、これは利益が生じますると、配当に回わされました場合には、これは当然利益の処分ということで課税をされるわけでございますけれども、協同組合の場合には、利用分量に応じて、これを損金に扱うという特例を認めております。それからそういうような形でなお残余が出ました場合、これまた先生十分御承知のとおり、法人税の中においても二三%、通常の法人に比べますと——通常の法人の場合は三六・七五%でございますから、そういうふうに非常に一般の法人と比べて、その本来の性格に即した扱いをやっておるというふうに考える次第でございます。しかしながらそういう状態でございますので、税負担の観点から申しますと、一般の法人と、それからこれに出ております消費生活協同組合を含めました協同組合との間にはかなりの競争力と申しますか、負担の差異がございます。したがいまして、これは先ほど長官お答えにもございましたけれども、その両者の間の適正な共存関係という点から申しますと、かなり微妙な問題との関連がございます。現在の消費生活協同組合に対する事業所得の課税の特例も、いま御指摘いただきましたような形で、現在の特別措置法の中に取り入れられておるわけでございますけれども、こういう形で取り入れられた趣旨もまさにいま申し上げましたような点に関連をいたしまして、資本金を一千万円で押えるという措置を講じておるというふうに承知をいたしておる次第でございます。そのような事情につきましては、現在においても同じような考え方でいくべきであろうというふうに考えておりまして、われわれといたしましては、現在の段階で一千万超のものについては新しく措置を講じるということは考えておりません。
  241. 西宮弘

    西宮分科員 二点だけお尋ねをいたしますが、農協などは全く性格的には、いまお話があったようなそれに該当すると思いますよ。だから農協の場合となぜ区別をしなければならぬのか。それから一千万というのがかりに合理的な制限だとしても、もうすでにあれから何年もたっているわけです。ですからかりに一千万が合理的な限度であるならば、いまの時勢に合わせて改定するということも当然だろうと思うのですね。その二点についてはどうですか。
  242. 山内宏

    ○山内説明員 御指摘のとおり、法律的な性格から申しますと、農業協同組合も消費生活協同組合も大体似たような性格を持っておりますし、それに従いまして同じような法規制を受けておると思います。ただ一点違うところは、たとえば農業協同組合の場合ですと、これは組合員になれる資格は事業者ということに限定をされておるわけでございます。つまり組合員になるためにある種類の制約、そういったものがあるわけでございますが、消費生活協同組合の場合には、その点かなりゆるやかと申しますか、必ずしも特定の事業者でなくても、およそ消費者であれば加入ができるということがございますので、そういう関係がございますだけに、農協の小売り商業者に対する競争上の観点から見ますと、先ほど申しました微妙な問題がある。そこら辺のところを配慮いたしまして、現在の一千万で線を引くという基準がつくられておるものだろうと思いますが、現在の段階ではそれで十分ではなかろうかというふうに考えております。
  243. 西宮弘

    西宮分科員 組織人としての農業者と、消費者は違う、いま言われたのは、たとえば農協のほうは農業者ということで限定しておる。消費者の場合には何の限定もない。したがって、たとえば非常に資力の高い人も入ろうと思えば入れるのだ、そういうところに違いを設けたという意味ですか。
  244. 山内宏

    ○山内説明員 大体いまのお話のような理由でもって、議員提案で現在の制度が設けられたというふうに承知いたしております。
  245. 西宮弘

    西宮分科員 それは実に実情を御承知ないと思うのですね。その農業者の場合も、それは相当収益の高い農業者ならば、ずいぶん高い人ももちろんあるわけですよ。しかし生協に参加をしている組合員はそんな高額所得者なんというものはおりませんよ。おそらく一人もいないと思うのですね。全く市井の市民ですよ。ですからそこに区別を設けているのだということであれば、私はとうてい納得できない。まあ時間がありませんからここでこれ以上議論いたしませんが、そういうところに区別の根拠があるのだというのでは、私はとうてい承服できない。これはまたあらためて別の機会にわれわれの意見を述べたいと思います。  次に、先般の物価対策閣僚協議会のときに設けられました、いわゆる許認可の仕事をできるだけ緩和をしていく。こういうことで、たとえば酒、たばこ、米、その他あがっておりますが、これはその後どういうふうに実施をされたか。生活局長どうですか。
  246. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 昨年六月九日の閣僚協議会で、行政関与と物価、行政関与の問題についてきめたわけであります。この中でいろいろございますが、おもな点を申し上げますと、タクシーの問題については、台数の規制の原則的な廃止の問題とか、あるいは事業免許税につきましての問題とかございますが、こういった問題はいずれも運輸省のほうで個人名義の促進、その他の措置が具体的にきめられまして、かなりの成果をあげたと思います。それから薬局の巨利制限の問題……(西宮分科員局長、私は生協について伺っているのですから」と呼ぶ)生協についての問題は、先ほど申し上げました法律改正との関係になる問題でございまして、先ほど厚生省のほうの状況を申し上げましたが、ああいった形でこれからやっていくという面が一つございます。そのほか特に酒とかあるいは米などにつきまして小売り店の登録が行なわれておりますが、こういったものに参加をさせたいということでございまして、米につきましては、昨年八月の農林省の通達によりましてこれが緩和が行なわれております。それから酒のほうにつきましても、やはりそういった形での国税庁の通達が出されまして、全体としての小売り店の登録もある程度ふえておりますが、その中で生協もある程度の件数が認められたというふうに報告を受けております。
  247. 西宮弘

    西宮分科員 酒あるいは米ですね、これは国税庁と農林省からも来てもらっておりますから、そっちからも報告をしてもらいたいと思いますが、生活局長のほうでは集約はしておりませんか。昨年の六月の九日にこういう方式がきまって以来何件実施されたか、集約はありませんね。
  248. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 酒類の販売業の免許につきましては、昨年じゅうに生協関係で免許の申請があったもの十一件で、うち六件が認められたというように聞いております。それから米につきましては、ちょっと件数の報告数字がございません。
  249. 西宮弘

    西宮分科員 それでは食糧庁にお尋ねをいたしますが、米の実績はどうですか。
  250. 松元威雄

    ○松元説明員 米の販売業者につきましての取り扱いは、昨年省令改正いたしたわけでございますが、それは生協というものに注目した改正ということではございませんで、一般的に米の販売業者の登録要件についての改定をいたしたわけでございます。その趣旨は、米は御承知のとおり販売登録制度をしいておりますが、それは配給を的確に行なうに必要な資格要件ということで、従来資格要件がございます。そして現在小売り販売業者は約五万六千いるわけでございますが、一般論としますと、この数は多いわけでございますから、新規登録は認めておらない。ただし、人口のふえる地域につきましては、知事が指定をいたしますれば新規業者を認める、こういう制度になっておるわけでございます。その場合、資格要件の中に従来の経験という要件がございまして、いわば役員と申しますか、責任者の過半数がかつて米の販売業務の経験がないと資格がない、こうなったわけでございます。そうしますと、実際問題としまして生協や組織はなかなか入りづらいということでございますから、その要件を緩和いたしまして、経験者がいればよろしい、過半数というようなことでなくて、いればよろしいというように要件を改定いたしまして、そして一般的にいわば人口急増地域において新規業者が入る道を広げたわけでございます。その後実績的にどれだけ申請したかという数をただいま調べておりませんが、一般的に申しますと、人口急増地域に適用する場合、その資格要件が生協等を対象にしたというようなことについては、ただいま実績の数というものは持ち合わしておりません。
  251. 西宮弘

    西宮分科員 私は条件を緩和したということはけっこうですが、なかなか地方の実態は——せっかくこういう閣僚協議会の決定がなされても、現実にそういう成果があらわれないということにいら立っているわけですね。非常に焦慮しているわけです。だからぜひこれをもっと推進をしてもらいたい。私どもは実は別な考え方で物価統制令の廃止には賛成していないわけですが、かりに物価統制令が廃止になるというようなことにでもなるならば、これは当然に業者をふやさなくちゃならぬ。あるいは総理大臣はこの前国会の答弁で、国が直売するというようなことも考える、こういうことまで答弁をしたわけですよ。もし万一国が直売でもするというようなことになると、国が直接消費者に売るのだということになったら、おそらくその機能を果たすのは生協くらいしかないんじゃないかと思う。生協がいま日本じゅうに、日本全体を十分カバーできるほどできておりませんから、非常な困難があります。しかし生協のあるところはそのまま生協にやらせるというようなことでもなければ、国が直売するなんということは事実上不可能だと思うのです。とにかく直売するかしないかは重大問題ですから、いまにわかに決定はできないでしょうけれども、しかし、そういう方向に向かいつつあるわけですね。私どもの反対にもかかわらず、物価統制令が廃止をされようというような方向に向かいつつあるわけなんです。そういう際にどうしてももっと競争原理を導入するということは当然必要でしょうから、もっともっと活発にやらしてもらいたい。特に生協等にはやらしてもらいたい。これは私は国民生活局長なども関心を持ってもらいたいと思います。いまの米の末端配給がもうめちゃくちゃになっちゃっているわけですよ。しかし、生協などの場合は、混米をするとかあるいは量目を手かげんするとか、そういうことは絶対にありません。これはどんな生協でもそういうことだけはおそらくないと思うのです。ですから、そういう点が確実に守れるものとして十分高い評価を与えてもらってよろしいと思うのですよ。ですから、私は若干の、経験者が足りないとかなんとかということを抜きにしても、もっと積極的に、活発にやってもらいたいということをお願いしたいのだが、もう一ぺん答弁してください。
  252. 松元威雄

    ○松元説明員 ただいま申しましたとおり、さしあたり人口急増地域の資格要件についてそういう改正をしたわけでございますが、ただいま先生から御指摘のように、物価統制令廃止という問題につきまして、その具体的内容をいろいろ検討いたしておるわけでございます。その場合、御指摘のように公正な競争条件導入ということがまず基本であろうかと存じます。そういたしますと、現在のように人口のふえた地域は別として、一般的には新規を認めていないようになっているが——その点私たちそう思っておりまして、いかに適正な評価が行なわれるか、そのために新規をふやす、ふやすためには資格要件を改正する。そのことについての具体案をいろいろ検討している過程でございます。そういたしますと、従来の型のお米屋さんという以外に、生協さんその他いわば新しいタイプといいますか、そういうタイプが出てくるであろう。そういう人が入りまして適正な競争が行なわれるというような具体的な手段、方法につきまして目下具体案を検討している過程でございます。
  253. 西宮弘

    西宮分科員 国税庁のほうに……。さっき酒についての説明を企画庁のほうから聞いたわけですが、これも私どももっともっと活発にやってもらいたいと思うのですけれども、申請も出ていないのは、出してもなかなか容易じゃない。たとえば隣では出してあるけれどもまだこないとかなんとか、そういうことが伝わっておるために実は申請の数も少ないんだと思うのです。私も調べてみたのですが、申請の数が存外少ないので、私ども実はふしぎに思ったのです。そうすると、どこで出したけれどもまだ全然音さたがないというようなことで、非常にちゅうちょしているわけです。ですから、これはぜひこの協議会の決定にあるとおりにもつと活発にやってもらいたいと考えておりますが、どうですか。
  254. 藤原重信

    ○藤原説明員 申請の出てまいりましたものにつきましては、去年の物価対策閣僚協議会の結論の方針に従いまして処理してまいりたいと思います。
  255. 西宮弘

    西宮分科員 それではだいぶ長くなりましたから終わりにいたしますが、とにかく長官お聞きのように、消費者の自衛組織として生まれた生協でありますが、長官もとくと御承知のように、これは全く弱い人たちの集まりです。さっき私がスーパーと並べて問題を提起したので、その際は長官の同意を得られませんでしたけれども、まあスーパーが非常な強大な資本にものをいわせて、それを基礎にして行なっている事業に比べて、これはもうほんとうに零細な人たちが、とにかく自分たちの生活を守らなければならぬ、そういうことで、なけなしのさいふから金を出し合ってこういう組織をつくって、一生懸命いまの物価高に挑戦をしているわけですから、そういう点を長官も十分認識をして、生協育成のために問題がたくさんありますから、その解決のために努力していただきたいということを切にお願いしたいのですが、御答弁を願います。
  256. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 さっきあるいは誤解を生むようなことを申し上げたかもしれませんが、私の頭にあったのはスーパーよりも小売り商ですけれども、私の考え方は、消費者が追い込まれて自衛の手段を講ずるというようなことに立ち至らせたということについてはいろいろな問題がある。やはり高度成長になれてあぐらをかいた現在の流通業者の反省が必要であるということを感じ、したがってその自衛運動については十分政府としても理解を持たなければならない。その一環としての生協運動については、したがって消費者の自覚によってこれの発展をはかるべきである。過大な恩典を与えるということになりますと、本来の流通業者とのバランス論が出て、これは当然反発を受けると思います。ですからあまりに過大な恩典を与えないで、もしもこの時点において消費者が自覚をしてこれを伸長するものならば、それを仰圧してはいけない。制度的にもその他においてできるだけ政府が抑圧するというその方向はいけない。そしてもちろん融資であるとか、それから地域制限の撤廃であるとか、そういう方向は私はやっていいと思いますけれども、しかし、あまりに過大な保護を与えるということでは結局本来の目的を逸脱することになる、こういうことを申し上げたつもりでありまして、スーパーはスーパーで確かにいわゆる消費者の意欲というものを大量的に把握する存在として機能を期待されておりますが、これはこれでまた強大になりまして、おとり販売その他いろいろと弊害も指摘されているわけですから、これはその方面において十分われわれ監視しなければならぬ問題があるわけであります。まあ生協は、この時点においてはそういう意味で自然にひとつできるだけ伸長をはかっていく、これは非常にけっこうなことだ、こういう気持ちでおりますから、誤解がないようにひとつお願いしたいと思います。
  257. 西宮弘

    西宮分科員 一言だけ、これは誤解があってはいけないので、私もいわゆる町の零細な小売り商、これはやはり同じような考えに立つべきだと思うのですよ。第一、日協連と称する生協の連合会ですね、ここでも数年前に宣言をした宣言があるわけですが、その中では、そういう小売り商などとはむしろ手を組んで独占資本に対抗するんだ、こういう立場をとっているので、むしろ私は小売り商などはやはり同じように同じ立場で、消費者のために同じような立場で仕事を推進するということに考えているのです。そこのところ、誤解のないように。
  258. 登坂重次郎

    登坂主査 これにて、昭和四十六年度一般会計予算中、経済企画庁所管厚生省所管及び自治省所管並びに昭和四十六年度特別会計予算中、厚生省所管及び自治省所管に対する質疑は全部終了いたしました。
  259. 登坂重次郎

    登坂主査 おはかりいたします。  昭和四十六年度一般会計予算中、経済企画庁所管厚生省所管及び自治省所管並びに昭和四十六年度特別会計予算中、厚生省所管及び自治省所管に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 登坂重次郎

    登坂主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて第三分科会の議事はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位におかれましては、長時間にわたり熱心なる御審議と格段の御協力を賜わり、本分科会の議事が円滑に終了いたしましたことを深く感謝いたします。  これにて散会いたします。     午後六時二十四分散