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小林(信)
分科員 そのことばを
国民が聞いたら、まことに不安この上ないものだと思うのです。それは確かに法的にはそうかもしれませんけれ
ども、それは同じ閣僚でございますね。個人的な意見も述べて各省の督励を促すとか、あるいは個々の問題を指摘してやる段においては、これは責任がないとは言えないと思うのです。いまの場合はそういうふうな
法律がどうであっても、とにかくこの水質の問題を、保全をはかるという面においては、第一条から考えれば、とにかく防止をはかって、そうして健康の管理をしなければならぬ。そういう点がしなければならぬことなんですが、とかく官庁のやり方というのは、そういうお互いの場所だけを守って、連絡とかあるいはそれを統一するとかいうようなことに私は欠けていると思うのです。今回もそういう事実を私はよく見ました。
〔
主査退席、松野(幸)
主査代理着席〕
したがって、この公害をなくするというふうな問題はそれ以前の
考え方で、
法律、制度、そういうもの以前の
考え方というものを十分に出さなければ、これは
大臣だけじゃないと思うのですよ、各官庁の役人がそういう
気持ちにならなければ、私は完全な公害防止はできないと思うのですね。いまのような長官のおことばというのは、制度のあり方を御説明になったものであって、ほんとうに公害を防止するという
政府の一員としてのお考えを述べた点では、私は遺憾だと思います。
時間がございませんから、具体的な問題を申し上げてひとつ御善処願いたいと思うのです。
これは、はからずも
厚生省は、鉱山の休廃止をした、しかも公害の出やすいところを幾つか全国的に指定をして、そうして調査に取りかかったらしいのですね。これは非常に
厚生省の態度としてはいいほうだと私は思うのですよ。ところが、おれのところにはそういう責任がない、統括する権限がないといって長官自体がこの問題を放置すれば、やはりこれが統括のとれない中で放置されてしまうわけなんです。その一つは、山梨県の都留市の大畑というところにあります尾富鉱業という鉱山です。この鉱山の概歴を申しますと、もう七十年ぐ
らい。あるときには栄え、あるときには休止をするというふうなことを繰り返してきた。主として、銅、亜鉛を採掘してきた山なんです。これが昨年の十月休山になったわけです。そうしておいて先日、
厚生省がその流域の被害というふうなものを点検したところ、はからずも米からカドミウムが出てきたのですよ。それは中央官庁が手を出すところまではいかなかったけれ
ども、大畑川の川底に堆積しておるものは、神通川あたりの倍く
らいあったのです。七十年間、かなり放置されたような対策できた原因だと私は思うのです。それから私もすぐ飛んでまいりまして、私自身で調査をしてきたのです。しかもそれは非常にしろうと考えでやったんですが、問題は、直接影響があるか、長年の影響がそのカドミウムを検出さしたのか知りませんが、もしこのまま放置しておったらもうたいへんだと思うようなことが、私の目にもたくさん見えてきたわけです。その鉱山の坑内から流れてくる水というものは、これは一応銅、亜鉛を対象にした鉱山ですからカドミウムのあることが十分わかっておりますから、これは一カ所へ集めて、そうしてそれを中和して沈でんをさしてという一応の
施設をしなければならぬわけですね。してありました。その輸送管なんかはきわめて新しいものであって、おそらく最近やったような様子があるのですが、しかし、その取り入れ口の水が完全に集められておりません。意外に流れておるところがたくさんある。それから鉱床のようなものが露出しておるところがそのままになっておる。これは今後風化したりあるいは台風等があれば、いずれそういうところから相当なまのまま出てくるおそれがある。それから堆積をするのですが、堆積場というのが三つあるのです。それは一、二はもう古いのですよ。第三がいま使われておるのですが、第一、第二の堆積場が、ほんとうなら周囲は完全に壁がつくられておって、あるいは土手がつくられておって、その堆積したものが流れ出さないようになっていなければならぬのですが、がけがくずれて、そうして雨が降ったらもうその堆積物が流れ出すように水路までできておるのです。それが第一、第二。それから現在使っている第三ですね、これはおそらく認可を得たことでしょう。ところが、まるで沈でん物を堆積した砂漠みたいになっているわけです。風が吹けばぱっぱっと舞うし、雨が降ればどんどん流れ出すような
状態なんです。会社側の責任で休止したのですから、そこに一人仕事を担当しておる人がおりました。その人に聞いたのです。これでいいですかと言ったら、指定は普通の土を盛ってそれに芝を植えて完全に中のものが流出しないようにしなければいけないのだが、まだそれはこれからの仕事であります。だから、長官、どれく
らいほっておかれたかわからないのですよ。これは通産省の仕事ですね。通産省の監督が不行き届きであったということになるわけです。私がこっちへ帰ってきて通産省にそのことを申しましたら、通産省はすぐ出向きまして、実情を見ていただきまして、それに対する対策をとってきていただいたはずですから、これから説明をしていただこうと思うのですが、それは鉱山保安だから通産省の仕事だといっていていいのかどうか、おれには監督権がないのだからといってほっておいていいのかどうか、やはりそこは
関係各省でいろんな相談をし合った中で対策を講じなければならぬと思うのですよ。
厚生省と通産省、そこまでは今度私が実際を見てお話を申し上げて一応の対策をとっていただいたのですが、いまのように企画庁長官が、おれのところではそれを統括する権限はないのだというようなことで終わったのではたいへんだと思うのですが、私がそう説明しただけでは長官納得いかぬと思うので、通産省の方が来ておいでになると思いますから、参考にお聞き願いたいと思うのです。
私の聞いたところでは、本鉱の坑内の水の中にはカドミウムが〇・〇三八、銅が〇・七〇、鉛が〇・〇六、亜鉛においては一六・六〇。それから堆積場にはなっておるけれ
ども、風が吹けば沈でん物はどんどん舞っていく、そこの包含されているカドミウムは〇・〇八です。もう〇・〇二あれば〇・一の排出基準を越えるわけですね。銅は一・九、鉛は〇・二八、亜鉛が二九・五三です。そういう検出結果が出ておるわけですよ。こういう点も、通産省の方、その後行かれましてお気づきになった点、対策した点、お願いします。