○宮澤
政府委員
最初にまず御了承を得ておきたいと思うのでございますが、阪上委員、先ほどお読み上げになりました私
どものほうのコミュニティー対策要綱も、実は案ということになっております。と申しますのは、実はこのコミュニティーの形成の問題は、ここ当分の間試行錯誤で進んでいかなければならない、こういうふうに
考えております。ただいま御質問ございましたけれ
ども、われわれ
国民の間にもコミュニティーという
考え方が何となくございますけれ
ども、それでは一体具体的にどういうものをどうつくったらいいのかということにつきましては、なおいろいろ議論がございます。私
どもといたしましても、これだというようなものがまだ
考え方として固まっておりません。国会をはじめ各方面の御意見を伺いながら、また地域の実態というものをよく見ながら、あるいは誤りがあればもう一度戻って
考え直していく、長い間かかって日本にふさわしいコミュニティーというものが形成をされるもの、こういうふうに
考えております。いまのところ、これがもうコミュニティーの
決定版であるというようなものを持っておらない、たいへん率直に申し上げますけれ
ども、そういうことでございますので、まずそれだけ御了解を得ておきたいと思うわけでございます。
そこで、それではどんなコミュニティーをつくるかということでございますけれ
ども、基本の
考え方は、私がいまここでちょうちょう申し上げる必要もないと思いますが、コミュニティーは元来狭い意味の
地方制度よりもっともとにある人間生活の問題である、要するに市民と市民とが対話をする場所というような言い方もできるかと思いますし、あるいは市民が共同して自分たちの地域社会をよくしていこう、こういう
考え方のもとにある住民生活の最低単位である、こういう言い方もできるだろうと私は思うのであります。また、これがもし
行政サイドから見るといたしますならば、市民と
行政当局との対話の場所である、こういうものがおそらくコミュニティーを
考えます場合の最終の目標と申しますか、ゴールというふうに
考えていいのではないかと思うわけでございます。そして、そういう目標なりゴールにふさわしいコミュニティーを各地域の実態に即して形成していくということになるわけでございまして、具体的に御質問がございましたが、都市と農村とを分けるのがいいか悪いかということもございますけれ
ども、コミュニティーというのはやはり地域の実態に即して形成されるべきものと
考えます。
一応大ざっぱに分けてみますと、都市型のコミュニティーというのは、やはりそのいろいろやります仕事なり何なりの
考え方の中心は、一種の都市改造というようなことに重点が置かれるだろうと思うのでございます。都市改造というものを中心にしながら市民が一体的な意識というものを養っていけるような場をつくる、こういうことだろうと思います。
それに対しまして農村型でございますが、先ほどお読み上げになりました点で、多少一般の方には誤解を招くかもしれないと思うのでありますが、お読み上げになりました点は、単に道路をつくってネットワークをつくるということを実は
考えているのではございませんで、やはりコミュニティー施設というものを共同して
利用して、 コミュニティー施設というものがコミュニティーの一体感を養うための
一つの媒体になると私
ども考えているわけでございますが、そういうものを
考えます場合には、農村の集落というものを前提にいたしますと、やはり集落の整備ということが
一つのポイントになるであろうということを言っているわけでございまして、それを特に強調しているわけではないと私は
考えるべきだと思います。むしろ農村型におきましては、日本の現在の農山漁村の実態から申し上げますと、文化的で多様性のある生活を営めるような地域社会をつくっていく、特に農山漁村にございます地域の血縁的な非常に閉鎖的な社会というものから脱皮をした、特に若い人たちが積極的にコミュニティーに参画できるような雰囲気を盛り上げたものにしていくことが
一つの重要なポイントじゃないか、こういうふうに
考えているわけであります。