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1971-02-25 第65回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十五日(木曜日)     午前十時七分開議  出席分科員    主査 大野 市郎君       大村 襄治君    上林山榮吉君       藤田 義光君    細田 吉藏君       細谷 治嘉君    安井 吉典君       沖本 泰幸君    坂井 弘一君       瀬野栄次郎君    樋上 新一君       古川 雅司君    松尾 正吉君    兼務 井上 普方君 兼務 勝澤 芳雄君    兼務 久保 三郎君 兼務 古寺  宏君    兼務 内海  清君 兼務 浦井  洋君    兼務 田代 文久君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     長谷川俊之君         警察庁警備局長 山口 廣司君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸大臣官房会         計課長     高橋 全吉君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         建設省都市局技         術参事官    三宅 正夫君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君     ————————————— 分科員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     松尾 正吉君 同日  辞任         補欠選任   松尾 正吉君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   沖本 泰幸君     樋上 新一君 同日  辞任         補欠選任   樋上 新一君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     古川 雅司君 同日  辞任         補欠選任   古川 雅司君     坂井 弘一君 同日  第一分科員勝澤芳雄君、第二分科員井上普方  君、久保三郎君、浦井洋君、田代文久君、第四  分科員古寺宏君及び内海清君が本分科兼務と  なった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十六年度特別会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十六年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、運輸省所管並びに昭和四十六年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち、念のため申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井分科員 昨日、成田空港における土地収用の代執行の中で、たいへん重要な事件が起きているように思いますので、準備いたしておりましたほかの問題は別にいたしまして、その問題に集中して政府お尋ねをいたしたいと思います。  きのう、特に公団の入り口におきまして、社会党国会議員並びに県会議員の諸君が参りました際に、公団職員及びいわゆるガードマンによる集団暴行事件が起きております。その問題も含めて、昨日の時点における問題点政府としてどういうふうに把握しておられますか、それからひとつ伺っていきたいと思います。
  4. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 昨日、木原及び加瀬国会議員中心にした方々に対してごたごたがあったという報告を夕方受けまして、さっそく両君連絡をしようと思っていたしましたが、連絡がとれませんでした。けさも実は加瀬及び木原両君の部屋をたずねましたが、まだおいでにならぬようでありまして、まことに遺憾なことと存じます。  昨日の問題、後ほど政府委員から経過等については御説明申し上げたいと思いまするが、このようなことのないようにかねがね指示をいたしてまいったのでありましたが、一種興奮状態でありましたためにさような事態が起きたことについては、まことに遺憾千万であり、今後このようなことのないように、なおかつ厳重に指示をいたしてまいりたい、かように考えております。
  5. 内村信行

    内村(信)政府委員 それでは昨日の経過を御説明申し上げます。その御説明申し上げる前に先立ちまして、今回の不祥事を起こしまして、私、航空局長といたしまして監督の衝に当たっておりまして、まことに申しわけないと思っております。心からおわび申し上げます。  昨日の三時二十分ころでございました、加瀬先生木原先生、それから県会議員上野、小川、三ツ松、三先生公団工事局の門のところへおいでになりまして、責任者に会わせろということを言われました。それで門を警備していたガードマン、これは十人くらいいたらしゅうございますが、これが応答した、こういうふうに聞いております。そこで加瀬上野先生玄関からすぐ二階のほうへお上がりになられまして、残りの先生玄関に入られたら非常ベルが鳴りました。そこで玄関へかけつけました公団職員等が、木原先生などとは知らないで、玄関の外に押し返したというようなことがあったようでございます。このとき三ツ松県会議員がめがねで鼻のところを刺されまして、公団藤倉医師がお手当てを申し上げております。  それから、この非常ベルがなぜ鳴ったかということでございますが、説明によりますと、先生方あとにヘルメットの学生がついておったというふうな、数十人くらいかと思いますが、学生がついておった。そのためにガードマンが鳴らしたものであるようでございます。そこで、学生はこの後に投石をいたしまして、土木工事局の第一課の課長代理けがをしたということでございます。それからなお先生が中に入られた直後、金網のさくが学生によってこわされたというのが当日の経過でございます。
  6. 安井吉典

    安井分科員 いまの御説明と、私ども木原代議士その他から伺ったのとは、だいぶ違うようですね。この新聞の記事のほうが、むしろ木原代議士等のお話に似ているようです。私は現地に行ったわけじゃないですから、そのほうの話を聞いてみますと、木原加瀬国会議員と三人の県会議員の合計五人で出かけた、門のところに行ったら突然非常ベルが鳴った、ところが日本社会党国会議員団という例のたすきをかけて身分を表示しているし、顔もほとんどが知ってるはずだというわけであります。そしてまた何のために、別になぐり込みに行ったわけでもないわけですから、そういう訪問目的もはっきり明示していた、こう言っております。県の代表公団代表にお会いしたい、こう言ったんだそうですね。ところが非常ベルが鳴って、公団職員の声で、こいつだと、こういうことで、そういう声があってからの暴行ですから、意識的な集団暴行だ、こういうふうに言うわけであります。三ツ松県議は二週間くらいのけがだし、新聞にも載っていますように、木原代議士ガードマンにはがいじめにされて、十分くらいなぐる、けるという打撲を受けた、こういうふうな事態であります。  ですからこの問題は、国会議員だということをはっきり知って、そういう事実の上に立って、つまり国会議員という身分に対する一つ挑戦であるのだし、それから社会党国会議員団という代表として行ったわけでありますから、党に対する挑戦だと、けさの党の国会対策委員会の中でもそういうふうな意見が出ているわけであります。大臣、どうでしょうか。
  7. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま航空局長から経過等説明がありましたが、もちろんこれは航空局にいたしましても、公団当局から聞いた、調べた情報でありますので、はたしてそれが公正なものかどうかについては、もちろんまだこれから警察当局関係を調べるという話でありますからして、この結果を待ちませんとその正確な事態は明らかにはなりませんけれども、ただいままでの報告によりますれば、両代議士は二階に御案内を申し上げた、こういうことであります。もちろんあと非常ベルが鳴りまして、そうして一種混乱状態になったときに、木原さんをつかまえた人は国会議員とは知らなかったと、こういうことを言っておるようであります。  いずれにせよ、もちろん公団にいたしましてもわれわれにいたしましても、国会議員身分は十分に承知し、この方々に対して、いわゆる職務上の行為を妨害する意思は毛頭ありません。ただ、ただいま申しましたような混乱状態であったために、その本人の調べでは国会議員とは知らなかった、かようなことを言っておりまするが、この間の事情は、なお今後詳細に具体的に調査を進めてまいりたい、かように考えております。
  8. 安井吉典

    安井分科員 大臣日本社会党国会議員団というたすきをごらんになったことはないのかもしれませんけれどもたすきをかけておったのですよ。国会議員であることを知らなかったなどというような、そういう白々しいことは私は言ってもらいたくないわけであります。  また、こういうふうな問題が起きたときに、そういうふうな問題が起きないようにしなさいとか、そういうふうなことで前にも同じような申し入れをしたり、お話し合いのために行っておる経過があるわけですから、これは知らないわけはないですよ。地元の代議士だし、ことにこの問題については、木原代議士はずっと長い間タッチしているわけですから、公団職員が知らなかったとかなんとか、そんなような言い抜けで私は問題が解決するわけがないと思うのです。いま大臣があるいはまた航空局長がおっしゃったような事態ではなしに、ほんとうに事実を知っての意識的な行動だったということになったら、どういたしますか。
  9. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほど申しましたように、全く意識的な意思はない、計画的な意識的な考えは持っていません。したがって、公団当局からの報告によれば、両代議士公団職員が二階に御案内を申し上げた、こういうような報告であります。したがって、そのようないわゆる国会議員を無視するとか、あるいは社会党議員団であるから云々という考えは、毛頭私をはじめ公団当局は持っておりません。ただ、警備員の中には木原先生なり加瀬先生を知ってない者もあったろうとは思いますが、それにいたしましても、ああいうような興奮した状態の中でありましたために、そのようなことがあったことは、まことに恐縮千万であり相済まない次第である、こう申し上げておるわけであります。
  10. 安井吉典

    安井分科員 私は、ただそれだけのことで問題は済まないように思うわけです。公団総裁なり運輸大臣責任は私は免れないと思います。とにかく事態を、成田の問題をここまで追い込んだということに、基本的な問題はあると思いますよ。基本的な問題はあると思いますが、しかし同時に、今度の公団の態度、これは私は絶対に許せない、かように考えるわけであります。  それはそれとして、あとでまた触れることにいたしまして、警察はどのくらい現地へきのうは行っていたわけですか。
  11. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 千葉県警とそれから神奈川県、埼玉県の応援部隊を率いまして、千五十人というふうに聞いております。
  12. 安井吉典

    安井分科員 警察は何のために成田へ行っているわけですか。何をするんですか。
  13. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 もちろん、代執行仕事は知事が責任を持って行ない、公団がそれを下請でやるわけでございますが、その代執行の際にいろいろなトラブルが起こる、そういうことについて、これを未然に防止する、あるいはトラブルが実際に起こった場合に、警察としての措置をとるというために参っておるわけでございます。
  14. 安井吉典

    安井分科員 いまの公団の前で起きた事件は、これはトラブルのうちに入りませんか。
  15. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 それにつきましては、実は私どもとしては、その現場警察官が居合わしたかどうか、あるいはその警察官がどういうようにその状況を把握しておるかということにつきまして、現在調査中でございますので、もうじきにそういう点についてははっきりいたしてまいると思いますので、警察としての措置をとりたいと思っております。
  16. 安井吉典

    安井分科員 その点はっきりしてくださいね。  それから、ガードマン公団職員行動に対する規制をする権限警察はお持ちだと思いますが、どうですか。
  17. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 いま先生の御質問は、ガードマンに対する一般的な規制の問題でございますか。それとも現在の現場における問題でございますか。
  18. 安井吉典

    安井分科員 現場における……。
  19. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 もちろん、その現場においてガードマン暴行罪に該当するような行為があれば、当然警察としては、これは検挙しなければならない、このように考えます。
  20. 安井吉典

    安井分科員 短い時間ですから、深く入った質問ができないのが残念なんですが、そのガードマンの問題についてもう少しお聞きをしていきたいと思います。  ガードマンは、その前日のいわゆる少年行動隊に対する警棒使用で問題を起こしているようであります。さらにまたこの日、議員に対してもはがいじめにしたり、なぐったりけったりというふうな行動を起こしているわけであります。ですからこれは、これから一体何するかわからない、そういうふうな心配を持つわけであります。ガードマン警棒使用だとかあるいは警備の限界だとか、そういうようなものに対して政府としてどういう見解を持っておられるわけですか。このガードマンの問題については、どこが責任を持って担当しているわけですか。
  21. 長谷川俊之

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  ガードマン仕事は、財産の警備だとか人身の警備であるとか、いわゆる警察自身のやります仕事と似ておることを民間がやるわけでございますので、一般的な行政上の所管の役所といたしましては警察庁が担当する、こういうことに一応なっております。  ただいまお尋ねの、ガードマン警棒使用とかそういうようなことにつきましては、特別に何の権限もあるわけではありませんで、民間の普通の人と同じわけでございまして、たてまえは、自分の身を守るに必要な最小限度において使うということがたてまえであるというように思います。
  22. 安井吉典

    安井分科員 そういたしますと、警察官と同じような警棒を持たせてい、警察官とよく似た服装をしているという事実に対して、規制の方法はないわけですか。
  23. 長谷川俊之

    長谷川政府委員 現在のところ、ガードマン規制する一般的な法律はまだできておりませんわけでございますが、服装等につきましては、前にも警察官と見間違うということで、警察のほうも迷惑をいたしますので、これまで行政指導としまして、服装の色を変えるとかあるいは一見して警察官でないということがわかるようにということで指導をしてまいっておりますが、まだ十分に徹底いたしておらない点がございまして、その点遺憾に思っております。  それから、ガードマンはやはり深夜建物の警備というようなことをやりますので、警棒のようなものを持つことは必要な場合もあるだろう。しかしそれを使うときには、人権侵害にわたるようなことがあってはならないということを、私どもはこれまでガードマン会社の幹部を集めての会議等において、あるいは府県を通じての行政指導をしてまいったわけであります。
  24. 安井吉典

    安井分科員 このガードマンの問題については、予算委員会一般質問山口委員国家公安委員長質問しているはずです。一たんあの段階で警告的な質問が行なわれていた。そのあとにおいて、警察はいままで何かなさいましたか。
  25. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 成田ガードマンについて、警察から特別には何も申しておりませんが、公団側からガードマンに対しては、慎重に行動するようにという注意があったということは聞いております。
  26. 安井吉典

    安井分科員 私がいまお尋ねしているのは、この間の場合は、那珂湊市におけるガードマン使用の問題を一つの手がかりにしながら、ガードマン一般の問題への対応政府に要求したはずであります。それに対して何かされたかということを私は伺ったわけです。
  27. 長谷川俊之

    長谷川政府委員 あのとき大臣答弁は、今後法的規制につきまして検討をいたしますということを中心としてお答えしたわけでございますが、そういう点につきましては、いろいろ事務的に検討いたしておりますが、具体的にガードマン会社に対しましては、まだ指示等をいたしておりません。
  28. 安井吉典

    安井分科員 ガードマン会社やいわゆるガードマンの実態は、ちゃんと把握しているわけですね。
  29. 長谷川俊之

    長谷川政府委員 一応把握しておるつもりでございます。
  30. 安井吉典

    安井分科員 私は、もうはっきりここで要求しておきますけれども、この間もああいうふうな国会での発言があったあと起きたのがこの事件です。そしてこの数日来の成田でのあり方から見ますと、国会議員に対してもあれだけやるのだし、これからあと一体どんなことが起きるのかということであります。その公団警備するということなのかもしれませんけれども、それが一方の農民の側と衝突をして、警棒を振り上げたり、そういうようなことでとんでもない流血惨事が起きるということが予想されるのではないか。これをこのままにしておけば、たいへんな事態が起きやしないかということを私は心配するわけです。それに対してはどういうふうに考えておりますか。
  31. 長谷川俊之

    長谷川政府委員 いろいろ事件もありましたことでございまするし、また先生のおっしゃるような心配もないわけではございませんので、私どもとしましても、法的規制ということはいますぐは間に合いませんが、とりあえずそういうことがないように、警察庁自身からガードマン会社注意指導することはもちろん、関係府県警察を通じまして、そういうことがないように二重に徹底させたいと思います。
  32. 安井吉典

    安井分科員 今度の事件に対して、まだまだ問題が終わったわけではありませんので、これからのガードマンあるいは一般的な警備の問題について、慎重な対処をすることを私は要求いたしますとともに、いわゆるガードマン一般の問題についての対応をひとつはっきりさせていただきたいと思います。いまちょうど予算委員会の最中で、予算委員会の中で出た問題でありますから、予算委員会一般質問が終わって、それからそのあと総括質問と、こう続くわけでありますから、総括質問が始まる前までの段階に、ガードマンに一体どうするのかという対応策をはっきり出していただきたい、そのことをひとつ要求しておきます。  そこで、話は前へ戻るわけでありますけれども運輸省あるいは公団の今度の問題における立場というのは、私はいままでちょっと例がないような事態の中にあるのではないかと思います。外のいろいろなデモだとか警備体制の中で、警察国会議員とが接触をして問題を起こしたこともあります。佐世保事件なんかありましたね。そういうような問題もございましたけれども、これは公団の門のところの問題なんだし、公団といいますとこれは政府機関です。その政府機関の前において国会議員が、はっきりと社会党国会議員であるということを明示しながらこういうふうな事態になったということ、これは私はちょっといままで記憶にありません。それだけに、この問題についての責任というものを、私は運輸大臣あるいは公団総裁に対して強く追及していかなければならないと思います。きょうは予算委員会の予定されたコースの中のほんのわずかな時間でありますけれども、これからあと国会の審議の中で、私どもは徹底的な追及をしていくということをひとつ明確にしておきたいと思います。  そして、どうですか、いまのような混乱の中での代執行は、一たんやめさせたらどうなんですか、大臣
  33. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御承知のように、国際空港が非常に窮屈な状態になってまいっておりますので、現在国内空港の便を減らすというような緊急措置まで行なっておる状態でありますので、政府としましては、運輸省としましては、成田空港供用開始を四十六年度中には実施したいという一応のめどを持っております。そういうようなことから考えますと、いまここで代執行を直ちに取りやめるという問題は、非常にむずかしい問題ではありまするが、しかし前提としては、人命に重大なる損傷を与えないように代執行はやってもらいたいということは、再三公団当局にも県当局にもお願いをいたしておるわけであります。ただ、これから代執行が続いてまいるかもしれませんが、この間において、いわゆる弾力的な措置をとっていくということのために、あるいはその間にできない場合もあり得るとは思いますけれども、ただここで直ちに代執行を取りやめることは、全体の計画の上で大きな支障も来たしますからして、私は代執行を行なわれるに際して、県知事にも成田空港公団総裁にも、一方においてはひとつ話し合いを積極的に進めてもらいたい、騒音問題あるいは補償問題、あるいは改修等の問題について最大限あるいは最善の措置をとるように、かような指示を与えて、話し合いの上でできるだけやってまいるようにというような指示をいたしております。  ただ、御承知のように、一部の人がこの土地を離れることはできないという点でなかなか話し合いができないようでありまするが、できるだけ事は円満に進めることがもちろん政府方針でもあり、われわれお互い同士の間でけがを見ることは好ましくないのでありますから、あくまでその方針にのっとって円満なる措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  34. 安井吉典

    安井分科員 けさ新聞によりますと、今井公団総裁はきのうの記者会見で、地下壕の取りこわしは代執行対象にならない、地下壕にいる人の連れ出しも代執行として行なうことはできないというふうな見解を明らかにしているそうですね。そのとおりですか。
  35. 内村信行

    内村(信)政府委員 そういうふうに承っております。
  36. 安井吉典

    安井分科員 そうだとすれば、この代執行が終わってもすぐに工事ができないのではないか。すぐ工事ができるようなことにならないのではないかということが考えられるわけでありますが、どうですか。
  37. 内村信行

    内村(信)政府委員 この代執行につきましての見解につきましては、私ども必ずしもその所掌にございませんので、明確な御答弁をいたしかねるわけでございますけれども、ただいま聞いております範囲においては、先生おっしゃったように、地下壕の取りこわしというものは代執行対象にならない、それから直接強制というようなことは、やはり代執行としては行なわないというようなことでございます。ただ、代執行の内容である事実行為の遂行、これらについての必要最小限度行為はできるというふうなことでございます。その辺が、具体的にどういうふうなことをやるか私もはっきり承知しませんが、それにつきましては、さらに政府部内におきまして、関係当局におきまして十分審議した上で明快にいたしたいということでございます。
  38. 安井吉典

    安井分科員 代執行のはっきりした効果はあがらないで、問題は人々の間の憎しみとそれから流血惨事が起こる。そういうふうな事態を予想すれば、私はこの際に少し頭を冷やしてかかる、こういうふうな態度が政府としてもおとりになるべき賢明な態度ではないかと思うわけでありますが、大臣どうですか。
  39. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほど来から申し上げておりますように、流血惨事を見てまでやることは実際上むずかしい問題であります。ただ、いまの段階でやめるとかやめないとかいう問題ではなく、とにかく関係者との間にこの問題を中心にして話し合いが進められるでございましょうし、また、政府としても弾力的な考え方でこれに対処していきたい、かように考えております。
  40. 安井吉典

    安井分科員 この問題の長い経過の中で、大橋運輸大臣現地まで乗り込んで、そう歓迎はされませんでしたが、話し合いの糸口を開こうというふうに努力をいたしました。問題が始まってから以来、橋本さんは七人目の大臣だそうでありますけれども、もう少し農民と話し合いをして、そういう中から問題の解決を見出していく、そういうふうなお気持ちはありませんか。
  41. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 できれば、私は話し合いが好きでありますから、必ずしも拒否することではありませんけれども、実は前に木原代議士からもいろいろ話がありまして、そういう状態があるならば私は喜んで参ります、ただ、私が行ったためにかえって混乱を来たすようでは、目的がはずれますからして好ましくありませんが、そういう状態であれば、木原さんの御趣旨に従って参りましょうという約束をしてまいりましたが、なかなかその機会を得られない。ただ、大臣が乗り込めばそれで話がつくものでありますならば問題はありませんが、そうなまやさしいようなことでもないようでありまして、できるだけやはり現地の最もなれた方々がこまかい点まで話し合いをする、こういうことのほうがより効果的であろう。しかし、必要があって関係者が私との話し合いを希望するのでありますれば、これは別問題でありますけれども、まだそのような情勢ではないと考えております。
  42. 安井吉典

    安井分科員 約束の時間になってきたようですから、きょうのところはここで一応終わりたいと思いますが、きょうのある新聞の読者の投書欄に、これは大臣あとで読んでみてください。「「北風と旅人」思わず成田執行」という茨城県下妻市の農業野村廉一さん、五十五歳の意見が出ていますよ。つまり成田空港建設用地に対する強制収用の代執行は、昔の北風と太陽の話を思い出させる。言うまでもなく、北風というのは強制収用を早く済ませようとする政府側だし、オーバーを着込んだ旅人が反対派の農民である。北風は一気に旅人のオーバーを脱がせる、そういうことでむきになって冷たい風を吹きつけているが、旅人のほうはますます身をかたくして脱ぐどころではない。これを見て太陽のほうは、旅人にあたたかい日ざしを与えてほほえみかけた。旅人もにこにこして、ああ、気持ちがよいとオーバーを脱いだ、こういうこの人の表現であります。やはりこの北風政策が今日まで成田の問題をこじらせたのだということになろうと思うのですが、この投書の最後のところには、「一方では国有農地を三・三平方メートル二円五十三銭で旧地主に売り戻すという大盤振る舞いの政府である。暖かい“太陽主義”の政策をほどこす対象をどこかで間違えてはいないか。」こういう指摘であります。このことを大臣に、もう一度この文章を読み直していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  きょうのこの短い時間に私が申し上げたかったことは、今度の事件における運輸大臣あるいは公団総裁責任は重大であるということを私どもははっきり指摘をしたということと、それからもう一つは、ガードマンに対する対策のおくれを指摘する中から、これへの対応策予算委員会の審議の中で、私どもは何らか決着をつけたいと思うわけでありますから、それまでに、この一両日中に出していただきたいということ、この二つを申し上げ、いまもこの問題につきまして中央執行委員会でも議論中ですから、その決定した態度によって、私どももこの国会のすべての機会を通してこの問題の追及をしていくということだけを、ひとつはっきり言明をして終わりたいと思います。
  43. 大野市郎

  44. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 私は、国鉄の中で特に都市鉄道、これを中心にした安全対策等について問題点をあげて、都市鉄道のあり方について伺いたいと思います。  そこで、まず国鉄に伺いたいのですが、昭和四十二年以降の国鉄の事故のうちに、こまかくは時間の関係で省きますが、特に内部と外部踏切事故に大別した推移を聞かしていただきたい。
  45. 長浜正雄

    ○長浜説明員 四十二年以降の運転事故の推移でございますけれども、国鉄部内の、国鉄職員によります取り扱い誤りによりまして起こしました事故の件数は逐次減っておりまして、四十二年が四十九件、四十三年が三十六件、四十四年が二十二件、こういうふうに減ってきております。  逆に、部外関係のうち踏切関係の事故、これは四十二年千八百六十二件、四十三年千九百五十六件、四十四年二千百五十八件というふうにふえてきております。その他災害などもございますが、省略させていただきます。
  46. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 いま伺いましたように、内部事故は非常に少なくなっている。これはもう国鉄があげて努力をしているという点は認められるのですが、逆に踏切事故のほうを見ますと漸増しております。特に四十三年、四十四年度を見ますと二百二件も増加をしておりますね。これは何を物語っているかといいますと、人口の都市集中、過密化、輸送の麻痺寸前、こういったことが交通渋滞を来たして、結局バスあるいはその他自動車の運転の不注意、あるいはときには無謀運転という国鉄としては避けられない事故だということを物語っておると思うのですけれども、この対策についてどういうふうに考えておられるか。
  47. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま先生御指摘のように、踏切事故が一時は減りかけたのでございますが、またふえてまいっております。国鉄としては何とかこの事故を減らさなければならぬということで本社に踏切課をつくり、また地方の管理局にも踏切課をつくる等のことをして、その対策をいろいろ努力をしてきておるところであります。  踏切に対します投資だけでも、この十年間に千数百億といったような大きな金を投資をしてきておる次第でございますが、いまのような状況でございまして、この原因はやはり都市集中、あるいは自動車の保有台数の増加等もございますが、やはり何といいましてもわれわれのほうも、踏切に対する装備というと、いわゆる立体交差にするとかあるいは警報機をつける等の努力は、いま言ったようにしておるのでございますが、一方でドライバーの人たちのモラルの向上といいますか、法を守っていただくというようなことの努力を重ねなければならぬ、こういうことで、関係方面とも協議をしながらそういう努力を重ねてきておるわけでございます。  現実の姿は、なかなか踏切事故が減るという状況にまだ至っておりません。われわれとしては、何とかこれを減らすように努力をしなければならぬというように考えております。関係方面の御尽力もよろしくお願いしたいと思います。
  48. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 いま事故対策について伺いますと、とにかく踏切に対する投資その他関係方面への呼びかけ、こういうことでありますが、この事故の内訳を見ますと、とにかく警報機無視が三一・八%、それから直前横断というのは踏切無視の横断ですね、こういうものが一二%、それから遮継機突破、これが六%、S字横断、これが七%で、大体九〇%をこえるものは、国鉄としては避けられない事故であるということを物語っておるわけです。  こういう点を考えますと、踏切に相当の投資をしたと言いますけれども、踏切に投資をすることで都市の交通事故が防止できるか、こういうことは私は問題があろうと思います。もちろん、国鉄でも個々の立体交差等は考えておるようでありますけれども、いまの平均は、とにかく山林も農地もそれから都市も含めた平均でありますが、都市に集中して平面交差の踏切があるような場合の対策については、これからますます事故が頻発する、事故の形は大型化する、こういう点を考えてみますと、運輸政策の面、運輸行政の面、さらに人命優先という点から考えると、これは都市についてはいままでの考え方を変えて、全面的な立体交差以外にこれを防止し、人命を守る道はないのだ、そうして都市の機能を伸ばしていく以外にない、こういうふうに考えますが、運輸大臣はその責任の立場でこの点についてどうお考えであるか、大臣考えを承りたい。
  49. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは御承知のように、昭和四十二年でありましたか、建設省及び運輸省との間に協定書ができておりまして、当然市街地における連続立体交差化は積極的に進めてまいりたいし、そうでありませんと交通事故を防ぐこと、あるいは交通の能率をあげることができません。ただ、膨大な予算を必要としますために、なかなか進捗率がはかどらないようではありますけれども、今後とも連続立体交差に関する予算のつけ方については最善の努力をしてまいりたい、かように考えます。
  50. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 大臣もよく事情、状況を理解されて最大の努力をするということでありますが、ぜひそうあっていただきたいと思うのです。  そこで私は、問題を都市の平面交差の代表的な南武線にしぼって伺いたいのですが、南武線は御承知のように、川崎の発展と同時に伸びてきた鉄道で、市の発展には非常に大きな貢献を遂げております。しかし、現状はどうかといいますと、川崎市を縦断しておる。人口が川崎市はもう百万になんなんとしております、非常に細長い東西に特異な地形を示している。こういう関係から、現状はもう殺人的な通勤ラッシュ、それから踏切遮断による渋滞のために、一般交通はラッシュ時にはほとんど麻痺状態、個人生活並びに市の発展に重大な影響を与えておるわけでありますけれども、この南武線の問題になりますのは、約二十キロあまりのところに平面交差の踏切が五十八カ所ある、ここに問題があるわけです。この踏切の種別とそれから踏切間の平均距離について端的に伺います。
  51. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま先生の言われました南武線のうち神奈川県関係、川崎市内で一種踏切が四十七カ所、三種が四カ所、その他が六カ所で五十七カ所、それにプラス横浜市内がございますので、先生の言われた五十八カ所。それで平均間隔は約三百六十メートルくらい、こういうことになっております。そのほかに立体交差は八カ所ございます。
  52. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 いま実情を伺ったように、平均踏切間隔が三百メートルちょっと、ここにこういう五十八カ所の踏切があるわけです。この踏切の遮断の状況は、始発と終車、この間の平均はどのくらいになるでしょうか。いわゆる始発から終車までの間の踏切の回数は、何回上り、下り合わして行なわれるのか、この回数を伺いたい。
  53. 長浜正雄

    ○長浜説明員 各踏切によっていろいろ差がございますので、一がいには申し上げかねますけれども、大体昼間の一番多い遮断時間をとりますと、一番多いので五十数%、普通三〇%といったような数字になっております。時分でいいますと、十二時間のうち四百分、十二時間といいますと七百二十分くらいになりますけれども、そのうち四百分くらい多いので遮断しておる、そういうかっこうになっております。
  54. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 平均しても非常に長いということが、いまの答弁で言えるわけですけれども、ラッシュ時を特に川崎市当局、地元で調べたのがありますが、ちょっと資料は古いんですけれども、四十四年の十二月六日、この七時から八時三十分までの九十分間、この九十分間に開放時間はわずか十三分四十八秒、踏切を閉鎖した閉鎖が二十一回から二十二回で、閉鎖される時間が七十六分十二秒。それから一月の十二日に同じ個所で調べますと、同じ九十分間に踏切遮断が二十三回、開放時間は十三分二十五秒、遮断時間が七十六分三十五秒。もうほとんど締められておって、一回の通行渋滞量は、一方通行の場合は必ず千メートルをこす、両方の通行の場合には、両方とも五百メートル以上になって、合わせると一キロ以上の渋滞、こういう状態です。これは一番ひどいところをあげたわけですが、ひどいところでこれ。しかし、これに類似するところが五十八踏切のうちの三十踏切くらいある。時間があればもう少し詳しくこれを申し上げるといいのですが、こういう状態であるわけです。  そこで、地元で知事あるいは市長それから団体等が一体になった輸送力増強促進協議会が、こういう都市を麻痺させるような状態をぜひ改善していただきたい、これはもう立体交差以外にないということで、三十九年以来ずっと総理大臣並びに運輸大臣、それから国鉄にも要望し、頭を下げて頼んできているわけですけれども、この状態は刻々悪化するばかりでさっぱり改善がない。毎年毎年こういうふうに地元から、何とか改善をしてもらいたい、事故を防止するために善処してもらいたいという要望があるのですが、国鉄としてはどういうふうに対処されたのか、また運輸省としてはどういうふうにこれを指導してきたのか、これを伺いたいと思います。
  55. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 都市鉄道、ことに南武線は、御承知のとおり昔、私鉄を買収した鉄道でございます。非常に踏切の多いのは先生おっしゃるとおりであります。私どもも実は、それが事故原因になるので非常に頭を悩ましております。結局、根本対策としてはもう立体交差以外にないわけです。これは、だれが考えてもそれ以外にない。あとは、鉄道の利用者がどれだけその金を負担するかという問題だろうと思います。南武線全線を立体にするということはたいへんなことで、その金を鉄道の利用者に負担させるとなったら、いまの運賃の何倍にしても足りない。こういうことになりますので、こういう問題は、まさに国と若干鉄道側が持つというような責任の分担方式がきまりました。そういうことによって、国全体の施策あるいは都市全体の施策として取り上げるべきであって、一国鉄あるいは一私鉄のよくする問題ではない。やはり鉄道側としてもとりあえず遮断機をつけるとか、あるいはドライバーにマナーを守ってもらうとか、消極的な手段しかないわけです。私どものほうもそれによって事故が起これば、お客さんの死傷者があったりすると非常に困りますので、何とか私どもとしてもそういう都市鉄道については——これは国鉄に限らないと思います。どこにもずいぶん平面の施設がございますが、そういった問題について、やはり国としての連続立体交差の対策というものを立てなければならない。それ以外に私は解決の道はないというふうに考えます。
  56. 山口真弘

    山口(真)政府委員 都市の付近におきます鉄道の立体交差化でございますが、これは先生御指摘のように、現在の平面交差によるための交通渋滞あるいはそれによるところの自動車の運行上のロスというような問題が非常に大きいわけでございまして、これを立体交差化をするということは、事故の防止ということと同時に交通上のロスの解消、さらに立体交差化することによります都市計画上の各種の利便、都市の構造的な利用というような面につながるわけでございまして、これは何とかして連続立体交差をしなければならぬ。その場合に、この連続立体交差化によりますれば、これによって一挙に非常に多くの踏切が撤去できる、しかもそれによる都市改造等に非常に役に立つということで、政府といたしましても、この連続立体交差化を大いに推進するという考え方で進んでおります。  ただ、連続立体交差化の場合に非常に問題になりますのは、これに要します経費が非常にばく大でありまして、したがって、この経費をどのような形で分担をするかということが一番問題でございます。それにつきまして、事業者並びに道路管理者の側で協議をいたしましていろいろときめるわけでございますが、そういう協議のやり方ではなかなか話がつかないというのがいままでの実態でございまして、それが連続立体交差化のおくれていたゆえんであったわけであります。それで政府といたしましては、特に運輸省と建設省でございますが、数年間にわたりまして、この問題はどうしたら解決ができるかということを検討いたしました結果、一昨年でございますか、連続立体交差化に関する費用分担に関する考え方というものの協定を結びまして、この協定に従って、鉄道事業者及び道路側——都市計画事業としてやりますから、都市計画事業側と言ったほうがいいかもしれませんが、その側が分担をするということで促進いたしてまいるということにいたして、連続立体交差化のやり方というものが一歩前進をしたということはいえると思います。  そこで、政府といたしましては、こういったような方向に基づいて連続立体交差化を促進するわけでございますが、さらに本年の踏切道改良促進法の改正に関連いたしまして、踏切道総合対策というものを交通対策本部決定という形で決定をいたしまして、そしてその大きな柱といたしまして連続立体交差化を促進するということにいたしました。これは建設省、運輸省あるいは警察庁とも関係いたしますが、力を合わせて政府全体としてこの問題を解決していきたい、こういうかまえでございます。
  57. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま運輸省当局並びに公社総裁からお話がありましたが、問題はやはり二つに分けて考えるほか道がないと思います。一つは、先だって踏切事故の防止のために緊急措置という考え方で、できるだけ早い機会に、二メートル以下の踏切に対してこれは閉鎖してしまう。そしてそれ以上のものについては、統合できるものは統合して、できないものについては、これについては、原則は大体五メートルくらいにしておるのですが、至急に一両年中に全遮断機を設ける、こういうことによってまず事故を防止する。永久的といいますか、根本的対策は、いま申しましたような都市再開発を基本とするような意味も含めまして、連続立体交差でやっていく。これは、ただいまお話がありましたように、予算も伴うことでありますし、地元の協力、協議も必要でありますので、なかなか予算の関係からいっても急速に進みませんから、さればといって交通事故を防ぐ必要はありますので、緊急措置としては、いま申したような第一の段階を至急にやれ、こういう指示を与えて着々進めておるわけでございます。
  58. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 いま国鉄総裁大臣答弁を伺ったのですが、総裁としては、国鉄としては、こういう人口の集中した、交通のひんぱんな都市の事故対策はもう立体交差化以外にはないんだ、こういう答弁を伺ったわけです。ところが大臣は、どういうふうに指導しているかというのに対して、金のかかることだから、緊急措置として狭いところは締めろ、それから全遮断機、自動遮断機をつけろ、こういうことだが、金がかかるのはわかり切っているのです。けれども、冒頭申し上げましたように、特にこの南武線の二十キロちょっとのところに踏切が五十八カ所あって、しかも一時間平均を見ると、大体五十分くらい遮断されて開放時間は十分くらいしかない。これがもう数年間続いているわけなんです。さらにこれが増加しようというのですよ。そういうところにきて、大臣は全般的に国の全体を見てそういう指導はしているのでしょうけれども、私はいまこの問題にしぼって伺っているわけです。これに対しては、三十九年から大臣のところへも、毎年、何とか促進をしてもらいたい、こういう要望があるのに、その要望に対してこういう指導というのは、ちょっとズレ過ぎていはしないか。あるいは運輸行政の最高の責任者の姿勢が、これではあまりにも十年近い住民のあげての懇願というものを無視した姿ではないか。こういうふうに考えるのですが、もう一度、端的でけっこうですから伺いたい。
  59. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御承知のように、このお話のあった地区だけではなくして、東京都内にも、また大阪府にいたしましても、それぞれのそれに類似の地区が相当あるわけでございます。したがって、もちろんこれは熱心な陳情でもあり、御希望でもありますので、優先的にやってまいる所存ではありますが、いま申したように、財政上の事情もありますので、ただこれを一両年内に完成しろといっても、これは不可能なことでございます。したがって、その間はほっておくわけにはまいりませんので、その間だけでも、一方においては、遮断機をつけるなりして急速に事故をなくそう、一方においては、これは御要請もありますから、最優先的に予算措置考えていきたい、ただそれには限度がある、こう申し上げたので、決して熱意がないわけではないので、陳情の趣旨、御質問の意味は十分に理解して善処してまいりたい、かように考えております。
  60. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 まあこの結論は、もうちょっと二、三伺ったあとにしたいと思うのですが、改善措置一つとして、地元の三十九年以来の要望に、とにかく通勤のラッシュは何とか解決してもらいたいということで、急行をはさんでくれないかという要望が再三行なわれましたね。それはどういうふうに改善されたでしょうか。
  61. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 現在の南武線のラッシュ時の混雑はたいへんでございまして、編成両数をふやしたりあるいは間隔を詰めたりということでいろいろやっておりまして、現在、三分ヘッドウエー、朝夕三分ごとでもって運転いたしておりますが、混雑度は現在非常に高いので、この詳しい数字を申し上げますと二一五%ということになっておりまして、これに快速電車を入れるということになりますと、一本入れるために三本ないし四本の電車を間引かなければ入らないということで、そうすると混雑度が二六〇%になるということで、快速電車を入れるということは、現在ではこのままの輸送施設をもってしては非常に困難である、こういうことでございます。
  62. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 長年の要望で国鉄はこたえてくれたのだそうですが、ところがラッシュ時には、いまの答弁のように三分間隔だものですから、結局、普通列車が避けられないためにはさめないということで、上り六本、下り六本はさんだのですけれども、実は下りは十時二十五分から十五時二十五分、上りは十時から十五時と、ラッシュ時を避けて、必要ないときに急行をはさんでくれた。これがために逆な結果になっているわけです。急行がはさまれたので遮断時間が延びてしまった、結局、要望はやったのですけれども、そのくらいのことは国鉄として見通せなかったのかという感じがいたします。もう時間がありませんからそこまで詰めませんけれども、要するに、大臣、こういう状態なんです。もう乗客は混乱して、婦女子等は、とうていラッシュ時には子供を連れてなんかおそろしくて乗れない。それから通勤時の婦女子等は、仕事は大事だけれどももうこわいと言うのです、あまりにもすし詰めで。それで御承知のように、全国一悪いのを集めたような——あそこだけ見るとそういう感じがするのですね。一たび事故が起きたらこれはたいへんなことになる、こういう状態であります。とにかくダイヤはぎりぎりで、もう急行をはさもうと何をしようと、この乗客の混雑を緩和する余地は全然ない。しかも踏切は、交通量が増すに従ってだんだん渋滞量が多くなってくる。これがために運転手等はいらいらして、不注意の不慮の事故等が考えられるわけです。さらに九十分中二十二、三回の遮断をして、そうして開放時間はわずか十五分かそこら、こういう実態を大臣は十分御承知いただきたい。  とにかく財政的に大きな金がかかります。これは全面立体交差といっても一挙には無理でしょう。私らしろうとが考えても、大体分断して三つないし四つに区切った工事も可能じゃないか。したがって、これは建設省等の都市計画にからむ問題ですから、建設大臣にもぜひきょうは御出席願いたかったのですけれども、おりませんので、大臣としては、地元、県、それから市、地域団体、学識経験者等を含めて、これを全面的にやるけれども何らか分割してでもやる方法はないかという調査機関等をつくって、この調査を早急に進めて、何とかこれにこたえてあげる、こういう気持ちがないかどうか、この点を大臣に伺いたい。
  63. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話のように、南武線の混雑状況はたいへんにひどいものと聞いておりますので、まあ専門家がダイヤの編成をやるわけですけれども、案外しろうとのほうがいい知恵が出る場合もありますから、どうか皆さんも意見のあるところは十分に国鉄に、こういうふうにしたらどうだろうかという意見は聞かせてもらいたいと思います。  なお、調査機関の問題ですが、これは国鉄といたしましては、関係県あるいは市当局とも十分連絡をとりつつありまするが、はたして学者等を入れた調査機関がやったほうがいいかどうか。かえっていろいろ手数がかかることになっても好ましくありませんので、十分検討した上で、そのほうが効果的であれば、調査機関をつくることももちろんけっこうだと思います。いまは実際問題としてそういうことをやることはもうわかっておるのです。必要なんです。ただ問題は、金の問題でなかなか進捗していかない。そういう意味においては、ひとつ皆さんのほうの党におきましても——どうもややもすれば東京都の場合は——東京都のこれだけの国の一割以上の収入を占めるゆえんのものも、地方の人を運んできて仕事をしておるからなんですね。そういう意味においては東京都あたりが、やはりこの大都市交通圏についてはもっと関心を持ってもらう、財政的にも。こういうことも必要だと思って、われわれも東京都といろいろ話をいたしておりますけれども、なかなかうまく進んでおりません。地方に鉄道線をつくる場合においては利用債等を相当に分担してもらっておりますけれども、東京都の場合においては十分でないと聞いておりますので、こういう点もひとつあわせて、これから積極的に——何といっても円滑なる大都市交通圏を設定することが、これはもうどうしても必要なんですから、これに向かって積極的な協議、話し合いを進めてまいりたい、かように考えております。
  64. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 建設大臣が出席できませんので、建設省の都市局長おいでですね。これは都市再開発、都市計画にからむ問題ですから、どうしてもきょうは大臣にということでお願いしたのですけれども大臣にかわって答弁願いたいと思います。  これはいま大臣からも、学者を含めること等はということがありましたけれども、当然都市計画に伴う問題ですし、とにかく建設省が、出費の面では相当額を背負うわけですから、進める段階になると中心になると思います。そこで、とにかく大臣からもいま、何とか促進するための方法は考えたい、こういうお話ですけれども、いま言った知事、市長あるいは地域団体等含めた調査委員会的なものを設けて、少なくも調査にかかる、こういうお考えにぜひ立ってもらいたいと思うのですけれども、この点どうでしょうか。
  65. 三宅正夫

    ○三宅説明員 南武線の連続立体交差の計画につきましては、建設省といたしましては、県、市はもちろん、運輸省やその他からも正式な話は聞いておりません。ただ、非常に緊急な問題でございますので、県、市から正式な要望がございましたら、私どもとしても慎重に検討していきたいと思います。  それから、いま先生のおっしゃった、委員会をつくるかどうかという問題につきましても、内容を検討いたしまして、もしほんとうにそうした委員会をつくる必要があるならば私ども前向きに考えたい、かように考えております。
  66. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 時間がありませんから詳しくはあれですけれども、結論として私ども聞いていないというのですけれども、そんなことはありません。総理大臣以下、運輸大臣等にずっと行って、道路局長のところへも現実に県から行っているのです。それをこういう公の場所で、私どもは聞いていないという、こういう答弁は承服できません。これは国鉄総裁等ももちろん御承知ですし、運輸大臣承知しているのです。そういうことですから、きょう建設大臣にぜひ出てもらいたかったのですよ。建設省でも国鉄でも、それから運輸大臣としても、この問題については何としても促進するために前向きで努力する、こういうことでありますので、この点、もうできれば本年度ないし来年度早々に調査費ぐらいは組んで、そうして取りかかってもらいたいということを強く要望して、この問題については打ち切って、時間が来ちゃいましたので、もう一点、大事な点を伺いたいのです。  これは現在計画中の武蔵野南線の建設についてであります。これは鉄監局にお答え願いたいのですけれども、この本線の発表があって以来、地元では公害その他で相当反対がございました。これについて、長い間協議をした結果、確認書がかわされております。この確認書によりますと、「公団は測定調査の施行につき、住民に迷惑のかからないよう配慮し、速やかに完了するよう努力する。」そうして第二項で「公団は測定調査の結果、資料一切を協議会に交付し、公表する。」こういうふうにあるのです。この調査であるボーリングの進捗状況と、それからいつごろにこのボーリングが完了するのか、この二点お願いします。
  67. 山口真弘

    山口(真)政府委員 ただいま先生御指摘の点は、武蔵野南線の生田−梶が谷間の付近のことに関する覚え書きであろうと思うわけでございますが、この地区につきましては、トンネルの施工に伴う地盤沈下による被害者の不安ということがございまして、その点から地元の反対を受けまして、これらの問題につきまして四十二年度ごろから折衝いたしておったわけでございます。その結果、ただいま御指摘のような確認書が取りかわされたわけでございますが、その確認書の内容といたしましては、工事施行にあたって万全を期すために地質等の詳細な調査をするということになりまして、その調査のために、確認書をかわした上でボーリングを実施しておる、そういうことでございます。これはただ一応の調査といたしましては、私ども三月中には大体完了すると考えております。
  68. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 そこで、三月中に完了するということでありますが、さらに確認書の第一項に「今般測定調査を認めたことは従前からの反対の姿勢を変更するものではない。」こういうものがあります。としますと、もちろん地勢状況等はおわかりですね。ただ確認する意味でボーリングをやっているのですけれども、そのボーリングの結果、地すべりあるいは地震その他で多少でも心配だという、こういう状態の結果が出たときには、この確認書の反対の姿勢を変えるものでないというのは、どういうふうに解釈されますか。
  69. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この趣旨でございますが、いまこのボーリングをやっておりまして、さらにこの付近の各種の地質調査がございます。そしてその状況から見ますと、このトンネルが非常に強固な地盤で建設されているということになると思いますので、最終的ではございませんが、現段階では私ども、トンネルによる影響というものはないのじゃないかというふうに考えております。  ただ、これは確認書第三項の、ただいま御指摘がございました「公団に対する態度を決定する。」という意味でございますが、それは万一地質が悪ければ協議会側は反対の態度をとるということを留保したというふうに私ども一応考えられますが、私どもといたしましては、地層が悪いということはほとんど考えられないというふうに考えておりますし、それから、先ほどお話がございました南武線の輸送力の強化というようなためにも、武蔵野南線の早期建設というものが必要でございますので、こういった面からしまして、この点にしついては、地元の方々と一そうお話し合いを進めるというふうにいたしたいと思います。
  70. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 端的に言ってほしいのですが、要するに間違いないと私ども思うのです。ここまで確認書をかわしているのですから。ですけれども、そういうような調査の結果、万一地すべりの危険が伴うということがあった場合にこれは反対だと言っているのですよ。ですから、そういう危険が見られる場合には当然反対だ、こういうふうに解釈してよろしいか、こういうことです。イエスかノーでひとつ……。
  71. 大野市郎

    大野主査 簡潔に願います。
  72. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この確認書の御趣旨の自治会の方々等の御意見は、その反対の態度をとることを留保したというふうに考えております。
  73. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 そうじゃない。そういう問題が安全ならばこれは問題ないのです。ただ、いままでこういうことがあって、何回かトラブルがあるわけです。ですから、もし調査結果がまずい、公害の危険が伴うなという事態が起きた場合には、この計画は認めないという約束でしょう。それはそのとおり解釈していいのかどうかということなんですよ。
  74. 山口真弘

    山口(真)政府委員 そのとおりでございます。
  75. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 大臣にひとつこの点について。いま、これは公団でなく、指導をする立場で伺ったから問題ありませんが、いろいろこういう地元のトラブル等の問題で、よく確認書をかわすということはあります。それで今度の場合は、私は非常に慎重に行なわれたと思うのです、確認書までかわしているのですから。ですから、いま答弁をお聞きのように、大臣も御承知と思いますけれども、もし調査の結果まずいというようなことが起きた場合には、地元は確認書をかわしているのですから、これは当然反対するのはあたりまえだ、その点については十分考慮する、こういうことを大臣もお考えと思うのですけれども、その点一つだけ最後に伺って終わります。
  76. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま鉄監局長がお答えを申しましたように、確認書については責任を持って処理いたしたい、かように考えております。
  77. 松尾正吉

    松尾(正)分科員 以上で終わります。
  78. 大野市郎

  79. 久保三郎

    久保分科員 私は予定した質問の前に、先ほど同僚安井君からも出た、昨日あるいは今日起きている成田空港の問題について、一言大臣にお伺いしたいのであります。  すでに、わがほうの主張というか見解は、安井君から申し上げたとおりでありますが、言うならば、いまやっている代執行が、たとえば当局の考えのとおりに行なわれたにいたしましても、地下ごうに入っている反対派の人たちを、あるいは地下ごうをどう処分するかという問題は、これは残るわけだと思うのです。これは、われわれ現地の模様をよくわかりませんが、それぞれの報道機関を通じて入手した状況によりますれば、かなりこれは困難だと思うのです。困難だというのは、今日の状況下において進めることは非常に困難だと思うのです。不可能に近いのではなかろうかと思います。そこで、千葉県知事は立ち木だけを、言うなら、形式的な代執行をいまやっているのじゃなかろうかと思うのです。いわゆる空港建設、滑走路建設ということから見ますれば、代執行のいまのやり方は、立ち木だけ刈り取っているようでありますから、これはほんとうの形式だと思うのです。形式的な代執行をやるためにいま血道をあげてやっているのでありますが、何といってもこれは非難されるべき筋合いのものだと思うのです。あるいは建設を促進する立場にある者の立場から見ても、こんなことで混乱を起こしていいはずはちっともありません。  だから、私はここで大臣に申し上げるのですが、これは大臣責任ですぞ、はっきり言って。これはそんなこと言いたくありませんけれども、結局そういう政府責任だということになる。言うならば、いままで農民に対していかなる説得工作をしたか、工作というより、説得する条件というものを提示したためしがあるのかというと、ほとんどないと聞いているのです。たとえば二期工事についても同様であります。だからここで、私は短い時間でありますからお答えをいただきたいのは、先ほどもお話がありましたが、この辺で一応休戦にしたらどうか。そして、二期工事を含めてあらためて話し合いに入ったらどうか。そうすること以外に方法はないと私は思っておるのです。これは、もちろん無理じいしてやろうというなら、人命を無視してやる以外にないと思うのです。そうなった場合に、これが建設してもはたして使用できる空港になるかどうかというのは、たいへんな疑問があります。これはさっき北風と旅人というお話が出ましたが、そのとおりです。いかがでしょう。
  80. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 北風と南風ですが、南風がどうなんだということがむずかしいのですね。私たちは、すでに過去四年間にわたって、そうして条件も提示し、また反対者側の意見等も聴し、また希望をも相当にいれて、そうして、まあまあ反対であった人も相当数はいわゆる賛成になったわけでございます。したがって、決してきのうきょうに代執行を、初めから話し合いをしないで始まったものじゃありません。まず四年間にわたっていわゆる話し合いを続け、そうしてその間においては、御承知のように、かなり価格もだんだんと上がってまいりましたし、あるいは換地につきましても、いろいろの希望に対してはできるだけの措置を講じてまいっております。したがって、きのうきょうに始まった、急に代執行をやったという御理解はひとつ考えていただきたいのでありまして、代執行に至るまでには相当の年月を要し、その間にはいま申したような措置を講じてまいっております。  南風というのは、もちろんわれわれは南風を持っていったつもりですが、あるいは一部の人たちは、南風と思うものが北風に感ずるかもしれません。これは立場の相違でございますからやむを得ないのではありましょうけれども、とにかく国としては、何としても、国際的な状況、国内の航空のあり方から見て、せめて四十六年の四月から供用開始考えておったのですが、それらの問題等もありまして、なお一カ年間いわゆる延期せざるを得ないという状況で話し合いを進めてまいったのでありまして、これ以上じんぜんとして日を延ばすことはできない。二カ月、三カ月なら必ず明け渡しますという問題でありますれば別問題でありますが、ただ一部の人、ほんの一部ではありますけれども、この一部の人たちは、何としても祖先伝来の土地を離れたくないんだ、これは条件にはならないわけであります。しかしその気持ちはわかります。やはり土に生きる農民が、何十年間注いできたあぶらと汗のこの土地を離れたくないというその気持ちは、私たちも全く心の痛むほどよく感じます。感じますけれども、いま世の中というものは日進月歩でありまして、社会経済も発展をしてまいるのでありますから、したがって、できるだけそれにかわる、あるいはそれ以上のものを国民生活の豊かなる上において与える余地があるならば、それはひとつ聞いてもらいたい、こういうことで長い間説得、話し合いを続けてまいりましたが、どうしてもこの土地を離れたくないんだ、こういうことでなかなか話し合いが進まない、かようなことでありまして、まことに残念しごくと思っております。  しかし、代執行にあたっては、このような人命の損傷に至るようなことは絶対に避けよ、こういう指示のもとにやってまいりましたが、興奮状態でありましたので、さような事件が起きましたことを、心から遺憾に存ずる次第であります。
  81. 久保三郎

    久保分科員 時間もありませんが、いまの御答弁は私の質問に答えていただいてないと思うのです。おっしゃるように、四年間か知りませんけれども、やってきたという。なるほどやってきたこともありましょう。しかし、いま農民が反対して立てこもっているという現実は、話し合いがほんとうに行なわれたかというと、やはりこれは一方的に行なわれましたというだけの話ですね。いま立てこもっているというのは、それに反対している農民が、それはなるほど土地を離れたくないということでありますが、いままでの仕打ちに対しての反抗もあるのですよ。これを反省しないでこれからやろうといったって、これは形式的なやり方だと私は思うのです。だから私は、あんまり無理なことを言っているのじゃないと思う。いずれにしても、どちらから見ても、休戦することがいま一番最良の策だ。いままで四年間も話し合いをし、あるいは四年間もいろいろな説得工作をしてきたと言うが、換地についてもおっしゃっているが、それじゃ、いま反対している農民に対して、具体的に換地を千葉県知事が提案したかというと、提案していないのですよ、大臣。なるほどいまガードマンになっている連中は、換地をもらってガードマンになっているかもしれぬ。言うならば、片方の農民には話し合いがついて換地をやってガードマンにした。言うならば、公団当局並びに政府はうしろで見ていて、農民同士を戦わせようというので、この問題は何か最近のアメリカの外交にちょっと似ている、そういうふうに思うのです。私は再びこういうことは国内でやるべきことじゃないと思う。再考をお願いしたいと思います。時間がありませんから、結論をあらためて別な席でいただきたいと思うのです。ただ大臣、この問題は、いま現実にきょうもまた進行中のようでありますから、こんなことをいつまで繰り返してもうまくいかないということは、十分おわかりだと思うのですよ。きょうの午後でもこれは結論をつけなければいかぬと私は思うのです。つけるのなら早くつける、そうだと思うのです。どうかそういう意味で、休戦をして話し合いに入る、二期工事を含めてやるという、言うならば、政府も勇断を持ってやらぬければ解決ができませんよ、これは。  それでは、時間もありませんから、本論に行きます。  私が質問を予定していたパイプラインについてでありますが、まず第一に大臣からお答えをいただきたい。  先般の予算の総括質問のときにお話し申し上げましたが、総体的な問題でありましたから、結局、個別的な問題ならお答えをいただけるような御答弁でありましたので、個別的な問題として、いま当面緊急を要する油の輸送に対する問題ですね。これは幾つかあると思うのでありますが、個別的にはいまの問題になっておる空港の問題もありますが、この問題は特別な問題として除外しても、結局あとの関東内陸というか、そういうものに対する、先ほど御質問がありました南武線経由の石油の輸送、これはもうすでに限界に達しているということであります。だから、これに対してはどういうものを考えているか。あるいは、これからもう一つ考えられるのは、いわゆる中央ラインについてはどうするのか。さらに進んでは東京湾の原油のパイプライン、これは将来の問題になると思うのですが、少なくとも、先ほどの質問にもあったような、南武線経由のいわゆる関東内陸部への石油供給についてどういうように思っておられるのか。この三点ほどについて結論だけお伺いしたいと思うのです。
  82. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御承知とは存じますが、昭和四十四年九月十二日に「日本国有鉄道の財政の再建に関する基本方針」というものを閣議決定をいたしております。その中の「関連事業等の整備」という項目の中で、「パイプライン輸送等日本国有鉄道の鉄道輸送と密接な関連を有し、その機能の促進に効果があり、又はその施設を有効に活用することが望ましい事業については、これを経営し、又は適切な投資を行なうものとする。」、こういう閣議決定を得ておりますので、運輸省といたしましては、ただいま御質問のありました関東内陸地帯へのパイプラインについては、すでに国鉄当局をして調査をせしめ、これが完了をいたしております。したがって、直ちに着工できる状態でありますので、運輸省方針としては、いわゆる四十六年度の予算の皆さんの御審議を待った後においては工事に取りかかるような措置を講じたい。  ただ、問題となっておりますのは、はたして石油輸送を国鉄が独占すべき問題であるかどうかという議論はありますが、これはこれとして別問題であります。ただ、この関連事業の中で、こういうことをやったほうが国鉄の輸送効果を引き上げることに関しては非常に有効適切であるというものは国鉄でやらしてよろしい、こういうような規定でありますからして、ただいま御質問のあった地帯は、運輸省としては、国鉄をして行なわしめることが有効適切である。かつまた、これをもし鉄道で輸送するということになれば複々線化を考えるということになると、これはとうてい不可能に近い問題であります。同時にまた、油を輸送するという安全の体制から考えても、やはりしっかりしたパイプラインをつくることのほうがより安全であり、より有効である、こう考えておりますので、運輸省方針は一貫して変わりません。関東内陸部については国鉄をしてこれを行なわしめるという方針で目下折衝を進めておる次第であります。
  83. 久保三郎

    久保分科員 それじゃ、同じ問題に対して通産当局から見解をお述べいただきたいと思います。
  84. 本田早苗

    ○本田政府委員 ただいま運輸大臣から御指摘がありましたように、石油の輸送量は逐年ふえております。従来は、日本の地形が海岸線が長いために、しかも海岸線に消費地があるという事情が多かったために、内陸部への輸送はタンクローリーあるいはタンク車で輸送するという形態をとっておりました。ところが、逐年需要が増加しまして、内陸部においてもパイプラインで輸送し得る経済単位が近い将来にも期待できる。こういう時代になりますと、いまの交通事情あるいは輸送事情からいきますと、パイプラインで石油製品の内陸輸送をやるということがきわめて適切であるということが両者全く一致する見解であります。ただ、パイプラインというものにつきましては、石油製品における輸送費というのはかなりのウエートを占めておりますのと、安全に、しかも経済的に輸送するということがきわめて重要である上に、きわめて固定的な施設であって、長年月にわたって代替のきかない輸送手段になる、こういう点から、最も経済性のある施設でやることが必要であるということでございまして、その点について現在お話し合いをいたしておるということでございます。
  85. 久保三郎

    久保分科員 通産省にお尋ねしますが、石油のパイプによる輸送というのは、いまのお話だと、石油産業全体の中の一つである。これはもちろんそのとおりでありますが、これはやはり輸送というか、そういうものの専業体でやらせることが原則として本筋であろう。ただし、輸送でも専用輸送というのがありますから、たとえばタンカーにしても、油会社が直接持つものもありましょうし、そうでないものもありますしするから、これはそれぞれの事情に応じて違うものだと私らは考えているのです。またもう一つは、パイプラインというものは既設の輸送体系とにらみ合わせてつくらなければいかぬだろうと思うのです。石油なるがゆえにかってに別個に配置する——いまの石油輸送、たとえば鉄道とか道路輸送とかございますね、そういうものに無関係に石油の輸送はパイプラインでということで、かってにというとおかしいが、思うように引っぱっていくこと自体は、全体の輸送についてロスが出てくるので、効率的にやる。石油自体の利益ばかりでなくて、全体が国民経済的に利益になるように建設するのが新しい輸送機関としてのパイプラインだろうと考えているのです。また、全体に関係のない輸送ならば、これは先ほど申し上げたように、いわゆる会社専用のものとして必要なものがございますね。たとえば短距離であって、基地というか、それと使用する場所との間、そんな小さいところまで、これは輸送であるからというので専用の輸送業者がこれをつくり提供するという必要は何もないし、またそういう場合でも、輸送業者にまかせて共同で経営するというものもございますね。これはいろいろだと思う。  しかし、いま私どもがお話を申し上げておるのは、日本におけるというか、東京を中心にする関東内陸部におけるところの石油の輸送、こういう問題を申し上げているわけであります。しかも、これはだんだん考えれば、先ほどの南武線の話じゃありませんが、あとから国鉄にも聞きますが、非常に危険なんですね。東京都内を石油がぶん回っているかっこう、これはやはり災害というものの安全の問題からも早急に結論をつけなければならぬ。ところが、どうも最近いろいろ聞いておりますと、石油連盟というか何か知りませんが、業者の団体が集まって、会社をつくります、パイプライン輸送を自分でやろうということで、何か本格的に集まったという。それもいいでしょう。いいけれども、そういうものをただ石油業者だけの観点からやること自体は、私は間違いだろうと思っているわけなんです。いかがでしょうか。
  86. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  既設の輸送手段との調整が必要だという点はそのとおりであろうと思います。現在タンク車で大体七%くらいは輸送しておりまして、三〇%余りがタンクローリーの輸送で、御指摘のように六〇%が内航タンカーで輸送いたしております。今後の内陸部需要で、しかもパイプラインの経済性のある場合に、パイプラインで送られますと、あとのタンク車輸送が減るかということになりますと、それはおそらく減らずに、さらに遠距離の輸送はタンク車で輸送していただかなければ送りかねるのだ。タンクローリーにつきましても、かなり小型というわけではありませんが、将来さらに大型化したいという希望があるようでございますが、現在の型のローリーで輸送いたしております。これらについては、さらに大型化する。あるいはどうしても基地からスタンドへの輸送はローリーによらざるを得ないわけでございますので、ローリー輸送というものも今後減るわけではないという状況でございます。  次に御指摘の、石油業者でやらねばならぬのかどうかという点でございますが、原則的ななにからいきますと、元売り業者が精製所から自分の営業の基地輸送所へ送るという形で、従来は専門の輸送機関の方々にお願いしておった。ところが、それをパイプラインで送るということに相なりますと、単独の会社で送りますと経済性がなかなか出ないので、共同で送る。共同で送るということになりますと、操作その他の点でいろいろ問題がありますので、これを共同運営の形でやるのが最も合理的だ、こういう考え方をとっておるようでございます。
  87. 久保三郎

    久保分科員 石油業者がやろうということもわからぬわけではありませんが、これはより専門的だろうと思うのです。石油業者というか、石油業者ばかりじゃなくて、何かの産業、これはだれが中心で最初から終わりまでやるのかという問題になってきます。ところが、いま新しい時代になりまして、これを組み合わせてうまくやろうというのが新しい輸送の形態だと思うのですね。物的流通費用の軽減というか、そういうものもそういう中から考えていくということですね。新たに会社を興すこともけっこうでありますが、あるものを使って、たとえば運輸大臣お話しのように、国鉄なら国鉄に根幹はやらせる、そうして石油業者はこれに協力していくということも一つじゃないですか。また、そうすることがほんとうじゃないですか。いまの輸送形態を見ても、南武線の話がありましたように、非常に無理なんですね。しかもタンクローリーの話も、大型にするなんというのは私は反対です。タンクローリーを大型にするなんというのは時代逆行ですよ。自動車新税を取るようでありますが、昭和四十九年に三千万、いまの倍、車がふえるだろうという予想で取るというんです。倍ふえたら、ふん詰まりですよ。いまでもふん詰まりです。そこにタンクローリーをでっかくやるというのは、時代逆行もはなはだしい。なるほど石油業者から見れば、ローリーなり何なり大きいほうが得なんですね。どんどんマンモスタンカーができてきたのも、そのためです。しかしこれは安全に限度がある。そういう点も考えていかなければならぬと思うのであります。  いずれにしてもこの問題は、何か所管争いみたいな感じをわれわれはしているんです。こういうのはやめて、国民経済的な立場からやはり判断してもらいたいと思うのです。国鉄再建のためにパイプラインをやるというのは、大体閣議決定もおかしいんです、実際は。再建と関係ないのだ。国鉄がやる分野としてきちっときめればいいのを、何か再建のためにやらせなければいかぬというような書き方は、これは大臣のいる前で申しわけないと思うのですが、再建と関係ないですよ、パイプラインをやるか、やらないかというのは。国鉄が専業者としてパイプラインをやるというのが、私は正しいと思っているんですよ。だから、この前の総括質問のときは、総理大臣は結局判断がわからないから、監督運輸省がやるということでしょうと言って、自分できめておいて、わからぬと言う。その程度だと私は思う。総理大臣は過去においてやや専門家的だから、どうも閣議決定した再建に関するものを読み上げて、私がちょっとおかしいんじゃないかと言ったら、国鉄の問題には直接触れぬで、運輸省監督していくということでしょうというような意味を申し述べておりましたが、私はそうだと思うのですが、どうでしょう。これは再建と関係なくて、パイプラインという大筋のものは、輸送専業者である国鉄、あるいは私鉄もそのうちに入るかもしれませんが、国鉄ですね。しかも用地の問題等も考えれば、私は我田引鉄ではありませんが、そういうふうになろうかと思うのですが、どうでしょう、大臣
  88. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 運輸省見解としては、おっしゃるように、これは輸送機関の一つであるというたてまえから、運輸省監督下に置くべきものであるという意見は強くあります。あるいは一致しておると言ってもよろしいと思います。ただ問題は、まあ議論だけ言っておっても解決になりませんので、とりあえずいま必要なことは、四十七年度になりますと輸送能力がないことが明らかであります。それに間に合わせるためには、四十六年の当初から工事を始めないとできない、こういうことでありますので、しかも工事のしやすいのは、何といっても大部分を鉄道の軌道の土地を利用するということが一番やりいいし、また経済的でもある。こういうことからして、パイプライン輸送というものは、そういうような他の省との意見の違いもありますから、その問題はその問題として今後も検討いたしますが、とりあえずの問題は、これは解決をしなければならぬという方針で、私としては四十六年度から工事が始められるようにいたしたい、こう考えておるわけであります。
  89. 久保三郎

    久保分科員 それは国鉄にやらせるのですか。どこにやらせるのですか。始まるといっても、始まる主体が……。
  90. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御承知のように、国鉄の来年度予算の中には四十億円を工事費として組んで、予算案の確定を見ております。したがって、この内陸地帯の輸送は国鉄をして工事を行なわしめる。もちろん先ほど久保さんから御指摘がありました、場所によってはお互い共同してやる部分も出ましょうし、また石油関係者の利害にも関係することでありますから、その人たちの意見も十分に尊重して、そして円滑な処置を行ないたい、こう考えております。
  91. 久保三郎

    久保分科員 国鉄総裁お尋ねしますが、自来パイプラインは国鉄独自でも、通産省もそうですが、具体的に調査をしてきたのですね。その結論として、いま私からお尋ねしている問題についてどういうふうに思われているのか。そしてどんな考えでいまやろうとするのか。この辺をかいつまんで御説明いただきたい。
  92. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 パイプライン輸送につきましては、先ほど久保先生のおっしゃいましたように、一つの新しい輸送形態として私どもは三十六年から勉強いたしております。石油類のパイプライン輸送とか石炭のスラリー輸送、この二つが流動物質を輸送する場合の一番いい方法であるということで、三十六年以来、約十年くらい前から勉強しておりました。これをいよいよ本格的にやらなければならないと思いましたのは、昭和四十二年八月に新宿でもってタンク車の火事があり、あるいは阪神国道でタンクローリーが柱にぶつかって大きな火事を起こしたということで、石油類の路面輸送によって非常に災害が起きたのは四十二年でございます。そのときに、これはいかぬということで、私は国会でも、何か将来別な輸送方式を考えるべきだということをはっきり申し上げております。その後、外国へも人を出し、また部内でもいろいろ勉強いたしまして、実は一昨年から通産省と事務的にいろいろお打ち合わせを十数回いたしてまいりました。また昨年のいまごろから、業界とも具体的にいろいろなお話し合いをしてまいりました。ある時期にはほとんど話が了解点につきましたときに、どういう意味か、突如として業界と私どもの糸がぷっつり切れてしまいました。私どもはいまもってその理由がわかりませんが、何ゆえか、切れてしまいました。その後、今日まで停とん状況を続けております。  そのいきさつにかんがみまして、私は三つの点からこの問題を考えなければならない。第一は安全の問題であります。これは久保先生のおっしゃいましたとおり、もう路面をタンク車やタンクローリーで輸送するのは、ごく短距離は別でございますけれども、中長距離をタンク車やタンクローリーで路面輸送するということをいまの過密地帯で考えることは、もう時代おくれだと思います。当然これはパイプラインで輸送すべきだ。まず第一に、市民、都民の安全という意味から申しまして、私どもはことにそういう手痛い経験をいたしておりますので、どうしてもこれは新しい輸送方式のパイプラインによるべきだ、これが第一点であります。  第二点は私ども自体の輸送力でございます。現在、タンク車は毎日約三千両関東地帯で走っております。三千両で約一万トンでございますが、これが先ほど通産省のお話のように、今後どんどんふえていくということになりますと、路面が詰まってくればタンクローリーでは輸送できない、当然貨車輸送ということになると思いますが、もう私どもの輸送力に限界がきております。これ以上もしタンク車をふやせとおっしゃれば、ほかの物資を切るとか、あるいは通勤輸送を切るということをしなければ、タンクローリーの輸送ができない。それはとてもできませんので、私は、来年の四十七年の十月、この時点以後はタンク車輸送の増加はできないということをはっきり申し上げております。したがって、それまでに何かタンク車にかわるべき輸送方法を考えなければいけない。もちろん、簡単にパイプラインと申しましても、三月や半年ではできるものでございません。一年以上の年月がかかりますので、なるべく早く着手しないと輸送力のひっぱくに間に合わない。そのときになって油が送れない、値段が上がるということでは非常に困ると思います。だから私は早く、おそくとも予算が成立した直後にこの問題には手をつけたい。そうしないと来年の秋には間に合わないことは目に見えている。それなのに、お役所同士の何があるか存じませんが、話がおくれているということは、私は非常に残念でございます。  それから第三点は、実は国鉄が非常に石油類の大消費者でございます。現在、年間約百二十億前後の石油類を買っております。ことに重油を除きまして白いほうの油で申しますと、軽油につきましては日本全体の消費量の約八%を国鉄が使っております。これは主としてディーゼルカーその他でございます。現在いろいろ石油についての国際問題があるように伺っておりますが、もしそういうものの影響で私どもの買っている石油の値段が上がりますと、たとえば一割上がれば十億、二割上がれば二十億と、これはたいへんな問題でございます。そういう角度からしましても、最小限私のほうでできる流通費の軽減というものはすべきではないか、私は消費者としてそういうふうに思います。したがって流通コストの軽減になる。私どもの計算によりますと、大体二割前後は安くなるとはっきり計算ができております。用地費も全部計算いたしまして——自分のところを使うわけです。ごくわずかな土地は買わなくてはいかぬけれども。そういうものを全部計算して約二割の軽減ができる。直径四十センチのパイプラインを一本引きますれば一日一万トンの輸送ができます。ちょうどタンク車三千両分がわずか一本のパイプで輸送できる。こんな経済的な輸送はないわけでございまして、なぜこれを早くやらせていただけないか、私は全く理解に苦しむ点でございまして、いまの大臣のお話、非常に私、力を得まして、予算が通過し次第——予算にきめられましたパイプラインの具体的な計画は全部できております。青写真もすっかりできておりますので、大臣に認可申請をいたしたいというふうに考えるわけであります。
  93. 久保三郎

    久保分科員 お話、わかりました。結局、石油業界も自分でやろうという気を出したのは、単純に考えれば、自分でやったほうがもっと安くなる、こういうことだろうと思うのですね。通産省の局長もそういうふうに考えているのでしょうね。安くなればいいでしょう。もっともパイプラインは石油以外のものは輸送できないのだから、結局詰まるところは、流通経費をどう節約できるか、こういうことだと思うのですね。だから、そういう観点から業界は考えていったらいいと私は思うのです。安全の問題は専門屋にまかせてやったらいいのではないかと思いますね。油屋に安全まで考えて輸送してもらう必要はないと私は思うのですが、どうでしょう。
  94. 本田早苗

    ○本田政府委員 輸送費を軽減するのはきわめて大きなポイントでございます。しかし、安全にしかも合理的に送るということも重要な問題でございますので、その辺の点で現在いろいろ詰めておるわけでございます。
  95. 久保三郎

    久保分科員 もう時間でありますから最後に申し上げておきますが、これは鉄監局長ですね。  いま大臣からもお話がありましたし、大体通産省と運輸省の間に、そんなに意見の隔たりはないようでありますね、いま聞いていると。だから、そういうことで持っていったほうがいいのではないかと私は思う。  ただ問題は、それではパイプラインを建設させるのに、そういう法体系をどう持っていくかということが一つの問題ですね。建設、それから安全確保、運営、いろいろありますね。いまの法律の中ではできないものがかなりあると思う。これはやはり急がなければいかぬと思いますね。これは準備を進めておるのか。いつごろこれを結論づけられるのか。運輸大臣説明だと、とにかく監督はだれがやろうとも運輸省だ、こう言っているのですから、監督の衝にある者が、そういう法律をつくってきちんとしなければならぬと思うのですが、その作業はどうなっているか。  それから最後に大臣にお伺いしたいのは、国鉄総裁からもお話がありましたけれども、まさに焦眉の急を要するものがあるわけですね。そうだとするなら、早急に通産大臣とお話をつけてきちんとしていただきたいと思う。最近、運輸省行政というのは、大臣はぱあっとうまいやつを上げるんだが、途中でどうも、竜頭蛇尾とは先輩に対して申し上げにくいのでありますが、そういうきらいが航空政策の中でもあるようなんでございまして、公開の席で先輩に申し上げるのはたいへん恐縮でありますが、この国の経済の中で大きな比重を占める問題でありますから、ぜひこれはきちんと整理して推進していただくようにお願いしたいのですが、いかがでしょう。
  96. 山口真弘

    山口(真)政府委員 石油類の輸送につきましては、いま運輸省といたしましても、法案を整備すべく検討中でございます。ただ、これは法律でございますから、当然、政府自体としての決定、そして通産省との相談をしなければいかぬわけでございますので、まだ成案は得ておりませんが、準備をいたしております。  ただ、この法律ができなくても、現行の法律、日本国有鉄道法並びにそれに関連する省令その他の面におきまして、国鉄自体がこれをなし得るということは、政府部内で法制局等とも相談いたしまして詰めております。大体、国鉄として現在考えております八王子方面へのパイプラインにつきましては、現在の法律で経営ができるという結論になっております。また、これらに関します保安等につきましても、関係の省令等の手当てというものによりまして十分規制ができる、こういうように私ども考えて、法的には問題はないと思います。
  97. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま鉄監局長からございましたように、国鉄がやることについてはあらためて法律の制定の必要はないと思います。ただ、省令等において手当てする面はあろうと思いますが、特に本法律の改正の必要はないと考えておりますので、お話のように、通産大臣ともなるべく早い機会にこれの調整をとって、四月早々工事命令が出せるようにいたしたいと思っております。  なお、余分になりますが、いろいろアドバルーンは上げるが結末がつかないと言われる。たいへん失礼な言い分であると思います。航空再編成につきましても、ちゃんと結論は私は出しておるつもりでありますから、その点は認識を新たにしてもらいたいと思います。
  98. 久保三郎

    久保分科員 いや、認識を新たにしますが、多少疑念がありますので別な機会に。ただ、ことばがまずかったから、これはちょっと訂正しておきましょう。
  99. 大野市郎

  100. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、主として大阪の外環状線関係を御質問すると申し上げておったのですが、先ほど久保先生の御質問の中にもありましたとおり、成田空港の問題が世間を騒がしておりますし、連日のことでだんだんエキサイトしてきて、これは行く末どうなるのだろう、こういうふうに国民に多大な不安を与えておる。こういうふうな事柄にかんがみまして、冒頭に成田空港について一部御質問したいと思います。  同じような質問になるかもわかりませんが、代執行に対しましてガードマンが出ておりますが、その点について、千葉県がやっていることだけで、大臣のほうでは、そういう内容について御承知はなかったわけでしょうか。
  101. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 昨日の事態——もちろん代執行始まって以来その経過については報告を受けております。ただ、具体的な問題については、なお詳細を十分に承知はしておりませんが、大綱については間違いなく報告を受けておるつもりでございます。
  102. 沖本泰幸

    沖本分科員 このガードマンの行き過ぎについてはしばしば問題になりまして、予算の一般質問の中でもこのガードマン問題を取り上げて、いろいろと問題点を指摘されたところなんですけれども、その直後にこういうふうにガードマンが、警察官と同じような、機動隊と同じような服装をして、同じよう装備をして——こういう点については問題があると思うのです。これがこのまま黙殺されてこのことが行なわれるということになりますと、これが先例になってあちこちで同じようなことが起きてくるというようなことになるわけですから、断じてこういうことを許してはならない、こういうふうに考えるわけですが、あらかじめ、このガードマン使用については、政府のほうとしては相談を受けたようなことはないわけなんでしょうか。
  103. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 公団警備会社との間で契約書ができておりますが、その契約書の内容は報告されております。その契約書の内容は、いわゆる警備員として行なうべき内容が契約書に含まれておる。きのうの場合におきましても、その職務の内容を逸脱したとは思いませんけれども、ただ、ああいう混乱の中において行き過ぎた行為があったのではないか、こういう点について目下調べておる状態でございます。
  104. 沖本泰幸

    沖本分科員 これは専門の域になると思うのですけれどもガードマン警察官と同じ公務の執行権を持っておるのかどうか、こういう点になるわけですけれども、これは地方自治体がそういうものを与えるか与えないかという点に関するわけですけれども、テレビなんかを通じていろんな服装とか装備を見ておりますと、代執行をやるについて、ガードマンがあらかじめ準備をしておったということが考えられるわけです。およそこうい抵抗を受けるだろう、その抵抗に対してはこういうふうな防御手段をとって代執行のあれをやっていこう、こういうふうにあらかじめその準備をしたという点が見受けられるわけです。その日になって、あるいは前日ぐらいににわかに準備をしたとはいえないわけです。そうすると、全国のガードマンが同じような何かのことがあって装備をすることになれば、これは問題だと思うのです。そうすると、警察権を持ったものがあちこちに別別にできてくる。私設でそういうものが起きてもいいということになるわけですから、大臣は、運輸大臣でいらっしゃるわけで、成田とは一番密接な関係がおありになるわけですけれども政府の閣僚として、この点についてどういうふうなお考えをお持ちなんですか。
  105. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話のように、警察権を警備員が持っているわけではありませんので、したがって、その間の区域ははっきりとしなければならぬと思います。したがって、公団との間の契約におきましても、いわゆる警備というのが夜警その他家屋及び人体——人体というのは、公団職員の人体を守るというのが前提であって、公団職員と同じような職務執行仕事をすべきでないことは明らかでありまして、その辺の逸脱はないと思いますけれども、目下調査を進めておりますので、明快にお答えもできませんが、いま沖本さんが御心配になるようなことのないように、これは従来も指示してまいりましたし、今後もそのようなことのないように、強くその点については指示し、かつまた規制をしてまいりたいと思っております。
  106. 沖本泰幸

    沖本分科員 あの執行の内容を見てみますと、結局、警察、機動隊と同じような内容を持った別働隊が同じ執行をやって、人数がそれだけふえているというふうに見受けられるのですがね。そうすると、五百人なら五百人の機動隊が出ている、また五百人のガードマンが出ている、両方合わせて千人が同じ権能を持って仕事をしていく、警察権を行使していく、こういうふうな形に、テレビなんかを見ているといえるわけですが、そういうふうなことになると、これはもう言語道断ということになってまいります。ですから、ガードマンがやるべき分野というものははっきりきめられているはずですね。その点が、ああいう現場になってエキサイトしてそういうことになるという場合もありますけれども、テレビなんかで見ている状態では、はっきりそういうものが初めから計画されて実行に移されている、こういうふうにしか思えないわけです。まして、警棒なんか持っているというようなことになると、これはもう公務執行妨害に対して警察が使う一つの武器、そういうものと何ら変わりのないものを持ってやっていることになりますから、これは重大な問題ということになってまいります。したがいまして、ほかの場所で同じようなことが起きても、今度はまたそれに対する対抗手段としてもっと過激なことが起きないとは限らない。こういうことになるわけですから、久保さんが先ほどおっしゃられましたとおり、直ちにこういうやり方というものは改めて、方法を考えて問題の解決に当たっていただかなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。その点について。  それからもう一つは、ほかの質問に触れなければなりませんから簡単に伺うわけですけれども、あの中に子供が入っているということは、参加の是非ということは別問題にして、これはもう全国に大きな衝撃を与えていると思います。子供の問題については、向こうのやり方をじっと見ていて、こっちはこっちでやっていって、その間で問題を解決していこうということよりも、むしろ、その子供の参加ということについては、政府がみずから乗り出して、ああいう悲惨な場面を呈しないような状況のもとに置くように努力されるべきだ、私はこう考えるわけですが、大臣いかがでございますか。
  107. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるとおりに、子供たちがこの問題に巻き込まれることはまことに遺憾であり、悲しむべき事実だと思います。お互いにこれは考えて善処しなければならぬと存じます。県当局においては、学校の先生その他を通じていろいろと懇談をしたようでありまするが、その結果は、目的を達成しなかったということでありますけれども、しかし、一たんああいうふうに表に出てきた場合においては、その子供たちにけがをさせないということは、これは絶対条件でありますから、この方針公団当局にも強く指示をいたしております。
  108. 沖本泰幸

    沖本分科員 問題は違いますけれども、こういうことの先例はないことはないわけです。韓国で高校生の抵抗があって、高校生の死を招くというような過激になった問題が日本に響いてきて、大きな問題になった。これは世界じゅうに広まっていくというような内容を持っておったわけです。ですから、われわれがすぐ頭にくるのは、このことがそのまま放置されたら、また沖繩で再び同じことが始まるということは火を見るより明らかであるということが考えられますから、大臣も閣僚の御一人として、ひとつこの問題解決に全力をあげていただきたいことをお願いいたします。  それでは次の問題に移らしていただきます。  いま申し上げたことよりも地域的な問題になって非常に恐縮なんですけれども、大阪の城東貨物線という問題につきましては、繰り返し言うのもいやになっているわけですけれども、第三次長期計画の中で、万博に間に合うようにこれを何とかしてほしいといっていましたのが、第三次長期計画がとんざしてしまいました。そして関西では、この問題を期待しながら現在まできているわけですけれども、現状から見ますと、国鉄のほうとしては、赤字ということが最大のネックのようなことで、いつまでたっても結論を見ることができない。すでにあの城東貨物線は大阪の市内の中心部を横切っているわけです。そして交通停滞に対しては大きな支障を来たしているわけです。建設省のほうはすでに立体交差のために五カ年計画を出して、立体交差解決のために新しい全体計画をつくっていらっしゃる。そういうものに合わして、国鉄のほうも、その立体交差の五カ年計画と何らかの関係が全国至るところに出てくるわけです。そういう中にあって、今度城東貨物線は何の進展も見ないままに放置されるのかどうかという点になってまいります。また、地元の大阪のほうとしては、この問題に関しては利用債を買うなど、あらゆる国鉄の要求にできるだけ応じますという姿勢をとって現在まできているわけなんです。いつも申し上げるとおり、東京周辺の総武線はどんどんでき上がりつつある。ところが、大阪は蛇草と永和の間を少し上げてきて、さらしものになっておる。それは地元としては許しがたい感情にかられてきている。こういうことになりますから、この点は重大な時期にきているのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。ですから、私としましては、これはいつも同じで、計画の中にあるのだけれどもそのうちに何とかしますというようなことではもう許されない段階ではないか、こう思うわけですけれども総裁、この点について、どういうふうに外環状線を電化、客車化をなさるか、前向きの何かめどを開くような御回答をいただきたいと思います。
  109. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 実は、昨日も片町線について同じような質問がございました。実は外環状線については沖本先生から数年来質問を受けております。大阪につきましては、この外環状線と片町線と福知山線の三線、いずれも非常に問題でございます。当然これは東京の通勤輸送の改善とときを同じくして着手すべきような問題だと思うのでございますが、東京のほうが非常に金がかかるということで、いま東京は五正面同時に全部やっておりますけれども、結局どうしてもいまの財政状態では大阪まで手が届かない、率直な話そういう事情でございます。しかし、もちろん、私といたしましては、前々からお約束もし、前々から調査もして、絶対に必要だということは十分認めております。したがって、たとえば片町線などは、もう少し地元でひとつ協力しようか、極端にいえば全額利用債をもってやろうというふうなお話が実は出てきております。非常に心苦しいことでございますけれども、そういうことで、東京付近があと二年もすれば大体いまやっている工事が終わると思いますから、現在線のまま東京付近で通勤輸送改善することは不可能でありますから、その東京が終わったらひとつ大阪を全面的にやりたいというふうに、非常に申しわけないのでございますけれども段階的に考えざるを得ない状況になってしまっておる。もしそれがどうしても急ぐなら対策は当然あるわけですけれども、地元ともう少し具体的に御相談して、利用債その他で考えていただく。利用債も実は政府のおかげさまで利子補給を受けておりますので、利率の問題よりもむしろ資金調達の問題でございます。ことし予算でごらんのとおり、二千百億の自己調達資金を割り当てられておりますが、実際二千百億を私どものやせ腕では集めることは非常にむずかしい。もし利用債で協力していただければ、やはりそちらの工事を優先してやるということにもなると私は思います。したがって、東京でいまやっている、手をつけてしまったこのばく大な数千億の通勤輸送が一段落すれば、責任をもって私は大阪に手をつけるというお約束をいたします。ごらんのとおり、蛇草のところの立体交差も複線になるような立体交差になっております。そういうことでございますので、どうしてももうほんとうに待てないということならば、もう少し具体的に御相談して、利用債をもう少し持っていただくとかいうふうなことで当面ここ二年ほど仕事を進めていく、そしてあと東京が終わったら本格的に取りかかるというふうな段取り以外にいまのところどうしても——たとえばことしの予算が約三千五百五十億でございます。そうすると、新幹線に約千億とられますと、いまの状況では東京付近はどうしても中断するわけにいきませんので、残念ながら大阪付近にはほとんど入らないということになりますので、資金面からいって、もしめんどうを見てやるというお考えが地元におありになれば、私はそちらの御相談に逃げ込むわけじゃございませんけれども、そちらのほうで一ぺん御相談を具体的に申し上げてみようかというふうな気持ちを持つわけでございまして、返す返すもこの点私は申しわけないと思っております。とにかく、全体の工事経費のワクが毎年毎年伸びるどころか縮まってまいりましたので、いかんともいたしがたいというような現状でございます。
  110. 沖本泰幸

    沖本分科員 そういうお話は毎年伺うわけなんで、いつもたなの上に上げっぱなしで、ほこりをかぶせておかないで、何とかたなからおろしてほこりを払って日の目を見るような方向へ向けていただかないと、おまえのほうから向いてくるかいというふうな呼びかけでは、いまのところ非常に感情的にむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。ですから、たなからおろしてほこりを払っていただいて、実はこういうふうなことに持っていくぞ、君たちのほうでも何か考えないか——こういうような前向きのお話も毎年やっておるわけですから、話が進んでくればそれなりに話は前に進んでいくと思いますし、また、第三次長期計画の中で御計画なさった当時の事情と現在申し上げておる段階の事情というものは全然事情が違うわけです。その点をお考えになっていただかなければなりませんし、第三次長期計画の当時では、いわゆる加美までの間で切ってしまうというふうなことだったわけですけれども、そうではなくて、もう現在の段階では杉本町につないでしまわなければ全体計画的に効率があがらない、こういうふうなことも必要性が出てきておる、こう考えられるわけですから、何らかの形で前向きに——実は総武線の問題がほぼめどがつきだしてきたから、そっちのほうへかかるからおまえたちのほうの考えも示してみなさいとか、何かの形で調査の実態を明らかにするとか、外環状線をやるについてはこういう計画でやりたいのだとかいうような青写真なりアドバルーンなりを掲げていただければ、それなりにまた地元のほうも力を入れて一生懸命になっていくと考えられるわけです。その点について総裁いかがでございますか。
  111. 長浜正雄

    ○長浜説明員 私も、沖本先生に何年となくこの御質問をいただいておることを申しわけないと思っておる次第でございます。  この外環状線の工期は大体五年ぐらいかかるわけでございますけれども、そのうち用地買収に二年あまりはかかろうかと思います。それで、用地買収さえ終わっておればあと三年足らずで工事ができると思います。いま総裁が申しましたように、東京付近の工事あと二年くらいで一定のめどがつく、そうすると予算的に大阪付近に相当回せるようになるんじゃないか、こういうふうに私たちは見ておりますので、この二年間に何らかの措置をしていけばいいんじゃなかろうかということで、実は、本年度も、あるいは昨年度も、ずっといままで用地買収には特に力を入れるといいますか、都市計画事業としておやりいただいた用地買収の金をお払いする、こういうかっこうで用地の確保をしてまいりました。いまのところ用地所要面積のうち約二割は確保できたような状況になっております。これがあとまた資金面で地元と御相談ができるならば、これをもっと進めていける。  もう一つの問題は、今度新しく全部高架化にしなければならぬであろう、こういうふうに地元の御要望もありますことですから、それは考えられております。しかしながら、高架化にするについては都市計画事業ということもからんでまいりますので、そうなりますと、なるべくすみやかに都市計画事業者との協議を終わっておきませんと——都市計画決定をやり、事業決定をやるにはひまがかかりますので、そういう方面の事務的な話を進めることがまた別の面で大事になってくると思います。それで、いま沖本先生の言われますように、現地を督励いたしまして、そういう都市計画決定のできるような高架化にした場合の計画内容、その辺をもっと詰めて、そして都市計画決定のできるような方向に持っていきたい。そして都市計画事業者のほうからの事業決定による資金といいますか、都市計画事業の仕事の進め方と、国鉄からの金を入れるほうと一緒にあわせてこれが早くできるような方法をとりたい、こういうふうに考えております。ということで、現地にも計画をなるべく進めるということで指示をしたい、こういうふうに考えております。
  112. 沖本泰幸

    沖本分科員 関西支社がなくなりまして、結局大阪は村八分じゃないか、こういうふうな考えをみな全般的に持っておるわけですね。国鉄は中央集権主義だ、東京周辺だけ力を入れている、大阪は万博をやったり、道路の隘路を解決したんだけれども、国鉄のほうだけはそれと逆行する、こう考えておるのが地元の感情なんですね。ですから、先ほど申し上げましたとおり、一カ所だけ立体交差で高架にしていただいた。だけれども、それだけが雨ざらしになって何の役にも立たない。かえってお金のむだ使いじゃないかという声も出ているわけです。ですから、そのつなぎに希望を持ってやっていけるという内容に持っていっていただかなければ——縦に向かって入るのは、大阪は私鉄がどんどん進んで、地下で乗り入れてきております。そういう関係で、縦から入っていくのは十分なんですけれども、御承知のとおりドーナツ現象で、特にドーナツ現象の激しさというものは東京よりも大阪のほうがいま激しいわけです。そういう点で、福知山線あるいは片町線の問題が出てきたわけです。ですから、それが出てくるということは、外環状線の必要性というものがより高まってきているんだ。こういう御認識と、高架にしなければ交通麻痺や交通停滞の隘路は解決できない、こういうふうにお取りになっていただいて——それで、ただ国鉄だけが浮き上がって、大阪の都市計画の中からはずれてしまっている。こういうような環境でないように——全部の関西の都市計画の中に国鉄も同じようなワクで入ってきている、こういうふうなかっこうに持っていっていただかなければならない、こう思うのです。ですから、立体交差の五カ年計画の中に入っていなくても、また同じような考え方で建設省とのお話し合いを進めていただければ、またその隘路が解決していくのじゃないかと思うのです。大臣も、こういう点ひとつ現地の非常な困った内容というものをおとりになっていただいて——ただ、あの辺は、横つなぎというのは、バス路線があるだけなんですね。これは非常に問題になってきております。ですから、何とかこれが解決できて、一歩でも二歩でも向こうを見て進めるような方向に進めていただきたい、こういうふうに考えるわけですけれども、先ほどのお答えでは少ないので、もう少し補足してお話がないものでしょうか。
  113. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま先生も御指摘になりましたし、地元のほうでも、この線を高架化するについての都市計画決定をしたいというような希望もございます。私たちも、そうすることによって、先生がさいぜんお話しの木津の付近の高架化もできたわけでございまして、その他のところもできるところはそういう方法をとりたい。都市計画決定にわれわれも積極的に参加していく、そしてそれができるような計画も私たちのほうでもつくって協力して進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  114. 沖本泰幸

    沖本分科員 地図とか、そういうもので見ると線路が一本入っているだけですけれども、地元としてみると、さっぱり何にも走らない線路が使わないまま横たわって交通のじゃまをしておるということがたいへんな問題になっておるわけです。そういう実感というものをおつかみになっていただいて、お考えいただきたいと思います。  あともう二点あるわけですけれども、一緒に申し上げます。関西線は今度だいぶ前向きに取り組んでいただいたわけですけれども、大阪市内に東部市場というのができているわけです。そういうもの等の買い出し人とかいろいろなもので、関西線も杭全町というところへ駅をつくってほしいという要望が非常に高いのですね。ここでは、通勤とか、こういうふうな商人の利用価値が非常に高いわけですけれども、市内の電車をはずし、バスの利用が十分でないというような点もありますので、関西線に杭全町という駅をつくっていただきたいということが地元の大きな要望になっております。  それと、今度は話はだいぶ前向きの話になるわけですが、総裁にもお耳に入れたと思うのですけれども、コンテナがもうじきまた数バースふえる事情にあります。数バースは南港にありますけれども、これと外環状線と、総裁がおっしゃっていた京都の木津、こういう貨物輸送の体系、こういうものと考え合わせてコンテナをレールに乗せていくということが大事だと思います。いわゆるコンテナバースがうんとふえて出てくる。コンテナをトレーラーでどんどん一船分を運んで、仕事が早いということが一番のみそですけれども、それが市内の交通の中にどんどん割り込んでくると、それだけ市内の交通停滞は激しくなってくるわけです。したがいまして、この南港といわゆる貨物線を結んでいく臨港線はどうしても要るという考えのもとに、これから計画を立てていただいてちょうどいいんじゃないか、こういうふうに考えるわけですけれども、地元の意向で、以前は自分たちでけったじゃないかという総裁のお話もあったわけですけれども、その当時と現在とは事態がだいぶ変わってきております。そういうことをお考え合わせいただいて——同時にまた、南港には高層住宅がずいぶん建つようになっております。そういうものの輸送ということとあわせて臨港鉄道に客車も走らせる、こういうふうな御計画をお立てになるお考えはお持ちではないかどうかという点と、二つをお伺いしたいと思うのです。
  115. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 南港の問題につきましては、先生おっしゃったように最近だいぶ事情が変わってまいりましたので、私のほうは駐在理事室に命じまして、もう一ぺん南港の輸送状況を蒸し返して勉強してみろということを過般指示もいたしております。いろいろ言い出したほうが損だということで、市と私のほうと三すくみになっておりますが、そう言ってもいられませんので、何かひとつ前向きに勉強しようという課題を与えて、いま勉強させております。
  116. 長浜正雄

    ○長浜説明員 関西線沿線に新駅をつくってほしいというお話は、前々から現地あるいはわれわれも伺っておる次第であります。この御希望の地点を調べてみますと、実はある程度の乗降客は予想されるわけであります。先生おっしゃるとおりでございます。ただ、その地点は、前は地平の線路であったわけです。そのときは、新駅をつくりましてもそうたいした金はかからなかったのでありますが、今度これが全部高架になってまいりましたので、約三億前後の金が新駅の場合にはかかるんじゃなかろうか、こういうふうに考えられております。  そういうことで、新駅の設置でございますと、地元に全額御負担を願うことになるわけでございますが、そういうことで相当な金がかかるので、陳情いただいております地元ともお話を進めておるわけでございますが、そういう点でなかなかまだ結論が出ないような状況でございます。  ただ、これの旅客がどのくらいの乗降があるかということは、最近道路事情その他で相当ふえるような情勢もあります。ただ、一方で駅を新しくつくりますと、その間の所要時分がふえますので、その点は線区全体としての輸送量の問題があるわけであります。われわれといたしましては、この新駅につきましては、地元の御負担の状況ともにらみ合わせて前向きに取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  117. 沖本泰幸

    沖本分科員 時間がなくなりましたが、もう一点だけ、これは長浜さんにお伺いしたいのですが、阪和線の高架と、その上に阪神道路公団が道を入れる、こういうことでいま建設省のほうと話し合いが進められておりますけれども、天鉄のほうに行って伺うと、道路公団の返事待ちなんだ、おれのほうはどっちだっていいんだ、そっちが話がついてくれれば応じないことはないぞということなんですけれども、それはそれでもいいかもわかりませんが、結局、阪和線を高架にするということは、交通停滞のために立体交差をするということで予算がつけられたわけなんですから、それが道路公団とか建設省との話し合いが十分いかないでそのまま引っぱりますと、結局は地元のほうはそのためにひょうたんの首を押えられたような状態で、いつまでも停滞状態が続く、こういうことになりますので、本来の趣旨と全然違ってくる。こういうことになりますから、その点、あそこの計画がどんどん進むようにアドバイスするなり、てこ入れしていただいて解決していただきたい、こういうことをお願いしまして質問を終わります。
  118. 大野市郎

    大野主査 井上普方君。
  119. 井上普方

    井上分科員 橋本大臣に伺いますが、私はまだこの国会に来て四年しかなりません。四年少し過ぎたのですが、あなたはもう二十何年国会におりますので、先輩として伺うんですが、国会議員には身分証明書というのがあるのでございますか。
  120. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 法律的にいう身分証明書というのは持ってはおりますまいが、しかし、バッジその他パス等を持っておりますというと、身分証明は可能でありまして、法律上にいう身分証明書は私ども持っておりません。そういう書式のものは持っていないのじゃないかと思います。
  121. 井上普方

    井上分科員 私も身分証明書やいろいろなものが国会議員にあるのはおかしいと思う。事実バッジをつけなければわからないようなことでも困ります。このたびの成田空港の騒ぎに際しまして、空港分室には身分証明書がなければ入れないのだという規則でもあるのでございましょうか、どうでございましょうか。
  122. 内村信行

    内村(信)政府委員 別にそういう規則はないと思います。
  123. 井上普方

    井上分科員 ところが、きょうの新聞を見ますと、あそこの公団の分室の保安課長、芦沢さんという方のようでございますが、「身分証明書を示さなければ分室内に入れない。」ということを新聞に発表しておるわけであります。そうすれば、身分証明書のないわれわれあるいは一般住民はどうやって入ったらいいのですか。ひとつ入る方法を教えていただきたい。どうでございますか、この点教えていただきたい。
  124. 内村信行

    内村(信)政府委員 身分証明書は、平生の制度としては明示をする必要はないと思いますが、今回のように学生その他が乱入してくるというふうな気配がありました場合には、防護措置としてそういうふうなことをやったかもしれません。したがいまして、そういうふうな場合には、私ども身分証明というと大げさでございますけれども、はっきりどなたかということがわかれば、当然それはお入れするということになると思います。     〔主査退席、大村主査代理着席〕
  125. 井上普方

    井上分科員 しかし、この新聞記事を見る限りにおいては、国会議員であることははっきりしているのです。たすきもかけて、バッジもつけている。ところが、身分証明書がないから入れないのだ、これは当然だ、正しい処置だ、こうおっしゃっているのですね。  そこで、これは皮肉な話でございますが、われわれはどうやって入ったらいいのです。大臣どうですか。この際には、代議士である木原君は、これは当然、私は社会党代議士である、国会議員である、入れろという要求はしておるのです。ところが、身分証明書がなければ入らせないというのでありましたら、国会議員をシャットアウトすることになりかねないのですが、こういうことは大臣どうですか。
  126. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 法律上には、身分証明書を提示すべしという——あるいはその他の場合において規定がないようでありますけれども、ただ、その人であることを承知し得るものはあるわけですね。たとえばバッジをつけておられるとか、あるいは国鉄のパスを持っておられるとか、その他何かその人に間違いないというところのものは、証明し得る道があると思います。いま航空局長が言いましたように、ああいうふうに混雑している中ですから、万が一間違った者が入ってきて間違ったことが起きることも好ましくありませんから、もし身分証明書を提出しろと言ったのならば、身分を証明すべきものがありませんか、こういう意味じゃなかろうかと思います。
  127. 井上普方

    井上分科員 この場合には木原君ははっきりと、国会議員である、千葉県から選出されておる木原実である、だから入らせないかと言っておるのです。言っておるにもかかわらず、御承知のようにガードマンにはがい締めにせられ、足をけられておるわけですね。そして、そのガードマンの問題については先ほど来お話がありましたから私は省略しますけれども、しかし、その後に分室の保安課長が言っておるのは、ガードマン行為は正しいのだ、国会議員を入れないのは当然じゃないか、身分証明書がないからだと言っているじゃないですか。裏を返せば、これはわれわれに対して公団内部に入ることを拒絶しておることと同じことだと思うのでございますが、どうでございますか。
  128. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 実際上の調査があるいは正確を期し得ないかもしれませんが、公団当局からわれわれのほうに報告がありましたものによりますと、公団職員でもちろん木原さんあるいは加瀬さんということをわかっておりまして、二階にお通し申し上げた、こう言っておるのです。これは報告ですから、これが違っているかどうかはこれから当局でも調べましょうが、二階にお通し申し上げた、そうしているうちに非常ベルが鳴ったということで——非常ベルというのは何かの錯覚らしいのでありますけれども、その前に学生が相当数おって気勢をあげておったといいますから、それらが押しかけてくると錯覚したのかもしれません。そこで、善意にとれば、心配のあまりその分室からお連れ申し上げた、こういうことではなかろうかとも思うのですけれども、実際上のこまかい点についてまだ明確になっておりませんが、十分調べたいと思っております。
  129. 井上普方

    井上分科員 橋本さん、ことばのあやというものはもう少しじょうずにお使いなさい。これが二階にお通し申し上げた姿ですか。ちょっとこれをごらんになっていただきたいのです。
  130. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 具体的なことは航空局長から……。
  131. 内村信行

    内村(信)政府委員 御説明申し上げます。  先ほど大臣が、加瀬先生木原先生をお通ししたというふうに申し上げたかもしれませんが、それはちょっと誤りでございまして、報告によりますと、加瀬先生県会議員上野先生を二階のほうにお通ししたというふうに申しております。
  132. 井上普方

    井上分科員 私が木原君じきじきに電話連絡を受けたのです。そうしますと、私は国会議員木原実である、入れてもらいたい、抗議しに行くんだ、こういう話をしていましたところが、中に入ったとたんに非常ベルが鳴ると同時にこういう姿にさせられたのです。これは二階にお通ししろというような姿じゃないですよ。  そこで大臣に私はお伺いするのだが、われわれがああいう騒乱の場に行って実態をからだで感じ、かつ目で見、耳で聞くというのは、国政に携わる者として、これは国政調査一つ行為であると私らは思う。その点どうでございますか。
  133. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 原則としては井上さんのおっしゃるとおりでありまして、国会議員たる者、国政調査のためにある程度の自由というものは与えられておりますから、当然、木原さんも、もしちゃんと木原さんであると認識しておればそのようなことはなかったのだと思いますが、何か報告によりますと、木原さんとは知らなかった、こう言っておるようでありますが、その点間違っておるにせよ、間違いないにせよ、とにかく力ずくでどうこうしたということであればまことに相すまない、かように考えております。
  134. 井上普方

    井上分科員 木原君に対して、こいつだ、こいつだということを公団職員が言っているのですね。そしてそれをガードマンにはがい締めにさせて、これは向こうずねに傷を受けております。こういうことをやっておるのです。ここで、そのガードマンのやったことについては私は言わない。これは省略しますけれども国会議員が一体どういうような状況であるかを調査し、そしてまた、その無謀なることを見つけた場合に、直ちに責任者あるいは国の準公務員とでも申すべき公団職員に対して抗議を申すのは当然の責務だと思う。ところがそれに対して——しかもたすきかけておるのですね。社会党国会議員団という、赤地に白で抜いたたすきをかけておるのです。それにもかかわらず、「身分証明書を示さなければ」と言う。これはあとからの言いわけでしょう。しかし、いずれにしても、こういうような事態が今後起こってきた場合にも、身分証明書がなかったから入れないのだとか、一般人と間違ったのだと言いわけをしかねないのです。近ごろの役人は、ですね。こういうような身分証明書がなければ入れないなどと言う保安課長に対する処置は一体どうなさいますか。これは航空局長などの問題じゃないと思うのです。大臣として、政治家としてひとつお考え願いたい。どういう処置をとられます。
  135. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 そのときの事実の調査が十分にできておりませんし、これは人の生存権にも関する問題だし、またいろいろな問題に関連しますので、仮定的な問題についていまお答えできませんが、十分その点は調べておるようでありますので、調べた結果につきまして十分検討いたしたい、こう考えております。
  136. 井上普方

    井上分科員 事実とかなんとかおっしゃいますけれども、お調べになっておるようですけれども、もうすでに新聞の第一面に、保安課長の言として「身分証明書を示さなければ分室内に入れない。ガードマンの処置は正しい」とまで書いてあるのです。これについてはどう思うかというのです。この行為自体に対して、少なくとも新聞が発表しておるこの保安課長の言については、あなたはどうお考えになり、どう処置なされようとするのかお伺いしたいのです。
  137. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは井上さんも御承知のように、まことに混乱したといいますか、エキサイトした状態であることは前提としてお考えおきを願います。したがって、まわりには何か学生隊もおったようでありますから、そういう混乱した状態といいますか、特に興奮した状態でありますので、その間における措置にあるいは行き過ぎな点がないとは私も言えないと思います。そういう状態のもとでありますから、お互いの安全といいましょうか、あるいは秩序等も考えてさようなことを申したのであろうと思いますが、まず前提として、平常の状態でないということをひとつ御理解を願いたいと思います。
  138. 井上普方

    井上分科員 しかし、平常の状態でないがゆえに、先ほど来私がお伺いしたように、平常な状態でないところを視察するのも国会議員としての一つ調査権の発動だと私は考えておる。これは大臣もうなずかれたからお認めになるのだろうと思う。ところが、そこへ行って、いざ公団の中へ入れてくれぬかと言ったところが、身分証明書がなくては入れない、事実こうなっているでしょう。御存じないのだったら——新聞記事をお読みになりましたか。お読みになっているだろうと思うから私は言うのです。このこと自体に対してあなたはどうお考えになるか、こう言うのです。混乱した状況は私らにもわかり切っております。混乱した状況であり、緊迫した状況であるがゆえに国会議員として調査したいんだから、調査する必要があると認めて行った。ところが、ここへは身分証明書がなかったら立ち入り禁止ということです。あなたがこういうような立場に立ったらどうされます。
  139. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 混乱した状態を御認識願いましたが、その場合に、そのガードマン木原さんであることを知らなかった。口では自分は国会議員木原だということをおっしゃったと聞いておりますけれども、とにかくガードマンといいますか、警備員木原さんであることを知らなかったから、そこで何とも判明し得ないのでそういうような措置をとったのかもしれない、かように思いますが、もっと冷静な事態であればさようないざこざも起こらなかったのではないか、こう思います。
  140. 井上普方

    井上分科員 私が聞いておりますのは保安課長の言動なんです。ガードマン行動なんて聞いてやしません。保安課長事件が済んだあとでおっしゃっておることです。これについてあなたはどうお考えになるかということです。これは混乱の時期におっしゃっておるのじゃないのです。混乱が済んだあとにおっしゃっているわけです。
  141. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 起きたる事態混乱のときに起きた事件であります。そこでどう言ったか、私、直接聞いておりませんが、いまおっしゃるとおりであるといたしますれば、その場合に、その混乱した中であるからさような措置を事実的にとらざるを得なかった、こういうことであろうと思います。
  142. 井上普方

    井上分科員 そうすると、この混乱した時期においても、私らは身分証明書を持たぬのですが、どうすればいいのですか。
  143. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 そういう場合は、非常といいますか、変わった状態ですからして、お互いに気をつけなくちゃいけませんけれども、たとえば警察官などは当然身分証明書を持たなければならぬわけですね。これは警察権の執行というものがあるのですから当然でありますけれども、ああいう状態のときには、係員といいますか、その人が大事をとって、臨時措置としてかような措置をとったのではないかと思います。わかっておって、なおかつそういうような詭弁を弄したというようなことではないと思います。ただ、そういうときには、できればお互いに証明し得るようなものがあればなおいいのじゃないかと思いますけれども、ない場合もありましょう。そのときに冷静に事を処すればいいのでありますけれども、何せ緊迫しておりましたのでさような臨時措置をとったのじゃなかろうかと思います。
  144. 井上普方

    井上分科員 いや、私のお伺いしているのは、そういうときにあなたが行かれた場合、どうやって私は国会議員だということを証明するんですかということです。私は困ると思うんですね。バッジはつけているんです。見せているんです。たすきもかけているわけです。それでも公団職員には御信用になっていただけぬ。身分証明書を出せと言われたら、あなたならどうされますか。うしろを向いて逃げて帰ってくるのも一つの方法でしょう。しかし、子供が痛めつけられておるというようなこの状況を直ちにやめさすには、やはり公団首脳者と話し合わなければならないという判断を下して会いに行ったのです。会いに行ったところが、たすきも認めぬ、バッジも認めぬ、身分証明書を出せと言う。身分証明書もありはしない。大臣ならどうされますか。これはあなたは大先輩でございますから、そういうときに臨機応変の処置を私もこれからとらなければならぬのでひとつお伺いするのですが、どうされますか。
  145. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 まあ、何とかして自分自身が橋本登美三郎であることを証明しなくちゃなりませんね。そういうときには最大限の努力を払って証明する方法をとるほかありませんが、ただ問題は、やはりああいう緊迫した状態であるために、お互いにというか、こっちのほうの、公団側といいますか、そういう方面の神経もいら立っておりましょうから——そういうような措置をとったことを私は決してほめているわけではありませんが、そのときそうおっしゃったならば、できれば何とか冷静にこれを確かめる措置考えるべきであったろうと思います。たとえば、警備員が知らなかったら、あるいは公団職員の中に知っておる人もありましょうし、そういうような連絡をとることをやればいいのでありましょうが、何といっても寸秒を争うような、非常ベルが鳴るというような状態であったものですからそこまでの措置がとれなかった、こう私は考えます。
  146. 井上普方

    井上分科員 非常ベルは誤って押したということをあなたか局長かさっきおっしゃったのです。ところが、そういうような状況にしても、私らまだ政府役人に顔は知られていない。橋本さんであれば、官房長官あるいは運輸大臣として毎日毎日新聞に顔が出るから御存じになっておられると思うが、われわれ顔の知られていない者は一体どうすればいいのです。私らぺいぺいの代議士でも、少なくとも選挙区へ行きましたら、あるいは県に行って私は井上だと言いますと、ああそうでございますかで通りますよ。ところが、ここは千葉県ですね。木原君も千葉県なんだ。選挙区は違うにしても、木原君はしょっちゅう公団側との折衝に出ているのです。しかし、これも悪意をもって、そんな顔見たことないと言われればそれまでです。私らは、この事件は悪意と思わざるを得ないのです。しかも身分証明書を出せなんと言ったら、われわれは一体どうやってそういう緊迫した状況でこれを抗議しに行くか、あるいはこういうような不測の事態が起こっておるからこれをおやめなさいという忠告をしに行くか、そのときにわれわれは処置に迷いますよ。まことに困ったことです。大臣、この身分証明書を出せとかいうようなことは、まさにこれは詭弁ですよ。大臣はいまうなづいておられるからお認めになっておることだと思いますが、これは詭弁ですよ。しかし、この詭弁が堂々とまかりとおり、国会で論議せられ、また航空局長なりあなたがこれを弁護する態度、それについては私ははなはだ不愉快なものを感じます。しかしこういう公団のやり方に対しては、あなたは指示ということばが非常にお好きな橋本さんでございますので、あるいはこういう事態はますます起こるかもしれませんので、そのときに公団職員はどうあるべきかという御指示を何かここでなさる御意思はございますか、どうですか。
  147. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 井上さんのおっしゃることはなかなかむずかしい問題で、私が橋本登美三郎であるということを証明するのは、やかましく言われればめんどうなことになります。身分証明書がありましても、ちょっと借りてこられますからね。はたして橋本登美三郎であるかどうか——そっくりショーというテレビの番組がありますけれども、全く同じような顔が出てきてわれわれも判別に苦しむ場合もありますから。問題はやはりお互いの良識に待つ以外にはないのでありますけれども、もちろん、今回の事件にかんがみて、国会議員のいわゆる国政調査権というものはこれは尊重しなければなりません。したがいまして、国会議員がたとえ社会党であろうと自民党であろうと、それは問わないわけであります。国会議員に対する国政調査権については、これは尊重しなければならない。そういう場合に、それをいかにしてやらせるか、措置させるかは、これはもちろん重要な問題であると考えます。今後それらのことがないように十分に協議を進めて処理させたいと思いますが、ただ、きのうの場合におきましては、御承知のように非常な混乱した中でもあり、そうして緊迫した、お互いの感情が高ぶっておったときでもありましたので、そのようなことが行なわれたとすればまことに恐縮千万である、かようにおわびをしておるわけであります。
  148. 井上普方

    井上分科員 少なくとも、保安課長というような管理職にある連中には、国政調査権というものがどういうものであるか徹底させ、また国会議員であるということがわかる方法——これはもう顔より以外ないんだ。そっくりショーもそうですけれども、また、それくらいがわからなければ管理職にはさせられないでしょう。そういうようなところでへ理屈を言わずに、そういうときにはさっさと通らせるようにひとつ御努力を願いたいと思います。  そこで私は、時間が少なくなったのですが、自動車局長にお伺いしますが、タクシー免許を取り消す場合の条件というのはどういうのがあるのですか。
  149. 野村一彦

    ○野村政府委員 免許取り消しの条件でございますか。——タクシーの免許を取り消す場合は、そのタクシーの免許を受けた事業者が道路運送法に違反をして不正な営業をした場合でございまして、それにはいろいろのケースがございますが、一口に言いますと、免許業者としてふさわしからぬ非行があって、それがたとえば他の法例に違反をした場合、これが一番大きな問題でございます。そのほか非常に悪質な法律違反があった場合でございます。
  150. 井上普方

    井上分科員 こういう場合はどうでしょう。タクシーの運転手の水揚げの四分の一は会社が吸い上げる、そして残った四分の三の水揚げの中でガソリンあるいは修繕費等々を払わせる、そしてとうとうその自動車の寿命が来たと申しますか、新しく下取りをやらせる場合には、下取り価格はおまえにやろうというようなことをやることは、これは陸送法違反じゃございませんか。どうですか。
  151. 野村一彦

    ○野村政府委員 御質問の趣旨から判断いたしますと、ただいま先生の御質問は、免許を受けた事業者と運転をしている運転者との間においてただいま御指摘のような契約があるということで、そういう場合に免許を受けた事業者は違法にならないか、こういう御質問だと思います。  ただいまのお話だけでは私的確なことはわかりませんけれども、通常の場合ですと、運転者というものは、その免許事業者に雇用せられまして、それから給料をもらって生活をするというのが普通のたてまえでございます。したがいまして、いまのお説のような実態であれば、それは名義貸しとかあるいは管理の委託という、正規の手続によらない、事実上の管理の委託ということで、違法な行為であろうと思いますが、その違法な行為と申しますのは、免許を受けた人がそういうことをやってはならない行為でございます。しかし、それをやっておる相手方にも問題があるわけでございますが、ただいまの御設例だけの事実では、どの程度の違反になるのか直ちに私は断言できませんが、好ましいことではないということだけは申し上げられると思います。
  152. 井上普方

    井上分科員 好ましいことではないとおっしゃいますけれども、違法になりませんか。この水揚げの四分の一は会社が、事業主が取り上げる、そしてあと車の修繕費など、維持費は全部運転手に、その日その日の水揚げの四分の三の中から吐き出させる、あるいは一カ月の水揚げの中から吐き出させるということをやるのはどうでございますか。
  153. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま御設例のような件につきましては、私ども調査をいたしておりますが、各地によりまして少しずつニュアンスの相違がございまして、その中で、いわゆる労働契約によって雇用をしておるのだ、しかしそれは給与の一計算方法であって、この程度のこういう契約であれば違反ではないということを私ども労働当局に検討をお願いをして、そしてそれが認められたケースもありますし、それから、実態はそれと違いまして、何といいますか、全くの名義貸しであるというケースもありますので、ただいまの御設例だけで直ちに違法であるとはあるいは言えないかもわかりませんが、名義貸しであれば、これは私は問題があると思います。
  154. 井上普方

    井上分科員 それでは徳島県の場合どうでございますか。
  155. 野村一彦

    ○野村政府委員 徳島県と言われましても、それは多数の業者がおりまして、いろいろな例があると思いますので、私ちょっとそれだけではわかりかねます。
  156. 井上普方

    井上分科員 それでは徳島県の場合の——私は昨年ここで名前を出すのはやめましたが、これは一年たっているのですけれども、こういうやり方をやっておる業者があるぞ、この業者がそうじゃないかということを申したのですが、お調べになっていないのですね。そう解釈してよろしゅうございますね。  それからもう一つ、これは昨年もここではっきり私は申し上げたのだが、過去十年の間に二回免許を受けた。第一回目はタクシーの免許を受けて、約一年後にそれを他に譲渡しておる。そしてまたその後四年で新しい会社を設立して免許を受けて、これまた二年後に売り払っておる。ところが、また第三回目に新しい会社をつくって、そして免許を取得しておる。こういう事実があります。そういう会社がある。これらに対する処置としては、あなたのほうは、この前はこれは三回目までは許しますという御答弁であった。ところが、その実在する免許を受けた人が現場にはいなくて、いつの間にか他府県に行っておる。こういう事例についてはあなたはどう考えられますか。これを処置する方法はございませんか。
  157. 野村一彦

    ○野村政府委員 他府県に行っておるというお話でございますが、こういうことでございましょうか。つまり免許を受けた人が、これは事業の譲渡という場合と、それから役員の変更によって、その免許事業の責任者がかわる場合がございます。したがいまして、その人がかってに、免許を受けたまま、自分が免許事業の責任者として業務をやらなければならないにもかかわらず、かってにどこかへ行って、そして正規の交代の手続等をやっていないということであればこれは問題でございますが、たとえばその会社の役員変更で、その人が役員をやめてだれか別の人が役員になって、そしてその人が事業をしているというケースであれば違いますので、もしそういう所要の手続を経ないでその人が事実上どこかへ姿を消して、いわばその責任者としての業務を放棄してしるということが事実ならば、それはその人がかわりの代理業者——代理人となるべき人がなっているかどうかという事実もありますが、お話の限りでは、相当問題として大きな問題だと思います。
  158. 大村襄治

    ○大村主査代理 井上君に申し上げます。持ち時間が参りましたので、結論をお願いします。
  159. 井上普方

    井上分科員 ともかくこういう事例が陸運行政には数々ある。この前も私は、二回免状を取り、それを売っ払って、ところが三回目にもこれは免状を出しておるじゃないか、不都合でないかという話をここでいたしたことがあります。ところが、三回目までは実は認めておるんだとあなたのほうで、昨年の議事録を見ていただけばいいんだが、おっしゃっている。そのこと自体が行政のあり方として非常におかしい。ここに陸運業者と運輸当局との密着があるのじゃないか。私はそのときも申し上げました。しかし、こういうような事例が非常に数多くある。私はそのときに陸運局長に、名前は申し上げなかったから、あとで私のところへ参られまして実は指摘申し上げた。ところが、そのときにも何ら処置されずに今日に至っておる。さきの例も同じです。これはもう陸運行政は、私のほうでは、大体四年に一ぺんか五年に一ぺん警察のお世話になっておるようです。こういうようなところに非常に不愉快な問題がある。一面において過疎地帯でスクールバスを走らせようとしますと、それは中学校の生徒にスクールバスを走らしたんだから、小学校の生徒は乗せちゃいかぬというようなことを平気で言うのです。こういうような行政に対して、まあ免許制度の——運輸省には千幾つあるとかいう話を承りましたから、いろいろ繁雑でございましょう。しかし、こういうような陸運当局というものは、とかく誘惑の多い職責でもあろうとこれは推察するのでございますが、なるがゆえになお一そう姿勢を正しくしなければならぬ、こう思うのです。  大臣、どうでございますか。もう私は時間がございませんのでこの程度におきますが、最後に大臣の明確なる御答弁を承りたいと思います。
  160. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま御指摘になったような事例については、直ちに十分なる調査を行ないまして、運輸行政で誤りのある措置は許されませんので、厳重に監督し、かつまた、今後それらのことのないように処置してまいりたいと思います。
  161. 井上普方

    井上分科員 終わります。
  162. 大村襄治

    ○大村主査代理 樋上新一君。
  163. 樋上新一

    樋上分科員 私は、京都の山陰線、京都−園部間の複線電化、特に京都駅から二条駅における複線高架化の問題で、大臣並びに国鉄総裁にお伺いいたしたいと思うのでございます。  すでにこの問題は、京都府市民二百四十万の二十年来の悲願であります。依然としてこの実現が今日まで延びてきております。この間この実現が可能にならなければならない、こう思うのでございまするが、いままでの経過について大臣はどうお考えになりますか、御意見をお伺いしたいと思います。大臣の前に国鉄総裁でもけっこうでございます。
  164. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いまの高架の問題並びに山陰線の複線化問題、いきさつが非常に複雑でございますので、担当の長浜理事から御説明いたします。
  165. 長浜正雄

    ○長浜説明員 山陰線の複線電化につきましては、先生非常によく御承知だと思うのでございますが、実は数年前にこの複線電化のお話が出ました。われわれとしてもその当時、これはけっこうなことだということで計画を進めておったのでございますが、その当時、現在の山陰線の場所ではなかなか、都市の中を通っておるから非常にじゃまだ、もっと西のほうを回したらどうだという御意見が出ました。それに要する経費その他を調べろという、こういうお話が地元から出まして、われわれのほうでも調べてみたわけでございますが、ばく大なる経費を要する、地元負担も相当な額になるということで、この案はだめにしようという地元のお話がございました。それでは、現在のルートでそのまま複線にしてほしいということで意見が一致したわけでございます。  その後、都市の過密化によりまして、これを高架にしてほしいというような話がまた新たに出て参りました。その高架の話が、京都から二条の間ということに限定されるまでには、相当地元とも御折衝したわけでございます。と申しますのは、地元の御意見では二条の駅も高架にしてほしい、こういうお話が出てまいりました。京都から嵯峨付近まで高架にして、全面立体交差にしてほしいというお話が出たわけでございます。われわれのほうでもそれを調査しましたけれども、相当な額の経費がかかります。そういうことで、地元と費用負担その他で御相談を申し上げておりましたところ、先生承知のように、四十四年に建設省、運輸省との両方で協定を締結していただきまして、都市計画事業としてこういう連続立体交差をやるというようなお話になりました。その線に沿って、それでは二条の駅を高架にするという話はとてもできないので、とりあえず京都−二条間を高架にしよう、こういうことで、一応地元との大まかな計画は意見の一致を見たわけでございます。  つきましては、それで京都−二条間を都市計画事業として高架にするということになりますと、都市計画決定をいたしましてそれで事業決定をしなければならぬわけでございます。その間に、それでは京都−二条間を複線高架でやるか単線高架でやるかというような問題に実はなりました。当初の計画では、京都から園部まで複線電化という計画をされておったわけでございますが、いまだに実現できないのはそういういきさつがございました。と同時に、最近の山陰線の輸送量といいますか、お客さんの数がだんだんと減ってまいりまして、数年前に予想しておりました、将来の伸びは相当ふえるであろう、こう予想しておったのでございますが、逆に減ってきておるような状況でございます。  そういう時点を踏まえまして、京都と二条の間を高架にするについてどういう方法でやろうかということで、とりあえずそれでは単線で高架にしよう、また実際物理的には、単線でとりあえず高架にしておきませんと、一ぺんに複線にするわけにはもちろん工事技術上できませんので、とりあえず単線で高架にして、将来必要なときに複線にしようということでお話し合いを進めておるわけでございます。  ただその間に、まだ建設省と京都府、これは特別市でございますからあるいは京都市になるかもしれませんが、都市計画事業の事業主体になるわけでございますが、そちらで計画決定をいたされるまでの相互の詰めがまだできていない、こういう状況でございます。
  166. 樋上新一

    樋上分科員 いまお話を承っておりましたら、二年前とちっとも進展していないようなお話でございます。二年前に私は分科会質問いたしまして、あなたがお答えになりました。また当時の大臣もそのことをよく御承知なんですが、いまだに単線、複線の問題で足踏み状態である。真剣に折衝されているならば——もっとも負担区分の問題で折衝が難航しているんだと思うのですよ。そうでしょう。けれども、いまあなたのお話しの中に、計画にちょっと変更があるようなところがあるんじゃなかろうかということは、乗客の伸びというようなことをおっしゃった。そうしますと、いま京都の大都市、そういうところで踏切があって、京都−二条間だけで踏切が七カ所あるんです。その中で、二カ所は法律的にやらねばならぬということになっておるのです。七条、五条。この七条の踏切といいますと、京都の中央卸売市場の真横にあるのです。大臣、場所を御存じかどうか存じませんが、一ぺん見てもらったらわかるのですよ。その中央市場の真横にあって、そこを遮断しますと、私が二年前に調査したときにおいては、二万三千台の東西の自動車が踏切のところでとまってしまうのです。ところが、いま調査しますと、五万数千台というように通行の自動車台数もふえました。そうしますと、遮断機がおりまして、ずらっと両側に自動車が並んでおりましたら、中央市場の混雑度はものすごい。まるで戦場のようなありさまなんです。そして事故が頻発しておる。こういうことがあっていいのかどうか。けさ新聞にも報じておりましたが、昨日も踏切で、岐阜県のところでダンプカーが突入して大きな事故が起きています。もしもああいうダンプカーが飛び込んできたならば、大きな被害がそこに出てくる。こういうことを考えますと、人命尊重という観点から、これは一日も捨ておける状態ではない。  また五条通り、四条通りにつきましても、七カ所の踏切がそのままいま都市の一番中心に厳然としてある。せめて京都から二条駅までの間高架にしてもらいたいというのは、京都府市民二百四十万が、最近ここ八カ年ほどは真剣にこれに取り組んできた。そして私が四十四年に質問をいたしましたときには、少なくとも四十五年度中に事業化し、四十六年度には着工できるように答弁の中を見ますと言っておるのであります。それがいま聞いておりますと、依然として一歩も進んでおらないというのは、やる気がないのか、それともそのネックはどこにあるのか。建設省と国鉄側との負担区分のところで行き当たって、単線、複線という問題が経費の問題において行き詰まっておるのではなかろうか。この点を私はお伺いしたいと思うのです。
  167. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま先生おっしゃいますように、五条の踏切、七条の踏切は非常に混雑しておりまして、国鉄としてもなるべく早くこれを高架化してほしいというふうに、いま考えておる次第であります。これにはやはり都市計画決定を必要といたしますので、都市計画決定をしていただく道路管理者といいますか、都市計画決定者が早くこれを決定していただきますように、われわれもお願いしておる次第でございます。ただ、それをいたします前のいろいろな調査にいままでひま取っておったような状況でございますので、早く都市計画決定がなされまして、この工事に着工することをわれわれは希望しておるわけでございます。確かに七条の踏切あるいは五条の踏切は非常に混雑しておりますので、それが早くできて着工ができれば非常に幸いである、こう考えておる次第であります。
  168. 樋上新一

    樋上分科員 単線高架ならやれる、複線高架ならやれないということはないのですか。その点はどうですか。
  169. 長浜正雄

    ○長浜説明員 これはさいぜんも御説明申し上げましたように、一ぺんに複線高架をやりますと、それに伴いまして用地買収が非常にふえてまいります。あの辺は人家の密集地帯でございますので、できるだけ用地を節約して高架化事業をやるべきであろうと考えますので、とりあえず単線で高架にして在来の線をそれに移しまして、複線にする時点で残りの線を高架にする、こういう工事の段取りになるわけであります。とりあえず単線高架でこれを高架にするというのが物理的の方法でございます。そういうように考えております。
  170. 樋上新一

    樋上分科員 複線高架の計画のもとに、技術的に一本上げて線増していくというように計画決定はなっておるのですか。それとも単線のもとに将来複線にしていくのか。そこのところが一番問題ですよ。一ぺんに京都−二条間を複線にすることができないことはわかります。ところが建設省としては、複線高架として、四十五年度の鉄道高架事業調査の十一カ所の中に京都を選んだでしょう。そして事業費をつけたでしょう。そこのところは国鉄はどうなんですか。
  171. 長浜正雄

    ○長浜説明員 まだ単線高架にするか複線高架にするかということでの計画決定ができておりませんので、どういう前提でなされるかということは、これから計画決定がなされる段階でございます。現時点では、まだ計画決定に至っておりません。
  172. 樋上新一

    樋上分科員 そのことばが何年続いているのですか。そんなことを言うていたら、いつまでたっても計画決定、計画決定で進まない。進まないのは国鉄側がその熱意がないからですよ。建設省としては、複線高架に事業決定してやっていくんだ。今日まで京都府、市会から何回か陳情に参って、第一議員会館において建設省の街路課長、国鉄側の建設局長、こういう者をまじえて何回もやっているのです。ところが、国鉄が財政難をたてにとって、がんとしてこれを了としない。何日も延ばしていこうとしている。また、単線ならば単線で負担区分がくるっと変わるじゃないですか。単線と複線の場合の負担区分が変わるから、国鉄側が渋って、まだ検討中、まだ検討中で、一方建設省のほうでははっきり事業費もつけて、複線高架のもとにやっている。ところが、おっしゃるように一ぺんにはやらぬ。これはこの前もおっしゃっている。それは確かにここに出ていますよ。あなたがおっしゃったところは二年前に言っているのです。また同じことを言っている。「鉄道自体の要求よりも都市計画的、都市改造的な意味を持つということで、いろいろ建設省と運輸省と御相談いたしまして、都市の高架化という問題の費用の分担につきまして、主として都市計画という立場から高架化をするという考え方に基づきまして、費用の分担方式も変えたわけでございます。近くこの協定がまとまることになっております。」と言っている。近く協定がまとまるようになってから二年間たって、また同じことです。私は、そういうことじゃないかと思って議事録を持ってきたのですよ。  そこで、いまあなたがおっしゃいましたことは、こうおっしゃっていますよ。「○長浜説明員 京都−二条のこの問題は単線高架というわけでございませんで、やはり国鉄といたしましては、京都から二条までならこれは複線にしても意味がないのでございます。京都からもっと奥の園部あたりまで複線にしよう、こういう計画でいま三次計画には組んでおるわけでございます。」こうあなたおっしゃったでしょう。いまもこれは変わらないと思うのですが、それから後の進展はどうなっているのか。私の聞きたいのは、そういうぐあいに検討中、話し合いがつかぬと言うけれども話し合いをしようとしても建設省と国鉄側とが対立しているのですよ。国鉄は、私はいつも聞くのですけれども、財政難。それはそうでしょう。財政的なことを考えるのは私もわかります。けれども、やらぬつもりでずんずんずんずん延ばしていって、だんだん交通最はふえていくわ、大きな惨事が起こるのに、まだ計画中、計画中ということは、これはどうかと思う。前のときでも、技術的な問題で一本から二本へ上げるんだ、こう言われた。そのとき原田国務大臣に、どうですか大臣と言ったら、「お話はいま詳細に聞かしていただきまして、あなたが最後に安心したとおっしゃっているように、工事の順序で、ひとつ単線をやっておいて、その次には複線もやらなければ意味がないんだということでございますから、この工事が終わりまして、線増について国鉄のほうから出てさましたら、私のほうでは協力するにやぶさかではございません。」と出ているのですよ。いま私が話しているのは二年前と同じ、長浜説明員と話している、それから一つも進展していない。こんなことでいいのか。説明されるといろいろなことがありますけれども、この点、どうでしょうか。
  173. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いまのお話の中で、計画決定は国鉄がするのでございませんで、御承知だと思いますけれども、府なり市なりが決定をして、それに国鉄も従う、こういうことになるわけでございます。  ただそこで、単線にするか複線にするかということにつきまして、先生いまお読みのように、京都−二条間だけ複線にしても意味ございませんので、またこれをやるとするならば、京都からもっと先まで全部複線にしないと効果を発揮しません。ところが、最近の輸送の伸びを見ておりますと、全然ふえておりませんよりも、逆に減っておるような状況でございます。複線にする必要性がいまのところ非常に低い、こういう状況にございます。一方、先生が御指摘のように、踏切道は非常な混雑でございます。これは何とか早く立体交差にしなければならない。これは私も大賛成でございます。そういうことで都市計画事業としては非常に急ぐ、ところが複線工事としては、急がぬわけではございませんけれども、ほかの個所の複線あるいはその他の工事のぐあい、あるいは国鉄の工事経費の予算のぐあいからいいますと、この地点は順位が下がってくるということになりますと、やはり先に単線で都市計画決定をしていただいて、あとに複線のときにやっていただくほうがやりやすいのじゃないかというお話は申し上げておるのでございますけれども、基本的には、都市計画決定を早くしていただいて、それに国鉄も従う、こういうふうに私たちは考えておる次第でございます。
  174. 樋上新一

    樋上分科員 そういうこと、同じことを繰り返している時間を持ちませんのはまことに残念でございますけれども、京都府、市会も何回となく複線高架という決定をして、そうして単線で上げていって、暫定的に京都−二条間をやってもらいたいということをいっているのです。もう長浜さんの説明ではなしに、これで質問終わりますけれども、国鉄総裁並びに運輸大臣の御所見を承りたい。
  175. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私もこの問題よく承知しておりますが、京都市がもう現在のところ単線でいいんだという都市計画決定をされれば、私は喜んで応じるわけです。ただ、建設省はいろいろな角度でもって、予算も私どもと違って潤沢でございますから、複線ということで事業費を出したのですが、とても私のほうは、山陰線の口を現時点で複線にしますというお約束はできないのです。ですから、単線のままそういう都市計画決定をされれば、私のほうでは喜んで応じますということをはっきり申し上げております。どうしても複線でなければいやだ、それをいまこの時点で言われれば、けさほどから各地の複線電化がたくさん出ておりますが、残念ながら輸送量から申しますと、いままでお話のあったところはずっと緊急性を要するのです。ですから、いまの時点でどうしても山陰線を複線にすることを前提にして高架にしろとおっしゃるならば、これはできない。だからいまの単線のまま高架にしておく、そうしてしばらく輸送状況を見るという、こそくな手段にきまっておりますけれども、私どもの財政状態からするならばそれ以外に方法がないということですから、この時点で京都府なり京都市がこのまま単線でいい、早く高架にしてくれ、そうして都市計画の決定をされれば、私のほうは喜んでいたします。
  176. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま国鉄総裁や長浜常務理事からお話がありましたが、どうですか、単線で早くやったらどうです。そんな二十年、三十年先しか複線にできないと言っているんですから、話になりませんね。国鉄としてはここ五年や十年の間は、輸送状況から見て複線にする計画はありません。単線といっても、いまの交通量を緩和するためには非常な効果があるんですから、将来その時期が来たらもちろん複線はやりますと言っているんです。どうか樋上さん、皆さんを説得して、単線で早くやりなさい。そうすると、四十六年度の予算の中でやるかどうかわかりませんけれども、あるいはその中でもやりくりして一部分できるだろうと思います。そうすると交通緩和ができるんですから。何か複線ということにとらわれないで、この際交通安全のためにも、それから自動車の流通をよくするためにも、単線で高架にするという方針でひとつ御協力をお願いいたします。
  177. 樋上新一

    樋上分科員 総裁並びに大臣のお話を承りまして、私も地元の市会議員また京都市の都市開発局の中に——単線にすれば、四十六年度予算つきますか。
  178. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄としましては、四十六年度に事業計画決定していただいて、やりくりして何とかおつけができると思います。
  179. 樋上新一

    樋上分科員 これはもう両方並行しておりますし、大臣も国鉄総裁も複線ならばいまのところだめだ、単線ならやるということなんですけれども、結局お金の問題もそこにあるんですよ、負担区分の問題で。そうでしょう。それは国鉄は単線にすれば費用がだいぶ浮きますよ。私、調べてみましたけれども、単線と複線と九億円の差がありますよ。そういう点も考えまして、いま地方財政の窮迫したときに、そんな京都市としては費用の分担が相当つくんだというところがわれわれの悩んでおるところなんですよ。だからいま言うように、複線高架という前提のもとに暫時単線にしていこうという、それさえきめてもらえばいいんです。それをきめぬと、建設省と国鉄側の折衝がうまくいっておらぬことになる。積極的に建設省と打ち合わせをして、また京都のほうも、そういう三者が合致するように、国鉄のほうから積極的に進めていただきたい。よろしゅうございましょうか。
  180. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 この問題は、御承知のように非常にいきさつがございまして、一時中断しましたのは、例の南方迂回とかいろいろなことが京都市から出てくるのです。そのつど、私も応対に困ったほどいろいろ意見が変わってまいりました。やっとこのごろ、現在線のままでけっこうということに落ちついたのでございます。私ども、単線高架ならば現時点で何とか、四十六年度建設費用もつけておりますから、着工するようにいたしたいと思いますが、肝心の京都市の御意見がきまらないものですから、いま現時点で複線でやらなければいやだとおっしゃっても、これはちょっと応じかねますので、どうかひとつ単線のままで御決定いただきたいと思います。
  181. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御協力をお願いします。
  182. 大村襄治

    ○大村主査代理 内海清君。
  183. 内海清

    内海(清)分科員 若干、主として修繕船台で質問いたしたいと思いますが、初めに、私のこの時間での質問に対しまして、主査をはじめ運輸当局にもいろいろ御迷惑をかけまして、感謝申し上げておきます。  大臣お忙しいようでございますから、できるだけ最初大臣お尋ねしたいことを申し上げたいと思います。  最近、わが国の海運界はもちろんでありますけれども、造船界におきましても、修繕船台の問題がかなりやかましくなっておる。いわば船がどんどん建造されて船腹はふえていくけれども、その修繕ドックが足らない。ことに、今後一そう計画造船その他でもふえてまいりますから、昭和五十年程度になるとこれはたいへんなことになるというふうに私は考えております。したがって、この問題は今日直ちに着手して、これの対策を講じなければ、一日おくれればおくれるほど問題が大きくなってくる。  御承知のように、法規によって定検があり中検がある。そういう検査を受けなければならぬ。ところが、受けようにもドックがなければできないという状況でございます。そういう点について、現在運輸当局はどういうふうにこれを早く把握して、どういうふうに処置しようと考えておられるか、その点について、まず大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  184. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは内海さんのおっしゃるとおりに、特に大型船の修繕用のドックが非常に不足しております。新造船が中心になってまだ需要も多いわけでありますから、したがって、造船業者としてはいわゆる新造船の造船に力が入っておる。こういうために、修繕のほうについては十分なるアフターサービスができない状態であるように感じます。これは航海の安全の上から見ても、それからまた、近時御承知のように海洋汚染防止法等ができましたので、いろいろの面から、交通安全の面からも当然ですが、どうしても修繕ドックは緊急に必要な状態にあると思います。これは船舶局におきましても、業者等にいろいろ働きかけておるわけでありますが、大体この商売はあまりもうからない商売らしいですね。そういうことからして、まあまあとはいいながら、だんだんおくれておるのが実情でございます。  ただ、六月末に、御承知のように横須賀のアメリカ軍が使っておりまするドックが返還されることになる模様であります。その場合に大型ドックは、いま直ちに海上自衛隊の船をどうのこうのという問題はないようでありますので、もし使えるならば、大型のいわゆるドックが返還された場合に、それが国営の立場になりますかどうなりますかまだわかりませんが、やはりこれも一つの方法ではなかろうか。ただ、この場合においても、仄聞するところによれば、アメリカにおいてもときおりは使いたいという希望があるようですが、それは別といたしまして、返還されますればこちらに使用権があるわけでございますから、こういう点につきましても、これからもちろん考えていきたいし、それからなお修繕の需要が多いのでありますから、これは造船会社もあるいは船会社も入りまして、そうして共同でやはりそういうものを措置することも考えなければいけないのではないか。  具体的なこまかい問題は、私では答弁ができませんので、船舶局長なり関係者から答弁させたいと思いますが、おっしゃるようにいわゆる大幅に整備していかなければならぬことはごもっともでありまして、その線に沿って政府としても特段の配慮をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  185. 内海清

    内海(清)分科員 いま大臣も、この問題は早く手をつけなければ、特に大型船の海難問題などがやかましく言われておるときなので、緊急な問題であるという御認識のようでございまして、全くそのとおりだと思います。いまわが国の修繕業界の様子を見てみますと、修繕工事対象船というものがだんだんふえていっておる。これはさっきも申し上げましたように、だんだん船腹は増強されておるわけであります。しかも、その対象船がだんだんと大型になっておるというふうな状況がございます。これは外的な変化であります。そういう変化がある上に、さっき大臣も言われましたが、これは造船業者から言わせれば、修繕は、いままではどちらかというとサービス的な業務である、こういうふうなこともあるのでありますが、造船所側から申しますと、御承知のように労働力がだんだん不足してきておる。これに伴いまして、労務費が上がっておることは当然であります。そういう内的な状況の変化もある。この内外を通じての状況の変化というものが、環境の変化というものがいま非常な問題になりまして、したがって非常な変革期に来ておるのであろうと思うのであります。でありまするから、運輸省としては今日まで船腹増強ということに非常に力が入ったと思いますけれども、それのみでは海運業というものは成り立たぬわけであります。こういう点について、はっきりした認識を持っていただかなければならぬと思うのであります。  なお、大臣はいま、大型の修繕ドックが非常に足らぬということでありますけれども、これは内航船その他近海船等、こういう船もどんどんふえていっておるわけでありますから、現状においてはむしろ私は、大型船ドックも足りませんけれども、小型の一万トン程度までのドックも非常に不足しておるのではないか、こう思いますが、その点いかがでございますか。
  186. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 先生のお説のとおりでございまして、私どもとしては、大臣の諮問機関でございます海運造船合理化審議会から昨年三月に修繕設備につきましても御答申をいただいておりますが、その御答申におきましても、五百トンから六千トンまでの修繕ドックと、それから先ほど大臣から御説明のありました大型の三万トンから十万トンまでの修繕ドック、これらが非常に不足しておる。それからその間に入ります部分におきましても、現在のままでは将来不足である、こういうふうな御試算に基づいた御答申をいただいております。これは数字におきまして経済成長率八・五%のときの御試算でございますので、現在になりますと、さらにその速度は増加してくることであろうと思います。私どもは、現在船舶局の中の職員によりまして修繕体制研究会をつくりまして、諸般の問題点を解明し、また、先ほど先生からもお話がございました経営的な不利益性、そういうものに関する政府の助成策はいかにあるべきかというようなこともあわせ考えながら検討を進めておる次第であります。
  187. 内海清

    内海(清)分科員 いま検討の段階にあるようでありますが、ここで一つお伺いしておきたいと思いますのは、このドック料は最近改定になりましたか。
  188. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 最近、船主とそれから造船所と協議をいたしておる段階でございまして、最近におきまして特段の改定はございません。
  189. 内海清

    内海(清)分科員 こういう内外の修繕船の問題、外的な問題、内的な問題、こういうことをお考えになれば、運輸省行政指導におきまして、やはりドック料なども考えなければ、いま各造船所というものはさっき申しましたような、いわばサービス的な性格を持っておる。新造が非常に工事量が多くて多忙なときでございます。したがって強い行政指導がなければ、なかなか修繕の面に意が用いられぬことは当然だと思うのであります。ところが、ドックをつくるにつきましても、今日では相当の工事費がかかるということであります。でありますから、もし従来のような形で修繕ドックをつくれということは、これはいかに行政指導されても、業者のほうが積極的にならぬということは当然である。だから、国としてどうしても修繕ドックが必要であるということに相なりますならば、国としてやはりその修繕ドックを業者がつくり得るような、そういう助成なり指導なり、こういうものが生まれなければならないと思うのであります。その点につきましては、大臣どうお考えですか。
  190. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるように、業者から見れば、まあまあ企業として成り立つ範囲でないと、これはなかなかやりにくいわけであります。したがって、修繕用専門ドックをつくる場合に、開銀融資等のことも考えなければならないと思います。ただ、従来の新造船のドックをつくる場合の開銀融資より、修繕用の場合のようにサービス機関として、企業としてあまりおもしろみのないものに対しては、やはりよりよき好条件を与えてやらないとむずかしいでしょう。その他、先ほど言った修繕工の養成等があります。内海さんはその方面の専門家ですから、どうかひとつ忌憚なき意見を局長なり何かにお示し願って、これは政府はもちろん積極的にやらなければなりませんけれども、皆さんのお力をかりて、そうして需要の要求に対してこれを満たすような措置をとってまいりたい、かように考えております。
  191. 内海清

    内海(清)分科員 大臣もそのことについては、ひとつ今後特別に意を用いてこれの対策を講じていただかなければ、これはたいへんなことになるだろう。昭和五十年度になりますと、相当船腹量がふえてくるわけであります。ことに日本の貿易などから考えると、わが国に入港する船腹量、これは国内船とそれから外国船とあるわけです。これらのいままでの修繕の実績を見ますと、非常な数になる。しかもそのほかに内航船があり、あるいは漁船があり、あるいは官庁船があり、それへもっていって、いまの新造のファイナルドックにも使う。こういうものを換算していきますと、これはいろいろなところで試算されております。造船工業会、船主協会なりあるいは海造審等で試算されておりまするが、その造船工業会の資料を見ましても、さらに二十八次までを入れてくる五十年、こうしますと、実に修繕の入渠船需要というものは六千七百四十一隻というものが出てくる。     〔大村主査代理退席、主査着席〕 そうして、ドックの不足というものは実に大きなことになっておるのであります。この数字が正しいものかどうかということは、もちろん運輸省で十分検討されなければならないと思います。  試みに申してみますと、小型船、つまり二千トン未満あるいは二千トン以上一万トンまで分けておりますが、そういうふうないわゆる小型船というもので必要ドックは三百三、五十年度において。現有が百二十二基、こういうことであります。そうすると、不足のドックが百八十一基、そうして入渠不能の船舶が一万一千八百七十四隻。それから中型船というのは、大体一万トン以上五万トンくらいまでをいっておりますが、これが必要ドックは六十七基、現有が三十五基、したがって不足が三十二基、入渠不能の船が二千百十九隻ということ。それから大型になりますと、五万トン以上、これはずっと上まででありますけれども、これは五万トンから八万トン、八万トンから十万トン、十万トン以上と分けておりますが、これを一括して申しますと、必要ドックが三十三基、現有が十七基、不足が十六基、入渠不能が八百一隻というふうなことになっている。これを合計してみますと、必要ドックが小中大を含めまして四百三基であって、現有が百七十四基、したがって不足が二百二十九基、入渠不能船が一万四千七百九十四隻という数字が出ておる。これをお考えになれば、今後それでは定検なり、中検なりその他臨検等もありますけれども、こういうふうなものをどう処置されていくのか。現状におきましても、おそらく船主はドック不足のために非常は不便を感じておる。全国のドックをさがし歩かなければならぬ。  御承知のように船の滞船、これは一日たいへんなものでございます。こういうものがどんどん出てくることは、日本の経済から見ましても非常なマイナスであります。したがって、船腹を増強すればするほど、修繕ドックというものを並行的に考えていかなければならぬのが当然だと思う。ところが、いままではこのほうにあまり目が向かなかったということが今日の事態を引き起こした。ドックというものは、早急にやるといってもそう簡単にできるものではありません。しかも、これの建造資金というものも、運輸省関係で昨日もちょっと電話でお聞きしましたけれども、少なくともいまトン当たり、これは個々につきましては、地盤の関係その他で非常に違うてまいりますけれども、平均的にトン当たり一万五千円はかかるだろう。これをざっと計算してみましても、五、六百億かかるわけであります。それだけのものを五十年度までにつくらなければならない。  修繕船につきましては、ドック日数とかあるいはドックの稼働のあれとかいろいろなめんどうな計算があって、これをやらなければ出ませんけれども、いずれにしてもそういう数字になっている。確かにこういう事態になることにつきましては、いままで運輸省方針が確立していなかったということをいわれても、私はしようがないと思う。今後この修繕ドックについて、大臣はどういうふうなお考えでこれを強力に進めていこうとお考えになっておるのか、その点をまずお伺いしておきたい。
  192. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話の点、ごもっともであると存じます。  そこで私、しろうとでありますから、具体的な解決策というものをここで明確にはできませんが、結局、造船所の問題だけではなく船会社の問題である。もし一週間であがるべきものが二週間も三週間も滞船すれば、船主自身が非常に損益になる。そういうことも船会社自身も考えなければならぬことだと思います。技術的には造船所がやるべきものでしょうけれども、そこで企業体としては、従来の造船所だけが船をつくってもうけるということで、一方ではあまりもうからぬ商売だ。しかし、船主のほうはたいへんなんです。今後、滞船時間が延びれば延びるほど損害が大きいのですから。そういう意味において、両者ともお互いに話し合った上で、積極的にこれを進めていかなければならぬと思います。  それには、何といっても運輸省なりなんなりが中に入って積極的に進めなくちゃなりませんが、問題は、そういうものに対してどういう割合で開銀融資をつけてやるかということが大きな問題になろうと思います。補助政策までとれるかどうかの問題は別としまして、少なくともかなり大幅に開銀融資をつけてやるようなことを考えていく。かつまた企業体もそのようなぐあいに、造船所が修繕場を直ちに持つということも必要ですけれども、同時にまた、新しい企業体があってもいいのじゃないか、私の個人的な見解ですけれども。いま言ったように船会社自身も損するのですから、そういう意味においては、総合的な政策として至急にこれは処理しなくちゃならぬ。本年度の予算においても、もちろんこの方面のドックに関する予算は不十分であります。これは積極的に船舶局長、海運局長等を督励しまして、御指摘の点については、なるべく早い機会に結論を得て実行に移すように処置したいと考えております。
  193. 内海清

    内海(清)分科員 大臣のいまの御答弁で一応了承したいと思いますけれども、御承知のように、いま全国的に見まして修繕船工事によります水揚げ額は約一千億程度、しかもさっき申されましたようなサービス的な性格を持っておる。だから、大きな資金を投入いたしましても、その回収率というものはきわめて低いというところに問題がある。だから、これは造船所も自分のところでつくった船でありますから、船主に対する一つのサービスとしても考えなければならぬ問題でありますけれども、少なくともある程度の採算に乗らなければならぬ。今後こういうふうなものを大量にやるとするならば、いま大臣もちょっとお話しになりましたけれども、どうしてもコマーシャルベースの資金だけでは困るのです。長期、低利の資金が融通されなければならぬ。この点はどうしても運輸省ではっきりしてもらわなければならぬ。その点いかがでございますか。その点をお伺いして大臣への質問を終わります。
  194. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御意見もっともでありますから、その方針で船舶局長あるいは海軍局長等に指示しまして、積極的に長期安定の資金をどう入れるかということを進めてまいりたいと思います。
  195. 内海清

    内海(清)分科員 いまの大臣の御答弁のようなことでございますので、この問題につきましては四十六年度ある程度考えておられますか、どうですか。
  196. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 四十六年度におきまして、これから大蔵当局並びに開銀と十分に詰めて、この施策が行なえるようにいたしたいと考えておりますが、昨年来から開銀とはお話し合いを進めておる次第でございます。
  197. 内海清

    内海(清)分科員 四十六年度もいまこれからの話し合い——従来もやっておられるのでしょうが、少なくとも四十七年度からは計画的に、どういう型のドックをどういうふうにつくっていくというふうに、ドックの建造も計画的にやっていただきたい。しかも、それに対する予算の裏づけが当然なければいかぬ、こういうことでございます。こまかい数字もありますけれども、これは時間がありませんから省略いたしますが、その点を強く要望いたします。  次に、ちょっとお伺いしたいと思いますのは、昨年の十二月の第六十四国会で下請中小企業振興法が成立いたしまして、造船の下請業が業種指定を受けることに相なっておるというふうに聞いておるのでありますが、これが現在どういうふうに動いておるか、ひとつその点をお伺いいたしたいと思います。
  198. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 造船におきます下請企業は非常な重要性を持っておりますので、私ども非常に関心を持っておる次第でございますが、造船下請企業が今後企業の合理化並びに技術の向上という点につきまして、連合会等もつくりまして合理化の体制を進めていきたいという御意向を持っておりますので、そういう方面につきまして、特に私どもも力をかしたいというふうに考えてやっております。
  199. 内海清

    内海(清)分科員 これは具体的に各地区におきまして、下請がこの法律によって振興事業をやっていくわけだが、それは現実にはいつごろから動いていくようになりますか。
  200. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 大手造船所を中心にいたしまして、その下請企業がおおむね今年四月からその事業に着手されると思います。
  201. 内海清

    内海(清)分科員 振興事業が大体四月ごろから動くということでございますね。さように理解いたしたいと思いますが、そのための行政指導は、これもやはり各地区に関係が出てくると思いますけれども、これは通産省が大体この法の主管省だと思いますが、地方におきましてはどの役所がこれを扱うか、こういうことを伺います。
  202. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 造船業につきましては私ども仕事でございますので、各地方の海運局が担当することになります。
  203. 内海清

    内海(清)分科員 そうすると、造船業におきましては海運局、その他については通産局と、こういうように分かれるわけですか。——わかりました。  では、時間がございませんけれどもいま一つ。いまわが国の円高であります関係上、造船業において為替差損が出ておることはすでに御承知のとおりであります。そこで円建ての契約なりあるいはキャッシュ船というようなものを各造船所が必死になってやっておることは御承知のとおりであります。ところが、現在これに対して運輸省はどういうふうに見ておられるか、現実をどういうふうに把握しておられるかということであります。また実際にいま受注船の何%程度あるか、その点をお伺いいたします。
  204. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 最近の新造受注につきまして、おおむね七〇%程度のものが円建てになっております。なおまた、先生のおっしゃいましたキャッシュ船も最近非常にふえてまいりまして、最近の受注は四十八年度以降のものがおもでございますが、四十八年度におきまして約八十万総トン以上のキャッシュ船が見込まれております。
  205. 内海清

    内海(清)分科員 この為替差損の問題は、造船所関係では例年予算期においていろいろ運輸省に陳情もいたしておるわけであります。こういうものにつきましては、ひとつ運輸省としても造船所が心配しておりますようなことが発生せぬように、十分なる行政指導をお願いしたい。  質問が中途でございますので、いずれまた機会を得ていろいろお尋ねいたしたいと思います。本日はこれで終わります。
  206. 大野市郎

    大野主査 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五十八分休憩      ————◇—————     午後四時二十三分開議
  207. 大野市郎

    大野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について、質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。
  208. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 国鉄の問題について最初にお尋ねいたしますが、最近三K赤字という中で国鉄の問題が議論されているのですが、大臣、国鉄の財政というものは過去何回も再建の計画がつくられてきて、そして今日になったわけでありますけれども、再建計画のできたときには、この計画を実施をすれば国鉄の財政が再建される、こう言われてきたわけでありまして、しかし何回もやってきたけれども、何ともならない。一体その一番の根本の原因はどこにあるのかという点の把握が、実は運輸省でなされていないのではないだろうか。また、国鉄のほうも、実際には把握していながら、なかなか舌足らずに不十分なまま、しかたがないというような形で再建というのが行なわれてきた、こう思えるのでありますけれども、一体国鉄の財政というものが今日の事態を招いた原因というものはどこにあるのかということと、これからの対策はどう考えておるのか、この二つについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  209. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 国鉄再建計画ができまして、四十四年からその実施に移ったわけでありますが、御指摘のとおりに、なかなか再建そのものが順調に達成できません。それにはたくさんな理由があります。  一つには、当時国鉄当局が考えました赤字線を整理をしたい、こう言いましても、これはなかなかむずかしい問題であって、なかなか考えているようには整理ができないことが一つ。それから増収対策といいましても、これも競争相手があるものでありますから、所期の目的を達し得なかった。第三には、御承知のように、国鉄が当時再建計画として考えましたいわゆる人件費の増というものが、相当に上回った。それも大きな理由の一つであります。あるいはその他近代化、合理化という点におきましても、なかなか机上の考え方のとおりには実際上はそれを運ぶことができない。そういうことからして、いわゆる基本計画はできましたが、抽象的にはなお国の財政的措置も書かれておりますけれども、その財政的措置ももちろん十分ではなかった。幾多の理由があります。  そういうことからして、昨年からもう一度これは考え直す必要がある、基本計画の精神にのっとって、内容的にはなお検討する必要があろうということで、基本的な練り直しをやってまいったのでありますが、最終的な結論に至らないうちに、予算編成に入ってしまった。しかし、その中で緊急にやれるものとしては、一つは国の助成策を強化していこうということ。また一方においては、できるだけ地域住民の皆さんの了解を得て、無人化に努力していこう、こういう点程度で今日では四十六年度の予算を組まざるを得なかった。実は昨年度におきましても、地方公共団体に負担してもらいたいということもやったのですが、いろいろな事情がありましてこれが実現しなかった。こういうことで、御指摘のとおりに、四十六年度の予算は一種の暫定的な形に終わらざるを得ない。しかし、このままじんぜんとしていけば、ますます国鉄は赤字が増大して破産状態になるのでありますから、幸いといいましょうか、いわゆる新税等も考えられておるのでありますから、それらの力をもある程度かりまして、いわゆる国の財政的措置を四十七年度以降増大していくということと同時に、新しいこれからの建設に対して国の一般会計からの財政投資というものを大幅に考えてもらいたい。こういうことを中心にして、もう一つは総合体系といいますか、国鉄の総合体系の中にある国鉄のあり方というものも十分に考え、そしてやはり国鉄が成り立つようなものに限定していく必要があろう。しかしそういいましても、国家的使命で地方開発線におきましてもやらなければならぬものもありますし、あるいは新幹線のように、将来を見通せば、現在苦しくてもどうしてもやらねばならぬ、こういう問題もありますので、それらを含めてことしの秋までには総合体系をひとつつくり上げていきたい、かように考えておるわけであります。
  210. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 いまの大臣のお話を聞いておりますと、国鉄の現状について、過去の経過について、なかなかよく承知をされているようであります。  私は、その中でもう一つだけ大臣にお知りを願いたいことは、実は私も国鉄の出身ですからよくわかるわけです。それは、これまでの国鉄というものは、あまりにも使命感を持ち過ぎていたのではないか。赤字でも何でも自分でやらなければならない、それが国鉄人の使命だ、こういうふうに考え過ぎていたのではないだろうか。だから、公共性というものをあまりにも振りかざし過ぎた。しかし、現実的には、公共性を振りかざすわりあいには、実は公共性についての財政的な国の援助というものは何もなかった。そしていまになって、いま大臣も言われましたように、競争相手があるのだというように交通体系が変わってきた。赤字路線でも、それはやはり一人一人の政治家にとってみれば、赤字線を廃止するなんということは、なかなかできない。政治的な抵抗もある。こういうことから、やはり赤字でも何でもやれ、やらなければならない、こういう国鉄の持っておる使命感というものは、今日の時代では合わない。むしろ積極的に経済的な立場で独立採算という立場というものをもっと強めて、そうして区分けをしていく。いま大臣言われました新幹線のようなものはやらなければならないわけですから、やる場合には、やるなりに財政的なものをきっちりつけて、国鉄の負担にならないように、国鉄が能率をあげたら、あげた分だけやはり国鉄の成績をよくしていく、こういうことを、ぜひお考えを願いたいと思うわけでありまして、その点について、大臣は、私より以上に国鉄の現況、これからやろうとする交通総合問題について御検討されているようでありますから、この問題はこれ以上申し上げませんので、ひとつぜひ私は、いま大臣の在任の間にやはりめどをきっちりつけられるように要望いたしておきます。  それから次に、最近起きている問題ですけれども、石油のパイプラインの問題について、これは運輸省のほうからまずお聞かせ願いたいのですが、運輸省では、石油類輸送近代化促進法案という構想を持たれているようでありますが、この法案の考え方と、それからこれがこの国会にいつ出されるのかという点について、簡単でけっこうですから、御説明願いたいと思います。
  211. 見坊力男

    ○見坊政府委員 お答えいたします。  運輸省におきまして現在検討いたしております石油類輸送近代化促進法案、これは仮称でございますが、これは石油類の安全、低廉かつ合理的な輸送を達成するため必要な措置をきめるということでございますが、その際に、パイプラインの整備促進とその適切な運営を確保するということがその重要な一環になるわけでありますが、そのためには、在来の輸送機関でありますタンカーあるいは鉄道、タンクローリー車などと合わせまして、それらの各交通機関の特性を生かしまして、一体として合理的な石油類のシステム輸送を実現することが強く要請されているわけでございます。したがいまして、運輸省といたしましては、関係省とも十分協議いたしまして、パイプライン等の輸送施設の整備促進をはかってまいりたい。現在、法案については事務的に検討中でございます。いずれ政府全体として案がまとまりますれば、できるだけ早く国会に御提案申し上げたいというふうに考えておるわけであります。
  212. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 通産省にお尋ねいたしたいのですが、通産省でも石油パイプライン等に関する法案というものの構想を持たれて、これもこの国会に出す、こういう御計画があるようでありますが、その構成と、いつ出てくるかという問題についてお伺いいたします。
  213. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  石油の輸送についてパイプラインが必要だという点は、前々から先生の御指摘のとおりでございまして、これをやるにつきまして、民間の石油業界が自主的な運営でやりたいという考え方がございまして、現在その点調整中でございますが、この点とからみまして、民間考えておる石油パイプライン事業というものを進めるということになりますと、この安全性あるいはその事業の規制が必要になると思いますし、また土地収用法の適用等も必要になるということが考えられるわけでございまして、それらの点を内容といたしまして石油パイプライン事業についての規制の法案を準備いたしておるわけでございますが、これも運輸省のほうからお答えがございましたように、関係省としての調整をした上で、できるだけ早い機会に提出いたしたいというふうに考えております。
  214. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 いま運輸省、それから通産省から御説明がありましたけれども、実はこの二つの法案というのは、私が国会の中で議院運営委員会のほうで官房長官を通じて今国会提出法案についての説明を受けているわけでありますが、この二つの法案については、実は何も説明を受けていないわけであります。運輸省や通産省は出したい、出したいといっているようでありますけれども国会全体の流れから見ていると、この二つの法案はたぶん出ないだろう、私はこう思うのです。それは出るかもしれませんけれども、私は出ないだろうと思う。しかし、出ないけれども、問題は、昨年からですか、国鉄がパイプラインをやろう、こういう計画を持っているようでありますが、この国鉄のパイプラインというものは、この二つの法案が出ない場合にはできないのですか。それは国鉄はやれるのですか。その点はどういうふうになっているのかという点について、ひとつ鉄監局、御説明願います。
  215. 山口真弘

    山口(真)政府委員 パイプライン事業につきまして国鉄が現在計画をいたしております八王子方面のパイプラインルートでございますが、これにつきましては、ただいま運輸省で計画をいたしております法律案が出ない場合、では現行法でできるかどうかということが、まず問題になろうかと思います。これにつきまして、日本国有鉄道法その他の関係省令というようなものによってパイプライン事業は国鉄がなし得るということを、政府の法制的な見解といたしまして、法制局とも相談の上、一致いたしております。なお、現実にやる場合につきましては、さらに安全面の規制その他もやらなければならぬわけでございますが、こういった面も関係省令でできるわけでございまして、法律的にはパイプラインを行なうことについての支障はない、現行の法律でできるというふうに考えております。  なお、パイプラインの現実の建設ができるかどうかについては、国鉄総裁からお答え申し上げます。
  216. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 実はパイプラインの問題は、私どもからいたしますと、何もここ半年、一年の間に起こった問題ではなくて、実は昭和三十六年ごろから石油のパイプライン輸送、それから石炭のスラリー輸送という二つの命題を掲げまして、非常に研究してまいったわけであります。いわゆる流動体については、車で輸送するよりも流して輸送するほうがコストが安い、こういう原理に立ちまして、三十六年ごろから研究に着手いたしました。その後いろいろ報告も出ておりますが、それを本格的に取り上げようと私ども考えましたのは、昭和四十二年の夏に新宿の駅でタンク車を一両焼きまして大きな騒ぎになり、非常に都民にも御迷惑をかけましたこと、またそれとほぼ時を同じくいたしまして、御承知のとおり、阪神国道でタンクローリーが柱にぶつかりまして、これもやはり大きな火事になりました、そういうようなことで、陸上交通、路面交通で油を送るということはもう時代おくれだ、何とかここでもって転換しなければいけないということで、その後ヨーロッパ並びにアメリカに地質学者その他、私どもの持っておりますあらゆる系統の学者を中心として調査団を派遣いたしまして、膨大な調査報告も出ております。これらを基礎にいたしまして、実は一昨年の秋ごろから通産省の事務当局と事務的にいろいろな御折衝を始め、いろいろお知恵を拝借しております。その会合だけでも十数回にわたっております。その後、昨年のちょうどいまごろから直接業界と、すなわち業界と私どものほうは荷主と輸送業者でございますので、直接にお話をいたしまして、ほぼ了解点に達しましたのが、たしか昨年の六月の末だったと思います。最後の会議のときに、私自身出席いたしまして、業界の最高首脳部といろいろ話をいたしました。ほぼ話がまとまって、いよいよこれから実施方について具体的な施策に乗り出そうとしたときに、こつ然として、どういう理由かわかりませんが、ぷつっとひもが切れてしまいました。その後業界と私どものほうとは直接のつながりが全く断たれてしまいまして、現時点におきましてなぜそうなったのか、よほど私のほうが何か悪いことでもしたのか何かわかりませんが、どうしても業界と直接話をする糸が切れてしまいまして今日に至っているわけでございまて、私どもは、そういういままでの過去のいきさつ、並びに私どものパイプラインに対する、流動体の輸送に対する研究の実績に徴しまして、私は三つの点からぜひ——何も私のほうだけで全国を独占するとかいう意味ではございません。後ほど申しますような理由でもって、ある個所につきましては具体的に早く進めていきたいと思っております。  その第一の理由は、安全の問題でございます。これはいま申しましたとおり、油類を路面で送るというのはもう時代おくれでございまして、ことに過密化のはなはだしい大都市におきまして、大型のタンクローリーあるいは私どものタンク車が町を横行するというのは、非常に大きな危険性をはらんでいるというふうに私は思います。もちろん安全対策をいろいろ講じておりますが、やはりないにこしたことはない。安全輸送ができればそちらに移すべきだという意味で、まず安全の角度からパイプライン輸送に早く転換いたしたいというのが、第一のねらいでございます。  それから第二は、私のほうの輸送力の逼迫の問題でございます。東京付近の輸送力は、御案内のとおり非常に逼迫しておりまして、ことに最近は、東京付近の発着貨物だけでなしに、東北から関西、あるいは関西から北海道へという貨物の通過地点として非常に大きなネックになっております。たぶんこれから油類の消費量はどんどんふえてまいると思いますが、いま以上石油類の消費が、ことに民需向けの消費量がふえた場合に、私どもといたしましては、もういま以上の輸送力を油にさくことはできない。そうするならば、ほかの物資を押えるとか、あるいは旅、客輸送、ことに通勤輸送等に影響させない限り、これからふえるだろう石油類の輸送に対応できない。したがって、今後油がふえる場合には、何かほかの輸送手段をもってしなきゃいけないということが、当然考えられる時点でございます。その意味で、現在東京付近は、一日約三千両のタンク車が走っておりますが、その三千両を六千にするとか一万にするとかいうことは、これは不可能であります。ところが、三千両のタンク車で運んでいる油を、直径わずか四十センチのパイプライン一本でもって一日で運べるわけでございます。非常に安全に、しかもコストが安く運べるという意味で、国鉄の持っている輸送力逼迫の面からしましても、私はこれは焦眉の急であるというふうに考えます。もちろん道路輸送についていまより大きなタンクローリーをつくることも不可能でございましょうし、路面交通も込んでいるという意味で、私は、今後別な輸送手段として、国鉄のパイプラインをつくるのが当然だというふうに考えます。  それから第三は、私どもは実は輸送業者であると同時に、石油類の大きな消費者でございます。現在国鉄が使っております油は、ディーゼルカーの軽油がおもでございますが、年間百四、五十万キロリットル、価格にいたしまして約百三十億くらい使います。新聞でいろいろ聞き知っているだけでございますが、現在、石油については国際的ないろいろなむずかしい問題があるようでございます。それが消費者価格に影響のないことをいろいろ各方面で御心配になっておるようでありますが、私どもも消費者の一人として、石油類の値段が上がらないことを非常に強く希望しておる者の一人でございます。そういう角度からしてみましたときに、もしパイプラインで輸送すれば、実際の輸送費が現在の運賃よりも約二割前後上安くなる、これはもうはっきりしているわけでございまして、そういうあらゆる角度から、業界におかれてもまた政府におかれても、石油類の価格が上がらないようにされるのは当然だと思います。その一翼として、パイプラインによって流通経費を減らすということは、当然なさってしかるべきだというふうに考えます。  以上、三つの理由によりまして、私どもが現在計画いたしておりますパイプライン輸送、ことに関東内陸に対するパイプライン輸送につきましては、私はおそくとも来年の秋までには完成させたい。そういたしませんと、来年の秋以降になりますと、いろいろ輸送条件も変わってまいりまして、そのときになって、やれ国鉄は油が送れない、けしからぬというようなおしかりを受けても困るのです。われわれは輸送責任を負う以上、そのときに輸送ができるようにいまから準備をさせていただきたい。それには現在御審議中の予算に含まれております私どもの四十億の工事経費を——実はもう設計も何も全部できております。最終的に土木学会に委託いたしまして、最終的な安全性についてもう一ぺん学者の意見を聞いております。あらゆる角度から見て準備万端整った私のほうの輸送手段を、私は予算が成立し次第政府にお願いをして御認可をいただき、工事を始め、そうして来年の秋には実際に使ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  217. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣、この問題は去年決算委員会でも質問が続けられたようですし、いま自民党の中でも話し合いが進められているようであります。これはいま国鉄の総裁から聞いてみますと、相当以前から計画されているので、やはり総合交通体系からいって早急に手をつけなければならぬ問題である。ただ、やる以上はやはりできるだけ円満に話し合いがつくことが好ましいわけでありまして、そういう点から、これはやはり役人のベースでものをきめようといったって無理な段階になってきているのではないだろうか。ということになれば、やはり政治的判断を、あるいは通産大臣なりと御相談をして、決断をして方向をきめてやることのほうが、より問題を前進させるのだというように思うわけであります。私そういう時点にきておると思いますので、やはり早い機会に調整をして進行させるようにすべきだと思うわけでありますが、大臣のお考えをちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  218. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話のように、いわゆる関東内陸地帯のパイプラインについては、なるべく早い機会に通産大臣とも話し合って、円満に解決をしてやっていきたいと考えております。
  219. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 この問題はこれ以上質問いたしませんけれども、しかし実情としては、おくれることは全体的に計画それ自体が不利益をこうむることになることでありますから、内容のよしあし、どうすべきかという点についてはいろいろ見方があると思いますけれども、それはやはり政治的にきめる以外にないことですから、いま運輸省側の御説明によれば、国鉄は法律的にできるのだ、あしたからでもやりたいのだ、こう言っているわけでありますから、所管大臣である大臣の政治的決断を特に要望いたしておきます。  時間がありませんから、次に、国鉄が対外的な投資をすると、必ず民間との問題が出てくる。たとえばいまのパイプラインの問題が一つ出ております。また最近名古屋にビジネスホテルをつくるということになると、これもまたいま問題が起きているようであります。一体国鉄というのはどうなるのだという点が、国鉄に働いている人からいえばたいへん不安なんです。いま国鉄はたいへん無理をして合理化、近代化というのをやっております。合理化、近代化をやれば、あるいは駅の人を減らせば、減らした人というのはどこかに出ていくわけでございますから、その人たちをどう使うのかということが、一番大事なことだと思うのです。それで、増収増収といっても、鉄道に来るお客というのは、ある程度限度がある、お客は選択していますから、荷物も選択していますから。こうなってくると、やはり国鉄自体がどうしようかということになって、いまどこにいっているかというと、結局いままでは国鉄の定年というのは五十五歳でやめてもらった。自発的にとにかく退職した。いま五十五歳ではもたないから、五十四歳だ、あるいは五十三歳だ、こうなってきているわけであります。しかし、われわれの平均寿命は七十、七十一と延びているわけであります。ましてや五十前後というのは一番働き盛りであります。私は、国家公務員でも、五十前後でやめるよりも、せめて六十まで使いなさい、そうして給与をもっと三割から四割くらい上げて、能率をあげて、そしていい人材をとにかく公務員に集めなさいということを、池田総理時代から言っておるのでありますが、そういう点から考えてみると、国鉄はだんだん斜陽化をして、夢がなくなってきている。片方、政治家の道具になって新幹線が成田までできるわ、東北までできるわ、上越までできるわ、こういうはなやかなことがありながら、片方ではなやかなそういう夢がありながら、片方、国鉄の職場というのは、一体合理化していったらどうなるんだ。五十五でやめなければならぬ、あるいは五十四でやめにゃならぬ、三でやめにゃならぬ。二でよそに出ていこうとすれば、それは困ると押えていくわけです。これはやはり私は、夢のある、希望を持つ企業としていかなければ、優秀な人材が集まらずに、くずばかりが集まってしまうということになると思うのです。これは将来——ここ二、三年はいいとしても、十年、二十年三十年先のことを考えたら、私はたいへんなことだと思うのです。役人もそうです。優秀な人材が役人に集まってくるようなシステムでなければ、これはやはり民間を管理、監督しているわけであります、指導的立場でありますから……。そういう点から考えると、私は特にこの交通政策の中でも、やはり国鉄の将来について夢のあるようにしなければならぬと同時に、まあ運輸大臣から総裁に、五十四や三、二で首を切る、あるいはやめさせるのはやめよう、もっと五十六、七まで、あるいは六十まで使うようにしよう、やはりこういうシステムに運輸大臣して、ほんとうにこん然一体となって国鉄の財政再建がされなければいかぬと思うのですが、御所感をひとつ伺いたい。
  220. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま付帯事業としてホテルのお話がございましたが、もちろん運輸省としては国鉄が多角経営をやるべきことには賛成であり、そのような省令改正等もやっておるわけであります。ただ、ホテル事業がはたして国鉄に向くかどうかというのは、これは問題があろうと思います。われわれぐらいの年輩の人がドアをたたいて何か御用ですかと言っても、あまりぞっとしたものじゃありませんから、そうなりますと、いま言った合理化で人を使う面がはたしてホテルで出てくるだろうかということと、またホテル自体、いわゆるビジネスホテルというものが、私の知っている範囲では、必ずしも収入にはあまりなっておらない。やはりもっといい仕事がたくさんあると思いますからして、したがって多角経営する場合に十分に検討して、より増収になり、かつまた国鉄の職員が大部分使える、こういうような付帯事業をやってもらいたいと考えておりまして、多角経営を私たちは決して反対をしておるわけではない。根本は、何といっても軌道収入によって、旅客収入によって、貨物等の収入によって生きるのが道ですから、そのためには、結果的に増収になるといいますか、収益があがるということは、建設費をいかにして押えていくかということになると思います。これが大きな根本問題でありますから、まず中心としてはその方面に力を注いで——もちろんこれは付帯事業も、人間の、職員の合理化といいますか、転業のしやすいようにするということも必要でありますし、また、できればいま勝澤さんおっしゃったように、六十になっても使えるような職場も考えてやるべきだろうと思います。まだまだ六十だって元気でありますから、こういう点も十分考えながら、いわゆる多角経営の道を探っていきたいと思います。
  221. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 時間がございませんので……。  特にいま、何はともかくもいろいろな問題がある。国鉄は政治に弱いわけですから、やはり政治に向かってこうすべきだ、ああいうふうにすべきだというより、うちの中だけでものを考え過ぎている。そうして使命感を持ち過ぎている。やはりもっとその隘路を打開することもやらにゃならぬということで、先ほど総裁のお話を聞いてみますと、積極的に言うべきことを言うという方向にはなっているわけでありますけれども、本来的に国鉄人というのはそういうものを持っているわけでありますから、ひとつそういう点を、交通総合政策をつくろうというときでありますから、ぜひじり貧にならずに、やはり上向きになって、夢があるのだ——新幹線の夢ばかりつくるのじゃなくて、その中に働いている人たちに夢があるのだという点をよくお考えいただきたいということを要望し、大臣も、もう十分おわかりになっているようでありますから、私の質問はこれで終わります。
  222. 大野市郎

  223. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 九州新幹線、熊本新空港、熊本新港並びに国鉄新線の高千穂線について、運輸大臣並びに関係局長質問をいたします。  九州新幹線について最初にお伺いします。昭和四十六年一月十三日に第五十三回鉄道建設審議会において、東北の東京−盛岡間、上越の東京−新潟間、成田の東京−成田間の三線の基本計画を答申、同時に「東京・富山・大阪間」すなわち北回り新幹線及び「盛岡・札幌間、福岡・鹿児島間の各新幹線については、早急に基本計画への組み入れについて、所要の措置をとることを適当と認める。」旨の建議がなされております。さらに四十六年二月五日第五十四回鉄道建設審議会において、基本計画三線の整備計画等答申がなされておりまして、建議の趣旨に沿って、九州新幹線、福岡−鳥栖−熊本−鹿児島間の早急な所要の調査と基本計画、整術計画の策定をお願いするものであるが、少なくとも昭和四十六年度中に基本計画の策定を行なっていただきたい、かように思うわけであります。このことについて、まず最初に運輸大臣にその所信をお伺いしたいのであります。
  224. 山口真弘

    山口(真)政府委員 新幹線の基本計画並びに整備計画でございますが、これは昨年成立いたしました全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、この一月十三日に鉄道建設審議会におきまして、建設を開始すべき基本計画といたしまして東京−盛岡、東京−新潟、東京−成田の三新幹線につきまして、これを基本計画に定めるということが適当と認めるという答申がありました。その際に、これ以外の三線でございますが、「東京・富山・大阪間、盛岡・札幌間、福岡・鹿児島間の各新幹線については、早急に基本計画への組み入れについて、所要の措置をとることを適当と認める。」という意味の建議が、内閣総理大臣、大蔵大臣並びに運輸大臣に対してなされたわけであります。  それで、この建議にかかわりまする三線でございますが、これにつきましては、この建議の御趣旨によりまして、運輸省といたしましてはこれを四十六年度予算におきまして調査を進める。これは経済調査、あるいは輸送量の調査、その他各般の調査でございますが、そういったような調査を進めまして、そしてできるだけ早急に基本計画へ組み入れる、こういうふうにいたしたいと思っております。
  225. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 県のほうでも、ぜひ四十六年度中に基本計画を策定していただきたいということで県民ひとしく待望いたしておるわけでございますので、ぜひひとつそのようにお取り計らいいただきますようお願いいたすわけでございます。  さらに、山陽新幹線の博多開通というのが五十二年に予定されておりますけれども、聞くところによりますと、工事の進捗状況からして、早ければ五十年春、おそくも五十一年には完成すると推測されておるのでありますが、これと同時に熊本まで延長されるよう、第一次整備計画で決定し、早期着工をはかっていただきたいというのであります。と申し上げますのも、博多完通の暁に技術陣が引き揚げたり、手戻りになると、非効率的でございまして、この点を関係県民はたいへん憂慮をいたしておりますと同時に、もう一点憂慮されるのは、青森−函館間の青函トンネルが昭和五十一年ごろに完成すると聞き及んでおりますが、盛岡−東京間の整備計画ができたことによりまして、結局盛岡以北に手をつけるようになる。そして先行されますと、財政的負担がかさんでまいりまして、ますます九州新幹線がおくれるのじゃないか、こういうような憶測でたいへん憂慮をいたしておるわけでございます。言うまでもなく、現在青函トンネルは新幹線規格で工事が進められております。完成後遊ばせるという理屈になるからわれわれも心配するわけでございまして、このようなことで九州の関係者はたいへんに憂慮しておるわけでございますが、おくれている九州地域の効率的な開発と沖繩の日本復帰ということを目前に控え、高速、高能率の交通体系を形成するためにも、先ほど申し上げましたように、昭和五十年度までの第一次整備計画で決定し、早期着工をはかっていただきたい、このことを重ねて大臣に御見解を承りたいのでございます。
  226. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 福岡までの新幹線は、昭和五十年度で完了したいと、こう考えております。御質問の趣旨は、引き続いて熊本までやってくれというお話であります。ただいま鉄監局長からお答え申し上げましたように、鉄道建設審議会で建議されておりますので、すみやかにこの調査を行ないまして、そうして基本計画に繰り入れたい、こういう方針でありますが、おっしゃるように、青函トンネルができたらそっちへ先に金が入っちゃうのじゃないかという御心配も無理からぬところがありまするが、青函トンネルは、もちろん将来は新幹線を通しますけれども、とりあえずは在来線を通すことによって非常な経済効果があがります。そういう意味において、まあ青函トンネルができたらそっちを先やるのじゃないかという御心配もそう要らないと思いますが、もちろん札幌から鹿児島までは日本の背骨でありますから、ことに鹿児島、宮崎というところは、日本民族の最も古い歴史を持っておるところでありますので、大いにその点にも敬意を表しまして、将来ともにすみやかにやってまいりたい、こう考えております。
  227. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣からの御答弁をいただきましたように、ぜひひとつすみやかにお願いをいたしたいと思います  次に、熊本新空港整備についてお伺いをしたいのであります。  新熊本空港は、本年四月一日供用開始の予定で、工事も順調に進んでおります、また整備もなされつつありますが、ILS、すなわち計器着陸装置が八月ごろまででないと設置ができない、こういうようにわれわれ承っておりますが、本来ならば四月一日の開港と同時に設置すべきものであるわけでございますが、たいへんにおくれておるわけでございます。言うまでもなく、この装置がないと、梅雨期、悪天候の場合等は飛行機の着陸が困難となるばかりか、運航上種々悪影響を及ぼすために、ぜひ梅雨前、すなわち五月までには設置を急いでいただきたい、かように運輸大臣にお願いしたいのでございますが、その見通しについてお伺いをいたします。
  228. 内村信行

    内村(信)政府委員 熊本新空港のILSでございますけれども、これにつきましては、本来の予定といたしましては、十月ごろに設置の予定でございました。ただ、空港がこの四月に供用開始になりましてILSがつかないというのは遺憾なことなので、なるべく早くこれをつけてほしいという御要望も、地元から非常にございました。そこで極力これをつけるよう努力しておるわけでございますけれども、何ぶんその工事費は新年度に入ってからの工事費でございますので、新年度に入らないと据えつけの工事ができません。それからさらに、据えつけましてからもフライトチェック等をいたしまして、電波の発生状態というものを確かめまして、これなら絶対に安全であるということまで確かめなければなりません。したがいまして、そういうふうなことをいたしますと、どうしても、はなはだ残念でございますけれども、五月ごろまでに間に合うということは、率直に申しまして困難でございます。しかし、極力早くしたいというふうなことは考えております。なおさらに、ILSではございませんけれども、NDBというふうな、これは無指向性の電波標識でございますが、これはもっと早期に据えつけることにいたしまして、それによって運航状況の向上をはかってまいりたいというふうに考えております。何とぞ御了承願いたいと思います。
  229. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 なるべく早くということでございましたが、八月よりもっと早くできるような可能性がございますですか。五月が無理であれば、六月とか七月とか……。
  230. 内村信行

    内村(信)政府委員 いま精一ぱい努力をいたしまして現在事務的にも急いでおりますけれども、事は安全に関するものでございますので、そう極端な繰り上げはできません。したがいまして、いまここで断言するわけにはまいりませんけれども、できるだけ早くやりたいというふうに考えております。
  231. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 熊本新空港は、国内では、九州各県はもちろんのこと、東京、名古屋、大阪等の主要都市との航空路の充実をはかり、国際線では東南アジア等との航空路の開設につとめ、さらに国際空港誘致促進に県民あげて努力をいたしておるところであります。国際線発着可能な規模でございまして、現在全日空それと国内航空——これは六月ですか、東亜と国内と合併する予定とされておりますが、この二つが決定しておりまして、日本航空にぜひひとつ乗り入れてもらいたい。このような国際線誘致のためにも、まずCIQ、すなわち関税入国管理防疫事務所でございますが、これをぜひ設置していただきたい、こういったことを強くお願いをしているわけでございますが、これに対してひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  232. 内村信行

    内村(信)政府委員 ただいまの先生のお話、日本航空を乗り入れさせたらどうかという問題、それから国際的な空港として国際線を乗り入れさせたらどうか、それに伴ってのCIQシステムをつくったらどうか、こういうふうな御意見だと存じます。  この点につきまして、まず国際線を乗り入れさせるかどうかということでございますけれども、これにつきましては、やはり国際間の交流と申しますか、国際間の需要というものがなければ、これはいけないと思います。それからさらに地理的な要因、付近にどういうものがあるかというようなことが、たいへん関係がございます。さらに定期航空になりますと、これは国家間の協定を要しますので、これは相手方の事情もございますので、そうそう簡単にはまいりません。したがいまして、そういうふうなことを勘案してきめなければならぬものでございますけれども、さしあたり現在のところは、国際線をやらなくちゃならぬというふうな外国からの、あるいは外国航空会社からの要望もございませんし、さしあたり現在国際線をつけるということはなかなか困難ではないかというふうに考えております。したがいまして、CIQの問題も、いますぐというわけにまいらぬと思いますが、将来の状況によりまして、将来しかるべき時点にそういう条件が発生いたしますれば、その段階においてまた考えなければならないと思います。
  233. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 さらに関連しまして、熊本新空港の滑走路のことで一点お伺いいたしたいのでございますが、本来、当初県の計画によりますと、三千メートルで計画を発足して国に要求してまいったところであります。このような経緯がございましたのですが、結局二千メートルを五百メートル延長して、二千五百メートルになっております。この二千五百メートルをぜひ三千メートルに延長していただきたい。県もまた県民も強く望んでおるわけでございますが、この機会にあわせ御所見を承っておきたいと思うのであります。
  234. 内村信行

    内村(信)政府委員 滑走路の距離の問題でございます。現在の熊本空港は、千二百メートルでございます。今度の新空港は二千五百メートルでございますから、これは一挙に相当な距離に延びたわけでございまして、現在のところでありますと、せいぜいYS、フレンドシップ程度でございますが、二千五百になりますと、エアバス級が優に着陸できます。したがいまして、私どもとしましては、国内線の空港といたしまして二千五百というのは、相当大きな空港でございまして、現在のところはこれで十分ではないかと考えておるような次第であります。
  235. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 ただいま御答弁いただきましたが、現在のところ十分ではないかと思うということでございますけれども、県も用地の先行取得等も考えておりますし、またそれだけの余裕もあるわけでございまして、そういった強い要望を国にもお願いし、またそのように県民あげて望んでおりますので、どうかひとつお含みいただいて、将来ともこれが実現に何かと御協力をいただきたい、かようにお願いをいたしておきます。  次に、熊本新港、いわゆる人工港についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  昭和四十五年度の事業で、県市が約五百万円を投じて有明海の人工港、熊本新港の適地調査を行なった結果、熊本新港の位置は、一級河川、白川、緑川の河口にはさまれた中島——沖新地先が地耐力や地形から見て有望視されておるのでございます。運輸省港湾局においても、有明広域港湾調査事業の中で調査を行なう考えであると聞いて、県市民は大いなる期待を持っております。現在建設中の北海道の苫小牧の人工港とはその趣が違いますが、都市港湾であり、流通拠点としての開発をすることになると思うのでありますが、その熊本新港の建設について調査を進めるということでお伺いしておりますが、ぜひこの実現をはかっていただきたい、こういうふうにお願いするわけです。このことについて、当局の所信をお伺いしたいわけでございます。
  236. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生のおことばのように、熊本は人口五十万以上の大きな県庁所在地でございます。流通港湾としての機能は必要だろうということに感じております。なお、最近長州にも造船所ができるということで建設が始まったように聞いてございますので、有明海の沿岸につきまして、港をどういうふうに配置するか、あるいはその港の機能はどうであるか、そういうふうな意味の調査をまず進めてまいりたいというふうに考えております。
  237. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 御承知のように、太平洋ベルト地帯は整備されてまいりましたが、九州はなかなか太平洋ベルト地帯と違いまして、うらはらにございます。今後、沖繩復帰と、また中国貿易あるいは東南アジアの貿易と、こうなりますと、熊本の新港が強く必要となってまいるわけでございまして、これらをあわせまして、ただいま答弁ございましたように、ぜひ、県市あげて熱望いたしておりますので、これまたひとつ推進をはかっていただきたい、また調査を進めていただきたい、かように思うわけです。空港もでき、またいわゆる新幹線も施設されると、あと港があれば九州の中枢都市として今後の発展も期せられるということにもなりますので、大臣もぜひひとつ心にとめていただきまして、よろしく調査方、推進方をお願いしたい、かように思う次第であります。  最後に一点、国鉄新線の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  高森−高千穂線の建設のことでございますが、この国鉄新線は、昭和三十六年五月調査線になり、昭和三十七年五月工事線に編入されております。日之影−高千穂間約十三キロメートルについては、用地買収はほとんど終わり、路盤工事については、影待地区、天狗山隧道等の工事を終わりまして、目下第一日之影隧道、大平山隧道、高千穂橋梁及び各橋梁のけた架設工事が施行中でございます。高千穂−高森間の二十八キロについては目下測量設計中でありますが、熊本県側は高森で行きどまりになっておりまして、これが全線開通によって地域の開発並びに乗客の増加は必至であり、多年の懸案でもあるところから、ぜひひとつ早期着工、貫通を推進していただきたい、かように思うわけです。このことについて、ひとつ当局の所信を承りたいと思います。
  238. 山口真弘

    山口(真)政府委員 高千穂線は、高森線の終点の高森とそれから日之影線の終点の日之影を結びまして、そして高千穂の史跡あるいは観光資源の開発あるいは地域開発というようなことを促進するとともに、熊本地方と延岡地方というものを短絡する使命を持った路線でございます。それで、現在の工事の状況は、先生ただいま御指摘のように、日之影−高千穂間につきまして約十三キロメートルございますが、この工事を鋭意施行中でございまして、工事はおかげさまで順調に進んでおりまして、四十六年度一ぱいには高千穂までの開業が大体できるというように私ども考えております。残る高千穂と高森間二十八キロメートルでございますが、この区間はトンネルでもって峠を越えていくような相当の工事でございますが、これにつきましては、現在鉄道建設公団がこれを測量調査中でございます。また、この設計その他につきまして国鉄との協議もございますが、そういったような協議をととのえた上で工事実施計画の認可申請が出るということになるわけでございます。その場合に十分に検討いたしたい、このように考えております。
  239. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 最後に、いま高森−高千穂線の新線の問題について御答弁いただきましたが、大臣も御存じであるとおり、高森が行きどまりになりまして、たいへん乗客も少ない、赤字路線だということもいわれておりますが、一つには、貫通すれば物資の輸送、また資源の開発等も行なわれ、乗客も多くなる、こういうようなことで、それらを抜きにして赤字路線というようなことでありますけれども、こういう路線こそ、ほんとうに低開発でおくれている九州のいわゆる日の当たらぬ場所ですから、ぜひひとつ早急に貫通をしてやっていただきたい。山を一つ越して両側に暮らし、片方は新しいいわゆるつち音高く建設されまして、熊本県側は昔のまま静かに開発を待っている、こういうふうな状態でございます。ぜひ、大臣からこれに対する前向きの御発言をお願いしたい、かように思うのでございます。
  240. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御質問の御趣旨はよくわかりました。地方の開発は大事なことでありますからして、予算の許す限りなるべくすみやかな機会に実現させたいと思っております。ただ、経営等の問題がございますので、それをどうするかは別個の問題で、建設は建設として進めていきたい、かように考えております。
  241. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  242. 大野市郎

    大野主査 古川雅司君。——速記をとめて。     〔速記中止〕
  243. 大野市郎

    大野主査 速記を始めて。  田代文久君。
  244. 田代文久

    田代分科員 運輸大臣質問いたしますが、現在、過疎過密の関係で交通事情が非常に片寄って、全体の国家的な見地からいいましても、非常に地域住民などにとって納得ができないという事情があるわけなんです。そういう点で、国家的な交通運輸政策から申しますならば、そういう基本的な観点に立って、ただ採算とかいうようなことのみに基礎を置いて処すべきじゃない、このように考えるわけでありますが、運輸大臣として、過疎地帯における交通の問題、過密地帯における交通問題との関係、その基本的な考え方をひとつ御説明願いたいと思います。
  245. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 過疎地帯と過密地帯との交通に対するものの考え方ですが、いまおっしゃる意味は、おそらく狭い意味での過疎地帯という意味合いと考えますけれども、最近は過疎地帯というものの考えだけじゃなく、自動車利用の状態が変わってきた。バス及び鉄道の利用状態が、一般のマイカー、自家用の自動車が増加してきたということからして、鉄道及びバス事業は、短距離のものは通勤通学が大体主になってきている。そういう意味において、地方交通問題としては広くこれをとらえていかなければならぬ重要な時期になってまいっております。やはり国民一人一人が豊かなる生活をするためには、交通機関の確保というものは非常に重大であります。そういう意味において、従来考えておりましたものの考え方を変えていかなければいけない。いわゆる広域的な過疎地帯といいましょうか、地方交通機関に対しては、国及び地方公共団体もこれに対してどう考えるべきか、こういう問題に突き当たっておるわけであります。そこで政府といたしましては、総合交通体系、いわゆる中距離の鉄道で国鉄が持っているもの、それから地方交通線、バス及び地方鉄道で国鉄を含めて持っておるもの、あるいは大都市交通圏はどうすべきか、こういう問題について衆知を集めて、少なくともこの秋までにはこのあり方を明らかにしていきたい、かように考えておる次第であります。
  246. 田代文久

    田代分科員 そうすると、基本的な計画は、この秋を待つまで全国的な広域的な関係においてはまだ十分できておらない、こういうことですか。
  247. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 本格的なものはできておりませんが、それを待つまでもなく、いろいろ各地方において問題が起きております。それに対しまして、運輸省としましては、びほう策かもしれませんが、地方関係当局とも十分に打ち合わせをして、少なくとも地域住民の足を最小限度確保する措置を講じていきたい、かように考えております。
  248. 田代文久

    田代分科員 そうしますと、過疎地帯、また辺境の農村、こういう地帯における通勤、通学という問題は、少なくとも量的に深刻な問題なわけですが、それについては十分政府としては配慮しなければならないし、配慮するという基本的な方針を持っておられるわけですね。ところが、現在御承知のように、大手私鉄なんかのやり方というのは、とても私どもが納得ができない事情が非常に多いと思います。認可を受ける場合には、こういう地方の大手私鉄というのは、いろいろ理屈をつけて認可を受けるけれども、現在の実情は、そういう公共的な性格は大体あまり考えないということから、不動産資本あるいはレジャー資本というようなことに重点が置かれて、そこからどのくらいもうけがあがるんだということが基本になっているように思われるのです。こういう点については、当然国家としては、また政府としては十分規制して、そして全国的な立場から指導し、押えるべきことは押えるということをやっていただきたいと思うのですが、特にこういうところでは、そろばん本位で、かりにあまり黒字が出ないとか、あるいは赤字が出そうだということになったら、はいさようならということで路線を廃止することがなきにしもあらずなんです。そういうことは、国家の運輸政策としては許されないんじゃないか、このように考えるわけです。そういう点についての大手私鉄のレジャー資本化あるいは不動産資本化というような政策に対して、どういう処置をとっておられるか、対処されようとしておるか、お答え願いたいと思います。
  249. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 料金改定に際しましては、軌道によって得る直接の利益、及び不動産事業にしましても、レジャー産業にしましても、間接に得る利益、それらを計算の中に入れておりまして、そこで料金の改定を行なっておる次第であります。決して、一方で金のもうかっておるほうはそのまま見のがして軌道料金を上げていくという考え方は持っておりません。前回の料金改定の際にもその点は厳格に措置いたしまして、しかもなおかつ苦しいという状態の私鉄は、配当制限もみずからやったような状態であります。ただ、問題はそういうことのできない地帯があります。先ほど申しました過疎地帯では、土地を買ってもなかなか値上がりをしませんし、レジャーもないということで、結局はバスなり鉄道料金だけでもっている。ところが、いわゆる交通体系が変わってまいりましたために、増収にならない、減収がますますはなはだしくなるということから、いろいろな問題が起きております。しかし、おっしゃるように、いやしくも認可を受けて公共事業を始めたのでありますから、借金がかさんだからいきなりやめるんだ、こうされては一般国民が困るわけでありますから、できるだけの措置をとりまして、何とかして最小限度地域住民の足の確保はやっていく、こういうことに努力いたしておる次第であります。
  250. 田代文久

    田代分科員 そうしますと、その原則は曲げられないと思いますが、かりに実際上においてそれがやめるということが起こり得る場合がある。そういう場合に、たとえば地方自治体、県とかあるいは市とか、そういうところに、これは採算を全然無視するというわけにはいきませんけれども、地域住民の通勤なり通学なり、あるいは将来における経済の発展というような見通しから、いわゆる採算本位ではなくて、そういう立場から地方自治体、県などにそういう事業をやらせるというようなことも、配慮されておるかどうか、またそういうことをなさるかどうかという点をお聞きしたいと思います。
  251. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 国鉄の再建の問題でもその問題が論議されておりまして、最近いわゆる地方鉄道公社案という意見が出ておるわけであります。できれば、そういう措置は望ましいことであります。ただ、地方団体にしましても、なかなか経済上の負担が大きければ容易ではありませんからして、おいそれとは引き受けてはくれないようでありますからして、そこで地方公共団体が一部を負担すると同時に、やはり国もめんどうを見てやってはどうであろうか、こういうことで先年来から折衝を続けてまいっておりますが、まだ基本的にはその方針が決定はいたしておりません。しかし、地方団体が一部を持つということになれば、国にも持たしめることができるであろう、こういうことで、運輸省としてはその方向でせっかく努力中であります。
  252. 田代文久

    田代分科員 そうすると、これは具体的な問題に入りますが、大体私はそういう方針でなくちゃならないと思うのです。ですから、そういう地域住民の通勤とか通学とか、それから将来における経済あるいは観光の開発というような見通しのもとに、単なる、純然たるそういう営利会社がやらない、また、いままでやっておったのが廃止、やめたというような場合に、県がやるのだ、あるいは地方自治体がやるということになれば、当然国家としてはそれにしかるべき援助をやって、そして、そういう方向へいくことについてはこれを支持し援助するということを、一般的な方針としては持っておられるというふうに理解していいわけですね。
  253. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 国が持つ場合に、どういう形で持つかという問題があると思います。たとえば、御承知のように、道路の場合においては、その交付税の積算根拠は、道路等によるところの必要経費というものが見られております。したがって、バスとかあるいは軌道の場合も、道路とどれだけ差があるだろうか。料金はたくさんもらいます。けれども、それが運営上の半分にも満たない、あるいは三分の一にも満たない、こういう状態であるなれば、私はいわゆる通勤、通学に主として使われる、そればかりでなく、一般の地域住民が使うということでありますなれば、やはり交通機関に対しましても道路と同じような考え方をそのまま持つべきじゃないだろうか。いままでのようにその対価収入だけでやっていけるということができないということが明らかであれば、しかも地域としてはそれが必要であるという場合には、そういうような意味合いにおいてやはり交付金というものが使われていいのではなかろうか。しかし、それだけでは片づかない場合もありましょう。いわゆる直接に国が助成を一部行なうか、いま申しましたような交付税を通じて行なうかの問題があると思いまするが、いずれにしましても国及び地方団体がやはりこれを助成していくという道を開いていきたい、運輸省としましては。これは相手がなかなかけちんぼうな大蔵省がありますからして、そう簡単には言うことを聞いてくれませんけれども、そのような主張を昨年来から続けてまいっておりますが、最終的な結論には至っておらない、こういう状態であります。
  254. 田代文久

    田代分科員 そうすると、いよいよこれは具体的な問題ですが、現在高知県交通株式会社が倒産するんじゃないかというような問題が問題になって、そしてその地域の方々が非常に大問題にしておられるわけですね。この問題について、運輸省には報告なり、経過なり、要望というものが来ておりますか。来ておれば御報告を願いたいと思うのです。
  255. 野村一彦

    ○野村政府委員 高知県交通の問題につきまして、私ども現状で把握をいたしておりますのは、去る一月の下旬でございましたか、高松の陸運局長が参りまして、非常に経営が悪化をしておる、したがって、ある程度の再建計画を立てておりますけれども、非常に経営が悪化しておって、これについてさらに抜本的に企業の合理化、それからいろんな策を、企業の合理化を含む再建計画を、実施しなければならないということで、いろいろ報告かたがた相談がございました。その際、私どもといたしましては、たとえば会社更生法の適用を含む再建案について検討をもう一ぺんしたらどうかというような話もいたしまして帰りました。その後今月に入りまして、中旬ごろでございましたか、情報が入りまして、三月三日ごろに解散の決議が行なわれる可能性が非常に強いというような情報が入りました。したがいまして、私どもとしては、もちろん商法上解散の決議をいたしましても、企業として廃止するということについては許可が要りますので、簡単に廃止するということを許可するつもりはございませんが、もし解散の決議が行なわれるようなことになりますと、県民の足が奪われるということで非常に重大なことでございますので、大臣の御指示もありまして、直ちに私ども担当の課長現地に派遣をしまして、高松の陸運局長と一緒に、現地の、まず解散の決議をしないように説得をするということと、それから万一解散の決議が行なわれた場合には、代替輸送手段というものを含む県民の足の確保ということについて緊急対策を立てなければいけないということで、現地関係課長と主管課長を派遣したわけであります。主管課長はまず県知事と会って、その足の確保の問題を話し、それから関係のおも立った責任者と申しますか、そういう方々と会って、解散を思いとどまるような説得、こういうようなことをいろいろやっておるわけでございますが、大体、現地におきましても、きょうの報告によりますと、解散決議の件につきましては、いろいろな株主その他があることでございますので、まだ全部の株主に当たっておりませんが、万一の場合には、足の確保については県側としてもできるだけ陸運局と協力をして、地元としても最大限の努力をするということになったようでございます。現状は、大体いま私が申し上げたような状況でございます。
  256. 田代文久

    田代分科員 そうしますと、その点については憂慮されて説得なさった、いわゆる解散決議について。しかし、その点について、解散決議はいたしませんとか、これはやむなくせざるを得ませんというようなことですね、そういうところまではまだはっきりしてない。それは株主総会か何かによって結論が出るので、その点はまだはっきりしてません、こういうことなんですか。
  257. 野村一彦

    ○野村政府委員 結局、解散決議をするにあたっては、おも立った株主を一つ一つ説得をしなければならないわけでございまして、     〔主査退席、大村主査代理着席〕 二十三日に出まして、それから県知事はじめ関係方面を回っておりますので、まだ関係株主、おも立った株主その他全部回っておりませんのであれでございますが、現状はつまびらかでございませんが、役所の御趣旨はよくわかりましたということは言っておられるわけです、いままでお会いしたおも立った方々は。しかし、まだ結論——それじゃ私としては解散決議はしないように努力しますということまでは、残念ながら言っていないようでございますが、もちろんそれは、県知事さんも手分けをして、県知事さんのほうからまた、そういう解散決議をしないように説得をいたしますということは言っておられるようでございます。
  258. 田代文久

    田代分科員 そうしますと、先ほどの大臣の御答弁との関係でありますけれども運輸省としては、そういう解散決議までいくべきじゃないということで非常に説得をされて、大体それがいわば功を奏しつつあるというような印象を私受けましたが、かりにいまそういうことをやって、そしてまた、これが解散の申請でもやるということになれば、これについては先ほど大臣の御答弁では、そういうことは現在の段階では許可すべきでないという考えだというふうに受け取っていいわけですね。
  259. 野村一彦

    ○野村政府委員 私おくれまして、大臣の御答弁のときにいなくて申しわけございませんが、大臣から申されましたように、私ども事務当局としましても、解散決議がなされましても、廃止の許可をするということは、事務的にもそういうつもりはございません。ただ、解散決議がなされますと、事実上その会社の機能というものはとまるおそれがあるわけですから、それはそういう面で、廃止の許可をしなくても、非常に住民の足が奪われるということでございますので、それを未然に防止することのほうが重要でございますが、いま申しましたように説得中でございます。
  260. 田代文久

    田代分科員 これも御連絡があったはずだと思いますけれども、昨日、高知県の市長会議、それからまた町村教育委員会が、そういう地域住民の足の非常に深刻な問題から、県あるいは会社に対して解散決議をしないでほしいということを申し入れられておるわけですね。ですから、この問題は、高知県のその地域における住民の方々にとってはいかに深刻な問題かということが、こういう点でも証明されておると思うのです。ですから、当然そういうことについてはもっと指導を強めて、そういうことは絶対すべきでないんだという点、それから先ほど大臣説明をされて、それでもどうしても私のほうはこれはできませんとかりになるとしますと、仮定の問題ですが、そういう場合に、その高知県当局が、これはゆゆしき問題だから、採算無視というわけじゃないけれども、そういうことにこだわらなくて、そういう地域住民の交通の、社会的な問題として重大だから、これは県が引き受けましょうというような形になって、それは先ほど大臣の御答弁のように交付金を出すなり、あるいはその他の援助をしていただくことによって、これを廃止することなく継続するというような方向に行くべきであると思うわけですが、そこまではまだ考えておられませんか。
  261. 野村一彦

    ○野村政府委員 事務的に考えますと、かりに解散決議がされて、たとえ私どもが企業としての事業の廃止を許可しないといたしましても、私どもの立場といたしましては、これにかわるべき代行輸送手段というものは必要でございます。したがいまして、それをどういう形でやるかということでございますが、ただいま先生のおっしゃいましたように、たとえば県が直営でやるのか、あるいは公社的なものでやるのか、これは一つの経営主体としての研究課題だと思いますが、いずれにしろ、過疎ということが一つの大きな現象にもなっております。しかしながら、また一方では経営者の経営能力、あるいは労使間の紛争が常に絶えないというような問題もありますので、新しい経営主体を考える場合には、それらのことも十分考えながら、何よりも必要最小限の住民の足を確保するための基本的なあり方、もちろんこれには国家としての助成ということも、現在の制度にのっとってできる範囲内のことは考えなければなりませんし、そういうこともあわせて考えたいと思いますが、ただいまのところ、まだこれを未然に防止するということを第一義に置いておりまして、その事後の具体的な経営主体とか方式とかについては、まだ細部の検討はいたしておりません。
  262. 田代文久

    田代分科員 これは基本的には、私どもはやはり現在の政府の高度成長政策がもたらした、そういう矛盾から来た地域住民の交通上の苦しみだと思います。その点を十分考えていただいて、政府がいまとろうとしておる高知のバスの問題についての大体の考え方はわかりますが、ぜひとも会社側を説得していただいて、そうしてもしそれを強引にやるという場合においては、先ほどの方針どおりこれは許可しないということで、それでもというようなことになるような場合には、そしてやっぱり県が引き受けるとかいうようなことになった場合には、当然これは国家のあたたかい援助によって、これが廃止されて地域住民なり、教育それから通勤、その他社会開発、これに支障を来たさないようなことで十分やっていただきたいということを要望したいと思うのです。その点異議ないですか。
  263. 野村一彦

    ○野村政府委員 万一先生の御指摘になりましたような事態になった場合におきましては、足の確保については私どもとしてできるだけの努力をするつもりでございます。ただ具体的な、そのどこが経営するかとか、どういう方式でやるかということについては、今後事務的にさらに検討したいと思います。
  264. 田代文久

    田代分科員 もう時間がございませんから、バス料金の値上げについて一言大臣の意見を聞いて質問を終わりたいと思いますが、昨年の十月に大手私鉄の運賃を認める際に、私鉄は赤字だからこのくらいのことはやむを得ないんじゃないかというような、それに類するような御答弁があったと思うんですね。ところが、これはもう御承知でしょうけれども、その私鉄の大手はどうしてそうなったか知らないけれども、実際においては一割配当はしなかったんですけれども、大体九分配当をやり、その後株式の無償交付というようなことまでやっておるんですね。これはもう御承知だと思うんです。許可を得るときには、輸送力の増強計画を盛んにいたしますとかなんとかいいながら、実際においては先ほど申しましたように不動産資本とかレジャー資本にしてしまって、そして結局住民不在のそういう経営がなされておる、これは私は全部そうだとは申しませんけれども。東京における八〇%ですか、現在うわさされておるタクシーの料金の値上げムードですね、これはもういろいろ口実がついて、上げるんだ上げるんだということで、国民のわれわれとしましては非常に憂慮しておるわけですね。ですから、この点について、本会議で佐藤総理も、この値上げの条件としては考えられるいわゆる今度の自動車新税の問題、そういうことがあるにしても、それは実際のパーセンテージというものはきわめてわずかであるから、したがってタクシー料金の値上げということをこれにかこつけて申請するようなことがあっても、それは許さないということをおっしゃいました。それから橋本運輸大臣も、これは私この場にいなかったのですけれども、他の同僚委員の質問に対して、当面そういうバス料金の値上げをする考えはないということを再三御答弁なさっているようですね。これは当然なことであります。ありますけれども、とにかく佐藤首相が自動車の新税ができたから、それを口実に値上げをいってきても、それを認めるというようなことはしないということをはっきりおっしゃった。また運輸大臣が、いま上げるつもりはありませんとおっしゃいましても、しかしこれは大体いつまで続くかというのが、事実国民の非常な疑惑なんですよ。だから、運輸大臣が、まあ六月なら六月までかりに大臣をしておられる。その次に七月にだれか新しい大臣にかわったという、そのとたんに、それは橋本さん何を言ったか知らぬけれども、わしの大臣の時代になったら状況が変わっておるんだから、上げざるを得ないというようなことになったら、これは国民はたまったものじゃないですね。だから、そういう点で値上げをする場合には、こういう条件を満たされた場合には値上げはやむを得ないとかというようなことをはっきりさせてもらわないと、これは当分の間とかなんとか抽象的なことを言っておられては、これは当分といっても二カ月も当分、三カ月も当分だということがありますので、私が結局気にするのは、いま言った自動車新税が設置されたということ、それからまたガソリン代ですね、原油から重油の値上げとなってガソリンの値上げ、これは私たちは根本的な国際的な石油資本がはね返りを日本に押しつける、あるいはまたそれを一般のわれわれの足に転嫁するというようなことだと思いますけれども、しかし、そういう点から申しましても、そういう大企業なり国際的な大資本の利益のとばっちりがわれわれにはね返ってきて、そうしてタクシー料金あるいはバス料金の値上げの条件にされるということは、これは許されないと思うのです。そういう点は国家の運輸政策として大臣は確固たる腹を持って、いかにしてもそういうことをやるべきではないという点で食いとめていただかなければならないと私は思うわけなんです。それで実はこの前のバス料金の値上げがされましたときには、それを許可する理由として、こうこうこういう理由だからやむを得ないということで、これはこの前許可されたと思うのですね。そうすると、そういう許可をされた条件が値上げ後において十分満たされておるかどうか、満たされておらないとすれば、そういうことを満たしもせずにまた新しくとにかく値上げを申請するなんということは、私は全くもってのほかだと思うのですね。これは許されないと思うのです。そういう点で、この前の値上げの理由をタクシー会社なり何かは十分満たしておるかどうか。もし満たしておらないとすればどういう指導を現在やっておられるか。それとの関連で、今後単に当分の間とかなんとかではなくて、こうこうこういう条件が来なければ値上げは絶対にさせない、そういうことをさせればこれは公共料金の値上げにつながるし、現在大問題になっております物価の値上がりの一つの大きな要因になるので、そういう点で歯どめにするという観点からもこれは許さないというような方向を示していただきたい、それによって私の質問を終わりたいと思います。
  265. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 最後のほうの御質問の具体的な問題は自動車局長から答弁させますが、前半の問題についてお答え申し上げます。  佐藤総理が言われましたように、自動車重量税の設定並びにガソリンの多少の値上げというものは全体に影響するところが非常に少ないのでありますから、したがって、これを直接の原因として値上げするという考えは毛頭ございません。かつまたせんだって申請がありましたが、この申請はもちろん内容を審査しておりませんけれども、とにかく社会的な情勢から見て、当分の間値上げする意思はありません。ただこれは皆さんも御承知、御了承と思いますけれども、特にタクシー等は人件費が大部分を占めておるわけであります。人件費とはすなわち運転手の給料であり、あるいは事務所に働く勤務者の給料であります。こういうものが相当に値上がりをしてくるということになりますと、タクーシの場合においての経営はなかなかむずかしい。今回個人タクシーが最初に値上げの申請をしてまいったのも、やはり個人的な生活の向上といいますか、増加から、現在の収入ではやっていけないということも一つの原因だろうと思います。でありますからして、愛する労働者をいわゆる劣悪なる待遇条件のもとに置くのは好ましくないのでありますから、したがって将来何年もの間値上げをやってはいけない、こういう約束はもちろんできないのみならず、少なくともタクシーのあり方等もこれから検討していかなければなりませんけれども、やはり働く人、いわゆる運転手あるいは職員、こういう人の待遇改善は当然やっていかなくちゃならない問題でありますし、あるいはその他の物件費の値上がりもありましょう。これらを十分検討して処理をいたしたいと考えておりまするが、ただ昨年の三月に上げたばかりでありますから、その後における実績等も十分に検討した上で善処していく。ただし当分は上げない。当分は、半年も一年も当分でありますが、十分な検討の期間は置いてまいりたい、かように考えております。
  266. 野村一彦

    ○野村政府委員 大臣答弁を事務的に補足いたします。  前回の運賃値上げ、これは前回だけではございませんが、特に前回東京、大阪等大都市におきます運賃の値上げを認めるに際しまして一番問題となりましたのは、企業の体質の改善をするということでございました。そのおもな内容は、先生案内のように、労働省から出されました通達等に基づいて、運転手を中心とする労働者の労働条件を改善するということでございまして、これは労働省の御協力を得て監査をして、そうして改善の実があがったものから認めて実施をするというふうにやったわけでございます。それからその次は、乗車拒否等をなくして、そうしてタクシー業務のサービスの改善をはかるということでございまして、これにつきましては発足が非常におくれましたけれども、東京及び大阪においてタクシー近代化センターができまして、運転手の登録業務は昨年の十一月からやりまして、大阪につきましてはことしの初め、東京につきましてはついせんだっていわゆる適正化業務というものを実施するためのサービス改善の計画、それからこれに見合いますところの分担金というものがまとまりまして発足をいたしたということでございまして、一方街頭指導等につきましても緒についたわけでございます。もちろん現状においては非常に不満足な点がございますが、一歩前進したと思いますので、今後これをさらに改善をはかるように指導していきたいと思っておりまして、以上申し上げましたようなのが、前回運賃値上げのときのいろいろな問題点でございまして、今後もこういう点に照らしてこれをチェックしていくということでございます。
  267. 大村襄治

    ○大村主査代理 田代君。簡単に願います。
  268. 田代文久

    田代分科員 ほんの一言……。地方によっては値上げをしたにもかかわらず、労働者の給与に対して何のかんのといって上げずに、非常に安く押えられておるところがあるのであります。そういう点では強力な指導をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
  269. 大村襄治

    ○大村主査代理 古川雅司君。
  270. 古川雅司

    古川(雅)分科員 岡山以西の山陽新幹線の工事がすでに進められているわけでございますが、公共事業の計画、施行でございますけれども、当然沿線住民からいろいろな苦情、そういった要望等が持ち込まれております。最初から具体的な例を申し上げまして、当局の見解をお伺いしてまいりたいと思います。  広島県の福山市内でございますが、ここは現在線に非常に踏切が多いというような事情、あるいは新幹線の工事によって市街地を二分しないというような、いろいろな事情でいわゆる二重高架建設で進められております。このために、この沿線にございます福山の市道玉東線の幅を半分にいたしまして、そこに現在の山陽本線を移して、現在線のあとに二重高架建設を行なうという予定であると聞いております。そこでこの架設線を現在の市道に移しましたことによりまして、その近辺にあります沿線の住民あるいは商店にとっては、当然その工事中あるいは工事が完了いたしましてそこを列車が通る段階になりますと、騒音や振動によって何らかの影響、被害が想定されるわけでございます。この架線工事着工にあたりまして、これを防止する何らかの技術的なくふうがなされておるか、なされたか、この点からまずお伺いをしてまいりたいのであります。
  271. 長浜正雄

    ○長浜説明員 山陽新幹線の建設に関しましては、非常に地元各位の御協力を得まして、いま岡山以西も順調に進んでおるところでございまして、この点地元各位に感謝をしておるところでございます。  つきましては、先生お話の福山駅付近でございますが、実は福山駅の新幹線工事、当初これを普通の高架でこの辺を通過する、福山駅はもちろんつくるわけでございますが、そういう計画でわれわれは考えておったわけでございます。そうしますとわりあい簡単にいけるわけでございます。ところが、いま先生のお話がございましたように、踏切がたくさんございます。そういうことで、せっかく新幹線があそこを通るのなら、この機会にぜひ在来線も高架にしてほしい、いわゆる連続高架にしてほしい、こういう非常に強い御要望がございます。われわれといたしましては、新幹線工事をいたしますにつきまして、一カ所でもできませんと非常に工程上問題があるのでございまして、できれば簡単にいきたいと思ったのでございますけれども、地元の方々の強い要望がございます。現地からそういうことでございまして、これを都市計画事業として在来線の高架事業を一緒にやりたい、こういう御要望がある。国鉄といたしましても、将来のことを考え、地元各位の御要望もございますので、それではということで都市計画事業に御協力申し上げたい、こういうことで都市計画決定が昨年の暮れなされたと承知しております。そういうことでございまして、今回の工事は、新幹線を三階のところまで引き上げまして、在来線を二階につくるというような非常に大げさな工事になってしまいました。そのために工事費も相当高くつくわけでございますが、そういう都市計画決定がされましたので、それに基づきまして、いま工事を進めておる段階でございます。  つきましては、在来線の上にそのまま高架をつくるならば、それはできるのでございますが、そういうことで在来線も上に上げようということでございますので、かりに別の線をつくりまして、そして在来ある線を廃止して、そこに高架橋をつくっていくというような段階を経なければこの工事ができないという、非常にややこしいことになりました。そういう都市計画決定でございますので、地元の方々の御協力も得ましてそういうやり方をしようということで、いま進んでおるわけでございます。  それにつきましては、現在、先生承知のように、南側に相当広い幅の道路あるいは水路がございます。その部分をできるだけ使いまして、なるべく市民の方に迷惑のかからないような方法をとりたいということで、南側に仮線を敷く。そうしますと、全面的に道路閉鎖その他のことをしないで済みますので、一番迷惑のかからない方法であるということを、新幹線の事業主体であります国鉄と、在来線の高架化事業主体でございます県当局、この両者で協議をいたしまして仕事を進めておるわけでございます。しかし、在来線よりも若干でも南側のほうは線路に近くなります。その分だけは音が高くなろうかと思います。まあ、いままで十数メートル離れておったのが十メートル近くまで線路が寄ってくるということでございますが、これは先生いまお話がありましたように、仮の線でございます。しばらくのごしんぼうではありますけれども、われわれとしては、その工事中の騒音とか振動とかがなるべく少ないように、また工事をやりますについて、自動車その他が相当往来いたしますについては、できるだけ工事上のトラブルのないように、そういう配慮をしてまいりたい、こういうことで、県当局あるいは市当局といろいろと相談をしながら、慎重な仕事をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  272. 古川雅司

    古川(雅)分科員 現在の計画よりも工事期間の短縮ということはできるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  273. 長浜正雄

    ○長浜説明員 物理的にやらなければならない順序というのがございますので、この順序に従いまして、この順序を狂わすわけにはまいりませんけれども、ただいま申し上げますように、道路の通行とかあるいは道路の仮の使用というようなことで、地元にもやはり御不便を工事中はかけるわけで、もちろん、新幹線が完成し在来線が高架になりますと、それによって受けます地元の便益というのははかり知れないものがあろうとは思いますけれども、一時不便をおかけすることになりますので、できるだけわれわれも工期の短縮をはかりたい、こういうふうに考えております。物理的には、順序は変えるわけにはいきませんが、しかしできるだけ工程は詰めていきたい、こういうふうに考えております。
  274. 古川雅司

    古川(雅)分科員 現在線より騒音や振動を大きくしないということで、技術的にロングレール等の使用考えられますが、地元との話し合いではちょっと不可能だという御回答をいただいておるそうでございますが、その点いかがでございますか。
  275. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ロングレールの使用等に関しましては、非常に技術的に十分な配慮をいたしました上でないと、この使用ができません。現在全国的にロングレールは使用しておりますけれども、これは、路盤が固まりましたところだとか、いろいろ条件がむずかしゅうございます。あるいはカーブの問題だとか、そういう条件に合いますならばそれは使えるわけでございますが、その辺は現地の技術者と十分検討した上で、使用できるものなら使用するし、使用できないものなら、しばらくの間でございますので、がまんをしていただきたい、こういうように考えております。
  276. 古川雅司

    古川(雅)分科員 一般に国鉄沿線の住民の方々にいわゆる被害を及ぼした場合、これが実害である場合には国鉄は応分の補償をしていらっしゃるわけでございますが、いま例にあげましたこの問題の場合、こういうことが考えられます。     〔大村主査代理退席、主査着席〕 市道を一方通行にしなければならないし、従来駐車が自由であったのを規制しなければならない。それから騒音や振動がいままでよりも非常にひどくなる。そういったことで、精神的にはいろいろな影響もありますけれども、商店街にとっては、特に経済的な被害、売り上げの低下というような損害が当然考えられるわけであります。この算定の基礎というのは非常にむずかしいと思いますが、こういったものをいわゆる実害としてお認めいただけるかどうか、補償の対象になるのかどうか、今後の新しい問題の提起として御見解を伺いたいと思うのでございます。
  277. 長浜正雄

    ○長浜説明員 今回の工事は、さいぜんも申し上げましたように、都市計画事業でございまして、その上に新幹線が乗るというようなかっこうになっております。事業主体は県知事ということになっておりますので、県知事のほうの御見解も伺わなければならぬ、こう思う次第でございます。一般的に申しまして、実害を与えましたときには、これは賠償の責任に応ずることはもう当然でございまして、いままでの例からいいましても、そういう場合には、その実害を算定いたしまして賠償してまいってきておる次第でございます。     〔主査退席、大村主査代理着席〕 今回もその例に違わない、こういうように考えております。
  278. 古川雅司

    古川(雅)分科員 工事の主体は県、市であるということでございますが、当然国鉄としてもこれに何らかの考慮を加えていただかなくてはならないと思うのでございます。特に商店街は非常に小規模の業者が多いものでございますから、わずかの影響も神経質に憂慮しているわけでございまして、これをこういう方法で算定すればその工事による被害というふうに——工事、または一時架線を移しておりますね、その移したことによって起こってくる被害だというふうに認められるか、その点はいかがでございましょう。
  279. 長浜正雄

    ○長浜説明員 この工事は、県、市と申しましたけれども、国鉄もやはり一部の事業主体でございますので、県、市、国鉄よく相談の上で処理していきたいのでございますが、具体的にどうということはケース・バイ・ケースでございまして、概論的にこういうことということはなかなか申し上げかねるのでございます。たとえば、工事をやりましたために井戸水がかれるというような場合に、そのために水道を引かなければならぬというときには、その所要経費をお持ちするということはやってございます。その他、振動によりまして屋根がわらが落ちたとか、あるいは壁にひびが入ったというような場合には、それに対する損害賠償をする。いろいろな例がございますので、その場合場合によりまして、よく話し合って処理を進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  280. 古川雅司

    古川(雅)分科員 では、この実例を離れまして、一般的にこういう商店とか業者にいわゆる営業的な損失を与えた場合、その主体が国鉄であるとした場合、これはどのような基準でその営業損失というものを算出していくのか、簡単にお示しいただければけっこうであります。
  281. 長浜正雄

    ○長浜説明員 営業損失というのはなかなかわかりにくうございまして、これは営業の種類にもよりますし、あるいはまた地域にもよりますし、なかなか一がいに申し上げることは、いま概括的に言えと申されましても、ちょっと説明しにくいのでございまして、ケース・バイ・ケースで、実害がございましたら、それは算定いたしましてやるというより方法はないのでございます。ひとつその答弁でお許しをいただきたいと思います。
  282. 古川雅司

    古川(雅)分科員 新幹線が通るということ、またその二重高架によって市民の多くの人が利益を受けることは事実であると思います。しかし、実際にその沿線にいる近辺にいる商店の方、特に小規模な商店や業者の方々は、その多くの市民のためにそうした営業上の損失をこうむっていかなければならない。市あるいは県に対して、そういった損失の補償を申し入れていっても取り合ってもらえない、そういうような場合もままあると思うのでございます。こういった場合、先ほどの後の御答弁でお認めいただいたとおり、国鉄も一片の工事担当者としての責任を認めていただけると思ったので、ここまで伺ったのでありまして、この点、御答弁のように、ケース・バイ・ケースでこの福山市の商店の営業損失については御検討いただける、お考えいただけるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  283. 長浜正雄

    ○長浜説明員 さいぜんも申し上げましたように、実害がございましたら、それに対する補償はするつもりでございます。なお、つけ加えますと、先生御指摘の場所は、工事の間はいろいろの問題がございましょうけれども、完成いたしました暁は、新幹線あるいはこの高架によりまして、逆に非常なるプラスになるのではないか。損害どころではない、利益をうんと受けるのがこの地域じゃないかと思いますので、その点もひとつ御参考にいたしていただきたいと思う次第でございます。
  284. 古川雅司

    古川(雅)分科員 国鉄の高架下の利用の問題でございますが、これはたまたま私の目に入ったのは偶然かもしれませんが、高架下が放置されて、そこがごみ捨て場になったり、ネコや犬の死骸の捨て場になったり、非常に環境をそこねている場合を見るのでございますが、この点については、全般的な問題でございますけれども、いわゆる高架下の利用について、民間の希望があった場合、これを受け入れて許可するという、そういった利用計画というのはどうなっているのでございましょうか。
  285. 長浜正雄

    ○長浜説明員 高架下につきましては、われわれとしても、できるだけあいておるところはこれを活用していきたい、こういうように考えております。しかしなかなか全部活用するまでに至らない。中のほうもございまして、それの保守、管理はわれわれでやっていかなければならぬというような両面がございます。そこで、高架下につきましては、そういうことでございまして、利用できるものはできるだけ利用していきたい、そして、それを活用すれば、地域の発展のためにもなるし、国鉄の収益増にもなる、こういうふうに持っていきたいと思っておるわけでございます。また高架下をお貸しするについては、個人個人にお貸しするということは、いろいろトラブルがございまして、国会でも十数年前にそういう点の御指摘がございまして、その後国鉄も、いろいろ部外の権威者の方々から御意見を拝聴いたしまして、高架下管理の会社をつくりまして、それに一括管理させて、そしてきれいな高架下にする、すっきりしたものにするというような方針でいま進んでおるわけでございます。今後できます新幹線の高架下は、相当面積も広くなってまいると思います。これも国鉄が直接やりますのも、なかなか手が回りかねる。いま犬、ネコの死骸というようなお話がございましたけれども、それと、十分利用もしたいというようなことで、一括管理の方式を今後ともとっていきたい、こういうふうに考えております。  そうして、その利用の方法といたしましては、その地域が住宅地なのか、あるいは農業地帯なのか、あるいは商店街なのかというようなことによりまして、それに合うような高架下の利用方法をわれわれとしても考えていきたい、と同時に、本来、これは線路が上に通っておりますので、国鉄の運営上支障のない高架下の使い方、これがどうしても本来の姿だ、これは第一条件だと思います。運転保安上間違いのないという使用の方法で、地元のためにもなるし、あるいは利益にもなる、こういう使い方をしていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。     〔大村主査代理退席、主査着席〕
  286. 古川雅司

    古川(雅)分科員 高架下の利用につきましては、御答弁のとおり、公共の利益ということが第一だと思いますので、これはもちろん厳正な基準のもとに利用が許可されると思います。やはりこうした工事中に多くの迷惑をこうむるわけでございますので、その点はひとつ地元の沿線の住民の意思、要望というものを十分くみ入れて御考慮をいただきたいということを申し添えさしていただきたいと思います。  新幹線のいわゆる騒音、振動の問題でございますが、今度の山陽新幹線、そしてまたこれから工事を進めてまいります岡山以西の問題、この騒音、振動を幾らかでも減少するために、当然いろいろ技術的なくふうがなされていると思います。コンクリート橋の採用とか、防音壁あるいは軌道、車両の改良、こういった点、相当研究が進んでいるようでございますけれども、この効果についていかがでございますか。
  287. 長浜正雄

    ○長浜説明員 新幹線が発生いたします音につきましては、いろいろな場所でお話が出まして、われわれとしても、できるだけ音の少ないようにという努力をしてまいらなければならない。と同時に、その周囲への影響を少なくするというくふう、両方の面からやらなければならぬということで、国鉄の持っております各種の技術陣を動員いたしまして勉強しておるところでございますが、これだけの長大列車がこれだけの速度で走るということでございまして、非常に難問題でございます。しかし、われわれとしましては、わずかでもできることからやっていきたいということで実行しておるところでございまして、いま先生御指摘の、コンクリートまくら木を採用するとか、あるいはロングレールにするとか、あるいは道床厚を厚くするとか、あるいは発生する音を少なくするために車体の下をカバーするとか、こういうことをいろいろやっておるわけでございます。また、地方への影響を少なくするという意味で側壁を在来よりも高くするとか、こういうこともやっておるわけでございまして、これによりましての効果は、われわれとしては、あるものというふうに確信をしておる次第であります。
  288. 古川雅司

    古川(雅)分科員 これは国鉄の広島の新幹線の工事局からいただいている資料でございますが、そういった技術的努力については書いてございます。これは非常に意地悪な見方をすれば、これから工事の進められていく沿線住民の不安を単に精神的にやわらげるだけの説明ではないか。実際にこれだけの技術を取り入れて、これまでいわれてきた騒音、振動のいわゆる害がどの程度防げるのか、これからやってみないとわからないということでは、住民の皆さんも納得しないと思うのでございます。もう一つは、電波障害というような問題も、これは国会でも再三取り上げられてまいりましたけれども、この地帯に対して、実際こうした被害を受けていく沿線の方々に対してどういう態度で臨まれるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  289. 長浜正雄

    ○長浜説明員 振動につきましては、あるいは騒音につきましてもでございますが、ルートを選びますときにも、できるだけ影響の少ないようなルートを選びたいと思っておりますが、これは大きな半径を使わなければいかぬというようなことで非常にむずかしいのでございますが、岡山以西については、地質が東海道線とはだいぶ違いまして、いいようでございますので、その点くいを打ちましても、その結果、振動その他が伝わる率も少ない、こういうように私は技術的には考えられます。  また、電波障害につきましては、これは私たち専門でございませんので、NHKさんとよくお打ち合わせをしながら、この障害が起こらないように、少なくなるように、こういう努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  290. 古川雅司

    古川(雅)分科員 現在の東海道新幹線につきましても、騒音や振動等について苦情があって、そのままにされているところがかなりあるのじゃないかと思います。山陽新幹線のほうでこうしたいろいろな技術的なくふうがなされて、東海道と山陽を比べて効果があるということになりますと、当然これは東海道新幹線のそうした問題点も、すみやかにこれは改良をしていかなければならない、こういうふうに思うのでございますが、この計画はどのようになっておりますか。
  291. 長浜正雄

    ○長浜説明員 仰せのとおりでございまして、山陽新幹線で効果のありましたものは、できる限り東海道新幹線でも採用していきたい。在来のものを取りかえるときにそういう方向にもっていきたい。たとえばいままで五十キロレールでございましたけれども、これをもっと太いレールにしたほうが音が少ないということであれば、レールを今後交換するときには太いレールにかえていきたい。あるいは車両にいたしましても、新しい車両をつくるときはそういう方法を取り入れたい、こういうふうに考えております。  ただ、一番苦情のよく出ております鉄げたの問題でございますが、道床のない鉄げたがございます。これが非常に大きな音を発生するものでございまして、これは山陽新幹線の場合には、大きな川を渡るところ以外はそういう橋梁を使っておりません。ところが東海道の場合は、それをある程度使っておりますので、これの取りかえはちょっと無理でございます。これだけは東海道新幹線が何か大掃除をするときでないと、どうにもかえられませんが、そういうことはいまのところ考えられませんので、それはちょっと無理でございます。それ以外のできることからやっていきたい、こういうふうに考えております。
  292. 古川雅司

    古川(雅)分科員 大臣、ずっとお聞きのように、これから工事の行なわれる岡山以西の山陽新幹線の工事、それに伴う住民のいろいろな形での被害、特に私はきょうは、営業上の損失ですね、そういった補償についても伺いました。それから東海道、そしてまた、これから開通をしていく山陽新幹線の騒音、振動、あるいは電波障害、こういった住民の受ける被害についていろいろお伺いしてきたわけでございます。最後に、大臣からこうした問題点に取り組んでいく政府の姿勢について一言お伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  293. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 騒音防止あるいは振動等につきましては、技術開発が大事でありますので、国鉄も積極的にこれには取り組んでおるようであります。しかしながら、それに関しましても、ただいま御質問がありましたように、損害が起きた場合に補償の問題をどうするか、こういう問題が御質問中心であったようでありますが、御承知のように、公害問題もやかましいおりからであり、国民生活を守る義務を国は持っておるわけでありますから、今後ともそれらについてはできるだけ実情に応じて処理をしてまいりたい、かように考えております。
  294. 古川雅司

    古川(雅)分科員 時間でございますので、終わります。
  295. 大野市郎

    大野主査 古寺宏君。
  296. 古寺宏

    古寺分科員 国鉄総裁お尋ねをいたしますが、青森県には赤字路線というのが四線ございます。その中で黒石線というのがありますが、昨年、この黒石線を昭和四十六年の三月一ぱいで廃止をするというような通知が現地の市長のところに参っているようでございますが、この点について総裁はどのようにお考えになっておりますか。
  297. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 御承知かと存じますが、三年ほど前に国鉄諮問委員会という委員会から、全国の路線の中から八十三線区、二千六百キロ、これはすでに鉄道としての使命が終わり、ほかの交通機関でもって代替できる、廃止すべきものだというふうな勧告を受けております。黒石線はそのうちの一つでございます。たまたま、昨年の秋でございましたか、現地局長がかわりまして何か市にあいさつに行ったときに、何かの手違いで、期日を指定して国鉄限りでやめるような申し入れをしたようにちょっと聞いておりますが、もちろん私のほうといたしましては、大臣の認可がなければ営業の廃止はできませんので、その手違いはあとで取り消したはずでございます。しかし、われわれといたしましては、ただいまの黒石線につきましては、地元と十分御相談の上なるべく早く廃止したい、そして道路輸送その他に転換いたしたいというふうな気持ちを持っております。
  298. 古寺宏

    古寺分科員 昭和四十五年十月三十日に、日本国有鉄道秋田鉄道管理局長から黒石市長に対して、「国鉄黒石線の廃止申し入れについて」、こういう申し入れがございますが、これを撤回したわけでございますか。
  299. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 それは何か手違いでもって、廃止方について協議をいたしたいということの申し入れをしたつもりだったのが、何か廃止申し入れというように出てしまって、ちょうど局長がかわって市役所にあいさつに行ったときに、そういう話が出たそうであります。何か書面を、そういうような実際に合ったような書面に直したというように聞いておりますが、廃止申し入れというのは、廃止方について御協議をしたいという申し入れだ、こういうように了解いたしております。
  300. 古寺宏

    古寺分科員 これには、「四十六年の三月三十一日限り黒石線を廃止することといたします」、こうなっております。私は、こういうことがやはり国鉄の姿勢じゃないかと思うのですね。地元の住民のお話も聞かないで、一方的にもう赤字線は廃止するんだ。片一方ではどんどん赤字線を建設し、赤字駅をつくっておる。そうして、こういうところには全く国民を無視した一方的な通告を行なっておるわけです。  先日もこの黒石市長さんにお会いしました。赤字になるのが当然だというのです。不便な利用できないようなダイヤを組んで、赤字になるのは当然だという。こういう、サービスを全然行なわないで赤字にしておいて、そしてもう廃止するぞ、こういう通告をする。ちょうど切り捨てごめんと申しますか、こういうような行き方というものが今日までの国鉄の姿勢であったのではないかと思うわけです。  そこで次に、この青森県の八戸線というのがございます。これもやはり対象になっているわけでございますが、御承知のように、三陸沿岸鉄道というのをいまつくっておるわけです。これは一体、廃止した場合にどこでこれを結びつけるわけでございますか。
  301. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 現在、建設公団でもって建設中のいわゆるローカル線、私のほうはA、B、C線と言っておりますが、それが五十数線ございます。そのうちの約半分は、先ほど申しました八十三線区につながる線区でございます。私どもは、二十一世紀を目がけての将来の陸上交通を考え、また国鉄自体の財政状態考えますときに、これからつくる鉄道というものはやはり今後利用さるべき鉄道でなければならないという意味で、今後の新線建設については重点的にこれを行なうということが、すでに昨年の閣議においても決定されておりまして、今後、建設線については政府のほうで超重点的にいろいろおきめになると思いますが、それらと関連して、たとえばいまの三陸鉄道がその重点化のうちに入るか入らないかというような問題と関連してその問題はきまるべきことである、こういうふうに考えております。
  302. 古寺宏

    古寺分科員 そこで、八戸線を廃止するのかどうかということをお尋ねしたかったわけですが、次に、昨年も分科会で申し上げたのですが、下北半島の大湊、大畑線でございます。これはやはりいまの秋田の局長さんと同じようなコース、経路をたどっておるわけです。それで総裁の思いやりのある処置と申しますか、国鉄経営改善協議会というものができまして、四回くらいこれが開かれております。しかしながら、一向に内容が改善されておらない。これは大体何回くらい開いたら実際にダイヤの改正の問題あるいは——この下北線というのは、十勝沖地震がありまして、以前の状態に復旧していないわけでございます。そういう問題が、大体どのくらいこの会議を続けていったならば実際に改善の方向に向かっていくのか。八戸線の廃止の問題と大湊、大畑線の問題について承りたいと思います。
  303. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 八戸線につきましては、いま申しましたとおり、八十三線区の廃止路線の予定線に入っておりますが、先ほどのように、今後三陸鉄道をどうするかという問題と関連して、もし三陸鉄道が超重点の鉄道になれば八戸線をやめるわけにいかないということになると思います。したがって、もっぱら八戸線は今後の三陸縦貫鉄道をつくるかつくらないかという問題と関連してきめられることだ、こういうふうに思っております。  また、大湊、大畑線ですが、十勝沖地震でやられましたのは大畑線だけであります。大湊線は従前どおりやっておりますが、これはこの間から多少いろいろ問題がありまして、震災の復旧をしないままやめるということはアンフェアだということで、一応旅客輸送だけは戻したわけでございます。しかし、今後下北半島は日本の脚光を浴びて新しい産業立地の拠点になるというふうなときに、私どもといたしましては、この大湊、大畑線とその問題とどう関連して考えるかというふうな違った角度から考えるべきだ、これは小川原湖の開発だけでなしに、下北半島の開発と一緒に考えるべきだと思っております。ごく非公式ではございますが、県と思い切って共同経営する。たとえば現在やっております京葉の臨海鉄道あるいは神奈川の臨海鉄道、そういう私のほうと地元の府県との共同の会社の鉄道が十数カ所現在ございまして、いずれも非常にいい成績をあげておりますが、そういうふうな新しい地方との共同経営体制を考える。将来これはいろいろ発展する土地でございますので、たとえばどんどんもっと線路をふやさなければいかぬ、あるいはパイプラインをつくらなければいかぬという場合に、国鉄としてのいろいろな制約よりも、地方鉄道も県と共同経営でやったほうがいいのじゃないかという違った産業開発鉄道として見直し得るかどうかという問題が、この大湊、大畑線の将来性をきめるポイントだと思います。したがって、いまやっております協議会がいまほとんど平行線のような状況だというふうに聞いておりますが、私は、青森県として、今後もっと下北開発とこの大湊、大畑線の将来問題を結びつけて考えてほしいというふうに私の出先には言っておるつもりでございます。
  304. 古寺宏

    古寺分科員 昨年の分科会で私が陸奥湾、小川原湖の大規模工業開発のお話をいたしましたときに、総裁は、陸奥湾、小川原湖の大規模工業開発には、大畑とか、こういうところは入っていないというようなお話を私承りました。それで、新全国総合開発計画の中でいっておりますところの陸奥湾、小川原湖の大規模工業開発というのは大畑も含まれているわけでございます。そういう意味で、運輸省もたしかこれは調査をもう始めているのじゃないか、私はこういうふうに思うわけです。こういう開発の進んでいく地域、どうしてもその鉄道が必要な地域については、やはりいまから将来を見通していろいろ手を打っておかなくてはいけないのじゃないかと私は思うわけです。総裁はあの大畑線、大湊線にお乗りになったことがあるかどうかわかりませんが、いま行ってみられればわかりますが、非常に寒い。雪も降ります。そういう寒いさなかを、寒風に吹きさらされて三十分も四十分も一時間も待たなければ乗りかえができない、あるいは通勤には最も不便なダイヤである、こういうことを聞いております。あるいはまた、この開発と一緒に、いま大畑港という漁港が第四次漁港整備計画でもって非常に水揚げがふえております。これが大畑の駅から貨車輸送しますとどれだけ国民のために食糧確保ができるかわからない。運賃も安くなります。物価が高いということが今度の国会でも論議されておりますが、こういうものを改善しなければ、この大湊、大畑線の赤字というものは解決できないのじゃないか、私はこう思うわけです。ですから、私が申し上げたいのは、こういう赤字路線がたくさんございますけれども、こういう必要な路線にはまず総裁がみずからお出かけになって、その地元へ行って、まず汽車にお乗りになっていただきたい。そして、赤字路線、赤字路線というけれども、その欠陥がどこにあるのかということをまずお知りになった上でいろいろなことを判断していただきたい、私はこう思うわけです。そういう面からいいまして、私、大湊、大畑線は将来どうしても必要な路線であるというふうに考えておりますが、せっかくつくっていただきました協議会におきましては、この路線を廃止して自動車に切りかえた場合に、将来発展した場合どうするのか、こういうことを国鉄の方に質問いたしましたらば、それはもう廃止したときはすぐその路線をなくして、また発展したらすぐ施設をすればいいじゃないか、こういうような簡単な考え方で経営改善協議会なるものが行なわれているのです。これは秋田の場合といい、あるいはここはもう盛鉄でありましょうが、そういう国鉄の姿勢というものは、住民の声を全然聞いてくれないのですよ。一方的なんです。そういう面からいって、今後のこの大湊、大畑線について総裁はどういうお考えを持っておられるか、もう一回お伺いします。
  305. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 大湊、大畑線は、これは現実には過疎地帯でございます。しかし、今後小川原湖なり陸奥湾開発でもってどこまで伸びるかということは、これは青森県だけの問題としてではなく、日本全体がどこまでここに金を入れるかという問題になってくると思います。したがって、もしそうなって非常にここが資本投下がされるようになれば、このままの鉄道ではいけない。むしろ、たとえば小川原湖のほうには鉄道がございませんから、陸奥湾の中側よりももっと小川原湖のほうに鉄道を敷かなければならぬということが出てくるかもしれません。そういうふうに将来の下北と小川原湖の開発計画を早くつくって、そこでもって鉄道がどうあるべきかということがきまらない限り、鉄道だけ先走りしてしまってもだめであります。総合開発の中の一環としての輸送ルートとしてどう確保すべきか、いまのままでいいのか、いまのままで要らないものがあるかということを検討しない限り、いままであったからそのままでいいのだということにはならないと思います。要らないものは捨てる、要るものはつくる、こういう方向でいくべきだと思います。
  306. 古寺宏

    古寺分科員 ですから、私が申し上げたいのは、こういうダイヤの問題やいろいろな面があるわけです。あるいは十勝沖地震以前の状態に復帰されていないわけです。こういう当面やるべきことをなぜ国鉄さんは一生懸命やろうとしないのか。そういうことが私はどうも納得ができないわけなんです。その点についてお話をしていただきたい。  もう一つは、国鉄の営業収入計算というのを見ますと、発駅が一〇%、着駅の収入が六%、それから輸送収入というのが八四%になっております。こういう計算でいきますと、どんなに長距離のお客さんが乗りましても地元の収入は一向に伸びないわけです。これはどういう根拠に基づいてこういう計算をするのか。そしてまた、いわゆる国鉄の営業収入の計算方法というのは、一体どうなったらこういう路線は黒字に転換できるのか、そういう面からひとつお答え願いたいと思います。
  307. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 鉄道の線区別の経営計算、これは非常にむずかしい原理がございまして、世界各国大体共通なやり方をしております。日本でも有数な会計学者に集まっていただきまして、昭和三十年ごろから本格的に勉強いたしまして、いろいろ試行錯誤を続けながら、今日に至ったわけでございます。  いまおっしゃったような収入の分割の問題あるいは経費の分割の問題、資本費の分割の問題、いろいろ分割のしかたがあります。たとえば本線と大畑、大湊線とどのように野辺地の駅の経費を分けるかということ一つにつきましても、非常にいろいろ問題があるわけでございます。これらにつきまして、試行錯誤を続けつつ、三年に一ぺんずつぐらい結論を再検討しながら直してきているわけでございますが、現在やっておりますのは、昭和四十年でございましたかの原価計算の手続によりまして——当時黒沢さんという有数な会計学者を会長とした会ですが、その後その結果を検討しつつ、つい昨年の暮れ、一橋大学の番場先生中心とした日本の有数な会計学者十数名以上を集められまして、また新しい会計制度をつくる。これは根本的な改正にはなかなかなりませんが、大体、従来の会計制度、ことにいまの収入の分割の問題と経費の分割の問題、これをもう少し新しい角度から見直そうということでやっておりますが、しかし、いろいろ積み上げましても、本質的にはそれほど大きな変化はございません。結局、輸送量がふえて、発着貨物がふえる、発着のお客さんがふえるということにならない限り、こういうふうに資本費の非常に多いところではなかなか黒字にならないというような姿でございます。
  308. 古寺宏

    古寺分科員 いろいろございますが、あまりこれをやっておりますと時間がなくなりますので、経営改善協議会というのもございますので、今後そういう協議会を十分に活用して、そして現地の人の声も十分に聞いた上で、経営の改善をはかっていただきたい、こういうふうにお願いしておきます。  次は土地の問題でございますが、国鉄では累積赤字が四千百三十七億かございまして、一日の利息だけで四億四千万もかかるそうです。こういう赤字を解消するために今度遊休地の処分をなさるそうでございますが、その遊休地の処分の中に、青森市の東北本線の南方移転に伴うあと地が載っているわけでございます。このあと地につきましては、もう四年ぐらい経過しておりますけれども、一こうにこの進展を見ていない、こういうことが言われているわけでございますが、国鉄の方針によりますと、土地管理委員会を設けて、二年間以内には全部その切り売りと申しますか、競売をするのだ、というようなことも報道されております。そういう面からいって、この東北本線の南方移転に伴う青森市のあと地問題については、総裁はどういうふうにお考えになっておりますか。
  309. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 あの土地につきましては、私非常によく経過を自分で知っておりますので、私からこまかいことなど御答弁申し上げます。  いろいろな最近の状況から申しまして、昨日も御質問がございましたが、一体ことしの予算の資産充当六十億を、おまえはたしてやれるかという強い御質問もございました。私は、何とかして不用財産を売り払って六十億だけ確保したいと答弁申し上げました、この六十億の中にこの青森の問題も入っております。もちろん、私のほうから申しますれば、高く売れればいいというならば、これは青森市でなしに公開競争入札をして、一番高く買ってくださる方に売るのが一番いいのかもしれませんが、この土地につきましては、すでに前から、青森市から何とか道路に譲ってほしいというお話がございましたので、ひとつ道路にお譲りしよう、しかし、値段については適正な価格でいこうじゃないか、ただ同然のような払い下げは困る——しかも私のほうは、この南方移転のほうの線路の土地は全部時価で買っているわけでございます。新しい線路のほうを時価で国鉄が買っておきながら、古い線路のあと地を国鉄がただ同然で払い下げるということは絶対にできないわけでございまして、私どものほうは、払い下げのことをきめる際に、青森市が国鉄の土地管理委員会の評価を尊重するということを一札お入れなさい、そうすればお譲りしましょう、その後値段をきめましょうということであったのですが、どうしてもお聞きにならない。どうしても値段を出してくれとおっしゃるものですから、私のほうも相当大がかりな土地管理委員会を置きまして、そうして十数億の評価をいたしました。それに対しまして青森市側は、わずか二億とか三億とかいう、全然けたの違う値段をつけてこられました。これでは話にならないということで、いまいろいろ折衝中でございますが、たまたま冬になりまして、非常に国鉄が混雑いたしまして、警察当局から冬の降雪時だけはひとつあの部分を貸してやってほしいという話もございましたので、これは交通安全という立場から、よろしい、この問題は一応抜きにして、必要なところだけお貸しして交通の安全をはかっていこうということで、ごく一部分でございますが、いまお貸しして道路に使っております。しかし、だからといってそれをそのまま使われては困るので、私のほうとしては、私のほうの評価を尊重して青森市が早く値段をきめて、そうしてせめて道路なりそのほかの用途に使われることを希望してやまない次第でございます。なかなか話が進みません。私のほうとしては、一刻も早く話をつけて、そうして収入を確保したい。昨日申し上げたと同じでございます。
  310. 古寺宏

    古寺分科員 磯崎総裁は、青森の東北本線あと地については一銭もまけるわけにはいかない、一銭もおまけできない、こういうようにおっしゃっていらっしゃる。そういうことが盛んに新聞に載っているのですね。このいわゆる一銭もまけるわけにいかぬという理由ですが、ただいままでのお話を聞きますと、まだお話し合いも十分でないようでございます。やはり土地の売買でございますので、売るほうと買うほうがお話し合いをしなければきまらないことではございますけれども、しかし、一銭もまからぬという態度で臨むのか、話し合いによっては何かそこに妥協点を見出して臨むのかという、その心がまえと申しますか、そういうことによってお互いの交渉というものが接近できるのじゃないか、私はそういうふうに思うのですが、先ほどの秋田の管理局長さんといい、あるいはかつての下北の大湊、大畑線に対する態度といい、昔のかごに乗って歩いたお殿さまが僻地にいる農民の人たちと話をするような、何かしらそういうような感じを私は抱くわけでございます。一銭もまからぬ、まけるわけにはいかないのだという理由でございますね。それをぜひお聞かせ願いたいと思います。
  311. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点は、先ほど申しましたとおり、元来この話は、値段をきめないで、そうして両方で国鉄と譲渡契約を結んで、そうして土地管理委員会の評価を尊重するということでいこうじゃないかというのが私どもの原案でございましたが、どうしてもいやだとおっしゃる。それならば私のほうでは値段を出しますよ、それでもよろしゅうございますか、こう申し上げたら、けっこうです、というようないきさつでこういうことになっているのでございます。したがって、私どもといたしましては、土地管理委員会で一応評価いたしましたことは現在の時点におきましてはまけるわけにいかない、それは当然のいきさつだ、私はそう思っております。何も、私のほうが殿さまぶってあれするのじゃなしに、むしろ私のほうとしては、なるべく市に一括して差し上げたいという気持ちで売買の交渉を初めからしておったわけでございます。何か市側に感情的なことがあったのが非常に残念でございますが、かまえとしてはそういういきさつ上そういうことを申している、これは当然のことだというふうに私は思っております。
  312. 古寺宏

    古寺分科員 この土地の売買の、払い下げの問題につきましては、青森市が窓口になって、そうして建設省あるいは県が青森市と国鉄と交渉をしてこの問題を解決してもらう、こういうふうに話し合いがついて交渉が始まったようでございます。そういたしますと、いまの総裁のお話を聞きますと、何か県も建設省も三者全部話し合い対象にならぬのだ、全然一銭もまけるわけにはいかぬのだ、こういうように聞こえるのでございますが、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  313. 長浜正雄

    ○長浜説明員 われわれとしては建設省、それから県、市それぞれと交渉してもいいのでございますけれども、向こうさんが三者それぞれで交渉するのもどうかということで、窓口として市が交渉して、市の言ったとおりに県と建設省は動く、こういう話し合いになっておるようでございます。われわれは市を一種の代理人として交渉しておるわけでございます。したがいまして、市と話がつけば県と建設省はそのままそれを実行する、こういうことで話し合いがついております。
  314. 古寺宏

    古寺分科員 国鉄対青森市、青森県、建設省、こういうことになるわけですね。そうすると、国鉄総裁はその三者に対しては一銭もまけるわけにはいかない、こういうふうに言明なさっています。そこで、国鉄の中には内規がございます。たとえば道路の部分は一割引きするとか、あるいは緑地公園は五割引きするとかいろいろございますね。そういうような運用のしかたによっていままでは円満な解決を見てきているようでございます。ところが、青森市の場合をいろいろ検討してみますと、こういう修正がまだ十分にされていない。それで私は国鉄の担当の方にいろいろお聞きしました。総裁はこれ以上まからぬと言っているけれども、そうなのかと言うと、そうなんだと言う。そして、いろいろよその参考資料を私はぜひ見せていただきたい、比較をしてみたいと申し上げましたら、なるほど鑑定した評価委員会できまった値段どおりにそのまま払い下げをした資料だけを持ってまいりました。ところが、よそのいろいろな地域を調べてみますと、そうはいっていないわけです。いろいろ弾力的に運用されているわけです。なぜ青森市だけそんなふうに固執しなければいけないのか、私は私なりにいろいろ調べてみました。そうしたら、私は過去のことは知りませんが、かつて青森に管理局を誘致するときに、青森に鉄道管理局ができる予定であったものが、いまの総裁のときにそれが途中でひっくり返って別なところへ移ってしまったんだ、だからいまの国鉄総裁はアンチ青森で、全然青森には冷たいんだ、こういうことを私は聞いたのです。これは青森市内の古い住民の多くの人はそうおっしゃっています。これはお聞きになればわかりますよ。しかしながら、私はこれはそういう問題ではないと思うのです。ほとんどの土地が道路に使われる。先ほど総裁は、一部分は交通を緩和するためにお貸しした、こう申しております。ところが、もとの浪打駅から野内橋のところまでございますね。この区間を冬期間使わせてもらえればどれほど助かるかわかりませんよ。浅虫まで三時間かかるのです。しかもそこを国鉄のバスが走っているじゃありませんか。こういう交通事故を起こしたり交通を渋滞させるようないき方ではいけないんじゃないかと私は思う。これも調べてみました。そうしたら、十三億七千万円という国鉄のこの価格をのむならば、尊重するといえば貸してやるけれども、それ言わぬうちは貸しませんといって、とうとうことしの冬は貸してくれなかった。地域の住民は、あるいは学校へ通っている子供は、また子供を持つ親はどういう気持ちでいらっしゃるか。総裁は御存じですか。私は、こういう姿勢というものを改めない限り、今日のこの国鉄の赤字というものは解消できないと思う。そういう点におきまして、もう時間になりましたので終わらなければいけませんが、この問題をもっと紳士的に、もっと住民の立場も考えて、そして弾力的に今後この解決に当たられるお考えがあるかどうか、あくまでも一銭もまからぬというそういう態度でいらっしゃるかどうか、それをお聞きしたいと思うのです。
  315. 長浜正雄

    ○長浜説明員 事務的に一言申し上げます。  この評価委員会で割引率も一緒に評価をしてもらっておりますので、この青森市の場合に関しまして、割引率を割り引きしてないとか、それを取捨選択できるんじゃないかというようなお話につきまして、そういう点問題になりましてはいろいろむずかしい問題でございますので、そういう道路認定したところは何割にする、あるいは道路に使用するところは何割引きにするというようなことを含めまして、この第三者の評価委員会でお願いした次第でございます。これによってやりたいとわれわれは考えておる次第でございます。
  316. 古寺宏

    古寺分科員 総裁から。
  317. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私がたいへん青森県に冷たいとかあったかくないとかいうお話でございますが、私は、実は、東北本線の複線、電化で青森県にすでに二百億以上の金を投資した急先鋒でやった責任者でございまして、たいへん心外でございますが、そういう評判があるといたしますれば十分注意いたさなければならぬと思います。  ただ、この土地の問題につきましては、もう昨日も、御質問の方から、ほんとうに確保するのか、資産充当六十億やれるのかというずいぶん強い御意見もございました。ほんとうにおまえはきちっと売るんだなという強い御意見もございますが、私どもの財政状態もございますので、いままでの財政状態がよかったとき、非常に公共的な立場のしんしゃくができたときと、私ども職員の月給も払えるか払えないかわからぬという時代と若干考え方が違う。私どものほうの立場も考えながらものを売るときには売らなければいけない。若干情勢が変わっていることも御了解願いたいと思います。私もできるだけ紳士のつもりでやっておりますが、誤解のないようにお願いいたしたい、こういうことでございます。
  318. 古寺宏

    古寺分科員 時間ですから終わります。
  319. 大野市郎

  320. 浦井洋

    浦井分科員 私は、空港周辺の航空公害、特に騒音の問題にしぼってお尋ねしたいと思うのですが、まず大臣に基本的な問題についてお尋ねしたいと思います。  御承知のように、現在伊丹空港の騒音の問題で、大阪の地裁で裁判が行なわれておるわけなんですが、その裁判記録を読んでみますと、残念ながら、運輸省は大体一貫してこういう精神で臨んでおられる。被害と騒音との相関関係というものははっきりしておらないというような前提で、たいした被害はないんじゃないかというような態度をとっておられるように私はお見受けするわけなんですが、しかし、実際に訴状を読んでみましても、被害を受けている住民の側からはいろいろと問題が出ておる。心身の被害、家庭生活の被害、テレビ、ラジオ、電話が聞けない、見えない、子供の発育に悪影響がある、仕事の能率が低下する、家庭が破壌されるというような切実な訴えがなされておるわけなんです。  私は、ここに一つ資料を持ってきたのですが、これは、そういう現在生まれておる人間だけでなしに、胎児にも非常に大きな影響を及ぼすというデータがあるわけなんですが、これは神戸大学の工学部と医学部の学者が共同研究したものです。簡単ですから読んでみますと、「母体から胎児への系として考えられるものは、ストレッサーとしての騒音が母体の自律神経および内分泌系に変化をひき起し、その変化が、順応性を生ずる胎児の自律神経ないしは内分泌系の発達に影響があるのであろう。」、飛ばして、「特に妊娠前半期のストレスが、死産、畸型、未熟の原因とされている。これらを総合すると、ある程度以下の騒音には生後順応するが、それ以上となれば、全く悪い方向に向うであろう。」、こういうような学者の研究発表もあるわけなんですが、そこでお尋ねしたいのですが、こういうような実情を大臣としてはどういうふうに認識をしておられ、そしてどう対処していかれようとしておるのか、その点についてまず最初にお聞きしたいと思うのです。
  321. 内村信行

    内村(信)政府委員 私から……。騒音の問題でございますけれども、現在大阪におきまして、騒音の問題で訴訟が起こされておることは私も存じております。ただ、その詳しい内容につきまして、手元に資料がございませんのは残念でございますが、大体航空機の騒音が人体の健康に及ぼす影響については、現在なかなか明確でないというふうに考えられております。しかし、生活環境を阻害する原因であると考えておりまして、そのような態度で訴訟に臨んでおるようなわけでございます。
  322. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、騒音が胎児にまで影響するであろうということは、学者でなくてもある程度想像はできます。ただ、いま航空局長が言いましたように、どの程度までどうという問題になりますと、これは学者の意見といいましょうか、判断にまつという以外にないと思いますが、ただ、現代人は、御承知のように、かなりそういうものについて鋭敏になってきておりますから、やはり相当障害のあることも考えられます。従来、騒音に対するいろいろの規制を行なったり、あるいはこれ以上の騒音に対してはこうこうと、こういうような規定をつくって、できるだけ被害者救済といいますか、そういう措置をとっておるわけですが、だんだん実はこういう問題はできるだけ拡大していくべき方向でしなければいかぬと思います。また一方において、飛行機自身も、かなり今度アメリカあたりではやかましくなってきておりますから、そういう意味において、飛行機のいわゆる開発の上においては、そのような悪い副作用を伴うような開発は好ましくないというのが最近の新しい学者の意見でありまして、当然このようなマイナス面ができる場合は、このマイナスを救済する新技術が伴わない意味での開発というものは開発じゃないという意見もあるくらいでございますから、飛行機の面においても、当然そういうものが開発されていくでありましょうが、現実問題としては、被害があるわけでありますから、現在の規定は、いま直ちにいつから拡大するか、こういわれますと、いろいろ財政上の都合もあり、その他の問題もありますからできませんが、方向としてはこれは拡大して、できるだけ住みよい社会をつくる、こういうことが、これは政治のいき方である、こう考えております。
  323. 浦井洋

    浦井分科員 規制を拡大したいという大臣の御意見、全く私もそうだと思うのですが、その点でもう少し突っ込んで大臣の御意見を聞きたいのですが、現在、公共用飛行場周辺の騒音の防止法ですか、これと、騒音に関しては騒音規制法があるわけでございますけれども、しかし、大臣もいま言われたように、その公共用飛行場周辺の騒音の防止法というのは、これはあくまでも、損害を受けた場合の補償ということになるわけで、騒音そのものを規制するというような性質の法律ではないというふうに私、考えるわけです。騒音規制法の場合も、これは航空機、それから鉄道、こういうものは入っておらないわけで、そこで大臣、予算とかいろいろ困難な問題があるようでございますけれども、やはりどうしてもこの際、この二つの法というものは改正をして、ほんとうにその被害を受けておられる方々に補償するだけでなしに、やはり騒音を防止するというような十分な措置がとれるように、私は改めるべきではないかというふうに思うわけなんですが、引き続いて大臣に御意見をお伺いしたいと思うのです。
  324. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま規制はあるのですが、その規制ではなかなか、だんだんと家が密集してきたり、それから先ほど申しましたように、人間社会生活において敏感になってきたりして、その規制だけでは十分な満足感が得られない、こういうことなんです。そういうことからして、今度は環境庁が発足しますから、その面で、いわゆる地域住民といいますか、国民生活の上において、公害といわれるものはどういうところまで規制しなきゃいかぬかとか、これは当然自動車排気ガスの問題もありますし、騒音問題も当然環境庁でも考えられると思います。そういう意味において、現在やっております規制は、まあ平たくいうならば、これぐらいまではがまんをしてもらえるのではなかろうかと、こういう消極的な規制といいますか、また、それに伴う財政措置もございます。そういう意味では必ずしも十分に地域住民の生活を守っておるとは言えない面もあろうと思います。しかし、人によっては、感受性が違いますから、Aという人は、まだ大きく音がしてもだいじょうぶだという人もございましょうし、Bという人は、これでもまだとてもひどいという状況のいろいろな差はありましょう。しかし、それはそれといたしまして、できるだけ多くの人たちが、一〇〇%できなければ九九%の人が満足できるような規制が進んでいくことが、これはもう政治の進行方向であり、また、そういうようなことを考えていくべきであると思います。そういう意味において、いわゆる今後そのような規制を行なう場合に、積極的な姿勢で、いわゆる公害防止といいますか、騒音の防止対策の上からも、国民生活を尊重するというたてまえで進めてまいりたい、こう考えます。
  325. 浦井洋

    浦井分科員 その点についてはそのくらいにいたしまして、そこでもう一つ重要な問題があるのです。現在、航空騒音で非常に大阪空港の周辺の方たちは悩んでおるわけなんですが、私は、現在の条件の中では、この根本的な解決は、伊丹から飛行場を公害が起こらないような安全なところに移すしか方法がないのではないか、こういうふうに思うわけなんです。これは私自身が考えるだけでなく、政府機関一つであるところの兵庫行政監察局も同じような見解を抱いておられる、こういうことなんです。これを簡単に説明さしてもらいますと、大阪空港の騒音問題を取り扱っておるところの大阪地裁の第三民事部の裁判長から提出を求められて、そうして行政管理庁の行政監察局が送付した文書であって、証拠書類として受理されておるということなんで、これも大臣もこの件はよく御存じだろうと思うのですが、昭和四十五年の十月二十七日付で兵庫行政監察局長行政管理庁行政監察局長あてに送付した「大阪国際空港における航空機騒音の実態」についての「行政に関する重要事項報告書」こういうことになっておるわけです、この証拠資料が。それで、その中にどう書いてあるかといいますと、これは非常にわかりにくいので書き出したのですが、「現在とられている対症療法」——いま大臣が言われた、局長さんが説明されたようなのは、対症療法だと言っている。「(航空機騒音障害防止法による防止工事の実施、家屋等移転補償の実施およびテレビ受信機の助成金交付など)には限界があり、」——対症療法には限界がある。「根本的には市街地から空港を移転すること(関西国際空港の早期建設)が必要となるが、」云々と、こういうふうに書かれておるわけなんです。これは部内資料であるけれども、とにかくこういうふうにはっきりと書かれておるわけなんで、いえば、学校であるとか病院、こういうところに二重窓をするというようなこそくなやり方では何ともならぬ、対症療法にすぎぬ、空港を移転しなければ根本的な解決にならないということをはっきりと報告をしておるわけなんですが、そういう点で大臣、この大阪空港の伊丹からの移転についてひとつ御見解をお聞きしたいと思うのです。
  326. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 大体皆さんもお聞き及びと思いますが、関西に関西国際新空港といいますか、これを運輸省では昨年以来調査をいたしておるわけでありまして、少なくとも四十六年度中には候補地をきめたい、原則として海上にこの候補地を求めたい、こういう考えから目下やっております。しかし、関西新空港ができましても、伊丹空港を廃止するというわけには、現在の航空界の情勢から見てできないわけです。ただ、いわゆる飛行場の使い方はあると思うのです。飛行場の機能別使用といいますか、たとえば国際空港、要するに大型ジェット機は伊丹からはずすとか、あるいは伊丹の飛行場を使うような飛行機については、騒音にできるだけシビアな制限を与えるとか、できればYSのような非常に音の少ないものがいいのですが、YSばかりというわけにもいきますまい。しかしながら国際線の飛行機はそちらに持ってまいる。こういうように、いろいろ機能別に飛行場を使うということで、伊丹の飛行場の積極的な改善も可能だと思います。  ことに最近、STOLという、これは長距離には向きませんけれども、最近の一部の人の考え方ですが、ここ一両年のうちに二十人乗りのSTOLが開発される。しかも滑走路は六百から七百メートルである。これらは非常に短距離、五十キロとか百キロ飛ばす。そのためには飛行場を中心に全国ネットワークをつくったほうがいいのじゃないかという意見もありますが、そういうふうに、飛行場は多々ますます弁ずというのが現在の傾向であります。したがって、伊丹空港を新国際空港ができたらやめる、こういうわけには実際上まいらない。ただ機能別によって、少なくとも地域住民のいわゆる障害をできるだけ少なくし得る見込みは私はあると考えております。
  327. 浦井洋

    浦井分科員 次に、例の問題の関西国際空港に移りたいのですが、現在運輸省として正式に出されておる資料はこれだけだというふうに私は理解しておるのですが、そうですね。——その一九ページを見ますと、「位置選定の条件」というところがあって、aからずっと書いてあってhの項に、騒音の問題で、「騒音被害の問題の起らない位置、地形であるか、または滑走路の方向選定等によって、この問題を殆んどなくすることができる」というふうに書いてあるわけなんです。現在、いろいろな新聞報道によりますと、関西新空港の最も有力な候補地は神戸沖だというふうに報道されておるわけですが、神戸沖の場合、このhの条件が現在の調査の結果満たされておるのかどうかという問題をお尋ねしたいわけです。私、運輸省調査結果を新聞報道などから見ますと、大体神戸市街地で最大八十ホンだというふうなことが書かれておるわけなんですが、この最大八十ホンであれば、一体このhの条件を満たすことになるのか、あるいはそこに書かれておる、ほとんど騒音をなくしたというふうに見なすことができるのかという問題についてお尋ねをしたいわけです。
  328. 内村信行

    内村(信)政府委員 新関西空港につきましては、まだ位置の選定ができておりませんので、どこそこにおいてどうこうということは申し上げられません。したがって、いまお尋ねの件について、ざっぱくではございますけれども、お答え申し上げますと、騒音をなくすためには、大体飛行機が海から入ってまいりまして海のほうに出ていくというふうなことをいたしまして、人家の上を飛ばないように滑走路の方向なり何なりをもってまいるというふうに考えておるわけでございます。滑走路の方向につきましては、騒音はわりに比較的広範囲にわたって広がりますけれども、滑走路に並行した部分にはあまり大きく広がりません。したがいまして、ある程度沖合いに離しまして、岸と平行なふうに滑走路を持っていきますと、ほとんど人家には影響がなくいけるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  329. 浦井洋

    浦井分科員 八十ホンという点はどうですか。
  330. 内村信行

    内村(信)政府委員 八十ホンというのは、これは頻度にもよりますけれども、ある程度の頻度がありますと、やはり騒音の範囲に入るというふうに考えております。
  331. 浦井洋

    浦井分科員 ある程度の範囲というのは、市街地も含めて……。
  332. 内村信行

    内村(信)政府委員 私、申し上げましたのは、飛行機の騒音の場合には、高度と頻度と、両方が一つの要素になりまして、それによって一定の生活環境に対する被害云々ということになりますので、頻度にもよりますけれども、一応八十ホンというのは騒音として考えられる、こういうのであります。
  333. 浦井洋

    浦井分科員 時間がないのであれなんですが、騒音規制によれば、大体夜でも住宅地で四十五ホン以下ということになっているわけなんですね。これは八十ホンに押えられるだろう。でもやはり四十五ホンよりは上になることは間違いないというふうに私は思うのです。八十ホンといいますと、大体地下鉄の車内、それから関西でいいますと大阪の梅田の雑踏にあたるわけなんですが、これは断続的であるとはいえ四六時中飛行機が飛ぶということになると、騒音問題はやはり根強く残るというふうに私は思うわけなんですが、そういう点でどういう対策を立てておられるのかということをお聞きしたいと思います。
  334. 内村信行

    内村(信)政府委員 先ほど申し上げましたように、八十ホンというのはやはり騒音の中に入るし、いわゆる航空機騒音防止法におきましても補償その他の対象になっております。したがいまして、八十ホンにもなるようなことはしない、人家の上に八十ホンのような音が伝わることはしないというような方法で考えておるわけであります。
  335. 浦井洋

    浦井分科員 八十ホンまでにはしないということなんですね。——「空港の科学」という書物があるわけなんですが、私、それを読んでいて気がついたのですが、この関西新空港は、大体東京では羽田、成田に続いて第三の空港をつくられる。しかし、関西では第三の空港の建設は現状から見て不可能だというふうに書いてあるわけなんです。そうすると、いま予定されておる、計画されようとしているこの関西新空港というのは、関西地区では最後の大型の空港建設ということになるように思うのですが、この点は、そうなんですか。
  336. 内村信行

    内村(信)政府委員 これはまた将来十年、二十年先のことはちょっとわかりかねますけれども、関西新空港をつくりますと、まあ当分の間はそういうことだというふうに私は考えます。
  337. 浦井洋

    浦井分科員 当分の間はそういうことになるだろうということになりますと、このパンフレットにも、いろいろなところに書いてあるわけなんですが、将来は大量高速輸送の時代になるし、当然航空機はより速く、より大型になる、そしてSSTとか、HSTですか、そういうようなものが開発されるというふうに書いてあるわけなんです。この関西新空港の予定を見ますと、四千メートルの滑走路が四本できるだろうというふうなことなので、これは、そういうふうに見ますと、ごく近い将来のSSTなんかの使用にも十分耐えられるのではないかというふうに思うわけなんですが、そういうような非常に長期的な、非常に将来性を持った国際空港であるということになれば、これはやはり当然SSTも入ってくるわけなんですね。
  338. 内村信行

    内村(信)政府委員 まだ実はそこまではきめておりませんで、将来、場合によってはそういうものも入るかしれませんが、そこまではまだはっきりした結論を持っておりません。
  339. 浦井洋

    浦井分科員 入ってくるという可能性もあるわけなんですね。
  340. 内村信行

    内村(信)政府委員 あるいは代替空港その他入る可能性もあるかもしれません。
  341. 浦井洋

    浦井分科員 SSTが入ってくる可能性もあるということになると、騒音対策というのは基本的に質の異なった問題、対策が立てられなければならぬというふうに私は思うのですが、現在運輸省考えておられる騒音防止対策、法規の面も含めた騒音防止対策で、一体そういうような場合の騒音を防げるのかどうかという点をお尋ねしたいわけなのです。  というのは、一月の二十二日に航空局の方が大阪でこういうふうに言っておられる。いろいろずっと言われて、衝撃波についてはまず心配なかろう、しかし、SSTの騒音については、現在の大型ジェット機よりも大きくなって、これが三年あるいは五年以内に小さくなるということは考えられないというようなことを言っておられる。これはもう住民はこういう記事を見て非常に心配されておるので、ひとつ住民の心配を私は代表して局長さんにお尋ねしたいのです。
  342. 内村信行

    内村(信)政府委員 SSTの問題でございますが、これは目下開発中の問題でございまして、どの程度の騒音が出るかは全くわからないといったほうが正しいと思います。それで、SSTの開発もだんだんおくれておるというのが実情のようでございますが、そのおくれている理由といたしましては、この騒音問題がなかなか解決しないということも一つの理由のように聞いております。したがいまして、逆に申しますと、SSTができまして、それが実用になる場合には、やはり騒音問題は相当解決されて、現在の普通の飛行機と同程度のものにならなければ実用にならないのではあるまいかというふうに私ども考えております。
  343. 浦井洋

    浦井分科員 時間がないので先を急ぎます、たくさんお聞きしたいと思うので。  神戸にできる場合に、神戸沖海上ということになると思うのですが、船舶の航行の安全対策ですね。それから一緒に聞きますけれども、そういう巨大な島ができるので、海流に及ぼす影響であるとか、できたあとに地盤沈下が起こる、これについての研究。地盤沈下というのは底の海底の沈下の研究とか、この辺の研究がどうなっておるのか、それから将来の見通しはどうなのか。
  344. 内村信行

    内村(信)政府委員 まず航路との関係でございます。これは先生御指摘のとおり非常に重要な問題でございます。したがいまして、現在つくった場合に一体航路とどういうふうに調整できるか、あるいは港湾との調整はどうなるか、あるいは港湾を一緒に建設する必要はないだろうかというふうなことを研究しておりますけれども、さらに今後の地盤沈下の問題、これはある程度地盤沈下があるのではないかというふうにいま考えられております。その点につきまして現在調査を続行しておるという段階でございます。いずれにいたしましても、こういった問題がある程度の解決がつくというめどがつきまして、初めてこれが可能であると思います。
  345. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま浦井さんの御質問航空局長の話とを合わせてしまうと、何か神戸空港を前提にしてお聞きのようですが、こちらのほうはそうではなく湾内ですね。海上につくるようなことを言っておりますから、どうか神戸沖につくることを前提にしての考えでないことをここで断わっておきます。まだ神戸沖につくることが最有力な候補ということではありません。三つ、四つ候補があるわけでありますから、それらを平等にいま検討しておるということをまず念頭に置いていただきます。
  346. 浦井洋

    浦井分科員 有力くらいのところなのですか。
  347. 内村信行

    内村(信)政府委員 これについては、まだ全くどこが有力ということはきまっておりません。
  348. 浦井洋

    浦井分科員 先を急ぎます。そういう点で数多くお尋ねしますが、もう一つ公団方式でやるのかという点ですね、それからその場合の資本の調達の方法、それから民間のディベロッパーを活用するのかどうかという問題それから港湾設備が合併されるのかどうか、その四つをちょっと簡単にお答え願いたいのです。
  349. 内村信行

    内村(信)政府委員 これも結論を申し上げますと、まだ研究段階でございます。
  350. 浦井洋

    浦井分科員 非常に簡単過ぎるわけなんです。もう少し色をつけてお答えを願いたいと思います。
  351. 内村信行

    内村(信)政府委員 どうも失礼いたしました。形態といたしましては、やはり公団形態がいいのではないかというふうに一応考えております。ただ、公団の場合におきましては、いろいろ公団の出資形態、それから地方公共団体の分担率あるいは債券の発行とかいろいろ問題がございますので、そういった形態につきましてはなお研究中でございまして、まだきまっていないという状況でございます。
  352. 浦井洋

    浦井分科員 ちょうど時間がもう一分ほどなので、最後に結論じみたことを申し上げて、大臣の御意見をお聞きしたいのですが、とにかく大事業だと思うのです。当然地元の協力が必要になってくるというふうに私、考えるのですが、大臣は、神戸沖はまだ白紙だというふうな御意見、注釈をつけられたわけなんでございますが、実際の運輸省の動きをずっと見ておりますと、これは私の端座憶測かもわかりませんけれども、関西の財界とは非常によく相談をされておるように思うわけなんですが、自治体、たとえば神戸市などはいまのところ正式には一言の相談も受けておらないということになっておるわけでございます。肝心かなめの神戸市、阪神間をはじめとした地域の住民の方々は、これはそれこそ全く何の相談もいまのところ受けておらないわけでございます。ところが、つい先日、二月二十三日に丸居飛行場部長が関西へ行かれて、神戸でこういうことを言っておられるのですね。これは時事通信の記事なんですが、新空港騒音対策については十分に考慮しており、こうした方針を見きわめずに早々と反対運動を行なうのは迷惑だ、こういう発言を百五十人か二百人の人を前にして行なっておるのですが、これは住民にとりますと、こうした方針といいましても、どうした方針かさっぱりわからない。だからこそ早々と運動を起こしておるわけなので、この丸居部長の発言というものは、全く住民無視の本末転倒した精神の発言だと思うわけで、そこですべからく運輸省は、そういう候補地の住民の方方にも騒音などのいろいろな調査をされておるわけですから、そういう結果を公表して、資料も公開して、そうして十分な話し合いをすべきだというふうに私は思うわけなんです。もしほんとうに安全なものならば、それぞれの地域の住民の方々は納得するでしょうし、少しでも危険性があれば、この計画というものはもう一ぺん再検討されるべきだというふうに私思います。民主主義というものはそういうふうなものだと思うわけなんで、だから、住民の意向を無視して絶対に危険性のある計画を一方的に押しつけるというようなことはあってはならぬ、こういうことを強行するならば、現在混乱しておる成田空港の二の舞いになるのではないかというふうに私は思うわけで、この点は、住民との関係という点できわめて重要だと私は思いますので、住民との協力の問題を中心として最後に大臣の御見解をお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  353. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 原則論としてはごもっともな御意見であります。ただ、たとえばいまおっしゃったような神戸の市民にいろいろ説明しますと、何かきまったような感じを抱きまして、かえって誤解を生む場合もありましょう。もしいろいろ検討した結果ほかにいったとき、何だ方針を変えたじゃないかというようなことを言われるのも困ります。しかし一般論として、先ほど持っていらっしゃったパンフレットでは十分でないかもしれません。できるだけ一般論として詳しく、皆さんに広く、これは神戸だけでなく、大阪湾内の至るところの人々に理解してもらうというようなPRといいますか、理解を深める措置は必要だろうと思いますが、まだ一つはそこまでは至っておらないということもありましょうが、足らぬところもあるかもしれませんから、積極的に航空局当局が関係方面にも理解をしてもらう、こういう措置はやってまいりたいと思います。
  354. 大野市郎

    大野主査 以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管郵政省所管及び建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  355. 大野市郎

    大野主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、運輸省郵政省及び建設省所管、並びに昭和四十六年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道及び日本電信電話公社関係に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  356. 大野市郎

    大野主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事が無事に終了することができましたことを、ここに厚く御礼申し上げます。  これにて第五分科会を散会いたします。     午後七時三十一分散会