運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-02-24 第65回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十四日(水曜日)     午前十時五分開議  出席分科員    主査 大野 市郎君       大村 襄治君    上林榮吉君       藤田 義光君    細田 吉藏君       井岡 大治君    松浦 利尚君       安井 吉典君    坂井 弘一君    兼務 西宮  弘君 兼務 畑   和君    兼務 山中 吾郎君 兼務 新井 彬之君    兼務 桑名 義治君 兼務 田中 昭二君    兼務 中野  明君 兼務 和田 春生君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房会         計課長     高橋 全吉君         運輸省船員局長 佐原  亨君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宣正君         林野庁指導部長 海法 正昌君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君     ————————————— 分科員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     井岡 大治君   坂井 弘一君     小川新一郎君 同日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     松浦 利尚君   小川新一郎君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     細谷 治嘉君 同日  第一分科員畑和君、新井彬之君、第二分科員桑  名義治君、和田春生君、第三分科員西宮弘君、  中野明君、第四分科員山中吾郎君及び田中昭二  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十六年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十六年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十六年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち念のため申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。上林榮吉君。
  3. 上林山榮吉

    上林分科員 私は、運輸大臣が積極的に政府部内や大蔵省とよく折衝されて、そして総合交通政策に筋を一本入れた、そのスタートに一本筋を入れてきたという点に対して、まず与党らしく敬意を表しておきたいと思います。  そういうような観点から、順次質疑を試みますが、その中で、新港湾整備五カ年計画あるいは新空港整備五カ年計画あるいは国鉄新幹線の新たなる追加出発といいましょうか、そういうような問題について総合的にスタートしたことになると思うのでございますが、ここでひとつ考えてもらわなければならないことは、陸海空の総合交通政策の上から見て、ただ一見したところでは、縦割り運輸省所管に属する問題だけを取り扱っているような印象も受けないではありませんが、大臣は賢明であるし、政府もまたよく研究しておられますからそういうことはないと思いますが、建設省所管のおもなる道路計画ないしは大きな河川に対する、一級河川などに対する関係、そうしたような意味で特におもなる国の道路計画というものとも並行してこれを取り入れた総合計画も、私をして言わしめれば、四つのものを総合してやっていく、こういうところにならなければならないと思うし、またそういう方向で進んでいる、こう思うのでありますが、そういう関連の問題に対して、大臣は密接に具体的に連絡をとっておられるかどうか、この点をまず皮切りにお尋ねしておきたいと思います。
  4. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま上林山さんからおっしゃるように、高速道路高速鉄道基幹航空及び重要港湾というものは連絡をとりつつ、かつ総合的な総合交通体系の上でこれをきめていくという方針をとっております。
  5. 上林山榮吉

    上林分科員 この問題は非常に大問題でありますので、この時間の持ち時間ではお互いに満足する質疑応答もできませんが、ただいま大臣が前向きで総合交通政策政府としてはやっていくんだ、しかも運輸省所管に限らず、他省所管とも密接に総合的にやっていくのだ、こういう見解を表明されたので、私は、総合対策という意味についてはこれ以上申し上げません。  次にお尋ねいたしたいのは、その一環である国鉄新幹線の問題であります。今回新たに東北上越成田、この三つ路線を確定をされました。これは私はそれはそれなりに理由があると思います。東北の問題も、西をある程度やったんだから東北をやらなきゃならぬ。あるいは日本海から太平洋岸に通ずる上越、これも必要である。成田のごときは、国際空港ができるのでありますから、これは日本の玄関だし、距離も短いし、これも当然の問題であろうと思います。ただ、着手の順序はどうなるにしろ、私は日本全体から考えても、あるいは九州地区という点から考えても、その中にもう一つ、せめては博多から鹿児島間の九州新幹線をこの際入れることはなぜできなかったのか。この線は、沖繩もやがて返ってくるし、あるいは九州背骨でありますから、この背骨を一貫することが私は当然の路線である。ただ、工事速度については、全体の財政計画からこれを調整しなきゃならぬ点もあるかもわからないけれども、これを建設線に入れられなかった点、われわれの立場からいえばまことに遺憾であった、こういうように思っているのですが、この際議場を通じて、大臣から率直に、関係各府県の、九州の者にもわかるように御説明が願いたい、こう思います。
  6. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御承知のように、新幹線網整備法、皆さんの御協力を得て議員立法で前国会で成立を見たわけであります。これに従って、運輸省当局としましては、逐次基本計画をきめ、そうして整備計画に続いて工事実施計画、こういうような段取りをとっているわけであります。私といたしましては、基本計画というものはまず根幹的なものからやってまいりたい。そこで根幹とは何ぞやという問題があります。これはとりようでありまするが、一応根幹と申しますれば、北は北海道札幌から南は鹿児島までを縦断する新幹線根幹と申し上げてよろしい。そういう意味で、原則としては、いま申しましたように札幌から鹿児島まで、これが一つの縦の線の根幹である、こういう考え方調査を進めてまいりましたが、何せ広範囲にわたる調査でありますからして、今回四十六年度の予算との関連においては、北は札幌まで、南は鹿児島までといういわゆる全体の調査が完了するに至っておりません。  この基本計画を決定する際には、まず輸送需要調査というものが必要であります。それからまた経済調査及び収支予測調査根本としてはまずこういう三つ調査を完成した上で基本計画をきめる、こういうことになっておりますので、実は調査期間が従来十分でありませんために、せんだって基本計画を組みましたいわゆる東北新幹線においては、盛岡までの調査は済んでおる。博多から先の調査もまだできておらないという状態でありましたので、基本計画には計上することはできなかったが、ただし私からの審議会への発言としては、根幹としてはそのようなものを考えておる、こういうことを申し上げ、かつまた佐藤総理大臣施政方針の中で、やはり北は北海道、そうして南は九州南端、すなわち鹿児島ということが新幹線根幹であり、これをすみやかに実現するのだ、こういう説明を加えられたのであります。  なお、御承知のように、山陽新幹線といわれております博多までの工事は、急いでも昭和五十年でなければ供用開始に至らない、かようなこともあります。もちろん、これに関連して建設審議会におきましては建議がなされました。建議は非常に強い性質を持っておりますので、建議の中で、すみやかにこれの調査を終わって基本計画に組み入れろ、こういう建議が行なわれましたので、運輸省当局としては積極的に調査を進めて、そうしてすみやかなる期間において、いわゆる九州南端まであるいは北海道札幌までを基本計画の中に組み入れるという方針のもとに、鋭意調査をする方針であることを御了解願いたいのであります。根幹は、われわれとしては一日も早く新幹線網を完成したい、かように考えておるので、地元の方々にもその点は明らかにお申し伝えをお願いいたしたいと思います。
  7. 上林山榮吉

    上林分科員 佐藤総理施政方針の中で、いま橋本運輸大臣が言われたように、これを早急に調査をして基本計画に入れて実施していかなければならないと表明されたことは、私どもも多としておりますし、また、ただいまさらに熱意をもって橋本大臣がこのことに触れられたことに対して、これも信頼をしてまいりたい、こういうように考えるのであります。ことに建設審議会建議の中で、これを早急に調査してすみやかに基本計画に繰り入れるべきであるという答申、これも尊重してのお話であろうと思っておるわけでございますが、私も何年何月というようにそんなに性急には申し上げませんが、常識的に、そして積極的に努力をされてこれが調査が終わるのはいつであろうか、そうしてこれを基本計画の中に繰り入れる時期は大体いつごろになるのか、こういう点だけはやはりはっきりしたいものだ。これは決して一升ますではかったようには申し上げません。だけれども、いま私が申し上げた趣旨においてお答え願えれば、それで幸いだと思います。
  8. 山口真弘

    山口(真)政府委員 九州博多から鹿児島までの新幹線、それから盛岡から札幌までの新幹線並びに東京から富山経由の大阪までの新幹線につきましては、先般の鉄道建設審議会建議がございました。その建議の中には、ただいま先生御指摘のように、基本計画に組み入れるよう早急に措置するものとするということでございますので、私どもといたしましては早急に調査を進めたい、そのように考えております。ただいま国会で御審議いただいております四十六年度の一般会計予算の中に、運輸省予算といたしまして、この新幹線に関します調査費というものがのっておりますので、この調査費を使いまして、できるだけ早急に調査を進めて結論を出してまいりたい、このように考えております。
  9. 上林山榮吉

    上林分科員 くどくど申し上げませんが、この問題は、私が劈頭に申し上げたとおり、東北上越成田、これに比較して決して劣るものではない、むしろ同等以上に扱ってもらいたい、日本背骨である、九州背骨でもある、こういうような意味で申し上げたのでありますから、多少の困難が伴おうとも、ひとつ最善の御努力を特に要望しておきたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、運輸省のあるいは国鉄の大綱の説明の中にもありますが、日豊線電化複線化の問題。九州はもう鹿児島から北九州まで、北九州からまた大分を経て鹿児島まで、あるいはまた鳥栖から長崎線というように、大きな線が三つありますが、どうもこの日豊線電化複線化がおくれているように思われます。これを大体何年計画で達成しようと計画を立てているのかどうか、この辺の事情を、特に日豊線についてだけでけっこうだと思いますが、ひとつ説明を願いたい。
  10. 山口真弘

    山口(真)政府委員 日豊線小倉鹿児島間四百六十二・七キロでございますが、この複線化につきましては、すでに小倉中津間とそれから豊前長洲−立石間、それから亀川−大分間、これが複線化がされておりまして、四十六年度には中津駅の連続立体交差工事とあわせまして、中津−東中津間の線増工事に着手する予定でございます。その他の区間につきましては、今後輸送状況の動向だとか国鉄財政事情等を勘案して整備を検討するということにいたしております。  それからなお、電化につきましては、小倉幸崎間百五十二キロはすでに電化をされておりますが、幸崎−南宮崎間につきましては、これは電化をすることにいたしまして、昭和四十五年十一月二十八日に運輸大臣の認可をいたしまして、一応四十九年度完了というのを目標に現在工事中でございます。
  11. 上林山榮吉

    上林分科員 四十五年度からスタートして四十九年度で完了する。そうしてただいま計画しておる具体案を示されましたので、私は一応了承したいと思います。ひとつその計画におくれないように、できるなら四十八年度ぐらいまでにこれができ上がるような、いわゆる気持ちでこの問題の推進をはかってもらいたい、私どもはこう念願するわけであります。これはやはり新幹線ともいろいろ密接な関係もありますので、そういうふうな意味で、これが電化複線化を四十九年度までには必ずやる、財政事情その他が許せば四十八年度でも完成したい、こういう熱意ある態度をひとつ望みたい。金がないから、赤字であるからどうにもならぬと、こう言わないで、そういうような方向に進んで、赤字の問題は、また赤字独立の問題として考えなければならぬ点も多々あるわけですから、そういうような意味合いでひとつ考えてもらいたい。もちろん国鉄独立採算性をとるのがたてまえではありますけれども、しかし、幾らころんで考えてみても、この赤字というものをここ数年間になくするということは不可能に近いことで、やはりこれの財源というものは別にひとつ、国の一般会計なりその他の方法考えていくというのが、十年後の青写真を見てみてもそうなるのでありますから、それで何も赤字がふえてもいいというわけではありませんが、そういうような考えで進んでいかなければならぬと思いますので、そういうふうにひとつ努力してもらいたい。  そこで国鉄の問題について私はふしぎに思いますのは、人を運ぶほうは四十五年度よりも二%幾らでしたか、ふえるのだ。貨物のほうはそれよりも少なくて一・九%でしたか、それぐらいしか来年度は増収を見込めないという。私はやはり日本国鉄は、それは一時は世界的だったのですから、これはいろいろな意味でプライドを持っておられるでしょう。だが、どこの国も、先進国はどうですか。お調べになって、人の輸送増収がありますか。それとも人よりも貨物という方向にやはり進んで、転換をしたかどうか知りませんが、自然にそういうふうに経営がなっているのじゃありませんか。だから私は、この辺で国鉄が、人の輸送を大事にすることはわかりますけれども、それと対等以上に収入をあげられない。むしろそれよりも多く収入をあげられないというのは那辺に隘路があるのか、その隘路事情というものをお聞きしたい。
  12. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま御承知のとおり世界各国ではほとんど貨物輸送鉄道が持っております。アメリカでは旅客収入というものは、全体の鉄道収入の中の五%以下でございます。ヨーロッパでも約二割ぐらいが旅客収入、あとは大体貨物になっております。これはいろいろ歴史がございまして、国によって多少違いますが、やはり道路発達テンポ日本よりも非常に早い、あるいは地形日本と違うというふうな事情がございますが、やはり自動車の普及が日本よりも早かったというふうなことで、旅客輸送にはもう金を入れてもしかたがないというふうな現状で、もっぱら貨物に相当重点的に力を入れたというのが、現在の欧米状況だと思います。  その点日本では多少、地形上の問題もございますし、自動車発達テンポもございました。いま御承知のとおり大体旅客が三の貨物が一であります。七五%が旅客収入、二五%が貨物収入という程度で、ヨーロッパアメリカと全然逆でございます。しかし、やはりこれではいけないので、何とか貨物輸送をよくしたいということで考えておりますが、現在の幹線筋ではほとんども旅客輸送で一ぱいでございまして、貨物輸送のいい列車を走らせる余地がない。新幹線ができまして、新幹線のほうにいい特急なり急行なりを移してしまいますと、貨物輸送の余力が現在線で出てくるというような事情にもなります。また貨物の駅が非常に多い。大体荷馬車時代のような駅の配置になっている。したがって、貨物列車速度が非常におそいというふうなこともあります。いま根本的、抜本的な貨物輸送対策考えております。やはり速度を上げることとそれから到着時間を明確にすること、この二つを中心にして駅をいまなるべく整理をいたしまして、いい荷役設備を持った駅を数少なく、しかも重点的に配置するということによって、貨物輸送をここ五年ぐらいのうちには飛躍的に増加させたいというふうに考えております。
  13. 上林山榮吉

    上林分科員 いま国鉄総裁から、貨物輸送日本は少ない、しかもおそい、外国はそれと反対で、貨物輸送が多いのだ、こういう話を聞いたわけですが、全くそのとおりだと私、考えるわけでありまして、収入が少ないのはどういうわけか、これをふやすにはどうすればいいか、しかも多少困難があっても、抜本的にというものはどの程度やれるのか、ということは、貨物輸送に対してはあまりお考えになっていないのじゃないだろうか、私は従来からそういうふうに受け取っているわけです。私は、そういう立場からいって、やはり貨物特急貨物——生鮮食料品のごときは、あなた方がうかうかしているとやがては飛行機が取りますよ。ですから、いずれにしても貨物特急列車あるいは冷凍車あるいは通風車等々、いわゆる貨物性質にふさわしい特殊の車両というものをくふうして、夜間輸送でも考えてやっていくというところに、やはり私は一つのポイントがある気がしてならない。あなた方専門家で、ぼくらは単なる批判の立場にあるので、それは点と線が一致しないかもしらぬ。けれども、やはりそうしたような感覚を持ってやらないといけないのじゃないか。私が人件費に対していつもやかましく申し上げているのもその一つであるけれども、いずれにしてもそういうところに隘路もあるのじゃないだろうか、こう考えますが、これについてはそういう特殊な車両というものをどの程度いま使っていて、あるいは近い一、二年の間にこういうふうに改良するんだという何か青写真計画がありますか。あれば聞きたいと思います。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 貨物輸送についての先生の御意見は全く私ども同じように考えております。やはりいままでのように何でもかんでも同じような輸送のしかたをしていたのではだめでございます。やはりおのおのの貨物性質に応じた輸送のしかたをするということが根本だと思います。したがいまして、いまおっしゃいました冷凍通風等につきましても、貨車だけでなしにコンテナーいずれ日本じゅう貨物の大部分が、三トン以上のものがコンテナ輸送になると思います。したがって、現在一般コンテナのほかに通風コンテナあるいは冷蔵、あるいはいま冷凍コンテナ等につきましてもいろいろ研究いたしております。いまコンテナが約三万個ございますが、これを十万個にしたいというふうに私は考えております。そういたしますと、コンテナでございますと発地から着地までじかに送れる。途中でいろいろ操車場に入れない。直行輸送ができる。いまフレートライナーと申しまして、多少いま先生のおっしゃったような輸送方式をやっておりますけれども、それをいま全国的に北海道九州につきましても拡大いたしまして、貨物の到達時間を正確に、しかも早くするという方法考えております。車の車種その他につきましては、ごまかいので省略いたしますけれども考え方といたしましてはいまおっしゃったように、その貨物の特性に応じた貨車なりコンテナを今後どんどんつくっていく。ことにコンテナ輸送中心にしてこれから国内輸送考えなければいけない、こういう時期が必ず参ると思います。大体私どもは、今度の計画の中にも、貨物輸送に相当重点的に投資をするつもりでやっておるわけでございます。
  15. 上林山榮吉

    上林分科員 大臣、さっき私、一言申し上げたのですが、国鉄独立採算だ、だから国鉄自体採算が合うようにしなければならぬ、これはもう第一ページではだれでもそういえることだし、また一応いわなければならぬことですが、しかし、やはりこれは私が申し上げたとおり、十年たっても赤字解消ということは、大部分解消ということもむずかしい、こういうように見通しておるのです。  そこで、大臣が今回努力されまして、国有鉄道財政再建補助金補助率の拡大をはかった。この補助金が二百三十九億、それから国有鉄道財政再建利子補給、これを六十二億円組んだ。その他財政投融資でもそれぞれ努力をされている。こういう点、私はここ五年間あるいは十年間はやはりこういう方式をもう少し力を入れて、これの二倍なりあるいは三倍なりの援助というものも国が思い切ってやらなければならぬ。  ということは、国の財政というものが御承知のようによくなってきた。国も貧乏しておる、国鉄も貧乏しておる、こういうのであれば、これは独立採算だからこの程度しかできぬぞ、こう言ってもいいのでありますけれども、もうごらんのとおり国の財政は非常によくなってきた。まあ生産は自由国の第二位である、あるいは形式的には国民一人当たり所得も十六位であるけれども、実質的には、これはもう日本は五、六位だ。もうやがて形式的にも、ここ二、三年の間に五、六位になるのですから、国民一人当たり所得は。それぐらいになってきているのですから、まあむやみやたらに旅客運賃を上げるのもどうかと思うが、しかし、今日交通費を出してくれない企業というのはほとんどないですよ。ほとんどないと言っていい。だから少しぐらい交通費を上げても、これはそんなに生活に悪影響あるとは私は思いません。また、もっと個人所得の内容もよくなってくるのですから、そういうことを考えますと、むやみやたらに運賃を上げよとは言わないけれども、適当な時期に適当な運賃の値上げというものはやはりやるべきだ。国民におもねることがかえって国民を苦しめるのだ、こういうようなことをやはり考えていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのです。だから来年度はひとつ大臣、さらに努力されて、私が言うとおり、これらの補助金なりその他の援助が二倍になるかどうなるか知りませんが、相当額ふえるようにさらに善処願いたい、私はこう考えるわけです。  時間の関係もあるから引き続いて申し上げますが、そういうような意味からいって、通学あるいは通勤、これの割引料というものなども、これは国が肩がわりして、国鉄にその肩がわり援助を幾らかしておるようですけれども、それはそれとして、これらの割引率というものは、欧米諸国に比べて非常に高いのじゃないか。何年か前、私、聞いたことがあるんだが、現在もそうなっているか、大体そうなっていると思いますが、これもおもねる必要はない。やはりこういう割引率欧米並みぐらいにしていっても、非難は受けないで済むのじゃないかと私は思うのですが、いかがなものでしょう。
  16. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 国鉄の問題はいろいろな問題が関連いたしますので、簡単に答弁しにくいのでありますが、しかし抜本的に考えることと、もう一つは第二次的に考える問題と、二つあると思います。  まず第一には、現在国鉄のいわゆる赤字線という問題あるいは地方交通線という問題もありますが、たとえば国鉄調査によりますれば、営業係数二五〇以上というものから出てくるところのマイナスは一千億円である。これは大部分が地方交通線ということになると思います。この問題は、はたして全体を国が見なければならぬかどうか、こういう問題が一つはあると思います。二五〇以下のいわゆる幹線もしくは準幹線、これに関するマイナスがまあ一千億円である。これは原則として国が考えなければならぬ問題だと思います。  そこで、御承知のように、最近における国鉄の建設費というものは非常に高くなってきておる。しかしながら、一方において料金は、日本の経済あるいは社会生活、国民生活の側から見て当然ある程度の制約を加えざるを得ない。そういう制約を加えるなれば、これに合うところのいわゆる建設費のコストを下げていかなければならぬ。建設費のコストを下げるということはどういうことかといえば、国が建設費に対して助成するということであります。ことしとりました処置の主たるものは、従来の建設費に対する補助金の率を引き上げてまいった。いろいろな意味で、合わせまして二百三十億円になるわけでありますが、それ以外に、ことしは新幹線あるいは複線、電化工事等に対して少々ながら国の出資が行なわれる。その意味において、私がかねてから主張してまいりました、国鉄運賃をある程度社会的制約でもって押えるのであれば、この建設コストというものを下げていかなければならない。そういう意味においては、私の主張を全面的に受け入れられたわけではありませんが、この言い分が考えられたというのは私は一大前進であろうと思う。同時に、過去のいわゆる累積建設費に対して、利子補給という名前ではありませんが、補助金制度がことしは思い切って行なわれたということも一歩前進である。  ただ、ことし実行に至らなかったのは地方交通線といわれている二五〇以上の係数の地方交通線に対して、これが全く見られなかった。私はこの問題は地方にとっては重大問題であります。この線は赤字線であるからやめる、やめない、もちろんこれは道路に変わっていいものは当然道路に変わってけっこうですが、しかしながら、全体的にいえば必ずしも地方交通線はこれを引き離してよろしいということにならないと思います。そうなれば、いわゆるその運営経費というものをどこかで見てやらなければならぬ。特に地方に重大な関心があるならば、地方は考えるべきではないか。今日御承知のように、国鉄は地方公共団体に対して、いわゆる固定資産税にかわるべきものとして百十二億円の納付金を与えておる。これなどは実際上の問題から考えて、鉄道は廃止してくれるな、納付金はもらいたい、これでは話になりません。こういう点はお互いに虚心たんかいに、地方交通線が必要であればどういう形でか地方がめんどうを見るという思想が出てまいりませんと、赤字線の撤廃などという議論が出てくる、こういう意味において国民感情が混乱することをおそれる。その意味においても、せんだって自治大臣に対して、いわゆる地方交通線というものは地方輸送の主たる役割りをしておるのであるから、ぜひひとつこの点については考えてもらいたいということを正式に申し入れて、目下これが検討を進めておりますが、そういう問題もあわせて考えなければ、国がただ助成をしていくというだけではこれは鉄道の役割りを果たすわけにはいかないのでありまして、いま申しましたような基本的なものの考え方から、そしてその上に立って国鉄独立採算制を行なう、かような考え方でいかなければならぬと強く感じておるわけであります。ぜひこの点については各位の御協力を仰ぎたい、かように考えておるわけであります。
  17. 上林山榮吉

    上林分科員 橋本大臣と私の意見は大体合っているのですが、この中で、地方に対して納付金を国鉄が納めている、これはわずか百十何億ですか、これなどは、地方財政もいま大体いいのですから、もらってもたいしたことはない、やってもたいしたことはないので、この問題はあなたの言っておられるような方向で処置すべきだということを私も強く主張している一人です。そういう問題はたいした解決にはなりませんけれども、やはり一つの、感情をよくする意味において、当然これは思い切って、運輸省と自治省に限らず政府が調整して、こんなものはさっぱりとしてもらうべきものだ。  赤字路線の問題については私は材料を山ほど持っていますけれども、いまここで論議する時間を残念ながら持っておりません。これをやりますと大臣とも国鉄総裁とも火花を散らさなければなりませんので、この問題はまた席を改めて申し上げたいと思います。  ただ赤字だから画一的にこれを整理すればいいというものじゃないので、その線々によって特性もあるし違う、また緩急の差もあるしするのでありますから、いまおっしゃるように道路がよくできて、乗り手もほとんどなくて、汽車はあってもなくてもいいんです、どうぞひとつおやめくださいと言わぬでも、一言相談すれば、けっこうですといい得るような状態には持っていかなければならないのじゃないか、こういうように考えます。やれるものならせめて営業係数が一〇〇〇以上あるいは五〇〇以上、こういうようなところをやるならば、また漸次やられるならば話し合いを進めてもいいでしょう。いずれにいたしましても、私はそういうことをおっしゃると、こういうことも言わなければならぬのです。赤字というものがみすみすわかっているのに、いまの既設線よりも多く赤字が出るということがわかっている線もなぜこれを建設していくのか、これなどは矛盾もはなはだしいのじゃないか、開発路線でもないじゃないかというような点も出てくるわけで、だから私はここではローカル赤字線の問題については多くを言いません。席を改めて申し上げましょうというのは、そういうような問題もやはりあるわけですよ、大臣。  だからそういう点もよく考えてやってもらわぬと、これは赤字路線は案外火花が散りますよ、この問題は。しかも国鉄は、自分のもうかるところだけやって、もうからぬところは全然やらぬのか、もうからぬところは国が援助してやっぱり地方のためにやらせるべきじゃないかという声も出てくるわけなんで、ただ私はおもなる問題について、あなたがいいことをされたから、これを来年度は二倍にしてくださいよという督励の意味できょうは申し上げているのです。  赤字路線の問題も、新幹線と関東沿線の二、三の路線を除けば、あの幹線ですらが赤字なんですから、決して地方のローカル線だけが赤字じゃないので、むしろその率は地方の路線のほうが少ないのですから、赤字の累計はですよ。だからそういうことを考えられて、赤字赤字といえば即ローカル線、こういう考え方じゃあまり飛躍していると思うのです。  それから、これはとっぴな質問ですが、またあなたもお答えができないかもわかりませんが、私は、十年後もどうしても国鉄だけでやれない、国が思い切った財政援助をしなければならないのであれは、機構を改めて——それは決して私は悪いことじゃないと思うんですよ。機構を改めて、思い切ってひとつ鉄道省あるいは鉄道その他のものも含んでいわゆる交通省という一省をつくって、そして国有などといわないで、もう日本国鉄政府関連機関じゃなくて政府の直接の機関、こういうふうに、——鉄道省といえば誤解もありましょうから、そういうような意味のこともひとつ研究のテーマに一応してみたらどうです。これを峻拒しないで、そういうこともまあ考えてみるかというようなことをお考えになったことがありますか。あるいは、それも一つのいい思いつきのようだから研究のテーマにはしてみよう、あるいは私のいうその折衷案でもよろしい、そういう何かひとつ考えてみようかという気は起こりませんか。
  18. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 その赤字線の問題は、いつでも討論いたしますが、私の言っているのは何も係数が一〇〇〇以上だから、五〇〇以上だからやめるという問題じゃないんです。私の言っているのは、いわゆる国鉄がやるべき線と地方において運営すべき線とは、赤字、黒字の問題と別に考えるべきじゃないか、一〇〇〇以上の営業係数だからこれはやめるという従来の考え方はおかしい、こういうことを国鉄に言って——いまこの問題は一応あとにおきますが、上林山さんからの国の補助金をより一そう、来年度からはもっとよけいもらうように努力せよという激励に対しては、そのとおり私も最善を尽くしたいと思っております。  そこで、最後に重大な御発言をなさっておられますが、非常におもしろい一つの見解であります。いまこれを納付金の問題とあわせて考えることはおかしいのでありまするが、もしこれが国有という真に国の所有物であれば、実は納付金を納める必要はないのです。したがって、たとえば運輸省、郵政省において、いわゆるそういうような国の財産であるものにはかけることができない。各官庁の予算に対して固定資産税は計上しておりませんから、別な意味でのそういう意味はありまするが、ただ問題は、やはり鉄道というものは、ことに最近は競争原理、トラック、乗用車、飛行機等と競争の立場に立たされておりますので、はたして国が運営をするということがいいか悪いか。ただ国が財産を持っておって、運営をいまの国鉄のようなものが運営をしていくとか、いろいろな問題があろうと思います。しかし、いずれにせよ根本問題でありますので、いま私見を述べる段階でもありませんから具体的には申し上げませんが、一つの御提案として検討はしてまいりたい、かように考えております。
  19. 上林山榮吉

    上林分科員 別の問題に移りたいと思いますが、鹿児島の大型空港運輸省の非常なる御協力で、予定どおり四十七年にでき上がるようでございます。滑走路も相当長いものをつくって、大型が飛んでも差しつかえのない空港です。しかも、買収なども成田空港などと違って、実にスムーズに協力をさせましたので、そういう関係から予定どおりこれができ上がるわけでございます。そこで、これができ上がった後の運営でございますが、私は、沖繩も返ってくるし、近い南の国々に対しては、鹿児島空港は非常にいい位置にある。こういう関係から、沖繩はもちろんのことですが、台湾あるいは香港あるいはフィリピン、そういう意味における国際線として、世界を一回りするとか太平洋を横断するとかいうものじゃなしに、いわゆるそういう中型の国際空港といいましょうか、そうしたようなものにしていいのではないか。この前、関係の者が台湾に参りまして台湾とも話し合いをしたところ、ぜひとも台湾−鹿児島間の航空路を開設してもらいたい、こういうような話も非公式でありますが、出ております。相当の地位の人が参りまして、そういう非公式の話が向こうの政府高官との間に出ております。そういうようなことを考えますと、どういう名前をつけたらいいか、まあわかりやすく言うならば、型の国際空港、こうしたような意味の運営をやる考えはないか。あるいはまた、研究の上近い将来そういう方向に進むように考えてみてもいい、こういうような何かお考えがあれば、航空局と連絡されていると思いますから、大臣からひとつお答え願いたいと思います。
  20. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 新鹿児島空港の件に関しましては、ただいま先生御指摘のとおり現地の協力も非常によく得られまして、四十七年度早々にはでき上がるということになりまして、たいへんその点ありがたく思っております。  そこで、この将来の使い方でございますけれども、現在鹿児島の現空港におきましては、国際線といたしましては沖繩間の航空路線がございます。これが今度沖繩が返ってまいりますと、国内線になってまいりますので、国際線の入る空港としての意味がないじゃないかということが一応考えられます。しかし、ただいま先生お話ございましたように、確かに本土の一番南に位しまして、あるいは台湾であるとか東南アジア方面といった方面との関連というものは十分あることはわかります。ただ、国際線をつけるような空港にいたしましても需要がございませんと、これはそのかいがございませんので、今後十分——国際線になりますと航空協定その他の問題がございます。したがいまして、そういうような問題を勘案いたしまして、今後の国際線の鹿児島に対する需要、そういったものも勘案いたしまして、さらに検討してみたいと存じております。
  21. 上林山榮吉

    上林分科員 おそらく大臣も航空局長の答弁と一緒だろうと思いますから、大臣の答弁は求めぬでもいいと思いますが、もし何か違っておればお答え願いたいと思います。  私は、いま航空局長がそんなに前向きの答弁をされたので、大体その線に沿って今後の努力と研究をしてもらいたい。あるいはこれを利用する者がなければということばがへんなリズムで耳に届きますが、それはやりようであり、運営のしかたの方法であるわけですから、つくって飛ばしてもみないのに利用者がないかもしれないというのはおかしい話で、基本的に大体よかろうということがあれば、それに肉づけして、PRして、乗り手があるようにするのが、これがすべての関係者の、あなたを含めたすべての関係者の努力目標ですよね。そういうことで、ひとつ国際空港になる可能性がある、こういうふうに私は受け取っておきますが、そうでないならまた言ってください。  そこで、地方空港ジェット機に乗っていると滑走路が少し短いということで、急ブレーキをかけるんだね。あれは非常に危険を感ずる。またあれで事故が起こったこともあるそうですね。だからあれはどういう訓練を——整備あるいはパイロット、こういうような方面の訓練というものが行き届いておるのかどうか。どうもパイロットがそういうところでそういうことをやっておるもんだから、羽田空港の場合ですらあるいは大阪空港の場合ですらも、どうも発着がスムーズにいかない。くせなんだろうか、腕がないのだろうか、整備がうまくいっていないのだろうか、こういうようなことを非常に痛感する。また乗っている者もあまりショックが大きいので目を見合わせるんですよ。あれなどは、私はパイロットにしても整備にしても、訓練がうまくいっているのかなあという非常に危惧の念を持っておりますが、ころばぬ先のつえで、やっぱりこういうことは慎重にやっておかなければならぬと思うのですがどうですか。
  22. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生からお話がございましたが、航空機の安全性ということにつきましては、私ども航空行政上の一番重要な事項として常々考えておるわけでございます。そこで航空機の発着、こういうことにつきましては、整備関係もあるかもしれませんが、整備につきましてもいわゆる整備規程というものがございまして、そのマニュアルによりましてきちんとやられておる。その整備規程につきましては、航空局のほうでこれを認可いたすということになっております。それから運航の面にいたしましても、運航規程というものがございまして、それぞれ空港につきましてもどこでタッチダウンをさせ、どういうふうにするということはきちんときまっておるわけでございまして、そいつを必ず励行するようにというようなことは指導しております。ただいま先生おっしゃいましたような点があるいはあったかと思いますけれども、その点につきましても、今後とも十分指導いたしまして、安全性については欠けることのないようにということで指導してまいりたいと考えております。
  23. 上林山榮吉

    上林分科員 最後に大臣並びに港湾局長から御答弁願いたいのですが、鹿児島港は、御承知のように、終戦以来旧鹿児島港あるいは木材港、南港、谷山港、こういうように鹿児島港を分類して、総合的に機能を活用できるように運輸省当局が非常に努力をされてきた。また政府に非常に努力していただいた。私ども、長い間多少でもこれに協力をしてきたものとして非常に愉快に思っているわけです。その観点から申し上げますが、今度の新港は五カ年計画の中に一部取り入れていただいているようですけれども、私が考えるのは、ここは南のほうに近いわけですし、将来、船もだんだん大型化してくるということからいきますと、いまの接岸能力のトン数は三万トンか四万トンなんで、これではおかしいじゃないか。それは貨物などは五万トンくらいにしていただいているかもわかりませんけれども、いずれにいたしましても、将来性を見通した——いま直ちにそうしてくれとは言わないが、つくる場合も、狭くなったから、船が大きくなったから沖へ延ばせ、また沖へ延ばせ、あるいはしゅんせつせよ、こういうやり方ではいけないのじゃないか。四、五万トンくらい入れるようにしてあるというが、将来、改良修復をやれば十万トンくらいまではできるんだという設計になっているのかどうかということです。そういう設計になっていないならば、まだおそくはありませんから、予算を増してくれとは言わないから、いまのうちに設計を変更してもらって、将来、大型化した場合もあわてて改良をやらぬでも済むようにやってもらいたいものだ。これは陳情を兼ねての質問ですが、そういうように考えてもらわなければ、この程度でやればここ二、三年はいいだろう、こういう考えではだめだと思うのです。最近は船も大型化し、また建造能力も非常に出てまいりました。外国にしろ、日本にしろ、そういう情勢なんだから、この際ひとつ設計だけでもそういうような方向に進んでもらいたい。いま予算をふやせ、来年度もうんとふやせ、こういうことは申し上げません。大臣、これは事務当局とも話し合って、あるいはそういう構想に君、進んでくれよというように指示願いたい、私はこういうように考えまして、この問題を最後に取り上げたわけです。まあひとつよろしく——よろしくという質問はどうかと思いますけれども、この点はひとつよろしくお願いいたしておきます。
  24. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、旧鹿児島港、鹿児島新港と、船がだんだん大きくなってくるにつれまして拡充してまいりまして、現在、谷山港をつくっておりますが、先生御指摘のように、谷山の港の広さ、それから防波堤の形というものを考えておけば将来必要があれば大きな船が入るということも可能かと存じます。現在、四万トンないし五万トンの船を入れる岸壁の工事をやっておりますけれども、御指摘がございましたように、将来の拡張を考えまして計画を進めたい、そういうふうに考えております。
  25. 大野市郎

  26. 井岡大治

    井岡分科員 私は、主として大都市の地下鉄建設について、お伺いをいたしたいと思います。  この問題は、前々から運輸委員会あるいは地方行政委員会等で、地下鉄の建設というのはいわゆる大都市の再開発に非常に重要な役割りを果たしておるから、何とかこれを政府援助しなければいけない、こういうことが論議の中心になっておりまして、ここ四、五年前から政府当局においてもかなり考えられてき、昨年から非常に大幅な援助政策がとられているということは、私はけっこうなことだと思うのです。佐藤総理施政方針演説の中で、総合交通政策としてこの地下鉄建設というものを大きく取り上げておいでになるし、大臣予算説明の中で大きく取り上げておいでになるわけですが、しかし、実際にこれらの問題が大臣のお考えになっておるとおりにいっているかどうかという点については、私は若干疑問があるわけです。  特にここでお尋ねをしたいのは、この地下鉄建設について、都市交通審議会という審議機関がありますが、これはどのような位置づけになっているのか、この点をまず聞いておきたいと思うのです。
  27. 山口真弘

    山口(真)政府委員 地下鉄建設につきましては、先生ただいま御指摘の都市交通審議会におきまして、その路線網あるいは工事の緩急その他について審議をいたしまして、これによりまして各都市におきまする地下鉄網の策定をいたします。その都市交通審議会の策定に従いまして各事業者から免許申請その他が出、これを十分審査いたしました上、運輸審議会の議を経た上でこれを処理するというやり方で促進をいたしております。
  28. 井岡大治

    井岡分科員 そういたしますと、都市交通審議会というものは地下鉄建設にとっては絶対必要なものであるというように理解していいのですね。
  29. 山口真弘

    山口(真)政府委員 都市交通審議会でございますが、従来、東京にいたしましても、大阪、名古屋、横浜等にいたしましても、すべて地下鉄建設につきましては都市交通審議会で審議が行なわれまして、その審議の結果出たところの路線の姿というものに従って地下鉄の整備が進められております。
  30. 井岡大治

    井岡分科員 これは地下鉄建設と関連すると思いますけれども、自治省はいわゆる交通の再建で、路面電車を撤去するということを指示し、あるいは大きな環にしているわけですね。この点は、運輸省の鉄監のほうでは十分御存じですか。
  31. 山口真弘

    山口(真)政府委員 路面電車の撤去問題というのも、私ども十分に了知をいたしております。なお、都市交通審議会におきましても、単に地下鉄だけでなく、路面交通を含めた大都市における交通のあり方というものを審議いたしまして、そういうものを含めた姿において高速鉄道をどうするかという審議をいたしております。
  32. 井岡大治

    井岡分科員 そうすると、いわゆる都市交通の再建策というよりは、路面電車の撤去と地下鉄建設というものは、これは表裏一体のもの、不可分のものである、こういうように理解していいですか。
  33. 山口真弘

    山口(真)政府委員 都市交通審議会の審議におきましては、当該事業者の収支の状況だとか、あるいは赤字になった事業者の立て直しの方策というようなものを審議するというのが中心でございませんで、むしろその都市において、地下鉄その他の高速鉄道、あるいはバスその他の路面電車、どのような交通網を形成することが適当であるかというような観点を中心に置きまして審議をいたしておる、こういうことでございます。
  34. 井岡大治

    井岡分科員 いや、私の聞き方が悪いのかもしれませんけれども、いわゆる都市の地下鉄建設というもの、これは審議会でやっておいでになることはわかるわけですが、いわゆる路面電車というものを撤去する場合に、十分運輸省は相談を受けていると承知をしている。こういうことであるとするならば、その路面電車の撤去にかわる地下鉄をつくらなければいかぬわけですね。そうでないと、通勤、通学の輸送、いわゆる大衆輸送というものはなくなってしまうわけです。バスにまかせておったって、これはとうていまかない切れないわけだし、しかも最近の都市の交通事情等から、バスの走行キロは、法定走行キロは二十九キロですが、あなたは何ぼか御存じですか。あなたは鉄監ですからわからないでしょうけれども、わずかに九キロから十一キロ、こういう状態です。そうだとすると、幾ら回してみたって、これは客を運ぶことができないわけですね。だから地下鉄建設というものが行なわれるわけです。したがって、路面電車の撤去というものと地下鉄建設というものは不可分のものであるというように解釈していいかと、こう聞いているわけです。だから、審議会の問題を聞いているんじゃないのです。
  35. 山口真弘

    山口(真)政府委員 まず審議会の問題について申し上げますと、地下鉄網をどうするかという場合の前提といたしまして、路面におけるバス輸送、バスの交通あるいは路面の電車の交通というものを将来どうするかということを前提にいたしまして、地下鉄その他の高速鉄道整備はどうあるべきかという審議をいたします。それからさらに、具体的な路線計画の免許等につきましては、これは一方、路面電車の撤去につきましても運輸省所管で検討いたすわけでございますので、当然それを考慮に入れまして、運輸省といたしましても、路面の撤去の問題とからめて地下鉄建設をどうするかということを検討いたしております。
  36. 井岡大治

    井岡分科員 そうだとすると、これは大臣にお伺いしないと、鉄監のほうが、正直にいってサボっておいでになるわけです。一例を申し上げますと、東京の十号線、名古屋の三号線、四号線、それから神戸の名谷というところから布引間、これを年数を申しますと、東京の十号線は四十四年六月二十七日に認可の申請をお願いしているわけです。名古屋の三号線は、四十四年の十二月二十二日、これが申請です。それから四号線は四十三年の十一月四日、しかもこれは、大臣も名古屋で一日内閣でおやりになったときには、昨年中には認可をする、こう言ってお約束をなさっておいでになる。ところがいまもって認可がされない。それから神戸のは四十五年の五月十八日に申請が出ているわけです。認可申請、こんなに時間がかかるのですか。
  37. 山口真弘

    山口(真)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の東京におきまする十号線でございますが、これは都市交通審議会路線でございまして、これにつきましてはすでに免許をいたしまして、現在工事施行という手続の段階でございます。それで工事施行となりますと、具体的な工事の問題等との関連その他、関係各省との関係もございまして、現在そういったような問題を詰めております。  それから名古屋の三号線並びに四号線でございますが、これは実は名古屋の問題につきましては、一つは都市交通審議会の名古屋部会との関係もございますし、さらに関係の免許路線がございます。そういったようなものとの調整を必要とする部面が一部ございます。これは三号線でございます。それから先生御指摘の四号線の問題につきましては、関係機関との間に事務的な調整をいまいたしておりまして、そういう事務的な調整が終わり次第処理をする、こういうことでございます。  それから神戸でございますが、神戸につきましては、これはいま審査をいたしまして、関係機関との調整を含めた上で結論を得たい、こういうように考えております。
  38. 井岡大治

    井岡分科員 私の申し上げているのは、関係機関との調整で一年も一年半もかかるというようなことで、今日のいわゆる都市交通、政府が言っておる総合政策になるのかどうかということなんです。しかも、おくれればおくれるだけ工事費は高くなるわけです。これは一例をあげますと、四十四年のときにはキロ当たり四十五億だったのが、いま六十億でしょう。これだけ国も負担をしなければいけない。地方公共団体も負担をしなければいけない。だれも得する者がないのですよ。しかもお客さんはそのために——お客さんというか、通勤通学の人たちは、毎日毎日、これは国鉄の総裁おいでになりますけれども、押し込んでいるわけですよね。そのエネルギーの消耗、あるいはまたその生産に与える影響というものは、非常に重大なものがあると思うのです。それを一年も一年半も、まだ調整中です、調整中、これでは私は少しおそ過ぎるのじゃないか、こう思うのです。悪く考えたら、補助金を出すようになってから免許をしないようになったのじゃないか、こう考えざるを得ないのですよ。この点どうなんです。
  39. 山口真弘

    山口(真)政府委員 地下鉄の整備につきましては、先生御指摘のように、都市交通のいわばきめ手でございますので、これは政府としても、地下鉄の整備に非常に力を尽くしてまいりまして、現在、東京におきましても、六号線、八号線、九号線、こういう三線につきまして、非常に馬力をかけて建設を促進いたしておりますし、その他大阪は、万博をめざしまして、非常に大規模な地下鉄建設をやったわけでございます。  ただ問題は、地下鉄建設は非常に巨額な建設費を必要とするわけでございますから、その免許なり工事の実施にあたりまして、やはり都市の開発の速度といいますか、そういったようなこともにらみ合わせて、長期的な視野に立った検討の必要があるのじゃないかと思います。やはり早ければ早いということで、もちろん先行投資的になるわけでございますが、その程度が非常に大きくなりますと、また経営的に非常に困難な問題が多々あるということも否定できないわけでございまして、そのような面におきまして、現実の技術上の審査とともに、そういうような関係方面との調整もしながら進めていくということでございます。
  40. 井岡大治

    井岡分科員 少しおかしいですね。審議会というのは、そういうのを審議しているんじゃないですか。そういうことを十分検討をして、ここは線が必要だ、こう答申しているんですよ。しかもこれは、単に役人さんだけが考えるのでなくて、専門の人たちがみんな入ってやっておいでになるのですよ。そういう点を考えると、先行投資というのでなくて、必要からくる建設なんです。それを検討しておるからおくれているのだ、こういうことでは私はどうも理解ができない。しかも先ほど、私が聞いているのは、そんなに長い間関係当局と相談をしなければいけないのですか、もっと早くできるのじゃないか、こう言っているのですよ。ここの点どうなんです。
  41. 山口真弘

    山口(真)政府委員 都市交通審議会におきまして、全然その線の経済性というものを考えないわけではございません。これはごく大ざっぱなといいますか、全体的なことで経済性を検討いたしまして、そして、たとえば昭和六十年をめどとかいうようなことで整備の目標をつくりまして、それに必要とするところの路線というものをきめているわけでございます。ただ、これの具体的な実施につきましては、各線別にその線としての経済性、あるいは利用者の動向といったようなものを把握し、それからその地点の技術的な各種の審査というようなものも進めて処理をしていく、こういうことでございます。
  42. 井岡大治

    井岡分科員 地下鉄というのは、私は先行投資もあっていいと思うのです。そうしないと、都市の再開発はできないのですよ。これは私は全部線を知っていますよ。経済性なんということも知っています。だけれども、あなた方、先行投資があるからいけないんだ、こういうことでなくて、先行投資をやらないと都市の再開発ができないと思うのです。たとえば大阪の泉北ニュータウン、三十万の都市をつくっているのですよ。それから今度は地下鉄をつくる、こうやっているのです。その三十万の人間をどうして運ぶのです。そういうときには、そこに団地をつくる、ニュータウンをつくるというのなら、先に輸送機関をつくっておいて、それでやらなければ、そこに住む人はおらないでしょう。そういう意味から言うと、私は、地下鉄というのは先行投資あっていい、こう思う。しかも広域政策をとらざるを得ない、こういうことで大臣も非常にお考えになっておいでになるのだ。そういう点から考えると、あなたのおっしゃっておいでになることは少しずれているんじゃないか、こう思うのです。しかも、補助金を出すようになってから、とたんにこれが認可が出ないようになってきた。こういうこと。私は悪く考えたら補助金を出すのがいやだから認可をしないのか、こういうことになりますよ。そんなことは考えたくありませんよ。考えたくないけれども、そう思わざるを得ない。これはたとえば、先ほども申し上げましたように、おそらく大臣は、名古屋で一日閣議をやられたときに、これは昨年じゅうに認可を出します、こう言われたということをあなた方に申されたと思うのですよ。それをいまもってまだやれない。しかも、神戸にいたしましても、名古屋にしても、そのために毎年毎年予算の中で計上しているわけなんです。ところができないわけです。計上して、それは議会の議決をとっているわけです。とっているけれども、それは金が使えない、こういうことです。そして先ほども申し上げたように、四十四年のときは四十五億だったものがいま六十億になっておる。来年になったら六十五億になるでしょう。こういうことではやたらに負担をかけるだけじゃないですか。こういう点どう考えるか、こう言っておるのです。
  43. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 井岡さんのおっしゃること、一々ごもっともでございまして、反駁の余地はありません。事務当局の説明はまた事務当局としてのこともありますけれども、地下鉄のみならず軌道というのは、先行投資がかなりの部分を占めることは当然なんです。いま多摩ニュータウンは困っておる。千里ニュータウンはまあ何とか私鉄がやりますからかっこうがつきましょう。ことに路面電車を撤去することは簡単ですから、案外早くしてしまう。地下鉄の建設というものはどうしても三年とか五年とかかかるのです。ですから一日も早く免許をして、そして一日も早くやはり交通を開いてやらなければなりません。そういう意味で事務当局を督励して、名古屋の場合は、できれば先年の十二月中にこれは許可をして工事を進めるようにということを指示したのでありますが、なかなか各関係機関の協議というやつはやっかいなものがあるらしいのです。先ほど来補助金の問題もありましたが、それらも含んでおりますが、しかし補助を出すためにおくれるのだったら、これは金を出すことは意味がないということになります。やはり金を出すということは、なるべく仕事を早く促進をして、かつまた料金にはね返ることを少なくする、こういうのが目的でありますからして、したがっていまお話しのあった点については一々ごもっともであります。  ただ、名古屋の場合に少しおくれましたのは、一つはこういう事情があります。名古屋の場合においては従来の予定線は変更いたしました。というのは、最近における名古屋の市街の発達状況が変わってまいりましたので、そこで名古屋市当局は、従来の線よりもこの方面にひとつやってほしいということで、途中での変更の問題もありますが、それはそれとして、地元のほうが都市開発の上においては明るいのでありますから、その意見を十分に早く取り入れて処理するようにということを指示してまいったのですが、ただいま事務当局が説明しておったように、だんだんとおくれてまいりまして、その点は申しわけないと思います。しかし、これはさようなことを言っておるところではありませんからして、いま申請が出ておるものは一刻も早く処理をし、かつ関係当局とも積極的な話し合いを進めて、そしてだんだんと工事費も上がることでありますから、すみやかに処理をいたしたい、かように考えております。
  44. 井岡大治

    井岡分科員 よくわかりました。  ここで私は特に、もうあと時間がありませんからお願いをしておきたいことは、いわゆる工事にかかるまでに、かりに認可を受けても、買収から立ちのきから何からみんなやらなければならぬのですよ。北海道のあの原野でやるのなら簡単ですけれども、市内というところはそう簡単なものじゃないわけですよ。かなり時間がかかるわけです。ですから、できるだけ早く認可をしてやるということにしないと、やはり先行投資でなくて、後手後手に回ってしまって再開発ができない、こういうふうに思うのです。そういう意味から私は、大臣もお考えになっておいでになることですが、単に市内だけにとどまるのではなくて、だんだんそのベッドタウンが郊外のほうに出ていっておるわけですから、これらなどを結ぶように考えていかなければいかぬわけですよ。そうなるとどうしても先行投資をするわけです。それを採算が合わぬからどうかと言っておったのでは再開発にならぬのですから、そういう点はできるだけ早く出してもらうということ、だから、いろいろ関係機関との折衝でひまどっておるということでありますけれども、それはやろうと思えばできること。人間のことですからできることです。機械が動かぬというのとか、動物を相手にしておるのではないわけですからね。人間を相手にしておるわけですから、そういう点はどんどんやっていただきたいと思うのです。そうでないと、あなた方ここで百六億という膨大ななにを計上されておりますけれども工事をしなかったら、これは結局、予算は計上したけれども補助をすることができない、こういうことになるでしょう。  ついでに聞いておきますけれども、昨年の補助金は約八十六億ですか、全部おやりになりましたか。してないでしょう。
  45. 山口真弘

    山口(真)政府委員 地下鉄の補助金のやり方の問題に関連いたします問題でございますが、いまちょっと精査しておりませんが、大体において去年の八十六億くらいのものが補助できることと考えております。
  46. 井岡大治

    井岡分科員 いずれにしましても、できるだけ先行投資だということの大臣考えですから、都市の再開発という意味からすみやかにやっていただきたいということを要望して、時間が来ましたから、これで終わります。
  47. 大野市郎

  48. 和田春生

    和田(春)分科員 私はきょうお伺いしたいのは、当面している国鉄の合理化と新線敷設の関係について、私自身、具体的な問題に直面をいたしまして、一体政府並びに国鉄当局がどういうふうに考えておられるのか、よくわからない点がありますので、それをただしたいと考えるわけです。  この問題はすでに他の委員会で質問が行なわれておりますけれども、吾妻線に与党の二人の大臣が圧力をかけて、最初の予定になかった駅を二つつくらせたということが報道をされ、国会でも追及されました。この点について、私自身が調査をしてきたわけではございませんので、それらの情報を通じて聞いているのですけれども、新しく駅ができた、その駅の結果生じた駅間の距離というものは何キロメートルになったのか、はっきりお知らせ願いたいと思います。大臣及び総裁にはあとから重要なポイントをお伺いしますので、こういう点は事務当局でよろしゅうございます。
  49. 山口真弘

    山口(真)政府委員 吾妻線の工事実施計画につきましては、当初羽根尾、万座鹿沢口、それから大前駅でございましたが、その後地元から、群馬大津、袋倉の設置の要望がございましたので、それを鉄建公団から認可申請がございましたので、認可をいたしたということでございます。その結果でございますが、長野原−群馬大津間の駅間距離が二・二キロ、それから群馬大津−羽根尾間が同じく二・二キロ、それから羽根尾−袋倉間が二・九キロ、袋倉−鹿沢口間が二・九キロでございます。
  50. 和田春生

    和田(春)分科員 これは常識的に考えて、いま国鉄が駅の無人化であるとか、廃止であるとか、合理化をいろいろ計画を立てておるようですけれども、それと比べて、たいへん駅の間の距離が短いわけですけれども、私は、この二つの駅をつくったことに対する、それに圧力をかけたと称せられている閣僚の責任を追及するのではなくて、その問題はあとから出てくると思いますけれども、最初にお伺いしたいのは、もっと経済ベースの問題で、この駅を二つつくるのに一体どれだけの費用がかかったのか、お伺いしたい。
  51. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この両駅につきましては、無人駅の予定でございますので、単なるホームだけでございますので、両方合わせまして千五十万円でございます。
  52. 和田春生

    和田(春)分科員 そうすると、この駅を二つつくらなければ千五十万円という建設費の投資は不要になったわけなんです。運行していけば、単にその運行の旅客ないしはその運賃収入だけではなくして、これらの建設の費用というものは償却をしていかなければならぬわけですけれども、この該当線における営業係数は大体幾らくらいになるとお見込みですか。また開通してないそうでありますが……。
  53. 長浜正雄

    ○長浜説明員 営業係数、いまちょっと数字を持ち合わせておりませんけれども、一六六の予定でございます。
  54. 和田春生

    和田(春)分科員 そういたしますと、これは赤字の幅が大きいか小さいかは別として、やはり赤字路線でありますから、この見通しのとおりでいくと、とうていこれを通したものを償却をしていくほうは不可能であって、赤字がどんどん累積をしていくということになりますね。
  55. 長浜正雄

    ○長浜説明員 本線は、国鉄が借用いたします場合に無償線区でございまして、償却でなく、いま申し上げました一六六という営業係数はオペレーションコストでございまして、無償で国鉄がこれを経営する、こういう線でございます。投資をしました金額には、国鉄といたしましては関係ございません。
  56. 和田春生

    和田(春)分科員 そういうことは、もちろんお役所的の答弁ならそうなるんですけれども、ともかく鉄道を建設するのに投資が行なわれている、駅をつくればよけいな費用がかかっている、それをどこかで償わなくちゃいけないわけです。国鉄としては無償の線区であって、この営業係数はいま償却のものについては関係ないとおっしゃいますけれども、千五十万円という金が鉄建公団でこれを建設した、投ぜられたというのは、結局どこの場所でもこれは回収できない費用だということになりますね。
  57. 山口真弘

    山口(真)政府委員 鉄道建設公団のいわゆるA、B線でございますが、この建設につきましては、国及び国鉄の出資の金を原資といたしまして建設をいたしておりまして、国鉄に対しましては無償で貸し付けをするという仕組みになっております。したがいまして、その出資の中から一千五十万円というものがまかなわれていく、こういう形でございます。
  58. 和田春生

    和田(春)分科員 それはわかっているんですよ。それはいまのように、鉄建公団、国有鉄道というふうに分けていろいろやっておりますから、そういうふうに言えるのですけれども、これを全部一つの同一企業としてやっておるとすれば、そういう計算は成り立たぬはずなんで、その点をお伺いしたんですが、さらにお伺いしたいのは、駅を二つふやさなかったとした場合の営業係数はどれくらいになると見込んでおられましたか。
  59. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいまそこまで持ち合わせございません。申しわけございません。
  60. 和田春生

    和田(春)分科員 しかし、常識的に考えましても、赤字路線の形になっているわけですから、駅をふやしたことによってこの線区を国鉄が経営していくという場合に、たとえ無人駅であろうともいろいろコストはかかるわけですし、かなり費用の負担はふえるということは間違いないですね。駅が二つなければもう少し安上がりにつくと言うと悪いのですけれども、平たくいえば安上がりになると考えてよろしいでしょうね。
  61. 山口真弘

    山口(真)政府委員 国鉄自体といたしましては、これは先ほど申し上げましたように無償線区でございますから、したがって、駅ができることによりまして、若干でもお客がふえるということになりますれば、これは国鉄自体の営業係数にはいい影響を与えるということにはなります。ただし、今度は、鉄道建設公団の費用といたしましては、その分が投資の増というかっこうになりますから、その投資の増ということによって、全体の出資、使っている金の額がそれだけふえるというマイナスが生じてくる、こういうことであろうと思います。
  62. 和田春生

    和田(春)分科員 そこで重大な問題が出てくるので、しかと性根を入れてお答えを願いたいのですけれども、実は私が直接タッチしたというのは、どこいらの大臣のように、圧力をかけて駅をつくるとかどうせいというようなことではなくて、地元の人たちからいろいろ陳情を受けたりいたしまして、現地へも視察に行って見てまいりました。  青梅五日市線の合理化をやられたわけです。あそこは非常に古い民間経営から出発をして、国鉄が経営を引き受けて今日に至っておるわけですから、古い私鉄の経営時代のままでございましたし、駅の間の距離がかなり短い。大体平均すると一・六キロないし一・七キロになっている。これは私、現場についてよく知っているわけです。これを合理化しないと国鉄の経営上まずい。こういう形で青梅市内に十の駅があるうち八つを無人化をする、こういうことにしたわけです。そして地元民からは、市長、市会議長を含めまして、これは何も野党側ではなく、自民党政府、与党側に立っている人も含めて強い反対があったのですけれども、大体、当初の計画どおり国鉄はおやりになったわけです。  そのときに、私、合理化についての理由をお聞きいたしましたところ、大体正常に経営するのには、駅の距離が四キロないし五キロ、こういう形がいいのだけれども、ここは駅の距離が狭過ぎる。そこで、できれば駅を廃止をするのが国鉄にとってはたいへん都合がいいんだけれども、しかしそうもいくまい、こういうことで地元の便益も考えて無人駅にして残すことにした。合理化上はやはり四、五キロの間隔に駅を間引きするのが国鉄の合理化としては本来いいんだけれども、ほんとうはなくしたいんだ。しかし地元のことを考えて、当面は無人駅として残すのだということで無人化をしたわけですね。そうすると、こちらの路線では、最近あの辺に住宅もどんどんふえつつある傾向でございまして、東京に対する通勤の対象になっているのですが、駅を減らすことが国鉄の合理化にとってプラスになる。しかし、いまあなたがお答えになったのは、駅がふえれば、国鉄の営業係数は乗客がふえてプラスになるということをおっしゃったわけです。どっちがほんとうですか。
  63. 山口真弘

    山口(真)政府委員 ただいま申し上げましたのは、A、B線の性格が無償線区でございますから、したがいまして、資本費を国鉄が負担をしていないということでございますので、お客がふえれば、それだけの姿において営業係数のプラスがあり得るということを申し上げたわけでございます。それから一方、たとえば青梅、五日市線等におきまする無人化の場合でございますが、これは無人化をいたしますれば、それによるところの人件費の節約等があるということで、無人化によるお客の減少ということがあまり考えられないであろうということを考えますと、人件費の節約だけ有利になるということでございますから、したがって無人化によって営業係数が向上をするということであろうと思います。
  64. 和田春生

    和田(春)分科員 そういたしますと、五日市線のほうは一部旅客輸送を廃止いたしましたので、これはちょっと別ワクにいたしまして、青梅線で無人化をしたということの一番大きな目的は、人件費の節約、そういうところに焦点があったんではないか、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  65. 山口真弘

    山口(真)政府委員 そのように私ども考えております。
  66. 和田春生

    和田(春)分科員 そうすると、その人件費をそれによって節約をする。しかし一方において、サービスの向上、無人化に伴って安全施設にも若干費用が要ると思いますし、あるいはCTC化をするというようなことも言っているわけですけれども、当然そのことに伴う経費増もあるわけなんですね。そういうこととの差し引きで、この合理化で差しあたっては持ち出し分になるのではないかと思うのですが、たとえば五年なら五年という期間を限ってみた場合に、差し引き勘定で国鉄の経営に収支勘定の上でプラスになるのですか、マイナスになるのですか。
  67. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま、いろいろ合理化につきまして研究いたして実際やっておりますけれども、一応の計算といたしましては、現在の人件費でまいりますと、一人減らすのに一千万円投資いたしましても、大体五年ないし十年以内には投資の効果があがってくる。もちろん合理化の投資の内容によって非常に違いますけれども、私どものほうの合理化とすれば、一人減らすについて最高一千万円、最低三百万円でいければ、五年ないし十年以内には元利償還できる、こういう計算で合理化をいたしております。ですから、いまの青梅線の場合には、ほとんど大体三百万円ぐらいしかしていないと思いますけれども、百人ぐらいあるという勘定になっておりますから、あの辺の合理化は、いままで人が非常に多かったせいもございますが、投資の割り合いに効率のいい合理化であったというふうに、私、記憶いたしております。
  68. 和田春生

    和田(春)分科員 そういたしますと、この場合には、国鉄が合理化という場合には人件費を減らす、こういうことが焦点だ。もちろんいまの計算で、三百万ないし一千万投資をしても一人を減らせば四、五年でいくというのは、現在の賃金ベースなり賃金なりというものを前提においてある程度単純な計算ではないかと思うのです。人を減らすということは、ほかにおいてまた要る面もあって、輸送サービス機関の場合には、製造工場のようなぐあいにはそうそう単純にはいかないと私は思うのですが、かりにいまの総裁のお話をそのとおりとしておきましても、結局いまの国鉄の合理化ということについては、人を減らしていく、こういうことが一番のポイントになるというふうにお考えなんですか。
  69. 磯崎叡

    磯崎説明員 もちろん国鉄におきましても、企業の合理化はやはり輸送体系でございます。やはり輸送体系を合理化いたしませんと人が減ってきません。輸送体系を合理化しないで人を減らしますと非常に無理になります。いま先生のおっしゃいますように、人を減らすことは第二でございます。輸送体系を合理化することが第一である、私はこういうふうに理解しております。
  70. 和田春生

    和田(春)分科員 国鉄の将来をどういうふうに再建していくかということについては、なかなか多くの議論があろうと思うのです。しかし、全国をネットワークする国有鉄道という任務からいたしますと、できるだけ距離の長いところとか、通勤に非常に重要な路線であるとか、あるいは貨物輸送その他、内陸あるいは海もつないで考えた場合に重要な線というものを重点にしていく。そうして、それ以外のところは、できるだけスピードアップをするなり、経費のかからないような形にする。常識的に考えれば、駅がふえればふえるほど、とめたり走らせたりしなければなりません。お客がふえるといいましても、それでうんと乗ってくれれば収入がふえるかもしれませんけれども、定期客がふえるというような形では、必ずしもプラス勘定になるかどうかわからぬというような面もあり得ると思うのです。総合的な要素がからんでくると思うのです。同じ国鉄関係でつくったものでも、鉄建公団がつくったかもわからないけれども、片方では、地元民に対して合理化のために駅の無人化もやむを得ない、ある場合にはほんとうはこの駅をなくしたいのだ、そういう形で極力説得に当たっている。そうしてこれはもう国鉄の至上命令として撤回することはできない、そういうふうに言っている。国鉄が、よそでつくってきたところでは、いまお聞きいたしましたように赤字線区で、それは国鉄自体は無償の線区かもわからないけれども、一千万円以上の投資をして駅を二つつくった。その経営を唯々諾々として引き受けるという状況は、よそから見ると何ともちぐはぐなものに映るのですけれども、総裁それをおかしいとお考えになりませんか。
  71. 磯崎叡

    磯崎説明員 その数字だけから申しますと、確かに先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、いまの青梅線の場合とこれからの新線建設の場合とは、さっき先生御質問の、輸送体系自体が根本的に実は非常に違っております。青梅線の場合には、八両前後の非常に長大な電車が通勤客を満載して走っておる。それから、これからつくる、たとえば吾妻線にしてもそうでございますけれども、あそこにとまるのは、一日せいぜい五往復か四往復ぐらい、一時間に一本かせいぜい二時間に三本ぐらいという程度のところでございまして、その点、輸送体系が全然違っておりますので、新線建設のよしあしは別といたしまして、これから新線がどうしても必要だとすれば、バスも何もない、いわばバス代行のようなというか、ディーゼルカー一両で行ったり来たりするというような新線がつくられるだろうと思うのです。そういう場合には、むしろバスの停留所のような意味で、一キロから一キロ半でも私はやむを得ないと考えます。ただ、この付近は、長大電車が満員の通勤客を乗せて走る場合とは輸送体系自体が少し違っておるというふうに、私はそれを了解いたしておりますが、数字だけから見ると、そういう御疑念が出るのは私は当然だと考えます。
  72. 和田春生

    和田(春)分科員 実はそういうお答えが出るであろうと思っていました。私もこの質問をするについて、両方にわたっていろいろ調べてみているわけです。ところが一般の国民の受け取り方というのは全く違うわけです。いま、一般的に見た場合におかしいというふうにお考えになりませんかと伺ったわけで、国鉄の専門家として内情を知り尽くしている総裁としての答弁を実は求めたわけじゃないのです。  なぜ私がこういうことを申し上げているかというと、実は青梅線の近くの人々が、私のところに大挙してやってまいりまして、あの合理化問題については和田さんにも現地をいろいろ見てもらいましたが、と言ってきたときに、私は、国鉄の使命といまの国鉄の全体としての地位というものについて一般的な話をしたのです。いま赤字路線が多い、全般的にどうしても合理化をしなくてはならぬ、切り捨てをしなくてはならぬというところもある。どうなるかは別として、ピンチで行き詰まっておる。そういう事態を頭から無視して皆さん言われるからと、こういうふうに言ったってなかなか聞かぬ。地域住民としては、いまそこにあるものがなくなる、あるいは無人化するということは、通勤は別として、通学の児童については危険である。いろんな不安があるだろう。しかし全体としてながめると、部分だけのことを言っておったのではどうにもならないという事情があるので、私はどうせいと言うことはできないけれども、地元で相談する場合にもそういう大局的な要素というものを検討しながら国鉄当局と折衝なさるのがいいんではないかというアドバイスをいたしました。幸い市長あるいは市会議長、その他の方々も、その筋はよくわかる、実は板ばさみになって困っておるんだということを言っておられたわけです。結果的には、ほとんど国鉄の当初計画で合理化を押し切ってしまわれた。若干の安全施設その他では地元の顔も立てるようなことをやられたでしょう。ところがこの吾妻線の問題の記事が出たわけです。そこで、国鉄にだまされた、こういう猛烈な感情が出ているわけです。一体どうしてくれるのですか。われわれはそういう点でいろいろ苦労しながら、まあまあというところで納得してもらっておさめたところ、一方では、もともと赤字路線ができて、そこに有力閣僚が声をかければ、無人か何か知らぬけれども新しい駅がぽつぽつとでき上がる。それには相当のお金がかかる。そういうことをやっておるなら、われわれは、これから国鉄のいうことは一切信用ができない。そういう問題を放置しておくことは非常に困るので、われわれは地元においても全く立場がない。こういうことを強調していかれたわけなんです。私はこれは当然だと思うのです。そういう点に対して国民が納得のいく説明を行なわずして、国鉄の合理化をやろうとか、赤字路線を廃止しようとか、あるいは駅の間引きをしようとかいっても、それは全然協力を得られないと思うのです。どんな計画を立てたって、住民パワーに直面して、事実でもって次から次へひっくり返されてくる、説得のしようがないということになると思う。そういう点につきまして、これは運輸大臣に、政府の責任ある閣僚としての所見をお伺いしたいと思うのです。
  73. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 青梅線の無人化駅につきまして、和田さんがたいへんな理解を示されて、関係者に理解の労をとられたことに対し、心から御礼を申し上げます。  いまの問題ですが、私も別に両大臣から要請を受けておりません。あの記事が出ましたのは突然であって、私はその事情承知しておりません。ただ、先ほどちょっと国鉄総裁からお答えがありましたが、私もかねてから、いわゆる通勤線——地方交通線は特に通勤線の役割りが大きいのですが、こういう場合に従来の国鉄考え方ではおかしいんじゃないか。もちろんこれは、バスで十分なところは別でありますけれども、バスも必ずしも十分じゃないという場合には、いわゆるキロ数にとらわれない無人化駅、簡単な設備ができるなれば、部落、部落をつないでいくような無人化駅があって、それがやはり通勤線の役割りをするというのが地方交通線の一つの新しい特色になってくるんじゃないか。そういう意味において、先ほど国鉄総裁は新しい考え方を述べられましたが、私もその方針は賛成でありまして、これからの新線建設の場合におきましても、やはり地方交通線の通勤的役割りというものをよほど思い切って考えなければならない。ただその場合に、営業係数の上においてあまり大きく影響があるものは別でありますけれども、将来の開発あるいは交通上の便宜というものが見られるなれば、必ずしも四キロとか五キロとかいうことにとらわれないで——まあしかし、山の中にとめる必要はありませんから、場所によっては四キロ、五キロはありましょうけれども、部落をつなぐ場合に、二キロあるいは一キロ半ということがあってもこれは差しつかえない。そういう意味において私は、いま国鉄総裁考えておるようなことを、新線のみならず既設線でも考えたらいいと思うのです。その場合に国鉄が金を出してまではやれませんので、これは地方公共団体等に考えてもらわなければなりませんが、とにかくいまや御承知のように行政もだんだん広がってきております。従来の三つ、四つの村が一つになってきておる。その村に通わざるを得ない。こういうように行政自体が広域行政になってくる、あるいは地方にも工場が小さいながらも進出をしてくる。こういう状況から見ますと地方線というものは今日では、かつてと比較しますと、数字の上においても比較にならないくらい通勤的な役割りを占めてきておる。こういう意味では、いわゆる鉄道政策といいますか、軌道政策にも新しい意味考えられなければならぬ、かように考える次第であります。もちろんお話のような、他の政治力、圧力によって事をきめるということは断じてあってはならないし、また国鉄総裁にもその点については強く指示をいたしております。今回の問題はそれとは別個の問題であると私も理解いたしておりますが、今後もそのことにつきましては、十分に考えながら適正な措置を講じていきたい、かように考えております。
  74. 和田春生

    和田(春)分科員 それで、こういう問題はどこから派生してくるかということを考えてみますと、政治的な圧力云々という問題ももちろんあり得ることは周知の事実ですが、鉄道敷設法というたいへん古い法律で、予定路線ということで線が引っぱられている。鉄建公団は国鉄の経営には何ら責任を持っていないので、つくることだけが任務なんですから、ばかすかばかすかつくっていく。そういう要請があっても簡単に受け入れる。いまピンチに追い詰められている国鉄がみずから建設しておれば、おそらく吾妻線なんかでも一もんちゃくがあったんじゃないかと私は思うのです。  そういう点で運輸大臣にお伺いをしたいのは、この古い鉄道敷設法というのは、今日、国鉄の地位というものが急激に変わってきて、どういうふうに再建をしようか、こういう段階では根本的に考え直して改正する必要があると私は思うのです。そうしないと、つくるだけの鉄建公団はどんどんそういうものを無責任につくりやすいし、あるいは政治的圧力にも動かされやすい、こういう傾向が出てくるのではないか。したがって、この鉄道敷設法そのものについて抜本的に再検討するお考えがあるかどうか。  それから国鉄総裁にお伺いしたいのは、今後、国鉄の合理化という面で理不尽な路線が鉄建公団等で建設された場合には、国鉄として、そういうものは全体の合理化計画関連から受け入れて経営するわけにはいかぬ、それくらいの強い態度で拒否する決意がありやいなや。  その二点をお伺いいたしまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
  75. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま直ちに敷設法を改正するという問題は、いろいろな問題から考えまして重要問題でありますので、この点は何とも申し上げようがありませんけれども、実は従来ともに、最近におきましては地方線、いわゆるA、B線、その他C、D線につきましても、建設するかどうかについては、国鉄及び公団の間及び運輸省が入りまして相談の上きめておりますので、鉄建公団がかってに鉄道を敷設することはできない。かような実際上の行政の仕組みになっておりますので、事実上ある意味においては選択しながらやっていく。こういうことによって、国鉄の希望し、あるいは国が地方開発の面において必要であるという点等も加味しまして、そうして合理的な運営をやっていきたい、かように考えておりますので、いまばかすかばかすかつくるようなことは賛成もいたしませんし、今後ともその点については十分適正な措置を講じてまいる。同時にまた、将来総合交通体系というものができますれば、そこで国鉄のやる役割り及び地方交通線に対する役割り、こういうものを明確にしていきたい、かように考えております。
  76. 和田春生

    和田(春)分科員 いまの鉄道敷設法というのは非常に古い法律で、これからの総合交通政策の中には再検討すべきものがたくさんあると思う。いずれ近いうちにつくられると思いますけれども、改正するということは言われないにしても、再検討しなければならぬという必要性については、大臣お認めになりますか。その点を重ねてお伺いしておきたいと思います。
  77. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 総合交通体系の上から、これらを検討していくということは必要であろうと思います。
  78. 磯崎叡

    磯崎説明員 現在鉄道建設公団が建設いたしておりますのは、いま大臣がおっしゃいましたように、鉄道建設審議会を経まして大臣がおきめになっているわけでございます。しかし、これは実は数年前にきまったものでございまして、私どものほうから見ますと、どうしてもそれは再検討していただきたい。もちろん、私は全部要らないとは申しません。しかし、その中でほんとうに将来とも、たとえ赤字であってもつくらなきゃならないものもございます。しかし、大多数のものがそうでないとすれば、やはりここで思い切って再検討しなければいけない。現在きまっているものについても再検討して、そのかわり必要なものはそこに予算を集中してつくる、それは私のほうで喜んでお引き受けするという形になるのがあるべき姿だというふうに思いまして、私は、ぜひ現在建設中のものを含めまして再検討していただきたい。そういたしませんと、ことし苦しい中で鉄道建設公団に出資をいたしております。これは利子のつく金を借りて出資をいたしております。ですから、それが死に金にならないようにするには、どうしても再検討していただきたい。そして将来とも残り線、二十一の必要な線をぜひここで集中をしてつくっていただきたいというのが、私どもの絶大な希望でございます。
  79. 和田春生

    和田(春)分科員 ではその再検討の点、ぜひ前向きにやっていただくということを運輸大臣国鉄総裁の答弁で確認いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 大野市郎

  81. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 まず最初に国鉄総裁にお尋ねをいたしますが、経過を申し上げておきたいと思うのです。昨年の十一月の二十四日、宮崎発鹿児島行きの錦江一号が、鹿児島県の鳥越トンネルと鹿児島駅の途中で、道路の上から落ちてきましたダンプカーに、運転士は前もってその危険を察知したので、ブレーキを急制動をかけたけれども、距離的に間に合わずに乗り上げて、たいへんな事故が起こったことを総裁御記憶だと思うのです。そのときに、私の知っておる範囲では、死者二名、重傷者七名、負傷者二十三名という大きな犠牲が出たんです。しかも、この列車は新婚列車で、相当あちらこちらの新婚の方が乗っておられて、たいへん大きな事故を起こしておるわけなんです。  ところが、この事故に対しまして、国鉄側は死者に対して死亡見舞い金として三万円、重傷者、軽傷者を含めて三千円から一万円の見舞い金を実は出したわけなんです。そのために、事故にあいました家族の方々あるいは負傷された方々が一緒になりまして、被害補償のための協議会というのをつくって、鹿局の局長と再三にわたって交渉しておるわけであります。ところが国鉄のほうでは、国鉄も被害者なんだ、当然事故を起こしたダンプカーがその補償の責任を持っておるのだ。確かに現在の法体系の上で、国鉄も被害者であることは私は事実だと思うのです。しかし、現実にその列車に乗っておった人が死亡したり重傷を負っておる、それはまた私は事実だと思う。現実に重傷の方がまだ入院をしておって、その支払いが、昨年の十一月二十四日から百万円をこえて、家計が非常に苦しくなってきておる。こういう状態を見たときに、その相手側のダンプカーが支払い能力のない全くの零細企業で、それを対象にして幾ら補償要求してみても、これはどうにもならない。国鉄側ももうどうにもならないので、補償要求は放棄しておるのです。そういう場合に、実はその国鉄の車に乗っておったために事故が起こった、そういう皆さん方に対する救済措置というのは、現在の法体系の中では全く考えられておらないというのが現実だと思うのです。  しかし、御承知のように、現在鉄道が立体交差されておる部分が非常に少なくて、平面交差の部分が非常に多いのです。そのために踏切事故というのが再三にわたって出てきておる。また今度のように、上のほうからガードレールを越えて車がレールの上に落ちてきて、それに乗り上げてそういう事故が起こる、これは私は想像できる事故だと思うのです。これからまた起こり得る——再三起こってはいけないけれども、現実にはまた起こり得る可能性のある問題だと思うのです。こういうものに対して、現在のそういった状態を改めて、そういう被害者に対しての補償をするという方向について検討する意思は全くないのか。その人たちは、国鉄に乗らなければよかった、むしろ飛行機か何かに乗っておればそういう事故はなかったでしょうけれども、もう全くそういう見舞い金程度で打ち切ってしまっておるという現害を踏まえて、国鉄側はこれ以上のものについては、もう一切何らの参酌の余地もないのかどうか、その点をまずもって総裁にお聞きしたいと思うのです。
  82. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに過般の事故は、いわば私のほうも非常に大きな被害者でございます。線路の上からダンプカーが落ちてくるなんということは、これは国鉄とは全く無関係の、国鉄側からいえば一種の天災のようなものだと私は思っております。しかし現に死者が出て、死者の中にはダンプの運転士自身が入っております。死者が出、またけが人が出たことも確かであります。いままでのやり方から申しますと、いまおっしゃったような見舞金——国鉄は全く無過失でございます。したがって法律論からいえば、国鉄としては見舞い金でもって、お客さんに対するお見舞いということをしておったわけであります。  最近は、そういう場合には自動車の損害補償が確立されておりますので、死者は五百万円ですか、私は詳しくは知りませんが、大体そのくらいの額だと思います。それについての請求その他いろいろむずかしい点がありますが、そういう点は極力御協力しなさい、一刻も早く国の正式な損害補償による補償金が各人の手に渡るように協力するということはいたしておりますが、いまこれ以上、私のほうで賠償金を出すとかいうことは、いまのところ考えておりません。しかし、現実にけがをされてまだ入院されている方があることも伺っております。それも知っておりますけれども自動車損害補償のお金をもらうのにもなかなか手間がかかる、またそれで足りない面もあるというようなこともあります。私は、もう少し事情を調べなさいということを言っておりますけれども、たてまえとしては、やはりいままでとったたてまえが筋だというふうに私は考えております。
  83. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 ここで運輸大臣にぜひお尋をしておきたいし、また将来の問題としてお考えを承っておきたいのですが、いまの国鉄ほど損害補償問題についてずさんなのはないと思うのです。確かに国鉄自身が事故があったというものについては整備されております。しかし間接的な事故、いま言ったような第三者がレールの上に落ちてきたために、それに乗り上げて、乗っているお客さんが事故を起こしたということで補償がない。そういう補償制度というものが全くないというのは、国鉄だけだと私は思うのです。これから新幹線の事故が出たら、どういう事故になるかわからぬと思うのです。たまたまレールの上に、国鉄と全然関係なく何らかの障害物があった場合に、それに乗り上げて大きな事故が起こったときに、国鉄に過失がない限り、乗っておる人が死亡しようが重傷を負おうが何しようが、その人たちに対しては何らの法的な補償する手続というものはないのですね。これから総合交通網ということで新幹線がどんどんできるでしょう。そういうことを考えてまいりますと、乗っておるお客さんは、たとえどういう事故であろうと事故にあったということに変わりはないわけでありますから、国鉄に乗った人についてそういう事故が起こったときの補償というものを、法体系でもう一ぺん国鉄の問題を再検討して、この補償の整備というものを確立するということについて、大臣はどのようにお考えになっておるのか、そのことをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  84. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 法律論でありますので、私も詳しくは、また的確なお答えができないとは思いますけれども、御承知のように保険制度、たとえば傷害保険制度というものが一方においてあります。したがって、国鉄自身の過失により、あるいは国鉄自身の整備等において粗漏があって起きた事故に対しては、補償制度が明らかになっておる。あるいはわれわれが町を歩いておって雷が落ちた場合は、傷害保険の対象になるわけですね。やはり保険制度の役割りがありますから、一応その保険制度の役割り内において原則として処理していく。ただ、しかしながら自分のお客さんでありますから、お客さんに対する見舞い金という考え、それを金の問題の上からいえば、いま考えておる金額はどのくらいかわかりませんけれども、それが妥当かどうかの問題は別にしまして、補償及び見舞い金の区別というものはやはりある程度必要じゃなかろうか。お客さんがけがをされたのでありますから、したがって自分の責任ではないといいながら、それに対していわゆる見舞い金の形においてできるだけのことをしてあげる、また手厚い措置を講ずることは当然でありますが、補償制度をはたしてこの問題まで拡大すべきかどうかという問題は、やはりいろいろな問題があろうと思います。国鉄当局においても十分に検討はしておると存じまするが、今後も検討させてまいりたいと思います。
  85. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 大臣、もう一ぺん申し上げておきますが、死んだ人が三万円ですよ。そして重傷、軽傷は三千円から一万円しかもらえない。重傷の人は、もう入院してすでに百万円以上の金を払っておるのにかかわらずまだ退院できない。いまの見舞い金が一体どれだけの価値があったのかというと、もう全然そういうものは、重傷を負った人たちにとっては、もらわないよりもよかったかもしれませんけれども、何の足しにもならないという現実ですね。国鉄に乗ったために起こった事故です。しかし国鉄に責任はない。事故を起こした本人に賠償の責任を負う能力がないということがたまたま起こっておる。またこれからも起こる可能性があるとすれば、やはり国鉄に乗るときにそういったものに対する何らかの救済の措置、こういうものが私はあってしかるべきだと思うのですが、もう一ぺん大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  86. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しの向きは、乗客自体に対して国鉄自身が一種の保険制度をとってはどうかというお話しのようでもありますが、ただ問題は、一日に何百万という人が乗る場合に、それを別個に料金の中で処理するということはなかなか容易ではないと思います。料金外にちょうだいすれば別ですが、しかし、おれはちゃんと傷害保険に入っているから、よけいな金を取られるのはいやだ、こういうようにもなりましょうから、非常にむずかしい問題でありますが、ただ国鉄の内部で、もう少し見舞い金の制度の内容を固めておく必要はあると思います。いまお話しのように、なくなった方三万円というのは少し少ないように思いますが、従来の慣例によっておるのでしょうが、そういう点については、補償金の制度がきちっとしておると同時に、見舞い金の形式もある程度は制度的に考えていくべきであろうと思うし、当然そのことについては、国鉄総裁から先ほど来お話もありましたから、検討を進めておる、今後とも被害者の皆さんに対してはできるだけの措置は講じていく、かように考えております。
  87. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 私は、いま保険制度のことを一つ申し上げたのですけれども、そういったものに対してもある程度法体系の整備というものを、この際お願いしたいと思うのです。  それから国鉄総裁、この問題について一方的に国鉄のほうから、話し合いを打ち切ります、こう言われておるのですよ。国鉄も被害者だから、もう君たちの話し合いに応じないと言って突っぱねておるわけですね。いま大臣から御答弁がありましたが、再考してさらに国鉄部内で検討を加える、今後起こる事故に備えて国鉄内でも検討を加える、この二つの問題について総裁からお聞かせいただきたいと思うのです。
  88. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうはやはり法律論でまいりませんと、いろいろ金の支出の問題になりますので乱脈になってはいけないということで、いわゆる法律的に申しますれば、なくなられた方の一人はたしか責任者だと私は思っております。もう一人は私のほうの乗務員だったと思います。なくなられた方とおっしゃいますけれども自動車の運転士は責任者自身でございます。その問題は一応別にいたしまして、これは乗客じゃございません。ただ乗客に対しては、こういう問題はいわゆる旅行保険とか傷害保険の制度でいくべきであって、国鉄自体のいわゆる損害賠償というような、いまの法体系ではないというふうに私は考えます。  したがいまして、いまお話を伺っておりますと、何かまとまって交渉とかいうお話があるように伺いましたけれども、こういう方々と交渉するとかいう事態の問題ではないのじゃないかというふうに私は考えます。ただ大臣が言われましたように、金額自身がいまの物価の趨勢その他から申しまして、妥当なりやいなやという問題はあると思いますけれども、そのなくなられた方々の集団と交渉するというふうな筋合いのものではないということを、私ははっきり申し上げておきます。
  89. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 総裁、私の言い方がまずかったですね。その人たちは交渉とかなんとかいうのじゃない。遺族の人たちはただお願い、陳情なんです。話し合いということばに訂正してもいいですよ。君たちとは話し合いに応じない、こう言っておられますね。しかし、金額その他については、いまの物価の趨勢の問題も関連して検討してもいいのだ、こういうお話しですから、ぜひそういった問題について検討していただくと同時に、さっき大臣が言ったように、将来の問題として、これから国鉄を利用される乗客の安全のために、かりにそういう事故が起こったときの問題点として、何らかの法的なものあるいは制度的なものを検討していくことが必要だと思うのです。そうしなければ死に損である、国鉄に乗ったためにけがしてけが損だというようなことが起こり得る可能性があると思うのです。ぜひそういう点について総裁のほうも、大臣が言われたように国鉄当局として御検討いただきたい、かように思うのです。
  90. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは飛行機でも、現在お客が自分の選択で保険をつけます。それから国鉄につきましても、旅行傷害保険がございます。ですからそういう保険制度で解決できないものかどうかということが第一点の問題で、国鉄のお客さんに対して、お客さんの負担でなしに国鉄自身が保険をかけることは非常にむずかしいのじゃないかというふうに考えます。ただ、駅頭その他でもっと簡単に保険がかけられるような制度を考えるということは、必要だというふうに思っております。
  91. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 この問題だけで時間をとられてしまいますけれども、いま言われたような制度そのこと自体もやはり検討さるべきだ、全然ないわけですから。航空会社の場合は、飛行機の切符を買ったときに一応一定額はそれに組み込まれているわけですから、だからそういう点を考えていくと、総裁のほうもぜひ御検討いただきたいというふうに思うのです。  この問題でいろいろここで議論しておると長くなりますから、次の問題に移らしていただきたいと思いますが、一つは、貨物取り扱いの廃止の問題なんです。これは赤字ローカル線の廃止の問題と関連をしてくるのですが、実は国鉄当局のほうで、平均貨物扱い量以下のところは集約をするという方針があることは事実だと思うのです。合理化とか貨物のスピードアップその他の点から集約していくということも、私はあっていい制度だ、いい合理化だと、そのことは私は認めていいと思う。ただ問題は、少なくともそこの市にとって、あるAという町にとって、全体的な平均の扱い貨物量は全国よりも少ないけれども、そこの経済圏にとっては非常に重要な数量が取り扱われておるというところまで集約をされるというのは、私はいかがかと思うのです。現実に市議会が反対をし、町の人たちも署名をして陳情して、ぜひその貨物扱いだけは残してもらいたい、市の発展のためにも必要だ、こう言っておるにかかわらず、それは扱い量が非常に少ないから、もうこれは集約をしてしまうのだ、こういうことでくるわけです。  だから、私はここで国鉄総裁にお願いをしたいのは、平均扱い量以下の駅であっても、そこにとっては、その町の経済にとっては非常に重要な数量を占めておるというような駅については、やっぱり私は貨物の扱いというのは認めてもらいたい、このように思うのです。ただ数量的な平均だけで、ここは集約するのだ、こういう行き方では私は町の発展は阻害される、かように思いますので、ぜひそういったものについて考慮する余地があるのかどうか、その点について総裁の御答弁をいただきたいと思うのです。
  92. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 貨物駅の集約の考え方につきましては、いま先生おっしゃられましたとおり、全体的に非常に駅が多くて、駅間距離が短くて、社会環境、経済環境の変化に非常にマッチしていない、そこで近代的な輸送体制を整備していくという方向で一般的に集約をしているわけであります。その際に、一般的な基準で、大体こういう見当でいけばこういう輸送体系ができる。このような絵をもちまして、地方地方でその絵を土台といたしまして具体的に地元のいろいろな条件、これと話し合ってやっておるわけでございます。したがいまして、いま先生御指摘のように、一般的なスタンダードはスタンダードといたしまして、そのような条件はそのような条件といたしまして、十分現地で話し合って進めていく、こういう気持ちでやらしてもらっておるわけでございます。
  93. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 再度お尋ねをしますが、それでは一方的に貨物の扱いは何月何日以降は打ち切ります。こういったようなことはやりませんね。その点を明確にしてください。
  94. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 一方的に、何月何日やめるというようなことはやっていないつもりでございます。その荷主さんあるいはそこの輸送の条件、そういうものを十分話し合って、そちらの条件と具体的な輸送事情、こういうものを合わせまして日取りをきめてやっている、こういう方向であります。ただ、国鉄といたしましては非常に散発的に、ある駅が何月何日、ある駅が何月何日、これでは、一番先に申し上げましたように、新しい輸送体系への転換が非常にできにくい。そこで日にちにつきましては、国鉄として計画的に持っております。そしてその計画を聞いていただくように、そしてまたその具体的な事情をいかにそれとかみ合わしていくかということで話はしておる、こういう次第でございます。
  95. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 どうもかみ合わないのですがね。実は話し合いをしておるのです。ところが、話し合いをしておったところが、一方的に国鉄の都合で、合理化計画の都合で打ち切る、何月何日から貨物の集約をいたします。こういうことが出てきておるわけですよ。もう打ち切ると、極端にいうと住民の意思とは全く無関係で進められておる。話し合いは形式だ。いかに説得し納得させてから合理化に——集約するかということだけに焦点があって、地域のそういった経済発展とか、地域のそういった経済効果というものは全く無視されて、国鉄のペースで話し合いが進められて、何月何日までにきまらなければもう打ち切って、何月何日やってしまう、こういうことが現実に出てきておるわけですよ。私は全部の駅を云々と言っておるのじゃないのです。当然集約されなければならぬ駅はあると思う。しかしいま言ったように、そういった経済効果、そういった面からぜひ必要だという駅については私は残してやるべきだ、残すべきだ、こういうふうに申し上げておるので、一方的にいまそういうことがなされようとしておるから私の質問があるのです。だから、一方的に打ち切るということはないのでしょう、こういうふうに質問しておるわけです。もう一ぺんお聞かせください。
  96. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 具体的な駅舎についてのお話でないので、非常に抽象的になって申しわけございませんけれども国鉄計画、それから地元のいろいろな事情、これをいかにうまくかみ合わせていくか、もう少し国鉄サイドで言わしてもらえば、国鉄計画をよく理解していただく、そういう努力、そしてそれに伴う地元のいろいろな問題、こういうものをよく話し合って集約の計画を実行していく、こういう気持ちでございまして、話し合いしないで国鉄計画だけでやっていく、こういう気持ちはございません。
  97. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 時間がもうなくなりましたから簡潔に、地元の意見と国鉄側の合理化計画とが食い違った場合、強行はいたしませんね。しないでしょう。どうです。
  98. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 意見を十分調整するように努力させます。
  99. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 調整するということは、一方的にしない、こういうふうに理解をしてよろしいですね。
  100. 磯崎叡

    磯崎説明員 いろいろお話しもございますけれども、先ほど先生の御質問の中でも、たとえばいまいろいろ問題になっておるのは、一日二車とかそこらの駅でございます。もし二車とか三車の扱いでありますと、それはどう考えても貨車輸送するのはむだなんです。それは速度から申しましてもその貨物輸送はむだで、私が直接いろいろお目にかかると、町のメンツとかそういう問題になってきておる点がありますので、そういう点につきましては、私は十分もう説得しなければいけない、こういうふうに思っております。そのために全体の貨物輸送が非常に足がおそくなってくる。たとえば宮崎−東京では、貨車輸送ではなくて船のほうが早い、こういう次第になっておる。これは貨物の扱い駅が多いのでこういうふうになっておるので、この点、町のメンツなんという問題ではなく、具体的な、ほんとうにその町が貨車を使ってくれるかどうかという実体的な問題でもって、いろいろ具体的にお話をいたします。
  101. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 具体的な問題で私は話をしておるのです。だから具体的な問題として経済的に、メンツとかなんとかいうことじゃないのです。そこの市にとって非常に経済効果が高いのだ、扱い量が少なくても非常に高いのだ、こういう場合のことを想定して先ほど質問したわけですね。全部いけないと言っておるのじゃないのです。だからそういう事情のあるところについては、一方的な強行はしないでしょうということをお聞きしたわけなんです。
  102. 磯崎叡

    磯崎説明員 扱い量が少なくて非常に経済効果があるというものは、非常に高価物品なんです。非常に経済効果があるのなら、必ず扱い量がふえるわけです、ですから扱い量は少ないということは非常に高価物品である。それなら自動車輸送のほうがいいということになるんじゃないかと思います。具体的な御質問でないのでちょっとお答えいたしかねますが、極力町の方々を説得いたすつもりでございます。
  103. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 過疎地帯で、結局人口がだんだんと減少しているところについては扱い量は非常に少なくなるのですよ。そうなると、極端にいうと、過密のところはどんどんと国鉄整備というものはずっと発展をする。過疎のところは、国鉄国鉄じゃなくなってしまうのです。極端にいうと、貨物の扱いもやめましたよ、民間のトラックかなんかでやりなさい、赤字ローカル線はもうもうからぬから廃止してしまいましょう、そういうことを言っておったら国鉄ですか。  私は大臣にお尋ねをするのですが、民間のバス会社が路線を廃止するときは非常にやかましいのですよ、住民の問題で。これは私企業ですよ。私企業ですら赤字だからもうやめたいとバス路線の廃止を申請しても、運輸省はなかなか廃止について許可をおろさないのです。ところが一方国鉄のほうは、国の鉄道という、国鉄という名前がついておって、ああもう赤字だからこれは廃止ですよ、過疎地帯はもう扱い量が少ないからこんなものは集約してしまえ、それじゃ何のための国鉄なんです。過疎地帯には国鉄の何の恩恵もないじゃないですか。新幹線なんか見てみなさい、地元債なんて要らぬですよ。新幹線のほうへはどんどんつけるでしょう。過疎地帯はどうですか。何かやってくれといったら地元債でしょう。国鉄債を引き受けろといって要求するでしょう。それを引き受けなければやらぬというでしょう。それじゃ国鉄総裁は、もう過疎地帯は私たち国鉄はもうからぬからやりませんとはっきり国民の前に言いなさいよ。それならわれわれも納得する。そうじゃなくて、われわれは国鉄だと思っておるからこそ、いろいろな事情がある過疎地帯だけれども国鉄が必要だから残してくれ、そういう集約についてはひとつやめてもらいたいという意見が出てくるのはあたりまえでしょう。赤字路線の問題だってそうですよ。もうからぬからはずすというなら、国鉄という名前を返上すればいいのだ。その点はどうですか。
  104. 磯崎叡

    磯崎説明員 多少私の申し上げたことに誤解があるようでございますので、この際はっきり申し上げておきます。  国鉄線二万キロの中で実際企業採算ができるのは約一万キロで、これはもうかるという意味じゃございません。もうからないところを含めて、もうかるところでもうからないところをカバーして一万キロしかやっていけない。あとの一万キロは、やはりどうしても国鉄の企業ベースに乗らないわけでございます。それについては、その一万キロの中について、もう鉄道の使命の終わったものは廃止させてもらう。それからそうでないものは、ある部分は地方と共同経営する。しかし、それもできないものは国鉄が無理をいたしましょう。しかしながら、それから出てくる赤字は、これは国鉄ではしょい切れません。だから、これは国なり地方でもって見ていただきたい。これが私のたてまえでございまして、私は一ぺんも赤字だから廃止するということを申したつもりはございませんので、その点誤解のないようにお願いしたいと思います。
  105. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 もう時間がありませんから、大臣にずばりお聞きしておきますが、赤字ローカル線の廃止だといっていろいろ言われます。あるいは委託貨物扱いの集約だ。地元のほうにとっては、非常に生命線のように考えておる、メンツとかなんとかいうことではなくて、発展のために必要だからこそ残してもらいたいという貨物駅の集約の問題についても、国鉄が一方的に集約してしまう。地元にとって、過疎地帯にとっては非常に必要だという路線についても、もうこれはもうからないから、赤字路線だからなくしてしまえ。過密都市はどんどん新幹線が走る、こういうアンバランスの交通体系、こういう現実というものは、私は運輸大臣として改めてもらわなければいかぬと思うのです、少なくとも国鉄という名前がついておるのですから。民間のバス路線ですらも、廃止しようとしたら、私企業であるにかかわらず国が、それはちょっと困る、地元の発展のために待てといって路線廃止がなかなかできないわけだから。そうなってくれば、私は、赤字だからすぐ廃止するというのではなくて、国で、総裁が言っておられるようにある程度めんどうを見てやる、こういう方向をぜひ考えてもらいたいと思うのです。そうしなければ、過疎地帯にもたくさんの国民が住んでおるわけですから、ここで国鉄に依存して生きておる国民がたくさんおるわけですから、そういう意味からすれば、過疎地帯の鉄道問題、国鉄問題というものについて、大臣からひとつ明確に答弁をしていただきたいと思うのです。
  106. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 交通問題は近時なかなかやかましくなってまいりまして、非常に重大な、国民生活に影響のある重大問題であります。いまお尋ねの件は二つあるようでありますが、一つは、地方赤字線は簡単にやめるな、こういうことと、もう一つは、貨物の集中駅といってももう少し考えてやれ、こういうお話だろうと思います。  そこで、貨物の集中駅の考え方は、御承知のように、いわゆる貨物輸送のスピード化ということがまず第一の原則になっております。したがって、貨物駅が多ければそれだけスピードが落ちていくということは全体のサービスの低下になる、こういうことからしてある程度貨物駅を集中していこう。しかし、実はそれだけではほんとうは足らないわけです。おっしゃるように、そうなればたとえ小さな村、町でありましても、貨物が全然出ないというわけではありませんから、それを別途の方法考えるべきだと私は思います。交通に責任のある大臣としては、そういうことでいま政府といたしましては、総合交通体系の中で地方赤字線はどうすべきか、また国鉄のやるべきものはどうするか、それ以上に国鉄にしょわせる場合は、国鉄に対するところの国及び地方自治体の助成はどうすべきか、及びいま言ったような貨物、いわゆる大量貨物の問題は国鉄がやってまいりましょうが、それ以外の小荷物を含めた少量貨物、しこういうものはどういう機関で考えていったらいいだろうか。これは国鉄だけではなく、郵政省の小荷物もたいへんに問題になってきております。こういうような問題としては、総合的にこれは考えなければならぬ。そうして今度の自動車重量税といいますか、これらも、総合交通体系の中でこれらの新税の果たすべき役割りをもあわせて考えていく。  こういう意味において、急速にこの問題は考えていかなければならぬとわれわれは考えておりますので、いまお話しになりましたような松浦さんの御意見等も十分に参酌して、なるべく早い機会に総合交通体系の中でこれらの解決をはかっていきたい、かように考えております。
  107. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 私の持ち時間、もうこれで終わりましたが、いま大臣が言われたように、赤字路線を廃止する、貨物駅を集約する、こういうことが出るたびに、国鉄に対する不信感あるいは政治に対する不信感というものが出てくるわけです。そういった問題についていま大臣が言われましたから、私も前向きの御発言として了解をいたしますが、ぜひ当面の問題についても前向きに御検討いただきたいと思うのです。国鉄国民政府の板ばさみになって、総裁はたいへん苦しいだろうと思うのですけれども赤字だからすぐ合理化して、路線廃止とか集約だというふうなことを言われないように希望して、私の発言を終わらせていただきます。
  108. 大野市郎

  109. 中野明

    中野(明)分科員 ただいまも過疎問題が出ておりましたが、やはり過疎問題に関連しまして、昨年もたしかこの問題について御質問申し上げた記憶がございます。過疎地域ができましたためにあらゆる面に問題が起こってきておりますが、その一つとして、過疎地域を担当しておる民間のバス会社が非常な赤字をかかえまして、昨年はこの赤字路線を廃止するということで、いろいろそれに対する対策援助、そういうことについて議論をしたわけであります。  そのときに一つの例として申し上げました、高知県交通株式会社という高知県に唯一の、唯一といってももう一つありますが、非常に幅広い路線を持ったバス会社があります。それが昨年の時点でも、すでに会社更生法の適用を受けなければならぬのじゃないかというような苦境に追い込まれておったわけでありますが、最近になりまして、その経営状態が非常に悪くなりまして、ついに社長以下重役も辞職をいたしまして、たしか三月三日と聞いておりますが、会社が解散の決議をする、そういうところまで来ております。この問題を私この委員会で取り上げますのは、昨年もこういう問題について、過疎地域の赤字バス路線廃止ということはおそらく全国的な傾向になってくるということで、モデルとして取り上げたわけですが、またまたこの高知県交通バスというのが、やはり経営に苦しむ全国の民間バス会社の一つの悪いほうのモデルの先駆を切るんじゃないか、このように思いますので質問をするわけでありますが、この点について、運輸省のほうではどの程度まで状況を把握されておられるか、最初にお伺いします。
  110. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御質問になりました高知県交通の問題につきましては、私どもかねてから、非常に経営が悪化して、いわゆる過疎地帯におきます一つの最も極端と申しますか、経営がむずかしくなってきている会社のケースとして把握しております。実は一月の終わりでございましたか二月の初めでございましたか、現地の陸運局長がさっそく報告に参りまして、ただいま先生がおっしゃいましたように会社の経営、たとえば累積赤字が七億七千万になっておる、それから負債の総額が十一億であるというような状況を重ねて報告を受けました。しかも、その当時の重役の任期が二月の中旬に切れる、そして三月三日ごろにはといういまのお話は、その当時はうわさということで聞いたわけでございますが、経営者陣ももう非常に経営が行き詰まって、どうにもならない状態にあるという報告を受けたわけでございます。  その後高松の陸運局長が現地に帰りまして、また現地から情報を入れてまいりまして、一週間ほど前でございますか、三月三日に総会を持って解散の決議をしそうだということを情報を入れてまいりました。したがいまして、私どもとしては、現状におきましてこの状況を、現地の陸運局を通じて把握いたしますとともに、とりあえず、この解散の決議というようなことが行なわれますと、会社はその機能を失ってしまいまして、私どもとしては何よりも、これを利用される通勤、通学その他県民の足が奪われるということを最もおそれるわけでございますので、解散の決議をしないように、そして万一それが行なわれても、県民の足を確保するということは、これは地元民にとっても重要なことでございますし、私ども交通行政をやっております当局者としても、きわめて重要なことでございますので、特に大臣から御指示をいただきまして、私ども旅客課長が現地の陸運局長とともどもに、実情把握それから緊急対策ということで、昨日出発をいたしております。現状は、きょうおそらく現地の県知事と会いまして、陸運局もやりますが、現地の県知事としても県民の足の確保ということから、そういう決議をしないように、また万一決議が行なわれた場合には、どうして足を確保するかという緊急の代行輸送対策の手はずを整えるようにということ、それから、この会社のおもな債権者あるいは銀行等の首脳部ともお会いして、そういう会社の解散というようなことにならない再建方策、たとえば会社更生法の適用等について、そういうことを含む再建方策というようなことについてぜひ考慮するようにということで、ただいま現地で鋭意折衝中と考えます。そういう状況を御報告申し上げます。
  111. 中野明

    中野(明)分科員 後ほど、時間が許されれば、国鉄のほうにもお尋ねしようと私、思っておりますが、御承知のとおり、四国はまだ循環鉄道が通っておらないような未開の地域、交通の面ではそういうことが言えると思います。その中でも高知県は、県の三分の一も鉄道が走っておらぬというような地域で、輸送はほとんどバスにたよっているというのが現状であります。そういうふうな状況の中で、県内にあまねく路線を持っておる一番大きなこのバス会社がつぶれてしまうということは、県民にとりましては非常に大きな動揺でありますし、このことにつきまして、ここにくるまでもっともっと対策はなかったかと、私どももいまさらのように思うわけでありますが、昨年あたりから、もうすでにそういう傾向が濃厚にあらわれておったのですが、監督官庁あるいは認可の責任のある運輸省といたしまして、その間どういう——判断の見通しが甘かったのじゃないか、何とかいけるんじゃないかというような、そういう甘い判断で今日まで放置しておられたんではないか、そういうふうに私どもは受け取れるわけですが、その間の情勢判断はどうだったのでしょう。
  112. 野村一彦

    ○野村政府委員 この会社は、三十九年の下期から無配に転落いたしまして、その後非常に経営が悪化しておった状態は、私どもよく把握をしておったわけでございます。またそれと関連いたしまして、この会社の再建について、運輸行政の立場からどういうふうにすべきかということについて、いろいろ検討いたしました。その間労使間の紛争等もありまして、会社の経営と労使の問題とが非常にからみ合いまして、むずかしい立場でございました。  私どもとしてはまず新しい会社、その路線の中のいろいろと代替といいますか、高知県交通から切り離して、分離をしてやるということに適当なものにつきましては、たとえば付近の比較的大きなタクシー会社等によって七路線、百一キロを運営するというような新しいその譲渡を行なうという計画を、現地におきまして会社といろいろ協議しながら認めてやってまいりましたのが一つでございます。その次は、十市町村に同くじ路線を引き受けてもらいまして、それは十四路線の二百六十七キロでございますが、その路線を十関係の市町村にやっていただきました。それから、さらにこの会社を退職された方々が四つの別個の会社をつくりまして、それが二十五路線の三百九十四キロでございますが、いわばその会社の中で、それぞれの地域の特性に応じまして別会社をつくる、あるいは市町村にやっていただくというようなことをやるとともに、一方労使間の問題につきましては、労使間が積極的に話し合いを進めて、再建に労使相携えて協力をされるというようなことを直接指導したわけでございます。そして、その一環としては、私ども会社更生法を適用してぜひこの会社を再建をするようにということは、特に昨年来から再三呼びかけまして、そして会社更生法の適用による再建ということを強く勧奨したわけでございますけれども、この件につきましては、労使並びに関係者の間の話がまとまりませんで、会社更生法の適用を裁判所に申請をするということにならなかったわけでございます。  しかしながら、この会社の経理面を見てみますと、経理は非常に内容が悪化しておりますが、いま私が申し上げておりますような三つの措置をとりましてから、その会社の経営の悪化が少しずつスピードダウンと申しますか、その程度がそれほどひどくなくなりつつあるような報告を受けて、私ども多少これは再建が軌道に乗ったのではないかという気がしておりました。そしてさらに会社更生法の適用ということも、またこの際考えるべきじゃないかということをやっておったわけでございますが、いわば私どもにとっては突如と申しますか、寝耳に水のような状態で、三月三日にあるいは解散決議をするのではないかという情報を得て、ただいま申し上げましたような大臣の御指示による措置を現在とりつつある、こういう状況でございます。
  113. 中野明

    中野(明)分科員 いま局長がお話しになりましたように、私どもも、一番採算の合わない赤字のところを、それぞれの対策を講じて相当思い切った合理化がなされた、その上に加えてこういう終末を迎えるということになりますと、これは高知県交通だけじゃなしに、全国的にもやはりこういうケースが今後出てくるんじゃないか。自動車輸送ということ、これはいまちょっとお話が出ておりましたが、労使間のお話し合いということももちろん大きな要素にもなりましょうけれども、私ども感じますのに、最近の自動車ブームに乗りまして、かなり自家用の自動車を持つ人がふえてきた。そういう関係から、町場においてもバスを利用する人の人数が減ってきたということも、この理由の一つになるのじゃないかと思っておりますが、少し私いまのお話を聞きましても、情勢判断が甘かったのじゃないか。もっともっと前に手を打つべきことがなかったのか。事ここに至りましては、私のほうからこういうことを言うのはどうかと思いますが、もう手おくれじゃないか、そういうふうな感じすら持っております。  いずれにしましても、参考までにお尋ねするのですが、こういうケースが全国に何カ所かあるやに私ども聞いておりますが、いま運輸省のほうでつかんでおられるこれに類似したようなケース、あるいは今後一体このような経路をたどっていくであろうと心配されているような地域は、何カ所ぐらいございますか。
  114. 野村一彦

    ○野村政府委員 現在、つい昨年の暮れから本年の初めにかけて一応解決いたしたわけでございますが、たとえば長崎市におきましては、長崎電気軌道という電車とバスと両方持っている会社がございまして、これが非常に経営が悪化し、またその結果労使紛争も起こって紛争をしておりましたが、本年になりまして解決がつきまして、それで電車部門だけは残りました。他のバス路線のほうは、同じ市内にある別会社に譲渡をするということで、一応現在終止符を打っております。それが一件でございます。  もう一件は、岡山県の中鉄バスといいますやはり岡山県の過疎地域を走っておりますバスが、これも昨年の春、もう一年ぐらい前から紛争が起こりまして、これは労使間の紛争が主になって起こったわけでございますが、たまたま過疎地帯という問題もありまして、その紛争が激しくなったわけでございますが、これは一応地労委及び中労委のあっせんによりまして、労使間の紛争は一応解決したかっこうになっておりますけれども、現在まだ免許路線の運行が全部回復するに至っていないという面で、解決がまだ全面的になされておりません。  それからもう一件は、これはまだ具体的に——私どものほうに情報は入っておりますけれども、私どもとしていろいろいま現地で指導しておる段階でございますが、鳥取県におきます過疎地帯で三社競合しておりますバス会社の間に、やはり経営難を理由としてバス路線の廃止あるいは休止をしたいという表明がなされております。  そのほか、まだこれに比べますと軽微な事案がたくさんございますが、おもな事案はただいま私が申し上げたような事案でございます。
  115. 中野明

    中野(明)分科員 私はいまお話しになったような地域以外に、まだまだこれに類似するようなバス会社が今後出てくるのではないかと懸念しておりまして、これをどう解決するかということが一つの大きなモデルというか、前例になると思いますので、あらためてお尋ねをするわけですが、法律の上からはいろいろ解釈の方法があると思いますが、解散決議を実際に行なわれた場合、当局としてどういう手を打たれようとするのか、そこのところを……。
  116. 野村一彦

    ○野村政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは極力解散決議をされないように、各関係の方面を説得するということを当面の第一の目標にいたしております。しかし、これは法律的な権限でもってこれを差しとめることはもちろんできませんので、万一いま先生の御懸念のような解散決議がなされるということになりますれば、これは県民の足の確保という観点から非常に大きな問題になりますので、これは陸運局と県知事とそれから関係の市町村長とが十分協議をいたしまして、そして代行輸送の措置を講ずる。たとえば市町村あるいは学校等で持っておられるマイクロバスというようなものを極力活用して、通勤、通学等の場合の共同使用というようなかっこうで緊急輸送をやっていただくとか、あるいはもよりの他の会社の貸し切りバスというようなものを一時借りてやるというようなことで、最低限住民の足の確保ということのための緊急代行輸送の手順といいますか、そういうものを準備をしてやろう。当面は、解散決議を説得によって延ばしていただくということを第一に考えております。
  117. 中野明

    中野(明)分科員 これはいまもお話に出ておりますように、県民の足が奪われてしまうということは大きな社会問題にもなることでありますので、これは運輸大臣の命令でそういうふうに他の代行を命じるというのですか、委託するというのですか、これは法律上できるようになっておりますか。
  118. 野村一彦

    ○野村政府委員 運輸大臣の命令というわけではございませんが、行政指導によりまして、そういう自家用車等を持っておられる町村あるいは学校等が、自家用車の共同使用の申請をするというような形をやっていただく、そしてそれを許可するという形をやっていただくように行政指導をもって措置したい、こういうふうに考えております。
  119. 中野明

    中野(明)分科員 大臣、いまお聞きいただいたと思うのですが、これは私どもの地域にとりましては一番路線も多いし、そして従業員も多い、また歴史も深いこの会社がつぶれてしまうということは、大きなショックになっておりますし、事実これによって混乱が起こるということはたいへんな問題でありますので、ぜひこの善後策につきまして、おそらくいまの時点で私どもが想像しますのに、もう解散は必至だろうと思いますし、収拾策はないと思います。そんなことを私が申し上げてどうかと思いますが、そこまで追い詰まっているような感じを受けておりますので、あとの善後策というのが非常に大きな問題になってきております。この点について、いま局長からもそういう趣旨のお話がありましたが、大臣のほうからぜひ県民の足を奪わないように、万遺漏のないような処置を、法律の上でも、道路交通法の上からもある程度の権限があるように私ども承知しておりますが、大臣のほうからぜひ手を打っていただきたい、そう思うのですが、どうでしょう。
  120. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま自動車局長から具体的に詳しく申し上げましたが、私も非常に心配しておりまして、何とかこの事態は解決をしていきたい。ただ、ここの問題だけじゃありませんが、このような事態の起きる場合、大部分が労使間の話し合いがうまくいかないということが最大の原因であります。もちろんこれは大きな目からいうならば、輸送状況が変わってきたということも大きな原因でありますけれども、しかしお互いに労使関係がうまくいき、また労働者側といいますか、従業員側も、われわれは大衆の足を預かっているのだという使命感を労使ともに持ってもらえば、このような破綻にはいかなかったのじゃないか、こう思いますが、まあしかしここまで来てしまったのですから、これをどうするかはわれわれにも関係があることですからして、積極的に、私も旅客課長もここに派遣しまして、県当局あるいは関係者とお会いして、どうしても何とか足を確保する方法を詰めていきたい、かように考えております。
  121. 中野明

    中野(明)分科員 いま大臣のほうから、労働者の責任感ということもおっしゃっておりますが、もちろんそれも理由の一つでしょうけれども、私、経営者の経営の姿勢も非常に大きな問題があると思うのです紛争が起こる以上は、やはり双方に問題があると思いますが、これはいまここで議論をしようとは私、思いません。それよりも、そういうことはさておいて、現実問題として県民が足を奪われて事実上困る、こういうことについてはぜひ対策を講じていただいて、そして最善を尽くしていただきたい。と申しますのは、先ほどから言っておりますように、私、今後こういう事態が全国の過疎地域において何カ所か発生するような気がいたします。ですからなるべく早目に事前に手を打って、そういうところまでどん詰まらないように処置をしていただきたい、このように思って、きょう質問に取り上げているわけであります。  時間が制約されておりますので、この問題はその程度にさしていただきまして、もう一点だけお尋ねを含めて強く要望をしたい事柄があります。  これは大臣も先日おいでいただいておわかりのとおり、高知の中村線が中村まで開通いたしまして、地元は地域の発展のために大喜びをしているわけでありますが、この中村線の利用状況は、当初私どもが想像しておった以上に利用があり、そして観光面にも大きな役割りを果たしているというふうに私ども受け取っておりますが、具体的にどのようなその後の営業の状態であるが、最初にそれを伺いたい。
  122. 山口真弘

    山口(真)政府委員 中村線につきましては、昨年の十月一日に開業をいたしまして、旅客列車八往復、貨物列車一往復で運行をいたしております。なお、駅要員といたしましては、土佐白浜−西大方の間六駅は無人ということにいたしまして、中村駅に職員並びに委託の者を置きまして運営をいたしております。  その成績でございますが、この地区は御指摘のように、足摺岬がございまする非常に有名な観光地でございまして、その観光客の伸びも期待されているわけでございまして、開業後三カ月間の実績では、一日平均二千三百人程度ということで、ほぼ予想どおりの実績をあげておりまして、おおむね順調に推移しておる、私どもこのように考えております。
  123. 中野明

    中野(明)分科員 そこで私、一点要望を含めて大臣にお願いをしたいのですが、いま申しました、先ほど問題になっておりました県交通バスが、この国鉄が開通したことによってその路線の長距離の夜行もやめましたし、いままでの国鉄の中継地点、終点でありましたところまでの中距離の路線も廃止しました関係で、この高知県でいいますと、政治、経済の中心である高知へ各地方から交流するにあたりまして、中村線ができましたことによって夜間の交通が一切途絶しているという現状であります。いまの営業状態が予想あるいはそれ以上であるということを、私どもも大体乗ってみてわかりますので、せめて一車両だけでも高知から中村までの間を、最終便を一車両だけでも走らせてもらうわけにいかぬか、というのが、地域の住民の非常な強い要望であります。と申しますのは、高知から向こうに行く終列車が夕方の六時過ぎであります。そして中村からこっちへ帰ってくるのも、七時ごろが一番最終便になっております。そういうことでありますので、一便だけ、車両は短くてかまわないのですが、どうですか、回数をふやしてもらうことによって、鉄道ができたという恩恵が今度は地域住民に大きくはね返ってくるように……。現在では観光に利用している人が、遠方から来た人が利用している率が非常に強く、地域の住民に対する夜間の交通というもの、夜間でも夜中ではありませんで、一番動いていく大事なところの時間が全然ないという現状なんですが、そこのところはどういうことでしょうか。そういうことはできないものかどうかということが一つ。  それから、時間がありませんのでもう一点最後に大臣にも要望しておきたいのですが、先ほど私、申し上げましたように、まだ四国は循環鉄道が完成しておらぬような現状でありますので、その点はもうよく御承知と思います。総理も日本列島の未来の青写真を所信表明で強く述べられておりますとおり、大都市の人口の集中というものは限度があると思います。そうなりますと、当然総合的な地域開発というものが必要でありますので、四国のような未開のところにぜひとも早急に、この循環鉄道計画があるやに聞いておりますので、実施していただいて、そして地域の発展のため国鉄の真価を発揮していただきたい、このように思いますので、その二点、最後にお答えをいただいて終わりたいと思います。
  124. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 夜行列車の延伸等の点でございますけれども、先ほど御説明運輸省からいたしましたように、この地区につきましては徹底的に合理的な運営体制をとっているというようなこともやっておりますので、そういう実態、それからこれからの伸びていくお客さんの利用の状況、そういうものも勘案して検討してまいりたい、こう思っております。
  125. 山口真弘

    山口(真)政府委員 四国循環鉄道の建設でございますが、新線の建設につきましては、国土総合開発あるいは有機的な鉄道網の形成というような見地、それから国鉄財政事情というような点を勘案いたしまして、従来にも増して重点化をはかっているということでございますが、特に四国循環鉄道につきましては、これは四国の東部と西南部における鉄道整備する、そして既存の路線網を結ぶということによりまして、豊富な林産資源だとか、あるいは海産資源だとか、あるいは観光資源というようなものの総合的な開発、あるいは地域の住民の福祉の向上というものをはかる上の重要な使命を持った路線というふうに私ども考えておりまして、今後ともこの整備を促進したいと思っております。
  126. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御要望の点ですが、確かに四国は鉄道網が非常に貧弱でありまして、四国開発がおくれているゆえにもここに大きく基因していると思います。本年度から一般会計からのA、B線への繰り入れも増加いたされましたので、今後は一そうこれが一般会計からの繰り入れを増ワクしまして、できるだけ早くこの循環線の完成するように努力したい、かように考えております。
  127. 中野明

    中野(明)分科員 では以上で終わります。
  128. 大野市郎

    大野主査 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時六分休憩     —————————————     午後二時五分開議
  129. 大野市郎

    大野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。山中吾郎君。
  130. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 私、タクシー問題を中心運輸大臣にお聞きいたしたいと思います。  最近、法人タクシーの大幅値上げ申請があったということを聞いておるのですが、これは利用者からいうと、五三%という負担の増大を示すもので、たいへんなことだと思うのですが、運輸大臣はこれについてどういう処理をされるか。
  131. 野村一彦

    ○野村政府委員 それでは大臣がお答えいたす前に、私からお答えしたいと思います。  去る一月十九日、東京都区内二十三区及び武蔵野、三鷹地区を含めます東京、いわゆる東京都でございますが、区部のタクシー事業者が、法人及び個人ともに運賃の値上げの申請をいたしました。その運賃値上げの申請は……(山中(吾)分科員「中身はいいですから、政府のそれに対する対策」と呼ぶ)これはただいま東京陸運局で処理をいたしておりまして、これに対処する基本的な方針は、私ども事務当局もまだ十分審査しておりませんが、政府の基本的方針については大臣からお答え……。
  132. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お答え申し上げます。  御承知のように、最近東京、神奈川、その他からもあるいは申請が出てまいると思います。基本的には、去年の三月に是正したのでありますからして、まあ社会通念からいいましても、値上げをしてまだ間もないことでありますから、直ちにこれを承認する考えはもちろん持っておりません。  ただ、御承知のように、タクシー業界というものは合理化の非常にむずかしい業種であります。どうしても一台に対して運転手一人は要るわけでありますから、省力化ということは非常にむずかしいために、個人タクシーあるいは法人タクシーともに経営上非常に困難であることは同情にたえないと思っておりますが、ただ、いま政府としては、大都市交通におけるいわゆる交通体系というものにつきましても、運輸省におきましては運輸省の中にある運輸政策審議会にかけて、これらの問題等も検討してもらっております。したがって、最近の機会において値上げをする考えはもちろん持っておりませんが、将来はやはり検討しなければならぬ問題であると考えております。
  133. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 当分値上げをしないという運輸大臣の御方針をお述べになられたのですが、私は、こういう状況のもとで利用者の立場から五三%に相当する料金の値上げ申請は、行政当局はある意味においてはなめられておるのではないかとさえ感ずるのであります。それで一体、法人タクシーは業態として適当なのかどうか、その根本問題に私は疑問を持ちます。  その理由は、第一、道路交通法違反をしなければ経営できないのだ、制限スピードの四十五キロ、六十キロを守れば経営は成り立たないという業態、そこの根本に、タクシー業態は何が適当だということを——値上げが追いかけてくる、それをしばらく押える、やがて引き上げなければならぬというイタチごっこの前に、タクシー経営の業態の基本的な適、不適を検討すべきじゃないか、そういうことさえ思うのであります。  それから第二に、日常生活の中で、われわれ市民の生活の一番不愉快なのは、やはり乗車拒否である。これは前に値上げする場合にも、乗車拒否をしないということを条件で値上げをしたが、むしろ増加をしておる。私たちは、個人タクシーの看板があるときは、安心してとめられる。これは大体は拒否しない。法人タクシーの場合は、大体拒否をされるかというようなことを感じながらやる。二、三回やられると、まことに不愉快であり、われわれ市民として一番劣等感を感ずるのはそういうときじゃないか。そういうふうなことから、さらにタクシー法人は、大体自己資本がなくて他人資本で経営をしておるということから、どうも料金値上げをしたから経営の合理化がはかれるというようなことは、ほとんど見込めないのではないか。法人タクシーは、業態として、サービス業の立場からいって、適当か不適当かということをまず根本的に検討さるべきものがあるんじゃないか、いかがでしょう。
  134. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 都市交通の問題からこれはお互いに検討しないと、的確なところはつかめないと思いますが、御承知のように、ロンドンあるいはパリ等は、かなり早くから都市交通の中心である地下鉄が、非常に整備されております。それに対して、日本は路面電車を撤去してから地下鉄でありますから、東京の場合におきましても、ロンドン、パリに比べると、地下鉄の整備は格段におくれておる。ロンドンの人口と東京の人口を比較して、その地下鉄の延長距離を考えますと、大体において四分の一程度であります。そういう点、都市交通の近代的なあり方というものが日本ではおくれてまいっておりますために、ロンドンにおいては大体タクシーの数が一万台に至っておりませんが、それに対して、東京は同じ人口に近いのでありますが、個人、法人、ハイヤーを加えて四万台であります。こういうことは、現代においてタクシーというものが、地下鉄なりあるいは都市バスなりの別の意味における公共機関的な役割りを負担しておる、こういう議論にはなると思います。そういう意味において、今日では、当分の間は、やはりタクシーを大衆の交通機関としてある程度考えざるを得ない。ところが、いまお話しがありましたように、はたしてこのタクシーというものが法人企業として成り立つかどうかという議論になりますと、いろいろな問題があると思います。私もタクシーが法人企業として成り立つかどうかに大きな疑問を持っておりますけれども、それと乗車拒否とは少し事情が違います。乗車拒否は、法人タクシーにもありましょうが、個人タクシーにも必ずしもないとはいえません。もし比較的個人タクシーに少ないとすれば、その点、法人タクシーの場合は三交代制、いわゆる八時間か七時間によるところの交代制になっておりますから、ある時間が参りますと、そこで帰りませんとオーバータイムになる、こういう問題も一つは法人の場合はあります。個人の場合はそういうような時間の制限がありませんので、必ずしもそれに縛られる必要はない、こういうようなこともありますし、あるいはまた、もちろん悪質な意味での乗車拒否も相当にあるやに聞いておりますが、ただ、最近タクシー近代化センターが発足いたしましてから、登録制度をとりまして、そういうことから多少乗車拒否の数は減ってまいっておると聞いております。最近またふえたという話も聞いておりますから当てにはなりませんけれども、タクシー近代化センターの整備によって、だんだんと減少するように厳重に取り締まる、こういう方針で進めたいと思っておるわけであります。
  135. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 いろいろお聞きしたいんですが、時間がないので結論を急ぎたいと思います。  いま大臣も、法人タクシーは業態としてひとつ疑問があるという意思表示をされたと同時に、現在道路交通法違反が常識になっている違法企業というものを保護する必要があるかどうかということさえ疑問に思うのでありますが、それに比べて、個人タクシーという業態が、こういうタクシー業としてはよりベターな業態ではないか、私はそう信じておるわけなんです。  その理由の第一は、一台当たり数十万の自己資本を十分に調達できるということが一つ。他人資本でコストを高くするような必要はない。第二に、技術職業であるから、技術をもって立つ人間は、雇われる立場からはエネルギーは出ないのであって、やはり自主独立の業態で初めて人間も育つし、そして法律のもとに安全運転もするであろうし、乗車拒否などの無理なこともする必要はない、搾取されないのですから。働きに応じて報酬が与えられるという立場から考えますと、私は、民衆にサービスをする一定の公共的な義務を負わなければならぬものには、個人タクシーのほうが矛盾は少ないのではないかと考えておるわけであります。  御意見を聞いておると、また時間がたつので、質問したいと思いますが、ところが、現実には運輸当局は、個人タクシーに対する免許の条件を故意に非常に過当に厳重な条件をつけて、いろいろの口実を設けてこれに対する許可を渋り渋り、そして個人タクシーをなるだけ制限するということを事実行なっておる、まことに遺憾であります。法人企業から一定の政治献金があるからとは私は言わないが、どうも行政、政治と法人タクシーの間には、厳正なる取り扱いのできないような何か因縁ができてしまって、違法状態あるいはいまのような料金を上げなければ処理できないような企業を過保護して、その反対の個人タクシーのほうについては非常に厳重な、不合理な条件をつけて、なるだけ押えておるという事実がある。まことに遺憾であります。これは速急に改めて、むしろ個人タクシーと法人タクシーを自由競争させて、国民がいずれを選ぶか、そして自然淘汰、社会淘汰の中で、サービスを中心とした企業の安定をはかるということこそが、民主主義の基本に基づいた政治だ、自由経済をたてまえとする自民党の政治としてもそれが一番正しいんだ、こう私は思うのですが、現状の免許についてまことに遺憾だと思うので、それに対する今後の対策について、局長一つの新しい方針があればお聞きいたしたいし、大臣の所見も聞きたい。
  136. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生の御質問ございましたが、私どもは、個人タクシーについて、特に不当と申しますか、きびしい条件を認めているというつもりは毛頭ございません。ただ事柄の性質上、個人タクシーでございますから流し営業をたてまえとするということから、勢い個人タクシーを認める地域が制限されておる。大都市あるいは中小都市ということで、これも全国でいま六十幾つございますが、そういうことはございますということと、それからいままで個人タクシーの基準につきまして、たとえば過去三年間、道路交通法あるいは道路運送車両法等について無事故、無違反というような規定を、特に内規を設けて処理いたしております。これは先生のおっしゃるように、個人タクシーが非常に良質のサービスを提供して評判がいいということでございますし、私どもそのとおりだと思いますので、これの質を落とさないで増強するということでございます。それで、先生のただいまの御指摘のように、たとえて申し上げますと、昨年の十一月ごろまでに約六千件の未処理件数がたまっておったわけでございますが、大臣からの御指示もあり、私どもも事務的に検討いたしまして、いままで内規として外に公表されておりませんでした免許基準をあらかじめ公表する。そしてたとえば年齢についておおむね三十五歳からというのを、申請のときに三十五歳以上であること、それから運転歴おおむね十年以上というものを、職業運転者としての履歴を十年以上というふうに明確にいたしまして、そういう基準をあらかじめ公示したわけでございます。したがいまして、これは基準を締めたということじゃございませんで、いままで内規として申請者の方から見ればあいまいであったものを、常にオープンにして、申請された方は年齢その他の条件からあらかじめ見て、自分がかなっているか、かなっていないかということを見てやれば、処理も迅速かつ適正に行なわれるということで、そういう指示をやったわけでございます。したがいまして、昨年の十一月に六千件ありまして、聴聞の済んだものがそのうち約二千件ございましたが、新しい基準によりまして迅速に処理いたしましたと同時に、これも大臣の御指示に基づくものでございますが、申請書の様式等を書き込み方式にして、そして簡易な方法にするということを、これは今後の問題でございますが、処置いたしました。同時に、いままで相当たまっておりました処理を急ぎました結果、大体今月中に聴聞を終えたもののほぼ大部分は処理が終わるわけで、それ以外の約四千件以上たまっております未処理のものにつきましても、今年中に処理を終え、そういうことで良質な個人タクシーの事業者を免許し、育成したいということでございまして、特別きびしい条件で臨んでいるというわけではなく、むしろ条件を明示して、そして処理を迅速、公正にしたい、こういうつもりで処理をいたしております。
  137. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 行管の勧告も私承知いたしておるのでありますが、局長がいま言った方針で、たまった四千件も本年中に処理するという方針と聞きましたが、基本的には、自由競争をやらして国民の選択にまかすべきだ。免許のときに一方に制限し、一方に許すということはとるべきじゃないので、大臣にあとでひとつ……。  そこで、免許条件の不合理について、一体こういうことをして憲法違反でないかという疑問があるので、いままで行なってきた免許条件についてお聞きしたいのですが、これは二月二十一日の毎日新聞の「読者の広場」で大滝正義さんが投書して載っておるのでありますが、この点について運輸当局の御意見を聞きたい。「運輸省は、個人タクシーの免許率を、いままでの三分の一以下にしようとしているが、何とも納得のいかない話だ。」これはいま改善することを聞きましたが、次、「たとえば東京二十三区に一年以上住んでいる者でなければ、個人タクシーの申請ができないとか、車庫も屋根つきでなければ許さくなったし、資金も三十万円から四十万円に引き上げた。個人タクシーに限って、何のためにこうまで免許条件を強化するのか、タクシー会社保護のためとしか考えられない。」こういうことを書いている。私がもっともだと思うのは、特に東京二十三区に一年以上住んでいる者でなければ免許をしない、居住制限までもってきておる。このことはどうも現代の憲法感覚からいって、まことに時代錯誤というか、ここまで一体何がゆえに行政当局が制限をして個人タクシーの拡大を阻止しようとしておるのか、率直に御意見を聞きたい。
  138. 野村一彦

    ○野村政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは個人タクシーの免許の基準を明確にして、あらかじめ公示することによって、申請者のほうにも、また一般世間にもこれを公正に処理するつもりでやっておるわけでございます。したがいまして、たとえば資金の問題につきましても、これは私どもとしては不当に多額のものでなくて、それだけの裏づけ、実際に業務をやるために必要な程度の裏づけの金を具体的にお示しをしたものが、第一点でございます。  それから、居住の問題でございますが、これは私ども論議の過程においていろいろ論議したわけでございますが、個人タクシーといいますのは、御案内のように、営業所と住居が同一であるという、こういう現実の姿でありますし、理論的にも望ましいものでございます。また、そういう意味から、自分の住居すなわち営業所というのが都なら都内にあるということで、これは流しをたてまえとする個人タクシーでございましても、たとえば家族の者が電話を受けて処理をするというようなこともございましょうし、住居と営業所が同一であるという実態からと申しますか、常識論から考えても、都外に住んでおられる方が都内で営業するということになりますと、過去の例から見ましても、たとえば浦和に住んでおってそして営業は東京都内でやるというようなケースがときにありましたし、また仮装といっては悪いんですけれども、たとえば必ずしもほんとうにそこに住居していないような方が、住居しているというような申請をもってやっておるというようなケースもございましたので、私ども、この点についても、やはり東京都内に居住をしておる方で、そして個人タクシーをやりたいという方で、経験豊かなりっぱな方を免許したいという趣旨でございまして、決してこれは不当に制限をするということでなくて、むしろ今後こういうことをあらかじめ御承知おき願って、そしてこういう条件に合った良質の個人タクシー業者を育成したい、こういうつもりでやっておるわけであります。
  139. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 住居と営業所が一つであるのが望ましいというのは、あなたのかってなんですね。学校の先生でも、汽車で通勤をし、あるいは自分で自家用の自動車で通勤をし、そして国が通勤手当まで出している。一体、この二十三区内で住居を選べといったって、選べますか、この住宅難のときに。朝早く出て、そしてタクシーで自分の生活を確保しようということに対して、かってに行政当局がその住居と営業しておるところを一致しなければならぬということは、憲法違反というか、許可の条件にするなんということは、あまりにもあなたが恣意的、自分かってな条件だと思う。そういうことをしなければならぬという法律でもってやるなら別です。選挙法には、一定の住居ある者という投票権、これは国政の基本問題だから、しかも法律で規定している。単なるこういう簡単な自動車の営業許可に、申請の前一年住んでいなければならぬ、ほとんどできないですよ。いなかから来た者は、しかもこの住宅難で——ぼくらだって住めないですよ、二十三区の中に、それこそ、そういう個人タクシーを故意に制限する条件だと私は思う。どうですか、大臣
  140. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 問題は、この種の事業が簡単な事業かどうかという問題にもつながると思います。御承知のように、一人以上の人間の生命を預かる重要な仕事であります。その意味においては、そう簡単な青物を売るような商売ではない。少なくとも人命を預かっておる、こういう意味においてはなかなか重要なる仕事でありますからして、ある種の制限が伴うこともやむを得ない。  もう一つは、いわゆる都内に住んでおることが、やっぱり仕事をする上においても便利だ。なるほど住宅難の問題はあります。しかしながら、必ずしもわざわざうちを建てることではなくして、住所を持てばいいのでありますから、また自分でガレージを建てなくちゃいかぬということもありませんし、これは貸しガレージといいますか、賃ガレージを使ってもいいわけでありますから、その点においては、そうむちゃな制限ではないということが一つ。  もう一つは、いろいろ面接等によってその人の人物等も考査をいたしますが、御承知のように、いま自賠法等によってある程度の保険ができておりますけれども、できれば現在の自賠法だけによるものではなく、政府としてはできるだけ任意保険の制度も勧誘しております。いわゆる強制保険以外にできるだけ、裁判等行なわれた場合に、それ以上の高い判決が下る場合もありますからして、したがって任意保険もかけておいてもらいたいということも、これは希望いたしておるわけであります。これは強制じゃありませんからできませんが、そういう意味において、やはり接客事業、これも人命を預かる仕事でありますから、憲法違反と私たちは考えておりません。とうした重要な仕事については、ある程度の制限はやむを得ない、かように考えて、このような内規をつくったわけでございます。
  141. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 営業許可したあと、その営業地帯に住むというならわかるのです。そうでなくて、申請する一年前から住んでなければならぬというのは、これは確かに居住、営業その他の自由に対しては、少なくとも現在の憲法上おかしいのじゃないか。許可してやるときからというのならわかるのですよ。一年前からといっておるのです。選挙権のときより長い。こんな非常識な条件はどこから出たのです。法人タクシーの雇われておる運転手は一時間、二時間かかる遠いところから通って、そしてその自動車でやっている。人命を尊重するというのならば、個人タクシーのほうが、自分のタクシーであり、搾取がないですから、半分の距離でもするようにするなら、同じような収入でゆっくり運転できて、サービス精神も豊かになるのです。同じ法人タクシーの運転手は、二時間向こうから通ってきても、その仕事はしてもいい。一方のほうはそうはいかぬ。これはどこから考えてもおかしい。何か偏見がある。少なくとも何年前から住んでいなければならぬというのはおかしいです。許可したあとからというのなら、それはまだわかるのですよ。どう考えたっておかしい。これは修正されて検討されたらどうです。
  142. 野村一彦

    ○野村政府委員 その点につきましては、私ども東京陸運局からいろいろ相談を受けたときにも論議をしたわけでございますが、先生のお説のように、許可になってから東京都内に住むというやり方のほうがいいのじゃないかというお説、確かに私ども、そういう考えもありまして、その点論議したわけでございます。ただ、やはり見ますと、過去に条件といってはおかしいのですけれども、東京都内に住むということを言いながら、実際は住まなかった。先ほど私が申し上げましたように、たとえば浦和からやってきて、車も浦和に持っていっておる、そういうケースがあったわけでございまして、それはなかなか事後においてはむずかしいということで、いままで行政指導で、それも一年なら一年とはっきり言っておったわけではございませんが、東京都内に居住する有資格者の中から、その育成の意味において個人タクシーを認めようというのが趣旨でございますから、やはり地方から上京してこられる方については東京都内の地理の勉強も必要でございましょうし、いろいろな点から、言うならば東京都民で、運転手のこれこれの資格のある人に、東京の場合は個人タクシーを認めようという趣旨でございます。それはほかの都市についても同じでございますので、これを私ども不当に制限するつもりはございませんが、従来からやってまいりました内規を明確にしたということでございまして、先生の御質問の趣旨は十分生かしまして、そして不当に制限するというつもりはございませんので、その点よろしく御了承いただきたいと思います。
  143. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 持ち時間がないので、十分意を尽くさないので残念ですが、次に車庫も屋根つきでなければ許さないという条件を付しておるようですが、有蓋車庫が必要なのかどうかということが一つあると思うのですね。一般の場合には、ほとんど有蓋でなくて、そのまま露天のままにしておるのだし、法人タクシーについても、百台あればそのうちの一〇%ですか、百台のうちの十台有蓋であればいい。個人タクシーの場合は有蓋でなければならぬ。これも不当だ、差別があるという感じがするし、また居住その他についても、警察権を持っていない担当の陸運局の役人が、その住家に立ち入りをして検査をするというようなこともしておると聞いておのでるすが、その辺は、基本的な政策として、個人タクシーをやはり国民の声を聞きながら——評判がいいのです。個人タクシーが好ましいという国民の声に基づいて政策を立てるのなら、どんどんと許可をして、あるいは許可をしたあとに、不適当ならば取り消しも、これは個人ですからできると思うのですが、むしろ取り消しその他について監督を厳にされるのが正しいのではないかということを率直に私は考えるのでありまして、この点十分に御検討なさって、いままでの消極的な許可方針によらないで、先ほど局長も大いに促進すると言ったから、今後批判をしながら監視させてもらいたいと思うが、どんどん進めていただきたい。  そこで、もう時間ですから、最後に大臣にお伺いします。三十分ではとても意を尽くせないので残念ですが、法人タクシーを直ちにやめるというようなことは、現在あるのですから、できぬことはもちろん明らかですが、個人タクシーと法人タクシーを正当に競争させて国民に選択をさすという方針、少なくとも半々ぐらいにして競争させて国民から選択さすという基本方針でとにかく検討されたらいかがでしょう。それだけお聞きして、終わります。
  144. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 個人タクシーのいい点は、山中さんがおっしゃるようにいろいろあります。また、法人タクシーでなければと言うと極端でありますが、またいいところもあるのです。たとえば、一方個人タクシーの場合は、最近いろいろ夜もできるだけ出るようにという指導をしておりますけれども、やはり夜間おそくなりますと、個人タクシーはわりあいに出る率が少ない。法人タクシーの場合は三交代制度でありますから、大体において順調に車を出すことができます。こういう点もあります。もう一つは、御承知のように損害賠償の面におきましても、個人でしょえる点というのはやはり一応限度がありますけれども、法人の場合は、法人を相手どっての訴訟でありますから、まだある意味においてそういう損害賠償に対する能力もある。一長一短があります。しかし、いい面もありますので、おそらく四十三年末には個人タクシーは七千数百台、八千台までいってないかもしれませんが、四十五年度末、すなわちこの三月までには一万一千台になりますから、相当数はふえてまいっております。現在、法人タクシーが、ハイヤーを除きまして約二万台です。それに対して個人タクシーが一万台でありますから、まあまあ大体同じくらいに進みつつあります。競争原理は成り立っておるわけでありますが、いま申したような事情から考えまして、法人タクシーはいまのところほとんど増車の申請がありません。個人のほうはかなりまだ申請が多いのでありますから、今後とも個人タクシーはふえてまいると思います。そういう意味において、まだまだ半々ではありませんけれども、かなり競争し得る状態にあります。ただ、悪い意味の競争をされちゃ困るのです。やはり人命を扱っておることでありますから、安全輸送ということに主眼を置いてもらわないと困ります。しかし、お話しの向きは十分に理解できますので、そういう面で指導してまいりたい、かように考えております。
  145. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 もう答えはけっこうですが、大臣、いまおっしゃった中で、個人タクシーの場合夜のほうがどうもうまくいかぬというお話があったから、そういうときは、ひとつ個人タクシーの許可を午後三時からの分と二通り分けて、両方やれるような許可のしかたもあると思います。あるいは一天組の、一車二人とか、それはまあどうか知らぬが、そういうことについていろいろくふうがあるのじゃないか。それから、おそらく個人タクシーの場合は、いまの法人タクシーのようなべらぼうな料金値上げは出ないだろう。おそらくそうしなくても成り立つと思う。料金の値上げを規制するという点にもきっと長所があると思うので、長所、短所をひとつ総合的に検討されて、そういう方向努力されることを切望しまして、質問を終わります。
  146. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 簡単にお答え申し上げておきますが、実はどういう事情か知りませんが、個人タクシーのほうが先に今回の値上げは出されておるのです。法人タクシーは二、三日おくれてから申請が出ておる。これはどういう事情ですか、お互いに話し合った上なのかどうかわかりません。ただ、私のほうの受け付けの順序からいいますと、個人タクシーのほうが二、三日前に申請が出されて、それから法人タクシーがなされた、こういうことです。  それからもう一つ山中さんも名案とお考えで、私も実は名案だと思ったのです、夜の個人タクシーを認めてはどうか。それには白線か何か引っぱっておかなければわかりません。ところが、おまえは夜だけ働けというような認可のしかた、これは憲法違反だということになるのです。そういうことでできませんために、私も名案だと思ったのですが、実際は実行できなかったということも御了承願いたいと思います。
  147. 大野市郎

    大野主査 新井彬之君。
  148. 新井彬之

    新井分科員 私は、運輸行政につきまして、若干の問題について質問をしてまいりたいと思いますけれども、その前に大臣にちょっとお伺いしておきたいのでございます。いままでにもいろんな問題が取り上げられてまいりまして、そのつど各委員からいろいろ前向きな意見であるとか、また要望とかが出てまいったと思うのでございます。この前の小林発言等もあるわけでありますけれども運輸省としてはそういう問題をよく検討して前向きに実現していくということで努力されておると思いますけれども、そういう態度でおやりになっているかどうか、まず初めにお伺いしておきたいと思います。
  149. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 新井さんからおしかりを受けるまでもなく、われわれとしては全力を尽くして、皆さんの御意見に対して検討いたさなければならないときは積極的に努力をいたしておりますが、ただ、全部実現できないことは申しわけないと思っております。
  150. 新井彬之

    新井分科員 初めの問題は、姫路駅の蒸気機関車の機関庫の公害の問題でございます。私も現地へ行って見てまいりましたけれども、十数年来、地元の方々は非常に悩んでおります。運輸大臣も御存じのように、いままで、そういう機関庫に煙が出るような蒸気機関車があっても、国鉄に協力しなければならないということで、公害というのはあまり問題にされておらなかったのでありますけれども、各地方の都市が発展をいたしまして、特に近ごろにおいては家が密集している。そういうわけで、煙の問題一つにつきましても、これは何も機関車に限らず至るところでいろいろ問題になっていることは御存じのとおりであると思います。汽車の場合においては煙が非常に出て、冬なんかは比較的ましでありますけれども、夏なんかは窓もあけられない。それから、洗たくものを干しても、すぐにすすでまっ黒になってしまう。子供さんの健康状態も悪いし、お年寄りにぜんそくなんかが比較的出ているのではないか、こういうような地元の方々の不安な気持ちというのがたくさんあるわけでございます。先日も、何とか国鉄のほうに言っていただきたいということで請願が参っておるわけでございます。「国鉄姫路駅の東北に位置する(姫路市神屋町六丁目)姫路第一機関区(蒸気機関車修理工場及び灰坑)の数本の煙突より排出される煤煙並びに灰坑所における燃料の入れ替えによって排出される煤煙は、過去数十年にわたって付近の住民を苦しめております。夏になれば暑くても、絶対に窓を開けることも出来ず、又、戸の隙間より入りこむ「すす」で畳から建具、衣類に至る迄黒ずみ、全くノイローゼになりそうな毎日であります。又、洗濯物も外に干せない状態で、家屋から樹木、人畜に至る迄その弊害を受けております。又、媒煙による悪臭は鼻をつき、呼吸器の疾患もでてきております。国鉄姫路駅又、市の公害の係へも再三再四お願いするのですが、何らの善後策も講じられることなく、全く最悪の環境の中での生活を余儀なくしております。附近住民の意志等全く無視している国鉄当局に対し抗議すると共に、一日も早くこのような悩みが解消され、住み良い環境にして頂くことを心よりお願い致します。」こういうような内容でありまして、非常に縮めてあるわけでございます。私も、これは普通のことではなく、国鉄であるから、皆さん方が少なからずお使いになっているものであるし、一方的に急なことをいってもなかなかできないということは言っておるわけでございます。この問題は、昭和四十五年六月十一日の産業公害対策特別委員会におきまして、大橋委員が列車公害のことについていろいろと質問しておりますが、そこで非常に前向きな答弁が出ておるわけでございます。これは六月のことでございますから、そのときから現在まで、この問題についてどのような手が打たれたか、その結果をもとにして質問をしていきたい、このように思うわけでございます。  厚生省がお見えになっていると思いますが、その委員会で、蒸気機関車や機関区が大気汚染防止の規制から除外されているというところに大きな問題がある。大気汚染防止法には「工場及び事業場における事業活動に伴って発生するばい煙の排出を規制し、」とある。「ばい煙発生施設」とは「工場又は事業場に設置される施設のうち、ばい煙を多量に発生する施設」となっている。船舶や無気機関車などの移動ボイラーについては規制がない。国鉄のほうも、大気汚染防止法に見合うようなものもない。そこで通産省、厚生省等に実態調査を願うとともに、法的規制をやるべきではないか、こういう質問をしております。それに対する厚生省の答えは、「私どもとしましては、特にいま御指摘になりましたばい煙の中で、降下ばいじんといわれます、粒形の非常に大きなもの、これは主として生活妨害でございますが、これに対しまして、非常に小さな粒形の浮遊粉じんというのがどれだけあるか、こういう点を中心に県にも連絡しました上で実情を十分把握してまいりたいと思っております。なお、具体的な数字がありませんでしたら、必要な場合、環境大気あるいは健康状態等についての調査もやる必要があろうかと思うわけでございます。もちろん、この具体的な住民の健康管理につきましては、保健所等を中心に十分指導してまいりたいと思っております。」こういう答弁でございますけれども、この答えにつきまして、一体どのように十分な指導をされ、現状どのようになっておるか、お伺いいたします。
  151. 山本宣正

    ○山本説明員 お答えいたします。  当時大橋委員のお尋ねに対してお答したことにつきまして、口頭をもって、県のほうから実情を知らしてほしいという指導をしておりますが、私、お尋ねのことにつきまして、本朝来、その回答があったかなかったかということ等につきまして、課内で調べさしたわけでございます。いまのところ、私自身見ておりません。もしその実情がこの回答のとおり調査されていないといたしますと、たいへん申しわけないことだと思います。即刻その調査の結果を督励して見てまいりたい、かように考えます。
  152. 新井彬之

    新井分科員 だから、私は先に運輸大臣にお伺いしたのです。委員会でいろいろと質問したことについて答弁をされる。しかしながら、その答弁について——先ほど運輸大臣は、予算が伴うものについてはできないことがある、これは申しわけないと思っているという答弁でございました。直方の方は千世帯くらいでございましょうけれども、その方々が困って、すでにそれだけ問題になっている。それで健康が非常に害されているという実情があるじゃないですか。それを、半年もたっているのになおかつ調べない。ここに私は、幾ら委員会で言っても、それを軽視しているという一つのあらわれがあるんじゃないかと思うのですよ。  それではもう一つお伺いしますけれども、あるいはぜんそくが起こっている、あるいは全体的に非常に弱り切った生徒が多いということがあるが、これはやはりばい煙の関係ではないか。厚生省として、人命尊重の立場、住民健康状態の把握という立場から、すみやかに健康診断あるいは実態調査をやるべきではないか、このように質問をいたしたわけでございます。そうしましたら、厚生省の答えは、「県のほうにも十分連絡しまして、現状でどういう把握をしているか、これに対してどういう見通しを持っているか、こういうことを聞きました上で、必要があれば十分な調査をいたしたいと思っておるわけでございます。」このように答えております。どのような必要な状態があったのか、その調べた結果をお教え願いたいと思います。
  153. 山本宣正

    ○山本説明員 いまお答え申し上げましたように、当時口頭で県のほうへ調査を指示しておるわけでございます。その後の結果を私自身が現在確認しておりませんので、それを確認いたしましてその判断をしたい、かように考えます。
  154. 新井彬之

    新井分科員 それからもう一つ、これも大事なことだと思うのですが、厚生省に対して要望がされております。その要望は、厚生省にもう一言お願いいたしますが、いまのような状態のもとにあって現実に地域住民は泣いております。これを一日も早く救済できるように公式なデータを早く取りまとめ、公表し、それに対する対策を早く立ててもらいたいということであります。こういう最後の締めくくりみたいに要望されておりますが、こういう委員会の要望については、厚生省ではどのようなとらえ方をしますか。
  155. 山本宣正

    ○山本説明員 この委員会でお答えしたことにつきましては、さっそく調査をするというのが本論でございますが、私、現在この問題ににつきまして課の担当者に聞きましたところ、まだ報告をもらっていないということでございますので、さっそく督促するようにということを話しております。
  156. 新井彬之

    新井分科員 この問題は、先ほども申しましたように、子供さんが非常に健康がよくない、それからおとなの方はぜんそくがある。これは大気汚染防止法にかからないのですから、そういうようなことから考えて、私はそのままほっておいていい問題じゃないと思うのです。それも、こういう委員会で問題になって要望されている。また質問のときに答えている。それをほったらかしにして、今度これから質問しなさいといっても、じゃ、いつから先に質問していいかわからない、 これじゃ私は困ると思うのです。きょうだって、そのことについて聞きますよとはっきり言ってあるのですから、突然言っているわけじゃないのですから。それはやはりそれなりにもつとしっかりしていただかなきゃいけない、このように私は要望いたしておきますから、また今後出てきたデータ、問題について、厚生省としてすみやかに——どのくらいの日にちをおいてそういう調査がとれるものかどうか、その答弁をいただいておきます。
  157. 山本宣正

    ○山本説明員 まことに申しわけございませんで、即刻調査をいたしまして、一カ月以内にお答えいたしたいと思います。
  158. 新井彬之

    新井分科員 それでは運輸省のほうにお伺いしますけれども、機関区のばい煙については野放し状態である。これについて何らかの規制をすべきではないか、こういう質問をしたわけであります。これは通産省に対しての質問でございますけれども、通産省は、「通産省の行政対象になっておりません。かりに取り上げるといたしましたら、運輸省が規制するということになろうかと思いますが、」「運輸省から相談があれば、これは前向きで検討いたしたい、かように考えております。」そういう答弁なんですが、運輸省は——今回公害関係の法案がいろいろ出まして、十四法案が通っておるわけでございますけれども、このばい煙について、そういうことで非常に困っている方がたくさんいらっしゃるのだ。そこで排出基準も何にもなくて——もちろん努力されていることはわかるのですよ、努力していないというのじゃないのですけれども、結果的にはそういうことでしょう、困っているのですから。そういうことについてどのような検討をされたのか、お伺いいたしたいと思います。
  159. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この機関車のばい煙につきましては、これは鉄道は多年石炭をたいて運転したわけでございますが、先生おっしゃるように、最近の公害思想というような面からいきまして、何としてもこれを少なくしてこの発生を防止するということが必要でありまして、基本的には、機関区の問題というよりも、むしろ機関車の運転それ自身の問題でございまして、機関車を電車、あるいは電気機関車、あるいはディーゼル車、ディーゼル機関車というようなものに転向をしていくというような基本的な考え方が必要であるということで、私ども鋭意電化並びにディーゼル化というものを着々と進めております。そういうことによりまして、根本的に機関車によるばい煙というものを解決していくということが必要かと考えております。
  160. 新井彬之

    新井分科員 それは確かに基本的にはディーゼルにかえることが当然でございますが、じゃ、要するにいま起こっている煙の公害、そのことについては、規制をしなければいけないのか、このままほうっておいていいのか。もしそういうぐあいにするとするならば、どういうような検討をされたかということを聞いているのです。だって、いまだって千八百台くらい——ことしはちょっと減ったと思いますけれども、まだ非常に蒸気機関車がありますね。それもいなかにあるような蒸気機関車なら問題はないのです。だから、私は一番初めに指摘したように、いまは非常に都市化されている。極端にいいますと、姫路の状態は、ちょうど町のまん中に駅があるのです。町のまん中に駅があって、そうしてその中にあれだけでっかい機関車庫があるわけです。したがって、そういう状態で、かえる、かえると言いますけれども、それはあとの問題なんです。その問題についてはどのように検討されたかということです。
  161. 長浜正雄

    ○長浜説明員 蒸気機関車の問題につきましては、一時は五千両をオーバーするほどの蒸気機関車を持っておりましたけれども、現時点では、先生いまおっしゃいますように、二千両を割る程度にまでディーゼル機関車とかあるいは電気機関車に切りかえてまいりました。毎年極力努力をしておるわけでございますが、いまおっしゃいますように、まだ千七、八百両の蒸気機関車が残っておりまして、各地で煙を吐いていろいろ御迷惑をかけておることと思います。特に都市付近については、民家が近接しておりますので、そういう状態があることは予想されますので、われわれといたしましては、できるだけ早く都市付近からディーゼル化あるいは電化をする、こういうことを考えなければならぬということで進めておるわけでございまして、毎年数百両ずつを取りかえていっておる次第でございます。  いま先生御質問の姫路第一機関区におきましても、私も実は姫路が地元でございまして、あの辺の事情をよく承知しておるわけでございますが、確かに機関区のまわりに民家があるわけでございます。そこでわれわれといたしましては、姫路の第一機関区の蒸気機関車をなるべく早く退治したい、こう思っておるわけでございますが、全国的にああいう場所が相当ございまして、全部姫路からというわけにもまいりませんけれども、四十五年度十両のディーゼル機関車を投入いたしまして、四十六年度にまた追加をいたしまして、四十六年度には姫路に配属されております機関車は一応なくする予定で、いま準備を進めておるわけでございます。ただ、蒸気機関車は、その庫で持っております機関車のほかに、よそから参ることになります。そういう機関車は、やはり姫路に来まして、そこでしばらく休憩といいますから、今度ひっくり返ってまた播但線に行くとかあるいは姫新線に行くというようなことになります。現在姫新線につきましては、早々の間に全部無煙化することになりますけれども、播但線はまだ若干おくれることと思います。  なお、それではその間どうするかということでございますが、その間はできるだけ煙を発生しないような炭をたく。そのために無煙練炭をできるだけ使うというような方法、あるいは灰を落としまして、その灰によるほこりが民家に入るというようなケースが、民家が近い場合にはございますので、そういう作業の際には水をかけて作業をするとか、あるいはそういう灰落としの作業をできるだけ民家に近くない駅でやるというような指導をするというような、とりあえずの処置も重ねてやっておる次第でございます。基本的には機関車を全部無煙化しなければどうにもしかたがないわけでございますが、それまでのとりあえずの対策として、われわれとしてできるだけ努力をしてまいりたい。何ぶんにもこれが一ぺんに解決しませんので、その点しばらく地方の方々に御勘弁を願いたい、こういうふうに考えて、いろいろ地元の市当局あるいは地元の方ともできるだけ話をして御了解願う、こういうふうに進めてまいっておる次第でございます。今後ともこういうふうに進めていきたい、こう思っております。
  162. 新井彬之

    新井分科員 じゃ、ただいまのお話をもう一度お話ししますと、四十六年度においては、姫路の機関区においては蒸気機関車はなくなるんだ、ただ、よそから来る蒸気機関車は多少そこにとどまる可能性があるということの答弁、そういう解釈でよろしゅうございますか。
  163. 長浜正雄

    ○長浜説明員 現在の計画ではそういう計画で進めておりまして、実際、今度年度が変わりまして、車両計画その他をやりますときにはっきりいたしますけれども、いまの時点では、そういうふうに考えて進めていきたい、こういうふうに考えております。
  164. 新井彬之

    新井分科員 それはいつごろですか、決定がされるのは。
  165. 長浜正雄

    ○長浜説明員 年度が新たに変わりまして、まあ四月以降になろうと思います。が、なるべく年度当初にはそれをきめたい、こういうふうに考えております。
  166. 新井彬之

    新井分科員 ただいま答弁いただきましたが、そういう事情についてはよく知っているのです。この前も向こうの機関区に参りまして、そして助役さんだとか向こうの方にいろいろお会いいたしまして、もうほんとうに気を使って、いろいろいまお話しされたようなことを努力されているんですね。だから、本来ならば車庫でもって火をたいて、そうしてあたためなければいけないのを、わざわざ遠いところへ持っていっている。それからまた、その石炭がらについても、水をまいてほこりが飛ばないように、そういうようなこともやっている。だから、できる限りのことは全部やっているわけなんです。だけれども、実際問題として、じゃその煙がその地域に来ないかというと、来るわけですね。だかう、やはり私が思いますことは、いままでいろいろ問題があったでしょうから、そういうときに、予算の伴うジーゼルカーをそのまま入れなくても、もっとあそこの車庫自体を改良するとかする。煙突だって非常に短いですよ。まあごらんなったらわかりますけれども、もっと煙突だって高くしてしてやる、そういういうような問題。やはりある程度地域の方々を考えてそういうことをやらなければまずいんじゃないか、こういうぐあいに思いますけれども、そういう問題の検討はされてまいったわけでございますか。
  167. 長浜正雄

    ○長浜説明員 先生御指摘のように、確かに予算の問題ございます。予算さえあれば相当早くできるのでございますが、ただ、予算ばかりでなく、今度は運転手の養成の問題その他もございまして、必ずしも予算ばかりというわけにもまいりませんけれども、いまお話し申し上げたような順序で交換をしていきたいと思います。そこでその間、それでは煙突を改良するとか屋根を云々というお話もございましたけれども、そういう点も考えないわけではございませんけれども、いま私申し上げますように、もう早々の間に交換し得るというめどがついております。そういうのがもう口先にぶら下がっておりますので、そういうことをも勘案いたしまして、なおこれが三年、四年残るような地区につきましては、やはりそういうものも考えなければならぬとかも思いますけれども、これも、煙突を高くしても、その煙突の下だけで燃やすというわけにもなかなかまいりません。その線路のある車庫の外で石炭をたかなければならぬということになります。必ずしも煙突を高くしただけで全部解決するわけにもまいりませんので、われわれとしては、いま申しましたように、できるだけ早く、そういう設備に金をかけるよりも、車両を一両でも多く交換するとか、あるいはそれまで、何らか迷惑のかからぬようなくふうをして努力するというようなことでやったほうがベターじゃないかというふうに考えておる次第でございます。今後ともできるだけ努力していきたい、こう考えます。
  168. 新井彬之

    新井分科員 時間がありませんので飛ばしちゃうのですが、もう一つ運輸大臣に。  いままでは公害問題も、地域住民があらゆる条件のもとに押えられて泣き寝入りをしていたというのが実情ではなかったろうか。今日のように公害問題が大きく取り上げられるようになりまして、初めて地域の住民も言いたいことを言って、何とか助けてもらいたいということであります。これは一人の方の問題だけではないと思いますので、各機関区に、こうした機関車を使ってまだ作業をしているようなところには、大なり小なりこのような公害を受けて苦しんでいる実態があろうかと思いますので、国鉄としても、そういう状態を全国的にいわゆる総点検するような気持ちで今後進んでもらいたい。前の委員会のときにこういう要望がありまして、これについては、時間がありませんから一々お伺いしませんけれども、いま運輸省としても前向きな姿勢で、これは一つの時代の流れといいますか、電化され、高速化され、そしてまた電化でないところはジーゼル化しようという一つの流れでありますけれども、ことしの夏もあるわけですから、そのときにまた非常に困る問題がある。そういうときには、住民の方々に一番最高の努力のできるようにひとつやっていただきたい、こういうようにお願いしたいと思うのですけれども、ひとつ運輸大臣からその点について答弁をいただきたいと思います。
  169. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 新井さんの御質問、たいへん適切でありまして、十分その心がまえを持って善処してまいりたいと思います。
  170. 新井彬之

    新井分科員 時間がありませんからあれですが、もう一つ、先ほど厚生省のほうにお伺いいたしまして、そのデータが出ていないので何とも言いようがないのですが、いま被害者救済法という法律がございまして、公害等で認定された場合は、その医療費等が出るようになっております。そこで私は、この地域の方々がどの程度健康を害されているのか。また、健康を害されている問題について、やはりそれを治療しなければいけない、そういう方々を救済しなければいけないという問題があるのじゃないかと思うのです。そういう問題について、厚生省としてはどういうように考えているか。先ほどデータが出ていませんから、何も言いようがないかもわかりませんけれども考えがあるかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  171. 山本宣正

    ○山本説明員 現在の公害に係る被害者の救済の法律は、大気汚染、水質汚濁等汚染の著しい地域を指定いたしまして、それによって起こる疾病に対する救済をする、こういう考え方でございます。したがいまして、私ども従来の経験から考えまして、この機関庫付近で起こる大気汚染の問題というのは、むしろ健康に対する被害よりも、いわゆる生活環境上の、たとえば洗たくものがよごれるとか、家の中がきたなくなるというようなことが主ではないか、かように考えます。したがいまして、健康については、それは調査いたしまして、その被害が著しい場合には対象となりますけれども、それ以外の一般生活上の環境汚染の問題につきましての対象にはならない、かように考えます。
  172. 新井彬之

    新井分科員 そういうことが厚生省から出ているわけでございますけれども、やはり大体の考え方としては、その大気汚染のために非常に被害をこうむっているということがあります。もちろん、運輸省独自として何とか手を打たなければいけないというような考え方もあるかもしれませんけれども、そういう方々に対して、何かいま答えが厚生省からありましたような問題について、何とかしてあげなければいけないというようなことで検討されたことはざごいますか。
  173. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄の蒸気機関車は、これはもう必要やむを得ざるものでございまして、実は姫路の第一機関区、これは私も承知をいたしておりますが、非常に古くからございまして、その当時はあの辺は非常ないなかでございました。あれができましたころは、あまり家もなかったのでございますが、その後、終戦になってから、まわりに家が密集してきたような状況でございます。大体、全国的に機関区をつくりますについては、いつもわれわれとしては、いなかといいますか、民家のあまりないところにつくっていくように努力をしてまいりましたし、現時点でも大体そういうことで進めております。そういうことで、なるべく迷惑のかからぬようにということでいままでやってきておったのですが、その後、民家がどんどんふえてくるということになりまして、逆にわれわれのほうが追い詰められてくるというようなかっこうになっておるわけでございます。  それはともかくといたしまして、この煙によります住民の方々のいろいろな苦情その他につきまして、われわれとしては、基本的にはやはり一日も早く煙を出さない機関車にかえる、あるいは電車にかえるということだと思いますので、これをわれわれとしては一刻も早く努力をして所定どおりに完了していきたい、こう考えておる次第でありまして、この点またいろいろ御協力をお願いしたいと思います。
  174. 新井彬之

    新井分科員 では、もう時間がありませんからこれで質問は終わりますけれども、公害立法にいたしましても、やはり時代、情勢の変化、そういうことに伴いまして法律はどんどん改正をされております。したがいまして、確かに、そういう車庫ができたときにおいては家もなかっただろうし、また公害問題でとやかく言う人もいなかったと思うのですね。だけれども、現状がこういうことで、何とか早くしてほしい。だけれども国鉄としては予算関係がありますから、それを一ぺんにやるわけにはいかない、これもやはりみんなわかることだと思うのです。しかし現実には、そういういろいろな被害をこうむっておるわけでございますから、少なくとも今後そういう地域でいろいろの問題が出たときにおいて、やはりそのことについてはともに助け合い、ともに協力して、それを一番最善に解決していかなければならないと思うわけでございまして、今後そういう救済措置等につきましても、いままでないから、これはこういう事情だからというのではなくて、どうか考えていただきたい、このように思うわけでございます。  そのことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  175. 大野市郎

    大野主査 西宮弘君。
  176. 西宮弘

    西宮分科員 私は、開発の仕事と自然環境の調和といいますか、そういう問題について若干お尋ねをしたいと思います。  実は、国会の中に衆参合わせまして、あるいは超党派で野鳥を保護するという議員連盟ができておりまして、私もその一人でありますので、そういう連盟の一員という立場でお尋ねをしたいと思うのであります。  一体、これから開発の仕事はきわめて重要な問題でありまして、われわれはそのために一生懸命努力をしなければならぬと思うわけでありますが、しかし同時に貴重な自然がそこなわれてきた、そういう例が今日まで非常に多かったわけです。これは特に日本の場合には経済成長が激しかったために、ある意味においてはやむを得なかったと思うのでありますが、そういう自然の破壊が激しかったという点について、私どもはここで反省をしてみる必要があるのではないか。そういう点で私は、実はこの問題は非常に広範な問題でありまして、いま運輸大臣が戻りましたら、運輸大臣の御意見を聞きたいと思いますが、いま港湾局長おられますから、それでは港湾局長に一般論としてお尋ねをしたいと思います。  欧米の国々ではそういう水鳥の渡来地というようなものは、保護区としてそれを完全に保存をする、こういうことがすでに行なわれておるようでありますが、先刻申しましたように、日本では経済成長が非常に激しかった、そういうために、いま言ったような地帯も遠慮なしにつぶしていく、こういうことが行なわれてきたわけであります。しかし、いまや、これに対する反省の時期に入っているのではないか。もちろん私どもは、港湾の建設等これから産業の開発に必要な面を、それはそれとしてきわめて重大な問題なんですから、十分に了解しておりますが、無反省にそういう自然を破壊してしまうというようなことが行なわれてはいけないと思う。その点に十分慎重な配慮が必要だということを考えておるのでありますが、港湾局長のお考えはどうですか。
  177. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生おっしゃいましたことは全く同感でございまして、確かに過去におきまして、私ども気のつかない間に御指摘のようなことがいろいろあったかとも思いますが、現在の時点につきまして考えますと、非常に貴重な自然環境でございますので、これを大事に残しながら開発を進めていくというふうに考えております。
  178. 西宮弘

    西宮分科員 大臣にいわば原則論、方針論としてお尋ねをしたいと思うのでありますが、この問題はもとより運輸省だけの問題ではありません。開発と環境保全というそういう命題になりますと、これは関係する部分が非常に多いわけであります。運輸省関係考えてみますると、たとえば鉄道港湾空港なんというのがそれに該当するのではないか。ですから、そういう際に、いま私が申し上げたこと一部聞いていただいたと思いますけれども、そういう考え方で臨んでいく。ということは、私どもは、世の中が便利になって、しかし便利になっただけで文化生活とはいえないと思うのですね。自然との交流というようなことが十分可能で、それで初めてほんとうの意味での文化生活だというふうにいわれると思うのであります。生きている自然を大事にするということは私どもはきわめて貴重なことだと思う。したがって、いま申し上げたような運輸省所管の開発事業、建設事業を遂行される際には、そういう面についても配慮を加えていただきたいというふうに考えておるのですが、大臣の一般論としての御意見を伺いたいと思います。
  179. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話のように、自然環境の保全ということは、これからの新しい社会といいますか、人類の幸福というものから考えますと、非常に重要な問題であります。御承知のように、日本の海岸線の長さはアメリカ合衆国よりも長い。海岸線が非常に長いということは、別の意味において大きな意味があります。たとえば港湾建設につきましても、あるいは将来の空港、あるいはレクリエーションの地帯、こういう点から総合的に考えましても、これを大事にするということは運輸省としても十分に考えておるつもりでありまするが、ただいま局長から話がありましたように、過去において、あるいはその点について抜かりがあった点があろうと思いまするが、最近はこの問題については、各方面とも十分に連絡をしまして、そのような地帯についてはあくまでこれは避けていく。ことに港湾技術等は非常に発達してまいりまして、必ずしも自然の地形港湾に適する適しないの問題はなくなりましたから、その点についてはお説のような点は十分勘案してやっていける、こういう自信を持っておりますし、かつまたその方針でやってまいりたい、かように考えております。
  180. 西宮弘

    西宮分科員 大臣の基本的なお話を伺って私も非常に共鳴をいたしますが、つきましては、若干の問題があるわけです。  そこで、これを所管しております林野庁の担当官にお答えを願いたいと思うのでありますが、たとえば青森県の太平洋岸の小川原湖付近の問題であります。あるいはまた、東京湾に例の夢の島というのをつくる。これに対して、これは野鳥が生息できるようなそういう場所にしてほしい、こういうことで、日本鳥類保護連盟から東京都の知事に対しまして請願が行なわれておるわけであります。あるいはまた大阪の南港、これは昔は住吉浦と呼んだところでありますが、それが現在は埋め立てをされて、そこに埠頭ができ、工業用地ができ、あるいは住宅地などができる、こういうことになっておりまして、昭和四十五年中に第一期工事に着手をした、こういうことで非常に急ピッチで工事が進んでおるわけでありますが、これに対しまして、ここにもいわゆる干がたがありまして、たくさんの野鳥がここに飛んできている。その種類百七十二種類といわれておるのでありますが、そういう野鳥、渡り鳥の休憩地、中継地としては非常に貴重であったところでありますが、それがいま失われようとしておるわけです。それで地元の人たちが、これをもう一ぺん考え直してもらう、あるいは、野鳥の休憩地としての機能を果たせるように計画の変更等、いろいろ折衝をしておるようであります。あるいは諫早、有明湾でありますが、ここにもやはり同じような問題が起こっておる。こういう問題は必ずしも国の問題ばかりじゃありません。地方団体の問題ももちろんあるわけでありますから、詳しく全部が全部御承知かどうかわかりませんけれども、そういう問題が相次いで出ているということは、保全する立場に立つ林野庁としては相当な認識を持っておると思うのですが、いかがですか。
  181. 海法正昌

    海法説明員 お答えいたします。  ただいま先生のお話しのございました、青森県の小川原沼、それから大阪府の南港あるいは有明湾、これの地域はいずれもシギ、チドリ等の渡り鳥の渡来地でございます。このうち大阪府南港は、埋め立て造成地が渡り鳥の休息地になっておるのでございます。最近、工場等が設置されつつありますために、渡り鳥の渡来に悪影響を及ぼしておるということでございます。このために大阪府知事に対しまして、地域開発計画との調整をはかりつつ、できるだけ鳥類保護にも配慮をするように指導をしてまいりたいと考えております。また青森県の小川原沼及び長崎県の諫早の問題につきましても、この地区の開発と鳥類保護との調整を十分はかるように指導してまいりたい、かように考えております。
  182. 西宮弘

    西宮分科員 おそらく運輸省でも千葉県の行徳地区の新浜という問題は御承知だろうと思いますが、これは非常に貴重な経験だったと思うわけです。それはやはり全く同じような状況のもとにここに港湾ができる。それに対して、やはり渡り鳥の中継地がありまして、それを保存したいという熱心な人たちの運動によりまして、現在では、首都圏整備委員会がたしか三分の二でありましたが、そういう負担をいたしまして、総額九億円の予算でこれを整備する。そして渡り鳥のりっぱな休憩地、中継地として保存をする、こういうことが行なわれるようになったわけです。これの運動の際などは、千葉県知事に対して出す陳情書の中には、当時の原田運輸大臣など現職の運輸大臣が一緒にサインをしている、こういうようなことなどもありまして最後に成功したんだと思いますが、私は、これらを貴重な経験としながら、今後の港湾建設に当たっていただきたいと思うのです。  次に、直接港湾所管の問題でもありまして、かっ私の地元でもありますので、事情をよく知っております仙台市の蒲生の問題について若干御意見を伺いたいと思います。  これはやはり日本野鳥保護連盟から陳情書が出ておりまして、衆参両院に陳情書が出ましたが、これは両院とも採択になっておるわけです。これは仙台の蒲生という海岸でありますが、実は自然のままのこういう場所がだんだんにつぶれてまいりまして、いま自然のままに残っているというのでは非常に貴重な存在であります。そして、これはひとり日本だけでなしに、海外にもかなり広く知られておるわけです。八十三種類の野鳥が来るということで、これはちょうど日本産の鳥類の四〇%に当たるわけであります。あるいはシギやチドリだけでも四十一種類数えておりまして、こういうように種類が非常に豊富だという点でも、実は日本でたいへんにまれなところであります。したがって、これは貴重な野鳥の生態研究の場所として学術的にも高く評価されておるわけです。同時にまた、地元の市民たちの野鳥観察の絶好の場所にもなっておるわけであります。何ぶんにも数千キロの遠い距離を飛んできまして、しばらくそこに休んで、また数千キロ離れた地域に、南に北に移動してまいりますシギ、チドリでありますので、えさが得られる場所、あるいは満潮になった場合にはしばらく羽を休めることのできる場所、そういうような条件が必要でありまして、そのためには河口であり同時に海岸だということが必要なわけであります。そういう点で、それぞれの条件を備えておるところなので、いろいろ関係方面に運動を続けてまいっておるわけであります。書類は運輸省にも提出されておるはずでありますが、これについて港湾局長はどういうふうにお考えか承りたい。
  183. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先ほど御指摘の点につきましては、昨年の六月に日本鳥類保護連盟からも陳情書が参っております。御承知のように、仙台市港湾計画は四十四年の三月に計画決定してございますけれども、蒲生地区につきましては、四十五年までの計画としては明定してございませんで、将来の港湾拡張用地ということで残してある地域でございます。たまたまそういうふうな御意見が出ましたので、港湾管理者に問い合わせましたところ、港湾管理者は県知事でございますが、県知事がさっそく昨年四十五年から予算をとりまして、いま東北大学に調査を依頼しているというふうに聞いてございます。これは四十六年も続けるように聞いております。現在保護地域に指定されておりますし、その結果によりまして県がどういうふうに考えていくかというのを待っておる次第でございますが、私どもといたしましては、陳情書にございます二十六ヘクタールという点は特に貴重だろうというふうに拝察できますし、専門家でございませんけれども、わかりますので、それと、それ以外の地域でどの程度どうしたらいいかということを十分管理者と相談しながら進めてまいりたいと思っております。
  184. 西宮弘

    西宮分科員 いま局長が言われましたように、第一期工事の中には入っていないので、将来の計画の中に入っている。したがって、その関係者が心配しておるわけですから、ぜひ、将来計画を検討されるときに、るる申し上げたことを前提にして検討していただきたいと思います。いまの面積はわずかに二十六ヘクタールでありますから、全体の工業地帯の造成という点から見ると四十分の一にも足りない程度であります。したがって私は、計画の態様ではそれを避けるということは決して困難ではないんじゃないかと見ておるわけです。専門家に委嘱していろいろ調査研究をしているということも、いま局長の答弁のとおりでありますが、ただ県から出ております日本野鳥保護連盟にあてた陳情書に対する回答によると、だんだん周囲の状況が悪化してきて、ひとりでに使えなくなってしまうのじゃないか、そういうふうに読み取れるような文言がありましたので、そういう自然にだめになってしまうというのを待っている——待っていると言っちゃ語弊があるけれども、そういうことではたいへんに困るので、だから、そういうことにならないように——つまり一ぺんそういうふうになりますと、代替地を新たに造成するということはなかなか不可能です。そういうことは世界的にも例がないという話です。つまり自然をもう一ぺん人工的につくるのですから、そういうことはとうてい不可能だというふうにいわれておるので、したがって、われわれは、他に代替地を求めるというようなことではとうてい満足な結果は得られない、ぜひいままで申し上げたことを参考にして地方の当局を指導してもらいたい、ということを重ねて申し上げて、もう一ぺんお答えいただきたい。
  185. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先ほども申し上げましたが、先生の御趣旨一々ごもっともでございますので、今後の計画を進めるにあたりまして十分配慮いたしたいと思います。
  186. 西宮弘

    西宮分科員 林野庁にお尋ねをいたしますが、ずいぶん最近、これはこの二、三日の新聞でありますが、いろいろな問題がやはり最近の環境の変化に伴って起こっているわけですね。たとえば、これは去る二月十五日の新聞でありますが、青森県の八戸に例のウミネコの天然記念物に指定をされた土地がありますけれども、あそこのウミネコが、冬になればあったかいところへ移動するという習性を持っておるのですが、ここ二、三年来その生態が変わってきて、移動しないで相変わらずそこにがんばっておるものが相当ある。これはおそらく移動先の海がよごされて、たとえば東京湾などに来るんだそうですが、東京湾にはウミネコがほとんどあらわれない。こういうことで、従来移動しておった先の海が汚染をされたために行けなくなってしまったのではないか。その他いろんな理由を推定をいたしておりますが、そういう問題などが起こっているわけです。  あるいはまた、これは沖繩県でありますが、二月十七日の新聞でありますが、世界の珍鳥ノグチゲラ、こういう名前の鳥が国頭村にだけいるんだそうでありますが、アメリカ軍の射撃場ができたためにこれが絶滅の危機に瀕しておる。こういうことで、これが国際的な問題になって、たとえばアメリカ最大の鳥類保護団体であるオージュボン協会はアメリカの海軍長官にあてて、演習の中止を要請したという報告があります。あるいはまた、国際自然保護連盟、国際鳥類保護連盟というようなところは、これも同じようにアメリカに対してその保護を働きかけている。あるいはオランダの鳥類学者ブロウワー博士は、ぜひこれは守らなければならぬということで、非常に精密な図を日本の野鳥保護連盟に送ってきている。あるいはオーストリアの自然科学博物館の館長からは、沖繩のランパート高等弁務官にあてて、直ちにこれを中止するようにという抗議文を送ったという記事がある。あるいはハンガリーからも同様な行動がとられておる、こういうことが新聞に報道されておるのであります。  こういうふうに、いろいろ環境の変化に伴って、いままで想像しなかったようなこういう問題が次々に起こっておると思う。私は何も一々、いま申し上げたその青森の問題、沖繩の問題、具体的に答弁をお聞きしようとは思いませんが、ただ、全くわれわれの想像を越えていろいろな問題が起こっているという点について、もっと強い関心を持ってもらいたいということをお願いしておきたいと思います。
  187. 海法正昌

    海法説明員 ただいまお話ございました、ノグチゲラの問題、あるいはウミネコの問題でありますが、このウミネコの問題につきましては、移動の問題で気象の問題もございましょうし、あるいはえさの問題もあろうかと思います。またノグチゲラの問題につきましては、まだ沖繩が返還になっておりませんので、こういう面につきましては、関係方面と十分相談をいたしまして対処してまいりたいというふうに考えております。
  188. 西宮弘

    西宮分科員 これで最後にいたしますが、大臣にぜひ御認識いただきたいと思いますことは、近いうちにアメリカ日本との間でこの野鳥保護に対する国際条約が結ばれようとしているわけです。そういう非常に大事な時期に際会をしておるわけでして、渡り鳥につきましては国際間の協力が必要だ、こういうことで条約が結ばれようとしているわけです。いま関係方面で着々その手続が進行中なんでありますが、アジアにおける渡り鳥及び危機に瀕している鳥類保護のための協定、こういう国際協定が結ばれようとしているわけです。そういう際でもありますので、どうかいままで申し上げたことに、冒頭のお話で大臣のお考えもわかりましたけれども、ぜひ強い関心を持っていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。あくまでも、私ども人間と自然が調和のとれた、そういう開発計画をぜひ推進してもらいたいと思います。つきましては、先ほど具体的な例としてあげました仙台の蒲生の問題、港湾建設に伴う先ほどの問題について、局長の答弁がありましたけれども大臣のお考えを希望して、これで終わります。
  189. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話の点は、昨年の九月に請願といいますか、陳情書も参っております。これに従って、港湾局長に対しまして、この特定地域は除くようにという指示を与えて、その方針で目下県庁とは連絡をとっておりますが、当然、県庁からはその意向があろうと思いますけれども運輸省としても、この地点を除いて計画をするように、かように考えておる次第でございます。
  190. 大野市郎

    大野主査 桑名義治君。
  191. 桑名義治

    ○桑名分科員 最初に、空港整備五カ年計画昭和四十二年から実施されましていよいよ来年度で終わるわけでございますが、これで完全に全国の空港整備されたわけじゃございませんので、来年度終わった時点でさらに整備計画がおありかどうか、その点をまず伺っておきたいと思います。
  192. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 空港整備計画につきましては、昭和四十二年度を初年度といたしまして四十六年度まで、これが第一次の空港整備五カ年計画でございます。そこで、そのまままいりますと、四十六年度に五カ年計画が終わるわけでございますが、相当航空事情も変わってまいりましたし、非常に大きく伸びると考えておりますので、この際これを改定いたしまして、四十六年度を初年度といたしまして新たなる五カ年計画をつくるということで、四十六年度から五十年度まで、この五カ年計画を第二次空港整備五カ年計画といたしまして、策定いたしまして、先般閣議の了解をとったということでございます。
  193. 桑名義治

    ○桑名分科員 そこでお尋ねしたいことは、過日の新聞の報道でも明らかになっておりますが、外務省が十八日に明らかにしたところによると、七二年の沖繩返還時に那覇空港の管理権が米国から日本運輸省に移譲されるのではないか、こういういわゆる非常に強い可能性が生まれてきた、こういうふうな報道がされているわけでございます。そこで、沖繩の現在の空港事情を見てみますと、那覇空港の改修、いわゆる拡張工事が現在行なわれているわけでございます。現在までの計画の中では、日本政府が百万ドル、米政府が二百万ドル、こういった計画で計上されておったわけでございますが、現実は米政府予算の削減によってそれがほとんどめどがつかなくなった、こういうふうな話でございます。そこで、この工事が今後どういうふうになるのか、とれが沖繩の県民にとっても非常に大きな関心事でもありましょうし、那覇空港運輸省のほうに移譲された場合には、今後の米国航路あるいはまた東南アジアの航路としては、非常に重要な位置を占めるわけでございます。そういった意味で積極的に那覇空港整備は急がなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、その点について伺っておきたいと思います。
  194. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 沖繩の那覇空港の問題でございますけれども、新聞紙上に若干そういうふうな記事が見えていましたが、まだ現在のところ、正式に運輸省のほうに返還するとかいうことは聞いておりません。しかし、私どもといたしましては、やはり那覇空港というものは、沖繩返還の暁には、民間航空の基地として運輸省において所管し、整備してまいりたいというふうに希望しておるわけでございます。  そこで、現在までの那覇空港整備状況でございますが、那覇空港につきましては、四十四年度から四十五年度と、先ほど先生のおっしゃいましたような、米国が幾ら、それから日本が幾らというふうにいたしまして、民航地区の整備が行なわれております。それで、私どもといたしましても、那覇空港沖繩返還の後にも民航の基地として拡張整備し、大いにこれを活用したいと考えております。
  195. 桑名義治

    ○桑名分科員 現在、週に大体どのくらいの就航があるのですか。
  196. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 いま手元にこまかい資料を持ち合わせておりませんので、後ほどお届けいたします。
  197. 桑名義治

    ○桑名分科員 私の調べによりますと、国際線が週に六十二便、それから域内航空が六十四便、こういうふうに現在いわれているわけでございますけれども、実際に今後返還され移譲されれば、当然さらに利用率が高くなってくるのではないか、こういうことも考えられるわけでございます。いまの段階では運輸省のほうには移管の話がまだ全然ない、こういうお話でございますね。しかしながら、こういうふうな新聞報道が先に走って、運輸省のほうが全然知らないという。これは話が全然なかったわけでございますか。
  198. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 まだ正式な話はございません。
  199. 桑名義治

    ○桑名分科員 いずれにしましても、現在、日政が百万ドル、それから米政府が二百万ドルと、こういう予算を計上しながらいままでやってきたわけでございますけれども、現在、中途で工事がとどまっているというような実情でございますが、この点については運輸省としては移管した時点において考えられる予算措置でございますか。それとも現在の段階で、こういう移管をされるということを一つのめどにして、将来計画の一環として、米政府の二百万ドル、これに肩がわりするような予算措置をやられるのか。運輸省としてはやるべきではなかろうかと私は思うわけでございますけれども、その点についてはいかがでございましょう。
  200. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 沖繩につきましては、現在、総理府の所管でございまして、総理府のほうから沖繩財政援助金として、四十六年度予算としましては七億九千万円ほどがついております。したがいまして、工事がたまっておるというわけでございませんので、総理府所管におきまして工事は進んでおるということでございます。
  201. 桑名義治

    ○桑名分科員 ここに私が持ってきている資料は全部琉球政府からの要請書でございます。その中の一つとして、「那覇空港国際空港の指定および同空港の民航地域拡張について」ということで要望が来ているわけでございます。そこで、こういうような新聞報道がございましたので、おそらく検討の内容として、もちろん返還協定の中にはうたい込まれないという状況ではございますけれども、一応話し合いで運輸省に返還をする、こういう意向のようでございますから、もし返還をされた場合に、この空港をいわゆる国際空港として指定をする意思があるかどうか。これはまだ先の話で、まことに申しわけないことでございますけれども、もう返還が目の前にきておりますから、一つの準備段階として運輸省考え方、これをまずただしておきたいと思います。
  202. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 沖繩につきましては、現在、国際線として、アメリカのノースウエストでございますとか、あるいはフライングタイガー、トランスワールド、あるいはミクロネシア、あるいは中華航空、こういった航空会社が来ております。それから本土との間には全日空及び日本航空が通っております。現在の国際線ということを申しますと、本土と沖繩の間は国際線でありますが、今後ステイタスが変わってまいりますと、むしろ先ほど申しましたアメリカ沖繩との間、あるいは台湾と沖繩の間というようなものが国際航空というふうになってくると思います。  それで、こういうふうにステイタスが変更されました場合に、そういった航空の運行がなくなるかと申しますと、これはすぐになくなるということはないと思います。したがいまして、少なくとも国際線が運航する施設を備えた空港というものをやはり沖繩には置かなければならぬというふうに考えております。ただ、これがいわゆる一種空港になるかどうかはまた別の問題でございまして、これにつきましては、ほかの空港との関連その他を勘案しながらきめることになると思います。
  203. 桑名義治

    ○桑名分科員 そういった時点になりますと、いまおっしゃった、四十六年度を初期とした五十年度までの五カ年計画の中に織り込まれていくかどうか、この点も承っておきたいのであります。
  204. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは織り込まれておりません。したがいまして、返還ということになりますれば、そういう時点においてまた計画を立てるということになっております。
  205. 桑名義治

    ○桑名分科員 那覇空港の問題につきましてはこの程度にしておきます。  そこで、いわゆる五カ年計画も終了して第二次五カ年計画に入るわけでございます。今回の五カ年計画で二種空港が大体何%くらい有視界飛行から計器離着陸飛行に変わってくるのか。
  206. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 今回の五カ年計画というと、一次の五カ年計画でございましょうか、二次の五カ年計画でございましょうか。
  207. 桑名義治

    ○桑名分科員 一次です。
  208. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 一次の五カ年計画は、先ほど申し上げましたとおり、一応四十六年度で終了するわけでありますが、その四十六年度が第二次に切りかえられたということを前提として申し上げます。したがって、現在の状況をお話し申し上げますと、現在ILSを設置しておる空港は名古屋空港がございます。それからレーダーを設置しているのが宮崎空港がございます。それからなお今後、函館、仙台、松山、新熊本、新大分、新鹿児島、そういった空港につきましてもILSを設置したいというふうに考えております。
  209. 桑名義治

    ○桑名分科員 そうしますと、二種空港の中で、第一次五カ年計画が終了した時点で、いわゆる計器離着陸ができるのは三空港か四空港ということですか。
  210. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 失礼いたしました。名古屋空港と宮崎空港、それから態本空港などでございます。
  211. 桑名義治

    ○桑名分科員 そうしますと、第二次五カ年計画が完成した時点では、第二種空港は離着陸はほとんど計器飛行になりますか。
  212. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは第二種空港と申しましても、現在十七カ所くらいでございましょうか。したがいまして、その中には地形関係からそれほど延ばせないというところがございますし、あるいは計器着陸ができないというふうなところもございます。したがいまして、その全部がILSを設置できるかどうかということは申し上げかねますけれども、いま申し上げました函館、仙台、松山、新熊本、新大分、新鹿児島、こういうようなところについては、大体全部つけられるだろうというふうに考えております。
  213. 桑名義治

    ○桑名分科員 第二次五カ年計画が四十六年度を初年度としてさらに計画されているという、この点については異論はないわけでございますが、もう御承知のように、航空需要は非常に急速に盛んになってきたわけでございますが、それに伴いまして飛行便の回数が多くなってくれば、どうしても憂慮されるような状態が起こってくるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、そういったところへ、現在の科学の時代にいまだに有視界飛行を続けるということは、これは当然われわれとしてはうなづけないことでもあるし、あるいは事故を未然に防ぎ、あるいは人間性を尊重する、こういった立場から考えますと、現在、二種空港あるいは三種空港に至るまで、一切が計器離着陸ができるような状況にしていかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、過日、私、地方行政委員会のときに、まことに恐縮でございますが、私の地元の小倉の曽根空港の件についてお尋ねしたことがあります。この曽根空港というのは非常に就航率が悪うございまして、全国平均の九五%に対して約八三%、こういうような航空事情でございます。そこで地元の人には、しょっちゅう欠航する空港ということで非常に有名になっております。これは一方が海に面し、また一方が山に面しておるという、地形面的に非常に悪いところにあるわけでございますけれども、だからといって、この空港をそのままにほっておくということもどうかと思うし、あるいは航空需要の面から考えましても、昭和四十二年に八万六千、四十三年に十二万六千、四十四年に十六万一千、こういうふうに年々増加しておるわけでございますから、そういったことから考え、あるいは今後の北九州の動向、あるいは周防灘の総合開発等をにらみ合わせてみたときに、曽根空港の今後占める価値というものは非常に増大してくるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、先日の七月十日の地方行政委員会のときに、丸居さんは、ローカライザーについては羽田に余分があるので、「ただいま用地等について場所を検討いたしておりますので、これは早急につけられると思います。それからその他のものにつきましては、やはり予算措置が必要でございますので、なるべく早くその措置を講じたいと思っておりますが、できれば四十六年度に予算化してやりたいというふうに思っております。」こういうふうに御答弁をいただいたわけでございますが、空港に問い合わせてみましたら、まだローカライザーはついていない、それで来年の予算で云々というような話がちょっとあったわけでございますが、この点についてはどうなっているか。その辺のいきさつと決定事項をお尋ねしておきたい、このように思います。
  214. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいまの小倉空港でございますけれども、おっしゃるとおりに、ここは気象条件が悪うございまして、したがいまして、欠航率が高くなっているということは、そのとおりでございます。そこで、私どもといたしましても、何とか欠航率を少なくする、運航率を高めたいと思っていろいろ考えておるわけでございますが、そのために、先ほど御指摘になりましたローカライザー、これを持っていくことにしております。ただ、その予算は、設置工事費というものが要りまして、これが四十六年度の予算になりますものですから、現在はまだつけられないということでございます。しかし四十六年度になりますと、先航、丸居飛行場部長から御答弁申し上げたと思いますが、各般の計器類、保安施設、そういったものがつくことになります。そこでILS、ローカライザーあるいは進入路指示灯でありますとか、あるいはマーカーでありますとか、あるいはNDB、そういったものが四十六年度には設置いたされますので、それによりまして、現在の約一〇%くらいの欠航率が五%以下になる、大体一般の他の空港並みになるであろうというふうに期待しておるところでございます。
  215. 桑名義治

    ○桑名分科員 そういうふうにさまざまな、いわゆる離着陸の計器がついた場合には、その事情に応じてはさらにその空港の拡張をも考える、こういう意味合いの御答弁がありましたが、そういった意思おありになるかどうかお尋ねします。
  216. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 この小倉空港と申しますのは、先ほど先生説明ございましたように、東が海になっておりまして、海から入ってまいります。陸の三方が山に囲まれておりまして、そういった状況で、ある意味では地形的にあまりいい場所でないということでございます。したがいまして、これを直ちに延長するかどうか、延長するということは、ジェット機の就航ということをはかるためにほかならないのでございますけれども、これはそういったわりに狭いような空間を利用いたしますので、現在のYS機でございますと、これは比較的小回りがききますし、そういうことで着陸復航体制を行なう航路ということについてもある程度見通しがついたわけでございますけれども、さらに今後大型機を飛ばせられるかどうかという問題につきましては、これは安全に関する問題でございますから、慎重に検討いたしましてきめてまいりたい、このように考えます。
  217. 桑名義治

    ○桑名分科員 飛行機の問題、空港の問題はこの程度にして終わって、次の問題に移りたいと思います。  最後に、那覇空港の件について大臣の所信を承っておきたいと思うのです。
  218. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほど答弁がありましたように、返還後の沖繩の航空情勢が変わってくるのじゃないか。いわゆる国内旅客輸送の面では相当増大すると思います。しかし国際空港の面では、これはある程度、当分の間は減少するのではないだろうか。将来、東南アジアとかその他中国等の関係がまた新しい事態が発生しますれば、これはまた別の事態がまいります。  こういう意味合いにおきまして、いわゆる国際空港として指定する意思がないかどうかということになりますと、いま直ちにその考えはない。しかし基幹空港といいますか、とにかくジェット機がとまれる状態の飛行場としての整備は積極的に進めていかなくちゃならぬ、かように考えております。
  219. 桑名義治

    ○桑名分科員 次に、九州新幹線の問題についてお尋ねをしたいのですが、九州新幹線は五十年をめどに福岡までの工事が進められる、こういうふうにいわれておるわけでございますが、工事はその後順調に進んでおるのかどうか、あるいは五十年までに福岡までのいわゆる完遂ができるのかどうか、その点についてまず最初に伺っておきたいと思います。
  220. 長浜正雄

    ○長浜説明員 岡山までは四十七年の春には開業予定でございます。これはもうほとんど問題ございません。それから岡山から博多までは、一昨年の暮れに大臣から御認可をいただきまして、それから地元の方々といろいろ用地買収、設計協議の御協議を申し上げておりますが、諸先生方はじめ地元各位の非常なる後協力を得まして、東海道あるいは岡山までに例を見ないほど御協力をいただきまして、非常に順調に進んでおります。この点、この席をかりて厚く御礼を申し上げます。  したがいまして、用地買収するための地元の立ち入り測量、これはもう九十数%というような程度にまで立ち入り測量をさせていただいておる。あと数カ所いろいろ問題がございますが、これもそうたいした支障はないんじゃないか。非常に御協力をいただいていることを、厚く御礼申し上げます。  また、工期を左右いたします長大トンネルといたしまして、関門トンネルあるいは広島の東側にございます安芸トンネルはじめ、長大トンネルにつきまして二十数カ所着工いたしまして、工事のほうも順調に進んでおります。あと、予算関係のほうで支障がない限り、いまのところの見通しとしては、先生御指摘のように昭和五十年を目標に、大体できるのじゃないかと現時点では、考えられておる次第でございます。
  221. 桑名義治

    ○桑名分科員 いまの御答弁によりますと、五十年までにはほぼ貫通する見込みだ、こういうふうな御答弁でございますが、さらに九州全体としての希望といたしまして、福岡まで延ばした新幹線をどうしても鹿児島まで延ばしてほしい、こういう意向が非常に強いわけでございますが、この意向を通して、国鉄もしくは運輸大臣、この鹿児島まで通すという意思があるかどうか。いまから先のほうの話でまことに恐縮でございますけれども、その点について明快にお答えを願いたいと思います。
  222. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま長浜常務理事からお話がありましたように、五十年には福岡まで完成いたしますが、なおこれから五カ年ありますからして、その先ではありますけれども運輸省におきましては鹿児島まで新幹線をやりたいということで目下調査を進めておりますので、その意思は十分あることを御了承願います。
  223. 桑名義治

    ○桑名分科員 そこで、五十年までに福岡まで貫通するわけでございますが、また国鉄新幹線が通る場合、あるいは新幹線の駅ができる場合、これは距離の問題やあるいはその周辺の都市の問題やいろいろな事情が勘案されまして駅ができるわけでありましょう。しかしながら、都市としてはたいした都市でなくても、実際にこうやって新幹線が通る以上、その地域の特殊事情というものを十二分に勘案をしなければならないことは、これもまた事実だろうと思うのです。そこで国鉄赤字云々で、これが自動車重量税でまかなうとかいろいろな話が出ております。そうなってくると、税金である一端を今後もまかなっていくということになれば、当然地域の振興のためにもある一考を添えながら、この新幹線の駅も一応考えていかなければならないのじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。  そこで、私の申し上げたいことは、いわゆる筑豊全体の産炭地が非常に疲弊しております。今後どういう方向で再開発をしていくかということは、これは大きな問題になっているところでございます。いろいろな方策でこの産炭地の再開発について施策が述べられているわけでございますが、これといった決定打が全然ないわけです。皆さんも御存じのように、産炭地の山田市においては、現在ある市としては、一朝にして一万五千人の人口に激減してしまった。あるいは生活保護者が、その土地には三分の一が生活保護者であるというような実情にまで追い込まれてしまった。こうやっていろいろな要素が重なっていると同時に、産炭地振興という面から考えた場合、徹底的な産業基盤の拡充強化というものが必要になってくる。そうすると、どうしてもやはり広域的な経済的ないわゆる流通性を持った産業立地条件というものを備えていかなければ、産炭地の振興はあり得ないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  そういった意味からも、筑豊をどうせこれは新幹線は通るわけでございますので、筑豊の一端である直方市——必ずしも直方市でなくてもけっこうなんですが、そうやったところにぜひ新幹線の駅をつくってもらいたい。そういう地元の意向も非常に強いわけでございますし、県全体としてこの問題は取り組んでいる問題でございますが、この点について再考はできるのかできないのか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  224. 長浜正雄

    ○長浜説明員 新幹線の駅をどこにつくりますかということにつきまして、ただいま先生お話がありましたように、全くむずかしい問題でございまして、いろいろ私たちといたしまして事前に十分そういう経済状態、経済情勢あるいは地域のぐあい、人口のぐあい、あるいはそれにプラスいたします物理的な問題などを調査をいたしまして、案をつくりまして大臣の認可をいただいてつくっておるわけでございますけれども、この小倉博多の間は確かに五十数キロございまして、そういう意向のあることも承知しておるわけでございますけれども、何ぶんにも新幹線の場合は在来線と違いまして高速で走りまして、一駅とまったり走ったりするために十分近いロスが必要になってくるわけでございまして、そういう点を考えますと、なかなか簡単に駅をつくるわけにまいりませんので、どこにつくるかということは非常に難儀をするわけでございます。ちなみに、今度の岡山——博多間で一番駅間の長いのは、広島と手前の三原間でございまして、これは六十キロ余りございます。そういうところもあるわけでございますけれども、必ずしもキロ程だけで話がつくわけじゃございませんが、いろいろな条件を加味しなければならない、こう思います。  特に、先生御指摘の都市につきましては、並行して九州縦貫自動車道ができることになっております。これにつきましても、先生方の御指導によりまして、国鉄の建設と縦貫道の建設とできるだけ合わせるというようなことで、地元への御迷惑も少なくなるように努力もしておる次第でございますけれども、こういうものができますと小倉への到達時分も非常に早くなるだろう、こういうように考えられます。また在来線を使いまして、小倉への列車の便も現時点では三十数分かかるわけでございますけれども、これで急行、特急新幹線のほうに移りますと線路容量もあきますので、このほうの在来線も便利になろう、こういうふうに考えまして、その他いろいろ勘案いたしまして、こういうふうに案をつくりまして、御承認いただいていま工事を進めておる段階でございます。  駅の数につきましては、新幹線の特殊性ということを考えまして、これで通過させていただきたいとお願いする次第でございます。
  225. 桑名義治

    ○桑名分科員 そうしますと、いまの答弁の中では、一応再考の余地はあるということでございますね。
  226. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いろいろ私たち勉強いたしました結果、ここは在来線の列車あるいは高速道路、それらを使って十分小倉その他に到達してもそう時間的には大差がない、距離といたしまして二十数キロで小倉に到達することになりますので、自動車の距離といたしまして、高速道路ができれば十分その範囲内になるのじゃないかというふうに考えておりますので御了承いただきたい、こういうふうに考えております。
  227. 桑名義治

    ○桑名分科員 そうすると、今度はできないということでございますね。それをはっきりしてもらってないと、地元のほうへ話しようがございますので……。
  228. 長浜正雄

    ○長浜説明員 現時点ではそういうふうに考えております。
  229. 桑名義治

    ○桑名分科員 そういうふうにということは、できないということですか。
  230. 長浜正雄

    ○長浜説明員 はい。ここに駅をつくる意思はいまのところございません。
  231. 桑名義治

    ○桑名分科員 だから先に申し上げたように、再考する意思はございませんかと申し上げた。駅ができぬかということを最初に申し上げなかったのはそういう理由なんです。今後の国鉄の再建問題は、大いに国民の税金を使っていかなければならない。そうなってくると、やはり国土開発という立場からもある程度考え方を含めて、やはり運営をしていかなければならないんじゃないか。その意味におきまして、産炭地というものはいままでなぜ疲弊したか。これはかってに疲弊したわけじゃない。国の施策によって乱掘をした。そしてエネルギー革命の波をかぶってあのように疲弊したわけです。今後開発するためには、そういったあらゆる備えられる条件を、可能性のある条件をそろえながらやはり再開発をしていかなければならない。そういう視点に立って私は申し上げておるわけであって、そういった立場に立ってこの駅については再考をしていただきたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。もう時間が来たようでございますので、大臣からこの点について御答弁を願いたいと思います。
  232. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 長浜常務理事も言いにくいものですから、回りくどく言っておるのでしょうが、ただ、いま桑名さんの郷里を思う精神は大いに敬意を表します。これは新幹線の駅ができたら開発されるかというと、必ずしもそうも言えないのではないだろうか。それよりは、かえってその地域に対してどういうような開発的なプロジェクトを持ってくるかということのほうが先じゃなかろうか。将来、もちろんそういう大きく開発されるようなプロジェクトができまして、そして新幹線をとめるに足るような状態ができることが私は望ましい。  そういう意味において、私も言いにくいので遠回しにものを言っておりまするが、正直に申し上げますれば、今日においてはそこに駅をつくることは困難である、かように申し上げたいと思います。
  233. 桑名義治

    ○桑名分科員 ではそういうことで、産炭地としては新幹線が通るということ、ただ通過をするということじゃなくて、とどまるということで非常な期待を寄せると同時に、要望をしておりますので、先ほどからたびたび申し上げておりますように、再考をしていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもおくれまして失礼いたしました。
  234. 大野市郎

  235. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣もせっかくお見えになっておりますから、大臣のほうにまずお答え願いたいと思います。  成田空港の建設についてでございますが、いわゆる強制代執行が行なわれておりますが、きょうの状況はまたたいへん悲惨な状況が報道されておりますが、これをひとつ御報告いただきたいと思います。
  236. 大野市郎

    大野主査 いま呼んでおりますから。——ほかの問題がありましたら……。
  237. 田中昭二

    田中(昭)分科員 それじゃ大臣、きのうも運輸委員会のほうでこの問題、成田空港の建設については問題がございましたが、きのうも大臣は、犠牲者が絶対に出ないようにしたい、こういうことでございましたが、現実にいまの報道を見てみますと、ガードマンそれから少年行動隊の中の少年が数人けがをした。こういう事態は私は政治家として少し、こういう事態が予測されながら、そういうただ申しわけ的なことを言う程度ではいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  238. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私、朝からここにくぎづけでありますので、まだ報告を受けておりませんけれども、さようなことが起きましたとすれば、まことに遺憾千万でありまして、関係者に対してお気の毒に存じます。  私は、これはかねてからでありまするが、このような代執行をやるに至るまでには、もちろん相当の年月をかけまして、話し合いの場を求めつつやってまいったのでありますが、ついにその機会を十分に得ることができませんで、そして法に従って代執行をやるに至った事態は、まことに私も残念だと思います。しかし、代執行をするにあたりましては、友納知事並びに空港公団の今井総裁に対しまして、代執行をやる際には、そのような犠牲者が出ないように十分に配慮してやってもらいたい、これはそのために三週間という長期間をとったのであるから、したがってそのつもりで十分に心してやるようにということは、再三にわたって直接に指示をいたしてまいったのであります。どういう事情か詳しいことはわかりませんので、判断のしようがありませんけれども、少なくとも、どこにどういうような事情がありましても、けが人が出たということについてはまことに遺憾千万であり、今後これらのことのないように、執行にあたっては十分注意をしてもらいたいと、また再度注意を促す所存であります。
  239. 田中昭二

    田中(昭)分科員 それじゃ関係者がお見えになって、またあと確認だけしておきたいと思います。  私は、きょうは国鉄財政再建についてお尋ねしたいと思います。  この再建につきましては、当局並びに関係者の努力はもちろんでありますが、国民もたいへん関心を持って注目しております。そこで本年度の国鉄予算要求に対する大蔵省の査定を見て、たいへんふしぎな思いをするのは私だけじゃないと思うのです。何かしら国民もこのことにつきまして、いわゆる国鉄赤字線の廃止、建設その他の問題等たくさんございますが、こういう問題を聞きながら、国鉄に対する、政府に対する不信感と疑惑が起こってきておるようでございます。そういう声も聞きましたし、私も国民立場に立てば当然な思いがするわけでございますが、こういう声を反映してか、新聞報道等にも、この大蔵省の査定また政府の態度につきましては、それを裏づけるように、このやり方を、巧妙な魔術ではないか、これはまさに手品ではないか、見せかけの化粧にすぎない、こういうふうな、酷評といいますか、批判をしておるわけでございます。  本年の予算は、増収、経費節減等でまかなってつじつまを合わせた。その内容については別の機会に譲るとしましても、私は、増収面の一面についていろいろな意見も聞いております。その中で注目すべき点は、すなわち現在の国鉄の体制において、確実なる増収は雑収入と資産の売却による以外にない、このように国鉄内部の方、OBの方も言われます。また、旅客貨物収入増加をはかることはもちろんでございます。この雑収入、資産の売却について、総裁の御意見をまじえながら、増収できるという確信あるお答えを簡単にお願いいたします。
  240. 磯崎叡

    磯崎説明員 ことしの予算にはいろいろな問題がございまして、すでに予算委員会でもいろいろお話が出ました。私どもとしては、いまおっしゃった雑収入の確保、これは主として値上げでいきたいと思っております。非常に端的に申しまして、構内営業その他は原則として値上げをしてまいりたい。ということは、国民にこれだけ負担を願っておるのに、私ども関係の仕事をして、いくものにはもっと負担していただきたいという意味で、値上げでもって雑収入の確保を絶対いたしたい、こういうふうに思っております。  資産譲渡につきましては、すでに毎年だいぶ売り払っておりますが、それでも足りませんので、過般すでに公開競争入札いたしまして、間もなくその期日が参りますが、東京近在の土地約数千平米を売り払う予定で手続をいたしました。国鉄始まって以来、公開競争入札をいたしましたのは今度が初めてでございます。たいへん乱暴としかられる向きもあるかと思いますが、とにかく高いところに落とした人に売るという思い切った方針で売ってまいりたい。これは大体鑑定等をとっております。これらを見まして、またさらに第二次にもう少し売りたいと思っております。その資産充当は、六十億近いものを何とか売り食いしてつないでまいりたいというふうに思っております。  一般収入につきましては、いろいろございますが、後ほど申し上げます。
  241. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そこで大臣、聞いておってもらいたいのですが、いま雑収入というのは、結局使用料とかそういうものを上げるというのですが、これはあくまでも相手があることですから、必ずこれは物価に影響してくると思うのです。また運賃値上げのいい材料になる。これは時間が要りますから、きょうは第二点でおっしゃった資産の売却について少し聞いておきたいのです。  そこでまず、国鉄の全体の土地、建物等の中で不用の資産というのは、その数量と金額はどのくらいあるのですか。その数量と金額だけでけっこうでございますから、教えていただきたい。
  242. 長浜正雄

    ○長浜説明員 不用といいますか、売っても業務に支障ないというふうに確実に考えておりますのは、約八百八十万平方メートルぐらいを考えております。金額につきましては、これの金額はなかなか評価がむずかしいのでありまして、売却いたします時点で評価をいたしますので、総金額で幾らというふうに、いまここでちょっと申し上げかねるのでございますが、面積的には八百八十万平米でございます。  ただ、この中には、売りたいのでございますけれども、たとえば北海道の原野だとかまた線路があったところをひっぱがしたとか、そういうところが相当ございまして、これだけの総面積が、必ずしも右から左に売れる面積じゃございませんけれども、面積的にはこういう数字でございます。その中で金額的に大きいものというのは、総裁が申しましたような東京近在の土地あるいはそのほか廃線になりました、たとえば東北本線の青森付近の廃線敷だとか、あるいは北陸本線の線路をつけかえしました残りの廃線敷、こういうところが相当大きい面積を占めております。これらをぜひ売っていきたい、こういうふうに考えております。
  243. 田中昭二

    田中(昭)分科員 ちょっとその数量が、私がいただいておる資料と違うようでございますけれども、時間がございませんからこまかいことには触れずに、これは事務的なことですからあとで処理していきたいと思います。  やはり国鉄赤字になって、自分の資産を売り食いしていくということは、たいへんなことだと思うんです。そこで、私は過去の実績から見ていきますと、簡単に資産の売却といいますけれども、ことしのその資産売却も六十億という数字をあげてあるようでありますが、これはたいへん無理ではないだろうか、こういうふうに心配しておるわけです。その資産が六十億入らないということになりますと、またさらに赤字がふえていく、こういうことになりますから、その点は心配ないでしょうか。ないならない、あるならあるだけでけっこうです。
  244. 長浜正雄

    ○長浜説明員 四十六年度に売却をいま考えておりますのは、東北本線のさいぜん申し上げました青森付近、これが十数億、あるいは赤羽付近の十数億というふうに、大体六十億近いところまで努力をするつもりでございまして、相手もぼつぼつ、公共団体が買いたいというようなところがそういう廃線敷では多うございますので、話が煮詰まりつつある段階でございますので、達成できると考えております。  それから、さいぜん数字を、先生失礼いたしましたが、第一次にいま売り得るというのが八百八十万でございましたが、そのほかに若干ございまして、合計、先生のところに行きましたのは、千二百万という数字であるいは申し上げてあるかと思いますが、これはよろしくお願いいたします。
  245. 田中昭二

    田中(昭)分科員 わかっております。そこでいまの資産売却でございますけれども、過去の実績を、四十二年から三カ年、四十四年までで予算には百二十億程度あげてある。実際は四十八億売却してありますね。四十五年も同じく四十億予算に計上して、これまた四十億いくかいかないかわからない。そうしますと、四十六年に六十億あげて大体心配ないというようなお話でございましたけれども、たいへんこれは問題があるんじゃないか。こまかいことのようですけれども、私はほんとうに国鉄国民のために赤字も出さぬでやっていくというならば、そういうこまかいことでもきちっと国民に知らせられるような、自分たちの言ったことはきちっとやっていくような、そういう姿勢から出てこなければならない、こう思っ七、最終的には国鉄のために心配して言っているわけです。ただそのように予算の上に数字を並べて、それが実際の効果がどうであろうとかまわない、こういうことではいけないと思いますから、これはひとつ確信もってそうするということを、総裁のほうからお答え願いたいと思います。
  246. 磯崎叡

    磯崎説明員 四十六年度の六十億、非常に困難ですけれども、私は全責任をもって資産売却をいたしたいと思っております。
  247. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そこで、そういうふうな困難な問題のことについてちょっと触れておきますが、資産の売却の実績が、一口に総括的に申し上げればたいへんあいまいな点がある。黒い霧が発生するような、まさに発生して何もかもわからないような状態もある。これはあとで指摘したいと思います。  そこで、そういう事例をそれじゃ私のほうから指摘しますと、九州に旧志免炭鉱の鉱山の用地がありました。このことについては私が一昨年、もう三年になりますか、前から指摘して、あの廃山になった炭鉱のボタ山がありましてたいへんさびしい、何かしら見ただけで疲弊していく姿をまざまざさらしておりまして、そうしてこれは何とか早くあと地の整理をやれば、たいへん福岡の市外地でございますからいろいろな問題に利用できる、こういうようなことで指摘しておりますが、なかなか計画さえ明らかにならない。これは一体どういうことでございましょうか。ございましたら御説明願いたい。
  248. 長浜正雄

    ○長浜説明員 志免炭鉱の用地は全体で約百二十五万平方メートルぐらいあったわけでございますけれども、そのうち地元の町の御要望あるいは公団等の御要望によりまして処理をいたしまして売却いたしましたのが六十六万五千平方メートルでございまして、現在まだ五十八万一千平米の土地を所有しております。その中の大部分といいますか、約半数以上はボタ山と申しまして、先生十分御承知のボタが積んであります部分でございます。それ以外に、まだ国鉄従業員の宿舎等がございまして、それらはまだそのまま残っておる状況でございます。
  249. 田中昭二

    田中(昭)分科員 それは何か処理したようなお話でございますが、処理したあとの残った部分がたいへん問題だ、こう言っておるわけです。このボタ山のあるところだけで約九万坪からあるわけですね。そのほか全部入れれば二十一万坪近いまだ手をつけてないものがある。私、現場の選挙区でございますからよく知っておりますが、あの辺だったら坪一万円ぐらいでたいへんな金額ですよ。ボタ山のあと地だけでも一万円にしましても約十億円。それは除いたほうがいいのです、地域のためにも。またおかしいんです。ああいうボタ山をいつまでも置いておって、いろいろな社会問題の一つのガンになっています。そういうことはあれですが、私はいままでの国鉄の、先ほどから言いますように、実績、予算計上等を見てみますと、計画というものがなかなか実行にも移しにくい。移してもまたたいへんもやもやした、いわゆるおくれるといいますか、怠慢みたいなものを感ぜざるを得ない。なぜそういうふうに、だれが見てみても早く処分すべきであるものが処分できないか。その原因を私はこの三年間、国鉄のほうでなさらないものですから、ずっと私も選挙区におるたびにいろいろ研究してみますと、その原因が、表面上は地元の管理局も、私のほうの管理になっておりますがというような話ですけれども、実際聞いてみますと何にもわからない。本社のほうにもいろいろ聞いてみますと、その計画もいまそちらからおっしゃったようなただばく然とした計画で、それが計画が進まない。明らかにされない。これは表面の問題です。  ところが、このボタ山採取につきまして、たいへん思いもしないような事実があった。このボタ山を地元の黒瀬建設、黒瀬観光という土建会社と観光会社ですが、これがボタ山を取ることを一手に引き受けまして、そしてもう十年ぐらい前からそれをやっておりますが、この会社が、あの博多駅が高架になりましてりっぱになりましたが、そのときに砂利運びを一手に引き受けて、そのボタ山のボタを博多駅の高架のための砂利に使っております。こういうことでものすごい暴利を得たようでございまして、それで地元の与党の代議士さんの応援も得て、もうかったもんですからほかに手を出した。いわゆる観光事業に手を出した。ところが、この観光事業が思うようにいかずに、数十億の負債を残して倒産しました。その倒産したときに、地元の農協に、この黒瀬という会社が、二億円ものいわゆる焦げつきをつくってしまった。そのために農協長は首になってしまった。警察の手入れするところとなって、出てきたところの農協に渡っております手形を見てみますと、失礼でございますけれども、与党の代議士さんの名前の手形があった。とにかく一人や二人じゃないのです。これは県警本部長の指揮で捜査もあり、会館にも調査に来たというようなうわさが、そういうことも流れております。  いずれにしろ、そういうボタ山一つについても、政治家が裏におってそういうことをやっておるから、そのボタ山はほかの業者には取らせるわけにはいかないという、こういう風評なんです。大体いままでほかに取らせたこともない。極端なことには、その黒瀬観光というのは倒産しました。倒産しました会社が、そのあと個人の名前でそのボタ山をさらに取っております。そういうことについては、法人の登記等も行なわれておりますけれども、ただ名儀が変わっただけです。実際は本人はどこにも町村にもいない人が、実際自分の名前でまたそのボタ山を取っております。このことについてはまた別の機会に詳しくやりたいと思いますけれども、私はこのような政治家が、あのボタ山一つに、いろいろな利権にからんで、そのためにあのボタ山が処理できないというようなことを考えてみますと、世間で言われるようないわゆる黒い霧に隠されて、そうして国鉄の本社としましても、国鉄としましても一切わからない。そういういわゆる国鉄さんが食い荒らされておる、こういうことも、私はただ風評というよりも、現実にそのボタ山を何とか動かしたいと思って、ほかの業者が行っても取れないというのです。その取ることができないという意味は、どこにいってもわからないのです。わかるならば、総裁のところまで行かなければわからないと思うのです。そういうことを私はここで問題にするのではなくて、そのようないわゆる黒い霧に包まれたようなことでは、資産売却も思うようにいかないじゃないか。ということは、ボタ山もいつまでもなくならない。現場のボタ山を見てみますと、黒瀬建設が取っている、取っていないという問題は別でありますけれども、どれだけ取ってどれだけそのボタ山が減ったかというようなことも、現場に行ってみますと、取っても現状は一つも減ってないのです。そのような取り方でございますけれども、そういうことになると、いっそのボタ山が取り除かれて、あと地の利用ができるかわからない、こういうように思いますが、時間がないから私のほうからずっと申し上げましたから、これに対して国鉄総裁の御意見と、それから大臣の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  250. 磯崎叡

    磯崎説明員 私ども詳細存じませんで非常に申しわけございませんが、ボタ山のうちの、何か二種類ございまして、なまのボタと焼けボタと二つあるそうでございます。なまのボタは、私の記憶しているところでは、これは鉱害事業処理公団ですか、何かその事業団がボタ山を処理するということで、初め洞海湾に埋めるというような話があり、その後九州縦貫道に使うというような話があり、結局予算が非常に要るので、予算の計上ができないで、あのなまボタの処理は、確かに鉱害処理事業団がやるようになって、私どもはやらないようになった、こういうふうに記憶いたしております。  いまのは焼けボタと申しますか、一ぺん火の入ったボタのほうの話だと思いますが、あそこにこれを再生しているコンクリート会社、その他練炭会社ですか、それらのほかにいまおっしゃった黒瀬というのが入っているようです。もっと数をふやして焼けボタでもどんどん取ればいいというようなこともいわれているのでありますけれども、私も専門でなくてよくわかりませんが、危険というか、ボタ山がくずれるというような問題があるというふうなこともちょっと聞いております。しかし、これももっと詳しく調べなければわかりませんが、私自身最近耳にした問題でございますので、もう一ぺんよく調べまして、いやしくも黒い霧などということのないように、私は十分気をつけてまいりたいと思います。
  251. 長浜正雄

    ○長浜説明員 数字をちょっと申し上げますと、先生お話しになりましたボタ山は七百五十万立米ありまして、このうちいま総裁の言いましたなまボタが大部分で六百九十万立米、焼けボタで先生がお話しになりました黒瀬何がしあるいはその他二社ばかりございますけれども、それが取っております焼けボタが六十万立米ございますうち、すでに二十万立米取りました。なまボタはさいぜん総裁が言いました鉱害復旧事業団が約百万立米近く取って、あっちこっち詰めてくれておりまして、われわれもこのボタ山を早く撤去して、そうしてその土地が売れればこれに越したことはございませんので、実は先日も先生承知のように、ここに新幹線車両基地を持ってきたらどうだということで、このボタを海に埋めるとか何とかいうことで、地元にもお願いをしたような情勢もございますけれども、これを動かすのになかなか金がかかるということでございますので、われわれとしては地元にもお願いをしまして、地元の三町が一緒になって、県の協力を得て何か事業団のようなものをつくってこのボタを整理してもらう、そしてこの土地を地元が利用してくれる、こういうことが一番いいのじゃないか、非常にフェアなやり方だ、こういうことで方向をきめております。まだ三町ともなかなか軌道に乗ってまいりませんので、そのような状況でございますけれども、われわれとしては、ぜひそういうきれいなやり方をしたい。いままでもそういうことで非常にきれいにやってきたつもりでございまして、この点、御了承願いたいと思います。
  252. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣には最後に答えてもらうことにします。  そうおっしゃいますが、いまのはそのいきさつをずっとおっしゃっただけで、あなたたちは現場を知らないからそういうことを言うのですよ。それじゃ私が三年前に指摘してから、なぜそのボタ山についてのいろんなあと地利用の計画を発表しませんか。事情は述べても、車両基地なんかと言いますが、車両基地はあそこを使わないということは早くから決定しておるじゃないですか。  それから、問題は、黒瀬建設がどういう取り方をしておるか。初めは無料で取っておった。それが問題になって、今度は一立米幾らという単価をきめた。そのときの契約書なんか見てみなさい。だれが見てもこれは明らかに公文書偽造といわれるような書類が、厳然と整理事務所にある。私はそういうことまでここで言いたくない。いまあなたがおっしゃったことも、総裁がおっしゃったことも、私は話は全部聞いております。そういうことを聞いているのではない。なぜ自分たちがあと地を利用して資産売却しなければならない立場まで追い込まれたのか、そのことについてはどう責任を持っておるか。先ほど総裁が確信を持って六十億はやりますと言ったことが、ただことばだけに終わっちゃいけないから、私は念を押しておるわけです。黒瀬建設にしたって、現状としてはどこにもいないのです。そのいないものがずっと引き続きボタを取っておる。ボタが何十万立米あって、どれだけ取ったといいますけれども、それはどういう見方ですか。毎日整理事務所に送られてくる伝票も、どれだけ取りましたという報告だけです。それが実際どれだけ減ったかという確認も何もされておらない。また、全体の量がどれだけある、こう言いますけれども、それは何年間取っても、現状は焼けボタなんか減ったという証拠には一つもならない。結局、適当にやっているということなんだ。だからそういうことでは、いまのやり方でいつボタ山がなくなりますか、こう聞きたい。ですから、私は黒い霧の問題なんか言いましたけれども、これは現実にございますよ。もと運輸大臣までなさった方です。手形もちゃんと持っております、五千万円手形二枚。だれの名前になっているか、そんなことまでここで明らかにする必要はないでしょう。黒い霧がないようにとおっしゃいますけれども——それはないようにしなければならないことはわかり切っております。だけれども、現実にはそういうことがあった。黒瀬建設ほか二社、ほかの業者は絶対取れない。これは大臣、簡単にいってどういうことですか、ほかの業者が取れないということは。
  253. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 事情は、私承知いたしておりませんが、どうしてほかの業者が取れないか、当時の契約の問題もあると思いますが、いずれにせよその問題は、総裁も十分調べて善処したい、そして間違いないようにやっていきたいという話でありますから、その総裁のことばに私も信頼を置きたいと思います。  なお、不動産の処理の問題ですが、先ほど総裁は、初めて公開入札をしたと言っておられますが、これは原則としてやはり公開入札をすることのほうが間違いがないわけであります。ただ、公共団体がそこに県庁なんかの建物を建てるとか学校を建てるとかいう場合は、これはお役所同士でございますから話し合いもけっこうですが、原則としては入札によってきめることのほうが間違いがない。そうすれば、入れている者はこれを入手することもできるだろうと思います。そういう意味におきまして、いわゆる綱紀問題はわれわれも非常にやかましく言っておるところでありますので、今後ともそのような、疑いを差しはさまれるようなやり方は一切しないように厳重に注意してまいりたいと思います。
  254. 田中昭二

    田中(昭)分科員 もう大体時間が迫ってきましたから、あとは要望と残っておる問題に移りますが、総裁、私ここで初めから言いましたように、資産の売却というようなことは、実際問題としてたいへん苦しい問題だろうと思うのです。苦しい問題であるならばあるだけ、現実にその問題について最高の方法で、間違いのないように、そして正確に実行してもらわなければならない。先ほどから志免炭鉱の未処理の部分については、いろいろな計画があるということも聞いておりますから、これは後ほど、書類ででもけっこうでございますから、私にわかりやすいようにひとつ提出してもらいたい。それに対しては、地元の町村、県等もいままで相当の要望をしております。こういう要望に対して、いずれ早急に国鉄のほうと話し合いができますようにお願いしておきたい。  もう一つ、私、最近不用地の問題で思いますことは、赤字線の問題で駅の無人化を進めておられる。この無人化の駅がたいへんさびしい状態になっております。私も九州をずっと回ってみますと、いなかのほうで無人化駅になって、ホームがほんとうにみすぼらしいようなかっこうで、草がぼうばうとはえている。そして、昔国鉄につとめていたおじいさんが一人、切符を売る留守番におります。ああいうもとの駅の鉄道敷地内なり駅前の広場なりの土地は、もう少しよく整理すべきである。ただやめて、やめっぱなしで、いろいろな社会問題が起こるようなことにしておかないで、これは国鉄の責任でもう少しりっぱにすべきではなかろうか。そうすることがさらに収入を生むことにもなりますので、こういうことを提案しておきたいと思います。  最後に、先ほど問題にしました成田空港状況でございますが、きょうの状況を御報告願いたいと思います。
  255. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 最初に、私きょうこちらのほうにおりまして役所に帰りませんでしたので、情報がおくれておりましたことをおわび申し上げます。  そこで、先ほど公団のほうに電話で至急情報連絡させまして、わかりました結果、三つばかり事故がございました。  一つは、十一時三十五分ごろ、ガードマン二名が引き揚げてくる途中で学生十名くらいに接触いたしまして、これになぐられてガードマン二名が負傷した。  それから、十三時五十九分ごろでございますが、公団と少年行動隊が接触いたしまして、少年行動隊三十名ががけの下に落ち、うち一名が負傷して担架で駒井野団結小屋に運ばれた模様である。  さらに、学生七十名が公団分室に向かって突進いたしまして、これが分室のところに参りまして、さくをこわして投石中であるということです。投石されまして、公団の職員が一名、全治十日程度の負傷をしております。  この程度が現在わかっております。
  256. 田中昭二

    田中(昭)分科員 ちょっと要望だけ申し上げておきますが、いま聞きますと、これはたいへん悲しい問題が起こっております。大臣は、絶対犠牲者を出さないということをきのうも言われた。先ほども繰り返しその決意は聞きましたけれども、自分の子供がこういう問題に巻き込まれて、がけから落ちてけがをしたというような場合にどうするか。私は、もう少しあたたかい配慮でこの問題に善処してもらいたいということを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  257. 大野市郎

    大野主査 畑和君。
  258. 畑和

    ○畑分科員 私は、本日、運輸省当局国鉄と鉄建公団に、それぞれ埼玉県の交通の問題についてお尋ねいたします。  私は、実は毎日電車で浦和から通っておる。したがって、そういう鉄道関係の混雑の事情を身をもっていろいろ体験しておる一人といたしまして、埼玉県の交通事情をもっともっと好転させたいという念願からきょうは質問するわけですが、この方面はさっぱりしろうとなんですけれども、私の思いつきの点も含めて申し上げて、ひとつ御所見を承りたいと思います。  一番最初に運輸省当局に質問いたしたいのですが、地下鉄線ですね。六号線と七号線、この二つの問題。六号線のほうは志村のほうから大和町のほうへ延ばして、大和町から東部東上に乗り入れて、相互乗り入れしようというような考えのようであります。この前そういう機会がありましたので、私これを質問したのですが、結局われわれの考えとしては、ぜひ六号線を志村あたりから川を渡って、いまの十七号国道がありますけれども、それに沿ったような形の延伸ができないか、分岐をしてそういうことができないかということなんです。それで、いま志村の高島平ですか、その辺まではできておるのですが、それから先の大和町までの間の工事がまださっぱり進捗しておらぬようでありまして、これを取りやめるわけにもいかぬでしょうが、これを志村のほうから分岐してもらって、十七号国道近辺の混雑の緩和をはかってもらいたいということが一つであります。  それからもう一つ考えは、これはこの前質問する機会がございまして御答弁を得たことがございますが、七号線です。これはもちろん予定でありますけれども、岩渕町まで行く予定になっております。それをさらに埼玉県のほうに延伸をしていただく、こういうことについては、この前も、もちろんそういう考えで、単に東京都内とかなんとかという考えではない、首都圏というのがだんだん大きくなってきておるんだから、したがって地下鉄のほうもそうした立場で、東京都に限らず、近郊の県にも延ばす考えである、そういう答弁を得たことがあります。ところが、その後まだまだその点がさっぱり進捗しておらぬようでありまして、それをさらに延ばすことを早くやってもらいたいということ。  それで、実は私のまことにしろうと考えなんですけれども、こういうことは考えられないか。結局六号線の場合はそういうことで延ばしてもらって、高崎線の上尾あたりで国鉄線と結んで、まあ始発は熊谷あたりにして、熊谷からずっと来て、上尾から国鉄線からはずれて、そして十七号国道の付近に沿って志村までずっと来る、それから東京まで乗り入れ、こういうことにすればよろしいのじゃないか。というのは、結局大宮から以南は、御承知のように朝の通勤が、高崎、東北両線ともに八分間隔でありまして、それが一緒になりますから四分間隔であります。そこへ乗り入ればむずかしいですから、大宮から北であれば、おのおの八分おき、したがって八分おきに地下鉄の線を入れることは可能だというふうに考えて、あえて上尾あたりで入れる、そして熊谷あたりを起点にするというような考えはどうか。  それと、七号線の場合にも同じような考え方でこれを東北線に結ぶ。東北線の久喜あたりでも入れる。そしてこれはまた宇都宮を始発にしてやはり都内に乗り入れる。こういうことであれば、八分間隔ですから、その間に優に入れられるということでございまして、しかも用地の関係等につきましても、ここには建設省呼んでないけれども、どうしてもなかなか取得がむずかしいということであれば、十七号よりも荒川寄りのほうにいま新大宮バイパスというのがある。それがまん中があいているわけです。あいて、将来は二階建てにして、その上を高速道路を走らせるという構想で、建設省の先の構想はそういうことだそうだが、いつになるかさっぱりわからぬというようなこともあるので、そこのまん中のあき地を使えないかという思いつき。それと同時に、今度は東北線のほうは、やはり同じように、県境から、鳩ケ谷あたりから少なくとも岩槻、大宮あたりまで、何という道路か忘れましたが、これまた両方とも間があいている二つの往復の道路があるわけです。その間に相当あき地がありますから、これもおそらくそういうふうにする考えで建設省が考えておるのかもしれないが、どうしても用地がなければそれを使うということは、用地の問題について相当解決にもなる、こういうように考えているのです。  以上が、私のほんとうにしろうと考え考え考え方なんですが、問題は、要するに六号線と七号線——七号線が入ることはこの前も答弁を得たのですが、六号線は大和町のほうへ行ってしまうのですから。ただ大和町のほうについては、何か八号線——この図面を私この間いただいたのですが、八号線が分岐して成増へ行くような図面になっておるのです。そうすると、東武東上に、成増へ八号線も行くし、それからいま言った六号線も行くということでございまして、乗り入れするとすれば二つとも乗り入れるということになる。したがって六号線を志村から分岐させる、あるいは大和町のほうを、これもひとしく埼玉県ですからやめるわけにもいかぬだろうが、これを分岐でもさしてやっていただくことができないかという考えです。この考えについてひとつ御批判願って、いろいろ専門的な御意見もあろうと思いますが、こういうことでなかなか解決困難なんだといったような問題等もありましたら指摘していただいて、ひとつ御意見を述べていただきたい、かように思います。
  259. 山口真弘

    山口(真)政府委員 まず地下鉄六号線の問題でございますが、現在これは巣鴨——高島平間が四十二年十二月に開業いたしております。現在三田——巣鴨間を施工中でございまして、さらに巣鴨——日比谷間は四十七年の三月、日比谷−三田間は四十七年十二月の完成予定ということで工事を進めております。なお、同線に接続いたします大和町−高島平間は、一応東武鉄道がこれを建設するということで計画をしております。  それから七号線でございますが、七号線につきましては、東京都及び交通営団両者から建設についての免許申請が出されております。これはまだ処理をしておりません。こういう段階でございます。  ところで、この両線に関しまする埼玉県方面への延伸でございますが、これは前に、四十三年の四月に都市交通審議会の中間答申というのがございまして、それで七号線は赤羽から埼玉方面への延伸を検討すべきであるということにいたしておりまして、それから六号線につきましては、まだその当時はそういう議論はございませんでしたが、これはただいま先生御指摘になりましたようないろいろな問題がございます。そこで、現在都市交通審議会を開いておりまして、その都市交通審議会では、昭和六十年目標の東京交通圏の都市高速鉄道整備、その一環として埼玉県方面への延伸をどうするかということを、いま東京圏小委員会で御検討をお願いをいたしております。この小委員会におきましていろいろ検討の上結論を出してまいりたい、このように考えております。  ただ、先生御指摘の問題につきましては、いずれにいたしましてもそういう都市交通審議会の場におきましていろいろな意見が戦わされまして、その上で決定をされるということに相なるかと思います。それに対しまして若干御説明申し上げますと、確かに先生御指摘のように、現在の六号線の先のほうでございますが、高島平から埼玉県方面はちょうど鉄道のブランク地帯でございまして、この地帯に延びていくということもまた十分考慮しなければならぬ問題じゃないかということで、小委員会でもその点は十分議論をするということになっております。それから七号線につきましては、これは埼玉県方面への延伸を考慮するという当時の答申でございますから、今度はそれの具体的な方面として、どちらのほうへ延ばしていったほうがよろしいかということを検討するということに相なるかと思います。  それから、御指摘の第二点でございますが、地下鉄の線路と道路の用地というものと共用をはかりまして、そして地下鉄建設の促進をする、鉄道建設を促進するということにつきましては、これは全く御指摘のとおりでございます。そういうような条件が整った場合には、積極的にそういう措置をとりまして、用地問題を解決するということに私ども考えております。具体的な問題の点でございますから、どこがそういう条件に当てはまるかということはいろいろ問題がございますが、基本的には先生のおっしゃるようなことを考えております。  それからもう一点、非常に大きな問題は、これを延ばしていった場合に、国鉄線なりあるいは私鉄の線なり、つまり既設の鉄道への直通運転の問題でございますが、問題はいろいろございまして、現在運輸省では国鉄、地下鉄の直通乗り入れということをむしろ推進をいたしておりますが、ただ、どういう地点で乗り入れをすることが合理的かというような問題がございまして、あまり郊外の先のほうへ乗り入れをいたしますと、乗り入れしてからはむしろ緩行運転になりますから、したがいまして、その間時間がよけいかかるということで乗り入れの効果が発揮できない。比較的都心に近いところで乗り入れをする場合には、途中まで急行運転できます。そしてそれから緩行運転になるということで、都心部への到着時間というものが早くなるということも考えられるわけであります。そういったようないろいろな問題につきまして、今後都市交通審議会先生の御指摘等十分参考にしていただきまして、検討してまいりたいと思います。
  260. 磯崎叡

    磯崎説明員 私、国鉄総裁ですけれども、いま先生のおっしゃったことは、実は私はかねがねそういう持論でございまして、御承知のとおり、実は高崎線と東北線は完全に飽和状態でございます。昨年十五両編成に電車を長くいたしましたけれども、御承知のように上野の駅が終点になりますので、その能力の問題もございます。上野駅も七十億ほどかけましてホームをふやしましたが、まだもう一面ホームをふやしまして、それでも将来伸びてまいります高崎線、東北線の輸送力にはとても追いつかないということで、私はかねがね赤羽−大宮間の三本の複線化ができてしまったら、それ以上国鉄線をいじることはむだだ、非常に金がかかる、だからいまの六号線と七号線を何とか埼玉県まで延ばすべきだということを申しておったわけでございます。それをいみじくも先生がおっしゃいまして、私は非常にわが意を得たりと思っているわけであります。  今度、四月二十日から九号線がうちの常磐線の我孫子まで乗り入れる予定でございます。地下鉄が私のほうへ長距離乗り入れするのは初めてでございます。いま先生のおっしゃいました熊谷以遠、籠原に電車の基地がありますので、籠原以遠がちょっとすいております。したがって熊谷以遠で乗り入れられる。国鉄の熊谷から先で地下鉄が入っていくあるいは久喜の先くらいで入っていくということで、いま鉄監局長が言われたように、どうも都心近くではちょっと入れないだろうと私は思うのです。ですからもし思い切って埼玉県で国鉄に乗り入れられるならば、熊谷でちょっと段がつきますから、段がついた先の輸送力の多少余裕のあるところで乗り入れすべきじゃないかというふうに思っております。それをいま我孫子方式、千葉でやっております。御承知のように五号線を船橋まで乗り入れて、これが津田沼までときどき参りますが、そういうような方向で、地下鉄をある地点から国鉄に乗り入れてできるだけ都心に直通する、それによって私どもは上野の駅の緩和ができるというメリットもございます。将来上越新幹線あるいは東北新幹線ができまして約三十本くらい急行が減ると思いますが、高崎線、東北線から減りましても、やはりその時点における輸送力を考えますと、まだ足りないというふうに思います。やはりいま先生がおっしゃったような遠大な計画を立てまして、都市交通と近郊交通とを一緒にするということを考えていく必要があると思います。私どものほうもそういう筋合いでもって勉強をしてまいりたいというふうに思っております。
  261. 畑和

    ○畑分科員 全くのしろうと考えが、たまたま専門の皆さん方の考えと大体合っていたということで、私も実は気持ちがいいのですが、何としても埼玉県も人口がすぐ四百万になります。六十年の見通しで六百万をこえるというようなことになるわけで、そうなると、いまのうちからよほど先を見越して考えないと、どうにもならないということになると思います。この間複々線は大宮までなったわけですが、一時たいへん混雑緩和になったことは間違いない。浦和にもホームを一つつくりましたので浦和にとまるということになりまして、通勤は、朝のラッシュにはあれで国電が非常に楽になりました。その点は確かに大いに効果があった。ただ、浦和だけしかホームがないですから、あれをほかにもふやすことができるかどうか、その点が問題だと思います。  それと同時に、私は国鉄のほうに検討してもらいたいと思いますのは、実はせっかくホームが一つできたのでありますけれども、将来は考えてもらえるかもしれぬが、いまのところ朝、夜の通勤列車だけがそのホームを利用するということになっていて、朝は九時三十六分が一番最後で、急行一本しか浦和にとまらぬです。しかもそれが最後です。あとは閉鎖してしまいまして、なわを張ってしまって夕方また再開をする。もうきょうは夕方何時までこのホームは使いません、こういうわけでもったいない話だ。そういう点で何が隘路かわかりませんが、ちょっととまって一分くらい停車するくらいだったら、そうたいした時間はかからぬと思うのです。ですから朝の通勤列車以外に、その後ももっと普通のときにもとまるようにしてもらいたい。普通のあれは大体急行かもしれませんが、その間は急行でもとまればだいぶ楽になります。もっとも最近は急行がみんな指定になっちゃって、あれがだいぶ不便です。どうもあまり評判がよくないのです。グリーン車の場合ですが、グリーン車以外はそうでもないでしょうが、グリーン車以外に乗る人がたくさんおるのですから、そういう点でせっかくホームができたのでありますから、それを検討して早く実施してもらいたい。要員の関係とすぐ言われるだろうと思うのです。しかし、浦和の駅あたりは要員は何とかあれするというくらいの考えでおられるようですから、少し労働強化になるかもしれませんけれども、要員は適当に配置してもらって、だいぶ国鉄も整理しようという考えだから、そういうところに回せばいいのでありまして、そういう点でひとつ御検討願えないか、それをもう一つ聞きたいと思います。
  262. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 朝夕のラッシュ時間以外に昼間も——国鉄では中距離電車といっておるのでありますが、その電車を浦和にとめる、こういう御要望が非常に強いこと前から承っております。これにつきましては、ホームはなるほどございますけれども特急、急行と同じ線路を走っておるので、そこに朝夕以外にとめて列車を入れますと、特急、急行の時分がどうしてもよけいかかるというような状況なのでございまして、それを朝夕のラッシュ時間以外にとめるということは、非常に困難であるというのが現在の状況なんでございます。御承知のように、特急、急行というものは朝はほとんどございませんし、夕方も非常に少ない。そういうことで、この間の線路施設、線路容量、こういうことで非常に現在の時点では困難だと思います。
  263. 畑和

    ○畑分科員 そこで大体、急行、特急がその間の時間帯だと思います。朝晩はあまりないように組んでおる、そういうことだと思うのです。ところで急行でもとめてもらっていいんじゃないでしょうか。せっかくホームがあるんですから。浦和は県庁所在地ですから、いろいろな点でそこへ集まってくる人が多いのですから、その間もっと急行をとめてもらいたい。ただ一本しかない。朝夕の通勤の緩和というだけでは私はもったいないと思うのです。その間ちょいととめるだけでいいんだ。大宮でとまってすぐ浦和でとめるのは、とまったばかりでまたとまるというめんどうはあるかもしれませんけれども、それが行政というもので、ちょいととめてもらいたい、こういうことなんですが、いまの答弁だと、急行一本だけしか、朝九時三十六分というやつが東京駅に行くだけで、あとはとまらぬということなんですが、これは何とかならぬですか、いまだめだという話ですが。
  264. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 御要望はよくわかるのでございますけれども、中距離電車の大宮以遠のお客さんのほうは、なるべく早く直通で東京のほうに行きたい。中間のほうは京浜東北線という電車のつなぎがございまして、そういう使命を分けて使うことが非常にいいんじゃないかという観点から申し上げておるわけでございます。御要望の点につきましては、もちろん検討しなければならない問題と思いますけれども、なかなか現状では困難でございます。
  265. 畑和

    ○畑分科員 それはひとつ困難でも検討してくださいよ。  それから、最後に武蔵野線ですね。鉄建公団でやっておりますが、武蔵野線の建設状況、いつごろこれが完成する見通しか。武蔵野東線、西線いずれも大体でき上がっている。あと南線ですか、これがまだ買収等で完全には終わっていないようでありますが、これがいつごろ完成するかという点をひとつ伺いたい。
  266. 山口真弘

    山口(真)政府委員 武蔵野線の小金−小倉間九十六キロでございますが、その中の東線は小金−浦和間四十キロでございます。これにつきましては全区間の用地買収が終わりまして、路盤工事につきましても、一月末現在で約二十九・六キロメートルが竣工いたしておりまして、その竣工率も七四%くらいに達しております。それから路盤の竣工区間につきましては、軌道敷設工事も完了いたしております。それから西線でございますが、これは浦和−稲城間約三十三キロメートルでございますが、これにつきましても用地買収はほとんど終了いたしまして、路盤工事も全区間の四七%に当たります十五・三キロメートルが竣工して、現在残区間を工事進行中であります。それから南線でございますが、これは稲城−小倉間二十三キロメートルでございますが、同区間の四三%に当たる用地が買収済みでございます。この区間が一番おくれておりまして、目下残区間の用地買収を行ない、それとともに路盤工事を施工中でございます。なおこの線の完成時期は、四十七年を予定いたしております。
  267. 畑和

    ○畑分科員 四十七年の終わりですか。
  268. 山口真弘

    山口(真)政府委員 一応四十七年度ということでございまして、できるだけ早く完成いたしたいと思います。
  269. 畑和

    ○畑分科員 この武蔵野線にも県民は相当期待しておるわけです。放射線ばかりありまして、回りの環状がない。そういう点で、ずいぶん前から埼玉県議会あたりでも決議し、私が県会議員当時だから十何年前ですが、その当時、京葉鉄道とかいうような名前で千葉と——ちょっと忘れましたが、そういう名前でやったのが、たまたま国鉄のほうの関係貨物輸送ということを中心としてこういう案が出た。それにちょうど合ったわけです。しかし運輸省あるいは国鉄等は、貨物輸送中心である、そこに人も入れる、こういうことになったようでありますが、営業開始いたしますと、大体どのくらいの割合で電車が入ることになりますか。貨物との割合は何本という……。
  270. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この武蔵野線の使命は、東京付近の貨物輸送の抜本的な解決ということを目ざして着工いたしたものでございまして、主としては貨物線の合理化、貨物輸送の合理化ということを目的といたしますが、埼玉県、千葉県等におきます都市化の様相も非常に大きいわけでございますので、旅客もかなり入れるということにいたしておりますが、具体的なダイヤ等にわたることでございますので、現在まだ検討中でございます。
  271. 畑和

    ○畑分科員 時間が来ますから、これで終わりますが、ちょっと聞き忘れたのですが、総裁、上野から東京へずっと直通には行かぬものですか。どうも乗りかえがたいへんなんです。話を聞くと、線が一本しかないので往復にならぬ。しかしそうすれば、東京の先へそのまま少なくとも何本かは入れることができる、こう思うのです。一本だけ、東京より先から通勤列車が来て、東京を通って浦和、大宮のほうに行くのが夕方あるようです。とにかく線路があることは間違いないが、おそらく線路の数が少ない、あるいはふさがっている、こういうことだと思いますが、その辺は何とか解決できないでしょうか。
  272. 長浜正雄

    ○長浜説明員 上野と東京間は、電車線のほかに、そういう通過するための線路はあることはあるのでございますけれども、引き揚げ線とかあるいは回送とかあるいは秋葉原への貨物、いろいろなことに使われておりまして、線が一本しかございませんので、相当多くの列車を直通するというわけに現在のところはまいりませんが、若干の列車は、いま東京始発東北行きあるいは東京始発上越行きというのはつくっておるわけでございます。しかし、将来はそういうことも考慮しなければなるまいと考えておりますけれども、相当金もかかることでございますので検討させていただきたい、こう思います。
  273. 畑和

    ○畑分科員 相当金がかかると思うけれども、ひとつやってください。そうすれば、えらい混雑緩和になります。上野駅をいろいろやっていてくれているようですか、相当これも金がかかっている。しかし、それをやれば、たとえそれほど金をかけないでも、まっすぐ行くやつができれば非常に好転すると思います。そういう意味で、ひとつそれの促進もやっていただきたいということを最後にお願いして終わります。
  274. 大野市郎

    大野主査 次回は、明二十五日午前十時より開会し、運輸省所管を審査することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十分散会