運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-02-20 第65回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十日(土曜日)     午前十時四分開議  出席分科員    主査 大野 市郎君       大村 襄治君    細田 吉藏君       中谷 鉄也君    安井 吉典君       坂井 弘一君    兼務 大原  亨君 兼務 田中 武夫君    兼務 楢崎弥之助君 兼務 岡本 富夫君    兼務 岡沢 完治君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         郵 政 大 臣 井出一太郎出席政府委員         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         外務省条約局外         務参事官    山崎 敏夫君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         水産庁長官   大和田啓気君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸大臣官房会         計課長     高橋 全吉君         運輸大臣官房観         光部長     住田 俊一君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁長官 手塚 良成君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  分科員外出席者         経済企画庁国民         生活局水質公害         課長      白井 和徳君         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正男君     ————————————— 分科員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     細谷 治嘉君 同日  第一分科員岡沢完治君、第二分科員田中武夫君、  楢崎弥之助君、第三分科員大原亨君及び第四分  科員岡本富夫君が本分科兼務となつた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算運輸省及び郵政  省所管  昭和四十六年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十六年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、運輸省所管並びに昭和四十六年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道関係を議題といたします。  まず説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  3. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 昭和四十六年度の運輸省関係予算について、御説明申し上げます。  初めに、予算規模について申し上げます。     〔主査退席大村主査代理着席〕  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は七億八千五百五十六万七千円、歳出予算総額は、他省所管計上分二百九十六億七千百十五万一千円を含み二千七百六十九億九千七百三十四万六千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、七百七億四千二百九十四万八千円の増加となっており、三四・四%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では、四百九十五億九千二百二十三万一千円、公共事業費では二百十一億五千七十一万七千円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は、四億四千六百八十八万円であり、前年度に比較して百五万九千円の減少となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予算額は、三千八百五十三億九千二百三万九千円であり、前年度に比較して六百三十八億二千五百二万四千円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は、一千二百八十八億三千四百二十万四千円であり、新港湾整備五カ年計画の第一年度として港湾整備推進するため、前年度に比較して二百十一億二千百七十万一千円の増加となっております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は、七十二億六千三百五十二万七千円であり、前年度に比較して十三億八百五十二万七千円の増加となっております。  空港整備特別会計歳入歳出予算額は、三百二十八億六千八百八十二万八千円であり、新空港整備五カ年計画の第一年度として空港整備推進するため、前年度に比較して百四十三億九千七百二十九万四千円の増加となっております。  このほか、昭和四十六年度財政投融資計画中には当省関係分として一兆百三十三億七千万円が予定されております。  昭和四十六年度予算におきましては、当省は、次の諸施策重点を置いて運輸行政推進いたしたいと考えております。  第一に、今後ますます増大する輸送需要に対処し、かつ、一九七〇年代の高密度社会において、国土の最高度有効利用をはかるため、新幹線鉄道拠点港湾及び空港整備を中心とした総合交通政策を展開することとしております。すなわち、全国新幹線鉄道等幹線鉄道網整備、新港湾整備五カ年計画策定とその推進、新空港整備五カ年計画策定とその推進等をはかることにより総合的視野に立って交通関係社会資本整備充実するとともに、物的流通近代化大都市交通対策強化地域開発推進地域交通対策推進国民観光対策推進等をはかることにより国民に対する運輸サービス改善につとめる所存であります。  第二に、交通事故の多発を防止し、かつ、排気ガス騒音等による交通公害増大を防止するとともに、台風、豪雨等自然災害による被害を最小限度にとどめるため、巡視船艇及び航空機の整備海上公害監視センター設置等による海上保安業務充実強化気象観測網整備大気汚染気象センター設置等による気象業務充実強化をはじめとする諸般措置を講ずることにより、海、陸、空にわたる安全対策公害対策及び防災対策の強力な推進をはかり、事故公害のない安全で快適な国民生活の実現につとめる所存であります。  第三に、海運、航空等国際競争場裏に進出する事業経営基盤強化し、貿易物資安定供給航権確保等をはかるとともに、経済国際化に対処し、国際協力推進をはかる所存であります。  また、国際観光につきましては、海外広報宣伝活動強化外客受け入れ体制整備をさらに強化したい考えであります。  以上のほか、運輸関係技術開発推進海洋開発推進等をはかる所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。  近年における国鉄財政の悪化の状況にかんがみ、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法により、国においては、昭和四十四年度以降十カ年間を再建期間とする日本国有鉄道財政再建に関する基本方針策定し、種々の施策を講じてきたところであり、また、国鉄においても日本国有鉄道財政再建に関する経営基本的な計画に基づき、増収確保経営合理化近代化等再建施策を鋭意実施中であります。それにもかかわらず四十六年度においては、さらにその経営は悪化し、このまま推移すれば、償却前欠損を生ずることも予想されるに至りました。  政府といたしましては、このような緊急事態に対処するため、昭和四十六年度の予算編成にあたりまして、損益勘定におきましては、日本国有鉄道財政再建補助金補助率拡大を行なうことといたしまして、同補助金二百二十九億余円、日本国有鉄道財政再建利子補給金六十二億余円等を含め、収入支出予算一兆二千五百二十七億円を計上し、資本勘定におきまして、一般会計からの出資三十五億円、財政投融資四千二百七十四億円を含め、収入支出予算六千四百七十一億円を計上し、工事勘定におきまして、収入支出予算三千八百五十八億円を計上いたしまして、山陽新幹線及び東北新幹線の建設、大都市通勤輸送改善主要幹線輸送力増強保安及び公害対策強化、諸設備の合理化近代化等推進してまいりたいと考えております。  なお、一般会計に新たに日本国有鉄道合理化促進特別交付金十六億円を計上いたしまして、日本国有鉄道合理化施策促進をはかることといたしております。  これらの施策とあわせて国鉄みずからの増収努力近代化合理化等による人件費節減等により、当面の危機を乗り切るとともに、さらに国鉄財政再建対策につきましては、今後関係各方面の協力を得て強力な施策を講じたいと考えております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十六年度運輸省予算説明及び昭和四十六年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして昭和四十六年度の運輸省関係予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 大村襄治

    大村主査代理 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 大村襄治

    大村主査代理 質疑に先立ち、念のため申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。大野市郎君。
  6. 大野市郎

    大野(市)分科員 今日、国鉄公共性独立採算制ということがしきりに二律背反であるということで、部内においても動揺の色が隠せませんし、また世間的にもその帰趨はどちらがバランスの上で基本であろうかという点に対しても、混乱が起きておるようであります。私は質問に立ちますにあたっては、もとより運輸省におかれまして、わが国国鉄財政再建に対しては基本方針を立てておられることを知っておるわけであります。何しろ時間が限られておりますので、四十五年九月十日に運輸省が御発表になった「国鉄財政再建について」のプリントをいただいておりますので、そのうちでこれが基本だということを簡単に確認をいたしてまいりたいと思います。  まず第一に、国鉄財政が今日の破局に至った最大の原因は、わが国高度経済成長に伴っていろいろ輸送構造が変わったのに、旧態依然たる輸送を維持しておるところにこの原因があるという指摘をされております。そこで、将来の長期的観点から総合交通体系を確立するのが急務だ、こういう御観点で、総合交通体系の中における国鉄の位置を、鉄道特性からこの分野を引き出されまして、すなわち、大量、迅速、低廉、安全、こういうような特性鉄道そのもの特性であるから、この観点からして、都市間の旅客輸送、中長距離大量貨物輸送大都市間の通勤旅客輸送、この三分野根幹であろう、こういう観点諸般施策考えるという御趣旨のようにこれから拝見をいたします。したがって「今後の国鉄の主たる使命を、基幹的輸送線区における三分野輸送に限定し、」とまずきめられまして、この限定された部分に対しての「合理化サービスの向上、輸送力増強を図るとともに、他方その他の輸送、主として地方的輸送は、国鉄責任分野から漸次他に切り換え、または他の輸送手段に転換することが必要である。」というのが、九月に起案をされた運輸省のお考えと承知しておりますが、これは今日も変わりませんか、運輸大臣に承りたい。
  7. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いまお読みになった方針には変わりありません。
  8. 大野市郎

    大野(市)分科員 そこで、私はそのような形でいきますときに、昭和四十五年十二月二十一日に国鉄諮問委員会が「国鉄経営をいかにすべきか」と意見書を発表しておられますが、この意見書の一〇ぺ−ジに、「経営基盤強化のために政府措置を要する」ものとしてあげられたものに、簡明に対策要求政府側に出ておりますが、その一つは「国における総合交通体系の確立と各交通機関競争条件均衡化(2)鉄道独占時代の遺物である各種公共負担の是正(3)自立経営が可能となるよう政府出資、過去債務の負担軽減措置及び長期低利資金拡大などについて、政府の強力な措置がなくてはならない。」と意見書を出しておられますが、国鉄総裁は、これは今日も変わりはないか、方針について変わりがないかどうか、お伺いいたします。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまお読み上げになりましたのは、私どもの諮問委員会意見書でございます。これをどういうふうに取り入れるか、いまいろいろ勉強中でございますけれども、考え方としては、こういう考え方が本筋であろうというふうに思っております。
  10. 大野市郎

    大野(市)分科員 そこで私は、ちょっと変わった話題を申し上げたいのでありますが、先ほど冒頭に公共性独立採算制の混淆のために非常に混乱が起きておるということを申し上げましたが、国鉄PR雑誌であります「R」一九七一年一月号に、磯崎総裁女優さんの入江若葉さんと「将来にビジョンをもって」という対談をしておられるのがたまたま手に入った。これを見ますと、この女優さんの入江さんは、「国鉄というから国からお金が出ているんだと思ってたら、そうなったのはごく最近のことなんですってね。」「ええ、そうですよ。」と総裁は答えておられる。しかもごくわずかです。いまの三兆円という国鉄資産も、みんな乗ってくださったお客の運賃からの集積で、税金から回ったものでも何でもないんです。せいぜいホテルとか、駐車場とか、貨物の倉庫くらいのものに手を伸ばして「野放図にやったらやっぱり民業圧迫になるでしょうから、一定の限界をきめて何か商売をしたいと思っています。むろん国鉄の赤字を全部埋めるなんてことはできませんけれども、とにかくそういう姿勢をとりたいわけです。」というインタビューの記事が載っておりますが、これは間違いございませんか。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 少しお飛ばしになったようにも思いますが、そのことについて入江女史インタビューしたことは間違いございません。
  12. 大野市郎

    大野(市)分科員 そこで、やはり運輸関係専門紙でございますが、名前は省略いたしますが、運輸省の某参事官出席をされ、あるいは国鉄OB権威者の角本さんなんかも出られた座談会が、その新聞に連載されている。その中で、常磐炭砿が炭鉱の不況のためにもはや廃業寸前のような状況になっておる。ほんとうにお気の毒なことである。このときにあたって常磐炭砿職員の諸君の奮起のしかたというものはけなげなものであった。とにかく職員の大事なお嬢さんを、この一機を逸してはほんとうに生きる道を失うというので、その大事なお嬢さん方フラダンス本格練習場まで差し出して訓練をして今日のハワイアンセンターを築き上げて、そのイメージチェンジに成功した。国鉄もまたそれだけの精神でなければならぬ。これは精神をいわれたに違いないのでありますが、こういうような座談会業界紙の、しかも先ほど申し述べたような方々の参加する座談会に出てきたのです。精神論として一朝事あるときに難儀しなければならぬという気持ちはとうといけれども、私企業公企業とのけじめというものに対して、これだけ国鉄に、運輸という国家的仕事に御理解のあるグループの座談会においてさえも、そのような信念で、お嬢さん——フラダンスがとうとい、卑しいというのじゃありませんけれども、社会の通念としては裸で踊らなければならぬから、自分お嬢さんをするかといわれたら、ちょっと二の足を踏む形でございますから、職業に区別はないが、私はあえて申す、そういう形で、その精神でというのはわかるけれども、引き合いの出し方が極端過ぎて、私企業公企業の差別を、その座談会の中の雰囲気でもはや混淆しているという印象が私に深く残っている。こういうことで、一国の社会経済根幹をなすところの運輸中核体である国鉄が迷ったらどうなるか。実は、前向きのあるべき姿はそうじゃないんだ、公共性というものを考えたならば、国鉄の生きる道というものは、そういうような職員の御家族までも道連れにしてという考え方などは、一つの例にすぎなかったかもしらぬが、たいへんな間違いだというふうに私は考える。そこで、そんなふうに理解のある運輸関係者までがこんとんとしておるとするならば、いまの女優さんだってそうなんだ。国のものだと思ったら国のものではないのだという印象でこのインタビューが行なわれた。一体国鉄は国の機関でないんだろうかという疑問を、これを読んだ人は持ったかもしれません。  そこで、さらにあなたのほうの昭和四十二年に出された当時の経理課長石川達二郎著作の、これは肩書き入りで発行されておるものです、「国鉄その財政的構想」というのを通読した。この中に同じくこの問題に対する深刻な悩みが出ておる。この著作によって、これは非常に詳細に明治以来の歴史が載っておる。国鉄悩みを本格的に取り上げて、国鉄の本来の生きる道というものを前向きに立てるべきものでないか、私はこういう感想を持ったのです。今日の質問もその着想なんです。そしてこの中で訴えておられることは、後ほどまたそれらの諸論については時間があれば触れたいと思いますが、要するに国鉄明治の初年以来、国の費用で——最初は、だれかが金を出さなければ鉄道のレールが敷けません。そういう形で運賃収入があがるので、それによってさらに新線を建設するという形で、雪だるまのように国鉄資産もふえ、輸送経路増大をしていったのは、事実であります。しかもその当時には、収益が出れば一般会計に返すのだという原則が貫かれてきた、そういう国鉄歴史にかんがみまして、それがたまたま、その間いろいろの変遷もございますけれども、間を省略して、国鉄利益及び損失の処理に関して法律改正昭和二十八年に至って行なわれた。二十八年に法律改正せられまして、要するに、もうかったものは一般会計に納めないでいいかわりに、全部国鉄そのものに積み立てておけ、こういうような形でいったのでありますが、当時は利益が出ておったので、あるいは国会議員国鉄の御当局もこれをお気づきにならなかったのかもしらぬが、このときにまず混乱の第一の原因があったと思う。しかもそのときの植田政府委員、二十八年七月八日衆議院運輸委員会における速記録に載っておりますが、これは最初にちゃんと書いてある。つまりできるだけ独立採算制の本旨にもとることのないよう、経営意欲の減退を引き起こさないようにこの制度をやるのだから。そうかといって能率的運営をやってもらう範囲においてどうしてもうまくいかぬという面につきましては、政府といたしましては資金の面その他におきまして極力応援するという心がまえでおることはもちろんであります。こういう趣旨事柄政府委員の公式の発言として記録になっておるわけであります。これを石川君は、何としてもこの改正自分は疑問に思う。深刻な、良心的な、国鉄法からいわゆる損失補償制度の削除されたことに対して疑問を感じておる。しかし、綱が切れたのではない。政府答弁にもあるとおりにめんどうを見ましょうという答弁づきなんです。こういうような点に対しての、再建策に対する論争点というもののとうとい芽というものは、私はちゃんとあると思う。きょう時間がないので、これらの議論をきょうはいたしません。そういう事実があるということをまず申し上げる。  そこで、私は国鉄とは一体何だろうという素朴な疑問を持ってみた。運輸大臣国鉄法人格をもちろん持っておりますが、その法人格はどんなものでありましょう。
  13. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 法律的にはまた関係政府委員から答弁させますが、われわれ常識的にいうならば、いわゆる公企業体、国のいわゆる外郭団体である、かように理解しております。
  14. 大野市郎

    大野(市)分科員 時間の節約で、これは日本国有鉄道法第二条に、法人格が規定してございます。一問一答いたしますと時間がなくなりますので、その煩瑣を省略して、私からその部分を読ませていただきますが、第二条「日本国有鉄道は、公法上の法人とする。」かように書いておりまして、「日本国有鉄道は、民法第三十五条又は商事会社その他の社団に関する商法の規定に定める商事会社ではない。」と、明らかに公法上の法人性格の一例を法文そのものの中で出しておるのであります。しからば、政府委員でけっこうでございますが、公法上の法人というものを簡明に御説明をいただきたい。
  15. 山口真弘

    山口(真)政府委員 この法律公法上の法人ということばを使いましたのは、私法上の法人、私法人ということに対することばでございまして、その場合の公法上の法人という意味は、その目的国家によって与えられている。したがって、その目的に基づくところの仕事範囲仕事のやり方というものも、国家によって規制をされておるという意味で、これは公法上の法人とされたものでございます。
  16. 大野市郎

    大野(市)分科員 そのとおりであろうと思います。その目的国家から与えられ、本来国家が行なうべき事務国家にかわって自己の事務としてこれを行なうものであって、都道府県、市町村などの地方自治体あるいはその他の公団、公庫なども、この公法上の法人であるとされておることは明らかであります。といたしますと、国有鉄道公共性独立採算制二律背反にハムレットのように悩んでおるということでありますけれども、どうしてそのような混乱が起きたのでありましょうか。私は、時間の都合上、自分意見を述べて、間違いかどうかを確かめたい。独立採算制ということは、先ほど読み上げました昭和二十八年の法律改正のときに、利益並びに損失の処分に関して説明ことばが出てまいりますが、これは私企業、私の企業の中においても独立採算制という事柄は通用するのです。独立採算制という事柄は、その仕事能率があがるか、あがらないかを判断するものさしにすぎないのです、手段なのです。公法人公法上の法人であるための公共性というものが目的なのです。独立採算制手段にすぎないと解釈いたしますが、そうではないでしょうか。運輸大臣はいかがにお考えでしょうか。
  17. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ことばの上で手段と申し上げるかどうか問題がありましょうけれども、ただ公共的な事業というと、必ずしも国鉄——交通機関でいえば、国鉄だけではありません。私鉄といえども、事業性格からいえば、公共的事業であります。要するに公共的事業というものは、社会的諸制約によってこの企業活動がある程度制約される、こういうことを意味します。したがって、いわゆる私鉄に関しましても、あるいは大規模のバスに関しましても、これの料金決定政府でこれを行なう、こういう性格を持っておるわけであります。ですから、公共性というものは、公共企業体であるとか私企業体であるということは問いません。それはその事業性格によって公共性がある、たとえば新聞公共性がある。したがって、事業税が免除されておる。あるいはNHKとか民放におきましても、これも同様に事業税民放においては免除されている。ですから、公企業体ということと公企業的事業というものは意味が少し違ってまいります。  そこで独立採算制との関係ですが、もちろんこれは完全な意味での独立採算制国鉄あるいはそれに類似した企業体に対してこれを厳格にしいておるわけではありませんことは、四十五年あるいは四十六年度の予算を見ても、国の一般会計から繰り入れをしておる。ただ、大野さんのおっしゃりたいことは、先ほどの引例から見ましても、そういう欠損があった場合は、原則的に国が見たらいいじゃないか。そうして、いわゆる独立採算制という強いワクをゆるめたらいいのじゃないかということだろうと思います。もちろん先ほど申しましたように、国の政治、社会等の政策からして、ある程度一定料金、たとえば公共割引等もあります。通学通勤等の割引もある。こういう性格を与えられておるのでありますから、したがって完全なる独立採算制はなかなかむずかしいことは、おっしゃるとおりであります。ただ、かって独占時代あるいはほとんど独占に近かった時代においては、いわゆる競争原理が働いておりませんから、したがって相当の増益をあげた。旅客収入、貨物収入等においても、いわゆる採算がとり得た。ところが、先ほど申しましたような一つの理由と、もう一つは道路等の発達のために、いわゆる独占的な立場を失いつつある。いや、もうすでに失ってしまっておる。競争原理に立たされておる。こういう意味において、いわゆる完全なる独立採算制というものはできないのではありますけれども、公企業といえども、私企業といえども、やはり経営上の一つの目標としては、そういうところにワクを置く。それを置かなければ、親方日の丸であって、いわゆる損失もどんどん一般会計から繰り入れるのだということは、結局国民に対して迷惑をかけるということになるわけであります。やはり国民の税金によって一般会計はできておるのですから、そういう意味において、おっしゃるように一つの目安として独立採算制は必要である。その中において企業努力を行なわしめる、こういうようにわれわれは理解し、そのように指導し、監督をしておる、こういう意味であります。
  18. 大野市郎

    大野(市)分科員 運輸大臣のお考えは私も同感、そのとおりだろうと思います。  ただ、一点違いますのは、私鉄にも公共性があるという意味合いの公共性はよく理解ができるのですが、国鉄法律によって目的が定められておりまして、その中で能率的な運営という手段によってこれを発展せしめ、公共の福祉を増進することを目的としておるのでありますから、私企業における公共の一般的目標よりも、全部公共の福祉を増進することを目的としておると読むのが、法律解釈であろうと私は思う。これは論争いたしません。たぶん御同感だろうと思います。  そこで、そういう意味でありますときに、一体国鉄はどういう業務をしろと言っておるのだろうかということになりますね。業務は第三条に規定しておりまして、非常に厳格に輸送、トランスポーテーションという内容ですっかり固めておる。まず「鉄道事業及びその附帯事業経営」これはそのものでしょう。「鉄道事業に関連する連絡船事業及びその附帯事業」、これも明確であります。「三 鉄道事業に関連する自動車運送事業及びその附帯事業」、これも明確なんです。「四前三号に掲げる業務を行うのに必要な発送電及び電気通信」、これも明確に書いてあります。五として、前号以外の第一条の目的を達成するために必要な業務というのがありまして、この第五の項目が利用されていろんな仕事の中身に変更が考えられておるようであります。それから第六条に、部外に投資する場合にどこの範囲まで許したらいいかという問題がございます。この問題は、私鉄その他は定款を変えさえすればできるわけで、それこそデパートも、ホテルも、遊園地も、あらゆる事業私企業は定款の変更によって可能なわけでありますが、公共の福祉を増進することを目的とする国鉄でありますがゆえに、この部外に投資するその内容に対しましては、厳格なワクがはめてあるのであります。したがって、第六条の外部投資の問題には一々「国務大臣の認可を受けて」という大きな見出しがついている。しかもその法律の中に書かれた問題に対して、これをたとえば輸送施設の運営ということで、御承知のように三十四年の改正であったそうですが、輸送施設運営事業を認めたい、こういう問題がありまして、このときには、結局非常な厳格なワクが政令でもきめられますが、本法律そのものの中に「国鉄及びその他の運送業者がともに使用する輸送施設の運営を行なう事業」ということで、とにかく国鉄とともにそれを使用する輸送施設で、ただ輸送施設でない。国鉄とともに使用するというワクをかけるくらいに、厳格に部外投資をとめたいという意思が法律にあらわれている。それから三十七年に、後ほど速記録に基づいて大臣にも御心境をお伺いいたしたいのでありますが、三十七年の三月に直通運輸事業に対して、「国鉄の運送事業と直通運輸を行なう運送事業その他これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業」という、一ぺんくらい聞いてもわからないずるずるとした法律でありますが、これがくせ者であって、国会は各人が立ってこれに対する質問戦が行なわれているのであります。これがどういう必要で起きたかといえば、結局大規模な臨海工業地域に運送を行なう地方鉄道、しかも主として貨物輸送に限って国鉄出資していいということを何とか認めてもらいたいというので、国全体の経済事情で要請があって、この法律改正が提案されたのです。しかしながら、「その他これらに準ずる」云々ということばで国会は紛糾をいたしまして、その速記録がありますが、当時の運輸大臣は斎藤さんでありました。このいきさつを私が御披露いたしますと、この次に私が述べたいところの核心の問題——最近の政令改正の問題に触れたいと思うわけでありますが、とにかく三十七年の三月に衆議院におきましてはいろいろの発言があったのでありますが、当時は磯崎総裁説明員として出席をされておった。そして磯崎当時の説明員は、間を省略しますが、いま倉庫がほしいんだ。だけれども、駅に倉庫が必要だというのは何人も疑わないところですけれども、そのやり方としては極力業界と話し合いをして、業界と完全な了解のもとに、できるだけ早くやりたいと考えておりますと言うて、ここで駅の構内における倉庫の問題の芽が三十七年に出ておる。これは業界と完全な了解をおとりになるのにお手間がかかったのかもしれませんが、昭和四十年に大阪の駅、梅田の駅に初めてたった一つできた。これくらい。だれが見ても、駅頭に倉庫が必要だということはお認めになるでしょうのに、業界との完全な了解ができないためじゃないかと思うが、たった一つしか今日に至るまで大阪にしかできておらないという事実がある。それから当時は、空間利用業、貸しビルなどは考えておりません。当時はそうだったのでしょう。ホテル事業、これは「自分の方でやるのはふさわしくないということで、委託経営をいたしておりまして、現在これをまた投資事業として考えることは毛頭考えておりません。」と当時はおっしゃっておられた。とにかく私が指摘したいのは、だれが見ても必要だと思う倉庫でも、業界と完全な了解がなければつくらぬのでございますと述べて、現実にできたのは大阪梅田の倉庫一つであるという事実は、われわれ国会議員としては注目をしなければならぬ部分だ。  そこでさらに参議院にまいりますと、同じ問答がありますが、もっと懇切丁寧な会話が行なわれておりまして、斎藤運輸大臣は、公共の福祉に寄与するというのが国鉄目的ですから、その目的のために国鉄経営にプラスするということが最初の着想でなければならぬ、民業圧迫というような事柄は毛頭いたさせませんと、だれが見ても国鉄が投資をしてやってもらいたいと思う仕事で、国鉄がやらなければできない仕事で、やり手がないような、そういう仕事国鉄が先んじてやってほしいけれども、やらせたくないというような、業界の圧迫の声があがっているときには、それを押し切ってやるものではないと思います、と述べておる。しかも、ここで注目したい、後ほど大臣にも承りたいのですが、法律あるいは政令などにそのようなことの規定があったとしても、事業としては運輸大臣は認可をいたさない方針でありますとまで、この紛争をとどめるための発言があったのです。そして、「国鉄経営を楽にするとかいうような経営上の理由から、いたずらに他に投資をして、そうして投資の利益を得て、国鉄経営を有利にやっていこうというような考え方は、私はとるべきでないと、かように考えております。」と述べられておりまして、「他にいろいろな反対のある民間の事業国鉄が踏み出していくということはよろしくないと、かように考えます。」と述べられておりまして、十二分に関係の業界と相談をしながらやらねばならぬものであるという精神をこの場合に述べられて、そこまでの保証をするのであるならばこの法律は通そうということで通ったという歴史が、この中にあるのです。しかもこの後にいろいろ動いたものを見ましも、政令に投資の内容を譲ったものですから、大規模臨海工業の部分昭和三十七年輸送施設、バスターミナル、それから倉庫業は三十八年です。三十八年の政令改正で、国鉄のする運送に係る物品を主として保管する倉庫業、しかもその場所は国鉄の停車場またはその付近に設置するものに限るという非常に厳格なネジをかけている。四十一年の改正では石油、セメントその他の定期かつ多量に集約輸送する、そういう積みおろし施設、荷さばき施設は出してもいいよということをきめてある。四十二年十月には、集配施設、積みおろし施設、通運業者が共同で使用するものに限って政令でお金を出していいということをきめた。四十一年の同じく七月には、国鉄の乗車券類の発売を行なう事業が追加されたのであります。ここまでなんです。ここまであって、われわれはそれからどうなっているのかと思っておりましたら、一月の何日でありますか、突如として政令をもって、この一月十二日の閣議決定をもって政令の投資の対象の追加が行なわれた。第六を全面改正して、七、八、九号を追加する。こういうことで、この中に第六では、国鉄の「旅客駅(旅客駅と一体として設けられる店舗、事務所等を含む。)」の建設及び管理を行なう事業というので、いわゆる駅ビルの建設、管理が可能のようにこれを突如修正された。さらに七としては「旅客の利便を確保するため必要な旅客駅内の食事施設、宿泊施設その他の施設の運営を行なう事業」というのが、突如としてここに入ってきておる。そして八には、「旅客駅に接続して設けられるバスターミナル、駐車場、その他の施設の運営」こういうようなもの、九は従来のものに少し追加したものでありますが、私はいま問題として承りたいのは、三十七年の法改正にあたって、時の運輸大臣はそれだけの慎重なる配慮をされて、国会に約束をせられて、国鉄の本来の目的を逸脱したところへ金が回らないようにという御配慮があったのであります。また政府仕事であるから国会あるいは政府与党には関係がないという法理論は、そのとおりでありまするけれども、従来の姿から見まするならば、他の省の実例を見ましても、政令の改正は必ず与党の担当部会には御相談があって、これに対してのオーケー、いわゆる感触をとられて政府の責任でやられておるという慣例もある。われわれは、その意味合いにおいて、与党の特別観光委員会においては、観光委員会の議をもって、国鉄の関連事業に対してホテルなどの緻密なサービス事業は不向きであるから、そのような問題に対する国鉄の投資というものはこれは認めるわけにいかないという決議をして、それらのものは国鉄総裁にも小川委員長が接触をせられているというふうな事実もあり、またいわゆる交通部会その他にも私どもはその意を通しておったのであります。しかるに予算が終了して間もなく、一月十二日の閣議決定でありますから、寝耳に水の決定をもってこれらは断行せられた。私はいいことであるなら形式論を言おうとせぬのでありますけれども、一体、従来施行令によって部外の投資をせられた国鉄仕事の中でわれわれの理解しております幾つかの事例がありますが、それらに対して国鉄財政的に配当は幾らお取りになったのですか。国鉄経営に部外の投資はどんな有利なはね返りがありましたか。株式会社に対する投資が主であって、鉄建公団その他は別でありますが、民間の株式会社に部外投資をせられた結果、それの国鉄に対する利益は幾らはね返ってきておりますか、総裁に伺いたい。
  19. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほどからいろいろ承っておりましたが、まず、私が三十七年に御答弁を申し上げたことを御引用なさいましたので、一言申し上げます。以前私が国鉄におったときでございますが、ちょうど十年ほど前になりますが、第六条の改正と関連してそういう御答弁を申し上げたことは、記憶いたしております。ただ、そのときの速記録をいま調べてみましたが、やはり「その時点において」ということをはっきり申し上げております。先ほど大臣のおっしゃったように、情勢が変わってきておりまして、ただいま先生御指摘のとおり、あのときは実は累積黒字約二千億を持っておった時代であります。それがいまや先生御指摘のとおり、国民の税金をいただかなければ経営ができなくなっているというふうな極度の客観情勢の変化がございます。私もその間しばらく官職を離れまして民間におりまして、そしていろいろ考えた末、一昨年の国鉄財政再建促進特別措置法、その法律を当国会で御審議願いました際に、事業範囲拡大及び付帯事業の拡張、あるいは関連事業拡大についてぜひお願いしたいということで、その趣旨法律措置法の第三条並びに第四条に入っております。それを受けまして政府が閣議決定されました国鉄財政再建計画の中にも、そういう趣旨が入っておりますので、その限度におきまして三十七年の私の答弁は修正されたというふうに、私自身考えております。  それからただいまの出資会社でございますが、約十数カ所ございますけれども、配当を受けておるのはごくわずかでございます。しかし、たとえばいま御指摘の臨海鉄道にいたしますと、現在臨海鉄道から私のほうへきておる貨物、これがちょうど八十万トンでございます。八十万トンと申しますと、ちょうど一管理局程度の大きさでございます。したがって、直接配当はないけれども、それによって国鉄貨物を集める、そういう非常に大きなメリットがございます。もしこれがなければ、その貨物はトラックあるいは船でもって輸送されていったものが、臨海鉄道のために集まった、こういうことでございます。
  20. 大野市郎

    大野(市)分科員 発言中でございますが、時間が少ないものですから……。  いま私が指摘しているのは、今回の改正以前のものは非常に控え目になさっておられるので、そういう意味合いがあると思うのです。だけれども、いま申しましたように、サービス関係仕事に手を出されるというのは、奈良ホテルにしても、山陽ホテルにしても、ステーションホテルにしても昔やってみたけれども、もうものにならないでみんな放されたわけだ。そういうような事例があるものに、この法律の第六条の本旨から見ても、直通運輸を行なう運送事業とか、その他これに準ずる運送事業と密接に関係する仕事というのだから、そういうふうに広義にこれを広げられるよりも——私が言う趣旨は、広げられるよりも、国鉄本来の、先ほど申し述べた、運輸省が発表され、あなたの諮問委員会が方向づけされた根幹線の拡充があるでしょう。そういう問題にこそ集中的に資金の導入をせらるべきであって、民業の圧迫であり——民間と一ぺんも相談もなしに、最も必要だと思われる倉庫については手はつけないが、ホテルというようなものならば名古屋でやろうという計画を着々進められているということであったが、それは一体業界が弱ければ何でもやるのかというような、別な意味合いで民間の業界からの陳情をわれわれは受け、また現実にこの問題に対しては名古屋方面では、中部日本などにも紹介をされましたが、たいへんな記事で取り上げられて、その辺のいわゆる問題にされているのです。これはどういうのかというと、五百室のホテルをつくられるというのだけれども、あの辺の中京における現実のホテル、旅館の姿というのは、たとえば旅館であれば二十部屋くらいが中心なのです。そういうものが八百軒あるというけれども、駅の中心地を中心にした場合には、五百室の国鉄の直接に息のかかったホテルがそこに建設されることになったら、その辺の業者は上がったりになるだろうという心配をしておるのですよ。そういう心配が起きておるのに、何らこれを意に介せず、何らのそれらの慣習的な手続もおやりにならないで、突如として政令の改正を出されたというあたりに、せっかく国鉄の崇高な使命に協力をしておるそれらの関係者がとほうにくれておるという実態を、私はこの席をおかりして申さなければならぬ。しかもあなたの監督官庁である運輸省観光部が十二月に発表した「ホテル業の現状と問題点」によると、なるほどビジネスホテルは足らないということは書いてあるが、ホテルは「純利益を計上できるようになるのは通常五年程度を要している」。その間はすべて赤字である。装置産業的色彩が強いから、その理屈はわれわれは理解ができる。サービスが商品である点でこの仕事は特殊なものであるという記載が、四ページから五ページにわたってあるのです。こういうようなものがあるときに、四十四年から五十二年までに国鉄の抜本的改正をやろうということで、さまざまな国家の投資を考え、その計画に基づいて国会の諸君に協力を求められている今日、何でそのようなものに、装置産業にまでそれらの資金を寝かせて、そして権威ある観光部の発表のものを踏みにじって、赤字が出ることを覚悟のものに、民業を圧迫するとわかるものにそのようなあせり方をなさるか。私はあえてあせりだと申します。このような考え方で申しておるのでありまして、いま、いい悪いの論争をしていても時間がありませんから、問題点だけを申し上げてあとの締めくくりに入らなければならぬと思いますが、私の言うのはそれなんですよ。崇高な目的を達成するためには、五十二年度までにどうしたら立ち直るかということで、あなた方のあの膨大な予算を要求なさって、お互いがみなやっているじゃありませんか。四十五年九月の国鉄計画されたものは、五十三年までに財政再建助成金を二千九億円、第七条による財政再建補助金を九百五十六億円、財政再建利子補給金千五十三億円、市町村納付金の軽減を三百四十五億円と胸算用されて、この間に二千三百五十四億円の国家財政資金の投入を望んでおられる。また、財政再建債の予定額を二千八百八億円と胸算用されて、これによって黒字に変えるんだという雄々しい財政措置による抜本改正策にわれわれ協力している。そのときに、倉庫一つでさえもふやすことをおやりにならないでおって、五年間も赤字であることを機関が証明しておるものに対して、何でそのような形で——聞くところによれば、全国二十数カ所を将来は予定しているということである。また、一月二十四日の毎日新聞の報道によれば、今度何か法律改正をしていただくのか、「改正が実現すれば広告代理業、高架下の管理営業、国鉄敷地内のゲタばき住宅建設、観光地の宿泊施設などにまで出資し、私鉄同様かせぎまくることになる。」と記者は書いておりまして、あなたのことばであるかないかは知らぬが、とにかくそういう報道をあなたの写真入りで大きく報道しておるわけです。  こういうような形でおられるならば、重箱のすみをつつくような、民業の、しかも大きくない零細な民間企業、しかも、国鉄に全面的に協力をして共存共栄をはかってきている、国鉄の指導によってようやく育ってきたところの、いままでの民間の宿泊施設の経営者は一体どうなる。そういう配慮がなく、血も涙もない話だ。このときにも数千名が集まった大会——岡山にもつくるというので岡山の業界も来たそうです。私は業界が騒いだから何しろということを言うのじゃない。本質論から、民業の圧迫をやりませんということで、この三十七年の法律のもとができたんだ。その法律をもとにして、今日、国会議員のわれわれにさえ何らの相談もなしに、政令であるからといって一挙に変えている。変えたからいいでしょうという形であって一体政治ができるか。私は、こういう考え方で重箱のすみをつつくならば、数年前あったじゃありませんか。新橋の高架の下も、あなた方は貸し賃を取っていたでしょう。マージャン屋や飲食店を、高架鉄道の下があいていたからといって、よもや国鉄は——新聞記事では、国鉄は、高架下の管理営業だそうだから、よもや飲食店やマージャン屋はやらぬのだろうけれども、マージャン百卓できるところの空間の室を年間幾らで貸した。それを指摘されたじゃありませんか。そういうような問題から、えりを正して、みずからの権限で、すなおな正当論で、とるべきものをぎっちりととればいい。  私は、そういうような意味合いで、国鉄の先ほどの能率増進という形でいくならば、あるいはゴルフの入場券の問題で問題になったが、国鉄さんはゴルフは必要なものだということでお放しにならないということを、私は運輸委員会におったから知っている。そういうような重箱のすみをつつくようなやり方でやるならば、重箱のすみをつつかざるを得ない。自分の権限でできることをどんどんとおやりになるほうが、五年間も赤字のものに金をつぎ込むよりも、よほど国鉄としてはためになると思う。こういうような意味合いの問題点があるわけなんです。  あるいは、これはまだ政治の場にはなってはおりませんが、しかし、国会議員として自分の信念を申し上げる事柄は、野党の方々には耳苦しいことであっても私は申さねばならぬが、たとえば五現業において禁止されておるところの、いわゆる国鉄職員の御身分で地方自治体の議員として、現実には国鉄のお仕事はできないような姿の地方議員が数千名いらっしゃるということを私は聞いておるが、それらの方々は、一体たとえば国鉄で地方議員は何名いらっしゃるのですか。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 法律で禁止されておるというお話でありますが、これは法律をごらんくださいますと、国会議員、都道府県会議員以外は兼職できるようになっておりますので、その点は法律違反ではございません。現在千百人おります。  その法律は、御承知のとおり議員立法でできた法律でございまして、運用は私どもでやっていますけれども、いろいろ問題がデリケートでございまして、私のほうがなかなかそれを——いまの現状でございますので、千人の人間が兼職しているということはいろいろ問題があります。しかし、これをどうするかということは、大きな政治問題——事柄が議員立法でできた法律でございますので、これはやはり大所高所の政治論でやっていただきたい、かように私は思います。
  22. 大野市郎

    大野(市)分科員 そのとおりだろうと思います。ただ、五現業は禁止されておるそうでありますので、そういう意味合いで、国鉄能率的運営をはかって公共の福祉を増進するという国鉄の大眼目に照らして、総裁の政治判断を——その部分は政治判断になるわけでありますが——いや、そのとおりでしょう。それは議員立法でできたものであれば、尊重なさるのが私は理論の上でもわかります。わかりますが、そのような、三十七年にそれだけの国会の論争を経、担当大臣が申され、説明員がこれを保証したようなものが、数年たつというと手のひらを返したように、情勢が変わりましたから、今度法律があるから政令ですよ、国会には相談が要らぬ、わがほうだけでやるぞというような政治姿勢というものは、これは民主政治じゃない。こういう意味合いに対しまして、運輸大臣の政令を突如改正された御心境を伺いたい。
  23. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 政令改正の主たる目的は、御承知のように、国鉄再建基本方針に従いまして、国鉄近代化あるいは合理化を進めてまいるというところに主眼がございまして、ホテルの問題は、もちろんこれは今度の改正によってやればやれるわけでありますが、それに主眼があるわけではありません。だんだんの御意見を伺っており、かつまた私自身もいろいろ考えて、この問題については慎重なる態度をとっております。どのような計画国鉄が持っているかは、私はまだ承知をいたしておりませんけれども、少なくとも国鉄の本来の仕事は、これはもう何といっても国鉄本来の仕事でありますから、お話がありましたように、根本問題と枝葉問題を取り違えちゃ、これは国鉄としても困る。かつまた、ホテルあるいは旅館関係は、国鉄にとっては外郭団体でありまして、従来協力関係にあったわけでありますから、十分それらの方々の意見を聞きながら、おそらく国鉄も今後進めていくでありましょうし、また運輸省としても、従来の歴史もありますし、考えもありますからして、少なくともこれは慎重に扱わなければならぬ、こう考えております。  ただ、政令改正はそこに主眼があるのではなくして、もっと前のほうの合理化近代化のためにはどういうような措置をとったらいいか、やり得る措置というものを考えてあの改正が行なわれたのでありまして、その点は、改正趣旨は御理解なすってもらいたいと思います。
  24. 大野市郎

    大野(市)分科員 時間がきましたので締めくくりをいたしますが、そこで、先ほども混乱があって、国鉄というのは何か国のやっかいにはならぬかったのだからというような印象になるとか、先ほど冒頭に申し上げましたが、私はそうじゃないと思う。国鉄はあくまでもやはり国の機関であることは間違いない。しかも、三兆円にのぼる国鉄の現在の資産というものは、国鉄という一家の財産じゃないのです。これはあくまでも日本の国の重要な、いわゆる法律に基づくところの施設でありまして、これが運賃でまかなわれたから、国の税金でまかなわれないから、国鉄の営業行動に対してとやかく言うなという思想があらわれているんです。これを私は心配しているのです。そんな一見はなやかそうに見えたって、裏座敷はそんなものじゃないんです。そういうものに目をちらつかされて、酔いどれ運転のごときものが続出するようなことがあったらどうする。そんなような民業でできる仕事は民業にまかせて、民業でできない本来の仕事をやる。金がなければ国に要請して、国民のためになる仕事だから堂々と国から出させればいい。大蔵省と折衝してできないから引っ込む、弱い業者はつぶしてしまって——つぶされるんですよ。そういうな政治の姿というものは、私は民主政治のもとでは許されないと思うのです。旅客だって国民なんです。税金であろうと何であろうと、ましてや、先ほども申し上げたような膨大な政府資金の導入を予定して、十年間で立ち直りを考えているところでしょう。そうしたら、その方面に対して全力を注いで国民の支持を求めよう、そうしてわき目も振らず本業でやろう、根幹性を守るということなら根幹性を守る、そのことに金を全部使うという、そういう形でいかにゃいかぬ。私は、これを特に申し上げたいと同時に、運輸大臣に御言明いただいて私はよかったと思いますが、斎藤大臣のときでも、政令、法律であっても、運輸大臣の認可事項であるから、この点に対しては自分は十分に考えてやるんだということを言われたが、同じことをいまも言うていただいたと私はこれを受け取ります。どうかそういう意味で、国民のものなんですから、十二分に御相談を——民業圧迫という印象のないように、業界との連絡を密にされ、国会側との連絡も密にされまして、われわれの国鉄をよくしたいという気持ちでおりますその仲間たちが一人も背反のないように、どうかひとつ、独立採算性はあくまでも部内の能率を達成する、その目的を達成するための手段にすぎないんだ、公共性こそ法律に照らしても大眼目であるという精神国鉄の運営をされることを切に私は要請をいたしまして、時間が参りましたので終わります。     〔大村主査代理退席、主査着席〕
  25. 大野市郎

  26. 田中武夫

    田中(武)分科員 まず最初に、国内線向けの航空機、これは大量輸送機として大型のいわゆるエアバスといわれておりますが、それを採用する、そういうことで、ロッキード、ダグラスあるいはボーイングといったようなアメリカの航空三社が、いまや日本の空で販売合戦、空中戦をやっておる、こう聞いております。そこで、このエアバス採用についての運輸大臣考え方、あるいはどのような方針で指導せられるのかをお伺いします。
  27. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 大臣の前に、ちょっと私から補足しておきます。  エアバスにつきましては、御承知のように、わが国の国内航空需要というものは非常に急激な上昇を見せております。したがいまして、そういった大きな輸送需要にこたえるためにも、またその空港の混雑といったようなものに対処いたすためにも、やはりどうしても国内線に大型ジェット機というものを導入していかなければ航空量はこなせないだろうというふうに私どもは思います。したがいまして、傾向としては、こういったエアバスと称しておりますが、大型のジェット機というものを国内航空にも導入していくべきであろうというふうに考えております。ただし、その時期とかあるいは機種決定ということについては、なお、空港整備状況でありますとか、あるいは今後の需要動向とか、そういうふうなことを考えまして慎重に決定していかなければならないと思います。  そこで、決定の方法でございますけれども、これにつきましては、元来これは政府が主導権をとってきめるべきものとは思っておりません。これは基本的にはやはり企業の問題でございまして、企業としてこれを自主的に持っていくというべきものである。ただ政府は、その場合におきまして、安全の面その他におきまして、ある程度のチェックというものはしなければならぬと考えております。  そこで、企業責任の意味でありますけれども、何分相当多額な金が動く問題でございますから、いやしくもそういうことによって黒い霧というものがあっては絶対にいけないというふうに考えております。したがいまして、航空会社双方、日航及び全日空におきまして、合同のエアバスの機種決定の委員会をつくりまして、そこでもって客観的な、科学的な基礎に基づきましていろいろ検討を加えておるというのが現状でございます。
  28. 田中武夫

    田中(武)分科員 なるほど大型機といいますか、輸送機を買うのは、日航なり全日空だと思うのです。しかし、もうすでに新聞でも大々的に出ているように、アメリカの三社が盛んに売り込み合戦をやっておる。こういう中にあって、ほんとうの買い主は日航なり全日空であるが、運輸省としては指導あるいは方針というものをやはり持っておらなくちゃいけないと思うのですが、それはどうなんです。
  29. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 おっしゃるとおりに、本来企業の問題ではございますけれども、役所といたしましても、当然、安全の問題あるいは騒音の問題、そういった問題につきましては、一般に与える影響も大きうございますから、その点については特にチェックをしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  30. 田中武夫

    田中(武)分科員 それでは、ともかく採用するという方向でいっておるが、具体的にいつから実際に動くのか、そういうことはまだきまっていない、こういうことですね。
  31. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 そのとおりでございます。
  32. 田中武夫

    田中(武)分科員 そこで、エアバスを採用したからといって、私は、いまよりか何倍かの人を乗せるのですから、なるほど便数は減るかと思いますが、しかし必ずしも空の過密ダイヤは解消するのかどうか。さらに、こういう大きなものを採用するとなると、滑走路の問題だとか——これは何か百トンもあるそうですね。あるいはまた駐機場——駐車場じゃなくて駐機場というんですか、その問題だとか、あるいはまた大きな音をさす、そういう騒音、いまやかましくいわれておる公害、こういうことを含めて相当な受け入れの体制といいますか、そういうものが必要だと思うのです。たとえば滑走路の補強等々についてそのための予算、本年度には考えておられるのですか。
  33. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 おっしゃるとおり、現在大型ジェット機として大体候補にあがっておるものは三種ございまして、これはボーイング747SR、それからダグラスDC10あるいはロッキード1011というふうなものが候補にのぼっております。そういった大型なものを着けますためには、おっしゃるとおりに、滑走路もあるいはエプロンももう少し延長するとか、あるいは場所を拡張するとかいうふうなことが必要でございます。したがいまして、私どもといたしましては、来年度からいわゆる空港整備の第二次五カ年計画を立てまして、総額として五千六百億というものを計上いたしまして、それを特別会計といたしまして、相当な自主財源をもってこれを整備するという計画を立てておるわけでございますが、その中におきましてそういったことを考えておるわけでございます。すなわち、現在幹線の空港でございます千歳、それから東京の羽田、名古屋、大阪の伊丹、それから板付、こういったところは現在いずれもすでに就航可能でございます。それからさらに今後ローカル空港につきましても、需要の多いようなところにつきましては、逐次二千メートルまたは二千五百メートルというふうな長さに滑走路を延ばしてまいりまして、さしあたり四十七年度ぐらいからも二カ所ぐらいは出てまいります。さらに、五十年、五十一年ぐらいには大体数カ所のものが、ローカルにおきましても就航可能というふうなことになろうかと考えます。  それから騒音の問題でございます。これにつきましては、確かに機材は大型化するわけでございますが、騒音はむしろ減っておるというふうなことでございます。と申しますのは、私どもまだ実際できて試験したわけではございませんから、はっきり申すわけではございませんけれども、少なくとも会社側からの申し出においては減っておる。と申しますのは、これは客観的にも言えることでございまして、騒音という問題は現在世界各国でも共通の問題となっております。したがいまして、国際民間航空機構、ICAOといっておりますが、こういった国際機関におきましても、あるいはアメリカのFAAにおきましても、騒音というものにつきましては、極力これを減少するように一つの基準をつくりまして、一定のレベル以上の騒音を発生するものについては航空の用に供させないというふうなことをやっております。そういうふうなものを受けまして、さしあたり現在のものも、たとえばDC8に例をとりますと、DC8がたとえば八十八ホンぐらいのところにつきましては、いずれももっと下回っておるというふうなことのように現在聞いておるわけでございます。したがいまして、大きくなる割りにはそれほど騒音というものは大きくはならない、むしろ低下しておる。ただ、それによって騒音が問題ないかというと、決してそうではございませんで、やはり騒音としては十分にその対策を講じていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  34. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 政策的な問題としてちょっと私の考えを申し述べたいと思います。  御承知のように、エアバスになりますと現在の飛行機の二倍以上の人が乗ることになると思いますが、これはただいまお話があったように、飛行場の整備の必要もあります。しかし、それよりも先に大事なことは、やはり安全性の問題だと思うのです。何せ、もし万が一のことがありますと、二台分、三台分の事故を起こすわけでありますから、日本人はなかなか進取の気象が激しくて、案外何でも早く取り入れたいという考え方もけっこうでありますけれども、この種の問題は私は消極的に考えていいのじゃないか。できるだけやはり安全性が確保されて、あるいは人の国がやったあとでもいいのですね。そうした経験を積んだ上で取り入れてもいいので、私は、現在の空港整備の状態、また各国での状況から見ても、そうあわててこの問題の導入を考える必要は、個人的の見解ですが、ないのではなかろうか。まず第一に安全性が十分に確保されるということ、同時にまた空港整備がそれに対応し得る、こういう前提を考えていかなければならぬ、こう考えております。
  35. 田中武夫

    田中(武)分科員 騒音の問題については、大きくなったからといってそうたいした音ではない、こういうことなんですが、やはり超大型のエンジンを使うのでしょう。やはり大きいのが出ると思うのです。それから一機六十億もするのでしょう、いずれにいたしましても。あるいはそれ以上ではないかと思う。そういたしますとその償却期間も長くなる。したがって金利の負担も高まる。そういうことが将来航空運賃の値上げにつながるのじゃなかろうか、こういうようなことも考えられるわけなんです。いま大臣から、そうあわてる必要がない、こういうことでありましたので、私は、十分安全性とか公害の問題等も検討せられて、そうして、むしろよそが使ってそれをよく見た上でやったほうがいいんじゃないか。さらに、いま申し上げましたように、そのために航空運賃の値上げにつながるようなことがあってはいけないのじゃないか、こう思いますので、もう政府委員のこまかいことはけっこうです。大臣、いかがですか。
  36. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま田中さんがおっしゃったとおりでありまして、私も、その方針が一番慎重、かつまた航空企業といいますか、その方面の将来を考えましても、確かに、投下資本も増大することであり、かつまた人間の生命に直接つながる問題でありますから、何もよその国より先に使わなければならないということはないと思う。そういう意味においては、全く田中さんの御意見と同意見であります。
  37. 田中武夫

    田中(武)分科員 それじゃ次に、海洋汚染防止法の関係についてお伺いいたします。  港に廃油等を流すいわゆる公害犯を、従来の港則法等では過失犯は罰せられない、こういうことで、外国船の中には意地の悪いのがおりまして、わざとというか、ほかの国ではいろいろとそういう規制がある、日本にはないということで掃除をする、そういうようなことがやられておって、そういうことは日本だけだともいわれておるわけなんです。そこで昨年、神戸港でリベリアの貨物船がそういうことをやって、わざとやった、こう思われるので、あまりにもひどいということで、海上保安庁の方が見えておると思いますが、神戸の海上保安部がこれを検挙した。ところが結局は不起訴処分、ということは過失犯を罰せられないという当時の港則法との関係であったと思います。そこで海上保安部はくやしがったというようなことを聞いております。簡単でいいですが、その経過を海上保安庁長官から……。
  38. 手塚良成

    ○手塚政府委員 神戸の地区におきますところのリベリア船のそういった油の問題の御質問でございますが、リベリア船につきまして、神戸の近海でのいま先生の御質問のような事実については、実はいま私のほうで情報としてははっきり把握しておりませんが、リベリア船がそういった油の問題につきまして、日本近海においていろいろ問題を起こしておるということは事実でございまして、昨年の末から伊勢湾に、半分故障のリベリア船が油を積んだまま、修理をかねて入港したいという事実があり、これがまた神戸のほうへ回ってまいりまして、紀伊水道から淡路のほうへ入港したいというような事実がありまして、これらにつきましては、私どもはきわめて厳重な行政指導をいたしまして、入港を認めない。結論的にはフィリピンのほうへ引き揚げるというような事態の取り扱いをいたした事例がございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)分科員 そこで、前の臨時国会で海洋汚染防止法というのができた。そうしてその中では、たとえば同法の五十五条の二項等で、これは過失犯も罰する、そういうようになっております。しかしながら、あまりにもこの法律は政令あるいは省令の委任が多過ぎる。たとえば大量の油の排出の量の基準、あるいは油分の濃度の基準、あるいは海域といいますか、区域、そういうことでまだ政令も省令もきまっていない。あとで伺いますが、これは六カ月以内ということだから云々ということだろうが、そういたしますと、これはせっかく故意犯だけでなくて過失犯についても罰するという動きが出てきて、これがまだ動かせないのですね。動かすといたしましても、基準等がすべて政令あるいは省令に委任せられておる。こういう法の立て方、どうなんでしょう。これは法制局もおられますが、私は何もこまかいところまで政省令た委任することをいけないとは言いません。しかし日本の法律は特に政省令への委任が多過ぎる。しかも重要な部門で多過ぎると思うのです。まずそういうことについて、実際にこれの運用というか、これが動いたときに、当面その取り締まり等々に当たる海上保安庁、それから法制局等の意見をひとつ伺いたいと思います。
  40. 見坊力男

    ○見坊政府委員 御指摘のように、海洋汚染防止法の政省令の数が非常に多いわけでございますが、これの内容と申しますか、それの施行の方法、政省令の公布の関係でございますが、いま先生からもお話がございましょうに、原則として六カ月ということでございまして、現在、さきの臨時国会で成立いたしました他の政省令の公害関係諸法規との関係も十分に考えながら、できるだけ早くこれを施行したいというふうに考えまして作業中でございます。
  41. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 海洋汚染防止法につきまして、政令、省令への委任がたいへん多いということで御指摘を受けました。私どももその点については反省をいたしております。ただ実は、従来のような書き方でございますと、非常に包括的にばく然と政令に委任をするというような方式がしばしば用いられるのでございますけれども、海洋汚染防止法につきましては、個々の事項ごとに、これだけのことを政令に委任するのだということをはっきり法律に書きたいということで、一つ一つを書き分けたためにたいへん政令が多い、あるいは省令が多いというように御指摘を受けた面も多少はあるのじゃないかと思いますので、その点は御了承願いたいと思います。  次に過失犯の問題でございますが、これは御指摘のとおり、海洋汚染防止法五十五条の二項の船舶からの油の排出につきましては、特に過失犯を罰するという規定が設けてございます。この点は一つには、公害関係の犯罪に対する社会的評価というものも、今日と以前とはずいぶん違っていると思いますが、そういう考え方で、原則的には過失犯は罰せられないにかかわらず、特に規定を設けて罰するようにいたしたわけでございます。ただ念のために申し上げておきますが、現行法である油濁防止法につきましては、油の排出につきまして過失犯を罰するという明文の規定はございませんが、現在われわれの解釈としては、油濁防止法のもとにおいても、現行法においても過失犯は罰せられるのであろう、こういう解釈をいたしております。その点は実は今回明文の規定をもって明らかにいたした、こういう経緯がございます。
  42. 田中武夫

    田中(武)分科員 ところが、実際の問題として神戸であったのですよ、リベリアの貨物船の問題等々で。そこで、過失犯を罰するという、これは、いま公害がやかましくいわれ、国民的問題となっておるときに当然だと思う。しかし、その具体的な義務の基準がすべて政省令にゆだねられておる。これは私は少し納得がいかないのです。私は公害関係の委員でないために、この法律の審議のときにいなかったのですが、あとから見ましてそういう感じを受けた。さらにまた、先ほど来こまかく分けたというが、これはあとで触れるつもりですが、これは国際条約との関係で二つの条約を一つ法律によってまとめようとするからおかしなものになったのですよ。それはあとで時間があったら触れますけれども、これは言いわけになりませんよ。二つの国際条約を一つの国内法にまとめようとしたために、ぼけてしまった面があるのです。それはまたあとで条約局等も交えて論議をいたしたいと思いますが、さらに今度は、ある面においては無過失責任制をとった、あるいは責任集中制をとったというような面がこの法律に出てきておると思うのです。ところが、海上保安庁等が、そういう油で汚したり等々したやつに対して除去というか、防除といいますか、作業なんかするときの費用なんか、これを船舶所有者または油管理施設設置者等に集中しておる。これは一種の無過失責任制をとったと思うのです。これはいいが、それにしてはこれがあまりにも具体的でない。ばく然としておる。いま公害法に関連して無過失責任の問題がやかましくいわれておる。この法律は、なるほどある意味においては私はそういう点が出てきておると思うのです。そうでしょう。ところがそれも、結局は省令等に委任ということではっきりしないわけです。こういう点は、せっかく無過失責任制をにおわすような規定が入っておるわけです。ところが、それが政省令にゆだねられておるということでぼやけておる、こう思いますが、法制局どう思いますか。あるいは海上保安庁は、実際に油の汚れを除いたり何か作業をするその費用を船舶所有者等に持たすわけなんですが、そういう点についての具体的ななにがないわけです。ただ持たすということにはなっておるのだが、具体的には詰まっていないわけですね。そういう点はどうなんです。
  43. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 御指摘のように、海洋汚染防止法の、たとえば海上保安庁の長官が一定の必要な措置をとる、そして費用の負担を求めるというような方式と申しますか、そういうものは、他の公害関係の法規にも見られない非常に、自画自賛をしては申しわけありませんけれども、意欲的な新しい手法だと思います。その点につきまして、それだけに非常に新しい手法であるだけに、法律を私どものほうで審査をする段階において、こまかいところまで実は法律の上で書き切れなかった、こういうことでございます。正直に申し上げて、当時はなかなかそこまでできなかった、こういう事情がございます。
  44. 田中武夫

    田中(武)分科員 それから先ほどちょっと触れましたが、一九五四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約ですか、一九六九年の油濁事故に対する公海における措置に関する国際条約、この二つの条約はそれぞれ目的が違うのですよ。条約論議をやってもよろしいですが、時間がないのですが、目的が違うのです。この二つの条約に合うように一つ法律にまとめようとしたところに、私ばく然たるものが出てきたと思うのです。しかも、それを政省令にゆだねておるところになお問題がある、こういうことを指摘しておきたいと思います。条約局長が見えておりますが、もし条約局でそういったようなことについて、そうではないとか、御意見があったら伺いますが、二つの相異なった条約を合わせて一つの国内法で、しかも、やかましくいわれている公害だからとかなんとかいうことで無理にまとめたから、全体としてぼんやりしてしまった。しかも政省令にゆだねるところが多過ぎる。そして附則によって、これは六カ月以内に云々となる。私は六カ月待つ必要ないと思うのです。六カ月以内というのは六カ月をこえないということですが、だからといって六カ月間猶予があるという考え方は間違っておると思うのです。こういうような、ことに公害のきびしい批判が出ているとき、これは当然即日実施してもいいと思うのです。しかも、まだ一つもこれに関連するところの政省令ができていない。もってのほかだと思うのですよ。大臣、どうでしょう。私はここで政省令を直ちに出せとは言いません。政省令の原案があるだろうと思うのです。それをこの予算審議の終わるまでに、具体的に言うなら、私の締めくくり総括までに原案を示していただけませんか。それを見た上で論議いたしたいと思いますが、いかがです。その点は特に主査において主査報告にとどめていただきたいと思いますが、いかがですか。
  45. 見坊力男

    ○見坊政府委員 六カ月の期間があるから六カ月一ばいということは、われわれも考えておりません。できるだけ早く案をまとめたいというふうに考えております。それで現在、その政令、省令に盛り込むべき考え方につきましてはいろいろ検討いたしておりますが、まだそれをいわゆる政省令の案というような形まで詰めておりませんので、現在お出しするということは事務的に間に合わないというような状況でございますが、しかし、われわれとしましては、一日も早くまとめたいということで作業をいたしておりますので、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
  46. 田中武夫

    田中(武)分科員 大臣、お聞きのとおりで、せっかくできたといいますか、新しい考え方も入っておる点は進歩だと思うのです。しかしそれが政省令に委任されておる。しかも先ほど言ったように、相異なる目的を持つ二つの国際条約を一つの国内法で処理しようとしていろいろ無理をしておるわけです。そうでないというならば私、議論をいたしますが、無理をしている。したがって全体としてばく然としてしまっている。しかもこのようなことは急を要する問題です。だから一日も早く政省令をつくって実施しなければいけないのです。即日実施くらいの気概があっていいと思うのです。具体的にいって、一体いつから実施しますか。それから、政省令としてまとまっていなくとも、その考え方基本があるならそれを示していただきたい、こう思います。
  47. 見坊力男

    ○見坊政府委員 考え方の要点はここで申し上げることは可能でございますが、非常に項目も多いわけでございまして、政令につきましては、それほどさしあたりの問題としては数は多くないわけでありますが、省令は非常に多い。そこで時間の関係もございますので、考え方をお示しすることは可能であるということだけを御答弁申し上げまして、内容はここでは省略させていただきます。
  48. 田中武夫

    田中(武)分科員 それではひとつ、考え方基本を出してもらう、そういうことで約束したいと思います。それで、そのことは実行せられると思いますが、念のために主査報告で明確にしてもらいたいと思います。
  49. 大野市郎

    大野主査 承知しました。
  50. 田中武夫

    田中(武)分科員 もう時間ですが、もう一点だけお願いします。急行でやります。半時間という時間があまりにも短過ぎると思いますが、簡単に申し上げます。  きのう、東京のタクシー業界、いわゆる東京乗用旅客自動車協会と個人タクシー連合協議会ですか、これが約八〇%あるいは八八%ともいわれております大幅な値上げを申請してきました。それに対して大臣は当分認可しないという。ところが当分とは何か。私は、それは選挙までだ、選挙が済んだら上げるんだ、こういうようにも受け取れるのですが、なお、たとえば埼玉、東京の多摩あるいは神奈川の一部のバスの料金の改定を先日認めた。あるいは北海道、九州の路線トラックの運賃値上げを認めた。これは俗にいう外堀作戦であって、外堀を埋めて今度は内堀だ、内堀とは何か、東京都内のタクシー料金の運賃の値上げだ、こういわれておる。たまたまそれに時期を同じゅうして申請が出てきた。当分の間と大臣は言われた。しかし、その当分の間というのは選挙に差しつかえない範囲、こういうように私は解釈いたします。これらの問題を含め、さらにこの前の料金値上げのときにはサービスを向上さすと言ったが、一向によくなっていないとか、いろいろあります。これは時間がないから簡単に申します。一括して大臣から御答弁願います。
  51. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 当分の間とは参議院選挙の終わるまでかという御質問でありますが、全然参議院選挙とは関係はありません。したがって、参議院の選挙が済んだら直ちにこれを処理するという考え方も持っておりません。ただ御承知のように、私は、個人的といいましょうか、感情としては、いまの私企業であるタクシー事業というものに対しては、なかなか容易じゃないという意味での同情はあります。御承知のように、何といってもタクシーというものは近代化とか合理化というものはできない商売であります。最小限、運転手が一人はどうしても必要だということがありますので、いまのような人件費のアップあるいはその他の施設の向上等を考えますと、いまタクシー業者が泣きついておるような現状であろうことは、推察にやぶさかではありません。しかし、そういいましても、一方においては社会的な、公共機関的な性格もあるのでありますから、したがって、安易に料金値上げを認めるということもできませんし、政府としては別の対策考えながら、何とか近代化施策を進めていきたいということで、一つはタクシー近代化センター等を設けたわけであります。いま御指摘の、昨年値上げをし、あるいは近代化センター等ができて、はたしてサービスが向上しておるかという点につきましては、完全にサービスが向上したとは言い切れませんけれども、しかし一時よりは、ある意味においては拒否も少なくなってまいったと聞いております。かつまた、ことばづかい等もたいへん丁寧になったという話も聞いております。部分的には改善されつつありますが、なお十分にこれを指導いたしまして、皆さんの満足のいけるようなサービス向上をやっていきたい、かように考えております。
  52. 田中武夫

    田中(武)分科員 ありがとうございました。
  53. 大野市郎

  54. 岡本富夫

    岡本分科員 私は最初運輸大臣答弁をいただきたいのですが、御承知のように、成田空港問題、この問題につきましては、私が四十二年に当時の運輸大臣に、ただ場所を運輸省で指定する、許可する、あとは公団まかせだ、こういうようなことでは将来禍根が残るのではないか、ひとつ大臣も行って、住民の皆さん方の意見をよく聞いていただかなければならない、こういうふうにも言いまして、当時大橋さんだと思うのですが、お行きになった。時おそかったわけですけれども、そういうことで、いま非常に感情問題になっております。新聞やテレビ、あるいはいろんな報道を見ますと、小学生あるいはまた婦人、子供がそうしたものに巻き込まれておる。ところがいよいよ強制の代執行を千葉県の知事に指示したというようなことでありますが、この強制代執行にあたり、悲惨な、同じ日本人同士が流血の惨事を起こさないように、その点についての配慮はどういうふうに考えていらっしゃるか、大臣にお聞きしたいと思います。
  55. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま岡本さんのお話のように、現地の空気は心配すべきものがあると聞いております。ただ、代執行に関連してでありますが、成田空港が日本の国際空港の上からやはり何としても必要であることは、岡本さんも御理解を願っておると存じます。ただ問題は、これらを解決するために、あるいは代執行等によって流血の惨事が起きては困るということであろうと思います。  これは御承知のように、もう四十一年に決定いたしましてから、もちろんこれは土地の取得が前提でありますからして、当時から関係の土地所有者に対しては、公団総裁並びに県当局等が始終懇談を数年間にわたって続けてまいりましたけれども、一部の人の理解を得られない。それにはいろいろの理由がありましょう。一つは、自分の土地を離れたくない、こういうような本質的な問題もあるし、あるいは条件等でいれられないものがある、こういういろんな問題がありましょうけれども、とにかく数年間かかって精力的に努力してまいったが、なかなか解決には至らない。しかし、御承知のように、いま国際情勢あるいは国内航空の情勢から見ても、じんぜんとしてこれを待っておるわけにはまいりませんので、予定より——実は当初の予定は、昭和四十六年度の早々にもこれは使用開始に至りたいという計画で進めてまいりましたけれども、実際はそうはまいりませんので、昭和四十六年度中、すなわち昭和四十七年三月までには何とか供用の運びに至りたい、こういうぐあいに大幅に延びてまいったのであります。これも、要するに関係者に対してできるだけ理解してもらう、こういう前提で、衝突を避けつつ、できるだけ話し合いで進めていきたいということから進めてまいりましたので、したがって、今回の代執行におきましても、いわゆる流血の惨事が起きては好ましくない、この点は十分に県当局も、またあるいは公団総裁当局においても配慮して、話し合いをなるべく続けながらこれが処理をするように、こういう慎重なる態度を指示しておるわけであります。
  56. 岡本富夫

    岡本分科員 これで時間をあまりとってはあれですが、時間が非常に短いので簡単明瞭にお答え願いたい。  これのあと大臣に要求しておくことは、私は四十二年の経緯から見ますと、やはり国に、運輸当局に大きな責任があると思うのです。したがって、ただ知事に、友納さんにまかしてあるのだということではなくして、やはり万全の処置をとって流血の惨事を防いでもらいたい、これを要求しておきます。  次に、同じ空港問題につきまして、大阪・伊丹空港が、現在も発着回数といいますか、パンク寸前のような状態になっておるわけでありますが、そこで新関西国際空港をつくろうというような構想を聞いておりますけれども、この位置あるいは時期はいつごろ決定をするのか、これをひとつ関係当局か……。
  57. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 関西新空港につきましては、ただいまお話しのございましたとおり、目下調査中でございますけれども、これは伊丹のほうもだんだんパンクしてまいりましたので、なるべく早くきめたい、こう思っております。したがいまして、四十六年のうちには何とか位置をきめたいというふうに考えております。
  58. 岡本富夫

    岡本分科員 大体四十六年中にきめるわけですね。そこで、大阪・伊丹空港の周辺の現代の騒音の問題で非常に反対をしておるのが、私のほうに陳情にも参り、また先般、航空局あるいは運輸省に婦人団体の方をお連れしたことがありますけれども、そのときに団体の方は、尼崎、西宮、芦屋、この阪神沖につくってもらったら困る、特に関西のベッドタウンであるということで強い要望があったわけでありますけれども、こちらのほうには建設はしないのかどうか、この点についてお聞きしたい。
  59. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 場所につきましては、ただいまお話し申し上げましたとおり、まだきまっておらないという段階でございますということは御承知のとおりでございます。そこで、いま直ちに西宮、尼崎、芦屋沖につくらないということをきめたのかと言われましても、そうきめましたと言うわけにはまいりません。  ただ、問題は騒音でございます。騒音につきましては、御指摘のとおり問題が非常に多うございまして、皆さま空港というものは非常に必要であるけれども、騒音が困るというのが大方の声であるように伺います。したがいまして、今度の新空港をつくります際にも、騒音問題については最大の配慮をしてまいりたいというのが私どもの考え方でございます。  そこで、西宮、尼崎、芦屋沖の問題でございますけれども、先般、関係の方々がおいでいただきまして、いろいろ御意見を伺いました際に私申し上げたとおりでございますけれども、少なくともこの近辺につきましては、たとえ沖に置くといたしましても、相当沖のほうにつくらざるを得ない。と申しますのは、地形から申しましても、あるいは風向きから申しましても、相当沖に、なおかつ沿岸に並行した形の滑走路というふうなことでつくらざるを得ないだろう、技術的に考えましてそういうふうに考えております。そういたしますと、騒音というものは、横のほうに、滑走路に並行の部分については、そう大きな範囲で広がってまいりません。したがいまして、結果といたしまして沖に置かれるといたしましても、西宮、尼崎、芦屋の住民の方々にそれほど御迷惑をかけるというふうには私どもは考えておりません。
  60. 岡本富夫

    岡本分科員 あのときの説明あるいはいろいろな状況から判断をして、この阪神沖には非常に問題があるということで、これは非常に考慮に入れる、あるいはまた、この方面にはやらないというようなふうに近いようなお話があったように伺っておりますけれども、そこでいまの話とだいぶ違う。なおこの間、去年の年末だったと思いますが、あなたのほうから担当の方が西宮市においでになって、七十ホンくらいだったらよろしいだろうかというような説明をしておる。いまこの三市は、各市議会でも反対決議をし、あるいはまた、全住民がこぞってイデオロギーというものを入れずに全部反対をして、そして毎日不安に思っておるわけです。したがって、もう少しはっきりした答弁をしていただかないとこれは承知できない、こういうふうに思います。
  61. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 御承知のとおり、現在調査をしております範囲は、明石沖から淡路、それから神戸沖、大阪沖から和歌山の県境に至るまで、それまでの大阪湾一帯ということを対象にいたしまして調査をいたしておるわけでございます。したがいまして、西宮、尼崎、芦屋沖というようなことでございますけれども、いずれにしましても、先ほど御説明申し上げましたように、かりに海上を埋め立てるということにいたしましても、西宮あるいは尼崎、芦屋からそう近い距離のところにはできないということでございます。したがいまして、相当に距離が離れますので、平行部分についてはそんなに大きな音は出ないだろうというふうなことでございます。したがいまして、七十ホンがどうかというようなことでございますけれども、七十ホンと申しますと、いわゆる航空機騒音防止法の中でも、頻度にもよりますけれども一応対象となっておりますから、こういう場合には七十ホンなら騒音がないというわけではございません。したがいまして、と申しますか、先ほど御説明申し上げましたように、相当の沖に参りますれば、七十ホンというふうな音はこの部分には出ないであろうというふうなことを考えています。
  62. 岡本富夫

    岡本分科員 大臣、特にこの周辺は非常に静かなところだ、これはよくおわかりだと思うのですが、それに関して、また近くの大阪空港の周辺の騒音の被害でしんぼうできなくなって、そこから移転してきておるという人たちもずいぶんいまして、市民感情にいたしましても、非常に戦々恐々のような状態です。したがって、これだけはひとつ考慮してもらいたいのですが、いかがですか。
  63. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 まだ数カ所目下検討中でありますので、どこへできるかまだ決定いたしておりませんが、ただ、御承知のように、アメリカのような大きな国でありますというと、これはかなり遠くのほうで、人家にも影響しないようなところに飛行場を設けることができますが、ヨーロッパなどでは、皆さんもヨーロッパにおいでになったでしょうからおわかりでありましょうが、わずか十五分か二十分のところもあるわけでありますね。日本も残念ながら土地が狭いので、そうしてなかなか太平洋のまん中に飛行場をつくるわけにはまいりませんので、どうしても近いところにつくらざるを得ないのです。しかし、いま航空局長からお話がありましたように、できるだけ騒音の害のないような措置考えていきたい。かつまた、もう一つは、岡本さんからいまお話がありましたように、これはやはり住民の協力を得なければできませんから、住民がどうしてもいやだというところへ持っていきますと、工事に支障を来たしますからして、それらをきめる際には関係地域住民とも十分よく話し合って、そうして、これならがまんができようとか、これならやむを得ぬというところまで話し合った上できめていきたい、このように考えております。
  64. 岡本富夫

    岡本分科員 この問題ではまた公害委員会で詰めることにいたしまして、次に、現在の大阪空港の騒音対策についてですが、これは私何べんも委員会で発言もし、また要望してきたわけでありますけれども、まだいまだにできていないのが騒音の環境基準。これは年末の公害国会におきましても、新幹線の騒音とそれから航空機によるところの環境基準を早くきめるようにというように附帯決議をつけたわけでありますけれども、大体、航空機の騒音というものはなれてしもうたらしまいだというような感じを持っておる人もございますけれども、山口大学の研究発表を見ますと、やはりホルモンの分泌、そういうものに大きな影響があって、そして相当な影響が起こっておるというようなデータも出しておりまして、これは一般の、工場で働いている方、乳幼児あるいは病人または老人、こういう方には非常な影響がやはりある。実際の例を見ましても、川西市におきまして、筒木さんという方のむすこさんなんかはノイローゼになってしまった。そういうことを考えますと、一日も早く航空機の騒音の環境基準をきめて、それを守らせなければならぬ、こういうように思うのですが、厚生省、いつごろこの環境基準をきめるのですか。
  65. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 騒音にかかわる環境基準につきましては、昨年の暮れ十二月二十五日に、生活環境審議会の答申をいただきまして、目下、これに基づく厚生省原案について、公害対策本部で関係各省との調整をお願いしておるところでございまして、近々閣議決定の運びになると思いますけれども、この環境基準は、先生御指摘のように、航空機あるいは鉄道関係の環境基準については引き続き検討するということで、今回の答申案からは一応落ちております。ただし、航空機騒音につきましては、専門委員会のほうですでに数回にわたって検討を行なっておりますので、そう遠からぬ機会に専門委員会の一応の報告が出るのではないかと考えております。
  66. 岡本富夫

    岡本分科員 こればかりやっていてもなんですが、運輸省は、いま大阪空港の姿を見ますと、百ホンとかあるいはそういうようなことをきめたりしておりますけれども、飛び上がるところの直下ですね。こういうふうな科学的な根拠、医学的な根拠がいまのところ別にないと思うんですよ。だから、厚生省のほうでは、これはできるだけ早く、そう遠くない機会にと言いますが、その大体のめどはどのくらいか、これだけ聞きたい。
  67. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 専門委員会の一応のめどと申しますか、考え方は、本年の夏ごろまでには大体まとまるというふうに考えております。
  68. 岡本富夫

    岡本分科員 次に、大阪空港の問題で非常にいままで問題になっておりましたのは、騒音によるところの電話ですね。これは非常に通話料が高くついて困る、こういうことでやかましく言っておって、私も何べんか委員会で話をしたことがありますが、この騒音電話対策について構想を聞かしていただきたい。
  69. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かに、先生御指摘のように、航空機騒音の電話に対する障害ということは一つ問題でございます。そこで、私どもといたしましても、航空公害防止協会においてこういった問題が処理できますように指導いたしまして、来年度から大体三カ年くらいの計画でもって、騒音防止電話機の取りつけの助成をはかってまいりたいというふうに考えております。
  70. 岡本富夫

    岡本分科員 これは、もうすでに防衛庁では実施をするように報道されておるわけでありますけれども、大体三カ年で全部終わるというような構想だと聞きましたが、それは了解しておきましょう。  そこで、次に、テレビの画面のふれが非常に問題になって、要するにNHKに対するところの聴視料の不払い運動とかいうようなことも起こっておりますが、この対策についてはどういうように考えておるか。
  71. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 空港周辺のテレビの映像のゆれの問題、これは確かにございます。そこで、こういう問題につきまして調査をしたわけでございますが、その結果は、必ずしも全部が全部航空機によるものであるというわけではございません。しかし、私どもといたしましては、これは前向きに考えなければいかぬというふうに考えておりまして、これも公害防止協会のほうでフラッター防止アンテナですか、そういうものをつけるように考えております。そこで、さしあたりは公共施設からそういうものをつけていこうじゃないかということで、これも来年度の計画の中に入れておるわけでございます。
  72. 岡本富夫

    岡本分科員 そこで、この騒音電話にしましても、それからテレビの画面のこれをとめるところの対策にしましても、やはり金がかかると思うのです。これは一般の住民の方に負担させるということはまことに不合理なことだと私は思う。そう言うとわれもわれもということになって示しがつかぬ、こういうようなことになると思いますけれども、これはやはりある程度現在のテレビの受信料の減免とか、こういうこともやって、地域は大体わかっておる、したがって、その両方の住民負担というものはない、こういうように考えておるかどうか。
  73. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは範囲の問題等もございますので、直ちに初めから全額負担ということにはまいらぬと思いますが、その方向で前向きに検討したいというふうに考えております。
  74. 岡本富夫

    岡本分科員 時間がありませんから、次に、——国鉄総裁出ておりますね。国鉄も非常に赤字をかかえて悩んでおるようでありますけれども、パイプラインの問題、こういう問題もあって、私も検討しておるわけでありますけれども、赤字問題は国鉄自体が相当勇断をもってやらなければならぬ。それから政府にももっと強力に申し入れて、そして赤字問題は解決しなければならぬと思います。そこで要るものはやはり要るわけです。たとえば兵庫県の国鉄ニュータウン、あるいはまた大阪方面に流れてくるところの福知山線の電化問題、こういう問題もすでに国鉄当局では計画もし、着手もしていると思うのですが、この進捗状況についてお聞きしたい。
  75. 長浜正男

    ○長浜説明員 進捗状況でございますが、私、かわりまして、担当の常務理事でございますので申し上げます。  福知山線の複線電化につきましては、四十三年から着工いたしまして、ただいま用地買収につきまして地元の御協力を得まして仕事を進めておる段階でございますが、実は、四十三年、四十四年ごろは立ち入り測量に反対をされましてはっきりできませんでしたが、地元の市の理事者の方々の御協力も得たのでございまして、四十四年度から一応立ち入りをいたしまして、四十四年度に総買収面積五万五千平米のうち千八百平米を買収し、四十五年度、本年度約八千平米くらいは買収する予定にいたしまして、だいぶ進んでまいりました。まだ一部立ち入りの測量ができないところがございますが、できるだけ努力をいたしまして仕事を進めていきたいと思います。
  76. 岡本富夫

    岡本分科員 計画を見ますと、いまのところは大阪から宝塚までと、こういうことになっておりますが、実際に三田市あるいは神戸の北、北神地区あるいは西宮の北のほう、こういうものを見ますと、ここで団地造成を相当やろうとしておる。人数については話しませんが、このまましますと、この人たちはここへ——いま、ドーナツ現象で、大阪あたりの公害問題で困っているという人たちがどんどんここへ入ってきておるわけですが、この人たちの足が今度はとまってしまう、こういうことであります。これは御承知だと思います。そこで、現在大阪から宝塚の間の計画をしているように聞いておりますが、御承知のように宝塚は非常に場所が狭いわけです。そこで、電車の入れかえ、そういうものも非常に困るのじゃないかということで、生瀬まで延ばしたらどうかという地元の意見もある。しかも、生瀬というところはすぐですが、ここには約三千坪くらいの西宮市の土地もある。この協力を要請しておる。こういうようなことも言っておりますけれども、その点について考慮されるのかどうか。
  77. 長浜正男

    ○長浜説明員 福知山線の複線電化につきましては、先生御指摘のように、宝塚まででは十分な目的が果たせない、こう思います。まして、その奥の生瀬あるいは三田付近の団地開発が漸次進んでおりますので、三田あるいはそれ以遠までの複線電化が必要かと思います。また、輸送方法から考えましてもそうするのは適当かと思います。ただ、先生御承知のように、いま生瀬あるいは宝塚から三田までの間は山の中を通っておりまして、これは山の中の川沿いでございますが、これがダムアップされるという計画もあるように承っております。そうなりますと、当然現在の線路もつけかえなければならぬということになります。そういうことで、現在地元の関係市とそれから県とわれわれ一緒になりまして、その辺の将来計画を詰めまして、それにのっとりまして仕事を進めるということで、ダム関係とそれから団地造成との関係において、三田までの往復区間をまとめることを極力進めるようにいま協議を進めておる段階でございます。
  78. 岡本富夫

    岡本分科員 まず、宝塚から三田までの件についてはやはり次の問題になると思いますが、宝塚のすぐ隣の生瀬までは、要するに大阪から宝塚までというのは、御承知と思いますが、ちょうど明石から西明石というような関係になろうと思うのであります。明石には、御承知のように電車を置くところがない、駐車場がないというわけで西明石まで延ばしておりますが、そういうような関係のところまではお考えになっていないか、これが一点。  それからもう一点は、大体計画の最終の段階、要するに何年を目標にしてやっておるのだということも確かめておきたい。
  79. 長浜正男

    ○長浜説明員 生瀬までの延長につきましては、私が申し上げましたような三田までの延長のホールプランをつくりまして、その中で進めていきませんと、宝塚から先のルートが変わるということになりましても困りますので、その辺を考慮して、変化がないということになりますと、今度は車の回転その他を考えて、宝塚までがいいか、生瀬までがいいか——実は、宝塚に関しましては、現在の駅の改良方について地元の意見が若干ございますので、そうなりますと、生瀬まで行く必要が出てくるか出てこないか、その辺も答えが出てこようかと思います。  それからこの完成の時期でございますが、これは用地買収が終わりました後、物理的には三年もあれば大体できると思います。あとは工事資金予算等、資金の問題でございまして、それのほうの手当てがつけば、物理的には三年もあれば工事は完成する、こういうふうに私たち考えております。
  80. 岡本富夫

    岡本分科員 時間になりましたから、最後にもう一点だけ。  私は、昭和四十二年に、産業公害委員会で、尼崎市の立花駅の西のあかずの踏切という問題を取り上げました。これは御承知だと思うのですけれども、あれは山陽本線が非常に合理化されて——非常に合理化されたと言うとおかしいけれども、踏切番がいなくなった。そのために、この踏切の遮断機が全部電化されたということで、一時間のうちわずか十二分くらいしかこの踏切の遮断機があかない。そのために多量のバスあるいは通勤のバス、あるいはまた自動車がとまる。それがどんどん排気ガスを起こして、その付近の商店街に非常に迷惑をかけておるということで、やっと四十五年にここに高架をすることができたわけでありますけれども、現地の姿を見ますと、去年の秋ごろに大体両側の高架の道路はできておるわけでありますけれども、その上に橋がかかっていない。たくさんの車がそのために通れない。このままずっと放置されたのでは困るというのが現地の声なんです。これもいつごろどうなるかということを最後に確かめて質問を終わりたいと思います。
  81. 長浜正男

    ○長浜説明員 確かに、立花の西側の踏切につきましてはおっしゃるような状態になっておりまして、国鉄としても早くこれを立体化しようということで、私たちも進めておったわけでございますけれども、先生御承知のように、上にするかあるいは地下にもぐらせるかというようなことでなかなか調整がまとまりませんでしたし、地元の意見もまとまらなかったわけですが、先生ただいまおっしゃいましたように、四十五年にこの協定がまとまりまして、私どもはそれに従いまして鋭意仕事を進めております。  そこで、仕事の見通しでございますが、当初来年の予定でございましたけれども、よく内容を詰めまして、現時点で本年内には完成させたい。極力仕事を早くやりまして、年内に完成させるように努力をするつもりでございます。
  82. 岡本富夫

    岡本分科員 国鉄仕事を見ていますと、非常にマンマンデーで、何といいますか——この道路は非常にたくさんな車が通る道なんです。したがって、もう土地の問題も解決はしたのだし、これからあとは工事の進捗だけだと私は思う。したがって、年内、こういうことでありますけれども、できるだけ早くこの問題の解決をするように強く要望したいと思うのです。  そこで、あれは大体四車線だと思うのですけれども、その四車線とも全部できるわけですか。その点だけ。
  83. 長浜正男

    ○長浜説明員 とりあえずは年内に、この暮れまでに二車線だけ通したいと思います。現時点では通れませんので、非常に通行上難儀をしておられると思います。人間は地下道を通って可能でございますが、車は他の踏切を通るというような状況になっております。とりあえず二車線だけ開通させたい。  なお、国鉄の工事は列車に接近していたしますので、非常に危険が伴います。十分安全をはかりながらの工事でございますので、非常に難儀いたしますけれども、いま申しますように、工事の工程を切り詰めまして、できるだけ便宜をはかって年内完成にこぎつけたいというふうに思っております。
  84. 岡本富夫

    岡本分科員 終わります。
  85. 大野市郎

    大野主査 大原亨君。
  86. 大原亨

    大原分科員 私が質問するのは、瀬戸内海という非常に広域の海水域の総合的な汚染防止の計画、こういう問題について、公害立法があったわけですから聞きたいと思うのですよ。つまり、この公害、東京湾とか、あるいは伊勢湾とか、大阪湾とか、特に瀬戸内海とか、内海というか、湾の海洋汚染、これの総合的な汚染防止、浄化の計画というものは、どこの責任でどういう分担でなされるのかということを、私どもはやはり国会で議論しなければならぬと思うのですよ。これは一つの盲点だと思うのですね。  そこで、その前提として、瀬戸内海の水産資源について、いまのままの汚染状況が続くとすればどういうふうに水産資源はなっていくのか。日本の食料、生鮮魚介類その他の観点から見ての位置づけ、見通し、これを水産庁はどのように把握しておられるか。簡潔に御答弁いただきたい。
  87. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 瀬戸内海産の魚介類というのは、いわゆる瀬戸内ものと称して、なかなか国民になじみの多いものでございます。最近の漁船漁業の動きを見ますと、瀬戸内海は非常によごれてまいりまして、私ども、これは今後きわめて慎重に対処すべき問題と思いますけれども、漁船漁業の実態といたしましては、漁獲高はそれほどの減少はいたしておらないわけでございます。四十二年が二十七万トン、四十三年が二十九万トン、四十四年が三十万トン。決してふえているということではございません。多少のフレでございますけれども、漁船漁業に関しましてはそう激減しているという傾向はいまのところはないわけでございます。ただ、とれます魚の種類が多少変化しておることは間違いございません。たとえばタイが非常に少なくなって、イワシ類がふえる、そういうことはございますけれども、全体の水産物の量としては、漁船漁業では大体持ち合いあるいは多少上向きかげん。  それから、養殖関係では、赤潮でございますとか、あるいはカキ類のカサネカンザシ等による被害が、四十四年、四十五年と相当深刻なものがございましたけれども、これも、私ども、一方、栽培漁業センターというものをつくって、エビ類等の人工ふ化、養殖、放流等のことをやっておりますので、全体としてはまだまだ瀬戸内海は有望な漁場であるというふうに私どもは思っておるわけです。  これからの問題として、公害がこれ以上進み、海の汚濁が進みますと、私がいま申し上げたようなことが今後長期にわたって維持できるかどうかということは問題でございます。その点は、幸いに昨年末の国会で公害関係法律がそれぞれ成立をいたしましたし、また、私どもも、今回の国会に海洋水産資源開発促進法という沿岸における増養殖を進めるための手だてをきめる法案を提出いたしておりますので、十分各省とも連絡をして、海の浄化、公害がこれ以上進まないことについていろいろ措置をいたしてまいる考えであります。
  88. 大原亨

    大原分科員 瀬戸内海の汚染をこれ以上進ませないという計画を進める主管官庁はどこですか。いま大和田長官も言われたけれども、これから汚染が進まないという前提であるならば漁業資源にはあまり影響ないだろう、こういうことなんですが、どこが一体責任を持って全体の計画を進めていくのですか。今度の環境庁ですか。海洋汚濁防止法の責任大臣である運輸大臣ですか。
  89. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは全体の所管運輸大臣が持つということにはならないと思います。たとえば、陸上から流れてくる汚濁防止につきましては、それぞれ通産省なりあるいは経済企画庁ということになりましょう。それから海洋汚染に関する問題、防止法に定めるところは、運輸大臣、海上保安庁で処理する。総合的対策でこれ以上は汚濁させない。させないだけでなく、もっときれいにしてまいる、そういう考えでおります。
  90. 大原亨

    大原分科員 どこが責任ですか。ばらばらですか。
  91. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 それぞれの所管に従ってもちろん協力しながらやってまいります。ただ、事業主体がやはり違っておるものですから、だれか一人責任を負うという形でなく、陸上関係については通産省なりあるいは経済企画庁、海洋汚染防止法によるところのものは運輸省が処理する、こういうことで、完全なる連絡によってうまくやってまいる所存でございます。
  92. 大原亨

    大原分科員 そういうことを総合的に計画を立てて、それぞれの各省の分野において責任を果たすというふうにするのが行政の一元化であり、あるいは環境庁等を設立する趣旨ではないのですか。国務大臣としてどうですか。
  93. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 環境庁の仕事は、もちろんものによっては事業体を持つものもあります。しかし、大部分は環境基準及び連絡調整というところに主眼が置いてありますから、もちろんこれは環境庁も一枚加わってまいりますけれども、一切がっさい事業体を環境庁が指導監督するというたてまえではありませんが、しかし、これによって十分に連絡をして、目的を達成し得るとわれわれは考えております。
  94. 大原亨

    大原分科員 瀬戸内海にしても東京湾にしてもそうですが、広域の海域における、たとえば瀬戸内海の水は、学者の説明によると二十年間に一回しか更新されないという。全面的に更新をされるのには二十年間かかる。コップの中のあらしみたいなものであって、周辺からずっと新しく入るのがあればいいけれども、入ってくるところがないのだから汚染が進んでいく。これはだれが考えても常識です。それで、どういうふうにしてきれいにしていくか。そういう計画を立てて進めていくのは一体だれですか。
  95. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 学術的な、二十年間に一度変わるかどうか、私よく承知いたしませんけれども、たとえば水産資源に関することになりますと、やはり水産庁の所管であります。汚物を捨てるとか、ごみを捨てるというものに関する取り締まり官庁は、運輸省が扱いますし、また陸上から流れてくるところの汚物を規制するということになれば、通産省もしくは経済企画庁等が行なう。これを総合して、そうして遺憾なからしむるということは、もちろん環境庁が調整の要があればやってまいる、かように考えております。
  96. 大原亨

    大原分科員 理屈はちょっと通っているようなんですが、環境庁はやはり連絡調整機能なんですよ。大体いまの対策本部と同じなんですよ。それにちょっと毛のはえたようなものなんです。つまり、あなたのほうだって船舶やその他の企業を育成するという任務があるわけですから、そうすると、少々油を排出いたしましても大目に見るという、企業との癒着の問題が出てくるでしょう。それから通産省でしたら、やはりそういう傾向があるわけです。経済企画庁は弱いわけです。ですから、企業の助長行政とか、密着をした、癒着をしたそういうばらばら行政では、海洋という水域の総合的な汚染防止の計画は立たぬというのが問題なんですよ。問題の本質はそこで、行政の一元化ということが必要なわけです。いまのようにばらばらにやっていたら、だんだんと時間がたてば汚染をされていくということは不可避ではないか。それを防止する計画は、だれが責任をもってやるんだということについては、あとでよく考え答弁してもらいたいと思いますが、これは納得できないわけです。これはまだきちっと出てこなければわからぬけれども、環境基準をきめるということと連絡調整でしょう。そうすると、実際上いままでの対策本部とちっとも変わらない。  それから、私は水産庁長官質問を続けてまいりますが、タイとかハマチとかは養殖を含めてどんどん減っているわけですよ。それから、あなたの言われたようにイワシはふえているわけです。プランクトンが異常発生しておるということなんですね。そういうプランクトンやイワシを食べて成長するタイとか、そういう大きいものは、あなたが言われるようにあまりふえていないわけです。そこで、このままいきますと、ことし昭和四十六年は赤潮とかカサネカンザシ、非常にカキの肉が小さくなって汚染をされているというカサネカンザシの問題があります。そういうものがいま異常にふえていくんじゃないか。ことしは去年よりも、さらに春以降においてはふえていくんではないか。異常発生が続いていけば、こういう見通しという一ものは立たないのではないか。つまり、赤潮とかカサネカンザシというふうなものの異常発生は、これによって水産資源が、酸素が不足して死んでいくわけですけれども、そういうことは光化学スモッグと同じようなもので、東京都だけでなく、そういうものはかなり手を打っても、大都市に次から次に発生するだろうといわれておる。それに匹敵する問題が、この赤潮の異常発生の問題だろうと思います。あなたのところは、汚染防止をやっているんじゃないのだ、魚を育てることをやっているんだ。水産資源を育成することをやっているわけですが、そういう側面から見た場合に、汚染がこのまま進んでいけば、赤潮の異常発生というものが去年よりもさらにひどくなるのではないかと私は思うが、いかがですか。
  97. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 赤潮とカキの害虫のカサネカンザシと多少事情が違うわけです。赤潮のほうは、これは赤潮の発生しやすい条件というものは確かにできつつあるわけでございますから、それを誘発するような自然条件、水流でありますとか、水温でありますとか、あるいは刺激物質でありますとか、そういうものがどういう形で作用するかということで、赤潮がどの程度発生するかということがきまるわけで、これは四十四年、四十五年を見まして、四十五年のほうがひどかったわけでありますから、四十六年も私どもは非常に心配をしておるわけです。私どもいま総力をあげて、水産研究所を中心としてその解明と対策との研究に没頭しておりますけれども、これはなかなか簡単にはまいらないわけであります。なお研究は進めるつもりです。  カキの害虫のカサネカンザシは、四十四年は相当ひどく起こりまして、広島湾のカキというものが相当痛めつけられたわけですけれども、四十五年度はそれほど大きな被害はなかった。これは私どもの共済金額の支払いでもはっきりいたしておるわけであります。またカサネカンザシのほうは、水産研究所及び県の試験場等で大体の対策が立ったはずであります。詳細申し上げることは控えますけれども、たとえばコレクターを五、六メートルからもう少し下のほうに下げればカサネカンザシがつかない、あるいはついた場合に日光に当てるとか、あるいはプレッシャーで吹き飛ばすとかいうことで、それは大体漁民の技術に現在だんだんなろうとしておるわけで、私どもも、水産関係で改良普及員がございますし、また県の試験場を通してそういう指導をやっておりますので、これは大体いけるという感じを持っております。両方はやや違いますので、赤潮のほうはこれは相当大もので、研究所全体を通じてもっと深く掘り下げて、その対策までもできるだけ早い機会に究明をいたしたい、そういうふうに考えております。
  98. 大原亨

    大原分科員 瀬戸内海を取り囲んでおる中国、四国の臨海工業地帯、そういう工場地帯から排せつする工場排水の直接的な汚染による魚類の死滅、赤潮の異常発生、こういうこと等があるわけですが、つまり赤潮の異常発生の原因は何なんですか。何回も聞くようですが、もう一回答えてください。     〔主査退席大村主査代理着席
  99. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 赤潮の発生は有機塩類、窒素なり燐酸なりが海中で相当豊富にあるという状態、並びに赤潮関係のプランクトンの発生をする水温でありますとか、あるいは流れでありますとか、そういうもの、あるいは刺激物質、ビタミンB12、そういうものが相重なって赤潮を発生いたすわけで、現在都市屎尿を海に捨てるとかあるいは工場排水等によって有機塩類がふえておる。したがって、赤潮の発生しやすい条件ができておりますことは明瞭で、ただそれは、直ちに都市排水あるいは屎尿等がストレートに赤潮発生の原因になるかといいますと、私ども学者を集めてよく研究いたしておるわけでございますけれども、たとえば長崎県の大村湾で、これは別に工場地帯がまわりにあるわけではございませんし、また大きな都市があるわけではございませんけれども、よく赤潮に悩まされておりますし、それからアラビア付近の紅海でも赤潮が相当問題になっておるわけでございます。したがって、ストレートに工場排水、あるいは都市排水、あるいは屎尿、そういうものにストレートに結びつくことではないけれども、それが相当大きな原因になっておるということは、これは否定できないというのが、どうも最近の学者等の大体の一致した見解だろうというふうに思います。
  100. 大原亨

    大原分科員 逆に、赤潮の異常発生を防止しよう、海水汚濁のバロメーターである赤潮の異常発生を防止するための対策は何でしょうか。
  101. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 いま申し上げましたように、長崎県の大村湾あるいは紅海等で自然的な事情による赤潮が発生することがあるわけでございますから、それまでも防止するということは、これはなかなか困難であろうと思いますけれでも、都市排水あるいは工場排水等々が赤潮ができやすい条件をつくっておるという場合には、排出の規制をすることが、私はやはり一番根本的な問題であろう。あるいは屎尿の廃棄というのをそれぞれコントロールするということで、赤潮が発生しやすい条件をなくすという意味で、非常に意味があるというふうに考えます。
  102. 大原亨

    大原分科員 工場排水による直接的な汚染による被害、それと窒素、燐酸、その他富栄養が一定の段階、そういう段階における酸素の欠乏等による魚族の死滅、これがさらに進んでいけば全面的に死滅、こういうことが私は進んでいくと思うのですね。いまは中間段階だと思うわけです。そういうことになれば、総合的な浄化の計画がなければいかぬわけですよ。これはもちろん油濁防止法その他の問題になる。船から油を流す、工場から油を流す、廃液の処理ができない、やっていない、そういうこと等が全部総合しているわけですけれども、全部総合して瀬戸内海が汚染をされているということだと思うのですね。  厚生省、きょう見えておるわけですね。——運輸省は、この清掃法との関係はあまりよく勉強しておらぬわけです。かなり前の議論から詰まっておると思うのだが、清掃法の厚生大臣と運輸大臣との権限の関係。つまり広島だって呉だって、そういう都市から瀬戸内海になまの屎尿を投棄している。甲島なら甲島でよろしい、安芸灘なら安芸灘でよろしいと許可しておるけれども、行く途中で船の底をあけて流す、こういうことででたらめになっているわけだけれども、それはいま権限の関係はどうなっていますか。厚生大臣の権限、責任と運輸大臣との関係
  103. 浦田純一

    ○浦田政府委員 今度の新しい法律改正によりまして海洋汚濁、汚染を防止するために、いろいろと規制が設けられたわけでございます。一方廃棄物処理及び清掃に関する法律におきましては、従来の規制を強めまして、全国的に、地先海面も含めまして特別清掃地域というものを撤廃いたしまして、廃棄物をむやみに投棄できないというように規制が強化されたわけでございます。その中で、ことに屎尿の海洋投棄につきましては、海洋に投棄する場合の海面の規制、どの海域には捨ててはならないということにつきましては、海洋汚染防止法のほうでその海域をきめていただく。(大原分科員「だれが」と呼ぶ)運輸大臣です。それからどういったものを捨てるか、一般廃棄物を捨てる場合のいろいろの規制、屎尿をその場合に含めるかどうか問題がございますが、そういった規制といったものにつきましては、廃棄物及び清掃に関する法律でもって厚生大臣がきめるというふうになっておるわけでございます。
  104. 大原亨

    大原分科員 いままでの清掃法と変わっているところは、いま説明したとおりですね。いま広島市の周辺の屎尿は甲島、呉のものは安芸灘のほうにそれぞれみな持っていっているわけですが、そういうふうな禁止区域外に捨てることについては、あなたはいまのままでいいと思っているのですか。
  105. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 今度の法律が施行されますと、運輸省考え方では、瀬戸内海には捨てる場所を設けない。現在はあるわけですね、従来の法律によりますと。今度の防止法ができますと、少なくとも瀬戸内海の中では捨てさせない。ただ、陸上からたれ流しのもの、これは厚生省もしくは通産省の所管のものがあります。しかし、船に積んでこれを捨てることは、瀬戸内海の中にはそういう場所を設けない、こういう方針で省令もしくは政令等を改正していきたいと考えております。
  106. 大原亨

    大原分科員 いつ変えるのですか。
  107. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 その点は関係者から答弁させます。
  108. 見坊力男

    ○見坊政府委員 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして、海洋を投入処分の場所とすることができる廃棄物は政令できめるわけですが、それをどういう場所にどういう方法で捨てるかというのは、これも政令できめることになっております。これは海洋汚染防止法で、一年六カ月後に施行するということになっております。(大原分科員「それはいつから」と呼ぶ)公布が昨年の十二月二十五日でございますから、それから一年六カ月後ということになるわけですが、それまでに政令を関係省で十分協議をして、適切な場所に適切な方法で捨てるという基準をきめることになります。
  109. 大原亨

    大原分科員 運輸大臣答弁で、瀬戸内海の内海には捨てさせない、どこに捨てていいか、どこに捨ててはいけないかという区域の設定は一年六カ月後だ、こういうことですね。いまそれだけ明らかになったわけだ。そうすると、瀬戸内海には捨ててはいけないということだろう。それじゃ、一年六カ月後まではどういう法律で規制し、だれが監督するのです。一年六カ月の間は、どんどんどこに捨ててもいいのかどうか。
  110. 見坊力男

    ○見坊政府委員 この法律が一年六カ月後に施行になりますが、それまでの間は現行清掃法がなお効力を有するわけです。どの場所にどういう方法で捨てるのかというのは政令できめるわけでございますが、この前の国会のときにも御答弁申し上げましたが、東京湾、伊勢湾あるいは瀬戸内海は、いま大臣からお話がございましたように、われわれとしてはそういう地域には投棄することを認めないという方向で政令を考えたいというふうに考えております。
  111. 大原亨

    大原分科員 それじゃ広島とか徳山とか呉とか、こうした工業地帯のなまの屎尿はずっと外に持っていって、今度は高知の沖のほうにでも捨てるのですか。そのためには、鉄鋼船をつくったり大きな船をつくったり何かしなければならぬ。民間委託で簡単なことではできないですよ。そういう地方自治体の投資が要るでしょう。浄化計画と下水道計画等を考えあわせてみても、そういうことの予算措置等についての指導ということは、どこが責任持ってやっていくのです。自治体に全部まかして、鉄鋼船をつくってずっと遠くに出ていくといっても、しかし、高知の沖にやったら高知県の漁業組合がおこるかもしれない。うんと遠くへ行くなら、それは魚のえさになるから太平洋の魚がふえるかもしらぬから、場所によってはいいかもしらぬ。田子の浦のヘドロとは若干違うかもしれない。そういうことの財政上の裏づけは、大体どこで一体やるのですか。
  112. 見坊力男

    ○見坊政府委員 この政令を一年六カ月後に施行ということにいたしましたのも、施行をしてすぐできるという問題ではなくて、いま先生お話しのように、船舶の構造を直すとかあるいは融資をする、そういうような準備期間が必要でございますので、一年六カ月の猶予期間を置いたわけでございます。したがって政令はなるべく早く、できるだけ早く制定いたしますが、実際にそれが動き出すまでの間には、それだけの準備が必要なわけでございます。  そこで、そういう船舶に対する融資であるとかあるいは施設面の融資であるとか、それは、たとえば船舶であれば運輸省でやるとか、あるいは港湾施設であればこれも運輸省でやる。それぞれ所管のところにおきまして、お互いに十分協議をしながら円滑な施行をはかっていきたいということになっております。
  113. 大原亨

    大原分科員 連絡のあるところで円滑にやっていくといったって、たとえばかなり大きな船が要るわけです、遠くへ出るのだから。幾つか要る、都市がみなあるんですから。鉄鋼船でしょうよ。そういうものをつくる場合に、どこに財源の措置を——一年六カ月後突然やったって、そんなことはできやしない、あなたの言うように経費がかかるのだから。大蔵省主計官はどこだと思っているか。どこでやるか。大蔵省は予算を削るばかりが仕事じゃない。運輸省はそういう担当する局があるの。——時間がもうあまりないから、答弁できないというふうに確認しておきたい。——ちょっと待って。  それでもう一つ経済企画庁や通産省の関係だけれども、岩国、大竹地区に例をとってみましても、水質基準とか環境基準というのがあるわけです。しかしながら、環境基準A、B、Cの階級をきめているけれども、実際にはどんどんそれ以上の汚染が進んでいるわけなんです。工場排水基準のきめ方なんかなっておらぬと思うのだ。もう一つは、広島県と山口県の県境なんです、岩国、大竹地区は。県によって方針が違うわけだ。山口県のほうは、山陽パルプの前のほうは海域が出っぱっておって、大竹沖が五百メートル、岩国沖は一キロ出っぱっておって基準がやわらかい。そういうふうな工場排水等に対する基準の設定のしかたやきめ方、海域のきめ方や水質について、現地においても、こんなことで何ができるんだということがあるわけだ。そういう総合調整するのはどこです。県境のそういう矛盾を総合調整してやっていくのはどこなんですか。それでなければ、幾ら基準をきめたって、これは何にもならぬわけだ。
  114. 白井和徳

    ○白井説明員 ただいま先生御指摘のように、確かに大竹、岩国の地先海域におきましては、環境基準は、大竹地先海域五百メートル、それから岩国の地先海域につきましては千メートルということになっております。これにつきましては、県境において排水基準を設定するということの仕事は、水質保全法に基づきまして経済企画庁が関係省庁の意見を聞いて総合調整をやっております。ただし五百メートル、千メートルの問題につきましては、大竹地先海域におきますパルプ工場、これはKPの設備を有する工場でございます。山口県側の岩国のところのパルプ工場はSPでございまして、この辺は若干いわゆる廃液の処理技術の問題において違うものがございますので、当面、処理技術等を勘案いたしまして一応こういうことになっております。
  115. 大原亨

    大原分科員 しかし、それにしても区域が違うというのはおかしいですよ。海域が違うのはおかしい。片方が五百メートルで、片方は一千メートルまではCの基準でやるというのは……。そういうことですが、全体としてやはり問題は、どんどん汚染が進んでいくのじゃないか、油のたれ流しを含めて。そして実際には赤潮の異常発生、さらに死滅の段階にいくのじゃないか。それからいままで蓄積したヘドロの、たとえば岩国の一部を含めてそうですが、ヘドロを清掃する、浄化するのはだれが一体やるのか。水産資源としては貴重なところだから、そういう総合的に、瀬戸内海が人間の環境として、また魚が住めるようにするというような方針をとったとするならば、だれがそういう目標をきめて総合政策をやるのだ。部分部分を規制しようと思ったって、いままでみたいにばらばらになったら、それは野放しになってしまう。あなたのところの海上保安庁は、いままでのようにおざなりなことでなしに、実際に監視もし、ヘリコプターその他が予算に計上されたそうだから、あるいは検査能力を持つものがあるのかどうかということまで含めて、そういう監視の体制があるのかどうか。今度新年度はヘリコプターなんか全体で四機ふえているらしいが、瀬戸内海に油とか屎尿とかいうものをやっているところの監視は十分できていないわけですから、それを実際に現地を押えて検査する能力も海上保安庁にはないのじゃないか。四日市の問題ではしなくも海上保安庁の責任というものが非常に大きいということはわかったけれども、これらについて、瀬戸内海に焦点を当ててどういう考え方でやるのかということを、運輸省のほうから答弁してください。  そのあとは、これは環境庁の行政の一元化その他の問題で議論したいと思うのですが、それにしてもこれは公害予算関係が深いことなんだから。ばらばらなんです。
  116. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私どものほうで、このたびの海洋汚染防止法の第四十五条により、必要な監視を常時行なうということになりました。従来とも四日市事件等で、港則法をもとにしながらやっておりましたが、今回の法律で、常時監視ということを明定されました。  これをやりますについて、瀬戸内海についてはわがほうの管区本部の所管区分からいいますと、東側と西側と五管、六管という二つにまたがってまいります。これについて、やはり監視と取り締まりの一元化という問題をわれわれは考えなければいかぬというので、そういう面の協力体制はいまつくっております。現実の監視、取り締まりの方法といたしまして、従来の体制では非常に劣弱であるということで、四十六年度の予算におきましては、いま先生お話しのようなヘリコプター四機並びに取り締まり用巡視艇二十二はい、これも従来の代替建造の一環ではありますけれども、そういった意味で多く代替建造して能率をあげるようにいたしましたが、これらの新しい巡視艇等は、瀬戸内海を含めた四つの公害多発地域に全部投入して能率をあげる。かようなことをいたしまして、今後の取り締まり、監視については、それぞれ従来のものを含めて効率をあげたいと考えております。  ただ、いまお話しの、従来からのヘドロがたまっておるというような問題につきましては、あるいはまた先ほど来お話しのような他の所管官庁の行政の基本から非常に改善すべきと思われるようなものにつきましては、私どもは監視の一環として、そういう事実を把握しました暁には、関係の官庁あるいは地元公共団体との連絡のもとに、従来のものの処理あるいはもう一つ深い研究、開発を要するものの問題処理に当たっていく、かような方針で今後進みたいと思っております。
  117. 大原亨

    大原分科員 つまり行政の一元化の問題がここに一つあるわけです。それから研究調査の一元化の問題があるわけです。通産省の関係、農林省の関係——農林省のほうが一生懸命研究して公害の問題を大きくやったり、よけいなことをすれば、補償問題が起きるからというので頭をたたかれるのです。そういう公害や汚染防止の観点から、研究体制の一元化という問題があるわけです。それにこたえるような環境庁や行政機構でなければ、これは国民生活優先の公害対策というものは全然できないわけですね。だから、それらの問題は今後の問題ということにいたしまして、きょうは序論みたいなことになったわけですが、これは、行政管理庁も出ておられるわけですから、今後の審議において具体的な問題で詰めて審議をしていきたい、こういうことだけを申し上げ、それをよく研究して、しどろもどろにならぬように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  118. 大村襄治

  119. 岡沢完治

    岡沢分科員 お昼抜きでお疲れだと思いますけれども、私の持ち時間の範囲内で、国鉄の片町線を中心にお尋ねをしたいと思います。  私の隣に安井議員がおられますが、北海道に白糠線というのがございます。四十四年の十月に延長工事が完成をし、レールも敷かれておりながら、一年以上も列車が走っていないという路線が現実にある反面、きょう私が取り上げます片町線、これはもし複線化が実現した場合、その日から営業成績は間違いなしに黒字になる。東京と並んで大阪近郊の過密の典型的な地区でございまして、人口は日本全体でも伸び率の最も高い地域であります。そしてまた住宅や工場がすばらしい進出をいたしておりまして、通勤、通学路線としても緊急性あるいは必要性はきわめて高いランクに位する路線だと私は思います。また、それが複線化なりあるいは市内乗り入れ等が実現いたしました場合には、単に通勤、通学対策としてだけではなしに、住宅対策、地価対策等としても果たす役目はきわめて大きい路線でありながら、いまだにほとんどの範囲が単線で、しかも営業の開始は明治二十七年と、七十五年間の歴史を誇っておるのであります。並行的に走っております私鉄の京阪電鉄のほうは、超満員で過密輸送にあえいでいて、普通であれば、競争路線ですから国鉄の複線化を非常にきらうわけですけれども、むしろやってほしい、そうでないと、うちのほうが破裂するという。京阪電鉄のほうではバイパス路線を考えておる。ああいう地価の高いところで新線でも建設しようかという地区で国鉄のほうは現に路線を持ちながら、全く宝の持ちぐされで、しかもまた、この委員会におきましても数年来指摘をしながら、ちっとも実現されてない。どう考えても理屈に合わない。経済合理性に合わない。国鉄再建とおっしゃいますけれども、再建のためにも決してマイナスにならない路線です。一方で、先ほど申しました白糠線のように、一年以上も前に完成しながら走らせもしない。工事で十億円のむだ使いということが大きく報じられてもおりますし、走らせれば大きな赤字になるという路線の建設については積極的だ。国民の立場から見てどうしても納得できない姿が現に見られるわけでございまして、この片町線についてどういう御方針をお持ちなのか。数年前にこの場所で、当時の石田国鉄総裁自身から、この問題については徹底的に調べてみるという御言明をいただいておりますのに、具体化が全く見られない。全く不可思議な路線といってもいいと思いますが、この片町線の問題について国鉄の御計画なり御方針なりを承ります。
  120. 長浜正男

    ○長浜説明員 片町線の複線化による輸送力増強の問題につきましては、ただいま先生御指摘のように、当委員会でももう何回となく御質問をいただいており、御答弁を申し上げたような状況でございます。全くただいま先生が御指摘になりましたとおりでございます。実は輸送人員につきましても先のほうは相当伸びておりまして、四十四年の春、片町から四条畷まで複線にいたしました。したがいまして、その間は列車本数も相当ふえたわけでございますけれども、その先の四条畷から長尾を経て木津に至ります間は、先生おっしゃるように単線でございます。したがいまして、輸送力は、ラッシュにおきましても片道一時間当たり三本くらいしか列車が入らぬという状況でございまして、混雑状況は、前回、前々回あたりはまだ百五、六十%の混雑程度でございましたけれども、昨年あたりからラッシュ一時間あたり二〇〇%から二七〇%くらいというような混雑状況を呈しておりまして、逐次混雑が激しくなりつつございます。そこでわれわれとしても、片町線の輸送力増強を何とかしなければならぬということでございますが、輸送力増強の方法として、ホームを延伸いたしまして編成両数をふやす方法もございますけれども、実は何ぶんにも手前のほうがホームが短うございまして、現在五両編成にしておりますのを一挙にふやすというわけにまいりませんので、やはりこの解決の方法としては、複線にして輸送力をふやすより方法はないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。  それで、いつからこの複線に着工するかということにつきましては、そういう状況で、地元の住宅団地その他も逐次建設されつつあるような状況でございますけれども、輸送力増強に関します投資の規模といたしましては必ずしも潤沢でございませんで、現在やっております東京付近の輸送力増強工事あるいは地方におきます複線電化の工事等にいま工事費が食われておるといいますか、そちらが工事の途中でございまして、途中でやめるわけにいかないので、それをなるべく早く仕上げてしまいまして、そして新たな、片町線のような線区に投資を向けていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  もう一つは、片町線と福知山線との間をつなぎますルートが完成いたしませんと、京橋駅の乗りかえの問題等がございまして、必ずしも十分な効果を発揮いたしませんし、こういう片町線と福知山線とを結ぶ問題あるいは片町線の輸送力増強するためには予算措置その他いろいろむずかしいので、地元における御協力方をどうしていただくかというようなことにつきまして、現地でも積極的に相談を進めておる段階でございます。近く大阪の都市交通審議会が開かれまして、その大阪部会においてもこの問題を強く取り上げていただくような状況になっております。その結論などもいただきながら仕事を進めさせていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  121. 岡沢完治

    岡沢分科員 長浜常務さんはこの地元の御出身でもありますし、建設局長もなさっておられたし、この複線化の運動は二十年来続けられておるのでよく御存じでございますけれども、しかし、いまのお答えでも、具体的に、いつ、何年度に、どういう予定で複線化するというお答えが全くないわけです。私は国鉄財政が豊かでないことは十分承知しております。しかし、何にも必要性のないといいますか、レールは敷いたけれども、一年以上も走らさない、ほかのほうの工事が途中だからやらなければいかぬ、それを待ってというようなことは、私はほんとう意味での国鉄の使命、公共性、必要性というものを勘案されての御計画なのかどうか疑わしいと思うのです。先ほどお示しになりました数字にいたしましても、片町沿線の大部分の者は、国鉄の片町線を利用したいけれども、回数が少ないから、わざわざ高いバス代を払い、京阪電車を利用して大阪に通っているわけです。これはやればもうかる路線で、地元のほうでも負担すると言っておる。先ほど申しましたように国鉄も赤字にはならないし、地方自治体にいたしましても、通勤、通学あるいは住宅対策、地価対策、土地開発、いろんな意味でマイナスの全くない路線、こういうのをほったらかして、そして先ほど申しましたような赤字線の建設にうつつを抜かされる。これはそういうつもりではないかもしれませんけれども、結果としてはそういう緩急ところを得ない処置をとっておられる。これで公共性があるいは企業性がほんとうに保たれるのか。あるいは口ではおっしゃるけれども、実際には実行しておられるのかどうかということで疑問を持たざるを得ないわけです。よくいわゆる政治線というのがあります。政治的に政治駅がつくられたり政治路線がつくられる。これは全く経済合理性からいえば当然に複線化され、あるいは新線でも建設されなければならない地区でありながら、現に私鉄なら喜んで、近鉄にいたしましても京阪にも私は当たってみましたが、払い下げてもらえるなら喜んで経営する、こういう話があるような路線を、わざわざ宝の持ち腐れで複線化をおくらせておられる。どう考えてみても私は納得できないわけです。もう少し具体的に計画があってしかるべきだと思うのです。初めて取り上げるのならいまの御答弁でも私はいいと思うのです。私が国会に出させていただいてから四年間、毎年取り上げさせてもらってちっとも進まない。昨年までは万博関連のほうが忙しいという理屈があったかもしれません。しかし、いまも同じような御答弁では、国民としても、あるいは国鉄再建計画そのものに対するほんとう意味での企業性についての理解を疑う意味からも私は納得できないのです。もう少し具体的な見通しについてお答えがあるべきではないか。もしないなら、総裁なり運輸大臣からもこの問題について見解を聞きたいと思います。
  122. 長浜正男

    ○長浜説明員 おっしゃるとおり、複線による輸送力増強を早くやらなければいかぬことは私も万々承知しております。それで、関西線の複線につきましても、、実は十数年来の懸案でございましたが、やっと昨年から着工するようになりました。そういうことで逐次あちこち複線の工事をやっておるわけですが、何ぶんにも予算の総ワクの問題がございまして着工がおくれております。ただ、四十六年度から政府からの複線、電化等に対する出資の特別措置もやっていただくような非常に積極的な御配慮もいただきましたので、四十六年度あるいは四十七年度になりますと、もっと大きくそれの御援助がいただけるのではないかと思っておりますけれども、そういう状況でございますので、できるだけ早く片町線にも着工したいと思っております。  それで、現時点では、地元とどういう応援をしていただけるかというようなことを実は具体的に相談をしておる段階でございます。実はそれの見通しが立ちませんので、ここでいつからということを申し上げられないので前と同じような御返事になったわけでございますが、内容的には実は地元の関係市と利用債その他についてどの程度範囲内においてというような御相談を進めておる段階でございます。しかし、それの見通しがつきませんと、来年度とか再来年度というわけになかなかまいりませんので、そういう見通しがはっきりしました時点で御返事ができるんじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  123. 岡沢完治

    岡沢分科員 長浜常務理事は、四十四年二月二十四日のこの分科会でも同じ答弁をしておられるのですね。前向きで、積極的に、社会情勢に合うように、——その社会情勢はその後さらに急激に人口増、住宅、工場の進出、これはもうほんとうに過密の典型なんですね。京阪電車が新線を計画する。なぜ国鉄が単線で一時間に二、三本、ぼくが三十年前に中学に通ったときと同じ回数、しかも大阪にはきわめて近い。東大阪から奈良、名古屋、京都に至る最短距離の一つなんです。これは七十五年も前に国鉄で開設を見ているという、ある意味では非常に必要性の高い、当時から開発が要求された地域だと歴史的にもいえると私は思う。これが私鉄でなかったために、あるいは国鉄であったけれども政治家がおらなかったために——私自身の政治力の不足をいわざるを得ないのかもしれませんが、政治性が強い政治家のおるところには赤字覚悟であっても新線を建設する。ほんとうに必要性の高いところであっても、政治家がおらなかった場合あるいは国鉄に対する圧力が少ないところはほうっておく。これがほんとう国民のための国有鉄道のあり方か、私はそう思うわけです。政治的な意味で無理な路線の複線化あるいは延長を求めているなら、私自身良心に恥じます。この場合全く逆なんですね。なぜこれだけ緊急性の強い、必要性の強い路線について、もっと積極的に取り組むという姿勢を示されないか。しかも営業した場合に決して赤字にはならないという見通しは十分に立つ。多角経営の問題が論議されていますが、かりに多角経営ができない場合であっても、通勤、通学、人口、工場の進出等から見て採算路線になるだろうと思うのです。これほどマイナス点のない路線についてなぜ積極的にお取り組みになる意欲がないのか、計画性がないのか、疑わざるを得ないと思う。  さらにお尋ねいたしますが、用地費等について地元の協力があった場合に、四十六年度にでもせめて用地費だけでも確保するという御用意はございますか。
  124. 長浜正男

    ○長浜説明員 四十六年度中に用地費をうちのほうで準備をするために、その資金の手当てを利用債でやっていくか、あるいは用地は地元で提供していただくというような話もいま一部進んでおりますので、そういうことでもし提供していただけるなら、測量しまして、至急計画は詰めたいと思います。利用債でということになりますと、利用債のワクの問題もありますけれども、同時に利用債で全額かあるいは何割かというような話をきめませんと一着工できませんので、そういうことがきまりましたら着工し得ると思いますけれども、それを至急地元と詰めたい、こういうふうに考えております。
  125. 岡沢完治

    岡沢分科員 先ほど御答弁になりました都市交通審議会の大阪部会でも大体取り上げていただける見通しを聞いておりますし、地元のほうは先日総裁にも陳情があったはずでございます。利用債については最大の協力をしたい。私の知っております範囲でも、たとえばその線路にかかっております河川なんかでは、大体複線用に三十年も前からちゃんと用意ができております。それだけの用意があり、準備があるのに、怠慢としかいえない姿勢のためにおくれているこの片町線について、ぜひ一日も早く複線化をお願いしたい。  複線が実現するまでの間、せめてダイヤの増発等が私は地元の要望だと思います。運転間隔の短縮とかダイヤの増発についてどういうふうに考えておられるか、お尋ねします。
  126. 長浜正男

    ○長浜説明員 工事をいたします間お客さんがどんどんふえてまいりますので、できるだけダイヤその他で御便宜をはかり得るように努力をして、ダイヤをよく見直して御協力申し上げたい、こういうふうに考えております。
  127. 岡沢完治

    岡沢分科員 先ほど長浜常務がお答えになりました四条畷までの複線は、非常に言いにくいことを申し上げますけれども、九・六キロを複線にするために十二年間かかっているのですね。ちょっと考えられないテンポです。しかもそれがいなかではなしに、もう大阪の、ほんとう大都市近郊の典型的な過密地帯。どう考えても国鉄のセンスを疑わざるを得ない。九・六キロに十二年、一キロに一年以上、これが複線化のために要した日数です。全く時代に合わないじゃありませんか。先ほどちょっとお触れになりました片福線——福知山線との乗り入れの問題につきまして、二年前にも大阪府、市と相談をしたいという御答弁がございましたが、その後相談をされたか、あるいはその後の経緯についてお尋ねいたします。
  128. 長浜正男

    ○長浜説明員 ただいま複線化に非常に時間がかかったというお話がございました。全く申しわけございません。実は大阪につきましては、どうしても私鉄関係がございまして、私鉄輸送力を相当持っておりましたので、投資がおくれておりましたから、そういう状況でございますけれども、投資効果を考えまして、着工いたしましたならば今後はなるべくすみやかに工事が完成するように私たちも努力をしたいと思います。  それから御質問の片町線と福知山線とを結びます問題につきまして、概略の工事費を出してみますと、七百億ぐらいの見当じゃないかということで、当面そういう金は府としても市としても持てないというようなことでなかなか仕事が進まなかったわけでございますが、金の持ち方はどうあろうとも、ともかく技術的にやり得るかどうか、どのルートを通ればいいかということを詰めようということで、私も現地に数回参りましたし、現地同士で数回相談をいたしまして、現時点は事務担当のほうで計画をつくっておる段階でございます。これも今度の都市交通審議会にあるいは話がかかるんじゃないか、こういうふうに私考えております。
  129. 岡沢完治

    岡沢分科員 工事費が相当かかることは十分承知しておりますが、大阪の都心と地下鉄で結ぶわけですから、いわゆる大阪全体の交通対策としても非常に価値のある路線になると思います。特に大阪の地下鉄は東西線が少ない。この東西線の不足を補う使命も帯びるわけでございますし、私は、大阪府、市としてもおそらく前向きに協力すると思います。話を進めてもらいたい。お願いします。  もう一つ、その片福線の問題とは別に、終点の片町というのがガンになっておることは前回も指摘いたしました。行き詰まりの終点を持っておるというのが非常に利用者を減らすという点でも、前回長浜常務も御回意いただきました。その片町は大阪の市電廃止ともにさらに不便になっておりまして、降りても何も引き継ぐ路線がないわけでございます。それだけに片福線とは別に、京阪の淀屋橋と結びつけるなり、あるいは現にあります地下鉄の上町線と結びつけるなり、わずか一キロ足らずの路線延長で沿線全体の効率をあげ得る非常に投資効果の多い延長になると私は思うのです。終点の片町を都心内に、片福線とは別に天満橋なり地下鉄の一つの駅と結びつける計画、あるいは希望等をお持ちかどうか。  御承知のとおり、片町は大阪府庁、天守閣、あるいは官庁街にきわめて近い一キロ範囲のところでございますが、私は、もしこれが私鉄経営者のセンスであれば、これは当然結びつける。前回も指摘いたしましたが、京阪電車が天満橋から淀屋橋に乗り入れただけで、京阪沿線全体の価格、価値、便利さというものが非常に効果的にアップされたという実績がございます。私は、同じようなセンスを国鉄も、公共の使命とともにやはり合理性あるいは企業性の立場からお考えになってしかるべきだと思いますが、見解を聞きます。
  130. 長浜正男

    ○長浜説明員 実は、私の考えでは京橋と片町の間に現在線路が引いてございます用地がございます。いま先生御指摘のように、片町が効率がよくないということになりますと、京橋と片町との間で地下にもぐって、それで片福連絡の福知山線と結ぶというような過程になるというのじゃないか、こういうふうに私考えておりますので、現時点で簡単に片町から先へ延ばしてしまうということになると将来計画に支障があるのじゃないか、そういうふうに考えております。これが、片福連絡がもっと遠いところ、京橋よりももっと東のほうから地下にもぐるというようなことにでもなりましたならばまた話は別でございます。いずれにしましても、基本構想をきめてからでないとちょっと無理であろうか、こういうふうに考えております。それよりも先生御指摘のように、片福連絡をなるべく早く結ぶようなくふうをわれわれも努力をして、関係方面にお願いしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  131. 岡沢完治

    岡沢分科員 片町線と奈良線を結ぶ構想ですね。大住と新田駅になると思いますが、これは東海道線のバイパスとしても、あるいは東海道線の貨物のバイパスとして非常に価値があると思います。距離的には非常に短うございますし、だいぶ住宅が建ってきましたが、私の提案をした二年前ですとほとんど家らしい家はなかった、山城平野は。長浜常務も御存じのとおりであります。こういう路線をなぜ早く——わずかの距離を結ぶことによって京阪の通勤通学、住宅開発に非常に効果的なメリットのある路線についてもう少し意欲的な計画があってしかるべきだと思いますが、この奈良線と片町線との結びつきについての構想を聞きます。
  132. 長浜正男

    ○長浜説明員 先生御指摘のようにこの片町線の長尾付近、あるいは奈良線の宇治付近に結ぶのには距離的にも非常に短うございまして、これができますと奈良線も片町線も両方とも非常に有効になろうかと思います。あるいはまたこの宇治付近から東のほうの山科に結ぶというルートもございます。これは現在建設工事中の湖西線との貨物輸送あるいは旅客輸送に非常に便利になろうかと思います。この後段のほうはちょっとまだ予定線にも何にもなっておりませんが、前段の長尾と、奈良線とを結ぶのは、これは鉄道予定線になっておりますが、これはまだ予定線でございまして、工事線にはなっておりませんが、この線は確かに先生御指摘のように、建設すれば奈良線と片町線をフル運転いたしまして非常に有益な線になろうかと思いますけれども、これについてはもっと慎重なる検討があるいは必要かと思いますので、私たちも勉強をもっと進めていきたい、こう考えております。
  133. 岡沢完治

    岡沢分科員 いま御答弁になりました貨物のバイパスの点について、私はやはり鉄道の場合も先見性というものが必要じゃないかと思います。シベリアの沿岸貿易等の関係からいたします場合、湖西線と結ぶ、敦賀と結ぶ。いまのうちに私はぜひ予定線的な格上げをしていただきまして御計画をいただくことは、非常に効果的な価値ある計画ではないかと指摘をさしていただきます。  もう一つ、先ほど複線の問題について御答弁をいただきましたが、この複線の計画のときに、これは嬬恋線で二つの政治駅と申しますか問題になりました。私は必ずしも政治駅といって非難をするだけではなしに、国鉄私鉄と同じように駅をつくることによってもし住民の利益になり採算上もマイナスにならないというのであれば、必ずしも従来のように駅間距離を固定的に考える必要はないとは思うのです。その意味からぜひこの複線化の計画の段階で、たとえば忍ヶ丘駅と星田駅との間に打上というトンネルがございますが、この付近に一つの駅をつくることは、これは無人駅でもけっこうでございますが、価値あることと思います。  それからもう少し北上いたしまして、津田と長尾との間に藤阪という部落がございますが、ここにも企業団地が集中しております。この辺にもやはり無人駅を置いていただく。前回も指摘いたしましたが、住道駅と野崎駅との間に昔ありました東住道駅を復活してもらう。無人駅で十分だと思いますけれども、私は住民の利益からいたしましても、乗降客をふやすという点からいたしましても、非常に効果的じゃないかと指摘をさしてもらいたいと思いますが、そういうことについて複線の場合に考える御用意があるかどうか。特に東住道駅なんかの場合は用地も過去にあったわけで、現に遊んでおるわけでございます。無人駅ならほとんど工事費も要らないし、地元の協力も得られると思うのでございますが、御見解を聞きます。
  134. 長浜正男

    ○長浜説明員 複線になりますときに駅の位置をどうするかというのは、各場所ごとにいろいろございまして、その間の駅間の距離あるいはその辺にできます団地その他を考慮してきめてまいりますので、一がいに駅間が五キロだからどう、三キロだからどうということは言えませんで、これにつきましては慎重に検討さしていただきたいと思いますけれども、手前の住道と野崎の間はわずか二キロちょっとしかございませんので、もし間に置くとしますと、まん中にしても一キロずつくいでございます。プラットホームは約百数十メートルございますということになると、一キロずつくらいしか間があかないということでございます。現時点では、駅をつくるいうことは、かりに無人駅でも、運転上あるいは旅客の全体の利便の面からいってちょっとむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございますが、将来この辺が非常に発達しまして、たとえば東京の山手線のような状況になります時点では、またこれは別の状況の判断をしなければならぬと思います。現時点ではむずかしかろう、こういうふうに私、いま判断しておる次第でございます。
  135. 岡沢完治

    岡沢分科員 いまの東住道駅は東京の山手線に相当するほど都市化しているのです。ぜひ現状を御検討いただきたいと思います。  最後に、運輸大臣総裁も、私と長浜常務の問答を聞いてもらったと思います。決して政治的に無理なことをお願いしておるのじゃなしに、むしろ政治的におくれ過ぎた路線の引き上げを、私の良心からいっても恥じない気持ちで住民にかわって訴えておるし、国鉄公共性からも当然複線化あるいは片福線の連絡建設御計画があってしかるべき路線だと信ずるわけです。いまの地元の市民の感じからいたしますと、国鉄を恨む気持ちが強いのです。これが私鉄ならとつくの昔に複線化できておる、都心の乗り入れもできておる、国鉄なるがゆえに不便をしいられる。運賃だけからいえば国鉄のほうが安いのですけれども、わざわざ京阪を利用し、バスを利用して大阪へ出る。ほんとうに愛される国鉄とは逆に、国鉄路線であることを怨嗟の的になるような、レールを見てにらんでおるというのが市民感情なんです。私はこれではいかぬのじゃないかと思う。しかも国鉄のためには決して財政再建上マイナスにならない。先ほど言いましたように、採算がとれる路線なんだ。こういう路線こそ——しかも距離はそれほど長距離の路線ではございません。私は、財政上苦しい立場はわかっても、決してこれくらいの資金が、地元の協力も得られた場合に捻出できないとは言い切れないと思うのです。そういう点で運輸大臣国鉄総裁に最後に、片町線、大都市近郊の、しかも宝の持ちぐされ的な忘れられた路線対策についてお尋ねいたします。
  136. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 だんだんのお話を聞いておりましてまことにごもっともと存じます。特に東京、大阪等の大都市交通については、国鉄も十分にその責任を果たさなくちゃならぬ立場におりますので、この点につきましては、御承知のように、事業予算というものに縛られておりますために、先ほど来の常務理事答弁のような結果になっておりますが、しかし、これは緊急を要しております。ことに大阪付近の都市交通は東京よりもおくれておる。そういう点から考えましても、国鉄を大いに督励いたしまして、なるべく早い機会に御希望のような線に持っていきたい、かように考えております。
  137. 磯崎叡

    磯崎説明員 片町線の問題につきましては、先生から数回にわたり伺っておりますし、私もよく存じております。過般も現地へ参って見ております。いま東京付近の通勤に全力をあげておりまして、いささか——先ほど実は福知山線の御質問もございました。また常に大阪の環状線問題もこの委員会で出ております。そういうことで非常に作戦正面が多いものでございますから、手が回りかねて非常に申しわけないと思っております。地元が非常に協力的であるというようなお話がいままでございましたけれども、協力をしていただくならば、何なら利用債をもう少し持っていただければ、私どもとしては非常にありがたい。また、そこまで持ってやってもいいというような話もありますので、私どもといたしましては、ことしの予算、御承知のように非常に自己調達資金が多いものでございますから、地元に極力利用債を持っていただければ、私どもとしても優先的に取り上げてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  138. 岡沢完治

    岡沢分科員 終わります。ただ、政治力の強いところが必要性がなくても先に着工して、ほんとうに必要性が強いけれども、政治力の弱い、われわれのような議員の出ているところは忘れられているというような姿勢でないようにお願いをしまして、質問を終わります。
  139. 大村襄治

  140. 中谷鉄也

    中谷分科員 新しい関西国際空港の問題については、当分科会ではすでに質問があり、私のあとも二、三の委員が質問をされるようでありますが、大臣、先ほど同僚委員の質問にお答えをいただいたようでありますが、四十六年度中に候補地をきめたいというのは、四十六年度のいつごろというふうなめどはついているのでしょうか。
  141. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 率直に申し上げまして、まだ格段のめどはついておりません。ただ関西空港は早く仕上げねばいかぬということでございますので、なるべく早くきめたいとは考えております。
  142. 中谷鉄也

    中谷分科員 そうすると、四十六年度にきめたいというのは一つのめどであって、四十六年度から四十七年度以降にずれ込むということもあり得るということでございますか。
  143. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、関西新空港の必要性は非常に緊急であると考えております。したがいまして、できることなら四十六年中にはぜひとも場所をきめたいというふうに考えております。
  144. 中谷鉄也

    中谷分科員 もう一度お尋ねしますが、きめたいというのはあくまでも願望であって、四十七年にずれ込む場合もあり得るということですね。
  145. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 それは結果論でございまして、どうなるかわかりませんが、少なくとも私どもは四十六年中にきめたいというふうに考えております。
  146. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、先ほどの御答弁は、大阪湾の中で泉北沖、阪神沖、その他大阪湾で三カ所、そうして淡路、そういうところがとにかく候補予定地として考えられている、こういうように御答弁になったというふうにお聞きしましたが……。
  147. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほどお話し申し上げましたのが若干正確でなかったかもしれませんが、もう一回言い直しますと、明石沖、それから淡路、それから神戸、大阪から和歌山の県境にかけまして大阪湾一帯について調査をしておるということでございまして、必ずしも何カ所ということは申し上げません。
  148. 中谷鉄也

    中谷分科員 わかりました。そうすると、それは全部海の上が候補の予定地だということですね。
  149. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 淡路島については海の上ではございません。
  150. 中谷鉄也

    中谷分科員 そうすると、淡路島というのは結局陸上ですね。あとは全部海上ということになるわけですね。
  151. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 大体そういうように考えています。
  152. 中谷鉄也

    中谷分科員 じゃ、もう私の質問はないわけなんです。要するに、ないのですよ。  じゃ、大臣、実はきょうは、非常に確認的に、とにかくどうしてもお尋ねしたいと思いました。地元では大問題になっていました。いまの航空局長答弁はもう変わりませんね。——要するに和歌山と大阪の県境——これは地元では阪和国際空港という名前で呼んでいる。こういうところに国際空港が来てはたいへんだということで、和歌山県議会、和歌山市議会、要するに地方公共団体も全会一致で反対決議をしました。さらに和歌山県知事、和歌山市長、これらが運輸大臣のところへ陳情に上がった。こういう状態ですから、いま航空局長言われたとおり、それはもはや候補地ではない、これは大臣、一言でけっこうですから、御答弁いただきたい。
  153. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 陸上では候補地は考えておりません。
  154. 中谷鉄也

    中谷分科員 それで私のほうはあといろいろな理屈を申し上げることは何もなくなったのですが、一言だけ。そうすると、候補地としては全く和歌山としてはないということは、逆に言うと調査対象地でももちろんあり得ないわけですね。これは当然のことでございますね。——待ってください。もうそれ以上答弁してもらわないほうがいい。ということが一つと、次に、ただ私は率直に申し上げまして、和歌山絶対反対だということになると、おそらくこういう事情を認めていただいたんだ、あるいはいろいろな条件があったと思いますけれども——運輸省のほうから「関西国際空港」と称する非常にきれいなPR誌をいただきました。このきれいなPR誌をいただきましたけれども、念のために——じゃ、地元問題を離れます。全く地元問題を離れて、国際空港選定の基準についてお尋ねいたします。  一九ページに、aからiまで位置選定の条件というのが書いてありますね。aからiまでの位置選定の条件というのは、これは例示的に書いたんだ、あるいはとにかく何となしにこれを書いたのだということでなしに、一番最後に書いてあるiの条件、要するに「空港の建設のための用地の取得および地元に対する関連公共事業等の諸対策について関係地方公共団体等の全面的な協力が得られること。」これが最重要な項目というふうにわれわれは理解しているわけですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
  155. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 そういうことでございます。
  156. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで次に、私はこのPR誌について一点指摘をしておきたいと思いますけれども、このPRをしておられるところの文章の中で、地元住民の立場から見まして、はたしてこういうことがPRになるんだろうかという問題点が私あると思うのです。  二〇ページをお開きいただきたいと思います。二〇ページによりますと、「空港のもたらす地元開発効果は大きい」ということを書いておりますね。これは、とにかくメリットとしてお書きになっている。ところが、そうすると建設工事による地元雇用量がばく大にのぼる。数多くの関連産業と空港に働く数万人の人、要するにとにかく労働者の雇用機会がふえるということがメリットとして記載されているわけですね。逆に言いますと、このことは労働力不足に悩んでおる中小企業、完全雇用とはいかないけれども、疑似完全雇用のような状態である現在の地域社会においては、二〇ページに書いてあるところの、運輸省がメリットだといわれているところの事情は、むしろとにかく非常なマイナス要件として選定基準の中にも出てくる場合がある。逆に言うと、空港が来ることによって、地元産業の労働力不足に拍車をかける、そういうふうな場合には、そんな地区は当然、いわゆる空港の誘致あるいは選定基準の対象にはなるべきではない、こういうふうに私は理解しておりますし、先ほど、もうとにかく全く候補地でないということで、非常に私は、これは確認をできて安心しましたけれども、一時、ここ数年前からは、和歌山についてちらりほらりと空港候補地というふうなお話があったという中で、こんなまずいPRというふうなものは、和歌山にとってはこれは問題じゃないじゃないか。  和歌山市には住友金属という大企業がある。関西電力という大企業がある。住友金属については粗鋼生産量一千万、関西電力については、建設が進んでいって完成した暁には、海南火力発電所の発電量が二百十万キロワット。そういうふうな状態の中で、地元産業というものは非常な労働力の不足に悩んでおる。大企業と中小企業とが労働力の取り合いをしている。そこへ国際空港が来ると、さらに建設工事による地元雇用機会は増大しますよ。数多くの関連企業に数万人の人が雇われるのです、といえば、これはまさに阪和空港というふうなまぼろしの空港ですね。これは予定地でないので、全くまぼろしの候補地になったことを心から私は地元住民のために喜びました。こんなPRをお書きになっていることは、私は、これはよその土地の話になってしまったんだけれども、地元住民の心情を理解しないのもはなはだしいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  157. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ちょっと先に私から一百申し上げます。  先生御指摘のような点も確かにあると思います。ただ、私どもこのPRは、場所は具体的にどこときまったわけではございませんで、きわめて一般論として書いてございますので、ある特定の場合には、適合しない場合もあるかと思います。ただ、いずれにしてもいろいろなメリット、デメリットがございますので、ともかく航空時代という点から考えますと、やはり関西の近辺に新しい空港をつくらなければいかぬというメリットは非常に大きいかと思います。
  158. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、じゃ一つ。地元の住民は非常に心配をいたしましたし、ずいぶん決議もし、立て札も立て、東京へも何べんも参りということでした。一時とにかく阪和空港と称する和歌山県と大阪府との県境に空港が来るぞ。非常に悪い話ですけれども、これはもうたいへんなことになるというふうなお話があった。これは一時調査対象になったような時期もあったわけですね。
  159. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 そういう時期がございました。
  160. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、これは歴史的な事実としてひとつお聞きしておきます。過去のできごととしてお聞きいたしておきます、が、そうすると、全くこれは地元住民のそういうふうな全体的な立場からのいろいろな反対ではなくて、地元の利益とのぶつかり合いの問題だったと私は思いますけれども、要するに、そういう調査対象の中にここがいち早く脱落をし、候補対象地からはずしていただいた——いただいたのではなく、はずされたのでしょうがね、まあとにかくはずれた。はずれたという理由については、とにかくこれは、地元住民はわれわれの運動が効果を奏したのか、要するに一ではずされたのか、あるいはa以下の条項ではずれたのか、これはひとつ将来の教訓として私はお聞きしておいて意味のないことじゃないと思う。iですか、はずれた事情は。それともそれ以外の事情ですか。
  161. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 かつてそういうことがございました。また、率直に申し上げますと、いろいろな誘致運動が和歌山のほうからあったのです。そういうことがございました。それで現在陸地について考えてないと申し上げますのは、その後反対運動という意思表示もございましたし、あとその他全般の候補から見まして総合判断いたしまして、陸上はこれは落とす。
  162. 中谷鉄也

    中谷分科員 誘致運動をやった人も、その後心を改めて、考えが間違ったということがわかって、これは全く百万県民のうちのごく少数、一人か二人だったのですけれども、これも心改めて、最近では改俊の情をあらわしているという状態なんで、これはそんなことがあったということで、やはり総合的な判断の中ではずれたということで、私の質問はこれでいいわけですが、あともう一つ次の質問。——もう一度大臣から答弁をいただいていいと思うので、こんなことは別に大臣から言っていただかなくてもいいことかもしれませんけれども、またぞろというようなことは絶対ないわけですね。阪和空港なんという、地元では阪奈和空港といっておりますけれども、要するに県境ということはもう全くあり得ないというように大臣は、こうなれば御祝儀みたいな答弁になりますけれども、承っておきたい。
  163. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 結論をいえばそのとおりでありますが、ただ問題は、ただいま中谷さんは、県民百万が反対だと言っておりますが、必ずしも百万が反対とは思いません。付近関係の人が、要するに騒音で反対なんですね、飛行場があることが。騒音さえなければ、飛行場は日本国どこにも要らないとはだれも考えておらない。ましてや数年後になりますか知りませんけれども、超音速機が来るということになりますと、いまの伊丹飛行場では、これは使えない。当然関西が地盤沈下を防ぐということであれば、やはり国際都市として発達しなければならぬ。だからして大阪を中心とした関西としては、やはりこれは関西空港は必要だということで、最近は協議会もできておるわけであります。ただ問題は、騒音問題にある。騒音問題から考えますと、日本のように都市の密集地帯の近くのいわゆる陸上につくるということは、これはどうしても都市を通らざるを得ない。こういう意味で、私、就任いたしましてから、とにかくこの関西空港は原則として陸上にはつくらない。そして海上につくる。したがって、先ほど淡路島、こうは言いましたが、私個人は、淡路島の上につくる考えはありません。少なくとも海上につくる。したがって問題は、これはもちろん関係者からまた反対が出ましょうけれども、しかし、これはわかってもらえるのではないか。大阪が、やはり関西地帯が全体として経済発展をするためには、やはり国際都市の条件をいろいろ具備しなければならぬ。その国際都市の大きな一つは、やはり国際空港を持つということであります。これがなければ残念ながら国際都市の資格を消滅する、そういう意味においては、これは大方の有識者の方々は、関西に国際空港をつくることに反対ではないと思う。ただ問題は、場所の問題にある一そこで場所としては海上で、いわゆる騒音の影響の非常に少ないところにこれはつくるべきだ。かつまた、それによっていわゆるいろいろの意味の総合的な利益、効果もあげ得る地帯に飛行場を考えていけ、こういう指示を与えてまいっておりますので、ただいま申しました和歌山と大阪の境の陸上に飛行場をつくる考えはございません。その点ははっきり申し上げておきます。
  164. 中谷鉄也

    中谷分科員 PR誌の中で、「新しい航空時代」というところから始まって、一八ページまでの要するに「関西国際空港は大規模な構想でなければならない」というところまで、基本問題について私はきょうはやるだけの準備あるいは意欲を持ってきたわけではないわけで、そのことと、要するに必要だということと、地元でそこへ来るということの適正、不適切についてお話があったわけで、これは全く候補地として脱落をしているということ、これは私は初めて公式に御発言いただいたと思いますので、これで私のほうの問題については、少なくとも地元との利害の衝突の問題は消滅をしたというふうに私のほうは理解させていただくわけなんです。  では次は、この問題についてもし候補地だということになったら、私はいろいろと聞こうと思って用意してまいりましたけれども、ひとつ別の問題を自動車局長さんにお聞きいたしたいと思いますが、大臣にひとつ簡単に御所見と申しますか御感想を承りたいと思うのですけれども、鶴川団地で、鶴川値上げバス反対の会によるマイクロバスの自主運行というのが行なわれておりますね。これについては、四十六年二月十八日付をもちまして東京陸運局、すなわち東陸のほうからこの問題についての警告と申しましょうか、あるいは行政指導というか、そういうものがすでに出ておりまするけれども、いずれにいたしましても、このマイクロバスの自主運行というふうなものが行なわれるようになったこのことについて、それが法違反であるというふうな問題点があることを指摘することは、あとでそういう問題点の指摘についてはお聞きしていきたいと思いますけれども、こういうふうな運動あるいは自主運行というような事態が起こった原因、そういう背景について運輸省としてはどのようにお考えになるか。この点についてはいかがでございましょうか。
  165. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 鶴川団地のバス問題、夜間運行の問題については、具体的経過もありますからして、自動車局長から答えさせてもらいます。  ただ、先ほどの問題でありますが、大阪と和歌山の間に飛行場ができないということで御安心をなさったといいますが、しかし、関西空港をつくることには賛成なんですね。関西に国際空港は要らぬという御趣旨ですか。先ほど来からお話を聞いておりますと、関西に国際空港が必要だということは、公害の少ない飛行場が必要だということはお認めになったように考えますので、中谷さんは国会議員でもありますから、国全体の発展のために御協力を願いたい、今度はお願いでありますが、それを一言申し上げたいと思います。
  166. 中谷鉄也

    中谷分科員 ちょっと待ってください。私がお聞きしているのは、鶴川団地値上げバス反対の自主運行の問題について起こった原因の背景について、運輸大臣としては御所見がございませんかとお聞きしたのです。そこで、特にワンクッション置いて、先ほどの、——どうも分科会もこのぐらいの時間になってまいりますとのんびりムードになってきますけれども、私どもとしては地元に来ないということで非常に安心したということで、きょうは一ページから一八ページまでについては私は議論はしませんよ。これは私としてはとにかく白紙でおりますよ。だから運輸省のPR誌というものについて、この点はその段階においての国的な立場、全関西的な立場、近畿的な立場あるいはまた国際的な状況というふうなものの中において判断をさせていただきます。ただ火の粉が振りかかってきているような状態だ、それについての確認を求めます、こういう趣旨であることは大臣もひとつ——私があまりしつこく念を押したということでお話があったのだと思いますけれども……。  そこで話をもとに戻しますけれども、鶴川値上げバス反対の会によるマイクロバスの自主運行については、いろいろな問題点の指摘あるいは法律面の指摘はできるでしょうけれども、こういうことが起こってきた背景についての大臣としての、運輸省としての御所見はいかがでしょうかという質問でございます。
  167. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 それについての所見を述べる前に、経過等はやはり実際上自動車局長がよく承知しておりますので、まず経過を御説明いたしまして、あとから私から答弁いたします。
  168. 野村一彦

    ○野村政府委員 基本的な原因と申しますか背景はいろいろあると思いますが、結論的に申し上げますと、最近大都市の周辺におきまする団地等の宅地の開発が非常に急速に行なわれまして、それに対しまして住民の足を確保するためのバスの路線網と申しますか、そういうものの形成において急速な宅地の開発等に交通政策が追っつかなかったということが一つの遠因であろうかと思います。  さらにこれを分析して申し上げますと、特に大都市周辺におきまして、鉄道の駅とそれから団地その他の住宅街等を結ぶバス路線の、通勤、通学等に利用される方々の足の確保という点において欠けるところがあったということ、それからもう一つは、何と申しますか、特に深夜の輸送問題につきまして、なかなか深夜のバスの時間が住民の方々の思うような時間に発車をされない、比較的早く打ち切られるというようなこともありまして、これは鶴川だけの問題でございませんが、東京近郊数カ所においてそういうことがあったということが、私は遠因と申しますか基本的な背景であろうと考えております。
  169. 中谷鉄也

    中谷分科員 それからいま一つは、やはり市民運動としてこの問題をとらえる、市民運動ということばは非常に重要だと思いますけれども、私はそういう側面があると思うのですね。そういたしますと、遠因についての除去が早急になされない限りは、この鶴川の問題は単に鶴川の問題としてとどまるのではなしに、さらにこの種の問題が伝播していく可能性というものを私は社会的な要因として内包しておるというふうに思われます。その点についてはどのようにお考えになっていますか。
  170. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生仰せのとおり、基本的にこの対策を練らねばなりませんので、目下運輸政策審議会の都市交通部会において、特に大都市におけるバスとタクシーのあり方ということでもって、ただいま私が申し上げましたような大都市における輸送機関の役割り、位置づけ、そしてそれに対処する役所の基本的な考え方ということについて、昨年の暮れから審議をいたしております。そういうことで、それには住宅政策、交通政策、特に交通機関相互の時間なり路線網のとり合わせ、それからバスとタクシーとの関係ということも考えまして、地元の関係の市町村の意見を十分聞きながら、また関係の学識経験者等の意見を聞きながら基本的な構想を打ち出していこうというふうにいま検討しておるところでございます。
  171. 中谷鉄也

    中谷分科員 鶴川団地の問題点の指摘は数点あって、そうしてこれの第一点は、道路運送法の違反という指摘がありますね。ですから、問題点としてのいろいろな実態点についての指摘と道路運送法に適切でないという指摘とがあると思うのですよ。その道路運送法の指摘というのは、他人の需要に応じて云々ということだろうと思うのです。そうして事業という概念については、継続、反復して行なうということであろうかと思われるとなれば、この事業という概念については、鶴川団地の問題については事業という概念からははずれないような感じが私はいたします。団地の人と直接話したわけでも何でもありませんけれども、そういう感じがする。ただしかし、他人という概念については実態上の問題が出てまいりますね。要するに他人ということばに触れない場合のそういうマイクロバスの自主運行というのは理論的に、あるいは現実問題として考えられる、社会的なそういう事実としてあり得るということだと思いますが、局長のお考えはいかがでしょうか。
  172. 野村一彦

    ○野村政府委員 仰せのとおり、他人でない者の輸送、つまりある工場なら工場が自分からそこの工場の従業員というものを輸送するというような形態のものは、これは他人の需要に応じてということではございませんし、一番端的に申し上げますれば、いわゆる自家用車というものはまさに自分のために使用するものでありますから、そういう意味では実態が自分が使う、あるいは一定の会社なり団体なりそういう範囲が確定できる特定の者を輸送するというものは他人の需要ではないというふうに考えます。
  173. 中谷鉄也

    中谷分科員 そうすると、他人というのが、団地の中で自主運行に関する組合——この場合の会の名前は鶴川値上げバス反対の会ということですが、だから全くその実態を離れて法律問題として私は考えますけれども、そうしますと、その範囲が特定された、そうしてそこに意思の統一のある団体だということが認定されれば、他人でない場合はあり得るわけですね。
  174. 野村一彦

    ○野村政府委員 この会の実態を私ども調べておりますけれども、私どもの調べました範囲では、正会員と準会員という二つの種類があるようでございまして、正会員という方は月幾らという会費を、千円でしたか、会費を払って会員になっておられるということですが、準会員というものは別にはっきりしませんで、そのつど二十円ですか、カンパを出されて名前と住所を書かれた方が準会員であるということで、きわめて不特定な、まあ常に変動している不特定の多数の方を包含をしております。それから、反対の会という会でございますが、これはもちろん会長と代表者といいますか、そういう方ははっきりしておりますけれども、その組織もそれから権限も、どういうふうなかっこうで意思決定をされるのかということもわかりませんし、結論的に申し上げますれば、団体としてまだ十分固まっていないといいますか、その会員とその責任者との関係もはっきりしませんし、会員自身も相当多数の方が、不特定多数の方が出たり入ったりしておるといいますか、浮動が常ならないというようなことで、現状におきましては、これはここでいいます「他人の需要に応じ、」というものに該当するのが実態であろうと考えております。したがいまして、そうでない場合ももちろん、これは実態が法律の要求する他人性というものがなくなって自己のためということになれば、それは別の問題でございます。
  175. 中谷鉄也

    中谷分科員 じゃ、鶴川の問題だけにこだわるわけじゃありませんので、この問題はひとつ市民運動との関係で私、少しお聞きしておいたほうがいいと思ってお聞きしたわけなんですが、もう一度聞きますけれども、そうすると、他人性がなくなる、他人性が排除されるという場合は、団地の場合には絶対あり得ないというわけではないわけですね。他人性が排除されるという場合も、団地の自主運行という場合にはそういうふうな自主運行——それは単に会社には限定されませんでしたね、局長。そうすると団地の場合でも、他人性を排除した自主運営のやり方というものは十分にあり得るわけですね。そういうことになるとすると、これは別に道路運送法の免許の対象じゃなしに行なえることになりますね。  まず一点言われたのは、ですから、準会員の問題があるということですけれども、会員の出入りということになれば、事業所、工場の従業員の出入りと全く同じことでございますから、これは、その点を実態の把握とのバランスをやはりとってやらなければいかぬと私は思う。そういうことを考えてまいりますと、出入りというものが他人性排除の決定的なものではないと私は思う。そういたしますると、まずそこで、鶴川の問題について押し合いをしておってもあれですから、団地についてある一定の条件という場合、たとえば組織、ある一定の条件を満たす場合には、他人性を排除し得るような条件を満たす場合もあるということは、まずひとつ概括的にというか一般的にそういう場合もあるということはお答えいただきましょうか。
  176. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま他人性の問題について、先生の御議論が集中しておるわけでございますが、私どもがこれに警告を発しましたのは、ただ他人性ということだけではないわけでございます。これはなぜ私どもが無免許営業の疑いが濃いかということを考えましたのは、つまり先ほどおっしゃいました反復継続して他人の需要に応じて、そして定期の路線を組んでそして乗り合い方式で自動車によって旅客を運送しているという実態、それはすなわら免許を得ないでいわゆる乗り合いバスの営業をやっておるというふうに判断されるからでございますが、それは他人性ということだけではなくて、免許の基準から考えますと、つまり責任の主体がはっきりしないということ、それからもし事故等がありました場合には賠償能力、そういう問題、四条のつまり免許を受けてない、それは六条の免許の基準に該当する体制にないという、そういう問題、それから運行管理、整備管理等の点自体にも問題があるということで、先生の御質問は他人性だけの御質問で、もし他人性だけが解決されればあとは問題ではないのではないかというふうな観点の御質問とすれば、問題は他人性だけではないという意味でお答えいたしたわけであります。
  177. 大村襄治

    大村主査代理 中谷君にお願いいたします。時間が来ておりますから、結論を願います。
  178. 中谷鉄也

    中谷分科員 はい。——どうもそうじゃないですよ。免許を必要とする場合には、免許の条件に当てはまるかどうかという場合については、いろいろな点についての審査が要る。しかし逆にいうと、それは免許を与える場合についての積極的な要件ですよ。だから免許を必要としない自家運行の場合についてはどうかということになってくると、まずとにかく他人性がないとなれば、幾ら反復しておったって、これは他人の需要に応ずる事業じゃないのだからという問題があると私は思います。ですから、どうも私自身、とにかく道路運送法の専門家じゃありませんけれども、管理が不十分だとかあるいは賠償能力がないとかというのは、あくまでも問題点の指摘でありまして、道路運送法に違反するかどうかという法律問題ではない。この問題点の指摘は大事ですよ。それとあなたはごっちゃにしておられる。私はとにかく一応法律屋だけれども、自動車の実態については詳しくない。あなた自身は御専門だけれども、どうも私自身の言っている、へ理屈かもしれないけれども、法律論については、少しあなた自身、さっきの御答弁混乱させるように思いますけれども……。これはこの点で打ち切りますけれども、もう少しこの問題は将来の問題としても残ると思いますので、道路運送法の問題というのは、鶴川の問題は必ず将来の問題として残ってくる。これは将来こういうことが起こってくる社会的な要因というものを考えて、行政指導においても前向きな行政指導をされることを期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  179. 野村一彦

    ○野村政府委員 ちょっと誤解があってはいけませんので、一言お答えさせていただきたいと思います。  もちろん、免許の対象ということで私はお答えしたわけですが、先生のおっしゃる意味は、自家用車の共同使用ではないか、その他人性という問題については、という把握のしかたもあるという御議論だと思います。もちろん私どもは、自家用車の共同使用についても、何が自己の目的であるか、何が他人の需要に応ずることになるのかということは、理論的には先生のおっしゃるように他人性の実態というものであると思います。したがいまして、免許営業でなければ無免許ということになりますが、また一方では、そうだからといって、それが直ちに自家用車の共同使用という条項に該当するかどうか、その問題はまた別の法律論から検討しなければならぬと思います。
  180. 大村襄治

    大村主査代理 午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後二時九分休憩      ————◇—————     午後二時四十六分開議
  181. 大村襄治

    大村主査代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算中、郵政所管を議題といたします。  この際、藤木電波監理局長から発言を求められておりますので、これを許します。藤木電波監理局長
  182. 藤木栄

    ○藤木政府委員 昨日、楢崎先生から御質問が二点ございました。その第一点は、十二月の十日ごろに中央FM音楽放送から書類を預ったかどうか、どれだけ保留したかというような御質問であったかと思いますが、私どもで調べましたところによりますと、梶井発起人代表の委任を受けていた連絡者の補助者の依頼によりまして、梶井発起人が発起人代表となりまして設立準備中でありました中央FM音楽放送の申請書の訂正に関する書類の原稿を昭和四十四年の十二月十一日に保管したことがございます。そしてこの書類は、関係者の記憶によれば、十二月十四日ごろ梶井発起人代表の指示した者に手渡した、そういうことでございます。それが第一点。  それから第二点は、昭和四十四年十二月十七日付のいわゆる申請訂正書に身分証明その他の証明書類が添付されていたかどうか、そういうことであったかと思いますが、それにつきましては、発起人代表に関する身分証明書等は、提出された当時は添付されておりません。ただし、梶井剛につきましては、訂正前の原申請に添付されておったわけでございます。それからその他の五人の発起人代表につきましても、郵政省におきまして欠格条項に該当しないことを確認することが可能でございましたので、当該申請者は欠格条項に該当しないものと判断したわけでございます。なお、必要な証明書類は、後日補充を命じて再確認している、そういう状態でございます。
  183. 大村襄治

    大村主査代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  184. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 最初の問題ですが、預かられた書類は、つまり四十四年十二月十二日に預かられた書類は、どういう内容のものでありましたか。
  185. 藤木栄

    ○藤木政府委員 先ほども申し上げましたけれども、中央FM音楽放送の申請書の訂正に関する書類の原稿でございまして、もちろんこれは正式に提出されたというものではないわけでございます。
  186. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その内容は、それでは全然正式に受理されていないわけだから、非公式に預かったので、だからそれは当然審理されておりませんね。郵政省として調べられておりませんね。
  187. 藤木栄

    ○藤木政府委員 どうしてこの申請書の訂正に関する書類を持ってこられたかといいますと、申請に関するいろいろな手続がございますので、それの相談に来られたというふうに聞いております。したがいまして、私どもとしてはいわゆる申請書としての審査ということはもちろんやってないわけでございます。
  188. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたは昨日、あらかじめ中央FMのものを審査しておったから、したがって十二月十八日一日でもうほとんど審査する必要なく、十九日の審議会にかけられたというような答弁をきのうされておりますが、あらかじめ預かっておられた中央FMの書類のうち、ただいま十二日に預かられた部分の審査は、じゃあなされてないわけですね。
  189. 藤木栄

    ○藤木政府委員 もちろんこれは先ほど申し上げましたように、正式な書類じゃございませんから、審査をしているわけではございません。ただ、私が昨日申しましたのは、これは訂正書に関する書類でございまして、私どもは、前にいわゆる中央FM音楽放送自体の申請書は来ているわけでございまして、それについてはもちろん検討していた。それから、もちろん新しく十二月十七日に出てまいりました申請の訂正届けにつきましては、短い期間でございましたけれども、全力をあげまして審査をいたした、こういうわけでございます。
  190. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どちらのほうを全力をあげて審査をされたのですか、もう一度……。
  191. 藤木栄

    ○藤木政府委員 いま申し上げましたように、十二月の十七日に関東電波監理局を経由いたしまして提出されましたもの、いわゆる申請の訂正届け出のほうは、十七日から十九日にかけまして最大限の努力を払って審査をいたした、こういうわけでございます。
  192. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 きのうの御答弁と違いますね。きのうは、そんな審査する時間はないはずだと言ったら、あなたは、いや前に出ておったもので審査しておるからいいんだというような御答弁だったのですが、きょうはまたお考えを変えられて、その十八日一ばいで馬力かけて審査したということになったのですか。
  193. 藤木栄

    ○藤木政府委員 FM音楽放送のいわゆる免許申請は、四十三年の三月三十日に出ております。したがいまして、私どもはもちろんそれについても審査はしたわけでございます。さらに、それの訂正届け出が十二月十七日に出てきた。それについても、もちろん審査をいたしました。そういう段階でございまして、十分両方をやってきたというわけでございます。
  194. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたは、そんな答弁を変えられちゃいけませんよ。きのうは、十八日の段階では審理はしてない、だから私は、じゃあ調査にはどのくらい大体期間が普通かかりますかと言ったら、一日ないし二日かかるんだ、それで中央FMはその四十三年に出されておったから、大体調べておったからすっといったんだ、そういう御答弁じゃなかったんですか、議事録を見てみないとわかりませんけれども。
  195. 藤木栄

    ○藤木政府委員 実は、すっとというふうには申し上げなかったと思います。たしか徹夜をしてというようなことを申し上げたと思います。いずれにしましても、そういう中央FM放送自体の申請は前から出ておったわけでございまして、それの訂正書が出ましたものにつきましても審査をいたしまして、十九日に電波監理審議会の答申を得て予備免許した、そういうわけでございます。
  196. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 少なくとも十二月十二日に預かられた書類の分は、審査してないわけでしょう。その分は、十八日の場合はそれがついておったわけですかね。
  197. 藤木栄

    ○藤木政府委員 十二月十一日ごろに保管しました分につきましては、もちろんこれは正式のものではございませんから、審査はいたしておりません。ただ、もちろんこれは向こうから相談に来たわけでございますから、係の者がそれに目を通したということはございます。
  198. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから、それは審理したということになるのですか、もしそうなら。
  199. 藤木栄

    ○藤木政府委員 もちろん、これは先ほど来申し上げておりますように、正式のものは十七日に参ったわけでございまして、それを審査したわけで、十二月十日に預かった分は、これは正式のものでも何でもございませんので、これについては審査はもちろんしておりません。
  200. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 十二日に出された書類の内容をちょっとあげてみましょうか、念のため預けられた分。放送事項、放送区域表、サービスエリア地図、これは専門語ですが、八方向地形断面図ですか、工事費一覧表、番組表、目的別種類による放送時間割り、事業収支見積もり書、長期資金計画書、費用見積もり書、工事設計書、同図面、そういうものらしいのです。そうすると、たとえばこのうちの事業収支見積もり書なり長期資金計画書なり費用見積もり書なり、こういうものが徹夜で、一晩でわかるのですか、審理されるのですか、どうですか。
  201. 藤木栄

    ○藤木政府委員 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、十二月十七日に提出されました訂正届け出自体を正式に受理して、それを審査しました。そういうわけでございます。
  202. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうおっしゃいますけれども、実際問題としてそれはできないんでしょう。一晩でこれほどの書類の審理をやって、これは合格だ、そういうふうに判断を下されるのですか。実際問題として、どうですか。
  203. 藤木栄

    ○藤木政府委員 私どもは判断をしたわけでございます。
  204. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 十七日、十七日とおっしゃいますけれども、本省に来たのは何時ですか。
  205. 藤木栄

    ○藤木政府委員 十二月十七日の八時ごろだと聞いております。
  206. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのときの電波局における局長決裁は、何日にされておるのですか。
  207. 藤木栄

    ○藤木政府委員 ちょっといま何日にしたかすぐに調べまして、あとで御返事いたします。
  208. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは調べていただいてけっこうですが、少なくとも十九日以後ということはないんですね。
  209. 藤木栄

    ○藤木政府委員 そういうことはございません。
  210. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もし以後の決裁になっておったら、どうされますか。
  211. 藤木栄

    ○藤木政府委員 先ほど申し上げましたように、電波監理審議会におはかりしておりますので、私どもとしてはそういうことはあり得ないと思います。
  212. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 原簿を見て確かめられましたか。
  213. 藤木栄

    ○藤木政府委員 いま調査いたしております。
  214. 大村襄治

    大村主査代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  215. 大村襄治

    大村主査代理 速記を始めてください。
  216. 藤木栄

    ○藤木政府委員 書類の決裁は、十二月十八日にいたしております。
  217. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 違うんですね。二十五日の判が押してあるはずです、局長の。だから、原簿を持ってこなくちゃだめです。これは大臣にも言っておるのですけれども……。
  218. 藤木栄

    ○藤木政府委員 先ほども申し上げましたように、電波監理審議会にかけておりますので、その前に書類は決裁しなければならないわけでございます。したがいまして、十二月十八日に決裁したというわけでございますので、そういうことはないと思います。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ここに原簿の写真があるのですがね。局長印のところに総務部長の印が押してある。その上に局長印が押してある。そしてそれは二十五日になっております。  いずれにしましても、まだ問題がございますので、できれば当初の総括の際の決定どおり、本問題は一応ここで保留しまして、理事会でその進め方について御検討いただきたい。お願いします。
  220. 藤木栄

    ○藤木政府委員 先生の持っておられる書類、どういうものかわかりませんけれども、私どもの電波監理局には総務部というのはございません。もし総務部長の判こが押してあるということであれば、それは別の書類であると思います。私どもの、いま問題になっている決裁の書類は、電波監理審議会にかけるための決裁の書類でございまして、本省の書類でございます。それをいまチェックいたしまして、十二月十八日決裁であるということは確認したわけでございます。
  221. 大村襄治

    大村主査代理 次回は、来たる二十二日午前十時より開会し、建設省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時五分散会