○
大野(市)
分科員 運輸大臣のお
考えは私も同感、そのとおりだろうと思います。
ただ、一点違いますのは、
私鉄にも
公共性があるという
意味合いの
公共性はよく
理解ができるのですが、
国鉄は
法律によって
目的が定められておりまして、その中で
能率的な運営という
手段によってこれを発展せしめ、公共の福祉を増進することを
目的としておるのでありますから、
私企業における公共の一般的目標よりも、全部公共の福祉を増進することを
目的としておると読むのが、
法律解釈であろうと私は思う。これは論争いたしません。たぶん御同感だろうと思います。
そこで、そういう
意味でありますときに、
一体国鉄はどういう業務をしろと言っておるのだろうかということになりますね。業務は第三条に規定しておりまして、非常に厳格に
輸送、トランスポーテーションという内容ですっかり固めておる。まず「
鉄道事業及びその附帯
事業の
経営」これはそのものでしょう。「
鉄道事業に関連する連絡船
事業及びその附帯
事業」、これも明確であります。「三
鉄道事業に関連する自動車運送
事業及びその附帯
事業」、これも明確なんです。「四前三号に掲げる業務を行うのに必要な発送電及び電気通信」、これも明確に書いてあります。五として、前号以外の第一条の
目的を達成するために必要な業務というのがありまして、この第五の項目が利用されていろんな
仕事の中身に変更が
考えられておるようであります。それから第六条に、部外に投資する場合にどこの
範囲まで許したらいいかという問題がございます。この問題は、
私鉄その他は定款を変えさえすればできるわけで、それこそデパートも、ホテルも、遊園地も、あらゆる
事業が
私企業は定款の変更によって可能なわけでありますが、公共の福祉を増進することを
目的とする
国鉄でありますがゆえに、この部外に投資するその内容に対しましては、厳格なワクがはめてあるのであります。したがって、第六条の外部投資の問題には一々「国務大臣の認可を受けて」という大きな見出しがついている。しかもその
法律の中に書かれた問題に対して、これをたとえば
輸送施設の運営ということで、御承知のように三十四年の
改正であったそうですが、
輸送施設運営
事業を認めたい、こういう問題がありまして、このときには、結局非常な厳格なワクが政令でもきめられますが、本
法律そのものの中に「
国鉄及びその他の運送業者がともに使用する
輸送施設の運営を行なう
事業」ということで、とにかく
国鉄とともにそれを使用する
輸送施設で、ただ
輸送施設でない。
国鉄とともに使用するというワクをかけるくらいに、厳格に部外投資をとめたいという意思が
法律にあらわれている。それから三十七年に、後ほど
速記録に基づいて大臣にも御心境をお伺いいたしたいのでありますが、三十七年の三月に直通
運輸事業に対して、「
国鉄の運送
事業と直通
運輸を行なう運送
事業その他これらに準ずる
日本国有鉄道の運送
事業と密接に関連する
運輸に関する
事業」という、一ぺんくらい聞いてもわからないずるずるとした
法律でありますが、これがくせ者であって、国会は各人が立ってこれに対する
質問戦が行なわれているのであります。これがどういう必要で起きたかといえば、結局大
規模な臨海工業地域に運送を行なう地方
鉄道、しかも主として
貨物輸送に限って
国鉄が
出資していいということを何とか認めてもらいたいというので、国全体の
経済事情で要請があって、この
法律改正が提案されたのです。しかしながら、「その他これらに準ずる」云々という
ことばで国会は紛糾をいたしまして、その
速記録がありますが、当時の
運輸大臣は斎藤さんでありました。このいきさつを私が御披露いたしますと、この次に私が述べたいところの核心の問題——最近の政令
改正の問題に触れたいと思うわけでありますが、とにかく三十七年の三月に衆議院におきましてはいろいろの発言があったのでありますが、当時は
磯崎総裁は
説明員として
出席をされておった。そして
磯崎当時の
説明員は、間を省略しますが、いま倉庫がほしいんだ。だけれども、駅に倉庫が必要だというのは何人も疑わないところですけれども、そのやり方としては極力業界と話し合いをして、業界と完全な了解のもとに、できるだけ早くやりたいと
考えておりますと言うて、ここで駅の構内における倉庫の問題の芽が三十七年に出ておる。これは業界と完全な了解をおとりになるのにお手間がかかったのかもしれませんが、
昭和四十年に大阪の駅、梅田の駅に初めてたった
一つできた。これくらい。だれが見ても、駅頭に倉庫が必要だということはお認めになるでしょうのに、業界との完全な了解ができないためじゃないかと思うが、たった
一つしか今日に至るまで大阪にしかできておらないという事実がある。それから当時は、空間利用業、貸しビルなどは
考えておりません。当時はそうだったのでしょう。ホテル
事業、これは「
自分の方でやるのはふさわしくないということで、委託
経営をいたしておりまして、現在これをまた投資
事業として
考えることは毛頭
考えておりません。」と当時はおっしゃっておられた。とにかく私が指摘したいのは、だれが見ても必要だと思う倉庫でも、業界と完全な了解がなければつくらぬのでございますと述べて、現実にできたのは大阪梅田の倉庫
一つであるという事実は、われわれ
国会議員としては注目をしなければならぬ
部分だ。
そこでさらに参議院にまいりますと、同じ問答がありますが、もっと懇切丁寧な会話が行なわれておりまして、斎藤
運輸大臣は、公共の福祉に寄与するというのが
国鉄の
目的ですから、その
目的のために
国鉄経営にプラスするということが
最初の着想でなければならぬ、
民業圧迫というような
事柄は毛頭いたさせませんと、だれが見ても
国鉄が投資をしてやってもらいたいと思う
仕事で、
国鉄がやらなければできない
仕事で、やり手がないような、そういう
仕事は
国鉄が先んじてやってほしいけれども、やらせたくないというような、業界の圧迫の声があがっているときには、それを押し切ってやるものではないと思います、と述べておる。しかも、ここで注目したい、後ほど大臣にも承りたいのですが、
法律あるいは政令などにそのようなことの規定があったとしても、
事業としては
運輸大臣は認可をいたさない
方針でありますとまで、この紛争をとどめるための発言があったのです。そして、「
国鉄が
経営を楽にするとかいうような
経営上の理由から、いたずらに他に投資をして、そうして投資の
利益を得て、
国鉄の
経営を有利にやっていこうというような
考え方は、私はとるべきでないと、かように
考えております。」と述べられておりまして、「他にいろいろな反対のある民間の
事業に
国鉄が踏み出していくということはよろしくないと、かように
考えます。」と述べられておりまして、十二分に
関係の業界と相談をしながらやらねばならぬものであるという
精神をこの場合に述べられて、そこまでの保証をするのであるならばこの
法律は通そうということで通ったという
歴史が、この中にあるのです。しかもこの後にいろいろ動いたものを見ましも、政令に投資の内容を譲ったものですから、大
規模臨海工業の
部分は
昭和三十七年
輸送施設、バスターミナル、それから倉庫業は三十八年です。三十八年の政令
改正で、
国鉄のする運送に係る物品を主として保管する倉庫業、しかもその場所は
国鉄の停車場またはその付近に設置するものに限るという非常に厳格なネジをかけている。四十一年の
改正では石油、セメントその他の定期かつ多量に集約
輸送する、そういう積みおろし施設、荷さばき施設は出してもいいよということをきめてある。四十二年十月には、集配施設、積みおろし施設、通運業者が共同で使用するものに限って政令でお金を出していいということをきめた。四十一年の同じく七月には、
国鉄の乗車券類の発売を行なう
事業が追加されたのであります。ここまでなんです。ここまであって、われわれはそれからどうなっているのかと思っておりましたら、一月の何日でありますか、突如として政令をもって、この一月十二日の閣議決定をもって政令の投資の対象の追加が行なわれた。第六を全面
改正して、七、八、九号を追加する。こういうことで、この中に第六では、
国鉄の「旅客駅(旅客駅と一体として設けられる店舗、
事務所等を含む。)」の建設及び管理を行なう
事業というので、いわゆる駅ビルの建設、管理が可能のようにこれを突如修正された。さらに七としては「旅客の利便を
確保するため必要な旅客駅内の食事施設、宿泊施設その他の施設の運営を行なう
事業」というのが、突如としてここに入ってきておる。そして八には、「旅客駅に接続して設けられるバスターミナル、
駐車場、その他の施設の運営」こういうようなもの、九は従来のものに少し追加したものでありますが、私はいま問題として承りたいのは、三十七年の法
改正にあたって、時の
運輸大臣はそれだけの慎重なる配慮をされて、国会に約束をせられて、
国鉄の本来の
目的を逸脱したところへ金が回らないようにという御配慮があったのであります。また
政府の
仕事であるから国会あるいは
政府与党には
関係がないという法理論は、そのとおりでありまするけれども、従来の姿から見まするならば、他の省の実例を見ましても、政令の
改正は必ず与党の担当部会には御相談があって、これに対してのオーケー、いわゆる感触をとられて
政府の責任でやられておるという慣例もある。われわれは、その
意味合いにおいて、与党の特別観光委員会においては、観光委員会の議をもって、
国鉄の関連
事業に対してホテルなどの緻密な
サービス事業は不向きであるから、そのような問題に対する
国鉄の投資というものはこれは認めるわけにいかないという決議をして、それらのものは
国鉄の
総裁にも小川委員長が接触をせられているというふうな事実もあり、またいわゆる交通部会その他にも私どもはその意を通しておったのであります。しかるに
予算が終了して間もなく、一月十二日の閣議決定でありますから、寝耳に水の決定をもってこれらは断行せられた。私はいいことであるなら形式論を言おうとせぬのでありますけれども、一体、従来施行令によって部外の投資をせられた
国鉄の
仕事の中でわれわれの
理解しております幾つかの事例がありますが、それらに対して
国鉄は
財政的に配当は幾らお取りになったのですか。
国鉄経営に部外の投資はどんな有利なはね返りがありましたか。株式会社に対する投資が主であって、鉄建公団その他は別でありますが、民間の株式会社に部外投資をせられた結果、それの
国鉄に対する
利益は幾らはね返ってきておりますか、
総裁に伺いたい。