○楢崎
委員 では、用意をしておいてください。私はいまのところ、資料八つだけ申しておりますから……。
サイミントン
委員会の議事録は、昨年外務
委員会に配布されております。私は、たまたまその外務
委員会を傍聴しに行っておって、それをいただきました。たしか外務
委員会の
理事会は、日本文で全訳したものをくれということでありましたが、まだその日本文全訳は出されていないようであります。それで私は、私がいただいておるまずサイミントン
委員会からやりますから、後ほど
あとの資料は届くようにしてください。これであります。
そこで、この私が要求しました資料の紹介をちょっとしておきたいと思うわけでありますが、サイミントン
委員会というのは、この議事録は三七四ページあります。膨大なものでありまして、四日間やっておりますが、一日目は日米共同声明、二日目は本土のアメリカ軍事基地、三日目は
沖繩の返還とアメリカ軍基地、これは四日もそれが続いておる。それから四日にはその他となっております。それで非常に膨大な報告がなされ、われわれにとってたいへん参考になる証言が行なわれております。そこで私は以下、私が申し上げた分だけ、ここにちょっと披露してみたいと思います。
地位協定
関係、私が有事再使用の問題をたいへんこだわりましたが、実はこれは三年前からずっと真剣な、非公式であるかもしれないが討議が行なわれておる。問題の個所だけ読んで見ます。これはポール
委員がこう聞いておるんですね。「危機がおこったとき、アメリカによる再使用の見通しはどんなものか。」日本の基地の。ジョンソン次官の証言。「われわれは米基地が日本の民間使用へ返還された場合、そこを再使用することができるかどうかという特定ケースについては、まだ討論していない。これまで日本側とずっと討論してきたことは、自衛隊基地をアメリカが使用する権利をもつかどうか、つまり日本基地の共同使用の問題についてだ。最近、首相が十一月に当地を訪米されたとき、この問題について討論した。」――以下は削除になっております。「これは法律問題である。日本との間に締結している現行の地位協定では、この種の取りきめに関しては何ら触れていない。規定もしていない。しかしわれわれの法律担当官は現行の地位協定の枠内で、その変更あるいは改正をしなくても、そのような協定は可能であると
考えている。この問題に対して日本側の法律担当官は今のところこのような結論に達していない。われわれはこれが理にかなった結論であると
考えるし、そのような協定はできると
考えている。また事情が許す限り、この方向にむかうという原則的な了解に日本側が達するように、日本側に圧力をかけ続けている。」ウイ アー コンティニューイング ツー プレス ザ ジャパニーズ……と原文はなっています。次に、ジョージ担当官、これは在日大使館の政治軍事担当官であります。この人はこう言っている。「ただ私も同じ問題について東京で日本側と話し合っている。つまり日本側からみた問題点のあり方である。われわれが一度施設の所有権を放棄しても、施設そのものは、ひきつづき軍事施設として残ることには疑問はないのだが、日本の自衛隊に所有権が移ってしまう。自衛隊の行動を規定し、規制する法律」これは自衛隊法のことであります。「法律は、自衛隊以外のものが自衛隊基地を使用する場合を
考えていない。これは法解釈と言葉の問題であるが、日本側は今のところアメリカ側の
考えを実施に移す場合には法律」これは自衛隊法でありましょう。「法律を改正することが必要であると
考えている。だからこの問題は両国の法律担当官が検討している問題である。」ちょっと省きます。ジョンソンが言っております。「厄介なことには、もし現行の地位協定をちょっとでも改正すると、地位協定全体の」そこは削除になっている。「改正、ひいては協定全体の再交渉が必要となるかもしれぬということだ。」ジョージ担当官「一言つけくわえさせていただくと、日本側も現行の地位協定の改定なしに、このような使用が許可できるように法解釈ができるのではないかという方向にむけ、努力をしている。」それから今度はポール
委員が「たとえば朝鮮に危機がおこった場合には板付のような基地の再使用を認めるという日本の善意に頼った方がよいように思われるが、……」どうか。ジョンソン氏「全く同感である。」「すでにのべた通り原則的には日本
政府も同意している。」同意していると書いてあります。証言している。そしてジョージ担当官は「更に附言させてもらうならば、東京で話し合っている日本側はこの
考え方に完全に同調している。」これが
一つの問題であります。
二番目に、表題が「核兵器及び爆撃任務に関する日米了解事項」ジョンソン次官証言「核兵器の持込み問題はさておき、我々が合意に達している非常に明確なケース(ワン・クリアーカット・ケース)が
一つだけある。そのケースとはアメリカの軍用機が他国の地域を爆撃するために日本の基地から出撃するケースである。」これは合意に達しておるじゃありませんか。
次にジョンソン次官、同じく事前協議に
関係する部分。「海軍艦船が戦斗作戦に出撃する途中、」「日本にあるアメリカ海軍基地に
たちよる(寄港)ことについて、日本側は今まで一度も問題を提起したことはなかった。」いままでの
政府答弁でいくと、たとえ寄港した艦船でもその寄港地を使用して出撃する場合は事前協議の対象になるというのが従来の
政府の
答弁であった。しかし、ここには、問題は一度も提起されたことがないと証言されておる。
そして同時にその事実がある。サイミントン報告は、「日本を母港とする米海軍艦船」の数をここに書いてある。その中に佐世保に沿岸掃海艇が九隻おることになっております。この沿岸掃海艇はドル節約の立場から船だけ佐世保に置いておって、乗り組み員、あるいは家族はアメリカに引き揚げて、いざというときにまた連れてくればいいじゃないかというポール
委員の
質問に対してスミス司令官はこのように答えている。「そんなことができるとは思わない。私が思うに、まづこれらの掃海艦は母港を出て今は主としてベトナム海岸の沖合はるかに「マーケットタイム作戦」に参加している。掃海なんかしていない、機関銃をすえつけて海岸をパトロールしており、母港から遠くはなれている時間のほうが多いんだ。母港とベトナム間の航海は時間が大変かかるんだ。」すでに直接出撃をしておるではありませんか。
それから、また、これは日本の新聞報道に
関係する点ですが、「米軍施設返還に対する日本の好意ある反響」、こういう表題のもとに、米軍が基地を返還しておる。これはつまらぬところしか返還していないんです、役に立たないところしか。――いいですか、「たとえば日本に返還されたこれらの基地は、あなたが指摘したように、アメリカが日本で保有している全面積の中のごく僅かな部分であり、大部分が重要な基地ではない。軍事的観点からみれば、全く問題にならないものばかりである。ところが一九六九年、それらの役にたたない基地を日本に返還したときにおこった日本側の好意的な政治的反響に、むしろ私は驚いたぐらいである。」これはジョージ担当官です。「日本の新聞は、」ここからです。「いつもウソと思われるものを取上げるのはすばやく、また時としてウソではないものをウソらしくデッチあげるのもまた非常にすばしっこい。ところがその日本の新聞がこれらの基地返還、これは主としてアメリカが自分の保有しているものについて決して固執しているのではないというポーズを示したにすぎないと思うんだが、その返還については驚くほど良い報道と驚くほど好意的な記事を書いた。」何という日本の新聞に対する侮辱であろうかと私は思う。
たくさんありますが、時間がありませんから、大事なところだけ読んでみます。
一九六八年、一九六九年、七〇年、米側の報告によると一回ずつ海軍、海上自衛隊
関係について日米共同作戦演習が行なわれておる。しかもそれはハワイ真珠湾、その周辺の想定がここにちゃんと書かれておる。単なる潜水艦の訓練ではない。この演習に参加しておるのは、昨年は潜水艦であったが、六九年あるいは六八年の演習に参加しておるのは海上自衛隊の対潜哨戒機P2V六機参加しておりますね。
まだたくさんあります。一昨年の総選挙に触れて、わが日本
社会党の内部の問題にまで言及しております。
非常に問題の個所がある。したがって、私はこれらの問題を立証するために以下のことを要求したい。
まずサイミントン
委員会報告については以下のことを要求したいと思うのです。
三つ要求します。
一つ、日本
政府の権威あるサイミントン報告の邦訳を全文提出してください。私の訳ではこれは間違いといわれるかもしれないから、日本
政府の権威ある邦訳をひとつ出していただきたい。というのは、本日私が提起しておるこれらの問題点は、たとえば、まだたくさん日本の基地の全貌についても書いてあるのですね。それから
沖繩問題が書いてあります。
沖繩の特殊部隊のことも書いてある。それからいまこの
予算委員会でもわれわれの
同僚が数人言いました。もう
沖繩返還協定が進んでおる。りっぱな協定ができなくちゃいかぬ。一体米軍の
沖繩の基地はどうなっておるか。つまり、
沖繩の基地の態様、あるいは性格が問題になっておる、そういう段階であるからよけいにこのサイミントン報告は日本訳をいま出してもらいたい。
二番目に、私はこう思うのですね。日本の
政府がわれわれ
国会に対してうそを言っておるのか、アメリカの
政府がアメリカの議会に対してうそを言っておるのか、問題は二つに
一つだと思うのです。したがって、私は在日アメリカ大使館、この中に名前が出ておるジョージ担当官はそこにおりますから、これは日本の
国会の権威にかけて、もし
政府がうそを言っていないならば、日本の
国会の権威にかけて、米国大使館に対し
予算委員会代表を派遣して真相を究明されたい。
三つ、サイミントン
委員会の報告に対する日本
政府の統一
見解を示されたい。
私はなぜそのようなことを言うかというと、もしこれが事実なら、われわれはこの十年来、たとえば事前協議の問題
一つを取り上げても、愛知外務
大臣はかつて六〇年安保のときに安保特別
委員の与党側の一人として、この事前協議の問題も
質問されております。
関係のない戦争に巻き込まれないように、歯どめになすためにわれわれは一生懸命論議したのです。ところが内容はこうだ。一体こういう事実を基礎にして、われわれは何の審議ができますか。もし
佐藤内閣がうそをおっしゃっているのだったら、私はそのようなうその
答弁、つまりフィクションあるいはボーガスの上に立って、
予算委員会における
質問はもちろんのこと、
佐藤内閣のもとでは
国会全体の審議ができないことになりますよ。そのようになります。
私は、だから、以上三点について強く要請をいたします。
なお、ここに公明党のことまで触れておられます。公明党のことまで。これは他党のことですから、私は要らぬことですけれ
ども、これは公明党も一言あってしかるべきだと思うのです。いいですか。「公明党の「基地白書」批判」、こういう表題であります。そして、公明党が一生懸命これは努力してつくられたと思うのです。それについて、もうたくさん書いてありまして、一カ所私は、わざとではないけれ
ども、これは公党の
一つとして、私自身も一人として義憤を感ずるのです。あの公明党の基地白書は、「これらの基地撤去について行動をおこさせようと広範な世論の共感を喚起することを企てたとすれば、むしろ大失敗であった。」――フロップということばが使ってある。これはむしろ、やゆというか軽べつの、ずいぶんちゃちなものだ、こういうことなんです。私はこの点は公明党のほうも一言あろうと思いますから、もし御意見があればひとつ関連してやっていただいてけっこうです。