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1971-02-27 第65回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十七日(土曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小平 久雄君 理事 田中 正巳君    理事 坪川 信三君 理事 藤田 義光君    理事 細田 吉藏君 理事 大原  亨君    理事 田中 武夫君 理事 鈴切 康雄君    理事 今澄  勇君       相川 勝六君    赤澤 正道君      稻村左近四郎君    江崎 真澄君       小川 半次君    大坪 保雄君       大野 市郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    賀屋 興宣君       川崎 秀二君    小坂善太郎君       笹山茂太郎君    田中 龍夫君       登坂重次郎君    灘尾 弘吉君       西村 直己君    野田 卯一君       福田  一君    松浦周太郎君       松野 頼三君    井野 正揮君       辻原 弘市君    楢崎弥之助君       西宮  弘君    原   茂君       細谷 治嘉君    八木  昇君       安井 吉典君    大橋 敏雄君       貝沼 次郎君    古寺  宏君       坂井 弘一君    岡沢 完治君       小平  忠君    谷口善太郎君       寺前  巖君    松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 植木庚子郎君         外 務 大 臣 愛知 揆一君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 内田 常雄君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         郵 政 大 臣 井出一太郎君         労 働 大 臣 野原 正勝君         建 設 大 臣 根本龍太郎君         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (内閣官房長  保利  茂君         官)         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (科学技術庁長         官)      西田 信一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議官      城戸 謙次君         内閣法制局長官 高辻 正巳君         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         内閣総理大臣官         房会計課長   川田 陽吉君         内閣総理大臣官         房広報室長   松本 芳晴君         警察庁刑事局保         安部長     長谷川俊之君         警察庁警備局長 山口 廣司君         北海道開発庁総         務監理官    新保 實生君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省刑事局長 辻 辰三郎君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         外務省条約局長 井川 克一君         外務省条約局外         務参事官    山崎 敏夫君         大蔵大臣官房審         議官      吉田太郎一君         大蔵省主計局長 鳩山威一郎君         大蔵省理財局長 相澤 英之君         大蔵省国際金融         局長      稲村 光一君         国税庁長官   吉國 二郎君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         厚生省薬務局長 武藤琦一郎君         農林大臣官房長 太田 康二君         農林大臣官房技         術審議官    加賀山國雄君         農林省農政局長 中野 和仁君         農林省農地局長 岩本 道夫君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   立川  基君         通商産業省公害         保安局長    莊   清君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省航空局長 内村 信行君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省道路局長 高橋国一郎君  委員外出席者         会計検査院長  山崎  高君         日本専売公社総         裁       北島 武雄君         日本国鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 榮文君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   阪上安太郎君     八木  昇君   西宮  弘君     井野 正揮君   近江巳記夫君     大橋 敏雄君   田中 昭二君     古寺  宏君   中野  明君     鶴岡  洋君   竹本 孫一君     小平  忠君   松本 善明君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     西宮  弘君   八木  昇君     阪上安太郎君   鶴岡  洋君     貝沼 次郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算  昭和四十六年度特別会計予算  昭和四十六年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算昭和四十六年度特別会計予算昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、締めくくり総括質疑に入ります。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 きょうは締めくくり総括質問ということになっておりますので、おもにいままで同僚議員なり私が取り上げました問題で、十分に論議ができなかった問題、ことに一般質問分科会質問等で、総理不在のために総理見解を求めることができなかった問題をまずお伺いいたしたいと思います。  まず最初に、新東京国際空港の、いわゆる成田問題でございます。  総理承知のように、去る二十四日、公団の雇い入れたガードマン子供たち警棒をふるい、数名のけが人を出し、その後同日の午後三時ごろ、国会議員である身分を明らかにして姓名と来意を告げて新東京国際空港公団成田分室に訪問いたしました同僚木原実代議士参議院議員加瀬完君等に対しまして、数十名の同公団職員あるいは公団雇い入れのガードマンが、十数分問にわたって集団的暴行を加え、けがを負わせる、こういった事件が起きております。しかも、この暴行が行なわれているときに、同じ構内に居合わせた公団幹部あるいは千葉県警幹部を含めて、これらの人たち事件を知りながらだれ一人としてこれを制止しようとする者すらなかったということであります。  これはまず子供に対して警棒をふるうという問題、さらにまた国会議員の職分に対して、これほど侮辱した行為はいままでなかったと思います。したがいまして、この事件につきましては詳しくは申しませんが、まず総理運輸大臣国家公安委員長及び今井公団総裁から、それぞれの御所見、その責任等について御答弁を願います。ことに公団今井総裁は、当面の責任者としてどう責任を感じ、どのように責任をとろうと考えておられますか、お伺いをいたします。
  4. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 最初に私からお答え申し上げます。  当日、成田におきまして紛糾がありまして、その結果、木原代議士並びに関係議員さんに不祥なことが起きましたことは、まことに遺憾に存じまして、心からおわびを申し上げます。  当日は、御承知のように代執行が行なわれておりましたのと、同時にまた学生集団のいろいろなデモが行なわれておりましたので、その木原さんがおいでになる少し前に加瀬議員ほか県会議員方々は門内に入ることができたのですが、一足おくれて参りました木原代議士に対しましては、実は関係者の話によりますれば、まことに失礼ながら木原代議士のお顔を見知り合いでなかったために、しかも突如として非常ベルが鳴りましたことなどから、一種興奮状態でありましたので見さかいがつかなかったために、危険が及ぶことをおそれて押し出しをしたようであります。その点まことに遺憾千万でありまするが、警備員等につきましては、もちろんこれは直接には現場幹部が指揮をいたしておるわけでありますけれども警備に対する職務は、当然契約の中におきましても、いわゆる身辺の護衛もしくは建物の護衛等が主たる任務でありまするが、ただ、ただいま申しましたように、非常ベルが誤ってなされた、しかも十数メートルか二十メートルかわかりませんけれども、離れたところに数十名あるいはもっと多い学生集団がだんだんこちらに参ってきたということで、何か襲撃されるような錯覚を来たしたようであります。さような混乱の中で起きましたことでありますので、この点まことに申しわけない次第と感じますが、木原代議士におかれましてもその点は御了解を願いたいし、またもちろん公団当局にいたしましても、われわれも、議員身分については心からこれを尊重し、またそのようなことのないよう常々考えてやってまいっておるのでありまするが、このようなことが起きましたことはまことに恐縮千万であると思います。心からおわび申し上げます。同時にまたこまかい点につきましては、今井空港公団総裁から説明があると存じます。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 国会議員だけでなくて、子供にやったことに対しても……。
  6. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 それでは具体的な問題――私どのような場合にどういうことが行なわれたかは十分に存じませんけれども、おそらく子供さんの危険を防ぐような立場からも、あるいはそのようなことが起きたり、あるいはそうした混乱の中でありますからして、またヘルメットをかぶったりなんかしていますとわかりにくい場合もありましょう。これらこまかい点については総裁から御説明申し上げたいと思います。
  7. 今井榮文

    今井参考人 公団今井でございます。  ただいまの御質問にございましたように、当日、木原先生並びに千葉県会議員三ツ松氏に対しまして暴行事件があったということでございまして、公団責任者といたしまして、国会議員先生に対しましてそういう行為が、私どもの出先が契約いたしております警備会社ガードマンによるとはいえ、公団当局といたしましても心からおわびを申し上げまして、今後絶対にこういうことがないように、その日に直ちに厳重な注意をいたした次第でございまして、まことに申しわけございませんでした。
  8. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お答え申し上げます。  今度のような事件が起きたことを遺憾に思います。また同時に警察官が現場近くに居合わせませんでしたために間に合わなかったことは、まことに遺憾であります。
  9. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 関係者からいま申し上げますように、今回の事件が起きたこと、まことに遺憾、その一語で尽きるかと思いますが、しかし、この成田空港の旧地主、現在も地主だが、地主とその空港建設側と長い対立もある、これはもう事実であります。したがいまして、この間において、あらゆる努力をしてきたが、なかなか話がつかない、協議だけではどうも話がつかないので、ついに強制収用にまで踏み切った、そういうことでありますから、その基本的に対立状態もあったごと、これはいなめない事実であります。しかし代執行するにあたって問題が起きて不測の事態が起こらないように、申しますならば死傷事故負傷者が一人出てもそれはたいへんな問題だ、そういう点が絶対に起こらないようにということを厳に注意してこの問題、代執行に取りかかった、そういう経過もあるのであります。この点は十分関係方々も御了承いただいて、そうして政府がこの問題と取り組んでおる態度、その基本的な態度においては誤解のないように願いたいと思います。  ただいま申し上げるような事態が起きたことについてはまことに遺憾に思っております。その点は十分関係当局からもお話をしておりますから御了承をいただけるだろう、かように私思いますけれども事柄事柄でありますだけに、特に注意したような事件が起きた、そういう意味において私まことに遺憾に思っております。
  10. 田中武夫

    田中(武)委員 社会党現地調査団の団長として、現地でつぶさに成田状況調査してまいりました八木昇君が本日予算委員としてここに出席いたしておりますので、八木君に関連質問をお許し願います。
  11. 中野四郎

    中野委員長 八木昇君より関連質疑の申し出があります。田中君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。八木昇君。
  12. 八木昇

    八木(昇)委員 実は、社会党調査団として昨日現地へ参りまして、終日いろいろな事情も調査してまいりましたものですから、ほんの三、四点にしぼって質問をいたしたいと思います。  いま関係の皆さんから答弁がございましたが、今回の木原代議士三ツ松会議員等に対する暴行事件、これは公団職員議員に対して暴行を働いたなどというようなことは、私の記憶するところではかつてない、過去においてわれわれがいまだ経験したことのないできごとでございます。しかも、何か木原さんの顔を知らなかった云々というふうなことがございましたが、さようなことは断じてございません。ちゃんと加瀬参議員議員もそれから木原さんも、社会党国会議員団というたすきをかけて、しかも訪問をしましたのは五名だけでございまして、そうして門のところに参って身分を明らかにし、来意を告げておるのでございます。そういった混乱事態が起こっておる状態の中で、一部学生等がその後に来たという事実は若干あるらしゅうございますけれども学生たちうしろに多数ついていたなどというような事実も全くございません。ガードマンの問題はあとでお聞きいたしますが、それにもかかわらず公団職員集団暴行したというようなことは、絶対許されません。  そこで、まず公団総裁にお伺いをいたしたいのでございますが、きのう参りましたところ、現地に駐在しております副総裁は、そのような暴行を働いた人物をまだ突きとめていないと言うのであります、だれがやったかまだわからないと言うのであります。そんなことは私は絶対許されないと思うのでありまして、公団みずからもそのような人物を明らかにし、そうして厳重にこれに対する処置をする。と同時に、公団総裁みずからはもちろんのこと、現地最高責任者も一定の責任ある出処進退というものをしてもらわなければならぬ。このように考えておるのでございますが、この点について公団総裁の御答弁を得たい。  それからもう一つは、私ども参りましたところ、現地公団側議員さんであることをよく認識することができなかったものだからということを繰り返し、繰り返し言うのであります。それならば、と私どもは言ったのですが、議員でなかったならばあのような集団的な暴行をやってもいいとあなたたち考えておるのか。議員でなかったらもっとひどい目におそらくあっただろう、こう私どもは反論をしたのでございますが、その辺についての御認識についても、時間がございませんから端的に御答弁いただきたい。
  13. 今井榮文

    今井参考人 当日の、木原先生公団分室にお見えになった当時の状況につきましては、先ほど大臣からお答えをいたしておるわけでございますけれども公団分室は御承知のように下の道路を俯瞰し得る位置にございまして、学生集団公団のほうへ目がけてまいるというふうな状況は上からよく見えるわけでございます。当日、門を担当いたしておりましたのは成田空港警備警備員でございまして、班長は宮野某、門の受付であわててベルを鳴らした警備員受付係をやっておりました遠藤某でございまして、木原先生うしろから抱きかかえて押し返したという者の氏名は、やはり成田空港警備警備員である宮野何がしでございます。それで現在……
  14. 八木昇

    八木(昇)委員 経過はわかっています。どういう処置をするかを答えてください。
  15. 今井榮文

    今井参考人 現在、私ども現地責任者について、警察とも十分連絡をとりまして、現在公団職員が三名、これは被疑者ということではございませんが、三名成田署において現在調書を取られておるという状況でございます。しかしながら、私どもとしては、このような事件が起こりましたことにつきましては、私が平素考えも及ばなかったことでございまして、まことに心からおわびを申し上げたいと思います。  なお、現地のそれぞれの責任者につきましては、私といたしましても、国会議員に対してそのようなことがあったということであるならば、断じてりっぱな措置をとりたい、かように考えております。
  16. 八木昇

    八木(昇)委員 私は、調査結果に基づいての部分についてのみ限って聞きたいと思いますので、そのような措置その他につきましては、なお田中委員あと質問に譲りたいと思います。  そこでもう一つ伺いしたいのですが、これは公安委員長にお伺いしたいと思います。  まだ現地警察当局はそのような集団暴行行為があったことについての捜査に具体的に着手していないようでございますが、これは厳重に捜査をして、そうして刑事上の責任についても当然これは明らかにせらるべきだと考えておりますが、その点についてどのようにお考えになっておるか。  それから第二番目は、いま問題になっておりますガードマンの問題についてであります。実際あの実情を見てみまして私は痛切に感じたのですが、通常、会社銀行等盗難等を防止するためにガードマンに頼んで警備をするというようなことは別といたしまして、あのように非常に重大な紛争状態が予想されるというような事態のときに、ほとんど訓練も十分になされていない、特に精神的な教育もきわめて不十分の、しろうとの、しかも現地農民ですね、これは今回の土地収用に関連しての利害関係者でもある、そういう人が多数である。そういうガードマンというようなものをあのような事態の場に使うことは、どう考えても適切でないというふうに私は考えました。これはこのようなガードマンをあのような場所に用いるならば、必ずガードマン側から大きな行き過ぎが発生するということは、もう容易に事前に想像され得ることであったのではないか、こういうふうに考えます。現に事態が発生をしたわけでございまして、このような経験にかんがみて、今後、いわゆる民間の警備保障会社と称するものについてどのようにお考えになっておるか。  それから、今回の成田空港での問題について、これは法律的に言うことはできないでしょうが、行政的な面で、この際はガードマンを使用すべきでないという、そういう一種話し合い指導というものがなされるべきである、こういうふうに考えるのでございますけれども、それらの点について公安委員長の御所見伺いたいと思います。
  17. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お答え申します。  ガードマン会社自由企業でありまして、法律、制度に基づいてどうするということはできませんけれども、事の性質上、なるべく教養を高めるように行政指導はいたしております。  それから成田の問題について、ガードマン会社ガードマンを雇い入れてはいけないということまでを言うことはいかがかと思います。
  18. 八木昇

    八木(昇)委員 ちょっと一つ答弁が漏れております。いまの公団職員ガードマンによるところの暴行行為についての刑事上の責任追及をいかがされるおつもりであるか。
  19. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 落ちておって相すみません。警察でいま捜査中でございます。捜査の結果は、まだ報告を受けておりません。まだ具体的な結論までは到達していないかと思います。
  20. 八木昇

    八木(昇)委員 写真等でももう明瞭に出ておりますように、ガードマン木原代議士うしろから羽がいじめにしまして、数分にわたって引きずったという事実関係は明瞭であります。それから職員の者が三ツ松県会議員をなぐって、現に負傷しておるという事実は明瞭でございますから、必ずそこに下手人が存在するわけでございます。これはひとつ徹底的に追及をしていただくように要求をいたしておきます。  そこであと一点だけ伺いたいと思いますが、実際これはもういろいろな議論が客観的にはあり得ると思いますけれども、しかし物理的に考えましても、現場状況はもう力づくで代執行を行なうということは不可能な状態と見受けられます。その点は、現地公団の副総裁も、それから現地の県知事も、そのことについてはそのように思いますということを明確に申しております。そこで、この数年来にわたる成田空港の問題について総理見解国会でただしたことがないそうでございまして、ここで結論的に総理のお考え伺いたいと思うのでございますけれども、このたびの代執行というものは全面的に中断すべきであると私は考えております。これは二日間ぐらいやめて、そうしてこの間に何か話し合いをしよう、話し合いがつかなければ三日目からまたやりますぞというようなことで農民側が納得するような事情でないということは、この四カ年間にわたる過去の経緯に照らしても、もうだれが考えても常識的にわかるわけですね。だとするならば、これはやはり現地責任者たちは、公団側も県側も、やはり内心はほとほと困っているということを私は看取してまいりました。やはりこのような状態におきましては、いま政府がやはり一定の決断を下すときだ、こう考えますので、総理はどのようにお考えになっておるか、この際ひとつお考えのほどを率直に述べていただきたい。  それからやはり話し合いをしようとなれば、まず全面的に代執行をやめるという白紙の状態というものに事態をした上で話をしないと、これは話にはならないと思うのでありまして、それでその場合もやはりこういう事態にかんがみて、計画の一部変更等、あるいは全面的な変更等いろいろございましょうが、計画変更というようなこともあり得るというような、やはり一定の前向きの態度というものがそこににじみ出ていないと、なかなかむずかしい今日の事態であると、客観的に見てそう感じておりまするので、そこいら辺の点をも含めてお答えいただきたい。
  21. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 八木君にお答えいたしますが、先ほど田中君にも一言お答えしたのです。長い間の問題であるだけに、今回不測の事態が起こらないように特に注意したのだ、しかしそれにもかかわらず負傷事故が起きた、たいへん遺憾である、こういうことを申しました。私はこの成田空港事件というものを見たときに、日本は一体どういうような政治形態、社会制度であるか、それを一ぺん考え直してみたいというような気がするのです。言いかえますならば、われわれは民主主義のもとで社会を形成し、国家をつくっているじゃないか。この社会、国家、その制度を守っていくのは一体何なのか。最後は法律じゃないのか。法の制度じゃないか。その法の制度に欠くるものがあれば、これは立法府にもお願いして法の制度を完全にしていく。われわれは法律を守っていくというそこに初めて国民のよるべきものがあるんじゃないのか、かように私は思っておるのです。いままでもいろいろ話のつくことは話をつけていくということをいたしましたが、どうしても話がつかない、しかも大多数と申しては言い過ぎかわかりませんが、過半数のものは今回の空港建設についても協力をしておられる。そういう事態でなお実力によってこれを反対しておる。こういうことが一体民主主義国家において考えられるのか。実は私非常にその点に疑問を持つのです。いま八木君から、率直にひとつ感想を言えとおっしゃるから、私も率直な感じを申し上げます。  ただいまのように、紛争が四年も続く、そういうことはまず考えられない。おそらくそれまでにはあらゆる機会の大衆交渉も、また個々の面接も等々で話し合いはだんだん詰めていかれたに違いないと思います。しかしそれがただいまのような状態に発展しておる。一坪運動、一木所有主、そういうような問題まで起こって、法の執行が途絶えておる。これがただいまの執行問題、代執行の問題だ、かように私は思います。しかし私どもは法律は守らなければならない、社会秩序はどこまでも保たなければならない。しかしてそのために実力行使をするということは避けられるだけ避けなければならない。これはもう基本行為であります。ことに政府あるいはそれぞれの執行権者というものが、権利者だというその立場にありますだけに、その非難を受けることは、一般の人よりもこれは激しいと思います。そういう意味で今回の代執行にあたっての注意すべき点は十分注意された。しかもなおそういう事態が起きた。そういうことでまことに残念であり遺憾である、かように申し上げたのでございます。(「やっていない」と呼ぶ者あり)ただいまやっていないと言われますが、そういう点があれば、先ほど来申し上げますように、関係大臣並びに公団総裁からも遺憾の意を表しております。これがそうだと思います。私は、その地域社会におきましても法を守ることの大事なこと、民主主義国家として当然あるべき姿、それに立ち返る、こういうことでぜひとも了承していただきたいと思います。ただいま私は、代執行を二日やめろとかあるいは一週間やめろとか、さようなことは申しません。おそらく代執行をやらざるを得ないような状態が今日なお続いておるだろうと思います。ただいま、空港建設の基本的な問題についてもう一ぺん再考しろと、こういうお話でございますが、私はそれらの点については十分考えられた末、今日の状態になっておりますので、いまさらそういうものをもう一度考え直す、こういうものではない、かように思っております。(拍手)まあ拍手してもらっちゃ困るのですが、とにかく私はどこまでも法律を守って、その法のたてまえのもとにこの社会秩序を維持していく。これが本来の民主的国家のあり方だ、かように私思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  22. 八木昇

    八木(昇)委員 私は実際現地を見てきて、それから受けましたところの意見に基づいて率直に私ども見解を述べることか主目的で、あとの具体的なことにつきましては田中委員に譲りますので、これで終わりますが、しかしともかく四カ年間の長きにわたって現地農民があれほどまでの戦いをやるということについては、理由がやはり根深いものがある。全国に土地収用の問題はもう今日まで二十何年の間にたくさんありましたけれども、今日ここまでの事態が現出されておるということについては、実際現地農民状態、気持ちを見ますと、われわれはやはり理解しなければならぬという点がございます。その点をひとつぜひ考えて対処してもらいたいということだけ申し上げておきます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで総理、いま八木君が述べましたような、あるいは総理が御答弁になったようなこのような状態が一体何によって起こったのか、だれが一体地元の農民をここまで追い込んできたのか。政府はそのためには無策ではなかったかと思われます。空港建設の政治責任政府は知事に押しつけておる。知事は農民説得という政治責任を回避して、みずから進んで話し合おうとしていません。残るのは行政的に建設を進める公団、これを守る機動隊、ガードマン、これの衝突だけという状態になっております。これは政府の政治的責任回避の結果だと思うのです。総理なり運輸大臣なりがみずから現地へ行って話し合うという気がまえがあれば、そこまでいかなかったと思います。この政治的責任回避の責任を一体総理はどう考えておられますか。
  24. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御質問の件でありますが、私たちは最善の措置を講じてこの問題の解決をはかりたいということで、すでに四年間にわたって交渉を、折衝を進めてまいったのであります。したがって、大部分の農民方々は国のやろうとする国策のあり方を理解されまして、そうしてほとんどの方々は配置を了承されて、御承知のように、ほんのわずかの方がまだ残っておる状態であります。その方々に対しましても、前回の国会におきまして木原さんからお話がありましたので、私は決して現地でもって話をする意思がないわけではない、ただそれには一つ考え方がある。いま残っておられる方々はこの土地を一歩も離れることはできないんだという前提では、空港建設ができませんから、それでは話し合いの余地がない、ただ政府はわれわれがこの土地を離れた場合にどういう措置をやってくれるのであろうか、あるいはそのときに、すでに賛成された人とは差別待遇をするかのような御意見がありましたので、決して差別待遇はいたしません、まただんだんと時代が変わってくるのでありますから、前の方に対しましてもあとからに対しましても、国としてはできるだけ生活を維持することは考えていきたい……、そういうことでありますなれば、あるいは代表者とお目にかかってもよろしい。しかしここを離れたくないんだ、空港をやめてもらいたいという前提では、これはどうも話し合いの余地もありませんので、その点ひとつ木原さんもお骨折りを願いたい、かように思って、木原さんもたいへん好意的に協力してくださったことは、心から感謝いたしております。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 私はやはり誠意の問題だと思うのです。誠意を尽くして話し合えば、おのずから道は開けると思います。私は総理みずからが行ってもらいたいと思いますが、もしそうできないとならば、総理の特命を受けて運輸大臣、ひとつ現地へ行って裸になって話し合おうという姿勢を示してください。いかがでしょう。
  26. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 もちろん出かけて話をすること、それは別に問題はないはずでありますが、しかしただいま答えたように、それぞれの代理権者というか、権限を持つ者がいますから、一々いま総理が出かける筋のものでもないだろう、かように私は思います。しかし私も過去において責任の地位にある際に団体交渉もしばしばいたしました。また必要があれば直接話し合うことも、それはそのほうが問題を解決するゆえんである場合もありますから、そういうことももちろん考えていいことだと思います。ましてや知事自身が直接会うこと、あるいはさらにまた関係大臣が会うとか、こういうような努力をすることにやぶさかではございません。しかしいまのところは、ただいままでの経過を見ると、この運動の展開の状況にもあるように、まことに人道上から見ましても、中学生、小学生を動員する、そうして反対をする、あるいは穴居、その状況のもとにおいて反対をする、これは一体法治国家に考えられるようなことでしょうか。私まことに遺憾に思うのですよ。こういう問題は政府にもちろん責任がありますが、社会党の方にも、私はやはり御協力願って、正しい法治国のあり方に御協力願いたい。そういう意味で、われわれはできるだけのことはいたしますから、いまの田中君の御意見は、私は建設的な御発言だと思いますので、私も無にするつもりはありません。努力はいたしますけれども、いまの状態は見るに見かねる。あまりにひどい。こういう状態で、話ができるような状態ではない。このことは私は指摘しておきたいと思います。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 ぜひ冷却期間を置く、代執行を中止する、そして総理が行けば、私は話が進むと思うのです。総理が行けなくても、運輸大臣が一ぺん行って話し合えば、ここの人たちは話せばわかる人たちだろうと私思うのです。  さて、先ほど来の今井総裁答弁を聞いておりますと、いろいろ起きました事件は、現地責任者にその責任を回避するかのごとき発言がございました。そこでそれを所管する運輸大臣、当面の責任者である今井総裁、一体どのような気持ちでみずからの責任をどうとろうとしておられますか、お伺いいたします。
  28. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 加瀬議員に対して混乱の中に起きました事件については、先ほどおわび申しましたように、まことに申しわけないと思っております。ただ国会議員あるいは一般の人もそうでありますが……(田中(武)委員国会議員だけと違う」と呼ぶ)一般の人も含めてです。これを特に初めから計画的に暴行する意思は全く持っておらないことは、当日の状況でもごらんになればわかります。加瀬参議院議員及び小川県会議員、もう一名の県会議員は、ちゃんと中に入っているのであります。しかしおくれて参りました木原先生ほか一名の県会議員が、ちょうどそのときに非常ベルが鳴ったあと混乱した状態に起きた事件である。決して国会議員を、あるいは社会党議員であるから入れないというわけではない。ちゃんと加瀬参議院議員と二名の県会議員は門内に入れて、ちゃんとあいさつをいたしておるのでありますから、決して社会党議員とか国会議員に対しあるいは一般人に対して、初めから計画的に無礼を働く意思は全くなかったということは御了解願いたい、かように申し上げたい。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 今井総裁、どう責任をとるんだ。
  30. 今井榮文

    今井参考人 先ほど申し上げましたように、今回の事件についてはまことに申しわけない、公団責任者として心からおわびを申し上げます。  先ほど運輸大臣が申し上げましたとおり、当時は私どもの実施班は投石その他に追われて、全部作業を中止して分室へ引き揚げておった直後でございまして、その間におきまして、大臣がおっしゃいましたように、加瀬参議院議員並びに千葉県会の小川議員は、私どもの二階に上がっておるわけでございます。それからなお、木原先生だということに気がついた上の職員がおりてまいりまして……。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 わかりきったことを言うておるのでない。みずからどう責任をとるか、一言でいいのです。
  32. 今井榮文

    今井参考人 私自身は、先ほど申し上げましたように……。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 同じことを何べんも言うな。君自体が一体どんな責任をとるのか。責任を感じておるのか、それの一言だけ聞いておるのだ。
  34. 今井榮文

    今井参考人 責任を感じております。代表者として責任を……。これは私自身の進退は政府のことでございまして、私はやはり空港建設を命ぜられた立場上、空港建設に全力をあげて今後ともやっていきたい、かように考えております。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは政府の再考を促して次に参ります。  ここでひとつ問題になるのは、やはりガードマンの取り扱いであります。しかも成田におきましては、三百名のガードマンを雇い入れておる。この人たちの中には無頼の徒といいますか、そういう人も多く、中には多くの人が、いわゆる賛成派というか条件派というか、そういう人もまじっておる、したがって、現地農民同士をけんかさせておるというかっこうであります。  そこでこの問題については一般質問山口鶴男委員、分科会質問で安井吉典委員がいろいろと追及をいたしております。時間の関係で省略いたしますが、今後このガードマンの規制について法的行政的措置が必要である。その際も問題になりましたが、警察官に似たようなというか全く同じような制服を着ておる。このことだけでも軽犯罪法一条十五号によって罰せられます。警棒をふるっております。この警棒は、警察官には警棒使用心得という規定がございます。これがガードマンのときにはそういう規定も何にもなく、訓練もなくやっておる。そこにむちゃくちゃなものが起こるわけです。これは安井委員質問を受けての質問というかっこうでありますが、このガードマンについて、行政的、政治的、そして法律的規制をどうするのか、ここで簡単にはっきりとお答え願います。
  36. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 護身用の警棒に類したものを持っているということにつきましては、お説のとおり警察官類似のものでございますので、あくまでも刑法にいう正当防衛、緊急避難のとき以外は使用すべからずという趣旨の行政指導をやっておるところであります。いずれにしましても全国に数百の警備会社ができました今日においては、お説のような角度から考えまして、何とか法的規制を必要とするのじゃないかという見地に立ちまして、いろいろと情報も収集し、規制の方法等も目下検討中でございます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ総理、先ほど来言っておりますことについて、まず代執行の問題、それから総理みずからと言いたいところですが、総理の特命を受けた使者でも話し合いに派遣すること、ガードマンの行政的、法律的規制、あわせてこれを実行する、こういうことで、ひとつ最後に一言だけ、いかがですか。
  38. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 一言でなしに少し時間をかけて答弁することをお許しを得たいと思います。  私、この問題は皆さん方の御協力をぜひ得たい問題だと思っております。ただいま現地において興奮状態のもとで代執行するということ、これは非常な危険があるだろう、かように思い、そこは一日か二日その興奮のさめるのを待っているというのがいまの状態だろうと思います。すでに代執行をするということになっておりますから、それをとりやめるということあるいは基本的に変更する、こういう考え方は政府にございません。ことに一部すでに賛成し、政府の施策に協力されておる方もございますから、それらと反対する者との間に非常な幸、不幸がございますから、それらの点をも勘案しながら、ただいまの基本的な方針は変える考えはございません。この点はぜひ御協力を得たいと私皆さん方にもお願いする、こういう方向でございます。  ところで、その代執行の問題はそれでよろしいとしても、ただいまのガードマンの問題についてはいろいろ問題があると思います。したがいましてこのガードマンの問題については、これは国家公安委員長にしても、さらにまたこれからの法制にしても、いろいろとくふうしなければならない問題があるだろう。これは田中君のほうが法律的に私よりもよほど詳しいですから……。ただいま軽犯罪法だとかいうようなことまで出ておる。どうも警官類似の服装をしているとかいうようなことは厳に戒めなければならない、あるいは警棒の使用等についても、ガードマンならよろしいのか、さような乱暴をしてもいいのか、こうは、ガードマンだからそれができるというものでもないだろうと思います。これもやはり、必要最小限度のもの、緊急避難とでも申しますか、そういうものは別だが、それ以外にはできないだろうと思います。したがってガードマンの本質について基本的に考えること、これはけっこうなことだと思います。  私は最初に申し上げました事件について、計画変更しないというようなこと、これは何とかして話を取りつけるようにしていかなければならない。それについては、政府がさらにさらに、それぞれ知事が、執行権者が、あるいはまたこの公団――いま代執行している、そのまた責任者政府でもある、そういう立場でございますから、それらもよく話を進めていく、そういう上でどういうような役割りが果たせるか、これは十分に考えてまいりたい、かように思います。長くなりまして申しわけございません。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題につきましては総理に二考も三考も願うことで次へ参ります。  時間の関係で、前段の説明は省略いたします。いわゆる政治駅といわれる問題であります。たいへん言いにくいのですが、国鉄吾妻線で福田駅、中曽根駅、こういうことで私が二月十五日に一般質問いたしまして、それぞれの答弁を得ました。しかし私は十五分しかなかったのでそのまま終わりました。そうするといろいろな投書が参りました。あれでいいのか、あるいはもっとしっかりせよといって激励を込めたのが参ります。いろいろの新聞の投書欄、あるいはフジテレビですか、八チャンネルで夜の八時五十六分から「待ッテマシタ!」というのをやっている。これはそのつどつどの問題、ことに政治的な問題をひやかすというか、やっております。それにも出ました。そこでひとつ新聞の投書欄から、福田さんと中曽根さんに対するのを一つだけここで御披露申し上げます。  「あきれた福田蔵相の答弁」これは印刷業で五十六歳の人であります。これは二月十九日の朝日に出ております。「福田蔵相の答弁には全くあきれた。……「地元民の陳情を取りついだのに何が悪い」「異なことを承る」等々」こういうふうに続くわけなんです。そこで最後はこの「異なことを承る」ということをそのまま福田さんに返してくださいということなんです。  もう一つは、これは中曽根さんに関することです。ブルータスじゃありませんが、中曽根大臣、あなたもか!」こういうわけなんです。その上に「政治駅に政治飛行場 血税私物化許せぬ」これはセールスマンの三十五歳の人です。ちょっと読んでみますと、「自民党の中にあって」――ここはいいのですよ。「中曽根防衛庁長官は多少とも清潔で新風ムードがあると感じていたのだが」こういうところから書き始めて、そういうことではあんたのイメージもこわれる。こういうことで最後は、どうも中曽根さんは清潔だと思っていたが、あんたもか。こういうことで終わってあるのです。こういうことをお聞きになりまして、これだけ国民が関心を持っておる――そのことのいかんはともかくとして、いま国鉄が赤字対策として無人化を進めておるとき、こういうような問題をはたして納得するのだろうか。しかも一番おそれるのは、こういうことによる政治に対する不信感であります。  さらにもう一つ問題は、これから山陽新幹線、これは大体きまったようですが、あるいは東北新幹線、上越新幹線等々とできます場合に、あの場合はこうあったじゃないか、おれの場合だってということで、与党の大物大臣が地元に駅をつくれと言ってきたらどうなりますか。いや、そんなことではなかったと、こうであろうと思います。しかしそういうように受け取られ、そう国民が感じておる場合はどうですか。たとえばここにおられるだれかのところにでも来て、それじゃ福田さんなら、中曽根さんならやれるじゃないか、あんたはだめですね、これは次は選挙落選だ、そういうようなこともありますので、この際総理からはっきりとこの種の問題に対してどうやるのか、これをひとつけじめをつけてもらいたい。あわせてこれらの投書に対してお二人はどう感じるか、ひとつ感想を一言で述べてもらいたい。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 先般の田中さんの御質問に私は非常に明快にお答えをしたつもりでございますが、どうも新聞の投書があるなんというようなお話を承りますと、田中さんの御質問の誘導のしかたが非常に巧みであったというように感じます。私は、ただ単に陳情がありましたのを取り次いだ、しかも威力を用いたというようなことは一切ありません。抵抗なしにあの駅は実現をした、こういうふうに見ております。私は誤解を受けるような行動は一切とっておらぬということを、この場を通じましてはっきりと申し上げさしていただきます。
  41. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 前回遺憾の意を表しましたが、それが私の心境であります。
  42. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは国鉄のほうできめた問題でありますが、両大臣から私には一切の陳情もありませんので、いわゆる政治的圧力とはもちろん感じておりません。  ただ基本的な問題を申し上げますと、地方交通線は、何と申しましても通学、通勤でありますからして、かつての考え方とは今度は変えていく必要がありはしないか。ことに無人化駅という方式ができましたので、なるべくは二キロ、三キロのところくらいで通勤できるようなことが地域住民のために利益になる。新幹線は、これは別な考え方があります。これは御承知のようにスピードを落としてはいけませんから、このようなことに関しては、もし与党からそういうことがありましても、運輸省当局としましては、そういうことに対しては全くこれは影響を受けることはありませんので、その点総理がお答えすべきでありましょうが、私から大体の方針を申し述べておきたいと思います。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 総理、もうないですか。やはり、たがを締めておかないといかぬのです。
  44. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 それぞれ関係大臣からもお話がございましたから、これはもうおそらくその答弁で御了承だろうと思います。私は、いま総理としてずいぶん長い期間やっておりますが、各方面から実は陳情を受けます。またその陳情は、与党からだけでもございません。野党の皆さんからも、田中さん自身からは受けておりませんが、しかしその他の方からはそれぞれ受けております。私は、代議士というものはやはり国民に直結する、それが一つの姿じゃないかと思うのです。ただ陳情があまり多過ぎて、われわれが仕事ができないということがありますから、まあ私の大先輩吉田さんは、陳情が大きらいだ、予算編成に際しては、陳情をされたら、そんな予算は一切計上するな、こうまで大きい声をされたことがしばしばでございました。私は、しかしただいまの民主主義のもとにおいては、国民と直結すること、これは大事なことだと思います。しかしながら、直結したといってもそれにおぼれる、あるいはそれに縛りつけられる、自分たち責任を果たさない、そういうことではいけないと思います。先ほど来言われておるのも、そういう意味でそれぞれの方が答弁されたので、この点は御了承いただきたい。(「公平にやれ」と呼ぶ者あり)私は与党、野党にかかわらず、皆さん方のお話は何でも承りますから、公平にやるということであります。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題、私は笑いごとじゃないと思うのです。これはやはりえりを正して大所高所から考えていただく、それが国務大臣であり、総理であろうと考えます。  次にまいります。健康保険法の改正法案と答申との関係であります。これも何回か議論になっております。去る二月十八日に山口鶴男委員から、社会保障制度審議会の答申、法律上では意見書ということになりますが、決定せられてから政府が改正法案を国会へ提出するまでにわずか二十分。それではたして答申を十分審議し、その意見を取り入れたのかどうかということであったのです。そこで、関係の深い秋田自治大臣と野原労働大臣に答申の内容を御存じかと聞いたら、秋田自治大臣は立とうとしなかった。そして野原国務大臣は、一応前の閣議のときに厚生大臣から説明を聞いております、こういうことで、答申の内容ということは全然知らなかった。しかもこの発言、一応前の閣議のときに厚生大臣から聞いておるということは、両審議会の答申の出る前、すなわち答申を無視した、どんなものが出ようと出まいともうやるんだということを先にきめておって、単なる形式的手続としか考えていなかったと思います。総理、たいへん失礼ですが、総理はこの制度審議会の答申の要旨をいま御存じでしょうか。――違う、違う。委員長、けじめをはっきりしましょう。制度審議会は、その設置法第二条によりまして総理の諮問機関です。第一条によって総理の所管と書いてあるんですよ。だから厚生大臣、出しゃばってはいけません。
  46. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 今回の健保改正、これはずいぶんいろいろな問題がございます。ことに全体としての抜本改正という問題があるが、まあその中からひとつ政管健保、これを取り上げよう、こういうのでございまして、その取り上げ方がはたしてこれでよろしいか、こういうような意味で私の指図も受けております。そういう意味では、大蔵大臣とも話もして、そうしていま基本的な取り扱い方をきめたわけであります。まあ、いずれどういう点をどういうようにという、そのこまかな点まで一々申しませんが、ただいま申し上げたとおり、基本的なものを、抜本改正をしよう、それについては、政管健保はこれだけの赤字が出るだろう、これをどういうようにするか、一部たな上げ、一部負担する、こういうことで話を進めたわけでございます。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど申しましたように、保険審議会のほうは厚生大臣、制度審議会は総理大臣なんです。ところが総理、これの答申をほんとうはあまりよく御存じないようです。先ほど総理は法制度ということを申されました。これははっきりと制度審議会設置法によってきめられておる、あるいは健康保険法の中にきめられておる法の制度であります。その法の制度を総理みずからが破られたと私は思います。そういうことで一体いいのですか。そうでないとおっしゃるなら――総理に対する答申であります。その名前は内田厚生大臣になっているけれども、制度上ははっきりと総理の所管で、総理の諮問に答える、こうなっておるのですよ。違うか。そうだろう。じゃ、総理みずからがそれを受けて、そして考える、そうでなくちゃならないじゃありませんか。これは法律の制度です。法制度をみずからが破ったというか、あるいは軽視した、そういうぼくは一つの証拠であろうと考えますが、総理いかがです。
  48. 内田常雄

    ○内田国務大臣 社会保障制度審議会は総理大臣所管の審議会でございますが、各大臣が諮問をし、また各大臣に意見を述べることができるという仕組みになっておりますので、今度のことは私が諮問いたし、私が答申を受けた、こういうわけでございます。
  49. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 田中君は、いつも大所高所から議論をなさるので、あげ足をとったような議論はなさらないと思う。いま厚生大臣のお話でおわかりがいただけるだろう。私が何もかも責任者であることはこれはもうあらためて御指摘になるまでもなくそのとおりでございます。しかしものによりましては、それぞれの所管大臣をやはり一応経由して私のところへ来る、こういうものでございます。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 失礼しました、内田さん。しかしながら、もちろん関係大臣という条項もあります。しかし総理の所管とはっきりなっておるのです。相当権威あるものなんです。総理、これは無視してはいけませんよ。しかもその答申の最後は、いろいろ書いてありますが、「政府の再考を求める。」これで終わっているわけですよ。これを受けて再考せられたのですか。いかがでしょう。
  51. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 いろいろ私ども、内田君とも相談したということを申し上げておきます。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 実はこういう答弁では了承がいかない、こう開き直るところであります。ほんとうですよ。冗談に考えてもらってはいけません。法律に従って処理をしてもらわなくちゃなりません。しかもきょうの新聞を見ますと、いわゆる医師会、歯科医師会が中央社会保険医療協議会から委員を総引き揚げするということ、これも、何回か大原委員等が抜本的対策ということをこの場所申しました。その抜本的対策を立てることなく、赤字だけを解消したらいいんだという安易な考え方、そういうところに基礎があると思います。いずれにいたしましても、この委員総引き揚げということは健保改正に大きな影響を与えると思います。しかも先ほど来申し上げておりますように、制度をみずから軽視し、これを破ったと言っても過言のないような出し方をした。なるほどわれわれが二月十六日に必ず出せと言ったから出したんだ、こういうことでありましょうが、それは手続を尽くした上でとこういうことです。このようにいろいろと問題があります。どうでしょう、まず第一にこの中央社会保険医療協議会、これからの委員の引き揚げの問題についてどう対処するのか。これと関連をいたしましていま申し上げているようないろいろ問題がある。そこで、一度どうでしょう、改正法案を練り直し、出直したらいかがと思いますが、どうでしょうか。
  53. 内田常雄

    ○内田国務大臣 社会保障制度審議会から十七日に御答申をいただきまして、間もなく政府部内の正規の手続を経て国会に提出をいたしましたが、何べんもお答え申し上げておりますように、今度国会に提案をいたしました法律案改正の内容は、昭和四十六年度予算と密接な関係がございますので、すでに昨年の暮れのうちから私どもは制度審議会といろいろお打ち合わせをいたし、また意見も承るように書面を出しました結果、意見書というものを十二月十九日にいただいております。さらにまたこの制度審議会は田中さん御承知のように、与党の国会議員もその委員になっておりますし、また私どものほうの次官をはじめ、関係各省の次官なども委員になっておりますので、それから先般の御答申をいただきますまでの間の審議の経緯につきましてはこれらの与党委員並びに公務員からも常に報告を受けておりました次第でございますので、そこで先般の答申というものは年末の意見書にその間の意見を加えて成文されたものでございますので、私はあそこの答申にございますように、再検討、再考慮をいたしました結果、やはり当委員会にも要綱をお配りしたり、また閣議でも私が御報告をいたしてまいったような中身で国会に提案をするのがよかろう、こういうことを再考慮の結果きめた、こういうわけでございます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 閣議を開いたといったって、実際開いていないのですよ。開く間もないし、その間もずっと――あのときは委員会にとまっておりましたか、二十分で、やっているという間がないのですよ。その証拠に、そのときに尋ねられた二閣僚は全然答弁ができなかった。私はこれ以上この問題だけで時間をとりたくないのですが、要は私最初申しましたように、ほかの大臣方々には一般質問で聞いておるのです。それを締めくくりの意味において総理に聞くのが目的なんですから。総理どうです。法制度ということを先ほど申し上げましたが、法制度は総理みずから、内閣みずからが守るということ、そういうことの上に立ってこの健保問題について出直されたらいいじゃないか、こう私は言っているのですが、いかがですか。
  55. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 まあいろいろこの問題は、委員会自身がいわゆる三者構成ですから、皆さんもやはりそれぞれの立場から実情はよく御承知のことだと思います。あらためてこの席で議論する、ずいぶんちょっと、というような点もあろうかと思います。私はその点で、厚生大臣もまたいろいろお話ししにくい、どうもよそ行きの話をしているのじゃないか、聞いていてそういう感じがしないわけでもありません。私自身が閣議というよりも、いま三者構成の委員会の経過をいろいろそのつど厚生大臣から聞いておりますので、どうも扱い方はなかなかむずかしい。片一方では、先ほど御指摘になりますように十六日までに法案は出すと言っておる。そしてそれについていろいろ厚生大臣は当時、非常にむずかしい説明をいたしておりました。見切り発車はいたしません、しかし定時発車はいたします、こういう言い方をしたように思っております私は定時発車という、あるいは見切り発車という、どういうところに問題があるのかといろいろ考えてみた。いまのような点で(「尊重するということじゃないか」と呼ぶ者あり)その尊重するだけではなかなか片がつかない、そこらに問題がある。そうしてしかも(「無視するの」と呼ぶ者あり)これは無視はいたしません。そこでその結論自身を――私は別にいま不規則発言をするわけではありません。田中君にお答えをいたしますからお聞き取りをいただきます。  そこで、いわゆる答申そのものにいたしましても、明確な答申ではございません。しかしながら、政府の意向というものが十分反映しているものも一部にはあるわけであります。そこらに私どもも救われたような気がして、最終的に決定したということでございます。  さらに、ただいま言われるように医者の団体、これがただいま脱退する、こういうような話をしている。これも一つのたいへんなむずかしい問題でございますから、これについては別に閣議にその問題をかけてはおりませんけれども、厚生大臣に特にかようなむずかしい問題にならないように何とか話し合いをつけてくれ、こういうことでいろいろ相談もしている最中であります。そういう点がございますので、いまのむずかしい委員会でありますだけに、その取り組み方も慎重でなければならぬこと、これはもう仰せのとおりでありますから、私どもこの問題について十分慎重には取り組むつもりであります。しかしただいま、抜本改正というものがことしになって始まったわけのものでもありません、数年いわれてきております。そういうことを考えますと、やはり積み上げでも早くスタートを切ること、これが大事だ、かように思いますので、私は、この際皆さま方の御審議を十分いただきまして、その上でぜひ成案を得たい、かように思っております。ただいま撤回はいたしません。どうか御審議のほどお願いいたします。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題は他の場所での論議に譲りたいと思います。  そこで、大蔵大臣、二月八日私、質問の際に一般会計と財投の関係、そして財投の中でも産投と資金運用部資金との関係等々につきまして、はっきりとした基準なりあるいは交通整理が必要である、こういうことで、宿題を出しました。そこで、このように資料をいただきましたが、これでは全然わけがわかりません。そこで、ひとつ具体的な問題をあげましてお伺いをいたします。  それは輸出入銀行と海外経済協力基金との関係であります。輸銀に対しましては財投計画で、そのうち産投会計が六百五十億、資金運用部資金が三千百四十億、合わせて三千七百億が出ております。基金には、これは四百億資金運用部から出ております。ところが、双方の法律のあり方を調べてみますと、輸銀のほうは同法の二十六条四項で「その予算を国の予算とともに、国会に提出しなければならない。」こうなっておって、政府関係機関予算として、予算書として提出されております。しかし、基金のほうは同法同じく二十六条で、その「収入及び支出の予算」は、一行政長官である「経済企画庁長官の認可を受け」るだけでよいとなっておるのです。そうですね、経済企画庁長官。――そういたしますと、輸銀のほうは、国の予算として財投は審議の対象になっておる。ところが、基金のほうは、これは国会審議の外にある。ただ単に参考資料として出てきておるにすぎません。そこで、こういうことは私は何といってもやはり憲法八十四条の財政処理の基本原則、すなわち財政議会主議からいって、納得できません。財投資金これすべて国民の金であります。憲法は財政処理の基本原則としてはっきりと議会において議決することを要求いたしております。どうでしょう、四百億。まだほかにもありますが、輸銀と海外経済協力基金をいま比べたのです。このことについてどう思いますか。
  57. 福田赳夫

    福田国務大臣 国の資金、これには財政資金と財政投融資資金とあるわけであります。これは性格がたいへん違うわけでありまして、財政資金のほうは租税その他の財源です。それから財政投融資のほうは、簡保だとか、あるいは資金運用部資金だとか、そういうようなもので、国が国民からお預かりをする、そういう金です。したがって、その運用、使途におきましても、財政資金のほうは何に使ってもいい、また返ってこないでもいいのです。ところが、財政投融資資金のほうは回収されなければならぬと、こういう性格を持つわけであります。しかし、ひとしく国家資金でありますから、これは相協力して国のお役に立つ。ときに多少相協力するという場面が出てくる、これは当然のことであります。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 これは私、あげ足とりの問題ではありません。憲法八十四条の財政議会主義、この上に立っての堂々の議論を展開していきたいと思うのです。問題をすりかえないで考えてください。同じように運用部資金から輸銀と基金に出ております。一方は国の予算として予算書の中に出てくる。一方は全然、参考書類には出ておりますが、議会の議決の外にあるわけなんです。これは一例ですが、そんなのがたくさんあるわけなんですよ。いまの大蔵大臣の御答弁では、私は満足できません。憲法を一体どんなに考えておるのですか。憲法の財政議会主議、財政処理の基本原則の上に立って、そういう答弁は許されますか。そういう答弁がある限り、私はこの予算審議は意味ないと思うのです。私はきわものでとめようとは思いません。しかし、憲法論議なら、気に入らなければ、とめます。前進ある答弁があるまでは次の質問はできません。
  59. 福田赳夫

    福田国務大臣 そこで、財政投融資資金ですね、これは回収されなければならぬ資金でありまするが、その財政投融資資金をどういうふうに扱うか、これはあるいはたとえば資金運用部資金、これは法律によってきめられておる。それから簡保の資金はどうするか、これも法律によってきめられておる。それから輸銀法というものがあります。あるいは基金法というものがあります。それでどういうふうにするかというものがきまっておる。みんなそれぞれの法律にきめられたところに従いまして、予算も、経理も運用されておる。これは全く財政民主主義にのっとってやっておる。決して憲法違反の問題は起こらぬと、さように考えております。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど海外経済協力基金法では、その収入あるいは支出は経済企画庁長官の認可でいいということになっておるのです。それは基金の予算についてであります。いま私が申し上げておるのは、それに対する国の財投であります。いいですか。そういう法律があるから許されるというような解釈はできません。議会で議決がなければ、財政を組んではいけないというのが憲法の規定ですよ。いまや財政投融資はその額が四兆二千八百四億円、一般会計に対して四五・五%であります。これがある部分は、もちろんいま申しましたように輸銀法によって予算とともに提出しろということになっておる。ところが一方は、一行政庁の長によって処理してもいいということになっておる。これはそこの予算なんです。財投の問題ではありません。したがって、これは今後財投計画も予算の一部として取り扱う。そのような前進のある答弁のない限りこの問題の取り扱いは、ひとつ、委員長どうしてくれます。これは私は政治駅とか、成田も重要ですが、政治駅のようなあげ足じゃありません。これは重要な予算審議の基本問題であります。したがいまして、この問題で前進ある答弁のない限り、予算審議は意味をなしません。いかがでしょうか。
  61. 福田赳夫

    福田国務大臣 田中さんが、たいへん回りくどいと言っちゃ語弊があるかもしれませんが、基本的なところから御質問がありました。どういう御趣旨かと思って、私いま考えておったのですが、やっとわかりました。つまり、財政投融資計画を国会の審議の対象とせよ、こういうことかと思うのです。しかし、これはそう簡単にはいかない。いきませんのは、この財政投融資計画というのは、これは便宜のものなんです。つまり、政府の資金にして財政資金以外のもの、それから政府の影響力のある資金、つまり政府保証債とか、そういうものの配分を一覧して見えるようにして、国会の御審議にも、われわれの政策決定にも都合がいい、そういうようなことで便宜のためにやったのです。それは、それの個々のことはこれは個々の法律がある。それにきめられておる。ちっとも民主主義に反することはない。大体において皆さんの御審議に一つ一つあずかっておる。便宜のためにやったものが、これが正式の審議の対象にならなきゃならぬ、そういうふうには考えておりません。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 私は語るに落ちたと思うのですよ。便宜のためにやっておる、まさに便宜主義に流れております。しかし、これも国民の金であり、国の財政の一部なんです。それが便宜のためにやられるということはいけないと言っておるのですよ。いいですか。それが憲法八十四条にいう財政議会主義に反しないかということを言っておるのですよ、どうなんです。便宜のためにやるというようなことばは私は許せません。国民の金、国の財政を便宜のために使われていいんですか。私はこんな大きな声を最近あまり出さぬことにしておるのです。しかしこれはそういう問題じゃありませんよ、福田さん。
  63. 福田赳夫

    福田国務大臣 便宜のためと申しましたのは、国会審議の便宜のため、また行政執行上の便宜のためというのであって、便宜主義という意味じゃないんです。それで、その構成する一つ一つの事案につきましては国会の御審議を得ておりますが、しかしその御審議のやり方についてはいろいろ違いがある。たとえば会社につきましても増資をする、こういうような際と、借金をする、こういうふうな場合につきましては、株主総会でのはかり方、これも非常に違います。ちょうどそういうような関係が国の予算についてもある、こういうように御理解を願います。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 ますますおかしくなりました。私は株主総会等と比較してもらっては困る。これは憲法解釈の違いといったようなことでは済まされません。その便宜のために、言うならば政府の、内閣の便宜のためにこの金を使うということ、このことが財政議会主義に反する、行政の便宜のためでもいいです。これをいかにやっておるのです。なぜそれでは財投を参考資料から国会の――一緒に書いておるのですよ。これはここにも四、五となって、四は政府機関云々となって、五が財投になっておる。これは説明なんですよ。それを予算の中へ入れたらどうか、入れるべきだと言っておるのです。それがなぜできないのですか。なぜできないのですか。(発言する者あり)何かおっしゃって、自信があるならひとつ出てください、やりましょう。――ちょっと待ってください。これは総理、お聞きになってどう思います。私が勘違いしていますか。そうじゃないですよ。憲法には自信を持っています。何なら、もっと時間があればじっくりやってもいいと思うのですよ。これは財政民主主義からいっておかしいですよ。そうじゃなかったら一体何のためにこんな審議をするのですか。政府の便宜のために運用部資金を使います、そんなこと言われて審議ができますか。
  65. 福田赳夫

    福田国務大臣 どうも田中さん、たいへん興奮をされておるようですが、ちっともそんな必要はないんです。政府政府の便宜主義のために資金運用部資金を使うなんて一言も言っておりません。これは政策運営上の参考です。あるいは国会の御審議の参考のために一覧表にしてごらんを願ったり、われわれが見たりしておる、こういうことなんです。その一つ一つを洗ってみますると、みんな性格が違うのです。これは一表にして正確な予算の御審議の対象にするというような性格のものじゃないのです。しかしいま財政民主主義というお話があります。したがいまして、これは尊重しております。一つ一つの事案につきましては、その事案の性格に応じまして、形態は違いまするけれども、御審議をわずらわしておる、こういうことであります。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 政府の便宜のためとか審議の便宜のためとか、それはことばはいいです。少なくとも四兆二千八百四億円という膨大な金なんです。一般会計の半分なんです。それがもちろん個々の法律によりまして、それはいま言ったように輸銀は規制がある。だから予算として出てきておる。だが一方は出てきていない。こういう矛盾が、一体憲法八十四条の基本原則と照らしてどうなのか、こういう問題であって、私はもうよろしい、ここは一体どうしてくれるのか、そういうことをはっきりせぬ限り、私はこれ以上の質問を留保します、
  67. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 法律問題が出ましたので、私からちょっと申し上げさしていただきます。  先ほど憲法の御引用がございましたが、おそらく八十三条のことを申されておるかと思います。八十四条は租税法律主義の規定でありますから。八十三条で財政処理の基本原則、こういう考え方が述べられております。それからその八十三条と八十五条も一緒に見ていただきたいのであります。八十三条で憲法で書かれておりますことは、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」こういうことで、これは財政の処理のしかたです。たとえば財政法をきめ、会計法あるいは物品管理、債権管理、一切のことが、この八十三条に基づきまして一切のことを法律に基づいてやる、こういう規定だど私どもは解釈しております。それから八十五条では、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」こういう規定がありまして、これは国費の支出を国会の議決――これは大多数が予算という形式をとるわけでありますが、このほかに予算外のいろいろな債務負担等があるわけであります。この財政という中には当然国費もありますし、あるいは財投のようなものも広い意味で財政でありますが、その国費を支出する場合と、たとえば先ほどお話のありました輸銀の融資あるいは基金の融資という問題は、この八十五条の国費には入らない。直接には入らない。国から出る段階のことを国費、こう解釈しておるわけであります。それで基金のほうはなぜ予算を出さないかということは基金法のときの問題なのでありますが、当初基金は全部一般会計の原資で基金をやっておりまして、一般会計の歳出の面で基金に対する出資というものが出ますので、そこで御審議をいただければいいんではないか。その個別の具体的な基金の段階の支出については、主務大臣の予算等の認可ということになったわけでありますが、その後逐次一般会計の金だけでは足りなくなりまして、財投の資金も導入する。いま半々で運用しておりますが、その国から出る段階で御審議をいただく、こういうことであります。いま国会に予算を御提出しておりますのは、銀行と、それから公庫、三公社、こういったものが予算が出ておりまして、その他公団、事業団以下が、これは主務大臣の予算の認可ということでやっております。これはそれぞれ国の予算がきまった上で、それぞれまた事業計画を各公団で組んでまいりますので、それは同時に絶対に出せないことではないと思いますけれども、実際の事業の認可が事業開始後相当たってからできる、こういう性格のものもありますので、そういう実際上の必要、それから個々の運用の弾力性ということも考えまして、主務大臣の認可ということで処理をしている、こういうことでございます。御説明申し上げます。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 局長の説明でますますおかしくなった。要は、憲法七章の財政はすべてこれ国会議決に基づくというのが趣旨なんです。八十五条だってそうです。先ほど条文を一条間違いましたが、八十四条は租税法定主義、租税の問題です。したがって、この説明はますますおかしくなります。総理いいですか。福田大蔵大臣、いいですか。同じ運用部資金から金が出るのですよ。一方は国の予算の一部として出てくるのです、政府関係機関予算として。一方は出てこないのですよ。出てこないわけです。しかも、その認可が、これは法律にあるというけれども、これは基金法にあるだけなんです。一行政長官の権限によってできるわけです。しかし、これに財投なり国の金、国民の金を入れるということを行政長官に委任しているのじゃありませんよ。この八十三条、八十五条をずっと読んでごらんなさい。すべてこれを貫く精神は、議会の議決がなくてはならない、あるいはその後に議会の承認を得なければならない、こういうことになっているのですよ。同じ金で、しかもこれだけの膨大な金が予算審議の外に置かれる。なぜ財投計画がこのようにして説明書に書けて、これを予算の一部――しかもこれは順番をいうと、一が総説です。二が一般会計、これは出るほうと入るほう。三が特別会計、四が政府関係機関、五が財政投融資となっているのです。これは説明書ですがね。こうなっておって、なぜこれを一方の予算書に入れられないのだろうか、入れたらなぜいかぬのかはっきりしません。
  69. 福田赳夫

    福田国務大臣 政府関係機関につきましては、予算書を提出いたしております。これはあなたの御主張のとおりにしてあります。しかし、公団それから事業団、かようなものは民間の企業形態を取り入れたい、こういう趣旨でありますので、先ほど主計局長が説明いたしましたとおり、これは政府の認可事項にしておる、こういうことなんです。それで私はいいと思います。ただ、いまあなたの御指摘で私がちょっと頭で考えていることは、輸銀と基金、輸銀はこれは政府機関であります。したがって、予算を出して御審議を願う。ところが、基金につきましては公団並みの取り扱いをしておる。そこに少しアンバランスの点があるような感じがするのです。これは沿革から来ているのだと思いますが、この辺はなお私は考えてみます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 私はここで特殊法人の性格論をやろうとはしておりません。しかし、同じ運用部資金の金が出ていく。一方は予算書の中へ入っておる。一方は入らない。しかも、それがだんだんと膨張してくる。それが憲法八十三条以下の財政議会主義に反しないかということなんです。いま大蔵大臣が言われたのは、輸銀と基金との相違とかなんとか言っておられますが、私は特殊法人としては同じ性格を持っておると思う。民間だからということなら、よけいおかしいじゃありませんか。海外経済協力基金は民間ですか。法のたてまえはいろいろ違うが、しかし行政の一端としてやっている、行政がやるべきことをやっておるということには変わりはありませんよ。それは銀行といい、事業団といい、基金という。総裁といい、理事長という。月給もちょっと違う。それだけの違いではありませんか。本質は一緒じゃないですか。しかもこれだけの金がただ参考資料ということだけで出てきて、議会の議決の外にあるということがおかしい。それが憲法の第八十三条でいうところの議会主義の基本原則からいって正しいかどうか。それじゃ逆に、それを予算書の中に入れることがなぜいけないのです。なぜできないのです。私は了承できません。法人の性格論じゃありません。委員長、どのように処理してくれますか。これは私はあげ足取りの問題でなくて、国会審議、予算のあり方の基本問題だと思うのです。
  71. 福田赳夫

    福田国務大臣 財政民主主義、民主主義とおっしゃいますが、そのとおりにしておるのです。つまり、財政投融資資金は審議の便宜のため、また私どもの政策立案の便宜のために集計をしておるというだけのものでありまして、その個々の問題につきましては、その案件の性格によってその方法が違いまするけれども、いずれも民主的な根拠をもってやっておる。たとえば各種の政府機関にいたしましても、あるいは公庫にいたしましても、公団にいたしましても、特殊会社にいたしましても、それぞれ法律があるわけです。その法律に根拠を持ちながらやっておる、こういうので、決して憲法に違反するわけでもなし、民主主義の精神に違反するわけでもなし、私どもがせっかく便宜のために集計した財政投融資計画表というのがそういう誤解を生むということに相なりますることは非常に心外に思いますが、公団、公庫というものは何といっても事こまかに運用計画、事業計画というものを示すことはできない。これは民間の企業形態、それと非常に似通った面がありますので、これは政府認可にとどめる、それを法律によって御承認を願っておる、こういう案件でございます。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 私は了承できません。法律によってと言っても、特殊法人をつくるためには法律が必要なんですよ。その運用をきめたのがそのそれぞれの特殊法人の法律なんです。それに基礎を置いておるからといって、財投を、国民の金を使う基礎にはなりません。ますますおかしくなりました。
  73. 中野四郎

    中野委員長 田中君に申し上げます。本問題に関しましては、予算審議制度の基本にわたる問題でもありますから、本委員会において十分研究するとともに、政府においてもさらに検討せられるよう、これを求めたいと存じます。  以上御了承願います。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長からそのような処理が示されましたので、私は委員長に一任をいたします。しかしながら、いまいろいろと声が出ておりますが、これは慣例でこう来たのだからというような声が出ておりますが、これは絶対だめです。慣例を幾ら積み重ねても、それは憲法を破ることはできません。慣例だからこれでなくちゃならぬということでは、私はなおさら了承できませんので、それをも含めて御検討願うことで、一任いたしたいと思います。いいですか。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 けっこうでございます。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは次へ参ります。  次は、もう時間もだいぶん迫ってきましたので、簡単に申しますが、同和対策についてお伺いいたします。  四十六年度の同和予算はわずかに六十億ですね。各省からの要求予算は百二十億あったわけです。これではたして特別措置法を具体的に遂行することができるか。さらに同対審の出しました長期十カ年計画が完全に実行できるのか。これはもっと大幅にふやさなくてはならないと同時に、これは山中長官ですかが実態調査を約束しておられます。しかし、いま政府がやりましたのは、これはもうほんとうに形式的なもので、実態調査とは言えないのです。そこで、山中長官が約束せられました本格的な実態調査をいつからやるか。時間の関係でまとめてお伺いいたしました。それぞれから御答弁を願います。
  77. 山中貞則

    ○山中国務大臣 御承知のように、昭和四十二年に調査をしておるのでありますが、そのときは十カ年計画も特別措置法もありませんでしたので、都道府県知事や関係市町村長等においては、そのような調査報告に応じてもたいして得るところはないし、場合によってはかえって地方負担等がかさむもとではないかという気持ち等もありまして、ほんとうに的確な実態が把握できたとは考えられない点がございます。そこで、今回の予算で調査費を計上して悉皆調査をいたしますと、今回は背景に特別措置法がございますので、法律、財政上、あるいはいろいろの地方財政の問題についての特例措置等がおおむね各関係知事や市町村長に明らかになっておる時点でございますから、今回の調査においては完全な資料が得られるものと期待しております。第一線の実務担当者の人々とも、私、大臣室で会合を持って協議いたしましたが、やはりその必要性を痛感しておられましたので、これを活用して、来年度予算から的確に反映させるために、六月一日ごろに調査を始めたいと考えておるわけでございます。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 では、総理、この部落問題の解決にあたっては、やはりどれだけ理解し、どれだけ誠意を尽くすかという問題だと思うのです。私は、こういうことがこの民主主義の世の中であってはならない。これは政府の政治責任の問題です。したがって、総理の同和対策に取り組まれる姿勢、考え方をお伺いいたしたいと思います。
  79. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 ただいま田中君の言われるように、現代、この民主主義の時代に差別的な待遇があってはいかぬ、これはもうお説のとおりであります。私は同和問題についてはいままでも特別な理解を持っていたようにみずからは感じております。どんなに評価されているか、これは別でございます。しかし、いま議席を持たないけれども社会党八木君、これはずいぶん関心を持っておられ、そして具体的な施策もずいぶん私との間で話し合ったものでもございます。これはその点では意気投合していたと、かように思います。ただいまの山中総務長官の話も、こういう問題を今日なお議論しているということはほんとうに恥ずかしい問題だ。しかし、現実は何といってもそういうものがございますから、実態を十分調査して、そして差別的な問題が起こらないようにいたしたい、かように考えております。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 それから次に、FM東京問題、この免許に関しましては、いままでに何回か当委員会あるいは分科会で問題になっております。二月一日の総括質問で、あるいはまた第五分科会で、同僚の楢崎委員、さらに民社党の岡澤委員もこれに触れられております。だが、まだはっきりしない。だから読み上げます。一、申請書改訂届の日付の改ざんがあるのではなかろうかといった問題、二番目に、中央FMとFM東京との同一性に対する疑問、さらに中央FM申請書盗用の疑いの問題、さらに第三点として、申請三十一社の一本化工作に対する不当性、いろいろと追及が行なわれ、質問が続けられておりますが、いまだにはっきりいたしません。郵政大臣、ここでこの問題をずばり、われわれが疑問を持たないような御答弁を願います。
  81. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 お答えいたします。  先般、楢崎委員その他から提起されております疑問点は、実はただいま訴訟中の争点になっておる内容に触れる点もございますから、裁判の結果を待たざるを得ないと思っております。しかし、それとは別個に、仰せのとおり郵政省といたしましてさらに調査を尽くしたいと考えております。いずれにいたしましても、今後放送事業の免許問題については慎重を期して対処いたす所存でございます。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 これはまだ問題点を明らかに釈明したとは言えません。しかし他の場所もありますから、他の場所において追及質問を続けることにして、次へ参ります。  次は、これまた何回かわが党井野委員から質問いたしました問題でありますけれども、結局は、標茶町農業委員会の議事録に関しまして、北海道開発庁と、これの所管ともいうべき農林省との見解が異なっております。もういろいろの経過は、時間的に省略いたしますが、この農業委員会の議事録の解釈、取り扱いが両庁において異なっておる、両大臣において異なっておるということは一体どういうことなのか、ひとつはっきりしてもらいたいと思います。
  83. 西田信一

    ○西田国務大臣 委員会、分科会においてたびたび申し上げておるのでありますが、議事録そのものは私は否定いたしておりませんが、議事録に記載されておりますることが、私ども調査いたしました限りにおきましては、そういう事実はなかった、こういうことをお答えいたしておるのであります。
  84. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 きのうお尋ねいただきましてお答えいたしましたのは、私は当該委員会の決議というものの内容については申し上げたわけではありませんで、一般論としては、農業委員会の決議というものはそれなりにわれわれは尊重すべきものである、こういう考えを申し上げたわけであります。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題を二回、三回にわたって追及いたしました井野委員が本日ここにおりますので、一言でけっこうですから、関連質問をお許し願いたいと思います。
  86. 中野四郎

    中野委員長 井野揮君より関連質疑の申し出がありますが、田中君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。井野揮君
  87. 井野正揮

    井野委員 簡単にお尋ねします。ただいまお話のありましたこの農業委員会の議事録の事実問題については、文書をもって西田長官から御提出を願ったものであります。したがって、この議事録の内容に、もしこれが事実と相違するとしますと、農業委員会等に関する法律の規定に基づきまして、不実の記載をしたことに相なるわけであります。きわめて重要な問題であり、またこの内容を監督官庁といえども変えることはできません。農林大臣の言われるとおり、この内容を変え得るものは、標茶町農業委員会議だけであります。したがって、きわめて重要な問題が提起されておりますので、この点総理から明確なお答えをしていただかないと、今後の農政運用というものは全くその根拠を失うことになります。農地法及び農業委員会等に関する法律、この二つであります。  次に、もう一つお尋ねします。公務員の規律の問題でありますが、これらの作業を行ないました一切の事業は、西田長官答弁によれば公務中の私用であり、また答弁資料によれば、この仕事に携わった者は国家公務員及び地方公務員の四名であります。これらは、一切執務中の私用にわたることであって、公用ではないとの御答弁をいただいたのでありますが、この点は人事職員局長の御答弁によって、明らかに公務員法の九十六条、九十七条、九十九条に触れる問題として公務員の分限懲戒に及ぶ問題である旨を、一般論として御答弁をいただいておる次第でございます。これもまた食い違いがございます。  第三の点は、この農地の問題について、西田長官は地目が原野であるから、これは農地法の制限を除外されるとの御答弁をいただきましたが、北海道におきます農地の三分の一は広範な土地を国から払い下げを受けて、原野で受けましても、これを改良し、開田、開畑をしても、再びそれで登記をすれば、膨大な金がかかるのであります。したがって、現行においてはすべて原野として登記されたものが三分の一以上ございます。しかしながら、農業を守り、農民を守るためには、不良の不動産業者等、あるいは不正の売買等を禁止するために、つとに政府は、法務省と農林省と都道府県知事の協議によって、この登記移転については農業委員会の審議を経ることに相なっておる次第であります。この点を否定される御発言は、今後の農政をお変えになるおつもりなのかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。  以上三点です。
  88. 西田信一

    ○西田国務大臣 私は一般的に申したのでありますが、原野の中にもいろいろございまして、原野という地目の中にも、いわゆる原野、それからまた放牧地、採草地等がございます。そこで、この当該の土地は、原野でありまするが、いわゆる原野の中の原野として所有権移転ができるようにということで、農業委員会が決定をしておる事実から見ましても、原野の中におきましても、いわゆる原野のうちの原野、湿地、これは農地としての取り扱いを受けておらない、こういう理由で、私は先日お答えを申し上げたわけであります。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 これは重要な問題だと思うのです。そこで総理、ひとつこの質問は、一般大臣はもう一般質問でやるのですから、総理考え方を聞くのがおもですから、どうぞひとつお願いします。
  90. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 本件につきましては、ただいま西田北海道開発庁長官が答えたとおりであります。私もいろいろ、問題が問題でありますだけに、また個人の問題にも関係することでありますので、その事態を重視してよく取り調べたつもりであります。しかしその泥炭原野の購入につきましていわゆる純個人的な問題で、いわゆる官権を、肩書きを利用したとか、こういうような問題ではない、かように思います。それはただいまお話ししたとおりでありますが、また、この問題自身が、ただいまも申しますように、個人の名誉にもかかわる問題でもありますので一言述べさしてもらいますが、堂垣内君には御指摘のあったような気持ちはみじんもない、こういうことでございますから、この点を私は固く信じておることをつけ加えさしていただきます。いずれにいたしましても、この問題でいろいろの議論を生み出したような、そういう事態があったこと、そういうことは私も否定はいたしませんから、このような事態が起こらないように、十分指揮監督するつもりでございます。しかし問題はどこまでも個人的な問題だ、かように御了承いただきたいと思います。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題につきましては、よく現地調査してまいりました井野委員が何回かにわたって質問いたしました。いまの総理答弁を聞いておって、なお悪い、こういうように申しております。しかし、もう時間がありませんので、これは他の場所に譲ることにいたしまして、私残りました二、三の点について質問をいたしまして終わりたいと思います。  そこで、中曽根さんにお伺いいたしますが、これもいままでに分科会あるいは一般質問等でやったことに関連があるのです。その一つは、十九日の第二分科会で私が要求いたしました在日米軍が有料道路を使用している、これが日本では地位協定等の関係でチェックできない。それがいま四千万円以上になっておるわけです。ことしは四千六百万円ですか四千八百万円を組んでおります。こういうことで国民感情が許すのか、米軍の使用もただだ。かってに米軍のほうでパスを発行する、何枚出したのかもチェックできない、こういう問題で、日米協議会といいますか、そこでこの問題を持ち出すように、それにはどういう考え方の上に立ってやるのかということを示してもらいたい、こういうことを言っておりまして、書類が参りましたが、それは一つも具体的なものでないので突っ返しました。ここでその問題を明らかにしてもらいたい。  もう一つ。これは二月八日に、私質問いたしましたが、三重県白山町におきまして、いわゆるナイキ基地買収にあたって町会議員等を特別基地へ案内し、そうして酒つき、芸者つきで歓待したという問題、これはいいのです、そのときに究明いたしましたから。ところが、その同じ白山町で今度は違法な土地買収が行なわれております。すなわち、白山町所有の町道といいますか、これが一月二十日ごろに総理府に――登記簿はそうなっておるのです。そして、いま現に工事が進んでおります。しかし、町道を売却する場合は、道路法八条等によって、まず廃道の議決が必要であります。そうして行政財産から普通財産へ切りかえて、そうしないと処分はできないことになっております。ところが、そういうような町議会の議決は一切行なわれておりません。白山町は違法な手続によって土地を、これは総理府となっておりますが、防衛庁に売った。また、違法な手続によって買ったということになりますが、この二点につきまして、解明をしていただきたいと思います。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 有料道路使用の問題は、厳重に調べてみましたところ、東名高速、その他高速道路が非常にふえたり長距離になったりしましたそういうかげんもありまして、使用度数、金額がふえたようでございます。しかし、この点は先方の係官ともよく話し合いまして、当方においても月別あるいはその他適当な方法によって、今後とも厳重にチェックするようにいたしたいと思っております。  それから道路の問題につきましては、施設庁長官から答弁いたさせます。
  93. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 白山町のナイキ陣地の基地の取得につきましては、まず所有者の方と契約を結びまして、取得いたしておるわけでございます。一部町の所有しております道路があると思いますけれども、これらにつきましても、それぞれの手続を経て取得するということで、いま努力をいたしておるところでございます。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 所定の手続を経たと言っておりますね。私の言っておるのは、行政財産である、町道である。したがって、道路法によってまず廃道の手続をとる。それから、行政財産を普通財産に移す。でなければ、町は払い下げできないのですよ。所定の手続を経たといういまの答弁責任持ちますか。
  95. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ただいまの道路は公衆用道路になっておりまして、これは町長の専決で決定をすることができる、こういうことになっておりますので、そういう線で協議を進めるつもりでございます。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、もう私の持ち時間も少なくなりましたが、そこでいまのことに関する資料を要求いたします。  それから中曽根さん、これはさきの財投にも関係あるのですが、国民は有料道路に金を払って通っておる。いかに地位協定に基づくとはいえ、フリーパスで、といってもパスは見せるようですが、それは日本が全然関係できないところで発行して、それで自由に通っておるということ、総理、これで一体国民感情が許すでしょうか。これはだんだんふえてきておるのですよ。こういうことについて、日米協議会等でこちらから積極的に提案をし、協定の関係上できないとするならば、私用と公用を区別する、私用は金をもらう、そうでなければ国民は許さないと思うのですよ。どうでしょう、総理
  97. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 外務大臣等から答えさすのが筋かと思いますけれども、ただいまのような国民感情の問題だと言われるし、(田中(武)委員「政治姿勢の問題だ」と呼ぶ)政治姿勢の問題だと言われるし、とにかく日米安全保障条約のもとにおける地位協定、これはやはり国民の協力なくしては十分実施できない、かように思いますので、それらの点で国民の理解を得るように一そうの努力をする必要があると思います。したがって、その地位協定の適用のしかたによっては、よく話し合って、その上で、国民も納得がいくだろうという、かような方法をとりたいと思います。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 最後の一問、これは総裁としての総理にお伺いいたします。先日も私この点に若干触れましたが、その後自民党の内部におきましては憲法改正の動きが活発になってきておる。五つの分科会を設けて年内にその要綱をまとめる、こういうようなことも言われております。その間には、総務会とかあるいは総裁の手を経るだろうと思うのですが、こういうことにつきましてもちろん各政党が検討するということはいい、こうおっしゃると思うのですが、総理は憲法を守らねばならぬ。その立場に立って、こういう動きに対してどのようにチェックしていくのか、総裁と同時に総理としてお考え伺いたいと思います。
  99. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 私は、総理でありますと同時に総裁でもあります。総裁でもあると同時に総理でもある。そういう意味で、憲法を守る立場にございます。したがって、この問題がいろいろ各方面で論議されあるいは検討されること、これを私いま直ちに禁止するという立場ではございませんけれども、党としての立場でこの問題を取り上げるということについては非常に慎重である、このことだけは申し上げておきます。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、きょうは締めくくり総括ということで、いままで各分科会、一般質問等で問題になったものを全部あげて解明していただきたいと思って、たくさん用意いたしましたが、残念ながら時間の制約等で残りました。私は十分その役を果たすことができなかったことを残念に思いますが、あらためていずれかの場所においてその問題を提起することをひとつ申し上げておいて、きょうは時間が来ましたから、約束は守る、紳士であることを見せて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  101. 中野四郎

    中野委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  午後は一時より再開することとし、暫時休憩をいたします。     午後零時十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時五分開議
  102. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  締めくくり総括質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
  103. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は衆議院予算委員会における昭和四十六年度予算審議の締めくくり総括に、公明党を代表いたしまして総理並びに関係閣僚にこれから質問を申し上げるわけでありますが、時間等の制約もありますので、私はいまだ明確になっていない対米請求権を中心に、国内問題、沖繩問題等にしぼって質問を申し上げたいと思っております。そして時間があれば、その他防衛問題に移っていきたいと思っておりますので、あらかじめ御了解を願いたいと思うのであります。  いま沖繩返還に伴ういわゆる対米請求権の問題が一つの大きに焦点になっております。返還協定も本年早期に調印の運びとなると、相当両国間の話も煮詰まってきていると思うのでありますが、その中にあっていわゆる対米請求権についてはなかなか複雑な事情がありまして、おそらくいまだ結論に達していないのではないか。むしろ思うようにまかせぬ状況ではないかと推測されるのであります。この間総理は、同僚議員質問に対しまして、日米間の話し合いについては、御心配されている様子でありますが、あまり心配しなくてもよいのではないかと申されましたが、私も総理が言われたことばを信用したい気持ちで実は一ぱいでございます。しかしそのことばを実は全面的にいただくわけにはいかない。と申しますのは、どうしても一まつの不安が残る。おそらく国民の皆さんも沖繩の県民の方々も同じではないかと思うのであります。なぜならば、かつて日本政府とアメリカとの間で日米安保条約の行政協定、地位協定の解釈の相違から運営上に懸案となって解決できない外交上の問題が山積みされておるというのが真相であります。それは政府が行政協定期間中はもとより地位協定の適用されている今日まで、十九年間巨額の請求権が日本側にあるにもかかわらず、その間外交交渉はしたとはいえ、一向に解決されていないままに今日に至っておる驚くべき事実がある以上、どうしても信用するわけにはいかないのであります。しかも去る昨年六月二十二日には日米安保条約の固定期限が切れまして、新たな段階を迎えるに至った今日、当然これらの問題を解決しておかなければならなかったはずであるにもかかわらず、日米安保条約の自動継続をして、国会に何らの承認手続を必要としないという見解をとってこられたことはすでに御承知のとおりであります。日本本土ですら行政協定、地位協定の見解の相違によって十九年間の長い年月解決されないままになっておる問題があるばかりか、これらの解釈上の見解の相違は、沖繩返還にあたっての対米請求権にも微妙な影響を与えて、交渉を困難にしていることは明らかであります。返還に際し、政府がこの問題を安易に考えあとで禍根を残すことのないよう注意を喚起しながら問題点を問いただしてみたいと思うのであります。  これから質問いたしますことは、一つは本土における三公社、公団の問題に関して行政協定、地位協定の解釈の相違から日米間の懸案になっている事項、二番目には、民間旧賠償指定機械等を米軍に提供した動産の使用料金について、三番目には、終戦処理費支弁施設であるTOW、安全保障諸費支弁施設であるところのJGCPの電話料金紛争の問題をお伺いしたいと思うのであります。  順次これから質問をしてまいりますので、あらかじめお断わりを申しておきますが、私の質問をしたことのみについてお答え願えればけっこうでございます。  まず第一の、三公社、公団の問題についてお伺いいたしますが、平和条約が発効されたのが昭和二十七年四月二十八日、それから昭和三十五年六月までの行政協定期間中及び昭和三十五年六月から今日までの地位協定期間中に、駐留米軍の不法行為によって、地位協定十八条五項の、第三者に損害を与えた例は枚挙にいとまがありませんが、駐留米軍の不法行為といっても、実は条約上で非常にむずかしい語句が列挙されておりますので、国民にはなかなかわかりにくいので、この際、大体どういうことであるかということを、具体的に事例をさして御説明願いたいと思うのであります。
  104. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私から全部お答えすることが適当でありますかどうですか、所管の関係もございますから。しかしただいまお尋ねがございましたように、まず一般的にどうなっているかということ、それから概略の事案についてお答えいたします。  行政協定は、当事国の所有する財産に対する損害と、それから軍隊の構成員、それから政府職員がこうむった負傷とか死亡とかについての請求権の相互放棄という主義をとっております、御承知のように。それから地位協定におきましても、各当事国の防衛隊の使用財産に対する損害についての請求権の相互放棄ということが原則になっておりまして、またある国有財産に対する損害につきましては、仲裁による解決というようなことも規定されておるわけでございます。ところが、ただいま御質疑もありましたように、三公社というものの性格について、実は日米間に相違がございます。     〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 そこで、三公社等の所有財産等に対して与えた損害について……。
  105. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私の言うことだけにあれして……。
  106. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ですから、その日米間の公社の地位をめぐる見解について対立がございますので、現在まで三公社等の請求に対する支払いが行なわれておりません。その額は、請求金額は、昭和四十六年一月現在で合計約一億一千万円、こういうことに相なっております。これがきわめて概略でございます。
  107. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私の言っているのはそうじゃない。私の質問していることはそうではないのであります。たとえば駐留米軍の不法行為といっても、条約上にはずいぶんむずかしい語句が並べられているというのです。ですからそれを、たとえばどういうことが具体的な事例であるかということをお聞きしているわけです。たとえて言うならば、誤射爆によって人が死亡したとかなんとかという、そういう事例がおありでしょうか。それは要するにそういうことなんだというふうにおっしゃればいいわけでありまして、あなたはいまその答弁書をべらべら読んでおられますけれども、それでは答弁にはならないのでありますから、そういう点でひとつ言っていただきたいと思います。
  108. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それでは、これは防衛施設庁からお答え願います。
  109. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 概略につきましては、ただいま外務大臣からお述べになりましたとおりでございますが、事故の態様につきまして概要を申し上げますと、国鉄の場合は自動車事故、米軍の車両により車両あるいは電柱等が破損されたもの、それから航空機事故、米軍機の墜落等により電柱等が破損したもの、それから軍作業員の作業中の事故、これは作業中の過失によりましてまくら木等が破損したもの。電電関係では、やはりこれは自動車事故が多いわけでございます。それから航空機事故、米軍機の墜落等によりまして電柱等が破損したものでございます。それから火災事故あるいは軍作業員の作業中の事故といたしまして、ケーブル等が破損した、あるいは火災事故が発生した、こういうことでございます。専売公社の関係では、これもやはり自動車事故でございまして、車両が破損した、こういうものが大体おもな形態でございます。
  110. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、大体不法行為というものについて、こういうことが要するに事例であるかということを国民にわかっていただいたわけでございますので、これらの駐留米軍の不法行為により国鉄、電電公社、専売公社等の三公社あるいは公団等がこうむった損害の賠償についてでありますが、初めに、政府が駐留米軍の不法行為に対して、三公社、公団の損害に対する対米請求権の問題についていかなる見解を持っておられるかを聞いた後、損害の実態、日米間の見解の相違を順次お聞きしていけば実態が明らかになろうと思いますので、その順から御質問を申し上げます。  そこでお伺いいたしますが、駐留米軍が国内にある三公社、すなわち国鉄、電電公社、専売公社、その他の公団の財産に損害を与えた場合、その損害はどのようにして賠償されるか、地位協定と国内法関係のどの条文が適用されるか、御説明願いたい。
  111. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この問題につきましては、先ほど外務大臣からお話ございましたように、日米間で見解の相違があるわけでございます。米軍側は、従来から、三公社は国の機関であるから……。
  112. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そんなことを聞いているんじゃないよ。国内法関係のどの条文が適用されるか、あるいは地位協定についてはどういう条文が適用されるか……。
  113. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 したがいまして、米軍関係からいいますれば行政協定十八条一項及び二項による主張でございますし、地位協定上も同様でございまして、地位協定の十八条二項、これを主張しております。一方当庁側としましては、一般の私人と同様な損害賠償をすべきものであるということで、これは行政協定でいいますれば十八条第三項、地位協定でいきますれば第十八条第五項、これを主張して、両者の意見が合致してない、こういうことでございます。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国内法……。
  115. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは、いずれにしましてもどういう条項を適用するかということでございまして、それにつきましてのまず前提となります日米間の意見が一致いたしておりませんので、国内法の手続等につきましては、その措置に基づきましておのずからきまってくるというふうに考えおります。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたは、この問題についてよくお知りにならないようであります。すなわち、こういう場合におきますところの地位協定については十八条五項、そうしてまた国内法については民事特別法第一条、第二条により賠償をするという、その判断で間違いありませんか。
  117. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ただいまお述べになりましたとおりでございます。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは防衛庁長官にお伺いいたします。  防衛庁の長は、防衛庁長官である中曽根国務大臣であります。国家行政組織法第三条の規定に基づいて、防衛庁の機関として防衛施設庁が置かれているとすれば、最高責任者としての中曽根長官責任もまた重大ではなかろうかと思うのであります。  そこで、長官にお伺いいたしますが、防衛施設庁は、いかなる任務及び権限によって、地位協定十八条五項に規定する賠償の任に当たるのか、義務条項の法律的根拠はどこであるか、御答弁願いたいのであります。
  119. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私、いま手元に条文がないので、突然言われて指摘することはちょっと困難でございますが、要するに駐留軍関係の施設関係、労務関係に関しますことは防衛施設庁の所管ということになっております。その根拠に基づきまして、いずれ沖繩も日本に返還されました暁は、駐留軍関係の施設並びに労務関係ということで所管になるものと考えます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、少なくとも防衛施設庁は防衛庁の機関であるわけでありますから、当然、それを所管する長官最高責任者という、そういう考え方からお聞きを願いたいわけであります。  そこで、いま私が申し上げましたことにつきまして、防衛施設庁長官、義務条項の法律的根拠について御答弁を願います。
  121. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 まず防衛庁の権限の問題について申し上げますと、防衛庁設置法の第五条第二十五号に「合衆国軍協定第十八条及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定第十八条の規定に基づく請求の処理を行なうこと。」ということになっております。
  122. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは具体的にどういう意味を持っているのか。第三者が、これら駐留米軍の不法行為によって被害を受けた場合の具体的な解決方法はどうなるのでしょうか。
  123. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほど申しましたように、地位協定の第十八条第五項に基づきまして処理をされるわけでございますが、三公社五現業の性格につきまして……(鈴切委員「そういうことを聞いているんじゃない。不法行為を受けた場合の具体的な解決の方法はどうなるのか」と呼ぶ)これは三公社五現業のほうから損害賠償に関する請求を受けまして、それにつきまして日米間で協議をいたしまして、その上に立って支払いをする、こういう順序になろうかと思います。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 すなわち、十八条五項の賠償は、駐留米軍の不法行為を受けた第三者は米側と直接に話をするのではなくして、いわゆる防衛施設庁を窓口として、そして外交交渉にかけて賠償の任に当たるということを規定していると判断をしてよろしゅうございますか。
  125. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 地位協定第十八条五項本文には、このように規定をされております。「日本国において日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権は、日本国が次の規定に従って処理する。」その中の「第三者」と、民事特別法第一条に規定する、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国内にあるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍の構成員又は被用者が、その職務を行うについて日本国において違法に他人に損害を加えたときは、」とある「他人」とは、同義であると解釈してよろしゅうございますか。これは法制局長官にお伺いをいたします。
  127. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 どうも、あらかじめ問題を伺っていれば、もう直ちにお答えができるものでございますが、いまここで伺った限りにおいては同義であると思います。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 重ねてお尋ねいたします。  米軍の不法行為により損害をこうむった三公社、すなわち国鉄、電電、専売、及び公団は、いずれも地位協定第十八条五項にいう「第三者」と理解してよいか、また、民事特別法第一条に規定する「他人」と理解してよいか、もう一度念を押します。
  129. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。  よろしいと思います。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどお伺いいたしましたが、防衛施設庁は、防衛庁設置法第四十一条二項に規定されている所掌事務遂行のため、米軍の不法行為によりこうむった三公社その他公団の損害については、賠償し、賠償金額の四分の三に相当する金額を米側から取り立てることになるのか、その点についてお伺いいたします。
  131. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 合衆国のみが責任を有する場合には、ただいま御指摘のとおりでございます。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ちょっと、もう一回。そのとおりだって。――そこで、いままでの答弁で判明したことは、駐留米軍の不法行為によってこうむった国鉄、電電公社、専売公社及び公団等は、条約では第十八条五項に規定している「日本国政府以外の第三者」であり、国内法関係では民事特別法に規定される「他人」と同義であり、その賠償の方法は、国がそれらにかわってその損害を賠償する責任を有するということであるが、その判断に誤りはないかどうか。
  133. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、次に実態についてお伺いいたします。  昭和二十七年の四月から昭和三十五年の六月まで行政協定期間及び昭和三十五年の六月から今日まで地位協定期間中に米軍の不法行為により損害を与えられた三公社、公団等の年度別損害賠償請求件数、請求額及びその内容はどのようになっているのか明らかにしていただければより明確にはなりますけれども、時間の都合がございますので、行政協定、地位協定別に公社、公団の対米請求金額と件数を、内容を区別して明らかにしていただきたいと思います。
  135. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 まず、行政協定の適用があります当時の請求権でございますが、国鉄の場合には四十六件、九千三百十五万五千五百四十円、電電公社の場合には百二十六件、百四十四万四千六百八十円、専売公社は二件、十万三千三百五十円、それから公団につきましては該当がございません。  地位協定によります請求権につきましては、国鉄が八件、六十四万五百三十三円、電電公社が二十一件、千六百二十五万二千四百六十九円、専売公社は該当がございません。公団につきましては、日本道路公団が二件、五万九千四百円、首都高速道路公団が二件、七万四千四百六十円。  以上でございます。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、きょうは電電公社総裁、国鉄総裁、専売公社総裁がおいでになっておりますので、お聞きいたします。  国鉄は行政協定期間中に、また電電は地位協定期間中に、それぞれ多額の未解決損害賠償請求権をかかえております。これらの債権はそれぞれの公団ですでに債権消却を行なったのか、債権を放棄したのか、適切な債権管理、保全を行なっているのか、電電公社、国鉄、専売公社総裁にお聞きいたします。
  137. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしまして、地位協定の中で二十一件、千六百二十五万円ございますが、この中の一番大きなものは埼玉県の豊岡の特電局の焼失、これが千五百九十四万円、これが一番大きなものであります。あとは大体電柱の損傷、そういうものが主でございます。  保全、管理につきましては、この豊岡特電局はいわゆる終戦処理費によりましてつくられたものでありまして、それが米軍の過失によって焼失いたしました。私たちといたしましては、この請求権というものは持っておるというふうに思っておりまして、これは国に対しましてその請求権の確認をしておるということでございます。
  138. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄といたしましては、行政協定期間中に九千三百十五万五千五百四十円、これは昔の特別調達庁、その後の調達庁に保全をいたしております。それから、行政協定から地位協定になりましてから六十四万五百三十三円、これは防衛施設庁へ請求いたしております。いずれも一件一件こまかく記載いたしまして、事故のないよう。その他主として自動車事故でございますが、具体的に金額を請求いたして保全をいたしております。
  139. 北島武雄

    ○北島説明員 専売公社におきましては、昭和三十一年に駐留軍関係者が当社の乗用車に衝突いたしまして車体に破損を与えました、これが一件と、それから三十二年の十月に駐留軍の軍人が運転するジープが鎌倉の出張所に飛び込みまして家屋を破損させた、これを合わせて二件で十万三千三百五十円でございますが、いずれも内部規定に基づきまして、管理すべき債権として管理いたしております。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、三公社その他の公団の財産が米軍の不法行為により被害を受けて、それぞれの公社が国に対して請求をいたしました。その請求権は時効により消滅をしていない、時効期間は三年でありますけれども、時効中断の措置かあるいはそれ相当の債権管理の処置が講じられていると判断してよいか。そしてその対米請求権は現在も生きている、そのように判断をしてよいか、お答え願います。
  141. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 毎年債権債務の確認をいたしておりますので、時効にはなっておらないと考えております。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三公社、公団の対米請求権がこのように多額にあるにもかかわらず、十九年間一向に解決を見せていないのであります。一応は外交交渉をしてこられたとは思いますが、結果からいえば実は解決を見せていないという状態であります。まさに一世紀の五分の一、おぎゃあと生まれた子供はもう成人になんなんとするその二十年間、長い期間ほったらかしたということに実は結果からいえばなるわけであります。これでは全く私は政府のやっていることは国民によく理解ができないのではないかと思うのであります。なぜこのような重大な問題が解決できないのか、国民の前に明らかにしていただきたいと思います。これは外務大臣
  143. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、四十六年一月でおおむね一億一千万程度ございますので、これは毎期の国会でも御指摘をいただいております案件で、要するに政府見解と米側の見解との相違点は、いわゆる公社というものの性格を純粋の国の機関と見るかそうでないかという点に争点があるわけでございます。この点についてはもう従来からしばしば交渉をいたしておるわけで、いまだに決着がつきませんことはまことに申しわけなく思っております。ことに沖繩返還を目の前にしておりますので、何としてもこの時期に最終的な結論を出して処理をいたしたい、私としてはこういうふうな決意でおる次第でございます。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま外務大臣が、毎期この問題は問題になっているというようにおっしゃったのですが、実はそれはTOW、JGCPの問題でありまして、三公社の問題は新しく出た問題でございます。ゆえに、行政協定、地位協定の適用上、三公社が日本政府機関なりやいなやが問題になっているところに見解の相違があろうかと思うのであります。  そこで私がお聞きいたしますのは、具体的に日米間でそれぞれの論拠の要点は何か、特に日本政府が三公社を第十八条五項の「第三者」であるといわれている根拠はどこにあるのですか、その点について明確にお答え願いたいのです。
  145. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ただいままでの日米間の話し合いによりまして対立点が明確になっております点は、日本側の見解といたしまして、設立は国家行政組織法によらない、公社は公共企業体として国の経営する事業体とは区別されておる、国家賠償法の適用を受けない、国有財産法の適用を受けない、こういうことから国とは見られない。米側は、設立は商法によらないではないか、予算は国会に提出されて、会計検査院の検査に服しているのではないか、主管官庁の監督に服し、総裁は内閣または主管官庁の任命にかかるものである、公共企業体等労働関係法は国家公務員法とほとんど同一である、こういう趣旨で、意見が不一致のまま今日に至っているわけでございます。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 米側は、三公社、公団は国の機関であり、国の機関である三公社の財産に米軍が損害を与えた場合には、米側は直接国に対し損害賠償しなければならないとする地位協定第十八条第二項による処理を強く要求しているというが、この点についてどういうふうになっておりますか。また、日本政府はどう対処されようとしておりますか、この点について念を押します。
  147. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 米側の見解は、ただいま先生おっしゃいましたように、要するに国に請求権がないという見解でございます。したがいまして、今後やはりこれは外務省を通じまして両者間の意見の調整をできるだけ早く見るように努力をするということが必要かと存じております。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それで、参考のためにお聞きしますが、昭和三十五年六月二十三日条約第七号で協定されました地位協定第十八条第二項の規定は、従前の行政協定には存しなかった規定で、新条約締結の際に改定されたものであると聞いておりますが、同項追加改定の趣旨はどういうことでありますか。なお、地位協定第十八条第二項により処理された事例が現にあるのか、それについてお伺いいたします。
  149. 井川克一

    ○井川政府委員 御質問最初の部分のお答えを申し上げます。  御存じのとおり、行政協定第十八条第一項は非常に広範な規定でございまして、「各当事者は、その軍隊の構成員又はその文民たる政府職員が公務の執行に従事している間に日本国において被った負傷又は死亡については、」というふうに、また第二項におきましても同様なふうに非常に広い規定でございましたが、地位協定第十八条一項におきまして、完全なる相互放棄の条件を「各当事国は、自国が所有し、かつ、自国の陸上、海上又は航空の防衛隊が使用する財産」云々というふうに相互放棄の範囲を狭めまして、一般の政府及び公務員の部分を第二項に別に掲げまして、それを以下に定めまする手続によって解決することにいたしたわけでございます。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういう事例がありましたか。
  151. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 該当事例はないと承知しております。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 該当事例がないというようなお話でありますが、それでは運輸大臣にお聞きいたします。海上保安庁の問題で、そういう事例があったはずでありますが、その点についてお伺いします。
  153. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ちょっと説明不足でございましたが、三公社五現業についてはございませんが、海上保安庁につきましてはそういう事実があったようでございますので、これは調査いたしまして御報告いたします。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 重ねてお尋ねいたしますが、米側は三公社、公団等を国の機関であるとし、その損害賠償は十八条二項で処理したい意向のようでありますが、防衛施設庁は地位協定第十八条第五項、民事特別法第一条、第二条で処理する考えであることを明らかにしておりますが、ここに賠償のしかたに相違が認められるにもかかわらず、防衛施設庁及び外務省は米側を納得させ、第五項方式で解決をするということにほんとうになるのか、その点を明らかにしていただきたい。また解決の時期はいつごろなのか、その点も明確にお伺いしたいのであります。
  155. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはなかなか、いままでの意見の対立が先ほど来御承知のとおりでございますから、私といたしましても米側ととくと相談いたしまして何とか話し合いをつけたい。その時期は、先ほども私申しましたように、沖繩の返還につきましてはやはり同種の問題も起こり得る可能性もないではないと思いますから、そのときまでにははっきりした結論をつけるようにいたしたいと思います。
  156. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは総理のほうにお伺いいたしますが、いま早期に具体的に解決をしたいという意向でございますが、なぜいままで解決をしなかったかという問題であります。国民の中には、政府は対米追随外交とか、あるいはアメリカに対しては全く弱腰である、そのように言っている人もいます。当問題についての解釈上のとり方については、一般国際法上の解釈基準は確立されていない今日においては、属地的に日本に関係する法的関係については、当然日本側の主張が優先的に尊重されなければならない。とすれば、三公社、公団は当然第十八条五項の「第三者」という日本側の主張に従うべきであるのはあたりまえのことでな  いかと思うのであります。ところが、三公社、公団等の損害賠償請求権は、昭和二十七年の行政協定以来現在に至るまで解決されないまま十九年間放置されている現状であります。佐藤総理も長期間首相の地位にあっただけに、その責任は重大であろうと私は思うのであります。それでは国民が全く納得がいかないというのもあたりまえではないかと思います。その点、総理はどうお考えになっているか、明確に御答弁願いたいのであります。
  157. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 先ほど来外務大臣からお答えしているように、両者の主張がはっきり食い違っておる。それで、その点では鈴切君の言われるように、日本の見解がまず第一に先立つべきだ。これはもう御指摘のとおりであります。ただ、この場合において、いまさら申し上げたくもないことですが、最初の起こりを考えてみると、やはり占領当時の遺物が今日出てきている。したがって占領当時の米軍の考え方がいまなお残っておる、こういうことがあるんではないかと思っております。したがって、先ほども沖繩返還、そういう際にこういう問題をはっきりさしておかないと、沖繩にもやはり本土で苦しんだような事態がまた起こるのではないか。また、それがお尋ねの御趣旨でもあろうと思います。この点に外務省も気がついておりますし、十分気をつけて早く問題を解決したい、かように言っているわけであります。
  158. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは念を押してまた総理にお伺いしますが、地位協定第十八条第五項の「第三者」であるという見解に立てば、被害者がたとえば一般私人でも、公団公社においても、何ら変わるところはないのであります。それとも、一般私人でありますと、社会的な影響、世人に非難され、ひいては米軍が不利な立場に立つことをおそれて早急に賠償努力をするが、公社公団等の場合は潜在的な政府機関と考え、賠償を軽視しているのではないかというふうに思われるのであります。賠償権利者である公団公社も、賠償義務者の政府も、それぞれの権利義務の行使、負担を私は等閑視してはならないと思うのであります。税金でまかなわれている公団公社は、その財産、権利の行使に怠慢であってはいけないと思うのでありますが、総理の御見解をお伺いいたします。
  159. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まことにごもっともだと思うのでありまして、権利義務の関係は 基本的な話し合いがつけばそれによってきちっと律していかなければならない。それから、実はこれはお尋ねの外でございますけれども昭和二十九年の洞爺丸の不幸な事件がございましたが、これについてはアメリカ側が請求をしていないという、これはいままでの立場からいえば当然だと思いますが、そういう事情も同時にございますわけで、これは先ほど申しましたように、私としても何とかしてこの機会にきちっとした解決をいたすべきであると考えております。
  160. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 洞爺丸のお話が出ましたので、私もその点について触れますが、三公社に対して米側は政府機関なりと主張しているから、行政協定第十八条第一項によって請求権を放棄した形になっているわけであります。しかし、日本側の主張をもしも米側が取り入れた場合、第十八条一項でなくして、当然遺族が国鉄を相手に賠償を要求すると考えられるけれども、その点はどうでありますか。いまだ債権として確定はしていないが、日米間に合意が成立した場合には債権として、当然予想される債権と判断をしてよいか、その点についてお伺いします。金額は推定大体幾らでありますか。
  161. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは率直に申しまして、基本の考え方について合意をすることがまず大切でございまして、その合意のしかたによりますれば、お尋ねのような問題が出てくる可能性がある。私は筋合いとしてさように存じます。しかし、それはまだ前提となる合意や協議が整っておりませんから、現在、そうなった場合にどのくらいの額というところまでまだ申し上げる時期ではなかろうかと思いますし、また関係省庁との間の相談その他も十分経なければならないことである、かように考えております。
  162. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 結局、国鉄の場合、洞爺丸事故に起因しての問題と国鉄の損害賠償請求権とをアメリカは相殺しようという立場をとっているので、なかなかこの問題が解決できないのではないかと思います。私はこのような不明朗きわまりない外交姿勢でなくして、この際明確に一線を画すべきではないかと思うのであります。それでないと、さらに問題は複雑化して解決をおくらせてしまう結果になると思いますが、その点どうお思いになりますか。なぜ行政協定取りきめのとき、条約上の解釈についての合意を取りつけておかなかったかということであります。今日このような問題が解決されていないことは、明らかに政府責任であると私は思うのでありますが、その点について外務大臣並びに総理からお伺いいたします。
  163. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 従来のこの話し合いがまとまっていなかったということは、私もたいへん遺憾に存ずるわけでございまして、その経験に徴しまして、この沖繩返還を前に控えました今日の時点でぜひとも解決をはかりたい。それから、アメリカのほうが洞爺丸事件で請求を放棄していると申しますか、していないという状態であることは、先ほど私も触れた点でございますが、それがあるので、その態度と相殺する考え方で現在のような主張をしているのであるとは私は考えないのでありまして、やはり基本が、国鉄というものの性格を純粋な国家機関と見る、こういう角度に立っているのが先方であり、しからずとするのが当方の立場であり、その立場の相違からきている相違である、かように理解をいたしております。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和二十七年の四月二十八日、講和発効と同時に行政協定が結ばれ、米軍の施設及び区域が設定されましたが、駐留米軍が使用した提供動産に対しての使用料の、講和発効前と講和発効後の問題についてお伺いをいたします。  まず初めに、発効前の問題として、戦後進駐してきた連合国軍により、旧日本軍需工場の機械器具は賠償指定を受けたが、特に民間軍需工場の講和発効前の指定機器の取り扱いについては、当時は防衛施設庁でなく調達庁で取り扱っていたと思うが、民間軍需工場の指定機器のリストは、調達庁からどこへ現在引き継がれているのでありますか。
  165. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 当時の関係書類は賠償庁でございましたので、それはいま外務省に引き継がれておるのじゃないかと思っております。
  166. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは外務省のほうですか、その点ちょっとお聞きします。
  167. 吉野文六

    ○吉野政府委員 当時の引き継ぎの関係は、いまのところつまびらかにしておりませんから、調査の上お答えいたしたいと思います。
  168. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 調達庁から、要するに民間軍需工場の指定機械のそういうリストについての引き継ぎは、これは防衛施設庁の調達協力課に民有の財産として引き継がれているわけでありますが、その点いかがですか。
  169. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 米軍が当時使用いたしまして、それに対しまして当時の調達庁が補償いたしておりますが、その関係書類は現在施設庁にあるようでございます。
  170. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在そのリストは存在するのか、その点についてお伺いいたします。
  171. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 当時支払いをいたしましたその関係書類はあるようでございます。
  172. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは当然永久保存ということで、そのリストはなくてはならない資料でありますので、委員長、これについてはひとつ資料要求をいたしますので、このリストを提出するように、委員長のほうからお取り計らい願いたいと思います。
  173. 坪川信三

    ○坪川委員長代理 資料提出、お願いいたします。
  174. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 支払い業務につきましての関係書類、これは現在ありますものにつきましては御提出いたします。
  175. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在ありますものについては提出をするというわけでありますが、この問題については永久保存の資料であるわけであります。ゆえに、現在あるものでなくして、全部提出できるかどうか、それをお伺いします。
  176. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 支払った関係の書類につきましては、全部御提出申し上げます。
  177. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和二十七年の四月の二十八日、講和発効と同時に賠償機器は指定を解除され、連合国軍最高司令部より日本政府に、軍が使用してきた機器に対して接収時から講和発効に至る間の使用料を支払うよう指令が出されております。これに該当して支払われた使用料は幾らであったか。また使用料支払いにあたってはどのような手続がとられたか。その点も明確にしてください。
  178. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 昭和二十七年四月二十五日付のGHQの覚え書きにつきまして、平和回復善後処理費によりまして支払った金額が八百十万六千五百二十六円でございます。
  179. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どのような手続がとられているか。
  180. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 講和発効後九十日間に、無償使用された旧賠償指定民有機器の使用料補償という形で、ただいま申しましたように平和回復善後処理費から支出をしておるということでございます。
  181. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、要するにこの資料は絶対なくてはならない永久保存の資料であるというふうに申し上げました。それは、昭和二十七年の七月三十一日に調達乙発第一一六号で通達が出ております。その通達によっては、調達庁書式第九六一号の損失補償申請書によるように義務づけられておりますが、「本庁ヘノ申達、予算要求書ノ提出」「所有者カラノ申請書ニ苦情調査報告書ヲ添エテ本庁管理部苦情処理課ニ申達スルトトモニ予算要求書ヲ作成ノ上、九月三十日マデニ本庁財務部予算課ニ提出スル」というふうにあるからであります。ゆえに、この書類は資料として提出をしていただくことにお約束いたします。  次に、講和条約発効後新たに行政協定が締結され、それによって施設、区域が決定された施設、区域内と区域外とがあるが、駐留米軍が使用した施設、区域外の提供動産に該当するものにはどんな種類のものがありましたか。その点についてお伺いいたします。
  182. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 施設、区域外で支払ったものでございますが、機械の種類は電気機械、工作機械、試験及び測定器、荷役運搬機械、産業機械、木工機械、通信機械、医療機械、その他でございます。
  183. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この資料は防衛施設庁から実はいただいたわけでありますけれども、実は昨年の十一月に一回、十二月に一回の資料要求によっても出てまいりませんので、あらためて島田防衛施設庁長官あてに一月二十二日正式に、その駐留米軍に提供した民間動産のリストをこまかくいろいろ規定をいたしまして、そして一月三十一日までに提出をしていただきたいというふうに私はお願いをしたわけであります。それが実は二月二十五日、おとといこの資料を受け取ったわけであります。この資料によりますと、駐留米軍に提供した民間動産のリストは六社になっております。この六社が駐留米軍に提供した民間動産リストの全部であるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  184. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 全部でございます。
  185. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 金額は一億四千数百万円に間違いないか。これが対米請求権としての日本側の算定基礎になるのかどうか、お伺いいたします。
  186. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 金額は一億三千四百三十一万二千四百八十円でございまして、私どもとしてはこれは……(鈴切委員「一億四千数百万だ、見舞い金として使用料があるでしょう、使用料を合わせると。」と呼ぶ)使用料は、先ほどのGHQの覚え書きに基づくものでございますが、これが八百十万円でございます。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この資料を見せていただきますと、当時駐留米軍に提供した民間動産リストの六社というのは三菱日本重工業株式会社、株式会社小松製作所、富士産業株式会社、日本製鋼株式会社、丸山商会、日本建鉄の六社になっておりますが、いずれもこれは全部東京都に存在する六社であります。これが要するに提供動産の全国的な中におけるところのすべてであるかどうか。それについてお伺いいたします。
  188. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 すべてでございます。
  189. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 当時行政協定が締結されたときには日本全国に米軍に提供された施設は何と二千八百二十四件あったわけであります。それが東京都内だけで提供動産をして、あとは全然しないなんて常識的に考えられますか。この資料は要するに東京調達庁だけの資料であって、これは全国の資料ではないんじゃないですか。この点どうなんですか。
  190. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 大部分のものが講和発効前に処理済みといいますか、要するに返還済みでございますので、その後に使用していたものがその六社の関係でございます。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 東京だけにこういう提供動産が集中をいたしまして、あと二千八百二十四件の施設があるについて、たとえば電動機とか旋盤とか、あるいは顕微鏡とか起重機とか、水圧プレスとか木工用丸のことか、あるいは自動交換機とか薬品戸棚とか、定盤とか、そういう種類のものが全然アメリカに提供動産としてないなんということは考えられません。これは常識的に考えられますか。     〔坪川委員長代理退席、小平(久)委員長代理着席〕
  192. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 常識的かどうかということは別問題でございます。とにかく先ほど申し上げたように、講和発効前に全部処理済みでございますので、その後残ったのが六社の関係だ、こういうことでございます。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは私のほうで一応会社名を申し上げますが、たとえば愛知県のクボタセイキ、大隈鉄工所、神戸製鋼、三菱重工あるいは広島県のニホンテッコー、東洋製罐あるいは久保田鉄工、スミトモテッコー等についてはそういう事実はありませんか。
  194. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そういうものはございません。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、そういうものはないというならば、それを裏づけするところの資料を要求いたします。
  196. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 鈴切君、ないという資料とはどういうことですか。むずかしいのじゃないですか。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま申し上げたことは取り消します。  一説によれば、これらの提供動産は、行政協定二十五条二項に基づいて、二条一項の設備、備品、定着物であるという見方もありますが、提供動産の中には施設・区域内と施設・区域外とはおのずとその見解が違うと思うが、政府はどのように判断し、米側と交渉されておりますか。
  198. 井川克一

    ○井川政府委員 本件、具体的によく存じませんが、いずれにいたしましても、地位協定二条の問題になると思いますが、この施設及び区域という中にある当該施設・区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む、こういうところから問題が起こっておると思いますので、施設・区域外はこの行政協定の問題にはならないと思います。
  199. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それはおかしな答弁でありまして、施設・区域内と施設・区域外があるわけでありますが、いま日本政府が、要するに対米請求権として考えられておるのは、施設・区域外の要するに民間の提供動産をいっているわけでありますから、いまの局長の言っていることは間違いだと思いますが、大臣お答え願いたいと思います。
  200. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この行政協定第二条の施設、区域については、そこにあるものについては施設、区域外にあるものを含むか含まないかということについてまた見解がいろいろございますので、そういう点につきましては、先ほど来申し上げておりますようなけじめをつけます場合の一つの争点であり得る点でございまして、これらの点については、この際米側と見解の違うものについては十分詰めて、双方のはっきりした見解を合致させるようにしたい、こう考えておる一つの点でございます。
  201. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 米側に対しては日本政府は行政協定二十五条第二項に基づく、二条一項での「当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物」でないとの見解に立てば、当然施設、区域外の民間提供動産に対しては、日本側ではその使用料を取らなければならないわけであります。そしてしかもその使用料は賠償機器損失見舞い金で立てかえになっております。その使用料を要するに取らないということは、国の債権の管理等に関する法律の規定によって債権を放棄したのか、第三十二条第一項との関係をどのように理解されておりますか。
  202. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 法律関係の解釈については私も必ずしも自信を持って申し上げられませんけれども、問題の一つは、その当時見舞い金を支払ったものがある、これは調書で明らかですが、その見舞い金について、見舞い金の範囲と請求権の範囲とを一致させて考えられるかどうか、具体的にいいますとそういう問題になるかと思いますが、それらの点については、先ほど来申しておりますように十分検討、研究させていただきたいし、また米側と協議を必要とするものについては話を十分煮詰めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  203. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 一つ答弁が漏れておるわけでありますが、国の債権の管理等に関する法律の規定によって債権は放棄したのか。第三十二条第一項との関係をどのように理解されておりますか、法制局長官にお伺いします。
  204. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。  問題の経緯も問題の実体も実は全然承知をしておりませんので、いま外務大臣がおっしゃっておりますように、私はこの問題について必要があれば十分な検討をいたしたいと思いますが、いま直ちにそういうものを抜きにしてお答えするのはいかがかと思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 法制局長官は法律の、まあどちらかというと主として守らなくちゃならない立場でありますので、見解も非常にむずかしい問題だと思いますが、実は私いろいろ研究しましたが、国の債権の管理等に関する法律の第三十二条第一項との関係については、これは実は問題ないわけであります。それは第三条の第二項「外国を債務者とする債権その他政令で定める債権については、政令で定めるところにより、この法律の一部を適用しないことができる。」という条項がございます。そうなれば当然使用料は取れる、そういうことになるわけでありますが、この問題については外務大臣、いつまでに解決をされるおつもりでありますか。
  206. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 率直にお答えいたしますが、なかなかきちっと何月までというところまではちょっとまだお答えいたしかねます。
  207. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは要するに、こういうふうな対米請求権が全部今度沖繩の問題とからんでくるところに私は重要な問題が実はあろうかと思うのです。この問題をほっておいて沖繩の対米請求権を解決しようとしたって本質的に解決できないから、私は申し上げるのであります。アメリカに対するこれらの請求権は、実は全然予算、決算には出てこないわけであります。で、十九年間国会及び会計検査院のチェックを受けないで、要するに外交交渉間において放置されておった、こういう結論になるわけであります。そうなりますと、私ども国会議員はこういう問題について早く請求をせよということも言えないような状態になって、国会軽視もはなはだしいというふうに私は考えております。  そこで会計検査院も来ておられると思いますが、院法第二十条一項、二項の趣旨に基づいて、内閣に対し独立の地位を有する権限にのっとって、国家財政面の上から見て、政府に対して請求できる項目であるかないか検討すべきであるという改善意見を述べるべき立場にあると思うが、その所見をお伺いしたいのであります。
  208. 山崎敏夫

    山崎会計検査院長 ただいま御質問のことにつきましては、目下政府間レベルにおいて折衝中でございますので、私どもその推移を見守っている最中でございます。私どもといたしましては、経理が明らかになるという意味から、すみやかに解決することを望みまして、当局者の御努力を期待するとともにお願いする次第でございます。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは総理大臣にお伺いいたします。私は、国が請求権を持っていながら取れるものも取らないでいるということは、国損もまことにはなはだしいことだと思うのであります。総理は憲法第七十三条、内閣の職務にのっとってすみやかに解決をするため、請求できる事項を総点検して、そして外交ルートに乗せる必要があると私は思うが、その点について御所見をお伺いいたします。
  210. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 お説のような点について、なお私のほうでよく検討さしたい、かように思っております。先ほど来のお話を聞いても、私またさっきもお答えしたように、どうも本土の米軍施設にしても、いろいろお尋ねになりますのが、やっぱり占領当時の延長みたいな形できているから、今回もまたそういうことになるだろう、こういうのが御心配だろうと思います。そこでやっぱり問題は、はっきりできるものはできるだけはっきりさせないと、いつまでも問題があとを引く、こういうことを心配しますので、私もいま御心配になるような点、これはできるだけ検討いたしまして問題を詰めてみる、こういう態度で臨みたいと思います。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に時間がございましたら防衛のほうも入りますけれども、終戦処理費で金をもらって公社が建設し、その電話ケーブルを米軍の使用に供しているいわゆるTOW、並びに安保条約に基づく施設の都心から撤退するための施設JGCPの日米間の電話料金紛争についてお伺いいたします。これは今日まで予算、決算あるいは逓信等で再三取り上げてきている問題でありますが、これまた十九年間解決をしていないことは御承知のとおりであります。  質問に入る前にお聞きしておきたいのでありますが、米軍が使用している専用設備のうち、一般公衆通信用施設を使用してその料金の支払いを受けた額、電話収入、受託収入及びTOW、JGCP等、昭和二十七年から今日までの料金計算状況はどうなっているか、年度別でなくてもよろしいから合計を明らかにしていただきたいと思います。
  212. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  米軍の使用しております専用施設のうち、一般公衆電気通信施設を使用するものの料金については、支障なく料金の支払いを受けておりまして、その額は昭和二十七年度から昭和四十四年度末まで三百四十四億円でございます。これは専用収入が三百四十四億円になります。その次に受託収入でありますが、これが二十七年から四十四年までで百七十一億円、電話収入が七十九億円でございます。合計五百九十五億円になっております。  それから、ただいま御質問がございました紛争料金でございますが、この紛争料金はTOWによるものが六十二億八千万円、それからJGCP、安全保障諸費によるものが十九億二千万円でございます。
  213. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 TOW、JGCPについて、日米間に見解の相違が生じ、今日まで紛争になっているというわけでありますけれども、地位協定の解釈で見解の相違となっている具体的な問題点はどこにありますか。この点についてお伺いいたします。
  214. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  時間があれば詳しく申し上げるのでございますが、要点だけ申し上げます。  終戦処理の問題につきましては、逓信省あるいは電気通信省時代に終戦処理費によって設備いたしました施設を、電電公社が発足のときに現物で受けまして、そしてそれによってサービスを提供しているのでありまして、基地内のものと基地外のものとございます。いま紛争料金になっておりますのは、基地内から基地外に出ておりますいわゆるケーブル類が主でございますが、架空ケーブルのものと、あるいは地下ケーブルがございますが、そのケーブルの料金に関しまして紛争を起こしておる、こういうのでございます。それから、いわゆるJGCP、安全保障諸費によるものは、昭和二十八年から起こったものでございまして、それに対しまして、二十八年以降につきましてでき上がったもの、これは政府のほうで金を出していただきまして、公社がその設備負担を受けてやったものでございます。そしてそれによります支払いの料金問題について起こっておるのでございまして、なお詳しく御説明すれば――よろしゅうございますか、その程度で。
  215. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 地位協定の解釈上、どういう点が見解の相違になっているか、それをお聞きしたいのです。外務大臣
  216. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは御承知のとおりと思いますけれども、要するに米側としては地位協定第二十四条によりまして支払うべき筋合いのものではない。その基礎はどこにいくかといえば、地位協定の第二条の解釈ということになる、こういうわけでございます。
  217. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十四年二月に決算委員会で私ども同僚浅井委員が取り上げて、委員長の要望によりまして外務、郵政当局の協議の結果、外務政務次官が、政府としては、本件解決のため一段と努力をしたい所存でありますと発言をされているわけでありますが、その後どのような努力が払われ、実際に解決をしたのかどうか、その点についてお伺いいたします。
  218. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この点は、先ほど先走って申しまして恐縮でございましたが、いまに至るまで努力を続けておりますが、結着を御報告するに至っておりませんことをたいへん残念に考えております。
  219. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえば米軍側が主張している当該専用線設備は、地位協定第二条第一項の、(a)、(b)にいう「施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物」に該当しているから無償であるという見解をとっているわけでありますが、施設、区域の運営に必要な現有の設備、備品及び定着物といっても、施設、区域内と区域外とはおのずと見解が違うわけであります。これらに関係する管理権の所属という問題が大きなポイントであり、重要な問題と思うが、施設、区域外の管理権は日本側にあるのか、それとも米側にあるのか、日本政府としての見解をお聞きしたいのであります。
  220. 井川克一

    ○井川政府委員 一般的に申しまして、施設、区域の管理権は、第三条におきまして、その施設、区域内に限られております。
  221. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、施設と施設を結ぶ施設、区域外の管理権は、日本側にあるかどうか、この点をお聞きしているわけであります。その点についてお伺いします。結ぶ専用線です。
  222. 井川克一

    ○井川政府委員 一般的に申しまして日本側にございます。
  223. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三十年の八月に暫定措置として、公社、米軍間で協定した中の、第四項のような事項をなぜ協定をしたのでありましょうか。それに立ち会ったのは、もうなくなられました靭副総裁あるいは米極東陸軍司令部の通信将校ホッフ大佐でありますが、これは外務省が主催して開いたわけでありますから、当然政府は介入をしなくてはなりませんし、また、いうならば管理権の問題が大きな問題である以上、私は電電公社と米側が結ぶべき筋合いのものではないと思うのでありますが、そのときに立ち合ったのはどことどこの省でありますか、お伺いします。
  224. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  昭和三十年の時点におきまして、当時の電電公社副総裁の靱さんと、米軍のホッフ大佐という人の間で暫定協定を結びました。その中で、四点ございますが、いま御指摘の点は、「「施設および区域」外の終戦処理費支弁の施設は、米軍が修理を要求し、その修理の実費を支払うが、「施設および区域」外の安全保障諸費支弁施設については公社が全面的に保守の責任を有する。」こういうふうになっておりまして、協定としてはその終戦処理費支弁施設に関する協定と、安全保障諸費支弁に関する協定と、この二つがございます。これがどの範囲において政府の御了解を得たかは、私より政府のほうからお答え願ったほうがいいのじゃないかと思います。
  225. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務省主催の公社、米軍間の協定といっても、政府介入のもとに行なわれた話し合いの中で、施設、区域外の管理権が問題になっているときに、TOWのほうは米軍に管理権を持たせるような、あるいはJGCPは公社側に管理権を持たせるような取りきめは、私はあまりにも軽率ではないかと思うのですが、その点についてお伺いします。
  226. 米澤滋

    ○米澤説明員 私がお答えしていいのかどうかちょっとわからないのでございますが、靱さんもなくなられておりまして、実はお伺いすることはできないのであります。当時、靱さんは電気通信省の事務次官をやっておられましたし、それからそのときの監理官もやはりなくなってしまっておるのですが、郵政省の監理官は、私はこの点は十分知っておられたというふうに理解しておるわけであります。
  227. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまのところを郵政省のほうにお伺いします。
  228. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  当時の事情は、現在あまり詳しく承知しておりませんですが、やはりこの問題は日米合同委員会の問題となっております。郵政省の側からも、この委員のメンバーに入っておりますので、これの取り扱いについては当然相談を受けて承知をしているかと思います。ただその理由自体につきましては、これは公社のほうの財産の特別の事情によりまして両者において区別をしたというふうに承知しておりますので、その内容につきましては公社のほうからお聞き取りを願いたいと存じます。
  229. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日米合同委員会の結論が出るまでの暫定措置というけれども、現実には十六年間これによって拘束されてしまっているような結果になっております。決して暫定でなくて、恒久措置になってしまった。しかも地位協定二十五条一項、二項では解決できなくて、第三項の「合同委員会は、問題を解決することができないときは、適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府にさらに考慮されるように移すものとする。」と、すなわちすでに政府間の問題になってしまっているわけであります。しかも第二項には「「施設および区域」外の施設については、公社は電気通信サービス基本契約の料金を適用して料金を請求する。」とありますが、第三項は「米軍は前号の請求書は受理するが、これを削除する権利を有する。」とあるのであります。すなわち、日本側がかってに請求するのは御随意だけれども、極端な話でありますが、米軍は鼻紙にしてもかまわないという、そういうのが入っているわけなんであります。こういう軽率な取りきめは、これが根本的な使用料の解決になりますか、その点について政府の、郵政大臣にお伺いいたします。
  230. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私もあまりつまびらかでないのですが、当時の状況からいたしますと、暫定協定である、いずれ本協定ができまする暁には、その中に吸収されて的確なものになるであろうと、こういう理解をしておるわけであります。
  231. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 本協定ができるまでの暫定措置として、いいかげんな協定をお結びになったのですか。すでに十六年間この問題で拘束をされたような状態になって、八十二億円が取れないじゃないですか。こういう取りきめは、いかにも私は、政府間交渉としてあまりにも弱腰な交渉としか受け取れません。これじゃ国民は納得いたしません。暫定措置とそのように言われますけれども、管理権が大きな問題になっているときに、管理の方法によってやはり私は誤解を招くような取りきめ方はまずいと思います。で、こういうことはやはり問題解決を困難にしている原因ではないかと思うのですが、その点についてお伺いいたします。
  232. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いま御指摘になるようなことは私もその後伺っておるのでございますが、一応この施設というものが現在たいへん老朽化してきておるようでございまするし、一つの潮どきは来ておる、そういう次第でございまして、外交交渉に移して、この解決を早急にしなければ――これは四十四年、いまおっしゃったあの時点からもう二年くらいたつわけでありますが、鋭意努力はしておるのでございまして、私の承知しておる限りにおいても、両者の話はだんだんと煮詰まってきておるというふうには理解をしておるのでございまして、そう長い期間でなくひとつ問題の解決をはかりたい、こう思っております。     〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  233. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 施設は老朽化するなんということは、十六年たてば当然老朽化します。しかしいま現在、やはり電話の施設としてそれが公共の役務に供されているとするならば、何ら古くたって新しくたって同じじゃないですか。そんな理屈はなりません。  電電公社にお伺いしますが、請求している八十二億円そのものも、実は私はいいかげんだと思います。このような取りきめをした場合、八十二億円のうちTOWに対して減額をしなければならない部分が出てくるのではないかと思いますが、その点についてどれくらいありますか、お伺いします。
  234. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  時間があれば詳しく申し上げるところでございますが、金額だけ申し上げますと、このTOWとJGCPとは、先ほどの暫定協定でもおわかりのようにだいぶ取り扱いが違っておるわけでありまして、TOWにつきましては、実は私もこことにかく二年以来非常に詳しくいろいろな資料を見ましたところが、これは受託収入として金をもらっておる、その点が私は非常にいままで公社として説明が足らなかった点じゃないかと思います。それでJGCPのほうはもらっていない。ただそのもらった金というものは、いわゆる建設勘定でやります整理取りかえというようなものはやっていないわけでありまして、いわゆる損益支弁の保守をのみやってきた、こういう点が一般の電電公社のほかの施設と非常に違っておるということは御了解願いたいと思います。それで金でもらっておりますのは四十四年までで、このTOWでは四億三千八百万円もらっておるということでございます。
  235. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 JGCPのほうはTOWとは逆でありまして、人件費及び修理費のいわゆる保守費が、財務諸表に出ない幽霊的な八十二億円のうち、JGCP十九億二千万円の債権の中に吸収されてしまっておるのであります。今後やはり重要な問題を含んでおりますので、実損の部分は幾らになっておりますか、その点についてお伺いいたします。
  236. 米澤滋

    ○米澤説明員 ちょっといま詳しい数字はよくわからないのでございますが、JGCPで大体現在設備として残っておる、設備としてあるものが約五億円というふうに御理解願いたい。したがってJGCPに対してどのくらいのいわゆる保守受託にしたときにそれが幾らになるかというのは、ちょっと私には……
  237. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 保守費としての修理費――これは保守費ですね。
  238. 米澤滋

    ○米澤説明員 JGCPに対しましてはおそらく二、三億ではないかと思いますが、はっきりした数字は知りません。
  239. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 JGCPの保守費としての修理費、人件費は当然いかなる場合においても米側から徴収しなければならない実損部分であります。で、八十二億円が徴収できれば話は別でありますけれども、今日まで実損部分である人件費、修理費は国民の負担によってまかなわれていたといっても過言ではないのじゃないかと思うのです。そのようなことは私は絶対に許せない、公社は常に受益者負担というならば、なぜ国民の負担に押しつけないで米側から取らないのか、この点についてお伺いします。
  240. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、他の専用収入については一般の電話回線並みの収入をもらっていた、したがってこれまで、端的にいいますと二年くらい前までは、実は私もあまり詳しい個々の資料を検討しなかったのでたいへん申しわけないのでありますが、詳しく検討いたしますと、先ほど申し上げましたようなTOW、JGCPについて取り扱いが違っておったということがわかってまいりました。したがって今後のJGCPにつきましては、TOW並みにこの保守受託の金はやはりもらう必要があるのじゃないかというふうに考えておりますが、なおこまかい数字はちょっと私、総務理事が来ておりますから、数字を調べましてあとでお答えいたします。
  241. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 債権の中には未確定債権または確定債権が発生するものと考えられるが、前者についてはなぜ具体的に確定をしないのか、また後者についてはなぜ回収をしないのか、私は全く理解に苦しむのであります。十九年間財務諸表に出ない幽霊的な債権をかかえ、何ら解決の糸口も見出せないままに置かれた政府責任はこれまた重大であります。特に公共企業体は財政の堅実化をはかるために、財務諸表に出ない債権をそのままにしないで、バランスシートにやはり資産として計上すべきであると思うが、その点はどう思うのか。また国民は財務諸表に出ない債権を知るべきすべはないのであります。電話料金の値上げの問題を検討する前に、私はなぜこの問題を解決をしないかと思うのであります。  また、この問題についても、なぜ平和条約が発効した際にはっきりした取りきめをしなかったか、私は非常に理解に苦しむのであります。そのときに取りきめをしておけばこの問題は起こらなかったはずであり、当然そうあるべき性質のものではないか。その点について外務大臣並びに郵政大臣見解をお伺いいたします。
  242. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 従来の経緯につきましては、ただいまも詳しくお話がありましたとおりで、政府といたしましても、何とかこの長年の懸案で、しかもいろいろの理屈から申しましても言うべきところがある、これをほんとうに最終的な結着をつけたい。ことに先ほど来るるお説があるとおり、私も全くごもっともだと思うのでありますが、沖繩返還問題を控えておる今日に、こうした経験に徴しまして、やはりきちっとした合理的な姿にしておかなければならない。また将来のことも考えまして、こういうことが非常に必要であるということを私も痛切に感じております。なお一段と努力をいたしたいと思います。
  243. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえばアメリカが第七条によって日本側の主張を認めた場合、日本国政府の各省その他の機関に、当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で利用できる項目がありますが、各省その他機関の料金はどうなっておりますか、その点についてお伺いいたします。
  244. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  時間があればもう少し詳しく申し上げるのでありますが、警察料金と同等のものをというような要求が出たこともございますが、この警察料金につきましては、過去において、電気通信省時分に警察設備を公社がもらったという経緯がありまして、これは特別に安くなっておりますが、その他の問題につきましては、一般の料金と同じものというふうになっております。
  245. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間もあまりございませんので。  アメリカはTOW、JGCPも低率料金にせよという主張を、私はこの条約の解釈からいうとどうもできるのではないかというふうに思います。そうなると、過重支払い請求分という問題が実は出てくるのではないかと思いますが、この問題についてどのように考えられておるか、そうしていつまで解決するつもりでおられるか、その点についてお伺いします。
  246. 米澤滋

    ○米澤説明員 ちょっと伺いますが、いま過重支払いと言われたのですか。
  247. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうことです。これは詰めると時間がないから……。
  248. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  米軍の言っておりますのは、まだ交渉段階でありまして、私も最近の詳しい話は聞いていないのでありますが、過去におきまして、たとえば専用収入、これはいま民間の専用収入と同じものをもらっているわけでございます。これは電電公社が建設した分につきまして。したがって、その警察料金の問題になるかならないかということは、公社としては米軍だけに警察料金を一般の専用線に対して適用する考えはないわけでありまして、これはあくまで、何といいますか、一般の民間並みのものをもらいたいということでございます。そういうことでございますが……。
  249. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま論議をしてきたように、国鉄の場合、米側は国鉄に対し洞爺丸事故に基因して発生した在日公務中の米軍将兵三十八名の死亡に伴って生じた損害賠償請求権を主張し、これと国鉄の損害賠償請求権とを相殺しようとする立場をとり、さらに国の米側に対する施設区域外にある提供動産の使用料債権、電電の米側に対する専用電話料金債権、施設、区域外にある終戦処理費リロケーション計画に基づいて建設された電気通信局の使用に関する国側の米側に対する債権、米側の国側に対する通話料の支払いを引き下げた場合の問題点等、日米間に解決すべき巨額の債務が存在し、錯綜をして、この問題をおくらしているのであります。外交当局もこれを解決するため外交交渉を行なっていると言い、そのために本来スムーズにあるべき防衛庁関係の損害賠償事務も停滞をしている現実でありますが、外務大臣はこの問題についてどのような御決意でこれを解決されるか、あらためてお伺いしたいのであります。
  250. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 あらためて決意を申し上げますと、非常に抽象的になって何でございますが、先ほど来るる私申し上げておりますことの中にも、私の考えておるところをあらわしておるつもりでございますが、何としましてもこの過去の率直にいって不正常であった関係を正すことが絶対に必要である。しかも地位協定、行政協定の問題等については相当いいところまできているのですが、その解釈が行き違うために、具体的な措置ができない。もう一段とひとつ努力をしたい。ちょうどタイミングとしては、先ほど来再々鈴切委員も御指摘のように、ちょうど沖繩の問題につきましても、請求権の問題というのが非常に大きな問題でございますから、この際明らかにして結着をつけたい。できるだけの誠意と熱意を傾けていきたいと思います。
  251. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理に私は最後に申し上げたいわけでありますが、政府は、行政協定、地位協定の解釈上、見解の相違から、国内においても幾多の対米請求権をかかえながら十九年間未解決にしたまま今日に至っております。いま沖繩の返還にあたって、地位協定が同じく沖繩に適用されるとすれば、当然この問題が関係してくることは、私が先ほどから言ったとおりであります。駐留米軍が行政協定期間及び地位協定締結後現在に至るまで、三公社、公団等の財産に多大の損害を与え、その額も一億数千万に及んでいること、いまだ損害賠償が未解決のまま放置されていることが明らかであります。損害賠償が遅延している原因の一つは、日米間の別途債権債務を一括して処理をするため、一括決済の時期まで損害賠償の解決を遅延させているのではないかと考えられること、また他の一つは、米側は三公社、公団を国の機関なりと誤断し、行政協定期間中に生じた損害賠償義務についてはその支払いを拒絶し、地位協定期間中に生じた損害賠償義務については、国の財産に損害を与えた場合の方式により賠償しようとする態度を強く打ち出し、国以外の第三者の財産に損害を与えた場合の賠償方式を否認し、そのために日米間に見解の相違を生じ、これがため損害賠償は遅々として進まず、損害賠償請求権者たる三公社、公団、義務者たる国もともどもに債権の保全を怠っていることに基因するものと断ぜざるを得ないのであります。十九年間放置されたこれらの損害賠償請求権をどのように解決されるか、また、別途公社公団と米側との債権債務をどのように解決するのか、明確な御答弁をお伺いいたしたい。  また沖繩返還協定の中で当然日米間の条約、協定の適用、施設、区域の提供あるいは対米請求権等も織り込まれると思いますが、これらの関係性をどのようにされるか。またこの問題解決にあたって、政府間交渉による話し合いをされる決意があるかどうか、私は最後に総理にその所見をお伺いいたします。  私のあとに、古寺氏が関連質問をする予定になっております。
  252. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 ただいま、いろいろいままでやってきたことが怠慢ではないか、こういうおしかりではございます。確かに長い間解決されておらない、まことに残念に思っております。これは先ほど来、全然問題に取り組んでないということではなかったので、過去においても努力はしてまいりましたが、十分の効果をあげなかった、こういうことでありますので、御了承をいただきたいと思います。しかし問題は、日米間はもちろん友好親善の度を深めなければならないということ、きめるべき事柄、主張すべき事柄、それはやはりわれわれが主張し、また同時に義務を果たしていく、そういうことで権利義務の関係は明確にして、それで初めて友好親善関係も深まるのじゃないか、かように私思いますので、それらの点で誤解のないように十分努力して、国民の納得いくような線で友好親善関係を深めていく、かようにいたしたいと思います。
  253. 中野四郎

    中野委員長 この際、古寺君より関連質疑の申し出があります。鈴切君の持ち時間の範囲内でこれを許します。古寺宏君。
  254. 古寺宏

    古寺委員 昨年来、長野県の佐久地方に学童、幼児の視力低下の問題が発生いたしました。東大の、現在北里大学の教授になっておられます石川哲博士をはじめとした研究グループによってこの研究を進めた結果、これは農薬による眼疾患であるということが一応判明いたしました。その問題が全国的に広がりまして、最近は大阪をはじめ東京にも、そういうような患者さんが発生をいたしております。この疾患につきましては、早期に発見をし早期に治療するならば、アトロピンあるいはパムという薬によって治癒し得る、こういうような報告もなされております。この研究とあわせまして犬の動物実験も行なわれておるわけでございますが、きょうはその写真をここに持ってまいりましたが、これは有機燐の中毒の犬でございます。このように中毒が進みますと眼球が突出をいたしまして、ついには失明をする、こういうふうになっております。これも同じくその中毒の犬の写真でございます。それからこれは正常な眼底の所見の写真でございます。ところが有機燐の中毒になりますと、こういうふうにいろいろと変化があらわれてまいります。これは亜急性の場合でございます。末期になりますとこういうふうに変化をいたします。これはさらに一種類の農薬だけでなしに、ある種の農薬を混合いたしまして実験をいたしました眼底の写真でございます。  こういうふうに、いろいろと目に非常に影響があるということがわかると同時に、この犬の実験で、いままで非常に問題になっておりましたスモン病に近い症状があらわれる、こういうことも判明をいたしているわけでございます。三月一日にはスモン研究調査会の総会が開かれる予定になっておりまして、これに国立家畜衛生試験場の本間惣太先生も御出席をする予定になっておったのでございますが、これが途中で中止になりまして、このことにつきましては社会労働委員会でも厚生大臣にお願いを申し上げてあるわけでございますが、こういうふうにわが国の農薬公害という問題が最近非常に大きく問題になっておりますが、これは農薬行政そのものにいろいろと問題があると私は思います。国民の健康や生命を守る立場からも非常におくれておりますところのわが国の農薬公害につきまして、最初にまず総理に、今後の農薬公害に対するお考えというものを承って質問に入りたいと思います。
  255. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先にお答えさせていただきますが、ただいまお話のございました長野県佐久地方に発生いたしております学童の目の障害は有機燐剤農薬によるものであるとの説を、ただいまお話しのように東京大学の石川講師が発表いたしておりますが、御存じのようにこの説には反対の学者も多くございまして、厚生省も、食品中の残留農薬によるものとは考えられないという見解をとってきておることであります。  私ども農林省といたしましては、すでに有機燐剤農薬に対する対策として、最も毒性の強いパラチオン、それからテップの製造販売を中止せしめております。またEPNにつきましても安全使用基準を定める等の措置を講じておりますが、今後とも厚生省と密接な連絡のもとに農薬による被害の防止に万全を期してまいりたいと思っております。
  256. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 ただいまの佐久地方の眼病というか、目がだんだん視力が衰える、こういうような問題、これは厚生省の見解見解ですが、石川先生やほかの先生から実は手紙をいただいております。そうして別に何というか、治療の薬もちゃんとあるのだから全然使うなというわけでもない。使ってもその使い方があるはずだ。こういうことで学者は学者的な立場から責任のある研究をしておられます。それに対して十分まだ政府側から援助もしてないような状況でありますので、この点はまことに遺憾に思います。  その佐久地方の問題はそれで具体的な問題として処理いたしますが、農薬そのものについて全般にたいへんな問題だと実は思っております。最近は自然を取り戻せという、そういう立場から、農薬の使用についてもおのずから制限をすべきではないか、かように私は思っておりますので、さらに話が進むに従いまして、そのつどお答えをさせていただきます。
  257. 古寺宏

    古寺委員 まずわが国の農薬の有効成分というのは約四百種類である、こういわれております。薬の種類も約五千六百種類ございます。最近この十年間に生産高も大体四倍に伸びております。諸外国に比較をいたしますと、わが国の単位面積当たりの農薬の使用量は非常に多い。ある専門家によりますと、薬によっては七倍から十倍使っておる、こういうふうにもいわれているわけでございます。しかしながら、農薬による危害、被害につきましては全くその実態が掌握されておりません。一年間に千数百件の自殺あるいは他殺の事故のみは一応掌握をされておりますけれども、実際に農薬によってどういう危険が生じているか、そういうような報告は全くないわけでございます。またこの農薬の残留毒性の問題につきましても、現在までに十四農産食品、九種類の農薬について、一応その農薬の許容量というものが定められておりますが、これは、国立の衛生試験所におきましては非常に少ない人員でこの問題と取っ組んでいるわけでございます。したがいましてこの許容量の設定も非常におくれているような実情でございます。あるいはまた、ただいま農林大臣からお話がございましたが、わが国の農薬にはいろいろと危険がございます。たとえば魚毒性の農薬にいたしましても、約四十種類のC類の魚毒性の農薬がございますが、その中で指定を受けているのはたった一種類しかございません。したがいまして当然河川や湖沼を汚染いたしまして、コイやフナは全滅をする、こういうような実情になっているわけでございます。  そこで、私はまず最初に厚生大臣にお伺いしたいと思うのですが、厚生省では昭和四十五年の十一月三十日から現在まで、十四食品の農薬の許容量の設定をいたしておりますが、これは、国立衛生試験所の食品部の研究職員が十三人いらっしゃいますが、そのうちでこの研究に携わっている方はわずかに四人である、こういうようにいわれているわけでございます。したがいまして当初の計画が大幅に後退する、したがいましてこの農薬のいわゆる安全性というものが確保できないのではないか、こういうふうに私も非常に心配する次第でございますので、今後この残留農薬許容量の設定に対してどういうふうに取り組んでいかれるか、厚生大臣にまずお伺いしたいと思います。
  258. 内田常雄

    ○内田国務大臣 先般農薬取締法が制定されまして、これはまあ農林省の御所管でございますが、新しい農薬の登録等につきましては、農林省自身が非常にむずかしい資料を要求するというような姿勢をとられることになりましたことは、私は非常に前進であると思います。しかし一方におきまして、どういう農薬でございましても、それがやはり食品中に残留をいたしますと、これは人体に非常に危害を及ぼす場合がございますので、厚生省は先年から、すでに存在する農薬につきましても残留許容量の設定のための作業を進めてまいりまして、古寺さんが言われましたような幾つかの農薬、また幾つかの食品を対象とする許容量をきめてまいりましたが、それはまだ全体といたしますとごく一部分でございますので、国立の衛生試験所の機能を活用いたしまして、その他どうしてもその許容量の設定を必要とする幾つかの農薬につきまして計画を立てまして、残留許容量の設定の作業をさせておるわけでございます。ところが、これはいまおっしゃいますように専門家を必要とすることでございますし、専門家の充足が必ずしも十分できておりません。これは行政管理庁からも先般御指摘がございました、そのとおりでございますことと、慢性毒性の調査でありますために、最小限、一つの農薬の毒性試験のために二年間はかかりますので、二年ずつぶっ違えて幾つかの農薬が年度計画によりまして調査ができますよう積極的な計画を立てますとともに、行政管理庁の御指摘に力を得て、関係方面にもお願いをいたしまして、経費なりあるいは人員なりというものの充足につとめることになりまして、これまでのおくれを取り戻してまいりたい、こういう姿勢でおります。
  259. 古寺宏

    古寺委員 そこで、新しい登録ももちろんでございますが、登録をする場合に、三カ月間の試験成績を一応付して登録をすることになっております。三カ月の残留の試験でございますと、発ガン性の問題あるいは催奇性の問題等がチェックできませんので、今後安全性を確保するためにやはり十分な試験に基づいた上でこの登録をするようにしてはどうか、こういうふうに考えるわけです。そこで、三年ごとに登録を更新するわけでございますが、今後、この登録を更新するごとにそういう残留毒性のものをチェックしていってはどうか、こういうふうに考えますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  260. 内田常雄

    ○内田国務大臣 新しい農薬を農林省が登録をされますときに、いま古寺さんが言われましたようなむずかしい資料をつけさせることになったわけでありますが、そのときに厚生省も、農林省に協力をいたしましてきびしいチェックをいたします。そしてそのあと、登録になりましたものにつきまして、先ほど述べましたように食品中の残留許容量の設定作業を、つまり慢性毒性の調査を二年がかりで続いていたす、そしてその結果が思わしくないもの、これはもちろん許容量をきめてそれで済むものが多いとは私は思いますが、許容量をきめるぐらいでは済まされない毒性の強いものにつきましては、三年目の登録がえのときに、これは農林省に善処をしていただくように申し入れる、こういうことでやる所存でございます。
  261. 古寺宏

    古寺委員 次に農林大臣にお伺いいたしますが、農薬の安全使用の基準というのがございます。しかしながら実際の末端の農家には指導が徹底されておりません。したがいましていろいろな中毒が発生をいたしております。今後こういういわゆる末端農家に対する農薬の使用法に対する指導はどういうふうにやっていくのか、それが一つ。  それからもう一つは、現在使用できなくなっている農薬がたくさんございます。たとえばBHCの場合には約八千トンあるというふうにいわれておりますが、こういう不用になった農薬については一体どういうように処理をなさるのか。これをこのまま放置しておきますと、末端の農家では、まだ現在うちにあるものは知らず知らずのうちに使用しているわけでございます。そういう危険を伴いますので、今後農林省としてはどういう方針でこれに対処するのか、承りたいと思います。
  262. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまのようなことにつきまして、この間農薬取締法改正それから土壌汚染の法律の場合にも、それぞれ衆議院でも附帯決議等がございまして、ただいまのような問題について重視するようにということでございます。私どものほうでもかねがね考えておったことでございますが、指導員を――いま大体一万人ぐらいだと思いますが、指導員にただいまのようなことについて十分訓練をいたしまして、地方の、使用される農家の方々に間違いのないような指導をいたす、こういうことで万全を期しておるわけであります。  それから、ただいま二番目にお話しになりましたこと、これはうかつにそこいらに処分するとまたそれによって弊害がございますので、十分に研究をいたしまして、土壌の汚染が再びされることのないような、たとえば深く掘り下げて少量を処分するとか、いろいろそういうことを技術的に検討いたしまして処理をいたさせるようにいたしたい、農家で持っておるものについて。そういうことでございます。
  263. 古寺宏

    古寺委員 実際問題として、卸売り業者が回収をしましてもメーカーが引き取らないとか、いろいろな問題が起きているわけでございます。こういう問題について、やはりはっきりした農林省としての方針をきめていただきませんと、あるいは指導というものを徹底していただきませんと、農薬による事故は絶えませんし、また慢性毒性の問題も、先ほど申し上げましたように全くチェックされていないような状態でございます。一億の国民がまさにモルモットの代用になっている、こういうふうにしか思えないわけでございますので、今後そういう点については十二分にひとつ検討して対策を進めていただきた、こう思うわけでございます。  きょうは時間がございませんので次に移りますが、安中の問題に移ります。  きょうは安中の周辺の農作物を私は持参いたしました。  これはカドミウムが大体三〇PPMぐらい入っている、工場から五百メートル付近でとれた白菜でございます。それからこれが大根です。これも大体五百メートルぐらい。今度の国会では大根論議がだいぶございましたけれども、これが安中の大根でございます。一本二百円ではとても売れない。こういう大根でございます。あるいはこれがホウレンソウです。八百メートルぐらいのホウレンソウ。それからこれも八百メートル以内でございますが、こちらはわりあい生長がいいんでございますが、これもホウレンソウでございます。それからこれは麦でございますが、こういうふうに全然根がございません。それからこれは桑の木でございますが、こういうふうにもうアオゴケが発生いたしまして、全然養蚕ができない、こういうような実情になっているわけでございます。したがいまして、安中の住民は何をもって生活をしていったらいいかということで非常に困っているわけでございますが、このほかにさらに指曲がり病であるとか、カドミウムによるいろんな健康被害というものがあらわれておりまして、そういうことで非常に問題が多発をいたしております。  これもお借りしてきたのですが、こういうふうに指の先が曲がっているわけでございます。ここでございます。あるいはこれもそうでございますけれども、指曲がりでございます。こういう患者さんが、しかも非常にたくさん発生をいたしておりまして、これが安中の工場のすぐ近くの北野殿という地域でございますが、これだけ指曲がりの方が発生しているわけでございます。黒く塗ってあるのが指曲がり病の患者さんのいる家庭でございます。こういうふうにたくさん発生しておる。そういうふうに非常に患者さんが多いし、あるいはまた、いろいろな調査をいたしますと、煙によって目やのどに障害があるという方がこういうふうにたくさんいらっしゃる。あるいは東邦亜鉛の煙のにおいがするという方もこういうふうにたくさんいる。こういうふうに非常に被害がたくさん発生いたしております。  そこで、私はきょうお伺いしたいのでございますが、まず先日の群馬県の県会におきまして、今度東邦亜鉛周辺の野菜の作付は禁止をする、こういうような群馬県の方針が発表になりました。こういう点について農林省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか承りたいと思います。
  264. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまお話のございました地域の麦、野菜などの畑作物につきましては、その畑作物中に含有されますカドミウムの人間に対する健康をそこなうおそれのある程度、または作物の生育を阻害する程度などが明らかになりました時点におきまして、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律等によりまして地域を指定しで、所要の対策を講ずることといたしたいと存じますが、現在のところ野菜、果実等につきましては、食品衛生上カドミウムについての規格基準がまだ定められておりませんので、一般に特にその問題についてはまだ何とも聞いておりませんが、現在問題の、ただいま御指摘のような地域において作付されております野菜は小面積で、そのすべては大体において自家用であるようであります。そこで県といたしましては作付を避けるように指導いたしますとともに、自家用野菜の確保のため影響のないように共同自給菜園というふうなものを設置するようにすすめておる模様でございます。
  265. 古寺宏

    古寺委員 そこで、現在は米以外の農作物については基準がないわけです。あの辺の実情を調べてみますと、米よりもむしろ麦を非常に多くとるそうでございます。大蔵大臣の地元でございますが、三食のうち二食ぐらいは麦を常食にしている方もいらっしゃる。ところがこの麦から今回四PPM以上の分析の結果が出たわけでございます。こういうふうに麦をはじめとしてたくさんの野菜からも多量のカドミウムが分析されたわけでございますが、こういう野菜あるいは麦についてのいわゆる安全基準の設定というものは、これはいつ厚生省はおやりになるのか、お尋ねしたいと思います。
  266. 内田常雄

    ○内田国務大臣 群馬県では麦をたくさんおつくりになるということは聞いておりますので、理論的に申しますと麦につきましてもカドミウムの許容限界というもの、あるいは野菜につきましても同じような許容限界というものをきめるべきように私自身も思いまして専門家に尋ねましたところが、やはり群馬県におきましても麦よりも主食である米のほうが摂取量が多い。そこで、米についてカドミウムの許容限界をきめます際には、あの地域の状況に応じて麦も相当とるものと、また副食としての野菜も相当とるものと、それらの麦や野菜にはおっしゃるとおりある程度のカドミウムも含まれておることを想定しながら、米についてそこで一とか〇・九とかいうような許容限度をきめてある。そこで米は一つもとらないで、野菜もとらないで、麦のみを食べているというような場合におきますと、これは麦についてもきめなければならぬことだと思いますけれども、いままでの説明ではそういうことでございます。しかしこれは私がなお検討させまして、全く事態が逆で、麦を主食にして米を副食にしているというような状況がありますならば、当然私は麦についても同じことをやってしかるべきだ、このように考えますので、検討をさしていただきます。
  267. 古寺宏

    古寺委員 地元の人にお聞きしましたら、実際に地元の人でないとわからぬことですが、非常に昔から麦を多く食べるそうでございます。ですから、そういう面を十分に御調査の上で、どうかひとつ一日も早く麦や野菜の基準も設定していただきたい。そうでなければ再び中村登子さんのような犠牲者が出ないとも断言できないわけでございます。そういう面でひとつ積極的にそれを進めていただきたいと思います。  それからカドミウムの汚染地域の問題でございますが、この線引きが、きょうはここに図面もあるのですが、非常にほんの一部分しか指定をされておりません。現在は相当広範囲にわたって一以上の米からのカドミウムが検出をされております。こういう汚染地域の指定の問題は、米を基準にして農林省は今度指定地域をきめることになっておりますが、水田の場合と陸稲の場合では全くこれは違うわけです。水田の場合は酸素との関係で非常にカドミウムの吸収が少ないわけです。ところが陸稲になりますと、土壌のカドミウムが少なくても、大量に検出をされる。こういうふうな非常に実態に即しない線引きをやっているわけでございますが、今後はやはり土壌の汚染の度合いによってそういうものを指定すべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、その点についてどうでしょうか。
  268. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お話のございました地域の指定でございますが、カドミウム等によります土壌汚染農地に対する復旧対策でありますが、これは先般御決定いただきました農用地の土壌汚染防止等に関する法律の趣旨に基づきまして、対策地域を指定いたしまして、対策計画に基づいて適当なる措置を講ずることといたしておるわけでありますが、公害防除の特別土地改良事業を実施する段階におきましては、ただいまお話のございましたように汚染地域の実態を十分に把握いたしまして、それらの必要に応じてその他の一般土地改良事業を体系的に、ただいまお話しのようなことの意味を勘案いたしまして実施いたしますように、適切な措置を講じてまいりたいと思っております。
  269. 古寺宏

    古寺委員 そこで汚染地域の米は一PPM以上ですか、これは買い上げをする、こういうふうにいわれております。それから準汚染地域の問題ですが、これは四等米までは交換をするけれども、等外については交換をしない。ところが安中の農家の方のお話を承りますと、二、三人の家庭でございますと、一年間食べるくらいの等外品を持っているわけでございます。ところがそれは全然交換してもらえない。それをかかえて、食べるわけにもいかない、こういうのが実情でございます。また一PPM以上の米は、これは倉庫に保管をされているわけでございますが、これをのりの業者なんかに売る場合には三千円で売るわけでございます。ところがそこに商人が入りまして、この三千円のお米を買って、そして高い普通のお米とこれを混合いたしまして、そうして一般消費者に販売をしているということも、現地のほうから私はお聞きをいたしました。こういうふうに非常にお米の問題については、ただいま申し上げました等外の問題あるいは汚染米の処理の問題、いろいろと問題があるわけでございますが、そういう点について農林大臣は知っておられますか。
  270. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 カドミウム米の問題が出ましたときに、厚生省のお話で一・〇PPM以下は安全である、こういうお話でございましたが、その前に基準の話がでましたときに、〇・四PPMという話が出てまいりましたために、一般の世間でそれについて御不安をお持ちの方もあったようでありますので、ちょうどわれわれのほうにはかなりの保有米をストックいたしておりますものですから、そういうことで御不安があるならば、それは私のほうで買い上げて差し上げましょう、しかしそれは配給には回しません、こういう措置をいたしておることは御存じのとおりでございますが、その場合のその等外米のお話でありますが、これはただいまちょっと調べてみましたら、政府にそういうものの手持ちがございませんで、交換の中には入ってない、こういうことのようであります。
  271. 古寺宏

    古寺委員 実態を大臣はよく御存じないのでそういうことをおっしゃるのですが、たとえば先ほどの農薬の問題にいたしましても、全国の農薬の使用量とスモンの四十二年、四十三年の発生の数というのは、ざっと一致しているわけなんです。こういう実態というものは農林省は一つも把握をしておらない。これは農薬によっていざりになった犬ですよ。スモンと同じようにいざりになっている。こういうことの実態も把握しておらない。ですから公害を受けている現地の住民というものは、もう野菜もだめ、酪農もだめ、養蚕もいけない、どうしようもないところに追い込まれているわけです。こういう人たちに対してやはりもっと農林省が積極的に調査を進めて、被害者の救済というものを考えてあげなければ、これはたいへんな事態になると思うわけです。  そこでこれは時間がないので非常に残念なんですが、地元の御出身である大蔵大臣にぜひ質問していただきたいと、昨日、こういう現地の方からの御要望がありましたので、皆さん、期待をもって待っておられると思いますので、質問を申し上げます。補償金の問題でございますが、この補償金に対して課税をするということは、これはまことに過酷ではないか、こう私は思うわけです。安中の場合は十アール当たり五万円でございます。その五万円の補償金に対して課税をするということはほんとうに過酷である。何とかその課税分ぐらいはお見舞いとしてめんどうを見てもらえないか、こういう現地方々の御要望でございました。これについてまず大蔵大臣にお伺いいたします。
  272. 福田赳夫

    福田国務大臣 考え方の一般論を申し上げますと、その補償金が所得にかわるものであるという性格のものであると、これは課税の対象にせざるを得ないのです。しかしいまお見舞いというお話がありました。心身の障害に対する慰謝料だ、そういう性格のものでありますればこれは課税しない。ですからそういう原則で個々のケースを見ていきたい、かように考えます。
  273. 古寺宏

    古寺委員 先日の新聞によりますと補償金の六〇%を課税対象にする。それからいろいろ控除もあるようでございますけれども、そういう新聞の報道もあったわけでございます。しかしながら実際に安中の問題にいたしましても、かつては十アールから八俵あるいは十俵とれたものが、公害によって五俵、六俵の補償しかされていない。それに対してさらに追い打ちをかけるように課税をするということは、これは御先祖さまに対しても申しわけないのじゃないか、こう思いますので、ひとつ大蔵大臣の御英断を望む次第でございます。  時間がございませんが、この安中の問題についていろいろと調べてみましたが、あの問題についてはただいま申し上げました農業の被害あるいは健康の被害、さらには先日この委員会で問題になりました中村登子さんのような犠性者も出ておられます。あるいは当時この監督の立場におられた部長さんも責任を負って自殺をなすったそうでございます。これらの一切の根本は何か。それはやはり政府の公害行政に対する腹がまえによって、一切がそういうふうに結果が出てくるのではないか、こういうふうに私は考えるわけでございますので、最後に、こういうような農薬の公害あるいは重金属による公害、こういうものによってそこの現地の人はもちろんのこと、それに関係している一切の人が犠性にならないような、そういう政治の実現というものを、私は心から期待をしているわけでございますので、最後に、総理からお話を承って、私の質問を終わらしていただきたいと思います。  なお、この指曲がり病でございますけれども、この指曲がり病は、確かに学問的にはいろいろまだ因果関係のはっきりしない面もあると思います。しかしながら、研究は研究として進めていただく、今度は、実際に被害を受けている方には、救済は救済として政治のあたたかい配慮によって救済していただきたい、こういう現地の要望もございますので、あわせて総理の御答弁をお願い申し上げます。
  274. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 順序から申しまして、まず指曲がり病のほうからお答えしたいと思います。  これは、いろいろ原因が、カドミウムから発生したのじゃないか、さっきの安中の発生地域等から見ると、安中の製錬所と関係が非常に深い、こういうことも言えるようでありますが、また、他の説では、お医者さまですから御存じだと思いますが、慢性リューマチだ、こういうこともいわれております。したがって、その辺は、なお原因を追求することが必要だ。いずれにしても、公害に対する態度は、もっと積極的な、前向きの姿勢でなければならない、かように私は思います。過日もこの席でお答えをいたしましたように、個々の病気もさることだが、公害に対する対策は、できたから、それに対する対象をどうするということでなしに、発生しないようなそういう処置をとるべきだ、これが本会議においての私の答弁でもあります。そういう前向きの姿勢でこの問題と取り組む、また、各省を督励してまいるつもりであります。今回環境庁をつくったのも、そういう意味で皆さんの御支持を得ている、かように思いますから、在来の姿勢からも、公害を野放しにした、こういうものではないと思いますけれども、今度はほんとうに皆さんの鞭撻を受けて、積極的にこの公害問題と取り組む、こういうことで、不幸な方が出ないようにしたい。また、不幸にしてそういう方になられたら、その救済につきましても十分われわれ考えていく、あるいは補償等についても、会社責任等も十分確認して、しかる上で対策を立てる、こういうふうにいたしたい、かように思っております。
  275. 古寺宏

    古寺委員 まだ時間がありましたので、もう一つだけお伺いしたいのですが、これはまたいつも平行線になると思うのですが、もちろん、ただいまの御答弁にございました、その被害が発生した場合には、これは救済もめんどうを見てあげなければいけない、こういうお話がございました。しかしながら、現実の問題といたしまして、イタイイタイ病の場合にも、もう裁判中に十六人の方々がなくなられていらっしゃいます。あるいは川崎市におきましても、本日のニュースの報道によりますと、公害病のお年寄りの方が自殺をなすっておられます。こういうふうに、公害によって被害を受けた方が生活の問題あるいはいろいろなそういうような事情によって救われない、実際の生活の上では救済されていない、こういうのが私は実情ではないかと思うわけです。ですから、限られた人員でもございますので、どうかひとつ総理の大英断によりまして、この公害病患者の救済という問題を今後積極的に進めていただきたい、こういうことを最後に御要望申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと思います。
  276. 中野四郎

    中野委員長 これにて鈴切君の質疑は終了いたしました。  次に楢崎弥之助君。
  277. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、この際、六〇年安保以来の安保論争を整理してみたいと思っているわけであります。  そこで、まず冒頭に、愛知外務大臣は、きのう、何か記者会見でいろいろしゃべられた中に、「最近はもっぱら夜業。昼間は国会で愚問愚答ばかりなんでねぇ」とおっしゃったそうです。私は、ここでことばじりをとらえようとは思いません。私は、私の質問を通じて、その中身によって結着をつけたいと思います。私の質問も賢問になるようにつとめますから、あなたのほうこそ愚答しないように、ひとつあらかじめ申し上げておきます。  そこで、けさの新聞報道を見ますと、中曽根防衛庁長官は、沖繩返還後、はたして沖繩の実態が核抜き本土並みの状態になっておるかどうかについて自衛隊としても調査団を派遣して、その実態を見て国民に安心をしてもらうようにしたいという見解をお持ちのようでありますが、この際、総理は、この考え方についてどのようなお考えをお持ちでしょうか、賛成でしょうかどうでしょうか。
  278. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私が答弁し、かつ考えておりますことを申し上げます。正確にお伝えしたほうがいいと思うからであります。  沖繩返還に際して、核抜き本土並みで実現するということは、日本国総理大臣と米国大統領との間の厳粛な約束でありまして、この約束は必ず実行さるべきものであります。両国の最高政治責任者が全世界の前で約束したことでありますから、これは必ず実行さるべきものであると確信しております。  ところで、現在沖繩の民衆その他一般県民のお考え等を見ますと、ガスの問題や核の問題については非常な関心を持っておられまして、占領が解除になって二十年近くたってきているわれわれ本土の者とは多分に違う心理状態にあります。これはわれわれとしては、また十分政治的にも考えなければならない条件でもあります。そこで、沖繩県民の皆さんになるたけ納得していただき、かつ太陽と緑の沖繩の島を築き上げるという点にわれわれも誠心誠意協力するという考えにも立って私が考えましたことは、いずれ返還になりましたときには、たとえばナイキの基地であるとかあるいはそのほかにつきましても自衛隊が受け継いでいく場所があります。そういう場所については、直ちに連絡員を派遣するとかあるいは要員を充実して代替していくという形になるわけであります。そこで、この返還に際しまして、もし先方と合意が得るならば、わがほうの連絡員その他を派遣して、実際核抜きである、あるいはGBガスその他がないということを確かめて、県民の皆さんに安心していただくということは適切な措置であると私は思うのです。     〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 これは政府内部でまだ正式にきまったことではございませんけれども、わが国益を守り、また沖繩県民の御心情を考えまして、私は外務大臣その他の皆さんともよく相談し、またアメリカ筋ともよく相談をして、こういう考えが実現するように努力したい、こういうふうに申したのでございます。
  279. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 本土と変わらないように、また核は持たない、つくらない、持ち込みも許さない、これは大統領と私が約束したのでございます。そのとおりきちんとできると、かように私は確信しております。
  280. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は中曽根私案と申しますか、それについての総理、御見解を聞いておるところであります。
  281. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 いま中曽根君から中曽根私案はよく説明されました。私はそれほどのこともなしに、ただいまの、私自身約束したのですから、私がだまされるとかそういうことはないと思いますし、ニクソン大統領、十分信頼してよろしい、その上引き継ぐのでございますから、そういう際にチェックする方法もあるじゃないか、かように私考えておるので、何ら御懸念なしにと、かように思っております。
  282. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 去る第二分科会におきまして、私は、返還された米軍基地を米軍が再使用する際に、現在の地位協定の条項でそれが可能かどうか、これを質問いたしました。地位協定第二条四項(b)によってそれが可能である、たとえば米軍の継続的使用あるいは断続的な使用も二4(b)の「一定の期間」という概念の解釈によってそれが可能である、こういう御答弁を中曽根長官はされたわけであります。しかし、やはり「一定の期間」というものが厳然と二4(b)に書かれておる以上、そこにはおのずから自由使用とは違う限界があるはずである。したがって、その限界についての統一見解をお示し願いたいと要望をいたしておりましたが、いまその御見解を承りたいと思います。
  283. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 第二条四項(b)に該当しますのは、要するにわがほうが管理権を持ちまして、わがほうの責任において管理する、しかし一定期間を限って臨時に米軍に使用を認める、わがほうが主であって、臨時に認められる米軍のほうは従でありあるいは客である、こういう関係で使用を認めるという態様であります。そこで、いままで行ないましたケース等を全部検討いたしまして、大体第二条四項(b)の解釈は次のようなものであろう、こういうことでございます。  地位協定第二条第四項(b)でいう「一定の期間を限って使用すべき施設・区域」とは、米軍の恒常的な使用が認められる通常の施設・区域(二条一項(a))及び日本側が臨時に使用できる施設・区域(二条四項(a))とは異なり、日本側のものではあるが、米軍の使用が認められ、その使用する期間が何らかの形で限定されるものをいうが、かかる施設・区域としては、実情に即して考えるに、一応次のごときものがあげられる。  (一) 年間何日以内というように日数を限定して使用を認めるもの。  (二) 日本側と調整の上、そのつど期間を区切って使用を認めるもの。  (三) 米軍の専用する施設・区域への出入のつど使用を認めるもの。  (四) その他、右に準じて何らかの形で使用期間が限定されるもの。  右のごとく、使用期間を限定する方法については、当該施設・区域の態様、使用のあり方、日本側の事情等々により必ずしも一定せず、個々の施設・区域ごとに、具体的に定めるしかないが、いずれにせよわがほうの施設を米軍に臨時に使用させるという二4(b)施設・区域の本質のワク内で合理的に定めていく考え方であります。
  284. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいま四つの場合について見解が示されました。  まず専用しておる地区に出入をするために使うという場合には、おのずからその出入の態様だけに限られる。それを利用して、その出入権を利用してそのほかの使用をするということは厳に禁ぜられるわけですね。     〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
  285. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その場合にはそうです。たとえばある滑走路、飛行場の中の施設を先方が使用している場合に、飛行機で連絡に来るという場合に滑走路を使用させる。これはその施設を利用するために滑走路に着陸して、施設に行くために滑走路を使用する、そういう意味でその主たる目的に従ってその限定された使用が認められなければならぬ、こういう考えであります。
  286. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの考えでいきますと、飛行場の場合は、それじゃ滑走路は事実上自由に使えるじゃありませんか。どうですか。
  287. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それはその施設を使用するという目的に従って、その期間を限って使用させるので、常に、常時開放的にいつでも認めるというものではないわけであります。
  288. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうするとその際も期間を限るということはつくわけですね、いまのお答えによりますと。
  289. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 もちろんそうであります。そこが(a)その他と違うところであります。
  290. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、次に一年間を何日、限ってという条件が一つあるようでありますが、その点についてもたとえば一年間に十カ月ぐらい貸すなんというのはこれは一年じゅう貸すのと同じなんですから、そこにはおのずからやはり限界というものがあろう。たとえば長坂の小銃射撃場の場合は年間百六十日以内というのがある。そうするといま自衛隊のほうで、防衛庁のほうで考えられております年間日数を切るという場合の大体の限界は六カ月以内ぐらいだ。まあ六カ月をこえるぐらいだとこれはいけない。その辺が一つのめどになるのではなかろうか。これは私の考えじゃないですよ、防衛庁がお考えになっておるのは、ではなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  291. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、こちらが主で向こうが従として使い分けを認めるということでございますから、向こうのほうがこちらよりも使用量が多いというのでは主客転倒になります。しかし何日何日というふうに区間をそう明確に線を引くことはむずかしいと思いますが、使用の態様によってもまた違うと思うのです。単に連絡用に使うのかあるいは演習というそういう実態に即した仕事が行なわれるのか、そういうような使用の態様にもよります。しかしお説のとおり一応時間的にいえば一年のうち半数以上向こうが使うというのでは主客転倒になるのではないかと思います。
  292. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 自衛隊の基地を米軍または第三者に使用せしめようとする場合、自衛隊法上その根拠がありますか。
  293. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 政府委員をして答弁せしめます。
  294. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 お答えします。  自衛隊の基地を米軍に使用させる場合には、やはり地位協定上の手続によりまして、共同使用、いまお話しのありました地位協定の二条四項(b)による手続をとらなければ使用することはできないと思います。
  295. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はそういうことを聞いておらぬのですよ。それはいま長官がお答えになったのだから。自衛隊法上根拠があるかと聞いておるのです。
  296. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 自衛隊法そのものには、米軍に直ちに使用を認めるという条項はございません。
  297. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは自衛隊法上米軍に使わせることについては、あるいは第三者に自衛隊の基地を使わせるということには問題があります。法制局長官の御見解を聞いておきたいと思う。
  298. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 確かに自衛隊法上貸す根拠は私もないと思います。しかし、地位協定というのは――御承知のとおり、条約というものは国内法の効力を持っておりますから、そういう意味では両方の規定からいって貸すことも可能ではないか、私はいまそう思いますけれども、なおよく検討してみたいと思います。
  299. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もう法制局長官おわかりのとおり、外国との条約あるいは協定、それが直ちにその国民にあるいは国の財産にそのままには影響を及ぼさないんですね。やはり国内法の根拠がなくてはいけません。したがって、この問題は、いまもお答えのとおり、自衛隊法上われわれは根拠がないと思う。したがって統一の見解をお示し願いたいと思います。  次に、もし、いま中曽根長官から示された、限界を越えるような米軍の有事再使用は、地位協定及び自衛隊法を改正しない限りは認めることはできないと思いますが、どうでしょうか。
  300. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そういう事態になる場合には、合同委員会を開いて、二4(b)が二4(a)に変わるとかそのほかのいろんなステータスに、協議によって変えられると思います。
  301. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 つまり、それは地位協定本来に返って合同委員会にかけ、そしてもう一ぺん米軍に施設を提供するという、そういうルール以外はないわけであります。もし、そういうルール以外にやろうと思えば、自衛隊法あるいは地位協定を改定せざるを得ないということの裏返しの答弁だと私は理解をして先に進みます。  ニクソン・ドクトリン後のアメリカの戦略は、日本の基地を有事出撃基地及び補給基地とし、大量兵力緊急輸送戦略、すなわち有事来援戦略に変わるわけであります。たとえばこの三月三日からフリーダム・ボールト作戦、これはかつての六九年三月行なわれたフォーカス・レチナ、このときには輸送機はC141でありましたが、今度はそれの数倍の能力をもつC5Aを使って行なわれるはずであります。つまり、有事の際、大量兵力を緊急に送る、そういう戦略に変わってくる。したがって、この有事来援戦略を可能にする条件は、いわゆる有事再使用の保証がなくては、この有事来援戦略は成立をしないわけであります。したがって、米国が必要と判断するときには、無条件で有事再使用できるという保証を米軍が求めないはずはないと私は思っております。そこで、この点米側は、返還基地の有事再使用について、その保証を強く日本側に迫っておるかどうか、この点をお伺いします。
  302. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 強く迫っているということはありません。しかし、日米安全保障条約というものは、両国の信頼と親善の上に成立しているものでありまして、両方が善意をもって弾力的にこれを適用していくという、相互関係に成立しております。したがって、そういうあらゆる問題は、随時協議あるいはその他の協議を通じて処理されていくものと思われます。
  303. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この有事再使用問題については、非公式にでも交渉は続いておるんですか。
  304. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは外務省の分野でございますが、別に続いているわけではございません。日米安保協議委員会において、年一回とか年二回とか会いまして、そして決定されたことが実行されていることであり、その間において各部局、部局でいろいろな事務的相談がございますが、有事再使用という問題についていま相談があるということは聞いておりません。
  305. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 外務大臣どうですか。
  306. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 有事再使用というような考え方で協議を受けているということはございません。これはよく御承知のように、昭和四十三年の暮れから、相当大幅な在日基地の縮小の傾向といいますか、話し合いが出てきております。それはいま仰せのようなかっこうで出てきているわけではございません。
  307. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 総理は一昨年アメリカへ行かれたわけですが、この有事再使用問題についての話が出ましたか。
  308. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 出ておりません。
  309. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 板付基地は返還後の再使用について非公式にでも了解をすでに与えておるというようなことはないでしょうね。
  310. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そういう言質を与えているというようなことを板付に限ってやっているということはございません。
  311. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 自衛隊が外国の軍隊を訓練するためにその国に出かけるとか、あるいは外国の軍隊を日本に呼んで訓練するような計画は、自衛隊にありますか。
  312. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 訓練したり何かすることはございません。しかし、視察に来るという場合には受け入れる場合はあります。
  313. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それはどこの国でも視察に来るときには見せるという意味ですか、実際に軍事訓練をやるという意味ではなしに。そういう意味ですか。
  314. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 訪問は受ける。しかし訓練や何かは受けるということは絶対ございません。
  315. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もしそういうことがあると、憲法あるいは自衛隊法に違反すると思いますが、どうでしょうか。
  316. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 違反すると思います。しかし、私、詳細な法技術的な解釈を知りませんから、もう一回政府委員をして正確に答弁せしめます。――もっとも、学校に入れてやるというのはございます。幹部学校とかあるいはそのほかに語学関係の留学生あるいはそのほかの留学生として受け入れているというのはございます。
  317. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どこの国の軍人を学校なんかに入れて教育されていることがありますか。実績があったら御報告をいただきたい。
  318. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 ただいま、防衛大学校と陸の幹部学校におきまして、タイ国及び中華民国の制服の教育を行なっております。
  319. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのようなことをしていいという自衛隊法上の根拠がありますか。
  320. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 たしかその条文はあったと思いますから、政府委員より答弁させます。
  321. 高瀬忠雄

    ○高瀬政府委員 自衛隊法の百条の二、「教育訓練の受託」という条項がございまして、これに基づきまして「自衛隊の学校において外国人について教育訓練を実施することの委託を受けた場合において」はできるという規定がございます。
  322. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 日本の周辺に緊急事態が発生した際、たとえば過去の例でいうと、EC121事件あるいはプエブロ事件、そのようなときに米軍は事前協議の必要なく一方的に民間機の発着をコントロールする権限がありますか。
  323. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは当時も政府見解を申し上げておりますとおり、たとえば公海上の偵察、それから何かそこで事柄が起こったときの救助でございますか、そういうことについては事前協議の対象でないということを申しております。
  324. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま誤解があったかもしれませんが、私がいま言った事前協議は、安保条約の事前協議ではないのです。事前に何か相談なしに一方的にそういうことをする権限がありますかと聞いているのです。
  325. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それでは正確を期するため、条約局長から答弁させます。
  326. 井川克一

    ○井川政府委員 合同委員会におきまする航空交通管制、昭和三十四年六月の合意の中に「防空上緊急の必要があるときは、防空担当機関が保安管制を行なうことに同意している。」というふうになっております。詳細は運輸省からお聞き取り願います。
  327. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あとで運輸省にはゆっくり聞きます。  航空自衛隊には、その権限がありますか。
  328. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 政府委員より答弁せしめます。
  329. 久保卓也

    ○久保政府委員 運輸省と協議をして、やはり航空救難その他の場合に事実上そういうもののチェックを行なうようになっております。
  330. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 昭和四十年三月十八日、参議院決算委員会における稲葉誠一委員質問に対して行なわれた日米合同演習についての当時の――現在は施設庁長官ですが、当時の島田豊教育局長答弁は今日も変わらないかどうか、念のために読み上げてみます。「こちらの訓練に米軍の協力をいただく、こういう趣旨のものでございます。したがいまして、両者の共同演習につきましての協定はあらかじめありまして、それに基づきまして両者が対等の形においてやるということではなくて、やはり自衛隊のあくまで演習でございまして、それに対しまして米軍の飛行機なり艦艇を借りる、こういう形の演習でございます。」日米合同演習とは。その御見解はいまも変わりませんか、島田さん。
  331. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そのとおりであります。
  332. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 自衛隊はグアムあるいはハワイ方面まで出かけて日米合同演習をしたことがありますか。
  333. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 演習というほどのものというよりも、むしろ自衛隊の潜水艦等の操作訓練あるいは潜水艦の緊急避難の訓練等のために行ったことはございます。
  334. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 過去三年間、一九六八、六九年、七〇年の実績を御報告いただきたい。
  335. 久保卓也

    ○久保政府委員 日米合同訓練は、海上自衛隊で過去三年の間は五回ございます。
  336. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 かつて岡田春夫委員が問題にいたしましたフライングドラゴン別紙L項、英語はルール・オブ・エンゲージメント、日-米交戦規則と統幕は訳しております。それは今日も有効に作動しておりますか。
  337. 久保卓也

    ○久保政府委員 米側は、そのエンゲージメントを使っておると思いますけれども、わが自衛隊では、それは全然使っておりません。
  338. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 電波妨害装置ECMの技術研究開発について。第三次防の研究開発計画の中にECM電子兵器の一つであるXJ-ALQ-3、これが入っておりますか。
  339. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 いま先生御指摘の名前のもの、専門的のもので、私いま手元に持っておりませんので、至急調べて御返事いたします。
  340. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 自衛隊は、国民の一部の職種について、国民ですよ、思想あるいは素行調査をしておりますか。
  341. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いわゆる警察がやっているような、あるいは公安当局がやっているような調査はやってはいないと思いますけれども、自衛隊の部内秩序を守るために自衛隊関係者その他に調査が及ぶことはあるかもしれません。
  342. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと不正確でございますが、いまの答弁は、自衛隊の隊員について行なっておるが、国民ですよ、私が言っているのは。国民の一部の職種についてそのような調査を行なっておりますか。
  343. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 国民を目的にしているというのじゃなくて、自衛官自体に関連しているという場合には、あるいはそこまで調査が及ぶということはあり得ると思います。
  344. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あり得るというのは、たいへん不正確でございますが、あるのかないのか、ひとつお答えをいただきたい。
  345. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 御指摘の点は、隊員の募集の際における身元調査の件ではないかと思いますが、隊員の募集の際におきましては、やはり前歴等の調査を十分いたしております。
  346. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 運輸大臣にお尋ねします。  運輸省は、運輸省関係の特殊の職種の職員について思想調査をしておりますか。
  347. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 具体的なことでもありますので、航空局長から答弁させます。
  348. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私は、そのようなことを承知しておりません。
  349. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体私に与えられた時間は二時間でございますから、一応いままでの質疑のところで見解を述べてみたいと思います。  六〇年安保後、この十年間、そして、この国会の分科会が始まって今日まで、私は正確に言えば、日本の周辺に緊急事態が起こった際に、米軍あるいは航空自衛隊は一方的に民間機の発着をコントロールできる、それ以外は全部うそであります。私はたいへん残念に思うわけです。事実に反しておる。あるいは事実を曲げた答弁を知らないでではなしに、故意にしておられる。総理自身がそうではないかという感じがするわけです。そこで、私はいまから政府答弁のフィクション、あるいはボーガス、うそについて立証してまいりたいと思います。  一、米側から返還基地の有事再使用を保証せよという強圧的な要求は、すでに三年前から始まっておるはずであります。  二、総理は、一昨年訪米の際、この有事再使用問題について、米側と秘密裏に話し合いをしておられるはずであります。  三、板付基地は返還後の再使用につきすでに、保証するという非公式な密約があるはずであります。  四、陸海空三軍いずれも日本の基地から戦闘作戦行動のために直接出撃する場合は事前協議にかかる、この十年間このような答弁をずっと繰り返してこられましたし、今度の国会の第二分科会においても私はそれを確かめました。しかし、空軍に限っては直接出撃は包括承認を日本は秘密裏に合意しております。すなわち、空軍に関する限り、沖繩も含め自由使用を保証する秘密了解がすでに取りかわされている節があります。  五、同じく海軍艦艇について、日本の港からの直接出撃については、それが行なわれているにもかかわらず、何の事前協議もなされておりません。  六、ルール・オブ・エンゲージメントは現在も生きております。  七、ECM・XJ-ALQ-3、これは三次防技術研究開発計画の中に入っております。  また、同じく第二分科会において、自衛隊はナパーム爆弾を持っておるかと聞きましたら、持っていないと言う。しかし、自衛隊は持っております。  いろいろまだうその答弁をされた。そこで私は、以上の点を立証するために、以下の資料を要求をいたします。  一、一九七〇年一月二十六日から二十九日まで四日間行なわれました、これは一九七〇年八月二十二日に発表されておりますが、米上院外交委員会の安全保障協定対外公約小委員会、いわゆるサイミントン委員会の日本と沖繩に関する聴聞会の議事録、  二、本年二月十六日発表、米下院外交委員会の国家安全保障政策科学開発小委員会、いわゆるザブロツキー委員会のアジアにおける軍事援助訓練、この報告書。  三、航空交通管制に関する合意書全文、これは本文及び第一、第二、第三付属書。  四、「海上自衛隊幹部学校評論」第七巻第二号。  五、富嶽生著「よい中隊の育成について」、これは富士学校修親会編であります。  六、第三次防技術研究開発計画。  七、空幕運第三六七号。  八、総隊防第一二四号。  一応以上にしておきますが、どうでしょう。
  350. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 冒頭に楢崎委員から、私の昨日のことばについていろいろな御批判をいただきまして、まことに私自身これは恐縮しておるわけですが、毎々私は答弁につきましてまことに至りませんで、愚かなる答弁であると自認してまじめにやることにつとめておる、その気持ちをあらわしたようなつもりでございます。しかし、同時に私は、事をかまえて現実をうそをついているというようなことは全くございませんから、その点だけは御信頼いただきたいと思います。  そこで、先ほどお答えしたところを繰り返すことになりますけれども、日本で提供している施設、区域について、有事再使用についてすでに承諾を与えておるというようなことは……。
  351. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が言っているのは資料要求についての御見解です。
  352. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そうですか。それでは従来からの答弁は繰り返して申しません。  それから、サイミントン委員会の報告は、議事録はすでにその当時配布しておりますけれども、さらに調製いたします。それ以外のものにつきましても、外務省の関係のあるものは承知いたしました。
  353. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 アメリカとの防衛上の密約云云というおことばがございましたが、そういうことはございません。  それから技術開発上の云々という対象は、対象がよくわかりませんからお答えできませんが、ナパーム弾につきましては、材料はあるそうです。しかし爆弾はないそうであります。
  354. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 私がうそを言っているという、私の名前も出ましたから……。(楢崎委員「かもしれない。あとで立証します。」と呼ぶ)かもしれないって、いま、うそを言っていると言われたから、そういうことはないということだけはっきり申し上げておきます。
  355. 中野四郎

    中野委員長 資料の点は、いいの。
  356. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、用意をしておいてください。私はいまのところ、資料八つだけ申しておりますから……。  サイミントン委員会の議事録は、昨年外務委員会に配布されております。私は、たまたまその外務委員会を傍聴しに行っておって、それをいただきました。たしか外務委員会の理事会は、日本文で全訳したものをくれということでありましたが、まだその日本文全訳は出されていないようであります。それで私は、私がいただいておるまずサイミントン委員会からやりますから、後ほどあとの資料は届くようにしてください。これであります。  そこで、この私が要求しました資料の紹介をちょっとしておきたいと思うわけでありますが、サイミントン委員会というのは、この議事録は三七四ページあります。膨大なものでありまして、四日間やっておりますが、一日目は日米共同声明、二日目は本土のアメリカ軍事基地、三日目は沖繩の返還とアメリカ軍基地、これは四日もそれが続いておる。それから四日にはその他となっております。それで非常に膨大な報告がなされ、われわれにとってたいへん参考になる証言が行なわれております。そこで私は以下、私が申し上げた分だけ、ここにちょっと披露してみたいと思います。  地位協定関係、私が有事再使用の問題をたいへんこだわりましたが、実はこれは三年前からずっと真剣な、非公式であるかもしれないが討議が行なわれておる。問題の個所だけ読んで見ます。これはポール委員がこう聞いておるんですね。「危機がおこったとき、アメリカによる再使用の見通しはどんなものか。」日本の基地の。ジョンソン次官の証言。「われわれは米基地が日本の民間使用へ返還された場合、そこを再使用することができるかどうかという特定ケースについては、まだ討論していない。これまで日本側とずっと討論してきたことは、自衛隊基地をアメリカが使用する権利をもつかどうか、つまり日本基地の共同使用の問題についてだ。最近、首相が十一月に当地を訪米されたとき、この問題について討論した。」――以下は削除になっております。「これは法律問題である。日本との間に締結している現行の地位協定では、この種の取りきめに関しては何ら触れていない。規定もしていない。しかしわれわれの法律担当官は現行の地位協定の枠内で、その変更あるいは改正をしなくても、そのような協定は可能であると考えている。この問題に対して日本側の法律担当官は今のところこのような結論に達していない。われわれはこれが理にかなった結論であると考えるし、そのような協定はできると考えている。また事情が許す限り、この方向にむかうという原則的な了解に日本側が達するように、日本側に圧力をかけ続けている。」ウイ アー コンティニューイング ツー プレス ザ ジャパニーズ……と原文はなっています。次に、ジョージ担当官、これは在日大使館の政治軍事担当官であります。この人はこう言っている。「ただ私も同じ問題について東京で日本側と話し合っている。つまり日本側からみた問題点のあり方である。われわれが一度施設の所有権を放棄しても、施設そのものは、ひきつづき軍事施設として残ることには疑問はないのだが、日本の自衛隊に所有権が移ってしまう。自衛隊の行動を規定し、規制する法律」これは自衛隊法のことであります。「法律は、自衛隊以外のものが自衛隊基地を使用する場合を考えていない。これは法解釈と言葉の問題であるが、日本側は今のところアメリカ側の考えを実施に移す場合には法律」これは自衛隊法でありましょう。「法律を改正することが必要であると考えている。だからこの問題は両国の法律担当官が検討している問題である。」ちょっと省きます。ジョンソンが言っております。「厄介なことには、もし現行の地位協定をちょっとでも改正すると、地位協定全体の」そこは削除になっている。「改正、ひいては協定全体の再交渉が必要となるかもしれぬということだ。」ジョージ担当官「一言つけくわえさせていただくと、日本側も現行の地位協定の改定なしに、このような使用が許可できるように法解釈ができるのではないかという方向にむけ、努力をしている。」それから今度はポール委員が「たとえば朝鮮に危機がおこった場合には板付のような基地の再使用を認めるという日本の善意に頼った方がよいように思われるが、……」どうか。ジョンソン氏「全く同感である。」「すでにのべた通り原則的には日本政府も同意している。」同意していると書いてあります。証言している。そしてジョージ担当官は「更に附言させてもらうならば、東京で話し合っている日本側はこの考え方に完全に同調している。」これが一つの問題であります。  二番目に、表題が「核兵器及び爆撃任務に関する日米了解事項」ジョンソン次官証言「核兵器の持込み問題はさておき、我々が合意に達している非常に明確なケース(ワン・クリアーカット・ケース)が一つだけある。そのケースとはアメリカの軍用機が他国の地域を爆撃するために日本の基地から出撃するケースである。」これは合意に達しておるじゃありませんか。  次にジョンソン次官、同じく事前協議に関係する部分。「海軍艦船が戦斗作戦に出撃する途中、」「日本にあるアメリカ海軍基地にたちよる(寄港)ことについて、日本側は今まで一度も問題を提起したことはなかった。」いままでの政府答弁でいくと、たとえ寄港した艦船でもその寄港地を使用して出撃する場合は事前協議の対象になるというのが従来の政府答弁であった。しかし、ここには、問題は一度も提起されたことがないと証言されておる。  そして同時にその事実がある。サイミントン報告は、「日本を母港とする米海軍艦船」の数をここに書いてある。その中に佐世保に沿岸掃海艇が九隻おることになっております。この沿岸掃海艇はドル節約の立場から船だけ佐世保に置いておって、乗り組み員、あるいは家族はアメリカに引き揚げて、いざというときにまた連れてくればいいじゃないかというポール委員質問に対してスミス司令官はこのように答えている。「そんなことができるとは思わない。私が思うに、まづこれらの掃海艦は母港を出て今は主としてベトナム海岸の沖合はるかに「マーケットタイム作戦」に参加している。掃海なんかしていない、機関銃をすえつけて海岸をパトロールしており、母港から遠くはなれている時間のほうが多いんだ。母港とベトナム間の航海は時間が大変かかるんだ。」すでに直接出撃をしておるではありませんか。  それから、また、これは日本の新聞報道に関係する点ですが、「米軍施設返還に対する日本の好意ある反響」、こういう表題のもとに、米軍が基地を返還しておる。これはつまらぬところしか返還していないんです、役に立たないところしか。――いいですか、「たとえば日本に返還されたこれらの基地は、あなたが指摘したように、アメリカが日本で保有している全面積の中のごく僅かな部分であり、大部分が重要な基地ではない。軍事的観点からみれば、全く問題にならないものばかりである。ところが一九六九年、それらの役にたたない基地を日本に返還したときにおこった日本側の好意的な政治的反響に、むしろ私は驚いたぐらいである。」これはジョージ担当官です。「日本の新聞は、」ここからです。「いつもウソと思われるものを取上げるのはすばやく、また時としてウソではないものをウソらしくデッチあげるのもまた非常にすばしっこい。ところがその日本の新聞がこれらの基地返還、これは主としてアメリカが自分の保有しているものについて決して固執しているのではないというポーズを示したにすぎないと思うんだが、その返還については驚くほど良い報道と驚くほど好意的な記事を書いた。」何という日本の新聞に対する侮辱であろうかと私は思う。  たくさんありますが、時間がありませんから、大事なところだけ読んでみます。  一九六八年、一九六九年、七〇年、米側の報告によると一回ずつ海軍、海上自衛隊関係について日米共同作戦演習が行なわれておる。しかもそれはハワイ真珠湾、その周辺の想定がここにちゃんと書かれておる。単なる潜水艦の訓練ではない。この演習に参加しておるのは、昨年は潜水艦であったが、六九年あるいは六八年の演習に参加しておるのは海上自衛隊の対潜哨戒機P2V六機参加しておりますね。  まだたくさんあります。一昨年の総選挙に触れて、わが日本社会党の内部の問題にまで言及しております。  非常に問題の個所がある。したがって、私はこれらの問題を立証するために以下のことを要求したい。  まずサイミントン委員会報告については以下のことを要求したいと思うのです。  三つ要求します。一つ、日本政府の権威あるサイミントン報告の邦訳を全文提出してください。私の訳ではこれは間違いといわれるかもしれないから、日本政府の権威ある邦訳をひとつ出していただきたい。というのは、本日私が提起しておるこれらの問題点は、たとえば、まだたくさん日本の基地の全貌についても書いてあるのですね。それから沖繩問題が書いてあります。沖繩の特殊部隊のことも書いてある。それからいまこの予算委員会でもわれわれの同僚が数人言いました。もう沖繩返還協定が進んでおる。りっぱな協定ができなくちゃいかぬ。一体米軍の沖繩の基地はどうなっておるか。つまり、沖繩の基地の態様、あるいは性格が問題になっておる、そういう段階であるからよけいにこのサイミントン報告は日本訳をいま出してもらいたい。  二番目に、私はこう思うのですね。日本の政府がわれわれ国会に対してうそを言っておるのか、アメリカの政府がアメリカの議会に対してうそを言っておるのか、問題は二つに一つだと思うのです。したがって、私は在日アメリカ大使館、この中に名前が出ておるジョージ担当官はそこにおりますから、これは日本の国会の権威にかけて、もし政府がうそを言っていないならば、日本の国会の権威にかけて、米国大使館に対し予算委員会代表を派遣して真相を究明されたい。  三つ、サイミントン委員会の報告に対する日本政府の統一見解を示されたい。  私はなぜそのようなことを言うかというと、もしこれが事実なら、われわれはこの十年来、たとえば事前協議の問題一つを取り上げても、愛知外務大臣はかつて六〇年安保のときに安保特別委員の与党側の一人として、この事前協議の問題も質問されております。関係のない戦争に巻き込まれないように、歯どめになすためにわれわれは一生懸命論議したのです。ところが内容はこうだ。一体こういう事実を基礎にして、われわれは何の審議ができますか。もし佐藤内閣がうそをおっしゃっているのだったら、私はそのようなうその答弁、つまりフィクションあるいはボーガスの上に立って、予算委員会における質問はもちろんのこと、佐藤内閣のもとでは国会全体の審議ができないことになりますよ。そのようになります。  私は、だから、以上三点について強く要請をいたします。  なお、ここに公明党のことまで触れておられます。公明党のことまで。これは他党のことですから、私は要らぬことですけれども、これは公明党も一言あってしかるべきだと思うのです。いいですか。「公明党の「基地白書」批判」、こういう表題であります。そして、公明党が一生懸命これは努力してつくられたと思うのです。それについて、もうたくさん書いてありまして、一カ所私は、わざとではないけれども、これは公党の一つとして、私自身も一人として義憤を感ずるのです。あの公明党の基地白書は、「これらの基地撤去について行動をおこさせようと広範な世論の共感を喚起することを企てたとすれば、むしろ大失敗であった。」――フロップということばが使ってある。これはむしろ、やゆというか軽べつの、ずいぶんちゃちなものだ、こういうことなんです。私はこの点は公明党のほうも一言あろうと思いますから、もし御意見があればひとつ関連してやっていただいてけっこうです。
  357. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それではとりあえずお答えいたしますが、第一、邦訳を御配付申し上げます。  それから第二は、これはしばしば申し上げておりますように、日本の国会におきまして政府責任をもって御説明申し上げていることを御信頼いただきたいと思います。  それから第三点は、これは国会のほうの問題でございましょうから、私はこれを避けたいと思います。  そこで、しかられますけれども、このサイミントン委員会の議事録は、昨年一月のことであり、すでに邦訳も市販の雑誌などにも出ておりますし、それからしばしば国会の各委員会におきまして御論議がございましたところでありますので、私は論議が済んでおるかのようにも承知いたしますけれども一つだけ政府の側から言わせていただきますと、非常に大事なところはきちんきちんとこのサイミントン委員会の中でも押えられております。たとえば、ジョンソン次官の証言においても、一九六〇年一月十九日の岸・アイク共同声明ということから、この原則が説き起こされております、全体のこの文脈を通しまして。  それから、先ほど事前協議にかかる事項につきただ一つはっきりしたことがあるという点は、これは失礼でございますが、多少お読み取り違いになっているのではないかと思うのでありまして、戦闘作戦行動は、厳格に事前協議の対象になる。それから核についても、このことはきわめて明白に事前協議の対象になっております。それからイエス、ノーというところも、非常にはっきりいたしておるように思います。ただいま楢崎委員の御質問で、非常にアラーミングな感じを私率直に受けますけれども、これは政府として十分に御説明できるところでございます。私のただいま思いつきでございますが、ここにいろいろの各項目ごとに疑問点が出されておりますが、これを楢崎委員の御解釈になった楢崎委員の御質問としてお答えをするということならば、政府として事理を明白にいたしたいと思います。アメリカの国会の議事録に対して日本政府がとやかくコメントすることは、慣例上も差し控えるべきだと思います。
  358. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 委員長、私は先ほどの三点についてどう取り扱われるか、ひとつ取り扱いを御相談していただきたい。
  359. 中野四郎

    中野委員長 三点のいわゆる要求なんですから……。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  360. 中野四郎

    中野委員長 速記を始めて。  楢崎君、どうぞ質問をお続けください。
  361. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、お読みのとおり、おそらく全部についてかどうか知りませんが、これは楢崎さんの訳だろうからとおっしゃるに違わぬと思っておったのです。案の定そうおっしゃいました。だからこれは日本政府の権威あるひとつ邦訳をいただきたいと思いますよ、その点は。しかし私が読み上げただけでも、佐藤総理はすでにこの問題の論議をしてあると書いてあるのですね。それからわざわざ項目を起こして、「核兵器及び爆撃任務に関する日米了解事項」と項目を起こして、「核兵器の持込み問題はさておき、我々が合意に達している非常に明確なケースが一つだけある。」それは米軍が日本の基地を使って直接出撃するときである、こう日本側は合意しておると言っているのですから……。
  362. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それは違います。
  363. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、どこが違うのです。
  364. 中野四郎

    中野委員長 明確にしておいてください。
  365. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それはただいまお答えしたとおりで、これは、ですから、政府の邦訳をごらんになるとわかりますが、ただ一つはっきりしているというくだりは、在日米軍が自由に戦闘作戦行動ができないので、明らかにこれは事前協議の対象にあるのだということがはっきりしているという趣旨が書いてあったはずでございます。これは念のため私もチェックをいたしますが、邦訳で十分ごらんいただきたいと思います。
  366. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま権威ある見解を示してください。冗談じゃないですよ。後ほど示すますじゃ困ります。重大なところですよ。沖繩が返ってきたときも、これでいけば自由使用になるじゃないですか。だめですよ。
  367. 佐藤一郎

    佐藤内閣総理大臣 私のほうはたいへん簡単ですから一応……。ここの「首相はこの再使用問題につき米側の誰と話し合いをし、どのように話し合ったのか。」これがお尋ねの趣旨です。サイミントン委員会でジョンソン次官が証言をしているのは、「最近、首相が」というのは佐藤だと思います。佐藤が「十一月に当地を訪米されたとき、この問題」この問題というのは、中身は削除と書いてある。だからそれはわかりません。「この問題について討論した。これは法律問題である。日本との間に締結している現行の地位協定では、この種の取りきめに関しては何ら触れていない。規定もしていない。」こういうふうにはっきりジョンソン次官は言っているのです。したがって、私の問題は、いろいろ御想像なすっていらっしゃるが、新しい規定があるとか何か取りきめが出ておればさっきのようにきめつけられることもいいですが、私にはこれが関係がないということをこの機会にはっきり申し上げます。
  368. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま申し上げた点ですが、  サイミントン 何が了解されているのか。  次官航空機が在日基地から発進して他の地域  を爆撃するということは、事前協議にかかる事  項であるということである。その点相互に了解  されている。  サイミントン 次官は、核兵器の問題の導入を  別にしてというが、何故核兵器の問題を一つだ  け特に差別するのであるか。  次官 核兵器の日本への持込みは事前の協議な  らびに合意取付の対象となるということが日米  間に了解されている。当該のくだり、そういうところが各所に出ておりますけれども、念のため申し上げておきます。
  369. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がいただいているところはそうなっていないじゃないですか。何を言っているのですか。このとおり訳してください、それじゃ。いいですか、核兵器及びその爆撃任務に関する表題がここに書いてありますね。そして私が指摘したところが述べてあって、その次は、今度はサイミントン委員長がタイプ上のエラーを指摘しておりますね。そして今度またずっと続くわけですね、先ほど私が指摘した……。だから、寄港した場合には、直接出撃をする際に日本に寄港していっても日本は何にも言わない。これは従来の答弁とここも違うわけです。  それからその次に、先ほど言ったように、掃海艇はすでに直接出撃を佐世保からしております。なぜ事前協議にかからないのですか。
  370. 井川克一

    ○井川政府委員 この御資料をただいまいただきまして、この膨大なサイミントンから見つけるのでございますので、初めの二、三問しかまだ見つけてございません。  第一点の例の再使用の点でございまするけれども、楢崎先生の翻訳なされた中にも「この問題に対して日本側の法律担当官は今のところこのような結論に達していない。」という文章がございます。私どもはこの法律担当官に該当する者だと思います。したがいまして、再使用について、私どもはこういうふうなやり方で地位協定を改正しないでできるという意見は出しておりません。  第二点は、一一五五、この「核兵器及び爆撃任務に関する日米了解事項」でございますが、問題点といたしまして、「空軍に限って直接出撃を包括承認するという密約ではないか。」というふうに書かれておりまするが、全くそのようなことは私といたしましてはこの文章から読み取れません。先ほど愛知大臣が御引用になりましたのは、あるいはもっと前の部分ではないかと思いますが、一一五五ページでございますと、私の英語の翻訳がまずいかと思いますが、しかしながら核兵器の導入、持ってくるということの問題のほかに、日米両国政府がその点について合意している最も明白な問題は、日本の基地から飛び立ってよその地域を爆撃する、つまり、事前協議の対象といたしまして核兵器の導入及びその他のものがございまするが、その他の中で一番ティピカルな例は、日本の基地からよそに飛んでいって爆撃することである。つまり、私たちが申しておりまする直接作戦行動への発進でございます。したがいまして、それは事前協議になる一番典型的な例であるということを、これはジョンソンさんでございますか、が申されておりますことは、いままで政府が申しておりましたことと何ら相違がございません。  第三点は、一一五五ページ、三十六-三十八行でございますが、「たとえ寄港した米艦船でも寄港地から直接戦闘作戦行動に出撃する場合は当然事前協議の対象になるというのが従来の政府答弁であったはづ。」であるが、「証言は米艦船が日本の寄港地から直接出撃した事実があったことを裏づけるものであり、日本政府は事前協議にかけることを全然していない。」という問題点でございまするけれども、この点は、ちょっと英語で読みますと、「オン ジ アザハンド、ジャパン ハズ ネパー レーズド エニー クエスチョン コンサーニング アメリカン エアクラフト ステーションドイン オア パッシング スルー ジャパン ビーイング トランスファード オア ムーブド ツー ベーシス アウトサイド ジャパン フローム ウィッチツー エンゲージ イン コンバット。」要するに……。(楢崎委員「そこはいいんです。そこから先です」と呼ぶ。)しかし三十六から三十八と書いてあります。(楢崎委員「それから先、ジャパンからやってみてください」と呼ぶ)ただいまのところの翻訳は、日本はいままで何らの問題を提起しなかった。戦闘作戦行動に従事するために日本の外のベーシスに、基地に移されたり動かされたりすること、これは当然なことでございます。
  371. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何ですか、ちょっと待ってくださいよ。あなたそういう訳しかしないのですか、これを。いいですか、日本はでしょう、日本の海軍の基地を発進して戦闘作戦行動に行く、エンルート・ツー、途中寄港して直接出撃する場合あるいは直接出撃をして帰投する場合、いずれも問題を提起したことはない。この帰投する場合には問題にならないということは、かつて政府の御答弁をいただいたことはあります。しかし寄港地から行くときには、たとえ寄港しておっても日本の基地を使用しておることになるから、これは事前協議の対象になるというのが本来の外務省の見解じゃなかったですか。
  372. 井川克一

    ○井川政府委員 私が翻訳いたしましたのは、その前の部分でございます。(楢崎委員「だめですよ、こんなことで時間を費したくないですよ。」と呼ぶ)
  373. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと待ってください。
  374. 井川克一

    ○井川政府委員 そこで続いているわけでございます。そして日本は海軍の軍艦が……。
  375. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと条約局長、こういう騒然とした中ではなかなか翻訳もしにくいだろうから、ちょっとそちらで静かに翻訳をしなさい。(発言する者多し)ちょっと静かに、静かに。  楢崎君、ここで騒々しい中でお互いにできるものでないのだから、君からもひとつ質問をしていただいて、そしてその要点だけを答えさせるようにしますから……。時間が延びればまた考えます。お互いに運営のことですから……。
  376. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私ははっきり質問しておるのです、問題点を。いままで政府の御答弁は、たとえ寄港したアメリカの艦船でも、寄港地から直接出撃をする場合は日本の基地を使っていくことになるから、その場合は事前協議の対象になるというのが従来の答弁であった。ところがこれを読むと、寄港していく場合にも何ら問題を提起したことがない、こう指摘されておるから、何事かと言っておるのです。しかも、私は事実があったということを言っているのです。
  377. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 とにかく日本政府が前々からはっきり答弁しておりますことは、日本の基地から戦闘作戦行動の命令を受けて発進する場合には、これは事前協議の対象である、これは何ら変わるところはございません。
  378. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 したがって、アメリカ側の証言はその事実を否定しておりますね、これによると。日本政府はその場合も何ら問題を提起していない。しかもそれは解釈であるし、事実もまたここに書かれておる。佐世保を母港とする沿岸掃海艇がマーケット作戦のためにベトナム沖に出撃をしておる。しかも掃海なんかやっていない。機関銃を積んでやっておる。こう事実も述べられております。
  379. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 日本政府といたしましては、いま申しましたとおりなのでありまして、日本の提供した施設、区域から出るときにすでに戦闘作戦行動であるならば事前協議であって、そしてそのときに出ていきまして、ほかへ寄港したり、あるいはほかを遊よくしている、その事態において戦闘作戦行動の下命がなければ、これは事前協議の対象でない、これが従来からの解釈でございます。
  380. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 われわれにはこの十年間あなたはそう答弁してきたけれども、実際の運用はそうやっていないから、私がその点を問題にしている。アメリカのほうが証言しておるじゃないですか。じゃ、アメリカの政府がアメリカの議会にうそを言っておることになるじゃありませんか。したがって、アメリカの政府がアメリカの議会にうそを言っておるか、日本の政府がわれわれをだましておるか、二つに一つしかありませんから、先ほど言ったように、これは在日米大使館に対して、われわれ予算委員としても問題を明確にする必要がある、こう私は言っておる。だから言っておるのです。
  381. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 しかし、これはこの間も、私は傍証としても相当率直に申し上げましたように、昨年一月にサイミントンの、これは秘密委員会ですが、その後この議事録の一部が公刊されて、ただいまここに問題になっているわけですが、その当時に、当のアメリカの政府、そして当のジョンソン次官も、私が渡米いたしましたときに私のところへたずねてくれまして、一昨年十一月の当時を想起して、あのときに日本側の解釈というものをあなたが公にされたそれで、日本側の解釈は、そのとおりでございますということを確言し、保証いたしておるのでございます。私ども責任をもって日本の国会で申し上げてあることは、これはひとつ日本の国会として御信頼をいただきたいと思います。  あと、これをどういうふうにお確かめになるかということは、政府からすべきことではございませんので、国会としておやりいただくことと思いますが、政府としてはそういう態度でございます。
  382. 中野四郎

    中野委員長 大原君より関連質問の要求があります。これを許します。
  383. 大原亨

    ○大原委員 佐藤総理、問題はこういうことだと思うのですよ。ジョンソン次官の発言について、日米共同声明では、向こう側の解釈とこちらの解釈があったわけですね、問題になりました。そのときには、政府側は強引に日本の解釈を信じてください、こう言った。日米共同声明の場合は、これは非常に抽象的な表現ですから、そういう解釈はあり得るのです。しかしこれは具体的に――極東における軍事行動はアメリカ軍がイニシアをとってやっているのですから、これは軍事行動の具体的な問題について事実を述べている。しかもサイミントン委員会の出席者を見てみますと、軍事専門家も外交官も、あるいはいま楢崎委員が指摘をいたしましたジョージ在日米大使館の政治軍事担当官、常時日米会議に出ておる専門官も、全部出席しておるところで言っている。その中で問題となるのは、いま指摘をされました、つまり資料の三ページの中で「明確なケースが一つだけある。そのケースとはアメリカの軍用機が他国の地域を爆撃するために日本の基地から出撃するケースである」。問題点としては、空軍に限って直接出撃を包括的に承認しておる密約ではないかという問題点を提起しておるわけです。  その次の問題点は、出撃をする途中――いままでのこととは違って、その途中のときに、出撃をするときに、一度も問題を日本は提起したことはない。しかしながら、事実は、ここに報告書の中にある。そういうことを、軍事行動のことですから、極東におけるアメリカの軍事行動、日本との関係はアメリカがイニシアチブをとってやっているのだから、これはやろうと思えばできるのですから、そういう問題点を事実に即して指摘をしておるのです。これは抽象的な議論じゃないのですよ。委員長、抽象的な議論じゃないのですよ。だから、そのことについて、愛知外務大臣は、こういう具体的な事実を指摘して質問してくださいと言われたのです。だから、そのことを指摘をしておるわけでしょう。ですから、それに対しまして、日本の政府の日本の国会における答弁を信頼してください、これだけじゃだめですよ。これだけじゃだめですよ。そんなことではこの審議を続けるわけにいかぬでしょう。ですから、政府はその事実について明確な統一見解を示す、そういうことが大切じゃないですか。
  384. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いま二つの問題をお出しになっているわけです。  一つは、どっちも戦闘作戦行動ですが、両方で明らかに合意していることは何々の場合に自由に出撃することである、こういうふうに御解釈になって御質問でございますが、それはそうではございませんことは、このサイミントンのあれを全部ごらんになれば的確にそのことがわかると思いますから、これはなお文章等の上におきましても、私どもとしては文言の上でもはっきり指摘をしてお答えをいたしたいと思います。これについては何ら疑念はございません。  それからいま一つの場合も、実際先方が言っているとおりと申し上げてもいいかと思いますが、命令をもって現実に日本の施設、区域から発進をして、そうしてどこかに寄港したということはないし、それからどこかに寄港する場合に、そのときには戦闘作戦行動の命令を待たずに飛び立ったことはあるかもしれません、そういうことは言えると思いますけれども、この点につきましても、なお条文といいますか、質疑応答録について御疑問の点は明快にお答えをすることができます。ですから、これは先ほど私のちょっとした考え方でございますが、たとえばお時間の関係等もございましたら、質問趣意書等の形もあり得るでございましょうから、十分誠意を尽くしてお答えすることができます。
  385. 中野四郎

    中野委員長 井川条約局長、先ほどのあれをちょっと……。
  386. 井川克一

    ○井川政府委員 先ほどの「空軍に限って直接出撃を包括承認するという密約ではないか。」の点につきましては、すでに文章についてお答え申し上げました。  第二点の、この翻訳が「また海軍艦船が戦闘作戦に出撃する途中、」というのは正確ではございませんで、先ほど私がちょっと間違えて前のところを翻訳いたしましたが、飛行機が日本の基地から外に移される、移されてから戦闘作戦行動に従事するというあとを受けまして、「また、米国海軍の艦船が戦闘作戦行動への途中において、またはそれからの帰途日本にある米軍の海軍基地を訪問することになることについて、日本がいままで問題を提起したことはない。」というのがこの文章でございます。  したがいまして、従来より政府がお答え申しておりまする、日本の施設、区域を使って、そこから直接戦闘作戦行動に出ます場合は事前協議の対象になりますが、そこを離れるときに、日本の施設、区域を離れるときに、戦闘作戦行動におもむくということでなしに動かされて、そして後ほど戦闘作戦行動に従事したり、その場所から戦闘作戦行動が終わったあとに日本に帰ってくることは、事前協議の対象にならないことは、これは従来より一貫して申し上げておるところでございます。
  387. 大原亨

    ○大原委員 政府委員から先ほども答弁があったし、いまも答弁があったのですが、やたらによけいなことを、自分の主観をつけ加えているのです。これは八月にすでに資料として英文で外務委員会で出ておるのです。そのときに権威のある翻訳をしろという要求があったのにずっとおくれて出てこなかったわけです。で、いまもお話を聞きますと、公訳があると、こう言うのです。日本にかかわることですから公訳はあると言っておるのです。しかしながら、答弁を聞いてみますと、全く原文のままを読んだり、自分の主観をつけ加えたりしておるのです。こういう重要な問題についてそういうあいまいな答弁で了解することはできませんよ。この議事録で議論された事実、その事実について指摘をした問題について、政府のしっかりした統一見解を私どもは要求しておるわけであります。したがって、この問題はちょっと時間をおいて頭を冷やして、休憩をして、そしてやり直しだ。何ですかあなたの答弁は、だめだ。
  388. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと申し上げますが、その必要はないと思うのです。明確に答弁をしておるのですから、間違った点があったらさらに御指摘なさるがよろしいのであって、これは冷却期間をおくというのはちょっと筋が違うので、どうかひとつ、なお御質疑を御継続願いたいと思います。
  389. 大原亨

    ○大原委員 つまり愛知外務大臣は、この報告書についての公訳、外務省としての翻訳がちゃんとあると言っておるのです。これは、国会における答弁と矛盾しておるところは外務省はチェックしておるのです。ですから、それを的確に日本語で、これは日本の国会だからびしゃっと答弁することによって解明できるのだ。それを主観的なことを、ああでもないこうでもないということを言ったり、原文で言ったりしておるからわからないじゃないですか。私はこのことによって時間延ばしをしようとは決して思わないのだ。思わないけれども質問の問題点ははっきりしておるのだから、答弁についてはすれ違いがないようにぴしっとしてやってもらいたい。これは非常に重要な問題じゃないですか。ですから、これはあいまいにして過ごすわけにはいかぬから、その点については、十分納得ができる措置を名委員長はとってもらいたい。
  390. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何回も私は言いますが、いままでの政府答弁は、たとえ寄港した艦船でも、寄港するということは日本の基地を使うことだから、寄港地から直接出撃をする場合は事前協議の議題になる、これが従来の政府答弁であります。この証言によると、そういう場合も日本は問題を提起したことはないと、そのとおり書いてある。私は何も言っていない。私はこのとおり言っておるのですが、日本政府のほうは、なんですか、条約局長、主観を交えて何とかかんとか書いてないことを言っておる。だめですよ。しかも、その次にちゃんと日本から、佐世保から出撃しておる。これは寄港じゃなしに、母港としておる沿岸掃海艇がベトナム沖に出撃しておるのです。どうなるのだと言っているのです。なぜ事前協議の議題にこれがならないのかと言っているのです。
  391. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは何べんもなんでございますが、はっきりしていると思いますのは、日本で提供した施設、区域を出るときに、戦闘作戦行動の命令を受けて出ます場合は、明らかに事前協議の対象になりますが、それ以外日本を出ます場合は、まだ戦闘作戦行動の下令を受けていない場合は、これは事前協議の対象でない。途中で戦闘作戦命令を受けたような場合は、事前協議の対象にならないということが、もう従来から一貫した政府態度でございます。
  392. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの点に関するだけ。ではこの場合、佐世保を母港とした掃海艇が出撃した際に、どこで命令を受けておったか、あなた確めてください、それだったら。そんな答弁をするのだったら、どこに事前協議の歯どめの役目がありますか、あなた。何言っておるのですか。
  393. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これもいつも申し上げることでなんですが、日本が提供した施設、区域から、これを利用して出るところの米国の軍隊の、これは日本政府との間にかわした約束に基づくところの義務でございますから、先方が事前協議をかけてこなければならない。またかけてくれば、それに対してイエス、ノーをきめる、これが事前協議のやり方の方式でございます。
  394. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、従来の政府答弁とこのサイミントン委員会における証言は明らかに違うと思います。これでいけば、全く事前協議というものはあり得ない。どこで歯どめをかけるのですか。現実に佐世保から出ておる艦船についても、外務省のほうでアメリカのほうを思いやって、おそらく途中で命令を受けたのだろう、だから事前協議にかけなかったのだろうなんて、そういう推定がどうしてできるのですか、あなた。どうして事前協議を申し込まないのですか。したがって、この問題点については、私はこの紙に書いておりますから、責任ある御答弁をひとつ後ほどいただきたい。大体この問題が解決しなければ、私の以下の質問はこの態度に全部かかっておるのですよ。沖繩返還の問題もこれにからんできますよ。こういうことであったら、どのような沖繩返還協定を結んでも底抜けになるじゃないですか。沖繩の基地は自由使用されるのじゃなかろうか、これが一つの心配ですよ。ところが、これでいけば、もう実際問題として、運営としては自由使用なんですよ。何の歯どめもない。  それじゃ、もう一つ問題点を指摘しておきますが、「空幕運第三六七号」、ございましたか、中曽根長官
  395. 久保卓也

    ○久保政府委員 資料でわかっているものとわかっていないものとあります。それから、すでに廃棄処分になったものもございます。なおいまの分につきましては何年の分であるか、ちょっとお教えいただきたいと思いますが。
  396. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、申し上げます。  「空幕運第三六七号、昭和四十四年七月七日」航空幕僚長より「航空総隊司令官、飛行教育集団司令官、実験航空隊司令殿」表題は「火炎爆弾『ナパーム弾』の使用について」、表記について下記のとおり実施されたい。「記」「一、訓練等のためナパーム弾を使用する場合には、目的、期間、場所、実施部隊、機数、爆撃訓練等、ソーテー数、弾数及びその他必要と思われる事項を当該訓練等の実施日の十五日前までに申請するものとする。当該訓練等終了した場合には、一カ月以内に実施内容第一項に準じて報告するものとする。」、ナパーム弾がなくてはできないじゃありませんか。こういううそをずっとつかれたんでは、私は質問は続けられませんよ。
  397. 久保卓也

    ○久保政府委員 いまの通達は何年のということがわかりませんでしたので、私のほうですぐに調べてみます。
  398. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行。
  399. 中野四郎

    中野委員長 楢崎君の時間の範囲内で。田中君。
  400. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行で申し上げます。  委員長にひとつお願いしたいのは、楢崎君のこの日本語の訳ですね、これを議事録にとどめていただきたい。  二つ、三月一日までに、すなわち月曜日までに、外務省は、この楢崎委員の指摘している件につきまして、正確な資料を添えて、その冒頭に示していただきたい。すなわち、正確なとおっしゃるならば、その日本語訳もつけまして、三月の一日までに示していただきたい。それに対して楢崎委員質問を許す、そういうことでこの問題は一応委員長に預けたい、こう思いますがいかがですか。
  401. 中野四郎

    中野委員長 これは、率直に申し上げますが、サイミントン委員会議録を国会の速記録に載せることは、ちょっと理事会で御相談の上でないと、このままおきめするわけにはまいりません。  それから、いまの第二のほうの、外務省の御質問に対する日本語訳の御回答、この点は、先ほど理事間においてお話がございましたから了承いたします。
  402. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、私の申しました第一点は、これは理事会で相談をする。たとえば、全部楢崎委員が読んだとすれば、これは議事録に載るのです。そういう線で検討してもらいたいと思います。  第二の点につきましては、もう一度楢崎委員のほうから、三月一日、月曜日に明確に示していただく点をただいまから申し上げます。外務大臣及び外務省は、それをよく聞いていただいて、月曜日の冒頭に御報告願いたいと思います。
  403. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいま田中委員の議事進行の中にありましたとおり、サイミントン委員会報告の邦訳全訳と私が指摘いたしております疑問点についての御見解が示された後、本問題については質疑をお許しいただきたいと思います。  問題を先に移します。ナパーム弾は持たないとおっしゃいましたが、現実に持っておられるわけです。私はこういう問題を指摘しなければ、一々問題が明らかにならないのかということを言いたいのです。しかもこのナパーム弾は、御承知のとおり、いまベトナムで、かつてベトナムで、いまもそうですが、焼き尽くし、殺し尽くし、破壊し尽くす、この三つの代表的な兵器が、侵略兵器が、殺人兵器が、いわゆるボール爆弾とナパーム弾と化学剤である枯れ葉剤であります。そのうちの一つであるナパーム弾、これはどこで一体使うんです。侵略用以外にないんです、これは。だからこれを私は問題にしたら、持っていないと分科会では装備局長答弁をしておる。中曽根長官も、何か持っていないような御答弁でございました。しかし、実際にちゃんとこういう指令を出しておるじゃありませんか、訓練に対する注意を。ないものがどうしてこういう訓練になりますか。こういううそを言われたんじゃ、今後の、いまから先の質問も続けられませんです。
  404. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いまの空幕の訓令は、至急調査さしておりますから、返事があり次第御報告いたします。
  405. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はそれが出てくるまでもう待てませんのです。何回も何回もこういうことを繰り返されたんじゃ、だめです。
  406. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  407. 中野四郎

    中野委員長 速記を始めて。
  408. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 前にそういう内容をお知らせくだされば、十分手配して調べていますが、急に言われましたもんですから、いま調べている最中でございます。
  409. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 前もってとおっしゃるが、あなた方がうそを言わないならば、ありますと、おっしゃれば、こういう資料出しませんよ。私は。資料要求する必要ないんですよ。何を言っているんですか。うそを言うから資料をいま要求しているのです。事実を言えば資料要求の必要ないのですよ。前もって言っていれば、何を言うんです。
  410. 中野四郎

    中野委員長 資料が出てこなければやらないと言ったら……。
  411. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 資料が出なければ質問しないと――ほかの場合の資料と違うんですよ、これは。私がうそを言っておるか、防衛庁がうそを言っておるかの証明をする資料ですから、私の言っておることが事実なのか、事実でないのかはっきりしてくださいと言っておるのです。資料を出さなくてもいいですよ、じゃ事実かどうかはっきりしてください。
  412. 中野四郎

    中野委員長 防衛庁で答えられるでしょう、だれか。
  413. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま調べさせましたところ、過去において六発ぐらい展示演習で撃ってみたことはあるそうです。しかし、いわゆる訓練としてカリキュラムに組んで、空幕でそれを常時訓練として使ったということはないそうであります。
  414. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの御答弁はこの通達の内容と違いますから、通達を出してください。
  415. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま通達は調べております。
  416. 中野四郎

    中野委員長 だれが答弁するのですか。
  417. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま、通達は持ってきている最中だそうです。到着次第御報告いたします。
  418. 中野四郎

    中野委員長 楢崎君、お聞き及びのとおりで、いまここへ持ってくるそうですから、どうぞ質問を継続してください、時間も切迫しておりますから。
  419. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、専守防衛、専守防衛とおっしゃるが、いろいろな点からして、その自衛隊の専守防衛戦略は非常にごまかし的なところがある、それを立証する一つとして、兵器面から二つ例を出したわけです。つまり攻撃用の兵器として一つはナパーム弾、もう一つは、さっき申し上げましたECMの技術研究開発計画に含まれておるXJ-ALQ-3、これは三次防技術研究開発計画の中に含まれておりますか。
  420. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 現在開発中でございます。一般的にわかりやすい文句で申しますと、航空機に搭載します電波妨害装置でございます。機上電波妨害装置とわれわれ言っておりますが、これは訓練用に現在開発しておりますけれども、地上からホークなりナイキなり、そういうものが、来ます航空機を要撃する場合に電波を出します。その電波に対して、機上にそれを妨害する装置を載せまして訓練しまして、その相手方の妨害にたえる研究をするという意味での機上電波妨害装置と申しておりまして、現在開発中でございます。
  421. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたは間違っておられますね。飛行機の上に載せるECMのほうはXJ-ALQ-4のほうです。3のほうじゃないのです。私が言っているのは3のほうです。3のほうは、機上に載せるものじゃありません。
  422. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 先生御指摘の現在のALQ-3は機上に載せるものでございます。地上から機上に向ける電波妨害装置の勉強をしておりますけれども、現在ALQ-3というものは機上に搭載する、地上に向かう対地の機上電波妨害装置でございます。
  423. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまので正確になりました。  これは、隣接する二カ所のレーダーサイトを、同時に探知限界付近から妨害できる訓練用電波妨害装置ですね。隣接する二つのレーダーサイトです。これは一体どこですか。日本の場合じゃないでしょう。隣接する二つのレーダーサイトですから、他国でしょう。日本の自衛隊が、日本の領土の中にある二つのレーダーサイトの電波を妨害するためのものをわざわざ持ちますか。これは明らかに、他国の二カ所のレーダーサイトを同時に探知限界付近から妨害できる電波妨害装置です。これは明らかに他国向け、つまり他国に侵略するための兵器と言わざるを得ません。攻撃兵器と言わざるを得ません。どうですか。
  424. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 現在開発しておりますものは、地上からのミサイルを撃たれることをおそれて妨害するという研究でございまして、私のほうの持っておりますホークなりナイキなりあるいはL-90なりというものの電波を相手方から妨害する、それに対してどうするかの問題、あるいは当然そういうようなわれわれの航空機も、相手方の艦船なりそういう地上からの、たとえば高射機関砲の地上からの電波を受ける、それでたまが飛んできますから、それをどうよけるかという研究のためのものでありまして、全く現在持っておりますものの地上の訓練でございます。
  425. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなた方は、何か都合が悪くなると訓練用、訓練用と言いますですね。あなた方は、この第三次防の技術研究開発計画を策定したときに、研究の科目とするものはどういう内容であるか、これが書いてあります。「新奇斬新なる構想に基づき、かつ装備の可能性大なるもの」、実際に使い得るものを研究する。単なる訓練用じゃないのです。
  426. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 当然われわれは、航空機に搭載するものでも、自分の身を守るために電波妨害装置は搭載する必要がございます。また、地上のほうでも、相手方の航空機を落とすためには、そういう妨害を避けながら撃つという訓練が必要であります。そういう意味での当然の将来の開発を考えた装備は考えております。しかし、現在三次防で検討しておりますものは、先生もお読みになったように、地上訓練用と機上訓練用という名前をつけて現在やっておるものでございます。
  427. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまあなたがおっしゃったのは、4のほうでしょう。4のほうなら、私はそのような言いのがれもできると思っておりました。しかし、3のほうは、隣接する二カ所のレーダーサイトとちゃんと書いてあるんです。よその国に飛んでいかなくちゃ、そういうことはないじゃないですか。だから、これは少なくとも専守防衛用の兵器ではないということを私は言っているんです。こういうものをわれわれは予算上認めるわけにいかない、ナパーム弾と一緒に。  それから、日米幕僚研究会同、これはつくられたということは分科会で答弁をいただきました。つまり、日米合同の軍事委員会、軍事会同みたいなものがあるかというこれは質問に対してであります。それに対して防衛庁のほうからは、一九六八年十二月第九回安保協議委員会、これで日米幕僚研究会同がつくられた。じゃ、それ以外にありませんかと私は聞いたんです。そうしたら、ないとおっしゃいました。これもサイミントン委員会に出てきます。サイミントン委員会では、やはり明らかに日米合同軍事作戦委員会みたいなものがあるかという私と同じ質問に対して、一つだけある、その段階でです。バッジ作戦委員会がある。これもサイミントン委員会にその構成内容は出ております。さらに一九六三年日米了解事項によって、フリートーキングコミッティ、フリートーキングサブコミッティ、フリートーキンググループ、これは国会ですでに明らかになっておるところですね。こういうのも正確に答えていただかないと、質問が続けられぬじゃないですか。  そこで私はもう一度問題点を整理してみたいと思うのです。  一つ、米側から、返還基地の有事再使用を保証せよという、強いあるいは強圧的な要求は、すでに三年前から始まっているはずである。これは何か年に一回か二回安保協議委員会を開いてやっておるという答弁とこれは違っております。すでに三年前から始まっておる。これを立証するものはサイミントン委員会の報告書であります。  二番目、佐藤総理の問題も、私はまだこれは解明しません。このサイミントン委員会議事録によれば、佐藤訪米の際に討論したとなっておりますから、これもまた私はたいへん疑問に思います。  三番目、板付基地再使用については、もう東京で話しておる日本側はすでに完全に同調しておる、こう出ておりますから、板付基地の再使用については、もう完全に同調しておる。つまり合意しておる、秘密的、非公式、と見ざるを得ません。これもサイミントン委員会報告によって立証できます。  それから陸海空三軍、いずれも日本の基地から戦闘作戦行動のために直接出撃する場合は事前協議にかかるというのが従来の政府答弁でありましたが、これもたいへんおかしい。少なくとも空軍に対しては包括的な承認を与えておるのではないか。これもサイミントン委員会の報告によって立証したいと思います。  それから、海軍艦艇について、日本の港に寄港してそれが出撃する際は、事前協議の対象になるはずだけれども、これもなされていない。これもサイミントン委員会の議事録によって立証したいと思います。  それから、ルール・オブ・エンゲージメント、これは現在も生きております。したがってこれは資料、この日米了解メモを出していただけば、これが立証できると思います。これは先ほど資料要求したとおりであります。  それからXJ-ALQ-3の問題、これも三次防技術研究開発計画のその部分を資料として出していただければ明確になるはずであります。  それから自衛隊は、国民の一部職種について、あるいは運輸省も一部職種の職員について思想調査をやることになっております。自衛隊の分に関しては、「海上自衛隊幹部学校評論第七巻第二号」が出てくれば、その点が明白になる。つまり一般の船員について行なわれております。  それから、自衛隊はいろいろものの判断をする場合に、どういう判断で国民を見ておるか、つまり自衛隊の身方と自衛隊の敵、ちょっとことばは過ぎますけれども、われわれのことばで言えばそうなるのですが、この本の表現はちょっと違っておりますけれども、どういう見方をするか。それを明らかにするために、先ほど申しました富嶽生著「よい中隊の育成について」、この本を出していただければそれが明確になります。判断の基準がそこに出ております。社会党の一部も敵としてその中に入っている。  それから分科会で、ADIZ及び制限空域、制限空域はまだ出しておりませんでしたが、ADIZの設定の法的根拠、これも不正確であります。自衛隊の訓練によってやっておる。これは事実と違反します。  それから制限空域の設定の法的根拠、これも航空交通管制に関する合意書本文及び付属第一、第二、第三を出していただければ、それが明白になります。たとえばEC121あるいはプエブロ号のような事件が起こったときには、いつでも日本の空は米軍、そしてそれと共同作戦をしておる航空自衛隊の手に移される。民間機はいつでもコントロールされる。これはかつてのプエブロ号事件のときの板付の発着の状態を見ればわかりますが、これもサイミントン委員会の報告に載っております。  それからナパーム弾のことも、先ほど申し上げたとおり「空幕運第三六七号」が出てくれば明確になります。  それから先ほど申し上げたルール・オブ・エンゲージメント、これは生きておる。これが生きておる限りは、事前協議はこれまた空洞化されております。資料を出していただけば明白になる。そしてそれを裏づけるものが「総隊防第一二四号」であります。これも出していただけばその点が明白である。事前協議はいかに空洞化されておるかということが明白になります。  そのような資料が出されて、私は以下質問を、しかるべく機会を与えていただくそうでありますから、続行したいと思います。
  428. 中野四郎

    中野委員長 楢崎君に申し上げますが、お約束の時間が参りましたから、結論を急いでいただきたいが――御答弁になりますか。
  429. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ただいま御指摘になりました各項につきまして調査をいたしまして、できるだけ、私、内容をまだ知らないのもありますから、月曜日にお答えいたしたいと思います。
  430. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あわせて、ハワイ水域においてどのような訓練が行なわれておるかも、まだ報告がありませんが、これも日本の自衛隊のいわゆる防衛範囲が西太平洋全域に及んでおるという事実を私は立証したいから、この要求をしておるわけであります。従来の政府態度と違うわけでありますから……。
  431. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ハワイの訓練の問題は、ハワイへ参りましてアメリカの潜水艦と共同してP2Vの訓練をやったことはあります。それから潜水艦自体が脱出訓練そのほかをアメリカの施設を使ってやったこともございます。しかし、それは合同作戦とか合同演習という性格のものじゃなくして、自衛隊の技術向上のための教育訓練という性格のものであります。
  432. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまのやつは違うわけですね。私は違うと思います。だからサイミントン委員会の報告に出ておりますから、その想定を見られれば、いま防衛庁長官が言っておるような訓練じゃないのですよパールハーバーを中心にした訓練です。したがって、いままで私が申し上げた資料を全部出していただきたい。
  433. 中野四郎

    中野委員長 資料は、それでは後ほど、出せるものは出すとして、これでよろしゅうございますか。いいですね。――これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  明後三月一日は、午前十時より委員会を開会し、締めくくり総括質疑を続行いたします。本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会