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多田委員 長時間をかけましたけれ
ども、この問題いま御
答弁にありましたように、前向きに絶滅を期すべく
努力をしていただきたいと思います。
次に老人問題を伺いたいわけなんでございますけれ
ども、
最初は大蔵
大臣に伺うわけでございますが、老人問題はいろいろといわれておりますけれ
ども、私は三つの観点から老人問題を
考えるわけでございます。それは、ちょうど大蔵
大臣また
厚生大臣も、その御年配でいらっしゃるわけで、この間、西田
委員の
質問に対しまして、総理が、私も老人だというふうにおっしゃっていらっしゃいましたけれ
ども、ちょうどいまの六十五歳以上という方々は、いつもいわれておりますように、ちょうど満州事変から始まった戦争のさなかに半生を送りまして、そして今日がある。今日のGNP世界第二位の土台もその方々が築いてきた、こういうふうに言っても過言ではないと思います。したがって、そういう
立場であるがゆえに、この国家の繁栄の中で谷間に残された、あるいは疎外されたというような
立場にしておいてははなはだ申しわけない、こういうふうに
一つは
考えられます。老人自身の
立場からどうしてもこれは守っていかなければならない、それが政治ではないか、このように
考えます。
もう
一つは、疎外されるといいましても、年老いた両親を持つ
子供さんたちでも、やはり何とか親を守っていきたい、できるだけめんどう見ていきたい、こういう気持ちはあるだろうと思います。しかし
現実として、住宅問題あるいは物価高あるいは安いサラリー、またお子さんがいれば養育費にかかる、こういったことで、
現実としてほんとうに心ゆくまでの親孝行はできない、こういうことになりますと、老人問題というのは、老人自身ではなくて若い
人たちのためにもこれはどうしてもやらなければならない。
簡単に申し上げますけれ
ども、第三点は、最近警察庁の調べによりますと、少年犯罪が、少年人口が全体としては減っておりますのに、犯罪の人口は逆にふえているという
状態で、先日夜の新宿などに行ってみたわけでございますけれ
ども、その担当官の話を聞いておりますと、この
報告によりますと、中流
家庭のお子さんがそういう非行に走る方がたいへん多いということなんですが、やはり
現実はかぎっ子とか、そうした
家庭のすさんだところの子のほうが多いそうでございます。そのかぎっ子はそれじゃどうして生まれるか、こういうふうに思いますと、
家庭の主婦が家をあけるから結局かぎっ子が生まれる。その主婦はどういう
考えで働くか。経済的に困難な場合もありましょうし、あるいはレジャーをもてあまして働く方もいましょうし、いろいろあるかと思います。その
一つのポイントとして
考えられますのは、やはり老後に対する不安から、いま少々困らなくても働こうという人もたくさんいると思います。
こうして
考えてみますと、そうした老人問題という問題は、老人層ばかりではなくて、そういう老人を親に持つ
家庭にも、また子を持つ
家庭、少年問題にも、そうした問題というのが波及していて、私はこの老人問題は、ひとり老人に対するばかりではなく、全社会の問題としてとらえていかなければならないんじゃないか、このように
考えるわけでございます。ですから、いまのいろいろな社会問題の解決の
一つは老人問題がかぎを握っているのではないか、こんなふうにも
考えるわけでございます。
それで、いままでいろいろと論議を尽くされてまいりましたし、前向きな御
答弁もいろいろあるわけでございますけれ
ども、
現実はもう自殺者が多い。特に老婦人、おばあちゃんの自殺者がたいへん多い。世界一である。こんなふうにもいわれております。自殺者が出るなんということは、個人の
病気等もありましょうけれ
ども、これは国家としては恥ずかしいことだし、その点から
考えまして、さらに積極的な老人問題に対する施策のほどをお願いしたいわけでございます。
最初に所得保障、何といっても、老人問題といえば所得の問題になるわけで、大蔵
大臣にお伺いするわけでございますけれ
ども、老後の所得保障という問題、この所得保障のかなめは、やはり何といっても年金であろうと思います。ことしの四月から十年年金の支給が開始されるわけでございまして、これの支給される範囲は二十万人ぐらい、こういうふうになっております。十年年金は
昭和三十六年の四月に発足をいたしまして、当時五十歳から五十五歳未満の人々に任意加入が認められたわけで、その
対象者が三百万人おりまして、そのうち百万人が任意加入したわけですから、ここで二百万人は残っているわけでございます。また昨年、
昭和四十五年から始まった五年年金、これには七十四万人の方が加入されておりますけれ
ども、差し引きますと、やはり百二十六万人は残ります。さらにまた重要なことは、三十六年当時、すでにもうその任意加入のワクからはずれておりました、つまり五十五歳から六十歳未満の間の人、これが約二百五十万人おります。この二百五十万人の
人たちと百二十六万人の
人たちとは、
国民皆年金と、こういわれておりますけれ
ども、大きく穴があいておりまして、
対象から漏れているわけなんでございますね。したがって、この三百七十六万人ですか、こうした
人たちが取り残されておりまので、これは
日本の年金
制度がおくれておりまして未成熟というふうにいわれておりますけれ
ども、こういう手を打つけれ
ども、さらに漏れているという方々が四百万人近くもいるわけでして、この
人たちの日常をどうするか、これが重大な現時点での問題であろうと思われますので、この辺の谷間に埋没した方々に対する処置をどうなさるかというふうにお伺いしたいわけなんであります。